説明

加熱調理器

【課題】 本来ある送風機の風路を工夫して、送風機を新たに追加することなく、グリル庫用誘導加熱コイルを冷却し得る加熱調理器を提供する。
【解決手段】 誘導加熱コイル105c、107cを駆動制御する駆動制御部199の後部に設けられた送風機111からの駆動制御部199を冷却した冷却風をグリル庫1の下方の前部に送り込むための通路を構成するダクト133を駆動制御部199の前側に設け、このグリル庫1の下方の前部に送り込まれた冷却風でグリル庫用誘導加熱コイル21を冷却しながらグリル庫を通過させた後、グリル庫の後部の排気出口104から排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
グリル庫を備えているIHクッキングヒータにおいて、グリル庫の加熱手段として、誘導加熱コイルと発熱体とを組み合わせ、誘導加熱コイルの磁界で発熱体に電流を電磁誘起して発熱体を加熱し、この発熱体の発熱によりグリル庫内の調理物を加熱調理するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−138864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようにグリル庫の加熱手段として、誘導加熱コイルを使用したものは、グリル庫内の発熱体による高温環境および誘導加熱コイル自身が発生する熱によって誘導加熱コイルの温度が上昇する。そのため、この温度上昇に対応して、誘導加熱コイルに冷却風を送る必要が生じる。
【0005】
例えば、グリル庫の誘導加熱コイルの近傍に別途、送風機を設け、この送風機からの冷却風で誘導加熱コイルを冷却する方法が考えられる。この場合、送風機が誘導加熱コイルの磁力の影響を受けることが危惧され、また別途、送風機を設けるため、その設置スペースが必要となり、そのスペースの分だけ、調理スペースが少なくなるなどの問題がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、本来からある送風機の風路を工夫して、送風機を新たに追加することなく、グリル庫用誘導加熱コイルを冷却し得る加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するため、実施形態の加熱調理器は、誘導加熱コイルを駆動制御する駆動制御部の後部に設けられた送風機からの駆動制御部を冷却した冷却風をグリル庫の下方の前部に送り込むための通路を構成するダクトを駆動制御部の前側に設け、このグリル庫の下方の前部に送り込まれた冷却風でグリル庫用誘導加熱コイルを冷却しながらグリル庫を通過させた後、グリル庫の後部の排気出口から排出する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態に係わる加熱調理器の全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す加熱調理器の内部構造を示す正面図である。
【図3】図2に示した加熱調理器のグリル庫の内部構造を示す拡大断面図である。
【図4】図3に示したグリル庫の前面下方から見た斜視図である。
【図5】図2に示した加熱調理器の上方からの内部構造を示す図である。
【図6】図2に示した加熱調理器のグリル庫側から内部構造を見た側面を示す断面図である。
【図7】別の実施形態を示す加熱調理器の内部構成を示す図5に類似した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態(以下、実施形態と称する)を説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係わる加熱調理器の全体構成を示す斜視図である。同図に示す加熱調理器100は、誘導加熱コイルの電磁誘導を利用して調理器具を加熱調理する所謂IHクッキングヒータと称するものであり、同図においては、その筺体がキッチンカウンタ200に形成された所定の大きさの開口部に嵌合されて組み込まれているものであり、このように組み込まれた加熱調理器100の前側の左上部には、グリル庫1が組み込まれ、そのグリル庫1の前側表面が見えている。
【0011】
このグリル庫1は、調理物を載置する内部が引出し式に取り出し得るように構成され、この引出し部の前扉が符号1aで示されているが、この引出し部の前扉1aの下側には、この引出し部を手前に引き出すための横に長い取っ手1bが突出して取り付けられている。なお、引出し部の前扉1aは、透明な耐熱ガラスで構成され、この前扉1aの耐熱ガラス越しに内部で加熱調理されている調理物の加熱状態を観察することができるようになっている。
【0012】
キッチンカウンタ200に組み込まれた加熱調理器100上面には、光透過性の耐熱ガラスで構成されるトッププレート103が載置されている。そして、このトッププレート103上には、2つの大きな円形の加熱領域表示マーク105、107とこれら加熱領域表示マーク105、107よりは小さな若しくは同等の円形の加熱領域表示マーク109が描かれている。
【0013】
加熱調理器100内部の前記加熱領域表示マーク105、107の真下には、それぞれ大きな調理器具用誘導加熱コイルである右・左誘導加熱コイル105C、107C(図2参照)がそれぞれ設けられ、加熱領域表示マーク109の真下には図示しない1個の小さな中央誘導加熱コイルが設けられている。なお、この中央誘導加熱コイルは、例えばラジエントヒータであっても良く、もしくは右・左誘導加熱コイル105C、107Cと同等の大きさの誘導加熱コイルであっても良いのは言うまでもない。そして、これらの加熱領域表示マーク105、107、109の上に鍋などの調理器具を載置すれば、その真下に設けられた誘導加熱コイルまたはヒータにより調理器具が加熱され、調理が行われるようになっている。
【0014】
図2は、図1に示す加熱調理器100の内部構造を示すために加熱調理器100の前側のカバーなどを取り外して、その前側から見た内部構造を示す正面図である。図2では、加熱調理器100の内部構造を説明するためにその他の部分の構造は簡略化されたものであり、その詳細な説明は省略する。左右IHインバータ室113には、右・左誘導加熱コイル105C、107Cを駆動する右IHインバータと左IHインバータが基板上に設けられている。
【0015】
また、グリル・中央IHインバータ室115には、後述するグリルの誘導加熱コイル21を駆動するグリルIHインバータ117と、中央IHインバータ119が基板上に設けられている。更に、下段には、これらIHインバータ等を制御する制御基板121が設けられる。なお、左右IHインバータ室113、グリル・中央IHインバータ室115、制御基板121およびこれらに設けられる電気部品などは、駆動制御部199を構成しているものである。
【0016】
また、送風機を構成するファン111は、外気を吸入して、上記各IHインバータおよび駆動制御部199等を冷却するものであるとともに、本実施形態では、この1個のファン111によりグリル庫1およびグリル庫1内に設けられた後述する誘導加熱コイルも冷却するものである。また、図2では、ファン111からの冷却風の流れが矢印で示されているが、この冷却風の流れについては後述する。
【0017】
図2において、左側に設けられているグリル庫1は、図3に拡大して単独で示されている。図2および図3において、グリル庫1の内部の加熱空間11のほぼ中央には、魚などの調理物300が調理物載置台である焼網などの載置網13の上に載置されている。この載置網13は、その下方に設けられている受皿15の上縁部の上に載置されている。具体的には、載置網13の周縁部の四隅の一部が下方に突出し、この下方に突出した突出部が受皿15の周縁部の縁15a上に載置される。
【0018】
受皿15は、前記周縁部の縁15aと受皿15底部との間の中程に設けられる段部15b上に発熱体17が載置されている。この発熱体17は、後述するように、下方に設けられているグリル庫用誘導加熱コイルである誘導加熱コイル21により加熱され、これにより載置網13上の調理物300を加熱調理するものである。後述するように、発熱体17は、受皿15の底面に直接接触することなく、受皿15の周縁部の段部15b上に載置されることで、発熱体17は受皿15の底面から離間した状態で受皿15内に設けられる。なお、受皿15は、セラミックなどの非磁性体で構成され、発熱体17の誘導加熱コイルの磁力線による加熱を妨げ難いものであることが好ましい。
【0019】
受皿15は、発熱体17および載置網13を載置した状態のまま、前側から外部に引き出し式に取り出し得るように構成されている。これは、図1に示したように、引出し部の透明な耐熱ガラス製の前扉1aの下に取り付けられている取っ手1bを前に引き出すことで、受皿15が発熱体17や載置網13を載せたまま、前側から外部に取り出すことができ、これにより載置網13、受皿15、発熱体17のそれぞれを個別に丸洗いすることができる。
【0020】
また、発熱体17は、磁性体からなる板状本体と、この磁性体の板状本体の上下表面および側部を全体的に覆って、さびなどが発生しないように保護する保護材とを有するクラッド材で構成されている。磁性体の板状本体は、例えば鉄やステンレス鋼のSUS430などで構成され、保護材は、例えばステンレス鋼のSUS304、あるいは琺瑯などで構成される。
【0021】
囲壁19は、加熱空間11から熱が逃げださないようにグリル庫1の加熱空間11の前側を除く左右の側壁部、後部の後壁部、下側の底部、上側の天井部のすべてを囲んで覆うように構成されており、受皿15は、この囲壁19の底部に設けられている。また、囲壁19の上側の天井部には、後述するフラットヒータ、いわゆる平面ヒータが埋め込まれるように配設されているので、この天井部は、囲壁19に埋め込まれたフラットヒータと囲壁19とで覆われているものである。なお、囲壁19の底部19aは、セラミックなどの非磁性体で構成され、発熱体17の誘導加熱コイルの磁力線による加熱を妨げ難いようにしている。
【0022】
また、囲壁19の底部19aの真下には、近接して、誘導加熱コイル21が配設され、この誘導加熱コイル21により囲壁19の底部19aおよび受皿15の底部を介して発熱体17を電磁誘導加熱し、この加熱された発熱体17で載置網13上の調理物300を加熱するようになっている。なお、誘導加熱コイル21の上方に設けられている発熱体17の外形は、図2および図3から分かるように、誘導加熱コイル21の外形よりも大きく構成され、これにより誘導加熱コイル21からの磁束が発熱体17を効率的に通過し、発熱体17を効率的に電磁誘導加熱するようになっている。
【0023】
また、誘導加熱コイル21と調理物300との間において、発熱体17の下には囲壁19の底部19aおよび受皿15の底部が存在するが、両者ともセラミックなどの非磁性体で構成されているため、発熱体17の誘導加熱コイルの磁力線による加熱を妨げ難く、また囲壁19の底部19aおよび受皿15の底部自身が誘導加熱コイル21によって電磁誘導の影響を受けて加熱され難い又は全く加熱されない。
【0024】
誘導加熱コイル21は、コイル保持体23の上に取り付けられ、このコイル保持体23の下側には、非磁性体からなるアルミ防磁板25が設けられ、このアルミ防磁板25により誘導加熱コイル21の電磁誘導の影響がその下側の筺体のケースなどに及ばないように防護している。
【0025】
図4は、図2および図3に示したグリル庫1の上面の天井部分および側壁の一部がよく見えるようにグリル庫1の前面下方から見た斜視図である。同図から分かるように、グリル庫1の上面の天井31は、平坦に形成されているが、この天井31は、平面ヒータであるフラットヒータ33で構成されている。従って、例えば、焼網13上に載せられた調理物300から飛散した油や煙などが天井31に付着して汚れたとしても、従来のようにヒータの突起物が存在しないため、清掃を容易に行うことができる。
【0026】
また、図4に示すように、グリル庫1の加熱空間11の右側の側壁には、庫内灯41が埋め込まれるように取り付けられ、この庫内灯41でグリル庫1の加熱空間11を照明し、載置網13上の調理物の加熱調理状態や位置などを確認し得るようになっている。
【0027】
更に、図2乃至図4に示すように、グリル庫1の加熱空間11を構成する囲壁19の後壁には、加熱空間11内に発生する煙や水蒸気などを排気するための開口部である排気窓91が形成され、この排気窓91は、図1においてトッププレート103の後部に設けられている排気出口104に連通している。
【0028】
そして、グリル庫1の載置網13上に載置された、例えば魚などの調理物300を誘導加熱コイル21で加熱調理することによって調理物300から加熱空間11内に発生した煙や水蒸気などは、排気窓91からグリル庫1の後部に設けられている図示しない排気トンネルなどを通って排気出口104から外部に排出されるようになっている。
【0029】
なお、後述するように、前記ファン111から送風され、右・左誘導加熱コイル105C、107Cなどの各IHインバータ等を冷却するとともに、グリル庫1内を通るファン111からの冷却風は、排気窓91からグリル庫1後部の排気トンネルなどを通って排気出口104から外部に排出されるようになっている。
【0030】
図2に戻って、ファン111の下方寄りの前側に設けられている前記左右IHインバータ室113、グリル・中央IHインバータ室115および制御基板121からなる駆動制御部199の前側には、ダクト133が配設され、ファン111から送り出される冷却風を駆動制御部199を通過させた後、前記ダクト133によって矢印501で示すように左側のグリル庫1の下方の前部に導くようになっている。
【0031】
なお、図2に示すように、グリル庫1の囲壁19の周囲には、この囲壁19を囲むように遮熱板221が設けられるとともに、この遮熱板221と囲壁19とに間には図示しないが断熱板又は断熱材が設けられている。また、駆動制御部199は、全体的に枠体199aで囲まれているが、この駆動制御部199の枠体199aの左側面と遮熱板221との間には、仕切板223が設けられ、これによりグリル庫1の熱が駆動制御部199などに影響することを防止している。
【0032】
そして、前記遮熱板221と仕切板223の下部には、それぞれ通風孔221aおよび223aが形成され、上述したように、ファン111から送り出され、駆動制御部199の通過後に前記ダクト133によって矢印501で示すように左側のグリル庫1の方に導かれたファン111からの冷却風は、遮熱板221および仕切板223の通風孔221aおよび223aを通過し、グリル庫1の下方の前部に送り込まれるようになっている。
【0033】
図5は、図2に示した加熱調理器100の上方からの内部構造を示すために加熱調理器100のトッププレート103、右・左誘導加熱コイル105C、107Cなどを取り外して、前記誘導加熱コイル21、ファン111、駆動制御部199、ダクト133、遮熱板221、仕切板223などをわかり易く示すための、上方から見た内部構造を示す図である。なお、図5では、誘導加熱コイル21、ファン111、駆動制御部199、ダクト133(太線で示す)、遮熱板221、仕切板223などを明確に示すために、その他の構造は簡単化のため省略されている。
【0034】
図5において、駆動制御部199の前側に設けられている前記ダクト133は、駆動制御部199を通過したファン111からの冷却風を矢印502で示すように仕切板223および遮熱板221のそれぞれの通風孔223aおよび221aに向かう方向に導くように駆動制御部199の枠体199aの右側面の前側端部から前方に少し伸びた後、加熱調理器100の同図で右下の角部を湾曲するように円弧状に左に曲がり、この曲がって左方に延出した先端は仕切板223の通風孔223aに縁部に当接している。
【0035】
なお、前記ファン111の周囲は、別のダクト197で駆動制御部199と反対側の後部が囲まれ、ファン111からの冷却風は、このダクト197により駆動制御部199の方に送り込まれ、駆動制御部199を通過した後、ダクト133で通風孔221a、223aの方に向かうように導かれている。
【0036】
上述したように、ダクト133で通風孔221a、223aの方に向かうように導かれてから、通風孔221a、223aを通過してグリル庫1の下方の前部に導かれたファン111からの冷却風は、通風孔221a、223aを通過した所で矢印503および504で示すように2つの冷却風に分流され、一方の冷却風は、矢印503で示すように、グリル庫1の誘導加熱コイル21を冷却するように誘導加熱コイル21の下側を流れ、他方の冷却風は、矢印504で示すように、グリル庫1の下方の前部からグリル庫1の前扉1aに近い前側を上昇し、加熱空間11内の調理物の煙や水蒸気などを追い出すようにグリル庫1内を通過してから、グリル庫1の後壁に形成されている前記排気窓91からグリル庫1の後部の排気トンネルなどを通って図1に示す排気出口104から外部に排出されるようになっている。
【0037】
図5で矢印503で示すように、グリル庫1の誘導加熱コイル21を冷却する一方の冷却風は、図2においては矢印505で示すように誘導加熱コイル21を冷却しながら誘導加熱コイル21の下側を流れてから、グリル庫1の後部の排気トンネルを通って排気出口104から外部に排出される。
【0038】
なお、図5に示すように、グリル庫1の前側寄りの部分には、グリル庫1の前扉1aに近い部分の左端から右端に向かって延出している別の分流ダクト135(太線で示す)が設けられ、これにより通風孔221a、223aを通過してから分流した矢印504で示す他方の冷却風をグリル庫1の下方の前部からグリル庫1の前扉1aに近い前側を上昇させ、グリル庫1内を通過させるように導いている。
【0039】
図6は、図2に示した加熱調理器100の側部をグリル庫1側から見た内部構造を示す断面図である。同図においては、グリル庫1の前扉1aは、連結部材301により受皿15の前側に連結され、前扉1aの取っ手1bを前側に、すなわち図6で右方向に引き出すと、前扉1aとともに受皿15およびこの受皿15の上に載置された載置網13および発熱体17がグリル庫1の加熱空間11から前側に引き出されるようになっている。
【0040】
上述したように、ダクト133により仕切板223、遮熱板221のそれぞれの通風孔223a、通風孔221aを通過して、グリル庫1の下方の前部に導かれてから、矢印503および504で示すように2つに分流されたファン111からの2つの冷却風のうち、矢印504で示す一方の冷却風は、図6においても符号504で示すように、グリル庫1の下方の前部からグリル庫1の前扉1aに近い前側を上昇し、グリル庫1の加熱空間11内を通過してから、グリル庫1の後壁に形成されている前記排気窓91から矢印507で示すようにグリル庫1の後部の排気トンネルなどを通って、矢印508で示すように加熱調理器100の後部の排気出口104から外部に排出される。
【0041】
以上のように構成される加熱調理器100において、例えばトッププレート103上の加熱領域表示マーク105、107の上に調理物の入った鍋などの調理器具を載置してから、本加熱調理器100の電源を投入して、駆動制御部199の制御により加熱領域表示マーク105、107に対応する右・左誘導加熱コイル105C、107Cに高周波電流を供給し、右・左誘導加熱コイル105C、107Cを駆動して、加熱領域表示マーク105、107上の調理器具を右・左誘導加熱コイル105C、107Cで電磁誘導加熱して調理器具内の調理物を加熱調理することが可能となる。
【0042】
またグリル庫1内の受皿15上の載置網13の上に魚などの調理物300を載せ、駆動制御部199の制御により受皿15の下側の誘導加熱コイル21に高周波電流を供給して駆動すると、受皿15上の発熱体17は、誘導加熱コイル21からの電磁誘導で加熱され、載置網13上の調理物300は、誘導加熱コイル21で加熱された発熱体17により下方から加熱されるとともに、天井31のフラットヒータ33により上方から加熱されて調理される。
【0043】
このような加熱処理中において駆動制御部199の制御により作動するファン111からの冷却風は、図2に示すように、駆動制御部199を冷却しながら通過した後、ダクト133によって矢印501で示すように仕切板223、遮熱板221のそれぞれの通風孔223a、通風孔221aを通過して、グリル庫1の下方の前部に導かれる。
【0044】
それから、この通風孔223a、通風孔221aを通過してグリル庫1の下方の前部に導かれたファン111からの冷却風は、図5および図6で矢印503および504で示すように2つの冷却風に分流され、矢印503で示す一方の冷却風は、誘導加熱コイル21の下側を流れて、グリル庫1の誘導加熱コイル21を冷却する。
【0045】
また、矢印504で示す他方の冷却風は、グリル庫1の下方の前部からグリル庫1の前扉1aに近い前側を上昇し、加熱空間11内の調理物から調理によって発生した煙や水蒸気などを追い出すようにグリル庫1内を通過してから、グリル庫1の後壁に形成されている排気窓91からグリル庫1の後部の排気トンネルなどを通って排気出口104から外部に排出される。
【0046】
このように、本実施形態では、1個のファン111からの冷却風により、駆動制御部199を冷却するのみならず、グリル庫1の誘導加熱コイル21も冷却することができ、新たなファンを追加することなく、経済的かつ省スペースで冷却を行うことができる。
【0047】
図7は、別の実施形態を示す加熱調理器101の内部構成を示す図5に類似した図である。なお、図7に示す加熱調理器101は、図5に示した加熱調理器100においてダクト133を削除し、この代わりに駆動制御部199の枠体199aを前方に延長するように拡大し、この拡大した枠体199aの右下の角部に円弧状に湾曲したコーナー部材401を設けて、この部分の冷却風の流れを円滑にするとともに、遮熱板221、仕切板223のそれぞれの通風孔221a、223aに対応する枠体199aの部分にグリル庫1の下方の前部に連通する同様な通風孔199bを形成し、この通風孔199bからファン111の冷却風をグリル庫1の下方の前部に送り出すようにしているものであり、その他の構造は図5と同じであり、同じ構成要素には同じ符号を付している。
【0048】
図7において、ファン111から送り出される冷却風は、矢印502で示すように、駆動制御部199を冷却しながら通過した後、駆動制御部199内を前方に進んで、駆動制御部199の枠体199aの前部およびコーナー部材401に当たって、駆動制御部199の通風孔199bおよび仕切板223、遮熱板221のそれぞれの通風孔223a、221aを通過し、グリル庫1の下方に前部に導かれる。
【0049】
このようにグリル庫1の下方の前部に導かれたファン111からの冷却風は、上述した流れと同様に、矢印503および504で示すように2つの冷却風に分流され、矢印503で示す一方の冷却風は、誘導加熱コイル21の下側を流れて、グリル庫1の誘導加熱コイル21を冷却し、矢印504で示す他方の冷却風は、グリル庫1の下方の前部からグリル庫1の前扉1aに近い前側を上昇し、加熱空間11内の調理物の煙などを追い出すようにグリル庫1内を通過しながら、グリル庫1の後壁に形成されている排気窓91からグリル庫1の後部の排気トンネルなどを通って排気出口104から外部に排出される。このように、本実施形態においても、1個のファン111からの冷却風により、駆動制御部199を冷却するのみならず、グリル庫1の誘導加熱コイル21も冷却することができ、新たなファンを追加することなく、経済的かつ省スペースで冷却を行うことができる。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1 グリル庫
1a 前扉
1b 取っ手
11 加熱空間
13 載置網
15 受皿
15a 受皿の縁
15b 受皿の段部
17 発熱体
19 囲壁
19a 底部
21 誘導加熱コイル
23 コイル保持体
25 アルミ防磁板
31 天井
33 フラットヒータ
41 庫内灯
91 排気窓
100 加熱調理器
103 トッププレート
104 排気出口
105 右誘導加熱コイル
107 左誘導加熱コイル
111 ファン
113 左右IHインバータ室
115 グリル・中央IHインバータ室115
121 制御基板
133 ダクト
135 分流ダクト
197 ダクト
199 駆動制御部
199a 枠体
199b 通風孔
200 キッチンカウンタ
221 遮熱板
221a 通風孔
223 仕切板
223a 通風孔
300 調理物
301 連結部材
401 コーナー部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トッププレート上に載置された調理器具を加熱する調理器具用誘導加熱コイルと、この調理器具用誘導加熱コイルを駆動制御する駆動制御部と、この駆動制御部を冷却する冷却風を送風する送風機と、前記トッププレートの下側に設けられた加熱空間に近接して配設したグリル庫用誘導加熱コイルで発熱体を電磁誘導加熱して加熱空間内の調理物を加熱するグリル庫とを有する加熱調理器であって、
前記駆動制御部の下流側にダクトを設け、このダクトによって前記送風機からの冷却風を、前記グリル庫用誘導加熱コイルに導くことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記駆動制御部と前記グリル庫との間に当該グリル庫からの熱を遮断するための仕切板が設けられるとき、この仕切板に前記ダクトによって導かれた冷却風をグリル庫に通風する通風孔を形成したことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記ダクトによって冷却風が導入されるとき、この冷却風をグリル庫用誘導加熱コイルを冷却する冷却風とグリル庫の加熱空間内に導入されるグリル庫内導入風とに分流する分流ダクトを有することを特徴とする請求項1または2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記ダクトは、前記駆動制御部の筐体の下流側の一部をダクトとして形成して、当該駆動制御部を通過した冷却風を前記グリル庫用誘導加熱コイルに導くことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−62035(P2013−62035A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197916(P2011−197916)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】