説明

加入者端末

【課題】 リアルタイムサービスの測定結果に基づいた課金情報であることを把握できる加入者端末を提供すること。
【解決手段】 無線基地局100との間の無線通信品質を測定する測定手段204と、測定結果を無線基地局100に送信し、当該測定結果に基づいた課金情報を受信する無線手段202と、無線手段202で測定結果を無線基地局100へ送信したときに、課金情報の受信、及び、当該受信した課金情報の報知、の各処理を実行するように制御する制御手段203と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VoIP(Voice over Internet Protocol)等によるリアルタイムサービスに用いて好適な加入者端末に関する。
【背景技術】
【0002】
リアルタイムサービスは、加入者端末において有料課金情報を購入することで、当該加入者に対してサービスを提供するものである。このようなサービスでは、その有料課金情報の品質がリアルタイム性能に大きく依存するため、当該有料課金情報の品質を適切に測定し、その結果を課金情報に反映させることが望まれる。
【0003】
このような背景において、従来では、リアルタイムサービスにおける品質を測定するためのシステムとして、ATM交換システムにおけるモニタシステムやVOIPテストシステムなどが知られている。
【0004】
従来のATM交換システムは、モニター機能を有しており、任意の2加入者間の通信情報を通過セルとして抽出し、品質やトラヒックの有無を確認している。音声通話に関する通話品質の確認には、セル廃棄率やセル遅延時間を計測してそれぞれの数値に基づき確認していた。また、通話音声をATM回線上でモニターする場合には、通過セルを抽出して通話音声に復元し録音する。そして、この録音した音声を再生することによってモニターを行っている(例えば、特許文献1参照)。例えば、「ディーリング端末」からの「モニターキー」押下により、まず録音が始まり、続いて「通話ボタン」の押下によって、通話が開始される。このように、通話者であるディ―ラの意志によって「録音開始」と「通話開始」が設定される。
【0005】
また、従来のVOIPテストシステムは、IP網における通話品質を測定することができる。測定可能な項目は、パケット連続記録、パケット詳細表示、発信番号、着信番号、RTP(Real-time Transport Protocol)パッケトのロスト、ジッタ、ディレイと、これらのネットワーク伝送特性により影響を受けた通話音質を音声データの録音、再生によりPSQM値、PSQM+値、MOS相関値、R値に基づき評価する。また、波形観察、音声再生の確認ができる。
【特許文献1】特開2001−237845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来のシステムでは、加入者端末において、リアルタイムサービスの測定結果に基づいた課金情報であるのかが把握できないという問題がある。このため、加入者端末側では、どの程度の品質の影響が課金に及んでいるのかが分からないので、結果として、当該サービスのアルタナティブな品質保証に貢献しないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、リアルタイムサービスの測定結果に基づいた課金情報であることを把握できる加入者端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の加入者端末は、無線基地局との間の無線通信品質を測定する測定手段と、該測定手段の測定結果を前記無線基地局に送信する送信手段と、コンテンツなどの情報サービスの配信要求を行う要求手段と、前記送信した前記無線通信品質に基づいて算出された前記情報サービスの課金情報を受信する受信手段と、前記課金情報を報知する報知手段と、前記送信手段で前記測定結果を前記無線基地局へ送信したとき、前記受信手段による前記課金情報の受信、及び、前記報知手段による報知を実行するように制御する制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の加入者端末は、コンテンツなどの情報サービスの配信要求を行う要求手段と、前記要求手段による配信要求によって前記無線通信装置との間の無線通信品質が測定され、当該測定された無線通信品質に基づいて算出された前記情報サービスの課金情報を受信する受信手段と、前記課金情報を報知する報知手段と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の加入者端末は、前記報知情報で報知される前記課金情報は、前記無線通信品質を示す情報を含む、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、無線基地局との間の無線通信品質に基づいて算出された情報サービスの課金情報を受信し、受信した課金情報を報知することができる。したがって、情報サービスの測定結果に基づいた課金情報であることを把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態による加入者端末を含んだ、リアルタイムサービス測定システムの構成を示すブロック図である。図1において、加入者端末100はIP通信機能を有する無線電話端末等の携帯端末である。この加入者端末100はVOIPなどのリアルタイムサービスに対応している。無線基地局101は加入者端末100と無線通信し、IPパケットを無線プロトコルで伝送する。また、その無線区間では伝送帯域のユーザ共有のメカニズムにより伝送帯域の配分が行われる。この配分は、ユーザのリクエストと、通信状況特に再送の状況や電波状況のCI値、電波強度等に基づいて行われる。基地局制御装置103は制御専用線105を介して無線基地局101を制御する。
【0014】
パケット測定装置102は、無線基地局101に接続されており、無線基地局101と加入者端末100の間で送受されるパケットをモニターすることができる。そして、無線基地局101を介して基地局制御装置103からモニターの指示を受け取る。このモニターの指示により、その指示内容に含まれる特定の加入者端末100への送信パケットの遅延、揺らぎ、スループット、優先度を測定する。また、パケット測定装置102は、インターネット網106に接続されており、基地局制御装置103からの指示により、測定結果をリアルタイム性能測定装置107に送信する。また、パケット測定装置102は、リアルタイム性能測定装置107からのリアルタイムモニターサービス要求を、基地局制御装置103を介して受信する。
【0015】
ベストエフォート型のインターネットにおいても、それぞれのアプリケーションが必要とする通話品質を提供することは重要である。通信網に於ける通信品質の要素には、遅延、揺らぎ、スループット、優先度の4つがある。これらの測定は、パケット測定装置102によって行われる。
【0016】
リアルタイムサービスHTTPサーバ104は、VOIPのゲートキーパやストリーミング番組の配信等を行う。リアルタイム性能測定装置107は、予め定められた条件で、パケット測定装置102とともにリアルタイム性能を測定し、記録する。
【0017】
次に、図2を参照して、上記図1のリアルタイムサービス測定システムの動作を説明する。図2は、図1に示すリアルタイムサービス測定システムが行う品質測定処理の流れを示すフローチャートである。
【0018】
リアルタイムサービスHTTPサーバ104は、加入者端末100からのリアルタイムサービス要求を受信すると、その要求をリアルタイム性能測定装置107に渡す。リアルタイム性能測定装置107は、そのリアルタイムサービス要求を受け取ると(ステップS1「YES」)、受信した要求内容を解析する。この解析の結果、モニター条件に適合すれば(ステップS2「YES」)、要求元情報を記録し(ステップS3)、基地局制御装置103にモニターを行うようモニター設定要求を送信する(ステップS4)。
【0019】
次いで、ステップS5では、無線基地局103におけるリアルタイムパケットのモニターが行われる。以下、このモニター処理を説明する。
【0020】
リアルタイム性能測定装置107は、例えば地域、時刻、アクセス頻度を測定開始の条件とするリアルタイムサービス(例えばコンテンツなどの特定番組、特にコマーシャルや、VOIPの通話)に対して、性能測定を開始するための処理を行う。この測定開始指示は、上記モニター設定要求として、インターネット網106に接続されている基地局制御装置103に送信され、基地局制御装置103は制御専用線105を介して無線基地局101に送信され、無線基地局101からパケット測定装置102に送信される。
【0021】
パケット測定装置102は、受信した要求内容に従って、無線基地局103におけるリアルタイムパケットのモニターを行い、リアルタイムパケットの遅延、揺らぎ、スループット、優先度を測定する。また、無線基地局101は、CI値及び電波強度及び配分情報を追加情報として、パケット測定装置102へ送信する。次いで、パケット測定装置102は、自己の測定値と無線基地局101から受信した追加情報を、リアルタイム性能測定装置107にインターネット網106を介して送信する。リアルタイム性能測定装置107は、パケット測定装置102から受信した測定値及び追加情報と、リアルタイムサービスHTTPサーバ104から取得した要求元情報とを対応付けて記録する。これにより、後の閲覧が効率よく行える。
【0022】
上述したように本実施形態によれば、無線区間を含むIP網において、VOIPによる通話やストリーミングによる映像または音声の配信等のリアルタイムサービスの実際の運用状態における品質を測定することができる。特に、無線区間を含み、帯域変動の大きいHDR等の無線インターネットにおける品質保証に用いれば有用である。
【0023】
なお、パケット測定装置102の各測定項目(遅延、揺らぎ、スループット、優先度)の測定結果には、統計数値と、再現試験ができる測定値とがある。例えば、加入者端末モデルに配信コマーシャルを再現再生し、その品質について、数値と印象の両方に基づいて評価することができる。これにより、通常、通信の専門家ではない、コマーシャルのクライアント等に対して実施状況を説明する場合に、パケット測定装置102の測定結果は配信頻度と共に有用な評価データとなる。
【0024】
また、加入者端末100において有料課金情報を購入した際に、その情報の品質がリアルタイム性能に大きく依存する場合、本発明によるリアルタイムサービス測定システムによりそのリアルタイム性能測定データを取得するようにする。そして、当該情報の提供品質に基づいて課金を判定するようにしてもよい。そして、課金を判定した場合には、無線基地局101を介して、加入者端末100にその旨の情報を通知して、加入者端末において「ご利用頂いたコンテンツは品質が悪かったため課金は行いません」、「今回のコンテンツ料金は50%off」等の報知(表示や音声出力など)を行うことができる。このように、本発明によるリアルタイムサービス測定システムは、アルタナティブな品質保証を行うことも可能である。
【0025】
図3は、加入者端末100の構成を示す構成を示すブロック図である。図3において、加入者端末100は、アンテナ201と無線手段202と制御手段203と測定手段204と表示手段205と操作手段206と音声入出力手段207と記憶手段208とを有する。
【0026】
無線手段202は、アンテナ201を介して無線基地局との間で無線信号を送受信する。制御手段203は加入者端末100の各部を制御する。測定手段204は、無線基地局との間の無線通信品質を測定する。表示手段205は液晶表示パネルおよび表示制御回路から構成される。操作手段206はテンキー、各種ファンクションキー等の入力キーから構成される。音声入出力手段207はマイク及びスピーカから構成される。記憶手段208は、制御手段203によりアクセスされ、各種データを記憶する。
【0027】
制御手段203は、無線手段202によりコンテンツなどの情報サービスの配信要求を行う。また、測定手段204による無線通信品質の測定結果を無線手段202により無線基地局に送信する。そして、その送信した無線通信品質に基づいて算出された情報サービスの課金情報を無線手段202により受信する。そして、該受信した課金情報を、表示手段205による表示または音声入出力手段207による音声出力によって報知する。
【0028】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態による加入者端末を含んだ、リアルタイムサービス測定システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すリアルタイムサービス測定システムが行う品質測定処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】加入者端末100の構成を示す構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0030】
100:加入者端末、 101:無線基地局、
102:パケット測定装置、 103:基地局制御装置、
104:リアルタイムサービスHTTPサーバ、
105:制御専用線、 106:インターネット網、
107:リアルタイム性能測定装置、
201:アンテナ、 202:無線手段、
203:制御手段、 204:測定手段、
205:表示手段、 206:操作手段、
207:音声入出力手段、 208…記憶手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局との間の無線通信品質を測定する測定手段と、
該測定手段の測定結果を前記無線基地局に送信する送信手段と、
コンテンツなどの情報サービスの配信要求を行う要求手段と、
前記送信した前記無線通信品質に基づいて算出された前記情報サービスの課金情報を受信する受信手段と、
前記課金情報を報知する報知手段と、
前記送信手段で前記測定結果を前記無線基地局へ送信したとき、前記受信手段による前記課金情報の受信、及び、前記報知手段による報知を実行するように制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする加入者端末。
【請求項2】
コンテンツなどの情報サービスの配信要求を行う要求手段と、
前記要求手段による配信要求によって前記無線通信装置との間の無線通信品質が測定され、当該測定された無線通信品質に基づいて算出された前記情報サービスの課金情報を受信する受信手段と、
前記課金情報を報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする加入者端末。
【請求項3】
前記報知情報で報知される前記課金情報は、前記無線通信品質を示す情報を含む、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の加入者端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−336575(P2007−336575A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−196312(P2007−196312)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【分割の表示】特願2003−13449(P2003−13449)の分割
【原出願日】平成15年1月22日(2003.1.22)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】