説明

加工制御装置

【課題】 加工工具(研削砥石や研磨バフ等)の中心内部から外周面に低温の冷却気体や高圧冷却液を浸透噴出して加工点を直接冷却するものにして、冷却気体や高圧冷却液が効率良く加工点に集中して噴出誘導する加工制御装置を提供する。
【解決手段】 通気性の気泡状砥石10A又は台金部分10Xに通気回路・通液回路Jを設けた電着砥石10Bや研磨バフ10C等の加工手段10と、上記加工手段はこの回転軸中心にあけた通孔4Aから内部を浸透して外周縁部の加工点Pへ冷却気体K1を供給する冷気供給部材LKと、上記加工手段を包囲しこの外周縁部から噴出する冷却気体K1をワークWの被研削面の加工点Pに集中誘導する開口部20Zを有する円筒カバー体20と、を備えた加工制御装置100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工工具となる研削砥石や研磨バフ等を使用した加工制御装置に係わり、特に、加工工具(研削砥石や研磨バフ等)の中心内部から外周面に低温の冷却気体や高圧冷却液を浸透噴出して加工点を従来の外部から吹き掛ける方法から内部から直接冷却するものにおいて、冷却気体や高圧冷却液が効率良く加工点に集中して噴出誘導するようにした加工制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば、航空機による国際的な物流増大に対応する事と、対地球環境向上を図るための低燃費性の要求が高まり、航空機のジェットエンジンの軽量化と燃費改善が図られている。その具体的方策として、ジェットエンジンの2基化や小型化、更には、タービンブレードの薄肉化等で対応している。特に、タービンブレードの薄肉化には、高精度な研削技術が必須になっている。この従来の研削方法には、冷却水を研削ホイールの表面に噴射して表面の水冷と切粉・塵埃除去をするものが一般的に知られている。
【0003】
そこで、研磨ホイールの研磨面に付着する研磨屑を高い原料除去率で除去するクリープ研削処理を達成させるべくした(高速研磨装置)が提供されている。その構成は、薄板切断加工機を対象とし、多孔性の研磨ホイールと、研磨ホイールを取付けると共に毎秒80mにまで達する周速で研磨ホイールを回転させる機械と、高圧で噴出する冷却剤を実質的に加工点に先立つ研磨ホイールの周縁の照準点に方向付ける少なくとも1つのノズル手段を有する高圧冷却剤供給システムと、を備えた高速研磨装置である。上記ノズル手段は、冷却剤の噴射を、実質的に放射方向に研磨ホイールの周の照準点に方向付けるようになし、また、ノズル手段は、研磨ホイールの周の照準点を、加工点に約30mmから40mm先立つ距離に向けられており、また、冷却剤ノズル手段は、加工点に対して相対的に冷却剤噴射照準点を再位置決めするために、機械のスピンドル軸周りに回転可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
更に、研削砥石に接するワークの研削点に低温冷風を吹き付ける気流冷却技術がある。具体的には、研削油剤を使用しないで、無公害で低温且つ高精度、高能率の冷風加工方法である。即ち、冷風温度−30℃以下の乾き空気よりなる圧縮冷風を研削点(切削点)に吹き付け、無公害の微粒子状油剤Accu−Lubeを砥石面に微量供給するか、若しくは固定潤滑処理した加工治具を使用して砥石研削若しくは刃具切削を行なうようにしたものである。また冷風研削装置は、除塵した圧縮乾燥空気の温度を−1℃以下に低減させる冷却手段と、該冷却手段により冷却された乾き空気を加工点に供給する冷風吹き付け部と、微粒子状の植物油等の無公害油を加工点に直接若しくは加工治具を介して加工点に間接的に供給する手段とを設けたものである。そして、冷風及び微粒子状植物油吹出し部と加工点周囲をエアカーテンにより外気より隔離することで、加工部を覆うエアカーテンによりそれを取り巻く外気より遮断隔絶することができ、ワークの着脱が容易に行える中で外気気温の影響を受ける事無く所要の冷風加工ができる。また加工屑の外部飛散を吸収するため、環境汚染を防止できるものである(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開平11−254324号公報
【特許文献2】 特開平10−86036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特開平11−254324号公報は、研削ホイールの研削面に付着する研削屑を高い原料除去率で除去するクリープ研削処理を達成させるべくした(高速研磨装置)であり、冷却水・ク−ラントが砥石の高速回転に伴い形成される外周の空気層により跳ね飛ばされ、砥石の目詰まり除去とワーク冷却が十分にできない。重研削では、ワークの研削焼けが発生し易いという問題が解決されていない。更に、使用済みの冷却水・ク−ラントには、除去した切粉が混入しこの再利用には処理装置を必要とする等の問題点が残存する。更に、上記技術は、研削液体の為に研削屑がヘドロ状となり、その処理費用や研削液体の再利用に際して多くの問題点が残存している。
【0007】
また、上記特開平10−86036号公報の冷風研削方法では、加工部を覆うエアカーテンによりそれを取り巻く外気より遮断隔絶することができ、ワークの着脱が容易に行える中で外気気温の影響を受ける事無く所要の冷風加工ができる。また加工屑の外部飛散を吸収するため、環境汚染を防止できる。しかし、エアカーテンでは加工部を外気から完全に遮断隔絶するとは困難であり、また、研削砥石やワーク等の加工部全体を覆わざるを得ず、エアカーテン生成装置が大型化する上に研削操作性が悪い等の多くの問題を有している。
【0008】
本発明は、上記研削砥石及び研削液供給方法や冷風研削方法における各種問題点に鑑みてなされたもので、特に、加工工具(研削砥石や研磨バフ等)の中心内部から外周面に低温の冷却気体や高圧冷却液を浸透噴出して加工点を直接冷却するものにおいて、冷却気体や高圧冷却液が効率良く加工点に集中して噴出誘導するようにした加工制御装置を提供するものである。
【0009】
そして、冷却気体にあっては、低温0℃から−40℃相当までの冷却気体を加工点に直接噴射することで、研削熱(摩擦熱)で体積膨張した冷却気体が砥石目詰まりを吹き飛ばし、更なる冷却効果と砥石目詰まりを改善し、砥石の刃先自生作用を促進する。更に、完全な乾式研削である為に研削屑がヘドロ状とならず、研削屑の処理が完全となって環境保全を図る。
また、高圧冷却液(約2メガパスカル〜約7メガパスカル前後の超高圧)にあっては、体積比率3000倍前後に膨張させて蒸気爆発させ、この効果で気化圧力を発生させ、砥石内に堆積する研削塵を吹き飛ばして砥石の目詰まり防止効果と砥石による冷却液のフィルター効果、ワークの研削焼け防止効果を相乗的に発揮させる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するべく本発明の請求項1による加工制御装置は、通気性の良好な気泡状砥石又は台金部分に通気回路・通液回路を設けた電着砥石や研磨バフ等の円盤状とした加工手段と、上記加工手段はこの回転軸中心側となる回転主軸に係合するフランジに係合するカプラにあけた通孔から内部を浸透して外周縁部の加工点へ冷却気体を供給する冷気供給部材と、上記加工手段を包囲してこの外周縁部から噴出する冷却気体をワークの被研削面となる加工点に集中誘導する開口部を有する円筒カバー体と、を具備したことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2の加工制御装置は、請求項1の加工制御装置において、上記冷却気体は、低温0℃から−40℃相当までの冷却気体を加工点に直接噴射すること特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3の加工制御装置は、通気性の良好な気泡状砥石又は台金部分に通気回路・通液回路を設けた電着砥石や研磨バフ等の円盤状とした加工手段と、上記加工手段はこの回転軸中心側となる回転主軸に係合するフランジに係合するカプラにあけた通孔から内部を浸透して外周縁部の加工点へ高圧冷却液を供給する高圧冷却液供給部材と、上記加工手段を包囲してこの外周縁部から噴出する高圧冷却液をワークの被研削面となる加工点に集中誘導する開口部を有する円筒カバー体と、を具備したことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項4の加工制御装置は、請求項3の加工制御装置において、上記高圧冷却液は、(約2メガパスカル〜約7メガパスカル前後の超高圧)の高圧冷却液を加工点に直接噴射することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項5の加工制御装置は、請求項1から4のいずれか1に記載の加工制御装置において、上記円筒カバー体は、断面コ字型の円弧体を複数枚連接してその両端に形成される開口部の開口量を開閉機構で調節可能とし、開口部の開口方向を旋回機構で調節可能としたことを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項6の加工制御装置は、請求項5に記載の加工制御装置において、上記円筒カバー体は、旋回中心から内径方向及び外径方向に拡縮機構で調節可能としたことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項7の加工制御装置は、請求項5叉は6記載の加工制御装置において、上記円筒カバー体は、加工工具の外径寸法及び摩耗による外径寸法の減少に関連して外径方向に調節するとともにワークの被研削面となる加工点の加工条件に対応してその開口量の調節を、NC制御装置の加工制御プログラムにより運転制御されることを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項8の加工制御装置は、請求項7記載の加工制御装置において、上記円筒カバー体に加工工具の外径隙間センサと開口量センサとを備え、加工対象となるワークに対して最適最小隙間に運転制御されることを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項9の加工制御装置は、請求項1叉は3記載の加工制御装置において、上記加工手段は、回転主軸のテーパー部にフランジのテーパー穴を係合するとともに該フランジの外周面叉は端面に回転不能に面接触したカプラに冷気供給部材叉は高圧冷却液供給部材を接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の請求項1と請求項2による加工制御装置によると、通気性の良好な気泡状砥石又は台金部分に通気回路・通液回路を設けた電着砥石や研磨バフ等の円盤状とした加工手段をカバー体で包囲したから、カバー体の開口部が加工手段の外周縁部から噴出する冷却気体をワークの被研削面となる加工点に集中誘導できる。これで、加工手段の軸中心から外縁部に向かい砥石内部を低温0℃から−40℃相当の極冷却気体が浸透噴出し研削点を直接冷却するとともに研削熱で体積膨張した極冷却気体は砥石目詰まりを吹き飛ばしながら更なる冷却効果と砥石目詰まりを改善し砥石の刃先自生作用を促進する。また研削面の研磨バフのバフ磨きにも、同様な極冷却気体による効果が得られる。更に、完全な乾式研削である為に研削屑がヘドロ状とならず、研削屑の処理が完全となって環境保全が図れる。
【0020】
また、請求項3と請求項4による加工制御装置によると、通気性の良好な気泡状砥石又は台金部分に通気回路・通液回路を設けた電着砥石や研磨バフ等の円盤状とした加工手段をカバー体で包囲したから、カバー体の開口部が加工手段の外周縁部から噴出する(約2メガパルカル〜約7メガパスカル前後の超高圧)の高圧冷却液をワークの被研削面となる加工点に集中誘導できる。これで、加工手段の軸中心から外縁部に向かい砥石内部を高圧冷却液が浸透噴出し研削点を直接冷却するとともに研削熱で体積膨張した高圧冷却液は砥石目詰まりを吹き飛ばしながら更なる冷却効果と砥石目詰まりを改善し砥石の刃先自生作用を促進する。また研削面の研磨バフのバフ磨きにも、同様な高圧冷却液による効果が得られる。
【0021】
また、請求項5と請求項6による加工制御装置によると、円筒カバー体は、断面コ字型の円弧体を複数枚連接してその両端に形成される開口部の開口量を調節可能とし、且つ旋回中心から内径方向及び外径方向に調節可能としたから、加工点の面積の大小変化や加工手段の外周縁部が摩耗してその外径寸法が小さくなっても、ワークの被研削面となる加工点に集中誘導できる。
【0022】
また、請求項7の加工制御装置によると、円筒カバー体は、NC制御装置の加工制御プログラムにより加工工具の外径寸法及び摩耗による外径寸法の減少に関連して外径方向に調節され、ワークの被研削面となる加工点の加工条件に対応してその開口量の調節が運転制御できる。また、請求項8の加工カバー装置によると、請求項7の加工カバー装置において、円筒カバー体に加工工具の外径隙間センサと開口量センサとを備えたから、円筒カバー体内が加工対象となるワークに対して最適最小隙間に運転制御され、極冷却気体や高圧冷却液がワークの被研削面となる加工点に外部条件の変動に係わらず集中誘導できる。
【0023】
また、請求項9の加工制御装置によると、回転主軸のテーパー部に係合したフランジの外周面叉は端面に回転不能に面接触したカプラに冷気供給部材叉は高圧冷却液供給部材からの高圧冷却液や冷却気体は、効率良く合理的にワーク加工点に供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】 本発明の実施の形態を示し、加工制御装置の側面図である。
【図2】 本発明の実施の形態を示し、加工制御装置の展開断面図である。
【図3】 本発明の実施の形態を示し、加工手段となる電着砥石や研磨バフ等の断面図である。
【図4】 本発明の実施の形態を示し、円筒カバー体のプログラマブル図である。
【図5】 本発明の実施の形態を示し、円筒カバー体の開閉制御図である。
【図6】 本発明の実施の形態を示し、円筒カバー体の外径制御図である。
【図7】 本発明の実施の形態を示し、円筒カバー体の開閉機構と旋回機構の側面図である。
【図8】 本発明の実施の形態を示し、円筒カバー体の旋回機構と拡縮機構の側面図である。
【図9】 本発明の実施の形態を示し、円筒カバー体の開閉機構と旋回機構の側面図である。
【図10】 本発明の実施の形態を示し、円筒カバー体の拡縮機構の断面図である。
【図11】 本発明の実施の形態を示し、冷風研削と砥石温度変化テスト結果の特性曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図1乃至図11を参照して本発明の各実施の形態を順次に説明する。
【実施例】
【0026】
本発明の実施の形態となる加工制御装置は、図1にその外観及び全体構成を示す。加工制御装置100は、通気性の良好な気泡状砥石10A又は内径環となる台金部分10Xに通気回路・通液回路Jを設けた電着砥石10Bや研磨バフ10C等の円盤状とした加工手段10と、上記加工手段はこの回転軸1の中心側となる回転主軸2に係合するフランジ3に係合するカプラ4にあけた通孔4Aから気泡状砥石10A又は台金部分10Xに設けた通気回路・通液回路Jを介して電着砥石10Bの内部を浸透して外周縁部の加工点Pへ冷却気体K1を供給する冷気供給部材LKと、叉は高圧冷却液K2を供給する高圧冷却液供給部材HKと、上記加工手段10を包囲してこの外周縁部から噴出する冷却気体K1または高圧冷却液K2をワークWの被研削面となる加工点Pに集中誘導する開口部20Zを有する円筒カバー体20と、を具備している。上記冷却気体K1は、低温0℃から−40℃相当までの冷却気体を加工点に直接噴射される。また、上記高圧冷却液K2は、(約2メガパスカル〜約7メガパスカル前後の超高圧)の高圧冷却液を加工点に直接噴射する。
【0027】
続いて、上記各部材の関連構成について、図2を含めて説明する。上記加工手段10は、原動機M0で回転駆動する回転主軸2の先端テ−パー部2Aにフランジ3のテーパー孔3Aを嵌着させ、これに係合するカプラ4に冷気供給部材LKからの冷却気体K1叉は高圧冷却液供給部材HKからの高圧冷却液K2を切換弁Vの切換制御より選択的に選別される。そして、冷却気体K1や高圧冷却液K2は、加工手段10の内部を浸透して外周縁部の加工点Pへ噴出される。この冷却気体K1や高圧冷却液K2は、ワークWの加工点Pに集中誘導されるようにカバー体20により制御される。
【0028】
上記カバー体20は、図1と図7、図8に示すように、断面コ字型の円弧体20A,20B,20C,20Dを複数枚連接すべく、回転主軸2に回転自在に係合する皿型円盤21の内周面に円弧上に配列され、複数(6個)の小型モータM2・・・と伸縮ネジ棒22・・・からなる開閉機構30に接続されている。これにより、皿型円盤21の外周面に付設したギア列G2に駆動モータM1のギアG1が噛み合い、駆動モータM1の正転・逆転により皿型円盤21を正逆方向(イ)に旋回させて円弧体20A,20B,20C,〜20Fを一斉に正逆方向(イ)に旋回させる旋回機構25を備えている。また、開閉機構30となる各小型モータM2・・・を正逆駆動させて伸縮ネジ棒22・・・を伸縮(ロ)させることで、各円弧体20A〜20Fを扇状に重なり合って形成される開口部20Zを任意角に開閉制御されるとともに、その方向が自由に調節制御される。更に、上記各円弧体20A〜20Fには、放射方向に配置した各小型モータM3と伸縮ネジ棒23とからなる拡縮機構40を備えている。上記各小型モータM3の正逆転駆動により、加工手段10の外径摩耗による外径縮小に対応してカバー体20の各円弧体20A〜20Fを放射方向(ハ)に外径寸法を縮小制御される。
【0029】
上記カバー体20の具体的な制御法は、図1に示すように、加工手段10の外径寸法の大小を検出する外径隙間センサS1により所定の隙間XになるようにNC制御装置200からの制御信号e1を受ける駆動部Dにより拡縮機構40の各小型モータM3が作動して伸縮ネジ棒23の伸縮により、カバー体20の各円弧体20A〜20Fを放射方向(ハ)に外径寸法を縮小制御される。その制御は、図6(a)(b)に示すように、各円弧体20A〜20Fを放射方向(ハ)の中心側へ縮小して外径寸法を小さくする。
【0030】
また、加工点Pの加工空間S0の大小を検出する開口量センサS2により開閉機構30の各小型モータM2・・・を正逆駆動させて伸縮ネジ棒22・・・を伸縮(ロ)させることで、各円弧体20A〜20Fを扇状に重なり合って形成される開口部20Zを任意角に開閉制御されるとともに、旋回機構25によりその方向(イ)が自由に調節制御される。その制御は、図5(a)(b)に示すように、各円弧体20A〜20Fの重なりを大きくし、開口量を90度から270度まで、任意角度に制御される。更に具体的には、図4に示す。開口量90度と180度と270度に亘る任意開口において、旋回機構25により360度の任意方向に開口部が回転制御される。
【0031】
上記カバー体20の開閉制御と外径制御と開口部20Zの方向制御は、外径隙間センサS1や開口量センサS2からの入力を制御部C1,C2を介して、NC制御装置200に入力され、ワークW毎の加工プログラムや台金部分10Xに通気回路・通液回路Jを設けた電着砥石10Aや研磨バフ10C等の選別に基づき、最適なカバー体20との外径隙間や加工点Pの最適開口量に制御されるべくNC制御装置200内にプログラムされたソフトウエアにより、ワークW毎の加工プログラムによる加工とともに運転制御される。
【0032】
続いて、加工手段10となる通気性の良好な気泡状砥石10A又は台金部分10Xに通気回路・通液回路Jを設けた電着砥石10Bや研磨バフ10C等について、回転軸1の中心側となる回転主軸2に係合するフランジ3の取付け構成を、図2と図3(a)(b)により説明する。上記加工手段10は、加工制御装置100において、回転主軸2のテーパー部2Aにフランジ3のテーパー穴3Aを係合するとともに、該フランジの中腹部3Bに気泡状砥石10A又は台金部分10Xに通気回路・通液回路Jを設けた電着砥石10Bや研磨バフ10Cの台金部分10Xが嵌め込まれてリングナットRNで嵌着されている。尚、上記台金部分10Xは、多孔質の材質叉は周囲に通気回路・通液回路Jの小孔が開けられ、冷却気体K1や高圧冷却液K2が容易に外周側の気泡状砥石10A又は電着砥石10Bや研磨バフ10Cに浸透して外周縁部に露出するように構成されている。上記回転主軸2のテーパー部2Aに嵌められたフランジ3は、その端部に開けたネジ穴N1にボルトBを捻じ込んで固着される。上記フランジ3の外周面3C(タイプB)叉は端面3D(タイプA)に回転可能に面接触したカプラ4にあけた通孔4Aから気泡状砥石10A又は電着砥石10Bの内部を浸透して外周縁部の加工点Pへ冷却気体K1を供給する冷気供給部材LKと、叉は高圧冷却液K2を供給する高圧冷却液供給部材HKに接続されている。上記加工手段10を包囲してこの外周縁部から噴出する冷却気体K1または高圧冷却液K2をワークWの被研削面となる加工点Pに集中誘導する。
【0033】
続いて、上記加工制御装置100に冷却気体K1を使用した作用を説明する。図1,図5,図6に示すように、通気性の良好な気泡状砥石10A又は台金部分10Xに通気回路・通液回路Jを設けた電着砥石10Bや研磨バフ10C等の円盤状とした加工手段10をカバー体20で包囲する。上記カバー体20の開閉制御と外径制御と開口部20Zの方向制御は、外径隙間センサS1や開口量センサS2からの入力を制御部C1,C2を介して、NC制御装置200に入力され、ワークW毎の加工プログラムや台金部分10Xに通気回路・通液回路Jを設けた電着砥石10Aや研磨バフ10C等の選別に基づき、最適なカバー体20との外径隙間Xや加工点Pの最適開口量に制御されるべくNC制御装置200内にプログラムされたソフトウエアにより、ワークW毎の加工プログラムによる加工とともに運転制御される。即ち、図5のように、加工点Pの空間大小により開口量が狭められたり、広められたりに開閉制御される。また、図6に示すように、加工手段10の外径寸法に対応し、且つ、摩耗に伴う外径寸法の減少に伴い外径制御される。
【0034】
しかして、カバー体の開口部20Zが加工手段の外周縁部から噴出する冷却気体K1をワークWの被研削面となる加工点Pに理想的な状況の基に集中誘導できる。これで、加工手段の軸中心から外縁部に向かい砥石内部を低温0℃から−40℃相当の極冷却気体K1が浸透噴出し研削の加工点Pを直接冷却するとともに研削熱で体積膨張した極冷却気体K1は砥石目詰まりを吹き飛ばしながら更なる冷却効果と砥石目詰まりを改善し砥石の刃先自生作用を促進する。また研削面の研磨バフ10Cのバフ磨きにも、同様な極冷却気体K1による効果が得られる。更に、完全な乾式研削である為に研削屑がヘドロ状とならず、研削屑の処理が完全となって環境保全が図れる。
【0035】
また、上記加工制御装置100に高圧冷却液K2を使用した作用を説明する。図1,図5,図6に示すように、通気性の良好な気泡状砥石10A又は台金部分10Xに通気回路・通液回路Jを設けた電着砥石10Bや研磨バフ10C等の円盤状とした加工手段10をカバー体20で包囲する。上記カバー体20の開閉制御と外径制御と開口部20Zの方向制御は、外径隙間センサS1や開口量センサS2からの入力を制御部C1,C2を介して、NC制御装置200に入力され、ワークW毎の加工プログラムや台金部分10Xに通気回路・通液回路Jを設けた電着砥石10Aや研磨バフ10C等の選別に基づき、最適なカバー体20との外径隙間Xや加工点Pの最適開口量に制御されるべくNC制御装置200内にプログラムされたソフトウエアにより、ワークW毎の加工プログラムによる加工とともに運転制御される。即ち、図5のように、加工点Pの空間大小により開口量が狭められたり、広められたりに開閉制御される。また、図6に示すように、加工手段10の外径寸法に対応し、且つ、摩耗に伴う外径寸法の減少に伴い外径制御される。
【0036】
しかして、カバー体の開口部20Zが加工手段の外周縁部から噴出する高圧冷却液K2をワークWの被研削面となる加工点Pに理想的な状況の基に集中誘導できる。これで、加工手段の軸中心から外縁部に向かい砥石内部を高圧冷却液K2が浸透噴出し研削の加工点Pを直接冷却するとともに研削熱で体積膨張した高圧冷却液K2は砥石目詰まりを吹き飛ばしながら更なる冷却効果と砥石目詰まりを改善し砥石の刃先自生作用を促進する。また研削面の研磨バフのバフ磨きにも、同様な高圧冷却液による作用が得られる。
【0037】
図11に、冷風研削と砥石温度変化テスト結果の特性曲線図を示す。気泡状砥石10Aとなる♯1テストは、時間0〜70分の間に、加工手段の外周縁部の温度が11℃〜−7℃に低下した。また、台金部分10Xに通気回路・通液回路Jを設けた電着砥石10Bとなる♯2テストは、時間0〜70分の間に、加工手段の外周縁部の温度が0℃〜−11℃に低下した。この事から、冷風研削による砥石や加工点の冷却作用とこの効果が実証された。
【0038】
しかして、本発明の実施の形態の加工制御装置によると、下記の効果が得られる。
先ず、通気性の良好な気泡状砥石又は台金部分10Xに通気回路・通液回路Jを設けた電着砥石や研磨バフ等の円盤状とした加工手段をカバー体で包囲したから、カバー体の開口部が加工手段の外周縁部から噴出する冷却気体をワークの被研削面となる加工点に集中誘導できる。これで、加工手段の軸中心から外縁部に向かい砥石内部を低温0℃から−40℃相当の極冷却気体が浸透噴出し研削点を直接冷却するとともに研削熱で体積膨張した極冷却気体は砥石目詰まりを吹き飛ばしながら更なる冷却効果と砥石目詰まりを改善し砥石の刃先自生作用を促進する。また研削面の研磨バフのバフ磨きにも、同様な極冷却気体による効果が得られる。更に、完全な乾式研削である為に研削屑がヘドロ状とならず、研削屑の処理が完全となって環境保全が図れる。
【0039】
また、通気性の良好な気泡状砥石又は台金部分10Xに通気回路・通液回路Jを設けた電着砥石や研磨バフ等の円盤状とした加工手段をカバー体で包囲したから、カバー体の開口部が加工手段の外周縁部から噴出する(約2メガパスカル〜約7メガパスカル前後の超高圧)の高圧冷却液をワークの被研削面となる加工点に集中誘導できる。これで、加工手段の軸中心から外縁部に向かい砥石内部を高圧冷却液が浸透噴出し研削点を直接冷却するとともに研削熱で体積膨張した高圧冷却液は砥石目詰まりを吹き飛ばしながら更なる冷却効果と砥石目詰まりを改善し砥石の刃先自生作用を促進する。また研削面の研磨バフのバフ磨きにも、同様な高圧冷却液による効果が得られる。
【0040】
また、円筒カバー体は、断面コ字型の円弧体を複数枚連接してその両端に形成される開口部の開口量を調節可能とし、且つ旋回中心から内径方向及び外径方向に調節可能としたから、加工点の面積の大小変化や加工手段の外周縁部が磨耗してその外径寸法が小さくなっても、ワークの被研削面となる加工点に集中誘導できる。
【0041】
また、円筒カバー体は、NC制御装置の加工制御プログラムにより加工工具の外径寸法及び摩耗による外径寸法の減少に関連して外径方向に調節され、ワークの被研削面となる加工点の加工条件に対応してその開口量の調節が運転制御できる。また、円筒カバー体に加工工具の外径隙間センサと開口量センサとを備えたから、円筒カバー体内が加工対象となるワークに対して最適最小隙間に運転制御され、極冷却気体や高圧冷却液がワークの被研削面となる加工点に外部条件の変動に係わらず集中誘導できる。
【0042】
また、回転主軸のテーパー部に係合したフランジの外周面叉は端面に回転不能に面接触したカプラに冷気供給部材叉は高圧冷却液供給部材からの高圧冷却液やる冷却気体は、効率良く合理的にワーク加工点に供給できる。
【0043】
上記カバー体20の旋回機構25、開閉機構30、拡縮機構40は、図9と図10に示すように、設計変更が可能である。その構成の概要は、開閉機構30を各円弧体20A〜20Fの側面位置に配置したものである。また、小型モータM2、M3は、油圧ユニット叉は空圧ユニット叉は電磁スライドユニット等の適宜な駆動ユニットに変更可能である。その他の構成は、同一符号を附して説明を省略する。また、その作用効果も同一であるから、説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、その対象物を通気性の良好な気泡状砥石又は台金部分に通気回路・通液回路を設けた電着砥石や研磨バフ等の円盤状とした加工手段を対象の実施例で説明したものであるが、様々な加工手段を対象としての適用が可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 回転軸先端
2 回転主軸
2A テーパー部
3 フランジ
3A テーパー穴
3B 中腹部
3C 外周面
3D 端面
4 カプラ
4A 通孔
10 加工手段
10A 気泡状砥石
10B 電着砥石
10C 研磨バフ
20 円筒カバー体
20A〜20F 円弧体
10X 内径環(台金部分)
20Z 開口部
21 皿型円盤
22 伸縮ネジ棒
23 伸縮ネジ棒
25 旋回機構
30 開閉機構
40 拡縮機構
100 加工制御装置
200 NC制御装置
C1,C2 制御部
J 通気回路・通液回路
LK 冷気供給部材
HK 高圧冷却液供給部材
K1 冷却気体
K2 高圧冷却液
P 加工点
M0 原動機
M1 駆動モータ
M2 小型モータ.M3
N1 ネジ穴
S1 外径隙間センサ
S2 開口量センサ
S0 加工空間
RN リングナット
V 切換弁
G1.G2 ギア
X 隙間
W ワーク
(イ) 正逆方向
(ロ) 伸縮
(ハ) 放射方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性の良好な気泡状砥石又は台金部分に通気回路・通液回路を設けた電着砥石や研磨バフ等の円盤状とした加工手段と、上記加工手段はこの回転軸中心側となる回転主軸に係合するフランジに係合するカプラにあけた通孔から内部を浸透して外周縁部の加工点へ冷却気体を供給する冷気供給部材と、上記加工手段を包囲してこの外周縁部から噴出する冷却気体をワークの被研削面となる加工点に集中誘導する開口部を有する円筒カバー体と、を具備したことを特徴とする加工制御装置。
【請求項2】
上記冷却気体は、低温0℃から−40℃相当までの冷却気体を加工点に直接噴射すること特徴とする請求項1記載の加工制御装置。
【請求項3】
通気性の良好な気泡状砥石又は台金部分に通気回路・通液回路を設けた電着砥石や研磨バフ等の円盤状とした加工手段と、上記加工手段はこの回転軸中心側となる回転主軸に係合するフランジに係合するカプラにあけた通孔から内部を浸透して外周縁部の加工点へ高圧冷却液を供給する高圧冷却液供給部材と、上記加工手段を包囲してこの外周縁部から噴出する高圧冷却液をワークの被研削面となる加工点に集中誘導する開口部を有する円筒カバー体と、を具備したことを特徴とする加工制御装置。
【請求項4】
上記高圧冷却液は、約2メガパスカル〜約7メガパスカル前後の超高圧の高圧冷却液を加工点に直接噴射すること特徴とする請求項3記載の加工制御装置。
【請求項5】
上記円筒カバー体は、断面コ字型の円弧体を複数枚連接してその両端に形成される開口部の開口量を開閉機構で調節可能とし、開口部の開口方向を旋回機構で調節可能としたことを特徴とする請求項1から4のいずれか1に記載の加工制御装置。
【請求項6】
上記円筒カバー体は、旋回中心から内径方向及び外径方向に拡縮機構で調節可能としたことを特徴とする請求項5に記載の加工制御装置。
【請求項7】
上記円筒カバー体は、加工工具の外径寸法及び摩耗による外径寸法の減少に関連して外径方向に調節するとともにワークの被研削面となる加工点の加工条件に対応してその開口量の調節を、NC制御装置の加工制御プログラムにより運転制御されることを特徴とする請求項5叉は6記載の加工制御装置。
【請求項8】
上記円筒カバー体に加工工具の外径隙間センサと開口量センサとを備え、加工対象となるワークに対して最適最小隙間に運転制御されることを特徴とする請求項7記載の加工制御装置。
【請求項9】
上記加工手段は、回転主軸のテーパー部にフランジのテーパー穴を係合するとともに該フランジの外周面叉は端面に回転不能に面接触したカプラに冷気供給部材叉は高圧冷却液供給部材を接続したことを特徴とする請求項1叉は3記載の加工制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−224764(P2011−224764A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111500(P2010−111500)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(509153364)
【Fターム(参考)】