説明

加熱器

【課題】本発明は、加熱器に関する。
【解決手段】本発明の加熱器は、絶縁基板と、複数の行電極と、複数の列電極と、複数のカーボンナノチューブ加熱素子と、を備える。前記複数の行電極は、互いに平行し、等間隔に前記絶縁基板の1つの表面に設置され、前記複数の列電極は、互いに平行し、等間隔に前記絶縁基板の前記表面に設置され、該複数の行電極と該複数の列電極は交叉して、複数の格子を形成する。前記複数の格子と複数のカーボンナノチューブ加熱素子は、一対一に対応し、且つ各々のカーボンナノチューブ加熱素子がそれぞれ対応した格子の行電極及び列電極に電気的に接続される。少なくとも1つのカーボンナノチューブ加熱素子が、独立した加熱点として制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱器に関し、特にカーボンナノチューブを応用した加熱器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加熱器は、熱を生成するために利用され、我々の生活、生産及び研究において重要な作用を有するので、例えば真空加熱器、赤外治療機器、電暖房器などに広く応用されている。
【0003】
図1は、特許文献1に記載された加熱器である。前記加熱器10は、基底11と、複数の支持バット12と、複数の加熱ユニット14と、導電体16と、絶縁材料層13と、制御装置(図に示せず)と、を備える。前記複数の支持バット12は、間隔を置いて前記基底11に配置される。前記各々の加熱ユニット14は、それぞれ前記各々の支持バット12に対応して、前記支持バット12の上に配置される。前記絶縁材料層13は、前記支持バット12と加熱ユニット14の間に配置されて、前記支持バット12と加熱ユニット14を互いに絶縁させる。前記加熱ユニット14は、前記導電体16を通じて前記制御装置に電気的に接続される。前記制御装置は、前記各々の加熱ユニット14を独立に制御することができるので、異なる用途において、局部的な定点を加熱し、又は全体を加熱することを実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0252906号明細書
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Kaili Jiang、Qunqing Li、Shoushan Fan、“Spinning continuous carbon nanotube yarns”、Nature、2002年、第419巻、p.801
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記加熱器10の加熱ユニット14は、通常、導電陶器、導電ガラス又は金属からなる。且つ、前記加熱器10の加熱ユニット14の密度が大きいので、前記加熱器10の重量が重い。従って、前記加熱器10を用いた部品は、軽便、携帯性などの要望を満たさないので、前記加熱器10の応用範囲が制限される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、前記課題を解決するために、本発明は重量が軽く、応用範囲が広い加熱器を提供する。
【0008】
本発明の加熱器は、絶縁基板と、複数の行電極と、複数の列電極と、複数の加熱素子と、を備える。前記複数の行電極は、互いに平行し、等間隔に前記絶縁基板の1つの表面に設置され、前記複数の列電極は、互いに平行し、等間隔に前記絶縁基板の前記行電極が設置された表面に設置され、該複数の行電極と該複数の列電極は交叉し、隣接する二つの行電極と、隣接する二つの列電極とは、1つの加熱ユニットを画定し、各々の前記加熱ユニットに一つの前記加熱素子が設置される。前記加熱ユニットに、更に第一電極と第二電極が設置されており、前記第一電極と第二電極とは間隔を置いて、前記加熱素子に電気的に接続され、且つ別々に前記行電極と列電極とに接続される。前記加熱素子は、少なくとも1つのカーボンナノチューブ構造体、カーボンナノチューブ複合体又はカーボンナノチューブサイジング層からなる。
【0009】
本発明の加熱器は、絶縁基板と、複数の行電極と、複数の列電極と、複数のカーボンナノチューブ加熱素子と、を備える。前記複数の行電極は、互いに平行し、等間隔に前記絶縁基板の1つの表面に設置され、前記複数の列電極は、互いに平行し、等間隔に前記絶縁基板の前記行電極が設置された表面に設置され、該複数の行電極と該複数の列電極は交叉して、複数の格子を形成する。前記複数の格子と複数のカーボンナノチューブ加熱素子は、一対一に対応し、且つ各々のカーボンナノチューブ加熱素子がそれぞれ対応した格子の行電極及び列電極に電気的に接続される。少なくとも1つのカーボンナノチューブ加熱素子が、独立した加熱点として制御される。
【発明の効果】
【0010】
従来の技術と比べて、本発明の加熱器は以下の優れた点を有する。まず、前記加熱器の加熱素子は、少なくとも1つのカーボンナノチューブ構造体、カーボンナノチューブ複合体又はカーボンナノチューブサイジング層からなり、且つそれらの密度が小さいので、前記加熱器の重量が軽い。従って、軽便、携帯性を必要とする装置に用いられることができ、即ち本発明の加熱器の応用範囲が広い。次に、カーボンナノチューブフィルムは薄く、その単位面積当たりの熱容量が低いので、前記加熱素子の温度レスポンスが速い。従って、前記加熱器の熱応答が速く、エネルギー消費が小さく、熱輻射効率が高い。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来の加熱器の構造を示す図である。
【図2】本発明加熱器の実施例1の構造を示す図である。
【図3】図2のIV−IVに沿った断面図である。
【図4】図2に示す加熱器に採用されたドローン構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図5】図4中のカーボンナノチューブフィルムのカーボンナノチューブセグメントの構造を示す図である。
【図6】図2に示す加熱器に採用された非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤねじれ状カーボンナノチューブワイヤである。
【図7】図2に示す加熱器に採用されたねじれ状カーボンナノチューブワイヤねじれ状カーボンナノチューブワイヤである。
【図8】図2に示す加熱器に採用されたカーボンナノチューブが配向せずに配置されるプレシッド構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図9】図2に示す加熱器に採用されたカーボンナノチューブが配向して配置されるプレシッド構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図10】図2に示す加熱器に採用された綿毛構造カーボンナノチューブフィルムの走査型電子顕微鏡写真である。
【図11】図2に示す加熱器の1つの加熱ユニットの走査型電子顕微鏡写真である。
【図12】図11に示す加熱ユニットの側面走査型電子顕微鏡写真である。
【図13】本発明の加熱器に流れた電流と前記加熱器の上昇温度の関係を示す図である。
【図14】本発明の加熱器の熱応答速度を示す図である。
【図15】本発明の加熱器の実施例2の構造を示す図である。
【図16】図15のXVI−XVIを沿う断面図である。
【図17】図4中のカーボンナノチューブフィルムを引き出す見取り図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0013】
(実施例1)
図2及び図3を参照すると、本実施例1の加熱器20は、絶縁基板202と、複数の行電極204と、複数の列電極206と、複数の加熱ユニット220と、を備える。前記複数の行電極204は、互いに平行し、等間隔に前記絶縁基板202の1つの表面に設置される。前記複数の列電極206は、互いに平行し、等間隔に前記絶縁基板202の前記行電極204が設置された表面に設置されている。該複数の行電極204と該複数の列電極206は、交叉して前記絶縁基板202に設置されている。該複数の行電極204と該複数の列電極206とが短路することを防止するために、交叉する場所に絶縁層216が設置されている。隣接する二つの行電極204と、隣接する二つの列電極206とは、複数の格子214を形成している。一つの格子214に一つの前記加熱ユニット220が設置されている。
【0014】
前記絶縁基板202は、剛性材料又は柔軟性材料からなる。前記剛性材料は、石英、セラミック、ガラス、樹脂、二酸化ケイ素である。前記柔軟性材料は、プラスチックまたはファイバーである。前記絶縁基板202が柔軟性材料からなる場合、前記加熱器20を曲げることができる。本実施例において、前記絶縁基板202は石英からなり、その厚さが1mmであり、その辺長が48mmである。
【0015】
前記複数の行電極204と複数の列電極206とは、導電体又は導電体(例えば、金属)で被覆された絶縁体からなる。前記複数の行電極204と複数の列電極206とが交差して成る角度は、10度〜90度であるが、90度であることが好ましい。隣接する前記行電極204の間の距離及び隣接する前記列電極206の間の距離は、それぞれ50μm〜2cmである。単一の前記行電極204の幅及び単一の前記列電極206の幅は、それぞれ30μm〜100μmであり、その厚さがそれぞれ10μm〜50μmである。前記複数の行電極204及び複数の列電極206は、スクリーン印刷方法によって、導電ペーストを前記絶縁基板202に印刷して形成されたものである。前記導電ペーストは、金属粉末、低融点ガラス粉末及び接着剤を含む。ここで、前記金属粉末が銀の粉末であり、前記接着剤がテルピネオール又はエチルセルロースであることが好ましい。前記導電ペーストにおける前記金属粉の質量パーセンテージの含有量は50〜90wt%であり、前記低融点ガラスパウダーの質量パーセンテージの含有量は2〜10wt%であり、前記接着剤の質量パーセンテージの含有量は10〜40wt%である。
【0016】
前記加熱ユニット220は、複数の行及び列で配列して、加熱マトリックスに形成されている。各々の加熱ユニット220は、1つの加熱点として機能する。各々の前記加熱ユニット220は、加熱素子208と、第一電極210と、第二電極212と、を含む。該第一電極210と第二電極212とは対向し、分離して絶縁的に配置される。前記各々の加熱ユニット220において、該第一電極210と第二電極212の間の距離が10μm〜2cmである。前記加熱素子208は、前記第一電極210と第二電極212の間に配置され、且つそれぞれ前記第一電極210及び第二電極212に電気的に接続される。前記加熱素子208からの熱が前記絶縁基板202で吸収されることを防止するために、前記加熱素子208が前記絶縁基板202と所定の距離で離れるように配置される。前記加熱素子208と前記絶縁基板202の間の距離が、10μm〜2cmであり、1mmであることが好ましい。本実施例において、同じ行に沿って配列された前記複数の加熱ユニット220における前記第一電極210は、該行の行電極204に電気的に接続されている。同じ列に沿って配列された前記複数の加熱ユニット220における前記第二電極212が、該列の列電極206に電気的に接続されている。
【0017】
前記第一電極210と第二電極212は、導電体である。例えば、前記第一電極210と第二電極212は、金属層である。前記第二電極212は、前記列電極206と一体成型されることができる。この場合、前記第二電極212は、前記列電極206から延びて形成された凸部であることができる。同様に、前記第一電極210は、前記行電極204と一体成型されることができる。この場合、前記第一電極210は、前記行電極204から延びて形成された凸部であることができる。本実施例において、前記第一電極210と第二電極212は、平面導電体であり、その大きさが前記格子214の大きさと関係する。前記第二電極212は、前記列電極206に直接的に接続され、前記第一電極210は、前記行電極204に直接的に接続される。前記第一電極210と第二電極212は、それぞれ長さが20μm〜1.5cmであり、幅が30μm〜1cmであり、厚さが10μm〜500μmであるが、長さが100μm〜700μmであり、幅が50μm〜500μmであり、厚さが20μm〜100μmであることが好ましい。前記第一電極210と第二電極212は、導電パルプからなり、シルクスクリーンの印刷法で前記絶縁基板202に印刷して形成される。前記第一電極210と第二電極212は、前記行電極204と前記列電極206の材料と同じである。
【0018】
前記加熱素子208は、複数のカーボンナノチューブのみからなるカーボンナノチューブ構造体、又は複数のカーボンナノチューブと基材からなるカーボンナノチューブ複合材料体を含む。前記基材は、無機材料、金属材料又はポリマーであり、例えば、酸化アルミニウム、銀、銅、ニッケルなどの優れた熱伝導性を有する材料からなることが好ましい。
【0019】
前記カーボンナノチューブ構造体は、分子間力で緊密に接続した複数のカーボンナノチューブを含む。前記カーボンナノチューブ構造体は、自立構造の薄膜の形状に形成されている。ここで、自立構造とは、支持体材を利用せず、前記カーボンナノチューブ構造体を独立して利用することができるという形態のことである。すなわち、前記カーボンナノチューブ構造体を対向する両側から支持して、前記カーボンナノチューブ構造体の構造を変化させずに、前記カーボンナノチューブ構造体を懸架させることができることを意味する。例えば、カーボンナノチューブワイヤ構造体又はカーボンナノチューブフィルム構造体である。前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである場合、直径は0.5nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが二層カーボンナノチューブである場合、直径は1nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブである場合、直径は1.5nm〜50nmに設定される。該カーボンナノチューブ構造体は大きな比表面積(例えば、100m/g以上)を有する。該カーボンナノチューブ構造体の単位体積当たりの熱容量は、0(0は含まず)〜2×10−4J/cm・Kであるが、好ましくは、0(0は含まず)〜1.7×10−6J/cm・Kであり、本実施例では、1.7×10−6J/cm・Kである。前記カーボンナノチューブ構造体の熱容量が小さいので、前記カーボンナノチューブ構造体からなる加熱部品の熱応答速度が速く、物体に対する加熱時間を短縮させることが出来る。
【0020】
前記カーボンナノチューブ構造体には、複数のカーボンナノチューブが均一に分散されている。該複数のカーボンナノチューブは分子間力で接続されている。前記カーボンナノチューブ構造体に、前記複数のカーボンナノチューブが配向し又は配向せずに配置されている。前記複数のカーボンナノチューブの配列方式により、前記カーボンナノチューブ構造体は非配向型のカーボンナノチューブ構造体及び配向型のカーボンナノチューブ構造体の二種に分類される。本実施例における非配向型のカーボンナノチューブ構造体では、カーボンナノチューブが異なる方向に沿って配置され、又は絡み合っている。配向型のカーボンナノチューブ構造体では、前記複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列している。又は、配向型のカーボンナノチューブ構造体において、配向型のカーボンナノチューブ構造体が二つ以上の領域に分割される場合、各々の領域における複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列されている。この場合、異なる領域におけるカーボンナノチューブの配列方向は異なる。
【0021】
前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一枚の、厚さが0.5nm〜10μmであるカーボンナノチューブフィルム、少なくとも一本の、直径が0.5nm〜10μmであるカーボンナノチューブワイヤ又は前記カーボンナノチューブフィルム及びカーボンナノチューブワイヤを組み合わせて形成する物である。
【0022】
本発明のカーボンナノチューブ構造体としては、以下の(一)〜(四)のものが挙げられる。
【0023】
(一)ドローン構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体は、図4に示す、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルム143aを含む。このカーボンナノチューブフィルムはドローン構造カーボンナノチューブフィルム(drawn carbon nanotube film)である。前記カーボンナノチューブフィルム143aは、超配列カーボンナノチューブアレイ(非特許文献1を参照)から引き出して得られたものである。単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って、端と端が接続されている(図17を参照する)。即ち、単一の前記カーボンナノチューブフィルム143aは、分子間力で長さ方向端部同士が接続された複数のカーボンナノチューブを含む。また、前記複数のカーボンナノチューブは、前記カーボンナノチューブフィルム143aの表面に平行して配列されている。図4及び図5を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルム143aは、複数のカーボンナノチューブセグメント143bを含む。前記複数のカーボンナノチューブセグメント143bは、長さ方向に沿って分子間力で端と端が接続されている。それぞれのカーボンナノチューブセグメント143bは、相互に平行に、分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブ145を含む。単一の前記カーボンナノチューブセグメント143bにおいて、前記複数のカーボンナノチューブ145の長さが同じである。前記カーボンナノチューブフィルム143aを有機溶剤に浸漬させることにより、前記カーボンナノチューブフィルム143aの強靭性及び機械強度を高めることができる。有機溶剤に浸漬された前記カーボンナノチューブフィルムの単位面積当たりの熱容量が低くなるので、加熱素子の温度レスポンスを速くすることができる。前記カーボンナノチューブフィルム143aの幅は100μm〜10cmに設けられ、厚さは0.5nm〜100μmに設けられる。
【0024】
前記カーボンナノチューブ構造体は、積層された複数の前記カーボンナノチューブフィルムを含むことができる。この場合、隣接する前記カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で結合されている。隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、それぞれ0°〜90°の角度で交差している。隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが0°以上の角度で交差する場合、前記カーボンナノチューブ構造体に複数の微孔が形成される。又は、前記複数のカーボンナノチューブフィルムは、隙間なく並列されることもできる。
【0025】
前記カーボンナノチューブフィルムの製造方法は次のステップを含む。
【0026】
第一ステップでは、カーボンナノチューブアレイを提供する。該カーボンナノチューブアレイは、超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes,非特許文献1を参照)であり、該超配列カーボンナノチューブアレイの製造方法は、化学気相堆積法を採用する。該製造方法は、次のステップを含む。ステップ(a)では、平らな基材を提供し、該基材はP型のシリコン基材、N型のシリコン基材及び酸化層が形成されたシリコン基材のいずれか一種である。本実施例において、4インチのシリコン基材を選択することが好ましい。ステップ(b)では、前記基材の表面に、均一的に触媒層を形成する。該触媒層の材料は鉄、コバルト、ニッケル及びその2種以上の合金のいずれか一種である。ステップ(c)では、前記触媒層が形成された基材を700℃〜900℃の空気で30分〜90分間アニーリングする。ステップ(d)では、アニーリングされた基材を反応炉に置き、保護ガスで500℃〜740℃の温度で加熱した後で、カーボンを含むガスを導入して、5分〜30分間反応を行って、超配列カーボンナノチューブアレイ(Superaligned array of carbon nanotubes,非特許文献1)を成長させることができる。該カーボンナノチューブアレイの高さは100マイクロメートル以上である。該カーボンナノチューブアレイは、互いに平行し、基材に垂直するように成長する複数のカーボンナノチューブからなる。該カーボンナノチューブは、長さが長いため、部分的にカーボンナノチューブが互いに絡み合っている。成長の条件を制御することによって、前記カーボンナノチューブアレイは、例えば、アモルファスカーボン及び残存する触媒である金属粒子などの不純物を含まなくなる。
【0027】
本実施例において、前記カーボンを含むガスとしては例えば、アセチレン、エチレン、メタンなどの活性な炭化水素が選択され、エチレンを選択することが好ましい。保護ガスは窒素ガスまたは不活性ガスであり、アルゴンガスが好ましい。
【0028】
本実施例により提供されたカーボンナノチューブアレイは、前記の製造方法により製造されることに制限されず、アーク放電法またはレーザー蒸発法で製造してもよい。
【0029】
第二ステップでは、前記カーボンナノチューブアレイから、少なくとも、一枚のカーボンナノチューブフィルムを引き伸ばす。まず、ピンセットなどの工具を利用して複数のカーボンナノチューブの端部を持つ。例えば、一定の幅を有するテープを利用して複数のカーボンナノチューブの端部を持つ。次に、所定の速度で前記複数のカーボンナノチューブを引き出し、複数のカーボンナノチューブセグメントからなる連続のカーボンナノチューブフィルムを形成する。
【0030】
前記複数のカーボンナノチューブを引き出す工程において、前記複数のカーボンナノチューブがそれぞれ前記基材から脱離すると、分子間力で前記カーボンナノチューブセグメントが端と端で接合され、連続のカーボンナノチューブフィルムが形成される。
【0031】
(二)カーボンナノチューブワイヤ
前記カーボンナノチューブ構造体は少なくとも一本のカーボンナノチューブワイヤを含む。一本の前記カーボンナノチューブワイヤの熱容量は、0(0は含まず)〜2×10−4J/cm・Kであり、5×10−5J/cm・Kであることが好ましい。一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は4.5nm〜1cmである。図6を参照すると、前記カーボンナノチューブワイヤは、分子間力で接続された複数のカーボンナノチューブからなる。この場合、一本のカーボンナノチューブワイヤ(非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ)は、端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。前記カーボンナノチューブセグメントは、同じ長さ及び幅を有する。さらに、各々の前記カーボンナノチューブセグメントに、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列されている。前記複数のカーボンナノチューブはカーボンナノチューブワイヤの中心軸に平行に配列されている。この場合、一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は、1μm〜1cmである。図7を参照すると、前記カーボンナノチューブワイヤをねじり、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成することができる。ここで、前記複数のカーボンナノチューブは前記カーボンナノチューブワイヤの中心軸を軸に、螺旋状に配列されている。この場合、一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は、1μm〜1cmである。前記カーボンナノチューブ構造体は、前記非ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ又はそれらの組み合わせのいずれか一種からなる。
【0032】
前記カーボンナノチューブワイヤを形成する方法は、カーボンナノチューブアレイから引き出してなるカーボンナノチューブフィルムを利用する。前記カーボンナノチューブワイヤを形成する方法は、次の三種がある。第一種では、前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの長手方向に沿って、前記カーボンナノチューブフィルムを所定の幅で切断し、カーボンナノチューブワイヤを形成する。第二種では、前記カーボンナノチューブフィルムを有機溶剤に浸漬させて、前記カーボンナノチューブフィルムを収縮させてカーボンナノチューブワイヤを形成することができる。第三種では、前記カーボンナノチューブフィルムを機械加工(例えば、紡糸工程)してねじれたカーボンナノチューブワイヤを形成する。詳しく説明すれば、まず、前記カーボンナノチューブフィルムを紡糸装置に固定させる。次に、前記紡糸装置を動作させて前記カーボンナノチューブフィルムを回転させ、ねじれたカーボンナノチューブワイヤを形成する。
【0033】
(三)プレシッド構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムは、プレシッド構造カーボンナノチューブフィルム(pressed carbon nanotube film)である。単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおける複数のカーボンナノチューブは、等方的に配列されているか、所定の方向に沿って配列されているか、または、異なる複数の方向に沿って配列されている。前記カーボンナノチューブフィルムは、押し器具を利用することにより、所定の圧力をかけて前記カーボンナノチューブアレイを押し、該カーボンナノチューブアレイを圧力で倒すことにより形成された、シート状の自立構造を有するものである。前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの配列方向は、前記押し器具の形状及び前記カーボンナノチューブアレイを押す方向により決められている。
【0034】
図9を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが配向せずに配置される。該カーボンナノチューブフィルムは、等方的に配列されている複数のカーボンナノチューブを含む。隣接するカーボンナノチューブが分子間力で相互に引き合い、接続する。該カーボンナノチューブ構造体が平面等方性を有する。該カーボンナノチューブフィルムは、平面を有する押し器具を利用して、カーボンナノチューブアレイが成長された基板に垂直な方向に沿って前記カーボンナノチューブアレイを押すことにより形成される。
【0035】
図8を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが配向して配列される。該カーボンナノチューブフィルムは、同じ方向に沿って配列された複数のカーボンナノチューブを含む。ローラー形状を有する押し器具を利用して、同じ方向に沿って前記カーボンナノチューブアレイを同時に押す場合、基本的に同じ方向に配列されるカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。また、ローラー形状を有する押し器具を利用して、異なる方向に沿って、前記カーボンナノチューブアレイを同時に押す場合、前記異なる方向に沿って、選択的な方向に配列されるカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブフィルムが形成される。
【0036】
前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブの傾斜の程度は、前記カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブと該カーボンナノチューブフィルムの表面とは、角度αを成し、該角度αは0°以上15°以下である。好ましくは、前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが該カーボンナノチューブフィルムの表面に平行する(即ち、角度αは0°である)。前記圧力が大きくなるほど、前記傾斜の程度が大きくなる。前記カーボンナノチューブフィルムの厚さは、前記カーボンナノチューブアレイの高さ及び該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力に関係する。即ち、前記カーボンナノチューブアレイの高さが大きくなるほど、また、該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力が小さくなるほど、前記カーボンナノチューブフィルムの厚さが大きくなる。これとは逆に、カーボンナノチューブアレイの高さが小さくなるほど、また、該カーボンナノチューブアレイにかけた圧力が大きくなるほど、前記カーボンナノチューブフィルムの厚さが小さくなる。
【0037】
(四)綿毛構造カーボンナノチューブフィルム
前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。このカーボンナノチューブフィルムは綿毛構造カーボンナノチューブフィルム(flocculated carbon nanotube film)である。図10を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブは、絡み合い、等方的に配列されている。前記カーボンナノチューブ構造体においては、前記複数のカーボンナノチューブが均一に分布されている。複数のカーボンナノチューブは配向せずに配置されている。単一の前記カーボンナノチューブの長さは、100nm以上であり、100nm〜10cmであることが好ましい。前記カーボンナノチューブ構造体は、自立構造の薄膜の形状に形成されている。ここで、自立構造は、支持体材を利用せず、前記カーボンナノチューブ構造体を独立して利用することができるという形態である。前記複数のカーボンナノチューブは、分子間力で接近して、相互に絡み合って、カーボンナノチューブネット状に形成されている。前記複数のカーボンナノチューブは配向せずに配置されて、多くの微小な穴が形成されている。ここで、単一の前記微小な穴の直径が10μm以下になる。前記カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブは、相互に絡み合って配置されるので、該カーボンナノチューブ構造体は柔軟性に優れ、任意の形状に湾曲して形成させることができる。用途に応じて、前記カーボンナノチューブ構造体の長さ及び幅を調整することができる。前記カーボンナノチューブ構造体の厚さは、0.5nm〜1mmである。
【0038】
前記カーボンナノチューブフィルムの製造方法は、下記のステップを含む。
【0039】
第一ステップでは、カーボンナノチューブ原料(綿毛構造カーボンナノチューブフィルムの素になるカーボンナノチューブ)を提供する。
【0040】
ナイフのような工具で前記カーボンナノチューブを前記基材から剥離し、カーボンナノチューブ原料が形成される。前記カーボンナノチューブは、ある程度互いに絡み合っている。前記カーボンナノチューブの原料においては、該カーボンナノチューブの長さは、100マイクロメートル以上であり、10マイクロメートル以上であることが好ましい。
【0041】
第二ステップでは、前記カーボンナノチューブ原料を溶剤に浸漬し、該カーボンナノチューブ原料を処理して、綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を形成する。
【0042】
前記カーボンナノチューブ原料を前記溶剤に浸漬した後、超音波式分散、又は高強度攪拌又は振動などの方法により、前記カーボンナノチューブを綿毛構造に形成させる。前記溶剤は水または揮発性有機溶剤である。超音波式分散方法により、カーボンナノチューブを含む溶剤に対して10〜30分間処理する。カーボンナノチューブは大きな比表面積を有し、カーボンナノチューブの間に大きな分子間力が生じるので、前記カーボンナノチューブはそれぞれもつれて、綿毛構造に形成されている。
【0043】
第三ステップでは、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶液をろ過して、最終的な綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を取り出す。
【0044】
まず、濾紙が置かれたファネルを提供する。前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶剤を濾紙が置かれたファネルにつぎ、しばらく放置して、乾燥させると、綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体が分離される。図10を参照すると、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブが互いに絡み合って、不規則的な綿毛構造となる。
【0045】
分離された前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を容器に置き、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を所定の形状に展開し、展開された前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体に所定の圧力を加え、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体に残留した溶剤を加熱するか、或いは、該溶剤が自然に蒸発すると、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。
【0046】
前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体が展開される面積によって、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムの厚さと面密度を制御できる。即ち、一定の体積を有する前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体は、展開される面積が大きくなるほど、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムの厚さと面密度が小さくなる。
【0047】
また、微多孔膜とエアーポンプファネル(Air−pumping Funnel)を利用して綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。具体的には、微多孔膜とエアーポンプファネルを提供し、前記綿毛構造のカーボンナノチューブ構造体を含む溶剤を、前記微多孔膜を通して前記エアーポンプファネルにつぎ、該エアーポンプファネルに抽気し、乾燥させると、綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムが形成される。前記微多孔膜は、平滑な表面を有する。該微多孔膜において、単一の微小孔の直径は、0.22マイクロメートルにされている。前記微多孔膜は平滑な表面を有するので、前記カーボンナノチューブフィルムは容易に前記微多孔膜から剥落することができる。さらに、前記エアーポンプを利用することにより、前記綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムに空気圧をかけるので、均一な綿毛構造のカーボンナノチューブフィルムを形成させることができる。
【0048】
前記カーボンナノチューブ複合材料体は、カーボンナノチューブとポリマー基材からなる場合、カーボンナノチューブの質量パーセンテージは80%である。前記カーボンナノチューブ複合材料体は以下のステップによって形成する。まず、複数のカーボンナノチューブを、硬化剤を含む溶液に浸漬させて混合物を形成する。次に、前記混合物を固化させて、カーボンナノチューブ複合材料体を形成する。前記カーボンナノチューブ複合材料体は、カーボンナノチューブと無機の材料基体/金属材料基体からなる場合、前記カーボンナノチューブ複合材料体は以下のステップによって形成する。まず、複数のカーボンナノチューブを無機の材料又は金属粉を含む有機溶剤に浸漬させて混合物を形成する。次に、前記混合物から有機溶剤を揮発させるので、カーボンナノチューブ複合材料体を形成する。
【0049】
その他、複数のカーボンナノチューブを1,2−ジクロロエタンに分散させ、且つ超音波で前記複数のカーボンナノチューブを液体の1,2−ジクロロエタンに十分に分散させて混合物を形成する。次に、前記十分に分散させた混合物をテルピネオールとセルロースの混合物に加入させて固化するので、カーボンナノチューブ複合材料体を形成する。
【0050】
前記加熱ユニット220は、更に複数の固定電極224を含む。前記複数の固定電極224は、それぞれ前記複数の第一電極210と複数の第二電極212の前記絶縁基板202と離れた表面(図示せず)に配置されている。前記第一電極210に配置された固定電極224の形状、寸法及び材料は、前記第一電極210の形状、寸法及び材料と同じである。前記第二電極212に配置された固定電極224の形状、寸法及び材料は、前記第二電極212の形状、寸法及び材料と同じである。前記固定電極224は、前記加熱素子208を前記第一電極210と第二電極212に更に堅固に固定させることができる。
【0051】
本実施例において、辺長が48mmの絶縁基板202に16×16個の加熱ユニット220を形成する。図11及び図12を参照すると、各々の加熱ユニット220における加熱素子208は、複数のドローン構造カーボンナノチューブフィルムからなる。一枚の前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルムの、長さが300μmであり、幅が100μmである。前記ドローン構造カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは平行し、前記第一電極210から前記第二電極212までに伸展するように配列される。前記カーボンナノチューブ構造体自体が良好な接着性を有するので、前記カーボンナノチューブ構造体は、前記第一電極210及び第二電極212と直接的に粘着することができ、且つ良好な電接続性を有する。又は、前記第一電極210又は第二電極212と前記カーボンナノチューブ構造体との間に導電性接着層(図示せず)を設置することもできる。
【0052】
また、加熱器20は、更に、反射層(図示せず)を含むことができる。前記反射層は、前記絶縁基板202の前記加熱素子208に近い表面に配置される。前記反射層の材料は、例えば金属酸化物、金属塩及び陶器などの一種又は数種からなる白色絶縁材料である。本実施例において、前記反射層は、酸化アルミニウムからなり、その厚さが100μm〜0.5mmである。前記反射層は、電気めっき、化学めっき、真空めっき、マグネトロンスパッタリングなどの方法によって形成される。本実施例において、前記反射層は、マグネトロンスパッタリング方法によって、前記絶縁基板202の前記加熱素子208に対向する表面に、前記酸化アルミニウムをマグネトロンスパッタリングさせて形成される。前記反射層は、前記加熱素子208からの熱を反射することができるので、前記加熱器20の加熱方向を制御し、前記加熱器20の単側加熱することを実現でき、且つ前記加熱器20の加熱効率を高める。
【0053】
また、加熱器20は、更に、絶縁保護層(図示せず)を含むことができる。該絶縁保護層は、前記絶縁基板202に、前記行電極204、列電極206、第一電極210、第二電極212及び加熱素子208を覆うように配置される。前記絶縁保護層は、例えばゴム又は樹脂などの絶縁材料からなる。本実施例において、前記絶縁保護層は、樹脂からなり、その厚さが0.5mm〜2mmである。前記絶縁保護層は、塗装方法または沈積方法によって形成される。前記絶縁保護層は、前記加熱器20の外部に導電することを防止でき、同時に前記加熱器20の加熱素子208のカーボンナノチューブ構造体に不純物が吸着することを防止する。
【0054】
図13を参照し、前記加熱器20に流れた電流と前記加熱器20の上昇した温度の関係を示す図である。前記図13に示すように、本実施例の加熱器20の加熱効率が高く、前記加熱器20に流れた電流が100mAである場合、前記加熱器20の温度が1600Kになることができる。図14は、前記加熱器20の熱応答速度を示す図である。前記図14に示すように、本実施例の加熱器20の熱応答速度が速く、加熱器20の温度を短時間で上昇させることができる。
【0055】
(実施例2)
図15及び図16を参照すると、本実施例の加熱器30は、絶縁基板302と、複数の行電極304と、複数の列電極306と、複数の加熱ユニット320と、を備える。前記複数の行電極304は、互いに平行し、等間隔に前記絶縁基板302の1つの表面に設置され、前記複数の列電極306は、互いに平行し、等間隔に前記絶縁基板302の前記表面に設置される。該複数の行電極304と該複数の列電極306は、交叉して前記絶縁基板302に設置されている。該複数の行電極304と該複数の列電極306とが短路することを防止するために、交叉する場所に絶縁層316が設置されている。隣接する二つの行電極304と、隣接する二つの列電極306とが、複数の格子314を形成している。1つの前記格子314に一つの前記加熱ユニット320が設置される。
【0056】
本実施例に係る加熱器30の構造は、実施例1に係る加熱器20と比べて、次の異なる点がある。本実施例の加熱器30の加熱素子308が直接的に前記絶縁基板302の1つの表面に配置されている。即ち、前記実施例1に提供するカーボンナノチューブ構造体を直接的に前記絶縁基板302の表面に配置させることができる。または、前記加熱素子308が、シルクスクリーンの印刷法でカーボンナノチューブ層を沈積させて形成されることができ、即ち前記カーボンナノチューブ層が自立構造を有しないで、前記カーボンナノチューブ層における複数のカーボンナノチューブが配向せずに配置されてもよい。
【符号の説明】
【0057】
20、30 加熱器
202、302 絶縁基板
204、304 行電極
206、306 列電極
208、308 加熱素子
210、310 第一電極
212、312 第二電極
220、320 加熱ユニット
224 固定電極
214、314 格子
216、316 絶縁層
143a カーボンナノチューブフィルム
143b カーボンナノチューブセグメント
145 カーボンナノチューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基板と、複数の行電極と、複数の列電極と、複数の加熱ユニットと、を備える加熱器であって、
前記複数の行電極は、互いに平行し、等間隔に前記絶縁基板の1つの表面に設置され、
前記複数の列電極は、互いに平行し、等間隔に前記絶縁基板の前記複数の行電極が設置された表面に設置され、該複数の行電極と該複数の列電極は交叉し、複数の格子を形成し、
1つの前記加熱ユニットは、隣接する二つの前記行電極と、隣接する二つの前記列電極とによって形成される前記格子に配置され、
前記加熱ユニットは、加熱素子、第一電極、第二電極を含み、
前記第一電極と第二電極とは間隔を置いて、前記加熱素子に電気的に接続され、
前記第一電極が、前記行電極に接続され、
前記第二電極が、前記列電極に接続され、
前記加熱素子は、少なくとも1つのカーボンナノチューブ構造体、カーボンナノチューブ複合体又はカーボンナノチューブサイジング層からなることを特徴とする加熱器。
【請求項2】
絶縁基板と、複数の行電極と、複数の列電極と、複数のカーボンナノチューブ加熱素子と、を備える加熱器であって、
前記複数の行電極は、互いに平行し、等間隔に前記絶縁基板の1つの表面に設置され、
前記複数の列電極は、互いに平行し、等間隔に前記絶縁基板の前記複数の行電極が設置された表面に設置され、該複数の行電極と該複数の列電極は交叉し、複数の格子を形成し、
1つの前記格子は、隣接する二つの行電極と、隣接する二つの列電極とからなり、
1つの前記格子に、1つの前記カーボンナノチューブ加熱素子が設置され、且つ1つの前記カーボンナノチューブ加熱素子はそれぞれ隣接する前記行電極と列電極に電気的に接続され、
少なくとも1つの前記カーボンナノチューブ加熱素子が、独立した加熱点として制御されることを特徴とする加熱器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−232178(P2010−232178A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75420(P2010−75420)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(598098331)ツィンファ ユニバーシティ (534)
【出願人】(500080546)鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司 (1,018)
【Fターム(参考)】