説明

制御されたドーピング元素含有量を有するゼオライト触媒および炭化水素仕込み原料を製造するための改善法

本発明は、低マクロ孔含有量を有する混合ゼオライト/アルミノ−ケイ酸塩担体上のドープ触媒およびこれを用いる水素化分解/水素化転化および水素化処理方法に関する。触媒は、周期律表の第VIB族および第VIII族の元素からなる群において選択される少なくとも1種の水添脱水素元素と、リン、ホウ素およびケイ素の中から選択される制御された量のドーピング元素と、Yゼオライトをベースとし、24.40×10−10〜24.15×10−10の範囲の原子メッシュの結晶パラメータによって規定され、5〜95重量%のシリカ(SiO)を含むシリカ−アルミナの担体とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ−アルミナマトリクスをベースとし、かつ、24.40×10−10〜24.15×10−10mの範囲の単位セルの格子定数aによって規定されるゼオライトYをベースとする担体上のドープ触媒、およびそれらを用いる水素化分解、水素化転化および水素化処理方法に関する。
【0002】
本方法の目的は、本質的に、中間留分、すなわち、少なくとも150℃の初留点および残渣の初留点直下の終留点、例えば、340℃または370℃未満を有する留分の製造である。
【背景技術】
【0003】
水素化分解重質石油留分は非常に重要な精製法であり、十二分に低価値の仕込み原料からより軽質なフラクション、例えば、ガソリン、ジェット燃料、軽油等の需要に応じて製造を適合させるために精製業者が必要とするものを製造し得る。所定の水素化分解方法はまた、オイルのための優れたベースを提供することができるより高度に精製された残渣を生じさせることができる。接触分解と比較して、接触水素化分解の利点は、非常に高い品質の中間留分、ジェット燃料および軽油が提供され得ることである。対照的に、生じさせられたガソリンは、接触分解からのものよりはるかに低いオクタン価を有する。
【0004】
水素化分解は、柔軟性のある方法であるが、それは、3つの主要な要因、すなわち、用いられる操作条件、利用される触媒のタイプおよび炭化水素仕込み原料の水素分解が1または2の工程で行われ得るという事実に帰せられる。
【0005】
水素化分解法において用いられる水素化分解触媒は、全て、酸機能を水素化機能と結び付ける二機能性タイプである。酸機能は、一般的には150〜800m/gの表面積および表面酸性度を有する担体、例えば、ハロゲン化されたアルミナ(塩素化またはフッ素化)、ホウ素およびアルミニウムの酸化物の組合せ、無定型アルミナ−シリカおよびゼオライトによって供給される。水素化機能は、周期律表の第VIII族からの1種以上の金属、または周期律表の第VIB族からの少なくとも1種の金属と少なくとも1種の第VIII族金属の組合せのいずれかによって供給される。
【0006】
2つの機能、酸機能と水素化機能との間のバランスは、触媒の活性および選択性を支配する1つのパラメーターである。弱い酸機能と強い水素化機能は、活性が低い触媒を生じさせ、これは、一般的に高温(390〜400℃またはそれ以上)、低い毎時空間速度(hourly space velocity:HSV,時間当たりかつ触媒の単位容積当たりの処理されるべき仕込み原料の容積として表される,一般的には2以下)で作用するが、中間留分についての非常に高い選択性に寄与する。対照的に、強い酸機能と弱い水素化機能は、活性な触媒を生じさせるが、それらは、中間留分(ジェット燃料および軽油)についてより低い選択性を有する。
【0007】
1つの従来の水素化分解触媒のタイプは、中程度に酸性の無定型担体、例えば、アルミナ−シリカをベースとする。前記系は、良好な品質の中間留分および可能としてベースオイルを生じさせるために用いられる。前記触媒は、例えば、2工程方法において用いられる。
【0008】
これらの触媒の性能は、それらの物理化学的特徴、より特定的には、それらの組織構造的特徴(textural characteristics)に密接に関連付けられる。それ故に、かつ一般的に、アルミナ−シリカ(例えば、特許文献1に記載されるもの)を含む触媒中のマクロ孔の存在は不利である。用語「マクロ孔」は、500Å超の径を有する細孔を意味する。それらの触媒性能を増大させるために触媒の充填密度(packing density)を増加させることも有利である。この観点において、低い総細孔容積を有する触媒を用いることが有利である。同一の細孔容積について、より良好な触媒活性がそれ故に得られる。
【0009】
同様に、前記触媒の性能は、それらの無定型または結晶性の構造と密接に相関する。ゼオライトまたはゼオライトの混合物を部分的に含む触媒は、無定型のシリカ−アルミナのものより高い触媒活性を有するが、軽質生成物についてのより良好な選択性を有する。
【0010】
良好な性能が組織構造的特徴を改善することによって得られ得る一方で、このような触媒の性能は水素化相の性質にも関連付けられる。水素化活性は、それ故に、水素化脱硫(hydrodesulphrization:HDS)反応、水素化脱窒(hydrodenitrogenation:HDN)反応、水素化脱芳香族(hydrodearomatization:HDA)反応においておよび触媒の安定性に役割を果たすだろう。
【特許文献1】米国特許第5370788号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
これらの問題を克服するに当たって、驚くべきことに、本出願人は改善した水素化機能を有する、単独のまたは混合物としての所定のゼオライトの、低減したマクロ孔含有量を有するマトリクスへの取込が、水素化分解法において改善した触媒性能を有する触媒が調製されることを可能にすることを発見した。驚くべくことに、出願人はまたドーピング元素の制御された割合を、このような組織構造的特徴を有する触媒に添加することが、水素化分解/水素化転化および水素化処理に関して予期しない触媒性能をもたらすことを発見した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
より正確には、本発明は、24.40×10−10〜24.15×10−10mの範囲の単位セルの格子定数aによって規定されるゼオライトYおよび低減したマクロ孔含有量を有するアルミノケイ酸塩マトリクスをベースとする担体上の水素化分解ドープ触媒並びにそれを利用する水素化分解/水素化転化および水素化処理法に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(特徴的技術)
以下の記載において、用語「比表面積」は、「The Journal ofthe American Society」,60,309(1938)に記載されたBRUNAUER-EMMETT-TELLER法を用いて確立されるASTM D 3663−78に従う窒素吸着によって測定されるBET比表面積を意味する。
【0014】
以下の記載において、触媒担体の用語「水銀容積」は、最大圧力4000バールにおける、ASTM D4284−83に従う水銀多孔度圧入によって、表面張力484dynes/cmおよび無定型シリカ−アルミナ触媒についての接触角140°を用いて測定される容積を意味する。平均水銀径は、前記径より小さい寸法を有する全部細孔が、36〜1000Åの範囲の間隔にある細孔容積(VHg)の50%を構成する径として定義される。細孔分布を定義するために担体をベースとして用いることが好ましい一つの理由は、金属を含浸した後に水銀接触角が、金属の性質およびタイプに応じて変動することにある。ぬれ角は、Jean CharpinおよびBernard Rasneurによる著書「Techniques de l’ingenieur,traite analyse et caracterisation」,1050〜5頁における提言に従って140°であるとみなされる。
【0015】
より高い精度のために、以降の本明細書において与えられる水銀容積(ml/g)の値は、(サンプルについて測定される総水銀容積(水銀多孔度圧入によって測定される総水銀容積:ml/g))−(30psi(約2バール)に対応する圧力での同一サンプルについて測定される水銀容積の値(ml/g))に対応する。平均水銀径も、この径未満のサイズを有する全細孔が総水銀細孔容積の50%を構成する径として定義される。
【0016】
細孔分布をより良好に特徴付けるために、本発明者らは、最終的に、水銀細孔分布の特徴について以下の基準を定義する:容積V1は、径が(平均径−30Å)未満である細孔に含まれる容積に対応する。容積V2は、(平均径−30Å)以上および(平均径+30Å)未満の径を有する細孔に含まれる容積に対応する。容積V3は、(平均径+30Å)以上の径を有する細孔に含まれる容積に対応する。容積V4は、(平均径−15Å)未満の径を有する細孔に含まれる容積に対応する。容積V5は、(平均径−15Å)以上および(平均径+15Å)未満の径を有する細孔に含まれる容積に対応する。容積V6は、(平均径+15Å)以上の径を有する細孔に含まれる容積に対応する。
【0017】
窒素吸着によって測定される細孔分布は、Barrett-Joyner-Halenda(BJH)モデルによって決定される。BJHモデルを用いる窒素吸着−脱着等温線は、定期刊行物「The Journal of the American Society」,73,373(1951)中に、E P Barrett、L G JoynerおよびP P Halendaによって記載されている。以下の記載において、用語「窒素吸着容積」は、P/P=0.99(窒素が細孔の全部を充填すると仮定される際の圧力)について測定される容積を意味する。平均窒素脱着径は、この径より下の細孔の全部が窒素等温線脱着分枝上で測定される細孔容積(V)の50%を構成するような径として定義される。
【0018】
用語「表面吸着(surface adsorption)」は、吸着等温線分枝上で測定される表面を意味する。A Leclouxによる文献「Memories de la Societe Royale des Sciences de Liege」,第6シリーズ、第1巻,セクション4,169〜209頁(1971)が参照されるべきである。
【0019】
ナトリウム含有量は、原子吸着分光分析によって測定される。
【0020】
X線回折は、本発明の担体および触媒を特徴付けるために用いられ得る技術である。以下の記載において、X線分析は、粉体について、Philips PW 1830回折計を用いて行われた。該回折計は、反射モードで作動し、CoKアルファ放射線(λKα1=1.7890Å、λIKα2=1.793Å、Kα1/Kα2強度比=0.5)を用いるバックモノクロメータ(back monochromator)を備えている。ガンマアルミナのX線回折図についてはICDDデータベースのナンバー10−0425が参照されるべきである。特に、2つの最も強いピークは、1.39〜1.40Åの範囲のdおよび1.97〜2.00Åの範囲のdに対応する位置にある。用語「d」は、角度位置から、ブラッグの関係式(2d(hkl)・sin(θ)=n・λ)を用いて推定される格子面間隔である。本明細書の残りにおいて用いられるような用語「ガンマアルミナ」は、とりわけ、例えば、立方晶ガンマ、疑立方晶(pseudo-cubic)ガンマ、正方晶ガンマ、低結晶性または弱結晶化ガンマ、広表面積ガンマ、狭表面積ガンマ、粗ベーマイトからのガンマ、結晶性ベーマイトからのガンマ、低結晶性または弱結晶化ベーマイトからのガンマ、結晶性ベーマイトおよび無定型ゲルの混合物からのガンマ、無定型ゲルからのガンマ、デルタアルミナに展開するガンマからなる群に含まれるアルミナを意味する。イータ、デルタおよびシータのアルミナの回折ピークについてはB C Lippens、J J Steggerdaによる文献「Physical and Chemical Aspects of Adsorbents and Catalysts」(E G Linsen出版),Academic Press,ロンドン,1970,p171−211が参照されるべきである。
【0021】
本発明の担体および触媒について、X線回折図により、無定型シリカの存在の特徴であるブロードのピークが開示される。
【0022】
さらに、以下の本明細書において、アルミナ化合物は、XRD技術によって検出することが困難である無定型部分を含み得る。したがって、これは、本明細書において用いられるまたは記載されるアルミナ化合物が、無定型部分または弱結晶性を有する部分を含み得ることを意味する。
【0023】
本発明のマトリクスおよび結晶は、4mmのプローブによりBruker MSL 400タイプのスペクトロメータを用いる固体27Al MAS NMRによって分析された。サンプルの回転速度は、11kHz程度であった。アルミニウムのNMRは、下記化学置換を有する3タイプのアルミニウムを潜在的に区別することができる:
100〜40ppm−四配位タイプのアルミニウム,AlIV
40〜20ppm−五配位タイプのアルミニウム,Al;および
20〜−100ppm−六配位タイプのアルミニウム,AlVI
【0024】
アルミニウム原子は、四極子核である。所定の分析条件の下(弱高周波電界:30kHz、低衝撃角度:π/2および水飽和サンプル)、マジックアングルスピニング(MAS)NMR技術が定量的技術である。MAS NMRスペクトルのデコンポジションは、異なる種の定量への直接的な接近を可能にする。スペクトルは、1Mの硝酸アルミニウム溶液に対する化学置換として目盛り付けされる。アルミニウムのシグナルは0ppmにある。本発明者らは、AlIVおよびAlの100〜20ppmのシグナル(領域1に対応)とAlVIの20〜−100ppmのシグナル(領域2に対応)とを積算することを選んだ。以下の記載において、用語「八面体AlVIの比率」は、領域2/(領域1+領域2)の比を意味する。
【0025】
アルミナ−シリカにおけるケイ素の環境は、29Si NMRによって研究された。縮合度に応じた化学置換の表は、G EngelhardtおよびD Michelによる著書「High resolution solid-state NMR of silicates and zeolites」(Wiley),1987から推定された。
【0026】
29Si NMRは、異なる種のケイ素の化学置換、例えば、Q(−105〜−120ppm)、Q(−90〜−102ppm)およびQ(−75〜−93ppm)を示す。−102ppmに化学置換を有するサイトは、タイプQまたはQのサイトであり得る。本発明者らは、これをQ3−4サイトと称している。サイトは、次のように定義される:
サイト:4個のSi(またはAl)に結合させられたSi;
サイト:3個のSi(またはAl)および1個のOHに結合させられたSi;
サイト:2個のSi(またはAl)および2個のOHに結合させられたSi。
【0027】
本発明のアルミナ−シリカは、タイプQ、Q、Q3−4およびQのケイ素からなる。多くの種はタイプQのものであり、大体は10〜80%程度、好ましくは20〜60%、より好ましくは20〜40%がタイプQであろう。QおよびQ3−4種の比率も高く、大体は5〜50%程度、好ましくは10〜40%がその2種である。
【0028】
ケイ素原子の環境は、MAS NMR CP H−>29Si(300MHz,回転速度:4000Hz)によって研究された。この場合、OH結合に結合させられたケイ素のみが応答する。用いられた化学置換の表は、KodakariらのLangmuir 14,4623−4629,1998からのものであった。以下の帰属がなされた:−108ppm(Q)、−99ppm(Q/Q(1Al))、−91ppm(Q/Q(1Al))、−84ppm(Q/Q(2Al))、−78ppm(Q/Q(3Al))および−73ppm(Q/Q(3Al))。
【0029】
本発明のアルミナ−シリカは、複数の塊の重ね合わせの形態である。これらの塊の主要ピークは一般的に−110ppmに位置する。
【0030】
用いられ得る本発明の触媒を特徴付けるための一つの方法は、透過電子顕微鏡法(transmission electron microscopy:TEM)である。この目的のために、電子顕微鏡(Jeol 2010またはPhilips Tecnai20Fタイプ,任意選択走査付)が用いられた。この電子顕微鏡は、X線分析用のエネルギー分散スペクトロメータ(energy dispersion spectrometer:EDS)(例えば、TracorまたはEdax)を備えていた。EDS検出器は、軽い元素の検出を可能にしなければならない。TEMおよびEDSの2つのツールの組み合わせは、良好な空間分解能を伴ってイメージと局所的化学分析を結び付けることができる。
【0031】
このタイプの分析のために、サンプルは、モーター中で微細に粉砕される。粉体は、次いで、樹脂中に含ませられて、約70nmの厚さを有する超微細断片が生じさせられる。このような断片は、支持体として作用する孔空けされた無定型カーボンのフィルムによりコーティングされた銅製格子上に集められる。それらは、次に、高減圧下での観察および分析のために顕微鏡に導入される。イメージにより、サンプルの領域は、樹脂領域とは容易に区別される。次いで、所定数、最小10回、好ましくは15〜30回の分析が工業用サンプルの種々の領域について行われる。領域分析のための電子ビームのサイズ(分析される領域のサイズをほぼ決定する)は、直径が最大で50nm、好ましくは20nm、より好ましくは10、5、2または1nmである。走査モードにおいて、分析される領域は、走査される領域のサイズ次第であり、(概してより小さい)ビームのサイズに依存しない。
【0032】
EDSスペクトロメータを用いて記録されたX線スペクトルの半定量的加工処理は、分析された領域のそれぞれについてのAlおよびSiの相対濃度(原子%)およびSi/Al比を引き出すことができる。次いで、この測定のセットの平均Si/Alおよび標準偏差σが計算され得る。下記記載の制限的ではない例においては、特に断らなければ本発明の担体および触媒を特徴付けるために50nmのプローブが用いられた。
【0033】
水素化分解触媒を調製するために用いられたゼオライトは、複数のパラメータ、例えば、骨格のSiO/Alモル比、格子定数、細孔分布、比表面積、ナトリウムイオン巻き取り(take-up)容量、水蒸気吸着容量等によって特徴付けられる。
【0034】
ピーク比および結晶割合は重要な因子である。ピーク比および結晶割合は、基準ゼオライトと比較したX線回折によって、ASTM D3906−97法「Determination of Relative X ray Diffraction Intensities of Faujasite-Type-Containing Materials」から得られる手順を用いて決定される。手順の適用、特に、サンプルの調製および基準のための一般的な条件についての方法が参照されてよい。
【0035】
回折図(diffractogram)は、サンプルの結晶部分における特徴線と、サンプルの無定型またはミクロ結晶性部分の拡散によって本質的に引き起こされるバックグランドとからなる(小さい拡散シグナルは、装置、空気、サンプルホルダー等に関連付けられる)。ゼオライトのピーク比は、回折図の全体領域(ピーク+バックグランド)に対するゼオライト線(ピーク)の領域の事前に規定された角度領域(Kα銅放射線、1=0.154nmを用いた場合には典型的には8〜40°の2θ)における比である。この比(ピーク/(ピーク+バックグランド))は、物質中の結晶性ゼオライトの量に比例する。Yゼオライトのサンプルの結晶割合を推定するために、サンプルのピーク比は、100%の結晶であると考えられる基準(例えばNaY)のピーク比と比較される。完全に結晶性のNaYゼオライトのピーク比は0.55〜0.60程度である。
【0036】
圧縮充填密度(settled packing density:SPD)は、J F Le Page、J Cosyns、P Courty、E Freund、J-P Franck、Y Jacquin、B Juguin、C Marcilly、G Martino、J Miquel、R Montarnal、A Sugier、H Van Landeghemによる「Applied Heterogeneous Catalysis」,Technip,パリ,1987に記載されたようにして測定される。適切にサイズがとられた目盛付きシリンダーが、連続的な添加によって満たされ、2回の連続的添加の間に、触媒は、シリンダーを振動させることによって一定の容積に圧縮される。この測定は、一般的に、高さ/直径比が約5/1であるシリンダーに充填された1000cmの触媒上で行われる。この測定は、好ましくは、Quantachrome(登録商標)によって販売されるAutotap(登録商標)等の自動化装置を用いて行われる。
【0037】
マトリクスの酸性度は、赤外分光光度法(infrared spectrometry:IR)によって測定される。IRスペクトルは、Nicolet Nexus-670タイプの干渉計を用い、4cm−1の解像度でHapp-Genselタイプのアポディゼーションにより記録される。サンプル(20mg)は、自立ペレットに押圧され、インサイチュ分析セル中に配置される(25〜550℃、IRビームからオフセットされた炉、10−6mbarの高減圧度)。ペレットの直径は16mmである。
【0038】
サンプルは、物理吸着水を除去し、かつ、触媒表面を部分的に脱水酸化して、操作の際に触媒酸性度の典型である画像を提供するように以下のように予備処理された:
・25℃から300℃への3時間にわたる昇温;
・10時間にわたる300℃での等温;
・300℃から25℃への3時間にわたる降温。
【0039】
塩基性のプローブ(ピリジン)が、次いで、飽和圧力、25℃で吸着させられ、次いで、以下の段階において熱脱着させられた:
・2時間にわたる高減圧下での25℃;
・1時間にわたる高減圧下での100℃;
・1時間にわたる高減圧下での200℃;
・1時間にわたる高減圧下での300℃。
【0040】
スペクトルは、25℃で、予備処理の終了時および各脱着段階において、転送方式で100秒の累積時間により記録される。スペクトルは、同一塊(それ故に、同一厚であると仮定される(正確に20mg))において記録される。ルイス点の数は、肩部(shoulder)を含む最大約1450cm−1を有するピークの表面積に比例する。ブレンステッド点の数は、最大約1545cm−1を有するピークの表面積に比例する。ブレンステッド点の数/ルイス点の数の比(B/L)は、上記の2つのピークの表面積の比に等しいと見積もられる。一般に、25℃でのピークの表面積が用いられる。この比B/Lは、一般的に、25℃で予備処理の終了時に記録されたスペクトルから計算される。
【0041】
ドーピング元素、Pおよび/またはBおよび/またはSiが導入される場合、その分布および位置は、キャスタン・マイクロプローブ(種々の元素の分布プロファイル)、触媒成分のX線分析と結びついた透過電子顕微鏡法等の技術または電子線マイクロプローブを用いて触媒中に存在する元素の分布マップを確立することによって測定され得る。これらの技術は、本発明のアルミナ−シリカの合成後に加えられたこれらの外因性元素の存在を示し得る。
【0042】
触媒の全体的な組成は、粉体状態の触媒のX線蛍光または触媒の酸攻撃(acid attack)後の原子吸収によって測定され得る。
【0043】
ミクロンスケールでの局所的な組成は、触媒の全体的な組成とは対照的に、電子線マイクロプローブによって測定され得る。この測定は、測定単位と称される、触媒の粒子の径に沿う数立方ミクロンの領域内の金属の量を測定することによってなされ得る。この測定は、粒子の内側の原子のマクロ分布が評価されることを可能にする。それは、場合によっては、STEM(scanning transmission electron microscopy:走査型透過電子顕微鏡法)によってナノメートルスケールで補完されてよい。
【0044】
分析は、CAMECA SX100電子線マイクロプローブ(5つの波長分散スペクトロメータ装備)(好ましい装置)を用いてまたは場合によってはJEOL 8800R(4つのスペクトロメータ)を用いて行われる。取得パラメータは次の通りである:加速電圧20kV、電流80または200nAおよびカウント時間10秒または20秒(濃度に応じる)。粒子は、樹脂中にコーティングされ、次いで、径まで研磨される。
【0045】
用語「径」は、ビーズまたは押出物の形状を単に意味せず、より一般的に、粒子のあらゆる形態を意味することが留意されるべきである。それが「径」と称されるのは、それが、測定がなされる粒子の典型的な長さであるからである。
【0046】
触媒床において用いられるべき床または触媒バッチの典型的なサンプルについて測定がなされた。分析は、少なくとも5粒子について、径に沿って均一に分布させられた1粒子当たり少なくとも30回の測定により行われるべきである。
【0047】
モリブデン、ニッケル、タングステンおよびリンの局所的濃度(%で表される)は、それぞれ、CMo、CNi、CおよびCと称される。
【0048】
原子%として濃度を表現することも可能である。相対的な機能は同一である。
【0049】
押出物に沿って均一な濃度CMo、CNi、CおよびCを有する触媒を調製することが有利であり得る。異なるコアおよび周辺のCMo、CNi、CおよびC濃度を有する触媒を調製することも有利である。これらの触媒は、「皿状」または「ドーム状」の分布プロファイルを有する。さらなる分布タイプは、活性相の元素が表面上に分布させられる外皮タイプである。
【0050】
(本発明の詳細な説明)
より詳細には、本発明は、
・周期律表の第VIB族および第VIII族からの元素によって形成される群から選択される少なくとも1種の水添脱水素化元素;
・リン、ホウ素およびケイ素から選択される0.01〜5.5%のドーピング元素、好ましくはホウ素またはリン、より好ましくはリン;および
・24.40×10−10〜24.15×10−10mの範囲の単位セルの格子定数aによって規定されるゼオライトYをベースとし、かつ、5重量%超かつ95重量%以下の量のシリカ(SiO)を含有するシリカ−アルミナをベースとする担体と
を含む触媒であって、
・平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される):20〜140Å;
・総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される):0.1〜0.5ml/g、好ましくは0.45ml/g未満、より好ましくは0.4ml/g未満;
・総細孔容積(窒素多孔度測定法によって測定される):0.1〜0.5ml/g、好ましくは0.45ml/g未満、より好ましくは0.4ml/g未満;
・BET比表面積:100〜600m/g、好ましくは500m/g未満、より好ましくは350m/g未満、一層より好ましくは250m/g未満;
・140Å超の径を有する細孔に含まれる細孔容積(水銀多孔度法によって測定される):0.1ml/g未満;
・160Å超の径を有する細孔に含まれる細孔容積(水銀多孔度法によって測定される):0.1ml/g未満;
・200Å超の径を有する細孔に含まれる細孔容積(水銀多孔度法によって測定される):0.1ml/g未満、好ましくは0.075ml/g未満、より好ましくは0.05ml/g未満;
・500Å超の径を有する細孔に含まれる細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される);厳格に0.01ml/g超かつ0.1ml/g未満、好ましくは0.02ml/g超かつ0.07ml/g未満、より好ましくは0.03ml/g超かつ0.07ml/g未満;
・アルファ、ロー、カイ、エータ、ガンマ、カッパ、シータおよびデルタのアルミナからなる群に含まれる少なくとも1種の遷移アルミナの特徴主要ピークを少なくとも含む、X線回折図;
0.75g/cm超、好ましくは0.85g/cm超、より好ましくは0.95g/cm、一層より好ましくは1.05g/cm超の触媒の圧縮充填密度
の特徴を有する触媒に関する。
【0051】
導入されるゼオライトの量に応じて、触媒のX線回折図はまた、一般的には、圧縮されたゼオライト(単数種または複数種)の特徴主要ピークを含む。
【0052】
本発明はまた、前記触媒を用いる、水素化分解/水素化転化方法および炭化水素仕込み原料を水素化処理するための方法に関する。
【0053】
(本発明の触媒担体の特徴)
本発明の触媒担体は、24.40×10−10〜24.15×10−10mの範囲の単位セルの格子定数aによって規定されるゼオライトYの担体であって、アルミナ−シリカをベースとし(すなわち、アルミナおよびシリカを含む)、5重量%超かつ95重量%以下、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは20重量%超かつ80重量%未満、一層より好ましくは25重量%超かつ75重量%未満のシリカ(SiO)含有量を有するものである。担体中のシリカ含有量は、有利には、10〜50重量%である。
【0054】
(マトリクス)
本発明の触媒のための担体において用いられる非ゼオライト性のシリカ−アルミナをベースとするマトリクスは、好ましくは、マイクロメートルスケールで均一なアルミナ−シリカであって、カチオン不純物(例えばNa)の含有量が0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.025重量%未満であり、アニオン不純物(例えばSO2−またはCl)の含有量が1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満であるものである。
【0055】
それ故に、マイクロメートルスケールで均一であり、カチオン不純物(例えばNa)の含有量が0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.025重量%未満に引き下げられ得、アニオン不純物(例えばSO2−またはCl)の含有量が1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満に引き下げられ得る、アルミナ−シリカにつながる当業者に知られるあらゆるアルミナ−シリカの合成法が、本発明の担体の調製のために適している。
【0056】
アルミナ−シリカ中のケイ素の環境は、29Si NMRによって研究される。本発明のアルミナ−シリカは、タイプQ、Q、Q3−4およびQのケイ素からなる。多くの種はタイプQのものであり、ほぼ10〜80%程度、好ましくは20〜60%、より好ましくは20〜40%がQであろう。QおよびQ3−4の種の比率も高く、この2種についてはほぼ5〜50%程度、好ましくは10〜40%である。
【0057】
ケイ素原子の環境は、MAS NMR CP H−>29Si(300MHz、回転速度:4000Hz)によって研究された。この場合、OH結合に結合させられたケイ素のみが応答する。用いられる化学置換の表は、KodakariらのLangmuir 14,4623−4629,1998からのものであった。以下の帰属がなされる:−108ppm(Q)、−99ppm(Q/Q(1Al))、−91ppm(Q/Q(1Al))、−84ppm(Q/Q(2Al))、−78ppm(Q/Q(3Al))および−73ppm(Q/Q(3Al))。
【0058】
本発明のアルミナ−シリカは、複数の塊の重ね合わせの形態である。これらの塊の主要ピークは、一般的に、−110ppmに位置する。
【0059】
本発明の担体および触媒の固体27Al MAS NMRスペクトルは、2つの相異なるピーク塊を示す。約10ppmに最大共鳴を有する第一のタイプのアルミニウムは、−100〜20ppmに広がる。最大値の位置は、これらの種が実質的にAlVIタイプ(八面体)のものであることを示す。約60ppmに最大共鳴を有する、第二のよりマイナーなタイプのアルミニウムは、20〜110ppmに広がる。これは、少なくとも2つの種に分解され得る。ここで優勢な種は、AlIV原子(四面体)に対応する。本発明の方法において用いられる触媒のために、八面体AlVIの比率は、有利には50%超、好ましくは60%超、より好ましくは70%超である。
【0060】
本発明の一実施形態では、触媒は、少なくとも2種のアルミノケイ酸塩の領域を含むマトリクスを含み、該領域は、X線蛍光によって測定される全体的Si/Al比より高いかより低いSi/Al比を有する。それ故に、0.5のSi/Al比を有する触媒は、2つのアルミノケイ酸塩領域を含み、一方の領域のTEMによって測定されるSi/Al比は0.5未満であり、他方の領域のTEMによって測定されるSi/Al比は0.5〜2.5である。
【0061】
本発明のさらなる実施形態では、触媒は、単一のアルミナ−シリカ領域を含有し、該領域のSi/Al比は、X線蛍光によって測定される全体的なSi/Al比に等しく、かつ、2.3未満である。
【0062】
(ゼオライト)
本発明のゼオライトは、24.40×10−10〜24.15×10−10mの範囲、好ましくは24.38×10−10〜24.24×10−10mの範囲の単位セルの格子定数aによって特徴付けられる。
【0063】
触媒中のゼオライトの総重量含有量は、一般的に0.1〜30%、有利には0.2〜25%、好ましくは0.3〜20%、より好ましくは0.5〜20%、一層より好ましくは1〜10%である。
【0064】
導入されるゼオライトの量に応じて、担体または触媒のX線回折図も、一般的に、選択されるゼオライト(単数種または複数種)の特徴主要ピークを含むことになる。
【0065】
本発明のゼオライトはまた、二次的処理を経たYゼオライト、例えば、USY、VUSY、SDUSYであり得る。
【0066】
本発明の触媒担体において用いられるYゼオライトは、少なくとも部分的に、水素または酸型(H)またはアンモニウム(NH)またはカチオン型であり、前記カチオンは、第IA族、第IB族、第IIA族、第IIB族、第IIIA族、第IIIB族(希土類を含む)、Sn、PdおよびSiによって形成される群から選択される;それは、好ましくは、少なくとも部分的にH型であるか、または、少なくとも一部において、カチオン型(上記のような)で用いられてもよい。
【0067】
本発明の担体(マトリクス+ゼオライト)の酸性度は、有利には、かつ、本発明の範囲を制限することなく、ピリジン熱脱着のIRモニタリングによって測定されてよい。一般に、本発明の担体の上記のような比B/Lは、0.07超、好ましくは0.125超、より好ましくは0.25超である。
【0068】
(本発明の触媒の特徴)
本発明の触媒は、それ故に、
・24.40×10−10〜24.15×10−10mの範囲の単位セルの格子定数aによって規定されるゼオライトYをベースとし、かつ、アルミナ−シリカをベース(すなわち、アルミナおよびシリカを含む)とし、シリカ(SiO)含有量が5重量%超かつ95重量%以下、好ましくは10〜80重量%、好ましくはシリカ含有量が20重量%超かつ80重量%未満、より好ましくは25重量%超かつ75重量%未満であり;シリカ含有量が有利には10〜50重量%である、担体;
・カチオン不純物:その含有量は、好ましくは、0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.025重量%未満のカチオン不純物;用語「カチオン不純物含有量」は、総アルカリ含有量を意味し;
・アニオン不純物:その含有量は、好ましくは1重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満、一層より好ましくは0.1重量%未満のアニオン不純物含有量;
・周期律表の第VIB族および第VIII族からの元素によって形成される群から選択される少なくとも1種の水添脱水素元素;
・好ましくは、金属形態にあるまたは酸化物形態にある第VIB族元素(単数種または複数種):1〜50重量%、好ましくは1.5〜35重量%、より好ましくは1.5〜30重量%;
・好ましくは、金属形態または酸化物形態にある第VIII族金属含有量:0.1〜30重量%、好ましくは0.2〜25重量%、より好ましくは0.2〜20重量%;
・触媒上に担持され、かつ、リン、ホウ素およびケイ素によって形成される群から選択される、好ましくはリンおよび/またはホウ素、より好ましくはリンである少なくとも1種のドーピング元素(用語「ドーピング元素」は、上記のアルミナケイ酸塩担体を調製した後に導入される元素を意味する);酸化物形態にある重量によって計算されるリン、ホウ素、ケイ素の含有量は、0.01〜5.5%、好ましくは0.5〜2.5%、より好ましくは4〜5%である;
・場合による、少なくとも1種の第VIIB族元素(好ましくは例えばマンガン):含有量は酸化物または金属形態にある化合物の重量で0〜20%、好ましくは0〜10%である;
・場合による、少なくとも1種の第VB族元素(好ましくは例えばニオブ);含有量は、酸化物または金属形態の化合物の重量で0〜40%、好ましくは0〜20%;
を含み、
・平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される);20〜140Å、好ましくは40〜120Å、より好ましくは50〜100Å;
・好ましくは、(D平均−30Å)〜(D平均+30Å)の範囲にある容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の総細孔容積(これも水銀多孔度測定法によって測定される)に対する比:0.6超、好ましくは0.7超、一層より好ましくは0.8超;
・好ましくは、(D平均+30Å)超の径を有する細孔に含まれる容積V3(水銀多孔度測定法によって測定される):0.1ml/g未満、好ましくは0.06ml/g未満、より好ましくは0.04ml/g未満;
・好ましくは、(D平均−15Å)と(D平均+15Å)との間に含まれる容積V5(水銀多孔度測定法によって測定される)と(D平均−30Å)と(D平均+30Å)の間に含まれる容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の比:0.6超、好ましくは0.7超、より好ましくは0.8超;
・好ましくは、(D平均+15Å)超の径を有する細孔に含まれる容積V6(水銀多孔度測定法によって測定される):0.2ml/g未満、好ましくは0.1ml/g未満、より好ましくは0.05ml/g未満;
・総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される):0.1〜0.5ml/g、好ましくは0.45ml/g未満、より好ましくは0.4ml/g未満;
・総細孔容積(窒素多孔度測定法によって測定される):0.1〜0.5ml/g、好ましくは0.45ml/g未満、より好ましくは0.4ml/g未満;
・BET比表面積:100〜600m/g、好ましくは500m/g未満、より好ましくは350m/g未満、一層より好ましくは250m/g未満;
・好ましくは、吸着表面積とBET比表面積との間の比が0.5超、好ましくは0.65超、より好ましくは0.8超であるような吸着表面積;
・140Å超の径を有する細孔に含まれる細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される):0.1ml/g未満、好ましくは0.07ml/g未満、より好ましくは0.05ml/g未満;
・160Å超の径を有する細孔に含まれる細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される):0.1ml/g未満、好ましくは0.07ml/g未満、より好ましくは0.05ml/g未満;
・200Å超の径を有する細孔に含まれる細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される):0.1ml/g未満、好ましくは0.075ml/g未満、より好ましくは0.05ml/g未満;
・500Å超の径を有するマクロ孔に含まれる細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される):厳格に0.01ml/g超かつ0.1ml/g未満、好ましくは0.02ml/g超かつ0.07ml/g未満、好ましくは0.03ml/g超かつ0.07ml/g未満;
・ロー、カイ、カッパ、エータ、ガンマ、シータおよびデルタアルミナからなる群に含まれる遷移アルミナの少なくとも1つの特徴主要ピークを少なくとも含み、好ましくは、ガンマ、エータ、シータおよびデルタアルミナからなる群に含まれる遷移アルミナの少なくとも1つの特徴主要ピークを少なくとも含み、一層より好ましくは、1.39〜1.40Åの範囲のdおよび1.97〜2.00Åの範囲のdを有するピークを含むX線回折図;
・触媒の圧縮充填密度:0.75g/cm超、好ましくは0.85g/cm超、より好ましくは0.95g/cm超、一層より好ましくは1.05g/cm
である。
【0069】
触媒中のゼオライトの総重量含有量は、一般的に0.1〜30%、有利には0.2〜25%、好ましくは0.3〜20%、より好ましくは0.5〜20%、一層より好ましくは1〜10%である。
【0070】
導入されたゼオライトの量に応じて、触媒のX線回折図はまた、一般的に、選択されたゼオライト(単数種または複数種)の特徴主要ピークを含む。
【0071】
本発明のゼオライトはまた、二次的処理を経たYゼオライト、例えば、USY、VUSY、SDUSYであり得る。
【0072】
本発明のゼオライトは、24.40×10−10〜24.15×10−10mの範囲、好ましくは、24.38×10−10〜24.24×10−10mの範囲の単位セルの格子定数aによって特徴付けられる。
【0073】
本発明の触媒担体において用いられるYゼオライトは、少なくとも部分的に、水素または酸型(H)またはアンモニウム(NH)またはカチオン型であり、前記カチオンは、第IA族、第IB族、第IIA族、第IIB族、第IIIA族、第IIIB族(希土類を含む)、Sn、PdおよびSiによって形成される群から選択される;それは、好ましくは、少なくとも部分的に、H型であるか、または、それはまた、少なくとも一部において、カチオン型(上記のような)で用いられてもよい。
【0074】
ドーピング元素がリンである場合、リン含有量は、有利には、酸化物の重量で0.01〜5.5%の範囲、より好ましくは酸化物の重量で0.5〜2.5%の範囲、さらにより好ましくは、4〜5重量%の範囲である。
【0075】
好ましくは、触媒は、モリブデンとタングステンおよび/またはニッケルとタングステンをベースとする。
【0076】
本発明の好ましい触媒は、ニッケル−タングステンの組合せおよび酸化物の重量で0.01〜4%の量のリン含有量を含む。
【0077】
本発明の非常に好ましい触媒は、ニッケル−タングステンの組合せおよび酸化物の重量で0.01〜2.5%の範囲のリン含有量を含む。
【0078】
触媒はまた、ジルコニウムおよびチタンによって形成される群から選択される少なくとも1種の安定化元素のより少ない比率を含み得る。
【0079】
本発明の触媒は、中間留分についての選択性の損失なくより良好な活性を有する。特定の理論によって結合させられることを望むことなく、本発明の触媒における選択性の顕著な損失を伴わない前記の特に高い活性は、ゼオライト、シリカ−アルミナマトリクスおよび改善された水素化相の間の相乗効果に起因する。
【0080】
(標準活性試験:本発明の触媒の評価)
本発明の触媒の酸性度および水素化性能は、モデル分子の混合物についての触媒試験:トルエンの水素化およびシクロヘキサンの異性化によって評価され得る。
【0081】
触媒の水素化および酸性度をモニタリングするための触媒試験は、以下の手順に従って行われる。
【0082】
触媒は、固定式移動床を有する管式反応器中の、流体が頂部から底部に移動するcatatestタイプのパイロット装置(Vinci Technologies)においてin situで動的に硫化される。水素化および異性化活性の測定は、硫化の直後に、空気を中に入れることのない圧力下で、触媒を硫化するために利用された炭化水素仕込み原料を用いて行われる。
【0083】
硫化および試験の仕込み原料は、5.8重量%のジメチルジスルフィド(dimetyldisulphide:DMDS)、20重量%のトルエンおよび74.2重量%のシクロヘキサンからなる。次いで、トルエンの水素化反応における等容積の触媒の安定化された触媒活性が測定された。シクロヘキサン(トルエンの希釈剤)の異性化が、触媒の酸性度を推定するためにモニタリングされた。
【0084】
活性を測定するための条件は、次の通りであった(全体的な蒸気化および完全な気体法則を仮定する):
全圧:6.0MPa
トルエンの圧力:0.38MPa
シクロヘキサンの圧力:1.55MPa
水素の圧力:3.64MPa
Sの圧力:0.22MPa
触媒容積:40cc
仕込み原料の流量:80cc/h
毎時空間速度:2L/L・h−1
水素の流量:36L/h
硫化および試験の温度:350℃(3℃/分)
液体流出物サンプルは、ガスクロマトグラフィーによって分析された。未転化トルエン(T)のモル濃度および水素化生成物:メチルシクロヘキサン(MCC6)、エチルシクロペンタン(EtCC5)およびジメチルシクロペンタン(DMCC5)の濃度の測定は、トルエン水素化度XHYDが計算されることを可能にした。XHYD
HYD(%)=100*(MCC6+EtCC5+DMCC5)/(T+MCC6+EtCC5+DMCC5)
として定義される。
【0085】
シクロヘキサン異性化度XISOは、未転化シクロヘキサンおよびその反応生成物:メチルシクロペンタンの濃度から同一の方法で計算される。トルエン水素化およびシクロヘキサン異性化反応は、本発明者らの試験条件下で一次であり、反応器は理想プラグ反応器(plug reactor)として振る舞うので、触媒の水素化活性AHYDおよび異性化活性AISOは、式:A=ln(100/(100−X))を用いて計算される。
【0086】
有利には、本発明の触媒は、標準活性試験において、活性AHYD>0.7、好ましくはAHYD>0.9、より好ましくはAHYD>1.2、一層より好ましくはAHYD>1.4を有する。
【0087】
(調製法)
本発明の触媒は、当業者に知られるあらゆる方法を用いて調製され得る。
【0088】
(調製方法)
(マトリクス)
本出願人は、24.40×10−10〜24.15×10−10mの範囲の単位セルの格子定数aを有するゼオライトYおよびシリカ−アルミナをベースとする担体であって、任意の段階において酸性媒体に部分的に可溶であるアルミナ化合物を完全に可溶であるシリカ化合物またはアルミナと水和シリカとの完全に可溶な組合せと混合し、次いで、成形し、その後に、水熱または熱処理してこれをマイクロメートルスケールさらにはナノメートルスケールで均質にすることによって得られるものが、水素化分解法において特に活性な触媒を生じさせ得ることを発見した。本出願人によって用いられる場合の用語「酸性媒体に部分的に可溶な」は、(一般的には完全に可溶な)シリカ化合物または酸性溶液、例えば硝酸、硫酸との組合せを加える前のアルミナ化合物の接触が部分的な分解を引き起こすことを意味する。
【0089】
(シリカ源)
本発明により用いられるシリカ化合物は、ケイ酸、ケイ酸ゾル、水溶性ケイ酸アルカリ、カチオン性ケイ素塩(例えば水和メタケイ酸ナトリウム)、アンモニア性またはアルカリ体のLudox(登録商標)またはケイ酸第四アンモニウムによって形成される群から選択され得る。シリカゾルは、当業者に知られるあらゆる方法を用いて調製され得る。好ましくは、脱カチオンされたオルトケイ酸の溶液が水溶性ケイ酸アルカリから樹脂上でのイオン交換によって調製される。
【0090】
(完全に可溶なシリカ−アルミナの源)
本発明において用いられる可溶な水和シリカ−アルミナは、制御された静止操作条件(pH、濃度、温度、平均滞留時間)下での真の共沈殿(true co-precipitation)によって、例えばケイ酸ナトリウムの形態下のケイ素、場合によっては例えばアルミン酸ナトリウムの形態下のアルミニウムを含有する塩基性溶液を、少なくとも1種のアルミニウム塩、例えば、硫酸アルミニウムを含有する酸性溶液と反応させることにより調製され得る。少なくとも1種の炭酸塩またはCOが場合によっては反応媒体に加えられてよい。
【0091】
本出願人によって用いられる場合の用語「真の共沈殿」は、上記のような塩基性媒体または酸性媒体に完全に可溶な少なくとも1種のアルミニウム化合物および上記のような少なくとも1種のケイ素化合物が、少なくとも1種の沈殿および/または共沈殿化合物の存在下に、同時にまたは順次に接触させられて、水和シリカ−アルミナによって実質的に構成される、場合によっては強攪拌、剪断またはコロイダルミリングによってあるいはこれら個々の操作の組合せによって均質化される混合相を得る方法を意味する。例えば、これらの水和シリカ−アルミナは、以下の米国特許に記載されるように調製されてもよい:US 2-908 635;US 3-423 332;US 3 433 747;US 3 451 947;US 3 629 152およびUS 3 650 988。
【0092】
シリカ化合物または組合せの完全な分解は、以下の方法を用いてほぼ決定される。シリカ化合物または水和された組合せの固定された量(15g)が、固定されたpHで媒体に導入される。好ましくは、懸濁液の容積(L)に対する固体の濃度は0.2モル/Lである。分散液のpHは少なくとも12であり、アルカリ源を用いて得られてよい。好ましくは、NaOHが有利に用いられる。次いで、混合物は、凝集防止タービン攪拌器を用いて30分間にわたり800rpmで機械的に攪拌される。一旦攪拌が完了すると、混合物は、10分間にわたり3000rpmで遠心分離にかけられる。ケーキ状物が上澄液から分離される。溶液は、4の孔サイズおよび19cmの径を有するフィルタを通じてろ過される。次いで、乾燥が行われ、その後に、1000℃で2つの部分の焼成が行われる。次いで、デカンテーションされた質量を懸濁液中の固体の質量で除算することによって比Rが決定される。用語「完全に可溶な」は、少なくとも0.9の比Rに適用される。
【0093】
(アルミナ源)
本発明において用いられるアルミナ化合物は、酸性媒体に部分的に可溶である。それらは、一般式Al・nHOを有するアルミナ化合物の群から完全にまたは部分的に選択される。特に、水和アルミナ化合物、例えば、ハイドラーギライト、ギブサイト、バイヤライト、ベーマイト、擬ベーマイトおよび無定型または実質的に無定型のアルミナゲルが用いられ得る。遷移アルミナによって構成され、以下の群における相の少なくとも1つを含む前記化合物の脱水体を用いることも可能である:ロー、カイ、エータ、ガンマ、カッパ、シータ、デルタ;これらは、それらの結晶構造の組織によって互いに本質的に異なっている。アルファアルミナ(コランダムと一般に称される)が、本発明の触媒に少比率で組み込まれてもよい。
【0094】
この部分的な分解特性は、本発明の重要な特性であり、ケイ素の全部または一部を含む化合物の任意の添加の前に、水和アルミナ粉体、スプレイ乾燥された水和アルミナ粉体、水和アルミナの分散液または懸濁液またはそれらの任意の組合せに適用可能である。
【0095】
アルミナ化合物の部分的な溶解は以下のように評価される。粉体化されたアルミナ化合物または懸濁状のアルミナ化合物の正確な量が、所定のpHで媒体に導入される。次いで、混合物は機械的に攪拌される。一旦攪拌が終了すると、混合物は、攪拌することなく24時間にわたり放置される。好ましくは、懸濁液1リットルに対する固体Alの濃度は、0.5モル/Lである。分散液のpHは2であり、HNO、HClまたはHClOのいずれかを用いることによって得られる。好ましくはHNOが用いられる。堆積および溶解させられた割合の配分は、UV吸収によってアルミニウムを分析することによってモニタリングされる。上澄は、限外ろ過され(ポリエーテルスルホン膜,Millpore NMWL 30000)、濃酸中に消化される。上澄中のアルミニウムの量は、非堆積アルミナ化合物および溶解アルミニウムに対応し、限外ろ過された部分は、溶解アルミナのみに対応する。堆積粒子の量は、分散液中のアルミニウムの理論濃度から推定され(導入された固体の全部が分散させられると仮定する)、実際に分散させられたベーマイトおよび溶液中のアルミニウムの量が推定される。
【0096】
本発明において用いられるアルミナ前駆体は、それ故に、酸性媒体に完全に可溶である真の共沈殿の場合に用いられるもの:カチオン性アルミナ塩、例えば硝酸アルミニウムから区別される。本発明の方法が真の共沈殿から区別されるのは、要素の一つ(この場合、アルミニウム化合物)が部分的に可溶であるからである。
【0097】
アルミナを用いるために、一般式Al・nHOを有するアルミナの任意の化合物が用いられ得る。その比表面積は150〜600m/gである。特に、水和アルミナ化合物、例えば、ハイドラーギライト、ギブサイト、バイヤライト、ベーマイト、擬ベーマイトおよび無定型または実質的に無定型のアルミナゲルを用いることが可能である。遷移アルミナによって構成され、群:ロー、カイ、エータ、ガンマ、カッパ、シータ、デルタおよびアルファ(これらは、それらの結晶構造において本質的に異なる)における相の少なくとも1つを含む前記化合物の脱水体を用いることも可能である。熱処理の間、これらの種々の形態は、処理の操作条件に依存する複雑な配列において置き換わり得る。少量のアルファアルミナ(コランダムと一般に知られる)を用いることも可能である。
【0098】
より好ましくは、用いられるアルミニウム水和物Al・nHOは、ベーマイト、擬ベーマイトおよび無定型または実質的に無定型のアルミナゲルである。任意の組合せでの前記生成物の混合物も用いられ得る。
【0099】
ベーマイトは、一般的に、式Al・nHOを有するアルミナ一水和物として記載されるが、これは、水和度および間隔が不鮮明であり得る組織が変動する広範囲の物質を包含する:最も水和したゲル状のベーマイト(nは2より大きくあり得る)、擬ベーマイトまたは微結晶ベーマイト(nは1〜2)、次いで結晶ベーマイトおよび最後に、1に近いnを有する大きな結晶に適切に結晶化されたベーマイト。アルミニウム一水和物の形態学は、2つの制限的形態、針状および角柱状の間で広く変動し得る。種々の形態の全体的な系統が、これら2つの形態の間で用いられ得る:椅子、ボート、織り合わせプレート。
【0100】
アルミニウム水和物の調製および/または成形は、それ故に、これらの触媒を調製する際に第1の工程を構成し得る。多くの特許が、アルミニウム一水和物からの遷移アルミナをベースとする担体の調製および/または成形に関する:US 3 520 654;US 3 630 670;US 3 864 461;US 4 154 812;US 4 313 923;DE 3 243 193およびUS 4 371 513。
【0101】
比較的高純度のアルミニウム水和物が粉体の形態で用いられ得、これは、無定型または結晶性、または無定型部分を含有する結晶であり得る。アルミニウム水和物はまた、水性の懸濁液または分散液の形態で導入され得る。本発明により利用されるアルミニウム水和物の水性の懸濁液または分散液は、ゲル化されるかまたは凝固させられることが可能であり得る。水性の分散液または懸濁液はまた、当業者に周知であるように、水または酸性水中のアルミニウム水和物の解凝固によって得られ得る。
【0102】
アルミニウム水和物の分散液は、当業者に知られるあらゆる方法によって生じさせられ得る;バッチ式反応器では、連続ミキサー、グラインダー、またはコロイダルミルである。このような混合物はまた、栓流反応器(plug flow reactor)、特には静止ミキサーにおいて生じさせられ得る。「Lightnin」反応器が挙げられ得る。
【0103】
さらに、アルミナ源はまた、その分散度を改善し得る処理を既に経たアルミナであってよい。例えば、予備的均質化処理によってアルミナ源の分散を改善することが可能である。用語「均質化」は、以下の本明細書に記載される均質化処理の少なくとも1つ意味する。
【0104】
用いられ得るアルミナの水性の分散液または懸濁液は、コロイドの寸法を有する粒子からなるベーマイトの微細または超微細の水性の懸濁液または分散液である。
【0105】
本発明により用いられる微細なまたは超微細なベーマイトは、特に、特許FR 1 261 182およびFR 1 381 282または欧州特許出願EP 15 196により得られ得る。
【0106】
擬ベーマイト、無定型アルミナゲル、水酸化アルミニウムゲルまたは超微細ハイドラーギライトゲルから得られる水性の懸濁液または分散液を用いることも可能である。
【0107】
アルミニウム一水和物は、アルミナの種々の市販源、例えば、SASOL(登録商標)によって販売されるPURAL(登録商標)、CATAPAL(登録商標)、DISPERAL(登録商標)、DISPAL(登録商標)またはALCOAによって販売されるHIQ(登録商標)から購入されるか、当業者に知られた方法を用いて得られ得る;それは、従来法を用いるアルミニウム三水和物の部分的脱水によって調製され得るか、または、それは、沈殿によって調製され得る。前記アルミナがゲルの形態である場合、それらは、水または酸性液によって解凝固させられる。沈殿のために、酸源は、例えば、以下の化合物の少なくとも1種であり得る:塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムまたは硝酸アルミニウム。塩基性アルミニウム源は、塩基性アルミニウム塩、例えばアルミン酸ナトリウムまたはアルミン酸カリウムから選択され得る。
【0108】
用いられ得る沈殿剤の例は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウムおよびアンモニアである。沈殿剤は、本発明のアルミナ源およびその剤が一緒に沈殿させられるように選択される。
【0109】
出発アルミニウムベースの化合物の酸性または塩基性の性質に応じて、アルミニウム水和物は、例えば、塩酸、硫酸、水酸化ナトリウムまたは塩基性または酸性アルミニウム化合物(例えば、上記のもの)から選択される塩基または酸を用いて沈殿させられる。2種の試薬は、硫酸アルミニウムおよびアルミン酸ナトリウムであり得る。例えば、硫酸アルミニウムおよびアルミン酸ナトリウムを用いるアルミニウム・アルファ一水和物の調製は、US 4 154 812に記載されている。
【0110】
擬ベーマイトは、US 3 630 670に記載されている方法を用い、アルミン酸アルカリ溶液を鉱酸溶液と反応させることによって調製され得る。擬ベーマイトは、US 3 630 670に記載されている方法を用い、アルミン酸アルカリ溶液を鉱酸溶液と反応させることによって調製され得る。それはまた、FR 1 357 830に記載されるようにして調製され得る。
【0111】
無定型アルミナゲルは、文献「Alcoa Paper No.19(1972)」,9〜12ページに記載されている方法を用い、特に、アルミン酸またはアルミニウム塩を反応させること、アルミニウム・アルコラートを加水分解することまたは塩基性アルミニウム塩を加水分解することによって調製され得る。
【0112】
水酸化アルミニウムゲルは、US 3 268 295およびUS 3 245 919に記載されている方法を用いて調製されるものであり得る。
【0113】
水酸化アルミニウムゲルはまた、WO00/01617に記載されている方法を用い、酸性アルミニウム源と塩基または塩基性アルミニウム源と酸とを混合し、アルミナ一水和物を沈殿させ、続く工程が
2)熟成;
3)ろ過;
4)洗浄;および
5)乾燥
であることによって調製されるものであり得、これらの方法は、工程1における混合は、逆混合(back-mixing)なく行われることを特徴とする。
【0114】
超微細ハイドラーギライトは、US 1 371 808に記載されている方法を用い、室温から60℃にわたる範囲の温度に、ケーキ状の形態にありAlのモルとして表されるアルミナに対して0.1の一価酸イオンを含有するアルミナゲルを加熱することによって調製され得る。
【0115】
アルミン酸アルカリが炭酸無水物と反応させられて無定型ヒドロキシ炭酸アルミニウムの沈殿物を形成し、得られた沈殿をろ過によって分離し、次いで、それを洗浄する方法(この方法は、US 3 268 295に記載されている)を用いて調製される超高含有のベーマイトまたは擬ベーマイトの水性の懸濁液または分散液を用いることも可能である。
【0116】
続いて、
a)第1の工程において、洗浄された無定型ヒドロキシ炭酸アルミニウムの沈殿物は、酸、塩基または塩またはそれらの混合物の溶液と混合される;この混合物は、溶液をヒドロキシ炭酸塩上に注ぐことによって作られ、このようにして構成された媒体のpHは11未満である;
b)第2の工程において、反応混合物は、90℃未満の温度に、少なくとも5分の時間にわたって加熱される;および
c)第3の工程において、第2の工程から結果として得られた媒体は、90〜250℃の温度に加熱される。
【0117】
この方法を用いて得られるベーマイトおよび擬ベーマイトの分散液および懸濁液は、アルカリ金属酸化物/Alの比の形態で表される0.005%未満のアルカリ含有量を有する。
【0118】
非常に高い純度の触媒担体が作製されるべき場合、上記の方法を用いて得られる、ベーマイトまたは擬ベーマイトの超高純度の懸濁液または分散液、または、US 2 892 858に記載されるタイプの方法を用いるアルミニウムアルコラートの加水分解によって調製された水酸化アルミニウムゲルが好適に用いられる。
【0119】
本発明者らは、ここで、このようなベーマイトタイプの水酸化アルミニウムゲル(アルミニウムアルコラートまたはアルコキシドの加水分解によるアルコールの製造(ジーグラー(Ziegler)の合成)において副生成物として得られる)を生じさせる製造方法を要約する。ジーグラーのアルコール合成反応は、特に、US 2 892 858に記載されている。当該方法において、トリエチルアルミニウムがアルミニウム、水素およびエチレンから最初に調製され、反応は2段階でトリエチルアルミニウムの部分的な再循環を伴って行われる。
【0120】
ポリマー化工程においてエチレンが加えられ、得られた生成物は、次いで、アルミニウムアルコラートに酸化され、アルコールは加水分解によって得られる。
【0121】
水酸化アルミニウムゲルはまた、US 4 676 928およびUS 6 030 599に記載された方法により調製されたものであり得る。
【0122】
ジーグラー反応の副生成物として得られた水和アルミナは、1971年1月19日付けのCONOCOからの学会誌において記載されるものである。
【0123】
アルミナ源を構成するアルミナ粒子の寸法は、広く変動し得る。それらは、一般的には1〜100ミクロンである。
【0124】
(マトリクスの調製法)
マトリクスは、有利には、以下に記載される方法の一つを用いて調製され得る。
【0125】
例えば、本発明のシリカ−アルミナを調製するための一つの方法は、イオン交換により水溶性ケイ酸アルカリから脱カチオン化されたオルトケイ酸(HSiO,HO)の溶液を調製し、次いで、制御された操作条件下にそれを溶液中のカチオン性アルミニウム塩、例えば、硝酸塩およびアンモニアに同時に加える;またはオルトケイ酸溶液を溶液中のカチオン性アルミニウム塩に加え、制御された操作条件下に、得られる溶液をアンモニアと共に共沈殿させ、均質生成物を結果として得ることからなる。このシリカ−アルミナのヒドロゲルは、アルミニウム水和物粉体または懸濁液と混合される。ろ過および洗浄、成形を伴う乾燥、次いで、アルミナとシリカとの間の相互作用を促進するのに十分な時間、一般的には少なくとも2時間にわたる高温での回転炉における焼成(好ましくは空気中)の後、本発明の特徴を有する触媒が得られる。
【0126】
本発明のシリカ−アルミナを調製するための別の方法は、上記のアルミナ水和物を沈殿させ、それをろ過および洗浄し、次いで、それをオルトケイ酸水溶液と混合して懸濁液を得ることからなり、これは最初に強い攪拌および剪断により均質化される。
【0127】
UltraturraxタービンまたはStaroタービンまたはコロイダルミル、例えばStaroコロイダルミルが用いられ得る。次いで、均質な懸濁液は、前述のようにスプレーすることにより乾燥させられ、500〜1200℃で少なくとも3時間にわたり焼成され;本発明の方法において用いられ得るシリカ−アルミナ触媒が得られる。
【0128】
本発明のさらなる方法は、前述のように脱カチオン化されたオルトケイ酸の溶液を調製し、次いで、それを粉体状または酸性懸濁液中のアルミナ化合物、例えばアルミニウム水和物に同時にまたは連続的に加えることからなる。最終のシリカ−アルミナの細孔径を増加させるために、場合によっては、少なくとも1種の塩基性化合物が、反応媒体に加えられ得る。攪拌による懸濁液の深い均質化(deep homogenization)、場合によってはろ過による乾物含量の調節および場合によっては再均質化の後、生成物は、同時のまたは連続的な成形を伴って乾燥させられ、次いで、上記のように焼成される。
【0129】
本発明の一部を形成するさらなる方法は、アルミナ、例えば、アルミニウム一水和物の水性懸濁液または分散液を調製し、次いで、それをシリカ化合物、例えばケイ酸ナトリウムに同時にまたは連続的に加えることからなる。最終のシリカ−アルミナの細孔径を増加させるために、場合によっては、少なくとも1種の塩基性化合物が反応媒体に加えられ得る。触媒は、ろ過および洗浄、場合によってはイオン交換により残留ナトリウムを抽出するためのアンモニア性溶液による洗浄、および同時のまたは連続的な成形を伴う乾燥により得られる。成形を伴う乾燥、その後の、前述のような焼成の後、本発明の特徴を有する触媒が得られる。本発明のシリカ−アルミナ触媒の良好な均質性を得るためにアルミナ粒子のサイズは、好ましくは1〜100ミクロンである。
【0130】
シリカ−アルミナ触媒のメソ孔の径を増加させるために、US 4 066 574に記載されているように、アルミナ、例えば、アルミニウム一水和物の水性懸濁液または分散液を調製し、次いで、塩基性溶液、例えばアンモニアによりそれを中和し、次いで、それをシリカ化合物、例えば、脱カチオン化されたオルトケイ酸溶液に同時にまたは連続して加えることが特に有利であり得る。攪拌による懸濁液の深い均質化、場合によるろ過による乾物含量の調節および場合による再均質化の後、生成物は、同時または連続の成形を伴って乾燥させられ、次いで、上記のように焼成される。この方法も本発明の方法を構成する。
【0131】
上記方法の以下の記載において、用語「均質化」は、固体部分を含有する生成物を溶液(例えば懸濁液)、粉体、ろ取された沈殿物にし、次いで、強い攪拌によりそれを分散させことを記載するために用いられる。分散液の均質化は、当業者に周知である方法である。前記均質化は、当業者に知られるあらゆる方法、例えば、バッチ式反応器において、連続式ミキサーまたはミルを用いて行われ得る。前記混合は、栓反応器(plug reactor)、特に、静止反応器において行われ得る。「Lightnin」反応器が挙げられ得る。Ultraturrax(登録商標)タービンまたはStaro(登録商標)タービンが用いられ得、またはコロイダルミル、例えば、Staroコロイダルミルが用いられ得る。市販のIKA(登録商標)コロイダルミルも用いられ得る。
【0132】
上記に挙げられた方法の集合において、場合によっては、調製の任意の工程の間に、ジルコニウムおよびチタンによって形成される群から選択される少なくとも1種の安定化元素のほんの一部を加えることが望ましくあり得る。安定化元素は好ましくは可溶性塩の形態で加えられる。
【0133】
本発明のマトリクスの酸性度は、有利には、しかしながら本発明の範囲を制限しないように、ピリジン熱脱着のIRモニタリングによって測定され得る。本発明のマトリクスの比B/Lは、一般的には0.05〜1、好ましくは0.05〜0.7、より好ましくは0.06〜0.3、一層より好ましくは0.075〜0.15である。
【0134】
(ゼオライト)
一般に、ゼオライトは、転化に関して触媒の性能を改善する際に有益である。水素化分解および/または水素化転化に関するその性能のために知られるあらゆるゼオライトが、本発明の担体および触媒において用いられ得る。
【0135】
本発明の一つの実施形態に従い、しかしながら決して本発明の範囲を制限することなく、フォージャサイト構造(「Zeolite Molecular Sieves,Structure,Chemistry and Uses」,D W Breck,J WILLEY & Sons,1973)を有するYゼオライトが用いられる。このゼオライトは、水素型であるか、または、例えばアルカリ土類金属および/または原子番号57〜71(両端含む)を有する希土類金属のカチオンを用いて金属カチオンと部分的に交換されてもよい。第二の処理を経たYゼオライトも本発明の範囲内である。用語「二次的処理」は、J Scherzer,A J Gruiaによる「Hydrocracking,Science and Technology」(1996)またはR J Beyerleinに記載された処理を意味する。例えば、Yゼオライトは、一般的な脱アルミニウム技術を用いて調製される。
【0136】
水素化分解触媒において一般的に用いられるYゼオライトは、市販のNa−Yゼオライトを改変することによって製造される。この改変は、安定化された、超安定化された(USY)、非常に超安定化された(VUSY)または脱アルミニウム化された(極度に脱アルミニウム化されたUSY:SDUSY)と称されるゼオライトを生じさせ得る。この称号は、しばしば、文献において用いられるが、それは、決して本発明のゼオライトの特徴をそのような称号に制限しない。この改変は、当該技術において知られる3タイプの操作:水熱処理、イオン交換および酸攻撃(acid attack)の組合せによってなされる。水熱処理は、操作変量、すなわち、温度、継続期間、全圧および水蒸気の分圧の結合によって完全に規定される。この処理は、ゼオライトのシリカ−アルミナ骨格からアルミニウム原子を抽出し得る。前記処理の結果は、骨格SiO/Alモル比の増加および結晶格子定数の減少である。
【0137】
イオン交換は、一般的には、ゼオライトのカチオン交換点に結合させられ得るイオンを含有する水溶液中にゼオライトを浸すことによって行われる。これは、結晶化後にゼオライト中に存在するナトリウムカチオンを取り除く。
【0138】
酸攻撃は、ゼオライトを鉱酸水溶液と接触させることからなる。酸攻撃の苛酷さは、酸の濃度、継続期間および温度によって調節される。水熱処理されたゼオライトについて行われると、この処理は、骨格から抽出されたアルミナ種を除去し、固体のミクロ孔を遮断する。
【0139】
さらに、US 5 601 798に記載されるような特定の水熱処理は、Y、USY、VUSYおよびSDUSYゼオライトのメソ多孔度を増加させるという効果を有し、このようなゼオライトは、上記の無定型マトリクスと組み合わせにおいて特に有利である。
【0140】
種々のYゼオライトが有利に用いられ得る。
【0141】
本発明のH−Y酸ゼオライトは、種々の仕様によって特徴付けられる:24.40×10−10〜24.15×10−10mの範囲、好ましくは、24.38×10−10〜24.24×10−10mの範囲の単位セルの格子定数a;約10〜70の範囲、好ましくは約12〜50の範囲の全体のSiO/Alモル比;0.15重量%未満のナトリウム含有量(1100℃で焼成されたゼオライトについて測定される);約0.85超のナトリウムイオンの巻取容量CNa(改変ゼオライト(中和されついで焼成される)の100グラム当たりのNaのグラムで表される);約400m/g超、好ましくは550m/g超の比表面積(BET法によって測定される);約6%超の25℃における2.6torr(すなわち、34.6MPa)の分圧についての水蒸気吸着容量;および有利には、ゼオライトは、20×10−10〜80×10−10mの範囲の径を有する細孔に含まれるゼオライトの全細孔容積:約5〜45%、好ましくは5〜40%、および80×10−10超かつ一般的には1000×10−10m未満の径を有する細孔に含まれるゼオライトの全細孔容積:5〜45%、好ましくは5〜40%であり、総細孔容積の残りは、20×10−10m未満の径を有する細孔に含まれる細孔分布(窒素物理吸着によって測定される)を有する。
【0142】
このタイプのゼオライトを用いる好ましい触媒はシリコ−アルミナマトリクスを含み、少なくとも1種の脱アルミニウム化されたYゼオライトは、24.40×10−10〜24.15×10−10mの範囲、好ましくは24.38×10−10〜24.24×10−10mの範囲の格子定数、10超の全体のSiO/Alモル比、原子比(n×Mn+)/Alが0.8未満、好ましくは0.5未満または0.1であるようなアルカリ土類金属またはアルカリ金属カチオンおよび/または希土類カチオンの含有量、400m/g超、好ましくは550m/g超の比表面積(BET法によって測定される)および6重量%超の0.2の値P/P0についての25℃における水吸着容量を有し、前記触媒はまた、少なくとも1種の水添脱水素金属および触媒上に担持されたケイ素を含む。
【0143】
本発明の有利な実施形態において、部分的に無定型のYゼオライトが用いられる。
【0144】
用語「部分的に無定型のYゼオライト」は、
i)0.40未満、好ましくは約0.30未満であるピーク比;
ii)結晶の割合(ナトリウム型(Na)の基準Yゼオライトに対して表され、X線回折によって測定される):約60%未満、好ましくは約50%未満
を有する固体を意味する。
【0145】
好ましくは、本発明の触媒の組成の一部を形成する固体の部分的に無定型のYゼオライトは、以下のさらなる特徴の少なくとも1つ(好ましくは全部)を有する:
iii)15超、好ましくは20超および150未満の全体のSi/Al比;
iv)全体のSi/Al比以上の骨格Si/AlIV比;
v)少なくとも0.20ml/g(固体)である細孔容積:該固体の一部は、8〜50%の範囲で、少なくとも5nm(ナノメートル)、すなわち50Åの径を有する細孔によって構成される;
vi)210〜800m/g、好ましくは250〜750m/g、有利には300〜600m/gの比表面積。
【0146】
従来のUSYゼオライトのピーク比は、0.45〜0.55である;完全に結晶性のNaYに対するその結晶割合は、80〜95%である。本記載の主題を形成する固体のピーク比は、0.4未満、好ましくは0.35未満である。その結晶割合は、それ故に、70%未満、好ましくは60%未満である。
【0147】
部分的に無定型のゼオライトは、脱アルミニウムのために一般的に用いられる技術を用いて、市販のYゼオライト、すなわち、一般的に高い度合いの結晶性(少なくとも80%)を有するものから調製される。より一般的には、少なくとも60%または少なくとも70%の結晶割合を有するゼオライトから開始することが可能である。
【0148】
水素化分解触媒において一般的に用いられるYゼオライトは、市販のNa−Yゼオライトを改変することによって製造される。この改変は、安定化された、超安定化されたまたは脱アルミニウム化されたゼオライトと称されるゼオライトを生じさせることができる。この改変は、1以上の脱アルミニウム化技術、例えば、水熱処理、酸攻撃によって行われる。好ましくは、前記改変は、当業者に知られる3つのタイプの操作:水熱処理、イオン交換および酸攻撃を組み合わせることによって行われる。
【0149】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、担体は、US 5 601 978に記載されているようなゼオライトを含む。前記ゼオライトは、30列の48〜64行において記載され、特に、それらのメソ孔容積は、24.3〜24.4Åの範囲の格子定数について0.313cm/g超である。
【0150】
ゼオライトの調製および処理または処理および成形は、それ故に、前記触媒の調製の工程を構成し得る。
【0151】
ゼオライトは、当業者に知られているあらゆる技術を用いて、マトリクスの調製の間または担体の成形の間に導入され得る。
【0152】
(触媒の調製)
本発明の触媒は、当業者に知られるあらゆる方法を用いて調製され得る。
【0153】
本発明の触媒を調製するための好ましい方法は、下記の工程を包含する。
【0154】
ゼオライトは、当業者に知られるあらゆる方法を用いて、担体または触媒の調製における任意の段階において導入され得る。
【0155】
好ましい調製方法において、ゼオライトは、マトリクスの前駆体の合成の間に導入され得る。ゼオライトの形態の制限的でない例は、粉体、磨り潰された粉体、懸濁液、脱凝集処理を経た懸濁液である。それ故に、例えば、ゼオライトは、酸性にされてもされなくてもよい懸濁液において、担体上のゼオライトの意図された最終量に調節された濃度で利用され得る。前記懸濁液(スラリーとして知られる)は、次いで、その合成の任意の段階で、上記のようにマトリクスの前駆体と混合される。
【0156】
別の好ましい調製態様によると、ゼオライトはまた、マトリクスを構成する元素および場合による少なくとも1種のバインダによる担体の成形の間に導入され得る。ゼオライトは、制限的でない方法において、粉体、磨り潰された粉体、懸濁液または脱凝集処理を経た懸濁液の形態であり得る。
【0157】
第VIB族および/または第VIII族元素および場合によってはリン、ホウ素、ケイ素から選択されるものおよび場合による第VB族および第VIIB族からの元素が、次いで、場合によっては、触媒調製のこの段階で、当業者に知られるあらゆる方法を用いて導入され得る。それらはまた、担体の成形の後、担体の乾燥および焼成の前または後に導入され得る。
【0158】
水素化元素は、調製の任意の段階で導入されてよいが、好ましくは、混合の間、より好ましくは成形の後である。成形に続いて焼成が行われ、水素化元素はまた、焼成の前または後に導入され得る。調製は、一般的に、250〜600℃の温度で焼成することによって終了する。本発明のさらに好ましい方法は、バインダなしでアルミナ−シリカを混合し、これを成形し、次いで、得られたペースト状物をダイに通し、0.4〜4mmの径を有する押出物を形成することからなる。次いで、混合した時に、一部のみ(例えば、第VIB族および第VIII族金属の酸化物を組み合わせる場合)または完全に水素化機能が導入され得る。それはまた、選択された金属の前駆体塩を含有する溶液を用いて(これらが第VIII族に属する場合)、少なくとも1種のアルミナ−シリカによって構成された、場合によっては、バインダにより成形された、焼成された担体への1回以上のイオン交換操作によって導入されてもよい。第VIB族からの金属(特にモリブデンまたはタングステン)の酸化物の前駆体が担体を混合する際に既に導入されている場合、それは第VIII族(特にコバルトおよびニッケル)からの金属の酸化物の前駆体の溶液を用いて、成形されおよび焼成された担体の1回以上の含浸操作によって導入されてもよい。最後に、それはまた、非常に好ましくは、第VI族および/または第VIII族からの金属の酸化物の前駆体を含有する溶液を用いて、本発明の少なくとも1種のアルミナ−シリカおよび場合による少なくとも1種のバインダによって構成される焼成された担体に含浸させるための1回以上の操作によって導入されてもよい。この場合、第VIII族からの金属の酸化物の前駆体は、好ましくは、第VIB族からの金属の後またはこれと同時に導入される。
【0159】
好ましくは、担体は、水溶液を用いて含浸させられる。担体の含浸は、好ましくは、当業者に周知の「乾式」含浸法を用いて行われる。含浸は、最終触媒の成分元素の全てを含有する溶液を用いて単一工程で行われてよい。
【0160】
本発明の触媒は、それ故に、第VIII族からの少なくとも1種の元素、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金等を含み得る。第VIII族金属の好ましい例は、鉄、コバルト、ニッケル、白金、パラジウムおよびルテニウムによって形成される群から選択される金属である。本発明の触媒はまた、第VIB族からの少なくとも1種の元素、好ましくはタングステンまたはモリブデンを含み得る。有利には、以下の金属の組み合わせが用いられる:ニッケル−モリブデン、コバルト−モリブデン、鉄−モリブデン、鉄−タングステン、ニッケル−タングステン、コバルト−タングステン、白金−パラジウム;好ましい組み合わせは、ニッケル−モリブデン、コバルト−モリブデン、コバルト−タングステンであり、より有利には、白金−パラジウムおよびニッケル−タングステンである。3種の金属の組み合わせ、例えば、ニッケル−コバルト−モリブデン、ニッケル−モリブデン−タングステン、ニッケル−コバルト−タングステン等を用いることも可能である。有利には、次の組み合わせが用いられる:ニッケル−ニオブ−モリブデン、コバルト−ニオブ−モリブデン、鉄−ニオブ−モリブデン、ニッケル−ニオブ−タングステン、コバルト−ニオブ−タングステン、鉄−ニオブ−タングステン;好ましい組み合わせは、ニッケル−ニオブ−モリブデン、コバルト−ニオブ−モリブデンである。4種の金属の組み合わせ、例えば、ニッケル−コバルト−ニオブ−モリブデンを用いることも可能である。貴金属を含有する組み合わせ、例えば、ルテニウム−ニオブ−モリブデン、ルテニウム−ニッケル−ニオブ−モリブデン等を用いることも可能である。
【0161】
リンおよび/またはホウ素および/またはケイ素の少なくとも1種の元素および場合による第VIIB族およびVB族から選択される元素(単数種または複数種)は、調製の任意の段階において当業者に知られるあらゆる技術を用いて触媒に導入される。
【0162】
本発明の好ましい方法は、選択されたドーピング元素(単数種または複数種)、例えば、ホウ素およびケイ素を、前駆体(焼成されていてもされていなくてもよいが、好ましくは焼成される)上に担持させることからなる。この目的のために、少なくとも1種のホウ素塩、例えば、ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウムの水溶液が、アルカリ媒体中および過酸化水素の存在下に調製され、次いで、乾式含浸が行われ、ここで前駆体の細孔容積は、例えばホウ素を含有する溶液により満たされる。ケイ素も担持させられる場合、例えば、シリコーンタイプのケイ素化合物の溶液またはシリコンオイルエマルジョンが用いられる。
【0163】
ホウ素およびケイ素はまた、同時に担持させられ得るが、この場合、例えば、ホウ素塩およびシリコーンタイプのケイ素化合物を含有する溶液が用いられる。それ故に、例えば、前駆体がニッケル−タングステンタイプのアルミナ−シリカ担持触媒である場合、ホウ酸アンモニウムおよびRhodiaからのRhodorsil E1P シリコンの水溶液を用いてこの前駆体に含浸させ、例えば120℃で乾燥させ、次いで、フッ化アンモニウム溶液を含浸させ、例えば120℃で乾燥させ、次いで、例えばおよび好ましくは空気中、移動床において、例えば500℃で4時間にわたり焼成することが可能である。
【0164】
リン、ケイ素およびホウ素によって形成される群から選択されるドーピング元素および第VIIB族および第VB族元素は、焼成された前駆体についての過剰の溶液を用いる1回以上の含浸操作を用いて導入されてよい。
【0165】
少なくとも1種のドーピング元素Pおよび/またはBおよび/またはSiが導入される場合、その分布および位置は、キャスタン・マイクロブローブ(種々の元素の分布プロファイル)、触媒成分のX線分析と結合した透過電子顕微鏡法等の技術または電子線マイクロプローブにより触媒中に存在する元素の分布マップを確立することによって測定され得る。これらの技術は、本発明のアルミナ−シリカの合成後に加えられたこれらの外因性元素の存在を示し得る。
【0166】
押出物に沿って均一濃度CMo、CNi、CおよびCを有する触媒を調製することが有利であり得る。異なるコアおよび周辺CMo、CNi、C、およびC濃度を有する触媒を調製することも有利である。これらの触媒は、「皿状」または「ドーム状」の分布ファイルを有する。さらなる分布タイプは、外皮タイプであり、ここでは、活性相の元素は、表面上に分配される。
【0167】
一般に、濃度CMo、CNi、CおよびCのコア/周辺比は0.1〜3である。本発明の変形では、それは、0.8〜1.2である。本発明のさらなる変形では、濃度Cのコア/周辺比は0.3〜0.8である。
【0168】
好ましいリン源は、オルトリン酸HPOであるが、リン酸アンモニウム等の塩およびエステルも適している。リンは、例えば、リン酸と、窒素を含有する塩基性化合物、例えば、アンモニア、1級または2級アミン、環状アミン、ピリジン族からの化合物、キノリン、ピロール族からの化合物等との混合物のかたちで導入されてもよい。タングストリン酸(tungsto-phosphoric acid)またはタングストモリブデン酸(tungsto-molybdic acid)も用いられてよい。
【0169】
リンの量は、本発明の範囲を制限することなく、溶液中および/または担体上に混合化合物、例えば、タングステン−リン、モリブデン−タングステン−リンを形成するように調整される。前記混合化合物は、ヘテロポリアニオンであってもよい。これらの化合物は、例えば、アンダーソン・ヘテロポリアニオンであってよい。P形態で表されるリン含有量は、0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜4重量%、より好ましくは0.2〜2重量%である。
【0170】
ホウ素源は、ホウ酸であってよいが、好ましくは、オルトホウ酸HBO、ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、酸化ホウ素、ホウ酸エステルである。ホウ素は、例えば、ホウ酸、過酸化水素および窒素含有塩基性化合物(例えば、アンモニア、1級および2級アミン、ピリジン族からの環状アミン化合物、キノリンおよびピロール族からの化合物)の混合物のかたちで導入され得る。ホウ素は、例えば、水/アルコール混合液中のホウ酸溶液を用いて導入され得る。
【0171】
多くのケイ素源が用いられ得る。オルトケイ酸エチルSi(OEt)、シロキサン、ポリシロキサン、シリコーン、シリコーンエマルジョン、ハロゲン化されたケイ酸塩、例えば、フルオロケイ酸アンモニウム(NHSiF、フルオロケイ酸ナトリウムNaSiF等を用いることが可能である。シリコモリブデン酸およびその塩、シリコタングステン酸およびその塩も有利に用いられ得る。ケイ素は、例えば、水/アルコール混合液中のケイ酸エチルを含浸させることによって加えられてよい。ケイ素は、例えば、シリコーンタイプのケイ素化合物または水中に懸濁されたケイ酸を含浸させることによって加えられてもよい。
【0172】
本発明の触媒の第VIB族または第VIII族金属は、完全にまたは部分的に、金属および/または酸化物および/または硫化物の形態で存在してよい。
【0173】
用いられ得るモリブデンおよびタングステン源の例は、酸化物および水酸化物、モリブデン酸およびタングステン酸およびそれらの塩、特に、アンモニウム塩、例えば、モリブデン酸アンモニウム、七モリブデン酸六アンモニウム、タングステン酸アンモニウム、リンモリブデン酸、リンタングステン酸およびそれらの塩、シリコモリブデン酸、シリコタングステン酸およびそれらの塩である。
【0174】
用いられ得る第VIII族元素源は、当業者に周知である。非貴金属の例は、硝酸塩、硫酸塩、水酸化物、リン酸塩、ハリド(例えば、クロリド、ブロミドまたはフルオリド)およびカルボン酸塩(例えば、酢酸塩)、炭酸塩である。貴金属のために、ハリド(例えば、クロリド)、硝酸塩、酸(クロロ白金酸等)、オキシクロリド(アンモニア性ルテニウムオキシクロリド)が用いられ得る。
【0175】
好ましくは、加えられた含浸の際に導入されたもの以外にハロゲンは存在せず、ハロゲンは、好ましくは塩素である。
【0176】
上記に挙げた方法を通して、調製の任意の段階において、ジルコニウムおよびチタンによって形成される群から選択される少なくとも1種の安定化元素のより低い割合を加えることが望ましくあり得る。
【0177】
(触媒および担体の成形)
担体は、当業者に知られるあらゆる技術を用いて成形され得る。成形は、例えば、押出、ペレット化、油滴凝固法、回転板造粒(rotating plate granulation)または当業者に知られる任意の他の方法によって行われ得る。
【0178】
成形はまた、得られた鉱物ペーストの種々の触媒および押出物の成分の存在下に、ペレット化、回転ボウル造粒器またはドラム上でのビーズ状物への成形、油滴凝固、オイルアップ(oil up)凝固またはアルミナおよび場合によっては上記のものから選択される他の成分を含有する粉体の凝集のための任意の他の既知法によって行われてもよい。
【0179】
担体のマトリクスの構成元素はまた、粉体の形態で部分的にまたは完全に導入され得る。
【0180】
本発明において用いられる触媒は、球状または押出物の形状を有する。しかしながら、触媒は、0.5〜5mm、より特定的には0.7〜2.5mmの径を有する押出物の形態であることが有利である。形状は、円筒状(中空であってもなかってもよい)、捻れた円筒状、多葉状(例えば、2、3、4または5葉)またはリング状である。円筒状の形状が好ましく用いられるが、任意の他の形態が用いられてよい。
【0181】
さらに、本発明において用いられる前記担体は、成形を促進し、かつ/または、シリカ−アルミナ触媒の最終的な機械的性能を向上させるために添加剤により、当量者に周知のように処理されてよい。挙げられてよい添加剤の例は、セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、トールオイル、キサンタンガム、界面活性剤、凝集剤、例えば、ポリアクリルアミド、カーボンブラック、スターチ、ステアリン酸、ポリアクリルアルコール、ポリビニルアルコール、バイオポリマー、グルコース、ポリエチレングリコール等である。
【0182】
本発明の担体の特徴的な多孔度の部分的な調整は、担体粒子を成形するためのこの工程の間に行われる。
【0183】
成形は、当業者に知られる触媒成形技術、例えば、押出、ペレット化、スプレイ乾燥または顆粒化(drageification)を用いて行われ得る。
【0184】
押し出されるべきペーストの粘度を適合させるように水が加えられまたは除去されてよい。この工程は、混合工程の任意の段階において行われ得る。アルミノケイ酸塩担体の場合、ペースト中の水の量を低減させて、ペーストの機械強度を増加させることが有利であり得る。これによって、一般的に、最適な酸含有量の全容積が低減する結果となる。
【0185】
押し出されるべきペーストの固体鉱物含有量を押出可能なように適合させるために、主として固体の化合物、好ましくは酸化物または水和物を加えることも可能である。好ましくは水和物が用いられ、より好ましくはアルミニウム水和物である。水和物の灼熱減量は15%超である。
【0186】
成形前に混合する際に加えられる酸の量は、合成中に拘束されるシリカおよびアルミナの無水質量の重量で30%未満、好ましくは0.5〜20%である。
【0187】
押出は、市場にあるあらゆる従来のツールを用いて行われ得る。混合工程から出るペーストは、ダイを通じて、例えば、ピストンまたは単軸または二軸押出スクリューを用いて押し出される。この押出工程は、当業者に知られるあらゆる方法を用いて行われ得る。
【0188】
本発明の担体押出物の粉砕強度は、一般的に少なくとも70N/cm、より好ましくは100N/cm以上である。
【0189】
(担体の焼成)
乾燥は、当業者に知られるあらゆる技術を用いて行われる。
【0190】
本発明の担体を得るために、分子酸素の存在下、例えば、空気を流すことによって、1100℃以下の温度で焼成することが好ましい。少なくとも1回の焼成工程は、調製工程のいずれか1つの後に行われてよい。この処理は、例えば、移動床、押退け床(swept bed)または静止雰囲気において行われ得る。例えば、用いられる炉は、回転炉または放射状流層を有する縦型炉であってよい。焼成条件(温度および継続時間)は、主に、触媒の最高使用温度によって決まる。好ましい焼成条件は、200℃で1時間超および1100℃で1時間未満である。焼成は、水蒸気の存在下に行われてよい。最終の焼成は、場合によっては、酸性または塩基性の蒸気の存在下に行われてよい。例えば、焼成は、アンモニア分圧下に行われてよい。
【0191】
(合成後の処理)
担体の特性、特に上記のようなその均一性を向上させるために合成後処理が行われてよい。
【0192】
一つの好ましい実施形態では、合成後処理は水熱処理である。水熱処理は、当業者に知られるあらゆる技術を用いて行われる。用語「水熱処理」は、混合担体製造の任意の段階における蒸気相または液相中の水との接触を意味する。用語「水熱処理」は、熟成、水蒸気処理、オートクレーブ処理、湿った空気中での焼成および再水和を包含する。本発明の範囲を制限することなく、このような処理は、シリカ成分の可動性を提供するという効果を有し得る。
【0193】
本発明によると、熟成は、成形の前または後に行われ得る。本発明の好ましい態様では、水熱処理は、炉内において水蒸気存在下の水蒸気処理によって行われる。水蒸気処理の間の温度は、30分〜3時間の期間にわたり600〜1100℃、好ましくは700℃超であり得る。水蒸気含有量は、乾燥空気1kg当たり水20g超、好ましくは乾燥空気kg当たり水40g超、より好ましくは乾燥空気1kg当たり水100g超である。このような処理は、必要に応じて完全にまたは部分的に、焼成処理と置き換わり得る。
【0194】
次いで、担体は、場合によっては、密閉雰囲気下での水熱処理を経てもよい。用語「密閉雰囲気下での水熱処理」は、周囲温度を超える温度で水の存在下にオートクレーブを用いる処理を意味する。
【0195】
前記水熱処理の間、成形済みのアルミナ−シリカまたは担体(マトリクス+ゼオライト)は、異なる方法で処理されてよい。それ故に、担体またはアルミナ−シリカは、オートクレーブに入る前に酸を含浸させられ得、アルミナ−シリカのオートクレーブ処理は、蒸気相中または液相中のいずれかで行われ;オートクレーブ中の前記蒸気または液相は酸性であってもなくてもよい。オートクレーブ処理前の含浸は、酸性であってもなくてもよい。オートクレーブ処理前の前記含浸は、乾式で、または酸性水溶液中でシリカ−アルミナまたは担体に含浸させることによって行われてよい。用語「乾式含浸」は、処理されるアルミナの総細孔容積以下の容積の溶液とアルミナを接触させることを意味する。好ましくは、乾式含浸が行われる。
【0196】
オートクレーブは、好ましくは、EP-A-0 387 109において規定されるような回転バスケット式オートクレーブである。
【0197】
オートクレーブ処理の間の温度は、30分〜3時間の期間のわたり100〜250℃であってよい。
【0198】
(本発明により炭化水素仕込み原料を加工処理する方法)
一般的に、本発明の触媒は概して水素の存在下での炭化水素留分の処理のために用いられ、その際の温度は200℃以上、圧力は1MPa超、空間速度は、0.1〜20h−1、導入される水素の量は、水素(リットル)/炭化水素(リットル)の容積比が80〜5000L/Lであるようにされる。
【0199】
本発明の触媒は、有利には、炭化水素留分の水素化分解/水素化転化のために用いられる。
【0200】
本発明の触媒はまた、炭化水素仕込み原料の水素化処理のために用いられてよく、単独で、またはゼオライトまたはアルミナ−シリカをベースとし、好ましくはニッケルおよびタングステンを含む水素化分解触媒を用いる水素化分解/水素化転化処理の上流で用いられる。
【0201】
(触媒の硫化)
仕込み原料を注入する前に、本発明の方法において用いられる触媒は、好ましくは、硫化処理を経て、少なくとも部分的に、金属種が硫化物に変換されて、その後に、処理されるべき仕込み原料と接触させられる。この硫化活性化処理は当業者に周知であり、文献に既に記載されているあらゆる方法を用いて、現場内、すなわち、反応器内または現場外で行われてよい。
【0202】
当業者に周知である従来の硫化法は、硫化水素(高純度または例えば水素/硫化水素混合物の流れ中)の存在下、150〜800℃、好ましくは250〜600℃の温度で、一般的には、移動床反応帯域中で加熱することからなる。
【0203】
(仕込み原料)
上記の本発明の方法によって非常に多岐にわたる仕込み原料が処理され得、一般的に、それらは、340℃超で沸騰する化合物を少なくとも20容積%、通常は少なくとも80容積%含有する。
【0204】
仕込み原料は、例えば、LCO(ライトサイクルオイル;接触分解装置からの軽質軽油)、常圧蒸留液、減圧蒸留液(例えば、直留蒸留またはFCC、コーカー等の転化装置からの、または、ビスブレーキングからの軽油)、および潤滑油ベースからのまたは潤滑油ベースの溶媒脱ろうからの芳香族の抽出用の装置または脱硫法または固定床水素化転化または沸騰床常圧残油(atmospheric residue:AR)水素化転化および/またはRSV(減圧残油)および/または脱アスファルト油からの蒸留液からの仕込み原料であり、または、仕込み原料は、脱アスファルト油、あるいは、上に挙げた仕込み原料の任意の混合物であってもよい。上記リストは制限的ではない。フィッシャー・トロプシュ法からのパラフィンは除かれる。一般に、仕込み原料は、340℃超、好ましくは370℃超の沸点T5を有し、すなわち、仕込み原料中に存在する化合物の95%は、340℃超、好ましくは370℃超の沸点を有する。
【0205】
本発明の方法において処理される仕込み原料の窒素含有量は、通常500重量ppm超、好ましくは500〜10000重量ppm、より好ましくは700〜4000重量ppm、一層より好ましくは1000〜4000重量ppmである。本発明の方法において処理される仕込み原料の硫黄含有量は、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.2〜4重量%、より好ましくは0.5〜2重量%である。
【0206】
仕込み原料は、場合によっては、金属を含有してもよい。本発明の方法において処理される仕込み原料の蓄積ニッケルおよびバナジウムの含有量は、好ましくは1重量ppm未満である。
【0207】
アスファルテン含有量は、好ましくは3000重量ppm未満、好ましくは1000重量ppm未満、より好ましくは200重量ppm未満である。
【0208】
(保護層)
仕込み原料が樹脂および/またはアスファルテンタイプの化合物を含有する場合、最初に、水素化分解または水素化処理触媒とは異なる触媒または吸着剤の床上に仕込み原料を通すことが有利である。
【0209】
本発明により用いられる触媒または保護層は、球状または押出物の形状を有する。しかしながら、触媒は、有利には0.5〜5mm、より特定的には0.7〜2.5mmの径を有する押出物の形態である。形状は、円筒状(中空または中空以外)、捻れ状円筒、多葉状(例えば、2、3、4または5葉)、リング状である。円筒形状が好ましいが、任意の他の形状が用いられてよい。
【0210】
仕込み原料中の汚染物質および/または毒物の存在を改善するために、保護層触媒は、さらに好ましい実施形態では、それらの空洞割合を増大させるようにより特定的な幾何学形状を有し得る。これらの触媒の空洞割合は0.2〜0.75である。それらの外径は、1〜35mmであってよい。制限しない特定の可能な形状は、中空円筒状、中空リング状、ラシヒ(Raschig)リング状、中空歯車型円筒状(hollow toothed cylinder)、中空円鋸型円筒状(hollow crenellated cylinder)、ペンタ−リング車輪状(penta-ring wheel)、多孔円筒状(multi-holed cylinder)等である。
【0211】
これらの触媒は、活性または不活性相を含浸させられ得る。好ましくは、触媒は、水添脱水素相を含浸させられる。より好ましくは、CoMoまたはNiMo相が用いられる。
【0212】
これらの触媒は、マクロ多孔度を有してもよい。保護層は、Norton-Saint-Gobainによって市販されるもの、例えば、MacroTrap(登録商標)保護層であってよい。保護層は、Axensによって市販される、ACTファミリー:ACT077、ACT935、ACT961またはHMC841、HMC845、HMC941またはHMC945からのものであってよい。
【0213】
可変高さの少なくとも2つの異なる層にこれらの触媒を重ね合わせることが特に有利であり得る。触媒反応器への入口での第1の触媒床(単数または複数)において最高空隙割合を有する触媒が好ましくは用いられる。これらの触媒のために少なくとも2つの異なる反応器を用いることも有利であり得る。
【0214】
本発明の好ましい保護層はHMCおよびACT961である。
【0215】
(操作条件)
温度、圧力、水素再循環、毎時空間速度等の操作条件は、仕込み原料の性質、産物の所望の品質および精油所において利用可能な設備に応じて幅広く変動し得る。水素化分解/水素化転化触媒または水素化処理触媒は、一般的には、水素の存在下に、上記の仕込み原料と接触させられ、その際の温度は、200℃超、通常250〜480℃、有利には320〜450℃、好ましくは330〜435℃、圧力は1MPa超、通常2〜25MPa、好ましくは3〜20MPaであり、空間速度は、0.1〜20h−1、好ましくは0.1〜6h−1、好ましくは0.2〜3h−1であり、導入される水素の量は、水素(L)/炭化水素(L)の容積比が80〜5000L/L、通常100〜2000L/Lであるようにされる。
【0216】
本発明の方法において用いられるこれらの操作条件は、一般的に、1回通過毎に、15%超、好ましくは20〜95%の340℃未満、好ましくは370℃未満の沸点を有する産物への転化率を引き出す。
【0217】
(実施形態)
本発明の触媒を用いる水素化分解/水素化転化法は、マイルド水素化分解から高圧水素化分解に至る圧力および転化範囲にわたる。用語「マイルド水素化分解」は、一般的には40%未満の中程度の転化をもたらし、一般的には2〜6MPaの低圧で操作する水素化分解を意味する。
【0218】
本発明の触媒は、単独で、単一または複数の固定触媒床において、1以上の反応器において、単流(once-through)法と称される炭化水素の設備において、未転化フラクションの液体の再循環を伴ってまたは伴わないで、場合によっては、本発明の触媒の上流に配置される水素化精製触媒と関連して用いられ得る。
【0219】
本発明の触媒は、単独で、1以上の沸騰床反応器において、単流水素化分解法において、未転化フラクションの液体の再循環を伴ってまたは伴わないで、場合によっては、本発明の触媒の上流に配置される水素化精製触媒と関連して用いられ得る。
【0220】
沸騰床は、触媒の活性を安定に維持するように使用済み触媒の抜き出しおよび新鮮な触媒の日毎の添加で動作する。
【0221】
2つの反応帯域の間に中間分離を有する二段階水素化分解法では、所与の段階において、本発明の触媒は、1以上の反応器において、本発明の触媒の上流に配置される水素化精製触媒と組み合わせてまたは組み合わせないで、用いられ得る。
【0222】
(単流法)
単流水素化分解は、一般的に、最初に、仕込み原料の深い(deep)水素化脱窒素および脱硫を目的とする深い水素化精製を含み、その後に、これは適切に、特に水素化分解触媒がゼオライトを含む場合に水素化分解触媒に送られる。仕込み原料のこの深い水素化精製は、仕込み原料のより軽質なフラクションへの制限された転化率のみを引き出し、これは、不十分であり、このため、より活性な水素化分解触媒を用いて完了させられなければならない。しかしながら、2タイプの触媒の間に分離が行われないことが留意されるべきである。反応器からの流出物の全体が水素化分解触媒上に適切に注入され、形成された産物の分離のみがこの後に行われる。このバージョンの水素化分解(単流水素化分解)は、仕込み原料のより深い転化のために未転化フラクションを反応器に再循環させることを含む変形例を有する。
【0223】
(固定床単流法)
低シリカ触媒について、触媒の組成の一部を形成する担体のシリカ含有量は、5〜30重量%、好ましくは5〜20重量%である。
【0224】
高シリカ触媒について、触媒の組成の一部を形成する担体のシリカ含有量は、20〜80重量%、好ましくは30〜60重量%である。
【0225】
本発明の触媒がゼオライト性水素化分解触媒、例えば、Yゼオライトベースとするものの上流で用いられる場合、上記のような低シリカ含有量を有する触媒が有利には用いられる。それは、水素化精製触媒と関連して有利に用いられ得、この水素化精製触媒は、本発明の触媒の上流に配置される。
【0226】
本発明の触媒がアルミナ−シリカまたはゼオライトをベースとする水素化分解触媒の上流で用いられる場合、同一反応器中の相異なる触媒床または相異なる反応器において、一般的には(または好ましくは)転化は、50重量%未満、好ましくは40%未満である。
【0227】
本発明の触媒は、ゼオライト触媒の上流または下流で用いられ得る。ゼオライト触媒の下流で、それは、HPAを分解することができる。用語「HPA」は、J Scherzerによる著書「Hydrocracking,Science and Technology」、M Dekker Incorporated,1996において特に記載されるような多芳香族炭化水素を意味する。
【0228】
(沸騰床単流法)
本発明の触媒は、単独で、1以上の反応器において用いられ得る。
【0229】
このような方法との関連で、有利には直列の複数の反応器が用いられ得、本発明の触媒を含有する沸騰床反応器(単数または複数)の前に、固定または沸騰床中に少なくとも1種の水素化精製触媒を含有する1以上の反応器が置かれる。
【0230】
本発明の触媒が水素化精製触媒の下流で用いられる場合、前記水素化精製触媒によって引き起こされる仕込み原料のフラクションの転化は、一般的に(または好ましくは)30重量%未満、好ましくは25重量%未満である。
【0231】
(中間分離を伴う固定床単流法)
本発明の触媒はまた、水素化精製帯域、アンモニアの部分的な除去を可能にする帯域(例えばホットフラッシュ(hot flash)による)、および水素化分解触媒を含む帯域を含む単流水素化分解法において用いられ得る。中間留分および場合によってはオイルベースの産出のために一工程で炭化水素仕込み原料を水素化分解するためのこの方法は、水素化精製を含む少なくとも1つの第一反応帯域と、少なくとも1つの第二反応帯域とを含む。第二反応帯域では、第一反応帯域からの流出物の少なくとも一部の水素化分解が行われる。この方法はまた、第一帯域を出る流出物からのアンモニアの不完全な分離を含む。この分離は、有利には、中間ホットフラッシュを用いて行われる。第二反応帯域での水素化分解は、仕込み原料中に存在する量より少ない量のアンモニアの存在下、好ましくは1500重量ppm未満、より好ましくは1000重量ppm未満、一層より好ましくは800重量ppm未満の窒素下に行われる。本発明の触媒は、好ましくは、水素化分解反応帯域において、本発明の触媒の上流に配置される水素化精製触媒と組み合わせてまたは組み合わせずに用いられる。本発明の触媒は、ゼオライト触媒の上流または下流で用いられ得る。ゼオライト触媒の下流で、HPAまたはHPA前駆体は転化され得る。
【0232】
本発明の触媒は、予備処理転化のために第一反応帯域において、単独で、または、本発明の触媒の上流に位置する従来の水素化精製触媒と関連して、1以上の反応器における1以上の触媒床において用いられ得る。
【0233】
(低活性触媒を用いる予備的水素化精製を伴う単流水素化分解法)
本発明の触媒は、水素化分解法であって、該方法は、
・水素化精製の第一反応帯域;該帯域において、仕込み原料は少なくとも1種の水素化精製触媒と接触させられる;該触媒は、標準活性試験において、シクロヘキサン転化度が10重量%未満である;および、
・水素化分解の第二反応帯域;該帯域において、水素化精製工程からの流出物の少なくとも一部が、少なくとも1種のゼオライト水素化分解触媒と接触させられる;該触媒は、標準活性試験において、シクロヘキサン転化度が10重量%超である;
を含み、本発明の触媒は、2つの反応帯域の少なくとも一方に存在する、方法において用いられ得る。
【0234】
水素化精製触媒の触媒容積の比率は、一般的に、全触媒容積の20〜45%を示す。
【0235】
第二反応帯域からの流出物は、少なくとも部分的に、好ましくは全体的に、前記方法の第二反応帯域に導入される。上記のように中間ガスの分離が行われ得る。
【0236】
第二反応帯域からの流出物は、最終分離(例えば常圧蒸留によるが、場合によっては、減圧蒸留に続けられる)を経て、ガスが分離される。少なくとも1つの残留液体フラクション(これは、一般的には340℃超の沸点を有する産物を本質的に含有する)が得られ、これは少なくとも一部、中間留分を生じさせることを目的として、本発明の方法の第二反応帯域の上流、好ましくは、アルミナ−シリカをベースとする水素化分解触媒の上流に再循環させられ得る。
【0237】
340℃未満または370℃未満の沸点を有する産物の転化率は、少なくとも50重量%である。
【0238】
(二段階法)
二段階水素化分解は、単流法の場合のように仕込み原料を水素化精製することを目的とするが、一般的には40〜60%程度である該仕込み原料の転化率を引き出すことも目的とする第一段階を含む。第一段階からの流出物は、次いで、分離(蒸留)を経る。これは通常中間分離と称される。この分離は、未転化フラクションから転化産物を分離することを目的とする。二段階水素化分解法の第二段階では、第一段階において転化されていない仕込み原料のフラクションのみが処理される。この分離は、二段階水素化法が、中間留分(灯油+ディーゼル)において、単流法より選択的であることを可能にする。実際に、転化産物の中間分離は、第二段階において水素化分解触媒上でそれらをナフサおよびガスに「過剰分解」することを回避する。さらに、第二段階において処理される仕込み原料の未転化フラクションは、一般的に、極少量のNH並びに窒素含有有機化合物を、一般的には20重量ppm未満、さらには10重量ppm未満で含有することが留意されるべきである。
【0239】
触媒が単独でまたは従来の水素化精製触媒と関連して用いられる場合と同一の構成の固定床または沸騰床の触媒床が二段階法の第一段階において用いられ得る。本発明の触媒は、ゼオライト触媒の上流または下流で用いられ得る。ゼオライト触媒の下流で、それは、HPAまたはHPA前駆体を転化し得る。
【0240】
単流法および二段階水素化分解法の第一段階のために、本発明の好ましい触媒は、第VIII族非貴金属元素をベースとするドープ触媒であるが、より好ましくはニッケルおよびタングステンをベースとする触媒であり、好ましいドーピング元素はリンである。
【0241】
二段階水素化分解法の第二段階において用いられる触媒は、好ましくは第VIII族からの元素をベースとするドープ触媒、より好ましくは、白金および/またはパラジウムをベースとする触媒であり、好ましいドーピング元素はリンである。
【0242】
以下の実施例は、決して本発明の範囲を制限することなく、本発明を例示する。
【0243】
(実施例)
(実施例1:本発明に合致する触媒C1の調製)
(アルミナシリカマトリクスAS1の合成)
AS1マトリクスは、以下方法によって得られる。
【0244】
US 3 124 418に従ってアルミナ水和物が調製される。ろ過後、沈殿物は、イオン交換樹脂上での交換によって調製されたケイ酸溶液と混合される、Al70%−SiO30%の無水産物におけるシリカ−アルミナマトリクスの最終の組成に達するように所定割合の2つの溶液が加えられる。この混合物は、ミルを出た時の懸濁液の硝酸の含有量がアルミナ−シリカの混合固体に対して8%であるような硝酸の存在下に市販のコロイダルミルにおいて均質化される。次いで、懸濁液は、従来の噴霧器において、300〜60℃の温度で従来通りに乾燥させられる。
【0245】
(ゼオライトZ1)
本発明者らは、USYタイプのゼオライトZ1を用いる。このゼオライトZ1は、14.7のSi/Al比(FXによって測定される)、19の骨格Si/Al比(RMNによって測定される)、260ppmのナトリウム含有量、メッシュパラメータa=24.29Å、88%の結晶率および838m/gのBET比表面積を有している。
【0246】
(担体S1の成形)
5gのゼオライトZ1および95gのアルミナ−シリカマトリクスAS1が、上記の固体物質に関して混合される。この混合が実現された後、押出器に導入される。ゼオライトの粉体が最初に湿らされ、次いで、硝酸66%(乾燥ゲルの重量(g)当たり酸の重量で5%)の存在下にアルミナ−シリカマトリクスの粉体に加えられる。得られた混合物は、15分間混合される。得られたスラリーは、1.4mmに等しい径を有する円筒状開口を備えたダイに通される。次いで、押出物は、空気下に120℃で終夜乾燥させられ、次いで、空気下に550℃で焼成され、次いで、水蒸気の存在下に700℃で焼成される。
【0247】
5%のゼオライトZ1を含有する担体S1は、次いで、無水物の質量に関して得られる。無水物における担体S1の質量組成はAl66.5%およびSiO33.5%である。
【0248】
(本発明に合致する水素化分解触媒C1の調製)
触媒C1は、タングステンおよびニッケル塩およびリン酸HPOを含有する溶液を用いる押出物の形態の担体S1の乾式含浸によって得られる。タングステン塩はメタタングステン酸アンモニウム(NH1240・4HOであり、ニッケル塩は硝酸ニッケルNi(NO・6HOであった。水飽和雰囲気における室温での熟成の後、含浸させられた押出物は、120℃で終夜乾燥させられ、次いで、乾燥空気中500℃で焼成された。触媒C1の最終のWO、NiO、Pは、24.7重量%、3.6重量%および2重量%である。
【0249】
触媒C1の特徴は以下の通りである:
BET比表面積は245m/gである;
総細孔容積(窒素多孔度測定によって測定される)は0.37ml/gである;
総細孔容積(水銀多孔度測定によって測定される)は0.34ml/gである;
平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される)は75Åである;
(D平均−30Å)と(D平均+30Å)の間に包含される容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の総細孔容積(これも水銀多孔度測定法によって測定される)に対する比は0.87である;
(D平均+30Å)超の径を有する細孔に包含される容積V3(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.045ml/gである;
(D平均+15Å)超の径を有する細孔に包含される容積V6(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.05ml/gである;
140Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.040ml/gである;
160Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.0385ml/gである;
200Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.038ml/gである;
500Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.032ml/gである;
X線回折図は、
− ガンマアルミナの特徴である主要線、それは、1.39〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdにピークを含む;
− USYタイプのゼオライトZ1の特徴である主要線
を含む;
Na含有量は190±20ppmである。S含有量は800ppmである。
【0250】
(実施例2:本発明に合致する触媒C2の調製)
触媒C2の調製のために用いられるアルミナ−シリカマトリクスは、実施例1に規定されたアルミナ−シリカAS1である。
【0251】
(ゼオライトZ2)
本発明者らは、出願特許US 5 601 798に記載されたようなUSYタイプのゼオライトZ2を用いる。このゼオライトは、実施例52の表16に記載された方法により調製される。得られたメソ孔容積は0.36cm/gである。メッシュパラメータa=24.34Åであり、結晶率は75%である。
【0252】
(担体S2の成形)
5gのゼオライトZ2および95gのアルミナ−シリカマトリクスAS1が、上記のような固体物質に関して混合される。担体S2の成形は、担体S1の成形と同じである。
【0253】
5%のゼオライトZ2を含有する担体S2が、次いで、無水物の質量に関して得られる。無水物の担体S1の質量組成はAl66.7%およびSiO33.3%である。
【0254】
(本発明に合致する水素化分解触媒C2の調製)
担体S2の乾式含浸によって触媒C2が得られる。触媒C2の調製は、実施例1の触媒C1の調製と同一である。触媒C2の最終のWO、NiO、Pは、24.9重量%、3.8重量%および2重量%である。
【0255】
触媒C2の特徴は以下の通りである:
BET比表面積は250m/gである;
総細孔容積(窒素多孔度測定法によって測定される)は0.36ml/gである;
総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.33ml/gである;
平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される)は75Åである;
(D平均−30Å)と(D平均+30Å)の間に包含される容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の総細孔容積(これも水銀多孔度測定法によって測定される)に対する比は0.87である;
(D平均+30Å)超の径を有する細孔に包含される容積V3(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.045ml/gである;
(D平均+15Å)超の径を有する細孔に包含される容積V6(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.05ml/gである;
140Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.040ml/gである;
160Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.0375ml/gである;
200Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.037ml/gである;
500Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.030ml/gである;
X線回折図は、
− ガンマアルミナの特徴である主要線、それは、1.39〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdにピークを含む;
− USYタイプのゼオライトZ2の特徴である主要線
を含む;
Na含有量は190±20ppmである。S含有量は800ppmである。
【0256】
(実施例3:本発明に合致する触媒C3の調製)
触媒C3の調製のために用いられるアルミナ−シリカマトリクスは、実施例1に規定されたアルミナ−シリカAS1である。
【0257】
(ゼオライトZ3)
本発明者らは、USYタイプのゼオライトZ3を用いる。このゼオライトZ3は、73のSi/Al比(FXによって測定される)、102ppmのナトリウムの含有量、メッシュパラメータa=24.15Å、44%の結晶率および783m/gのBET比表面積を有する。
【0258】
(担体S3の成形)
25gのゼオライトZ3および75gのアルミナ−シリカマトリクスAS1が上記の固体物質に関して混合される。担体S3の成形は、実施例1の担体S1の成形と同一である。
【0259】
25%のゼオライトZ3を含有する担体S3がその後無水質量に関して得られる。無水物の担体S3の質量組成はAl52.6%およびSiO47.4%である。
【0260】
(本発明に合致する水素化分解触媒C3の調製)
触媒C3は、担体S3の乾式含浸によって得られる。触媒C3の調製は、実施例1の触媒C1の調製と同一である。触媒C3の最終のWO、NiO、Pは、26重量%、4.0重量%および2重量%である。
【0261】
触媒C3の特徴は以下の通りである:
BET比表面積は365m/gである;
総細孔容積(窒素多孔度測定法によって測定される)は0.38ml/gである;
総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.32ml/gである;
平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される)は77Åである;
(D平均−30Å)と(D平均+30Å)の間に包含される容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の総細孔容積(これも水銀多孔度測定法によって測定される)に対する比は0.87である;
(D平均+30Å)超の径を有する細孔に包含される容積V3(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.045ml/gである;
(D平均+15Å)超の径を有する細孔に包含される容積V6(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.05ml/gである;
140Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.040ml/gである;
160Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.038ml/gである;
200Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.037ml/gである;
500Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.031ml/gである;
X線回折図は、
− ガンマアルミナの特徴である主要線、それは、1.39〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdにピークを含む;
− USYタイプのゼオライトZ3の特徴である主要線
を含む。
【0262】
Na含有量は190±20ppmである。S含有量は800ppmである。
【0263】
(実施例4:本発明に合致しない触媒C4の調製)
触媒C4の調製のために用いられるアルミナ−シリカマトリクスは、実施例1に規定されたアルミナ−シリカAS1である。
【0264】
(ゼオライトZ4)
本発明者らは、Y型ゼオライトZ4を用いる。このゼオライトZ4は、2.6のSi/Al比(FXによって測定される)、1400ppmのナトリウムの含有量、メッシュパラメータa=24.53Åおよび750m/gのBET比表面積を有する。
【0265】
(担体S4の成形)
5gのゼオライトZ4および95gのアルミナ−シリカマトリクスAS1が上記の固体物質に関して混合される。担体S4の成形は、実施例1の担体S1の成形と同一である。
【0266】
5%のゼオライトZ4を含有する担体S4がその後無水質量に関して得られる。無水物の担体S4の質量組成はAl66.5%およびSiO33.5%である。
【0267】
(本発明に合致しない水素化分解触媒C4の調製)
触媒C4は、担体S4の乾式含浸によって得られる。触媒C4の調製は、実施例1の触媒C1の調製と同一である。触媒C4の最終のWO、NiO、Pは、25.9重量%、3.9重量%および2重量%である。
【0268】
触媒C4の特徴は以下の通りである:
BET比表面積は210m/gである;
総細孔容積(窒素多孔度測定法によって測定される)は0.33ml/gである;
総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.32ml/gである;
平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される)は75Åである;
(D平均−30Å)と(D平均+30Å)の間に包含される容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の総細孔容積(これも水銀多孔度測定法によって測定される)に対する比は0.87である;
(D平均+30Å)超の径を有する細孔に包含される容積V3(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.045ml/gである;
(D平均+15Å)超の径を有する細孔に包含される容積V6(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.05ml/gである;
140Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.040ml/gである;
160Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.038ml/gである;
200Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.036ml/gである;
500Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.030ml/gである;
X線回折図は、
− ガンマアルミナの特徴である主要線、それは、1.39〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdにピークを含む;
− YタイプのゼオライトZ4の特徴である主要線
を含む。
【0269】
Na含有量は265±20ppmである。S含有量は800ppmである。
【0270】
(実施例5:本発明に合致する触媒C5の調製)
(シリカ−アルミナマトリクスSA2の合成)
マトリクスAS2は、以下の方法により得られる。特許WO00/01617に記載されている方法により水酸化アルミナ粉体が調製された。レーザー粒度分布法(laser granulometry)によって測定される水酸化アルミナ粒子の平均粒子のサイズは40ミクロンである。この粉体は、イオン交換樹脂上での交換によって調製されたシリカゾルに混合され、多孔度2を有する樹脂上でろ過される。シリカゾルおよび水酸化アルミナ粉体が加えられ、Al60%−SiO40%の無水物のアルミナ−シリカマトリクスの最終組成物が得られた。この懸濁液は次いでろ過され、混合ケーキ状物の水の量が低減させられた。
【0271】
(ゼオライトZ1)
本発明者らは、実施例1に規定されたゼオライトZ1を用いる。
【0272】
(担体S5の成形)
5gのゼオライトZ1および95gのアルミナ−シリカマトリクスAS2が上記の固体物質に関して混合される。担体S5の成形は、実施例1の担体S1の成形と同一である。
【0273】
5%のゼオライトZ1を含有する担体S5がその後無水質量に関して得られる。無水物の担体S5の質量組成はAl57%およびSiO43%である。
【0274】
(本発明に合致する水素化分解触媒C5の調製)
触媒C5は、担体S5の乾式含浸によって得られる。触媒C5の調製は、実施例1の触媒C1の調製と同一である。触媒C5の最終のWO、NiO、Pは、24.7重量%、3.6重量%および2重量%である。
【0275】
触媒C5の特徴は以下の通りである:
BET比表面積は235m/gである;
総細孔容積(窒素多孔度測定法によって測定される)は0.36ml/gである;
総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.34ml/gである;
平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される)は72Åである;
(D平均−30Å)と(D平均+30Å)の間に包含される容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の総細孔容積(これも水銀多孔度測定法によって測定される)に対する比は0.9である;
(D平均+30Å)超の径を有する細孔に包含される容積V3(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.072ml/gである;
(D平均+15Å)超の径を有する細孔に包含される容積V6(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.087ml/gである;
140Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.055ml/gである;
160Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.053ml/gである;
200Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.051ml/gである;
500Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.045ml/gである;
X線回折図は、
− ガンマアルミナの特徴である主要線、それは、1.39〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdにピークを含む;
− USYタイプのゼオライトZ1の特徴である主要線
を含む。
【0276】
Na含有量は190±20ppmである。S含有量は800ppmである。
【0277】
(実施例6:本発明に合致する触媒C6の調製)
触媒C6の調製のために用いられるアルミナ−シリカマトリクスは、実施例5に規定されたアルミナ−シリカAS2である。
【0278】
(ゼオライトZ2)
本発明者らは、実施例2に規定されたゼオライトZ2を用いる。
【0279】
(担体S6の成形)
5gのゼオライトZ2および95gのアルミナ−シリカマトリクスAS2が上記の固体物質に関して混合される。担体S6の成形は、実施例1の担体S1の成形と同一である。
【0280】
5%のゼオライトZ2を含有する担体S6がその後無水物質量に関して得られる。無水物の担体S6の質量組成はAl57%およびSiO43%である。
【0281】
(本発明に合致する水素化分解触媒C6の調製)
触媒C6は、担体S6の乾式含浸によって得られる。触媒C6の調製は、実施例1の触媒C1の調製と同一である。触媒C6の最終のWO、NiO、Pは、24.6重量%、3.6重量%および2重量%である。
【0282】
触媒C6の特徴は以下の通りである:
BET比表面積は210m/gである;
総細孔容積(窒素多孔度測定法によって測定される)は0.35ml/gである;
総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.33ml/gである;
平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される)は70Åである;
(D平均−30Å)と(D平均+30Å)の間に包含される容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の総細孔容積(これも水銀多孔度測定法によって測定される)に対する比は0.9である;
(D平均+30Å)超の径を有する細孔に包含される容積V3(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.072ml/gである;
(D平均+15Å)超の径を有する細孔に包含される容積V6(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.087ml/gである;
140Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.055ml/gである;
160Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.053ml/gである;
200Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.051ml/gである;
500Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.044ml/gである;
X線回折図は、
− ガンマアルミナの特徴である主要線、それは、1.39〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdにピークを含む;
− USYタイプのゼオライトZ2の特徴である主要線
を含む。
【0283】
Na含有量は190±20ppmである。S含有量は800ppmである。
【0284】
(実施例7:本発明に合致する触媒C7の調製)
触媒C7の調製のために用いられるアルミナ−シリカマトリクスは、実施例5に規定されたアルミナ−シリカAS2である。
【0285】
(ゼオライトZ3)
本発明者らは、実施例3に規定されたゼオライトZ3を用いる。
【0286】
(担体S7の成形)
25gのゼオライトZ3および75gのアルミナ−シリカマトリクスAS2が上記の固体物質に関して混合される。担体S7の成形は、実施例1の担体S1の成形と同一である。
【0287】
25%のゼオライトZ3を含有する担体S7がその後無水物質量に関して得られる。無水物の担体S7の質量組成はAl45%およびSiO55%である。
【0288】
(本発明に合致する水素化分解触媒C7の調製)
触媒C7は、担体S7の乾式含浸によって得られる。触媒C7の調製は、実施例1の触媒C1の調製と同一である。触媒C7の最終のWO、NiO、Pは、24.5重量%、3.5重量%および2重量%である。
【0289】
触媒C7の特徴は以下の通りである:
BET比表面積は360m/gである;
総細孔容積(窒素多孔度測定法によって測定される)は0.38ml/gである;
総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.35ml/gである;
平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される)は75Åである;
(D平均−30Å)と(D平均+30Å)の間に包含される容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の総細孔容積(これも水銀多孔度測定法によって測定される)に対する比は0.9である;
(D平均+30Å)超の径を有する細孔に包含される容積V3(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.072ml/gである;
(D平均+15Å)超の径を有する細孔に包含される容積V6(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.087ml/gである;
140Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.055ml/gである;
160Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.052ml/gである;
200Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.050ml/gである;
500Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.042ml/gである;
X線回折図は、
− ガンマアルミナの特徴である主要線、それは、1.39〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdにピークを含む;
− USYタイプのゼオライトZ3の特徴である主要線
を含む。
【0290】
Na含有量は180±20ppmである。S含有量は800ppmである。
【0291】
(実施例8:本発明に合致しない触媒C8の調製)
触媒C8の調製のために用いられるアルミナ−シリカマトリクスは、実施例5に規定されたアルミナ−シリカAS2である。
【0292】
(ゼオライトZ4)
本発明者らは、実施例4に規定されたゼオライトZ4を用いる。
【0293】
(担体S8の成形)
5gのゼオライトZ4および95gのアルミナ−シリカマトリクスAS2が上記の固体物質に関して混合される。担体S8の成形は、実施例1の担体S1の成形と同一である。
【0294】
5%のゼオライトZ4を含有する担体S8がその後無水物質量に関して得られる。無水物の担体S8の質量組成はAl57%およびSiO43%である。
【0295】
(本発明に合致する水素化分解触媒C8の調製)
触媒C8は、担体S8の乾式含浸によって得られる。触媒C8の調製は、実施例1の触媒C1の調製と同一である。触媒C8の最終のWO、NiO、Pは、24.5重量%、3.5重量%および2重量%である。
【0296】
触媒C8の特徴は以下の通りである:
BET比表面積は210m/gである;
総細孔容積(窒素多孔度測定法によって測定される)は0.38ml/gである;
総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.35ml/gである;
平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される)は76Åである;
(D平均−30Å)と(D平均+30Å)の間に包含される容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の総細孔容積(これも水銀多孔度測定法によって測定される)に対する比は0.9である;
(D平均+30Å)超の径を有する細孔に包含される容積V3(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.072ml/gである;
(D平均+15Å)超の径を有する細孔に包含される容積V6(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.087ml/gである;
140Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.055ml/gである;
160Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.052ml/gである;
200Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.050ml/gである;
500Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.045ml/gである;
X線回折図は、
− ガンマアルミナの特徴である主要線、それは、1.39〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdにピークを含む;
− USYタイプのゼオライトZ4の特徴である主要線
を含む。
【0297】
Na含有量は260±20ppmである。S含有量は800ppmである。
【0298】
(実施例9:本発明に合致しない触媒C9の調製)
(シリカ−アルミナマトリクスAS3の合成)
マトリクスAS3は、以下の方法により得られる。
【0299】
水とケイ酸ナトリウムを混合し、この混合物をイオン交換樹脂上に送ることによってアルミナ−シリカゲルが調製される。塩化アルミニウム六水和物が水中で、脱カチオン化されたシリカゾルに加えられる。ゲルを得るために、アンモニアが加えられ、次いで、沈殿物がろ過され、それは、濃アンモニア水により、洗浄のために用いられた水の伝導度(conductivity)が一定になるまで洗浄される。得られたゲルは、擬ベーマイトの粉体と混合され、無水物のアルミナ−シリカマトリクスの最終組成物は、Al70%−SiO30%に等しい。この懸濁液は、硝酸の存在下にコロイダルミルに通され、その結果、ミルから出てくる時の懸濁液の硝酸の含有量は、アルミナ−シリカ混合固体に対して8%である。この懸濁液は、次いで、ろ過され、混合ケーキ状物の水の量が低減させられる。
【0300】
(ゼオライトZ1)
本発明者らは、実施例1に規定されたゼオライトZ1を用いる。
【0301】
(担体S9の成形)
5gのゼオライトZ1および95gのアルミナ−シリカマトリクスAS3が上記の固体物質に関して混合される。担体S9の成形は、実施例1の担体S1の成形と同一である。
【0302】
5%のゼオライトZ1を含有する担体S9がその後無水物質量に関して得られる。無水物の担体S9の質量組成はAl66.5%およびSiO33.5%である。
【0303】
(本発明に合致する水素化分解触媒C9の調製)
触媒C9は、担体S9の乾式含浸によって得られる。触媒C9の調製は、実施例1の触媒C1の調製と同一である。触媒C9の最終のWO、NiO、Pは、24.7重量%、3.6重量%および2重量%である。
【0304】
触媒C9の特徴は以下の通りである:
BET比表面積は205m/gである;
総細孔容積(窒素多孔度測定法によって測定される)は0.33ml/gである;
総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.32ml/gである;
平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される)は69Åである;
(D平均−30Å)と(D平均+30Å)の間に包含される容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の総細孔容積(これも水銀多孔度測定法によって測定される)に対する比は0.95である;
(D平均+30Å)超の径を有する細孔に包含される容積V3(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.018ml/gである;
(D平均+15Å)超の径を有する細孔に包含される容積V6(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.021ml/gである;
140Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.012ml/gである;
160Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.010ml/gである;
200Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.006ml/gである;
500Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.002ml/gである;
X線回折図は、
− ガンマアルミナの特徴である主要線、それは、1.39〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdにピークを含む;
− USYタイプのゼオライトZ1の特徴である主要線
を含む。
【0305】
Na含有量は190±20ppmである。S含有量は800ppmである。
【0306】
(実施例10:本発明に合致する触媒C10の調製)
(シリカ−アルミナマトリクスAS4の合成)
マトリクスAS4は、アルミナ−シリカ粉体であり、Al60%およびSiO40%の無水物の化学重量組成を有する。そのNa含有量は100〜120重量ppmである。その比表面積は520m/gである。その総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.83cm/gである。細孔分布は双峰性である。メソ孔の範囲において、7nmに最大値を有する4〜15nmの大きなピークが観察される。担体について、50nm超の径を有する細孔は、総細孔容積の40%を示す。
【0307】
(ゼオライトZ1)
本発明者らは、実施例1に規定されたゼオライトZ1を用いる。
【0308】
(担体S10の成形)
5gのゼオライトZ1および95gのアルミナ−シリカマトリクスAS4が上記の固体物質に関して混合される。担体S10の成形は、実施例1の担体S1の成形と同一である。
【0309】
5%のゼオライトZ1を含有する担体S10がその後無水物質量に関して得られる。無水物の担体S10の質量組成はAl57%およびSiO43%である。
【0310】
(本発明に合致する水素化分解触媒C10の調製)
触媒C10は、担体S10の乾式含浸によって得られる。触媒C10の調製は、実施例1の触媒C1の調製と同一である。触媒C10の最終のWO、NiO、Pは、24.7重量%、3.6重量%および2重量%である。
【0311】
触媒C10の特徴は以下の通りである:
BET比表面積は255m/gである;
総細孔容積(窒素多孔度測定法によって測定される)は0.85ml/gである;
総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.83ml/gである;
平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される)は85Åである;
(D平均−30Å)と(D平均+30Å)の間に包含される容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の総細孔容積(これも水銀多孔度測定法によって測定される)に対する比は0.4である;
(D平均+30Å)超の径を有する細孔に包含される容積V3(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.41ml/gである;
(D平均+15Å)超の径を有する細孔に包含される容積V6(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.43ml/gである;
140Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.37ml/gである;
160Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.35ml/gである;
200Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.34ml/gである;
500Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.33ml/gである;
X線回折図は、
− ガンマアルミナの特徴である主要線、それは、1.39〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdにピークを含む;
− USYタイプのゼオライトZ1の特徴である主要線
を含む。
【0312】
Na含有量は110±20ppmである。S含有量は800ppmである。
【0313】
(実施例11:本発明に合致する触媒C11の調製)
触媒C11の調製のために用いられるアルミナ−シリカマトリクスは、実施例1において規定されたアルミナ−シリカAS1である
(ゼオライトZ1)
本発明者らは、実施例1に規定されたゼオライトZ1を用いる。
【0314】
(担体S11の成形)
5gのゼオライトZ1および95gのアルミナ−シリカマトリクスAS1が上記の固体物質に関して混合される。担体S11の成形は、実施例1の担体S1の成形と同一である。
【0315】
5%のゼオライトZ1を含有する担体S11がその後無水物質量に関して得られる。無水物の担体S11の質量組成はAl66.5%およびSiO33.5%である。
【0316】
(本発明に合致する水素化分解触媒C11の調製)
触媒C11は、担体S11の乾式含浸によって得られる。触媒C11の調製は、実施例1の触媒C1の調製と同一である。触媒C11の最終のWO、NiO、Pは、24.7重量%、3.6重量%および2重量%である。
【0317】
触媒C11の特徴は以下の通りである:
BET比表面積は252m/gである;
総細孔容積(窒素多孔度測定法によって測定される)は0.38ml/gである;
総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.35ml/gである;
平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される)は75Åである;
(D平均−30Å)と(D平均+30Å)の間に包含される容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の総細孔容積(これも水銀多孔度測定法によって測定される)に対する比は0.87である;
(D平均+30Å)超の径を有する細孔に包含される容積V3(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.045ml/gである;
(D平均+15Å)超の径を有する細孔に包含される容積V6(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.05ml/gである;
140Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.040ml/gである;
160Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.0385ml/gである;
200Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.038ml/gである;
500Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.032ml/gである;
X線回折図は、
− ガンマアルミナの特徴である主要線、それは、1.39〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdにピークを含む;
− USYタイプのゼオライトZ1の特徴である主要線
を含む。
【0318】
Na含有量は190±20ppmである。S含有量は800ppmである。
【0319】
(実施例12:本発明に合致する触媒C12の調製)
触媒C12の調製のために用いられるアルミナ−シリカマトリクスは、実施例1において規定されたアルミナ−シリカAS1である
(ゼオライトZ1)
本発明者らは、実施例1に規定されたゼオライトZ1を用いる。
【0320】
(担体S12の成形)
5gのゼオライトZ1および95gのアルミナ−シリカマトリクスAS1が上記の固体物質に関して混合される。担体S12の成形は、実施例1の担体S1の成形と同一である。
【0321】
5%のゼオライトZ1を含有する担体S12がその後無水物質量に関して得られる。無水物の担体S12の質量組成はAl66.5%およびSiO33.5%である。
【0322】
(本発明に合致する水素化分解触媒C12の調製)
触媒C12は、担体S12の乾式含浸によって得られる。触媒C12の調製は、実施例1の触媒C1の調製と同一である。触媒C12の最終のWO、NiO、Pは、24.7重量%、3.6重量%および5重量%である。
【0323】
触媒C12の特徴は以下の通りである:
BET比表面積は240m/gである;
総細孔容積(窒素多孔度測定法によって測定される)は0.37ml/gである;
総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.35ml/gである;
平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される)は74Åである;
(D平均−30Å)と(D平均+30Å)の間に包含される容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の総細孔容積(これも水銀多孔度測定法によって測定される)に対する比は0.87である;
(D平均+30Å)超の径を有する細孔に包含される容積V3(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.045ml/gである;
(D平均+15Å)超の径を有する細孔に包含される容積V6(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.05ml/gである;
140Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.040ml/gである;
160Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.0385ml/gである;
200Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.038ml/gである;
500Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.031ml/gである;
X線回折図は、
− ガンマアルミナの特徴である主要線、それは、1.39〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdにピークを含む;
− USYタイプのゼオライトZ1の特徴である主要線
を含む。
【0324】
Na含有量は190±20ppmである。S含有量は800ppmである。
【0325】
(実施例13:本発明に合致する触媒C13の調製)
触媒C13の調製のために用いられるアルミナ−シリカマトリクスは、実施例1において規定されたアルミナ−シリカAS1である
(ゼオライトZ1)
本発明者らは、実施例1に規定されたゼオライトZ1を用いる。
【0326】
(担体S13の成形)
5gのゼオライトZ1および95gのアルミナ−シリカマトリクスAS1が上記の固体物質に関して混合される。担体S13の成形は、実施例1の担体S1の成形と同一である。
【0327】
5%のゼオライトZ1を含有する担体S13がその後無水物質量に関して得られる。無水物の担体S13の質量組成はAl66.5%およびSiO33.5%である。
【0328】
(本発明に合致する水素化分解触媒C13の調製)
触媒C13は、担体S13の乾式含浸によって得られる。触媒C13の調製は、実施例1の触媒C1の調製と同一である。触媒C13の最終のWO、NiOは24.7重量%、3.6重量%である。触媒C13の最終のPは0重量%である。
【0329】
触媒C13の特徴は以下の通りである:
BET比表面積は248m/gである;
総細孔容積(窒素多孔度測定によって測定される)は0.37ml/gである;
総細孔容積(水銀多孔度測定によって測定される)は0.35ml/gである;
平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される)は74Åである;
(D平均−30Å)と(D平均+30Å)の間に包含される容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の総細孔容積(これも水銀多孔度測定法によって測定される)に対する比は0.87である;
(D平均+30Å)超の径を有する細孔に包含される容積V3(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.045ml/gである;
(D平均+15Å)超の径を有する細孔に包含される容積V6(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.05ml/gである;
140Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.040ml/gである;
160Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.0385ml/gである;
200Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.038ml/gである;
500Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.031ml/gである;
X線回折図は、
− ガンマアルミナの特徴である主要線、それは、1.39〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdにピークを含む;
− USYタイプのゼオライトZ1の特徴である主要線
を含む。
【0330】
Na含有量は190±20ppmである。S含有量は800ppmである。
【0331】
(実施例14:本発明に合致しない触媒C14の調製)
触媒C14の調製のために用いられるアルミナ−シリカマトリクスは、実施例1において規定されたアルミナ−シリカAS1である
(ゼオライトZ1)
本発明者らは、実施例1に規定されたゼオライトZ1を用いる。
【0332】
(担体S14の成形)
5gのゼオライトZ1および95gのアルミナ−シリカマトリクスAS1が上記の固体物質に関して混合される。担体S14の成形は、実施例1の担体S1の成形と同一である。
【0333】
5%のゼオライトZ1を含有する担体S14がその後無水物質量に関して得られる。無水物の担体S14の質量組成はAl66.5%およびSiO33.5%である。
【0334】
(本発明に合致する水素化分解触媒C14の調製)
触媒C14は、担体S14の乾式含浸によって得られる。触媒C14の調製は、実施例1の触媒C1の調製と同一である。触媒C14の最終のWO、NiO、Pは、24.7重量%、3.6重量%および6.5重量%である。
【0335】
触媒C14の特徴は以下の通りである:
BET比表面積は230m/gである;
総細孔容積(窒素多孔度測定法によって測定される)は0.37ml/gである;
総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.35ml/gである;
平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される)は73Åである;
(D平均−30Å)と(D平均+30Å)の間に包含される容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の総細孔容積(これも水銀多孔度測定法によって測定される)に対する比は0.87である;
(D平均+30Å)超の径を有する細孔に包含される容積V3(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.045ml/gである;
(D平均+15Å)超の径を有する細孔に包含される容積V6(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.05ml/gである;
140Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.040ml/gである;
160Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.0385ml/gである;
200Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.038ml/gである;
500Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.032ml/gである;
X線回折図は、
− ガンマアルミナの特徴である主要線、それは、1.39〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdにピークを含む;
− USYタイプのゼオライトZ1の特徴である主要線
を含む。
【0336】
Na含有量は190±20ppmである。S含有量は800ppmである。
【0337】
(実施例15:本発明に合致する触媒C15の調製)
触媒C15の調製のために用いられるアルミナ−シリカマトリクスは、実施例1において規定されたアルミナ−シリカAS1である
(ゼオライトZ3)
本発明者らは、実施例3に規定されたゼオライトZ3を用いる。
【0338】
(担体S15の成形)
5gのゼオライトZ3および95gのアルミナ−シリカマトリクスAS1が上記の固体物質に関して混合される。担体S15の成形は、実施例1の担体S1の成形と同一である。
【0339】
5%のゼオライトZ3を含有する担体S15がその後無水物質量に関して得られる。無水物の担体S15の質量組成はAl66.5%およびSiO33.5%である。
【0340】
(本発明に合致する水素化分解触媒C15の調製)
触媒C15は、担体S15の乾式含浸によって得られる。触媒C15の調製は、実施例1の触媒C1の調製と同一である。触媒C15の最終のWO、NiO、Pは、26重量%、4.0重量%および2重量%である。
【0341】
触媒C15の特徴は以下の通りである:
BET比表面積は365m/gである;
総細孔容積(窒素多孔度測定法によって測定される)は0.38ml/gである;
総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.32ml/gである;
平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される)は77Åである;
(D平均−30Å)と(D平均+30Å)の間に包含される容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の総細孔容積(これも水銀多孔度測定法によって測定される)に対する比は0.87である;
(D平均+30Å)超の径を有する細孔に包含される容積V3(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.045ml/gである;
(D平均+15Å)超の径を有する細孔に包含される容積V6(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.05ml/gである;
140Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.040ml/gである;
160Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.038ml/gである;
200Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.037ml/gである;
500Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.031ml/gである;
X線回折図は、
− ガンマアルミナの特徴である主要線、それは、1.39〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdにピークを含む;
− USYタイプのゼオライトZ3の特徴である主要線
を含む。
【0342】
Na含有量は190±20ppm。S含有量は800ppmである。
【0343】
(実施例16:本発明に合致する触媒C16の調製)
触媒C16の調製のために用いられるアルミナ−シリカマトリクスは、実施例5において規定されたアルミナ−シリカAS2である
(ゼオライトZ3)
本発明者らは、実施例3に規定されたゼオライトZ3を用いる。
【0344】
(担体S16の成形)
5gのゼオライトZ3および95gのアルミナ−シリカマトリクスAS2が上記の固体物質に関して混合される。担体S16の成形は、実施例1の担体S1の成形と同一である。
【0345】
5%のゼオライトZ3を含有する担体S16がその後無水物質量に関して得られる。無水物の担体S16の質量組成はAl66.5%およびSiO33.5%である。
【0346】
(本発明に合致する水素化分解触媒C16の調製)
触媒C16は、担体S16の乾式含浸によって得られる。触媒C16の調製は、実施例1の触媒C1の調製と同一である。触媒C16の最終のWO、NiO、Pは、24.5重量%、3.5重量%および2重量%である。
【0347】
触媒C16の特徴は以下の通りである:
BET比表面積は360m/gである;
総細孔容積(窒素多孔度測定法によって測定される)は0.38ml/gである;
総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.35ml/gである;
平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される)は75Åである;
(D平均−30Å)と(D平均+30Å)の間に包含される容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の総細孔容積(これも水銀多孔度測定法によって測定される)に対する比は0.9である;
(D平均+30Å)超の径を有する細孔に包含される容積V3(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.072ml/gである;
(D平均+15Å)超の径を有する細孔に包含される容積V6(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.087ml/gである;
140Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.055ml/gである;
160Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.052ml/gである;
200Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.050ml/gである;
500Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.042ml/gである;
X線回折図は、
− ガンマアルミナの特徴である主要線、それは、1.39〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdにピークを含む;
− USYタイプのゼオライトZ3の特徴である主要線
を含む。
【0348】
Na含有量は180±20ppmである。S含有量は800ppmである。
【0349】
(実施例17:本発明に合致する触媒C17の調製)
触媒C17の調製のために用いられるアルミナ−シリカマトリクスは、実施例1において規定されたアルミナ−シリカAS1である
(ゼオライトZ1)
本発明者らは、実施例1に規定されたゼオライトZ1を用いる。
【0350】
(担体S17の成形)
5gのゼオライトZ1および95gのアルミナ−シリカマトリクスAS1が上記の固体物質に関して混合される。担体S17の成形は、実施例1の担体S1の成形と同一である。
【0351】
5%のゼオライトZ1を含有する担体S17がその後無水物質量に関して得られる。無水物の担体S17の質量組成はAl66.5%およびSiO33.5%である。
【0352】
(本発明に合致する水素化分解触媒C17の調製)
触媒C17は、白金塩およびリン酸HPOを含有する溶液を用いる押出物の形態の担体S17の乾式含浸によって得られる。白金塩は、ヘキサクロロ白金酸性のHPtClである。室温での水飽和雰囲気中の熟成の後、含浸させられた押出物は、120℃で終夜乾燥させられ、次いで、乾燥空気中500℃で焼成された。触媒C17の最終のPtO、Pは、0.58重量%および1重量%である。
【0353】
触媒C17の特徴は以下の通りである:
BET比表面積は290m/gである;
総細孔容積(窒素多孔度測定法によって測定される)は0.49ml/gである;
総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.47ml/gである;
平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される)は70Åである;
(D平均−30Å)と(D平均+30Å)の間に包含される容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の総細孔容積(これも水銀多孔度測定法によって測定される)に対する比は0.87である;
(D平均+30Å)超の径を有する細孔に包含される容積V3(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.045ml/gである;
(D平均+15Å)超の径を有する細孔に包含される容積V6(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.05ml/gである;
140Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.040ml/gである;
160Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.038ml/gである;
200Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.036ml/gである;
500Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.030ml/gである;
X線回折図は、
− ガンマアルミナの特徴である主要線、それは、1.39〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdにピークを含む;
− USYタイプのゼオライトZ1の特徴である主要線
を含む。
【0354】
Na含有量は190±20ppmである。S含有量は800ppmである。
【0355】
(実施例18:本発明に合致する触媒C18の調製)
触媒C18の調製のために用いられるアルミナ−シリカマトリクスは、実施例1において規定されたアルミナ−シリカAS1である
(ゼオライトZ1)
本発明者らは、実施例1に規定されたゼオライトZ1を用いる。
【0356】
(担体S18の成形)
5gのゼオライトZ1および95gのアルミナ−シリカマトリクスAS1が上記の固体物質に関して混合される。担体S18の成形は、実施例1の担体S1の成形と同一である。
【0357】
5%のゼオライトZ1を含有する担体S18がその後無水物質量に関して得られる。無水物の担体S18の質量組成はAl66.5%およびSiO33.5%である。
【0358】
(本発明に合致する水素化分解触媒C18の調製)
触媒C18は、白金塩を含有する水溶液を用いる押出物の形態の担体S18の乾式含浸によって得られる。白金塩は、ヘキサクロロ白金酸性のHPtClである。室温での水飽和雰囲気中の熟成の後、含浸させられた押出物は、120℃で終夜乾燥させられ、次いで、乾燥空気中500℃で焼成された。触媒C18の最終のPtOは0.58重量%である。触媒C18の最終のPは0重量%である。
【0359】
触媒C18の特徴は以下の通りである:
BET比表面積は292m/gである;
総細孔容積(窒素多孔度測定法によって測定される)は0.49ml/gである;
総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.47ml/gである;
平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される)は70Åである;
(D平均−30Å)と(D平均+30Å)の間に包含される容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の総細孔容積(これも水銀多孔度測定法によって測定される)に対する比は0.87である;
(D平均+30Å)超の径を有する細孔に包含される容積V3(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.045ml/gである;
(D平均+15Å)超の径を有する細孔に包含される容積V6(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.05ml/gである;
140Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.040ml/gである;
160Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.038ml/gである;
200Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.036ml/gである;
500Å超の径を有する細孔に包含される細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)は0.030ml/gである;
X線回折図は、
− ガンマアルミナの特徴である主要線、それは、1.39〜1.40Åのdおよび1.97〜2.00Åのdにピークを含む;
− USYタイプのゼオライトZ1の特徴である主要線
を含む。
【0360】
Na含有量は190±20ppmである。S含有量は800ppmである。
【0361】
(実施例19:減圧蒸留液の単流高圧水素化分解における触媒C1〜C16の評価)
実施例1〜16に調製が記載された触媒C1〜C16が、以下の主要な特徴を有する減圧蒸留液の水素化分解を行うために用いられた:
仕込み原料の性質 減圧蒸留液
15℃での密度 0.9219
硫黄,重量% 2.52
窒素,重量ppm 880
模擬蒸留
初留点,℃ 367
10%点,℃ 380
50%点,℃ 443
90%点,℃ 520
終留点,℃ 690
触媒C1〜C16は、1つの固定移動床反応器を含み、底部から頂部に流体が移動する(上昇流)パイロット装置により本発明の方法を用いて利用された。
【0362】
水素化分解試験の前に、触媒は、120バール、350℃で、2重量%のDMDSが補給された直留軽油(straight run gas oil)を用いて硫化された。
【0363】
硫化の後、触媒試験が行われた。その際の条件は次の通りである:
全圧 14MPa
毎時空間速度(HSV)=0.7h−1
正味の転化率70%に達するのに要求される温度。
【0364】
触媒の性能は、370℃未満の沸点を有する産物への正味の転化率、中間留分(150〜370℃留分)についての正味の選択性および中間留分フラクション中の軽油収率/灯油収率の比率として表された。それらは、模擬蒸留の結果から誘導された。
【0365】
正味転化率(NC)は、
NC370℃=[(370℃−流出物の%)−(370℃−仕込み原料の%)]/[100−[(370℃−仕込み原料の%)]
であると推測された。ここで、
370℃−流出物の%=流出物中の370℃より低い沸点を有する化合物の重量含有量、および
370℃−供給材料の%=供給材料中の370℃より低い沸点を有する化合物の重量含有量
である。
【0366】
中間留分についての概略選択率(gross selectivity:GS)は、
GS=[(150−370流出物のフラクション)]/[(370℃−流出物の%)]
として規定される。
【0367】
中間留分フラクションにおける軽油収率/灯油収率(比Go/Ker)は、
比Go/Ker=流出物中のフラクション(250−370℃)の収率/流出物中のフラクション(150−250℃)の収率
であると推測される。
【0368】
得られた触媒性能は、表1に与えられる。
【0369】
【表1】

【0370】
実施例は、本発明によるUSYゼオライトの挿入、本発明によるドーピング・リンの制御された添加が、中間留分において選択性を喪失することなく大幅な活性の利得を可能にすることを示す。
【0371】
本発明に合致する触媒C1およびC5は、500Å超の径を有する細孔に含まれる細孔容積がそれぞれ0.002ml/gおよび0.33ml/gであると仮定されるために本発明に合致していない触媒C9およびC10に対して改善された触媒性能を示す。触媒C1およびC5の使用は、触媒C9およびC10の使用によって要求される温度より低い温度で転化率70%の取得を可能にする。触媒C1およびC5はまた、本発明による中間留分の製造に特に適合される。
【0372】
本発明に合致する触媒C1、C2、C3、C15、C5、C6、C7およびC16は、単位セルの格子定数aが24、53Åである仮定されるために本発明に合致していない触媒C4およびC8に対して改善された触媒性能を示す。
【0373】
24.38×10−10〜24.24×10−10mの好ましい範囲に含まれる単位セルの格子定数aを示す触媒C1、C2、C5およびC6が、触媒C15およびC16(これらも本発明に合致する)に対して改善された触媒性能を示し、本発明による中間留分の製造に特に適合することに留意することは興味深い。
【0374】
本発明に合致する触媒C1、C5、C11およびC12は、ドーピング元素の含有量がそれぞれリンにおいて0重量%および6.5重量%であると仮定されるために本発明に合致していない触媒C13およびC14に対して改善された触媒性能を示す。
【0375】
それ故に、前実施例は、炭化水素仕込み原料の水素化分解を行うために本発明の触媒を用いることの利点を示す。実際に、シリカ−アルミナをマクロ孔の制御された含有量と結び付ける担体と、単位セルの制御された格子定数aを示すY型ゼオライトと、最適化された水素化相の組合せは、仕込み原料の高い転化率および有利な中間留分の選択性を引き出すことができる。
【0376】
(実施例20:二段階水素化分解法における第二反応器の操作をシミュレートする条件下での触媒C17およびC18の評価)
第二工程のための仕込み原料は、水素の存在下、395℃の温度、0.55h−1の毎時空間速度でAxensによって販売されている水素化精製触媒を用いて減圧蒸留液を水素化処理することによって生じさせられた。380℃産物の転化率は約50重量%であった。分離工程の後、380℃+フラクションが回収され、第二工程のための仕込み原料の機能を果たされた。前記仕込み原料の物理化学的特徴は、表2に示される。
【0377】
【表2】

【0378】
この仕込み原料は、第二工程の水素化分解試験の装置に注入された。該装置は、仕込み原料の上昇流移動を伴う固定床反応器を含んでおり、この固定床反応器に本発明の触媒が導入される。仕込み原料を注入する前に、触媒は、高純度水素中、450℃で2時間にわたり還元される。
【0379】
試験装置の操作条件は次の通りである。
【0380】
全圧 14MPa
触媒 50ml
温度 370℃
毎時空間速度(HSV)h−1 1.1
これらの条件下に得られた触媒性能は、この実施例の表3に記載される。
【0381】
【表3】

【0382】
これらの結果は、それ故に、炭化水素仕込み原料の水素化分解を行うために本発明の触媒を用いることの利点を示す。それらは、仕込み原料の高い転化率および有利な中間留分選択性を引き出すことができる。
【0383】
(実施例21:減圧蒸留液の単流中程度圧水素化分解(マイルド水素化分解)における触媒C1〜C16の評価)
減圧蒸留液の単流中程度圧水素化分解(マイルド水素化分解)を実現するために実施例1〜16に調製が記載されている触媒C1〜C16が用いられる。減圧蒸留液の主要な特徴は下記に与えられる。
【0384】
仕込み原料 減圧蒸留液
15℃での密度 0.9219
硫黄(重量%) 2.52
窒素(重量ppm) 880
模擬蒸留
5%点 367
10%点 380
50%点 443
90%点 520
終留点 690
触媒C1〜C16は、1つの固定移動床反応器を含み、底部から頂部に流体が移動する(上昇流)パイロット装置により本発明の方法を用いて利用された。
【0385】
水素化分解試験の前に、触媒は、120バール、350℃で、2重量%のDMDSが補給された直留軽油(straight run gas oil)を用いて硫化された。
【0386】
硫化の後、触媒試験が行われた。その際の条件は次の通りである:
全圧 5.5MPa T=405℃
毎時空間速度(HSV)=0.8h−1
触媒の性能は、370℃未満の沸点を有する産物への正味の転化率、中間留分(150〜370℃留分)についての正味の選択率および中間留分フラクション中の軽油収率/灯油収率の比率として表された。それらは、模擬蒸留の結果から誘導され、規定は、実施例19において与えられた規定と同一である。
【0387】
得られた触媒性能は、表4に与えられる。
【0388】
【表4B】

【0389】
表4の結果の説明は、それ故に、表1の結果の説明に関連して、炭化水素仕込み原料の水素化分解を行うために本発明の触媒を用いることの利点を示す。実際に、シリカ−アルミナをメソ孔の制御された含有量に結び付ける担体と、単位セルの制御された格子定数aを示すY型ゼオライトと、最適化された水素化相との組合せは、仕込み原料の高い転化率および有利な中間留分選択性を引き出すことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周期律表の第VIB族および第VIII族からの元素によって形成される群から選択される少なくとも1種の水添脱水素元素と、リン、ホウ素およびケイ素から選択される0.01〜5.5重量%のドーピング元素と、24.40×10−10〜24.15×10−10mの範囲の単位セルの格子定数aによって規定されるゼオライトYをベースとし、かつ、5重量%超かつ95重量%以下の量のシリカ(SiO)を含有するシリカ−アルミナをベースとする担体とを含む触媒であって、
・平均細孔径(水銀多孔度測定法によって測定される)が20〜140Åであり;
・総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)が0.1〜0.5ml/gであり;
・総細孔容積(窒素多孔度測定法によって測定される)が0.1〜0.5ml/gであり;
・BET比表面積が100〜600m/gであり;
・140Å超の径を有する細孔に含まれる細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)が0.1ml/g未満であり;
・160Å超の径を有する細孔に含まれる細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)が0.1ml/g未満であり;
・200Å超の径を有する細孔に含まれる細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)が0.1ml/g未満であり;
・500Å超の径を有する細孔に含まれる細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)が厳格に0.01ml/g超かつ0.1ml/g未満であり;
・X線回折図が、アルファ、ロー、カイ、エータ、ガンマ、カッパ、シータおよびデルタアルミナからなる群に含まれる少なくとも1種の遷移アルミナの特徴主要ピークを少なくとも含み;
・触媒の充填圧縮密度が0.75g/cm超である
ことを特徴とする触媒。
【請求項2】
500Å超の径を有する細孔に含まれる細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)が、0.02ml/g超かつ0.07ml/g未満である、請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
500Å超の径を有する細孔に含まれる細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)が、0.03ml/g超かつ0.07ml/g未満である、請求項2に記載の触媒。
【請求項4】
ドーピング元素がホウ素またはリンである、請求項1〜3のいずれか1つに記載の触媒。
【請求項5】
ドーピング元素がリンである、請求項4に記載の触媒。
【請求項6】
リンの含有量が酸化物の重量で0.5〜2.5%である、請求項1に記載の触媒。
【請求項7】
リンの含有量が酸化物の重量で4〜5%である、請求項6に記載の触媒。
【請求項8】
モリブデンおよびタングステンをベースとする、請求項1〜7のいずれか1つに記載の触媒。
【請求項9】
ニッケルおよびタングステンをベースとする、請求項1〜7のいずれか1つに記載の触媒。
【請求項10】
0.1〜30重量%のゼオライトを含む、請求項1〜9のいずれか1つに記載の触媒。
【請求項11】
担体は、24.38×10−10〜24.24×10−10mの範囲の単位セルの格子定数aによって規定されるYゼオライトをベースとする、請求項1に記載の触媒。
【請求項12】
第VIIB族からの少なくとも1種の元素を含む、請求項1〜11のいずれか1つに記載の触媒。
【請求項13】
第VB族からの少なくとも1種の元素を含む、請求項1〜12のいずれか1つに記載の触媒。
【請求項14】
(D平均−30Å)〜(D平均+30Å)に含まれる容積V2(水銀多孔度測定法によって測定される)の総細孔容積(水銀多孔度測定法によって測定される)に対する比が0.6超であり;(D平均+30Å)超の径を有する細孔に含まれる容積V3(水銀多孔度測定法によって測定される)が0.1ml/g未満であり;(D平均+15Å)超の径を有する細孔に含まれる容積V6(水銀多孔度測定法によって測定される)が0.2ml/g未満であるような細孔分布を有する、請求項1〜13のいずれか1つに記載の触媒。
【請求項15】
X線回折図は、エータ、シータ、デルタおよびガンマアルミナからなる群に含まれる少なくとも1種の遷移アルミナの特徴主要ピークを少なくとも含む、請求項1〜14のいずれか1つに記載の触媒。
【請求項16】
BET比表面積は、350m/g未満である、請求項1〜15のいずれか1つに記載の触媒。
【請求項17】
ジルコニウムおよびチタンによって形成される群から選択される少なくとも1種の安定化元素のより少ない比率を含む、請求項1〜16のいずれか1つに記載の触媒。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1つに記載の触媒を用いて炭化水素仕込み原料を水素化分解および/または水素化転化する方法。
【請求項19】
単流法を用いて行われる、請求項18に記載の水素化分解および/または水素化転化方法。
【請求項20】
少なくとも1つの水素化精製の第一反応帯域と、少なくとも1つの第二反応帯域とを含み、該第二反応帯域は、第一帯域からの少なくとも一部の流出物の水素化分解と、第一反応帯域を出る流出物からのアンモニアの不完全な分離を含む、請求項18に記載の水素化分解および/または水素化転化方法。
【請求項21】
請求項19または20に記載の水素化分解および/または水素化転化方法であって、
a.水素化精製の第一反応帯域;ここでは、仕込み原料が、標準活性試験において、10重量%未満のシクロヘキサンの転化度を有する少なくとも1種の水素化精製触媒と接触させられる;および
b.水素化分解の第二反応帯域:ここでは、水素化精製工程からの流出物の少なくとも一部が、標準活性試験において、10重量%超のシクロヘキサン転化度を有する少なくとも1種のゼオライト性水素化分解触媒と接触させられる
を有する方法。
【請求項22】
二段階方法における、請求項18に記載の水素化分解および/または水素化転化方法。
【請求項23】
水素の存在下、200℃超の温度、1MPa超の圧力、0.1〜20h−1の空間速度で操作し、導入される水素量が、水素容積(L)/炭化水素の容積(L)の比が容積で80〜5000L/Lになるようにされる、請求項18〜22のいずれか1つに記載の方法。
【請求項24】
2〜6MPaの圧力で操作され、40%以下の転化率がもたらされる、請求項18〜23のいずれか1つに記載の水素化分解および/または水素化転化方法。
【請求項25】
固定床態様において操作する、請求項18〜24のいずれか1つに記載の方法。
【請求項26】
沸騰床として操作する、請求項18〜24のいずれか1つに記載の方法。
【請求項27】
請求項1〜17のいずれか1つに記載の触媒を用いる炭化水素仕込み原料の水素化処理のための方法。
【請求項28】
水素化分解加工処理の上流に置かれる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
水素化分解触媒は、ゼオライトをベースとする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
水素化分解触媒は、アルミナ−シリカをベースとする、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
水素化分解触媒は、ニッケルおよびタングステンをベースとする、請求項27〜30のいずれか1つに記載の方法。
【請求項32】
炭化水素仕込み原料は、単独でまたは混合物として用いられる、LCO(ライトサイクルオイル)、常圧蒸留液、減圧蒸留液、潤滑油ベースまたは潤滑油ベースを脱ろうする溶媒から芳香族を抽出するための装置からの仕込み原料、固定床または沸騰床の、脱硫またはRA(常圧残渣)および/またはVR(真空残渣)および/または脱アスファルト油の水素化転化のための方法からの蒸留液、および脱アスファルト油によって形成される群から選択される、請求項18〜31のいずれか1つに記載の方法。
【請求項33】
仕込み原料は、最初に、水素化分解/水素化転化または水素化処理触媒とは異なる触媒または吸着剤の床上を通過する、請求項18〜32のいずれか1つに記載の方法。

【公表番号】特表2008−525174(P2008−525174A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547560(P2007−547560)
【出願日】平成17年12月13日(2005.12.13)
【国際出願番号】PCT/FR2005/003138
【国際公開番号】WO2006/070090
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(500393413)アンスティテュ フランセ デュ ペトロール (32)
【Fターム(参考)】