説明

剥離性シールおよび/または永久シール用のポリマーブレンド

剥離可能におよび/または永久的にシールされる包装容器用のシーラントとして有用となり得るポリマー組成物を提供する。本ポリマー組成物は、少なくとも1種類のエチレンコポリマーおよび少なくとも1種類のプロピレンポリマーを含む。また、本発明の組成物でシールされる包装容器、および、本発明の組成物を含む包装容器を製造する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装容器にシールを形成するのに、または、剥離可能におよび/または永久的にシールされる包装容器用のシーラントとして使用できる組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
包装容器シール領域の一部分は容易に開封することができ、且つ、包装容器の一体性のために別の部分がより永久的にシールされる包装容器は、多数の包装用途に有利になり得る。このような包装容器は、例えば、包装容器の開口部のサイズが限られているとき、包装容器内容物を具合よく注ぐために使用することができる。このような包装容器は、2種類の異なる材料を安定性のために別々に保存し、その材料を予め計量された量でまたは特定の時間に混合する必要がある用途にも、使用することができる。
【0003】
ポリマー樹脂で包装容器をシールすることは周知である。ある一定の種類の樹脂シールされた包装は、比較的小さい力を加えることによって開封され得、「剥離可能にシールされる(peelably sealed)」または「容易に破壊可能にシールされる(frangibly sealed)」と記載される。剥離性シールを作り出すため多くの樹脂が市販されている。しかし、一般に、これらの樹脂はより永久的なシール、即ち、比較的大きい力を加えることにより開封できる、または比較的大きい力で包装基材を破裂させることにより開封するシールを作り出すことができない。また、多くの永久シーラント樹脂が市販されている。しかし、これらの樹脂は、剥離性または易破壊性のシールを作り出すことができない。ここでまた、これらのシールを弱化させるため、通常、穿孔などの他の何らかの機械的措置が包装容器製造中に適用される。
【0004】
剥離性シーラントは、シーラント層に分子不相溶性を導入するため、ポリエチレンおよびポリブチレンなどの不混和性ポリマーのブレンドから形成される。分子不相溶性は、シールを破裂させるのに必要な力を低減させる不連続性を作り出すと考えられている。また、不連続性は、シーラント層内で包装容器開封破裂が起こることを確実にすると考えられている。包装材料内で、または、シーラント層と包装材料との境界面で起こる破裂は制御性が低く、そのためあまり望ましくない。不連続性は、1種類のポリマーの分散相が別のポリマーの連続相の中にブレンドされている形態を取ることが多い。
【0005】
比較的低い剥離強度を有する連結層(tie layer)をシーラント層と包装フィルムの間に配置することができる。連結層は、シーラント層に剥離可能に結合することができ、不混和性ポリマーのブレンドを含む。結合強度が最も弱い、内側シーラント層と連結層の間で剥離破壊が起こる。一般に、幅1インチ当たり約600〜約1200グラムの力で剥離破壊が達成される。例えば、米国再発行特許第RE37,171号明細書および米国特許第4,944,409号明細書を参照されたい。
【0006】
剥離性シールのための最適なシール性能は、特定の用途に依存する場合がある。好ましい剥離性シーラントを以下の特性で特徴付けることができる:容易に開封できるシールを形成する、即ち、望ましい力/距離の範囲内にある剥離強度を有する;一貫した再現可能なシール強度を有するシールを形成する、即ち、そのシール強度はヒートシールウィンドウ(heat sealing window)全体にわたって著しく変化しない;および、形成するシールの開始剥離力は剥離性に必要なシール強度に類似している。
【0007】
また、比較的低いシール開始温度は、剥離性シールであってもまたは永久シールであっても、一般に、好ましいシーラント組成物の望ましい特性に入ると考えられる。シール温度が低いと、処理量を多くすることができ、エネルギー費用が低くなることによって包装装置の生産性が改善される。
【0008】
最適なシール性能を得るため、剥離性シーラント中の不混和性ポリマーの流動学的特性を合致させることが、当該技術分野で周知である。例えば、米国特許第6,590,034号明細書、DeClippeleirら、「Rheology/Morphology/Performance Relationships for Peelable Films Based on PB/PE Blends,」 the SPE Polyolefin RETEC Conference, 1997, Houston, TX、および、De Clippeleir,「PE/PB Blends for Film Applications,」 Specialty Plastic Films ’97, Zurich, Switzerlandを参照されたい。
【0009】
アイオノマーブレンドは、包装容器を形成するのに使用されるヒートシール温度に応じて、剥離性シールまたは易破壊性シール、およびロックアップシールを作り出す場合がある。例えば、米国特許第4,539,263号明細書および同第4,550,141号明細書を参照されたい。Wilmington,DEのE.I.duPont de Nemours and Company(DuPont)から入手可能なSurlyn(登録商標)AD8273は、市販のアイオノマーの一例である。
【0010】
包装用シーラントとして使用されるアイオノマーは、粉末または微粒子などの乾燥品を包装するとき、静電荷蓄積が形成され、それによって、シールの破裂前と後の両方で粒子状内容物のシール領域への付着が生じる場合がある。静電気的に引き寄せられた粒子によるこのようなシール領域の汚染によって、シールプロセスの信頼性とシールの一体性が低下する可能性がある。更に、静電気的に引き寄せられた粒子でのシールの汚染は、審美的に好ましくなく、予め計量された包装容器内容物の正確な送達を所望する用途を妨げる場合がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、包装材料間に剥離性シールとロックアップシールの両方を提供し、アイオノマーシーラントより少ない静電荷蓄積を生じ、比較的低いシール開始温度を示すことができるシーラント組成物が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、エチレンコポリマーおよびプロピレンポリマーを含む、熱可塑性ポリマーブレンドを含むまたはそれから製造されるポリマー組成物を含み、ここで、エチレンコポリマーは、アイオノマーではなく、(1)エチレン、および、(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリル酸、またはこれらの2つ以上の組み合わせ、および、任意に一酸化炭素またはエポキシ含有コモノマーから誘導される繰り返し単位、(2)エチレン、および、任意に第2のα−オレフィンから誘導される繰り返し単位を含むメタロセン触媒エチレンポリマー、または(3)(1)および(2)の組み合わせを含み;プロピレンポリマーは、プロピレン、および、任意に、エチレン、ブテンまたはこれらの組み合わせを含むα−オレフィンであるコモノマーから誘導される繰り返し単位を含む。
【0013】
エチレンコポリマーは、約70重量%〜約100重量%の量で存在することができ、1種類または複数種類のプロピレンポリマーは、累積的に約0重量%〜約30重量%の測定可能な量で存在する。ポリマー組成物は、比較的低温で加熱されるとき剥離性シールを、比較的高温で加熱されるとき永久シールを形成することができる。
【0014】
本発明は、また、ポリマーを含むまたはそれから製造される多層フィルムも含み、ここで、本フィルムを任意に配向フィルムに積層することができ;シーラントは前記に開示したものと同じ組成とすることができ;シーラントは好ましくは易破壊性で、静電気がない。
【0015】
本発明は、また、多層フィルムを含むまたはそれから製造される包装容器も含み、本包装容器は、上で開示した組成物を含むまたはそれから製造される少なくとも1つの易破壊性シールを含む。
【0016】
本発明は、更に、任意に少なくとも2種類の異なる材料を収容するまたは密閉する少なくとも2つのの区画を含む包装容器を含み、ここで、区画は、材料を放出する前に、包装容器が内部で開放され、包装容器内の個々の材料を混合し得るように、易破壊性または剥離性シールで分離されている。
【0017】
本発明は、また、シーラント含有フィルムを製造するため、ポリマーを共押出しし、シーラントの層を含有する多層フィルムを製造する工程;任意に、シーラント含有フィルムを配向ポリエステルまたは配向ポリプロピレンの第2のフィルムに貼付して、第2の多層フィルムを製造する工程であって、ここで、多層フィルムまたは第2の多層フィルムが、前記に開示した組成物を含む工程;(1)開口部を有する包装容器を製造するため、多層フィルムまたは第2の多層フィルムを折り畳み、フィルムの二辺の縁部をシールし、それによって、シールを作り出し、開口部を有する包装容器のシールされた周辺を画定する工程、または、開口部を有する包装容器を製造するため、多層フィルムまたは第2の多層フィルムを2枚重ね合わせ、多層フィルムまたは第2の多層フィルムの三辺の縁部をシールし、それによってシールを作り出し、開口部を有する包装容器のシールされた周辺を画定する工程、または、開口部を有する包装容器を製造するため、多層フィルムまたは第2の多層フィルムを別のフィルムと重ね合わせ、多層フィルムまたは第2の多層フィルムの三辺の縁部をシールし、それによってシールを作り出し、開口部を有する包装容器のシールされた周辺を画定する工程;(2)任意に、包装容器の周辺の内側にあるフィルムの1つ以上の部分をシールし、それによって、境界を形成し且つ包装容器を別々の区画に分割する1つ以上の剥離性シールを作り出す工程;(3)1種類以上の成分を1つ以上の区画に閉じ込める工程であって、成分が固体、流体、または気体を含む工程、および(4)開口部をシールする工程を含むプロセスも含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
「剥離性シール」という用語は、約15N/15mmまたは約10N/15mm未満の力で剥離することにより分離され得るシールを指す。「易破壊性(frangible)」という用語は、「剥離性(peelable)」と交換可能である。「永久シール」という用語は、約10N/15mmまたは約15N/15mmより大きい力で剥離することにより破裂するシールを指す。破裂の機構は、シーラントの、またはシーラントに隣接する1つ以上の層の凝集破壊または接着破壊によるか;または、シールされた基材の引裂によるか;または、これらの機構の組み合わせによる場合がある。「ロックアップシール(lock−up seal)」という用語は、「永久シール」と交換可能である。
【0019】
本明細書で使用される場合、「エチレンポリマー」という用語は、エチレンモノマーまたはコモノマーから誘導される−CH2CH2−繰り返し単位を50モル%より多く含む任意のポリマーを指し、「プロピレンポリマー」は、プロピレンモノマーまたはコモノマーから誘導される−CH2CH2(CH3)−繰り返し単位を50モル%より多く含む任意のポリマーを指す。「測定可能な(finite)量」という用語は、ゼロに等しくない量を指す。
【0020】
エチレンポリマーは、ホモポリマーであれコポリマーであれ、前述の定義に入る任意のエチレン含有ポリマーを含むことができる。例としては、以下に限定されないが、低密度ポリエチレン(LDPE)、不均一に分岐したエチレン/α−オレフィンインターポリマー(例えば、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE))、実質的に直鎖のエチレンポリマー(SLEP)、および、均一に分岐したエチレンポリマーなどのエチレンホモポリマーおよびエチレンインターポリマーが挙げられる。
【0021】
エチレンと重合してエチレンポリマーを形成するのに有用な不飽和コモノマーには、例えば、エチレン性不飽和モノマー、共役または非共役ジエン、およびポリエンなどが挙げられる。コモノマーの例には、以下に限定されないが、α,βエチレン性不飽和カルボン酸、好ましくは、C3〜C8α,βエチレン性不飽和カルボン酸;直鎖または分岐鎖C3〜C20アルキルエステル、またはC1〜C8直鎖または分岐鎖アルキルエステルなどのα,βエチレン性不飽和カルボン酸のエステル誘導体が挙げられる。
【0022】
コモノマーの別の例には、以下に限定されないが、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、スチレン、ハロ−またはアルキル−置換スチレン、テトラフルオロエチレン、ビニルベンゾシクロブタン、1,4−ヘキサジエン、1,7−オクタジエンなどの直鎖または分岐鎖C3〜C20α−オレフィン;および、例えば、シクロペンテン、シクロヘキセンおよびシクロオクテンなどのシクロアルケン;酢酸ビニル;これらの2つ以上の組み合わせなどが挙げられる。
【0023】
本明細書で使用されるエチレンコポリマーは、エチレン、および、不飽和カルボン酸またはそのエステル((メタ)アクリル酸またはC1〜C8アルキル(メタ)アクリレートなど)、またはこれらの2つ以上の組み合わせから誘導される繰り返し単位を含むものを指す。「(メタ)アクリル」または「(メタ)アクリレート」という用語は、アクリルおよび/またはメタクリル(例えば、アクリル酸および/またはメタクリル酸)またはアルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレートを指す。
【0024】
アルキルアクリレートの例には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルおよびアクリル酸ブチルが挙げられる。例えば、「エチレン/アクリル酸メチル(EMA)」は、エチレンとアクリル酸メチル(MA)のコポリマーを意味し;「エチレン/アクリル酸エチル(EEA)」は、エチレンとアクリル酸エチル(EA)のコポリマーを意味し;「エチレン/アクリル酸ブチル(EBA)」は、エチレンとアクリル酸ブチル(BA)のコポリマーを意味し;および、アクリル酸n−ブチルとアクリル酸イソブチルの両方;および、これらの2つ以上の組み合わせを含む。不飽和カルボン酸の例には、アクリル酸およびメタクリル酸が挙げられる。例えば、「エチレンメタクリル酸(EMAA)」は、エチレン(E)とメタクリル酸(MAA)のコポリマーを意味し;「エチレンアクリル酸(EAA)」は、エチレンとアクリル酸(EAA)のコポリマーを意味する。2種類以上のコモノマーを有する例も挙げられる。例えば、「エチレン/アクリル酸イソブチル/メタクリル酸(E/iBA/MAA)」は、エチレン(E)、アクリル酸イソブチル(iBA)およびメタクリル酸(MAA)のターポリマーを意味する。
【0025】
エチレンコポリマーに組み込まれるアルキル(メタ)アクリル酸またはアルキル(メタ)アクリレートコモノマーは、全コポリマーの0.01重量%または5重量%から最大40重量%程度まで(5重量%〜30重量%もしくは10重量%〜25重量%など)またはさらに高くなり得る。
【0026】
エチレンコポリマーは、一酸化炭素、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、およびグリシジルビニルエーテル、またはこれらの2つ以上の組み合わせなどの、別のコモノマーも含み得る。
【0027】
エチレンコポリマーは、ポリマー分野で周知のプロセスによりオートクレーブまたは管型反応器のいずれかを使用して製造することができる。共重合は、米国特許第3,264,272号明細書、同第4,351,931号明細書、同第4,248,990号明細書、および同第5,028,674号明細書および国際公開第99/25742号パンフレットに開示されているように、オートクレーブ中で連続プロセスとして実施することができる。
【0028】
このプロセスは当業者に周知であるため、簡潔にするために本明細書ではその説明を省略する。Elvaloy(登録商標)AC、Nucrel(登録商標)、およびBynel(登録商標)ポリマーなどの幾つかのエチレンコポリマーが、DuPontから市販されている。
【0029】
管型反応器で製造されたエチレンコポリマーは、当該技術分野で周知の、より慣用的なオートクレーブで製造されたエチレンコポリマーと区別され得る。従って、「管型反応器で製造された」エチレンコポリマーという用語は、管型反応器などの中で高圧および高温で製造されたエチレンコポリマーを意味し、ここで、各エチレンおよびアルキルアクリレートコモノマーに対する異なる反応速度論の固有の結果は、管型反応器内の反応流路に沿ってモノマーを計画的に導入することにより緩和または一部補償される。米国特許第3,350,372号明細書、同第3,756,996号明細書、および同第5,532,066号明細書に開示されているような、管型反応器で製造されたエチレンコポリマーが当業者に周知であり、簡潔にするために本明細書ではその説明を省略する。管型反応器で製造されたエチレン/アルキルアクリレートコポリマーは、一般に、オートクレーブで製造されたエチレンコポリマーよりも剛性と弾性が大きく、DuPontから市販されている。
【0030】
本発明に有用なエチレンコポリマーは分子量が様々であってよく、メルトインデックスで見ると、数値的には約4.3g/10分〜約8g/10分のように約10g/10分までの値に換算される。
【0031】
エチレンコポリマーは、メタロセン触媒エチレンα−オレフィンコポリマーを含むこともでき、その場合、メタロセンまたはシングルサイト触媒を使用して重合を行い、コモノマーの挿入から見てより均一な直鎖ポリエチレン、および、チーグラー・ナッタポリエチレンよりも狭く分布した分子量分布が得られる。α−オレフィンコモノマーは、通常、ブテン、ヘキセン、およびオクテンである。エチレン組成物は、任意に、熱および紫外線(UV)安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、加工助剤、蛍光増白剤、顔料、潤滑剤などの添加剤を更に含んでもよい。これらの慣用的な成分は、本発明に使用される組成物中に概ね0.01重量%〜20重量%、または0.1重量%〜15重量%の量で存在してもよい。
【0032】
プロピレンポリマーは、組成物の約1重量%〜約30重量%、または5重量%〜25重量%、または10重量%〜20重量%を構成することができる。
【0033】
ポリプロピレン(PP)ポリマーは、結晶性または非晶質;アタクチック、シンジオタクチックまたはアイソタクチックの、プロピレンのホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、およびターポリマーを含み;または、これらの特性の1つ以上の組み合わせによって特徴付けられてもよい。プロピレンのコポリマーまたはターポリマーには、プロピレンと他のオレフィン(エチレン、1−ブテン、2−ブテン、および様々なペンテン異性体、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、5−メチル−1−ヘキセン、ビニルシクロヘキセン、およびスチレンなど)とのコポリマーが挙げられる。統計的コポリマー(statistical copolymers)としても知られるランダムコポリマーは、プロピレンとコモノマーが、プロピレン対コモノマーの供給比に対応する比でポリマー鎖全体にランダムに分布しているポリマーである。ブロックコポリマーは、プロピレンホモポリマーからなる鎖セグメントと、例えば、プロピレンおよびエチレンのランダムコポリマーからなる鎖セグメントから構成される。プロピレンポリマーのコモノマー含量は、約35重量%未満、約0重量%〜約20重量%、または約0重量%〜約15重量%とすることができる。ポリプロピレンは、前述のプロピレンを含むポリマーのいずれかまたは全てを指す。
【0034】
Feluy, BelgiumのATOFINA Chemicalsから入手可能なFina(商標)8573、および、Midland, MIのDow Chemical Companyから入手可能なDS6D81などのプロピレンポリマーが市販されている。
【0035】
エチレンポリマーまたはエチレンコポリマー70重量%〜約99重量%、または約90重量%〜約95重量%を、プロピレンポリマー約30重量%〜約1重量%、約15重量%以下、または約5重量%〜約10重量%と合わせることにより、組成物を製造してもよい。
【0036】
本組成物は、当該技術分野で既知の任意の手段で製造されてもよい。例えば、押出機内で溶融ブレンドすることなどにより個々のポリマーを溶融形態で互いに混合してもよく、または、2本ロールミルまたはバンバリーミキサなどの高剪断混合装置内で互いにブレンドしてもよい。混合後、ポリオレフィンまたはプロピレンポリマーは、エチレンポリマーの連続相中に分散される不連続相を形成する。
【0037】
ポリマー組成物は、また、酸化防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、帯電防止剤、および、ヒートシール性フィルムおよび/または積層品用のポリマー組成物に通常使用されるような他の添加剤を最大約10重量%まで含んでよい。これらの添加剤の好適なレベル、および、添加剤をポリマー組成物に組み込む方法は、当業者に既知である。例えば、「Fatty Amides」 by Arthur L. McKenna, Witco Chemical Corp. 1982、または、「Modern Plastics Encyclopedia」, McGraw−Hill, New York, NY 1995を参照されたい。
【0038】
混合後、ポリマー組成物は、溶融押出し、フラットダイ押出し、インフレーション法、または所望の形状を作り出す他の任意の技術で成形されてもよい。
【0039】
本明細書に開示されるポリマー組成物は、剥離性シールおよび/または永久シールを作り出すことができる。組成物が剥離性シールを形成する温度範囲は、組成物がロックアップシールを形成する温度範囲よりも比較的低い。剥離性シールを形成するため、シール温度は約80℃〜約160℃、または約90℃〜約140℃である。
【0040】
本組成物が永久シールを形成する温度範囲は、組成物が剥離性シールを形成する範囲よりも比較的高い。永久シールを形成するため、シール温度は約100℃より高温〜約180℃、または約130℃〜約160℃である。
【0041】
所与のシーラントに対するシール強度の最適化は、シール温度;フィルムとシーラントの厚さおよび熱移動係数;保圧時間およびシール圧力;および、シーラントの結晶性などの変数に依存し得る。シール強度に対する幾つかの変数の影響を示す量的模型が、「Predicting the Heat Seal Performance of Ionomer Films」(Barry A. MorrisによりSPE ANTEC 2002, May, 2002, San Francisco,CAで発表)に記載されている。
【0042】
シール時にシーラントの境界面温度に影響を与えるようにシール強度に関連する変数のいずれかを変えると、剥離性シールおよび永久シールを形成するための本明細書に開示されるおおよその相対的な温度範囲は、予測値が減少する場合がある。本明細書に開示されるシール温度範囲は、使用する装置の通常の変化および他のシール条件(圧力、保圧時間など)を補償するように、適宜調整されることが意図されている近似値および基準を表す。例えば、全フィルムゲージが実施例に記載されるものより厚いか、または、シール機のライン速度が増大するか、または、シールバー(seal bar)の保圧時間が短くなる場合、シール温度は、易破壊性シールとロックアップシールの両方で、記載されているおおよその範囲を超えて高くなり得る。
【0043】
ポリマー組成物は、当該技術分野で既知のポリマーシーラントのシール開始温度より低いシール開始温度を示す場合がある。
【0044】
本明細書に開示されるポリマー組成物またはシーラントは、剥離性シールを形成するため当該技術分野で既知のポリマーシーラントが加熱され得る温度範囲より広い範囲にわたる温度で加熱されるとき、剥離性シールを形成し得るが、まだ、更に別のより高い温度範囲でロックアップシールを形成することができる。ポリマーシーラントが剥離性シールを形成し得る温度範囲は、少なくとも約15℃、少なくとも約20℃、少なくとも約25℃、少なくとも約30℃、または少なくとも約35℃にわたる。
【0045】
本プロセスに有用なフィルムは、当業者に既知の任意の方法で製造することができる。フィルムおよびフィルム構造は、典型的には、キャスティング、押出し、共押出し、積層などで作られ、様々な方法(例えば、インフレーションフィルム、または機械的延伸など)による配向(一軸または二軸のどちらか)を含み得る。当該技術分野で一般に実用されている様々な添加剤が各フィルム層中に存在し得る(連結層などの存在を含む)が、但し、その存在がフィルムまたはフィルム構造の接着性を実質的に変化させないことを条件とする。酸化防止剤および熱安定剤、紫外線(UV)安定剤、顔料および染料、フィラー、艶消し剤、スリップ防止剤、可塑剤、アンチブロック剤、および他の加工助剤などであり得る添加剤を有利に使用してもよい。
【0046】
例えば、いわゆる「インフレーションフィルム」法または「フラットダイ」法を使用して組成物を押出すことにより、一次フィルムを製造することが可能である。インフレーションフィルムは、ポリマー組成物を環状のダイを通して押出し、得られる管状のフィルムを気流で膨張させてインフレーションフィルムを提供することにより製造される。キャストフラットフィルムは、組成物を、フラットダイを通して押出すことにより製造される。ダイから離れるフィルムは、内部を循環する流体が入っている少なくとも1本のロール(チルロール)または水浴で冷却され、キャストフィルムが提供される。本発明に有用なフィルムの幅は、例えば、約60cm(2フィート)〜300cm(10フィート)である。
【0047】
フィルムの即時の急冷またはキャスティングの後にフィルムを更に配向させることができる。本プロセスは、溶融ポリマーの層流を押出す工程、押出物を急冷する工程、および急冷された押出物を少なくとも1つの方向に配向させる工程を含む。本明細書で使用される場合、「急冷された」という用語は、固体フィルム材料を得るため、融点より低温に十分に冷却された押出物のことを指す。
【0048】
フィルムは、配向されていなくても、一軸方向(例えば、縦方向)に配向されていても、または二軸方向(例えば、縦方向と横方向)に配向されていてもよい。フィルムは、フィルムの面で相互に垂直な2つの方向に延伸することにより二軸配向され、機械的特性と物理的特性の満足な組み合わせを達成することができる。
【0049】
米国特許第3,278,663号明細書、同第3,337,665号明細書、同第3,456,044号明細書、同第4,590,106号明細書、同第4,760,116号明細書、同第4,769,421号明細書、同第4,797,235号明細書、および同第4,886,634号明細書に開示されているものなどの、フィルムを一軸または二軸延伸するための配向および延伸装置が、当該技術分野で既知である。様々なフィルムを製造するプロセスは当業者に周知であるため、簡潔にするために本明細書ではその説明を省略する。
【0050】
一実施形態では、フィルムは、フィルム中のポリマー鎖を押出し方向に略整列させる押出しプロセスにより形成される。直鎖ポリマーは、一軸方向に高度に配向された後、配向方向にかなりの強度を有するが、横方向の強度はそれより小さい。この整列は、押出し方向でフィルムに強度を加えることができる。
【0051】
コロナ放電、オゾンまたは当業界で標準的な他の手段によりフィルムを処理してもよい。エチレンコポリマー層の厚さを増大させることにより、多層構造の接着性を改善することができる。エチレンコポリマー層の厚さは、約10μ〜約40μ(0.4ミル〜1.6ミル)、または約15μ〜約30μ(0.6ミル〜1.2ミル)の厚さとすることができる。
【0052】
本発明は、(a)少なくとも1つのポリオレフィン層;(b)任意に、少なくとも1つのガスバリアポリマー(エチレンビニルアルコールまたはポリアミドなど)の層;(c)任意に、酸無水物で変性された少なくとも1種類のポリオレフィン接着剤;および(c)少なくとも1つのシーラント層を含むまたはそれから製造される多層構造を提供する。シーラント層は、エチレンコポリマーを含むまたはそれから製造することができる。エチレンコポリマーは、前記に開示したのと同じものとすることができる。ポリオレフィンには、ポリプロピレンまたはポリエチレンポリマー、並びに、エチレンおよびプロピレンを含むコポリマーを挙げることができる。ポリエチレン(PE)は、周知のチーグラー・ナッタ触媒重合(例えば、米国特許第4,076,698号明細書および同第3,645,992号明細書を参照されたい)、メタロセン触媒重合(例えば、米国特許第5,198,401号明細書、および同第5,405,922号明細書)、およびフリーラジカル重合を含む周知の方法で製造することができる。ポリエチレンポリマーには、HDPE、LLDPE、非常に低密度のポリエチレンまたは超低密度ポリエチレン(VLDPEまたはULDPE)、およびLDPEを挙げることができる。ポリエチレンの密度は、0.865g/cc〜0.970g/ccの範囲である。
【0053】
ポリエチレンコポリマーには、前述のエチレンコポリマーに加えて、エチレン酢酸ビニルおよびエチレン酸アイオノマーなど、他のエチレンコポリマーを挙げてもよい。
【0054】
本発明は、更に多層フィルムを基材上に積層することを含む。基材は、金属、ガラス、セラミックタイル、レンガ、コンクリート、木材、メーソンリー、繊維、皮革、フィルム、プラスチック、石、箔、紙、またはウェブ(有機ポリマー、金属箔、漂白および無漂白の紙および板紙、グラシン、不織布など)および、このような材料の複合材料とすることができる。
【0055】
例えば、熱可塑性フィルム(例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、または、ポリエチレンビニルアルコール)、紙、または板紙を含む基材に多層フィルムを接着させることができる。更に、例えば、熱可塑性フィルムは前記に開示したように配向されていてもまたは配向されていなくてもよい(例えば、配向ポリエチレンテレフタレートまたはOPET)。配向フィルムは、前記に開示したシーラントを含有する押出しまたは共押出しフィルムを積層する前に、像または色を有するように印刷されてもよい。
【0056】
多層フィルムは、包装用途において、例えば、易破壊性シールと永久シールの両方を含む包装材料として、または、産業用フィルムとして(例えば、遮断シート(insulation sheeting)中の構造的構成要素として)有用となり得る。また、例えば、前記に開示した配向フィルムなどの別の包装フィルムに多層フィルムを貼付して、第2の多層フィルムを製造することができる。多層フィルムまたは第2の多層フィルムを第1の低い方の温度でそれ自体に、または別のフィルムに、または互いにシールし、易破壊性シールを形成することができる。また、多層フィルムまたは第2の多層フィルムを第2の高い方の温度でそれ自体に、または別のフィルムに、または互いにシールし、永久シールを形成することもできる。
【0057】
第1および第2の包装基材は同じであってもまたは異なってもよい。例えば、第1および第2のフィルムは、一体フィルムの第1および第2の部分であってもよい。更に、別のフィルムは互いに同じであっても異なってもよく、それらはまた、第1および第2のフィルムと同じであっても異なってもよい。例えば、別のフィルムは一体フィルムの第1および第2の部分であってもよい。
【0058】
永久シールおよび易破壊性シールを含む包装容器は、例えば、包装容器の残りの部分がその一体性を保持すると同時に、よく画定されたサイズの易剥離性開口部を形成するのに有用である。よく画定されたサイズの開口部は、包装容器の内容物を容易に注ぐことを促進できる。この実施形態では、易破壊性シールは、包装容器の内側と包装容器の外側の間の境界の少なくとも一部を形成する。永久シール、または包装材料の折り畳み部分などが、境界の残りの部分を形成してもよい。このようにして、包装容器の開口部のサイズは、剥離可能にシールされる包装容器の周辺の部分によって画定される。
【0059】
シーラント含有フィルムを製造するため、例えば、ポリマーを共押出しし、シーラントの層を含有する多層フィルムを製造することができる。シーラント含有フィルムを、配向ポリエステルまたは配向ポリプロピレンの第2のフィルムに貼付けまたは積層し、第2の多層フィルムを製造することができる。多層フィルム(または、第2の多層フィルム)は、前記に開示したエチレンコポリマーを含むことができる。折り畳んだ後、多層フィルムまたは第2の多層フィルムのそれぞれの二辺の縁部をシールし、開口部を有する包装容器を製造することができる。包装容器のシールされた周辺が作り出され、画定される。多層フィルム(または、第2の多層フィルム)を同じフィルムの別のシート上に置き、または重ね合わせた後、開口部を有する包装容器を製造するため、三辺の縁部をシールし、それによってシールを作り出し、包装容器のシールされた周辺を画定することができる。或いは、多層フィルム(または、第2の多層フィルム)をポリエステルフィルムなどの別のフィルム上に重ね合わせることができる。開口部を有する包装容器を製造するため、多層フィルムの三辺に沿った縁部をシールし、それによってシールを作り出し、開口部を有する包装容器のシールされた周辺を画定する。包装容器の周辺の内側にあるフィルムの1つ以上の部分をシールし、境界を形成し且つ包装容器を別々の区画に分割する1つ以上の剥離性、または少なくとも部分的に剥離性のシールを作り出すことができる。各区画に、固体、流体、または気体成分を含む1種類以上の成分を充填することができる。次いで、開口部をシールすることができる。包装容器の周辺シールは、少なくとも部分的に永久的であってもよく、区画間のシールは少なくとも部分的に易破壊性であってもよい。このような包装容器は、区画の内容物が予め計量されているときなど、区画の内容物を、より具合よく混合するのに有用な場合がある。更に、区画の内容物を使用直前に混合することが望ましいとき、例えば、区画の内容物は、分離されているときの方が、内容物の混合物よりも比較的安定であるときなど、本包装容器を使用することができる。更に、包装容器は、1つの区画に湿潤材料を、第2の区画に乾燥材料を収容するのに有用な場合がある。
【0060】
包装材料を、例えば、以下に限定されないが、印刷、エンボス加工、および/または着色することにより更に処理し、中の製品について消費者に情報を提供する、および/または、包装容器の好ましい外観を提供する包装材料を提供してもよい。このような更なる処理は、典型的には、前述の積層プロセスの前に実施されるが、積層後に実施されてもよい。
【0061】
当該技術分野で周知の標準的な方法で包装材料をパウチなどの包装容器に形成してもよく、簡潔にするために本明細書ではその説明を省略する。
【0062】
以下の実施例は説明を目的とし、本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0063】
乾燥成分を一緒にブレンドし、その後、それらを二軸スクリュ30mmWerner&Pfleider(商標)押出機内で溶融ブレンドすることにより、以下の実施例のシーラント組成物を調製した。溶融温度は235℃〜240℃の範囲であった。
【0064】
実施例1〜4
シーラント組成物を連結接着剤、Bynel(登録商標)41E687、メルトインデックス1.7の酸無水物で変性されたポリエチレン接着剤、およびエチレン/ビニルアルコール(EVOH)、Eval F101Aの層と一緒に共押出しした。50rpmで運転し30:1のL/Dを有する25mm単軸押出機内で196℃でシーラントを溶融させた。15rpmで運転し24:1のL/Dを有する25mm単軸押出機内で205℃で接着剤を溶融させた。43rpmで運転し24:1のL/Dを有する25mm単軸押出機内で215℃でEVOHを溶融させた。
【0065】
公称25μmのシーラント、公称13μmの接着剤層、および公称25μmのEVOH層を有する3層フィルムを形成するように、3つの溶融物流を全て、Brampton(商標)共押出しインフレーションフィルムダイを通して供給した。ダイ温度は215℃であった。安定化したフィルムバブル直径をダイ開口部の直径で除したものと定義される、インフレーションフィルムのブローアップ比は2.1であった。ダイギャップは1.02mmに設定された。フィルムは、4.6m/分で引取ロールを通った。
【0066】
完成したフィルムの構造は、以下の通りである:
シーラント(25μm)/Bynel(登録商標)41E687(13μm)/Evalt(商標)LCF101A(25μm)
ここで、BYNEL(登録商標)41E687はDuPontから入手可能であった。Evalt(商標)LCF101Aは、Houston, TXのEval Company of Americaから入手可能であった。
【0067】
完成したフィルムのストリップ(幅15mm)を縦方向に切断した。この15mmのストリップを、Sentinel(商標)1671ヒートシーラーで40psiの圧力および0.5秒の保圧時間でセルフシールした。100℃〜150℃の範囲の様々な温度でストリップをシールした。各温度で5つのストリップをシールし、5つの測定を行った。従って、本明細書に報告するシール強度は、5つの測定の平均を表す。
【0068】
シール強度を決定する前に、ストリップを23℃および相対湿度50%で24時間調整した。シール強度は、Atlanta, GAのZwick USA LPから入手可能なZwick番号2537引張試験機で、100mm/分のクロスヘッド速度で測定した。
【0069】
シーラント組成物を下記の表1に記載する。
【0070】
表1.シーラント組成物

【0071】
シール強度測定の結果を下記の表2に示す。データから、実施例1、3および4のポリマー組成物では、シール温度が約110℃〜約130℃のときに剥離性シールが作り出され、約130℃より高温〜約150℃のシール温度で永久シールが形成されたことが分かる。実施例2のポリマー組成物では、シール温度が約110℃〜約120℃のときに剥離性シールが作り出され、約125℃より高いシール温度で永久シールが形成された。
【0072】
データから、実施例1〜4のシーラントの方が、比較例のシーラントよりシール開始温度が低かったことも分かる。
【0073】
実施例1〜4のシーラントは、フィルム厚さ、シール圧力などの他の変数をほぼ一定に保持したとき、より広いシール温度範囲にわたって剥離性の範囲の強度を有するシールを形成する傾向があった。例えば、実施例4のシーラントは、約100℃〜約135℃のシール温度で剥離性シールを形成し、従って、約35℃の剥離性シール温度範囲を提供した。概ね、実施例のシーラントは、約15℃〜約35℃にわたる剥離性シール温度範囲を提供した。比較例のシーラントは、対照的に、約15℃のシール温度範囲にわたる剥離性シールを形成した。






【0074】
表2.シール強度、対、温度

【0075】
実施例1〜4のシーラントでは、著しい静電荷蓄積は観察されなかった。フィルムを綿布で10回擦った後、静電気により比較的少量のタバコの灰がフィルムに引き寄せられた。しかし、比較例では、アイオノマーブレンドシーラントに典型的な静電荷蓄積が観察された。フィルムを乾燥した綿布で10回擦った後、比較的多量のタバコの灰がフィルムに引き寄せられた。
【0076】
実施例5
以下の方法で、以下に示す多層フィルム(60μ)を製造した。まず、5層のインフレーションフィルムを共押出しして、20μのLDPEの外層、厚さ20μのDuPont Nucrel(登録商標)0903の中間層、および以下の生成物から製造された厚さ20μのシーラント層を有する3層のフィルムを製造した。
シーラントA:93%Surlyn(登録商標)8273+2%CN(CNは、DuPont Conpol(登録商標)スリップおよびアンチブロッキング濃縮物を意味する)20B+5%CN 20S2。
シーラントB:93%04−480−74−4(50%Nucrel(登録商標)1202+45%DuPont Bynel(登録商標)2002+5%Fina8573ポリプロピレン)+2%CN20B+5%CN 20S2。
シーラントC:95%04−480−74−4+5%DuPont Elvax(登録商標)9619−1。
シーラントD:95%04−480−74−13(90%Elvaloy(登録商標)AC3717+10%Fina8573PP)+5%DuPont Elvax(登録商標)9619−1。
【0077】
次に、GermanyのNordmeccanica Company製のLABORCOMBI装置で、Herberts(Germany)接着剤1K−LF190×3を使用し、1.5g/m2の塗工量でインフレーションフィルムを12μDuPont Mylar(登録商標)OPET(配向ポリエチレンテレフタレート)に接着積層し、積層フィルム:OPET/PE/NU/SEALANTを製造したが、ここで、表3に示すように、フィルムAはシーラントAを含有し、フィルムBはシーラントBを含有し、フィルムCはシーラントCを含有し、フィルムDはシーラントDを含有した。







【0078】
表3

1層の構造は、A、LDPE2602;B、LDPE2602;C、Nucrel0903;D、Nucrel0903;E、04−480−74−4+2%CN20B+5%CN20S2であった。
【0079】
フィルムA、BおよびDから、これらのフィルムを市販のBosch横型充填シール包装装置(モデルSVE2510−AR)でパウチ60包/分でパウチを製造した。垂直シールを200℃でシールし、ロックシールを得た。水平シールは、112℃〜140℃(フィルムA);101℃〜160℃(フィルムB);および、90℃〜115℃(フィルムD)の温度で行った。シール時間は200msであり、保持圧力は0.3MPaであった。上部、底部および垂直シールサンプルを幅15mmに切断し、中央上部サンプルおよび中央底部シールサンプルを幅6mmに切断した。様々な温度でシールされたシールを開封するのに必要な剥離力を測定し、各温度につき3〜4のストリップで取った平均を下記に報告する。試験速度は100mm/分であり、剥離角度は180℃であった。比較のため、フィンシール領域をパウチの上部と底部で別々に測定した。フィンシール領域は、垂直シールと水平シールが接するパウチのシール領域と定義され、1つはパウチの上部に、もう1つはパウチの底部にある。文中および表中で、それらは「中央上部」および「中央底部」とも称される。フィンシール領域の方がシール圧力が高く、温度は同じであったため、シール強度が高かった。
【0080】
以下の表では、それぞれ縦方向に幅15mmの切れ目を有する4つのストリップを、各温度で2本のバーのヒートシーラーKopp番号2428を用いてそれ自体の上にシールした。中央上部および中央底部はフィンシールであった。剥離強度の測定のため、加えた力の平均最大値を考慮に入れた。
【0081】
結果(Bosch水平シール設定温度)は全て、表示した各温度における3つの測定の平均であった。
【0082】
剥離力−フィルムA

1N/15mm
2N/6mm
【0083】
剥離力−フィルムB

1N/15mm
2N/6mm
【0084】
剥離力−フィルムD

1N/15mm
2N/6mm

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレンコポリマーおよびプロピレンポリマーを含む、熱可塑性ポリマーブレンドを含むまたはそれらから製造される組成物であって、前記エチレンコポリマーは、(1)エチレン、および、アルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、またはこれらの2つ以上の組み合わせ、および、任意に一酸化炭素またはエポキシ含有コモノマーから誘導される繰り返し単位、(2)エチレン、および、第2のα−オレフィンから誘導される繰り返し単位を含むメタロセン触媒エチレンポリマー、または(3)(1)および(2)の組み合わせを含み、前記プロピレンポリマーは、プロピレン、および、任意に、エチレン、ブテン、またはこれらの組み合わせを含むα−オレフィンであるコモノマーから誘導される繰り返し単位を含む、組成物。
【請求項2】
前記エチレンコポリマーが、前記組成物中に約70重量%〜約95重量%、少なくとも約85重量%、または約90重量%〜約95重量%存在し、前記プロピレンポリマーが前記組成物中に約5重量%〜約30重量%存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、比較的低い温度範囲内にある第1の温度で加熱されるとき剥離性シールを形成し;前記組成物が、比較的高い温度範囲内にある第2の温度で加熱されるとき永久シールまたはロックアップシールを形成し;前記比較的低い温度範囲が少なくとも約15℃にわたる、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記エチレンコポリマーが、エチレン、および、メタクリル酸、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、またはこれらの2つ以上の組み合わせであるコモノマーから誘導される繰り返し単位を含み;前記プロピレンポリマーのメルトフローレートが好ましくは≧2である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記コモノマーが、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸、アクリル酸ブチルとメタクリル酸の両方、またはこれらの2つ以上の組み合わせを含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に特徴付けられる組成物を含むまたはそれから製造されるシーラントまたはシール層を含む、多層フィルム。
【請求項7】
前記フィルムが、更に、配向ポリエステルまたは配向ポリプロピレンを含むまたはそれから製造される、請求項6に記載のフィルム。
【請求項8】
包装容器が、包装容器内に剥離性シールを含み、前記フィルムが請求項6または7に特徴付けられるものである、多層フィルムを含むまたはそれから製造される包装容器。
【請求項9】
シーラント含有フィルムを製造するため、ポリマーおよびシーラントを共押出しし、シーラント層を含有する多層フィルムを製造する工程;任意に、前記シーラント含有フィルムを配向ポリエステルまたは配向ポリプロピレンの第2のフィルムに貼付し、第2の多層フィルムを製造する工程を含み、前記多層フィルムまたは前記第2の多層フィルムが請求項1〜5のいずれか一項に特徴付けられる組成物を含み、前記フィルムが請求項6または7に特徴付けられるものである、方法。
【請求項10】
(1)開口部を有する包装容器を製造するため、前記多層フィルムまたは前記第2の多層フィルムを折り畳み、前記フィルムの二辺の縁部をシールし、それによって、シールを作り出し、開口部を有する包装容器のシールされた周辺を画定する工程、または、開口部を有する包装容器を製造するため、前記多層フィルムまたは前記第2の多層フィルムを2枚重ね合わせ、前記多層フィルムまたは前記第2の多層フィルムの三辺の縁部をシールし、それによってシールを作り出し、開口部を有する包装容器のシールされた周辺を画定する工程、または、開口部を有する包装容器を製造するため、前記多層フィルムまたは前記第2の多層フィルムを別のフィルムと重ね合わせ、前記多層フィルムまたは前記第2の多層フィルムの三辺の縁部をシールし、それによってシールを作り出し、開口部を有する包装容器のシールされた周辺を画定する工程;および(2)任意に、前記包装容器の周辺の内側にある前記フィルムの1つ以上の部分をシールし、それによって、境界を形成し且つ包装容器を別々の区画に分割する1つ以上の剥離性シールを作り出す工程;(3)1種類以上の成分を1つ以上の区画に閉じ込める工程であって、前記成分が固体、流体、または気体を含む工程;および(4)前記開口部をシールする工程を更に含む請求項9に記載の方法。

【公表番号】特表2008−500450(P2008−500450A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527572(P2007−527572)
【出願日】平成17年5月24日(2005.5.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/018415
【国際公開番号】WO2005/116132
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】