説明

加工点にエネルギー又は物質を供給する加工機における加工情報取得装置

【課題】加工点にエネルギー又は物質を供給する加工機において、加工点の位置情報を含む加工点における実際の加工状態に関する加工情報を推定し出力する。
【解決手段】加工情報取得装置1は、エネルギー又は物質の供給部の位置情報を取得する位置情報取得部5と、エネルギー又は物質の供給条件指令を受信し、供給条件指令をエネルギー又は物質の供給を制御する制御指令に変換し、変換した制御指令を用いて供給部からのエネルギー又は物質の供給量を制御する供給量制御部6と、供給量制御部から制御指令を取得し、制御指令に基づいて、加工点に供給されるエネルギー又は物質の推定供給量を算出する供給量推定部7と、位置情報取得部が取得した位置情報及び位置情報に対応する位置に供給部があるときの供給量推定部が算出した推定供給量を出力する出力部8とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工点にエネルギー又は物質を供給する加工機における加工情報取得装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ切断機、レーザ溶接機、レーザ熱処理機、プラズマ切断機、アーク溶接機、ワイヤカット機、シーラント塗布機、自動塗装機等の各種の加工機では、被加工物の上を加工点が移動する際に、レーザを照射したり、アークを発生させたり、シーラントを供給したりすることによって、すなわち、加工点にエネルギー又は物質を供給することによって加工が行われる。そして加工の際には、これに付随して、シールドガスや溶接用ワイヤの供給が行われる場合もある。
【0003】
こうした加工機において、加工点の位置については、その位置決めを行うサーボモータのパルスコーダやリニアスケール等により得られた位置情報に基づき、サーボ制御システムによってフィードバック制御が行われる。
【0004】
また、レーザやシーラント等のエネルギー又は物質の供給については、加工速度や加工すべき形状に応じて最適な供給量等の加工条件が変化するため、制御装置へ送信される加工条件の指令値もそれに応じて変化させる必要がある。例えば、レーザの照射、溶接用ワイヤの供給、シーラントの供給にあっては、それぞれレーザ励起電源電力量、ワイヤリール部分での送り量、シーラント供給バルブ開度等の加工条件を変化させている。
【0005】
これに関し、加工条件の指令値を制御装置へ送信後、加工点における実際の加工状態が即時にその所望の加工条件へ変化するわけではない。例えば、レーザ加工機において、レーザ共振器に電流が印加されてからレーザが発振するまでに一定の時間を要するように、多少の応答の遅れが存在する。さらに、指令値に対して実際に照射されるレーザ光の平均レーザ出力値は比例していない。また、その他の例では、加工点にガスや液体を供給する場合、バルブ開度に関する指令値と実際に加工点に供給される量も厳密には比例しない。
【0006】
こうした各種加工機において、加工点の位置情報を含む加工点における実際の加工状態に関する加工情報をリアルタイムで同時に液晶パネル等の表示装置やハードディスクドライブ等の記憶装置に出力することは、監視、開発又は障害追跡等において極めて有効である。しかしながら、レーザやアーク、シーラントの供給に関しては、フィードバック制御の代わりに、オープンループ制御を用いる場合があり、そのため加工情報を取得し、その加工情報をリアルタイムに出力することは困難である。
【0007】
特許文献1には、制御対象を駆動する駆動部と複数のサーボ補償部を含むサーボ制御装置と、制御対象の制御条件を表示する表示装置とを備えたサーボ装置が開示されている。特許文献1のサーボ装置では、サーボ補償処理の効果と動作の正当性を同時に確認することができ、位置決め制御のサーボ補償パラメータを迅速且つ容易に決定することができる。また、特許文献2には、放電加工機の監視装置において、放電加工機の加工状態を表す監視値の変化状態をモニタすることができる監視装置が開示されている。また、特許文献3には、測定対象システムから計測の対象となる信号を取り込み、一定時間間隔でサンプリングして、演算処理により計測・監視を行うことによって、機械動作の位置、速度その他のアナログ・デジタル信号を計測・監視する計測・監視装置が開示されている。また、特許文献4には、アナログ入力波形とロジック入力波形の信号伝達経路の相違に基づく時間的なずれをサンプリング速度に応じて自動的に補正する波形記録表示装置のデータタイミング補正方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−75622号公報
【特許文献2】特開平7−204972号公報
【特許文献3】特開平7−5908号公報
【特許文献4】特開平7−294558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1乃至4に記載のいずれの装置も、測定した値を表示装置や記憶装置に出力するものであって、加工点における実際の加工状態に関する加工情報を推定してリアルタイムに表示装置や記憶装置に出力できるものではない。加工点における実際の加工状態に関する加工情報をリアルタイムに出力するためには、何らかの推定によりその値を算出しなければならない。
【0010】
本発明は、一態様において、加工点にエネルギー又は物質を供給する加工機において、加工点の位置情報を含む加工点における実際の加工状態に関する加工情報を推定し出力する加工情報取得装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、加工点にエネルギー又は物質を供給する加工機における加工情報取得装置において、エネルギー又は物質の供給部の位置情報を取得する位置情報取得部と、エネルギー又は物質の供給条件指令を受信し、該供給条件指令をエネルギー又は物質の供給を制御する制御指令に変換し、変換した該制御指令を用いて前記供給部からのエネルギー又は物質の供給量を制御する供給量制御部と、該供給量制御部から前記制御指令を取得し、該制御指令に基づいて、加工点に供給されるエネルギー又は物質の推定供給量を算出する供給量推定部と、前記位置情報取得部が取得した前記位置情報及び該位置情報に対応する位置に前記供給部があるときの前記供給量推定部が算出した前記推定供給量を出力する出力部と、を具備する加工情報取得装置が提供される。
【0012】
すなわち、請求項1に記載の発明では、加工点にエネルギー又は物質を供給する加工機において、加工点の位置情報を含む加工点における実際の加工状態に関する加工情報を推定し出力することができるという効果を奏する。また請求項1に記載の発明は、加工状態の監視や開発段階、障害追跡等の様々なシチュエーションで利用することが可能である。
【0013】
また、請求項2に記載の発明によれば請求項1に記載の発明において、前記供給されるエネルギー又は物質が、光波、電流、プラズマ流、気体、液体、固体、粉体、霧状の流体の中から選択される一種類以上のエネルギー又は物質である加工情報取得装置が提供される。
【0014】
すなわち、請求項2に記載の発明では、様々な種類の加工機に適用することが可能である。
【0015】
また、請求項3に記載の発明によれば請求項1又は2に記載の発明において、前記供給量推定部が、予め求めた前記制御指令と前記エネルギー又は物質の推定供給量との関係情報を有し、前記制御指令と前記関係情報とから推定供給量を算出する加工情報取得装置が提供される。
【0016】
また、請求項4に記載の発明によれば請求項3に記載の発明において、前記関係情報を予め求める供給量計測部をさらに具備する加工情報取得装置が提供される。
【0017】
また、請求項5に記載の発明によれば請求項3又は4に記載の発明において、前記関係情報が、計算式又はパラメータ又はマップである加工情報取得装置が提供される。
【0018】
すなわち、請求項3から5に記載の発明では、予め求めた前記制御指令と前記エネルギー又は物質の推定供給量との関係情報を有することによって、正確な推定供給量の算出を行うことが可能となる。
【0019】
また、請求項6に記載の発明によれば請求項1から5のいずれか1つに記載の発明において、前記加工機がレーザ加工機であり、前記供給されるエネルギー又は物質が、レーザ光又はアシストガスである加工情報取得装置が提供される。
【0020】
また、請求項7に記載の発明によれば請求項3から5のいずれか1つに記載の発明において、前記加工機がレーザ加工機であり、前記供給されるエネルギー又は物質が、レーザ光又はアシストガスであり、前記関係情報が、ピーク出力と電流指令値とによって規定される第1の関係情報と、ピーク出力とパルス周波数とデューティ比とによって規定される第2の関係情報とからなり、前記供給量推定部が、電流指令値と前記第1の関係情報とからピーク出力を推定し、推定された該ピーク出力とパルス周波数とデューティ比と前記第2の関係情報とから平均レーザ出力を推定する加工情報取得装置が提供される。
【0021】
また、請求項8に記載の発明によれば請求項1から5のいずれか1つに記載の発明において、前記加工機がプラズマ加工機であり、前記供給されるエネルギー又は物質が、アーク電流又はプラズマ発生電流又はガス又は溶接フィラーである加工情報取得装置が提供される。
【0022】
また、請求項9に記載の発明によれば請求項1から5のいずれか1つに記載の発明において、前記加工機が溶剤塗布加工機であり、前記供給されるエネルギー又は物質が、塗料又は接着剤又はシーラントである加工情報取得装置が提供される。
【0023】
また、請求項10に記載の発明によれば請求項1から9のいずれか1つに記載の発明において、前記出力部が、前記位置情報取得部が取得した前記位置情報及び該位置情報に対応する位置に前記供給部があるときの前記供給量推定部が算出した前記推定供給量を、表示部又は記憶部に出力する加工情報取得装置が提供される。
【0024】
すなわち、請求項10に記載の発明では、オペレータが表示部を介して加工状態を視覚的に把握することが可能となり、又は、記憶部に出力することによって、監視システムによる監視が容易になるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0025】
各請求項に記載の発明によれば、加工点にエネルギー又は物質を供給する加工機において、加工点の位置情報を含む加工点における実際の加工状態に関する加工情報を推定し出力することができるという共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一態様による加工情報取得装置の概略を示すブロック図である。
【図2】本発明の一態様による加工情報取得装置を含むレーザ加工機の具体的構成を示す図である。
【図3】本発明の一態様による電流指令値とピーク出力との関係を示す図である。
【図4】本発明の一態様によるパルス周波数とデューティ比と平均レーザ出力との関係を示す図である。
【図5】本発明の一態様によるレーザ加工の軌跡を具体的な例を用いて示す図である。
【図6】図5に示された軌跡にレーザ加工を行う際に行われる処理について具体的な数値を用いて示す図である。
【図7】図5に示された軌跡の加工による加工情報の表示例を示す図である。
【図8】本発明の一態様によるレーザ加工の軌跡を別の具体的な例を用いて示す図である。
【図9】図8に示された軌跡の加工による加工情報の表示例を示す図である。
【図10】本発明の一態様による供給量推定処理のフローチャートを示す図である。
【図11】発明の別の態様による加工情報取得装置の具体的構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の一態様による加工情報取得装置1の概略を示すブロック図である。本発明の一態様による加工情報取得装置1は、加工点にエネルギー又は物質を供給する加工機2の一部に含まれる。
【0029】
加工機2は、例えば、双方向性バスによって互いに接続されたCPU(中央演算処理装置)とROM(リードオンリメモリ)とRAM(ランダムアクセスメモリ)とを備えている。また、加工機2はさらに不揮発性メモリを備えていてもよい。さらに、加工機2は、エネルギー又は物質を加工点、例えば被加工物上、に供給する供給部3と、供給部3の加工点に対する相対位置を制御する供給位置制御部4とを有する。
【0030】
本発明の一態様による加工情報取得装置1は、供給位置制御部4によって制御された供給部3の位置情報を取得する位置情報取得部5と、外部からキーボードやマウス等を用いて直接入力された、又は、プログラム等によって生成された、レーザ励起電源電力量、ワイヤリール部分での送り量、シーラント供給バルブ開度等の加工条件、すなわち供給に関する供給条件指令を受信し、この供給条件指令をエネルギー又は物質の供給を制御する制御指令に変換し、変換した制御指令を用いて供給部からのエネルギー又は物質の供給量を制御する供給量制御部6とを有する。さらに、本発明の一態様による加工情報取得装置1は、供給量制御部6から制御指令を取得し、この制御指令に基づいて、実際に加工点に供給されると推定されるエネルギー又は物質の推定供給量を算出する供給量推定部7と、位置情報取得部が取得した位置情報及びこの位置情報に対応する位置に供給部があるときの供給量推定部が算出した推定供給量を、オペレータに対して視覚的に表示する表示部、推定供給量を記憶するハードディスクドライブ等の記憶部、又はプリンター等の他の媒体への出力装置へ出力する出力部8とを有する。
【0031】
また、本発明の一態様による加工情報取得装置1は、制御指令とエネルギー又は物質の推定供給量との関係、例えば計算式又はパラメータ又はマップ、を予め求める供給量計測部9をさらに有してもよい。供給量計測部9によって制御指令とエネルギー又は物質の推定供給量との関係を求めるには、加工点を被加工物から供給量計測部9へ変更し、加工条件を変更しながら実験を行う。供給量計測部9によって、制御指令とエネルギー又は物質の推定供給量との関係を予め求めることによって、供給量推定部7が、取得した制御指令と予め求められた上記関係とから推定供給量を精度良く算出することが可能となる。なお、上述の計算式又はパラメータ又はマップは、ROMやその他記憶装置に記憶されている。
【0032】
供給部3から供給されるエネルギー又は物質は、例えば、光波、電流、プラズマ流、気体、液体、固体、粉体、霧状の流体の中から選択される一種類以上のエネルギー又は物質である。具体的には、本発明の一態様による加工情報取得装置1を含む加工機2は、レーザ切断機、レーザ溶接機、レーザ熱処理機、プラズマ切断機、アーク溶接機、ワイヤカット機、シーラント塗布機、自動塗装機等である。従って、加工機2がレーザ加工機である場合には、供給されるエネルギー又は物質は、レーザ光又はアシストガスであり、加工機2がプラズマ加工機である場合には、供給されるエネルギー又は物質は、アーク電流又はプラズマ発生電流又はガス又は溶接フィラーであり、加工機2が溶剤塗布加工機である場合には、供給されるエネルギー又は物質は、塗料又は接着剤又はシーラントである。
【0033】
次に、図2を参照しながら、加工機2がレーザ加工機10である場合を例に用いて、本発明の一態様による加工情報取得装置11を含むレーザ加工機10の具体的構成を説明する。レーザ加工機10は、数値制御装置12(CNC)を有する。数値制御装置12は、レーザ出力条件や各種データを入力する入力装置、例えばキーボード、マウスなども含んでいる。
【0034】
数値制御装置12は、ROM、RAM、又は図示しない記憶装置等に記憶されたNCプログラム13を読み込み、NCプログラム13中の加工点の位置を決定する情報を含む軸移動指令をNCプログラム解読部14にて解読し、移動量指令生成部15にて、解読された軸移動指令から各軸方向の移動量の情報が含まれる移動量指令を生成する。さらに、生成された移動量指令は、分配部16によって、X軸及びY軸方向の移動量指令並びにZ軸方向の移動量指令に分配され、同期インターフェース34を介して、被加工物を保持する図示しない可動テーブルをX軸及びY軸方向の駆動を制御するサーボ制御装置17並びに加工ノズルをZ軸方向の駆動を制御するサーボ制御装置18にそれぞれ送信される。
【0035】
サーボ制御装置17及び18は、各移動量指令に応じてそれぞれ対応するサーボ電源19及び20を制御してサーボモータ21及び22をそれぞれ駆動し、その結果、可動テーブルをX軸方向又はY軸方向に、また、加工ノズルをZ軸方向に移動させる。可動テーブル及び加工ノズルの実際の移動量は、対応するパルスコーダ23及び24によって検出され、サーボ制御装置17及び18にその移動量をそれぞれ帰還させる。サーボ制御装置17及び18は、解読された軸移動指令から生成されてサーボ電源19及び20に送信された移動量指令の値と、パルスコーダ23及び24で検出された実際の移動量とをフィードバック回路にて比較演算し、その誤差に応じてサーボ電源19及び20へ差分の移動量指令を送信し、フィードバック制御が行われる。
【0036】
また、可動テーブルに保持された被加工物30と加工ノズルとの間のギャップを接触子により検出するギャップセンサ25が加工ノズルに取り付けられ、パルスコーダ24との間で帰還信号の送信経路を切り替えることが可能となっている。なお、ギャップセンサ25は、接触子を使用する代わりに、静電容量型のギャップセンサを用いてもよい。
【0037】
また、数値制御装置12は、NCプログラム13中のレーザ光のレーザ出力やパルス周波数、デューティ比等の情報を含むレーザ出力指令をNCプログラム解読部14にて解読し、レーザ出力情報指令生成部26にてレーザ出力情報指令を生成し、同期インターフェース34を介して、これをレーザ制御装置27に送信する。レーザ制御装置27内では、レーザ出力情報指令に応じてレーザ電源28が出力すべき電流指令値を計算して、これをレーザ電源28に指令する。レーザ電源28は、指令された電流指令値の励起電流をレーザ共振器29に供給する。その結果、レーザ共振器29はレーザ発振し、発振されたレーザ光は、図示しない集光レンズによって集光されつつ被加工物30を照射してレーザ加工が行われる。
【0038】
しかしながら、上述のように、パルスコーダによる移動量はほぼリアルタイムで収集することが可能であるが、レーザ出力についてはレーザ電源28によって指令された電流指令値と実際に発振されたレーザ光の平均レーザ出力とは比例しない。また、図2に示されたレーザ加工機10は、後述するレーザ出力の推定値と比較するため、レーザ出力をモニタするパワーモニタ31を備えている。しかしながら、こうしたパワーモニタ31はレーザによる熱流を測定しているため、その時定数は1秒前後と応答が遅い。このため、平均レーザ出力のリアルタイムな収集は困難である。
【0039】
例を用いて説明すると、パワーモニタ31の時定数は1秒前後であるのに対して、レーザ加工の送り速度は、高速加工の場合、毎分30mに達することがあり、一般的な加工であっても毎分9m程度の送り速度である。毎分9mの送り速度でのレーザ加工を行っている場合に、軌跡上のある一点においてレーザ出力等の加工条件を変更する場合を考える。レーザ出力自体は、電気−光の変換であるから、加工条件の変更に応じて1ms以内には出力が切り換わる。このとき被加工物30上を走査する加工点の速さは秒速150mmであるから、加工条件を変更してから、パワーモニタ31の値が実際の値を示す1秒後には、加工点は150mmも移動していることになる。これでは、加工ノズルの位置情報と共に、パワーモニタ31の値を収集し表示することによって、オペレータが、加工点で実際に生じている加工状態を把握することは困難である。よりリアルタイムに近い高速で且つ正確な高速パワー測定器も存在するが、それは高価であり、測定器自体のサイズも大きい。
【0040】
さらに、通常、オペレータによるNCプログラムを作成は、パルス状のレーザ出力であって、ピーク出力、パルス周波数、デューティ比で指定され、平均レーザ出力を考慮しながら行われる。そして、レーザ電源28からレーザ共振器29へ指令される励起電流はパルス波形であり、このアナログデータからパルス周波数とデューティ比を逆算することは困難である。
【0041】
そこで、供給量推定計算部32及び33において、平均レーザ出力、すなわち加工ノズルから実際に被加工物へ供給されるレーザ出力の平均を推定し、同期インターフェース34を介して加工情報収集部35において収集される。それと同時に、すなわちフィードバック制御されたレーザ供給時の位置情報を、同期インターフェース34を介して加工情報収集部35において収集される。最終的に、加工情報収集部35により収集された加工情報は、加工情報表示部36によって表示される。
【0042】
次に、供給量推定計算部32及び33において行われる本発明の一態様による平均レーザ出力の推定処理について具体例を用いながら説明する。図3は、本発明の一態様によるレーザ電源28からレーザ共振器29への電流指令値Icとピーク出力Pcとの関係を示す図であり、横軸が電流指令値Icであり、縦軸がピーク出力Pcである。また、図4は、本発明の一態様によるパルス周波数Frとデューティ比Dutyと平均レーザ出力Pasとの関係を示す図であり、横軸が、パルス周波数Frであり、縦軸が、平均レーザ出力Pasである。すなわち、平均レーザ出力は、レーザ共振器29の特性等に起因して、必ずしもピーク出力Pcとデューティ比Dutyの積に一致しない。平均レーザ出力Pasは、パルス周波数Frとデューティ比Dutyとを図4に示された関係から補間計算することによって算出される。デューティ比Duty=100%の時の平均レーザ出力Pasがピーク出力Pcと一致する。これら図3及び4に示された関係は、上述の供給量計測部9、例えば高速パワー測定器37(図2参照)を用いて予め実験によって、又は計算によって求められ、ROM等に記憶されている。
【0043】
図5は、本発明の一態様によるレーザ加工の軌跡を具体的な例を用いて示す図であり、図6は、図5に示された軌跡にレーザ加工を行う際に行われる処理について具体的な数値を用いて示す図である。図5に示された軌跡は、区間M及びNからなる直線であり、加工ノズルは同一速度及びベクトルで区間Mから区間Nへ移動する。区間M及びNでは、それぞれレーザ出力の加工条件が異なっている。
【0044】
図6を参照すると、指令値の流れは次のようになる。数値制御装置12はNCプログラム13を解読して一定周期毎、図6においては16ms毎のレーザ出力情報指令及び軸移動量指令を生成する(A)。レーザ出力情報指令は、ピーク出力Pc=500W、パルス周波数Fr=1000Hz、デューティ比Duty=100%のセット(区間M)と、ピーク出力Pc=1000W、パルス周波数Fr=2000Hz、デューティ比Duty=75%のセット(区間N)とからなる。また、軸移動量指令は、同一速度の移動であることから、X軸方向=1.073とY軸方向=2.147と一定の値からなる。さらにTcは、加工条件の切換のタイミングデータを示しており、上から5番目の指令において10/16/16ms、すなわち10ms後に加工条件が切り替えられる。なお、説明の簡略化のため、Z軸方向の軸移動量指令の値は0とする。
【0045】
さらに、レーザ出力情報指令は、同期インターフェース34を介してレーザ制御装置27へ送信され、軸移動量指令は、分配手段16及び同期インターフェース34を介してサーボ制御装置17へ送信される(B)。このとき、ピーク出力Pcとパルス周波数Frとデューティ比Dutyとからなるレーザ出力情報指令は、レーザ電源28に対する放電電流の電流指令値Icと、パルスオン時間Tonと、パルスオフ時間Toffとにそれぞれ変換されてから送信される。ピーク出力Pc=1000Wから電流指令値Ic=7Vへの変換は、図3に示された関係に基づいて行われる。また、パルスオン時間Ton及びパルスオフ時間Toffは、パルス周波数Frから周期を求め、それにデューティ比を考慮して求められる。すなわち、上述の上から5番目の指令に着目すると、パルス周波数Frが2000Hzであるから、その周期は、0.5msとなり、これに対してデューティ比Dutyが75%であることを考慮すると、パルスオン時間Ton=0.375ms及びパルスオフ時間Toff=0.125msとなる。ここでデジタル計算のため小数点以下3桁以降は切り捨てられ、パルスオン時間Ton=0.37ms及びパルスオフ時間Toff=0.12msとなる。
【0046】
なお、軸移動量指令は、X軸方向=1.073及びY軸方向=2.147のままである。
【0047】
16ms毎のレーザ出力情報指令及び軸移動量指令は、レーザ制御装置27及びサーボ制御装置17において、さらに短い周期、図6においては1ms毎のレーザ出力情報指令及び軸移動量指令に変換される(C)。そして、これらレーザ出力情報指令及び軸移動量指令は、それぞれレーザ電源28及びレーザ共振器29並びにサーボ電源19及びサーボモータ21にそれぞれ送信され、それぞれにレーザ光の発振及び可動テーブルの移動が行われる。レーザ電源28においては、指令された電流指令値Icを、内蔵されたカウンター回路により、パルスオン時間Tonだけ通電し、パルスオフ時間Toffだけ電流供給を休止するということが繰り返されることで、パルス出力が実現される。
【0048】
なお、軸移動量指令は、1ms毎に換算するとX軸方向=0.067及びY軸方向=0.134となる。
【0049】
その後、軸移動量に関しては、サーボモータ21に機械的に結合されて回転するパルスコーダ23からの帰還信号が実際の軸移動量として加工情報収集部35によって収集される(D)。この収集された帰還信号の軸移動量は、サーボ制御装置におけるフィードバック制御に用いられるものと同一である。また、参考情報として、パワーモニタ31によってモニタリングされたパワーモニタ値Pa=500Wについても同様に加工情報収集部35によって収集される。ただし、上述のように、このパワーモニタ値Paはレーザ出力を正確に表すものではない。なお、これら値が加工情報収集部35によって収集される前に、後述する遅延処理が行われる。
【0050】
一方、レーザ出力に関して、加工情報収集部35は、レーザ制御装置27からレーザ電源28へ送信されたレーザ出力情報指令から推定計算したものを収集する。すなわち、供給量推定計算部32及び33において、上述の処理とは逆の変換処理が行われる。
【0051】
まず、レーザ電源への放電電流の電流指令値Ic=7Vから図3に基づいて推定ピーク出力Pcs=1000Vが算出される。この推定値は、元々のピーク出力Pc=1000W、すなわちNCプログラム13から解読された直後の値と偶然一致したが、これらの変換又は計算はデジタル計算によって行われるため、誤差が生じる場合もある。パルスオン時間Ton及びパルスオフ時間Toffからパルス周波数Fr及びデューティ比Dutyへ逆変換すると、推定パルス周波数Frs=2041Hz及び推定デューティ比Dutys=75.5%となる。元々のレーザ出力情報指令においては、パルス周波数Fr=2000Hz、デューティ比Duty=75%であるため、誤差が生じている。これは、本来、パルスオン時間Ton=0.375ms及びパルスオフ時間Toff=0.125msとなるところ、パルスオン時間Ton=0.37ms及びパルスオフ時間Toff=0.12msとした結果生じた誤差である。なお、ここまでの推定が、供給量推定計算部32で行われる(E)。
【0052】
パルスコーダからの帰還信号とレーザ出力指令の推定計算値は、この段階において同期インターフェースを通じて収集するので、加工ノズルの位置情報及びレーザ出力に関する情報相互のタイミングが保証された一定の周期での記録が可能となる。
【0053】
次に、推定されたピーク出力Pc、パルス周波数Fr、デューティ比Dutyから平均レーザ出力値Pasが推定計算される。この推定計算は、図4に示された関係から補間計算することで算出される。すなわち、デューティ比Duty=100%の場合は、平均レーザ出力はピーク出力Pc=1000Wと同一となる。そこで、先程求められた、推定パルス周波数Frs=2041Hz、推定デューティ比Dutys=75.5%に基づいて、図4に示された関係から補間計算を行うと、平均レーザ出力Pas=805Wが算出される(F)。ここまでの推定が、供給量推定計算部33で行われる。
【0054】
最後に、実際の軸移動量を求めるのに較べて、平均レーザ出力を推定処理はより時間がかかるため、これらの時間差を補正するために、それぞれデータについて遅延処理が行われる。補正量については、予め実験等によって求めておく。
【0055】
以上より、本発明の一態様によれば、パルスコーダ23及び24からの帰還信号、及び、レーザ出力情報指令の値に基づく推定値を、同期インターフェース34を介して加工情報収集部35によって収集することによって、軸移動量と平均レーザ出力のタイミングを補正して加工情報表示部36に表示し、又は、ハードディスクドライブ等の記憶装置へ出力することが可能となる。これによって、意図した加工点の軌跡に対して、実際の軌跡がどの程度ずれているのかを表示装置に表示することができ、且つ、意図したレーザ出力と実際のレーザ出力とのずれを表示し、記憶装置へ出力することができる。
【0056】
図7は、図5に示された軌跡の加工による加工情報の表示例を示す図である。横軸は時刻tである。加工ノズルの位置Xに対する、推定された平均レーザ出力Pasを示している。また、参考までに、パワーモニタ値Paと、高速パワー測定器で測定した測定値Prも表示している。その結果、パワーモニタ値Paは、実測データであるにも関わらずレーザ出力の切り換わりをうまく表していないのに対して、本発明の一態様によって推定された平均レーザ出力Pasが、高速パワー測定器で測定した測定値Prと同様の傾向を示しており、実際のレーザ出力の切り換わりをうまく再現していることが分かる。
【0057】
図8は、本発明の一態様によるレーザ加工の軌跡を別の具体的な例を用いて示す図である。図8に示された軌跡は、鋭角コーナ部を伴うものである。レーザ加工は熱加工であるので、こうした鋭角部分では、直線的な経路に較べて過熱し易く、加工不良が発生し易い。そこで、鋭角コーナの頂点Pからの立ち上がりの区間PQの部分において加工条件を変更し、概ね直線部分に戻ったと考えられる点Qから、元の加工条件に復帰するようにし、加工不良を防ぐようにしている。区間PQにおいては、加工速度も低く抑えられ、平均レーザ出力を可能な限り抑えて入熱を防ぐ。一方、被加工物を貫通するレーザ出力が必要であるのでピーク出力を高く設定し、その分、デューティ比を小さくして平均レーザ出力を減じる手法が採られる。
【0058】
頂点Pおよび区間PQでの速度は、その他の区間に較べて遅いため、区間PQの前後においては減速又は加速の区間が存在する。この加減速区間においては、速度に応じてレーザ出力条件が漸次変更することによって、単位長さあたりの入熱量が過度になりすぎることを防止する。
【0059】
以上を考慮し、上述の推定を行った結果を、図7と同様に各種値の比較のために表示する。図9は、図8に示された軌跡の加工による加工情報の表示例を示す図である。横軸は時刻tである。
【0060】
まず、接線速度に注目すると、頂点Pに接近すると減速を開始し、コーナの立ち上がり区間PQでは低速で移動する。その後、点Qを越えてから加速を開始し、通常の接線速度に戻る。
【0061】
これに対して、レーザ電源への放電電流の電流指令値Icから図3に示された関係に基づいて逆算された推定ピーク出力Pcsは、区間PQでのみ、板材を貫く力を維持するため、その他の区間に較べてやや高い値を示す。一方、パルスオン時間とオフ時間から逆算された推定デューティ比Dutysは、減速とともに小さくなり、区間PQでは最小限に絞られる。そして加速とともに増加し、レーザの出力を加減する。また、推定ピーク出力Pcsと、推定パルス周波数Frsと、推定デューティ比Dutysと、図4に示された関係に基づいて、算出された平均レーザ出力Pasの変化も図9に示されている。一方、パワーモニタ31によるパワーモニタ値Paは、実際のレーザ出力の挙動とは遅延していることが示されている。
【0062】
平均レーザ出力Pasと、パワーモニタ値Paとを比較すると明らかなように、本発明の推定処理によれば、加工条件の切り替えを正確に再現した値を算出することが可能となり、観察することの難しい加工点での加工情報を再現することが可能となる。
【0063】
ところで、レーザ加工機10においては、被加工物30上における集光点の高さを一定に保つために、加工中に被加工物30と加工ノズルとの間の距離を実測し、この高さに応じてサーボ制御装置18によってZ軸方向のフィードバック制御を行っている。これは、レーザ加工が行われる被加工物30は板材が多く、集光点の走査面は完全な平坦ではなく、集光点及び被加工物30間の距離が微妙に変化しただけで、加工結果に重大な影響を及ぼすからである。そのため、図9に示された表示例では、Z軸高さを合わせて表示している。本発明の一態様によれば、平均レーザ出力をリアルタイムに正確に推定することが可能となるため、これとZ軸高さとをリアルタイムに同時に表示させることによって、Z軸高さの変化によるレーザ加工への影響をリアルタイムに知ることが可能となる。
【0064】
図10は、上述のレーザ加工機10を例に説明した本発明の一態様による供給量推定処理のフローチャートを示す図である。まず、ステップS1では、NCプログラムの読み込みが行われる。次いで、ステップS2では、ステップS1で読み込まれたNCプログラムの解読及び解読されたNCプログラムに基づくレーザ出力情報指令及び軸移動量指令の生成が行われる。次いで、ステップS3では、ステップS2で生成された出力情報指令及び軸移動量指令の分配及び送信が行われる。次いで、ステップS4では、データの変換、すなわちより短い周期の指令への変換が行われる。次いで、ステップS5では、図3に示された関係に基づいて、電流指令値Icから推定ピーク出力Pcs等を算出するデータの逆変換処理である供給量推定計算が行われる。次いで、ステップS6では、図4に示された関係に基づいて、平均レーザ出力Pasを算出する供給量推定計算が行われる。次いで、ステップS7では、位置情報と平均レーザ出力とのタイミング補正を行いつつ加工情報を収集し、ステップS8において、加工情報の出力、例えば表示装置への表示が行われる。
【0065】
図11は、被加工物の周縁部に接着剤を塗布する接着剤塗布機100を例に用いて、本発明の別の態様による加工情報取得装置の具体的構成を示す図である。
【0066】
接着剤が液体貯槽101に貯蔵され、歯車ポンプ102によって圧力容器103内に導入される。圧力容器103には液面計104が配置され、液面計104の値を監視する液体補給制御装置105によって、液面が低下すれば歯車ポンプ102を稼動して接着剤を圧力容器103に補填し、液面が所定の高さになると歯車ポンプ102を停止するように歯車ポンプ102を制御している。圧力容器103には外部から圧縮空気106が導入され、0.5〜0.8MPaの圧力が印加されている。圧力容器103内の圧力は、圧力計107によって測定される。
【0067】
数値制御装置(CNC)108は、被加工物109と加工ノズル110との相対位置を制御するため、被加工物109を保持する図示しない可動テーブルの駆動を制御するサーボ制御装置111へ移動量指令を送信する。サーボ制御装置111は、移動量指令に応じてサーボ電源112を制御してサーボモータ113を駆動し、最終的に可動テーブルを移動させる。可動テーブルの実際の移動量は、パルスコーダ114によって検出され、サーボ制御装置111にその移動量を帰還させる。サーボ制御装置111は、移動量指令の値と、パルスコーダ114で検出された実際の移動量とをサーボ制御装置111内のフィードバック回路にて比較演算し、その誤差に応じてサーボ電源112への差分の移動量指令を送信し、フィードバック制御が行われる。
【0068】
また、数値制御装置108は、バルブ開閉量指令をバルブ制御装置115に送信する。バルブ制御装置115は、バルブ開閉量指令に応じて比例バルブ116の開閉を制御し、被加工物109への接着剤の供給量を制御している。比例バルブ116は、バルブ開閉量指令に含まれる指令電圧に応じてバルブの開度が変わるバルブである。従って、比例バルブ116は、バルブの開度が比例制御されるのであって、バルブ開口面積や接着剤の流量が比例制御されるものではない。また、接着剤の流量は、圧縮空気106の圧力によっても変化する。そして、接着剤は配管末端に配置された加工ノズル110に到達して初めて被加工物109への塗布がなされる。従って、さらに、接着剤は高い粘度があるので、比例バルブ116が開いてから被加工物109に到達するまで、応答遅れが存在し、比例バルブ116が全閉になってから、接着剤の供給が終わるまでも応答遅れが存在する。
【0069】
ここで、被加工物109に対して、加工ノズル110が一定の速度で移動しているときは、一定の接着剤流量であることが望ましい。しかし、塗布作業を開始する際の加速時や、図8に示されるようなコーナ部分を軌跡に沿って塗布する場合における、コーナ部分近傍での加減速時、塗布作業を終了する際の減速時では、速度に応じて流量を調整しないと、単位長さ当たりに一定量の接着剤の塗布を行うことができない。特に、流量を変更する際に、比例バルブ116のバルブ開度を変えてから実際に流量が変わるまでの応答遅れについても考慮する必要がある。
【0070】
オペレータは、塗布不良の無い良好な接着剤塗布を行うために、比例バルブ116の開閉条件をいろいろと変更した上で、被加工物109への塗布状況を見て条件設定を決定するが、加工中に被加工物109への接着剤への塗布量を知ることができれば、作業効率が飛躍的に向上することが期待される。
【0071】
従って、図11に示された実施形態では、比例バルブ116へのバルブ開閉量指令と圧力計107によって示された圧力容器103内の圧力値とに基づき、実際の加工ノズル110からの接着剤供給量を推定計算する。推定された接着剤供給量と、軸移動量、すなわち位置情報とを同期し、収集し、出力することで、加工ノズル110の速度及び接着剤供給量の関係をオペレータが容易に理解できる。
【0072】
具体的には、まず、比例バルブ116への指令電圧から、バルブ開口部の断面積を推定計算する。これは、指令電圧と断面積との関係を、予め実験等によって求めておく。指令電圧と断面積との関係を利用し、圧力容器103内の圧力を考慮にいれることによって、比例バルブ116での推定流量を計算することができる。加工ノズル110における流量は、若干の応答遅れがあるので、比例バルブ116での流量の変化に対して、一次遅れ系としたときの流量を加工ノズル110での流量として推定計算する。その結果を、パルスコーダ114からの位置情報及び速度情報と共に表示させる。その結果、接着剤流量を正確に推定することが可能となり、加工条件設定を容易にすることが可能となる。
【符号の説明】
【0073】
1 加工情報取得装置
2 加工機
3 供給部
4 供給位置制御部
5 位置情報取得部
6 供給量制御部
7 供給量推定部
8 出力部
9 供給量計測部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工点にエネルギー又は物質を供給する加工機における加工情報取得装置において、
エネルギー又は物質の供給部の位置情報を取得する位置情報取得部と、
エネルギー又は物質の供給条件指令を受信し、該供給条件指令をエネルギー又は物質の供給を制御する制御指令に変換し、変換した該制御指令を用いて前記供給部からのエネルギー又は物質の供給量を制御する供給量制御部と、
該供給量制御部から前記制御指令を取得し、該制御指令に基づいて、加工点に供給されるエネルギー又は物質の推定供給量を算出する供給量推定部と、
前記位置情報取得部が取得した前記位置情報及び該位置情報に対応する位置に前記供給部があるときの前記供給量推定部が算出した前記推定供給量を出力する出力部と、
を具備する加工情報取得装置。
【請求項2】
前記供給されるエネルギー又は物質が、光波、電流、プラズマ流、気体、液体、固体、粉体、霧状の流体の中から選択される一種類以上のエネルギー又は物質である請求項1に記載の加工情報取得装置。
【請求項3】
前記供給量推定部が、予め求めた前記制御指令と前記エネルギー又は物質の推定供給量との関係情報を有し、前記制御指令と前記関係情報とから推定供給量を算出する請求項1又は2に記載の加工情報取得装置。
【請求項4】
前記関係情報を予め求める供給量計測部をさらに具備する請求項3に記載の加工情報取得装置。
【請求項5】
前記関係情報が、計算式又はパラメータ又はマップである請求項3又は4に記載の加工情報取得装置。
【請求項6】
前記加工機がレーザ加工機であり、前記供給されるエネルギー又は物質が、レーザ光又はアシストガスである請求項1から5のいずれか1つに記載の加工情報取得装置。
【請求項7】
前記加工機がレーザ加工機であり、前記供給されるエネルギー又は物質が、レーザ光又はアシストガスであり、前記関係情報が、ピーク出力と電流指令値とによって規定される第1の関係情報と、ピーク出力とパルス周波数とデューティ比とによって規定される第2の関係情報とからなり、前記供給量推定部が、電流指令値と前記第1の関係情報とからピーク出力を推定し、推定された該ピーク出力とパルス周波数とデューティ比と前記第2の関係情報とから平均レーザ出力を推定する請求項3から5のいずれか1つに記載の加工情報取得装置。
【請求項8】
前記加工機がプラズマ加工機であり、前記供給されるエネルギー又は物質が、アーク電流又はプラズマ発生電流又はガス又は溶接フィラーである請求項1から5のいずれか1つに記載の加工情報取得装置。
【請求項9】
前記加工機が溶剤塗布加工機であり、前記供給されるエネルギー又は物質が、塗料又は接着剤又はシーラントである請求項1から5のいずれか1つに記載の加工情報取得装置。
【請求項10】
前記出力部が、前記位置情報取得部が取得した前記位置情報及び該位置情報に対応する位置に前記供給部があるときの前記供給量推定部が算出した前記推定供給量を、表示部又は記憶部に出力する請求項1から9のいずれか1つに記載の加工情報取得装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−76150(P2012−76150A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−9934(P2012−9934)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【分割の表示】特願2010−177630(P2010−177630)の分割
【原出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(390008235)ファナック株式会社 (1,110)
【Fターム(参考)】