説明

制御装置

【課題】省電力モードから、レディモードへの移行の間に、受け付ける指示に対応できる制御装置を提供する。
【解決手段】通信部10が外部装置からジョブの処理指示を受け付けた場合、省電力モードからレディモードへの移行が行われ、斯かる移行の間に省電力ボタン61又は通信部10を介して操作指示又はジョブの処理指示を受け付けると指示保持部11に保持される。レディモードへの移行後、すなわち、初期化の完了後、指示保持部11に保持されている指示に基づいて、適切な処理が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通常の給電モードから給電が制限されるモードへの移行、又は該通常の給電モードへの復帰を行う制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エネルギー資源の保護、大気汚染等の観点から、省エネルギー製品の開発が進んでいる。複写機、プリンター、ファクシミリ等のジョブ機能を有する複合機においても、その多くが、一定時間動作されない場合、又はユーザによって所定のボタン操作が行われた場合は、いわゆる省電力モードに移行し、消費電力を低減する電力制御機能を有している。
【0003】
このような電力制御機能では、例えば、夫々のジョブ機能に係るハードウェア部別の電源と、該各ハードウェア部を制御する制御部の電源とを別に設け、前記省電力モードの際には、前記制御部にのみ電源を供給するように構成されている。また、該省電力モードにて、例えば、ファクシミリ信号の受信を監視し、ファクシミリ信号の受信が検知された場合、又はユーザによって前記ボタン操作が行われた場合は、複合機全体に電源を供給して通常動作モードに復帰するように構成されている。なお、ファクシミリ信号の受信の検知によって通常動作モードに復帰した場合は、該ファクシミリ信号に係るジョブを実行した後、再び省電力モードに移行するように構成されている。
【0004】
また、特許文献1においては、省電力モードへの切り換え要求が発生して所定処理を実行中、又は省電力モードで待機している間はCPUに対する割り込み信号を保持しておく一方、CPUへのクロック供給が再開された後、保持している割り込み信号をCPUへ出力することにより、省電力モードへの切り換え要求が発生してから省電力モードに切り換わるまでの間の割り込みの信号を消滅させない省電力制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3349300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、複合機が省電力モードである場合に、上述したように、ファクシミリ信号の受信が検知されたことにより、又はユーザによって前記ボタン操作が行われたことにより、省電力モードから通常動作モードに復帰する間は、割り込み信号を受け付け出来ない時間が存在する。
【0007】
すなわち、省電力モードから通常動作モードに復帰する場合は、各種プログラム及び各種部品等を初期化する必要があり、斯かる初期化の際、複合機は割り込み信号の受け付けが出来なくなり、該割り込み信号に係る指示が無効にされてしまうと言う問題が生じていた。
【0008】
例えば、ファクシミリ信号の受信の検知によって省電力モードから通常動作モードに復帰する間に、通常動作モードへの復帰を望むユーザが前記ボタンの操作を行った場合は、該ボタン操作によって生じた信号は受け付け出来ず、無効とされる。その結果、複合機はファクシミリ信号に係るジョブを実行した後、ユーザが望む通常動作モードに復帰せずに、再び省電力モードに移行するので、ユーザに不快感を与える。
【0009】
しかしながら、特許文献1の省電力制御装置では、このような問題を解決することが出来ない。
【0010】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、省電力モードから通常動作モードへの移行中であっても、ユーザからの通常動作モードへの復帰指示或いは外部からのジョブの処理指示を受け付けた場合は、これらの指示に基づく制御が可能な制御装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る制御装置は、操作指示を受け付ける操作受付部と、外部装置からジョブの処理指示を受け付けるジョブ受付部と、給電される第1の状態と、給電が制限される第2の状態との間を移行する制御部と、前記ジョブの処理指示の受付による前記第2の状態から前記第1の状態への移行の間に受け付ける操作指示又はジョブの処理指示を保持する保持部とを備え、前記第1の状態への移行後、前記制御部は、前記保持部に保持された指示に基づいて、前記第2の状態への移行又は前記第1の状態の維持を行うようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本発明にあっては、前記ジョブ受付部が外部装置からジョブの処理指示を受け付けた場合、前記第2の状態から前記第1の状態への移行が行われ、該移行の間に前記操作受付部又はジョブ受付部を介して操作指示又はジョブの処理指示を受け付けると保持部に保持される。前記第1の状態への移行後、前記制御部は、前記保持部に保持された指示に基づいて、前記第2の状態への移行又は前記第1の状態の維持を行う。
【0013】
本発明に係る制御装置は、操作指示を受け付ける操作受付部と、外部装置からジョブの処理指示を受け付けるジョブ受付部と、給電される第1の状態と、給電が制限される第2の状態との間を移行する制御部と、前記操作指示の受付による前記第2の状態から前記第1の状態への移行の間に受け付ける操作指示又はジョブの処理指示を保持する保持部とを備え、前記第1の状態への移行後、前記制御部は、前記保持部に保持された指示に係る処理を制御するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本発明にあっては、前記操作受付部が操作指示を受け付けた場合、前記第2の状態から前記第1の状態への移行が行われ、該移行の間に前記操作受付部又はジョブ受付部を介して操作指示又はジョブの処理指示を受け付けると保持部に保持される。前記第1の状態への移行後、前記制御部は、前記保持部に保持された指示に係る処理を制御する。
【0015】
本発明に係る制御装置は、前記制御部は、前記第1の状態への移行の際、初期化を行い、該制御部の初期化の間、前記保持部が前記指示の保持を行うようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本発明にあっては、前記制御部は、前記第2の状態から前記第1の状態への移行の際、初期化を行う。このような初期化によって、前記制御部での指示の取得が出来ない間、前記保持部は該制御部が取得すべき指示を保持しておき、該初期化の完了後、該保持部が保持している指示に対応する処理が行われる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、前記第2の状態から前記第1の状態への移行の間に、前記操作受付部又はジョブ受付部を介して受け付ける指示が前記保持部によって保持され、前記第1の状態への移行後、前記保持部に保持された指示に基づく適切な処理が行われる。また、前記第2の状態から前記第1の状態への移行の間に入力された指示に対応する処理が正しく行われないことによって、ユーザに与え得る不快感を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態の複合機における、要部構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における、複合機の処理を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態における、複合機の処理を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態における、複合機のジョブ指示対応処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態に係る制御装置を複合機に適用した場合を例として、図面に基づいて詳述する。該複合機は、電話機、ファクシミリ、プリンター等の機能を有しており、夫々の機能に係るジョブを実行する。
【0020】
また、本発明の実施の形態の複合機は、省電力モード(第2の状態)と、レディモード(第1の状態)とを有している。省電力モードでは、複合機20の一部の部品への給電を制限して消費電力を減らす。また、レディモードでは給電が制限されていた部品に給電が行われ、ユーザからの指示を受け付け、何れのジョブが即時に実行可能である。
【0021】
前記省電力モードは、更に、ディープスリープモードと、該ディープスリープモードより給電が制限された部品の数が多いスーパースリープモードとに分けられている。従って、スーパースリープモードでは殆どの機能が実行出来ないが、ディープスリープモードにおいては、一部の機能が実行出来る。
【0022】
レディモードから省電力モードに移行する際には、レディモード、ディープスリープモード及びスーパースリープモードの順に移行する。一方、省電力モード(スーパースリープモード)からレディモードに復帰する際には、スーパースリープモード、ディープスリープモード及びレディモードの順に移動する。
【0023】
なお、スーパースリープモードからレディモードに復帰する際には、上述したように、初期化が必要であり、スーパースリープモードから初期化を経てディープスリープモードに移行し、更にレディモードに移行する。
【0024】
(実施例1)
図1は本発明の実施の形態の複合機20における、要部構成を示す機能ブロック図である。複合機20は、制御部1と、ROM2と、RAM3と、各種ジョブに係るデータが記憶されている記憶部4と、ユーザに対して報知すべき情報を表示する表示部5と、ユーザからの操作(指示)を受け付ける操作パネル6と、原稿の画像を光学的に読み取る画像入力部7と、画像入力部7が読み取った画像に応じた画像データを生成する画像処理部8と、画像処理部8が生成した画像データに基づいて記録シート上に画像を出力する画像出力部9と、外部とのデータの送受信を行う通信部10(ジョブ受付部)と、省電力モードからレディモードへの復帰の間に取得される指示を保持する指示保持部11と、電話通信を行う送受話部12とを備えている。
【0025】
記憶部4は、例えば、フラッシュメモリ、EEPROM、HDD、MRAM(磁気抵抗メモリ)、FeRAM(強誘電体メモリ)、又は、OUM等の不揮発性の記憶媒体により構成されている。また、記憶部4には各種ジョブに係るデータが記憶されている。例えば、記憶部4には、画像入力部7が読み取った原稿の画像データ、通信部10を介して取得した画像データ、線画データ等が記憶されている。
【0026】
表示部5は、例えば、LCD又はEL(Electroluminescence)パネル等からなり、複合機20の状態、ジョブ処理の状況、及び操作パネル6の操作内容の確認等の情報を表示する。
【0027】
操作パネル6は、複合機20のジョブ機能を選択するための選択指示、複合機20の動作を制御するための指示等をユーザの操作により受け付けるタッチパネル又はテンキーを備えている。また、操作パネル6には省電力ボタン61が設けられている。
【0028】
省電力ボタン61(操作受付部)は、複合機20の一部の部品への給電を制限する省電力モードに移行する指示(以下、移行指示と言う。)、及び該省電力モードからレディモードに復帰する指示(以下、復帰指示と言う。)を受け付ける。すなわち、レディモードの状態にて、ユーザが省電力ボタン61を押下する操作をした場合、該操作に係る指示(操作指示)が受け付けられ、レディモードからディープスリープモードを経てスーパースリープモードに移行する。一方、スーパースリープモードの状態にて、ユーザが省電力ボタン61を押下する操作をした場合、該操作に係る指示(操作指示)が受け付けられ、ディープスリープモードを経て、レディモードに復帰する。
【0029】
画像入力部7は、CCD(Charge Coupled Device)等の光センサを備えたスキャナを用いて構成されており、紙等の記録シートに画像が記録された原稿からの反射光像をRGB(R:赤,G:緑,B:青)の各色に分解して光センサで読み取り、RGBのアナログ信号の画像データに変換して画像処理部8へ出力する。また、画像入力部7は、レディモードでのみ動作し、ディープスリープモード及びスーパースリープモードでは動作しないように構成されている。
【0030】
画像処理部8は、画像入力部7から入力された画像データに対して画像処理を行い、画像処理後の画像データを画像出力部9へ出力する。詳しくは、前記RGBのアナログ信号から、RGBのデジタル信号を生成し、該RGBのデジタル信号から、CMYK(C:シアン,M:マゼンタ,Y:イエロー,K:ブラック)のデジタル信号を更に生成し、ストリームとして画像出力部9へ出力する。
【0031】
画像出力部9は、画像処理部8から入力された画像データに基づいて、熱転写、電子写真、又はインクジェット等の方式により紙等の記録シート上にカラー又はモノクローム画像を形成(印刷)することによって、画像を出力する。また、画像出力部9は、通信部10によって受信されて記憶部4に記憶されている画像データ、線画データ等に基づき、印刷処理を行う。また、画像出力部9は、レディモードでのみ動作し、ディープスリープモード及びスーパースリープモードでは動作しないように構成されている。
【0032】
通信部10は、ネットワークカード又はモデム等を用いて構成されており、図示しない公衆回線網、LAN(Local Area Network)又はインターネット等の通信ネットワークに接続可能であり、複合機20の夫々の機能に係るジョブの処理指示(以下、ジョブ指示と言う)を外部から受信する。例えば、ファクシミリ又は電子メール等の通信方法により通信ネットワークを介して外部から画像データ、線画データ等を受信する。更に、通信部10は外部からの電話の受信(ジョブ指示)及び外部への電話の送信を行う。
【0033】
また、通信部10でファクシミリの受信を行った場合は、相手先から送信された線画データは画像処理部8へ入力され、画像処理部8によって適宜処理される。更に、画像処理部8は、各種の画像処理が施された画像データを、画像出力部9へ出力し、画像出力部9は、画像データに基づいて画像を印刷して出力する。
【0034】
指示保持部11(保持部)は、レディモードへの復帰の間に省電力ボタン61及び通信部10を介して取得される指示を保持する。詳しくは、指示保持部11は時定数回路111を有しており、レディモードへの復帰の際における、初期化の間に省電力ボタン61及び通信部10を介して取得される指示が時定数回路111によって保持されるように構成されている。
【0035】
本発明の実施の形態の指示保持部11は、例えば、CR時定数回路を有している。該CR時定数回路はスイッチングFETのゲートに直列に接続した抵抗と、該抵抗と基準電位間に接続されたコンデンサとで構成された公知のものであり、詳しい説明を省略する。
【0036】
前記CR時定数回路は、省電力ボタン61を介した復帰指示の受け付けにより、又は通信部10を介したジョブ指示の受信により、スイッチオンとなる。また、前記CR時定数回路は、レディモードへの復帰の間に、すなわち、初期化の際に、省電力ボタン61及び通信部10を介して取得される復帰指示又はジョブ指示を所定時間延長させることによって保持する。遅延時間は、これらの定数の値により任意に設定することが出来る。
【0037】
送受話部12は、着信ベル、受話器及び送話器(図示せず)を有しており、ユーザは送受話部12を用いて外部と電話通信を行う。また、送受話部12は、スーパースリープモードでは使用できないが、ディープスリープモードでは使用可能である。
【0038】
ROM2には各種の制御プログラム、演算用のパラメータのうちの基本的に固定のデータ等が予め格納されており、RAM3はデータを一時的に記憶し、記憶順、記憶位置等に関係なく読み出すことが可能である。また、RAM3は、例えば、ROM2から読み出されたプログラム、該プログラムを実行することにより発生する各種データ、該実行の際適宜変化するパラメータ等を記憶する。
【0039】
制御部1(CPU)は、バスNを介して上記の各種ハードウェアの制御を行い、装置全体を本発明の複合機20として動作させる。例えば、制御部1は、レディモードで操作パネル6(省電力ボタン61)及び通信部10を介して取得される指示に係る処理の制御を行う。
【0040】
また、制御部1は、ROM2に予め格納されている制御プログラムをRAM3上にロードして実行する。更に、制御部1は、省電力ボタン61による指示の受け付け如何、通信部10によるジョブ指示の受信如何、及び指示保持部11に指示が保持されているか否かの判定を行う。一方、制御部1、ROM2及びRAM3は、スーパースリープモードの際、その機能の一部が制限される。
【0041】
制御部1は、レディモードにおいて、ユーザが省電力ボタン61を押下する操作をした場合、所定の部品への給電を制限し、省電力モード(スーパースリープ)への移行を行う。一方、省電力モードにおいて、通信部10がジョブ指示を受信した場合、又はユーザが省電力ボタン61を押下する操作をした場合、制御部1は、給電が制限されていた部品に給電を再開し、ディープスリープモード又はレディモードへの復帰を行う。
【0042】
制御部1は、指示保持部11に指示が保持されている場合、該指示が省電力ボタン61を介して取得された復帰指示であるか、通信部10を介して取得されたジョブ指示であるかを判定する。
【0043】
制御部1は、省電力モードの際に、省電力ボタン61を介して復帰指示を受け付け、又は通信部10を介してジョブ指示を受信する。このように、取得された復帰指示及びジョブ指示は、例えば、RAM3に一時的に記憶される。
【0044】
制御部1は、省電力モードの際に、省電力ボタン61又は通信部10を介して取得した指示が復帰指示であるか又はジョブ指示であるかを判定するとともに、この判定結果に基づき、ディープスリープモード又はレディモードへの復帰を行う。この判定は、例えば、電位変化に基づいて制御部1へ入力される割り込み信号を検知することにより行われる。詳しくは、通信部10からの割り込み信号及び省電力ボタン61からの割り込み信号のみが検出できるように、制御部1のピンが設定されている。通信部10からの割り込み信号又は省電力ボタン61からの割り込み信号が入力された場合、斯かるピンでの電位変化に基づき、どのピンに信号が入力されたか、すなわち、通信部10からの割り込み信号か、省電力ボタン61からの割り込み信号かが認識できる。
【0045】
図2及び図3は本発明の実施の形態における、複合機20の省電力モードからの復帰処理を説明するフローチャートである。
【0046】
まず、複合機20の省電力モードからの復帰処理として、制御部1が初期化処理を行い(ステップS101)、ステップS102に移行する。なお、この省電力モードからの復帰要因は、省電力ボタンを介して受け付けた復帰指示、或いは通信部10を介して受信したジョブ指示による復帰指示のいずれかである。また、制御部1における初期化処理の開始に伴い、指示保持部11の時定数回路111は、スイッチオンとなり、省電力ボタン61及び通信部10を介して取得される復帰指示又はジョブ指示の保持が開始される。
【0047】
続いて、制御部1は、取得された指示が省電力ボタン61を介して受け付けた復帰指示であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0048】
制御部1が取得した指示が省電力ボタン61を介して受け付けた復帰指示であると判定した場合(ステップS102:YES)、制御部1が給電の制限されていた部品に給電を再開することによって、複合機20は、ディープスリープモードを経て、レディモードへの復帰を行う(ステップS103)。
【0049】
次いで、制御部1は、指示保持部11の時定数回路111を確認することにより、指示保持部11が何れかの指示を保持しているか否かを判定する(ステップS104)。
【0050】
制御部1は指示保持部11が何ら指示を保持していないと判定した場合(ステップS104:NO)、処理を終了する。一方、制御部1によって指示保持部11が何れかの指示を保持していると判定された場合(ステップS104:YES)、指示保持部11が保持しているジョブ指示に対応する処理(以下、ジョブ指示対応処理と言う)が適宜実行され(ステップS105)、その後処理が終了する。
【0051】
すなわち、指示保持部11には、レディモードへの復帰の際における、初期化の間に省電力ボタン61及び通信部10を介して取得される復帰指示又はジョブ指示が保持される。換言すれば、レディモードへの復帰の際における、初期化の間に、ユーザが省電力ボタン61を押下する操作をした場合の復帰指示、及び通信部10を介して受信されたジョブ指示が指示保持部11に保持されている。
【0052】
一方、初期化の際、装置外側のユーザには、初期化中であることが判別できないので、初期化の間に、ユーザが省電力ボタン61を押下する操作をした場合、これはユーザによる復帰指示の催促であるとみなすことができる。また、省電力ボタン61を介した復帰指示によって既にレディモードに復帰が完了しているので、指示保持部11に保持されている復帰指示は無効にし、指示保持部11が保持しているジョブ指示に対応する処理のみが適宜実行される。
【0053】
以下、ジョブ指示対応処理について詳しく説明する。図4は本発明の実施の形態における、複合機20のジョブ指示対応処理について説明するフローチャートである。
【0054】
指示保持部11が保持しているジョブ指示は、通信部10を介して受信されたものであり、複合機20の電話機能、プリンター機能及びファクシミリ機能に係るジョブであるので、前記ジョブ指示対応処理は、電話着信又は印刷に係る処理となる。
【0055】
まず、制御部1は、指示保持部11が保持しているジョブ指示が電話着信か否かを判定する(ステップS201)。
【0056】
例えば、指示保持部11が保持しているジョブ指示が電話着信であると判定した場合(ステップS201:YES)、制御部1は送受話部12の着信ベルを鳴動させ(ステップS202)、ユーザに通知し、処理を終了する。
【0057】
また、指示保持部11が保持しているジョブ指示が電話着信でないと判定した場合(ステップS201:NO)、すなわち、該ジョブ指示がプリンター機能及びファクシミリ機能に係る画像データ又は線画データの印刷指示であるとみなされ、制御部1は画像出力部9に前記画像データ又は線画データに基づく画像の印刷を指示する。画像出力部9は、制御部1の指示に基づき、印刷処理を実行する(ステップS203)。
【0058】
一方、前記ステップS102にて、制御部1が取得された指示を省電力ボタン61を介して受け付けた復帰指示でないと判定した場合(ステップS102:NO)、すなわち、スーパースリープモードにて取得された指示が通信部10を介して受信したジョブ指示である場合、制御部1は、給電が制限されていた所定の部品に給電を再開し、ディープスリープモードへの復帰を行う(ステップS107)。
【0059】
ディープスリープモードに移行後、制御部1は、スーパースリープモードにて通信部10を介して受信したジョブ指示が電話着信か否かを判定する(ステップS108)。
【0060】
例えば、スーパースリープモードにて通信部10を介して受信したジョブ指示が電話着信であると判定した場合(ステップS108:YES)、制御部1は送受話部12の着信ベルを鳴動させ(ステップS109)、ユーザに通知して処理を終了する。
【0061】
一方、制御部1が、スーパースリープモードにて通信部10を介して受信したジョブ指示が電話着信でないと判定した場合(ステップS108:NO)、すなわち、該ジョブ指示がプリンター機能及びファクシミリ機能に係る画像データ又は線画データの印刷指示である場合、制御部1は、給電が制限されていた一部の部品に給電を再開し、ディープスリープモードからレディモードへの復帰を行う(ステップS110)。
【0062】
次いで、制御部1は画像出力部9に前記画像データ又は線画データに基づく画像の印刷を指示する。画像出力部9は、制御部1の指示に基づき、印刷処理を実行する(ステップS111)。
【0063】
その後、制御部1は、指示保持部11の時定数回路111を確認することにより、前記初期化の間に省電力ボタン61及び通信部10を介して取得され、指示保持部11によって保持されている指示があるか否かを判定する(ステップS112)。
【0064】
制御部1によって指示保持部11が何ら指示を保持していないと判定した場合(ステップS112:NO)、制御部1は、所定の部品への給電を制限し、ディープスリープモードへの移行を行う(ステップS116)。また、制御部1は更に一部の部品への給電を制限し、スーパースリープモードへの移行を行い(ステップS117)、処理は終了される。
【0065】
一方、制御部1によって指示保持部11が何れかの指示を保持していると判定された場合(ステップS112:YES)、制御部1は指示保持部11が保持している指示が省電力ボタン61を介して受け付けた復帰指示であるか否かを判定する(ステップS113)。
【0066】
制御部1が、指示保持部11が保持している指示を復帰指示であると判定した場合(ステップS113:YES)、上述したように、初期化中であることを知らないユーザが復帰指示を試みて省電力ボタン61を押下する操作をしたものとみなされることから、制御部1は、現在のモードであるレディモードのまま待機する(ステップS114)。
【0067】
制御部1が、指示保持部11が保持している指示を復帰指示でないと判定した場合(ステップS113:NO)、すなわち、指示保持部11が保持している指示が通信部10を介して受信されたジョブ指示である場合、制御部1は上述したジョブ指示対応処理を行う(ステップS115)。該ジョブ指示対応処理については既に上述しており、詳しい説明を省略する。このジョブ指示対応処理の後、処理はステップS116に移行する。
【0068】
その後、制御部1が所定の部品への給電を制限し、ディープスリープモードへの移行を行い(ステップS116)、更に給電の制限を行うことにより、スーパースリープモードへの移行を行って(ステップS117)、処理が終了される。
【0069】
(実施例2)
一方、スーパースリープモードの際、通信部10を介してジョブ指示が受信されたことにより、初期化が実行されている場合、初期化中であることを判別できないユーザが省電力ボタン61を複数に亘って操作することが想定される。
【0070】
すなわち、上述したような初期化が実行中であることを知らないユーザが、レディモードへの復帰を希望して省電力ボタン61を操作したものの、その後レディモードへの復帰を不要と思い、省電力ボタン61を再び操作する場合が考えられる。
【0071】
このような場合に対応すべく、制御部1が指示保持部11に保持されている指示を復帰指示であると判定した場合、制御部1は、該復帰指示の数に基づき、レディモード又はスーパースリープモードへの移行を行うように構成しても良い。
【0072】
例えば、指示保持部11に保持されている復帰指示が1つ(又は奇数)である場合、制御部1はレディモードへの移行を行い、指示保持部11に保持されている復帰指示が2つ(又は偶数)である場合、制御部1は省電力モードへの移行を行うように構成すれば良い。
【0073】
なお、本発明の実施の形態に係る複合機の構成は、以上の記載に限るものでない。例えば、画像入力部7、画像出力部9、送受話部12等の構成要素における、レディモード、ディープスリープモード及びスーパースリープモードでの動作如何は、適宜構成変更可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 制御部(CPU)
20 複合機
11 指示保持部
10 通信部
61 省電力ボタン
111 時定数回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作指示を受け付ける操作受付部と、
外部装置からジョブの処理指示を受け付けるジョブ受付部と、
給電される第1の状態と、給電が制限される第2の状態との間を移行する制御部と、
前記ジョブの処理指示の受付による前記第2の状態から前記第1の状態への移行の間に受け付ける操作指示又はジョブの処理指示を保持する保持部とを備え、
前記第1の状態への移行後、前記制御部は、前記保持部に保持された指示に基づいて、前記第2の状態への移行又は前記第1の状態の維持を行うようにしてあることを特徴とする制御装置。
【請求項2】
操作指示を受け付ける操作受付部と、
外部装置からジョブの処理指示を受け付けるジョブ受付部と、
給電される第1の状態と、給電が制限される第2の状態との間を移行する制御部と、
前記操作指示の受付による前記第2の状態から前記第1の状態への移行の間に受け付ける操作指示又はジョブの処理指示を保持する保持部とを備え、
前記第1の状態への移行後、前記制御部は、前記保持部に保持された指示に係る処理を制御するようにしてあることを特徴とする制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の状態への移行の際、初期化を行い、
該制御部の初期化の間、前記保持部が前記指示の保持を行うようにしてあることを特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−236293(P2012−236293A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−105409(P2011−105409)
【出願日】平成23年5月10日(2011.5.10)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】