説明

加入者側装置、光通信システム及び光通信方法

【課題】波長分割多重又は芯線多重と時分割多重とを組み合わせるシステムに適用可能で、波長、方路又はこれらの組合せの選択において、トラフィックの平準化が可能なONU、光通信システム及び光通信方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ONU100は、光送受信機が受信する光信号について、波長毎に通信状態をモニタし、通信状態から最も輻輳が軽い波長、あるいは所定の閾値以下の輻輳である前記通信状態の波長を検出し、該波長を下り光信号用として選択するとともに、下り光信号に選択した波長に対応する波長を上り光信号用として選択し、下り光信号と上り光信号に選択した波長をOLT200に登録を要請する設定作業を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信状態をモニタして波長、方路、又はこれらの組合せを選択する加入者側装置、光通信システム及び光通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットやイントラネットの急成長を背景に,大容量通信の需要が高まっており,高速光通信システムの普及が急ピッチで進んでいる中、経済的な高速光アクセスネットワークを実現するためのシステムとして、PON(Passive Optical Network)が知られている。また、PONに用いる受動素子(光スプリッタ等)の代わりに、光スイッチを備える光アクセスネットワークも多くの提案がなされている。
【0003】
高速光アクセスネットワークで従来用いられている安価なSiGe−BiCMOSプロセスを利用して強度変調−直接検波で時分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)技術を上述の光アクセスネットワークに適用することを想定すると、電子デバイスの制約により10GGbit/sが上限と考えられている。
【0004】
そこで、波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)や芯線多重を適用することで更なる高速化/広帯域化を実現する提案もなされている。しかし、ユーザ毎に異なる波長を用いるWDMを適用すると、局側装置であるOLT(Optical Line Terminal)には加入者側装置であるONU(Optical Network Unit)の数に応じた光送受信機が必要となる。これは既存のONUやOLTの更改を要し、コスト上昇という課題が発生する。また、芯線多重も、方路である芯線分だけ光送受信機と方路が必要になるため、コスト上昇という課題が発生する。
【0005】
この課題に対して、ONU毎に異なる波長を用いる代わりに、ONUを複数のグループにグルーピングし、グループ間でWDMとグループ内でTDMを適用するWDM/TDM−PON(例えば、非特許文献1を参照。)がある。これは、波長を複数のONUで共用することで、総帯域拡張に伴うコスト上昇を抑えている。
【0006】
総帯域拡張のために新規の芯線と送受信機を備える代わりに、冗長構成のための予備芯線を現用芯線として利用する方式(例えば、非特許文献2を参照。)がある。この方式は、冗長芯線を活用することで、総帯域拡張に伴う芯線と送受信器追加によるコスト上昇という課題を解決している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「総帯域拡張型WDM/TDM−PONと動的波長帯域割当の一提案」、吉野學、原一貴、中村浩崇、木村俊二、吉本直人、雲崎清美、2009年電子情報通信学会総合大会、通信講演論文集2、p.426、B−10−107
【非特許文献2】「ATM−PONのプロテクション方式及び動的帯域割当との連携動作の検討」、吉田俊和、向井宏明、岩崎充佳、浅芝慶弘、一番ケ瀬広、横谷哲也、2001年5月通信方式研究会電子情報通信学会技術研究報告vol.101(53):CS2001−21,pp.25−30
【非特許文献3】「超高密度波長多重伝送方式を用いた高性能光ネットワーク」、鈴木裕生、2008年 2月、http://dspace.wul.waseda.ac.jp/dspace/bitstream/2065/28766/3/Honbun−4720.pdf、20109年1月15日検索。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献1や非特許文献2に記載される光アクセスネットワークにおいて、WDM又は芯線多重又はWDMと芯線多重の組合せを実現するためには、ONUが通信で使用する波長、方路、又は波長と方路の組合せを設定する必要がある。波長を設定する方法として、WDM−PONのために波長設定方法が提案されている。非特許文献3に示されている方法を例に説明する。この方法では、光フィルタの透過波長を変更しながら(光フィルタを掃引して)、受信器で光パワーをモニタすることにより、ONUは未使用の下り波長用の波長グリッドを検出する。つまり、波長毎の光受信パワーがある閾値を超過した場合に、その波長グリッドが未使用であると判定し、光フィルタをその波長に固定する。未使用の下り波長が設定されると、波長対応表と照合し、対応する上り波長を選択する。そして設定した波長で上り信号を送出し、ある一定時間OLTからの応答(下り信号)を待つ。OLTは、正常にONUからの上り信号を受信すると、所定の波長で下り信号を送出するが、何らかの理由(衝突発生等)により上り信号に異常が検出された場合には、下り信号を送信しない。ONUでは、ある一定時間内に下り信号のパワーが検出されなかった場合には、異常発生とみなし、波長設定を最初から再試行する。
【0009】
しかし、非特許文献3の方法は、以下の理由により、波長分割多重又は芯線多重と時分割多重と組み合わせるシステムには適用することができないという課題があった。
理由(1)非特許文献3の方法は、OLTからの送信許可を受けることなしに、ONUが上り信号を送信している。送信許可なしの送信は、時分割多重を適用するPONでは、衝突によるスループットの劣化や、他ONUに対する妨害が発生し許容されない。
理由(2)非特許文献3の方法は、波長の使用の有無のみで使用可能な波長を判断するため、非特許文献1や2で示されるシステムでは使用可能な波長の判断ができない。まず、非特許文献1で示されるシステムでは、使用波長数はニーズに合わせて漸増していくため、未使用波長はOLT側に当該波長の送受信機自体が無い場合がある。逆に、使用中の各波長は複数のONUで共用するために、概ねどの波長も使用中である。そのため、波長の使用の有無からでは、使用可能な波長が不明である。
理由(3)非特許文献3の方法は、波長の使用の有無のみで使用波長の通信状態は不明であり、トラフィックの平準化ができず、全体の帯域の有効利用や、ONU間の公平性を確保することができない。
【0010】
そこで、本発明は、波長分割多重又は芯線多重と時分割多重とを組み合わせるシステム、特に送信許可を受信してから信号を送信するシステムに適用可能で、波長、方路又はこれらの組合せの選択において、送受信で使用可能な波長、方路又はこれらの組合せの数が変化する場合も、上下それぞれでトラフィックの平準化が可能なONU、光通信システム及び光通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るONU、光通信システム及び光通信方法は、下り光信号について波長、方路又はこれらの組合せを変更しながら、波長、方路又はこれらの組合せ毎の通信状態をモニタし、モニタした通信状態に応じて、波長、方路又はこれらの組合せを選択し、選択した波長、方路又はこれらの組合せにてOLTからの登録、送信許可を待機することとした。
【0012】
具体的には、本発明に係るONUは、光伝送路でOLTと接続され、前記OLTとの間で波長分割多重且つ時分割多重、芯線多重且つ時分割多重、又は波長分割多重、芯線多重且つ時分割多重で光信号を送受する光送受信機と、前記光送受信機が受信する光信号について、波長毎、方路毎、又は波長と方路の組合せ毎に通信状態をモニタし、前記通信状態に基づき最も輻輳が軽い波長、方路、又は波長と方路の組合せ、あるいは所定の閾値以下の輻輳である前記通信状態の波長、方路、又は波長と方路の組合せを検出し、検出した波長、方路、又は波長と方路の組合せを選択し、前記選択した波長、方路、又は波長と方路の組合せを前記OLTに登録待機を行う制御回路と、を有する。
【0013】
本発明に係る光通信システムは、複数の前記ONUと、前記ONU毎に光伝送路で接続され、前記ONUから要請された前記下り光信号と前記上り光信号の波長、方路、又は波長と方路の組合せの登録処理を行ない、前記ONUとの間で波長分割多重且つ時分割多重、芯線多重且つ時分割多重、又は波長分割多重、芯線多重且つ時分割多重で光信号を送受するOLTと、を備える。
【0014】
本発明に係る光通信方法は、OLTと複数のONUとが光伝送路で接続され、前記ONUと前記OLTとの間で波長分割多重且つ時分割多重、芯線多重且つ時分割多重、又は波長分割多重、芯線多重且つ時分割多重で光信号を送受する際に、前記ONUが受信する光信号について、波長毎、方路毎、又は波長と方路の組合せ毎に通信状態をモニタし、前記通信状態に基づき最も輻輳が軽い波長、方路、又は波長と方路の組合せ、あるいは所定の閾値以下の輻輳である前記通信状態の波長、方路、又は波長と方路の組合せを検出し、検出した波長、方路、又は波長と方路の組合せを選択し、前記選択した波長、方路、又は波長と方路の組合せを前記OLTに登録を行う。
【0015】
本発明は、ONUとOLTとの間で波長分割多重且つ時分割多重、芯線多重且つ時分割多重、又は波長分割多重、芯線多重且つ時分割多重で光信号を送受できる。また、本発明は、前記設定作業を行うことで、軽輻輳である波長、方路又はこれらの組合せを検出でき、これらを下り光信号及び上りの光信号に選択し、選択した波長、方路又はこれらの組合せにてOLTからの登録、送信許可を待機することができる。すなわち、OLTの登録送信許可を待機するため、本発明は前述した理由(1)の光信号の衝突を回避することができる。また、上下の光信号の波長組合せ、芯線組合せ、又は波長及び芯線の組合せを予め設定せずに、ディスカバリゲートメッセージが無ければ波長、芯線、又はこれらの組合せを変更できるため、本発明は前述した理由(2)の使用可能な波長、芯線、又はこれらの組合せを見つけることができる。さらに、上下方向の通信状態を下り信号の宛先又は下り信号で伝送される送信許可からモニタするため、本発明は前述した理由(3)の上下方向でトラヒックの平準化をすることができる。
【0016】
従って、本発明は、波長分割多重又は芯線多重と時分割多重とを組み合わせるシステム、特に送信許可を受信してから信号を送信するシステムに適用可能で、波長、方路又はこれらの組合せの選択において、送受信で使用可能な波長、方路又はこれらの組合せの数が変化する場合も、上下それぞれでトラフィックの平準化が可能なONU、光通信システム及び光通信方法を提供することができる。
【0017】
本発明に係るONU、光通信システム及び光通信方法において、前記波長、方路、又は波長と方路の組合せを選択した後、所定時間内に前記OLTが前記下り光信号と前記上り光信号の波長、方路、又は波長と方路の組合せを登録することが不可能であった場合、選択する波長、方路、又は波長と方路の組合せを変更することを特徴とする。
【0018】
本発明は、OLTでの登録ができなかった場合、新たに設定作業を行うことで他の波長、方路又はこれらの組合せでOLTでの登録を可能とすることができる。
【0019】
本発明に係るONU、光通信システム及び光通信方法において、前記所定時間内に前記OLTが加入者装置の登録を不実施であることを検出した場合、前記光送受信機に対し、前記OLTからの送信許可のない状態で、選択した波長、方路、又は波長と方路の組合せの上り光信号を前記OLTへ送信させることを特徴とする。
【0020】
ONUが送信許可なしに上り光信号を送信することで、OLTは、送信許可と異なる時間に到着した上り光信号又は他のONUの上り光信号と衝突した上り光信号を受信することになり、異常を検出することになる。このため、OLTは、本発明は、ディスカバリ又はレンジング操作を行うことになる。従って、本発明は、OLTにディスカバリ又はレンジング操作を促すことができる。
【0021】
本発明に係るONU、光通信システム及び光通信方法において、過去に前記OLTが登録を解除又は拒否した前記下り光信号と前記上り光信号の波長、方路、又は波長と方路の組合せを除外して前記設定作業を行うことを特徴とする。
【0022】
本発明は、モニタすべき波長数が軽減でき、設定作業を迅速に行うことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、波長分割多重又は芯線多重と時分割多重とを組み合わせるシステム、特に送信許可を受信してから信号を送信するシステムに適用可能で、波長、方路又はこれらの組合せの選択において、送受信で使用可能な波長、方路又はこれらの組合せの数が変化する場合も、上下それぞれでトラフィックの平準化が可能なONU、光通信システム及び光通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る光通信システムを説明するブロック図である。
【図2】本発明に係る光通信システムを説明するブロック図である。
【図3】本発明に係る光通信方法を説明するフローチャートである。
【図4】本発明に係る光通信方法を説明する時間ダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0026】
(実施形態1)
図1は、実施形態1の光通信システム301を説明する概念図である。光通信システムは、波長分割多重且つ時分割多重で光信号を伝達する。光通信システム301は、複数のONU100と、ONU100毎に光伝送路50で接続され、ONU100から要請された下り光信号と上り光信号の波長の登録処理を行ない、ONU100との間で波長分割多重且つ時分割多重で光信号を送受するOLT200と、を備える。
【0027】
ONU100は、各加入者宅に設置されている。ONU100は、光伝送路50でOLT200と接続され、OLT200との間で波長分割多重且つ時分割多重で光信号を送受する送受信機と、制御回路(不図示)を有する。図1及び以降の図では、送受信機を送信機17及び受信機16で示している。送信機17は、送信波長として選択可能な波長を選択して送信する。
【0028】
さらに、ONU100は、光合分波器15と、チューナブルフィルタ18を有する。光合分波器15は、光伝送路50からの下り光信号を受信機16に結合し、送信機17からの上り光信号を光伝送路50に結合する。チューナブルフィルタ18は、下り光信号のうち、所定の波長の光信号のみを透過させることができる。そして、チューナブルフィルタ18は、透過させる光信号の波長を調整することができる。このため、ONU100は、受信波長として選択可能な波長を選択して受信でき、下り光信号の波長毎の通信状態をモニタすることができる。
【0029】
OLT200は、光伝送路50からの光を波長毎に分波する光合分波器25と、光合分波器25からの信号光をそれぞれ受光する複数の受信機26と、それぞれ異なる波長の信号光を送信する複数の送信機27を有する。光合分波器25は、例えば、波長フィルタであり、送信機27からの信号光を光伝送路50へ出力し、光伝送路50からの信号光を受信機26に結合する。受信機26は、例えば、フォトダイオードである。
【0030】
光伝送路50は、送信機17からの信号光を合波して受信機26に結合し、送信機27からの信号光を分岐して受信機16に結合する。
【0031】
ここで、OLT200は、光合分波器25で分波して波長を個別に受信機26で受信するため、異なる波長の信号光を同時に受信できるが、同一波長として分波された信号光を同時に受信することはできない。
【0032】
このため、光通信システム301は、同一波長として分波する信号光が同時に受信機(26)に到着しないように、送信機(17)に対して波長を切り替える、あるいは送信可能時間を指定する。上述のように光通信システム301は、制御機が送信機(17)に対して信号光を送出できる波長と時間として帯域を割り当て、送信機からの信号光を波長分割多重且つ時分割多重する。
【0033】
制御回路は、光送受信機が受信する下り光信号から、波長毎の通信状態をモニタし、通信状態に基づき最も輻輳が軽い波長、あるいは所定の閾値以下の輻輳である通信状態の波長を検出し、該波長を選択する。制御回路は、上り信号の波長について、下り光信号に選択した波長に対応する波長を上り光信号用として選択してもよいし、下り光信号で通知される送信許可から上り光信号の通信状態をモニタし、その通信状態に基づき最も輻輳が軽い波長、あるいは所定の閾値以下の輻輳である通信状態の波長を検出し、該波長を選択しても良い。下り光信号と上り光信号に選択した波長をOLT200に登録を要請する設定作業を行う。なお、下り光信号の波長と上り光信号の波長が一定の組合せに限定していない場合は、ONUからの登録要請又はOLTの登録で組合せを通知する。
【0034】
なお、制御回路は、下り方向の通信状態は、下り信号の宛先とするONUをLLID等から検出して判断し、上り方向の通信状態は、下り信号で通知される送信許可をゲートメッセージ等から検出して判断してもよい。
【0035】
図3は、ONU100の制御回路が行う波長の通信状態のモニタと設定作業を説明する図である。次の2ステップで行ない、使用する波長を選択する。
【0036】
・ステップS1:軽輻輳波長検出
本ステップは、まず、波長を掃引して、各波長の通信状態をモニタする。掃引する波長は、光通信システム301で使用されうる全波長でもよいし、予め設定された波長数又は波長のみを掃引してもよい。予め設定された波長数又は波長は固定的に設定してもよいし、以前に掃引した際に通信していた波長でもよい。光通信システム301で追加される波長の順番が既知であり、先に追加される波長が使用されていない場合は、その波長よりも後で追加される波長を掃引しないこととしてもよいし、掃引の機会ごとに変更してもよい。
【0037】
通信状態とは、波長毎の使用帯域の合計値、通信中のONU数、ONU毎の帯域、ONU毎の平均帯域、ONU毎の最大帯域、ONU毎の最小帯域、ONU毎の割当帯域比、ONU毎の割当間隔遅延等である。通信状態のモニタは、次の4つの方法のいずれか又はその組合せを行う。
(1)ONUが、当該波長での下り信号の宛先ONUを下り信号のLLID等で、当該波長で通知される上り信号の送信許可をゲートメッセージ(Gate Message)中の許可対象のIILD等のONUを識別する番号でモニタリングを実施する。
(2)OLTがONUに依頼し、(1)のモニタリングを実施する。
(3)ONUがOLTにモニタリングを依頼して、OLTがその結果をONUに伝達する。
(4)OLTが定期的にモニタリングして、その結果を定期的或いは依頼のある場合或いは輻輳した波長で通信中等の該当するONUに伝達する。
【0038】
図3は、(1)のモニタリングを示している。(1)のモニタリングの場合、モニタする通信状態が下り光信号のONU毎の割当帯域であれば、制御回路は、下り光信号の宛先を指示するLLID(Logical Link ID)とそのフレームの長さの積等をモニタする。また、モニタする通信状態が上り光信号のONU毎の割当帯域であれば、制御回路は、ゲートフレーム等の送信許可時間等をモニタする。なお、LLID等を用いて上り光信号或いは下り光信号のQoSを識別し、実トラフィックではなく、上位のQoSの下り信号或いは上り信号の送信許可が多い波長を輻輳状態として検出してもよい。
【0039】
制御回路が通信状態をモニタすることで、ONU100は輻輳が軽い波長を検出する。つまり、掃引した波長毎の通信状態を比較し、掃引した波長の中で、輻輳が軽い波長又は通信状態がある閾値以下である場合に、その波長グリッドを候補と判定し、チューナブルフィルタ18をその波長に選択する。
【0040】
ここで、ある閾値とは固定的に設定してもよいし、PON全体で通信中のONU数や掃引した波長で通信中のONU数その他の通信状態から設定してもよいし、当該ONUが過去に通信していた際の通信状態であってもよい。また、所定の閾値以下となる波長が複数ある場合、以下のような所定の規則によって、波長選択を行う。
(a)モニタリングで閾値以下であることを最初に検出した波長
(b)複数の波長からランダムに選択
(c)現在の波長に応じた順序(現在の波長を種にしたランダムな順序)
(d)ONUに応じた順序(ONU番号等を種にしたランダムな順序)
(e)収容するQoS(Quality of Service)に応じた順序
(f)時間当たりの切替失敗回数や切替回数に応じた順序(回数を種にした順序)
【0041】
さらに制御回路は、選択した下り波長に応じて、上り波長を選択する。例えば、Wavelength Division Duplexやtime division duplexの場合、制御回路は、上り下り同一波長を選択する。また、下り光信号と上り光信号とは異なる波長のペアを組んでおり、制御回路は、このペアに応じた上下で別波長を選択してもよい。例えば、下りのLバンドの所定の波長1と上りの1310nm、下りのLバンドの所定の波長2と上りの1290nmとすることができる。ペアは常時固定としてもよく、何かの契機で適宜変更してもよい。
【0042】
・ステップS2 登録待機
下り光信号の波長を選択すると、ONU100はその波長でOLT200に登録要請し、登録を待機する。
【0043】
OLT200は、新規にONUを登録してよい波長で定期的又は臨時のONUのディスカバリ又はレンジング操作に従って、未登録のONUに対して登録処理を行う。
【0044】
ディスカバリ又はレンジング操作は、IEEE802.3やITU−T寄書G.983シリーズ及びG984シリーズで規定される。以下、図4を用いて、IEEE802.3のディスカバリ操作について説明するが、その他の方法でも同様である。ディスカバリ操作は、OLT200−ONU100間の往復時間の測定と、フレーム取捨選択に必要なONUに識別番号LLIDを付与する登録である。OLT200は新たにONUがいつPONに接続されてもよいように、定期的にONUに対して、ディスカバリゲートメッセージ(Discovery_GATE Message)を送信する。ディスカバリゲートメッセージには、ディスカバリタイムウインドウ(Discovery Time Window)の長さと開始時間と当該メッセージの送信時刻が示されている。ディスカバリゲートメッセージを受け取ったONUは、このメッセージのタイムスタンプで示される当該メッセージの送信時刻に自分の時計を合わせる。ONUは上り時の衝突を避けるためディスカバリゲートメッセージで指示された送信開始時刻にランダム時間を加えた時刻に、その時刻のタイムスタンプを書き込んでレジスタリクエストメッセージ(Register_REQ Message)で応答する。OLTは、受け取ったレジスタリクエストメッセージの到着時刻の測定値とレジスタリクエストメッセージのタイムスタンプからONUまでの往復時間を得る。OLTは、LLIDを決定し、そのLLIDをレジスタメッセージ(Register Message)によりONUに通知する。更にOLTは、次の上りタイミングをこのLLIDで指定したゲートメッセージ(GATE Message)によりONUに通知する。ゲートメッセージには、当該ゲートメッセージの送信時刻と、通信を許可する送信開始時刻と送信許可の継続時間が示されている。ONU100Cは、受け取ったゲートメッセージに基づいて、指示された送信開始時刻から継続時間が経過するまでの間に、レジスタAckメッセージ(Register_ACK Message)で応答する。
【0045】
ONU100が待機する波長がOLT200側で新規にONUを登録してよい波長で無い場合や、衝突等により正常にディスカバリ又はレンジング操作が実行されなかった場合、OLT200は登録しない。
【0046】
ONU100は、図4の設定作業1のように、ある一定時間内にディスカバリゲートメッセージが到着せず登録されなかった場合、図4の設定作業2のように、設定作業を最初から再試行する。
【0047】
なお、再試行に際して、選択候補となる軽輻輳波長が複数、軽輻輳波長検出のステップで検出されていた場合は、通信状態の更新はできないが、選択していない選択候補となる軽輻輳波長から選択することで、軽輻輳波長検出のステップをスキップしてもよい。
【0048】
図4の設定作業1ではOLTからのディスカバリゲートメッセージがONUに到着していない例で示しているが、到着していても設定作業2のように最終的にレジスタメッセージがOLTから到着していなければ同様である。一定時間として、ディスカバリ操作が行われている場合は、接続するONUを登録するに必要なディスカバリの回数が実施される時間以上あることが望ましい。逆に、登録待ちの波長でディスカバリ又はレンジング操作自体が一定の時間の間全く実施されない場合は、送信許可なしに上り信号を送信し、送信許可と異なる時間に到着した上り信号光又は他のONUの上り信号と衝突した上り信号光の受信により、OLT200に異常を検出させディスカバリ又はレンジング操作を促すとしてもよい。
【0049】
なお、登録が解除された又は過去に登録されなかった波長がある場合、その波長以外でステップ1のモニタを行ない、軽輻輳波長検出を行うとしてもよい。この場合、モニタすべき波長数が軽減できる効果がある。但し、このモニタの除外は、時間経過やステップS1とステップS2の繰り返しで、全ての波長が除外の対象となったり、ある所定の時間が経過が経過したりしたことを契機に終了するのが望ましい。ある所定の時間としては、例えば、伝送対象とするトラフィックの輻輳状態が変化するに要する時間が経過した後が望ましい。例えば、映画等のコンテンツの視聴が主なトラフィックであれば、視聴に要する時間、電話等のコミュニケーションのトラフィックが主であれば、コミュニケーションの継続時間等である。モニタの除外の代わりに、除外する対象の波長のモニタ順序を後ろに回すとしてもよい。これは特に、ある閾値に従って候補を選択する場合に適する。
【0050】
以上説明したように、光通信システム301は、波長毎の通信状態をモニタし、輻輳が少ない波長を検出して、当該波長にてOLT200からの登録を待つため、OLT200からの送信許可に従った処理で、トラフィックの平準化が可能な波長を設定することができる。
【0051】
なお、制御回路は、ONUの帯域割当が所定値を下回った際に自動的に設定作業を開始しても良く、ユーザの操作に基づいて設定作業を開始してもよい。また、同時期に、複数のONUから波長登録要請があった場合、同じ波長を重複して割り当てると、トラフィックの平準化という目的が達成できなくなることがある。この場合、以下の2つの制御のうち一方を行う。
(i)ONUの帯域割当が少ないため、再度設定作業が行われる。
(ii)既存のMACレイヤの制御にかかわる通信を用いて、波長の割り振りを行う(例えば、特願2009−298244)。
【0052】
なお、光通信システム301は、ONU100の数およびONU100とOLT200の送受信機(16、17、26、27)の数が増減してもよいし、波長分割多重する波長の数も任意である。また、ONU毎の送受する波長はそれぞれ1波長としたが、複数波長としてもよい。以上の説明では、光通信システム301をPONとして説明したが、光スイッチを備える光通信システムでも、1対N接続ではない1対1接続の光通信システムであってもよい。これは以降の実施形態でも同様である。
【0053】
(実施形態2)
図2は、実施形態2の光通信システム302を説明する概念図である。光通信システム302と図1の光通信システム301との違いは、ONU100を波長に振り分けて収容する代わりに、方路に振り分けて収容する点において相違する。なお、実施形態2では、すでに実施形態1で説明した部分と同一あるいは略同一である部分の説明を省略する。
【0054】
光通信システム302は、複数のONU100と、ONU100毎に光伝送路で接続され、ONU100から要請された下り光信号と上り光信号の方路(H1、H2)の登録処理を行ない、ONU100との間で芯線多重且つ時分割多重で光信号を送受するOLT200と、を備える。例えば、複数のONU100と一つのOLT200との間で時間領域及び複数の方路(H1、H2)である芯線を共用して信号光を送受信するPONである。
【0055】
OLT200は、複数の送信機27からの信号光をそれぞれの方路(H1、H2)で送信し、複数方路(H1、H2)からの信号光をそれぞれ受信機26で受信する。
【0056】
ONU100は、光伝送路50でOLT200と接続され、OLT200との間で芯線多重且つ時分割多重で光信号を送受する光送受信機と、制御回路(不図示)を有する。送信機17は、送信方路として選択可能な複数の芯線のうちのそれぞれ1方路を選択して送信する。図では2方路を切替器31により選択する図としているが、2系統の送受信機を具備して、いずれかを使用するとしてもよい。
【0057】
制御回路は、光送受信機が受信する下り光信号から、方路毎の通信状態をモニタし、通信状態に基づき最も輻輳が軽い方路、あるいは所定の閾値以下の輻輳である通信状態の方路を検出し、該方路を選択する。制御回路は、上り信号の方路について、下り光信号に選択した方路に対応する方路を上り光信号用として選択してもよいし、下り光信号で通知される送信許可から上り光信号の通信状態をモニタし、その通信状態に基づき最も輻輳が軽い方路、あるいは所定の閾値以下の輻輳である通信状態の方路を検出し、該方路を選択しても良い。下り光信号と上り光信号に選択した方路をOLT200に登録を要請する設定作業を行う。制御回路は、実施形態1で説明したように下り方向の光信号と上り方向の光信号とを判断してもよい。
【0058】
ONU100が通信で使用する方路を設定する動作は、図1の光通信システム301の説明で波長を方路に置き換えたものと同様である。すなわち、方路毎の通信状態をモニタし軽輻輳方路を検出する軽輻輳方路検出、OLT200からの方路毎の登録を待機する登録待機の2ステップによって設定する。
【0059】
・ステップS1:軽輻輳方路検出
受信機16を掃引し、各方路の通信状態をモニタする。通信状態とは、方路毎の使用帯域の合計値、通信中のONU数、ONU毎の帯域、ONU毎の平均帯域、ONU毎の最大帯域、ONU毎の最小帯域、ONU毎の割当帯域比、ONU毎の割当間隔遅延等である。通信状態をモニタすることにより、ONU100は下り通信量の輻輳が軽い方路を検出する。通信状態のモニタは、実施形態1で説明した4つの方法のいずれか又はその組合せを行う。
【0060】
・ステップS2 登録待機
下り光信号を受信する方路を選択すると、ONU100はその方路でOLT200からの登録を待機する。
【0061】
OLT200は、新規にONUを登録してよい方路で定期的又は臨時のONUのディスカバリ又はレンジング操作に従って、未登録のONUに対して登録処理を行う。
【0062】
ONU100が待機する方路がOLT200側で新規にONUを登録してよい方路で無い場合や、衝突等により正常にディスカバリ又はレンジング操作が実行されなかった場合、OLT200は登録しない。また、ONU100は、ある一定時間内に登録されなかった場合には、設定作業を最初から再試行する。なお再試行に際して、選択候補となる軽輻輳方路が複数、軽輻輳方路検出のステップで検出されていた場合は、通信状態の更新はできないが、選択していない選択候補となる軽輻輳波長から選択することで、軽輻輳方路の検出のステップをスキップしても良い。
【0063】
光通信システム302は、方路毎の通信状態をモニタし、輻輳が少ない方路を検出して、当該方路にてOLT200からの登録を待つため、OLT200からの送信許可に従った処理で、トラフィックの平準化が可能な方路を設定することができる。
【0064】
なお、光通信システム302は、ONU100の数およびONU100とOLT200の送受信機(16、17、26、27)の数が増減してもよいし、芯線多重する方路の数も任意である。また、ONU毎の送受する芯線はそれぞれ1芯線としたが、複数芯線としてもよい。
【0065】
(実施形態3)
実施形態3の光通信システム303は、図2の光通信システム302の構成においてさらに波長分割多重も行う。
【0066】
光通信システム303は、複数のONU100と、ONU100毎に光伝送路50で接続され、ONU100から要請された下り光信号と上り光信号の波長と方路の組合せの登録処理を行ない、ONU100との間で波長分割多重、芯線多重且つ時分割多重で光信号を送受するOLT200と、を備える。例えば、複数のONUと一つのOLTとの間で時間領域及び複数の方路である芯線と波長を共用して信号光を送受信するPONである。
【0067】
OLT200の複数の波長の送信機27からの信号光を光合分波器25で合波し、それぞれの方路で送信し、複数方路からの信号光をそれぞれ分波で分波してそれぞれ受信機26で受信する。
【0068】
ONU100は、光伝送路50でOLT200と接続され、OLT200との間で波長分割多重、芯線多重且つ時分割多重で光信号を送受する光送受信機と、制御回路(不図示)を有する。送信機17は、送信方路として選択可能な複数の波長と方路の組合せのうちのそれぞれ1組合せを選択して送信する。
【0069】
さらに、ONU100は、光合分波器15と、チューナブルフィルタ18を有する。光合分波器15は、光伝送路50からの方路毎の下り光信号を受信機16に結合し、送信機17からの上り光信号を光伝送路50のうちの選択した方路に結合する。チューナブルフィルタ18は、選択した方路の下り光信号のうち、所定の波長の光信号のみを透過させることができる。そして、チューナブルフィルタ18は、透過させる光信号の波長を調整することができる。このため、ONU100は、受信波長として選択可能な波長を選択して受信でき、下り光信号の波長毎の通信状態をモニタすることができる。
【0070】
OLT200は、光伝送路50からの光を方路毎に波長毎に分波する光合分波器25と、光合分波器25からの信号光をそれぞれ受光する複数の受信機26と、方路毎にそれぞれ異なる波長の信号光を送信する複数の送信機27を有する。光合分波器25は、例えば、波長フィルタであり、送信機27からの信号光を方路毎に光伝送路50へ出力し、光伝送路50からの信号光を受信機26に結合する。受信機26は、例えば、フォトダイオードである。
【0071】
制御回路は、光送受信機が受信する下り光信号から、波長と方路の組合せ毎の通信状態をモニタし、通信状態に基づき最も輻輳が軽い波長と方路の組合せ、あるいは所定の閾値以下の輻輳である通信状態の波長と方路の組合せを検出し、該波長と方路の組合せを選択する。制御回路は、上り信号の波長と方路の組合せについて、下り光信号に選択した波長と方路の組合せに対応する波長と方路の組合せを上り光信号用として選択してもよいし、下り光信号で通知される送信許可から上り光信号の通信状態をモニタし、その通信状態に基づき最も輻輳が軽い波長と方路の組合せ、あるいは所定の閾値以下の輻輳である通信状態の波長と方路の組合せを検出し、該波長と方路の組合せを選択しても良い。下り光信号と上り光信号に選択した波長と方路の組合せをOLT200に登録を要請する設定作業を行う。制御回路は、実施形態1で説明したように下り方向の光信号と上り方向の光信号とを判断してもよい。
【0072】
ONU100が通信で使用する波長と方路の組合せを設定する動作は、図2の光通信システム302の説明で方路を波長と方路の組合せに置き換えたものと同様である。すなわち、軽輻輳な波長と方路の組合せの検出、OLT200からの波長と方路の組合せ毎の登録を待機する登録待機の2ステップによって設定する。
【0073】
・ステップS1:軽輻輳波長と方路の組合せ検出
受信機16をと光フィルタ18を掃引し、波長と方路の各組合せの通信状態をモニタする。通信状態とは、波長と方路の組合せ毎の使用帯域の合計値、通信中のONU数、ONU毎の帯域、ONU毎の平均帯域、ONU毎の最大帯域、ONU毎の最小帯域、ONU毎の割当帯域比、ONU毎の割当間隔遅延等である。通信状態をモニタすることにより、ONU100は下り通信量の輻輳が軽い波長と方路の組合せを検出する。通信状態のモニタは、実施形態1で説明した4つの方法のいずれか又はその組合せを行う。
【0074】
・ステップS2 登録待機
下り光通信を受信する波長と方路の組合せを選択すると、ONU100はその組合せでOLT200からの登録を待機する。
【0075】
OLT200は、新規にONUを登録してよい波長と方路の組合せで定期的又は臨時のONUのディスカバリ又はレンジング操作に従って、未登録のONUに対して登録処理を行う。
【0076】
ONU100が待機する波長と方路の組合せがOLT200側で新規にONUを登録してよい波長と方路の組合せで無い場合や、衝突等により正常にディスカバリ又はレンジング操作が実行されなかった場合、OLT200は登録しない。また、ONU100は、ある一定時間内に登録されなかった場合には、設定作業を最初から再試行する。
【0077】
なお、再試行に際して、選択候補となる軽輻輳波長が複数、軽輻輳波長検出のステップで検出されていた場合は、通信状態の更新はできないが、選択していない選択候補となる軽輻輳波長から選択することで、軽輻輳波長検出のステップをスキップしてもよい。
【0078】
光通信システム303は、波長と方路の組合せ毎の通信状態をモニタし、輻輳が少ない波長と方路の組合せを検出して、当該波長と方路の組合せにてOLT200からの登録を待つため、OLT200からの送信許可に従った処理で、トラフィックの平準化が可能な波長と方路の組合せを設定することができる。
【0079】
なお、光通信システム303は、ONU100の数およびONU100とOLT200の送受信機(16、17、26、27)の数が増減してもよいし、波長と方路の組合せの数も任意である。また、ONU毎の送受する波長と方路の組合せはそれぞれ1としたが、複数としてもよい。
【0080】
(他の実施形態)
なお、以上説明した実施態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の構成を備え、目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としても問題はない。本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良は、本発明に含まれるものである。
【0081】
例えば、情報伝達媒体は、光通信システム301では波長、光通信システム302では方路であったが、他の分割多重の技術、例えば、光符号、OFDMの一つのビン、偏波、位相であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、PONに適用される光通信システム関連の技術分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0083】
15、25:光合分波器
16、26:受信機
17、27:送信機
18:チューナブルフィルタ
31:光スイッチ
50、50(H1)、50(H2):光伝送路
55:光スプリッタ
H1、H2:方路
100:ONU
200:OLT
301、302:光通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光伝送路で局側装置と接続され、前記局側装置との間で波長分割多重且つ時分割多重、芯線多重且つ時分割多重、又は波長分割多重、芯線多重且つ時分割多重で光信号を送受する光送受信機と、
前記光送受信機が受信する光信号について、波長毎、方路毎、又は波長と方路の組合せ毎に通信状態をモニタし、
前記通信状態に基づき最も輻輳が軽い波長、方路、又は波長と方路の組合せ、あるいは所定の閾値以下の輻輳である前記通信状態の波長、方路、又は波長と方路の組合せを検出し、
検出した波長、方路、又は波長と方路の組合せを選択し、
前記選択した波長、方路、又は波長と方路の組合せを前記局側装置に登録待機を行う制御回路と、
を有する加入者側装置。
【請求項2】
前記制御回路は、前記波長、方路、又は波長と方路の組合せを選択した後、所定時間内に前記局側装置が前記下り光信号と前記上り光信号の波長、方路、又は波長と方路の組合せを登録することが不可能であった場合、選択する波長、方路、又は波長と方路の組合せを変更することを特徴とする請求項1に記載の加入者側装置。
【請求項3】
前記制御回路は、
前記所定時間内に前記局側装置が加入者装置の登録を不実施であることを検出した場合、
前記光送受信機に対し、前記局側装置からの送信許可のない状態で、選択した波長、方路、又は波長と方路の組合せの上り光信号を前記局側装置へ送信させることを特徴とする請求項1又は2に記載の加入者側装置。
【請求項4】
過去に前記局側装置が登録を解除又は拒否した前記下り光信号と前記上り光信号の波長、方路、又は波長と方路の組合せを記憶する記憶回路をさらに有し、
前記制御回路は、
前記記憶部が記憶する前記下り光信号の波長、方路、又は波長と方路の組合せを除外して前記設定作業を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の加入者側装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の複数の加入者側装置と、
前記加入者側装置毎に光伝送路で接続され、前記加入者側装置から要請された前記下り光信号と前記上り光信号の波長、方路、又は波長と方路の組合せの登録処理を行ない、前記加入者側装置との間で波長分割多重且つ時分割多重、芯線多重且つ時分割多重、又は波長分割多重、芯線多重且つ時分割多重で光信号を送受する局側装置と、
を備える光通信システム。
【請求項6】
局側装置と複数の加入者側装置とが光伝送路で接続され、前記加入者側装置と前記局側装置との間で波長分割多重且つ時分割多重、芯線多重且つ時分割多重、又は波長分割多重、芯線多重且つ時分割多重で光信号を送受する際に、
前記加入者側装置が受信する光信号について、波長毎、方路毎、又は波長と方路の組合せ毎に通信状態をモニタし、
前記通信状態に基づき最も輻輳が軽い波長、方路、又は波長と方路の組合せ、あるいは所定の閾値以下の輻輳である前記通信状態の波長、方路、又は波長と方路の組合せを検出し、
検出した波長、方路、又は波長と方路の組合せを選択し、
前記選択した波長、方路、又は波長と方路の組合せを前記局側装置に登録を行う光通信方法。
【請求項7】
前記波長、方路、又は波長と方路の組合せを選択した後、所定時間内に前記局側装置が前記下り光信号と前記上り光信号の波長、方路、又は波長と方路の組合せを登録することが不可能であった場合、選択する波長、方路、又は波長と方路の組合せを変更することを特徴とする請求項6に記載の光通信方法。
【請求項8】
前記所定時間内に前記局側装置が加入者装置の登録を不実施であることを検出した場合、
前記加入者側装置に対し、前記局側装置からの送信許可のない状態で、選択した波長、方路、又は波長と方路の組合せの上り光信号を前記局側装置へ送信させることを特徴とする請求項6又は7に記載の光通信方法。
【請求項9】
過去に前記局側装置が登録を解除又は拒否した前記下り光信号と前記上り光信号の波長、方路、又は波長と方路の組合せを除外して前記設定作業を行うことを特徴とする請求項6から8のいずれかに記載の光通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−228800(P2011−228800A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94265(P2010−94265)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】