説明

加工ニンニク製造方法および製造装置

【課題】 従来法で生ニンニクを熟成させて作る加工ニンニクは、ニンニク臭の消臭が不十分で、しかも、製造過程でイオウ酸化物などの強烈な悪臭を放出し、作業環境は劣悪で悪臭公害問題も起こしている。
【解決手段】 海洋深層水に浸漬した生ニンニクをトレイに配列し、このトレイを熟成装置内に載置する。前記生ニンニクを恒温、恒湿に制御可能で内表面が天然木材の杉材で覆われた熟成装置中に、90℃、湿度80%の条件で168時間保持、熟成し、その後必要な熟成処理を追加実施することで、ニンニク臭のない加工ニンニクが得られ、しかも悪臭の発生も解消できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
生ニンニクの加工法であって、ニンニク本来の栄養素、薬効成分を維持したまま、ニンニク特有の臭気の発生を低減させる生ニンニク加工法に係る。
【背景技術】
【0002】
ニンニクは古来薬草として利用されて来たもので、日本人が食品として多用するに至ったのは昭和40年代の中国野菜ブーム以降と言われる。
ニンニクの利用目的は2つに大別できるようである。
第1の利用目的は肉や魚、他の野菜と共に調理し、その優れた香り、味、風味により料理を味わい深いものとする利用法であるが、この場合、生ニンニクは直接利用されることが多い。
第2の利用目的は薬効を期待したサプリメント(健康食品)としての利用である。この第2の利用では薬効をもたらすニンニクの主要成分であるアイリンが、ニンニクの加工段階や、人体への摂取後体内において分解されてアリシンに変化し、このアリシンがニンニク特有の臭いを放つため、摂取時の臭い或いは、摂取後の口臭として人々に敬遠される。サプリメントの開発ではこのニンニク特有の臭いを消す加工技術が重要になる。
【0003】
このサプリメント利用に於ける無臭化加工技術には多数の先行技術発明が開示されている。これら無臭化に係る加工技術は、大別して加熱処理、添加物を添加、浸漬、加圧、酵母醗酵、自己醗酵の6種類に類別できる。このうち加熱処理によるものには例えば、生ニンニクの皮をむき電子レンジで加熱処理しニンニク臭を消し、すり鉢などで粒状に破砕、鉄板でいって乾燥後卵と混ぜ加熱、ニンニク粒を卵黄でコートさせる方法がある。
添加物の添加により消臭する方法には、生ニンニクに含まれるアイリンを酵素アリナーゼで分解後、熱処理で酵素アリナーゼを失活させ、ニンニク中の硫化成分をゴマと均一に接触させて無臭化させる方法がある。
浸漬法には、高濃度の食塩水又は塩に2〜3ヶ月浸漬し、次いで水漬けし、水漬け状態で気泡を数時間〜24時間吹き付ける方法などがある。
加圧法としては、例えば温度20〜70℃で、2,000〜7,000気圧で加圧処理して無臭化し、外観が生ニンニクとほぼ同じ無臭ニンニクを得ている。
【0004】
酵母醗酵法には、玄米醗酵素を浸透させ、蒸し器に入れて遠赤外線で加熱して黒色のニンニクを得る方法(先行技術文献1)や、乾燥酵母と蜂蜜とボレイ粉末の水溶液に生ニンニクを浸漬し酵母醗酵により消臭する方法などがある。
また自己醗酵には遠赤外線加熱式蒸焼き器を用い、醗酵、乾燥、糖化、炭化前加熱の4工程からなる無臭ニンニクの製造方法(先行技術文献2)や、生ニンニクを自己醗酵させてなる醗酵黒ニンニクの製造方法(先行技術文献3)などがある。
【0005】
ここにニンニク加工に醗酵や自己醗酵を採りいれた3件の先行技術文献1、2、3と本願との共通点と相違点について説明する。
まず、本願および3件の先行技術文献に共通する自称「醗酵」原理に基づく加工ニンニクについて次に説明する。
自称「醗酵」ニンニクは、従来存在しなかった全く新しい加工技術の発明により生み出された食品である。即ち、自称「醗酵」ニンニク加工技術は、米を醗酵させ酒を、ぶどうを醗酵させワインを、大豆を醗酵させ味噌、醤油を、また、牛乳を醗酵させチーズを作る加工技術に匹敵する加工技術の範疇にあると認識される。これら醗酵技術により生み出される2次加工品は何れも素材とは全く異なる味覚、食感、性状の食品である。また歴史的には、これら食品が生み出された初期に於て、これら食品の薬効面が強調され一般食品としてでなく、今日で言うサプリメントとして普及した。その後これらサプリメントが潜在的に有する一般加工食品としての魅力が人々に広く受け入れられ、今日の普及を見るに至った経緯がある。本願発明による加工ニンニクもこの例に漏れぬ食品であることは、本願発明に係る加工ニンニクの摂取経験のある者であれば容易に確信できる。
【0006】
次に、本願発明と先行技術文献1,2、3との関係及び相違点について説明し、本願発明がこれら3件と発明のルーツを同じくする別発明で、なお且つこれらに対し進歩性を有する発明であることを次に説明する。
本願発明者と文献2の発明者は本醗酵ニンニク加工技術の開発当初において共同研究者であった。また、先行技術文献1と先行技術文献3の発明者はそれぞれ前記共同研究者から情報を得てそれぞれ独自に発明を成すに至った。従って、本願発明と3件の先行技術文献の発明のルーツは同一で、それぞれが独自に発明を完成させ、異なる時期にそれぞれが独自に特許出願するに至った。
【0007】
これら先行技術文献のうち、先行技術文献1は生ニンニクを玄米発酵素に漬込むことが発明の構成要件とされているが、本願発明では玄米発酵素は一切使用しない。また、先行技術文献2は遠赤外線加熱式蒸し焼き器を使用して生ニンニクを蒸し焼きにする発明で、遠赤外線を発明の要件としない本願発明とは明確に相違する。
先行技術文献3では、請求項に係る技術思想としての黒ニンニクの定義が不明確で、黒ニンニクは「加工ニンニク」と同義であると解され、また自己発酵条件を温度55〜80℃、湿度70〜95%と限定しているが、後述する如く、本願発明が限定する熟成条件の温度略90℃、相対湿度略80%とは温度条件が35〜10℃、平均で22.5℃の差異が認められる。熟成(醗酵)工程に於ける温度の重要性は当業者の常識であり、適正熟成温度に平均で22.5℃の差異がある先行技術文献2と本願発明は異なる熟成(醗酵)メカニズムによる別発明と推定できる。
従って、本願発明がこれら先行技術と異なる別発明であることは明白である。
【0008】
【特許文献1】特開2004−121113
【特許文献2】特開2005−341912
【特許文献3】特開2006−149325
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1乃至3では加工ニンニクの作られる過程を醗酵としているが、本願発明ではそのメカニズムを十分把握していないので便宜的に熟成と呼称する。
特許文献1乃至3の発明により得られる加工ニンニクにはつぎの問題がある。
第1に加工ニンニクとして栄養価を一層向上させ得る余地がある。
第2に、加工ニンニクのニンニク臭が必ずしも十分消臭されたとは言えない。
第3に、醗酵(熟成)過程でイオウ酸化物等の強烈な臭が放出され、作業環境は劣悪で、ガスマスクなしでの作業を不可能とし、しかも製造施設周辺の住民に対し公害問題を起こしている。
本願発明ではこれらの問題の解決策を提案する。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0010】
請求項1に記載の加工ニンニク製造方法は、生ニンニク若しくは海水に所定時間浸漬した処理生ニンニクを原料とする。これら2種類の原料は何れの場合も恒温・恒湿に設定可能な熟成装置手段の室内に配置された棚手段の棚に容器手段に収納されて載置保持される。
そして、前記熟成装置手段の温度、湿度の組合わせで決まる熟成条件を少なくとも連続して2ステップ以上変更させ、各熟成条件にそれぞれ所定の保持時間、前記生ニンニク若しくは前記処理生ニンニクを保持して熟成加工する。
これにより、海水に所定時間浸漬した処理ニンニクに於いては海水に含まれるミネラルなどが生ニンニクに浸透するので、単なる生ニンニクを原料とした場合よりもより栄養価に富む加工ニンニクが製造される。また、2種類の原料は何れの場合も熟成に好適な容器手段に収納、配列され、熟成に最適な熟成条件を設定できる熟成装置手段の室内の棚手段に載置されて、熟成に最適な状態に所定時間保持されので、十分な熟成処理が施されニンニク臭はほぼ完全に消去され栄養価の高い加工ニンニクを製造することができる。
【0011】
請求項2に記載の加工ニンニク製造方法は、前記熟成条件の1つが温度略90℃、湿度略80%であって、且つ、その保持時間が略168時間であることを特徴とするものである。なお、本請求項は本請求項にある熟成条件だけで熟成を完結させ得ることを意味しない。加工ニンニク熟成工程に於ける熟成条件の温度、湿度は様々に設定し得るが、熟成初期の段階で温度略90℃、湿度略80%の熟成過程を経ることが、良好な熟成とする上での必須要件であることを確認している。温度略90℃は高温ではあるが湿度が80%と多湿であるので、加工ニンニクは乾燥されることなく高温での熟成反応が効率良く進行するものと推測される。なお、この熟成条件での熟成メカニズムの詳細は把握できていないが、熟成時間は略168時間が好適との結論を得ている。
【0012】
請求項3に記載の加工ニンニク製造方法は、前記海水が好ましくは海洋深層水であって、更に好ましくは三重尾鷲深層海洋水であることを特徴とする。
海洋深層水は後述するように一般の海水に比べミネラルが豊富で、その活用が多方面で検討されている。本請求項に係る海洋深層水もこの一環であり、生ニンニクを海洋深層水に浸漬することで、通常の海水より更に栄養価に富む加工ニンニクが製造できる。なお、本願発明では尾鷲海洋深層水によりその効果を検証している。
【0013】
請求項4に記載の加工ニンニク製造方法は、前記棚手段と前記容器手段の全て又は一部が天然木材で構成されることを特徴とする。
容器手段を載置する棚手段の棚を天然木材で作成し、生ニンニクまたは処理生ニンニクを配列する容器手段の容器を天然木材で作成することで後述するように、熟成過程で発生するイオウ化合物などの悪臭原因ガスを天然木材が吸着し大気中への拡散を防止する。また、そのメカニズムは不明であるが、一旦吸着された有臭ガスは木材成分との反応で無臭ガスに改質されるものと推定できる。なお、天然木材は組織内部に多くの空隙を有し、自由水として水分を吸収し、更には表面に水分を吸着させ大気中水分との平衡状態を維持する機能をもつ。天然木材のこれら機能により良好な湿度条件の維持と、劣悪な悪臭作業環境に陥ることが防止でき、安定した熟成品質の加工ニンニクを良好な作業環境下で製造できる。
【0014】
請求項5に記載の加工ニンニクは、つぎの条件を満たす熟成手段を用いて製造される。
(1)熟成装置手段室内環境を任意の恒温・恒湿環境に維持する恒温・恒湿化手段を有する。
(2)熟成装置手段室内の空気を循環又は撹拌し、均一にする室内空気均一化手段を有する。
(3)必要に応じ熟成装置手段室内の空気を所定の割合で、連続又は断続的に外気と置換する室内空気置換手段を有する。
(4)熟成装置手段室内の天井、床、4方壁面の全て、又は一部を天然木材で被う室内表面被覆手段を有する。
【0015】
これらにより、熟成装置手段の室内は熟成に最適な温度、湿度に維持でき、更に、空気を循環又は撹拌する室内空気均一化手段により、室内全体が均一温度、湿度に維持されるので室内に於けるニンニク等の載置位置、場所が違っても熟成ムラが発生することはない。なお、熟成装置手段をクローズシステムにすると熱効率は最大になるが、発生ガスが蓄積し弊害が大きい。本願発明ではクローズシステムを避け、新鮮な外気に一部置換する手段を有する。これにより熱効率を良好な状態に維持しながら、熟成過程で発生するガスが室内に長く滞留する弊害を回避できる。
また、熟成装置手段の室内の天井、床、4方壁面の全て、又は一部は室内表面被覆手段で覆われる。室内表面被覆手段は天然木材で構成されので、室内表面はガス吸着、水分吸着機能を発揮する。
これら各手段の相乗効果により、発生ガスの吸収・吸着と、外部への一部排出により良好な作業環境が維持され、最適な温度、湿度条件の保持により安定した熟成品質の加工ニンニクを製造できる。
【0016】
請求項6に記載の加工ニンニク製造方法は、前記熟成条件が3回以上連続して変更されて熟成される。即ち、第1ステップで温度略90℃、相対湿度略80%の熟成条件で略168時間保持され、続く第2ステップで温度略80℃、相対湿度略70%の熟成条件で略168時間保持され、続く第3ステップで温度略60℃、相対湿度略70%の熟成条件で略360時間保持される。
本請求項の第1ステップは、請求項2に記載の熟成条件と同一である。本請求項の3ステップを実施することで熟成は完結するが、原料生ニンニクの個体差に対応させ多少調整が必要となる場合がある。
本願発明に係る熟成メカニズムの解明は今後の作業となるが、本請求項は出願人が重視する請求項2に記載の熟成条件を含み、更に熟成を完結するに必要な熟成条件を実験などにより経験的に見出したものである。従って本3ステップが適用されて製造される加工ニンイクは、臭い、外観、味覚、食感、栄養価の何れに於いても良好な品質が維持される。
【0017】
請求項7に記載の加工ニンニク製造装置は少なくとも下記3機能を実現する手段を有する熟成装置である。
(1)熟成装置手段の室内空気を任意の恒温、恒湿環境に維持する恒温、恒湿化手段。
(2)熟成装置手段の室内空気を循環又は撹拌して均一にする室内空気均一化手段。
(3)熟成装置手段の室内の天井、床、4方壁面の全て、又は一部を天然木材で被う室内表面被覆手段。
また、好ましくは下記機能を上記3機能に付加して有する。
(4)必要に応じ熟成装置手段の室内空気を所定の割合で、連続又は断続的に外気と置換する室内空気置換手段。
この装置により、前述の通り、発生ガスの吸収・吸着と、室内空気と外気との一部置換により良好な作業環境を作り、最適な温度、湿度条件の維持により安定した品質の加工ニンニクを製造できる。
【0018】
請求項8に記載の加工ニンニク製造装置は、室内表面被覆手段を構成する前記天然木材及び、前記棚手段と前記容器手段を構成する前記天然木材の表面に木炭塗料が塗工される。
この木炭塗料には活性炭と同様のガス吸着機能があり、天然木材のガス吸着能力を更に強化してガス吸着し、天然木材同様吸着した有臭ガスを無臭化する作用があるものと推測される。
【0019】
請求項9に記載の加工ニンニク製造装置は前記室内表面被覆手段を覆う前記天然木材と、前記棚手段と前記容器手段を構成する前記天然木材が杉材である。
出願人が実験した範囲では、天然木材はヒノキより杉の方が脱臭効果が顕著で好適である。杉はヒノキより密度が小さくて軽く、空隙比率が大きく、ガスや水分の吸着性に富むためと考えられる。
【0020】
請求項10に記載の加工ニンニク飲料水は、所定重量の請求項1乃至6の何れかに記載の前記加工ニンニクと、所定重量の生理機能水に調整された海洋深層水と、所定重量の梅肉エキスと、所定重量の蜂蜜エキスと、を攪拌混合して製造される飲料水である。
本飲料水はミネラルがバランスよく含まれる生理機能水に調整された海洋深層水と、生活習慣病に有効な抗酸化成分を多量に含む本願発明に係る加工ニンニクと、疲労回復に効果のあるクエン酸を含む梅エキスと、美味しくて抗菌効果もある蜂蜜をブレンドして作られるので生体活性機能を有する機能性飲料としての効果が期待できる。
【0021】
請求項11に記載の飴玉は、所定重量の請求項1乃至6の何れかに記載の前記加工ニンニクと、所定重量の水飴と、所定重量の蜂蜜と、所定重量の生姜粉末と、所定重量の寒天を加熱、混練、所定サイズの成形型に注入、冷却して製造されるものである。
本飴玉は生活習慣病に有効な抗酸化成分を多量に含む本願発明に係る加工ニンニクを主成分とし、飴玉に仕上げるに必要な最小限の水飴に、抗菌効果を有する蜂蜜と、味覚改善効果の大きい生姜粉末と、食感向上に寄与が大きい寒天とを混練して作成したもので、生活習慣病に有効な機能性食品としての効果が期待できる。
【0022】
請求項12に記載の練り製品および加工品は、所定重量の食肉、又は所定重量の魚肉、又は所定重量の食肉と魚肉を共に含むものに、所定重量の前記加工ニンニクと、所定量のミネラル水(前記海洋深層水からミネラル成分を残し脱塩したもの)を添加し、混練て作られる。加工品には例えばソーセージやハンバーグなどが含まれる。
加工ニンニクは抗酸化成分を多量に含むので、これを添加する前記練り製品および加工品は、保存料や酸化防止剤などの化学添加剤の使用なしに長期保存が可能である。また、食肉の中でも豚肉の場合、豚肉中のビタミンB1と加工ニンニク中のアリシンが結合してエネルギーとして体内に蓄積されるなどの格別な効果が認められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下本願に係る発明について図面を参照しながら説明を行う。
図1は本願発明による加工ニンニクの製造プロセス条件の概要を示し、図2は熟成装置(熟成装置手段)の正面図と側面図、図3はトレイ(容器手段)の平面、正面、側面図であり、図4はトレイにニンニクを配列した状態の鳥瞰図である。
本願発明による加工ニンニクは図1の製造プロセスで製造される。
原料となる生ニンニクの選定に当たっては、原料コスト、供給の安定性、入手の容易性、品種、産地、栽培段階での農薬の使用の有無、栽培時に施した肥料の種類などを考慮して選定するが、本願発明によるニンニク加工法では品種、産地の差異が大きな問題となることはなく基本的には同一の条件で加工生産できる。ここでは、生産実績の多い中国山東省産の生ニンニクを使用した場合について説明する。
【0024】
まず、前処理では生産地から調達された生ニンニクに根や不必要な茎が残留している場合はこれらを切除し、皮付きのまま一定形状に整える。次いで水洗により表面に残留する土等の汚れを落し、皮付きのまま根が下になる方向にしてバットに並べ、生ニンニクが浮き上がらない程度に準備した海洋深層水をそそぎ浸漬する。海洋深層水は一般の海水に比べ温度が低く、浸漬時間は15℃で1時間を標準とする。この時、海洋深層水中に溶解し、生ニンニク中に含まれないミネラル成分が浸透圧により生ニンニク中に浸透する。浸透は浸透したニンニク中のミネラル濃度と、海洋深層水中に残留するミネラル濃度が平衡に達するまで進むが、経験的に浸漬1時間で十分な効果のあることを検証している。ただし海洋深層水の水温が15℃以下の場合は浸漬時間を長く、15℃以上の場合は短くする。このときの時間調整は化学反応に於ける10℃半減則を目安に調整する。海洋深層水は毎回新鮮なものを使用し、繰り返し使用することはない。なお生ニンニクは海洋深層水に沈めるように浸漬してもよい。ただし、生ニンニクは比重は海水より小さく海洋深層水表面に浮上するので、錘と共にネットに入れ強制的に沈めなければならない。ここに海洋深層水として使用する尾鷲海洋深層水について補足すると、表1に示すように一般の海水に比べ硝酸塩、燐酸塩、珪酸塩などの栄養塩類が豊富に含まれており、またミネラルもバランス良く含まれるなどの特徴がある。
【0025】
【表1】

【0026】
浸漬終了後、生ニンニクは処理生ニンニクとなり水切りして図3トレイに示すトレイに配列する。トレイは規定サイズに切断された杉材からなる枠板40、側板41、底板42を図3に示す形状にステンレス釘で打ち付け組み立て作られ、サイズは700mm×700mm×高さ80mmで、略100個の処理生ニンニクを収容できるものを使用している。トレイ底面は、底板42が隙間を開けて枠板40に組立てられるので、スノコ状に隙間が形成される。また、組立てにステンレス釘を用いる理由は、海水に対し耐食性を持たせる為である。杉板の表面には木炭塗料(商品名:ヘルスコート)を塗工する。これは、杉板の水分やガス吸着機能を更に強化するのが目的である。
トレイ上への処理生ニンニクの配列に当たっては、2層に重ねることなく、図4に示すように1層で一様に配列させる。従って配列された処理生ニンニク間には適当な隙間が形成され、トレイ底面もスノコ状であるので処理生ニンニク配列後であっても、トレイ底面を貫いて垂直方向に風路が形成される。
処理生ニンニクの配列されたトレイは図2に示す熟成装置1内に搬入される。
【0027】
ここで、熟成装置1について説明を行う。
熟成装置1は基礎6の上に設置される構造材5をフレームとして内部に、熟成室10、流入風路12、流出風路11、循環路35の4つの部屋が設けられ、装置全体が上方断熱材8、側方断熱材7、下方断熱材9で覆われる。熟成室10には天井13と、床14が設けられ、天井面、床面、及び側面にそれぞれ、天井面被覆材15、床面被服材17、壁面被覆材16が設置される。天井面の天井13と天井面被覆材15には、熟成室10と流出風路11を貫通して風を通す多数の天井通風孔18が設けられ、床面の床14と床面被服材17にも同様に熟成室10と流入風路12を貫通する床通風孔19が設けられる。通気孔のサイズは直径10mm、穿設密度1m2当たり400個である。床14は構造材5に支持される一対の床支持部材25で両端部を、基礎6上に設置され床支持台23と床支持部材24で中央部を支えられる。熟成室10の室内容積は長6m×幅3m×高さ2.1mとしている。
【0028】
熟成室10の中央部には作業者の作業用通路20が設けられ、作業用通路20の両側には床面から天井まで全面に棚が設けられる。上下方向の棚間隔は150mmで、トレイは棚に設けられる桟でトレイの通路側と、反通路(壁面)側と、これらの中心の3箇所で支持される。これにより、トレイの棚への挿脱の容易性と、室内空気の循環の均一性を確保しながら、棚への載置可能なトレイ個数の最大化を図っている。棚はトレイ同様杉材で作られ、表面に木炭塗料が塗工される。作業用通路20の天井13には防滴型の照明26が設置され、室内作業を実施する時のみ照明用に点燈させる。作業者は扉28を開閉して熟成室10内へ入退室する。熟成室内を恒温、恒室に維持するため温度、湿度測定用センサとして、室内の適宜の場所に温度センサ44と湿度センサ45が設置される。また、室内空間の温度、湿度の均一化を促進させるため、必要に応じ慣用されるエア攪拌装置が追加設置される。
【0029】
流入風路12は熟成室10の床14の下に設けられる空間で、床支持台23、床支持部材24、蒸気配管21および配管支持部材22等が配置される。流入風路12は設定温度に調整された温風と、蒸気配管21から噴出する蒸気39を熟成室10の床通風孔19から一様に噴出させるために設けられた。
循環路35には熱交換器36、空気圧送用ブロア29、外気取入れ用吸気ダンパ47、排気ダンパ46と、蒸気バルブ37などが設置される。熱交換機は熟成室10に供給する空気を熟成に必要な所定の温度に加温するもので、熱源は加圧蒸気で、その温度制御は電磁バルブ38で熱交換機に供給する蒸気量を制御して行う。ブロア29には風量120mのものを用いた。外気取入れ用吸気ダンパ47は、ダンパの開閉度の調整で吸気量を適宜の量に制御できる。また、排気ダンパ46も吸気ダンパ47と同様にダンパの開閉度の調整で排気量を適宜の量に制御できる。蒸気バルブ37は、図示しないボイラーで発生させ、蒸気配管21により熟成室10内に供給する高温、高圧蒸気の供給量を制御し、熟成室10内の湿度が設定湿度になるようその供給量を制御する。
【0030】
次に、本熟成装置1の温風路について説明する。
ブロア29により圧送され循環する温風は、循環及び吸入外気により温度降下した分の熱量を熱交換器36より受け、所定温度に加温されて循環路35の室内を下方に送り出される。送風方向は供給風30で示すように流入風路12の方向に曲げられる。即ちブロア29より圧力送される温風は、循環路35から流入風路12に至る過程で風路を直角に曲げられ乱流状態になって流入風路12に至る。流入風路12は熟成室10に対し陽圧に維持され、乱流状態の温風は床通風孔19から噴出するとき、床通風孔19の整流効果で整流されて熟成室10の床面全体から一様に吹き出る。熟成室10に流入した温風は風路抵抗の小さい通路20を流れ易いので、通常は適宜の位置に設けられた扇風機タイプのエア撹拌器で撹拌を行い、各棚に一様な温風の循環路を形成させる。なお、棚及び棚に載置されるトレイは全てスノコ形状を採用しているので通風性があり、上方に向かう温風の流路が形成され、温風の流れに淀みが生じることはない。また、これにより熟成室10内に載置、熟成されるニンニクは、常時循環温風に晒され必要な熱交換、湿度交換、熟成反応などで発生する老廃ガスの温風による表面からの撤去などが進行する。また、エア撹拌により乱流状態にある室内では、熟成反応で発生する老廃ガスを含む温風が、トレイ、棚、四方の壁面に衝突し、これらを構成する杉材、および塗工木炭に老廃ガスを吸着させる。エア撹拌はこのときの吸着反応と、吸着平衡を促進させる効果も有する。
【0031】
熟成室内を透過し天井に到達した温風は、天井面全体に設けられた天井通風孔18から流出風31として流出風路11に一様に吹き出す。天井通風孔18にも整流効果があり、熟成室10内での温風の流れの一様化を促進させる。
なお、天井通風孔18、床通風孔19に関し、風路抵抗の小さい通路20の天井及び床面に位置する風孔の直径を他の部分より小さくし、この部分の風路抵抗を増大させることで、熟成室全体の風路抵抗分布の均一化を図ってもよい。
流出風路11に流出した温風は、流路方向を曲げられて循環路35への流入により一巡し、更に循環を繰り返す。なお、流出風路11の温風の一部は分流風32として、排気ダンパ46の開閉量でその排出量が決められて、外部に排出される。また、この排出量に見合って吸気ダンパ47を経由して新鮮な吸入風34が吸入される。なお後述するように、本発明では温風循環路に有臭ガス(老廃ガス)の無臭化手段が配置されるので、温度の低い新鮮な外気の取入れ量を極小にでき、加温と加湿に必要なエネルギーの最小限化を図っている。
【0032】
熟成室10内の温度は、適宜の位置に配置された温度センサ44で観測される温度データを図示しないコントローラが収集し、PID制御により設定温度との差異に応じブロア29の風量と、バルブ38による熱交換器36への供給熱量を調整するフィードバック制御方式で一定に保持される。湿度制御も温度制御と同様に熟成室10内の適宜の位置に配置された湿度センサ45で観測される湿度データを図示しないコントローラが収集し、設定湿度との差異に応じて蒸気バルブ37の開閉量を調整する。
【0033】
次にトレイに配列され熟成装置内の棚に載置された処理ニンニクの熟成プロセスについて説明する。
図1に示す熟成条件は、発明者が様々な熟成条件の組合せについて実験し、最良の熟成条件として経験的、実証的に見出したものであって、メカニズムの詳細が解明できている訳ではない。従ってここに示す好ましい実施形態として記載する内容は、本発明を限定するもので無く、本願発明の趣旨と範囲から逸脱することのない実施形態についても本願発明に包含されるべきことは容易に理解されよう。
【0034】
熟成工程では4ステップが連続して実行される。即ち第1ステップが温度90℃、湿度80%の熟成環境で7日間保持、続く第2ステップで温度80℃、湿度70%の熟成環境で7日間保持、更に第3ステップで温度60℃、湿度70%の熟成環境で10日間保持、そして最終第4ステップで温度60℃、湿度70%の熟成環境で5日間保持し、熟成を完了した加工ニンニクが得られる。本加工ニンニクは熟成の進展に伴い徐々に黒変し、黒色度を増すので、黒色度は熟成度を示す指標の1つに成り得る。この黒色度、味覚、臭気などから熟性度を判断すると、第2ステップ終了時点での熟成度は70%、第3ステップ終了時点での熟性度は90%と判断され、当然第4ステップ終了時点での熟性度は100%となる。
【0035】
また、熟成過程では換気が重要であることを確認している。ステンレス容器を用いた実験では、密閉したステンレス容器中に生ニンニクを入れ、前記4ステップの熟成条件で熟成させると腐敗が起こるが、同一容器、同一熟成条件であっても換気しながら熟成させると正常に熟成され、正常な加工ニンニクが得られる。この事実が、前記熟成装置1でニンニク表面から発生する老廃ガスを速やかに除去するため常時循環温風に晒される温風路を形成させた根拠になっている。
【0036】
なお、ステンレス容器中で換気しながら熟成した場合、熟成は正常に進行するが、この時発生する老廃ガスはイオウ化合物と推定され、強烈な刺激臭がある。また、この刺激臭は生産設備などで大量に生産する場合、作業者がガスマスクの着用なしに熟成室に手立ち入るのを困難とし、また、加工施設の立地する周辺住民に対し悪臭公害を引起し問題になっている。本発明による熟成装置は、熟成室内表面を杉材でカバーし、棚材とトレイ材にも杉材を使用し、追加的にこれら表面に木炭塗料を塗工することで、刺激臭の問題は無く、作業者はガスマスク着用なしで熟成室内の作業ができる。これら事実を総合判断すれば、杉材及び塗工木炭は刺激臭ガスの吸着機能を有し、しかも吸着機能が長期間、半永久的に機能することから、単なる吸着だけに留まらず、刺激臭ガスを吸着後無臭ガスに改質し、再放出する機能があると推測される。熟成室内の温風撹拌はこの刺激臭ガスの杉材及び塗工木炭への速やかな吸着と、無臭化したガスの杉材及び塗工木炭からの放出を促進させ、ニンニクの熟成を速やかに進行させる効果を有すると推測される。また、刺激臭ガスの発生は第一ステップで多量に発生し第2ステップ以降は激減する、図1に示す第一ステップが、90℃の高温に設定されていることで、前記杉材及び塗工木炭が仲介(触媒作用)する刺激臭ガスの無臭化ガスへの改質反応は円滑に進行しているものと推測する。
【0037】
熟成室内表面をカバーする杉材の特筆すべき効能として、前記刺激臭ガスの無臭化に加え湿度調整機能がある。一般に木材には吸脱湿機能があり、木材内部には主成分であるセルロースと水素結合などにより化学結合する結合水と、木材繊維間に存在する微小隙間中に物理的に存在する自由水の内在が知られている。このうち微小隙間中に吸着される自由水は外界の湿度変化に応じて変動する。即ち、外界湿度が多湿から乾燥状態になれば吸着した水分を放出し、逆に乾燥状態から多湿に変化すれば外界の水分を吸着する。このときの吸脱湿変化は温度が高い程早く平衡に達する。熟成室10の湿度制御は熟成室10内の適宜の位置に配置された湿度センサ45で検知される実測湿度データと、設定湿度データとの差に基づきコントローラで自動制御により、蒸気バルブ37の開閉量を調整して実施される。しかし、エア攪拌により乱流状態にある熟成室10の湿度を蒸気バルブ37のみで設定湿度に維持することは容易ではない。特に90℃と高温に設定される第一プロセスでは、蒸気バルブによる制御のみに頼った場合、局所的に設定湿度80%から大きく乖離し乾燥状態に陥ることが観測されている。本発明は熟成室内表面を杉材でカバーし、棚材とトレイ材にも杉材を多用し、木材自身の有する調湿機能で前記蒸気バルブによる調湿制御を補完させている。また、蒸気バルブによる調湿制御は瞬時瞬時の変動に敏感に追随した制御であって変動が大きいが、木材による調湿機能は緩やかであり、異なるタイプの2種類の調湿機能の調和により良好な湿度制御を実現している。なお、エア攪拌が熟成室内湿度の均一化に寄与の大きいことは言うまでもない。
【0038】
熟成装置では、棚に載置される処理生ニンニク全ての熟成を一様に進行させる必要がある。熟成を支配する要因のうち温度、湿度、換気は特に重要であるが、これら要因は実装置にあっては熟成室内の位置による影響を受け易い。従って加工ニンニクの同一製造ロット内の品質バラツキを小さくし、製品の歩留まりを向上させるため、製造過程で処理生ニンニクを配列させたトレイの棚への載置位置を定期的に移動させてもよい。また、棚自体を手動又は、自動で移動可能とする構成としてよい。
【0039】
なお、本願発明による加工ニンニク製造では生ニンニクのりん球を包囲する皮の除去は一切行わず、完成品も皮付きのままを完成とする。皮の除去を実施しない理由は、皮除去の工数が節減できること、皮に包囲され隣接するりん片が、熟成過程において皮袋に収まり隔離された状態を保持できることで、りん片同士の融着や型崩れを防止できること、熟成室の温風、水分の影響を皮袋を透過して受けることで、これら外界の影響を直接受けたとした場合の表面の特異変化、変質を回避でき一様な品質の加工ニンニクが得られるなどの効果がある。しかし、この皮付きのまま加工することは、本発明の限定要件にはならない、皮なしの場合であっても請求項に係る加工ニンニクは皮ありの場合と同様に製造できる。
【0040】
次に、本発明による加工ニンニクが食品として優れ物であることの説明を行う。
表2は加工ニンニクと生ニンニクの成分分析データである。加工ニンニクは何れの成分も生ニンニクの2.5〜4.0倍含み栄養素の凝縮された食品であることが確認できる。また、加工ニンニクのアミノ酸についての詳細分析結果を表3に示すが、グルタミン酸が特に豊富に含まれており、これは海洋深層水の効果と推定している。また、抗酸化性についての加工ニンニクと生ニンニクの比較評価では、加工ニンニクが生ニンニクの10.4倍の抗酸化効果が得られている。糖度に関しても生ニンニクの26.3度に対し加工ニンニク糖度32の分析値が得られている。このように加工ニンニクは、生ニンニクと比較してミネラル、アミノ酸などの栄養素、抗酸化性、糖度の各面で格段に優れ、栄養価に富みしかも美味しい優れた食品であることが分かる。また、加工ニンニクの特筆できる効果として、例えば生ニンニク100gの摂取により表2の栄養を取ろうとしても、通常100gの生ニンニクを直接食することには抵抗があり苦痛であるばかりか腹痛を起こすことが書籍などに紹介されている。しかし、加工ニンニクは多量に摂取しても腹痛を起すことはなく、しかも食感を楽しみながら摂取できる。
【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
本発明に係る加工ニンニクは、例えば高級ワインが長い年月熟成して味わい深いものに仕上がるのと同様、前記熟成工程の後、適宜の条件で更に熟成させ一層味わい深い加工ニンニクとすることもできる。これは、本発明の変形例として本願発明の技術的範囲に包含される。
【0044】
以上加工ニンニク単独について述べたが、加工ニンニクの深みのある美味しさや機能食品としての優れた特質は他の食材と組合わせることで格別な効果を生む。
この種の食品として飲料水と、飴玉と、練り製品及び加工品の3実施例について以下に説明する。
【0045】
まず本発明による飲料水は例えば次のように製造される。
ミネラルを残し塩分濃度を生理食塩水と同じ0.9%に脱塩した海洋深層水100重量部にペースト状にした加工ニンニク10〜20重量部と、梅肉エキス3〜10重量部と、蜂蜜10〜20重量部を添加し、ミキサーで均一に撹拌混合する。加工ニンニクは粉砕されて褐色に懸濁し、更に褐色の梅ペーストと混合され外観褐色の飲料水となる。味覚的には酸味と甘みが程よく調和したものになる。加工ニンニク、梅エキス、蜂蜜の配合割合にはかなりの幅があり、マーケットの要請に合わせて調整できる。
【0046】
次に飴玉は次のように製造される。
加工ニンニクのペースト30重量部と、乾燥後パウダーにした加工ニンニク30重量部と、水飴20重量部と、蜂蜜14重量部と、生姜粉末3重量部と、寒天3重量部を均一に混練、その後鍋で煮詰め1個略5gの型に入れ冷却して固める。固まり具合がうまくない場合は水飴の量を増やす。飴の外観は黒色で食感は弾力性があって柔らかで、容易に噛み砕くけ、歯の丈夫でない者でも抵抗無く食することができる。なお、生姜粉末は好みに応じ除くことも、或いは他の物に置き換えても問題はない。
【0047】
また、練り製品及び加工品の実施例としてソーセージとハンバーグは次のように作られる。まず、ソーセージの場合について説明すると、鰯のすり身65重量部と、豚肉のミンチ10重量部と、鶏卵7重量部と、澱粉15重量部と、砂糖3重量部と、海洋深層水塩2重量部と、カルマグ水3重量部と、加工ニンニク5重量部と、を混練、ソーセージ用充填機に投入して豚の腸に腸詰めし、腸詰後沸騰水でゆで上げて出来上がりとなる。この場合、魚肉のすり身は鰯に限定されず、沖ギスなど慣用される食材であってよい。
【0048】
次にハンバーグの場合は、豚肉のミンチ70重量部と、牛肉ミンチ10重量部と、鶏卵5重量部と、澱粉10重量部と、砂糖3重量部と、海洋深層水塩2重量部と、カルマグ水3重量部と、加工ニンニク5重量部と、を混練、ハンバーグ用に成形して完成させる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】加工ニンニクの熟成加工プロセスを示す。
【図2】熟成装置の断面図を示す。
【図3】トレイの構成を示す。
【図4】トレイに配列した処理生ニンニクの外観を示す。
【符号の説明】
【0050】
1 熟成装置
2 ニンニク
3 トレイ
10 熟成室
11 流出風路
12 流入風路
13 天井面被覆材
16 壁面被覆材
17 床面被服材
18 天井通風孔
19 床通風孔
30 供給風
31 流出風
32 分流風
33 排出風
34 吸入風
35 循環路
36 熱交換器
37 蒸気バルブ
39 蒸気
44 温度センサ
45 湿度センサ45

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ニンニク若しくは海水に所定時間浸漬した処理生ニンニクを、恒温・恒湿に設定可能な熟成装置手段の室内に配置された棚手段の棚に容器手段に収納して載置保持し、前記熟成装置手段の温度、湿度の組合わせで決まる熟成条件を少なくとも連続して2ステップ以上変更させ、各熟成条件にそれぞれ所定の保持時間、前記生ニンニク若しくは前記処理生ニンニクを保持して熟成加工することを特徴とする加工ニンニク製造方法。
【請求項2】
前記熟成条件の1の条件が温度略90℃、湿度略80%であって、且つ、前記熟成条件での前記保持時間が略168時間であることを特徴とする加工ニンニク製造方法。
【請求項3】
前記海水が好ましくは海洋深層水であって、更に好ましくは三重尾鷲深層海洋水であることを特徴とする、加工ニンニク製造方法。
【請求項4】
前記棚手段と前記容器手段の全て、又は一部が天然木材で構成されることを特徴とする加工ニンニク製造方法。
【請求項5】
前記熟成手段が
前記熟成装置手段の室内空気を任意の恒温・恒湿環境に維持する恒温・恒湿化手段と、
前記熟成装置手段の室内空気を循環又は撹拌して均一にする室内空気均一化手段と、
必要に応じ前記熟成装置手段の室内空気を所定の割合で連続又は断続的に外気と置換する室内空気置換手段と、
前記熟成装置手段の室内の天井、床、4方壁面の全て又は一部を天然木材で被う室内表面被覆手段と、
で構成されることを特徴とする加工ニンニク製造方法。
【請求項6】
前記熟成条件が3回以上連続して変更され、
第1ステップが温度略90℃、相対湿度略80%、保持時間略168時間、
第2ステップが温度略80℃、相対湿度略70%、保持時間略168時間、
第3ステップが温度略60℃、相対湿度略70%、保持時間略360時間
であることを特徴とする加工ニンニク製造方法。
【請求項7】
前記熟成手段を構成する熟成装置であって、
前記熟成装置手段の室内空気を任意の恒温・恒湿環境に維持する恒温・恒湿化手段と、
前記熟成装置手段の室内空気を循環又は撹拌して均一にする室内空気均一化手段と、
前記熟成装置手段の室内の天井、床、四方壁面の全て又は一部を天然木材で被う室内表面被覆手段と、
で構成され、好ましくは更に、必要に応じ前記熟成装置手段の室内空気を所定の割合で連続又は断続的に外気と置換する室内空気置換手段が追加されて構成されることを特徴とする加工ニンニク製造装置。
【請求項8】
前記室内表面被覆手段を構成する前記天然木材及び、前記棚手段と前記容器手段を構成する前記天然木材の表面に木炭塗料が塗工されてなることを特徴とする加工ニンニク製造装置。
【請求項9】
前記室内表面被覆手段を覆う前記天然木材と、前記棚手段と前記容器手段を構成する前記天然木材が杉材であることを特徴とする加工ニンニク製造装置。
【請求項10】
所定重量の請求項1乃至6の何れかに記載の前記加工ニンニクと、所定重量の生理機能水に調整された海洋深層水と、所定重量の梅肉エキスと、所定重量の蜂蜜エキスと、を攪拌混合して製造されることを特徴とする加工ニンニク飲料水の製造方法。
【請求項11】
所定重量の請求項1乃至6の何れかに記載の前記加工ニンニクと、所定重量の梅肉エキスと、所定重量の水飴と、所定重量の蜂蜜と、所定重量の生姜粉末と、所定重量の寒天を加熱、混練後所定サイズの成形型に注入、冷却して製造されることを特徴とする加工ニンニク飴玉の製造方法。
【請求項12】
所定重量の食肉、又は所定重量の魚肉、又は所定量の食肉と魚肉と、
所定重量の請求項1乃至6の何れかに記載の前記加工ニンニクと、
所定量の前記海洋深層水のミネラル成分を残し脱塩して作られるミネラル水と、
を混練して作られる練り製品および加工品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−86281(P2008−86281A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272830(P2006−272830)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【特許番号】特許第4003217号(P4003217)
【特許公報発行日】平成19年11月7日(2007.11.7)
【出願人】(302071139)
【出願人】(305056386)
【Fターム(参考)】