説明

加湿機能付き空気清浄機

【課題】加湿機能が不要なときに、加湿機能とは異なる機能を発揮させることができる加湿機能付き空気清浄機を提供する。
【解決手段】本体1内に設けた送風装置8の吸気側に設けられる空気清浄部14と、この送風装置8の吐出側に着脱自在に設けられるトレイ部6を備え、このトレイ部6は加湿部106Aに代えて、湿度または臭気を低減する第1空質改善手段10を収納可能とすることにより、乾燥する冬季には加湿機能を発揮し、季節や室内環境の変化で高湿度または臭気が問題となる場合は、除湿機能を追加することができ、または脱臭機能を強化することができる加湿機能付き空気清浄機を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気を浄化しながら加湿することのできる加湿機能付空気清浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加湿機能付空気清浄機の一例として空気清浄ユニットと加湿ユニットを設けた加湿機能付空気清浄機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その加湿機能付空気清浄機について図8および図9を参照にしながら説明する。
【0004】
図に示すように、空気流路101内に配置されたフィルター102と、フィルター102の下流側に設けられる送風手段103と、空気流路101の空気が選択的に取り込まれる加湿流路104と、加湿流路104に配置された加湿手段105とを設け、加湿手段105の加湿フィルター106はトレー107内に配置され、トレー107内には水タンク108からの水が供給され、加湿フィルター106を湿らせるように設け、また、加湿流路104の断面積より加湿フィルター106の投影面積を小さく形成しており、加湿流路104と加湿フィルター106の上方および側方面には隙間を設け構成している。
【0005】
また、図10に示すように、加湿フィルター106Aを円筒形状にして、回転可能に支持するとともに、除菌ユニット109をトレー107Aの底面に備えた構成の加湿装置も知られている。
【特許文献1】特開2005−61655号公報([0022][0025]図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の加湿機能付き空気清浄機では、室内が乾燥する冬季は加湿機能を利用する機会は多いが、湿度の比較的高い夏場において加湿機能を利用することは少なく、この場合、給水しない状態で加湿フィルターや除菌ユニットを本体のトレーに収納したまま空気清浄運転するときに、加湿流路に通風するような不正規な使用となる可能性があり、また加湿機能を使用しないシーズンも、加湿フィルターや水タンクが本体の余分なスペースを占有しているという課題があり、加湿機能が不要なときには、加湿機能とは異なる新たな機能を発揮させて空気清浄機を有効に利用できるようにすることが要求されている。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、加湿機能が不要なときに、加湿機能とは異なる機能を発揮させることができる加湿機能付き空気清浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の加湿機能付き空気清浄機は、上記目的を達成するために、本体内に設けた送風装置の吸気側に設けられる空気清浄部と、この送風装置の吐出側に着脱自在に設けられるトレイ部を有し、このトレイ部は加湿部に代えて、湿度または臭気を低減する第1空質改善手段を収納可能としたものである。
【0009】
また、他の手段は、第1空質改善手段の外観形状および構成する部品の形状を加湿部と略同一形状としたものである。
【0010】
また、他の手段は、第1空質改善手段は平板形状の複数の平行な処理基材となし、この処理基材を送風装置の風向に対して略平行に配置したものである。
【0011】
また、他の手段は、第1空質改善手段は空気中の臭気成分を吸着する脱臭部としたものである。
【0012】
また、他の手段は、第1空質改善手段は空気中の水分を取り除く除湿部としたものである。
【0013】
また、他の手段は、送風装置の吐出側に加熱部を設け、第1空質改善手段を加熱して、再生可能としたものである。
【0014】
また、他の手段は、第1空質改善手段を横長の円筒形状に設けて、回転駆動手段により回転可能としたものである。
【0015】
また、他の手段は、トレイ部は加湿用の貯水を除菌するこの除菌ユニットに代えて、薬効成分を付加する第2空質改善手段を収納可能としたものである。
【0016】
また、他の手段は、第2空質改善手段は、トレイ部に設けた通水口に対応して閉鎖する閉鎖壁部を除菌フレームに追加して設けたものである。
【0017】
また、他の手段は、第2空質改善手段は芳香成分を含有する芳香部としたものである。
【0018】
また、他の手段は、第2空質改善手段は防虫成分を含有する防虫部としたものである。
【0019】
また、他の手段は、第1空質改善手段は除湿部、第2空質改善手段を芳香部、空気清浄部を集塵フィルターとしたものである。
【0020】
また、他の手段は、第1空質改善手段を除湿部、第2空質改善手段を防虫部、空気清浄部を集塵フィルターとしたものである。
【0021】
これらの手段により、加湿機能が不要なときに、加湿機能とは異なる機能を発揮させることができる加湿機能付き空気清浄機が得られる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、乾燥する冬季には加湿機能を発揮し、季節や室内環境の変化で高湿度または臭気が問題となる場合は、除湿機能を追加することができ、または脱臭機能を強化することができるという効果のある加湿機能付き空気清浄機を提供することができる。
【0023】
また、加湿部から第1空質改善手段への交換作業が簡単にできるとともに、部品点数を少なくして、製造コストを抑制することができる。
【0024】
また、気流が処理基材の表面に沿って通過するときに、水分や臭気を効果的に除去するとともに、空気抵抗を低減し、吹出口から風向を安定させて吹き出すことができる。
【0025】
また、加湿部に代えて、脱臭部をトレイ部に収納することにより、ペットなどの臭気が気になる場合でも、空気清浄部の脱臭機能に加えて、トレイ部に収納した脱臭部により、さらに強力に脱臭することができる。
【0026】
また、加湿部に代えて、除湿部をトレイ部に収納することにより、洗濯物を室内に干している場合などに、洗濯物に除湿した空気浄化された風を送ることができ、また除湿部から水分が漏出しても、トレイ部にて水分を貯えることができる。
【0027】
また、第1空質改善手段としての除湿部または脱臭部を長期使用すると劣化して機能が低下するが、加熱することで水分または臭気成分を放出して再生することができ、本来の機能を回復することができる。
【0028】
また、空質改善手段として円筒形状の除湿部または脱臭部を回転させることで、通風による目詰まりや欠損などの劣化が特定部位に固定されることがなく、長寿命化を図ることができる。
【0029】
また、除菌ユニットに代えて、薬効成分を付加する第2空質改善手段をトレイ部に組込むことにより、気化した薬効成分を室内に放出することができる。
【0030】
また、第2空質改善手段は、トレイ部に設けた通水口に対応して閉鎖する閉鎖壁部を除菌フレームに設けているので、通水口からのエアリークをなくすことができ、空気清浄機能の低下を防止できる。
【0031】
また、芳香成分を含浸した芳香部を、除菌ユニットに代えてトレイ部に装着することにより、気化した芳香成分を室内に広く放出することができる。
【0032】
また、防虫成分を含浸した防虫部を、除菌ユニットに代えてトレイ部に装着することにより、気化した防虫成分を室内に広く放出することができる。
【0033】
また、梅雨時期に部屋干しした洗濯物の乾燥を促し、芳香部により部屋干しの嫌な臭いを改善することができる。
【0034】
また、除湿と防虫の効果を得ることができるので、梅雨時期に害虫の発生しにくい乾燥を促し、防虫部の防虫成分により害虫を室内に侵入するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明の請求項1記載の加湿機能付き空気清浄機は、本体内に設けた送風装置の吸気側に設けられる空気清浄部と、この送風装置の吐出側に着脱自在に設けられるトレイ部を有し、このトレイ部は加湿部に代えて、湿度または臭気を低減する第1空質改善手段を収納可能としたものであり、加湿部を除湿機能または脱臭機能を備えた第1空質改善手段に交換できるようにすることにより、乾燥する冬季には加湿機能を発揮し、高湿度または臭気が問題となる状況の場合は、加湿部の代わりに第1空質改善手段を収納することにより、空気清浄機能だけでなく、除湿機能を追加することができ、または脱臭機能を強化することができるという作用を有する。
【0036】
また、第1空質改善手段の外観形状および構成する部品の形状を加湿部と略同一形状としたものであり、第1空質改善手段の外観形状を加湿部と略同一形状にすることで、加湿部から第1空質改善手段に入れ替えるときはトレイ部に容易に収納でき、交換作業が簡単にできるとともに、加湿部の部品を一部共用することができるので、部品点数を少なくして、製造コストを抑制することができるという作用を有する。
【0037】
また、第1空質改善手段は平板形状の複数の平行な処理基材となし、この処理基材を送風装置の風向に対して略平行に配置したものであり、第1空質改善手段として、平板形状の複数の処理基材を平行に配置し、この処理基材を送風装置からの風向と略平行に配列しているので、送風装置からの気流が処理基材の表面に沿って通過するときに、水分や臭気の除去を効果的に行なうとともに、風向と平行に配列しているので空気抵抗を低減し、さらに平行に配置した処理基材は整流効果を発揮して吹出口から安定した風向で吹き出すことができるという作用を有する。
【0038】
また、第1空質改善手段は空気中の臭気成分を吸着する脱臭部としたものであり、本体の吸気側に設けた空気清浄部に活性炭などの脱臭フィルターが備えつけられており、さらに脱臭成分を脱臭部としてトレイ部に収納することで、二重の脱臭効果が得られるという作用を有する。
【0039】
また、第1空質改善手段は空気中の水分を取り除く除湿部としたものであり、加湿部に代えて、除湿部をトレイ部に収納することにより、室内湿度が高い場合や、洗濯物を室内に干している場合に、空気清浄部を通過した清浄空気を乾燥させて、室内に乾燥空気を送り、洗濯物に除湿した風を送ることができ、除湿部から吸湿した水分が漏出しても、外部に染み出さないようにトレイ部にて水分を貯えることができるという作用を有する。
【0040】
また、送風装置の吐出側に加熱手段16を設け、第1空質改善手段を加熱して、再生可能としたものであり、加湿運転時に利用する送風装置の吐出口に設けられた加熱手段16を利用して、除湿部または脱臭部に温風を当てることで、除湿部または脱臭部の劣化時に再生が可能となるものであり、吸込口および吐出口の近傍に湿度センサーを設け、この湿度センサーの検知湿度の差がなくなると、加熱手段16を加熱し、除湿部または脱臭部の再生が可能となるという作用を有する。
【0041】
また、第1空質改善手段を横長の円筒形状に設けて、回転駆動手段により回転可能としたものであり、除湿部または脱臭部に設けた受動ギアを、本体側に設けた駆動ギアに噛合う位置に合わせわせて収納し、回転させることにより、円筒形状の除湿部または脱臭部には均一に通風され、長期間使用した場合も、通風による目詰まりや欠損などの劣化が特定部位に固定されることがなく、長寿命化を図ることができるという作用を有する。
【0042】
また、トレイ部は加湿用の貯水を除菌するこの除菌ユニットに代えて、薬効成分を付加する第2空質改善手段を収納可能としたものであり、除菌ユニットに代えて、薬効成分を付加する第2空質改善手段をトレイ部に組込むことにより、空気清浄機能だけでなく、気化した薬効成分を室内に放出して、薬効成分を室内に充満させることができるという作用を有する。
【0043】
また、第2空質改善手段は、トレイ部に設けた通水口に対応して閉鎖する閉鎖壁部を除菌フレームに設けたものであり、加湿部に給水せずに空気清浄運転を行なうと、トレイ部に水がないため、トレイ部から給水タンクへの通水口からのエアリークによって、性能の低下につながるが、第2空質改善手段はトレイ部に設けた通水口に対応して閉鎖する閉鎖壁部を除菌フレームに設けて、収納時に通水口を覆う形状としているので、通水口からのエアリークをなくすことができ、空気清浄機能の低下を防止できるという作用を有する。
【0044】
また、第2空質改善手段は芳香成分を含有する芳香部としたものであり、芳香成分を発泡剤に含浸したものを除菌フレームに組込んだ芳香部を、除菌ユニットに代えてトレイ部に装着することにより、芳香機能を付加することができ、気化した芳香成分を室内に広く放出することができるという作用を有する。
【0045】
また、第2空質改善手段は防虫成分を含有する防虫部としたものであり、防虫成分を発泡剤に含浸したものを除菌フレームに組込んだ防虫部を、除菌ユニットに代えてトレイ部に装着することにより、防虫機能を付加することができ、気化した防虫成分を室内に広く放出することができるという作用を有する。
【0046】
また、第1空質改善手段は除湿部、第2空質改善手段を芳香部、空気清浄部を集塵フィルターとしたものであり、夏場などの湿度が高い状態で、洗濯物の乾燥に対応した運転が可能となり、集塵フィルターによる空気浄化に加えて、湿度を下げるとともに、部屋干し臭いを改善する芳香を発生することができるという作用を有する。
【0047】
また、第1空質改善手段を除湿部、第2空質改善手段を防虫部、空気清浄部を集塵フィルターとしたものであり、夏場などの湿度が高い状態で、害虫が室内へ侵入するのを防ぐのに対応した運転が可能となり、集塵フィルターによる空気浄化に加えて、湿度を下げるとともに、防虫成分を発生することができるという作用を有する。
【0048】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0049】
(実施の形態1)
図1〜図3に示すように、加湿機能付き空気清浄機は本体1内に設けた送風装置8の吸気側に空気清浄部14を設け、送風装置8の吐出側に着脱可能に収納したトレイ部6を備えている。トレイ部6は着脱可能に設けた加湿部106Aに代えて、湿度または臭気を低減する第1空質改善手段10を収納可能としている。ここで、第1空質改善手段10として、空気中の臭気成分を吸着する脱臭部10Aまたは空気中の水分を取り除く除湿部10Bを設置している。
【0050】
また、脱臭部10Aまたは除湿部10Bの外観形状および構成する部品の形状を加湿部106Aと略同一形状としている。すなわち脱臭部10Aまたは除湿部10Bを加湿部106Aと同様の横長の円筒形状に設け、さらに回転駆動手段20により回転可能としている。
【0051】
また、送風装置8の吐出側に加熱手段16Aを設け、脱臭部10Aまたは除湿部10Bを加熱して、再生可能としている。
【0052】
上記構成により、加湿部106Aを脱臭部10Aまたは除湿部10Bに交換できるようにすることにより、乾燥する冬季には加湿機能を発揮し、高湿度または臭気が問題となる状況の場合は、加湿部106Aの代わりに脱臭部10Aまたは除湿部10Bを収納することにより、空気清浄機能だけでなく、除湿機能を追加することができ、または脱臭機能を強化することができる。
【0053】
また、脱臭部10Aまたは除湿部10Bの外観形状を加湿部106Aと略同一形状にすることで、加湿部106Aから脱臭部10Aまたは除湿部10Bに入れ替えるときはトレイ部6に容易に収納でき、交換作業が簡単にできるとともに、加湿部106Aの部品を一部共用することができるので、部品点数を少なくして、製造コストを抑制することができる。
【0054】
すなわち第1空質改善手段10として除湿部10Bを利用するときは、フレーム17から加湿フィルターを取外し、加湿フィルターと同一形状の除湿フィルターをフレーム17に取付けることにより、除湿部10Bを構成することができる。除湿部10Bの基材は主にウレタンを用い、除湿成分としては塩化カルシウム、シリカゲル、生石灰を用いる。
【0055】
これらの除湿成分を除湿部10Bとしてトレイ部6に収納することで、本体1の吸気口13より吸込まれた空気が除湿成分により湿気を吸収する。
【0056】
除湿成分として塩化カルシウムをした場合、塩化カルシウムは湿気を吸収すると溶けて水溶液になる。押入れ等に使うタンク型の除湿器は、湿度が高いときに長い間放置していると容器の上部から水溶液が溢れる可能性があるが、トレイ部6前面に設けた水位窓により、除湿して溜まった水位を確認することができる。
【0057】
また、加湿部106Aを外して除湿部10Bをトレイ部6に収納する場合は、室内湿度が高い場合や、洗濯物を室内に干しているときに、空気清浄部14を通過した清浄空気を乾燥させて、室内に乾燥空気を送り、洗濯物に乾いた風を送ることができ、さらに除湿部10Bから吸湿した水分が漏出しても、外部に染み出さないようにトレイ部6にて水分を貯えることができる。
【0058】
つぎに、第1空質改善手段10として脱臭部10Aを利用するときは、脱臭フィルター10aをフレーム17に取付けることにより、脱臭部10Aを構成することができる。
【0059】
脱臭部10Aの基材は硬質ウレタンを用い、脱臭成分としては活性炭、ゼオライト、セラミックス、シリカゲルなどを用いる。これらの脱臭成分を脱臭部10Aとしてトレイ部6に収納することで、本体1の吸気口より吸込まれた空気が脱臭成分により臭気成分が吸着される。
【0060】
また、加湿部106Aを外して脱臭部10Aをトレイ部6に収納する場合は、通常は本体1の吸気側に設けた空気清浄部14に活性炭などの脱臭フィルター(図示せず)が備えつけられているので、さらに脱臭成分を脱臭部10Aとしてトレイ部6に収納することにより、二重の脱臭効果が得られ、臭気大なるペット臭を素早く除去したいときに有効である。
【0061】
また、加湿運転時に使用可能となる送風装置8の吐出口に設けられた加熱部106Aを利用して、除湿部10Bまたは脱臭部10Aに温風を当てることで、除湿部10Bまたは脱臭部10Aの劣化時に再生が可能となるものであり、吸込口および吐出口の近傍に設けた湿度センサーの検知湿度の差がなくなると、加熱部106Aを加熱する運転モードに切り換えることにより、除湿部10Bまたは脱臭部10Aの再生が可能となる。
【0062】
また、除湿部10Bまたは脱臭部10Aに設けた受動ギア18aを、本体1側に設けた回転駆動手段20の駆動ギア(図示せず)に噛合う位置に合わせて収納し、回転させることにより、円筒形状の除湿部10Bまたは脱臭部10Aには均一に通風され、長期間使用した場合も、通風による目詰まりや欠損などの劣化が特定部位に固定されることがなく、長寿命化を図ることができる。さらに、除湿部10Bまたは脱臭部10Aの再生時においても、温風を均一に通風できるので、除湿部10Bまたは脱臭部10Aの再生運転を安全かつ効率よく行なうことができる。
【0063】
(実施の形態2)
図4に示すように、第1空質改善手段10は平板形状の複数の平行な処理基材10Cを有し、この処理基材10Cを送風装置8の風向に対して略平行に配置した構成としている。また、処理基材10Cの形状は中心側に開口のあるリング形状としてよいものである。
【0064】
上記構成により、第1空質改善手段10として、平板形状の複数の処理基材10Cを平行に配置し、この処理基材10Cを送風装置8からの風向と略平行に配列しているので、送風装置8からの気流が処理基材10Cの表面に沿って通過するときに、水分や臭気の除去を効果的に行なうとともに、風向と平行に配列しているので空気抵抗を低減し、さらに平行に配置した処理基材10Cは整流効果を発揮して吹出口7から安定した風向で吹き出すことができる。
【0065】
このように本発明の実施の形態2の加湿機能付き空気清浄機によれば、気流が処理基材10Cの表面に沿って通過するときに、水分や臭気を効果的に除去するとともに、空気抵抗を低減し、吹出口7から風向を安定させて吹き出すことができる。
【0066】
(実施の形態3)
図5に示すように、トレイ部6は加湿用の貯水を除菌する除菌ユニットに代えて、第2空質改善手段11として薬効成分を付加した芳香部11Aまたは防虫部11Bを設けている。すなわち、芳香部11Aは薬効成分として芳香成分を含有するものであり、防虫部11Bは薬効成分として防虫成分を含有するものである。
【0067】
また、芳香部11Aまたは防虫部11Bは、トレイ部6に設けた通水口21に対応して閉鎖する閉鎖壁部19aを除菌フレーム19に追加して設けた形状をなし、この閉鎖壁部19a以外は除菌ユニット109と略同一形状をなしている。
【0068】
上記構成により、除菌ユニット109に代えて、薬効成分を付加する第2空質改善手段11をトレイ部6に組込むことにより、空気清浄機能だけでなく、気化した薬効成分を室内に放出して、薬効成分を室内に充満させることができるものである。
【0069】
芳香部11Aは、芳香成分を発泡剤に含浸したものを除菌フレーム19に組込んだものであり、除菌ユニット109と略同一形状であり、トレイ部6に収納可能である。芳香部11Aは、発泡性ウレタン基材に、芳香成分として窒素系消臭剤、香料、界面活性剤(非イオン、陰イオン)、珪酸カルシウム、イソパラフィン系溶剤などを含浸させている。
【0070】
このように、芳香成分を除菌フレーム19に組込んだ芳香部11Aを、除菌ユニット109に代えてトレイ部6に装着することにより、芳香機能を付加することができ、気化した芳香成分を室内に広く放出することができる。
【0071】
また、防虫部11Bを除菌ユニット109に代えてトレイ部6に装着することにより、防虫機能を付加することができ、気化した防虫成分を室内に広く放出することができる。
【0072】
防虫部11Bは、防虫成分を発泡剤に含浸したものを除菌フレーム19に組込んだものであり、除菌ユニット109と略同一形状であり、トレイ部6に収納可能である。防虫部11Bの基材には発砲ウレタンを用い、防虫成分にはフィトンチッド、パラジクロロベンゼン、「ピレスロイド系」と言われる化学物質、天然唐辛子成分、発酵アルコール(酒精)、緑茶ポリフェノールなどを用いることができる。
【0073】
また、加湿部106Aに給水せずに空気清浄運転を行なう場合は、トレイ部6に水がないため、トレイ部6から給水タンク12Aへの通水口21からのエアリークによって、性能の低下につながるが、芳香部11Aまたは防虫部11Bはトレイ部6に設けた通水口21に対応して閉鎖する閉鎖壁部19aを除菌フレーム19に追加して設け、収納時に通水口21を覆う形状としているので、通水口21からのエアリークをなくすことができ、空気清浄機能の低下を防止することができる。
【0074】
(実施の形態4)
図2、図3および図5に示すように、第1空質改善手段10は除湿部10B、第2空質改善手段11を芳香部11A、空気清浄部14を集塵フィルター14Aとしている。
【0075】
上記構成により、夏場などの湿度が高い状態で、洗濯物の乾燥に対応した運転が可能となり、集塵フィルター14Aによる空気浄化に加えて、湿度を下げるとともに、部屋干し臭いを改善する芳香を発生することができる。
【0076】
なお、第2空質改善手段11として、芳香部11Aに代えて防虫部11Bとしてもよく、この場合は夏場などの湿度が高い状態で、害虫が室内へ侵入するのを防ぐのに対応した運転が可能となり、集塵フィルター14Aによる空気浄化に加えて、湿度を下げるとともに、防虫成分を発生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の形態1の加湿機能付き空気清浄機の外観正面図
【図2】同、実施の形態1および4の断面図
【図3】(イ)同、実施の形態1および4の第1空質改善手段を示す分解斜視図、(ロ)同、第1空質改善手段を示す外観斜視図
【図4】(イ)同、実施の形態2の第1空質改善手段を示す外観斜視図、(ロ)同、実施の形態2の他の第1空質改善手段を示す外観斜視図
【図5】同、実施の形態1および4の第1空質改善手段の取付状態を示す要部断面図
【図6】同、実施の形態3のトレー部を示す側断面図
【図7】同、実施の形態3および4のトレー部を示す正面断面図
【図8】従来の加湿機能付き空気清浄機を示す側断面図
【図9】同、正面断面図
【図10】同、平面断面図
【符号の説明】
【0078】
1 本体
6 トレイ部
8 送風装置
10 第1空質改善手段
10A 脱臭部
10B 除湿部
10C 処理基材
11 第2空質改善手段
11A 芳香部
11B 防虫部
14 空気清浄部
14A 集塵フィルター
16 加熱手段
17 フレーム
19 除菌フレーム
19a 閉鎖壁部
21 通水口
106A 加湿部
109 除菌ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体内に設けた送風装置の吸気側に設けられる空気清浄部と、この送風装置の吐出側に着脱自在に設けられるトレイ部を備え、このトレイ部は加湿部に代えて、湿度または臭気を低減する第1空質改善手段を収納可能とした加湿機能付き空気清浄装置。
【請求項2】
第1空質改善手段の外観形状および構成する部品の形状を加湿部と略同一形状とした請求項1記載の加湿機能付き空気清浄装置。
【請求項3】
第1空質改善手段は平板形状の複数の平行な処理基材となし、この処理基材を送風装置の風向に対して略平行に配置した請求項1記載の加湿機能付き空気清浄機。
【請求項4】
第1空質改善手段は空気中の臭気成分を吸着する脱臭部とした請求項1〜3のいずれかに記載の加湿機能付き空気清浄装置。
【請求項5】
第1空質改善手段は空気中の水分を取り除く除湿部とした請求項1〜3のいずれかに記載の加湿機能付き空気清浄装置。
【請求項6】
送風装置の吐出側に加熱部を設け、第1空質改善手段を加熱して、再生可能とした請求項1〜5のいずれかに記載の加湿機能付き空気清浄装置。
【請求項7】
第1空質改善手段を横長の円筒形状に設けて、回転駆動手段により回転可能とした請求項1〜6のいずれかに記載の加湿機能付き空気清浄装置。
【請求項8】
トレイ部は加湿用の貯水を除菌するこの除菌ユニットに代えて、薬効成分を付加する第2空質改善手段を収納可能とした請求項1記載の加湿機能付き空気清浄装置。
【請求項9】
第2空質改善手段は、トレイ部に設けた通水口に対応して閉鎖する閉鎖壁部を除菌フレームに設けた請求項8記載の加湿機能付き空気清浄装置。
【請求項10】
第2空質改善手段は芳香成分を含有する芳香部とした請求項8または9記載の加湿機能付き空気清浄装置。
【請求項11】
第2空質改善手段は防虫成分を含有する防虫部とした請求項8または9記載の加湿機能付き空気清浄装置。
【請求項12】
第1空質改善手段は除湿部、第2空質改善手段を芳香部、空気清浄部を集塵フィルターとした請求項10記載の加湿機能付き空気清浄装置。
【請求項13】
第1空質改善手段を除湿部、第2空質改善手段を防虫部、空気清浄部を集塵フィルターとした請求項10記載の加湿機能付き空気清浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−17912(P2009−17912A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−180639(P2007−180639)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】