刺繍データ作成装置、刺繍データ処理プログラム及びミシン
【課題】刺繍模様の配色を簡単に行え且つ多様な配色パターンを得ることができる刺繍データ作成装置、刺繍データ処理プログラム及びミシンを提供する。
【解決手段】刺繍データ作成装置において、制御装置は、取得した乱数と、パレット判定用フラグのセット状態とに基づいてランダムに色を抽出する（ステップＣ６〜Ｃ９）。また、制御装置は、複数の色別模様部の糸色データに対し、抽出した複数の色を割り当ててランダムな配色を行う。
【解決手段】刺繍データ作成装置において、制御装置は、取得した乱数と、パレット判定用フラグのセット状態とに基づいてランダムに色を抽出する（ステップＣ６〜Ｃ９）。また、制御装置は、複数の色別模様部の糸色データに対し、抽出した複数の色を割り当ててランダムな配色を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、複数の色別模様部からなる刺繍模様をミシンにより縫製するための刺繍データを作成する刺繍データ作成装置、刺繍データ処理プログラム及びミシンに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来より、刺繍データに基づいて刺繍模様を縫製するミシンがある。このようなミシンでは、ミシンに内蔵された記憶装置、或はＲＯＭカードやフレキシブルディスク等の外部の記憶装置に、複数の刺繍模様が記憶されている。ユーザは、複数の刺繍模様の中から、所望の刺繍模様を選択する。そして、ミシンは、選択された刺繍模様の刺繍データを読み込んで、加工布を保持した刺繍枠を移送機構により移送させながら、加工布に刺繍模様を刺繍する。
【０００３】
ところで、複数の色別模様部からなる刺繍模様の刺繍データは、色別模様部の色を特定する糸色データを含んでおり、各色別模様部は、糸色データとして予め設定された色（糸色）で縫製される。このため、各色別模様部の色が加工布（生地）の色と類似していると、当該色別模様部と生地の区別が分かり難いという問題が発生する。具体的には、「花」の刺繍模様を、花びらの色別模様部の色と同色の生地に縫製した場合、花びらと生地の区別が分かり難くなり、花びらが無い奇妙な刺繍模様であると見間違う虞がある。
そこで、刺繍データ作成装置には、予め好ましい色の組合せを示す配色データを記憶させておき、当該配色データと生地の色等を示す生地データとに基づいて、色別模様部の糸色データの色を設定するようにしたものがある（例えば特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開平１１−５７２６２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
特許文献１の刺繍データ作成装置では、生地の色と配色データに基づき、刺繍模様の色別模様部の色が一義的に決定される。しかし、ユーザとしては、色別模様部の色が生地の色で制約されるのではなく、色別模様部の夫々について「規定の色」ではない好みの色や或いは奇抜な色で縫製したい場合もある。しかしながら、このような刺繍模様の色の指定を行うには、色別模様部のデータを１つ１つ読み出して該当する糸色データの確認や指定を行わなければならず、手間がかかり面倒である。
【０００６】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、刺繍模様の配色を簡単に行え且つ多様な配色パターンを得ることができる刺繍データ作成装置、刺繍データ処理プログラム及びミシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記した目的を達成するために、本発明の請求項１の刺繍データ作成装置は、複数の色別模様部からなる刺繍模様をミシンにより縫製するための刺繍データを作成するものであり、前記刺繍データは、前記色別模様部の色を特定する糸色データを含み、予め定義されている複数の色情報を記憶する第１記憶手段と、前記第１記憶手段に記憶されている各色情報の中から前記糸色データとして用いる色をランダムに抽出する抽出手段と、前記色別模様部の前記糸色データ毎に前記抽出手段により抽出された色を割り当てる割当手段と、を備えることを特徴とする。
【０００８】
上記刺繍データ作成装置によれば、刺繍模様について、色別模様部の糸色データに対し抽出手段により抽出された色を割り当ててランダムな配色を行うことができる。このため、糸色データの確認や指定といった面倒な作業を省略して、刺繍模様の配色を簡単に行うことができる。刺繍模様について、偶然性や意外性のある配色が可能となり、規定の配色にとらわれない多様な配色パターンを得ることができる。
【０００９】
請求項２の刺繍データ作成装置では、請求項１の発明において、前記抽出手段は、前記第１記憶手段に記憶されている各色情報の中から前記糸色データとして用いる複数の色をランダムに抽出し、前記割当手段は、前記複数の色別模様部の前記糸色データに対して前記抽出手段により抽出された複数の色を割り当ててランダムな配色を行うことを特徴とする。
請求項３の刺繍データ作成装置では、請求項１または２の発明において、前記抽出手段により抽出する色の数を設定する色数設定手段を備え、前記抽出手段は、相互に異なる色を前記色数設定手段により設定された数の分だけ抽出し、前記割当手段は、前記抽出手段により抽出された数の色を用いて前記色別模様部毎に割り当てることを特徴とする。
【００１０】
請求項４の刺繍データ作成装置では、請求項１から３までの何れかの発明において、前記第１記憶手段に記憶されている各色情報を複数のカテゴリに分類する分類手段と、前記複数のカテゴリのうち何れか１つのカテゴリを選択するカテゴリ選択手段とを備え、前記抽出手段は、前記カテゴリ選択手段で選択されたカテゴリに属する色の中から前記糸色データとして用いる複数の色をランダムに抽出することを特徴とする。
【００１１】
請求項５の刺繍データ作成装置では、請求項４の発明において、前記カテゴリに分類された前記色情報は、ユーザにより変更可能に設定されることを特徴とする。
請求項６の刺繍データ作成装置では、請求項１から５までの何れかの発明において、前記刺繍模様を各色別模様部の前記糸色データに割り当てられた色で表示する表示手段を備えることを特徴とする。
【００１２】
請求項７の刺繍データ作成装置では、請求項６の発明において、前記刺繍データ作成装置により作成された刺繍データを記憶するための第２記憶手段を備え、前記表示手段は、その表示画面に色の組合わせが異なる複数の前記刺繍模様を表示し、前記表示画面に表示された複数の前記刺繍模様の中から、所望の刺繍模様の刺繍データを前記第２記憶手段に記憶させるように構成したことを特徴とする。
請求項８の刺繍データ作成装置では、請求項６または７の発明において、前記表示手段に前記刺繍模様が表示された後、ユーザの指示に基づいて、前記抽出手段による色の抽出と前記割当手段による色の割り当てとを再び実行する再配色指示手段を備え、前記表示手段は、前記再配色指示手段により新たな配色の刺繍データが作成された場合に、その刺繍模様を新たに割り当てられた色で表示することを特徴とする。
【００１３】
請求項９の刺繍データ作成装置では、請求項１から８までの何れかの発明において、 前記複数の色別模様部の中から、ユーザの所望する色別模様部について糸色データの色を指定する指定手段を備え、前記割当手段は、前記指定手段により指定された色別模様部以外の色別模様部の糸色データに対して前記抽出手段により抽出された色を割り当ててランダムな配色を行うことを特徴とする。
請求項１０の刺繍データ作成装置では、請求項１から９までの何れかの発明において、前記第１記憶手段の前記複数の色情報とは別に、当該色情報の中から予めユーザにより選択された複数の色を記憶させる第３記憶手段を備え、前記抽出手段は、前記第３記憶手の中から前記糸色データとして用いる複数の色をランダムに抽出することを特徴とする。
【００１４】
請求項１１の刺繍データ処理プログラムは、請求項１から１０までの何れかに記載の刺繍データ作成装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させるためものである。よって、上記した請求項１から１０までの発明と同様の効果を奏する。
請求項１２のミシンは、請求項１から１０までの何れかに記載の刺繍データ作成装置を備えたものである。よって、上記した請求項１から１０までの発明と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【００１５】
請求項１の刺繍データ作成装置によれば、刺繍模様について、色別模様部の糸色データに対し抽出手段により抽出された色を割り当ててランダムな配色を行うことができる。このため、糸色データの確認や指定といった面倒な作業を省略して、刺繍模様の配色を簡単に行うことができる。刺繍模様について、偶然性や意外性のある配色が可能となり、規定の配色にとらわれない多様な配色パターンを得ることができる。
【００１６】
請求項２の刺繍データ作成装置によれば、請求項１の発明の効果に加え、抽出手段により「複数」の色をランダムに抽出した後、その複数の色についてランダムに割り当てることも可能となる。つまり、ランダムの効果をより高めることができる。
請求項３の刺繍データ作成装置によれば、請求項１または２の発明の効果に加え、色数設定手段によって、刺繍模様における糸色の数をユーザの好みや感性に応じて設定することができる。
【００１７】
請求項４の刺繍データ作成装置によれば、請求項１から３までの何れかの発明の効果に加え、刺繍模様の糸色について、カテゴリ選択手段によりユーザの所望するカテゴリを選択することができる。従って、刺繍模様についてランダムな配色としながらも、ユーザの好みや感性に応じたカテゴリ内の色を用いて、簡単に刺繍データを作成することができる。
請求項５の刺繍データ作成装置は、請求項４の発明の効果に加え、カテゴリに分類された色情報は、ユーザにより変更可能に設定される。このため、当該カテゴリの色情報について、ユーザの好みの色を加えたり、ユーザの所有する糸駒の色に変更したりする等、所望の色を用いた刺繍データを作成することができる。
【００１８】
請求項６の刺繍データ作成装置によれば、請求項１から５までの何れかの発明の効果に加え、表示手段によって、刺繍模様が各色別模様部の糸色データに割り当てられた色で表示される。従って、作成した刺繍データについて、色別模様部の色を視覚的に容易に把握することができる。
請求項７の刺繍データ作成装置によれば、請求項６の発明の効果に加え、表示手段の表示画面に、ランダムに配色された色の組合わせが異なる刺繍模様の候補を複数提示させ、その候補の中から所望の刺繍データを選んで第２記憶手段に記憶させることができる。従って、ユーザの使い勝手をよくすることができると共に、ユーザの好みや感性に応じた配色の刺繍データを容易に得ることができる。
【００１９】
請求項８の刺繍データ作成装置によれば、請求項６または７の発明の効果に加え、再配色指示手段によって、糸色データに係る抽出と割り当てとを繰り返し実行することができる。従って、前記表示画面に表示される刺繍模様について、ユーザが気に入るまで再配色指示手段により新たな配色の刺繍データを作成することができる。
【００２０】
請求項９の刺繍データ作成装置によれば、請求項１から８までの何れかの発明の効果に加え、指定手段によってユーザの所望する色別模様部の色を指定することができる一方、他の色別模様部についてランダムな配色を行うことができる。従って、刺繍模様にユーザの所望する色を採り入れつつ簡単に刺繍データを作成することができる。
請求項１０の刺繍データ作成装置によれば、請求項１から９までの何れかの発明の効果に加え、予めユーザにより選択された複数の色を記憶した第３記憶手段の中から、糸色データとして用いる複数の色がランダムに抽出される。従って、第３記憶手段に、予めユーザの好みの色や、ユーザの所有する糸駒の色を設定しておくことで、所望の刺繍データを作成することができる。
【００２１】
請求項１１の刺繍データ処理プログラムは、請求項１から１０までの何れかに記載の刺繍データ作成装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させるためものである。よって、上記した請求項１から１０までの発明と同様の効果を奏する。
請求項１２のミシンは、請求項１から１０までの何れかに記載の刺繍データ作成装置を備えたものである。よって、上記した請求項１から１０までの発明と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】本発明の一実施形態を示すミシンの外観斜視図
【図２】電気的構成を示すブロック図
【図３】ミシンのＲＡＭの記憶領域を説明するための概念図
【図４】刺繍データの一例を示す図
【図５】刺繍データの作成時におけるメニュー画面の一例を示す図
【図６】第１色替画面の一例を示す図
【図７】第２色替画面の一例を示す図
【図８】色調設定画面の一例を示す図
【図９】サムネイル表示画面の一例を示す図
【図１０】拡大表示画面の一例を示す図
【図１１】（ａ）はパレットに色を設定する前のパレット設定画面、（ｂ）はパレット選択画面、（ｃ）は色を設定した後のパレット設定画面の夫々の例を示す図
【図１２】刺繍データ作成処理における糸色データの設定に係るフローチャート
【図１３】カテゴリ毎の抽出処理に係るフローチャート（その１）
【図１４】カテゴリ毎の抽出処理に係るフローチャート（その２）
【図１５】色の抽出及び割り当て処理に係るフローチャート
【図１６】追加選択処理に係るフローチャート
【図１７】刺繍模様毎の配色処理に係るフローチャート
【発明を実施するための形態】
【００２３】
以下、本発明を家庭用ミシン（以下、ミシンＭと称す）に適用した一実施形態について、図１〜図１７を参照しながら説明する。
図１において、ミシンＭは、左右方向に延びるベッド部１と、ベッド部１の右端部から上方に立上がる脚柱部２と、脚柱部２の上部からに左方に延びるアーム部３とを一体に備えて構成されている。アーム部３内には、ミシン主軸（図示略）が左右方向に延びるように設けられていると共に、前記ミシン主軸を回転させるミシンモータ４（図２参照）が配設されている。尚、ミシンＭに対して使用者（ユーザ）が位置する方向を前方、その反対方向を後方とする。また、脚柱部２が位置する側を右側とし、その反対側を左側とする。
【００２４】
アーム部３の先端部には、縫針５を装着した針棒５ａと、押え足６を備えた押え棒（図示略）とが設けられている。また、図示は省略するが、アーム部３内には、前記針棒をミシン主軸の回転に基づき上下動させる針棒駆動機構、針棒を布送り方向と直交する方向（左右方向）に揺動させる針棒揺動機構、天秤を針棒の上下動に同期して上下動させる天秤駆動機構、前記押え棒を上下動させる押え棒駆動機構等が配設されている。
アーム部３には、上面側を開閉するカバー３ａが開閉可能に設けられている。カバー３ａを開けた状態におけるアーム部３の手前側の中央部には、糸駒１０を収容するための収容部１０ａが設けられている。糸駒１０から延びる上糸は、前記天秤等を含む糸供給経路を経由して縫針５に供給される。
【００２５】
アーム部３の前面側には、縫製作業の起動と停止を指令する起動停止スイッチ８ａ等の各種のスイッチ類が設けられると共に、縫製速度（ミシン主軸の回転速度）を設定するための速度調節ツマミ８ｂが設けられている。
脚柱部２の前面には、大型で縦長形状をなしフルカラー表示が可能なディスプレイ９が設けられている。ディスプレイ９は、例えば液晶カラーディスプレイから構成されている。ディスプレイ９には、実用模様や刺繍模様等の種々の縫製模様、縫製作業に必要な各種の機能を実行させる機能名の他、後述する刺繍模様の色を設定するための設定画面等が表示される（図５参照）。また、ディスプレイ９の前面には、透明電極からなる複数のタッチキーを有するタッチパネル９ａ（図２参照）が設けられており、このタッチキーがユーザの指又はタッチペン（図示略）で押圧操作されることで、前記の縫製模様の選択、各種機能の指示、各種のパラメータ等の設定が可能になっている。
脚柱部２の右側面には、各種の刺繍模様の刺繍データ等が記憶されているメモリカード１１（図２にのみ図示）が挿入されるカードスロット１２が設けられている。
【００２６】
ベッド部１の上面には、図示しない針板が設けられている。また、いずれも図示は省略するが、ベッド部１内には、前記針板の下側に位置して、送り歯を上下方向や前後方向に移動させる布送り機構、下糸ボビンを収容し縫針５と協働して縫目を形成する水平回転釜、上糸と下糸を切断する糸切り機構等が配設されている。
ベッド部１の左側部分には、刺繍枠移送機構部１３が取外し可能に装着される。刺繍枠移送機構部１３は、ベッド部１の上面と同じ高さになる本体部１４と、本体部１４の上面部に左右方向に移動可能に設けられた可動部１５とを備えている。可動部１５には、縫製対象たる加工布ＣＬを保持する刺繍枠１６を着脱可能に連結するためのキャリッジ１７が前後方向に移動可能に設けられている。刺繍枠移送機構部１３には、キャリッジ１７を可動部１５ごと左右方向に駆動させるＸ方向移送機構（図示略）と、キャリッジ１７を前後方向に移動させるＹ方向移送機構（図示略）とが設けられている。刺繍枠１６は、前記刺繍模様の刺繍データに基づいて、Ｘ方向移送機構及びＹ方向移送機構の夫々の駆動モータ（後述するＸ軸モータ１８及びＹ軸モータ１９、図２参照）の駆動により、左右方向たるＸ方向、或は前後方向たるＹ方向へ移動される。
【００２７】
続いて、ミシンＭの制御系の構成について、図２のブロック図を参照しながら説明する。
制御装置２１は、マイクロコンピュータを主体に構成されており、内部にＣＰＵ２２、ＲＯＭ２３、ＲＡＭ２４、ＥＥＰＲＯＭ２５、カードスロット１２、入出力インターフェース２７ａ，２７ｂ（Ｉ／Ｏ）、それらを結ぶバス２８等を有する。入力インターフェース２７ａには、起動停止スイッチ８ａ、タッチパネル９ａが接続され、出力インターフェース２７ｂには、ミシンモータ４、Ｘ軸モータ１８、Ｙ軸モータ１９、ディスプレイ９を夫々駆動する駆動回路３１，３２，３３，３４が接続されている。制御装置２１、ディスプレイ９及び駆動回路３４は、表示手段に相当する。また、制御装置２１、タッチパネル９ａ、ディスプレイ９、駆動回路３４等から、刺繍データ作成装置３０が構成される。
【００２８】
ＲＯＭ２３は、刺繍データや、縫製制御プログラム、刺繍に用いられる複数種の糸に関する全ての情報であって後述の糸の色情報や品番等を含む全糸情報テーブル、ディスプレイ９の液晶ディスプレイを制御する表示制御プログラムを記憶している。また、ＲＯＭ２３には、刺繍データを作成するための各種処理手段としてコンピュータを機能させるための刺繍データ処理プログラムが記憶されている。尚、これら各種のプログラムやデータは、ＥＥＰＲＯＭ２５等を含む他の内部記憶手段や、メモリカード１１等の外部記憶手段に記憶されてもよい。例えば刺繍データ処理プログラムが外部記憶手段に記憶されている場合、制御装置２１は、当該プログラムをＲＡＭ２４上に読み込んで実行する。
【００２９】
ＲＡＭ２４は第１記憶手段として、上記のプログラムやデータ、タッチパネル９ａの操作等で入力された各種の設定値、制御装置２１で演算された演算結果等を一時的に記憶するための記憶領域を有する。詳細には、図３に示すように、ＲＡＭ２４には、プログラム記憶領域２４１，設定記憶領域２４２，刺繍データ記憶領域２４３，フラグ記憶領域２４４，縫製条件記憶領域２４５，色情報記憶領域２４６，画像表示データ記憶領域２４７，作業領域２４８、抽出データ記憶領域２４９等、複数の記憶領域が設けられている。プログラム記憶領域２４１は、ＲＯＭ２３等から読み出された各種のプログラムを記憶する。設定記憶領域２４２は、プログラムの実行の際に参照される設定値やテーブル等を記憶する。刺繍データ記憶領域２４３は、刺繍データ作成時の元（基準）となるデータを記憶する。フラグ記憶領域２４４は、プログラムの実行の際に使用される各種フラグを記憶する。縫製条件記憶領域２４５は、刺繍模様を縫製する際の各種縫製条件を記憶する。
色情報記憶領域２４６は、刺繍模様の配色に用いられるデータを記憶するための領域で、後述のパレットテーブルやパレット別色番号等を記憶する。また、抽出データ記憶領域２４９は、パレットテーブルからランダムに抽出した色を一次的に記憶する。尚、画像表示データ記憶領域２４７は、ディスプレイ９に表示する画面の画像データや表示設定を記憶し、作業領域２４８は、各種のプログラムの実行時に設定値等を予備的に記憶する。
【００３０】
前記刺繍模様の一例として、図１０に示すディスプレイ９の画面１０４に表示された「花」の刺繍模様４０を説明する。刺繍模様４０は、例えば複数個（ｎ個）の色別模様部である第１模様部４０１〜第ｎ模様部４０ｎからなる。具体的には例えば、花びらを構成する第１模様部４０１は紫の糸色で縫製され、葉を構成する第２模様部４０２はバラ色の糸色で縫製され、茎を構成する第３模様部４０３はマゼンタの糸色で縫製される。このように、模様部４０１〜４０ｎは、夫々に色が設定される色別模様部であるが、各模様部４０１〜４０ｎは相互に異なる色でなくてもよい。
【００３１】
刺繍データは、刺繍模様をミシンＭにより縫製するためのデータであり、複数個の色別模様部データからなる。例えば、図４に示すように、刺繍模様４０の刺繍データの場合には、模様部４０１〜４０ｎ毎に設定された複数の針落ち位置データと、当該模様部４０１〜４０ｎの縫製順序を特定するための縫製順序データ（模様１〜模様ｎ）と、糸色データを含む。糸色データは、色別模様部毎に色を特定するために付されるデータであり、後述の割当手段により各色情報の中から色が割り当てられる。
【００３２】
ここで、図４における一番上の縫製順序データ「模様１」は最初に縫製される順序を特定するもので、これに対応する「紫」は、実際には例えばＲＧＢ値で示される糸色データである。また、針落ち位置データ「Ｘａ０、Ｙａ０」…「ＸａＮ、ＹａＮ」は、紫の糸色に対応する縫針が順次針落ちする座標位置である。これと同様に、縫製順序が２番目以降の刺繍データについても、縫製順序データ「模様２」〜「模様ｎ」と、糸色データ「バラ色」〜「マゼンタ」と、針落ち位置データ「ＸｂＮ、ＹｂＮ」〜「ＸｎＮ、ＹｎＮ」とが夫々含まれる。また、刺繍データは、ディスプレイ９に表示する画像データ（例えばｂｍｐ等の画像データ）（図示略）を含み、刺繍模様の画像は各糸色データに割り当てられた色でディスプレイ９に表示される。
【００３３】
ＥＥＰＲＯＭ２５には、前記糸色データとして割り当てられる色情報が記憶されている。色情報は、例えば、ミシンＭにおいて使用可能な糸駒１０の糸色に関する情報であって、ＲＧＢ値で予め定義されている。具体的には、６４色分のＲＧＢ値と当該ＲＧＢ値に夫々対応付けられた１〜６４のパレット別色番号とからなる第１パレットテーブル（図６の第１カラーパレット５３参照）がＥＥＰＲＯＭ２５に記憶されている。また、第１パレットテーブルとは別に、前記色情報の中から予めユーザにより選択された複数の色が、第２パレットテーブル（図７の第２カラーパレット５６ａ参照）としてＥＥＰＲＯＭ２５に記憶されている。第２パレットテーブルは、例えば、最大で３００色分のＲＧＢ値、及び当該ＲＧＢ値に夫々対応付けられた１〜３００のパレット別色番号を、ユーザの好み等に応じて設定が可能なカスタムパレットテーブルである。
【００３４】
また、本実施形態では、ＲＧＢ値の他、当該ＲＧＢ値に対応するＨＳＶ空間における色相（Ｈｕｅ）、彩度（Ｓａｔｕｒａｔｉｏｎ）、明度（Ｖａｌｕｅ）により定義されるＨＳＶ値が用いられる。ＨＳＶ値は、制御装置２１によってＲＧＢ値に基づき公知の算出方法により演算される、色相値Ｈ、彩度値Ｓ、及び明度値Ｖで表される。この場合、色相とは赤、紫、青等の色の種類で、Ｈの値は例えば０〜３６０の範囲にある。彩度は色の鮮やかさで、Ｓの値は例えば０．０〜１．０の範囲にある。明度は色の明るさで、Ｖの値は例えば０．０〜１．０の範囲にある。
前記色情報は、複数のカテゴリ別へ分類することができる。カテゴリとして例えば「ビビッド」「ソフト」「グラデーション」（何れも図８参照）の分類基準が用意されている。これらカテゴリには、上記のＨＳＶ値で示される閾値が夫々設定され、各色情報は、当該カテゴリ毎に閾値で区分される。
【００３５】
即ち、「ビビッド」については、彩度値Ｓに係る閾値ＳVが設定されることで分類される色であって（図１３のステップＢ４参照）、各色情報のうち彩度値ＳがＳVよりも高い数値の色で構成されるカテゴリである。「ビビッド」のカテゴリに属する色は、何れもビビッドで鮮明な色調を有し、比較的彩度のレベルが高いものとされる。「ソフト」は、彩度値Ｓに係る閾値について下限及び上限がＳS1及びＳS2に設定されることで分類される色であって（図１３のステップＢ６参照）、各色情報のうち彩度値ＳがＳS1〜ＳS2の範囲の色で構成されるカテゴリである。「ソフト」のカテゴリに属する色は、何れも互いの彩度のレベルに大差が無く全体としてソフトな色合いを呈する。「グラデーション」は、各色情報のうちの１つの色の色相レベルを中心値とした所定の色相レベルの閾値ＨG1〜ＨG2で画されるカテゴリである（図１３のステップＢ１０参照）。このため、「グラデーション」のカテゴリに属する色は、ある１つの色、例えば紫に対して閾値ＨG1に相応する赤〜閾値ＨG2に相応する青の範囲内にある、カラーグラデーションを呈する。上記した各閾値ＳV、ＳS1、ＳS2、ＨG1、ＨG2は、例えばＥＥＰＲＯＭ２５に記憶されている。
【００３６】
そして、制御装置２１は乱数発生手段として、パレット別色番号の最大値を引数とする関数を用いて乱数を発生させる。換言すれば、制御装置２１は、パレットテーブルにおけるパレット別色番号の範囲（例えば１〜６４の範囲）で乱数を発生させる。制御装置２１は、発生した乱数と一致する第１パレットテーブルの１〜６４のパレット別色番号を照合し、当該パレット別色番号に対応するＲＧＢ値等を抽出する。これにより、図６に示す６４マス（６４色）の第１カラーパレット５３の中からランダムに色が抽出される。また、上記のカテゴリが選択された場合には、選択されたカテゴリに属する色の数の範囲内で乱数を発生させることで、その乱数を利用して当該カテゴリに属する色の中からランダムに色が抽出される。
【００３７】
次に、刺繍データの作成、特には糸色データの配色に際し、ディスプレイ９に表示される画面について図５〜図１１も参照しながら説明する。ここで、図５〜図１１は、ディスプレイ９における各表示画面１００〜１０４を説明するための図である。ここで、各表示画面１００〜１０４における刺繍模様の画像や第１及び第２カラーパレット５３，５６ａ等は、ディスプレイ９が液晶カラーディスプレイであることから、多数色を表示可能である。
図５は、刺繍データの作成時における配色を行う前のメニュー画面１００を例示している。メニュー画面１００には、プレビュー画像を表示するプレビュー画像領域５０、糸色データ指定領域５２、糸色設定キー５１ａを含む各種の入力キー５１等が設けられている。プレビュー画像は、ユーザにより選択された刺繍模様について該当する刺繍データにより刺繍を行った場合に、どのような刺繍結果となるのかを示す画像である。糸色設定キー５１ａに対応する前記タッチキーが押圧操作（以後、タッチ操作と称す）されることで、図６に示す第１色替画面１０１Ａに切り換わる。
【００３８】
第１色替画面１０１Ａには、プレビュー画像領域５０及び糸色データ指定領域５２の他、前記第１カラーパレット５３、複数のパレット選択キー５４ａ，５４ｂ，５４ｃ、シャッフルキー５５が設けられている。第１色替画面１０１Ａでは、糸色に係る各種の設定が可能とされる。具体的には、糸色データ指定領域５２には、プレビュー画像領域５０の刺繍模様の色別模様部毎に対応する色が、その糸駒５２ａのイラストと共に示されている。ユーザは、糸駒５２ａをタッチ操作し、第１カラーパレット５３の中からユーザの所望する色を色別模様部毎に指定することができる。例えば、第１カラーパレット５３の最上段の１列は、左から順に前記第１パレットテーブルのパレット別色番号１〜８のＲＧＢ値が夫々割り当てられている。このように、第１カラーパレット５３は、上段から下段にわたって第１パレットテーブルの色情報が段毎に８つずつ対応するように配置された６４色のパレットである。
【００３９】
図７に示す第２色替画面１０１Ｂでは、第１色替画面１０１Ａと同様にプレビュー画像領域５０等が設けられると共に、第１カラーパレット５３に代えて第２カラーパレット５６ａが設けられている。第２カラーパレット５６ａは、前記色情報のＲＧＢ値に基づいて、３００マスのパレットに最大で３００色の色の配置が可能で、前記のカスタムパレットテーブルに対応する。図７では３００マスからなる第２カラーパレット５６ａのうち一部（５０マス）が示されている。一対のパレット選択キー５４ａ，５４ｂがタッチ操作されることで、第１及び第２色替画面１０１Ａ、１０１Ｂ相互間で切り換わる。シャッフルキー５５がタッチ操作されることで図８に示す色調設定画面１０２に切り換わる。
【００４０】
色調設定画面１０２には、第１色替画面１０１Ａと同様にプレビュー画像領域５０等が設けられると共に、第１カラーパレット５３に代えて色数設定部５７、カテゴリ設定部５８、ランダムキー５８ａが設けられている。色数設定部５７のプラスキーやマイナスキーがタッチ操作されることで、刺繍データの糸色データとして用いる色の種類の総数を設定する。例えば図８に示すように色数設定部５７が７色に設定されている場合には、刺繍模様は７色だけを使って配色されることとなる。また、カテゴリ設定部５８には、上記「ビビッド」「ソフト」「グラデーション」の夫々のキー５８ｂ，５８ｃ，５８ｄが設けられている。そして、ランダムキー５８ａは、前記複数のパレットテーブルのうちの何れかのパレットテーブルの中から、糸色データ毎にランダムに色を抽出して配色を行うためのキーである。また、「ビビッド」「ソフト」「グラデーション」の何れかをタッチ操作により選択することで、その何れかのカテゴリに属する色の中から糸色データとして用いる色がランダムに抽出される。その後、図９に示すサムネイル表示画面１０３に切り換わる。
【００４１】
サムネイル表示画面１０３では、複数（例えば６個）の刺繍模様が表示される刺繍模様選択領域６１、リターンキー６２、セーブキー６３、リフレッシュキー６４等が設けられている。刺繍模様選択領域６１は、前記糸色データとしてランダムに抽出した色を用いて生成した色の組合わせが異なる複数の刺繍模様について、夫々の画像を縮小したサムネイル画像６１ａを表示する。後述するように、セーブキー６３、サムネイル画像６１ａの順にタッチ操作すると、当該刺繍模様の刺繍データが第２記憶手段たるＥＥＰＲＯＭ２５に記憶される。また、リフレッシュキー６４がタッチ操作されると、糸色データに対して新たに抽出された色が割り当てられ、現在表示されている６個の刺繍模様に代えて新たな６個の刺繍模様が表示される。リターンキー６２がタッチ操作されると、色調設定画面１０２に戻り、刺繍模様のサムネイル画像がタッチ操作されると図１０に示す拡大表示画面１０４に切り換わる。
【００４２】
拡大表示画面１０４では、拡大画像領域６５、クローズキー６６、セットキー６７等が設けられている。拡大画像領域６５には、図９で選択されたサムネイル画像（同図にて太枠で囲われた画像６１ａ）を拡大した１つの刺繍模様の画像が表示される。クローズキー６６がタッチ操作されるとサムネイル表示画面１０３に戻る。また、セットキー６７がタッチ操作されると、前記プレビュー画像の刺繍模様として拡大画像領域６５の刺繍模様を表示したメニュー画面１００に戻る。
上記した第１色替画面１０１Ａ或は第２色替画面１０１Ｂにおいてパレット選択キー５４ｃがタッチ操作されることで、図１１（ａ）に示すパレット設定画面１０１Ｃに切り換わる。パレット設定画面１０１Ｃには、第２カラーパレット５６ａ、スクロールキー７０、４つの方向キー７１、ロードキー７２、セーブキー７３、テンキー７４、ビビッド用抽出キー７５、ソフト用抽出キー７６、クリアキー７７等が設けられている。図１１（ａ）の第２カラーパレット５６ａには、色が未だ設定されておらず、３００マスのうち１００マスが示されている。他の表示されていない２００マスについてスクロールキー７０のタッチ操作により移動させることができる。
【００４３】
前記ロードキー７２をタッチ操作すると、図１１（ｂ）に示すように複数のファイル７８を表示するパレット選択画面１０１Ｃ´に切り換わる。パレット選択画面１０１Ｃ´における複数のファイル７８のうちから所望のファイル７８をタッチ操作により選択すると、選択したファイル７８から第２パレットテーブルが読み込まれ、第２カラーパレット５６ａに展開される（図１１（ｃ）参照）。また、前記方向キー７１のタッチ操作により指示したマスについて１つずつ色を入力することができる。具体的には例えば、図１１（ｃ）に示すように、左上隅のマス（パレット別色番号１）を指示した後、テンキー７４で糸の品番「５５２３」を入力する。こうして、第２パレットテーブルについてパレット別色番号毎にＲＧＢ値、つまり色情報を設定することができる。設定後の当該パレットテーブルの内容は、セーブキー７３のタッチ操作により、第３記憶手段たるＥＥＰＲＯＭ２５に記憶させることができる。
【００４４】
また、上記した「ビビッド」「ソフト」「グラデーション」の夫々のカテゴリ内の色について、ユーザの所望の色を付加又は削除するように変更することができる。詳細には、ユーザは、「ビビッド」のカテゴリ外の色を当該カテゴリ内に付加したい場合、該当する第２カラーパレット５６ａ上の色を方向キー７１のタッチ操作により指示する。指示した色は、ビビッド用抽出キー７５をタッチ操作することで、彩度値Ｓが閾値ＳVよりも低くても「ビビッド」のカテゴリ内の色として抽出するように設定される。「ソフト」のカテゴリ外の色を当該カテゴリ内に付加したい場合、「ビビッド」と同様に、該当する色を指示してソフト用抽出キー７６をタッチ操作することで、彩度値Ｓが閾値ＳS1〜ＳS2の範囲外でも「ソフト」のカテゴリ内の色として抽出するように設定される（抽出設定）。
【００４５】
これに対し、ユーザは、「ビビッド」や「ソフト」のカテゴリ内の色を抽出しないように設定する場合、該当する第２カラーパレット５６ａ上の色を方向キー７１のタッチ操作により指示する。指示した色は、例えばクリアキー７７をタッチ操作することで、彩度値Ｓが閾値ＳVよりも高く或は閾値ＳS1〜ＳS2の範囲内でも、「ビビッド」或は「ソフト」に属する色として抽出しないように設定される（非抽出設定）。
【００４６】
尚、カテゴリに係る色の非抽出設定については、上記の抽出キー７５，７６と同様に、パレット設定画面１０１Ｃにビビッド用非抽出キー、或はソフト用非抽出キー（何れも図示せず）を設けてもよい。また、上記のカテゴリに係る色の抽出設定または非抽出設定があった場合には、以下に説明するフローチャートのステップＡ１において抽出設定判定用フラグをセットまたはリセットすることで、該当する色の抽出設定または非抽出設定の有無を判断することができる。「グラデーション」についても、パレット設定画面１０１Ｃにて「ビビッド」「ソフト」と同様に抽出設定や非抽出設定を行うようにしてもよい。
更に、詳細な説明及び図示は省略するが、第１カラーパレット５３についても、第２カラーパレット５６ａと同様に、カテゴリに係る色の抽出設定や非抽出設定を行うことができる。
【００４７】
次に、刺繍データ処理プログラムの動作について、前記糸色データに関する配色を中心に図１２〜図１７を参照しながら説明する。図１２〜図１７は、刺繍データ処理プログラムに基づいて制御装置２１が実行する処理手順を示すフローチャートである。
ユーザは、タッチパネル９ａをタッチ操作して、ＲＯＭ２３から刺繍データを読み取り、その刺繍データに従ってディスプレイ９の模様選択画面（図示略）を表示する。模様選択画面における複数の刺繍模様の中から、所望の刺繍模様をタッチ操作により選択すると、当該刺繍模様を表示した図５のメニュー画面１００に切換る。
【００４８】
そして、メニュー画面１００において、糸色設定キー５１ａをタッチ操作すると、図６の第１色替画面１０１Ａに切り換わり、刺繍模様について配色を行うための各種の処理が行われる。即ち、第１色替画面１０１Ａのプレビュー画像領域５０の刺繍模様について、ユーザが色別模様部の色を変更したくない場合、該当する糸色データ指定領域５２の糸駒５２ａの色をタッチ操作により指定する（図１２のステップＡ１）。或は、当該糸駒５２ａに対応する糸色データについて、第１カラーパレット５３の中からユーザの所望する色を色別模様部毎に指定する。こうして、指定された色は、ＲＡＭ２４の抽出データ記憶領域２４９に記憶される。当該指定数の上限は、その刺繍模様における色別模様部の総数（図４で「ｎ」に相当）である。従って、ステップＡ１で全ての色別模様部について色の指定が行われた場合には、この処理を終了する（図示略）。
【００４９】
第１色替画面１０１Ａにおいてパレット選択キー５４ｂがタッチ操作されると、第１色替画面１０１Ａから第２色替画面１０１Ｂに遷移する。これにより、ランダム配色に使用するパレットを第１カラーパレット５３から第２カラーパレット５６ａに切り換えることができる。更に、ステップＡ１では、カテゴリに係る色の抽出設定や非抽出設定等、各種の設定を行うことができる。
次いで、シャッフルキー５５がタッチ操作されると、第１色替画面１０１Ａ或は第２色替画面１０１Ｂから色調設定画面１０２に遷移する（ステップＡ２）。ここで、ステップＡ３にて第１色替画面１０１Ａから色調設定画面１０２へ遷移したと判断されると（ＹＥＳ）、パレット判定用フラグがセットされる（ステップＡ４）。
【００５０】
そして、ステップＡ５では、ランダム配色を行うための各種の設定処理が行われる（図１３、図１４参照）。具体的には、ステップＢ１にて、色調設定画面１０２における色数設定部５７のプラスキーやマイナスキーのタッチ操作により、刺繍模様の配色に使用する色の種類の総数が設定される。また、「ランダム」キー５８ａのタッチ操作によりランダム配色が設定され、或はカテゴリ設定部５８における「ビビッド」「ソフト」「グラデーション」のキー５８ｂ〜５８ｄのうちの何れかのキーのタッチ操作によりカテゴリが設定される。
これにより、ステップＢ２で単なるランダム配色でないと判断され（ＮＯ）、且つステップＢ３でビビッドのカテゴリを設定したと判断されると（ＹＥＳ）、色情報に係る閾値がＳVに設定される（ステップＢ４）。また、ステップＢ２、Ｂ３で何れもＮＯと判断され、且つステップＢ５でソフトのカテゴリを設定したと判断されると、色情報に係る下限及び上限の閾値がＳS1及びＳS2に設定される。
【００５１】
前記ステップＢ２、Ｂ３、Ｂ５で何れもＮＯと判断された場合、ステップＢ７でグラデーションのカテゴリを設定したと判断される。この場合、制御装置２１は、パレット判定用フラグのセット状態に基づいて、例えば、第１カラーパレット５３が選定されていると判断した場合、そのパレットにおける色の数に対応する１〜６４までの乱数を発生させる。次いで、発生した乱数と一致する第１パレットテーブルの１〜６４のパレット別色番号を照合し、当該パレット別色番号に対応するＲＧＢ値を抽出してＲＡＭ２４に記憶する（ステップＢ８）。また、制御装置２１は、抽出したＲＧＢ値に基づいてＨＳＶ値を演算し、その色相値Ｈを中心値とする範囲（閾値ＨG1、ＨG2）を設定する（ステップＢ９、Ｂ１０）。
【００５２】
その後、ステップＢ１１では、例えば、配色に用いるパレットとして上記の第１カラーパレット５３が設定されている場合、第１パレットテーブルのパレット別色番号１に対応するＲＧＢ値が読み出される。ここで、ステップＢ１２において、前記閾値ＳV、ＳS1、ＳS2、ＨG1、ＨG2の何れも設定されていないと判断された場合（ＮＯ）、パレット別色番号１のＲＧＢ値がそのままＲＡＭ２４の色情報記憶領域２４６に記憶される。パレット別色番号２の色についても（ステップＢ１４にてＮＯ、Ｂ１５）、パレット別色番号１と同様にＲＧＢ値が読み出されて色情報記憶領域２４６に記憶される（ステップＢ１１、Ｂ１２、Ｂ１３）。こうして、カテゴリが設定されていない場合には、第１カラーパレット５３内の６４色分、ステップＢ１１〜Ｂ１５が繰り返し実行されることで第１パレットテーブルがそのまま色情報記憶領域２４６に保持されて、後述する図１２のステップＡ６にリターンする（ステップＢ１４にてＹＥＳ）。
【００５３】
制御装置２１は、前記ステップＢ１２で閾値の設定が有ると判断し（ＹＥＳ）、且つステップＢ１６で「ビビッド」或は「ソフト」に設定されていると判断した場合（ＹＥＳ）、パレット別色番号１のＲＧＢ値に基づいて彩度値Ｓを演算する（ステップＢ１７）。そして、彩度値Ｓが閾値ＳVより高いか、或は閾値がＳS1〜ＳS2の範囲内か否かが判断される。ここで、パレット別色番号１の色について、彩度値Ｓが閾値ＳVより高いか或は閾値がＳS1〜ＳS2の範囲内で、且つ前記非抽出設定がなされていない場合（ステップＢ１８にてＹＥＳ）、「ビビッド」或は「ソフト」のカテゴリに属する色として色情報記憶領域２４６に記憶される。
【００５４】
これに対し、前記ステップＢ１８にてＮＯと判断された場合でも、パレット別色番号１の色について前記抽出設定がなされた色に該当すれば（ステップＢ１９にてＹＥＳ）、その色を色情報記憶領域２４６に記憶する。パレット別色番号２の色についても（ステップＢ１４にてＮＯ、Ｂ１５）、パレット別色番号１と同様に、読み出したＲＧＢ値に基づき彩度値Ｓが演算される（ステップＢ１６、Ｂ１７）。そして、パレット別色番号２の色について、彩度値Ｓと閾値ＳV或はＳS1〜ＳS2とを比較すると共に、前記抽出設定或は非抽出設定の有無に基づいて、色情報記憶領域２４６への保存の有無が判断される（ステップＢ１８、Ｂ１９）。こうして、「ビビッド」或は「ソフト」のカテゴリが設定されている場合、第１カラーパレット５３内の６４色分について、ステップＢ１１、Ｂ１２、Ｂ１６、Ｂ１７、Ｂ１８、Ｂ１３（或はＢ１９）、Ｂ１４、Ｂ１５が繰り返し実行される。これにより、第１パレットテーブルは、「ビビッド」或は「ソフト」のカテゴリに属し且つユーザの設定の有無に応じた色に選定（更新）され、その更新後の内容で色情報記憶領域２４６に記憶される。
【００５５】
一方、制御装置２１は、前記ステップＢ１２で閾値の設定が有ると判断し（ＹＥＳ）且つステップＢ１６で「ビビッド」或は「ソフト」に設定されていないと判断した場合（ＮＯ）、「グラデーション」の設定であると判断する（ステップＢ２０）。この場合、パレット別色番号１のＲＧＢ値に基づいて色相値Ｈを演算し（ステップＢ２１）、色相値Ｈが閾値ＨG1〜ＨG2の範囲内にあるか否かを判断する。ここで、パレット別色番号１の色について、色相値Ｈが閾値ＨG1〜ＨG2の範囲内にあると判断した場合（ステップＢ２２にてＹＥＳ）、「グラデーション」のカテゴリに属する色として色情報記憶領域２４６に記憶される。
【００５６】
これに対し、ステップＢ２２にて閾値ＨG1〜ＨG2の範囲外にあると判断された場合（ＮＯ）、パレット別色番号１の色について色情報記憶領域２４６に記憶することなく、ステップＢ１４に移行する。パレット別色番号２の色についても（ステップＢ１４にてＮＯ、Ｂ１５）、パレット別色番号１と同様に、読み出したＲＧＢ値に基づき色相値Ｈが演算される（ステップＢ２０、Ｂ２１）。そして、パレット別色番号２の色について、色相値Ｈが閾値ＨG1〜ＨG2の範囲内にあるか否かが判断されることで色情報記憶領域２４６への保存の有無が判断される（ステップＢ２２）。こうして、「グラデーション」のカテゴリが設定されている場合、第１カラーパレット５３内の６４色分について、ステップＢ１１、Ｂ１２、Ｂ１６、Ｂ２０、Ｂ２１、Ｂ２２、Ｂ１３、Ｂ１４、Ｂ１５が繰り返し実行される。これにより、第１パレットテーブルは、「グラデーション」のカテゴリに属する色に選定（更新）され、その更新後の内容で色情報記憶領域２４６に記憶される。
【００５７】
そして、第１カラーパレット５３内の６４色分の全てについて選定を終えると（ステップＢ１４にてＮＯ）、図１２のステップＡ６にリターンする。尚、ステップＢ１〜Ｂ２２では、配色に用いるパレットとして第２カラーパレット５６ａが設定されている場合、第１カラーパレット５３と同様の処理が行われる。以下では、第１カラーパレット５３（或は第２カラーパレット５６ａ）において、カテゴリ別の選定処理後、つまりステップＢ１４後の第１或は第２パレットテーブルの色の総数をｐとして説明する。
ステップＡ６では、選択した刺繍模様について、上記した各種の設定や指定に基づきランダム配色処理が行われる（図１５参照）。ランダム配色処理では、先ずステップＣ１において、色数設定部５７で設定した配色の数（設定配色数ｘ）と、選択した刺繍模様における色別模様部の総数ｎとに基づいて、当該刺繍模様の配色の組合わせ数Ａが算出される。
【００５８】
本実施形態では、例えば、サムネイル表示画面１０３に互いに配色の異なる６個の刺繍模様を表示するため、その表示に必要な組合わせ数Ａは、重複を持たない組合わせになるようコンビネーションを用いて算出する。従って例えば、配色設定数ｘが１、色別模様部の総数ｎが１の場合、組合わせ数Ａは、pＣ1通りとなる。このように、刺繍模様の配色の組合わせ数Ａは、前記カラーパレット５３，５６ａにおける色の総数ｐと比例関係にあり、当該総数ｐが２以上で且つ前記配色設定数ｘが３以上の場合には、６以上になる。この場合、ステップＣ２にてＮＯと判断され、６個の刺繍データが作成されるように設定される（ステップＣ３）。また、前記ステップＣ１で算出された組合わせ数Ａが、６に満たない場合には（ステップＣ２にてＹＥＳ）、その数の刺繍データが作成されることとなる。
【００５９】
ステップＣ４では、配色設定数ｘについて、色を変更したくない色別模様部の数（ステップＡ１で指定した色別模様部の数）を差し引くことで、１つの刺繍模様で抽出する色の種類数ｘ´を算出する。そして、制御装置２１は、色情報記憶領域２４６における第１或は第２パレットテーブルの色の総数ｐの範囲で乱数を発生させる。例えば、配色に用いるパレットとして第１カラーパレット５３が設定され且つカテゴリの指定が無い場合、１〜６４までの乱数を発生させる（ステップＣ５）。続いて、制御装置２１は、取得した乱数と、パレット判定用フラグのセット状態とに基づいてランダムに色を抽出する（ステップＣ６〜Ｃ９）。詳細には、パレット判定用フラグのセット状態に基づき、第１カラーパレット５３が選定されていると判断した場合（Ｃ７にてＹＥＳ）、発生した乱数と一致する第１パレットテーブルの１〜６４のパレット別色番号を照合する。そして、該当するパレット別色番号に対応する色（ＲＧＢ値）を抽出し（ステップＣ８）、前記ステップＡ１で指定した色と重複しない場合には（ステップＣ１０にてＹＥＳ）、ＲＡＭ２４の抽出データ記憶領域２４９に記憶する（ステップＣ１１）。
【００６０】
このように、抽出した色が抽出データ記憶領域２４９に記憶されると、その都度、色の種類数ｘ´をｘ´＝ｘ´−１に更新する（ステップＣ１２）。また、２色目以降の抽出についても（ステップＣ１３にてＹＥＳ）、ステップＣ５〜Ｃ１０が実行され、既に抽出した色或は前記ステップＡ１で指定した色と重複しない場合には（ステップＣ１０にてＹＥＳ）、１色目と同様に色の記憶とｘ´の減算が行われる。こうして、減算された色の種類数ｘ´が「０以下（ステップＣ１３にてＮＯ）」と判断されるまで、ステップＣ５〜Ｃ１３が繰り返し実行される。これにより、抽出データ記憶領域２４９には、１つの刺繍模様で用いる色、つまりステップＡ１で指定した色とステップＣ５〜Ｃ１３で抽出した色とが重複することなく記憶される。
【００６１】
次いで、色別模様部の総数ｎと配色設定数ｘとの差である不足数Ｔを算出し（ステップＣ１４）、不足数Ｔが生じる場合には（Ｃ１５にてＮＯ）、追加選択処理（ステップＣ１６）に移行する。
即ち、図１６に示すように、追加選択処理におけるステップＤ１では、配色処理の前提として色別模様部ｎの数ｎと抽出データ記憶領域２４９の色の数とを同数にすべく、抽出データ記憶領域２４９の中から色を選択する。選択した色は当該抽出データ記憶領域２４９に追加的に記憶すると共に（ステップＤ２）、不足数ＴをＴ＝Ｔ−１に更新する（ステップＤ３）。こうして、不足数Ｔが無くなる（ステップＤ４にてＮＯ）と判断されるまで、ステップＤ１〜Ｄ４が繰り返し実行される。これにより、抽出データ記憶領域２４９には、色別模様部の総数ｎと同じ数の色が記憶される。
【００６２】
抽出データ記憶領域２４９の色の数と色別模様部の総数ｎとが一致する場合（ステップＤ４にてＮＯ、或はステップＣ１５にてＹＥＳ）、配色処理に移行する（ステップＣ１７）。
図１７に示すように、配色処理では、色別模様部の糸色データ毎に、ユーザによる色の指定（ステップＡ１での指定）の有無が判断される（ステップＥ１）。ここで、各糸色データについて、ユーザの指定が有る場合には、該当する色が割り当てられ（ステップＥ２）、ユーザの指定がない場合には、ランダムに抽出した色が割り当てられる（ステップＥ３）。この割り当てに際し、予め抽出データ記憶領域２４９に記憶された色のシャッフルを行う。つまり、前記追加選択処理が行われると抽出データ記憶領域２４９に重複した色が記憶されるため、抽出データ記憶領域２４９における複数の色をばらす並び替えを実行する。こうして、色別模様部の個数ｎ分、ステップＥ１〜Ｅ４が繰り返し実行され、配色が完了すると、図１５のステップＣ１８にリターンする。
【００６３】
こうして、１つ目の刺繍模様の配色を終えると、その糸色データの全部をＲＡＭ２４に記憶する（ステップ１８にてＹＥＳ、ステップＣ１９）。そして、前記組合わせ数ＡをＡ＝Ａ−１に更新し（ステップＣ２０）、ステップＣ４にリターンする（ステップＣ２１にてＹＥＳ）。また、２つ目以降の刺繍模様の配色についてもステップＣ４〜Ｃ１８が実行され、既に作成した刺繍模様の配色と異なる場合には（ステップＣ１８にてＹＥＳ）、１つ目と同様に糸色データの記憶とＡの減算が行われる（ステップＣ１９，Ｃ２０）。こうして、Ａが「０以下（ステップＣ２１にてＮＯ）」と判断されるまでステップＣ４〜Ｃ２１が繰り返し実行されることで、配色の異なるＡ個の刺繍模様の組合わせが作成される。この後、図１２のステップＡ７にリターンする。
【００６４】
ステップＡ７では、サムネイル表示画面１０３に配色の異なるＡ個（図９では６個）の刺繍模様について、夫々の画像を縮小したサムネイル画像を表示する。ここで、例えば図９で右上の刺繍模様のサムネイル画像６１ａがタッチ操作されると図１０に示す拡大表示画面１０４へ遷移する（ステップＡ９）。拡大表示画面１０４では、選択されたサムネイル画像を拡大した刺繍模様が表示される。この後、セットキー６７がタッチ操作されると、前記プレビュー画像の刺繍模様として、拡大画像領域６５の刺繍模様を表示したメニュー画面１００に戻る（エンド）。
前記サムネイル表示画面１０３において、リターンキー６２がタッチ操作されると（ステップＡ１０にてＹＥＳ）、ステップＡ５へ移行して色調設定画面１０２が表示されることから、各種の設定処理からやり直し、再度ランダム配色処理を行うことができる。また、リフレッシュキー６４がタッチ操作されると（ステップＡ１１にてＹＥＳ）、ステップＡ６へ移行して再びランダム配色処理が実行される。これにより、糸色データに対して新たに抽出された色が割り当てられ、現在表示されている６個の刺繍模様に代えて新たな６個の刺繍模様が表示される。
【００６５】
一方、サムネイル表示画面１０３において、セーブキー６３がタッチ操作されると（ステップＡ１２にてＹＥＳ）、セーブモードに移行する（ステップＡ１３）。セーブモードでは、何れかのサムネイル画像６１ａ（複数のサムネイル画像でもよい）をタッチ操作により選択すると、当該刺繍模様の刺繍データがＥＥＰＲＯＭ２５に記憶される（ステップＡ１４）。
上記したステップＣ４〜Ｃ１６の実行に係る制御装置２１は、前記糸色データとして用いる色をランダムに抽出する抽出手段に相当する。前記ステップＣ１７〜Ｃ２１の実行に係る制御装置２１は、抽出された色を割り当てる割当手段に相当する。
【００６６】
以上のように本実施形態の刺繍データ作成装置３０は、各色情報の中から糸色データとして用いる色を抽出手段によりランダムに抽出して、当該糸色データに抽出した色を割当手段により割り当てる。これにより、刺繍模様について、色別模様部の糸色データに対し抽出手段により抽出された色を割り当ててランダムな配色を行うことができる。このため、糸色データの確認や指定といった面倒な作業を省略して、刺繍模様の配色を簡単に行うことができる。また、刺繍模様について、偶然性や意外性のある配色が可能となり、規定の配色にとらわれない多様な配色パターンを得ることができる。
【００６７】
前記抽出手段は、各色情報の中から糸色データとして用いる「複数」の色をランダムに抽出する。よって、当該「複数」の色をランダムに抽出した後、その複数の色についてランダムに割り当てることも可能となる（ステップＥ３参照）。つまり、ランダムの効果をより高めることができる。
前記ステップＢ１の実行に係る制御装置２１とタッチパネル９ａは、抽出する色の数を設定する色数設定手段に相当する。この色数設定手段によれば、刺繍模様における糸色の数をユーザの好みや感性に応じて設定することができる。
【００６８】
前記ステップＢ１〜Ｂ１５の実行に係る制御装置２１とタッチパネル９ａは、各色情報を複数のカテゴリに分類する分類手段、並びに何れか１つのカテゴリを選択するカテゴリ選択手段に相当する。このカテゴリ選択手段により、刺繍模様の糸色について、ユーザの所望するカテゴリを選択することができる。従って、刺繍模様についてランダムな配色としながらも、ユーザの好みや感性に応じたカテゴリ内の色を用いて、簡単に刺繍データを作成することができる。
前記カテゴリに分類された色情報は、ユーザにより変更可能に設定される。このため、当該カテゴリの色情報について、ユーザの好みの色を加えたり、ユーザの所有する糸駒の色に変更したりする等、所望の色を用いた刺繍データを作成することができる。
【００６９】
ディスプレイ９において、刺繍模様が各色別模様部の糸色データに割り当てられた色で表示される。従って、作成した刺繍データについて、色別模様部の色を視覚的に容易に把握することができる。
ディスプレイ９のサムネイル表示画面１０３に、ランダムに配色された色の組合わせが異なる刺繍模様の候補を複数提示させ、その候補の中から所望の刺繍データを選んでＥＥＰＲＯＭ２５に記憶させることができる。従って、ユーザの使い勝手をよくすることができると共に、ユーザの好みや感性に応じた配色の刺繍データを容易に得ることができる。
【００７０】
前記ステップＡ６、Ａ１１の実行に係る制御装置２１とタッチパネル９ａは、ユーザの指示に基づいて、色の抽出と割り当てとを再び実行する再配色指示手段に相当する。再配色指示手段によって、糸色データに係る抽出と割り当てとを繰り返し実行することができる。従って、サムネイル表示画面１０３に表示される刺繍模様について、ユーザが気に入るまで再配色指示手段により新たな配色の刺繍データを作成することができる。
前記ステップＡ１の実行に係る制御装置２１とタッチパネル９ａは、ユーザの所望する色別模様部について糸色データの色を指定する指定手段に相当する。指定手段によってユーザの所望する色別模様部の色を指定することができる一方、他の色別模様部についてランダムな配色を行うことができる。従って、刺繍模様にユーザの所望する色を採り入れつつ簡単に刺繍データを作成することができる。
【００７１】
予めユーザにより選択された複数の色を記憶したＥＥＰＲＯＭ２５の中から、糸色データとして用いる複数の色がランダムに抽出される。従って、ＥＥＰＲＯＭ２５に、予めユーザの好みの色や、ユーザの所有する糸駒の色を設定しておくことで、所望の刺繍データを作成することができる。
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。刺繍データ作成装置はミシンＭに備えられる構成に限定するものではなく、所謂パーソナルコンピュータである装置本体（専用機でもよい）と、この装置本体に接続されるマウス、キーボード、メモリカードコネクタ、ディスプレイ等から構成してもよい。
【００７２】
第１記憶手段〜第３記憶手段は、ＲＡＭ２４やＥＥＰＲＯＭ２５に限定されるものではなく、ミシン或は刺繍データ作成装置に内蔵される他の内部記憶手段や、ミシン或は刺繍データ作成装置に着脱可能に装着される外部記憶手段でもよい。本実施形態と異なり、ミシンと刺繍データ作成装置とが別体で構成される場合、ミシンと刺繍データ作成装置とを有線又は無線で接続し、データを送受信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【００７３】
Ｍ ミシン
９ ディスプレイ（表示手段）
９ａ タッチパネル（色数設定手段、分類手段、カテゴリ選択手段、再配色指示手段、指定手段）
２１ 制御装置（抽出手段、割当手段、色数設定手段、分類手段、カテゴリ選択手段、再配色指示手段、指定手段、表示手段）
２４ 第１記憶手段
２５ 第２記憶手段、第３記憶手段
３０ 刺繍データ作成装置
３４ 駆動回路（表示手段）
【技術分野】
【０００１】
本発明は、複数の色別模様部からなる刺繍模様をミシンにより縫製するための刺繍データを作成する刺繍データ作成装置、刺繍データ処理プログラム及びミシンに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来より、刺繍データに基づいて刺繍模様を縫製するミシンがある。このようなミシンでは、ミシンに内蔵された記憶装置、或はＲＯＭカードやフレキシブルディスク等の外部の記憶装置に、複数の刺繍模様が記憶されている。ユーザは、複数の刺繍模様の中から、所望の刺繍模様を選択する。そして、ミシンは、選択された刺繍模様の刺繍データを読み込んで、加工布を保持した刺繍枠を移送機構により移送させながら、加工布に刺繍模様を刺繍する。
【０００３】
ところで、複数の色別模様部からなる刺繍模様の刺繍データは、色別模様部の色を特定する糸色データを含んでおり、各色別模様部は、糸色データとして予め設定された色（糸色）で縫製される。このため、各色別模様部の色が加工布（生地）の色と類似していると、当該色別模様部と生地の区別が分かり難いという問題が発生する。具体的には、「花」の刺繍模様を、花びらの色別模様部の色と同色の生地に縫製した場合、花びらと生地の区別が分かり難くなり、花びらが無い奇妙な刺繍模様であると見間違う虞がある。
そこで、刺繍データ作成装置には、予め好ましい色の組合せを示す配色データを記憶させておき、当該配色データと生地の色等を示す生地データとに基づいて、色別模様部の糸色データの色を設定するようにしたものがある（例えば特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開平１１−５７２６２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
特許文献１の刺繍データ作成装置では、生地の色と配色データに基づき、刺繍模様の色別模様部の色が一義的に決定される。しかし、ユーザとしては、色別模様部の色が生地の色で制約されるのではなく、色別模様部の夫々について「規定の色」ではない好みの色や或いは奇抜な色で縫製したい場合もある。しかしながら、このような刺繍模様の色の指定を行うには、色別模様部のデータを１つ１つ読み出して該当する糸色データの確認や指定を行わなければならず、手間がかかり面倒である。
【０００６】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、刺繍模様の配色を簡単に行え且つ多様な配色パターンを得ることができる刺繍データ作成装置、刺繍データ処理プログラム及びミシンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記した目的を達成するために、本発明の請求項１の刺繍データ作成装置は、複数の色別模様部からなる刺繍模様をミシンにより縫製するための刺繍データを作成するものであり、前記刺繍データは、前記色別模様部の色を特定する糸色データを含み、予め定義されている複数の色情報を記憶する第１記憶手段と、前記第１記憶手段に記憶されている各色情報の中から前記糸色データとして用いる色をランダムに抽出する抽出手段と、前記色別模様部の前記糸色データ毎に前記抽出手段により抽出された色を割り当てる割当手段と、を備えることを特徴とする。
【０００８】
上記刺繍データ作成装置によれば、刺繍模様について、色別模様部の糸色データに対し抽出手段により抽出された色を割り当ててランダムな配色を行うことができる。このため、糸色データの確認や指定といった面倒な作業を省略して、刺繍模様の配色を簡単に行うことができる。刺繍模様について、偶然性や意外性のある配色が可能となり、規定の配色にとらわれない多様な配色パターンを得ることができる。
【０００９】
請求項２の刺繍データ作成装置では、請求項１の発明において、前記抽出手段は、前記第１記憶手段に記憶されている各色情報の中から前記糸色データとして用いる複数の色をランダムに抽出し、前記割当手段は、前記複数の色別模様部の前記糸色データに対して前記抽出手段により抽出された複数の色を割り当ててランダムな配色を行うことを特徴とする。
請求項３の刺繍データ作成装置では、請求項１または２の発明において、前記抽出手段により抽出する色の数を設定する色数設定手段を備え、前記抽出手段は、相互に異なる色を前記色数設定手段により設定された数の分だけ抽出し、前記割当手段は、前記抽出手段により抽出された数の色を用いて前記色別模様部毎に割り当てることを特徴とする。
【００１０】
請求項４の刺繍データ作成装置では、請求項１から３までの何れかの発明において、前記第１記憶手段に記憶されている各色情報を複数のカテゴリに分類する分類手段と、前記複数のカテゴリのうち何れか１つのカテゴリを選択するカテゴリ選択手段とを備え、前記抽出手段は、前記カテゴリ選択手段で選択されたカテゴリに属する色の中から前記糸色データとして用いる複数の色をランダムに抽出することを特徴とする。
【００１１】
請求項５の刺繍データ作成装置では、請求項４の発明において、前記カテゴリに分類された前記色情報は、ユーザにより変更可能に設定されることを特徴とする。
請求項６の刺繍データ作成装置では、請求項１から５までの何れかの発明において、前記刺繍模様を各色別模様部の前記糸色データに割り当てられた色で表示する表示手段を備えることを特徴とする。
【００１２】
請求項７の刺繍データ作成装置では、請求項６の発明において、前記刺繍データ作成装置により作成された刺繍データを記憶するための第２記憶手段を備え、前記表示手段は、その表示画面に色の組合わせが異なる複数の前記刺繍模様を表示し、前記表示画面に表示された複数の前記刺繍模様の中から、所望の刺繍模様の刺繍データを前記第２記憶手段に記憶させるように構成したことを特徴とする。
請求項８の刺繍データ作成装置では、請求項６または７の発明において、前記表示手段に前記刺繍模様が表示された後、ユーザの指示に基づいて、前記抽出手段による色の抽出と前記割当手段による色の割り当てとを再び実行する再配色指示手段を備え、前記表示手段は、前記再配色指示手段により新たな配色の刺繍データが作成された場合に、その刺繍模様を新たに割り当てられた色で表示することを特徴とする。
【００１３】
請求項９の刺繍データ作成装置では、請求項１から８までの何れかの発明において、 前記複数の色別模様部の中から、ユーザの所望する色別模様部について糸色データの色を指定する指定手段を備え、前記割当手段は、前記指定手段により指定された色別模様部以外の色別模様部の糸色データに対して前記抽出手段により抽出された色を割り当ててランダムな配色を行うことを特徴とする。
請求項１０の刺繍データ作成装置では、請求項１から９までの何れかの発明において、前記第１記憶手段の前記複数の色情報とは別に、当該色情報の中から予めユーザにより選択された複数の色を記憶させる第３記憶手段を備え、前記抽出手段は、前記第３記憶手の中から前記糸色データとして用いる複数の色をランダムに抽出することを特徴とする。
【００１４】
請求項１１の刺繍データ処理プログラムは、請求項１から１０までの何れかに記載の刺繍データ作成装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させるためものである。よって、上記した請求項１から１０までの発明と同様の効果を奏する。
請求項１２のミシンは、請求項１から１０までの何れかに記載の刺繍データ作成装置を備えたものである。よって、上記した請求項１から１０までの発明と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【００１５】
請求項１の刺繍データ作成装置によれば、刺繍模様について、色別模様部の糸色データに対し抽出手段により抽出された色を割り当ててランダムな配色を行うことができる。このため、糸色データの確認や指定といった面倒な作業を省略して、刺繍模様の配色を簡単に行うことができる。刺繍模様について、偶然性や意外性のある配色が可能となり、規定の配色にとらわれない多様な配色パターンを得ることができる。
【００１６】
請求項２の刺繍データ作成装置によれば、請求項１の発明の効果に加え、抽出手段により「複数」の色をランダムに抽出した後、その複数の色についてランダムに割り当てることも可能となる。つまり、ランダムの効果をより高めることができる。
請求項３の刺繍データ作成装置によれば、請求項１または２の発明の効果に加え、色数設定手段によって、刺繍模様における糸色の数をユーザの好みや感性に応じて設定することができる。
【００１７】
請求項４の刺繍データ作成装置によれば、請求項１から３までの何れかの発明の効果に加え、刺繍模様の糸色について、カテゴリ選択手段によりユーザの所望するカテゴリを選択することができる。従って、刺繍模様についてランダムな配色としながらも、ユーザの好みや感性に応じたカテゴリ内の色を用いて、簡単に刺繍データを作成することができる。
請求項５の刺繍データ作成装置は、請求項４の発明の効果に加え、カテゴリに分類された色情報は、ユーザにより変更可能に設定される。このため、当該カテゴリの色情報について、ユーザの好みの色を加えたり、ユーザの所有する糸駒の色に変更したりする等、所望の色を用いた刺繍データを作成することができる。
【００１８】
請求項６の刺繍データ作成装置によれば、請求項１から５までの何れかの発明の効果に加え、表示手段によって、刺繍模様が各色別模様部の糸色データに割り当てられた色で表示される。従って、作成した刺繍データについて、色別模様部の色を視覚的に容易に把握することができる。
請求項７の刺繍データ作成装置によれば、請求項６の発明の効果に加え、表示手段の表示画面に、ランダムに配色された色の組合わせが異なる刺繍模様の候補を複数提示させ、その候補の中から所望の刺繍データを選んで第２記憶手段に記憶させることができる。従って、ユーザの使い勝手をよくすることができると共に、ユーザの好みや感性に応じた配色の刺繍データを容易に得ることができる。
【００１９】
請求項８の刺繍データ作成装置によれば、請求項６または７の発明の効果に加え、再配色指示手段によって、糸色データに係る抽出と割り当てとを繰り返し実行することができる。従って、前記表示画面に表示される刺繍模様について、ユーザが気に入るまで再配色指示手段により新たな配色の刺繍データを作成することができる。
【００２０】
請求項９の刺繍データ作成装置によれば、請求項１から８までの何れかの発明の効果に加え、指定手段によってユーザの所望する色別模様部の色を指定することができる一方、他の色別模様部についてランダムな配色を行うことができる。従って、刺繍模様にユーザの所望する色を採り入れつつ簡単に刺繍データを作成することができる。
請求項１０の刺繍データ作成装置によれば、請求項１から９までの何れかの発明の効果に加え、予めユーザにより選択された複数の色を記憶した第３記憶手段の中から、糸色データとして用いる複数の色がランダムに抽出される。従って、第３記憶手段に、予めユーザの好みの色や、ユーザの所有する糸駒の色を設定しておくことで、所望の刺繍データを作成することができる。
【００２１】
請求項１１の刺繍データ処理プログラムは、請求項１から１０までの何れかに記載の刺繍データ作成装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させるためものである。よって、上記した請求項１から１０までの発明と同様の効果を奏する。
請求項１２のミシンは、請求項１から１０までの何れかに記載の刺繍データ作成装置を備えたものである。よって、上記した請求項１から１０までの発明と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【００２２】
【図１】本発明の一実施形態を示すミシンの外観斜視図
【図２】電気的構成を示すブロック図
【図３】ミシンのＲＡＭの記憶領域を説明するための概念図
【図４】刺繍データの一例を示す図
【図５】刺繍データの作成時におけるメニュー画面の一例を示す図
【図６】第１色替画面の一例を示す図
【図７】第２色替画面の一例を示す図
【図８】色調設定画面の一例を示す図
【図９】サムネイル表示画面の一例を示す図
【図１０】拡大表示画面の一例を示す図
【図１１】（ａ）はパレットに色を設定する前のパレット設定画面、（ｂ）はパレット選択画面、（ｃ）は色を設定した後のパレット設定画面の夫々の例を示す図
【図１２】刺繍データ作成処理における糸色データの設定に係るフローチャート
【図１３】カテゴリ毎の抽出処理に係るフローチャート（その１）
【図１４】カテゴリ毎の抽出処理に係るフローチャート（その２）
【図１５】色の抽出及び割り当て処理に係るフローチャート
【図１６】追加選択処理に係るフローチャート
【図１７】刺繍模様毎の配色処理に係るフローチャート
【発明を実施するための形態】
【００２３】
以下、本発明を家庭用ミシン（以下、ミシンＭと称す）に適用した一実施形態について、図１〜図１７を参照しながら説明する。
図１において、ミシンＭは、左右方向に延びるベッド部１と、ベッド部１の右端部から上方に立上がる脚柱部２と、脚柱部２の上部からに左方に延びるアーム部３とを一体に備えて構成されている。アーム部３内には、ミシン主軸（図示略）が左右方向に延びるように設けられていると共に、前記ミシン主軸を回転させるミシンモータ４（図２参照）が配設されている。尚、ミシンＭに対して使用者（ユーザ）が位置する方向を前方、その反対方向を後方とする。また、脚柱部２が位置する側を右側とし、その反対側を左側とする。
【００２４】
アーム部３の先端部には、縫針５を装着した針棒５ａと、押え足６を備えた押え棒（図示略）とが設けられている。また、図示は省略するが、アーム部３内には、前記針棒をミシン主軸の回転に基づき上下動させる針棒駆動機構、針棒を布送り方向と直交する方向（左右方向）に揺動させる針棒揺動機構、天秤を針棒の上下動に同期して上下動させる天秤駆動機構、前記押え棒を上下動させる押え棒駆動機構等が配設されている。
アーム部３には、上面側を開閉するカバー３ａが開閉可能に設けられている。カバー３ａを開けた状態におけるアーム部３の手前側の中央部には、糸駒１０を収容するための収容部１０ａが設けられている。糸駒１０から延びる上糸は、前記天秤等を含む糸供給経路を経由して縫針５に供給される。
【００２５】
アーム部３の前面側には、縫製作業の起動と停止を指令する起動停止スイッチ８ａ等の各種のスイッチ類が設けられると共に、縫製速度（ミシン主軸の回転速度）を設定するための速度調節ツマミ８ｂが設けられている。
脚柱部２の前面には、大型で縦長形状をなしフルカラー表示が可能なディスプレイ９が設けられている。ディスプレイ９は、例えば液晶カラーディスプレイから構成されている。ディスプレイ９には、実用模様や刺繍模様等の種々の縫製模様、縫製作業に必要な各種の機能を実行させる機能名の他、後述する刺繍模様の色を設定するための設定画面等が表示される（図５参照）。また、ディスプレイ９の前面には、透明電極からなる複数のタッチキーを有するタッチパネル９ａ（図２参照）が設けられており、このタッチキーがユーザの指又はタッチペン（図示略）で押圧操作されることで、前記の縫製模様の選択、各種機能の指示、各種のパラメータ等の設定が可能になっている。
脚柱部２の右側面には、各種の刺繍模様の刺繍データ等が記憶されているメモリカード１１（図２にのみ図示）が挿入されるカードスロット１２が設けられている。
【００２６】
ベッド部１の上面には、図示しない針板が設けられている。また、いずれも図示は省略するが、ベッド部１内には、前記針板の下側に位置して、送り歯を上下方向や前後方向に移動させる布送り機構、下糸ボビンを収容し縫針５と協働して縫目を形成する水平回転釜、上糸と下糸を切断する糸切り機構等が配設されている。
ベッド部１の左側部分には、刺繍枠移送機構部１３が取外し可能に装着される。刺繍枠移送機構部１３は、ベッド部１の上面と同じ高さになる本体部１４と、本体部１４の上面部に左右方向に移動可能に設けられた可動部１５とを備えている。可動部１５には、縫製対象たる加工布ＣＬを保持する刺繍枠１６を着脱可能に連結するためのキャリッジ１７が前後方向に移動可能に設けられている。刺繍枠移送機構部１３には、キャリッジ１７を可動部１５ごと左右方向に駆動させるＸ方向移送機構（図示略）と、キャリッジ１７を前後方向に移動させるＹ方向移送機構（図示略）とが設けられている。刺繍枠１６は、前記刺繍模様の刺繍データに基づいて、Ｘ方向移送機構及びＹ方向移送機構の夫々の駆動モータ（後述するＸ軸モータ１８及びＹ軸モータ１９、図２参照）の駆動により、左右方向たるＸ方向、或は前後方向たるＹ方向へ移動される。
【００２７】
続いて、ミシンＭの制御系の構成について、図２のブロック図を参照しながら説明する。
制御装置２１は、マイクロコンピュータを主体に構成されており、内部にＣＰＵ２２、ＲＯＭ２３、ＲＡＭ２４、ＥＥＰＲＯＭ２５、カードスロット１２、入出力インターフェース２７ａ，２７ｂ（Ｉ／Ｏ）、それらを結ぶバス２８等を有する。入力インターフェース２７ａには、起動停止スイッチ８ａ、タッチパネル９ａが接続され、出力インターフェース２７ｂには、ミシンモータ４、Ｘ軸モータ１８、Ｙ軸モータ１９、ディスプレイ９を夫々駆動する駆動回路３１，３２，３３，３４が接続されている。制御装置２１、ディスプレイ９及び駆動回路３４は、表示手段に相当する。また、制御装置２１、タッチパネル９ａ、ディスプレイ９、駆動回路３４等から、刺繍データ作成装置３０が構成される。
【００２８】
ＲＯＭ２３は、刺繍データや、縫製制御プログラム、刺繍に用いられる複数種の糸に関する全ての情報であって後述の糸の色情報や品番等を含む全糸情報テーブル、ディスプレイ９の液晶ディスプレイを制御する表示制御プログラムを記憶している。また、ＲＯＭ２３には、刺繍データを作成するための各種処理手段としてコンピュータを機能させるための刺繍データ処理プログラムが記憶されている。尚、これら各種のプログラムやデータは、ＥＥＰＲＯＭ２５等を含む他の内部記憶手段や、メモリカード１１等の外部記憶手段に記憶されてもよい。例えば刺繍データ処理プログラムが外部記憶手段に記憶されている場合、制御装置２１は、当該プログラムをＲＡＭ２４上に読み込んで実行する。
【００２９】
ＲＡＭ２４は第１記憶手段として、上記のプログラムやデータ、タッチパネル９ａの操作等で入力された各種の設定値、制御装置２１で演算された演算結果等を一時的に記憶するための記憶領域を有する。詳細には、図３に示すように、ＲＡＭ２４には、プログラム記憶領域２４１，設定記憶領域２４２，刺繍データ記憶領域２４３，フラグ記憶領域２４４，縫製条件記憶領域２４５，色情報記憶領域２４６，画像表示データ記憶領域２４７，作業領域２４８、抽出データ記憶領域２４９等、複数の記憶領域が設けられている。プログラム記憶領域２４１は、ＲＯＭ２３等から読み出された各種のプログラムを記憶する。設定記憶領域２４２は、プログラムの実行の際に参照される設定値やテーブル等を記憶する。刺繍データ記憶領域２４３は、刺繍データ作成時の元（基準）となるデータを記憶する。フラグ記憶領域２４４は、プログラムの実行の際に使用される各種フラグを記憶する。縫製条件記憶領域２４５は、刺繍模様を縫製する際の各種縫製条件を記憶する。
色情報記憶領域２４６は、刺繍模様の配色に用いられるデータを記憶するための領域で、後述のパレットテーブルやパレット別色番号等を記憶する。また、抽出データ記憶領域２４９は、パレットテーブルからランダムに抽出した色を一次的に記憶する。尚、画像表示データ記憶領域２４７は、ディスプレイ９に表示する画面の画像データや表示設定を記憶し、作業領域２４８は、各種のプログラムの実行時に設定値等を予備的に記憶する。
【００３０】
前記刺繍模様の一例として、図１０に示すディスプレイ９の画面１０４に表示された「花」の刺繍模様４０を説明する。刺繍模様４０は、例えば複数個（ｎ個）の色別模様部である第１模様部４０１〜第ｎ模様部４０ｎからなる。具体的には例えば、花びらを構成する第１模様部４０１は紫の糸色で縫製され、葉を構成する第２模様部４０２はバラ色の糸色で縫製され、茎を構成する第３模様部４０３はマゼンタの糸色で縫製される。このように、模様部４０１〜４０ｎは、夫々に色が設定される色別模様部であるが、各模様部４０１〜４０ｎは相互に異なる色でなくてもよい。
【００３１】
刺繍データは、刺繍模様をミシンＭにより縫製するためのデータであり、複数個の色別模様部データからなる。例えば、図４に示すように、刺繍模様４０の刺繍データの場合には、模様部４０１〜４０ｎ毎に設定された複数の針落ち位置データと、当該模様部４０１〜４０ｎの縫製順序を特定するための縫製順序データ（模様１〜模様ｎ）と、糸色データを含む。糸色データは、色別模様部毎に色を特定するために付されるデータであり、後述の割当手段により各色情報の中から色が割り当てられる。
【００３２】
ここで、図４における一番上の縫製順序データ「模様１」は最初に縫製される順序を特定するもので、これに対応する「紫」は、実際には例えばＲＧＢ値で示される糸色データである。また、針落ち位置データ「Ｘａ０、Ｙａ０」…「ＸａＮ、ＹａＮ」は、紫の糸色に対応する縫針が順次針落ちする座標位置である。これと同様に、縫製順序が２番目以降の刺繍データについても、縫製順序データ「模様２」〜「模様ｎ」と、糸色データ「バラ色」〜「マゼンタ」と、針落ち位置データ「ＸｂＮ、ＹｂＮ」〜「ＸｎＮ、ＹｎＮ」とが夫々含まれる。また、刺繍データは、ディスプレイ９に表示する画像データ（例えばｂｍｐ等の画像データ）（図示略）を含み、刺繍模様の画像は各糸色データに割り当てられた色でディスプレイ９に表示される。
【００３３】
ＥＥＰＲＯＭ２５には、前記糸色データとして割り当てられる色情報が記憶されている。色情報は、例えば、ミシンＭにおいて使用可能な糸駒１０の糸色に関する情報であって、ＲＧＢ値で予め定義されている。具体的には、６４色分のＲＧＢ値と当該ＲＧＢ値に夫々対応付けられた１〜６４のパレット別色番号とからなる第１パレットテーブル（図６の第１カラーパレット５３参照）がＥＥＰＲＯＭ２５に記憶されている。また、第１パレットテーブルとは別に、前記色情報の中から予めユーザにより選択された複数の色が、第２パレットテーブル（図７の第２カラーパレット５６ａ参照）としてＥＥＰＲＯＭ２５に記憶されている。第２パレットテーブルは、例えば、最大で３００色分のＲＧＢ値、及び当該ＲＧＢ値に夫々対応付けられた１〜３００のパレット別色番号を、ユーザの好み等に応じて設定が可能なカスタムパレットテーブルである。
【００３４】
また、本実施形態では、ＲＧＢ値の他、当該ＲＧＢ値に対応するＨＳＶ空間における色相（Ｈｕｅ）、彩度（Ｓａｔｕｒａｔｉｏｎ）、明度（Ｖａｌｕｅ）により定義されるＨＳＶ値が用いられる。ＨＳＶ値は、制御装置２１によってＲＧＢ値に基づき公知の算出方法により演算される、色相値Ｈ、彩度値Ｓ、及び明度値Ｖで表される。この場合、色相とは赤、紫、青等の色の種類で、Ｈの値は例えば０〜３６０の範囲にある。彩度は色の鮮やかさで、Ｓの値は例えば０．０〜１．０の範囲にある。明度は色の明るさで、Ｖの値は例えば０．０〜１．０の範囲にある。
前記色情報は、複数のカテゴリ別へ分類することができる。カテゴリとして例えば「ビビッド」「ソフト」「グラデーション」（何れも図８参照）の分類基準が用意されている。これらカテゴリには、上記のＨＳＶ値で示される閾値が夫々設定され、各色情報は、当該カテゴリ毎に閾値で区分される。
【００３５】
即ち、「ビビッド」については、彩度値Ｓに係る閾値ＳVが設定されることで分類される色であって（図１３のステップＢ４参照）、各色情報のうち彩度値ＳがＳVよりも高い数値の色で構成されるカテゴリである。「ビビッド」のカテゴリに属する色は、何れもビビッドで鮮明な色調を有し、比較的彩度のレベルが高いものとされる。「ソフト」は、彩度値Ｓに係る閾値について下限及び上限がＳS1及びＳS2に設定されることで分類される色であって（図１３のステップＢ６参照）、各色情報のうち彩度値ＳがＳS1〜ＳS2の範囲の色で構成されるカテゴリである。「ソフト」のカテゴリに属する色は、何れも互いの彩度のレベルに大差が無く全体としてソフトな色合いを呈する。「グラデーション」は、各色情報のうちの１つの色の色相レベルを中心値とした所定の色相レベルの閾値ＨG1〜ＨG2で画されるカテゴリである（図１３のステップＢ１０参照）。このため、「グラデーション」のカテゴリに属する色は、ある１つの色、例えば紫に対して閾値ＨG1に相応する赤〜閾値ＨG2に相応する青の範囲内にある、カラーグラデーションを呈する。上記した各閾値ＳV、ＳS1、ＳS2、ＨG1、ＨG2は、例えばＥＥＰＲＯＭ２５に記憶されている。
【００３６】
そして、制御装置２１は乱数発生手段として、パレット別色番号の最大値を引数とする関数を用いて乱数を発生させる。換言すれば、制御装置２１は、パレットテーブルにおけるパレット別色番号の範囲（例えば１〜６４の範囲）で乱数を発生させる。制御装置２１は、発生した乱数と一致する第１パレットテーブルの１〜６４のパレット別色番号を照合し、当該パレット別色番号に対応するＲＧＢ値等を抽出する。これにより、図６に示す６４マス（６４色）の第１カラーパレット５３の中からランダムに色が抽出される。また、上記のカテゴリが選択された場合には、選択されたカテゴリに属する色の数の範囲内で乱数を発生させることで、その乱数を利用して当該カテゴリに属する色の中からランダムに色が抽出される。
【００３７】
次に、刺繍データの作成、特には糸色データの配色に際し、ディスプレイ９に表示される画面について図５〜図１１も参照しながら説明する。ここで、図５〜図１１は、ディスプレイ９における各表示画面１００〜１０４を説明するための図である。ここで、各表示画面１００〜１０４における刺繍模様の画像や第１及び第２カラーパレット５３，５６ａ等は、ディスプレイ９が液晶カラーディスプレイであることから、多数色を表示可能である。
図５は、刺繍データの作成時における配色を行う前のメニュー画面１００を例示している。メニュー画面１００には、プレビュー画像を表示するプレビュー画像領域５０、糸色データ指定領域５２、糸色設定キー５１ａを含む各種の入力キー５１等が設けられている。プレビュー画像は、ユーザにより選択された刺繍模様について該当する刺繍データにより刺繍を行った場合に、どのような刺繍結果となるのかを示す画像である。糸色設定キー５１ａに対応する前記タッチキーが押圧操作（以後、タッチ操作と称す）されることで、図６に示す第１色替画面１０１Ａに切り換わる。
【００３８】
第１色替画面１０１Ａには、プレビュー画像領域５０及び糸色データ指定領域５２の他、前記第１カラーパレット５３、複数のパレット選択キー５４ａ，５４ｂ，５４ｃ、シャッフルキー５５が設けられている。第１色替画面１０１Ａでは、糸色に係る各種の設定が可能とされる。具体的には、糸色データ指定領域５２には、プレビュー画像領域５０の刺繍模様の色別模様部毎に対応する色が、その糸駒５２ａのイラストと共に示されている。ユーザは、糸駒５２ａをタッチ操作し、第１カラーパレット５３の中からユーザの所望する色を色別模様部毎に指定することができる。例えば、第１カラーパレット５３の最上段の１列は、左から順に前記第１パレットテーブルのパレット別色番号１〜８のＲＧＢ値が夫々割り当てられている。このように、第１カラーパレット５３は、上段から下段にわたって第１パレットテーブルの色情報が段毎に８つずつ対応するように配置された６４色のパレットである。
【００３９】
図７に示す第２色替画面１０１Ｂでは、第１色替画面１０１Ａと同様にプレビュー画像領域５０等が設けられると共に、第１カラーパレット５３に代えて第２カラーパレット５６ａが設けられている。第２カラーパレット５６ａは、前記色情報のＲＧＢ値に基づいて、３００マスのパレットに最大で３００色の色の配置が可能で、前記のカスタムパレットテーブルに対応する。図７では３００マスからなる第２カラーパレット５６ａのうち一部（５０マス）が示されている。一対のパレット選択キー５４ａ，５４ｂがタッチ操作されることで、第１及び第２色替画面１０１Ａ、１０１Ｂ相互間で切り換わる。シャッフルキー５５がタッチ操作されることで図８に示す色調設定画面１０２に切り換わる。
【００４０】
色調設定画面１０２には、第１色替画面１０１Ａと同様にプレビュー画像領域５０等が設けられると共に、第１カラーパレット５３に代えて色数設定部５７、カテゴリ設定部５８、ランダムキー５８ａが設けられている。色数設定部５７のプラスキーやマイナスキーがタッチ操作されることで、刺繍データの糸色データとして用いる色の種類の総数を設定する。例えば図８に示すように色数設定部５７が７色に設定されている場合には、刺繍模様は７色だけを使って配色されることとなる。また、カテゴリ設定部５８には、上記「ビビッド」「ソフト」「グラデーション」の夫々のキー５８ｂ，５８ｃ，５８ｄが設けられている。そして、ランダムキー５８ａは、前記複数のパレットテーブルのうちの何れかのパレットテーブルの中から、糸色データ毎にランダムに色を抽出して配色を行うためのキーである。また、「ビビッド」「ソフト」「グラデーション」の何れかをタッチ操作により選択することで、その何れかのカテゴリに属する色の中から糸色データとして用いる色がランダムに抽出される。その後、図９に示すサムネイル表示画面１０３に切り換わる。
【００４１】
サムネイル表示画面１０３では、複数（例えば６個）の刺繍模様が表示される刺繍模様選択領域６１、リターンキー６２、セーブキー６３、リフレッシュキー６４等が設けられている。刺繍模様選択領域６１は、前記糸色データとしてランダムに抽出した色を用いて生成した色の組合わせが異なる複数の刺繍模様について、夫々の画像を縮小したサムネイル画像６１ａを表示する。後述するように、セーブキー６３、サムネイル画像６１ａの順にタッチ操作すると、当該刺繍模様の刺繍データが第２記憶手段たるＥＥＰＲＯＭ２５に記憶される。また、リフレッシュキー６４がタッチ操作されると、糸色データに対して新たに抽出された色が割り当てられ、現在表示されている６個の刺繍模様に代えて新たな６個の刺繍模様が表示される。リターンキー６２がタッチ操作されると、色調設定画面１０２に戻り、刺繍模様のサムネイル画像がタッチ操作されると図１０に示す拡大表示画面１０４に切り換わる。
【００４２】
拡大表示画面１０４では、拡大画像領域６５、クローズキー６６、セットキー６７等が設けられている。拡大画像領域６５には、図９で選択されたサムネイル画像（同図にて太枠で囲われた画像６１ａ）を拡大した１つの刺繍模様の画像が表示される。クローズキー６６がタッチ操作されるとサムネイル表示画面１０３に戻る。また、セットキー６７がタッチ操作されると、前記プレビュー画像の刺繍模様として拡大画像領域６５の刺繍模様を表示したメニュー画面１００に戻る。
上記した第１色替画面１０１Ａ或は第２色替画面１０１Ｂにおいてパレット選択キー５４ｃがタッチ操作されることで、図１１（ａ）に示すパレット設定画面１０１Ｃに切り換わる。パレット設定画面１０１Ｃには、第２カラーパレット５６ａ、スクロールキー７０、４つの方向キー７１、ロードキー７２、セーブキー７３、テンキー７４、ビビッド用抽出キー７５、ソフト用抽出キー７６、クリアキー７７等が設けられている。図１１（ａ）の第２カラーパレット５６ａには、色が未だ設定されておらず、３００マスのうち１００マスが示されている。他の表示されていない２００マスについてスクロールキー７０のタッチ操作により移動させることができる。
【００４３】
前記ロードキー７２をタッチ操作すると、図１１（ｂ）に示すように複数のファイル７８を表示するパレット選択画面１０１Ｃ´に切り換わる。パレット選択画面１０１Ｃ´における複数のファイル７８のうちから所望のファイル７８をタッチ操作により選択すると、選択したファイル７８から第２パレットテーブルが読み込まれ、第２カラーパレット５６ａに展開される（図１１（ｃ）参照）。また、前記方向キー７１のタッチ操作により指示したマスについて１つずつ色を入力することができる。具体的には例えば、図１１（ｃ）に示すように、左上隅のマス（パレット別色番号１）を指示した後、テンキー７４で糸の品番「５５２３」を入力する。こうして、第２パレットテーブルについてパレット別色番号毎にＲＧＢ値、つまり色情報を設定することができる。設定後の当該パレットテーブルの内容は、セーブキー７３のタッチ操作により、第３記憶手段たるＥＥＰＲＯＭ２５に記憶させることができる。
【００４４】
また、上記した「ビビッド」「ソフト」「グラデーション」の夫々のカテゴリ内の色について、ユーザの所望の色を付加又は削除するように変更することができる。詳細には、ユーザは、「ビビッド」のカテゴリ外の色を当該カテゴリ内に付加したい場合、該当する第２カラーパレット５６ａ上の色を方向キー７１のタッチ操作により指示する。指示した色は、ビビッド用抽出キー７５をタッチ操作することで、彩度値Ｓが閾値ＳVよりも低くても「ビビッド」のカテゴリ内の色として抽出するように設定される。「ソフト」のカテゴリ外の色を当該カテゴリ内に付加したい場合、「ビビッド」と同様に、該当する色を指示してソフト用抽出キー７６をタッチ操作することで、彩度値Ｓが閾値ＳS1〜ＳS2の範囲外でも「ソフト」のカテゴリ内の色として抽出するように設定される（抽出設定）。
【００４５】
これに対し、ユーザは、「ビビッド」や「ソフト」のカテゴリ内の色を抽出しないように設定する場合、該当する第２カラーパレット５６ａ上の色を方向キー７１のタッチ操作により指示する。指示した色は、例えばクリアキー７７をタッチ操作することで、彩度値Ｓが閾値ＳVよりも高く或は閾値ＳS1〜ＳS2の範囲内でも、「ビビッド」或は「ソフト」に属する色として抽出しないように設定される（非抽出設定）。
【００４６】
尚、カテゴリに係る色の非抽出設定については、上記の抽出キー７５，７６と同様に、パレット設定画面１０１Ｃにビビッド用非抽出キー、或はソフト用非抽出キー（何れも図示せず）を設けてもよい。また、上記のカテゴリに係る色の抽出設定または非抽出設定があった場合には、以下に説明するフローチャートのステップＡ１において抽出設定判定用フラグをセットまたはリセットすることで、該当する色の抽出設定または非抽出設定の有無を判断することができる。「グラデーション」についても、パレット設定画面１０１Ｃにて「ビビッド」「ソフト」と同様に抽出設定や非抽出設定を行うようにしてもよい。
更に、詳細な説明及び図示は省略するが、第１カラーパレット５３についても、第２カラーパレット５６ａと同様に、カテゴリに係る色の抽出設定や非抽出設定を行うことができる。
【００４７】
次に、刺繍データ処理プログラムの動作について、前記糸色データに関する配色を中心に図１２〜図１７を参照しながら説明する。図１２〜図１７は、刺繍データ処理プログラムに基づいて制御装置２１が実行する処理手順を示すフローチャートである。
ユーザは、タッチパネル９ａをタッチ操作して、ＲＯＭ２３から刺繍データを読み取り、その刺繍データに従ってディスプレイ９の模様選択画面（図示略）を表示する。模様選択画面における複数の刺繍模様の中から、所望の刺繍模様をタッチ操作により選択すると、当該刺繍模様を表示した図５のメニュー画面１００に切換る。
【００４８】
そして、メニュー画面１００において、糸色設定キー５１ａをタッチ操作すると、図６の第１色替画面１０１Ａに切り換わり、刺繍模様について配色を行うための各種の処理が行われる。即ち、第１色替画面１０１Ａのプレビュー画像領域５０の刺繍模様について、ユーザが色別模様部の色を変更したくない場合、該当する糸色データ指定領域５２の糸駒５２ａの色をタッチ操作により指定する（図１２のステップＡ１）。或は、当該糸駒５２ａに対応する糸色データについて、第１カラーパレット５３の中からユーザの所望する色を色別模様部毎に指定する。こうして、指定された色は、ＲＡＭ２４の抽出データ記憶領域２４９に記憶される。当該指定数の上限は、その刺繍模様における色別模様部の総数（図４で「ｎ」に相当）である。従って、ステップＡ１で全ての色別模様部について色の指定が行われた場合には、この処理を終了する（図示略）。
【００４９】
第１色替画面１０１Ａにおいてパレット選択キー５４ｂがタッチ操作されると、第１色替画面１０１Ａから第２色替画面１０１Ｂに遷移する。これにより、ランダム配色に使用するパレットを第１カラーパレット５３から第２カラーパレット５６ａに切り換えることができる。更に、ステップＡ１では、カテゴリに係る色の抽出設定や非抽出設定等、各種の設定を行うことができる。
次いで、シャッフルキー５５がタッチ操作されると、第１色替画面１０１Ａ或は第２色替画面１０１Ｂから色調設定画面１０２に遷移する（ステップＡ２）。ここで、ステップＡ３にて第１色替画面１０１Ａから色調設定画面１０２へ遷移したと判断されると（ＹＥＳ）、パレット判定用フラグがセットされる（ステップＡ４）。
【００５０】
そして、ステップＡ５では、ランダム配色を行うための各種の設定処理が行われる（図１３、図１４参照）。具体的には、ステップＢ１にて、色調設定画面１０２における色数設定部５７のプラスキーやマイナスキーのタッチ操作により、刺繍模様の配色に使用する色の種類の総数が設定される。また、「ランダム」キー５８ａのタッチ操作によりランダム配色が設定され、或はカテゴリ設定部５８における「ビビッド」「ソフト」「グラデーション」のキー５８ｂ〜５８ｄのうちの何れかのキーのタッチ操作によりカテゴリが設定される。
これにより、ステップＢ２で単なるランダム配色でないと判断され（ＮＯ）、且つステップＢ３でビビッドのカテゴリを設定したと判断されると（ＹＥＳ）、色情報に係る閾値がＳVに設定される（ステップＢ４）。また、ステップＢ２、Ｂ３で何れもＮＯと判断され、且つステップＢ５でソフトのカテゴリを設定したと判断されると、色情報に係る下限及び上限の閾値がＳS1及びＳS2に設定される。
【００５１】
前記ステップＢ２、Ｂ３、Ｂ５で何れもＮＯと判断された場合、ステップＢ７でグラデーションのカテゴリを設定したと判断される。この場合、制御装置２１は、パレット判定用フラグのセット状態に基づいて、例えば、第１カラーパレット５３が選定されていると判断した場合、そのパレットにおける色の数に対応する１〜６４までの乱数を発生させる。次いで、発生した乱数と一致する第１パレットテーブルの１〜６４のパレット別色番号を照合し、当該パレット別色番号に対応するＲＧＢ値を抽出してＲＡＭ２４に記憶する（ステップＢ８）。また、制御装置２１は、抽出したＲＧＢ値に基づいてＨＳＶ値を演算し、その色相値Ｈを中心値とする範囲（閾値ＨG1、ＨG2）を設定する（ステップＢ９、Ｂ１０）。
【００５２】
その後、ステップＢ１１では、例えば、配色に用いるパレットとして上記の第１カラーパレット５３が設定されている場合、第１パレットテーブルのパレット別色番号１に対応するＲＧＢ値が読み出される。ここで、ステップＢ１２において、前記閾値ＳV、ＳS1、ＳS2、ＨG1、ＨG2の何れも設定されていないと判断された場合（ＮＯ）、パレット別色番号１のＲＧＢ値がそのままＲＡＭ２４の色情報記憶領域２４６に記憶される。パレット別色番号２の色についても（ステップＢ１４にてＮＯ、Ｂ１５）、パレット別色番号１と同様にＲＧＢ値が読み出されて色情報記憶領域２４６に記憶される（ステップＢ１１、Ｂ１２、Ｂ１３）。こうして、カテゴリが設定されていない場合には、第１カラーパレット５３内の６４色分、ステップＢ１１〜Ｂ１５が繰り返し実行されることで第１パレットテーブルがそのまま色情報記憶領域２４６に保持されて、後述する図１２のステップＡ６にリターンする（ステップＢ１４にてＹＥＳ）。
【００５３】
制御装置２１は、前記ステップＢ１２で閾値の設定が有ると判断し（ＹＥＳ）、且つステップＢ１６で「ビビッド」或は「ソフト」に設定されていると判断した場合（ＹＥＳ）、パレット別色番号１のＲＧＢ値に基づいて彩度値Ｓを演算する（ステップＢ１７）。そして、彩度値Ｓが閾値ＳVより高いか、或は閾値がＳS1〜ＳS2の範囲内か否かが判断される。ここで、パレット別色番号１の色について、彩度値Ｓが閾値ＳVより高いか或は閾値がＳS1〜ＳS2の範囲内で、且つ前記非抽出設定がなされていない場合（ステップＢ１８にてＹＥＳ）、「ビビッド」或は「ソフト」のカテゴリに属する色として色情報記憶領域２４６に記憶される。
【００５４】
これに対し、前記ステップＢ１８にてＮＯと判断された場合でも、パレット別色番号１の色について前記抽出設定がなされた色に該当すれば（ステップＢ１９にてＹＥＳ）、その色を色情報記憶領域２４６に記憶する。パレット別色番号２の色についても（ステップＢ１４にてＮＯ、Ｂ１５）、パレット別色番号１と同様に、読み出したＲＧＢ値に基づき彩度値Ｓが演算される（ステップＢ１６、Ｂ１７）。そして、パレット別色番号２の色について、彩度値Ｓと閾値ＳV或はＳS1〜ＳS2とを比較すると共に、前記抽出設定或は非抽出設定の有無に基づいて、色情報記憶領域２４６への保存の有無が判断される（ステップＢ１８、Ｂ１９）。こうして、「ビビッド」或は「ソフト」のカテゴリが設定されている場合、第１カラーパレット５３内の６４色分について、ステップＢ１１、Ｂ１２、Ｂ１６、Ｂ１７、Ｂ１８、Ｂ１３（或はＢ１９）、Ｂ１４、Ｂ１５が繰り返し実行される。これにより、第１パレットテーブルは、「ビビッド」或は「ソフト」のカテゴリに属し且つユーザの設定の有無に応じた色に選定（更新）され、その更新後の内容で色情報記憶領域２４６に記憶される。
【００５５】
一方、制御装置２１は、前記ステップＢ１２で閾値の設定が有ると判断し（ＹＥＳ）且つステップＢ１６で「ビビッド」或は「ソフト」に設定されていないと判断した場合（ＮＯ）、「グラデーション」の設定であると判断する（ステップＢ２０）。この場合、パレット別色番号１のＲＧＢ値に基づいて色相値Ｈを演算し（ステップＢ２１）、色相値Ｈが閾値ＨG1〜ＨG2の範囲内にあるか否かを判断する。ここで、パレット別色番号１の色について、色相値Ｈが閾値ＨG1〜ＨG2の範囲内にあると判断した場合（ステップＢ２２にてＹＥＳ）、「グラデーション」のカテゴリに属する色として色情報記憶領域２４６に記憶される。
【００５６】
これに対し、ステップＢ２２にて閾値ＨG1〜ＨG2の範囲外にあると判断された場合（ＮＯ）、パレット別色番号１の色について色情報記憶領域２４６に記憶することなく、ステップＢ１４に移行する。パレット別色番号２の色についても（ステップＢ１４にてＮＯ、Ｂ１５）、パレット別色番号１と同様に、読み出したＲＧＢ値に基づき色相値Ｈが演算される（ステップＢ２０、Ｂ２１）。そして、パレット別色番号２の色について、色相値Ｈが閾値ＨG1〜ＨG2の範囲内にあるか否かが判断されることで色情報記憶領域２４６への保存の有無が判断される（ステップＢ２２）。こうして、「グラデーション」のカテゴリが設定されている場合、第１カラーパレット５３内の６４色分について、ステップＢ１１、Ｂ１２、Ｂ１６、Ｂ２０、Ｂ２１、Ｂ２２、Ｂ１３、Ｂ１４、Ｂ１５が繰り返し実行される。これにより、第１パレットテーブルは、「グラデーション」のカテゴリに属する色に選定（更新）され、その更新後の内容で色情報記憶領域２４６に記憶される。
【００５７】
そして、第１カラーパレット５３内の６４色分の全てについて選定を終えると（ステップＢ１４にてＮＯ）、図１２のステップＡ６にリターンする。尚、ステップＢ１〜Ｂ２２では、配色に用いるパレットとして第２カラーパレット５６ａが設定されている場合、第１カラーパレット５３と同様の処理が行われる。以下では、第１カラーパレット５３（或は第２カラーパレット５６ａ）において、カテゴリ別の選定処理後、つまりステップＢ１４後の第１或は第２パレットテーブルの色の総数をｐとして説明する。
ステップＡ６では、選択した刺繍模様について、上記した各種の設定や指定に基づきランダム配色処理が行われる（図１５参照）。ランダム配色処理では、先ずステップＣ１において、色数設定部５７で設定した配色の数（設定配色数ｘ）と、選択した刺繍模様における色別模様部の総数ｎとに基づいて、当該刺繍模様の配色の組合わせ数Ａが算出される。
【００５８】
本実施形態では、例えば、サムネイル表示画面１０３に互いに配色の異なる６個の刺繍模様を表示するため、その表示に必要な組合わせ数Ａは、重複を持たない組合わせになるようコンビネーションを用いて算出する。従って例えば、配色設定数ｘが１、色別模様部の総数ｎが１の場合、組合わせ数Ａは、pＣ1通りとなる。このように、刺繍模様の配色の組合わせ数Ａは、前記カラーパレット５３，５６ａにおける色の総数ｐと比例関係にあり、当該総数ｐが２以上で且つ前記配色設定数ｘが３以上の場合には、６以上になる。この場合、ステップＣ２にてＮＯと判断され、６個の刺繍データが作成されるように設定される（ステップＣ３）。また、前記ステップＣ１で算出された組合わせ数Ａが、６に満たない場合には（ステップＣ２にてＹＥＳ）、その数の刺繍データが作成されることとなる。
【００５９】
ステップＣ４では、配色設定数ｘについて、色を変更したくない色別模様部の数（ステップＡ１で指定した色別模様部の数）を差し引くことで、１つの刺繍模様で抽出する色の種類数ｘ´を算出する。そして、制御装置２１は、色情報記憶領域２４６における第１或は第２パレットテーブルの色の総数ｐの範囲で乱数を発生させる。例えば、配色に用いるパレットとして第１カラーパレット５３が設定され且つカテゴリの指定が無い場合、１〜６４までの乱数を発生させる（ステップＣ５）。続いて、制御装置２１は、取得した乱数と、パレット判定用フラグのセット状態とに基づいてランダムに色を抽出する（ステップＣ６〜Ｃ９）。詳細には、パレット判定用フラグのセット状態に基づき、第１カラーパレット５３が選定されていると判断した場合（Ｃ７にてＹＥＳ）、発生した乱数と一致する第１パレットテーブルの１〜６４のパレット別色番号を照合する。そして、該当するパレット別色番号に対応する色（ＲＧＢ値）を抽出し（ステップＣ８）、前記ステップＡ１で指定した色と重複しない場合には（ステップＣ１０にてＹＥＳ）、ＲＡＭ２４の抽出データ記憶領域２４９に記憶する（ステップＣ１１）。
【００６０】
このように、抽出した色が抽出データ記憶領域２４９に記憶されると、その都度、色の種類数ｘ´をｘ´＝ｘ´−１に更新する（ステップＣ１２）。また、２色目以降の抽出についても（ステップＣ１３にてＹＥＳ）、ステップＣ５〜Ｃ１０が実行され、既に抽出した色或は前記ステップＡ１で指定した色と重複しない場合には（ステップＣ１０にてＹＥＳ）、１色目と同様に色の記憶とｘ´の減算が行われる。こうして、減算された色の種類数ｘ´が「０以下（ステップＣ１３にてＮＯ）」と判断されるまで、ステップＣ５〜Ｃ１３が繰り返し実行される。これにより、抽出データ記憶領域２４９には、１つの刺繍模様で用いる色、つまりステップＡ１で指定した色とステップＣ５〜Ｃ１３で抽出した色とが重複することなく記憶される。
【００６１】
次いで、色別模様部の総数ｎと配色設定数ｘとの差である不足数Ｔを算出し（ステップＣ１４）、不足数Ｔが生じる場合には（Ｃ１５にてＮＯ）、追加選択処理（ステップＣ１６）に移行する。
即ち、図１６に示すように、追加選択処理におけるステップＤ１では、配色処理の前提として色別模様部ｎの数ｎと抽出データ記憶領域２４９の色の数とを同数にすべく、抽出データ記憶領域２４９の中から色を選択する。選択した色は当該抽出データ記憶領域２４９に追加的に記憶すると共に（ステップＤ２）、不足数ＴをＴ＝Ｔ−１に更新する（ステップＤ３）。こうして、不足数Ｔが無くなる（ステップＤ４にてＮＯ）と判断されるまで、ステップＤ１〜Ｄ４が繰り返し実行される。これにより、抽出データ記憶領域２４９には、色別模様部の総数ｎと同じ数の色が記憶される。
【００６２】
抽出データ記憶領域２４９の色の数と色別模様部の総数ｎとが一致する場合（ステップＤ４にてＮＯ、或はステップＣ１５にてＹＥＳ）、配色処理に移行する（ステップＣ１７）。
図１７に示すように、配色処理では、色別模様部の糸色データ毎に、ユーザによる色の指定（ステップＡ１での指定）の有無が判断される（ステップＥ１）。ここで、各糸色データについて、ユーザの指定が有る場合には、該当する色が割り当てられ（ステップＥ２）、ユーザの指定がない場合には、ランダムに抽出した色が割り当てられる（ステップＥ３）。この割り当てに際し、予め抽出データ記憶領域２４９に記憶された色のシャッフルを行う。つまり、前記追加選択処理が行われると抽出データ記憶領域２４９に重複した色が記憶されるため、抽出データ記憶領域２４９における複数の色をばらす並び替えを実行する。こうして、色別模様部の個数ｎ分、ステップＥ１〜Ｅ４が繰り返し実行され、配色が完了すると、図１５のステップＣ１８にリターンする。
【００６３】
こうして、１つ目の刺繍模様の配色を終えると、その糸色データの全部をＲＡＭ２４に記憶する（ステップ１８にてＹＥＳ、ステップＣ１９）。そして、前記組合わせ数ＡをＡ＝Ａ−１に更新し（ステップＣ２０）、ステップＣ４にリターンする（ステップＣ２１にてＹＥＳ）。また、２つ目以降の刺繍模様の配色についてもステップＣ４〜Ｃ１８が実行され、既に作成した刺繍模様の配色と異なる場合には（ステップＣ１８にてＹＥＳ）、１つ目と同様に糸色データの記憶とＡの減算が行われる（ステップＣ１９，Ｃ２０）。こうして、Ａが「０以下（ステップＣ２１にてＮＯ）」と判断されるまでステップＣ４〜Ｃ２１が繰り返し実行されることで、配色の異なるＡ個の刺繍模様の組合わせが作成される。この後、図１２のステップＡ７にリターンする。
【００６４】
ステップＡ７では、サムネイル表示画面１０３に配色の異なるＡ個（図９では６個）の刺繍模様について、夫々の画像を縮小したサムネイル画像を表示する。ここで、例えば図９で右上の刺繍模様のサムネイル画像６１ａがタッチ操作されると図１０に示す拡大表示画面１０４へ遷移する（ステップＡ９）。拡大表示画面１０４では、選択されたサムネイル画像を拡大した刺繍模様が表示される。この後、セットキー６７がタッチ操作されると、前記プレビュー画像の刺繍模様として、拡大画像領域６５の刺繍模様を表示したメニュー画面１００に戻る（エンド）。
前記サムネイル表示画面１０３において、リターンキー６２がタッチ操作されると（ステップＡ１０にてＹＥＳ）、ステップＡ５へ移行して色調設定画面１０２が表示されることから、各種の設定処理からやり直し、再度ランダム配色処理を行うことができる。また、リフレッシュキー６４がタッチ操作されると（ステップＡ１１にてＹＥＳ）、ステップＡ６へ移行して再びランダム配色処理が実行される。これにより、糸色データに対して新たに抽出された色が割り当てられ、現在表示されている６個の刺繍模様に代えて新たな６個の刺繍模様が表示される。
【００６５】
一方、サムネイル表示画面１０３において、セーブキー６３がタッチ操作されると（ステップＡ１２にてＹＥＳ）、セーブモードに移行する（ステップＡ１３）。セーブモードでは、何れかのサムネイル画像６１ａ（複数のサムネイル画像でもよい）をタッチ操作により選択すると、当該刺繍模様の刺繍データがＥＥＰＲＯＭ２５に記憶される（ステップＡ１４）。
上記したステップＣ４〜Ｃ１６の実行に係る制御装置２１は、前記糸色データとして用いる色をランダムに抽出する抽出手段に相当する。前記ステップＣ１７〜Ｃ２１の実行に係る制御装置２１は、抽出された色を割り当てる割当手段に相当する。
【００６６】
以上のように本実施形態の刺繍データ作成装置３０は、各色情報の中から糸色データとして用いる色を抽出手段によりランダムに抽出して、当該糸色データに抽出した色を割当手段により割り当てる。これにより、刺繍模様について、色別模様部の糸色データに対し抽出手段により抽出された色を割り当ててランダムな配色を行うことができる。このため、糸色データの確認や指定といった面倒な作業を省略して、刺繍模様の配色を簡単に行うことができる。また、刺繍模様について、偶然性や意外性のある配色が可能となり、規定の配色にとらわれない多様な配色パターンを得ることができる。
【００６７】
前記抽出手段は、各色情報の中から糸色データとして用いる「複数」の色をランダムに抽出する。よって、当該「複数」の色をランダムに抽出した後、その複数の色についてランダムに割り当てることも可能となる（ステップＥ３参照）。つまり、ランダムの効果をより高めることができる。
前記ステップＢ１の実行に係る制御装置２１とタッチパネル９ａは、抽出する色の数を設定する色数設定手段に相当する。この色数設定手段によれば、刺繍模様における糸色の数をユーザの好みや感性に応じて設定することができる。
【００６８】
前記ステップＢ１〜Ｂ１５の実行に係る制御装置２１とタッチパネル９ａは、各色情報を複数のカテゴリに分類する分類手段、並びに何れか１つのカテゴリを選択するカテゴリ選択手段に相当する。このカテゴリ選択手段により、刺繍模様の糸色について、ユーザの所望するカテゴリを選択することができる。従って、刺繍模様についてランダムな配色としながらも、ユーザの好みや感性に応じたカテゴリ内の色を用いて、簡単に刺繍データを作成することができる。
前記カテゴリに分類された色情報は、ユーザにより変更可能に設定される。このため、当該カテゴリの色情報について、ユーザの好みの色を加えたり、ユーザの所有する糸駒の色に変更したりする等、所望の色を用いた刺繍データを作成することができる。
【００６９】
ディスプレイ９において、刺繍模様が各色別模様部の糸色データに割り当てられた色で表示される。従って、作成した刺繍データについて、色別模様部の色を視覚的に容易に把握することができる。
ディスプレイ９のサムネイル表示画面１０３に、ランダムに配色された色の組合わせが異なる刺繍模様の候補を複数提示させ、その候補の中から所望の刺繍データを選んでＥＥＰＲＯＭ２５に記憶させることができる。従って、ユーザの使い勝手をよくすることができると共に、ユーザの好みや感性に応じた配色の刺繍データを容易に得ることができる。
【００７０】
前記ステップＡ６、Ａ１１の実行に係る制御装置２１とタッチパネル９ａは、ユーザの指示に基づいて、色の抽出と割り当てとを再び実行する再配色指示手段に相当する。再配色指示手段によって、糸色データに係る抽出と割り当てとを繰り返し実行することができる。従って、サムネイル表示画面１０３に表示される刺繍模様について、ユーザが気に入るまで再配色指示手段により新たな配色の刺繍データを作成することができる。
前記ステップＡ１の実行に係る制御装置２１とタッチパネル９ａは、ユーザの所望する色別模様部について糸色データの色を指定する指定手段に相当する。指定手段によってユーザの所望する色別模様部の色を指定することができる一方、他の色別模様部についてランダムな配色を行うことができる。従って、刺繍模様にユーザの所望する色を採り入れつつ簡単に刺繍データを作成することができる。
【００７１】
予めユーザにより選択された複数の色を記憶したＥＥＰＲＯＭ２５の中から、糸色データとして用いる複数の色がランダムに抽出される。従って、ＥＥＰＲＯＭ２５に、予めユーザの好みの色や、ユーザの所有する糸駒の色を設定しておくことで、所望の刺繍データを作成することができる。
本発明は、上記した実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。刺繍データ作成装置はミシンＭに備えられる構成に限定するものではなく、所謂パーソナルコンピュータである装置本体（専用機でもよい）と、この装置本体に接続されるマウス、キーボード、メモリカードコネクタ、ディスプレイ等から構成してもよい。
【００７２】
第１記憶手段〜第３記憶手段は、ＲＡＭ２４やＥＥＰＲＯＭ２５に限定されるものではなく、ミシン或は刺繍データ作成装置に内蔵される他の内部記憶手段や、ミシン或は刺繍データ作成装置に着脱可能に装着される外部記憶手段でもよい。本実施形態と異なり、ミシンと刺繍データ作成装置とが別体で構成される場合、ミシンと刺繍データ作成装置とを有線又は無線で接続し、データを送受信するようにしてもよい。
【符号の説明】
【００７３】
Ｍ ミシン
９ ディスプレイ（表示手段）
９ａ タッチパネル（色数設定手段、分類手段、カテゴリ選択手段、再配色指示手段、指定手段）
２１ 制御装置（抽出手段、割当手段、色数設定手段、分類手段、カテゴリ選択手段、再配色指示手段、指定手段、表示手段）
２４ 第１記憶手段
２５ 第２記憶手段、第３記憶手段
３０ 刺繍データ作成装置
３４ 駆動回路（表示手段）
【特許請求の範囲】
【請求項１】
複数の色別模様部からなる刺繍模様をミシンにより縫製するための刺繍データを作成する刺繍データ作成装置であって、前記刺繍データは、前記色別模様部の色を特定する糸色データを含み、
予め定義されている複数の色情報を記憶する第１記憶手段と、
前記第１記憶手段に記憶されている各色情報の中から前記糸色データとして用いる色をランダムに抽出する抽出手段と、
前記色別模様部の前記糸色データ毎に前記抽出手段により抽出された色を割り当てる割当手段と、
を備えることを特徴とする刺繍データ作成装置。
【請求項２】
前記抽出手段は、前記第１記憶手段に記憶されている各色情報の中から前記糸色データとして用いる複数の色をランダムに抽出し、前記割当手段は、前記複数の色別模様部の前記糸色データに対して前記抽出手段により抽出された複数の色を割り当ててランダムな配色を行うことを特徴とする請求項１記載の刺繍データ作成装置。
【請求項３】
前記抽出手段により抽出する色の数を設定する色数設定手段を備え、
前記抽出手段は、相互に異なる色を前記色数設定手段により設定された数の分だけ抽出し、前記割当手段は、前記抽出手段により抽出された数の色を用いて前記色別模様部毎に割り当てることを特徴とする請求項１または２記載の刺繍データ作成装置。
【請求項４】
前記第１記憶手段に記憶されている各色情報を複数のカテゴリに分類する分類手段と、
前記複数のカテゴリのうち何れか１つのカテゴリを選択するカテゴリ選択手段とを備え、
前記抽出手段は、前記カテゴリ選択手段で選択されたカテゴリに属する色の中から前記糸色データとして用いる複数の色をランダムに抽出することを特徴とする請求項１から３の何れかに記載の刺繍データ作成装置。
【請求項５】
前記カテゴリに分類された前記色情報は、ユーザにより変更可能に設定されることを特徴とする請求項４記載の刺繍データ作成装置。
【請求項６】
前記刺繍模様を各色別模様部の前記糸色データに割り当てられた色で表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項１から５の何れかに記載の刺繍データ作成装置。
【請求項７】
前記刺繍データ作成装置により作成された刺繍データを記憶するための第２記憶手段を備え、
前記表示手段は、その表示画面に色の組合わせが異なる複数の前記刺繍模様を表示し、
前記表示画面に表示された複数の前記刺繍模様の中から、所望の刺繍模様の刺繍データを前記第２記憶手段に記憶させるように構成したことを特徴とする請求項６記載の刺繍データ作成装置。
【請求項８】
前記表示手段に前記刺繍模様が表示された後、ユーザの指示に基づいて、前記抽出手段による色の抽出と前記割当手段による色の割り当てとを再び実行する再配色指示手段を備え、
前記表示手段は、前記再配色指示手段により新たな配色の刺繍データが作成された場合に、その刺繍模様を新たに割り当てられた色で表示することを特徴とする請求項６または７記載の刺繍データ作成装置。
【請求項９】
前記複数の色別模様部の中から、ユーザの所望する色別模様部について糸色データの色を指定する指定手段を備え、
前記割当手段は、前記指定手段により指定された色別模様部以外の色別模様部の糸色データに対して前記抽出手段により抽出された色を割り当ててランダムな配色を行うことを特徴とする請求項１から８の何れかに記載の刺繍データ作成装置。
【請求項１０】
前記第１記憶手段の前記複数の色情報とは別に、当該色情報の中から予めユーザにより選択された複数の色を記憶させる第３記憶手段を備え、
前記抽出手段は、前記第３記憶手の中から前記糸色データとして用いる複数の色をランダムに抽出することを特徴とする請求項１から９の何れかに記載の刺繍データ作成装置。
【請求項１１】
請求項１乃至１０の何れかに記載の刺繍データ作成装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させるための刺繍データ処理プログラム。
【請求項１２】
請求項１乃至１０の何れかに記載の刺繍データ作成装置を備えたことを特徴とするミシン。
【請求項１】
複数の色別模様部からなる刺繍模様をミシンにより縫製するための刺繍データを作成する刺繍データ作成装置であって、前記刺繍データは、前記色別模様部の色を特定する糸色データを含み、
予め定義されている複数の色情報を記憶する第１記憶手段と、
前記第１記憶手段に記憶されている各色情報の中から前記糸色データとして用いる色をランダムに抽出する抽出手段と、
前記色別模様部の前記糸色データ毎に前記抽出手段により抽出された色を割り当てる割当手段と、
を備えることを特徴とする刺繍データ作成装置。
【請求項２】
前記抽出手段は、前記第１記憶手段に記憶されている各色情報の中から前記糸色データとして用いる複数の色をランダムに抽出し、前記割当手段は、前記複数の色別模様部の前記糸色データに対して前記抽出手段により抽出された複数の色を割り当ててランダムな配色を行うことを特徴とする請求項１記載の刺繍データ作成装置。
【請求項３】
前記抽出手段により抽出する色の数を設定する色数設定手段を備え、
前記抽出手段は、相互に異なる色を前記色数設定手段により設定された数の分だけ抽出し、前記割当手段は、前記抽出手段により抽出された数の色を用いて前記色別模様部毎に割り当てることを特徴とする請求項１または２記載の刺繍データ作成装置。
【請求項４】
前記第１記憶手段に記憶されている各色情報を複数のカテゴリに分類する分類手段と、
前記複数のカテゴリのうち何れか１つのカテゴリを選択するカテゴリ選択手段とを備え、
前記抽出手段は、前記カテゴリ選択手段で選択されたカテゴリに属する色の中から前記糸色データとして用いる複数の色をランダムに抽出することを特徴とする請求項１から３の何れかに記載の刺繍データ作成装置。
【請求項５】
前記カテゴリに分類された前記色情報は、ユーザにより変更可能に設定されることを特徴とする請求項４記載の刺繍データ作成装置。
【請求項６】
前記刺繍模様を各色別模様部の前記糸色データに割り当てられた色で表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項１から５の何れかに記載の刺繍データ作成装置。
【請求項７】
前記刺繍データ作成装置により作成された刺繍データを記憶するための第２記憶手段を備え、
前記表示手段は、その表示画面に色の組合わせが異なる複数の前記刺繍模様を表示し、
前記表示画面に表示された複数の前記刺繍模様の中から、所望の刺繍模様の刺繍データを前記第２記憶手段に記憶させるように構成したことを特徴とする請求項６記載の刺繍データ作成装置。
【請求項８】
前記表示手段に前記刺繍模様が表示された後、ユーザの指示に基づいて、前記抽出手段による色の抽出と前記割当手段による色の割り当てとを再び実行する再配色指示手段を備え、
前記表示手段は、前記再配色指示手段により新たな配色の刺繍データが作成された場合に、その刺繍模様を新たに割り当てられた色で表示することを特徴とする請求項６または７記載の刺繍データ作成装置。
【請求項９】
前記複数の色別模様部の中から、ユーザの所望する色別模様部について糸色データの色を指定する指定手段を備え、
前記割当手段は、前記指定手段により指定された色別模様部以外の色別模様部の糸色データに対して前記抽出手段により抽出された色を割り当ててランダムな配色を行うことを特徴とする請求項１から８の何れかに記載の刺繍データ作成装置。
【請求項１０】
前記第１記憶手段の前記複数の色情報とは別に、当該色情報の中から予めユーザにより選択された複数の色を記憶させる第３記憶手段を備え、
前記抽出手段は、前記第３記憶手の中から前記糸色データとして用いる複数の色をランダムに抽出することを特徴とする請求項１から９の何れかに記載の刺繍データ作成装置。
【請求項１１】
請求項１乃至１０の何れかに記載の刺繍データ作成装置の各種処理手段としてコンピュータを機能させるための刺繍データ処理プログラム。
【請求項１２】
請求項１乃至１０の何れかに記載の刺繍データ作成装置を備えたことを特徴とするミシン。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図１２】
【図１３】
【図１４】
【図１５】
【図１６】
【図１７】
【公開番号】特開２０１２−１５７４５１（Ｐ２０１２−１５７４５１Ａ）
【公開日】平成２４年８月２３日（２０１２．８．２３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−１８０７０（Ｐ２０１１−１８０７０）
【出願日】平成２３年１月３１日（２０１１．１．３１）
【出願人】（０００００５２６７）ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年８月２３日（２０１２．８．２３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年１月３１日（２０１１．１．３１）
【出願人】（０００００５２６７）ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Ｆターム（参考）】
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