説明

制御されたカーテン状こぼれ部による成形及び調理方法及び装置

【課題】ポテトチップ及びタコスの皮等の単純な形状及び複雑な形状の両方を、比較的簡単に調理及び成形する方法及び装置を提供する。
【解決手段】本発明による方法は、包囲式モールドも、調理油中への浸漬も用いない。本発明による方法は、成形及び調理すべき平べったい食品(18)を供給し、成形表面付きのモールド(20)を備え且つ処理経路に沿って作動可能なコンベヤ(21)を含む調理装置(13)を用意し、下向きに流れるカーテン状の調理油を成形表面上に注ぐ装置(31)をコンベヤ(21)の上に設け、食品(18)を載せステーション(23)で成形表面上に移動させ、食品(18)が処理経路に沿って移動するとき、カーテン状の高温調理油により食品(18)を調理し且つ成形表面の形状に一致させ、調理及び成形された食品(18)を下ろしステーションに移動させ、成形表面(19)から離脱させ、次のステーションに移動させる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
加工スナック食品、例えばポテトチップ、ポテトクリスプ、タコス、トスターダ等は、普通、相互に噛み合う雄型と雌型の対をなすモールド(型)の間に捕捉されながら成形され且つ揚げられる。未調理の食品を捕捉したモールドは、高温の調理油中に浸漬される。このように、食品は、熱処理、即ち、調理されながら強制的にモールドの形状になる。この一般的なやり方で動作する装置は、ヒート・アンド・コントロール・インコーポレイテッドが所有する次の米国特許第6,467,401号、同第4,554,865号及び同第4,510,165号に開示されている。或る特定の機械的特性がこれらの装置について注目でき、かかる機械的特性は、モールドの高い費用、動作中のモールドが正確に且つ確実に噛み合うようにする複雑さ、モールドに対する食品の投入の正確なタイミングの必要性、高い維持費、及び装置における食品処理量と油量との比較的小さい比を含む。
【0002】
別の先行技術の装置では、「自由成形」加工ポテトチップ又はクリスプが、平らなワイヤメッシュコンベヤベルトと列状に配置された上向き凹状の単一湾曲金型との間に保持された状態で調理される。かくして、チップは、平らなベルトのメッシュを通る調理油の上向きの流れによって及びチップが調理されているときの浮力によって、モールドの形状に合わせて成形される。この先行技術の利点は、閉鎖型モールド設計と比較してフライヤーの設計の複雑さが低減されること、及び、食品処理量と油量の比が比較的小さいことである。この装置に関して認識されている欠点としては、この装置が単純な曲率を持つ比較的浅い食品形状に適しているに過ぎないということである。これは、複合湾曲形状又は深い形状の食品、例えばタコス等には適していない。さらに、調理中にモールドに対するチップの配向状態が損なわれ又は位置合わせ不良になると、形の悪いチップが生じ、その結果、チップが不合格になる。調理プロセスにおける首尾一貫したチップの配向状態は、引続き行われる包装のためにチップを集合させることを可能にする上で特に重要である。二重チップ、部分的に未調理で形の悪い「折り目」又は「ロングホーン」チップは、所望の高品質チップ製品では回避されるべきである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この先行技術の方法に関する別の観察結果によれば、排出時、調理されたチップは常にモールドにくっ付くように見え、重力の作用で離れにくく、もし検出されなければ、調理装置を再度通過し、かくして、受入れられない食品を生じさせる。別の観察結果によれば、調理装置からの排出時、湾曲したチップが上向き姿勢で配向し、残った調理油が上面に沿って存在する。所望の油含有量を有するチップを製造するために、空気又は蒸気の吹き飛ばしによる残った油の除去がしばしば必要であった。
【0004】
調理装置から取出しコンベヤ上への排出に続いて、包装のために、上向きに湾曲したチップは、「こけら板(shingle)」状になり又は重なり合うことができるように「フロップオーバー」工程が必要とされていた。形の悪いチップを抜き取るために、また、味付け及び包装するのに調理済みチップが所望の配向状態に確実に維持されるために、8人又は10人という多い人数の品質管理要員が、大容量調理装置の排出端部のところに配置されたことが分かった。
【0005】
多種多様な食品を、それが高温油の1又は2以上の連続流カーテンの下を通過するときに調理するための別の「自由成形」装置が、発明者アンドリュー・エー・カリディス等の米国特許第6,067,899号及び同第6,558,724号に開示されている。食品は、現場において、油流カーテンの下に延びるコンベヤベルトの上に搬送され、かくして、調理される。この装置は、食品処理量に対する油量の比が比較的好ましく、上述した装置よりも機械的にずっと複雑でない。かくして、本発明の重要な目的は、ポテトチップ、ポテトクリスプ及びコーンを主成分とする食品、例えばタコスの皮及びトスターダの皮等の単純な形状の食品と複雑な形状の食品の両方を調理及び成形する方法に、流れる油のカーテン技術を適用することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
概要を記載すると、本発明は、雄型及び雌型のモールド対が存在していない状態で食品を成形すると同時に、調理油浴が存在していない状態で流動調理油を用いて食品を調理する方法に関し、この方法は、未調理食品の平べったい別々の小片を供給して、処理経路に沿って運搬送する工程と、相互に連結された組をなす成形表面を備えたコンベヤを処理経路内に用意する工程と、コンベヤが処理経路に沿って移動する間に食品の小片を成形表面上に移動させる工程と、調理油をコンベヤの上方から供給して、カーテンの状態で下方へ流し、調理油により、成形表面上に載せられた食品を包囲し、流れる油の重さ及び運動エネルギにより、食品を所望の形状に成形すると共に、調理油のエンタルピーにより、食品を調理する工程と、成形された食品を成形表面から取り外して、次の処理分に移送する工程とを有する。
【0007】
本発明は又、制御しながらオーバーフローさせてこぼしたカーテン状の調理油を食品上に注ぎかけることを用いて、食品を効率的に形成すると共に食品を調理する装置に関し、この装置は、成形表面を有する相互に連結された組をなすモールド本体を備えた無端コンベヤを有し、モールド本体は、食品載せステーションと食品下ろしステーションとの間の処理経路に沿って移動可能であり、更に、食品の平べったく成形された別々の小片を成形表面の上に付着させる食品載せ手段と、コンベヤの上方に配置され、且つ、堰を有する調理油リザーバを有し、堰は、モールドを加熱し、食品を成形し、成形表面上に位置する食品を調理するために、調理油リザーバ内の調理油を連続したカーテンの状態で堰を越えるように流し、更に、調理油を捕捉するためのパンを有し、パンは、調理油リザーバに調理油を再供給するのに役立つ油再循環及び再加熱装置に結合されたドレーンを有し、更に、調理及び成形された食品を食品下ろしステーションのところでモールドから取り外す手段とを有する。
【0008】
本発明の重要な目的は、多様な食品を、調理油の中に浸漬させないで又はモールド内に取り込まないで、食品の成形及び調理を同時に行なう高効率装置を提供することにある。
本発明の別の目的は、形状が単純な又は複雑な食品、例えばタコスの皮、トスターダの皮等を連続工程で成形及び調理する方法を提供することにある。
さらに別の目的は、食品を成形すると共にカスケード(瀑落流)又はカーテン状の調理油で調理することができ、且つ、調理油の量と食品の処理量の比を向上させる改良型置を提供することにある。
本発明の別の目的及び利点は、以下の詳細な説明と関連して例示の図面を考慮すると明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図面を参照すると、図1には、本発明の方法を実施可能にする略図が示されており、この略図は、生地混合ステージ11と、シート化及び切断ステージ12と、成形及び調理ステージ13と、食品脱油ステージ14と、包装又はその他の最終処理ステージ16とを含んでいる。
【0010】
生地混合ステージ11は、本発明の方法が、ポテトチップ又はクリプス及びとうもろこし生地から作られたメキシコ風スナック食品、例えば、タコスの皮、トスターダ及びその類似品等の「加工スナック食品」に最もうまく利用されることが判明したという点において意味深い。その目的のため、当該技術分野において周知の配合を上手に採用し且つ経験に基づいて調整して、じゃがいも(ポテト)生地、とうもろこし(コーン)生地、又は、場合によっては、小麦ベースの生地を製造するのがよい。生地が、次のシート化及び切断工程にとって望ましいコンシステンシー(粘稠度)に達したら、これをコンベヤ(図示せず)によってシート化及び切断ステージ12に送り、出発原料のシート化及び切断を行なう。他方、本発明の方法及び関連装置は、比較的薄い出発原料、例えばスライスされたポテト、プランテーン及びリンゴを成形して調理するようにも構成されている。この場合、スライスステージが、生地混合ステージ11の代わりに設けられる。
【0011】
シート化及び切断ステージ12は、公知の機器を採用するのがよく、かかる機器は、例えば、カリフォルニア州ヘイワード所在のヒート・アンド・コントロール・インコーポレイテッドに譲渡されたアンドリュー・エー・カリディス等の米国特許第5,626,898号及び同第5,580,583号に開示されたシーター、又は、3以上のロールを備えた従来型ベーカリーシートロール機である。ここでは、生地を対向する回転ピンチローラ間のニップで成形し又は圧縮してシート化し、食品用途に応じて約0.025インチ〜約0.075インチ(0.635mm〜約1.905mm)又はそれ以上の所望の厚さにする。上述の米国特許に開示されているように、シート化された材料をシーターで所望の形状に切断し、典型的には、次にコンベヤベルト17(図2)上に整列した形態で排出するのがよい。シート化された食品を、好ましくは、約2インチ〜約7.5インチ(約5.08cm〜約19.05cm)の範囲の直径のほぼ円形に切断する。変形例として、適当な調整をシータ−カッタ12に施すことによって、他の形状、例えば直線(ダイヤモンド形、正方形、多角形等)、楕円形又は細長い形状を本発明の方法に採用してもよい。成形及び調理される食品の所望の最終形状は、シート化及び切断ステージ12から出て、コンベヤベルト17によって成形及び調理ステージ13(図2)に送られる平べったい予備調理された食品の選択により決定される。シーター12からの食品の送出しに関してコンベヤベルト17の速度を適当に調節することによって、平べったいシート化され且つ切断された食品18は、個々の切断片がオーバラップが無い状態で横方向と長手方向の両方において等間隔をおいた列の状態でコンベヤベルト17上に配列される。これは、切断片18が、図3に明確に示す成形表面19の最も高い箇所を通る長手方向想像平面に対して対称に成形表面19の上に係合してこれに載ることを確実にする。
【0012】
特に図2〜図4及び及び図15に示す成形及び調理ステージ13を参照すると、成形表面19は、無端コンベヤ21に取り付けられた凸状モールド本体20の外面であり、無端コンベヤ21は、食品入力即ち載せステーション23と食品排出又は下ろしステーション24(図4)との間で図2の矢印22の方向に移動するように動力が供給されている。図2及び図4には、無端コンベヤ21のために従来通り横方向に間隔をおいた関係をなして設けられたスプロケット26を破線で示す。スプロケット26には無端チェーン27が掛けられ、図3及び図5に示すように、横方向に延びるクロスロッド28がこれら無端チェーン27によって支持されている。凸状モールド本体20は、図3に示すように、無端チェーン27に連結されたクロスロッド28に取り付けられると共に、チェーンによって支持されたクロスロッド28が図4に明確に示す下ろしステーション24のところでスプロケット26を通過するときに、個々に回動し又は回転するように並列関係をなして取り付けられている。かくして、モールド本体20は、コンベヤの上走行部の水平部分における長手方向に整列した配列から、食品排出又は下ろしステーション24のところにおけるセグメント状形態、開いた形態又は扇形形態に変化する。無端コンベヤ上でのモールド本体のこの関節運動により、調理及び成形された食品の容易な取出しが可能になり、これについては以下に詳細に説明する。
【0013】
クロスロッド28に横方向に取り付けられたモールド本体20の個数は、装置の全体設計の関数であり、例えば図13及び図15に示すように、1又は2という小さい数から22以上という大きい数まで様々であってよい。各モールド本体20は、調理及び成形作業中、食品18を運搬する成形表面19を構成することを理解すべきである。成形表面19は、図3、図7及び図8に示すように、例えば成形ポテトチップを製造する用途向けに、単一の曲率に合わせて形状決めされてもよい。成形表面19は又、図13及び図14に示すように、二重曲率の又はサドル形のモールド本体20′を用いて凹状に形状決めされてもよい。これは、或る特定のブランドの加工ポテトチップにとってはよくあるように、サドル形食品を製造する適用例に役立つ。次に図15を考慮すると、トルティージャからタコスの皮を作るための本発明の適用例では、モールド本体20は、湾曲した頂点を持つ凸状V字形に形状決めされている。凸状モールド本体と凹状モールド本体は両方とも、図3及び図4に示すような表面が滑らかな、粗い又は凹凸のある金属又はプラスチックシート材料で形成されてもよいし、図13〜図15に示すような孔あきの金属又はプラスチックシート材料で形成されてもよいし、表面が凸状のエンボス付きの金属又はプラスチック材料で形成されてもよい。金属又はプラスチック製のモールド本体が「内側から外側に向かって」孔あけされているとき、外側の成形表面19は、成形及び調理中にモールドに対する食品の位置を維持するのを助ける「歯」を有する。
【0014】
高温調理油をコンベヤベルト上に支持された食品上に送出する装置が、「制御されたこぼれ式カーテンの中を通過させながらコーティングすることによる調理法」と題する本発明者の米国特許第6,558,724号及び同第6,061,899号に開示されている。本発明は、これらの米国特許に開示された特定の原理の新たな用途を展開させるものである。更に詳細には、図2及び図3を参照すると、調理油を加熱して、制御して、送出する装置31が設けられ、この装置31は油溜め33を備えたフライヤーパン32を有し、油溜め33は、導管34によって循環ポンプ36に連結され、循環ポンプ36は、導管37を介して熱交換器38に油を供給する。この装置31内には、選択された調理油の温度、装置31内の油の送出量、並びに、仕上げ調理油の供給を必要なときに設定して維持する適当な制御装置(図示していないが、当該技術分野においては周知である)が設けられ、その結果、油の量、温度及び油の送出速度は、装置31の動作目的に合わせてすべて選択可能である。
【0015】
食品の種類又は形態及び調理時間に応じて、約290°F〜約390°F(143℃〜199℃)の温度の調理油で調理することが好ましい。また、本発明者は、食品18をモールド本体20上に載せる前にモールド本体20をほぼ油の作業温度に予熱することが望ましいことを発見した。この工程により、食品のくっ付きが減少すると共に、モールド本体からの調理及び成形された食品18′の取出しが容易になる。
【0016】
図2に、コンベヤ21の上走行部の上方に設けられた2つの例示の油リザーバ39,41を示す。各リザーバは、マニホルド42を備え、両方のリザーバには、調理油が熱交換器38から導管43を通って制御可能な流量で供給される。リザーバ39,41は各々、堰又はリップ44を有するよう構成されており、油はかかる堰又はリップ44を越えて滑らかな下方に流れるカーテンの状態でモールド本体20上にこぼれる。リザーバ39,41内に生じる乱流を最小に抑える目的で、マニホルド42は、堰44よりも下でリザーバ内の公称の油高さ位置よりも低いところで調理油を放出できるように構成されている。この目的で、マニホルドの底壁には適当な油放出孔(図示せず)が設けられている。この形態のリザーバ及び堰があり、装置31内の油の流れの制御があれば、調理油は、図3に示すように、矢印47で示すように滑らかなカーテン46の状態で食品18上に下方に流れる。
【0017】
油は、堰又はリップから食品まで約0.5インチ〜約4インチ(12.7mm〜約101.6mm)の距離にわたって自由落下することが好ましい。さらに、食品が最初に成形表面上に載せられてから下ろしステーション24のところで排出されるまでの時間である調理時間は、約15秒〜約90秒である。或る特定の適用例では、図2に示す2つの例示のリザーバ30,41よりも多い数個のリザーバを設けることが望ましい。
【0018】
図4及び図5を参照すると、食品下ろしステーション24のところ又はその近くには、円滑な食品の解放及びモールド20からの取出しを助ける真空補助手段51が設けられている。真空補助手段51は、エンクロージャ52を有し、エンクロージャ52は、列状のモールド本体20を覆うように且つその中を横切るように配置されている。エンクロージャの底部53は、アレイ状に配列された開口部を備え、エンクロージャ52は、空気吸引部又は真空ライン54に結合されていて、図5の矢印56で示す空気の移動により、食品を上方に持ち上げて食品をモールドから解放することを可能にする。
【0019】
変形例として、成形及び調理された食品18′がモールド本体20の成形表面19から取り外される下ろしステーション24は、図6〜図12に示すように、取出しコンベヤ62上への調理済み食品18′の移送を確実に行なう手段61を備えている。成形及び調理された食品18′は、モールド本体20がコンベヤ21の排出端側スプロケット26を通過するとき、重力によって成形表面19から受動的に容易に脱落するけれども、食品がモールド本体にくっ付くことを防止すると共に、食品がコンベヤ62上に排出し損なうことを防止するための積極的な取外し手段が設けられるのがよい。1つの実施形態では、図7及び図8に示すように、モールド本体20は、その長手方向中心線に沿って分けられ、モールド半部を構成している。コンベヤがモールドをコンベヤスプロケット26上で搬送する間、割りモールド部分は、図7に示す閉鎖状態から図8に示す開放又は拡張状態に変化し、それにより、図6に示すように、食品18′をモールド本体から脱落させる。図6に示すように、成形された食品を受入れてこれを取出しコンベヤ62の上に且つ下方に案内する傾斜凸状案内シュート又は案内ロッド63が設けられている。図8に示すように、凸状の割りモールド本体のベースの中央に配置されたカム部材又は案内レール64は、モールド本体半部を食品の取外しのために開放状態に変化させるのに役立つ。
【0020】
次に図16〜図18を参照すると、割りモールド20の中間部分は、固定式フィンガ状要素65が挿入されるように構成されており、このフィンガ状要素65は、モールドが排出ステーションのスプロケットの周りに搬送されるとき、食品18′をモールド表面19から確実に脱落させるように働く。
【0021】
次に図9を参照すると、モールドからの食品の取出しを助ける手段61の別の実施形態において、端部ガイド67を備えた曲線状案内パネル66が、モールド本体20の外方に且つコンベヤスプロケット26上のモールド本体の1時〜5時の走行部分のところに位置決めされている。作用を説明すると、成形食品18′は、重力の作用でモールド本体20から落下し、案内パネル66に沿って或る距離だけ滑り、整列状態を維持するように端部ガイド67によって捕らえられ且つ制御された後、コンベヤ62上に短い距離にわたって落下する。この構成により、食品が粉々に崩れたり、亀裂を生じたり、砕けたり、非整列状態になるのを最小に抑える仕方で、コンベヤ21からコンベヤ62への成形食品18′の円滑な移送が促進される。次に、コンベヤ62上の調理及び成形された食品18′を包装ステージ16又はその他の処理部に移動させる。
【0022】
次に図10を参照すると、排出手段61の更に別の実施形態が設けられ、排出手段61は、表面が滑らかで軟らかいベルト68を備えた無端コンベヤ67を有している。このコンベヤ67は、スプロケットの円弧の約120°の角度に及ぶ距離にわたって、モールド本体20上の成形食品18′に外方から係合してこれを包むような仕方で食品下ろしステーション24のところに設けられており、かくして、食品が重力の作用で分離してコンベヤ62上に短い距離にわたって落下するまで、食品を成形表面上に維持する。次に、調理及び成形された食品を包装又はその他の最終処理ステージ16に向かって移動させる。
【0023】
次に図11及び図12を参照すると、排出手段の更に別の実施形態を示し、これは、滑り箱68を有する。図12に示すように、可撓性ワイパ69が滑り箱68の下側部分に設けられ、図11に示すように、成形食品18′がモールド表面20から脱落しやすいように位置決めされている。次に、食品はコンベヤ62上に下方に滑り、包装ステージ16又はその他の最終処理工程に搬送される。
【0024】
調理及び成形後の或る特定の食品について、表面の調理油の除去を行なうことが望ましい。これは、空気又は窒素、場合によっては蒸気による吹き飛ばしを食品に適用することによって達成できる。この工程を達成する装置は、当該技術分野においてよく知られており、ここでは説明しない。
【0025】
発明の原理を当業者に教示するために、本発明の好ましい実施形態を上述し且つ幾つかの図に示したけれども、本発明の真の範囲は、特許請求の範囲の記載にのみ基づいて定められる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】生地混合から始まって包装作業に至るまでの複雑な形状の加工スナック食品を作製する際の一連の作業を示す全体的な流れ図である。
【図2】本発明の方法及び原理を実施するように構成されたフライヤーの食品入力端部の概略立面図である。
【図3】モールドによって支持された食品上への高温調理油の上からのこぼれ状態を示す、図2の線3−3における部分横断面図である。
【図4】真空移送コンベヤによる調理及び成形された食品の排出の仕方を示す、コンベヤの食品排出端部の長手方向部分図である。
【図5】図4の線5−5における横断面図である。
【図6】調理及び成形された食品の排出の仕方を示す、本発明に含まれる別の形態のコンベヤの別の長手方向部分図である。
【図7】閉鎖状態にある二つ割りモールドを示す、図6の線7−7における横断面図である。
【図8】成形及び調理された食品をモールドから解放するために開放状態にある二つ割りモールドを示す、図6の線8−8における図7と同様の横断面図である。
【図9】食品を次の処理のためにコンベヤベルト上に排出する別の構成を示す、図6と同様の横断面図である。
【図10】調理及び成形された食品をモールドから解放して排出する更に別の構成を示す、図6と同様の横断面図である。
【図11】成形された食品をモールドに対して取り扱うための更に別の構成を示す、図6と同様の横断面図である。
【図12】図11の線12−12における横断面図である。
【図13】曲線形状の食品を支持した一群の二重曲率又はサドル形状のモールドの斜視図である。
【図14】図13のモールドの立面図である。
【図15】モールドのうちの4つに取り付けた状態で示すトルティージャからタコス等を成形して調理するのに有用な一群の逆V字形のモールドの斜視図である。
【図16】調理済み食品をモールドから取出すのに使用できる中間フィンガ要素を備えた二つ割りモールドの別の形態を示す、図6と同様の横断面図である。
【図17】調理済み食品をモールドから取出すのに使用できる中間フィンガ要素を備えた二つ割りモールドの別の形態を示す、図7と同様の横断面図である。
【図18】調理済み食品をモールドから取出すのに使用できる中間フィンガ要素を備えた二つ割りモールドの別の形態を示す、図8と同様の横断面図である。
【符号の説明】
【0027】
17 コンベヤベルト
18 平べったい食品
19 成形表面
20 モールド本体
21 無端コンベヤ
23 載せステーション
24 下ろしステーション
31 装置
44 堰

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包囲式モールド又は調理油中への浸漬を用いないで食品を調理及び成形する方法であって、
成形及び調理すべき平べったい別個の食品を供給する工程と、
相互に連結された1組の成形表面を備え且つ処理経路に沿って作動可能であるコンベヤを含む調理装置を用意する工程と、
下向きに流れるカーテン状の調理油を前記成形表面上に注ぎかけるための少なくとも1つの装置を前記コンベヤの上方に設ける工程と、
前記別個の食品を食品載せステーションのところで前記成形表面上に移動させる工程と、
食品が前記処理経路に沿って移動するとき、カーテン状の高温調理油を、その量及び熱により食品を調理し且つ成形表面の形状に一致させるまでの十分な期間、食品の上に流しかける工程と、
調理及び成形された食品を前記処理経路に沿って食品下ろしステーションに移動させる工程と、
調理及び成形された食品を成形表面から離脱させる工程と、
調理及び成形された食品を処理経路に沿って次のステーションに移動させる工程と、を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
更に、調理及び成形された食品の表面を脱油する工程を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
食品は単一の曲率半径の食品に形状決めされる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
食品は複合した曲率の食品に形状決めされる請求項1に記載の方法。
【請求項5】
更に、食品を食品下ろしステーションのところで成形表面から機械的手段によって取出す工程を有する請求項1に記載の方法。
【請求項6】
食品は、成形表面に最初に供給されたとき、実質的に平らで曲線によって囲まれた形状である請求項1に記載の方法。
【請求項7】
食品は、成形表面に供給されたときの厚さが約0.025インチ〜約0.095インチ(約0.635mm〜約2.413mm)である請求項6に記載の方法。
【請求項8】
食品は、成形表面に供給されたときの直径方向寸法が、2インチ〜約7.5インチ(5.08cm〜約19.05cm)である請求項6に記載の方法。
【請求項9】
薄い別個の食品を供給する工程は、ポテト又はコーン成分を有するシート化された生地から切断されることにより行われ、調理された食品は、ポテトチップ及びポテトクリスプである請求項6に記載の方法。
【請求項10】
薄い別個の食品を供給する工程は、コーンベースのシート化された生地から切断され、調理された食品は、タコスの皮であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項11】
食品は、約290°F〜約390°F(約143℃〜約199℃)の温度に維持され且つ流下する調理油と接触することによって調理及び成形される請求項1に記載の方法。
【請求項12】
食品は、約15秒〜約90秒にわたって調理及び成形される請求項1に記載の方法。
【請求項13】
調理油は、約0.50インチ〜約4インチ(約1.27cm〜約10.16cm)の距離にわたって成形表面に向かう自由落下流である請求項1に記載の方法。
【請求項14】
包囲式モールド又は調理油中への浸漬を用いないで食品を調理及び成形する装置であって、
食品載せステーションと食品下ろしステーションとの間でほぼ水平に延び、且つ、前記食品下ろしステーションに向かって延びる少なくとも1つの列をなした成形表面を有するモールド本体を備えた無端コンベヤと、
前記モールド本体を前記食品載せステーションから前記食品下ろしステーションまで連続的に移動させるために前記コンベヤを駆動するための動力手段と、
成形及び調理すべき平べったい個々の小片の状態の一連の食品を成形表面上に供給する手段と、
少なくとも1つの調理油分配ステーションを含む手段と、を有し、この調理油分配ステーションは、前記モールド本体の上方に設けられ、且つ、少なくとも1つの堰を有し、この堰は、コンベヤが食品を前記食品載せステーションから前記食品下ろしステーションに搬送しているときに成形表面上の食品を成形及び調理するために、高温調理油が前記堰から下方に自由落下状態で流すことを可能にするのに役立ち、
更に、前記調理油分配ステーションから注ぎかけられた調理油を再循環可能に捕捉するために前記コンベヤの下方に配置されたパンと、
調理及び成形された食品を次の処理のために前記食品下ろしステーションのところでモールド本体から取出す手段と、を有することを特徴とする装置。
【請求項15】
前記モールド本体は、調理すべき食品を調理しながら受入れるための上向きで凸状の成形表面を有し、調理すべき食品を成形表面の形状に一致させる請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記モールド本体は、成形表面を有し、成形表面は、コンベヤ移動経路に対して横方向に位置する単一な平面内の曲率を有する請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記モールド本体は、成形表面を有し、少なくとも2つの平面内の曲率を有する請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記モールド本体は、サドル形状の成形表面を有する請求項17に記載の装置。
【請求項19】
食品をモールド本体から取出す前記手段は、真空移送手段を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項20】
食品をモールド本体から取出す前記手段は、モールド本体を前記食品下ろしステーションのところで包むのに役立つベルト案内手段を含む、請求項14に記載の装置。
【請求項21】
食品をモールド本体から取出す前記手段は、
食品を成形及び調理する閉鎖状態と成形及び調理された食品を取出すための開放状態との間で作動可能な割りモールド本体と、
割りモールド本体を閉鎖状態に維持するのに役立つ手段と、
前記食品下ろしステーションのところに設けられ、且つ、前記モールドを食品取出しのための開放状態に変化させるのに役立つ手段と、を有する請求項14に記載の装置。
【請求項22】
食品をモールド本体から取出す前記手段は、成形された食品を裏返しにする手段と、モールド本体から間隔をおいて位置し且つ前記モールドからの食品の脱落を制御するのに役立つ案内手段と、を含む請求項14に記載の装置。
【請求項23】
前記案内手段は、前記モールドの近くに位置する連続ベルト手段を含む請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記案内手段は、成形された食品が前記モールドから自由落下することを可能にするように位置決めされ、且つ、食品を支持面上に差し向けるシュートを有する、請求項22に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−109839(P2006−109839A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−299890(P2005−299890)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(505384380)ヒート アンド コントロール インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】