説明

制御装置及び移動端末

制御装置は、特定の移動端末宛てのパケットを受信した場合に、当該移動端末のページングエリアに対してページング通知パケットを送信することによって、当該移動端末の位置情報を取得して当該パケットの転送先を決定するページング制御を実現する。制御装置は、当該ページングエリアを形成するための複数のアルゴリズムを有するページングエリア形成部を具備する。ページングエリア形成部は、移動端末により指定されたアルゴリズムによって、当該移動端末のページングエリアを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の移動端末宛てのパケットを受信した場合に、該移動端末のページングエリアに対してページング通知パケットを送信することによって、該移動端末の位置情報を取得して該パケットの転送先を決定するページング制御を実現する制御装置及び移動端末に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ページング制御は、移動端末(移動ホスト)が、位置登録エリアよりも広範なページングエリア単位で位置登録を行うことによって、位置登録に係る制御信号の量を低減させると共に、移動端末の間欠受信技術と連動した省電力を実現する技術である。
【0003】
ここで、位置登録に係る制御信号の量を低減するためには、移動端末における位置登録回数の抑制による効果に対して、着信呼を移動端末に通知するための信号(ページング通知パケット)の発生による相殺分を考慮しなければならない。
【0004】
この点について、従来のページング制御では、移動通信システム固有のページング制御手順を定義すると共に、位置登録回数及びページング回数が最適になるようなページングエリアを形成することによって、位置登録に係る制御信号の量を可能な限り低減しようと模索している。
【0005】
また、「Mobile IP」及びその拡張方式におけるページング制御は、位置登録パケットである「バインディング更新パケット」の送信を削減するために用いられている。ページング制御モードの移動端末は、同一ページングエリアに属する位置登録エリア(サブネット)間の移動において、パケット転送経路を管理する制御装置(モビリティ制御ノード)に対してバインディング更新パケットを送信しない。そして、ページング制御モードの移動端末は、当該移動端末宛てのパケットが到着した旨を、当該移動端末のページングエリア内に送信されるページング通知パケットによって通知される。よって、本技術においても、ページングエリアを適切な大きさに定めることが重要である。
【0006】
そのため、ページングエリア形成方法については、各移動通信システムにおいて、移動端末の通信用途や移動特性や制御装置の負荷状態等を鑑みて、様々な提案や実装が行われている。
【0007】
例えば、制御装置が、各移動通信システムにおいて、移動端末が経由したアクセスポイント(例えば、基地局)や、GPSにより測定された当該移動端末の位置情報や、当該移動端末の移動速度等から、当該移動端末の移動特性を取得して、最適な形状のページングエリアを形成する方法が知られている。
【0008】
しかしながら、従来のページング制御では、単一の移動通信システム内で、特定の移動端末の通信用途及び移動特性を前提にした1つ又は数種類のページングエリア形成方法(アルゴリズム)が実装されているに過ぎない。
【0009】
したがって、様々な移動端末の通信用途や移動特性が想定される汎用IPネットワークにおいて、従来のページング制御を用いると、移動端末の通信用途や移動特性に係る前提条件が合致しないケースが増加し、位置登録に係る制御信号の量を低減することができないという問題点があった。
【0010】
また、上述の汎用IPネットワークにおいて、従来のページング制御によって位置登録に係る制御信号の量を低減するためには、当該汎用IPネットワークで想定される全ての移動端末の通信用途や移動特性に対応する膨大な量のページングエリア形成方法を実装する必要があり、制御装置及び移動端末における実装負担が大きくなるという問題点があった。
【0011】
そこで、本発明は、以上の点に鑑みてなされたもので、制御装置及び移動端末が協働することによって、移動端末の通信用途や移動特性に応じた最適なページングエリアを形成することを可能とする制御装置及び移動端末を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【0012】
本発明の第1の特徴は、制御装置が、特定の移動端末宛てのパケットを受信した場合に、該移動端末のページングエリアに対してページング通知パケットを送信することによって、該移動端末の位置情報を取得して該パケットの転送先を決定するページング制御を実現する制御装置であって、前記ページングエリアを形成するための複数のアルゴリズムを有するページングエリア形成部を具備し、前記ページングエリア形成部が、前記移動端末により指定されたアルゴリズムによって、該移動端末のページングエリアを形成することを要旨とする。
【0013】
本発明の第1の特徴において、前記ページングエリア形成部が、前記制御装置の負荷状態やトラフィック分布に応じて、前記移動端末のページングエリアを形成するように構成されていてもよい。
【0014】
本発明の第2の特徴は、制御装置が、特定の移動端末宛てのパケットを受信した場合に、該移動端末のページングエリアに対してページング通知パケットを送信することによって、該移動端末の位置情報を取得して該パケットの転送先を決定するページング制御を実現する移動端末であって、前記制御装置に対して、該移動端末のページングエリアを形成するためのアルゴリズムを指定するアルゴリズム指定部と、前記制御装置が前記アルゴリズムに基づいて形成したページングエリアに係る情報に基づいてページング制御を行うページング制御部とを具備することを要旨とする。
【0015】
本発明の第2の特徴において、前記制御装置に対して、前記ページングエリアを形成するためのアルゴリズムを記述する処理言語を指定する処理言語指定部を具備し、前記アルゴリズム指定部が、前記制御装置から前記処理言語に対応可能の旨の判定結果を受信した場合、該処理言語で記述された前記アルゴリズムを指定するように構成されていてもよい。
【0016】
本発明の第3の特徴は、制御装置が、特定の移動端末宛てのパケットを受信した場合に、該移動端末のページングエリアに対してページング通知パケットを送信することによって、該移動端末の位置情報を取得して該パケットの転送先を決定するページング制御を実現する制御装置であって、前記移動端末に対して、該移動端末のページングエリアを形成するためのアルゴリズムを指定するアルゴリズム指定部と、前記移動端末が前記アルゴリズムに基づいて形成したページングエリアに基づいてページング制御を行うページング制御部とを具備することを要旨とする。
【0017】
本発明の第3の特徴において、前記移動端末に対して、前記ページングエリアを形成するためのアルゴリズムを記述する処理言語を指定する処理言語指定部を具備し、前記アルゴリズム指定部が、前記移動端末から前記処理言語に対応可能の旨の判定結果を受信した場合、該処理言語で記述された前記アルゴリズムを指定するように構成されていてもよい。
【0018】
本発明の第4の特徴は、制御装置が、特定の移動端末宛てのパケットを受信した場合に、該移動端末のページングエリアに対してページング通知パケットを送信することによって、該移動端末の位置情報を取得して該パケットの転送先を決定するページング制御を実現する移動端末であって、前記ページングエリアを形成するための複数のアルゴリズムを有するページングエリア形成部を具備し、前記ページングエリア形成部が、前記制御装置により指定されたアルゴリズムによって、該移動端末のページングエリアを形成することを要旨とする。
【0019】
本発明の第4の特徴において、前記ページングエリア形成部が、該移動端末の通信用途や移動特性に応じて、該移動端末のページングエリアを形成するように構成されていてもよい。
【0020】
本発明の第5の特徴は、制御装置が、特定の移動端末宛てのパケットを受信した場合に、該移動端末のページングエリアに対してページング通知パケットを送信することによって、該移動端末の位置情報を取得して該パケットの転送先を決定するページング制御を実現する移動端末であって、前記ページングエリアを形成するためのアルゴリズムを有するページングエリア形成部と、前記ページングエリア形成部によって形成されたページングエリアに係る情報を前記制御装置に送信する送信部とを具備し、前記送信部が、前記制御装置から前記ページングエリア形成部によって形成されたページングエリアに係る情報と異なるページングエリアに係る情報を受信した場合、他の制御装置に対して前記ページングエリア形成部によって形成されたページングエリアに係る情報を送信することを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
[図1]本発明の実施形態に係るIPネットワークの概要を説明するための図である
[図2]本発明の第1の実施形態に係るモバイルノードの機能ブロック図である。
[図3]本発明の第1の実施形態に係るアルゴリズムの一例を説明するための図である。
[図4]本発明の第1の実施形態に係るページングエージェントの機能ブロック図である。
[図5]本発明の第1の実施形態に係るモバイルノード及びページングエージェントの動作を示すシーケンス図である。
[図6]本発明の第2の実施形態に係るモバイルノードの機能ブロック図である。
[図7]本発明の第2の実施形態に係るページングエージェントの機能ブロック図である。
[図8]本発明の第2の実施形態に係るモバイルノード及びページングエージェントの動作を示すシーケンス図である。
[図9]本発明の第3の実施形態に係るモバイルノードの機能ブロック図である。
[図10]本発明の第3の実施形態に係るモバイルノード及びページングエージェントの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(本発明の第1の実施形態の構成)
図1乃至図5を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るIPネットワークの概要を説明するための図である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係るIPネットワーク1には、移動端末であるモバイルノードMNと、複数のアクセスルータAR1乃至ARnと、複数の制御装置であるページングエージェントPA1乃至PAmとが存在している。
【0024】
本実施形態に係るIPネットワーク1には、様々な移動通信システムや有線通信システムが混在しているものとする。すなわち、本実施形態に係るページングエージェントPA1乃至PAmは、サブネットプリフィクスやIPアドレス等を用いたIP層でモバイルノードMNのルーティング情報を管理するため、様々な移動通信システムや有線通信システムに加入しているモバイルノードMNであっても、同じ枠組みで管理することができる。
【0025】
また、本実施形態に係るIPネットワーク1では、ページングエージェントPAが、特定のモバイルノードMN宛てのパケットを受信した場合に、当該モバイルノードMNのページングエリアに対してページング通知パケットを送信することによって、当該モバイルノードMNの位置情報(例えば、サブネットプリフィクスやIPアドレス)を取得して当該パケットの転送先を決定するページング制御が行われている。
【0026】
本実施形態に係るモバイルモードMNは、図1に示す進行方向に移動するものであって、ページング制御モードとして動作している場合、各アクセスルータAR1乃至ARnに接続されたアクセスポイント(例えば、基地局)の各々によって管理されている位置登録エリアを跨いで移動した場合には、位置登録を行わないように構成されている。
【0027】
また、モバイルモードMNは、本発明に係る機能として、図2に示すように、モード切替部11と、通常モード用制御部12と、ページング制御モード用制御部13と、アプリケーション起動部14と、アルゴリズム割当部15と、監視部16と、送信部17と、受信部18とを具備している。
【0028】
モード切替部11は、モバイルノードMNのユーザからの指示等に応じて、当該モバイルノードMNが、通常モードで動作するか、又は、ページング制御モードで動作するかを切り替えるものである。
【0029】
また、モード切替部11は、ページング通知パケットを受信すると、ページング制御モードで動作している状態から、通常モードで動作する状態に、モバイルノードMNを切り替えるように構成されている。
【0030】
通常モード用制御部12は、通常モードで動作するためのモバイルノードMNの機能を制御するものである。例えば、通常モードでは、モバイルノードMNは、「Mobile IP」又はその拡張方式によるモビリティマネージメントの動作を行うように構成されている。
【0031】
ページング制御モード用制御部13は、ページング制御モードで動作するためのモバイルノードMNの機能を制御するものである。例えば、ページング制御モードでは、モバイルノードMNは、上述のモビリティマネージメントの動作を停止し、ページングエージェントPAに対して、モバイルノードMNのページングエリアを登録するように構成されている。また、ページング制御モード用制御部13は、ページングエリアに在圏するか否かについて判定する機能を具備する。
【0032】
また、ページング制御モード用制御部13は、受信部18を介してページングエージェントPAから送信されたページング登録応答パケットに含まれるエリア情報に応じて、ページング制御を開始するように構成されている。
【0033】
また、ページング制御モード用制御部13は、ページングエージェントPAから送信されたページング登録応答パケットによって通知されたページングエリアについて了解しない場合、他のページングエージェントPAに対して、又は、再度同じページングエージェントPAに対して、ページング登録要求パケットを送信するように、送信部17に指示するように構成されていてもよい。
【0034】
アプリケーション起動部14は、モバイルノードMNにおいて、様々なアプリケーション(例えば、電子メール用アプリケーション等)を起動するものである。
【0035】
アルゴリズム割当部15は、「アプリケーションID」と「アルゴリズムID」と「データ」とを関連付けて記憶するものである。
【0036】
「アプリケーションID」は、アプリケーション起動部14によって起動されるアプリケーションの識別子である。「アルゴリズムID」は、モバイルノードMNのページングエリアを形成するためのアルゴリズムの識別子である。「アルゴリズムID」は、上述のアルゴリズムの識別子と共に、当該アルゴリズムを保持しているページングエージェントの識別子を含んでいてもよい。「データ」は、上述のアルゴリズムの演算に必要なデータ(例えば、モバイルノードMNの移動特性等)である。
【0037】
すなわち、アルゴリズム割当部15は、アプリケーション起動部14によって特定のアプリケーションが起動されている場合、どのようなアルゴリズムを用いてモバイルノードMNのページングエリアを形成するかについて規定するものである。
【0038】
かかるアルゴリズムの例として、ユーザ側主導でページングエリアを形成するものと、ネットワーク側主導でページングエリアを形成するものとが挙げられる。
【0039】
ユーザ側主導でページングエリアを形成するアルゴリズムとしては、例えば、モバイルノードMNの現在の位置情報に基づいて、図3(a)に示すように固定的に設定されているページングエリアを選択するものが考えられる。ここで、「現在の位置情報」は、例えば、モバイルノードMNが通信しているアクセルポイントから算出される位置情報であってもよいし、GPS等によって測定された緯度及び経度の位置情報であってもよい。また、「ページングエリア」は、例えば、複数の位置登録エリアによって形成されていてもよい。
【0040】
また、ユーザ側主導でページングエリアを形成するアルゴリズムとしては、例えば、モバイルノードMNの移動履歴に基づいて、将来のページングエリアを推測するものが考えられる。かかるアルゴリズムは、モバイルノードMNの移動履歴として、監視部16によって監視されている「移動履歴」を用いてもよい。
【0041】
また、ユーザ側主導でページングエリアを形成するアルゴリズムとしては、例えば、ユーザによって予め設定されたスケジュールに基づいて、ページングエリアを形成するものが考えられる。例えば、かかるアルゴリズムは、図3(b)に示すように、「時刻」と「ページングエリア」とを関連付けて記憶することによって、所定時刻におけるページングエリアを一意に決定することができる。かかるアルゴリズムが用いられている場合、ユーザは、自宅にいることが多い時刻や職場にいることが多い時刻に合わせたページングエリアを予め設定しておくことができる。
【0042】
ネットワーク側主導でページングエリアを形成するアルゴリズムとしては、例えば、各ページングエージェントPA配下の突発的なトラフィックの増減を考慮して、可変的にページングエリアを形成するものが考えられる。
【0043】
また、ネットワーク側主導でページングエリアを形成するアルゴリズムとしては、例えば、各ページングエージェントPA配下のモバイルノードMNの通信種別(例えば、リアルタイム通信又は非リアルタイム通信等)の分布状況を考慮して、可変的にページングエリアを形成するものが考えられる。
【0044】
監視部16は、モバイルノードMNの移動特性を監視するものである。具体的には、監視部16は、モバイルノードMNの「状態遷移回数」や「継続長」や「移動履歴」等の統計値を監視する。
【0045】
ここで、「状態遷移回数」は、所定期間において、モバイルノードMNが、通常モードとページング制御モードとの間のモード切り替えを行った回数や、位置登録エリアを跨いだ回数等を示す。
【0046】
また、「継続長」は、モバイルノードMNが、現在のモード(通常モード又はページング制御モード)で動作し続けている時間や、現在の位置登録エリアに在圏し続けている時間等を示す。
【0047】
また、「移動履歴」は、モバイルノードMNが経由したアクセスポイント(例えば、基地局)や、GPSにより測定されたモバイルノードMNの位置情報や、モバイルノードMNの移動速度等を示す。
【0048】
送信部17は、ページングエージェントPAに対して、モバイルノードMNのページングエリアを形成するためのアルゴリズムを指定する指定部を構成する。
【0049】
具体的には、送信部17は、ページング制御モード用制御部13によってページング制御モードが開始されたことを通知された場合、アルゴリズムの識別子(アルゴリズムID)を含むページング登録要求パケットをページングエージェントPAに送信することによって、モバイルノードMNのページングエリアを形成するためのアルゴリズムを指定する。
【0050】
ここで、送信部17は、モバイルノードMNの通信用途に応じて、モバイルノードMNのページングエリアを形成するためのアルゴリズムを選択するように構成されていてもよい。すなわち、送信部17は、アルゴリズム割当部15において、アプリケーション起動部14により起動されているアプリケーションに関連付けられているアルゴリズムを、モバイルノードMNのページングエリアを形成するためのアルゴリズムとして選択するように構成されていてもよい。
【0051】
また、送信部17は、モバイルノードMNの移動特性に応じて、モバイルノードMNのページングエリアを形成するためのアルゴリズムを選択するように構成されていてもよい。すなわち、送信部17は、監視部16において監視されている「状態遷移回数」や「継続長」や「移動履歴」の統計値を参照して、モバイルノードMNのページングエリアを形成するための最適なアルゴリズムを選択するように構成されていてもよい。
【0052】
また、送信部17は、ページングエージェントPAに予め設定されているアルゴリズムによってページングエリアを形成することを望む場合、その旨の指示を含むページング登録要求パケットを送信してもよいし、特定のアルゴリズムIDを含まないページング登録要求パケットを送信してもよい。
【0053】
受信部18は、ページングエージェントPAによって形成されたページングエリアに係るエリア情報を含むページング登録応答パケットや、モバイルノードMN宛てのパケットが到着した旨を示すページング通知パケットを受信するものである。受信部18は、ページング登録応答パケットに含まれるエリア情報についてページング制御モード用制御部13に通知するように構成されている。
【0054】
ページングエージェントPAは、本発明に係る機能として、図4に示すように、受信部31と、アルゴリズム記憶部32と、ページングエリア形成部33と、監視部34と、送信部35とを具備している。
【0055】
受信部31は、モバイルノードMNから送信されたページング登録要求パケット等の各種パケットを受信するものである。
【0056】
アルゴリズム記憶部32は、モバイルノードMNのページングエリアを形成するための複数のアルゴリズムを記憶するものである。具体的には、アルゴリズム記憶部32は、アルゴリズムIDとアルゴリズムを関連付けて記憶する。
【0057】
また、アルゴリズム記憶部32は、モバイルノードMNによって指定されたアルゴリズムが存在しない場合等に用いる所定のアルゴリズムを記憶する。例えば、アルゴリズム記憶部32は、ページングエージェントPAの負荷状態(又は、トラフィック分布)に応じた所定のアルゴリズムを記憶していてもよい。
【0058】
また、アルゴリズム記憶部32は、固有のアクセスルータARのトポロジーを記憶しておき、そのトポロジーを構成するアクセスルータARのリストをページングエリアとするアルゴリズムを、上述の所定のアルゴリズムとするように構成されていてもよい。
【0059】
ページングエリア形成部33は、モバイルノードMNにより指定されたアルゴリズムによって、当該モバイルノードMNのページングエリアを形成するものである。
【0060】
具体的には、ページングエリア形成部33は、受信部31で受信されたページング登録要求パケットに含まれるアルゴリズムIDにより識別されるアルゴリズムを、アルゴリズム記憶部32から抽出して、抽出したアルゴリズム及び上述のページング登録要求パケットに含まれるデータを用いて、モバイルノードMNのページングエリアを形成する。
【0061】
また、ページングエリア形成部33は、上述のページング登録要求パケットに含まれるアルゴリズムの識別子により識別されるアルゴリズムが、アルゴリズム記憶部32に存在しない場合、ページングエージェントPA自身が実装している所定のアルゴリズム及びデータを用いて、モバイルノードMNのページングエリアを形成し、ページング登録応答パケットによって、その結果(エリア情報)をモバイルノードMNに通知するように構成されていてもよい。
【0062】
また、かかる場合、ページングエリア形成部33は、モバイルノードMNにより指定されたアルゴリズムによってページングエリアを形成することを拒否する旨を、モバイルノードMNに通知するように構成されていてもよい。
【0063】
また、ページングエリア形成部33は、上述のページング登録要求パケットに特定のアルゴリズムIDが含まれていない場合、又は、上述のページング登録要求パケットにおいてページングエージェントPAに予め設定されているアルゴリズムによってページングエリアを形成するように指示されている場合も、ページングエージェントPA自身が実装している所定のアルゴリズム及びデータを用いて、モバイルノードMNのページングエリアを形成し、ページング登録応答パケットによって、その結果をモバイルノードMNに通知するように構成されていてもよい。
【0064】
また、ページングエリア形成部33は、監視部34によって監視されているページングエージェントPAの負荷状態(又は、トラフィック分布)に応じて、モバイルノードMNのページングエリアを形成するように構成されていてもよい。
【0065】
例えば、ページングエリア形成部33は、ページングエージェントPAにより管理されているモバイルノードMNの数や呼び出し信号の送信数が、一定以上に達した場合、それまで許容していたアルゴリズムを拒否し、予め設定しているアルゴリズムを用いることによって、ページングエリアを小さくして、待ち受け状態のモバイルノードMNを早期に活性状態にするように構成することができる。
【0066】
監視部34は、上述のページングエージェントPAの負荷状態(又は、トラフィック分布)を監視するものである。
【0067】
送信部35は、モバイルノードMNに対して、ページングエリア形成部33によって形成されたページングエリアに係るエリア情報を含むページング登録応答パケットを送信するものである。
【0068】
また、ページングエージェントPAは、特定のモバイルノードMN宛てのパケットを受信した場合に、当該モバイルノードMNのページングエリアに対してページング通知パケットを送信する機能を具備している。
【0069】
(本発明の第1の実施形態の動作)
図5を参照して、本実施形態に係るモバイルノードMNとページングエージェントPAとの間で、ページング制御を開始するまでの動作について説明する。
【0070】
図5に示すように、ステップ101において、モバイルノードMNのページング制御モード用制御部13が、モバイルノードMNの動作モードがページング制御モードに切り替わったことを検出する。
【0071】
ステップ102において、モバイルノードMNの送信部17が、所定の方法で選択したアルゴリズムID及びデータを含むページング登録要求パケットを、ページングエージェントPAに対して送信する。
【0072】
ステップ103において、ページングエージェントPAのページングエリア形成部33が、上述のページング登録要求パケットに含まれるアルゴリズムIDによって特定されるアルゴリズムを用いて、モバイルノードMNのページングエリアを形成する。
【0073】
ステップ104において、ページングエージェントPAの送信部35は、ページングエリア形成部33によって形成されたページングエリアに係るエリア情報を含むページング登録応答パケットを、モバイルノードMNに対して送信する。
【0074】
ステップ105において、モバイルノードMNのページング制御モード用制御部13が、受信したページング登録応答パケットに含まれるエリア情報に基づいて、ページング制御モードによる動作を開始する。
【0075】
(本発明の第1の実施形態の作用・効果)
本実施形態によれば、ページングエージェントPAは、モバイルノードMNの通信用途や移動特性に応じて選択された最適なアルゴリズムによって、当該モバイルノードMNのページングエリアを形成することができる。
【0076】
また、本実施形態によれば、モバイルノードMNの送信部17が、公開されたページングエージェントPAに実装されているアルゴリズムの中から最適なアルゴリズムを指定することができるため、モバイルノードMNの通信用途や移動特性に応じたページングエリアの形成を容易に行うことができる。
【0077】
(変更例1)
なお、上述の第1の実施形態に係るモバイルノードMNの機能及びページングエージェントPAの機能を下記のように入れ替えた構成を有してもよい。
【0078】
具体的には、変更例1に係るページングエージェントPAは、モバイルノードMNに対して、モバイルノードMNのページングエリアを形成するためのアルゴリズムを指定する指定部と、モバイルノードMNから送信されたページングエリアに係る情報に基づいて、モバイルノードMNのページングエリアを形成するページングエリア形成部とを具備する。
【0079】
一方、変更例1に係るモバイルノードMNは、モバイルノードMNのページングエリアを形成するための複数のアルゴリズムを有するページングエリア形成部を具備し、当該ページングエリア形成部は、ページングエージェントPAにより指定されたアルゴリズムによって、モバイルノードMNのページングエリアを形成する。
【0080】
(本発明の第2の実施形態の構成)
図6乃至図8を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。以下、主として、本実施形態について、上述の第1の実施形態との相違点について説明する。
【0081】
図6に示すように、本実施形態に係るモバイルノードMNは、アルゴリズム割当部15の代わりに、アルゴリズム記憶部19を具備する点、及び、ページング制御モード用制御部13と送信部17と受信部18の機能を除いて、上述の第1の実施形態に係るモバイルノードMNと同一の構成を具備する。
【0082】
アルゴリズム記憶部19は、「アプリケーションID」と「処理言語ID」と「アルゴリズム」と「データ」とを関連付けて記憶するものである。
【0083】
「アプリケーションID」は、アプリケーション起動部14によって起動されるアプリケーションの識別子である。「処理言語ID」は、アルゴリズムを記述する処理言語の識別子である。「アルゴリズム」は、モバイルノードMNのページングエリアを形成するためのアルゴリズムである。「データ」は、上述のアルゴリズムの演算に必要なデータ(例えば、モバイルノードMNの移動特性等)である。
【0084】
また、本実施形態に係る送信部17は、ページングエージェントPAに対して、アルゴリズムを記述する処理言語を指定する指定部を構成する。具体的には、送信部17は、ページング制御モード用制御部13によってページング制御モードが開始されたことを通知された場合、処理言語IDを含むページング登録要求パケットをページングエージェントPAに送信する。
【0085】
ここで、送信部17は、モバイルノードMNの通信用途に応じて、モバイルノードMNのページングエリアを形成するためのアルゴリズムの処理言語を選択するように構成されていてもよい。すなわち、送信部17は、アルゴリズム記憶部19において、アプリケーション起動部14により起動されているアプリケーションに関連付けられているアルゴリズムの処理言語を選択するように構成されていてもよい。
【0086】
また、送信部17は、モバイルノードMNの移動特性に応じて、アルゴリズムの処理言語を選択するように構成されていてもよい。すなわち、送信部17は、監視部16において監視されている「状態遷移回数」や「継続長」や「移動履歴」の統計値を参照して、最適なアルゴリズムの処理言語を選択するように構成されていてもよい。
【0087】
また、送信部17は、ページングエージェントPAに予め設定されているアルゴリズムによってページングエリアを形成することを望む場合、その旨の指示を含むページング登録要求パケットを送信してもよいし、特定の処理言語IDを含まないページング登録要求パケットを送信してもよい。
【0088】
また、送信部17は、ページングエージェントPAから、上述のページング登録要求パケットで通知した処理言語に対応可能の旨の通知があった場合、当該処理言語で記述されたアルゴリズムをページングエージェントPAに送信するものである。
【0089】
具体的には、送信部17は、受信部18により受信されたページング登録応答パケットに含まれる処理言語IDに関連付けられているアルゴリズム及びデータを、アルゴリズム記憶部19から抽出し、抽出したアルゴリズム及びデータを含むエリア形成要求パケットをページングエージェントPAに対して送信する。
【0090】
また、本実施形態に係る受信部18は、ページングエージェントPAによって形成されたページングエリアに係るエリア情報を含むエリア形成応答パケットや、処理言語IDを含むページング登録応答パケットや、モバイルノードMN宛てのパケットが到着した旨を示すページング通知パケットを受信するものである。また、受信部18は、ページング登録応答パケットに含まれるエリア情報についてページング制御モード用制御部13に通知するように構成されている。
【0091】
また、本実施形態に係るページング制御モード用制御部13は、受信部18を介してページングエージェントPAから送信されたエリア形成応答パケットに含まれるエリア情報に応じて、ページング制御を開始するように構成されている。
【0092】
図7に示すように、本実施形態に係るページングエージェントPAは、アルゴリズム記憶部32の代わりに、処理言語記憶部36を具備する点、及び、ページングエリア形成部33の機能を除いて、上述の第1の実施形態に係るページングエージェントPAと同一の構成を具備する。
【0093】
処理言語記憶部36は、ページングエージェントPAで対応可能な処理言語を記憶するものである。
【0094】
また、本実施形態に係るページングエリア形成部33は、モバイルノードMNにより指定された処理言語に対応しているか否かついて、具体的には、モバイルノードMNから送信されたページング登録要求パケットに含まれる処理言語IDにより識別される処理言語が、処理言語記憶部36に存在するか否かについて判定する機能を具備する。
【0095】
ここで、ページングエリア形成部33は、当該処理言語に対応可能と判定した場合、アルゴリズム送信可能な旨を示すページング登録応答パケットを、一方、当該処理言語に対応不可と判定した場合、アルゴリズム送信不可な旨を示すページング登録応答パケットを、モバイルノードMNに対して送信する。
【0096】
また、ページングエリア形成部33は、上述のページング登録要求パケットに特定の処理言語IDが含まれていない場合、又は、上述のページング登録要求パケットにおいてページングエージェントPAに予め設定されている処理言語で記述されたアルゴリズムによってページングエリアを形成するように指示されている場合、ページングエージェントPA自身で対応可能な処理言語を含むページング登録応答パケットを、モバイルノードMNに送信するように構成されていてもよい。
【0097】
また、ページングエリア形成部33は、モバイルノードMNによって指定された処理言語とは別の処理言語を示す処理言語IDを含むページング登録応答パケットを、モバイルノードMNに対して送信するように構成されていてもよい。
【0098】
また、ページングエリア形成部33は、モバイルノードMNから送信されたアルゴリズムによって、当該モバイルノードMNのページングエリアを形成する。具体的には、ページングエリア形成部33は、受信部31で受信されたエリア形成要求パケットに含まれるアルゴリズム及びデータを用いて、モバイルノードMNのページングエリアを形成する。
【0099】
また、ページングエリア形成部33は、モバイルノードMNから送信されたアルゴリズムの代わりに、ページングエージェントPA自身が実装している所定のアルゴリズム及びデータを用いて、モバイルノードMNのページングエリアを形成し、エリア形成応答パケットによって、その結果(エリア情報)をモバイルノードMNに通知するように構成されていてもよい。
【0100】
また、かかる場合、ページングエリア形成部33は、モバイルノードMNから送信されたアルゴリズム及びデータによってページングエリアを形成することを拒否する旨を、モバイルノードMNに通知するように構成されていてもよい。
【0101】
また、ページングエリア形成部33は、上述のエリア形成要求パケットに特定のアルゴリズム及びデータが含まれていない場合、又は、上述のエリア形成要求パケットにおいてページングエージェントPAに予め設定されているアルゴリズムによってページングエリアを形成するように指示されている場合、ページングエージェントPA自身が実装している所定のアルゴリズム及びデータを用いて、モバイルノードMNのページングエリアを形成し、エリア形成応答パケットによって、その結果をモバイルノードMNに通知するように構成されていてもよい。
【0102】
例えば、ページングエリア形成部33は、ページングエージェントPAにより管理されているモバイルノードMNの数や呼び出し信号の送信数が、一定以上に達した場合、それまで許容していたアルゴリズムを拒否し、予め設定しているアルゴリズムを用いることによって、ページングエリアを小さくして、待ち受け状態のモバイルノードMNを早期に活性状態にするように構成することができる。
【0103】
(本発明の第2の実施形態の動作)
図8を参照して、本実施形態に係るモバイルノードMNとページングエージェントPAとの間で、ページング制御を開始するまでの動作について説明する。
【0104】
図8に示すように、ステップ201において、モバイルノードMNのページング制御モード用制御部13が、モバイルノードMNの動作モードがページング制御モードに切り替わったことを検出する。
【0105】
ステップ202において、モバイルノードMNの送信部17が、所定の方法で選択した処理言語IDを含むページング登録要求パケットを、ページングエージェントPAに対して送信する。
【0106】
ステップ203において、ページングエージェントPAのページングエリア形成部33が、上述のページング登録要求パケットに含まれる処理言語IDが、処理言語記憶部36に記憶されているか否かについて判定する。
【0107】
上述の処理言語IDが記憶されていると判定された場合、ステップ204において、ページングエージェントPAのページングエリア形成部33及び送信部35が、当該処理言語IDを含むページング登録応答パケットを、モバイルノードMNに対して送信する。
【0108】
一方、上述の処理言語IDが記憶されていないと判定された場合、ページングエージェントPAのページングエリア形成部33及び送信部35は、ページングエージェントPAに予め設定されている処理言語IDを含むページング登録応答パケット、又は、アルゴリズム送信不可の旨を示すページング登録応答パケットを、モバイルノードMNに対して送信する。
【0109】
ステップ205において、モバイルノードMNの送信部17が、受信したページング登録応答パケットに含まれる処理言語IDに関連付けられているアルゴリズム及びデータを、アルゴリズム記憶部19から抽出して、抽出したアルゴリズム及びデータを含むエリア形成要求パケットを、ページングエージェントPAに対して送信する。
【0110】
なお、モバイルノードMNの送信部17は、受信したページング登録応答パケットに含まれる処理言語IDに関連付けられているアルゴリズム及びデータが、アルゴリズム記憶部19に存在しない場合、他のページングエージェントに対して上述のページング登録要求パケットを送信するか、又は、別の処理言語IDを含むページング登録要求パケットを再度同じページングエージェントに対して送信する。
【0111】
ステップ206において、ページングエージェントPAのページングエリア形成部33が、上述のエリア形成要求パケットに含まれるアルゴリズム及びデータを用いて、モバイルノードMNのページングエリアを形成する。
【0112】
ステップ207において、ページングエージェントPAの送信部35は、ページングエリア形成部33によって形成されたページングエリアに係るエリア情報を含むエリア形成応答パケットを、モバイルノードMNに対して送信する。
【0113】
ステップ208において、モバイルノードMNのページング制御モード用制御部13が、受信したエリア形成応答パケットに含まれるエリア情報に基づいて、ページング制御モードによる動作を開始する。
【0114】
(本発明の第2の実施形態の作用・効果)
本実施形態によれば、ページングエージェントPAは、モバイルノードMNから送信されたアルゴリズム及びデータによってページングエリアを形成するため、ページングエージェントPAにおける実装負担を高めることなく、モバイルノードMNの通信用途や移動特性に応じて、きめ細かにページングエリアを形成することができる。
【0115】
また、本実施形態によれば、モバイルノードMNは、ページングエージェントPAで対応可能な処理言語で自由にアルゴリズムを生成することができるため、モバイルノードMNの通信用途や移動特性に応じて、きめ細かにページングエリアを形成することができる。
【0116】
(変更例2)
なお、上述の第2の実施形態に係るモバイルノードMNの機能及びページングエージェントPAの機能を下記のように入れ替えた構成を有してもよい。
【0117】
具体的には、変更例2に係るページングエージェントPAは、モバイルノードMNに対して、ページングエリアを形成するためのアルゴリズムを記述する処理言語を指定する指定部と、モバイルノードMNから処理言語に対応可能の旨の判定結果を受信した場合、当該処理言語で記述されたアルゴリズムをモバイルノードMNに送信する送信部と、当該アルゴリズムによってモバイルノードMNのページングエリアを形成するページングエリア形成部とを具備する。
【0118】
一方、変更例2に係るモバイルノードMNは、ページングエージェントPAにより指定された処理言語に対応可能か否かについての判定結果を送信する判定結果送信部と、当該判定結果に応じてページングエージェントPAから送信された対応可能な処理言語で記述されたアルゴリズムによって、モバイルノードMNのページングエリアを形成するページングエリア形成部とを具備する。
【0119】
(本発明の第3の実施形態の構成)
図9乃至図10を参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。以下、主として、本実施形態について、上述の第1の実施形態との相違点について説明する。
【0120】
図9に示すように、本実施形態に係るモバイルノードMNは、アルゴリズム記憶部19及びページングエリア形成部20を具備する点、及び送信部17の機能を除いて、上述の第1の実施形態に係るモバイルノードMNと同一の構成を具備する。
【0121】
アルゴリズム記憶部19は、「アプリケーションID」と「アルゴリズム」と「データ」とを関連付けて記憶するものである。
【0122】
ページングエリア形成部20は、ページング制御モード用制御部13によってページング制御モードが開始されたことを通知された場合、モバイルノードMNの通信用途に応じて、モバイルノードMNのページングエリアを形成するためのアルゴリズムを選択する。
【0123】
具体的には、ページングエリア形成部20は、アルゴリズム記憶部19において、アプリケーション起動部14により起動されているアプリケーションに関連付けられているアルゴリズムを、モバイルノードMNのページングエリアを形成するためのアルゴリズムとして選択する。
【0124】
また、ページングエリア形成部20は、選択されたアルゴリズムによって、モバイルノードMNのページングエリアを形成し、形成したページングエリアに係る情報(エリア情報)を含むページング登録要求パケットを、送信部17を介してページングエージェントPAに送信する。
【0125】
また、ページングエリア形成部20は、ページングエージェントPAから送信されたページングエリアに係る情報に基づいて、モバイルノードMNのページングエリアを形成する。
【0126】
具体的には、ページングエリア形成部20は、ページングエージェントPAから送信されたページング登録応答パケットに含まれるエリア情報に示されたページングエリアに満足する場合、当該ページングエリアをモバイルノードMNのページングエリアとして、ページング制御モード用制御部13に通知する。
【0127】
一方、ページングエリア形成部20は、ページングエージェントPAから送信されたページング登録応答パケットに含まれるエリア情報に示されたページングエリアに満足しない場合、他のページングエージェントPAに対して、同一のエリア情報を含むページング登録要求パケットを送信するか、又は、同一のページングエージェントPAに対して、異なるアルゴリズムで生成したページングエリアに係る情報(エリア情報)を含むページング登録要求パケットを送信する。
【0128】
例えば、通勤経路のような特定経路に存在する可能性が高いモバイルノードMNの場合、ページングエリア形成部20は、当該特定経路を管理するアクセスルータAR配下のサブネットプリフィクスやIPアドレスのリスト等を収集するアルゴリズムによって、効率のよいページングエリアを形成するように構成されていてもよい。
【0129】
また、商品等に添付される無線タグのようなモバイルノードMNの場合、向上から店舗までの配送中、店舗での陳列中、店舗から消費者への移動中、消費者が利用中等の各シーンで、モバイルノードMNの移動特性が大きく異なる。したがって、ページングエリア形成部20は、一定時間、モバイルノードMNの移動が検出されない場合には、ページングエージェントPAの呼び出し信号(ページング通知パケット)送信負荷を下げるために、ページングエリアを縮小するように、一方、モバイルノードMNの高速移動が検出された場合には、無用なページングエリア更新手順の実行を低減するために、ページングエリアを拡大するといったアルゴリズムを実行することができる。
【0130】
また、本実施形態に係るページングエージェントPAは、ページングエリア形成部33の機能を除いて、上述の第1の実施形態に係るページングエージェントPAと同一の構成を具備する。
【0131】
ページングエリア形成部33は、モバイルノードMNから送信されたページング登録要求パケットに含まれるエリア情報で示されるページングエリアA、又は、当該ページングエリア形成部33で形成したページングエリアBに基づいて、最適なページングエリアを選択する。そして、ページングエリア形成部33は、選択したページングエリアに係る情報を、送信部35を介して、ページング登録応答パケットとしてモバイルノードMNに送信する。
【0132】
具体的には、ページングエリア形成部33は、上述のページングエリアA及びページングエリアBの論理和又は論理積となるページングエリアを、最適なページングエリアとして選択するように構成されていてもよい。
【0133】
また、ページングエリア形成部33は、上述のページングエリアAを基に、当該ページングエリアA内のトラヒック分布(負荷状況)によってページングエリアの増減を図ることによって、最適なページングエリアを選択するように構成されていてもよい。
【0134】
また、ページングエリア形成部33は、上述のページングエリアAに関わらず、ページングエリアBを最適なページングエリアとして選択するように構成されていてもよい。
【0135】
(本発明の第3の実施形態の動作)
図10を参照して、本実施形態に係るモバイルノードMNとページングエージェントPAとの間で、ページング制御を開始するまでの動作について説明する。
【0136】
図10に示すように、ステップ301において、モバイルノードMNのページング制御モード用制御部13が、モバイルノードMNの動作モードがページング制御モードに切り替わったことを検出する。そして、モバイルノードMNのページングエリア形成部20が、アルゴリズム記憶部19に記憶されているアルゴリズムの中から所定のアルゴリズムを選択して、選択したアルゴリズムによって、モバイルノードMNのページングエリアを形成する。
【0137】
ステップ302において、モバイルノードMNの送信部17が、形成されたページングエリアに係る情報(エリア情報A)を含むページング登録要求パケットを、ページングエージェントPA1に対して送信する。
【0138】
ステップ303において、ページングエージェントPA1のページングエリア形成部33が、上述のページング登録要求パケットに含まれるエリア情報Aにより示されるページングエリアA又はページングエリア形成部33により形成されたページングエリアBに基づいて最適なモバイルノードMNのページングエリアを形成する。
【0139】
ステップ304において、ページングエージェントPA1の送信部35は、ページングエリア形成部33によって形成されたページングエリアに係るエリア情報Bを含むページング登録応答パケットを、モバイルノードMNに対して送信する。
【0140】
ステップ305において、モバイルノードMNのページングエリア形成部20は、エリア情報Bにより示されるページングエリアに満足しないと判断し、上述のエリア情報Aを含むページング登録要求パケットを、ページングエージェントPA2に対して送信する。
【0141】
ステップ306において、ページングエージェントPA2のページングエリア形成部33が、上述のページング登録要求パケットに含まれるエリア情報Aにより示されるページングエリアA又はページングエリア形成部33により形成されたページングエリアCに基づいて最適なモバイルノードMNのページングエリアを形成する。
【0142】
ステップ307において、ページングエージェントPA2の送信部35は、ページングエリア形成部33によって形成されたページングエリアに係るエリア情報Cを含むページング登録応答パケットを、モバイルノードMNに対して送信する。
【0143】
ステップ308において、モバイルノードMNのページングエリア形成部20は、エリア情報Cにより示されるページングエリアに満足すると判断し、モバイルノードMNのページング制御モード用制御部13が、受信したページング登録応答パケットに含まれるエリア情報Cに基づいて、ページング制御モードによる動作を開始する。
【0144】
(本発明の第3の実施形態の作用・効果)
本実施形態によれば、ページングエージェントPAが、所定のアルゴリズムによって形成したページングエリアについてモバイルノードMNが満足する場合に、当該ページングエリアを採用するため、モバイルノードMNの通信用途や移動特性を考慮したページングエリアの形成を行うことができる。
【0145】
また、本実施形態によれば、モバイルノードMNは、特定のページングエージェントPAによって形成されたページングエリアが好ましくないと判断した場合、別のページングエージェントPAによって形成されたページングエリアを採用することができる。
【0146】
(変更例3)
なお、上述の第3の実施形態に係るモバイルノードMNの機能及びページングエージェントPAの機能を下記のように入れ替えた構成を有してもよい。
【0147】
具体的には、変更例3に係るモバイルノードMNは、ページングエリアを形成するためのアルゴリズムを有するページングエリア形成部と、ページングエージェントPAから送信されたページングエリア又はページングエリア形成部によって形成したページングエリアとに基づいて選択したページングエリアに係る情報を、ページングエージェントPAに送信する送信部とを具備する。
【0148】
一方、変更例3に係るページングエージェントPAは、ページングエリアを形成するためのアルゴリズムを有するページングエリア形成部と、ページングエリア形成部によって形成されたページングエリアに係る情報をモバイルノードMNに送信する送信部を具備し、ページングエリア形成部は、モバイルノードMNから送信されたページングエリアに係る情報に基づいて、モバイルノードMNのページングエリアを形成する。
【0149】
(その他)
なお、上述の第1乃至第3の実施形態、及び、変更例1乃至3に係るモバイルノードMN及びページングエージェントPAとして機能するためのプログラムが、電気通信回線を通じて提供されるように構成されていてもよい。
【0150】
かかるプログラムによって、一般的な移動端末及びサーバ装置を、それぞれ、本発明に係るモバイルノードMN及びページングエージェントPAとして機能させることができる。
【0151】
以上、本発明を実施例により詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本願中に説明した実施例に限定されるものではないということは明らかである。本発明の装置は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。従って、本願の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
産業上の利用の可能性
【0152】
本発明によれば、制御装置及び移動端末が協働することによって、移動端末の通信用途や移動特性に応じた最適なページングエリアを形成することを可能とする制御装置及び移動端末を提供することができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置が、特定の移動端末宛てのパケットを受信した場合に、該移動端末のページングエリアに対してページング通知パケットを送信することによって、該移動端末の位置情報を取得して該パケットの転送先を決定するページング制御を実現する制御装置であって、
前記ページングエリアを形成するための複数のアルゴリズムを有するページングエリア形成部を具備し、
前記ページングエリア形成部は、前記移動端末により指定されたアルゴリズムによって、該移動端末のページングエリアを形成することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記ページングエリア形成部は、前記制御装置の負荷状態やトラフィック分布に応じて、前記移動端末のページングエリアを形成することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
制御装置が、特定の移動端末宛てのパケットを受信した場合に、該移動端末のページングエリアに対してページング通知パケットを送信することによって、該移動端末の位置情報を取得して該パケットの転送先を決定するページング制御を実現する移動端末であって、
前記制御装置に対して、該移動端末のページングエリアを形成するためのアルゴリズムを指定するアルゴリズム指定部と、
前記制御装置が前記アルゴリズムに基づいて形成したページングエリアに係る情報に基づいてページング制御を行うページング制御部とを具備することを特徴とする移動端末。
【請求項4】
前記制御装置に対して、前記ページングエリアを形成するためのアルゴリズムを記述する処理言語を指定する処理言語指定部を具備し、
前記アルゴリズム指定部は、前記制御装置から前記処理言語に対応可能の旨の判定結果を受信した場合、該処理言語で記述された前記アルゴリズムを指定することを特徴とする請求項3に記載の移動端末。
【請求項5】
制御装置が、特定の移動端末宛てのパケットを受信した場合に、該移動端末のページングエリアに対してページング通知パケットを送信することによって、該移動端末の位置情報を取得して該パケットの転送先を決定するページング制御を実現する制御装置であって、
前記移動端末に対して、該移動端末のページングエリアを形成するためのアルゴリズムを指定するアルゴリズム指定部と、
前記移動端末が前記アルゴリズムに基づいて形成したページングエリアに基づいてページング制御を行うページング制御部とを具備することを特徴とする制御装置。
【請求項6】
前記移動端末に対して、前記ページングエリアを形成するためのアルゴリズムを記述する処理言語を指定する処理言語指定部を具備し、
前記アルゴリズム指定部は、前記移動端末から前記処理言語に対応可能の旨の判定結果を受信した場合、該処理言語で記述された前記アルゴリズムを指定することを特徴とする請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
制御装置が、特定の移動端末宛てのパケットを受信した場合に、該移動端末のページングエリアに対してページング通知パケットを送信することによって、該移動端末の位置情報を取得して該パケットの転送先を決定するページング制御を実現する移動端末であって、
前記ページングエリアを形成するための複数のアルゴリズムを有するページングエリア形成部を具備し、
前記ページングエリア形成部は、前記制御装置により指定されたアルゴリズムによって、該移動端末のページングエリアを形成することを特徴とする移動端末。
【請求項8】
前記ページングエリア形成部は、該移動端末の通信用途や移動特性に応じて、該移動端末のページングエリアを形成することを特徴とする請求項7に記載の移動端末。
【請求項9】
制御装置が、特定の移動端末宛てのパケットを受信した場合に、該移動端末のページングエリアに対してページング通知パケットを送信することによって、該移動端末の位置情報を取得して該パケットの転送先を決定するページング制御を実現する移動端末であって、
前記ページングエリアを形成するためのアルゴリズムを有するページングエリア形成部と、
前記ページングエリア形成部によって形成されたページングエリアに係る情報を前記制御装置に送信する送信部とを具備し、
前記送信部は、前記制御装置から前記ページングエリア形成部によって形成されたページングエリアに係る情報と異なるページングエリアに係る情報を受信した場合、他の制御装置に対して前記ページングエリア形成部によって形成されたページングエリアに係る情報を送信することを特徴とする移動端末。

【国際公開番号】WO2004/114703
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【発行日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507243(P2005−507243)
【国際出願番号】PCT/JP2004/008637
【国際出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】