説明

加工シミュレーション装置および最適工程決定装置

【課題】データ量の増大を抑制し、被加工物の形状をより高精度にシミュレーションすることが可能な加工シミュレーション装置および最適工程決定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】加工シミュレーション装置20,120は、被加工物形状記憶手段11と工具情報更新手段21とを備える。被加工物形状記憶手段11は、基準平面Stに所定間隔Tsで配置された複数の点Psにそれぞれ関連付けられた工具情報に基づいて被加工物Wと工具の掃引形状を取得し、当該掃引形状により被加工物Wの加工面Swを表現して記憶する。工具情報更新手段21は、工具による加工により点Psにおける加工面Swの高さが低下する場合に、加工面Swを加工する工具の工具情報を被加工物形状記憶手段11の点Psに関連付けて更新する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械により加工する場合の加工シミュレーション装置および加工するための最適工程決定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最適工程決定装置は、工作機械により素材形状から製品形状に加工するために最適工程を決定する装置である。例えば、特許文献1には、複数の工程候補の中から所定の条件により工程候補を選定するとともに配列し、総加工時間が最短となる工程順序候補を最適工程として決定する方法が開示されている。加工シミュレーション装置は、最適工程決定装置が最適工程を決定する際に、加工工程の前後における形状をシミュレーションする装置である。加工シミュレーション装置は、その他に、CAMが製品形状や各加工条件などに基づいて生成した工具の加工経路であるCLデータ、工作機械による加工を行うための複数の位置指令値からなるNCデータをシミュレーションし、各データの評価や最適化などに使用される。このような加工シミュレーション装置において、被加工物を表現するデータ形式として、加工面を多面体で近似する方法など種々の形式が知られている。例えば、特許文献2には、格子状に分割したX−Y平面の各区画に加工面高さ情報を付加する方法(Zマップ形式)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−105874号公報
【特許文献2】特開2005−56307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような各種のデータ形式は、被加工物の形状をシミュレーションする際に近似誤差がそれぞれ生じることになる。例えば、上記のZマップ形式において、X−Y平面を分割する間隔と加工経路における工具の移動距離の関係から、実際には切削されない被加工物の部位を切削されるものと誤認することがある。これにより、ある加工経路による除去体積の算出や加工負荷の推定などに誤差が生じると、上記各データの評価や最適工程の決定などに影響するおそれがある。よって、加工シミュレーションにおける判定や表示などの各処理を適切に行うためには、表示精度が高い方が好適である。しかし、上記間隔を縮小するなど各種のデータ形式における表示精度を高く設定すると、近似誤差が小さくなる一方で、全体としてのデータ量が増大し、各処理に要する時間が延びてしまうという問題があった。
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、データ量の増大を抑制し、被加工物の形状をより高精度にシミュレーションすることが可能な加工シミュレーション装置および最適工程決定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(加工シミュレーション装置)
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、工作機械により被加工物を加工する場合の加工シミュレーション装置において、被加工物形状記憶手段と、工具情報更新手段と、を備えることである。被加工物形状記憶手段は、加工面の高さの基準として設定された基準平面に所定間隔で配置された複数の点と、複数の当該点にそれぞれ関連付けられた工具の位置情報および形状情報を有する複数の工具情報と、を有する。さらに、被加工物形状記憶手段は、前記工具情報に基づいて各前記点における前記被加工物と前記工具の掃引形状をそれぞれ取得し、複数の当該掃引形状により前記被加工物の加工面を表現して記憶する。工具情報更新手段は、前記工具による加工により前記点における前記加工面の高さが低下する場合に、当該加工面を加工する前記工具の前記工具情報を前記被加工物形状記憶手段の前記点に関連付けて更新する。
【0007】
請求項2に係る発明の特徴は、請求項1において、前記工具情報は、複数の前記点にそれぞれ関連付けられるとともに、前記被加工物に相対する前記工具の姿勢情報を有し、前記被加工物形状記憶手段は、前記工具情報に基づいて取得する前記掃引形状により、前記被加工物に相対する前記工具による加工により形成される前記加工面を表現して記憶することである。
【0008】
請求項3に係る発明の特徴は、請求項2において、前記被加工物形状記憶手段は、前記基準平面に対して所定角度だけ傾斜した旋回平面に所定間隔で配置された複数の旋回点を有し、前記旋回点から前記旋回平面の法線方向に位置する前記加工面を検出し、当該加工面を前記掃引形状により表現するために前記基準平面の前記点に関連付けられた前記工具情報を取得し、当該工具情報を前記旋回平面および前記所定角度に応じて変更した旋回工具情報を前記旋回点に関連付けて設定する旋回工具情報設定手段をさらに備え、前記被加工物形状記憶手段は、複数の前記旋回工具情報に基づいて各前記旋回点における前記掃引形状をそれぞれ取得し、複数の当該掃引形状により前記旋回平面における前記被加工物の前記加工面を表現して記憶することである。
【0009】
請求項4に係る発明の特徴は、請求項1〜3の何れか一項において、前記工具による加工の際に、前記被加工物形状記憶手段に記憶された前記被加工物の形状に基づいて、前記点における前記被加工物と前記工具の接触状態を取得する接触状態取得手段をさらに備えることである。
【0010】
請求項5に係る発明の特徴は、請求項1〜4の何れか一項において、前記被加工物形状記憶手段は、前記被加工物の表現精度を変換するために、前記基準平面に前記所定間隔を拡張または縮小した間隔で配置された複数の変換点を有し、前記変換点から前記基準平面の法線方向に位置する前記加工面を検出し、当該加工面を前記掃引形状により表現するために前記基準平面の前記点に関連付けられた前記工具情報を取得し、当該工具情報を前記変換点に関連付けて設定する変換工具情報設定手段をさらに備え、前記被加工物形状記憶手段は、複数の前記変換工具情報に基づいて各前記変換点における前記掃引形状をそれぞれ取得し、複数の当該掃引形状により前記基準平面における前記被加工物の前記加工面を表現して記憶することである。
【0011】
(最適工程決定装置)
上記の課題を解決するため、請求項6に係る発明の特徴は、工作機械により被加工物を加工するための最適工程決定装置であって、前記被加工物の素材形状および製品形状を記憶する形状記憶部と、複数の前記工具の情報および複数のホルダの情報をそれぞれ記憶する工具ホルダ情報記憶部と、前記素材形状から前記製品形状に加工するための、加工に使用する前記工具、前記ホルダおよび工具突出量を有する複数の個工程と、複数の当該個工程の順序とからなる最適工程を決定する最適工程決定部と、を備える。
最適工程決定部は、被加工物形状記憶手段と、工具情報更新手段と、を備えることである。被加工物形状記憶手段は、加工面の高さの基準として設定された基準平面に所定間隔で配置された複数の点と、複数の当該点にそれぞれ関連付けられた工具の位置情報および形状情報を有する複数の工具情報と、を有する。さらに、被加工物形状記憶手段は、前記工具情報に基づいて各前記点における前記被加工物と前記工具の掃引形状をそれぞれ取得し、複数の当該掃引形状により前記被加工物の加工面を表現して記憶する。工具情報更新手段は、前記工具による加工により前記点における前記加工面の高さが低下する場合に、当該加工面を加工する前記工具の前記工具情報を前記被加工物形状記憶手段の前記点に関連付けて更新する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によると、加工シミュレーション装置は、被加工物形状記憶手段により被加工物の加工面を被加工物と工具の掃引形状により表現し記憶する構成としている。この被加工物形状記憶手段は、複数の点と、この点に関連付けられた複数の工具情報とを有している。つまり、Zマップ形式のデータ形式において、高さ情報(Z値)に換えて、当該工具情報を有するものである。ここで、Zマップ形式により被加工物の形状をシミュレーションすると、特に被加工物の立ち壁の部位において加工と未加工の状態を誤認することがあった。これは、Zマップ形式において高さ情報を関連付けられる点と点の間隔に被加工物における立ち壁の部位があると、最大で上記間隔の半分だけ立ち壁の位置がずれて認識されることに起因する。
【0013】
これに対して、上記構成とすることにより、工具情報を関連付けられる点と点の間に相当する各区画の上面は、工具の掃引形状により加工面を表現される。ここで、「工具の掃引形状」とは、工具を加工経路に沿って移動させた軌跡により形成される形状である。これにより、被加工物の加工面は、被加工物と接触した工具の表面形状の一部である接触面形状を転写したような形状となる。これにより、加工シミュレーション装置は、被加工物の立ち壁の部位における加工面について、当該立ち壁を形成するように加工した工具の掃引形状で表現することになる。よって、基準平面に対して立ち壁の位置が正確に表現され、従来のZマップ形式において生じていた近似誤差を低減することができる。従って、このような部位において加工と未加工の状態をより正確に把握することができる。また、従来のZマップ形式では、各区画の上面を基準平面に平行な面により同一の所定高さに近似するため、工具の形状によっては、所定高さの上面と工具表面までの距離が近似誤差として生じていた。これに対して、本発明の加工シミュレーション装置では、被加工物の加工面が工具の掃引形状により表現されるため、上記の近似誤差を大幅に低減することができる。
【0014】
また、本発明のようなデータ形式では、基準平面において工具情報を関連付けられる複数の点を適切な間隔に設定することができる。従来のZマップ形式では高さ情報を関連付けられる点と点の間の加工面の高さは直線補間などにより推定される。そのため、加工面の高さの変動が大きい部位や工具径の小さい工具により加工を行う部位の場合には、点間距離を小さく設定する必要があった。これに対して、本発明のデータ形式では工具情報を関連付けられる点から工具半径分の領域の高さ情報を有することになる。これにより、従来の各種のデータ形式に対してデータ量の増大を抑制し、被加工物の形状をより高精度にシミュレーションすることができる。また、工具情報が有する工具の形状情報は、その加工に使用する工具の外周形状そのものとしてもよいし、工具経路を勘案した工具の軌跡を含む形状としてもよい。これにより、工具の掃引形状を取得し、被加工物の加工面をより正確にシミュレーションすることができる。
【0015】
請求項2に係る発明によると、工具情報は、工具の位置情報および形状情報に加えて、工具の姿勢情報を有する構成としている。これにより、被加工物形状記憶手段は、例えば、被加工物の高さ方向に対して傾斜した工具の移動により形成される加工面を表現して記憶する。従来のZマップ形式では、基準平面の法線方向に対する工具の姿勢に係わらず、その工具の外周面におけるZ値で被加工物の形状を近似していた。そのため、例えば、回転軸を備えた首振り型の工作機械の場合に、工具を傾斜させて加工を行っても、Zマップ形式では正確にその加工面をシミュレーションすることができなかった。これに対して、上記構成とすることにより、首振り型の工作機械により工具を傾斜して加工面を形成した場合に、被加工物に対する工具姿勢を考慮し、より正確に被加工物の形状を表現することができる。よって、加工シミュレーションの精度を向上できる。
【0016】
請求項3に係る発明によると、加工シミュレーション装置は、基準平面に対する旋回平面が傾斜した所定角度に応じて変更した旋回工具情報を旋回点に関連付けて設定する旋回工具情報設定手段を備える構成としている。これにより、被加工物形状記憶手段は、旋回平面における被加工物の加工面を表現して記憶する。従来のZマップ形式では、旋回平面を新たな基準平面として被加工物の形状をシミュレーションする場合に、旋回平面からのZ値を取得していた。この時、旋回平面からのZ値は、例えば、元の基準平面において近似誤差を含む複数のZ値を直線補間して算出した値となる。そのため、例えば、チルトテーブルなどの回転軸を備えた工作機械の場合に、チルトテーブルに載置された被加工物をZ軸に対して旋回させて加工を行っても、Zマップ形式では旋回平面のZ値の変更に伴う誤差が含まれ、その加工面を正確にシミュレーションすることができなかった。
【0017】
そこで、上記の構成とすることにより、旋回平面に配置された複数の旋回点から旋回平面の法線方向に位置する加工面を検出すると、基準平面に配置された点には工具情報が関連付けられているため、工具の掃引形状として該当する工具情報が見付かることになる。そして、検出した工具情報に含まれる各情報のうち位置情報および姿勢情報を上記の所定角度に応じて変更することで旋回工具情報を得られる。つまり、工具の位置情報について旋回平面を基準とする位置情報に変更するとともに、工具の姿勢情報について旋回平面に平行なテーブルに載置された被加工物に相対する工具の姿勢情報に変更する。これにより、従来のZマップ形式のようにZ値を直線補間して算出することを要さないので、この変更に伴う誤差が生じることがない。よって、従来と比較して、旋回平面における被加工物の形状を高精度にシミュレーションすることができる。
【0018】
請求項4に係る発明によると、接触状態取得手段は、工具による加工の際に、被加工物形状記憶手段に記憶された被加工物の形状に基づいて、工具情報を関連付けられる点における被加工物と工具の接触状態を取得する構成としている。被加工物形状記憶手段は、工具情報から取得される工具の掃引形状により被加工物の加工面を表現し、被加工物の形状を記憶している。これにより、従来と比較して、表現した加工面においてシミュレーションにおける近似誤差を低減できる。よって、工具による加工の際に、被加工物と工具が接触しているか否かをより正確に判定することができる。従って、例えば、設定された工具の加工経路が非接触状態となる空切削か、接触状態となる実切削かを判定することができる。また、工具の加工経路が接触状態と判定された場合に、従来と比較して、その実切削における被加工物の除去量をより正確に算出することができるので、加工における工具への負荷をより正確に把握することができる。
【0019】
請求項5に係る発明によると、加工シミュレーション装置は、変換点から基準平面の法線方向に位置する加工面を検出し、当該加工面を掃引形状により表現するために基準平面の点に関連付けられた工具情報を取得し、当該工具情報を変換点に関連付けて設定する変換工具情報設定手段を備える構成としている。これにより、被加工物形状記憶手段は、基準平面における被加工物の加工面を表現して記憶する。加工シミュレーション装置は、例えば、続く加工工程で使用する工具が変更された場合など、被加工物の表現精度の変換を要することがある。そして、表現精度を変換するには、工具情報を関連付けられる点を配置した所定間隔を拡張することで表現精度を低下させ、所定間隔を縮小することで表現精度を向上させる。
【0020】
ここで、従来のZマップ形式において、例えば、高い表現精度で被加工物の形状をシミュレーションするために高さ情報(Z値)を関連付ける点を配置する間隔を縮小すると、その点に関連付けるZ値には、元の表現精度における近似誤差が含まれることになる。つまり、続く加工工程で高い表現精度を要する場合には、上記の近似誤差を低減させるために、前の加工工程においても縮小された間隔で点を配置しておく必要がある。このように、従来のZマップ形式では、使用する工具にもよっても異なるものの、加工シミュレーションの途中で表現精度を変換すると誤差が生じてしまうという問題があった。
【0021】
これに対して、本発明の構成では、被加工物の加工面を工具情報に基づいて取得した掃引形状により表現している。これにより、従来のZマップ形式が有していた近似誤差を低減しているので、例えば、所定間隔を縮小して高い表現精度に変換しても、近似誤差を低減した良好な状態で変換することができる。このように、変換工具情報設定手段を備えることにより、必要な表現精度に適応して変換することができる。よって、高い表現精度を要する場合には、従来と比較して近似誤差を低減して被加工物を表現できる。一方で、高い表現精度を要しない場合には、所定間隔を拡張し全体のデータ量を低減することができる。従って、加工シミュレーション装置の負荷を軽減するとともに、加工シミュレーションに要する時間を短縮することができる。
【0022】
請求項6に係る発明によると、最適工程決定装置において、工具による加工の際に、上述した加工シミュレーション装置と同様に被加工物の形状をシミュレーションしている。これにより、最適工程決定部は、工程候補である個工程における加工について、より正確に被加工物の加工後形状を把握することができるので、より適切な最適工程を得ることができる。また、個工程における加工について、空切削の有無や被加工物の除去体積に基づく加工負荷などを勘案し、最適工程を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第一実施形態:最適工程決定装置の構成図である。
【図2】被加工物を示す図である。(a)は素材形状および製品形状を示す図であり、(b)は被加工物形状記憶部により表現された被加工物の模式図である。
【図3】代表ツーリングDBに記憶されている複数の代表ツーリングを示す図である。
【図4】最適工程決定部による処理のフローチャートである。
【図5】図2(b)の一部の拡大図である。
【図6】表現精度を変換した場合に取得する工具情報を示す図である。
【図7】旋回平面における工具情報の設定の説明図である。(a)は基準平面と旋回後基準平面を示す図であり、(b)は旋回後基準平面と新たな基準平面(旋回平面)を示す図である。
【図8】第二実施形態:加工シミュレーション装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の加工シミュレーション装置および最適工程決定装置を具体化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0025】
<第一実施形態>
(最適工程決定装置1の構成)
本実施形態の最適工程決定装置は、最適工程を決定する装置である。ここで、最適工程について簡単に説明する。一般に、素材形状から製品形状へ加工する際には、複数の個工程を順次実行する加工方法が適用される。仮に、製品形状に加工可能な一種類のツーリング(工具、ホルダおよび工具突出量の組み合わせ)のみを用いて素材形状を製品形状へ加工すると、加工の初期段階ではそのツーリングによる除去量では非効率となり、加工時間が長くなることがある。そのため、荒加工、中荒加工、中仕上げ加工、仕上げ加工、隅取り加工などといった複数の個工程に分けて、それらの個工程を順次実行することが行われる。そして、それぞれの個工程に適したツーリングを選定することが必要となる。
【0026】
そこで、素材形状から製品形状へ加工するために、どのような個工程に分けて、どのような順序で実行すると最適となるのかについて演算処理を行って算出する。これにより、複数の個工程とその実行順序とにより表される加工工程が算出され、この加工工程の最適なものを最適加工工程と称する。ここで、最適とは、例えば、加工時間が最も短くなるような状態を意味する。ここで、個工程は、上述したように例えば、荒加工工程や仕上げ加工工程などに相当するものであるが、詳細には、工具、ホルダおよび工具突出量に関するツーリング情報と、当該ツーリングによって加工される加工領域とにより表される。
【0027】
以下に、本発明の最適工程決定装置1について、図1〜図5を参照して説明する。本実施形態の最適工程決定装置1は、3つの直進軸(X,Y,Z軸)と2つの回転軸(A,B軸)とを有する5軸工作機械により被加工物を加工するための最適工程を決定するための装置である。また、最適工程決定装置1は、5軸工作機械としてA〜C軸の何れか回転軸を有する構成としても適用することができる。この最適工程決定装置1は、図1に示すように、形状記憶部11と、工具DB12と、ホルダDB13と、代表ツーリングDB14と、最適工程決定部15と、加工シミュレーション部20を備えている。
【0028】
形状記憶部11は、CAD(図示せず)により形成された被加工物Wの素材形状および製品形状を記憶するとともに、後述する加工シミュレーション部20による加工工程のシミュレーションにおける被加工物Wの形状を記憶する被加工物形状記憶手段である。本実施形態においては、図2(a)に示すように、素材形状をWiで示し、製品形状をWpで示す。すなわち、図2(a)において、素材形状Wiは直方体形状とし、製品形状Wpは素材形状Wiに対して加工を行った形状として示している。また、形状記憶部11は、加工シミュレーション部20が加工工程のシミュレーションを実行するために、図2(b)に示すように、基準平面Stに基準間隔Tsで配置された複数の基準点Psと、複数の基準点Psにそれぞれ関連付けられた複数の工具情報と、を有する。形状記憶部11の複数の基準点Psおよび工具情報の詳細については後述する。
【0029】
工具DB12は、複数の工具の情報を記憶する。この工具は、例えば、ボールエンドミルやストレートエンドミルであって、刃径および形状が異なるものが複数存在する。ここで、工具の「刃径」とは、工具の刃部の外径を意味する。このように、工具DB12は、種々の工具形状および工具刃径からなる複数の工具情報に工具番号を付して記憶している。ホルダDB13は、複数のホルダの情報を記憶する。このホルダは、刃径および形状の異なるそれぞれの工具を保持できるように複数種類あり、且つ、同一の工具を保持できるホルダにも、複数の形状が存在する。このように、ホルダDB13は、種々のホルダ形状からなるホルダ情報にホルダ番号を付して記憶している。このような構成からなる工具DB12およびホルダDB13は、本発明の「工具ホルダ情報記憶部」に相当する。
【0030】
代表ツーリングDB14は、複数の加工能率グループそれぞれについて、且つ、工具の刃径それぞれについて、代表ツーリングを記憶する。ここで、「代表ツーリング」とは、工具、ホルダおよび工具突出量の組み合わせからなる。この代表ツーリングにより設定される工具およびホルダは、工具DB12およびホルダDB13に記憶されている工具の情報およびホルダの情報の中から代表的なものが選択されている。ここで、図3において、(a)(b)(c)は、それぞれ加工能率グループが大、中、小となる代表ツーリングである。また、「加工能率」とは、単位時間あたりの加工体積(被加工物Wの除去量)に相当し、例えば、同じ被加工物(ワーク)を同じ材質の工具で加工する場合には、工具突出量(L)/工具刃径(D)(≒剛性)を用いることができる。例えば、図3(a)に示す加工能率グループが大のものは、L/Dが5以下とし、図3(b)に示す加工能率グループが中のものは、L/Dが5〜10とし、図3(c)に示す加工能率グループが小のものは、L/Dが10以上とする。
【0031】
最適工程決定部15は、被加工物Wを素材形状Wiから製品形状Wpに加工するための最適工程を決定する。つまり、最適工程決定部15は、形状記憶部11、工具DB12、ホルダDB13および代表ツーリングDB14の情報を用いて、最適工程を決定する。この最適工程は、複数の個工程とその実行順序により表される。また、個工程は、加工に使用する工具、ホルダおよび工具突出量に関するツーリング情報と、当該ツーリングにより加工される加工領域とにより表される。この最適工程を決定するための最適工程決定方法について、図4のフローチャートに示す。最適工程決定部15のメイン処理は、素材形状Wi、製品形状Wp、および、工具ホルダ情報に基づいて、最終的に最適工程を決定する処理である。図4に示すように、最適工程決定部15のメイン処理は、まず製品形状を形状記憶部11から読み込む(S1)。続いて、素材形状を形状記憶部11から読み込む(S2)。続いて、刃径グループ決定処理を行う(S3)。刃径グループとは、工具DB12に記憶されている工具における複数の刃径を、複数のグループに分割したものである。
【0032】
この刃径グループ決定処理は、工具DB12に記憶された複数の工具を複数の刃径グループの何れかに属するように決定処理するものである。そこで、まず所定の刃径の工具によって素材形状Wiを製品形状Wpとなるように加工する加工シミュレーションを行い、製品形状Wpに対する削り残し量を算出する。加工シミュレーションについては、後述する加工シミュレーション部20により行う。そして、削り取るべき全量(素材形状Wiの体積−製品形状Wpの体積)に対する削り残し量の比率(削り残し比)を算出する。ここで、削り残し量とは、加工シミュレーションを行った際に、製品形状Wpに残される削り残し部位の総体積である。つまり、工具の刃径が小径であるほど削り残し量が小さく、工具の刃径が大径であるほど削り残し量が大きくなる。よって、工具の刃径が小径であるほど削り残し比も小さく、工具の刃径が大径であるほど削り残し比が大きくなる。
【0033】
そして、削り残し比について、工具DB12に記憶されている全ての工具を対象とし、工具刃径が最小のものから順に最大のものまで行う。そして、全ての刃径の工具に対する削り残し比の算出が終了すると、刃径グループを算出する。刃径グループの算出については、工具刃径と削り残し比との関係、工具DB12に記憶されている工具本数などに基づいて、所定の工具刃径で区切ることにより複数の刃径グループを算出する。これにより、工具DB12に記憶された工具は、何れかの刃径グループに属するように決定処理される。
【0034】
続いて、大径刃の刃径グループから順にループ処理(S4〜S9)を行う。まず、工具候補を工具DB12から、ホルダ候補をホルダDB13からそれぞれ読み込む(S4、S5)。そして、加工能率グループが大から小までの順に3種類の加工能率グループに対して、能率別工程候補の算出処理を実行する(S6)。そして、全ての刃径について、S6の能率別工程候補の算出処理を行ったかを判定する(S7)。つまり、複数の刃径のそれぞれについて、それぞれの加工能率グループに対する能率別工程候補の算出処理を実行する。
【0035】
ここで、能率別工程候補の算出処理(S6)は、まず所定の加工能率グループにおいて、工具軸姿勢に相当する工具の割出角度を変化させ、その割出角度による加工可能領域を算出する。つまり、所定の割出角度について代表ツーリングにより素材形状Wiを加工した場合における加工可能領域を算出している。この可能加工領域については、後述する加工シミュレーション部20により、加工シミュレーションを行うことにより算出している。また、ある割出角度における加工可能領域は、製品形状Wpの部分に工具およびホルダが干渉することなく、加工することができる領域である。
【0036】
そして、能率別工程候補の算出処理(S6)は、所定の工具刃径に対して、工作機械が動作可能な回転軸の全割出角度について、代表ツーリングによる加工可能領域を算出する。そして、複数の加工可能領域のうち、最も加工体積が大きくなる割出角度を算出し、この加工可能領域に係る割出角度を有効割出角度とする。次に、この有効割出角度における加工後形状を算出する。加工後形状とは、代表ツーリングにより素材形状Wiから加工可能領域を取り除いた形状である。そして、この加工後形状に干渉を起こすことなく素材形状Wiに対して加工後形状となるように加工可能であり、且つ、最も加工能率が高くなるツーリングである最適ツーリングを算出する。
【0037】
続いて、最適ツーリングによる最適工程候補を算出する。最適工程候補とは、最適ツーリングおよび割出角度を含む工程情報である。これを異なる刃径について、最適工程候補による加工後形状が更新される限り順次行う。そして、これを代表ツーリングDB14に記憶されている加工能率グループが大から小の順に行う。このようにして、S6において、全ての刃径に対して、それぞれの加工能率グループ大、中、小についての能率別工程候補が算出される。
【0038】
そして、算出されたそれぞれの最適工程候補を統合して、暫定最適工程を算出する(S8)。また、それぞれの工程候補が、個工程に相当する。つまり、本実施形態では、それぞれの個工程には、工具、ホルダおよび工具突出量からなるツーリング、加工領域、並びに、割出角度(工具軸姿勢)の情報が含まれている。続いて、統合された暫定最適工程を元にして、より最適となる刃径グループ別最適工程候補を算出する(S9)。刃径グループ別最適工程候補については、それぞれの基本加工時間や工具交換時間を含む総加工時間を算出し、総加工領域が変わらないように、且つ、総加工時間が短くなるように個工程を排除する。そして、最終的に残った暫定最適工程を、刃径グループ別最適工程候補として決定し、刃径グループ別最適工程候補の算出処理を終了する。上記の基本加工時間は、暫定最適工程による加工体積を、加工能率により除算することにより得られる値である。また、加工能率は、それぞれの個工程によって異なる。
【0039】
このように、刃径グループ別最適工程候補を算出するまでの処理(S4〜S9)を全ての刃径グループについて行ったかを判定する(S10)。つまり、本実施形態において、分割した3つの刃径グループのそれぞれについて、刃径グループ別最適工程候補を算出する。そして、全ての刃径グループについて、最適工程候補を統合して最適工程を決定し(S11)、処理を終了する。
【0040】
(加工シミュレーション部20の構成)
加工シミュレーション部20の構成について、図1,図2,図5を参照して説明する。加工シミュレーション部20は、図1に示すように、工具情報更新部21と、接触状態取得部22と、変換工具情報設定部23と、旋回工具情報設定部24を備えている。この加工シミュレーション部20は、最適工程の決定処理において、最適工程決定部15により適宜呼出されて、加工後形状などを算出する際に(図4S3,S6)加工シミュレーションを行う。ここで、加工シミュレーション部20は、図2(a)に示すような被加工物Wの形状について、図2(b)に示すように所定間隔で区画した各要素により表現し、各要素を適宜変形させることで被加工物Wの形状をシミュレーションするものである。
【0041】
また、加工シミュレーション部20は、形状記憶部11により被加工物Wの形状を記憶している。形状記憶部11は、上述したように、複数の基準点Psおよび工具情報を有する(図2(b),図5を参照)。この工具情報は、本実施形態において、工具の位置情報、形状情報、および姿勢情報から構成される。そして、形状記憶部11は、複数の工具情報に基づいて各基準点Psにおける被加工物Wと工具の掃引形状をそれぞれ取得する。そして、形状記憶部11は、取得した複数の掃引形状により被加工物Wの加工面Swを表現して記憶している。また、図5の破線および斜線部で示される領域は、従来のZマップ形式により近似して表現される被加工物Wの加工面である。
【0042】
工具情報更新部21は、工具情報を形状記憶部11の基準点Psに関連付けて更新する工具情報更新手段である。この工具情報更新部21は、被加工物Wに対する工具の移動に伴い基準点Psにおける加工面Swの高さが低下する場合に、その加工面Swが形成される際の工具情報を基準点Psに関連付けて更新する。これにより、形状記憶部11は、更新された工具情報に基づいて取得される掃引形状により加工面Swを表現することになる。
【0043】
ここで、工具情報は、上述したように工具の位置情報、形状情報、および姿勢情報から構成される。工具の位置情報は、基準平面Stに対する工具の位置を示す情報であり、工具種別がボールエンドミルの場合に、図5に示すように、工具中心の座標値としている。例えば、工具種別がストレートエンドミルの場合に、工具の位置情報は、工具先端面としてもよいし、工具先端面から工具径(刃径)だけ主軸側にずれた位置としてもよい。また、工具情報における工具の形状情報は、工具径および工具種別を示す情報である。工具情報における工具の姿勢情報は、被加工物Wに相対する工具の姿勢を示す情報である。すなわち、工具の姿勢情報は、工具による加工の際に工具が基準平面Stの法線方向に対して傾斜する傾斜角度および傾斜方向を示す情報である。この傾斜角度は、図2(b)、図5に示すように、工具中心を通る基準平面Stの法線と工具の回転軸がなす角αである。
【0044】
接触状態取得部22は、工具による加工の際に、形状記憶部11に記憶された被加工物Wの形状に基づいて、基準点Psにおける被加工物Wと工具の接触状態を取得する接触状態取得手段である。つまり、接触状態取得部22は、形状記憶部11により近似して把握する被加工物Wの形状に対して、加工経路上を工具が移動した場合に、工具が被加工物Wにどの程度接触するかを取得する。よって、取得された接触状態は、上記の加工経路が空切削か否かの判定や、実切削における被加工物Wの除去量の算出に利用することができる。
【0045】
変換工具情報設定部23は、基準間隔Tsを拡張または縮小するように表現精度を変換された場合に、工具情報を変換点Pcに関連付けて設定する変換工具情報設定手段である。加工シミュレーション部20は、シミュレーションする個工程において設定された工具が変更された場合や、工具の加工経路に微細な方向転換などが含まれる場合に、被加工物Wの表現精度の変換を要することがある。表現精度の変更と、これに伴う変換工具情報設定部23による工具情報の設定については後述する。
【0046】
旋回工具情報設定部24は、基準平面Stに対して所定角度だけ傾斜した旋回平面に被加工物Wを表現する場合に、旋回平面に配置された旋回点に旋回工具情報を関連付けて設定する旋回工具情報設定手段である。これにより、形状記憶部11は、旋回平面における被加工物Wの加工面Swを表現して記憶する。また、本実施形態のように、工作機械が複数の回転軸を備える構成であっても、グラフィック表示を目的としない加工シミュレーションの場合には、被加工物Wに相対する工具の姿勢情報(方向と傾きを含む)を適宜変更することで対応することも可能である。但し、工作機械が被加工物Wを載置するチルトテーブルを備え、所定角度に割出して加工を行う場合などは、旋回工具情報設定部24により、基準平面Stに対して傾斜した旋回平面において、基準平面Stにおける工具情報を旋回させた旋回工具情報に基づいて被加工物Wを表現することが好適である。この旋回工具情報の設定については後述する。
【0047】
(加工シミュレーション)
次に、このような構成からなる加工シミュレーション部20により、最適工程の決定処理における加工シミュレーションについて説明する。まず、最適工程決定部15は、形状記憶部11に記憶された素材形状Wiを加工シミュレーション部20に出力する。これにより、加工シミュレーション部20は、基準平面Stを基準間隔Tsで区画した各要素によりこの素材形状Wiを把握する。この時、各要素の中央に位置する基準点Psは、初期値として素材形状Wiの上面が表現されるように設定された工具情報が関連付けられている。
【0048】
そして、最適工程決定部15は、所定の刃径の工具に付された工具番号、工具の加工経路、割出角度などの加工情報を加工シミュレーション部20に出力する。続いて、加工シミュレーション部20は、入力した加工情報に基づいて被加工物Wに対して工具を移動させる。そうすると、ある基準点Psにおける被加工物Wの加工面(ここでは、素材形状Wiの上面)の高さが低下する。すなわち、工具の移動に伴い、被加工物Wの表面が削られ新たな加工面が形成される。そこで、工具情報更新部21は、この新たな加工面が形成される際の工具情報を上記加工情報に基づいて取得する。そして、工具情報更新部21は、取得した加工情報を基準点Psに関連付けて更新する。これにより、形状記憶部11は、新たな加工面を更新された工具情報で表現して記憶することになる。
【0049】
上記の処理を該当する複数の基準点Psについて行うことにより、入力された加工情報によって形成される被加工物Wの形状が把握される。そして、最適工程決定部15は、加工後の被加工物Wの形状を加工シミュレーション部20から入力し、形状記憶部11に記憶された製品形状Wpと比較する。これにより、最適工程決定部15は、製品形状Wpに対する削り残し量を算出する。
【0050】
また、このような加工シミュレーションにおいて、加工情報として入力された工具の加工経路について、被加工物Wと工具の接触状態を取得することがある。これは、設定した加工経路の適正を検証し、加工経路における空切削の有無の判定や、被加工物Wに対する刃部以外の干渉の有無の判定を目的としている。これにより、最適工程決定部15は、最適工程の決定処理をより正確にすることができる。そこで、最適工程決定部15は、接触状態取得部22が取得した接触状態を加工後の被加工物Wの形状とともに加工シミュレーション部20から入力している。
【0051】
ここで、被加工物Wの表現精度の変換について、図6を参照して説明する。本実施形態において、加工シミュレーション部20は、加工情報に含まれる工具の刃径や加工経路に応じて、被加工物Wの表現精度を変換している。これは、それぞれの加工条件に適応した表現精度にすることで、シミュレーションに要する時間を抑制しつつ、正確な加工後形状を得ることを目的としている。
【0052】
そこで、形状記憶部11は、基準平面Stに基準間隔Tsを拡張または縮小した変換後間隔Tcで配置された複数の変換点Pcを保持する。次に、変換工具情報設定部23は、図6に示すように、変換点Pcから基準平面Stの法線方向に位置する加工面Swを検出する。そして、この加工面Swを掃引形状により表現するために基準平面Stの基準点Psに関連付けられた工具情報を取得する。ここでは、変換点Pcから最も近接する基準点Psに関連付けられた工具情報となる。変換工具情報設定部23は、取得した工具情報を変換点Pcに関連付けて設定する。これにより、形状記憶部11は、基準平面Stに対して被加工物Wの加工面Swを表現して記憶する。
【0053】
ここでは、基準間隔Tsを縮小した変換後間隔Tcとし表現精度を向上させる場合について説明した。これに対して、基準間隔Tsと変換後間隔Tcを入れ換えることにより、表現精度を低下させて、形状記憶部11が保持する被加工物Wに係るデータ量を低減させる構成としてもよい。これにより、例えば、最適工程の決定処理において、刃径が比較的大きい場合の刃径グループ決定処理や加工可能領域の算出などにおけるシミュレーションの高速化を図っている。
【0054】
ここで、旋回工具情報の設定について、図7を参照して説明する。ここで、本実施形態における5軸工作機械が被加工物Wを載置するチルトテーブルを備え、工具に対して被加工物Wを旋回させて加工を行うものとする。そして、このような加工では、NCデータの指令値によりチルトテーブルを割出角度βだけ旋回させることがある。このような場合に、形状記憶部11は、図7(a)に示すように、旋回後基準平面St2において、複数の旋回後基準点Ps2にそれぞれ関連付けられた工具情報により旋回後加工面Sw2を表現する。
【0055】
次に、形状記憶部11は、旋回後基準平面St2に対して所定角度だけ傾斜した旋回平面に所定間隔で配置された複数の旋回点により被加工物Wを表現する。ここでは、説明を簡易にするため上記の所定角度を割出角度βとする。これにより、上記の旋回平面は、図7(b)に示すように、基準平面Stと平行な新基準平面Slとなる。さらに、旋回平面(新基準平面Sl)に配置された上記の旋回点は、新基準平面Slに配置された新基準点Plとなる。ここでは、複数の新基準点Plの間隔を基準間隔Tsとしたが、旋回後の加工条件などを勘案して基準間隔Tsを拡張または縮小させてもよい。
【0056】
続いて、旋回工具情報設定部24は、新基準点Plから新基準平面Slの法線方向に位置する旋回後加工面Sw2を検出する。そして、この旋回後加工面Sw2を掃引形状により表現するために旋回後基準平面St2の旋回後基準点Ps2に関連付けられた工具情報を取得する。旋回工具情報設定部24は、取得した工具情報を新基準平面Slおよび割出角度βに応じて旋回工具情報に変更する。そして、この旋回工具情報を新基準点Plに関連付けて設定する。このようにして、形状記憶部11は、複数の旋回工具情報に基づいて各新基準点Plにおける掃引形状をそれぞれ取得する。そして、形状記憶部11は、複数の当該掃引形状により新基準平面Slにおける被加工物Wの旋回後加工面Sw2を表現して記憶する。
【0057】
ここで、旋回工具情報設定部24は、取得した工具情報を旋回工具情報に変更するものとした。具体的には、検出した工具情報に含まれる各情報のうち位置情報および姿勢情報を変更する。つまり、変更前の位置情報および姿勢情報が旋回後基準平面St2を基準とした工具の位置および傾斜(方向と傾きを含む)であるため、工具の位置情報について新基準平面Slを基準とする位置情報に変更するとともに、工具の姿勢情報について新基準平面Slに平行なチルトテーブルに載置された被加工物Wに相対する工具の姿勢情報に変更する。
【0058】
(最適工程決定装置1による効果)
上述した最適工程決定装置1によれば、以下の効果を奏する。加工シミュレーション部20は、形状記憶部11により被加工物Wの加工面Swを被加工物Wと工具の掃引形状により表現し記憶する構成としている。この形状記憶部11は、複数の基準点Psと、この基準点Psに関連付けられた複数の工具情報とを有している。つまり、Zマップ形式において、高さ情報(Z値)に換えて、当該工具情報を有するものである。ここで、Zマップ形式により被加工物Wの形状をシミュレーションすると、特に被加工物Wの立ち壁の部位において加工と未加工の状態を誤認することがあった。これは、Zマップ形式において高さ情報を関連付けられる点と点の間隔に被加工物Wにおける立ち壁があると、最大で上記間隔の半分だけ立ち壁の位置がずれて認識されることに起因する。
【0059】
これに対して、上記構成とすることにより、工具情報を関連付けられ隣り合う基準点Psの間に相当する各区画の上面は、工具の掃引形状により加工面Swを表現される。これにより、被加工物Wの加工面Swは、被加工物Wと接触した工具の表面形状の一部である接触面形状を転写したような形状となる。これにより、加工シミュレーション部20は、被加工物Wの立ち壁の部位における加工面Swについて、当該立ち壁を形成するように加工した工具の掃引形状で表現することになる。よって、基準平面Stに対して立ち壁の位置が正確に表現され、従来のZマップ形式において生じていた近似誤差を低減することができる。従って、このような部位において加工と未加工の状態をより正確に把握することができる。
【0060】
また、従来のZマップ形式では、各区画の上面を基準平面Stに平行な面により同一の所定高さに近似するため、工具の形状によっては、所定高さの上面と工具表面までの距離が近似誤差として生じていた。これに対して、本発明の最適工程決定装置1における加工シミュレーション部20では、被加工物Wの加工面Swが工具の掃引形状により表現されるため、上記の近似誤差を大幅に低減することができる。
【0061】
また、本発明のようなデータ形式では、基準平面Stにおいて工具情報を関連付けられる複数の基準点Psを所定間隔(基準間隔Ts)に適宜設定することができる。従来のZマップ形式では高さ情報を関連付けられる点と点の間の加工面の高さは直線補間などにより推定される。そのため、加工面の高さの変動が大きい部位や工具径の小さい工具により加工を行う部位の場合には、点間距離を小さく設定する必要があった。これに対して、本発明の加工シミュレーション部20におけるデータ形式では工具情報を関連付けられる基準点Psから工具半径分の領域の高さ情報を有することになる。これにより、従来の各種のデータ形式に対してデータ量の増大を抑制し、被加工物Wの形状をより高精度にシミュレーションすることができる。また、工具情報が有する工具の形状情報は、その加工に使用する工具の外周形状そのものとしてもよいし、工具経路を勘案した工具の軌跡を含む形状としてもよい。これにより、工具の掃引形状を取得し、被加工物Wの加工面Swをより正確にシミュレーションすることができる。
【0062】
ここで、基準点Psに関連付けられた工具情報は、工具の位置情報および形状情報に加えて、工具の姿勢情報を有する構成としている。これにより、形状記憶部11は、被加工物Wの高さ方向に対して傾斜した工具の移動により形成される加工面Swを表現して記憶する。従来のZマップ形式では、基準平面Stの法線方向に対する工具の姿勢に係わらず、その工具の外周面におけるZ値で被加工物Wの形状を近似していた。そのため、例えば、回転軸を備えた首振り型の工作機械の場合に、工具を傾斜させて加工を行っても、Zマップ形式では正確にその加工面Swをシミュレーションすることができなかった。これに対して、工具情報が姿勢情報を有する構成とすることにより、首振り型の工作機械により工具を傾斜して加工面Swを形成した場合に、被加工物Wに対する工具姿勢を考慮し、より正確に被加工物Wの形状を表現することができる。よって、加工シミュレーションの精度を向上できる。
【0063】
また、接触状態取得部22は、工具による加工の際に、形状記憶部11に記憶された被加工物Wの形状に基づいて、基準点Psにおける被加工物Wと工具の接触状態を取得する構成としている。形状記憶部11は、工具情報から取得される工具の掃引形状により被加工物Wの加工面Swを表現し、被加工物Wの形状を記憶している。これにより、従来と比較して、表現した加工面Swにおいてシミュレーションにおける近似誤差を低減できる。よって、工具による加工の際に、被加工物Wと工具が接触しているか否かをより正確に判定することができる。従って、例えば、設定された工具の加工経路が非接触状態となる空切削か、接触状態となる実切削かを判定することができる。また、工具の加工経路が接触状態と判定された場合に、従来と比較して、その実切削における被加工物Wの除去量をより正確に算出することができるので、加工における工具への負荷をより正確に把握することができる。
【0064】
加工シミュレーション部20は、加工情報に含まれる工具の刃径や加工経路に応じて、被加工物Wの表現精度を変換するものとした。そのため、加工シミュレーション部20は、工具情報を変換点Pcに関連付けて設定する変換工具情報設定部23を備える構成としている。これにより、形状記憶部11は、基準平面Stに対して被加工物Wの加工面Swを表現して記憶する。加工シミュレーション部20は、例えば、続く加工工程で使用する工具が変更された場合など、被加工物Wの表現精度の変換を要することがある。そして、表現精度を変換するには、基準点Psを配置した基準間隔Tsを拡張することで表現精度を低下させ、基準間隔Tsを縮小することで表現精度を向上させる。
【0065】
ここで、従来のZマップ形式において、例えば、高い表現精度で被加工物Wの形状をシミュレーションするために高さ情報(Z値)を関連付ける点を配置する間隔を縮小すると、その点に関連付けるZ値には、元の表現精度における近似誤差が含まれることになる。つまり、続く加工工程で高い表現精度を要する場合には、上記の近似誤差を低減させるために、前の加工工程においても縮小された間隔で点を配置しておく必要がある。このように、従来のZマップ形式では、使用する工具にもよっても異なるものの、加工シミュレーションの途中で表現精度を変換すると誤差が生じてしまうという問題があった。
【0066】
これに対して、加工シミュレーション部20は、被加工物Wの加工面Swを工具情報に基づいて取得した掃引形状により表現している。これにより、従来のZマップ形式が有していた近似誤差を低減しているので、例えば、基準間隔Tsを縮小して高い表現精度に変換しても、近似誤差を低減した良好な状態で変換することができる。このように、変換工具情報設定部23を備えることにより、必要な表現精度に適応して変換することができる。よって、高い表現精度を要する場合には、従来と比較して近似誤差を低減して被加工物Wを表現できる。一方で、高い表現精度を要しない場合には、基準間隔Tsを拡張し全体のデータ量を低減することができる。従って、加工シミュレーション部20の負荷を軽減するとともに、加工シミュレーションに要する時間を短縮することができる。
【0067】
また、加工シミュレーション部20は、旋回工具情報を新基準点Plに関連付けて設定する旋回工具情報設定部24を備える構成としている。これにより、形状記憶部11は、基準平面Stから所定角度だけ傾斜した旋回後基準平面St2における被加工物Wの旋回後加工面Sw2について、新基準平面Slに配置された複数の新基準点Plに関連付けられた旋回工具情報により表現して記憶する。
【0068】
ここで、従来のZマップ形式では、基準平面から傾斜させた旋回後基準平面における被加工物Wを、元の基準平面によりシミュレーションする場合に、基準平面からのZ値を新たに取得することがある。この時、基準平面からのZ値は、例えば、旋回後基準平面において近似誤差を含む複数のZ値を直線補間して算出した値となる。そのため、例えば、チルトテーブルなどの回転軸を備えた工作機械の場合に、チルトテーブルに載置された被加工物WをZ軸に対して旋回させて加工を行っても、Zマップ形式では新たに取得したZ値に直線補間に伴う誤差が含まれ、その加工面を正確にシミュレーションすることができなかった。
【0069】
これに対して、加工シミュレーション部20は、上記構成とし、検出した工具情報に含まれる各情報のうち位置情報および姿勢情報を割出角度βに応じて変更することで旋回工具情報を得られる。つまり、工具の位置情報について新基準平面Sl(旋回平面)を基準とする位置情報に変更するとともに、工具の姿勢情報について新基準平面Sl(旋回平面)に平行なチルトテーブルに載置された被加工物Wに相対する工具の姿勢情報に変更する。これにより、従来のZマップ形式のようにZ値を直線補間して算出することを要さないので、この変更に伴う誤差が生じることがない。よって、従来と比較して、新基準平面Slにおける被加工物Wの形状を高精度にシミュレーションすることができる。
【0070】
<第二実施形態>
第二実施形態の構成について、図8を参照して説明する。ここで、第一実施形態の最適工程決定装置1は、最適工程の決定処理において、加工シミュレーション部20を適宜呼出すことにより加工シミュレーションを行うものとした。これに対して、第二実施形態では、上述の加工シミュレーションについて独立した装置とし、NCデータの評価を行うことを目的とする。なお、その他の構成については、第一実施形態と同一であるため、詳細な説明を省略する。以下、相違点のみについて説明する。
【0071】
加工シミュレーション装置120は、図8に示すように、形状記憶部11と、工具情報更新部21と、接触状態取得部22と、変換工具情報設定部23と、旋回工具情報設定部24と、表示部125を備えている。ここで、加工シミュレーション装置120は、入力されたNCデータを解析し、模擬的に加工の様子をディスプレイである表示部125にグラフィック表示する。このように、本実施形態の加工シミュレーション装置120は、工作機械による加工の前に適正な加工が行われるか、入力されたNCデータを検証するためのシミュレーションを行うものである。ここで、形状記憶部11は、第一実施形態における加工シミュレーション装置120の形状記憶部11であり、工具情報更新部21、接触状態取得部22、変換工具情報設定部23、および旋回工具情報設定部24は、第一実施形態と実施的に同一の構成なので詳細な説明を省略する。
【0072】
このような構成においても第一実施形態と同様の効果を奏する。また、上述したように、本発明の加工シミュレーション装置120は、従来のZマップ形式において生じていた被加工物Wの立ち壁の部位などの近似誤差を低減することができる。さらに、加工シミュレーション装置120は、基準点Psに関連付けられる工具情報に基づいて、被加工物Wの加工面Swを工具の掃引形状で表現する。そのため、従来のZマップ形式において近似した加工面と工具表面との距離が近似誤差として生じていたのに対して、加工シミュレーション装置120により、この近似誤差を大幅に低減することができる。従って、このような加工シミュレーション装置120で入力されたNCデータを検証することにより、そのNCデータを用いた加工において、加工残りの量や工具などに加わる加工負荷などを含め、適正で効率的な加工を行うことができるかを検証することができる。
【0073】
<その他>
第一、第二実施形態において、形状記憶部11の工具情報は、工具の形状情報、位置情報、および姿勢情報とした。これに対して、例えば、工具情報を関連付けられる点における最大高さ情報をさらに有する構成としてもよい。これにより、例えば、初期値として素材形状Wiの上面のZ値を設定することにより、被加工物Wを表現する際に最大高さとして上面を打ち切って処理することができる。さらに、この点(Ps,Pc,Pl)に関連付ける工具情報は単数に限られない。つまり、複数の工具情報を関連付けることにより被加工物Wの多様な形状を表現することができる。また、工作機械が直進軸のみで構成される場合に、工具情報は、姿勢情報を有さない構成としてもよい。
【0074】
また、工具の形状情報は、工具DB12に記憶された工具の工具番号などにより記憶してもよい。その他に、工具形状DBを設け、記憶された工具形状に付された番号を記憶する構成としてもよい。このような加工シミュレーションのためのデータベースを設けることにより、全体としてのデータ量を低減することができる。また、例えば、工具形状DBには、工具を加工経路上を移動させた軌跡を考慮した形状を記憶してもよい。この形状は、実際に使用される工具の形状と異なるが、加工シミュレーションにおいて、より簡易に工具の掃引形状を取得できるので、加工シミュレーションを高速に且つ高精度に行うために有用である。
【符号の説明】
【0075】
1:最適工程決定装置
11:形状記憶部、 12:工具DB、 13:ホルダDB
14:代表ツーリングDB、 15:最適工程決定部
20:加工シミュレーション部、 120:加工シミュレーション装置
21:工具情報更新部、 22:接触状態取得部、 23:変換工具情報設定部、
24:旋回工具情報設定部、 125:表示部
W:被加工物、 Wi:素材形状、 Wp:製品形状
St:基準平面、 St2:旋回後基準平面、 Sl:新基準平面(旋回平面)
Sw:加工面、 Sw2:旋回後加工面
Ts:基準間隔 Tc:変換後間隔
Ps:基準点、 Pc:変換点
Ps2:旋回後基準点、 Pl:新基準点(旋回点)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工作機械により被加工物を加工する場合の加工シミュレーション装置において、
加工面の高さの基準として設定された基準平面に所定間隔で配置された複数の点と、複数の当該点にそれぞれ関連付けられた工具の位置情報および形状情報を有する複数の工具情報と、を有し、前記工具情報に基づいて各前記点における前記被加工物と前記工具の掃引形状をそれぞれ取得し、複数の当該掃引形状により前記被加工物の加工面を表現して記憶する被加工物形状記憶手段と、
前記工具による加工により前記点における前記加工面の高さが低下する場合に、当該加工面を加工する前記工具の前記工具情報を前記被加工物形状記憶手段の前記点に関連付けて更新する工具情報更新手段と、
を備えることを特徴とする加工シミュレーション装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記工具情報は、複数の前記点にそれぞれ関連付けられるとともに、前記被加工物に相対する前記工具の姿勢情報を有し、
前記被加工物形状記憶手段は、前記工具情報に基づいて取得する前記掃引形状により、前記被加工物に相対する前記工具による加工により形成される前記加工面を表現して記憶することを特徴とする加工シミュレーション装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記被加工物形状記憶手段は、前記基準平面に対して所定角度だけ傾斜した旋回平面に所定間隔で配置された複数の旋回点を有し、
前記旋回点から前記旋回平面の法線方向に位置する前記加工面を検出し、当該加工面を前記掃引形状により表現するために前記基準平面の前記点に関連付けられた前記工具情報を取得し、当該工具情報を前記旋回平面および前記所定角度に応じて変更した旋回工具情報を前記旋回点に関連付けて設定する旋回工具情報設定手段をさらに備え、
前記被加工物形状記憶手段は、複数の前記旋回工具情報に基づいて各前記旋回点における前記掃引形状をそれぞれ取得し、複数の当該掃引形状により前記旋回平面における前記被加工物の前記加工面を表現して記憶することを特徴とする加工シミュレーション装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項において、
前記工具による加工の際に、前記被加工物形状記憶手段に記憶された前記被加工物の形状に基づいて、前記点における前記被加工物と前記工具の接触状態を取得する接触状態取得手段をさらに備えることを特徴とする加工シミュレーション装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項において、
前記被加工物形状記憶手段は、前記被加工物の表現精度を変換するために、前記基準平面に前記所定間隔を拡張または縮小した間隔で配置された複数の変換点を有し、
前記変換点から前記基準平面の法線方向に位置する前記加工面を検出し、当該加工面を前記掃引形状により表現するために前記基準平面の前記点に関連付けられた前記工具情報を取得し、当該工具情報を前記変換点に関連付けて設定する変換工具情報設定手段をさらに備え、
前記被加工物形状記憶手段は、複数の前記変換工具情報に基づいて各前記変換点における前記掃引形状をそれぞれ取得し、複数の当該掃引形状により前記基準平面における前記被加工物の前記加工面を表現して記憶することを特徴とする加工シミュレーション装置。
【請求項6】
工作機械により被加工物を加工するための最適工程決定装置であって、
前記被加工物の素材形状および製品形状を記憶する形状記憶部と、
複数の前記工具の情報および複数のホルダの情報をそれぞれ記憶する工具ホルダ情報記憶部と、
前記素材形状から前記製品形状に加工するための、加工に使用する前記工具、前記ホルダおよび工具突出量を有する複数の個工程と、複数の当該個工程の順序とからなる最適工程を決定する最適工程決定部と、
を備え、
最適工程決定部は、
加工面の高さの基準として設定された基準平面に所定間隔で配置された複数の点と、複数の当該点にそれぞれ関連付けられた工具の位置情報および形状情報を有する複数の工具情報と、を有し、前記工具情報に基づいて各前記点における前記被加工物と前記工具の掃引形状をそれぞれ取得し、複数の当該掃引形状により前記被加工物の加工面を表現して記憶する被加工物形状記憶手段と、
前記工具による加工により前記点における前記加工面の高さが低下する場合に、当該加工面を加工する前記工具の前記工具情報を前記被加工物形状記憶手段の前記点に関連付けて更新する工具情報更新手段と、
を備えることを特徴とする最適工程決定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−14601(P2012−14601A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152583(P2010−152583)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】