制御基板
【課題】空基板の種類を1つとし、製造面や管理面での煩雑さを改善する。
【解決手段】絶縁素子領域6と第1領域7と第2領域8とを共用領域4とし、この共用領域4中の実装領域AR1〜AR12に、デジタル入力、パルス入力、デジタル出力(シンク)、デジタル出力(ソース)などの入出力の種別が異なる何れか1つの回路を、その構成要素(フォトカプラ、抵抗素子、IC素子などの部品)を選択的に配置して入出力回路として構築する。
【解決手段】絶縁素子領域6と第1領域7と第2領域8とを共用領域4とし、この共用領域4中の実装領域AR1〜AR12に、デジタル入力、パルス入力、デジタル出力(シンク)、デジタル出力(ソース)などの入出力の種別が異なる何れか1つの回路を、その構成要素(フォトカプラ、抵抗素子、IC素子などの部品)を選択的に配置して入出力回路として構築する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プロセス制御に使用されるコントローラなどの機器に組み込まれる制御基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、プロセス制御に使用されるコントローラなどの機器には、その機器の動作に必要な入出力回路が構築された制御基板が組み込まれている。
【0003】
例えば、プロセス制御に使用されるコントローラは、温度や圧力などの状態量を表すデジタル信号やパルス信号を入力して、外部状態を所定の条件に保つような演算量を算出して外部機器などへの出力を行う。
【0004】
このような動作を行わせるために、CPUなどの演算部と合わせ、デジタル入力、パルス入力、デジタル出力などの仕様に応じた入出力回路をプリント基板上に構築し、この演算部や入出力回路を構築したプリント基板を制御基板としてコントローラに組み込んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−085251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の制御基板では、デジタル入力用の制御基板、パルス入力用の制御基板、デジタル出力用の制御基板というように、入出力の種別が異なる専用の制御基板を個別に設計するようにしているため(例えば、特許文献1参照)、入出力回路の構成要素(フォトカプラ、抵抗素子、IC素子などの部品)を実装する前段階として準備されるプリント基板(以下、空基板という)の種類が増え、製造面や管理面で煩雑となるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、デジタル入力、パルス入力、デジタル出力などの種別が異なる入出力回路に対して、空基板の種類を1つとし、製造面や管理面での煩雑さを改善することが可能な制御基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明に係る制御基板は、入出力端子部と、演算部と、入出力端子部と接続される第1領域と、演算部と第1領域とを中継する第2領域とを備えた構成とし、第1領域と第2領域とを共用領域とし、入出力の種別が異なる複数の回路を第1〜第Nの回路とし、第1〜第Nの回路の何れか1つを共用領域中の予め定められた実装領域にその構成要素を選択的に配置して入出力回路として構築するようにしたものである。
【0009】
この発明によれば、例えば、入出力の種別が異なる複数の回路をデジタル入力回路、パルス入力回路、デジタル出力回路とした場合、デジタル入力用の制御基板とする場合には、共用領域中の予め定められた実装領域にデジタル入力回路の構成要素が選択的に配置されて入出力回路として構築され、パルス入力用の制御基板とする場合には、共用領域中の予め定められた実装領域にパルス入力回路の構成要素が選択的に配置されて入出力回路として構築され、デジタル出力用の制御基板とする場合には、共用領域中の予め定められた実装領域にデジタル出力回路の構成要素が選択的に配置されて入出力回路として構築される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1領域と第2領域とを共用領域とし、入出力の種別が異なる複数の回路を第1〜第Nの回路とし、第1〜第Nの回路の何れか1つを共用領域中の予め定められた実装領域にその構成要素を選択的に配置して入出力回路として構築するようにしたので、デジタル入力、パルス入力、デジタル出力などの種別が異なる入出力回路に対して、空基板の種類を1つとし、製造面や管理面での煩雑さを改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る制御基板の実施の形態の説明に入る前の空基板の構成例を示す図である。
【図2】この空基板を用いてデジタル入力、パルス入力、デジタル出力(シンク)、デジタル出力(ソース)の各制御基板を製作する際の部品表を示す図である。
【図3】この部品表に従って製作されたデジタル入力用の制御基板の構成例を示す図である。
【図4】この部品表に従って製作されたパルス入力用の制御基板の構成例を示す図である。
【図5】この部品表に従って製作されたデジタル出力(シンク)用の制御基板の構成例を示す図である。
【図6】この部品表に従って製作されたデジタル出力(ソース)用の制御基板の構成例を示す図である。
【図7】制御基板に構築されたデジタル出力回路(シンク)からの外部負荷への電流の流れを示す図である。
【図8】制御基板に構築されたデジタル出力回路(ソース)からの外部負荷への電流の流れを示す図である。
【図9】制御基板に搭載された演算部の要部の機能ブロック図である。
【図10】この演算部での処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】演算部の他の例を示す要部の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
〔空基板〕
先ず、本発明に係る制御基板の実施の形態の説明に入る前に、本実施の形態で用いる入出力回路の構成要素(フォトカプラ、抵抗素子、IC素子などの部品)を実装する前段階として準備されるプリント基板(空基板)の構成例について説明する。図1はこの空基板の構成例を示す図である。
【0014】
図1において、1は所定の配線パターンが形成されたプリント基板であり、このプリント基板1には所定の配線パターンが形成され、入出力端子部2と演算部3が既に設けられている。また、プリント基板1には、デジタル入力やパルス入力、デジタル出力などの入出力回路が構築される共用領域4と、外部回路として入出力種別出力回路が構築される外部回路領域5とが設けられている。この共用領域4および外部回路領域5に構築される回路については後述する。
【0015】
共用領域4は、絶縁素子領域6と第1領域7と第2領域8とから構成されており、第1領域7は入出力端子部2と絶縁素子領域6とを中継する領域とされ、第2領域8は演算部3と絶縁素子領域6とを中継する領域とされる。
【0016】
共用領域4において、第2領域8は、入出力回路の構成要素の実装領域として、部品1の実装領域AR1と、部品2の実装領域AR2と、部品3の実装領域AR3と、部品4の実装領域AR4とを備えている。
【0017】
本実施の形態において、実装領域AR1,AR2はジャンパ部品の実装領域とされ、実装領域AR3は抵抗素子の実装領域とされ、実装領域AR4は抵抗素子あるいはジャンパ部品の実装領域とされている。なお、ジャンパ部品とは、その実装された線路の両端を短絡する結線部品である。
【0018】
共用領域4において、絶縁素子領域6は、入出力回路の構成要素の実装領域として、部品5の実装領域AR5を備えている。本実施の形態において、実装領域AR5はフォトカプラの実装領域とされている。なお、絶縁素子領域6は省略される場合もある。
【0019】
共用領域4において、第1領域7は、入出力回路の構成要素の実装領域として、部品6の実装領域AR6と、部品7の実装領域AR7と、部品8の実装領域AR8と、部品9の実装領域AR9と、部品10の実装領域AR10と、部品11の実装領域AR11と、部品12の実装領域AR12とを備えている。
【0020】
本実施の形態において、実装領域AR6,AR8,AR9は抵抗素子の実装領域とされ、実装領域AR7はダイオードブリッジの実装領域とされ、実装領域AR10はIC素子の実装領域とされ、実装領域AR11はジャンパ部品の実装領域とされ、実装領域AR12は電源回路の実装領域とされている。なお、ダイオードブリッジの実装領域AR7は省略される場合もある。
【0021】
外部回路領域5は、外部回路の構成要素の実装領域として、部品13の実装領域AR13と、部品14の実装領域AR14とを備えている。本実施の形態において、実装領域AR13,AR14は抵抗素子の実装領域とされ、外部回路領域5に構築される回路は分圧回路とされる。
【0022】
〔制御基板〕
本実施の形態では、この空基板100を用いて、デジタル入力用の制御基板、パルス入力用の制御基板、デジタル出力用の制御基板などの入出力の種別が異なる制御基板を製作する。すなわち、1種類の空基板100を用いて、複数種類の制御基板を製作する。これにより、空基板の種類が増えることがなく、製造面や管理面での煩雑さが改善される。
【0023】
図2に、デジタル入力、パルス入力、デジタル出力(シンク)、デジタル出力(ソース)の各制御基板を製作する際の部品表を示す。この部品表に従って、空基板100の実装領域AR1〜AR14に各部品を実装し、デジタル入力用の制御基板、パルス入力用の制御基板、デジタル出力用の制御基板(シンク)、デジタル出力用の制御基板(ソース)を製作する。
【0024】
〔デジタル入力用の制御基板〕
図3に図2の部品表に従って製作されたデジタル入力用の制御基板200Aを示す。
【0025】
このデジタル入力用の制御基板200Aでは、共用領域4に入出力回路201としてデジタル入力回路201Aが構築され、外部回路領域5に外部回路として入出力種別出力回路202(202A)が構築される。
【0026】
〔共用領域〕
図3において、共用領域4の第2領域8には、その実装領域AR2に部品2としてジャンパ部品JP1が実装され、実装領域AR3に部品3として抵抗R6が実装され、実装領域AR4に部品4としてジャンパ部品JP2が実装される。なお、第2領域8中、実装領域AR1には部品1は実装されない。
【0027】
また、絶縁素子領域6には、その実装領域AR5に部品5として、フォトカプラAが実装される。フォトカプラAは4ピンの部品である。なお、図中の「●」印は入端端子のある方向を示す。
【0028】
また、第1領域7には、その実装領域AR6に部品6として抵抗R3が実装され、実装領域AR7に部品7としてダイオードブリッジDRが実装され、実装領域AR8に部品8として抵抗R2が実装される。なお、第1領域7中、実装領域AR9,AR10,AR11,AR12には、部品9,10,11,12は実装されない。
【0029】
これにより、共用領域4に、入出力回路201としてデジタル入力回路201Aが構築される。
【0030】
〔外部回路領域〕
図3において、外部回路領域5には、その実装領域AR13に抵抗RAが実装され、実装領域AR14に抵抗RBが実装される。
【0031】
これにより、外部回路領域5に、抵抗RAとRBとの分圧回路が入出力種別出力回路202(202A)として構築される。
【0032】
この入出力種別出力回路202(202A)での抵抗RAとRBとの分圧電圧Vinは、入出力回路201(201A)の入出力の種別(デジタル入力)に応じたアナログ信号として演算部3へ与えられる。
【0033】
〔デジタル入力回路の動作〕
デジタル入力回路201Aにおいて、外部から入力されるデジタル信号(例えば、24/0V)は、抵抗R2を介してダイオードブリッジDRに入力される。デジタル信号はダイオードブリッジDRにより極性が統一され、抵抗R3と並列にフォトカプラAに入力される。
【0034】
フォトカプラAは、例えば入力電圧24Vの時に駆動し、フォトカプラAの出力端子がONする。これにより、電圧VccがフォトカプラA、ジャンパ部品JP2、ジャンパ部品JP1を介してGNDに接続される回路が形成され、演算部3ではLOレベルを検出する。一方、入力電圧が0Vの時にはフォトカプラAが駆動しないため、電圧Vccが演算部3に接続され、HIレベルを検出する。
【0035】
なお、抵抗R2,R3により、フォトカプラAの入力電流が確定され、抵抗R3によりデジタル電圧の入力変化によるON−OFF時となる入力電圧レベルが適切に設定される。また、抵抗R6により電圧Vccが確定される。また、フォトカプラAにより、入力側と出力側とが電気的に絶縁される。また、抵抗R6により演算部3の入力電圧が規定される。また、演算部3中のCPUは、入力ポートを一定周期毎に読むことでデジタル入力の状態を認識する。
【0036】
〔パルス入力用の制御基板〕
図4に図2の部品表に従って製作されたパルス入力用の制御基板200Bを示す。
【0037】
このパルス入力用の制御基板200Bでは、共用領域4に入出力回路201としてパルス入力回路201Bが構築され、外部回路領域5に外部回路として入出力種別出力回路202(202B)が構築される。
【0038】
〔共用領域〕
図4において、共用領域4の第2領域8には、その実装領域AR2に部品2としてジャンパ部品JP1が実装され、実装領域AR3に部品3として抵抗R5が実装され、実装領域AR4に部品4としてジャンパ部品JP2が実装される。なお、第2領域8中、実装領域AR1には部品1は実装されない。
【0039】
また、絶縁素子領域6には、その実装領域AR5に部品5として、フォトカプラBが実装される。フォトカプラBは6ピンの部品である。なお、図中の「●」印は入端端子のある方向を示す。なお、フォトカプラは要求される入出力間の応答時間特性に応じたものが実装される。
【0040】
また、第1領域7には、その実装領域AR6に部品6として抵抗R3が実装され、実装領域AR7に部品7としてダイオードブリッジDRが実装され、実装領域AR8に部品8として抵抗R1が実装される。なお、第1領域7中、実装領域AR9,AR10,AR11,AR12には、部品9,10,11,12は実装されない。
【0041】
これにより、共用領域4に、入出力回路201としてパルス入力回路201Bが構築される。
【0042】
〔外部回路領域〕
図4において、外部回路領域5には、その実装領域AR13に抵抗RAが実装され、実装領域AR14に抵抗RCが実装される。
【0043】
これにより、外部回路領域5に、抵抗RAとRCとの分圧回路が入出力種別出力回路202(202B)として構築される。
【0044】
この入出力種別出力回路202(202B)での抵抗RAとRCとの分圧電圧Vinは、入出力回路201(201B)の入出力の種別(パルス入力)に応じたアナログ信号として演算部3へ与えられる。
【0045】
〔パルス入力回路の動作〕
パルス入力回路201Bは、デジタル入力回路201AのフォトカプラAをフォトカプラBに、抵抗R2を抵抗R1に、抵抗R6を抵抗R5に置き換えたものであり、デジタル入力回路201Aと同様の動作を行う。なお、パルスの計数は、例えばCPUのカウンタ機能を有効にすることで行う。
【0046】
〔デジタル出力用の制御基板(シンク)〕
図5に図2の部品表に従って製作されたデジタル出力(シンク)用の制御基板200Cを示す。
【0047】
このデジタル出力用の制御基板(シンク)200Cでは、共用領域4に入出力回路201としてデジタル出力回路(シンク)201Cが構築され、外部回路領域5に外部回路として入出力種別出力回路202(202C)が構築される。
【0048】
〔共用領域〕
図5において、共用領域4の第2領域8には、その実装領域AR1に部品1としてジャンパ部品JP3が実装され、実装領域AR4に部品4として抵抗R7が実装される。なお、第2領域8中、実装領域AR2,AR3には、部品2,3は実装されない。
【0049】
また、絶縁素子領域6には、その実装領域AR5に部品5として、フォトカプラAが実装される。この場合、フォトカプラAは、入力端子を第2領域8側とする。すなわち、図3に示したデジタル入力用の制御基板200AにおけるフォトカプラAに対して、その実装方向を異ならせる。
【0050】
また、第1領域7には、その実装領域AR9に部品6として抵抗R4が実装され、実装領域AR10に部品10としてIC素子(DO出力用IC)Aが実装され、実装領域AR11に部品11としてジャンパ部品JP4が実装され、実装領域AR12に部品12として電源回路PWが実装される。なお、実装領域AR6,AR7,AR8には、部品6,7,8は実装されない。
【0051】
これにより、共用領域4に、入出力回路201としてデジタル出力回路(シンク)201Cが構築される。
【0052】
〔外部回路領域〕
図5において、外部回路領域5には、その実装領域AR13に抵抗RAが実装され、実装領域AR14に抵抗RDが実装される。
【0053】
これにより、外部回路領域5に、抵抗RAとRDとの分圧回路が入出力種別出力回路202(202C)として構築される。
【0054】
この入出力種別出力回路202(202C)での抵抗RAとRDとの分圧電圧Vinは、入出力回路201(201C)の入出力の種別(デジタル出力(シンク))に応じたアナログ信号として演算部3へ与えられる。
【0055】
〔デジタル出力回路(シンク)の動作〕
デジタル出力回路(シンク)201Cにおいて、フォトカプラAの入力端子には、ジャンパ部品JP3,抵抗R7を介した電圧Vccと、演算部3からの出力信号線が接続され、例えば演算部3からの出力信号がLOの時にフォトカプラAを駆動して出力側の回路を形成する。
【0056】
この時、電源回路PWからの電圧がジャンパ部品JP4、フォトカプラAを介してIC素子Aに入力され、IC素子AがONすることでDO出力端子に接続される外部負荷に電流が流れる(図7参照(Vcc→外部負荷→IC素子A(DO出力用IC)接点→GND))。
【0057】
一方、演算部3からの入力信号がHIの時には、フォトカプラAは駆動しない。この時、IC素子Aには抵抗R4を介して0Vが入力され、IC素子AがOFFとなり、外部負荷に電流は流れない。
【0058】
なお、抵抗R7により、フォトカプラAの入力電流が確定される。また、抵抗R4によりIC素子Aの駆動電圧が確定される。また、電源回路PWは外部電圧Vccを変圧してIC素子Aの駆動に必要な電圧を作る。
【0059】
〔デジタル出力用の制御基板(ソース)〕
図6に図2の部品表に従って製作されたデジタル出力(ソース)用の制御基板200Dを示す。
【0060】
このデジタル出力用の制御基板(ソース)200Dでは、共用領域4に入出力回路201としてデジタル出力回路(ソース)201Dが構築され、外部回路領域5に外部回路として入出力種別出力回路202(202D)が構築される。
【0061】
〔共用領域〕
図6において、共用領域4の第2領域8には、その実装領域AR1に部品1としてジャンパ部品JP3が実装され、実装領域AR4に部品4として抵抗R7が実装される。なお、実装領域AR2,AR3には、部品2,3は実装されない。
【0062】
また、絶縁素子領域6には、その実装領域AR5に部品5として、フォトカプラAが実装される。この場合、フォトカプラAは、入力端子を第2領域8側とする。すなわち、図3に示したデジタル入力用の制御基板200AにおけるフォトカプラAに対して、その実装方向を異ならせる。
【0063】
また、第1領域7には、その実装領域AR9に部品6として抵抗R4が実装され、実装領域AR10に部品10としてIC素子(DO出力用IC)Bが実装され、実装領域AR11に部品11としてジャンパ部品JP4が実装され、実装領域AR12に部品12として電源回路PWが実装される。なお、実装領域AR6,AR7,AR8には、部品6,7,8は実装されない。
【0064】
これにより、共用領域4に、入出力回路201としてデジタル出力回路(ソース)201Dが構築される。
【0065】
〔外部回路領域〕
図6において、外部回路領域5には、その実装領域AR13に抵抗RAが実装され、実装領域AR14に抵抗REが実装される。
【0066】
これにより、外部回路領域5に、抵抗RAとREとの分圧回路が入出力種別出力回路202(202D)として構築される。
【0067】
この入出力種別出力回路202(202D)での抵抗RAとREとの分圧電圧Vinは、入出力回路201(201D)の入出力の種別(デジタル出力(ソース))に応じたアナログ信号として演算部3へ与えられる。
【0068】
〔デジタル出力回路(ソース)の動作〕
デジタル出力回路(ソース)201Dは、デジタル出力回路(シンク)201CのIC素子AをIC素子Bに置き換えたものであり、フォトカプラAの入力端子には、ジャンパ部品JP3,抵抗R7を介した電圧Vccと、演算部3からの出力信号線が接続され、例えば演算部3からの出力信号がLOの時にフォトカプラAを駆動して出力側の回路を形成する。
【0069】
この時、電源回路PWからの電圧がジャンパ部品JP4、フォトカプラAを介してIC素子Bに入力され、IC素子BがONすることでDO出力端子に接続される外部負荷に電流が流れる(図8参照(Vcc→IC素子B(DO出力用IC)接点→外部負荷→GND))。
【0070】
一方、演算部3からの入力信号がHIの時には、フォトカプラAは駆動しない。この時、IC素子Bには抵抗R4を介して0Vが入力され、IC素子BがOFFとなり、外部負荷に電流は流れない。
【0071】
なお、抵抗R7により、フォトカプラAの入力電流が確定される。また、抵抗R4によりIC素子Bの駆動電圧が確定される。また、電源回路PWは外部電圧Vccを変圧してIC素子Bの駆動に必要な電圧を作る。
【0072】
〔演算部〕
図9に演算部3の要部の機能ブロック図を示す。演算部3は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現され、本実施の形態特有の機能として、起動時に制御基板200のハードウェア(H/W)としての動作条件とソフトウェア(S/W)としての動作条件をチェックする動作条件チェック機能を有している。
【0073】
この動作条件チェック機能を実現するために、演算部3は、入出力種別出力回路202からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部31と、記憶部32と、入出力種別判定部33と、機能判定部34と、主処理部35とを有している。
【0074】
この演算部3において、記憶部32には、共用領域4に構築される入出力回路201の入出力の種別とA/D変換部31が変換するデジタル信号の値との関係を記した入出力種別判定情報TB1と、共用領域4に構築される入出力回路201の入出力の種別とその回路が有する機能との関係を記した第1の機能情報TB2と、制御基板200を組み込んで製品とされる機器が必要とする機能が記される第2の機能情報TB3と、各機能とその機能を実現するためのプログラムとの関係を示すプログラム情報TB4とが記憶されている。
【0075】
なお、入出力種別判定情報TB1および第1の機能情報TB2において、入出力種別の「001」はデジタル入力を示し、「002」はパルス入力を示し、「003」はデジタル出力(シンク)を示し、「004」はデジタル出力(ソース)を示している。また、入出力種別判定情報TB1での入出力種別は、デジタル信号の値を下限値と上限値とで区分した各範囲と対応づけられている。また、第2の機能情報TB3は、製作した制御基板200を機器に組み込んで製品として出荷する際、その機器が必要とする機能情報として不揮発性メモリ(EEPROM)などに書き込まれるものである。また、プログラム情報TB4には、各機能を実現するプログラムも含まれている。
【0076】
〔起動時の動作条件のチェック〕
今、例えば、制御基板200としてデジタル入力用の制御基板200A(図3)を製作し、この制御基板200Aを機器に組み込んで製品としたとする。
【0077】
この場合、制御基板200Aの演算部3の記憶部32には、制御基板200Aを機器に組み込んで製品とされる機器が必要とする機能情報が第2の機能情報TB3として書き込まれる。この例では、「AAA」として、「機能2」,「共通」を必要な機能とする第2の機器情報TB3を書き込む。
【0078】
この制御基板200Aを組み込んだ状態でその機器を起動すると(図10:ステップS101)、制御基板200Aの演算部3には、入出力種別出力回路202からの分圧電圧Vinがアナログ信号として入力される(ステップS102)。
【0079】
演算部3において、A/D変換部31は、入出力種別出力回路202からのアナログ信号をデジタル信号に変換する(ステップS103)。この変換されたデジタル信号は入出力種別判定部33へ送られる。
【0080】
入出力種別判定部33は、記憶部32から入出力種別判定情報TB1を読み込み(ステップS104)、送られてきたデジタル信号の値が入出力種別判定情報TB1中の区分された範囲の何れかに一致しているか否かを確認する(ステップS105)。
【0081】
この場合、デジタル信号の値は「0」〜「1FFF」の範囲にあるので(ステップS105のYES)、該当する入出力種別を「001」(デジタル入力)として決定する(ステップS106)。この決定した入出力種別は機能判定部34に送られる。
【0082】
機能判定部34は、入出力種別判定部33からの入出力種別に基づき、記憶部32中の第1の機能情報TB2を参照して、共通領域3に構築されている入出力回路201が有する機能をハード機能として読み出す(ステップS107)。この場合、記憶部32中の第1の機能情報TB2から、入出力種別「001」の回路が有する機能として定められている「機能2」,「共通」をハード機能として読み出す。
【0083】
また、機能判定部34は、記憶部32中の第2の機能情報TB3から、制御基板200Aを組み込んだ実際の機器が必要とする機能をソフト機能として読み出す(ステップS108)。この場合、記憶部32中の第2の機能情報TB3から、制御基板200Aを組み込んだ実際の機器が必要とする機能として定められている「機能2」,「共通」をソフト機能として読み出す。
【0084】
そして、機能判定部34は、ステップS107で読み出したハード機能とステップS108で読み出したソフト機能とが全て一致しているか否かをチェックする(ステップS109)。この場合、ハード機能とソフト機能とは全て一致しているので(ステップS109のYES)、その旨を主処理部35へ知らせる。
【0085】
主処理部35は、機能判定部34からのハード機能とソフト機能とが全て一致している旨の知らせを受けて、機能判定部34で読み出された全てのハード機能に対応するプログラムをプログラム情報TB4から選定して起動する(ステップS110)。この例では、「機能2」と「共通」のプログラムを選定し、起動する。
【0086】
なお、上述においては、ハード機能とソフト機能とが全て一致する場合について説明したが、一致しない場合もあり得る。例えば、デジタル入力の制御基板200Aを機器に組み込むべきところ、間違えてパルス入力の制御基板200Bを機器に組み込んでしまったとする。
【0087】
この場合、ステップS107では、記憶部32中の第1の機能情報TB2から、入出力種別「002」の回路が有する機能として定められている「機能1」,「機能2」,「機能3」,「共通」がハード機能として読み出される。これに対して、ステップS108では、記憶部32中の第2の機能情報TB3から、実際の機器に必要な機能として定められている「機能2」,「共通」がソフト機能として読み出される。
【0088】
この場合、機能判定部34は、ステップS107で読み出したハード機能とステップS108で読み出したソフト機能とが完全には一致していないので(ステップS109のNO)、その旨を主処理部35へ知らせる。
【0089】
主処理部35は、機能判定部34からのハード機能とソフト機能とが完全には一致していない旨の知らせを受けて、機能判定部34で読み出されたハード機能のうちソフト機能(実際の機器に必要な機能)と一致する機能についてのみ、その機能に対応するプログラムをプログラム情報TB4から選定して起動する(ステップS111)。この例では、ハード機能として読み出された「機能1」,「機能2」,「機能3」,「共通」のうち、実際の機器に必要な「機能2」と「共通」のプログラムを選定し、起動する。
【0090】
これにより、デジタル入力の制御基板200Aを組み込むべきところ、間違えてパルス入力の制御基板200Bを機器に組み込んでしまったとしても、製品としての動作の矛盾を未然に防ぐことができる。
【0091】
また、間違えてデジタル出力(シンク)の制御基板200Cやデジタル出力(ソース)の制御基板200Dを機器に組み込んだような場合にも、同様にして動作条件のチェックが行われるものとなり、製品としての動作の矛盾が未然に防がれるものとなる。
【0092】
また、A/D変換部31で変換されたデジタル信号の値が入出力種別判定情報TB1中の区分された範囲のいずれにも一致しない場合もあり得る。このような場合には、ステップS105のNOに応じてステップS112へ進み、記憶部32中の第2の機能情報TB3から実際の機器が必要とする機能のうち共通機能のみがソフト機能として読み出され、この読み出された共通機能のプログラムのみが起動されるものとなる。したがって、このような場合にも、製品としての動作の矛盾は生じないものとなる。
【0093】
なお、上述した実施の形態では、空基板100に外部回路領域5を形成し、この外部回路領域5に外部回路として入出力種別出力回路202を構築するようにしたが、必ずしも入出力種別出力回路202を構築するようにしなくてもよい。図11に入出力種別出力回路202を構築しない場合の演算部3の要部の機能ブロック図を例示する。
【0094】
この場合、演算部3の記憶部32に、共通領域3に構築された入出力回路201の入出力の種別を示す情報が記される入出力種別情報TB5を記憶させるものとする。例えば、空基板100にデジタル入力回路201Aを構築する際、このデジタル入力回路201Aの構築と合わせて演算部3の記憶部32に入出力種別情報TB5として入出力種別「001」を記憶部32に書き込むようにする。
【0095】
そして、起動時の動作条件のチェックを行う場合、機能判定部34において、記憶部32中の入出力種別情報TB5から入出力種別を読み出すようにし、この読み出した入力種別に基づき、記憶部32中の第1の機能情報TB2を参照して、共通領域3に構築されている入出力回路201が有する機能をハード機能として読み出すようにする。以下、上述と同様にして、その読出したハード機能とソフト機能とが一致するか否かを判定し、その判定結果に基づいてプログラムの起動を行う。
【0096】
なお、上述した実施の形態では、絶縁素子領域を備える例を示したが、絶縁素子領域を省略してもよく、また絶縁素子領域を確保しておき、省略する場合はジャンパ部品を実装して第1領域と第2領域を短絡する構成としてもよい。また、上述した実施の形態では、絶縁素子領域6にフォトカプラを実装する例を示したが、データ伝送に電気的な磁界や容量を応用したデジタルアイソレータなどの絶縁素子を実装してもよい。
【0097】
なお、上述した実施の形態では、デジタル入力用の制御基板200A、パルス入力用の制御基板200B、デジタル出力用(シンク)の制御基板200C、デジタル出力用(ソース)の制御基板200Dを製作する例を示したが、製作する制御基板200はこのような種類に限られるものではない。例えば、デジタル入力とパルス入力のみの組合せやデジタル出力(シンク、ソース)のみの組合せなどにも適応可能である。また、空基板100において、部品を実装する実装領域は各種の変形が自在であり、またその実装領域に実装する部品も必要に応じて定められることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の制御基板は、プロセス制御に使用されるコントローラなどの入出力機能を持つ機器に組み込まれる制御基板として、様々な機器に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0099】
1…プリント基板、2…入出力端子部、3…演算部、4…共用領域、5…外部回路領域、6…絶縁素子領域、7…第1領域、8…第2領域、31…A/D変換部、32…記憶部、33…入出力種別判定部、34…機能判定部、35…主処理部、TB1…入出力種別判定情報、TB2…第1の機能情報、TB3…第2の機能情報、TB4…プログラム情報、TB5…入出力種別情報、100…空基板、200(200A〜200D)…制御基板、201(201A〜201D)…入出力回路、202(202A〜202D)…入出力種別出力回路、AR1〜AR14…実装領域。
【技術分野】
【0001】
この発明は、プロセス制御に使用されるコントローラなどの機器に組み込まれる制御基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、プロセス制御に使用されるコントローラなどの機器には、その機器の動作に必要な入出力回路が構築された制御基板が組み込まれている。
【0003】
例えば、プロセス制御に使用されるコントローラは、温度や圧力などの状態量を表すデジタル信号やパルス信号を入力して、外部状態を所定の条件に保つような演算量を算出して外部機器などへの出力を行う。
【0004】
このような動作を行わせるために、CPUなどの演算部と合わせ、デジタル入力、パルス入力、デジタル出力などの仕様に応じた入出力回路をプリント基板上に構築し、この演算部や入出力回路を構築したプリント基板を制御基板としてコントローラに組み込んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−085251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の制御基板では、デジタル入力用の制御基板、パルス入力用の制御基板、デジタル出力用の制御基板というように、入出力の種別が異なる専用の制御基板を個別に設計するようにしているため(例えば、特許文献1参照)、入出力回路の構成要素(フォトカプラ、抵抗素子、IC素子などの部品)を実装する前段階として準備されるプリント基板(以下、空基板という)の種類が増え、製造面や管理面で煩雑となるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、デジタル入力、パルス入力、デジタル出力などの種別が異なる入出力回路に対して、空基板の種類を1つとし、製造面や管理面での煩雑さを改善することが可能な制御基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するために、本発明に係る制御基板は、入出力端子部と、演算部と、入出力端子部と接続される第1領域と、演算部と第1領域とを中継する第2領域とを備えた構成とし、第1領域と第2領域とを共用領域とし、入出力の種別が異なる複数の回路を第1〜第Nの回路とし、第1〜第Nの回路の何れか1つを共用領域中の予め定められた実装領域にその構成要素を選択的に配置して入出力回路として構築するようにしたものである。
【0009】
この発明によれば、例えば、入出力の種別が異なる複数の回路をデジタル入力回路、パルス入力回路、デジタル出力回路とした場合、デジタル入力用の制御基板とする場合には、共用領域中の予め定められた実装領域にデジタル入力回路の構成要素が選択的に配置されて入出力回路として構築され、パルス入力用の制御基板とする場合には、共用領域中の予め定められた実装領域にパルス入力回路の構成要素が選択的に配置されて入出力回路として構築され、デジタル出力用の制御基板とする場合には、共用領域中の予め定められた実装領域にデジタル出力回路の構成要素が選択的に配置されて入出力回路として構築される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1領域と第2領域とを共用領域とし、入出力の種別が異なる複数の回路を第1〜第Nの回路とし、第1〜第Nの回路の何れか1つを共用領域中の予め定められた実装領域にその構成要素を選択的に配置して入出力回路として構築するようにしたので、デジタル入力、パルス入力、デジタル出力などの種別が異なる入出力回路に対して、空基板の種類を1つとし、製造面や管理面での煩雑さを改善することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る制御基板の実施の形態の説明に入る前の空基板の構成例を示す図である。
【図2】この空基板を用いてデジタル入力、パルス入力、デジタル出力(シンク)、デジタル出力(ソース)の各制御基板を製作する際の部品表を示す図である。
【図3】この部品表に従って製作されたデジタル入力用の制御基板の構成例を示す図である。
【図4】この部品表に従って製作されたパルス入力用の制御基板の構成例を示す図である。
【図5】この部品表に従って製作されたデジタル出力(シンク)用の制御基板の構成例を示す図である。
【図6】この部品表に従って製作されたデジタル出力(ソース)用の制御基板の構成例を示す図である。
【図7】制御基板に構築されたデジタル出力回路(シンク)からの外部負荷への電流の流れを示す図である。
【図8】制御基板に構築されたデジタル出力回路(ソース)からの外部負荷への電流の流れを示す図である。
【図9】制御基板に搭載された演算部の要部の機能ブロック図である。
【図10】この演算部での処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】演算部の他の例を示す要部の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
〔空基板〕
先ず、本発明に係る制御基板の実施の形態の説明に入る前に、本実施の形態で用いる入出力回路の構成要素(フォトカプラ、抵抗素子、IC素子などの部品)を実装する前段階として準備されるプリント基板(空基板)の構成例について説明する。図1はこの空基板の構成例を示す図である。
【0014】
図1において、1は所定の配線パターンが形成されたプリント基板であり、このプリント基板1には所定の配線パターンが形成され、入出力端子部2と演算部3が既に設けられている。また、プリント基板1には、デジタル入力やパルス入力、デジタル出力などの入出力回路が構築される共用領域4と、外部回路として入出力種別出力回路が構築される外部回路領域5とが設けられている。この共用領域4および外部回路領域5に構築される回路については後述する。
【0015】
共用領域4は、絶縁素子領域6と第1領域7と第2領域8とから構成されており、第1領域7は入出力端子部2と絶縁素子領域6とを中継する領域とされ、第2領域8は演算部3と絶縁素子領域6とを中継する領域とされる。
【0016】
共用領域4において、第2領域8は、入出力回路の構成要素の実装領域として、部品1の実装領域AR1と、部品2の実装領域AR2と、部品3の実装領域AR3と、部品4の実装領域AR4とを備えている。
【0017】
本実施の形態において、実装領域AR1,AR2はジャンパ部品の実装領域とされ、実装領域AR3は抵抗素子の実装領域とされ、実装領域AR4は抵抗素子あるいはジャンパ部品の実装領域とされている。なお、ジャンパ部品とは、その実装された線路の両端を短絡する結線部品である。
【0018】
共用領域4において、絶縁素子領域6は、入出力回路の構成要素の実装領域として、部品5の実装領域AR5を備えている。本実施の形態において、実装領域AR5はフォトカプラの実装領域とされている。なお、絶縁素子領域6は省略される場合もある。
【0019】
共用領域4において、第1領域7は、入出力回路の構成要素の実装領域として、部品6の実装領域AR6と、部品7の実装領域AR7と、部品8の実装領域AR8と、部品9の実装領域AR9と、部品10の実装領域AR10と、部品11の実装領域AR11と、部品12の実装領域AR12とを備えている。
【0020】
本実施の形態において、実装領域AR6,AR8,AR9は抵抗素子の実装領域とされ、実装領域AR7はダイオードブリッジの実装領域とされ、実装領域AR10はIC素子の実装領域とされ、実装領域AR11はジャンパ部品の実装領域とされ、実装領域AR12は電源回路の実装領域とされている。なお、ダイオードブリッジの実装領域AR7は省略される場合もある。
【0021】
外部回路領域5は、外部回路の構成要素の実装領域として、部品13の実装領域AR13と、部品14の実装領域AR14とを備えている。本実施の形態において、実装領域AR13,AR14は抵抗素子の実装領域とされ、外部回路領域5に構築される回路は分圧回路とされる。
【0022】
〔制御基板〕
本実施の形態では、この空基板100を用いて、デジタル入力用の制御基板、パルス入力用の制御基板、デジタル出力用の制御基板などの入出力の種別が異なる制御基板を製作する。すなわち、1種類の空基板100を用いて、複数種類の制御基板を製作する。これにより、空基板の種類が増えることがなく、製造面や管理面での煩雑さが改善される。
【0023】
図2に、デジタル入力、パルス入力、デジタル出力(シンク)、デジタル出力(ソース)の各制御基板を製作する際の部品表を示す。この部品表に従って、空基板100の実装領域AR1〜AR14に各部品を実装し、デジタル入力用の制御基板、パルス入力用の制御基板、デジタル出力用の制御基板(シンク)、デジタル出力用の制御基板(ソース)を製作する。
【0024】
〔デジタル入力用の制御基板〕
図3に図2の部品表に従って製作されたデジタル入力用の制御基板200Aを示す。
【0025】
このデジタル入力用の制御基板200Aでは、共用領域4に入出力回路201としてデジタル入力回路201Aが構築され、外部回路領域5に外部回路として入出力種別出力回路202(202A)が構築される。
【0026】
〔共用領域〕
図3において、共用領域4の第2領域8には、その実装領域AR2に部品2としてジャンパ部品JP1が実装され、実装領域AR3に部品3として抵抗R6が実装され、実装領域AR4に部品4としてジャンパ部品JP2が実装される。なお、第2領域8中、実装領域AR1には部品1は実装されない。
【0027】
また、絶縁素子領域6には、その実装領域AR5に部品5として、フォトカプラAが実装される。フォトカプラAは4ピンの部品である。なお、図中の「●」印は入端端子のある方向を示す。
【0028】
また、第1領域7には、その実装領域AR6に部品6として抵抗R3が実装され、実装領域AR7に部品7としてダイオードブリッジDRが実装され、実装領域AR8に部品8として抵抗R2が実装される。なお、第1領域7中、実装領域AR9,AR10,AR11,AR12には、部品9,10,11,12は実装されない。
【0029】
これにより、共用領域4に、入出力回路201としてデジタル入力回路201Aが構築される。
【0030】
〔外部回路領域〕
図3において、外部回路領域5には、その実装領域AR13に抵抗RAが実装され、実装領域AR14に抵抗RBが実装される。
【0031】
これにより、外部回路領域5に、抵抗RAとRBとの分圧回路が入出力種別出力回路202(202A)として構築される。
【0032】
この入出力種別出力回路202(202A)での抵抗RAとRBとの分圧電圧Vinは、入出力回路201(201A)の入出力の種別(デジタル入力)に応じたアナログ信号として演算部3へ与えられる。
【0033】
〔デジタル入力回路の動作〕
デジタル入力回路201Aにおいて、外部から入力されるデジタル信号(例えば、24/0V)は、抵抗R2を介してダイオードブリッジDRに入力される。デジタル信号はダイオードブリッジDRにより極性が統一され、抵抗R3と並列にフォトカプラAに入力される。
【0034】
フォトカプラAは、例えば入力電圧24Vの時に駆動し、フォトカプラAの出力端子がONする。これにより、電圧VccがフォトカプラA、ジャンパ部品JP2、ジャンパ部品JP1を介してGNDに接続される回路が形成され、演算部3ではLOレベルを検出する。一方、入力電圧が0Vの時にはフォトカプラAが駆動しないため、電圧Vccが演算部3に接続され、HIレベルを検出する。
【0035】
なお、抵抗R2,R3により、フォトカプラAの入力電流が確定され、抵抗R3によりデジタル電圧の入力変化によるON−OFF時となる入力電圧レベルが適切に設定される。また、抵抗R6により電圧Vccが確定される。また、フォトカプラAにより、入力側と出力側とが電気的に絶縁される。また、抵抗R6により演算部3の入力電圧が規定される。また、演算部3中のCPUは、入力ポートを一定周期毎に読むことでデジタル入力の状態を認識する。
【0036】
〔パルス入力用の制御基板〕
図4に図2の部品表に従って製作されたパルス入力用の制御基板200Bを示す。
【0037】
このパルス入力用の制御基板200Bでは、共用領域4に入出力回路201としてパルス入力回路201Bが構築され、外部回路領域5に外部回路として入出力種別出力回路202(202B)が構築される。
【0038】
〔共用領域〕
図4において、共用領域4の第2領域8には、その実装領域AR2に部品2としてジャンパ部品JP1が実装され、実装領域AR3に部品3として抵抗R5が実装され、実装領域AR4に部品4としてジャンパ部品JP2が実装される。なお、第2領域8中、実装領域AR1には部品1は実装されない。
【0039】
また、絶縁素子領域6には、その実装領域AR5に部品5として、フォトカプラBが実装される。フォトカプラBは6ピンの部品である。なお、図中の「●」印は入端端子のある方向を示す。なお、フォトカプラは要求される入出力間の応答時間特性に応じたものが実装される。
【0040】
また、第1領域7には、その実装領域AR6に部品6として抵抗R3が実装され、実装領域AR7に部品7としてダイオードブリッジDRが実装され、実装領域AR8に部品8として抵抗R1が実装される。なお、第1領域7中、実装領域AR9,AR10,AR11,AR12には、部品9,10,11,12は実装されない。
【0041】
これにより、共用領域4に、入出力回路201としてパルス入力回路201Bが構築される。
【0042】
〔外部回路領域〕
図4において、外部回路領域5には、その実装領域AR13に抵抗RAが実装され、実装領域AR14に抵抗RCが実装される。
【0043】
これにより、外部回路領域5に、抵抗RAとRCとの分圧回路が入出力種別出力回路202(202B)として構築される。
【0044】
この入出力種別出力回路202(202B)での抵抗RAとRCとの分圧電圧Vinは、入出力回路201(201B)の入出力の種別(パルス入力)に応じたアナログ信号として演算部3へ与えられる。
【0045】
〔パルス入力回路の動作〕
パルス入力回路201Bは、デジタル入力回路201AのフォトカプラAをフォトカプラBに、抵抗R2を抵抗R1に、抵抗R6を抵抗R5に置き換えたものであり、デジタル入力回路201Aと同様の動作を行う。なお、パルスの計数は、例えばCPUのカウンタ機能を有効にすることで行う。
【0046】
〔デジタル出力用の制御基板(シンク)〕
図5に図2の部品表に従って製作されたデジタル出力(シンク)用の制御基板200Cを示す。
【0047】
このデジタル出力用の制御基板(シンク)200Cでは、共用領域4に入出力回路201としてデジタル出力回路(シンク)201Cが構築され、外部回路領域5に外部回路として入出力種別出力回路202(202C)が構築される。
【0048】
〔共用領域〕
図5において、共用領域4の第2領域8には、その実装領域AR1に部品1としてジャンパ部品JP3が実装され、実装領域AR4に部品4として抵抗R7が実装される。なお、第2領域8中、実装領域AR2,AR3には、部品2,3は実装されない。
【0049】
また、絶縁素子領域6には、その実装領域AR5に部品5として、フォトカプラAが実装される。この場合、フォトカプラAは、入力端子を第2領域8側とする。すなわち、図3に示したデジタル入力用の制御基板200AにおけるフォトカプラAに対して、その実装方向を異ならせる。
【0050】
また、第1領域7には、その実装領域AR9に部品6として抵抗R4が実装され、実装領域AR10に部品10としてIC素子(DO出力用IC)Aが実装され、実装領域AR11に部品11としてジャンパ部品JP4が実装され、実装領域AR12に部品12として電源回路PWが実装される。なお、実装領域AR6,AR7,AR8には、部品6,7,8は実装されない。
【0051】
これにより、共用領域4に、入出力回路201としてデジタル出力回路(シンク)201Cが構築される。
【0052】
〔外部回路領域〕
図5において、外部回路領域5には、その実装領域AR13に抵抗RAが実装され、実装領域AR14に抵抗RDが実装される。
【0053】
これにより、外部回路領域5に、抵抗RAとRDとの分圧回路が入出力種別出力回路202(202C)として構築される。
【0054】
この入出力種別出力回路202(202C)での抵抗RAとRDとの分圧電圧Vinは、入出力回路201(201C)の入出力の種別(デジタル出力(シンク))に応じたアナログ信号として演算部3へ与えられる。
【0055】
〔デジタル出力回路(シンク)の動作〕
デジタル出力回路(シンク)201Cにおいて、フォトカプラAの入力端子には、ジャンパ部品JP3,抵抗R7を介した電圧Vccと、演算部3からの出力信号線が接続され、例えば演算部3からの出力信号がLOの時にフォトカプラAを駆動して出力側の回路を形成する。
【0056】
この時、電源回路PWからの電圧がジャンパ部品JP4、フォトカプラAを介してIC素子Aに入力され、IC素子AがONすることでDO出力端子に接続される外部負荷に電流が流れる(図7参照(Vcc→外部負荷→IC素子A(DO出力用IC)接点→GND))。
【0057】
一方、演算部3からの入力信号がHIの時には、フォトカプラAは駆動しない。この時、IC素子Aには抵抗R4を介して0Vが入力され、IC素子AがOFFとなり、外部負荷に電流は流れない。
【0058】
なお、抵抗R7により、フォトカプラAの入力電流が確定される。また、抵抗R4によりIC素子Aの駆動電圧が確定される。また、電源回路PWは外部電圧Vccを変圧してIC素子Aの駆動に必要な電圧を作る。
【0059】
〔デジタル出力用の制御基板(ソース)〕
図6に図2の部品表に従って製作されたデジタル出力(ソース)用の制御基板200Dを示す。
【0060】
このデジタル出力用の制御基板(ソース)200Dでは、共用領域4に入出力回路201としてデジタル出力回路(ソース)201Dが構築され、外部回路領域5に外部回路として入出力種別出力回路202(202D)が構築される。
【0061】
〔共用領域〕
図6において、共用領域4の第2領域8には、その実装領域AR1に部品1としてジャンパ部品JP3が実装され、実装領域AR4に部品4として抵抗R7が実装される。なお、実装領域AR2,AR3には、部品2,3は実装されない。
【0062】
また、絶縁素子領域6には、その実装領域AR5に部品5として、フォトカプラAが実装される。この場合、フォトカプラAは、入力端子を第2領域8側とする。すなわち、図3に示したデジタル入力用の制御基板200AにおけるフォトカプラAに対して、その実装方向を異ならせる。
【0063】
また、第1領域7には、その実装領域AR9に部品6として抵抗R4が実装され、実装領域AR10に部品10としてIC素子(DO出力用IC)Bが実装され、実装領域AR11に部品11としてジャンパ部品JP4が実装され、実装領域AR12に部品12として電源回路PWが実装される。なお、実装領域AR6,AR7,AR8には、部品6,7,8は実装されない。
【0064】
これにより、共用領域4に、入出力回路201としてデジタル出力回路(ソース)201Dが構築される。
【0065】
〔外部回路領域〕
図6において、外部回路領域5には、その実装領域AR13に抵抗RAが実装され、実装領域AR14に抵抗REが実装される。
【0066】
これにより、外部回路領域5に、抵抗RAとREとの分圧回路が入出力種別出力回路202(202D)として構築される。
【0067】
この入出力種別出力回路202(202D)での抵抗RAとREとの分圧電圧Vinは、入出力回路201(201D)の入出力の種別(デジタル出力(ソース))に応じたアナログ信号として演算部3へ与えられる。
【0068】
〔デジタル出力回路(ソース)の動作〕
デジタル出力回路(ソース)201Dは、デジタル出力回路(シンク)201CのIC素子AをIC素子Bに置き換えたものであり、フォトカプラAの入力端子には、ジャンパ部品JP3,抵抗R7を介した電圧Vccと、演算部3からの出力信号線が接続され、例えば演算部3からの出力信号がLOの時にフォトカプラAを駆動して出力側の回路を形成する。
【0069】
この時、電源回路PWからの電圧がジャンパ部品JP4、フォトカプラAを介してIC素子Bに入力され、IC素子BがONすることでDO出力端子に接続される外部負荷に電流が流れる(図8参照(Vcc→IC素子B(DO出力用IC)接点→外部負荷→GND))。
【0070】
一方、演算部3からの入力信号がHIの時には、フォトカプラAは駆動しない。この時、IC素子Bには抵抗R4を介して0Vが入力され、IC素子BがOFFとなり、外部負荷に電流は流れない。
【0071】
なお、抵抗R7により、フォトカプラAの入力電流が確定される。また、抵抗R4によりIC素子Bの駆動電圧が確定される。また、電源回路PWは外部電圧Vccを変圧してIC素子Bの駆動に必要な電圧を作る。
【0072】
〔演算部〕
図9に演算部3の要部の機能ブロック図を示す。演算部3は、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して各種機能を実現させるプログラムとによって実現され、本実施の形態特有の機能として、起動時に制御基板200のハードウェア(H/W)としての動作条件とソフトウェア(S/W)としての動作条件をチェックする動作条件チェック機能を有している。
【0073】
この動作条件チェック機能を実現するために、演算部3は、入出力種別出力回路202からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換部31と、記憶部32と、入出力種別判定部33と、機能判定部34と、主処理部35とを有している。
【0074】
この演算部3において、記憶部32には、共用領域4に構築される入出力回路201の入出力の種別とA/D変換部31が変換するデジタル信号の値との関係を記した入出力種別判定情報TB1と、共用領域4に構築される入出力回路201の入出力の種別とその回路が有する機能との関係を記した第1の機能情報TB2と、制御基板200を組み込んで製品とされる機器が必要とする機能が記される第2の機能情報TB3と、各機能とその機能を実現するためのプログラムとの関係を示すプログラム情報TB4とが記憶されている。
【0075】
なお、入出力種別判定情報TB1および第1の機能情報TB2において、入出力種別の「001」はデジタル入力を示し、「002」はパルス入力を示し、「003」はデジタル出力(シンク)を示し、「004」はデジタル出力(ソース)を示している。また、入出力種別判定情報TB1での入出力種別は、デジタル信号の値を下限値と上限値とで区分した各範囲と対応づけられている。また、第2の機能情報TB3は、製作した制御基板200を機器に組み込んで製品として出荷する際、その機器が必要とする機能情報として不揮発性メモリ(EEPROM)などに書き込まれるものである。また、プログラム情報TB4には、各機能を実現するプログラムも含まれている。
【0076】
〔起動時の動作条件のチェック〕
今、例えば、制御基板200としてデジタル入力用の制御基板200A(図3)を製作し、この制御基板200Aを機器に組み込んで製品としたとする。
【0077】
この場合、制御基板200Aの演算部3の記憶部32には、制御基板200Aを機器に組み込んで製品とされる機器が必要とする機能情報が第2の機能情報TB3として書き込まれる。この例では、「AAA」として、「機能2」,「共通」を必要な機能とする第2の機器情報TB3を書き込む。
【0078】
この制御基板200Aを組み込んだ状態でその機器を起動すると(図10:ステップS101)、制御基板200Aの演算部3には、入出力種別出力回路202からの分圧電圧Vinがアナログ信号として入力される(ステップS102)。
【0079】
演算部3において、A/D変換部31は、入出力種別出力回路202からのアナログ信号をデジタル信号に変換する(ステップS103)。この変換されたデジタル信号は入出力種別判定部33へ送られる。
【0080】
入出力種別判定部33は、記憶部32から入出力種別判定情報TB1を読み込み(ステップS104)、送られてきたデジタル信号の値が入出力種別判定情報TB1中の区分された範囲の何れかに一致しているか否かを確認する(ステップS105)。
【0081】
この場合、デジタル信号の値は「0」〜「1FFF」の範囲にあるので(ステップS105のYES)、該当する入出力種別を「001」(デジタル入力)として決定する(ステップS106)。この決定した入出力種別は機能判定部34に送られる。
【0082】
機能判定部34は、入出力種別判定部33からの入出力種別に基づき、記憶部32中の第1の機能情報TB2を参照して、共通領域3に構築されている入出力回路201が有する機能をハード機能として読み出す(ステップS107)。この場合、記憶部32中の第1の機能情報TB2から、入出力種別「001」の回路が有する機能として定められている「機能2」,「共通」をハード機能として読み出す。
【0083】
また、機能判定部34は、記憶部32中の第2の機能情報TB3から、制御基板200Aを組み込んだ実際の機器が必要とする機能をソフト機能として読み出す(ステップS108)。この場合、記憶部32中の第2の機能情報TB3から、制御基板200Aを組み込んだ実際の機器が必要とする機能として定められている「機能2」,「共通」をソフト機能として読み出す。
【0084】
そして、機能判定部34は、ステップS107で読み出したハード機能とステップS108で読み出したソフト機能とが全て一致しているか否かをチェックする(ステップS109)。この場合、ハード機能とソフト機能とは全て一致しているので(ステップS109のYES)、その旨を主処理部35へ知らせる。
【0085】
主処理部35は、機能判定部34からのハード機能とソフト機能とが全て一致している旨の知らせを受けて、機能判定部34で読み出された全てのハード機能に対応するプログラムをプログラム情報TB4から選定して起動する(ステップS110)。この例では、「機能2」と「共通」のプログラムを選定し、起動する。
【0086】
なお、上述においては、ハード機能とソフト機能とが全て一致する場合について説明したが、一致しない場合もあり得る。例えば、デジタル入力の制御基板200Aを機器に組み込むべきところ、間違えてパルス入力の制御基板200Bを機器に組み込んでしまったとする。
【0087】
この場合、ステップS107では、記憶部32中の第1の機能情報TB2から、入出力種別「002」の回路が有する機能として定められている「機能1」,「機能2」,「機能3」,「共通」がハード機能として読み出される。これに対して、ステップS108では、記憶部32中の第2の機能情報TB3から、実際の機器に必要な機能として定められている「機能2」,「共通」がソフト機能として読み出される。
【0088】
この場合、機能判定部34は、ステップS107で読み出したハード機能とステップS108で読み出したソフト機能とが完全には一致していないので(ステップS109のNO)、その旨を主処理部35へ知らせる。
【0089】
主処理部35は、機能判定部34からのハード機能とソフト機能とが完全には一致していない旨の知らせを受けて、機能判定部34で読み出されたハード機能のうちソフト機能(実際の機器に必要な機能)と一致する機能についてのみ、その機能に対応するプログラムをプログラム情報TB4から選定して起動する(ステップS111)。この例では、ハード機能として読み出された「機能1」,「機能2」,「機能3」,「共通」のうち、実際の機器に必要な「機能2」と「共通」のプログラムを選定し、起動する。
【0090】
これにより、デジタル入力の制御基板200Aを組み込むべきところ、間違えてパルス入力の制御基板200Bを機器に組み込んでしまったとしても、製品としての動作の矛盾を未然に防ぐことができる。
【0091】
また、間違えてデジタル出力(シンク)の制御基板200Cやデジタル出力(ソース)の制御基板200Dを機器に組み込んだような場合にも、同様にして動作条件のチェックが行われるものとなり、製品としての動作の矛盾が未然に防がれるものとなる。
【0092】
また、A/D変換部31で変換されたデジタル信号の値が入出力種別判定情報TB1中の区分された範囲のいずれにも一致しない場合もあり得る。このような場合には、ステップS105のNOに応じてステップS112へ進み、記憶部32中の第2の機能情報TB3から実際の機器が必要とする機能のうち共通機能のみがソフト機能として読み出され、この読み出された共通機能のプログラムのみが起動されるものとなる。したがって、このような場合にも、製品としての動作の矛盾は生じないものとなる。
【0093】
なお、上述した実施の形態では、空基板100に外部回路領域5を形成し、この外部回路領域5に外部回路として入出力種別出力回路202を構築するようにしたが、必ずしも入出力種別出力回路202を構築するようにしなくてもよい。図11に入出力種別出力回路202を構築しない場合の演算部3の要部の機能ブロック図を例示する。
【0094】
この場合、演算部3の記憶部32に、共通領域3に構築された入出力回路201の入出力の種別を示す情報が記される入出力種別情報TB5を記憶させるものとする。例えば、空基板100にデジタル入力回路201Aを構築する際、このデジタル入力回路201Aの構築と合わせて演算部3の記憶部32に入出力種別情報TB5として入出力種別「001」を記憶部32に書き込むようにする。
【0095】
そして、起動時の動作条件のチェックを行う場合、機能判定部34において、記憶部32中の入出力種別情報TB5から入出力種別を読み出すようにし、この読み出した入力種別に基づき、記憶部32中の第1の機能情報TB2を参照して、共通領域3に構築されている入出力回路201が有する機能をハード機能として読み出すようにする。以下、上述と同様にして、その読出したハード機能とソフト機能とが一致するか否かを判定し、その判定結果に基づいてプログラムの起動を行う。
【0096】
なお、上述した実施の形態では、絶縁素子領域を備える例を示したが、絶縁素子領域を省略してもよく、また絶縁素子領域を確保しておき、省略する場合はジャンパ部品を実装して第1領域と第2領域を短絡する構成としてもよい。また、上述した実施の形態では、絶縁素子領域6にフォトカプラを実装する例を示したが、データ伝送に電気的な磁界や容量を応用したデジタルアイソレータなどの絶縁素子を実装してもよい。
【0097】
なお、上述した実施の形態では、デジタル入力用の制御基板200A、パルス入力用の制御基板200B、デジタル出力用(シンク)の制御基板200C、デジタル出力用(ソース)の制御基板200Dを製作する例を示したが、製作する制御基板200はこのような種類に限られるものではない。例えば、デジタル入力とパルス入力のみの組合せやデジタル出力(シンク、ソース)のみの組合せなどにも適応可能である。また、空基板100において、部品を実装する実装領域は各種の変形が自在であり、またその実装領域に実装する部品も必要に応じて定められることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明の制御基板は、プロセス制御に使用されるコントローラなどの入出力機能を持つ機器に組み込まれる制御基板として、様々な機器に利用することが可能である。
【符号の説明】
【0099】
1…プリント基板、2…入出力端子部、3…演算部、4…共用領域、5…外部回路領域、6…絶縁素子領域、7…第1領域、8…第2領域、31…A/D変換部、32…記憶部、33…入出力種別判定部、34…機能判定部、35…主処理部、TB1…入出力種別判定情報、TB2…第1の機能情報、TB3…第2の機能情報、TB4…プログラム情報、TB5…入出力種別情報、100…空基板、200(200A〜200D)…制御基板、201(201A〜201D)…入出力回路、202(202A〜202D)…入出力種別出力回路、AR1〜AR14…実装領域。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出力端子部と、演算部と、前記入出力端子部と接続される第1領域と、前記演算部と前記第1領域とを中継する第2領域とを備える制御基板であって、
前記第1領域と前記第2領域とを共用領域とし、入出力の種別が異なる複数の回路を第1〜第Nの回路とし、前記第1〜第Nの回路の何れか1つが前記共用領域中の予め定められた実装領域にその構成要素を選択的に配置して入出力回路として構築されている
ことを特徴とする制御基板。
【請求項2】
請求項1に記載された制御基板において、
前記第1領域は、
電源回路の実装領域と、IC素子の実装領域と、第1の抵抗素子の実装領域と、第2の抵抗素子の実装領域と、第3の抵抗素子の実装領域と、第1の結線部品の実装領域とを少なくとも備え、
前記第2領域は、
第4の抵抗素子の実装領域と、第2の結線部品の実装領域と、第3の結線部品の実装領域と、第5の抵抗素子あるいは第4の結線部品の実装領域とを少なくとも備えている
ことを特徴とする制御基板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された制御基板において、
前記共用領域に構築される入出力回路は、
前記第1の領域のIC素子の実装領域に実装されるIC素子の種別によって、ソース出力に対応可能なデジタル出力回路であるのか、シンク出力に対応可能なデジタル出力回路であるのかが定められる
ことを特徴とする制御基板。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載された制御基板において、
前記第1領域と前記第2領域とを中継する絶縁素子領域をさらに備えている
ことを特徴とする制御基板。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載された制御基板において、
前記共通領域に構築された入出力回路の入出力の種別に応じたアナログ信号を出力する入出力種別出力回路を備え、
前記演算部は、
前記入出力種別出力回路からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、
前記第1〜第Nの回路の入出力の種別と前記A/D変換手段が変換するデジタル信号の値との関係を記した入出力種別判定情報と、前記第1〜第Nの回路の入出力の種別とその回路が有する機能との関係を記した第1の機能情報と、前記制御基板を組み込んで製品とされる機器が必要とする機能を記した第2の機能情報と、各機能を実現するプログラムとを記憶する記憶手段と、
前記A/D変換手段によって変換されたデジタル信号の値に基づき、前記入出力種別判定情報を参照して、前記共通領域に構築されている入出力回路の入出力の種別を判定する入出力種別判定手段と、
前記入出力種別判定手段によって判定された入出力の種別に基づき、前記第1の機能情報を参照して、前記共通領域に構築されている入出力回路が有する機能をハード機能として読み出す一方、前記第2の機能情報として記されている機能をソフト機能として読み出し、その読み出したハード機能とソフト機能とが一致するか否かを判定する機能判定手段と
を備えることを特徴とする制御基板。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載された制御基板において、
前記演算部は、
前記共通領域に構築された入出力回路の入出力の種別を示す情報が記される入出力種別情報と、前記第1〜第Nの回路の入出力の種別とその回路が有する機能との関係を記した第1の機能情報と、前記制御基板を組み込んで製品とされる機器が必要とする機能を記した第2の機能情報と、各機能を実現するプログラムとを記憶する記憶手段と、
前記入出力種別情報および前記第1の機能情報を参照して前記共通領域に構築されている入出力回路が有する機能をハード機能として読み出す一方、前記第2の機能情報として記されている機能をソフト機能として読み出し、その読み出したハード機能とソフト機能とが一致するか否かを判定する機能判定手段と
を備えることを特徴とする制御基板。
【請求項7】
請求項5又は6に記載された制御基板において、
前記機能判定手段による判定結果に基づき、前記ハード機能のうち前記ソフト機能と一致する機能についてのみ、その機能に対応するプログラムを前記記憶手段から選定して起動する手段
を備えることを特徴とする制御基板。
【請求項1】
入出力端子部と、演算部と、前記入出力端子部と接続される第1領域と、前記演算部と前記第1領域とを中継する第2領域とを備える制御基板であって、
前記第1領域と前記第2領域とを共用領域とし、入出力の種別が異なる複数の回路を第1〜第Nの回路とし、前記第1〜第Nの回路の何れか1つが前記共用領域中の予め定められた実装領域にその構成要素を選択的に配置して入出力回路として構築されている
ことを特徴とする制御基板。
【請求項2】
請求項1に記載された制御基板において、
前記第1領域は、
電源回路の実装領域と、IC素子の実装領域と、第1の抵抗素子の実装領域と、第2の抵抗素子の実装領域と、第3の抵抗素子の実装領域と、第1の結線部品の実装領域とを少なくとも備え、
前記第2領域は、
第4の抵抗素子の実装領域と、第2の結線部品の実装領域と、第3の結線部品の実装領域と、第5の抵抗素子あるいは第4の結線部品の実装領域とを少なくとも備えている
ことを特徴とする制御基板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された制御基板において、
前記共用領域に構築される入出力回路は、
前記第1の領域のIC素子の実装領域に実装されるIC素子の種別によって、ソース出力に対応可能なデジタル出力回路であるのか、シンク出力に対応可能なデジタル出力回路であるのかが定められる
ことを特徴とする制御基板。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載された制御基板において、
前記第1領域と前記第2領域とを中継する絶縁素子領域をさらに備えている
ことを特徴とする制御基板。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載された制御基板において、
前記共通領域に構築された入出力回路の入出力の種別に応じたアナログ信号を出力する入出力種別出力回路を備え、
前記演算部は、
前記入出力種別出力回路からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、
前記第1〜第Nの回路の入出力の種別と前記A/D変換手段が変換するデジタル信号の値との関係を記した入出力種別判定情報と、前記第1〜第Nの回路の入出力の種別とその回路が有する機能との関係を記した第1の機能情報と、前記制御基板を組み込んで製品とされる機器が必要とする機能を記した第2の機能情報と、各機能を実現するプログラムとを記憶する記憶手段と、
前記A/D変換手段によって変換されたデジタル信号の値に基づき、前記入出力種別判定情報を参照して、前記共通領域に構築されている入出力回路の入出力の種別を判定する入出力種別判定手段と、
前記入出力種別判定手段によって判定された入出力の種別に基づき、前記第1の機能情報を参照して、前記共通領域に構築されている入出力回路が有する機能をハード機能として読み出す一方、前記第2の機能情報として記されている機能をソフト機能として読み出し、その読み出したハード機能とソフト機能とが一致するか否かを判定する機能判定手段と
を備えることを特徴とする制御基板。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載された制御基板において、
前記演算部は、
前記共通領域に構築された入出力回路の入出力の種別を示す情報が記される入出力種別情報と、前記第1〜第Nの回路の入出力の種別とその回路が有する機能との関係を記した第1の機能情報と、前記制御基板を組み込んで製品とされる機器が必要とする機能を記した第2の機能情報と、各機能を実現するプログラムとを記憶する記憶手段と、
前記入出力種別情報および前記第1の機能情報を参照して前記共通領域に構築されている入出力回路が有する機能をハード機能として読み出す一方、前記第2の機能情報として記されている機能をソフト機能として読み出し、その読み出したハード機能とソフト機能とが一致するか否かを判定する機能判定手段と
を備えることを特徴とする制御基板。
【請求項7】
請求項5又は6に記載された制御基板において、
前記機能判定手段による判定結果に基づき、前記ハード機能のうち前記ソフト機能と一致する機能についてのみ、その機能に対応するプログラムを前記記憶手段から選定して起動する手段
を備えることを特徴とする制御基板。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−8763(P2012−8763A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143487(P2010−143487)
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】
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