説明

制動力制御装置

【課題】作動条件の異なる複数のシステムが同一のブレーキ制御機構を利用する場合において、作動できないシステムを運転者に適切に報知することができる制動力制御装置を提供する。
【解決手段】車両各輪の制動力を制御するブレーキアクチュエータ5を用いて車両挙動を制御するVSC制御部21と、VSC制御部21の作動可否を判定するVSC作動可能判定部22と、ブレーキアクチュエータ5を用いてVSC制御部21によって制御される車両挙動とは別の車両挙動を制御する小回り制御部23と、小回り制御部23の作動可否を操作入力によらずに判定する小回り制御作動可能判定部24と、VSC制御部21が作動できない旨を報知するVSC警告灯4と、小回り制御部23が作動できない旨をVSC警告灯4とは異なる態様で報知する小回り制御インジケータ10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制動力を制御する制動力制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車輪の制動力を制御する制動力制御装置として、独立に各車輪の制動力を制御する機構を利用して小回り制御を行う装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置は、車両の旋回時において、特定の車輪に制動力を付与し、車両の機械的特性で決まる最小回転半径よりもさらに回転半径を小さくし、小回り性を向上させるものである。
【0003】
また、上述の独立に各車輪の制動力を制御する制動力制御機構は、例えば、車両の旋回方向の安定性を確保するシステムであるVSC(Vehicle Stability Control system)や、車両制動時において車両の安定性を確保するABS(AntilockBrake System)に利用されている。これらのシステムは、車両状態を検知して制動力制御機構を用いて車両の前輪横滑り又は後輪横滑りを緩和させたり、制動力制御機構のブレーキ動作を自動化してタイヤがロックすることを緩和させたりするものである。ここで、ABSにおいて、作動できない場合には警告ランプを点灯させて運転者に報知する機能が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−103517号公報
【特許文献2】特開平10−278771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記特許文献1に記載の装置にあっては、小回り制御の際に車輪を制動するブレーキを連続作動させる必要があるため、ブレーキアクチュエータに備わるモータ及びソレノイドが発熱する。このため、過熱から車両システムを保護するために、発熱量に応じて小回り制御を禁止して、運転者にその旨を適切に報知する必要がある。
【0005】
しかしながら、VSCやABS等の他のシステムと小回り制御とが制動力制御機構を共有する場合を考えると、例えば小回り制御は実行できないが作動条件の異なる他のシステムは実行することができる場合があり、他のシステムに備わる警告ランプのみでそのような態様を運転者に対して報知することは困難である。
【0006】
そこで本発明は、このような技術課題を解決するためになされたものであって、作動条件の異なる複数のシステムが同一のブレーキ制御機構を利用する場合において、作動ができないシステムを運転者に適切に報知することができる制動力制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る制動力制御装置は、第1の作動条件を満たす場合には車両の各輪の制動力を独立に制御するブレーキ制御機構を用いて車両挙動を制御する第1の車両挙動制御手段と、第1の車両挙動制御手段が作動できる状態にあるか否かを判定する第1の判定手段と、第2の作動条件を満たす場合にはブレーキ制御機構を用いて、第1の車両挙動制御手段によって制御される車両挙動とは別の車両挙動を制御する第2の車両挙動制御手段と、第2の車両挙動制御手段が作動できる状態にあるか否かを操作入力によらずに判定する第2の判定手段と、第1の判定手段によって第1の車両挙動制御手段が作動できる状態にないと判定した判定結果を第1の態様で報知し、第2の判定手段によって第2の車両挙動制御手段が作動できる状態にないと判定した判定結果を第1の態様とは異なる第2の態様で報知する報知手段と、を備えて構成される。
【0008】
このように構成することによって、車両挙動を制御する第1の車両挙動制御手段が作動できる状態にあるか否かを第1の判定手段によって判定し、第1の車両挙動制御手段が作動できる状態にないと判定した判定結果を、報知手段によって運転者に対し第1の態様で報知することができる。また、第1の車両挙動制御手段と同様のブレーキ制御機構を利用する第2の車両挙動制御手段が作動できる状態にあるか否かを入力操作によらずに第2の判定手段によって判定し、第2の車両挙動制御手段が作動できる状態にないと判定した判定結果を、報知手段によって、第1の様態とは別の第2の態様で運転者に対し報知することができる。これにより、同一のブレーキ制御機構を利用するシステムが複数ある場合に、作動ができないシステムを運転者に適切に報知することができる。
【0009】
ここで、制動力制御装置において、第1の態様を報知する報知手段は、第1の車両挙動制御手段が作動できる状態にないことを報知する警告灯であり、第2の態様を報知する報知手段は、第2の車両挙動制御手段が作動できる状態にないことを報知する作動インジケータとすることができる。
【0010】
また、制動力制御装置は、第2の車両挙動制御手段が作動中であるか否かを判定する第3の判定手段を備え、第2の態様を報知する報知手段は、第3の判定手段によって第2の車両挙動制御手段が作動中であると判定した判定結果を第2の態様とは異なる第3の態様で報知することが好適である。
【0011】
このように構成することで、第2の車両挙動制御手段が作動できないこと、第2の車両挙動制御手段が作動中であることを、異なる態様で同一の報知手段で報知することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、作動条件の異なる複数のシステムが同一のブレーキ制御機構を利用する場合において、作動ができないシステムを運転者に適切に報知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る制動力制御装置を搭載した車両の構成図である。本実施形態に係る制動力制御装置1は、運転者の走行支援を行う機能を有する車両に好適に採用されるものである。
【0015】
図1に示す車両6は、当該車両6の各輪の制動力を独立に制御するブレーキ制御機構であるブレーキアクチュエータ5を備えている。ブレーキアクチュエータ5は、各車輪に配置されたホイールシリンダ(不図示)へのブレーキ油圧を調整することで、各車輪に対して制動力を変化させる機能を有している。各車輪のブレーキ油圧の調整は、ブレーキアクチュエータ5が備えるマスタシリンダカットソレノイド弁52、保持ソレノイド弁53及び減圧ソレノイド弁54が構成する油圧回路を用いて行われる。油圧回路を構成するこれらの弁としては、電気信号で制御可能な電磁弁が用いられる。また、ブレーキアクチュエータ5が有するモータ51は、各弁から油圧回路内の吐出経路に排出されてリザーバ(不図示)に蓄えられたブレーキ油を再度油圧回路内へ戻すために駆動するポンプ(不図示)の駆動源として機能する。ブレーキアクチュエータ5のブレーキ(不図示)としては、例えばディスクブレーキが用いられる。
【0016】
また、車両6は、情報入力手段として、センサ3を備えている。このセンサ3は、舵角センサ31、アクセル開度検出センサ32、ギア位置検出センサ33、ブレーキ操作状態検出センサ34、パーキングブレーキ作動検出センサ35、車輪速センサ36、加速度センサ37及びヨーレートセンサ38を有している。これらの各センサは、後述するECU2と接続されており、入力した情報をECU2へ出力する機能を有している。
【0017】
舵角センサ31は、例えば、ハンドル操作によって動作するギアに磁石を内蔵し、磁石が取り付けられたギアの回転を磁気抵抗素子の磁気抵抗の変化によって検知して、操舵量及び操舵方向を検知する機能を有している。
【0018】
アクセル開度検出センサ32は、例えば、ホール素子を用いてアクセルペダルの踏み込み量からアクセル開度を検知する機能を有している。
【0019】
ギア位置検出センサ33は、例えば、ドライブ、ニュートラル、リバース、パーキング等のギア位置を検知する機能を有している。
【0020】
ブレーキ操作状態検出センサ34は、例えば、ホール素子を用いてブレーキペダルの踏み込み量からブレーキの操作量を検知する機能を有している。
【0021】
パーキングブレーキ作動検出センサ35は、例えば、パーキングブレーキのON、OFFについて検知する機能を有している。
【0022】
車輪速センサ36は、車輪ごとに取り付けられ、例えば、車輪に磁石を内蔵し、車輪の回転を磁石の回転を磁気抵抗素子の磁気抵抗の変化によって検知して、車両6の車輪速を検知する機能を有している。
【0023】
加速度センサ37は、例えば、内蔵された可動電極と固定電極との距離の変化を計測して、車両6の前後左右に対する加減速度を検出する機能を有している。
【0024】
ヨーレートセンサ38は、例えば、圧電セラミックの歪み量と方向によって車両6の鉛直軸方向の回転角速度を検知する機能を有している。
【0025】
また、車両6は、センサ3から情報を入力し、ブレーキアクチュエータ5へ制御信号を出力するECU2を備えている。ここで、ECU(Electronic Control Unit)とは、電子制御する自動車デバイスのコンピュータであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、および入出力インターフェイスなどを備えて構成されるものである。
【0026】
ECU2は、VSC制御部(第1の車両挙動制御手段)21、VSC作動可能判定部(第1の判定手段)22、小回り制御部(第2の車両挙動制御手段)23、小回り制御作動可能判定部(第2の判定手段)24及び小回り制御作動状態判定部(第3の判定手段)25を備えている。
【0027】
VSC制御部21は、所定の作動条件(第1の作動条件)を満たす場合には車両6の各輪の制動力を独立に制御するブレーキアクチュエータ5に対して制御信号を出力し、車両挙動を制御して走行安定性の確保に寄与する機能を有している。このVSC制御部21は、具体的には、所定の作動条件として、例えば、オーバースピードでコーナーに侵入した場合や急激なハンドル操作を伴う緊急旋回時等によって、車両挙動が乱れ、強い後輪横滑り又は前輪横滑りが発生しているかを判定するための閾値を所定の条件として用いて処理を行う。より具体的には、VSC制御部21は、加速度センサ37及びヨーレートセンサ38から入力した値から算出したスリップ角及びスリップ角速度が閾値以上の場合には後輪横滑り傾向が大きいと判定し、他方、ヨーレートセンサ38から入力した値から算出したヨーレートが、ドライバーの操舵から算出した目標ヨーレート(閾値)と比べて小さい場合には、前輪横滑り傾向が大きいと判定する機能を有している。
【0028】
また、VSC制御部21は、前輪横滑り傾向の程度に応じて、アクセル開度検出センサ32によって得られたエンジン出力状態を考慮しながらエンジン(不図示)へ出力を落とす命令を出力すると共に、ブレーキ操作状態検出センサ34及びパーキングブレーキ作動検出センサ35によって得られたブレーキ状態と、車輪速センサ36から得られた各車輪の状態を考慮しながら、コーナーの外側の前輪にブレーキをかける制御信号をブレーキアクチュエータ5に出力する機能を有している。他方、強い後輪横滑り傾向と判定した場合には、強い後輪横滑り傾向の程度に応じて、ブレーキ操作状態検出センサ34及びパーキングブレーキ作動検出センサ35によって得られたブレーキ状態と車輪速センサ36から得られた各車輪速を考慮しながら、後輪の内輪にブレーキをかける制御信号をブレーキアクチュエータ5に出力する機能を有している。なお、VSC制御部21は、ECU2と接続された作動スイッチ30がONされることによって制御を開始する機能を有している。
【0029】
VSC作動可能判定部22は、VSC制御部21が作動できる状態にあるか否かを、例えば、センサ3の入力値やブレーキアクチュエータ5の温度等に基づいて判定する機能を有している。このブレーキアクチュエータ5の温度は、例えばECU2が有する温度推定機能を用いて検知する。この機能は、ECU2が出力したブレーキ制御信号の内容に基づいて、ブレーキアクチュエータ5の作動時間を推定し、推定したブレーキアクチュエータ5の作動時間から温度を予測するものである。また、VSC作動可能判定部22は、判定結果をVSC警告灯(報知手段)4へ出力する機能、すなわち、異常が発生したと判定した場合には、運転者が目視できる位置に配置されたVSC警告灯(報知手段)4を点灯させるという第1の態様をさせる機能を有している。
【0030】
小回り制御部23は、所定の作動条件(第2の作動条件)を満たす場合には、VSC制御部21と同一のブレーキアクチュエータ5に対して制御信号を出力し、特定の車輪に制動力を付与し、車両6の機械的特性で決まる最小回転半径よりもさらに回転半径を小さくする小回り制御機能を有している。所定の作動条件とは、例えば、車輪速センサ36から入力した車輪速が所定値以下であって、舵角センサから入力した操舵角が所定値以上であるという条件である。小回り制御部23は、車輪速が所定値以下であって、操舵角が所定値以上であるという作動条件を満足する場合には、小回り制御を実行すると判定する。他方、車輪速が所定値以下であって、操舵角が所定値以上では無い場合には、小回り制御を実行しないと判定する。
【0031】
小回り制御部23は、車両6を旋回させる際に、ギア位置検出センサ33から入力したシフトギアの位置及び舵角センサ31から入力したハンドル舵角に基づいて車両進行方向に対して前後となる車輪および旋回方向に対して内輪となる車輪を決定し、ハンドル舵角の舵角量に応じて、ブレーキ操作状態検出センサ34及びパーキングブレーキ作動検出センサ35によって得られたブレーキ状態と、車輪速センサ36から得られた各車輪速とを考慮しながら、決定した旋回方向内輪に対してブレーキをかける制御信号をブレーキアクチュエータ5に出力する機能を有している。
【0032】
小回り制御作動可能判定部24は、小回り制御部23が作動できる状態にあるか否かを、例えば、センサ3の入力値やブレーキアクチュエータ5の温度等に基づいて判定する機能を有している。このブレーキアクチュエータ5の温度は、例えばVSC作動可能判定部22と同様に、ECU2が有する温度推定機能で推定する。そして、この小回り制御作動可能判定部24は、小回り制御部23が作動できる状態にないと判定した場合、その判定結果を小回り制御インジケータ(報知手段)10へ出力する機能を有している。なお、ECU2は、小回り制御を行える状態にないと小回り制御作動可能判定部24が判定すると、小回り制御部23の作動を禁止する機能を有している。
【0033】
小回り制御作動状態判定部25は、小回り制御部23が作動中であるか否かを、例えば、小回り制御部23がブレーキアクチュエータ5に対して制御信号を出力しているか否かに基づいて判定する機能を有している。そして、この小回り制御作動状態判定部25は、小回り制御部23が作動中であると判定した場合、その判定結果を小回り制御インジケータ10へ出力する機能を有している。
【0034】
小回り制御インジケータ10は、VSC警告灯4とは別に設けられ、小回り制御作動可能判定部24が出力した判定結果を運転者に報知する機能を有している。具体的には、小回り制御インジケータ10は、小回り制御が作動できる状態にないと判定した判定結果を運転者に報知するために、例えば、非作動表示12を点灯するという第2の態様をする機能を有している。また、小回り制御インジケータ10は、小回り制御動作状態判定部25が出力した判定結果を運転者に報知する機能を有している。具体的には、小回り制御インジケータ10は、小回り制御が作動中であると判定した判定結果を運転者に報知するために、例えば、作動表示11を非作動表示12とは別の色で点灯するという第3の態様をする機能を有している。
【0035】
そして、ECU2のVSC制御部21、VSC作動可能判定部22、小回り制御部23、小回り制御作動可能判定部24、小回り制御作動状態判定部25、VSC警告灯4及び小回り制御インジケータ10により、車両6の走行支援装置として制動力制御装置1が構成されている。
【0036】
次に本実施形態に係る制動力制御装置の作動について説明する。図2は、本実施形態に係る制動力制御装置の動作を示すフロー図である。図2に示す制御処理は、ECU2で実行し、例えばイグニッションオンされてから所定の間隔で繰り返し実行する。
【0037】
まず、図2の制御処理を開始すると、S(ステップ)10の処理において、VSC作動可能判定部22は、センサ3からの入力やブレーキアクチュエータ5の温度に基づいて、VSCに何らかの不具合が発生しているか否か、すなわちVSCが作動可能か否かを判定する。VSC作動可能判定部22は、VSCに不具合が発生していると判定した場合には、S20の警告灯点灯処理へ移行し、S20の処理において、運転者にVSCが作動できない旨を報知するために、VSC警告灯4を点灯させる。VSC警告灯4は、例えば、赤色を点灯して運転者にその旨を報知する。そして、S20の処理が終了すると、図2に示す制御処理を終了する。
【0038】
一方、S10の処理において、VSC作動可能判定部22が、VSCに不具合が発生していないと判定した場合には、S12の小回り制御作動確認処理へ移行し、S12の処理において、小回り制御作動状態判定部25は、小回り制御が作動中であるか否かを判定する。具体的には、小回り制御作動状態判定部25は、小回り制御部23が例えばブレーキアクチュエータ5に対して制御信号を出力しているか否かを判定する。S12の処理において、小回り制御作動状態判定部25が、小回り制御が作動中であると判定した場合には、S18のインジケータ点灯処理へ移行し、S18の処理において、ECU2は、運転者に小回り制御が作動している旨を報知するために、小回り制御インジケータ10の作動表示11を点灯させる。小回り制御インジケータ10の作動表示11は、例えば、緑色を点灯して運転者にその旨を報知する。そして、S18の処理が終了すると、図2に示す制御処理を終了する。
【0039】
一方、S12の処理において、小回り制御作動状態判定部25が、小回り制御が作動中でないと判定した場合には、S14の小回り制御作動可否判定処理へ移行し、S14の処理において、小回り制御作動可能判定部24は、センサ3からの入力やブレーキアクチュエータ5の温度に基づいて、小回り制御が作動できる状態であるか否かを判定する。S14の処理において、小回り制御作動可能判定部24が、小回り制御が作動できる状態であると判定した場合には、図2に示す制御処理を終了する。
【0040】
一方、S14の処理において、小回り制御作動可能判定部24が、小回り制御が作動できる状態にないと判定した場合には、S16のインジケータ点灯処理へ移行し、S16の処理において、小回り制御作動可能判定部24は、運転者に小回り制御が作動できる状態にない旨を報知するために、小回り制御インジケータ10の非作動表示12を点灯させる。小回り制御インジケータ10の非作動表示12は、例えば、赤色を点灯して運転者にその旨を報知する。そして、S18の処理が終了すると、図2に示す制御処理を終了する。
【0041】
このように、本実施形態に係る制動力制御装置1によれば、車両6の挙動を制御するVSC制御部21の作動可否をVSC作動可能判定部22によって判定し、VSC制御部21が作動できる状態にないという判定結果を、VSC警告灯により運転者に対し報知することができる。また、VSC制御部21と同様のブレーキアクチュエータ5を利用する小回り制御部23の作動可否を操作入力によらずに小回り制御作動可能判定部24によって判定し、小回り制御部23が作動できる状態にないという判定結果を、小回り制御インジケータ10より運転者に対し別の態様で報知することができる。これにより、同一のブレーキアクチュエータ5を利用するシステムが複数ある場合に、それらのシステムの中で作動できないシステムを運転者に適切に報知することができる。
【0042】
また、本実施形態に係る制動力制御装置1によれば、小回り制御インジケータ10の色を変えて、小回り制御部23が作動できないこと、小回り制御部23が作動中であることを運転者に簡単に報知することができる。
【0043】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記実施形態においては、ブレーキアクチュエータ5のブレーキとしてディスクブレーキを用いた場合を説明したが、例えば油圧ブレーキを用いた場合にも同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本実施形態に係る制動力制御装置を搭載した車両の構成図である。
【図2】図1中の制動力制御装置の動作を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0045】
1…制動力制御装置、2…ECU、4…VSC警告灯(報知手段)、10…小回り制御インジケータ(報知手段)、21…VSC制御部(第1の車両挙動制御手段)、22…VSC作動可能判定部(第1の判定手段)、23…小回り制御部(第2の車両挙動制御手段)、24…小回り制御作動可能判定部(第2の判定部)、25…小回り制御作動状態判定部(第3の判定手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の作動条件を満たす場合には車両の各輪の制動力を独立に制御するブレーキ制御機構を用いて車両挙動を制御する第1の車両挙動制御手段と、
前記第1の車両挙動制御手段が作動できる状態にあるか否かを判定する第1の判定手段と、
第2の作動条件を満たす場合には前記ブレーキ制御機構を用いて、前記第1の車両挙動制御手段によって制御される車両挙動とは別の車両挙動を制御する第2の車両挙動制御手段と、
前記第2の車両挙動制御手段が作動できる状態にあるか否かを操作入力によらずに判定する第2の判定手段と、
前記第1の判定手段によって前記第1の車両挙動制御手段が作動できる状態にないと判定した判定結果を第1の態様で報知し、前記第2の判定手段によって前記第2の車両挙動制御手段が作動できる状態にないと判定した判定結果を前記第1の態様とは異なる第2の態様で報知する報知手段と、
を備える制動力制御装置。
【請求項2】
前記第1の態様を報知する報知手段は、前記第1の車両挙動制御手段が作動できる状態にないことを報知する警告灯であり、
前記第2の態様を報知する報知手段は、前記第2の車両挙動制御手段が作動できる状態にないことを報知する作動インジケータであること、
を特徴とする請求項1に記載の制動力制御装置。
【請求項3】
前記第2の車両挙動制御手段が作動中であるか否かを判定する第3の判定手段を備え、
前記第2の態様を報知する報知手段は、前記第3の判定手段によって前記第2の車両挙動制御手段が作動中であると判定した判定結果を前記第2の態様とは異なる第3の態様で報知すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の制動力制御装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−154602(P2009−154602A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332672(P2007−332672)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】