説明

制御プログラム、制御方法および制御装置

【課題】操作性を向上すること。
【解決手段】異なるアクセス面を有し、一方から利用者が記憶媒体3を出し入れ可能であり、他方からマウント機構2が記憶媒体を出し入れ可能であるセル4aを複数有する収納部4から記憶媒体3を取り出しドライブ装置5にマウントするマウント機構2を制御する制御装置1を有する。制御装置1が有する判断部1bは、マウント機構の制御中にセル内で記憶媒体3へのアクセスの競合が発生したか否かを判断する。記憶媒体3へのアクセスの競合が発生したと判断された場合に、所定時間待機する。待機手順による所定時間の待機後に、再度、記憶媒体3へのアクセスの競合が発生したか否かを判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制御プログラム、制御方法および制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記憶媒体としてのカートリッジを管理する管理システムが知られている。
管理システムとして、カートリッジの投入および排出を行う入出庫口と、カートリッジが収納されるラックと、指示に基づいてカートリッジを収納棚から出し入れする入出庫装置と、入出庫装置を制御する制御装置とを有するものが知られている。また、カートリッジがどのラックに収納されているかを示す情報を保持する管理装置が知られている。
【0003】
カートリッジの出庫の際には、利用者が所望のカートリッジの識別情報を管理装置に入力し、入力された識別情報に基づいてライブラリ管理装置が所望のカートリッジの収納位置情報を参照して、当該カートリッジの収納位置の情報を取得して入出庫装置に伝える。
【0004】
入出庫装置がラック内を移動して、当該収納位置にあるカートリッジを取り出して入出庫口まで運び、それを利用者が受け取る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−225917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
入出庫装置によるカートリッジの入出庫以外にも、人手によりカートリッジを出し入れする機構が知られている。
このような機構においては、カートリッジの管理が煩雑となるという問題がある。
【0007】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、操作性を向上する制御プログラム、制御方法および制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、開示の制御プログラムが提供される。この制御プログラムは、異なるアクセス面を有し、一方のアクセス面から利用者が記憶媒体を出し入れ可能であり、他方のアクセス面からマウント機構が記憶媒体を出し入れ可能であるセルを複数有する収納部から記憶媒体を取り出しドライブ装置にマウントするマウント機構を制御するプログラムであり、コンピュータに、第1の判断手順、待機手順、第2の判断手順を実行させる。
【0009】
第1の判断手順では、マウント機構の制御中に、セル内で記憶媒体へのアクセスの競合が発生したか否かを判断する。
待機手順では、第1の判断手順により記憶媒体へのアクセスの競合が発生したと判断された場合に、所定時間待機する。
【0010】
第2の判断手順では、待機手順による所定時間の待機後に、再度、記憶媒体へのアクセスの競合が発生したか否かを判断する。
【発明の効果】
【0011】
開示の制御プログラムによれば、操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施の形態の制御装置の概要を示す図である。
【図2】第2の実施の形態のライブラリシステムを示す図である。
【図3】図2のA−A線でのライブラリシステムの側面図である。
【図4】ライブラリ管理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図5】ライブラリ管理装置の機能を示すブロック図である。
【図6】セルの構造を示す図である。
【図7】CMに格納されているデータの読み取りを説明する図である。
【図8】セルへのカートリッジの挿入を説明する図である。
【図9】ロボットのカートリッジ引き抜き方法を説明する図である。
【図10】ロボットによるセルへのカートリッジの挿入を説明する図である。
【図11】取り出し時の競合回避処理を示すフローチャートである。
【図12】管理情報変更処理を示すフローチャートである。
【図13】挿入時の競合回避処理を示すフローチャートである。
【図14】第3の実施の形態のセルを示す図である。
【図15】扉制御の手法を示す図である。
【図16】第4の実施の形態のライブラリシステムを説明する図である。
【図17】タッチパネルの表示イメージを示す図である。
【図18】ポップアップメニューを説明する図である。
【図19】変形例のライブラリシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
まず、実施の形態の制御装置について説明し、その後、実施の形態をより具体的に説明する。
【0014】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態の制御装置の概要を示す図である。
実施の形態の制御装置(コンピュータ)1は、マウント機構2を制御する。このマウント機構2は、記憶媒体3を収納するセル4aを複数有する収納部4から記憶媒体3を取り出し、取り出した記憶媒体3をドライブ装置5にマウントする。
【0015】
図1では、制御装置1、マウント機構2、収納部4、および、ドライブ装置5は、1つの筐体6内に収納されている。
記憶媒体3としては、例えば、磁気テープ等が挙げられる。
【0016】
セル4aは、筐体6の内部側および外部側に開口を有しており、異なるアクセス面を有している。利用者は、外部側の開口から、セル4aに収納されている記憶媒体3を取り出したり、セル4aに記憶媒体3を収納したりすることができる。また、マウント機構2も、制御装置1の制御により、内部側の開口から、セル4aに収納されている記憶媒体3を取り出したり、セル4aに記憶媒体3を収納したりすることができる。
【0017】
制御装置1は、実行部1aと、判断部1bとを有している。
実行部1aは、記憶媒体3をドライブ装置5にマウント(搭載)するマウント処理を実行する際に、セル4aから記憶媒体3を取り出す処理、および、記憶媒体3をセル4aに収納する処理をマウント機構2に実行させる。
【0018】
判断部1bは、マウント処理の実行中に、セル4a内で記憶媒体3へのアクセスの競合が発生したか否かを判断する。
このアクセスの競合としては、例えば、マウント機構2があるセル4aから記憶媒体3を取り出すときに、利用者もそのセル4aから記憶媒体3を取り出そうとする場合の競合が挙げられる。また、アクセス競合の他の例として、マウント機構2があるセル4aに記憶媒体3を収納しようとするときに、利用者も、そのセル4aに記憶媒体3を収納しようとする場合の競合が挙げられる。
【0019】
実行部1aは、記憶媒体3へのアクセスの競合が発生したと判断した場合に、マウント機構2にマウント処理を所定時間待機させる。例えば、例示した前者の記憶媒体取り出しの競合が発生した場合には、実行部1aはマウント機構2に、セル4aから記憶媒体3を取り出す処理を待機させる。また、例示した後者の記憶媒体収納の競合が発生した場合には、実行部1aはマウント機構2に、セル4aに記憶媒体3を収納しようとする処理を待機させる。これにより、実行部1aは利用者の処理を優先させる。
【0020】
そして、判断部1bは、所定時間の待機後に、再度、記憶媒体3へのアクセスの競合が発生しているか否かを判断する。アクセスの競合が発生している場合、判断部1bは例えば、制御装置1を管理する上位装置にエラーを通知する。
【0021】
一方、記憶媒体3へのアクセス競合が発生していない場合、実行部1aの指示により、マウント機構2が所望の動作を実行する。
これにより、利用者とマウント機構2との競合を回避し、利用者の操作性を向上することができる。
【0022】
なお、実行部1a、判断部1bは、制御装置1が有するCPU(Central Processing Unit)が備える機能により実現することができる。
以下、ライブラリ管理装置を備えるライブラリシステムを例に、実施の形態の制御装置をより具体的に説明する。
【0023】
<第2の実施の形態>
図2は、第2の実施の形態のライブラリシステムを示す図であり、図3は、図2のA−A線でのライブラリシステムの側面図である。
【0024】
ライブラリシステム100は、ライブラリ管理装置(制御装置)10と、収納棚20と、ロボット(マウント機構)30とドライブ装置40とを有している。
ライブラリ管理装置10は、ネットワークを介してホスト装置(図示せず)に接続されている。
【0025】
ライブラリ管理装置10は、ホスト装置から記憶媒体を収容するカートリッジ50の出庫依頼を受け付けると、ロボット30を制御してドライブ装置40に移動させる。
収納棚20は、カートリッジ50を収納する複数の行列状のセル21を有している。
【0026】
各セル21は、それぞれ、利用者がアクセス可能な紙面手前側(前面側)と、ロボット30がアクセス可能な紙面奥側(背面側)に向けて貫通する構造となっている。1つのセル21に1つのカートリッジ50が収納される。
【0027】
図2では、背面側にロボット30(図示せず)が配置されている。
なお、図2では、1つの収納棚20を図示したが、ライブラリシステム100が複数の収納棚20を有するようにしてもよい。
【0028】
利用者は、セル21に直接カートリッジ50を挿入することができる。利用者はまた、セル21に収納されているカートリッジ50を取り出すことができる。
また、ロボット30も、セル21にカートリッジ50を挿入することができる。ロボット30はまた、セル21に収納されているカートリッジ50を取り出すことができる。
【0029】
このように、本実施の形態のライブラリシステム100は、カートリッジ50の投入、または、排出を行うカートリッジ投入/排出機構(CAS:Cartridge Access Station)が設けられていない代わりに、利用者が直接セル21にアクセス可能となっている。
【0030】
カートリッジ50は、記憶媒体を有している。この記憶媒体には、例えば、静止画像データ、動画像データや、家計簿、健康管理データ等の個人情報等、各種情報が記憶されている。
【0031】
また、カートリッジ50には、カートリッジ50の種別等をコンピュータが識別するためのバーコードが貼り付けられている。また、カートリッジ50は、カートリッジ50内に記録されているデータの記録位置を示す情報、カートリッジ50の使用履歴や、エラーログ、その他のユーザ領域が記録されているCM(カートリッジメモリ)を有している。CMにより、ドライブ装置40にカートリッジ50をロードした後、RFインタフェースを使って物理的な接触をすることなくわずかな時間でカートリッジ50のインデックスや使用状況等の情報を調べることができる。
【0032】
また、カートリッジ50には、カートリッジ50の種別等を利用者が識別する情報を示すラベルが貼り付けられている。
さらに、カートリッジ50には、ロボット30が、カートリッジ50を取り出すための係合部が設けられている。
【0033】
図3に示す収納棚20は、収納棚20に格納されている1列分のセル21を表している。カートリッジ50を、斜線を有するブロックで表している。
図3に示すように、ロボット30は、収納棚20の列方向(X軸方向)に沿って配設されたレール(図示省略)上を移動し、収納棚20の行方向(Y軸方向)に延びる支柱31と、支柱31に取り付けられY軸方向に移動可能なハンド33とを有している。
【0034】
ロボット30は、ライブラリ管理装置10の指示に基づいて、ハンド33がカートリッジ50を掴むことにより、カートリッジ50をセル21から出したり、セル21に入れたりする。
【0035】
具体的には、ロボット30は、ライブラリ管理装置10の指示に従って、取り出し対象のカートリッジ50が収納されたセル21が存在する行に支柱31を移動させる。
そして、支柱31に沿ってハンド33を上下動させて指示されたセル21に移動し、ハンド33の先端に設けられたピッカー(後述)を用いてカートリッジ50をセル21から出し入れする。
【0036】
ロボット30は、カートリッジに貼付されたラベル(以下「ラベル面」)が前面側に配置され、カートリッジに貼付されたバーコードがロボット30側(背面側)に配置されるように、カートリッジ50を収納棚20に収納する。これにより、利用者は、手動でカートリッジ50を取り出すときに、ラベルを見ることでカートリッジ50の内容を容易に把握することができる。
【0037】
ドライブ装置40は、ロボット30によって搬送されてきたカートリッジ50内の記憶媒体に対してデータの記録、または、データの再生を行う。
このようなライブラリシステム100では、ホスト装置により、データを記録、または再生したいカートリッジ50が指定されると、ライブラリ管理装置10が、各セル21に収納されているカートリッジ50の中から、指定されたカートリッジ50を特定する。すると、ロボット30のハンド33により、特定されたカートリッジ50が把持され、ドライブ装置40に搬送され、ドライブ装置40にカートリッジ50がマウントされる。
【0038】
ドライブ装置40によって、データの記録、または再生が行われた後は、ドライブ装置40内のカートリッジ50が、ロボット30のハンド33により把持されてドライブ装置40から取り出され、セル21の指定された箇所に挿入される。
【0039】
次に、ライブラリ管理装置の構成を説明する。
図4は、ライブラリ管理装置のハードウェア構成例を示す図である。
ライブラリ管理装置10は、CPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス108を介してRAM(Random Access Memory)102と複数の周辺機器が接続されている。
【0040】
RAM102は、ライブラリ管理装置10の主記憶装置として使用される。RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。
【0041】
バス108に接続されている周辺機器としては、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)103、グラフィック処理装置104、入力インタフェース105、光学ドライブ装置106、および通信インタフェース107がある。
【0042】
HDD103は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。HDD103は、ライブラリ管理装置10の二次記憶装置として使用される。HDD103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、二次記憶装置としては、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を使用することもできる。
【0043】
グラフィック処理装置104には、モニタ104aが接続されている。グラフィック処理装置104は、CPU101からの命令に従って、画像をモニタ104aの画面に表示させる。モニタ104aとしては、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた表示装置や液晶表示装置などがある。
【0044】
入力インタフェース105には、キーボード105aとマウス105bとが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード105aやマウス105bから送られてくる信号をCPU101に送信する。なお、マウス105bは、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボールなどがある。
【0045】
光学ドライブ装置106は、レーザ光などを利用して、光ディスク200に記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク200は、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク200には、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。
【0046】
通信インタフェース107は、ネットワーク60に接続されている。通信インタフェース107は、ネットワーク60を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0047】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。このようなハードウェア構成のライブラリ管理装置10内には、以下のような機能が設けられる。
【0048】
図5は、ライブラリ管理装置の機能を示すブロック図である。
ライブラリ管理装置10は、主制御部110と、ロボット制御部120と、記憶部130と、ホストインタフェース(I/F)140とを有している。
【0049】
主制御部110は、ライブラリ管理装置10全体を制御している。主制御部110は例えば、ロボット制御部120から受け取った情報に基づいて、モニタ104aにその情報を表示したり、キーボード105aやマウス105bから受け取った情報に基づいて、ロボット制御部120にその情報に基づいた動作を指示したりする。
【0050】
ロボット制御部120は、ロボット30のX軸方向への移動時に駆動するX軸モータ32aと、ロボット30のY軸方向への移動時に駆動するY軸モータ32bとを制御する。
ロボット制御部120は具体的には、主制御部110からのカートリッジ50の取り出し命令を受けて、これに応じて該当するセル21へのロボット30の移動を制御する。
【0051】
また、ロボット制御部120は、ハンド制御部121に接続されている。ロボット制御部120は、ハンド制御部121に各種指示を送る。また、ハンド制御部121から各種情報を受け取ると、ロボット制御部120は受け取った情報を主制御部110に送る。
【0052】
ハンド制御部121は、ハンド33に接続されている。
ハンド33は、P(ピッカー)モータ33aと、バーコードリーダ33bと、CM(カートリッジメモリ)リーダ33cとを有している。
【0053】
ハンド制御部121は、ロボット制御部120からの駆動命令に応じてPモータ33aを駆動する。これにより、ハンド33が、カートリッジ50を掴んだり、掴んだカートリッジ50を離したりすることができる。
【0054】
また、ハンド制御部121は、ロボット制御部120からの読み取り命令に応じてバーコードリーダ33bや、CMリーダ33cを動作させる。そしてハンド制御部121は、バーコードリーダ33bが読み取ったバーコード情報や、CMリーダ33cが読み取ったCM情報をロボット制御部120に送る。
【0055】
例えば、ロボット30が、ハンド制御部121からバーコードの読み取り指示を受けた場合には、バーコードリーダ33bを用いてカートリッジ50に取り付けられたバーコードを読み取る。ロボット30は、読み取った情報をハンド制御部121に送る。これにより、ライブラリ管理装置10は、バーコードリーダ33bから読み取った情報に基づいて、カートリッジ50を識別することができる。
【0056】
記憶部130には、例えば、カートリッジ50の種別と、カートリッジ50の収納位置とが関連づけられた情報等が記憶されている。この情報は、例えば、主制御部110がロボット30を制御して、収納棚20の全てのセル21を走査し、CMリーダ33cに、カートリッジのCM情報を読み取らせる方法等により収集する。
【0057】
ホストインタフェース140は、ネットワークを介してホスト装置300に接続されている。
なお、主制御部110、ロボット制御部120、ハンド制御部121、および、ホストインタフェース140は、CPU101が備える機能により実現することができる。また、記憶部130は、RAM102の一領域により実現することができる。
【0058】
次に、セル21の構造を説明する。
図6は、セルの構造を示す図である。
図6(a)は、前面側から背面側に向かってセル21を見た図(正面図)である。
【0059】
セル21には、扉211が取り付けられている。
セル21に扉211を設けることにより、ライブラリシステム100内部への塵埃の侵入を抑制することができる。従って、ロボット30の故障を抑制することができる。
【0060】
また、扉211には、ハンド33のピッカーが貫通する貫通孔211aが2箇所設けられている。ハンド33が、セル21に格納されたカートリッジ50を取り出すときは、ハンド33のピッカーがこの貫通孔211aを通る。なお、カートリッジ50の取り出し方法については、後述する。
【0061】
カートリッジ50がセル21に挿入されていない状態では、利用者には、扉211の前面が視認できるようになっている。
図6(b)は、セル21を側面から見た図である。
【0062】
扉211は、支点Aを中心に回動する。主制御部110が扉211の回動を制御するようになっていてもよい。また、扉211の背面側に、扉211の背面側への回動を規制するストッパ(ロック機構)212が配置されている。
【0063】
ストッパ212は、主制御部110の制御により、扉211と係合する位置(係合位置)と、扉211と係合しない位置(解除位置)とを取り得る。
ストッパ212が係合位置に位置しているときは、利用者が前面側からカートリッジ50をセル21に差し込んだ場合に、カートリッジ50が背面側に落下することを抑制することができる。
【0064】
図6(c)に示すように、ストッパ212が解除位置に位置しているときは、扉211は、背面側への回動が可能となる。
扉211およびストッパ212を設けることにより、利用者がロボット30に接触することを抑制し、怪我を防止することができる。
【0065】
次に、CM50aに格納されているデータの読み取りを説明する。
図7は、CMに格納されているデータの読み取りを説明する図である。
CM50aは板状をなしており、カートリッジ50のラベルが付された端面(ラベル面)50bに側面視で斜め45°の角度で配置されている。これにより、端面50b側、および、カートリッジの下面側からの読み取りが可能となっている。
【0066】
例えば、CM50aに格納されたデータを端面50b側から読み取る例としては、図7(a)に示すように、ロボット30に取り付けたCMリーダ33cで読み取る例が挙げられる。
【0067】
また、CM50aに格納されたデータを下面側から読み取る例としては、図7(b)に示すように、カートリッジ50がセル21に収納されたときにCM50aが位置する箇所に対応してセル21に設けられたCMリーダ53で読み取る例が挙げられる。
【0068】
なお、図7に示すように、カートリッジ50の両側部には、ハンド33のピッカーが係合する凹部51が設けられている。
次に、カートリッジ50のセル21への挿入を説明する。
【0069】
図8は、セルへのカートリッジの挿入を説明する図である。
まず、セルの前面側からカートリッジ50が挿入されるときの各部の動作を説明する。
利用者が、前面側からカートリッジ50をセル21に挿入していくと(図8(a)、(b)参照)、カートリッジ50の全部がセル21に挿入された位置にて、カートリッジの端面50bが扉211に当接する。そのまま、カートリッジ50が、背面側に押し込まれると、扉211にストッパ212が当接する。このため、カートリッジ50は、これ以上の背面側への移動が規制される(図8(c)参照)。
【0070】
次に、セルの背面側からのロボット30によるカートリッジ50の取り出しを説明する。
主制御部110は、記憶部130を参照し、カートリッジ50の種別と、カートリッジ50の収納位置とが関連づけられた情報に基づいて、ロボット30に取り出させるカートリッジ50が配置されているセル21を特定する。
【0071】
そして、主制御部110は、特定したセル21のストッパ212を解除位置に移動させる(図8(d)参照)。そして、主制御部110の制御により、ロボット30は、扉211を開き、カートリッジ50をセル21から引き抜いて取り出す(図8(e)参照)。なお、引き抜き方法については、後述する。
【0072】
その後、カートリッジ50がセル21から引き抜かれると、扉211が元の位置に戻る。主制御部110は、ロボット30により、カートリッジ50がセル21から引き抜かれたことを、ロボット30が有する位置センサ情報を参照すること等により確認すると、ストッパ212を係合位置に戻す(図8(f)参照)。
【0073】
次に、ロボット30が、カートリッジ50をセル21から引き抜く方向を説明する。
図9は、ロボットのカートリッジ引き抜き方法を説明する図である。
図9(a)に示すように、ハンド33の両端部には、カートリッジ50の凹部51に係合する凸部形状のピッカー33dが配置されている。
【0074】
ハンド33は、幅(図9中左右方向)の長さを変更することが可能である。図9(a)は、幅を広げた状態であり幅の長さはW1である。
ロボット30が、カートリッジ50をセル21から引き抜く場合には、まず、ハンド33をカートリッジ50方向に接近させ、貫通孔211aから挿入する。
【0075】
そして、図9(b)に示すように、ピッカー33dをカートリッジ50の凹部51に位置づける。
そして、図9(c)に示すように、ハンド33の幅Wの長さを変更してピッカー33dを凹部51に挿入することにより、ハンド33がカートリッジ50を把持する。図9(c)は、幅を縮めた状態であり幅の長さは幅W1より短いW2である。
【0076】
そして、図9(d)に示すように、カートリッジ50を把持したままハンド33をセル21から離間する方向に移動させる。これにより、扉211がカートリッジ50に押されて背面側に開き、カートリッジ50がセル21から引き抜かれる。
【0077】
また、ロボット30が、カートリッジ50をセル21から引き抜く別の方法としては、ハンド33に加え、扉211を開く第2のハンド機構を設け、第2のハンド機構で扉211を開くとともにハンド33でカートリッジ50を引き抜く方法等も挙げられる。
【0078】
次に、ロボット30によるセル21へのカートリッジ50の挿入を説明する。
図10は、ロボット30によるセルへのカートリッジの挿入を説明する図である。
主制御部110は、カートリッジ50をロボット30に挿入させるセル21を特定する。
【0079】
そして、主制御部110は、特定したセル21のストッパ212を係合位置から解除位置に移動させる(図10(a)、(b)参照)。そして、主制御部110は、特定したセル21にカートリッジ50を把持したハンド33を移動させ、セル21にカートリッジ50を挿入させる。カートリッジ50が扉211に当接すると、扉211が前面側に回動する。これにより、カートリッジ50のセル21の前面側への移動が可能となる(図10(c)参照)。
【0080】
その後、カートリッジ50の端面50cがセル21の先端部まで挿入され、ハンド33がセル21から引き抜かれると、扉211が元の位置に戻る。主制御部110は、ハンド33がセル21から引き抜かれたことを確認すると、ストッパ212を係合位置に戻す(図10(d)参照)。
【0081】
利用者がセル21に配置されたカートリッジ50を取り出す場合は、そのまま取り出す(図10(e)参照)。
ところで、利用者とロボット30の両者が、同じセル21に配置されたカートリッジ50を同時に取り出そうとする状況(カートリッジ50へのアクセスの競合)が発生する可能性がある。
【0082】
この場合には、以下の処理を行うことで、競合を回避している。
図11は、取り出し時の競合回避処理を示すフローチャートである。
[ステップS1] ロボット制御部120が、主制御部110の指示に従ってハンド33を指示されたセル21にロボット30を位置づける。その後、ステップS2に遷移する。
【0083】
[ステップS2] ロボット制御部120が、ハンド制御部121に指示を与えることにより、ハンド33が、指示されたセル21からカートリッジ50の引き抜きを試みる。その後、ステップS3に遷移する。
【0084】
[ステップS3] ロボット制御部120が、ロボット30によるカートリッジ50の引き抜きが成功したか否かを判断する。これは、例えば、ハンド33のトルクセンサの値を検出すること等により、判断することができる。カートリッジ50の引き抜きが成功したとロボット制御部120が判断した場合(ステップS3のYes)ロボット制御部120は競合が発生していないと判定し、図11の処理を終了する。一方、カートリッジ50の引き抜きが失敗したとロボット制御部120が判断した場合(ステップS3のNo)、ステップS4に遷移する。
【0085】
なお、本実施の形態では、引抜き失敗はすべて競合が要因と判断して処理を終了したが、これに限らず、さらに別個の判断基準を用意しておき、この判断基準に基づいて、引き抜き失敗が、競合が要因であるのか、それとも他の要因であるのかを判断するようにしてもよい。
【0086】
[ステップS4] ロボット制御部120は、ハンド33を指示されたセル21の前で停止させ、一定時間待機する。これにより、利用者のカートリッジ50の引き抜きを優先し、競合を回避することができる。一定時間経過後、ステップS5に遷移する。
【0087】
[ステップS5] ロボット制御部120は、指示されたセル21にカートリッジ50が存在するか否かを判断する。これは、例えば、CMリーダ33cの検出結果により判定することができる。指示されたセル21にカートリッジ50が存在しない場合(ステップS5のNo)、ステップS4にて引き抜きを待機したときに、利用者によりカートリッジ50が引き抜かれたとロボット制御部120は判定し、取り出し時の競合回避処理を終了する。一方、カートリッジ50が存在すると判定した場合(ステップS5のYes)、ステップS6に遷移する。
【0088】
[ステップS6] ロボット制御部120が、ハンド制御部121に指示を与えることにより、ハンド33が、指示されたセル21からカートリッジ50の引き抜きを試みる。その後、ステップS7に遷移する。
【0089】
[ステップS7] ロボット制御部120は、セルからのカートリッジ50の引き抜きが成功したか否かを判断する。カートリッジ50の引き抜きが成功したと判断した場合(ステップS7のYes)、ロボット制御部120は競合が発生していないと判定し、取り出し時の競合回避処理を終了する。一方、カートリッジ50の引き抜きが失敗したとロボット制御部が判断した場合(ステップS7のNo)、ステップS8に遷移する。
【0090】
[ステップS8] ロボット制御部120は、指示されたセル21に異常が発生したと判定し、主制御部110に報知する。その後、取り出し時の競合回避処理を終了する。報知を受けた主制御部110は、異常が発生したことを示す画面をモニタ104aに表示させる。
【0091】
以上で、取り出し時の競合回避処理の説明を終了する。
なお、本実施の形態では、指示されたセル21からカートリッジ50の引き抜きを2回試み、2回とも引き抜きが失敗した場合、異常が発生したと判定したが、これに限らず、カートリッジ50の引き抜きを3回以上試みるようにしてもよい。
【0092】
次に、管理情報変更処理を説明する。
管理情報変更処理は、ドライブ装置40からカートリッジ50を取り出す度にライブラリ管理装置10が実行する処理である。
【0093】
図12は、管理情報変更処理を示すフローチャートである。
[ステップS11] 主制御部110は、ロボットを制御してドライブ装置40からカートリッジ50を抜き出す。その後、ステップS12に遷移する。
【0094】
[ステップS12] 主制御部110は、ドライブ装置40から抜き出したカートリッジ50がドライブ装置40に搬送される前に収納されていたセル21に、他のカートリッジ50が存在するか否かを判断する。他のカートリッジが存在しない場合(ステップS12のNo)、管理情報変更処理を終了する。一方、他のカートリッジが存在すると判断した場合(ステップS12のYes)、ステップS13に遷移する。
【0095】
[ステップS13] 主制御部110は、カートリッジが収納されていないセル21が収納棚に存在するか否かを判断する。カートリッジが収納されていないセル21が収納棚に存在する場合(ステップS13のYes)、ステップS14に遷移する。カートリッジが収納されていないセル21が収納棚に存在しない場合(ステップS13のNo)、図12の処理を終了する。
【0096】
[ステップS14] 主制御部110は、ドライブ装置40から抜き出したカートリッジ50を、カートリッジが収納されていないセル21に挿入するようロボット制御部120に指示する。その後、ステップS15に遷移する。
【0097】
[ステップS15] 主制御部110は、管理情報を更新する。主制御部110は具体的には、ドライブ装置40から抜き出したカートリッジ50のバーコードを読み取り、読み取ったバーコードの情報に基づいて、記憶部130に記憶されている、カートリッジ50の種別とカートリッジ50の収納位置とが関連づけられた情報を書き換える。また、主制御部110は、カートリッジ50の収納位置を変更したことを示す画面をモニタ104aに表示させる。これにより、利用者に収納位置を変更したことを報知する。その後、管理情報変更処理を終了する。
【0098】
以上で、管理情報変更処理の説明を終了する。
次に、カートリッジ挿入時の競合回避処理を説明する。
この処理は、利用者とロボット30とが同じセル21にカートリッジ50を挿入しようとしたときに、ライブラリ管理装置10が実行する処理である。
【0099】
図13は、挿入時の競合回避処理を示すフローチャートである。
[ステップS21] 主制御部110は、ホスト装置300からドライブ装置40からカートリッジ50を抜き出し、抜き出したカートリッジ50を所定のセル21へ挿入する指示を受け付けると、主制御部110は、ロボット30にドライブ装置40からカートリッジ50を抜き出すよう指示する。
【0100】
そして、主制御部110は、ホスト装置300から指示されたセル21に、ドライブ装置40から抜き出したカートリッジ50を保持したロボット30を、位置づける。その後、ステップS22に遷移する。
【0101】
[ステップS22] 主制御部110は、ホスト装置300から指示されたセル21へ、カートリッジ50の挿入を試みるようロボット30を制御する。その後、ステップS23に遷移する。
【0102】
[ステップS23] 主制御部110は、カートリッジ50が指示されたセル21に挿入できたか否かを判断する。挿入できた場合(ステップS23のYes)、挿入時の競合回避処理を終了する。挿入できなかった場合(ステップS23のNo)、ステップS24に遷移する。
【0103】
[ステップS24] カートリッジをセルに挿入できなかった場合、ロボット制御部120は、一定時間待機する。これにより、待機している間に利用者が、カートリッジ50を再度挿入しようとした場合の競合を回避することができる。その後、ステップS25に遷移する。
【0104】
[ステップS25] 主制御部110は、指示されたセルにカートリッジ50が存在するか否かを判断する。指示されたセルにカートリッジ50が存在している場合(ステップS25のYes)、管理情報変更処理のステップS13以降の処理を行う。指示されたセルにカートリッジ50が存在しない場合(ステップS25のNo)、ステップS26に遷移する。
【0105】
[ステップS26] ロボット制御部120は、ロボット30を制御して、指示されたセル21へのカートリッジ50の挿入を試みる。その後、ステップS27に遷移する。
[ステップS27] ロボット制御部120は、指示されたセル21にカートリッジ50が挿入できたか否かを判断する。挿入できた場合(ステップS27のYes)、挿入時の競合回避処理を終了する。挿入できなかった場合(ステップS27のNo)、ステップS28に遷移する。
【0106】
[ステップS28] セルにカートリッジ50が挿入できなかった場合、ロボット制御部120は、指示されたセル21に異常が発生したと判定し、主制御部110に報知する。その後、挿入時の競合回避処理を終了する。報知を受けた主制御部110は、異常が発生したことを示す画面をモニタ104aに表示させる。
【0107】
以上で、挿入時の競合回避処理の説明を終了する。
以上述べたように、本実施の形態のライブラリ管理装置10によれば、カートリッジ取り出し時の競合回避処理、および、カートリッジ挿入時の競合回避処理を行うようにした。これにより、利用者とロボット30との競合を回避し、ライブラリシステム100を利用する利用者の操作性を向上することができる。
【0108】
また、利用者が用いるアクセス面とロボット30が用いるアクセス面とが異なる収納棚20により、利用者は、ロボット30の稼働中にセル21に自由にカートリッジ50を挿入することができる。
【0109】
また、利用者とロボット30のアクセス面が異なるため、利用者が、ロボット30と接触することが抑制され、利用者はセル21により安全にアクセスすることができる。
さらに、各セル21に扉211を配置することにより、さらに安全性を向上させることができる。
【0110】
また、利用者が、手動でカートリッジ50を収納することができるため、カートリッジを収納する位置をカートリッジ50の用途別に分ける等、カートリッジ50の整理が容易になる。例えば、複数のカートリッジ50が一続きのデータを保管している場合、これらのデータをまとめて収納しておくことで、視覚的に抜けや重複を容易に把握することができる。
【0111】
また、収納棚20を設けることで、CASを省略することができる。これにより、利用者の操作性が向上する。
例えば、一度にCASに納まらない複数のカートリッジ50のデータをバックアップ、または、リストアしたい場合、CASを備えるライブラリシステムでは、CASに投入するカートリッジ50を分けるか、または、ライブラリ管理装置の運用を一度停止し、カートリッジが収納されたラックの扉を開けてセルにアクセスする必要があった。しかし、本実施の形態のライブラリシステム100によれば、ライブラリ管理装置10の運用を停止しなくても複数のカートリッジ50を各セル21に収納することができる。
【0112】
また、利用者が、収納棚20を介してロボット30が配置された側の反対側からカートリッジ50にアクセスできるため、カートリッジ50の出し入れが容易である。
また、ライブラリシステム100を複数の人数で共用して使用する場合には、例えば、以下の使用例が挙げられる。
【0113】
ユーザ毎、または、部署毎に、使用するセルの範囲を決定しておくことができる。
また、用途別(データ種別)毎や、年月毎に、使用するセルの範囲を決定しておくことができる。また、データ種別としては、例えば、文書データ、静止画像データ、動画像データ、音声データ、家計簿データ、健康管理データ等が挙げられる。
【0114】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態のライブラリシステムについて説明する。
以下、第3の実施の形態のライブラリシステムについて、前述した第2の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
【0115】
図14は、第3の実施の形態のセルを示す図である。
図14(a)に示すように、第3の実施の形態のセル21aは、前面側に設けられた扉213と、扉213の背面側への回動を規制するストッパ214とを有している。
【0116】
扉213は、扉211と同様に、支点(図示せず)を中心に回動する。
ストッパ214は、主制御部110の制御により、扉213と係合する位置(係合位置)と、扉213と係合しない位置(解除位置)とを取り得る。
【0117】
セル21aは、カートリッジ50がセル21aに収納された状態で、扉213を閉められるように、左右方向の長さが、カートリッジ50に比べて長く作成されている。
次に、カートリッジ50のセル21aへの挿入を説明する。
【0118】
まず、前面側からカートリッジ50が挿入されるときの各部の動作を説明する。
前面からのカートリッジの挿入時には、ストッパ214は、解除位置に位置している(図14(a)参照)。
【0119】
利用者が、前面側からカートリッジ50を挿入すると(図14(b)参照)、扉213が背面側に押し込まれる。
その後、カートリッジ50の全体が、セル21a内に位置すると、カートリッジの端面50bが扉211に当接する。扉211にはストッパ212が当接しているため、カートリッジ50は、これ以上の背面側への移動が規制される。このとき扉213は、重力により元の位置に戻る(図14(c)参照)。
【0120】
次に、ロボット30のカートリッジ50の取り出しを説明する。
主制御部110は、カートリッジ50の種別と、カートリッジ50の収納位置とが関連づけられた情報に基づいて、ロボット30に取り出させるカートリッジ50が配置されているセル21を特定する。
【0121】
そして、主制御部110は、特定したセル21のストッパ212を解除位置に移動させる(図14(d)参照)。また、ストッパ212を解除位置に移動させるとともに、または、解除位置に移動させる前に、ストッパ214を係合位置に移動させる。これにより、利用者とロボット30との競合を回避することができる。
【0122】
そして、ロボット30は、扉211を回動させ、カートリッジ50をセル21から引き抜く(図14(e)参照)。
その後、カートリッジ50がセル21から引き抜かれると、重力により扉211が元の位置に戻る。主制御部110は、カートリッジ50がセル21から引き抜かれたことを確認すると、ストッパ212を扉211と係合する位置に戻す(図14(f)参照)。
【0123】
なお、図14に示した例では、主制御部110は、ロボット30がカートリッジ50の取り出しを開始するまで、利用者が扉211を開けてカートリッジを取り出すことを許可するよう制御した。しかし、これに限らず、一度、利用者が、カートリッジ50をセル21aに挿入した後に、利用者のカートリッジ50の取り出しを禁止する(ロックをかける)よう制御することもできる。
【0124】
次に、扉211と扉213の制御方法の一例を詳しく説明する。
図15は、扉制御の手法を示す図である。
図15に示す扉制御用テーブル215は、例えば、HDD103に格納されており、主制御部110が読み出して使用することができる。
【0125】
扉制御用テーブル215には、セル21aへのアクセス状態として、カートリッジ挿入前、カートリッジ挿入後、ロボットによるカートリッジへのアクセス、ロボットによりカートリッジをセルに戻した後の4つのアクセス状態が示されている。
【0126】
また、扉制御用テーブル215には、2つの制御モードが設定されている。主制御部110は、2つのモードからいずれか一方を選択することができる。1つ目のモードは、セルに投入したカートリッジ50を利用者が自由に取り出せるモード(第1のモード)である。もう1つのモードは、セルに投入したカートリッジ50を利用者が自由に取り出せないモード(第2のモード)である。
【0127】
なお、図15中、「前扉」は、扉211を指し、「後扉」は、扉213を指す。また、前扉の欄の「アンロック」は、ストッパ212が解除位置に位置していることを示している。前扉の欄の「ロック」は、ストッパ212が係合位置に位置していることを示している。後扉の欄の「アンロック」は、ストッパ214が解除位置に位置していることを示している。後扉の欄の「ロック」は、ストッパ214が係合位置に位置していることを示している。
【0128】
第1のモードでは、ロボット30がカートリッジ50にアクセスするときのみ、扉213をロックする。これにより、カートリッジ取り出し時の競合を回避することができる。
また、第2のモードでは、カートリッジ50をセル21に挿入する際に扉213をロックする。これにより、カートリッジ50のセキュリティを強化することができる。
【0129】
この第3の実施の形態のライブラリシステムによれば、第2の実施の形態のライブラリシステムと同様の効果が得られる。
そして、第3の実施の形態のライブラリシステムによれば、さらに、第2のモードに設定することにより、カートリッジ50のセルへの挿入後は、カートリッジが挿入されたセルのストッパ214が係合位置に移動して扉213がロックされる。このため、第三者が勝手に扉を開け、カートリッジ50を持ち去ることを抑制することができる。これにより、カートリッジ50の管理の安全性が向上する。
【0130】
また、容易に利用者とロボット30との競合を防止することができる。
<第4の実施の形態>
次に、第4の実施の形態のライブラリシステムについて説明する。
【0131】
以下、第4の実施の形態のライブラリシステムについて、前述した第3の実施の形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図16は、第4の実施の形態のライブラリシステムを説明する図である。
【0132】
第4の実施の形態のライブラリシステムは、タッチパネル71とカートリッジ排出部72とを有している。
図17は、タッチパネルの表示イメージを示す図である。
【0133】
タッチパネル71は、セル21aのカートリッジ50の収納状態と、利用者が、カートリッジ50をセル21aに出し入れすることができる領域を示す操作可能エリア71aを表示している。図17中、斜線部が、カートリッジ50が収納されていないエリアであることを示している。
【0134】
タッチパネル71に表示されている1つの格子が、1つのセル21aに対応している。
操作可能エリア71aは、例えば、利用者毎に異なるエリアを割り当てるようにしてもよいし、会社等であれば部門毎に異なるエリアを割り当てるようにしてもよい。また、データの用途別や年月別に使用するエリアを決定するようにしてもよい。
【0135】
利用者はタッチパネル71を操作することで、操作可能エリア71a内におけるカートリッジ50の配置位置を変更することができる。
再び図16に戻って説明する。
【0136】
カートリッジ排出部72は、カートリッジ50が排出される部位である。利用者が、タッチパネル71を操作することにより、排出対象のカートリッジ50が、カートリッジ排出部72に搬送され、カートリッジ50を取り出すことができる。
【0137】
本実施の形態では、利用者が、任意のカートリッジ50をタッチパネル71で指定するか、または、カートリッジ50をセル21aに挿入することで、タッチパネル71上にポップアップメニューが表示される。
【0138】
図18は、ポップアップメニューを説明する図である。
ポップアップメニュー73には、タッチパネル71上で指定されたカートリッジ50、または、セル21aに挿入されたカートリッジ50に格納されているデータのディレクトリ構造が表示される。
【0139】
このカートリッジ50をセル21aから取り出す場合は、このポップアップメニュー73の「カートリッジ排出」を選択することにより、主制御部110にカートリッジ50の排出指示が伝わる。
【0140】
主制御部110により、選択されたファイルのデータを格納しているカートリッジ50が特定される。特定されたカートリッジ50が収納されているセル21aが特定される。その後、主制御部110の指示により、ロボット30のハンド33が起動し、ハンド33により、特定されたセル21aに収納されているカートリッジ50が把持される。ロボット30は、把持したカートリッジ50をカートリッジ排出部72に搬送する。
【0141】
この第4の実施の形態のライブラリシステムによれば、第3の実施の形態のライブラリシステムと同様の効果が得られる。
そして、第4の実施の形態のライブラリシステムによれば、さらに、ライブラリシステム内のどのセル21aに、利用者が所望するカートリッジ50が収納されているのかを、より容易に把握することができる。
【0142】
以上の第1〜第4の実施の形態に加え、さらに以下の変形例を説明する。
<変形例>
図19は、変形例のライブラリシステムを示す図である。
【0143】
各セル21aの扉213に各種情報を表示する表示部を設けるようにしてもよい。
図19(a)は、セル21aの扉213に表示部を設けた場合を示す図である。
LED74は、表示部の一例であり、カートリッジ50の有無を示す情報と、操作しようとしているセル21aがどれであるかを示す情報を表示する。
【0144】
具体的には、カートリッジ50が収納されている場合は、LED74がONする。カートリッジ50が収納されていない場合は、LED74がOFFする。また、タッチパネル71により、セル21aが選択されると、選択されたセル(操作しようとしているセル)21aのLED74が点滅する。
【0145】
図19(b)は、セル21aの扉213にタッチパネルを設けた場合を示す図である。
タッチパネル75には、カートリッジ50の有無を示す情報と、操作しようとしているセル21aがどれであるかを示す情報に加え、収納されているカートリッジ50のデータ内容を示す情報が表示されている。この情報の一例として、図19(b)では、ラベル名とファイル名が表示されている。
【0146】
また、これ以外の情報を見る場合には、利用者が、「UP」、または、「DOWN」が表示されている部分に触れることで、画面表示が変化し、他の情報を見ることができる。また、タッチパネル75の「EJECT」が表示されている部分に触れることで、主制御部110が、カートリッジ50の排出を開始する。
【0147】
以上、本発明の制御プログラム、制御方法および制御装置を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
【0148】
また、本発明は、前述した各実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、ライブラリ管理装置10が有する機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等が挙げられる。磁気記録装置としては、例えば、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等が挙げられる。光ディスクとしては、例えば、DVD、DVD−RAM、CD−ROM、CD−R/RW等が挙げられる。光磁気記録媒体としては、例えば、MO等が挙げられる。
【0149】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0150】
ライブラリ管理プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0151】
以上の第1〜第4の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 異なるアクセス面を有し、一方のアクセス面から利用者が記憶媒体を出し入れ可能であり、他方のアクセス面からマウント機構が前記記憶媒体を出し入れ可能であるセルを複数有する収納部から前記記憶媒体を取り出しドライブ装置にマウントするマウント機構を制御する制御プログラムにおいて、
コンピュータに、
前記マウント機構の制御中に、前記セル内で記憶媒体へのアクセスの競合が発生したか否かを判断する第1の判断手順、
前記第1の判断手順により前記記憶媒体へのアクセスの競合が発生したと判断された場合に、所定時間待機する待機手順、
前記待機手順による所定時間の待機後に、再度、前記記憶媒体へのアクセスの競合が発生したか否かを判断する第2の判断手順、
を実行させることを特徴とする制御プログラム。
【0152】
(付記2) 前記第1の判断手順および第2の判断手順では、前記セルから前記記憶媒体を取り出すときに前記記憶媒体へのアクセスの競合が発生したか否かを判断することを特徴とする付記1記載の制御プログラム。
【0153】
(付記3) 前記第1の判断手順および第2の判断手順では、前記収納部に前記記憶媒体を収納するときに前記記憶媒体へのアクセスの競合が発生したか否かを判断することを特徴とする付記1記載の制御プログラム。
【0154】
(付記4) 異なるアクセス面を有し、一方のアクセス面から利用者が記憶媒体を出し入れ可能であり、他方のアクセス面からマウント機構が前記記憶媒体を出し入れ可能であるセルを複数有する収納部から前記記憶媒体を取り出しドライブ装置にマウントするマウント機構を制御する制御方法において、
コンピュータが、
前記マウント機構の制御中に、前記セル内で記憶媒体へのアクセスの競合が発生したか否かを判断し、
前記記憶媒体へのアクセスの競合が発生したと判断された場合に、所定時間待機し、
前記所定時間の待機後に、再度、前記記憶媒体へのアクセスの競合が発生したか否かを判断する、
ことを特徴とする制御方法。
【0155】
(付記5) 異なるアクセス面を有し、一方のアクセス面から利用者が記憶媒体を出し入れ可能であり、他方のアクセス面からマウント機構が前記記憶媒体を出し入れ可能であるセルを複数有する収納部から前記記憶媒体を取り出しドライブ装置にマウントするマウント機構を制御する制御装置において、
前記マウント機構の制御中に、前記セル内で記憶媒体へのアクセスの競合が発生したか否かを判断し、前記記憶媒体へのアクセスの競合が発生したと判断された場合に、所定時間待機し、所定時間の待機後に、再度、前記記憶媒体へのアクセスの競合が発生したか否かを判断する判断部、を有することを特徴とする制御装置。
【0156】
(付記6) 記憶媒体を収納するセルを複数有する収納部から前記記憶媒体を取り出しドライブ装置にマウントするマウント機構を制御する制御装置において、
前記セルに収納されている前記記憶媒体に記憶されているデータのデータ構造を表示する表示部と、
前記表示部に表示されたデータ取り出しの指示に基づいて、前記記憶媒体を特定する記憶媒体特定部と、
を有することを特徴とする制御装置。
【符号の説明】
【0157】
1 制御装置
1a 実行部
1b 判断部
2 マウント機構
3 記憶媒体
4 収納部
4a、21、21a セル
5、40 ドライブ装置
6 筐体
10 ライブラリ管理装置
20 収納棚
30 ロボット
31 支柱
32a X軸モータ
32b Y軸モータ
33 ハンド
33a Pモータ
33b バーコードリーダ
33c CMリーダ
33d ピッカー
50 カートリッジ
50a CM
50b、50c 端面
51 凹部
53 CMリーダ
71、75 タッチパネル
71a 操作可能エリア
72 カートリッジ排出部
73 ポップアップメニュー
74 LED
100 ライブラリシステム
110 主制御部
120 ロボット制御部
121 ハンド制御部
130 記憶部
140 ホストインタフェース
211、213 扉
212、214 ストッパ
215 扉制御用テーブル
300 ホスト装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なるアクセス面を有し、一方のアクセス面から利用者が記憶媒体を出し入れ可能であり、他方のアクセス面からマウント機構が前記記憶媒体を出し入れ可能であるセルを複数有する収納部から前記記憶媒体を取り出しドライブ装置にマウントするマウント機構を制御する制御プログラムにおいて、
コンピュータに、
前記マウント機構の制御中に、前記セル内で記憶媒体へのアクセスの競合が発生したか否かを判断する第1の判断手順、
前記第1の判断手順により前記記憶媒体へのアクセスの競合が発生したと判断された場合に、所定時間待機する待機手順、
前記待機手順による所定時間の待機後に、再度、前記記憶媒体へのアクセスの競合が発生したか否かを判断する第2の判断手順、
を実行させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項2】
前記第1の判断手順および第2の判断手順では、前記セルから前記記憶媒体を取り出すときに前記記憶媒体へのアクセスの競合が発生したか否かを判断することを特徴とする請求項1記載の制御プログラム。
【請求項3】
前記第1の判断手順および第2の判断手順では、前記収納部に前記記憶媒体を収納するときに前記記憶媒体へのアクセスの競合が発生したか否かを判断することを特徴とする請求項1記載の制御プログラム。
【請求項4】
異なるアクセス面を有し、一方のアクセス面から利用者が記憶媒体を出し入れ可能であり、他方のアクセス面からマウント機構が前記記憶媒体を出し入れ可能であるセルを複数有する収納部から前記記憶媒体を取り出しドライブ装置にマウントするマウント機構を制御する制御方法において、
コンピュータが、
前記マウント機構の制御中に、前記セル内で記憶媒体へのアクセスの競合が発生したか否かを判断し、
前記記憶媒体へのアクセスの競合が発生したと判断された場合に、所定時間待機し、
前記所定時間の待機後に、再度、前記記憶媒体へのアクセスの競合が発生したか否かを判断する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項5】
異なるアクセス面を有し、一方のアクセス面から利用者が記憶媒体を出し入れ可能であり、他方のアクセス面からマウント機構が前記記憶媒体を出し入れ可能であるセルを複数有する収納部から前記記憶媒体を取り出しドライブ装置にマウントするマウント機構を制御する制御装置において、
前記マウント機構の制御中に、前記セル内で記憶媒体へのアクセスの競合が発生したか否かを判断し、前記記憶媒体へのアクセスの競合が発生したと判断された場合に、所定時間待機し、所定時間の待機後に、再度、前記記憶媒体へのアクセスの競合が発生したか否かを判断する判断部、を有することを特徴とする制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate


【公開番号】特開2011−219191(P2011−219191A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87551(P2010−87551)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】