説明

包接化合物の製造方法

【課題】 多様な包接化合物の作製を可能とし、また、得られる包接化合物において優れた徐放性や安定性を実現する。
【解決手段】 ホスト分子とゲスト分子との共存下、100MPa以上で加圧処理する。具体的には、ホスト分子にゲスト分子を包接させて得られた包接化合物に対し、100MPa以上で加圧処理する。又は、ホスト分子にゲスト分子を包接させる際、100MPa以上で加圧処理する。前記加圧処理は、ホスト分子及び前記ゲスト分子を含む溶液の噴流を互いに又は硬質部材に衝突させたり、静水圧プレスによって行う。ホスト分子としては例えばシクロデキストリンやその誘導体(置換基を導入したシクロデキストリン)を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包接化合物の新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種の化合物はイオンや有機物等を捕捉して包接化合物を生成するいわゆる包接能を有しており、このような化合物として、大環状化合物の一種であるシクロデキストリンが知られている。シクロデキストリンは、6個,7個,又は8個のグルコース単位が環状に結合してなり、分子の内側に形成された疎水性空隙にゲスト分子として有機物等を会合(包接)し、また、包接したゲスト分子を徐放することができる。包接能を有する化合物としてはシクロデキストリンの他にカリックスアレーンやクラウンエーテル等も知られているが、これらは非常に高価であるためその用途は特殊なものに限られている。これらに比べるとシクロデキストリンは桁違いに安価である等といった利点があり、例えば香気成分や風味成分の安定化、臭気のマスキング、薬用成分等を徐放可能な創傷被覆保護材、褥瘡の悪化を防止する医療用寝具等、様々な分野において応用され、製品化されている。
【0003】
ホスト分子であるシクロデキストリンにゲスト分子を包接させ、包接化合物を製造する方法としては、従来から溶液法、湿式混練法、乾式混練法(混合粉砕法)等が知られている。このうち溶液法は特許文献1に記載されており、具体的には、ヨウ素を溶解させた水溶液にβ−シクロデキストリンを添加し、析出したヨウ素−シクロデキストリン包接化合物を得ている。湿式混練法については特許文献2に記載されており、シクロデキストリン誘導体とゲスト分子であるジヨードメチル−p−トリルスルホン酸を適当な溶剤中で撹拌、振とう又は混練し、次いで乾燥して包接化合物を得ている。混合粉砕法については非特許文献1に記載されており、β−シクロデキストリンとプランルカストを粉体状態で混合し、粉砕することで包接化合物を得ている。また、シクロデキストリンと機能性成分を含む水溶液を入れた反応溶液を加圧する技術が提案されており、大気圧〜1000psi(約7MPa)で加圧することが提案されている(例えば特許文献3参照)。
【特許文献1】特開昭58−152808号公報
【特許文献2】特開平11−279139号公報
【特許文献3】特開2001−89503号公報
【非特許文献1】Pharmaceutical Research,19(12),1867-1872,(2002)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、各従来技術により製造された包接化合物においては、ゲスト分子は比較的早期に放出されてしまうという問題がある。すなわち、安定性や徐放性が悪いという不都合がある。このため、包接化合物を用いた製品の完成後、流通経路や店舗で販売されるまでの間にゲスト分子の徐放が進行し、製品の機能が失われることが危惧される。また、安定性の悪さは、使用範囲の制約に繋がることになる。
【0005】
なお、特許文献3に記載される発明は、大気圧〜約7MPaと比較的低圧で加圧することで通常の条件下で包接化合物を形成可能な組合せにおいて包接化合物の形成効率(包接複合体形成効率)を高めるものであり、徐放性の制御を試みる技術ではない。
【0006】
そこで本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、包接化合物において優れた徐放性及び安定性を実現することが可能な包接化合物の製造方法を提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するために、本発明に係る包接化合物の製造方法は、ホスト分子とゲスト分子との共存下、100MPa以上で加圧処理することを特徴とする。
【0008】
以上のような包接化合物の製造方法においては、ホスト分子とゲスト分子との共存下100MPa以上で加圧処理することで、ホスト分子にゲスト分子が包接された状態を長期にわたって維持可能な、優れた徐放性を示す包接化合物が得られる。また、得られる包接化合物は、有機溶媒中等における安定性も高い。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る包接化合物の製造方法によれば、ゲスト分子を長期にわたって保持することができ、優れた徐放性や安定性を示す包接化合物を得ることができる。したがって本発明によれば、包接化合物のさらなる用途拡大や新製品開発に大きく貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る包接化合物の製造方法について、詳細に説明する。
原料となるホスト分子としては、カゴ状や筒状の分子の内部に他の分子(ゲスト分子)を包接することができる、いわゆる包接能を有する化合物をいずれも使用でき、包接させるゲスト分子に応じて適宜選択すればよい。例えばシクロデキストリン、カリックスアレーン、クラウンエーテル等の包接能を有する大環状化合物が挙げられる。ゲスト分子が疎水性の有機物である場合には疎水性空隙を有するシクロデキストリンをホスト分子として選択することが好ましく、ゲスト分子が陽イオンである場合にはクラウンエーテルをホスト分子として選択することが好ましい。
【0011】
包接能を有する化合物の中でもシクロデキストリンは、安価で入手が容易であるという利点を有する。シクロデキストリンには、グルコース単位の構成数に応じてα−シクロデキストリン(6個)、β−シクロデキストリン(7個)、γ−シクロデキストリン(8個)等が知られており、それぞれ疎水性空隙のサイズが異なる。このため、シクロデキストリンを用いる場合には、ゲスト分子に適合したサイズの疎水性空隙を有するシクロデキストリンを選択することが好ましい。
【0012】
また、ホスト分子としてシクロデキストリンの誘導体を用いることも可能である。シクロデキストリンの誘導体としては、シクロデキストリン上の水酸基の水素を置換した誘導体を挙げることができる。具体的には、水酸基の水素をアセチル基、アクリル基等で置換したシクロデキストリンのエステル化誘導体、メチル基、エチル基、プロピル基等で置換したシクロデキストリンのアルキル化誘導体、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基等で置換したシクロデキストリンのヒドロキシアルキル化誘導体、ベンゼン基、モノクロロトリアジル基等で置換したシクロデキストリンのアリール化誘導体、イソシアネート基等を有する物質との反応で得られるシクロデキストリンのウレタン化誘導体等がある。置換基を導入したシクロデキストリン誘導体を用いることで、使用可能なホスト分子の選択範囲が広がり、包接化合物の設計の自由度が増すという効果をもたらすことができる。さらに、α、β、γ−シクロデキストリンではなく、シクロデキストリン誘導体を用いることの具体的なメリットとしては、水または有機溶剤への溶解性の向上、水酸基以外の官能基を導入する事による反応性の向上、耐熱性や耐光性の付与等の物理的性質の向上等を挙げることができる。
【0013】
原料となるゲスト分子としては、例えば薬用成分、殺菌成分、抗菌成分、消臭成分、香気成分等の公知の化合物を包接化合物の用途や目的等に応じて任意に選択することができる。
【0014】
本発明に係る包接化合物の製造方法は、ホスト分子とゲスト分子との共存下、100MPa以上で加圧処理する工程を有する。これにより、徐放性に優れた包接化合物が得られる。加圧処理が前記圧力を下回ると徐放性制御が不充分となる。
【0015】
包接化合物においては、ホスト分子からのゲスト分子の解離とホスト分子へのゲスト分子の包接反応とは平衡している。すなわち、一定量の包接化合物中には、ホスト分子とゲスト分子とが解離した状態が必ず存在している。このため、本発明において「ホスト分子とゲスト分子との共存」とは、包接化を行う前のホスト分子とゲスト分子とが混合した状態だけでなく、ホスト分子にゲスト分子を包接させた後の包接化合物の状態も指すものとする。
【0016】
したがって、ホスト分子とゲスト分子との共存下、100MPa以上で加圧処理するとは、(1)ホスト分子にゲスト分子を包接させて得られた包接化合物に対し、100MPa以上で加圧処理する場合、及び、(2)ホスト分子にゲスト分子を包接させる際、100MPa以上で加圧処理する場合、の2通りがある。
【0017】
以下では先ず、(1)ホスト分子にゲスト分子を包接させて得られた包接化合物に対し、100MPa以上で加圧処理する場合から詳細に説明する。
【0018】
加圧処理の具体的な方法は、100MPa以上の高圧を印加できるものであれば特に限定されないが、ホスト分子及びゲスト分子を含む溶液の噴流を互いに又は硬質部材に衝突させることにより実現することができる。
【0019】
ホスト分子及びゲスト分子を含む溶液の噴流を互いに衝突させる方法としては、具体的には、図1に示すように、対向配置された少なくとも一対のノズル1をチャンバ2内に備える装置を用い、包接化合物を含む原料溶液を高圧とし、これらノズル1から噴出させるとともに、噴流を互いに対面衝突させ、衝突時に瞬間的に生じる圧力を利用する方法が挙げられる。同図に示す装置は、対面衝突後の溶液を回収し、ノズル1より再度噴出可能な循環式とされている。
【0020】
このような加圧処理を行うための装置としては、例えばスギノマシン社製アルティマイザーシステム等を用いて実現することができるが、前記高圧を発生できるのであれば、これに限らず公知の装置を用いることができる。
【0021】
また、ホスト分子及びゲスト分子を含む溶液の噴流を硬質部材に衝突させることにより加圧する方法は、例えば、高圧に加圧された溶液を噴出させるノズルと、ノズルと偏芯して配置された回転する硬質部材であるセラミックボールとをチャンバ内に備える装置を用い、ノズルから高圧噴出された溶液をセラミックボールに衝突させ、衝突時に瞬間的に発生する高圧を利用することにより実現することができる。
【0022】
前述の加圧処理の際、包接化合物は適当な溶媒に溶解又は分散し、溶液の状態で加圧される。溶媒としては包接化合物を構成するホスト分子及びゲスト分子の種類に応じて適宜最適なものを選択すればよく、例えばホスト分子としてシクロデキストリンを用いる場合は水を用いることが好ましい。
【0023】
加圧処理の方法としては、前述した噴流の衝突を利用する方法の他、包接化合物を静水圧プレスする方法等も挙げられる。
【0024】
静水圧プレスに用いる装置は、静水圧を印加できるものであれば特に限定されないが、例えばスギノマシン社製の超高圧処理装置等を用いることができる。
【0025】
静水圧プレスは粉体の形態の包接化合物に対して行ってもよいが、包接化合物を含む溶液に対して行うことが好ましい。溶液の形態で加圧処理することで、発明の効果をより確実に得ることができる。
【0026】
以上のように、包接化合物に対して100MPa以上で加圧処理することで、長期にわたってホスト分子の空隙にゲスト分子を保持することが可能となる。すなわち、包接化合物の安定性や徐放性を向上させることができる。特に、ホスト分子とゲスト分子とでサイズが適合していない場合にはこれらの解離が直ちに生じ、流通過程等で包接化合物の機能が消失するおそれがあったが、本発明によれば、このような不都合を解消することができる。徐放性が向上する理由は必ずしも明確ではないが、100MPa以上の高圧で包接化合物を処理することによって、包接化合物の構造が変化して包接様式が変化し、ホスト分子の空隙にゲスト分子が深く包接されたためと推測される。
【0027】
以下、(2)ホスト分子にゲスト分子を包接させる際、100MPa以上で加圧処理する場合について詳細に説明する。
【0028】
ホスト分子とゲスト分子とを包接する際に加圧処理するための具体的な方法は、100MPa以上の高圧を印加できるものであれば特に限定されないが、具体的には、前述の(1)において説明した方法を採用することができる。すなわち、例えば図1に示すように、対向配置された少なくとも一対のノズル1をチャンバ2内に備える装置を用い、ホスト分子及びゲスト分子を含む原料溶液を高圧とし、これらノズル1から噴出させるとともに、噴流を互いに対面衝突させ、衝突時に瞬間的に生じる圧力を利用する方法が挙げられる。
【0029】
ホスト分子にゲスト分子を包接させる際、溶液の噴流を衝突させることによる加圧処理を利用する場合には、ノズルからの溶液の噴出圧力を150MPa以上とすることが好ましい。これにより、本発明の効果を確実に得ることができる。このような加圧処理を行うための装置としては、例えばスギノマシン社製アルティマイザーシステム等を用いて実現することができるが、噴流の衝突によって100MPa以上、好ましくは150MPa以上の高い圧力を発生できるのであれば、これに限らず公知の装置を用いることができる。また、例えば、高圧に加圧された溶液を噴出させるノズルと、ノズルと偏芯して配置された回転する硬質部材であるセラミックボールとをチャンバ内に備える装置を用い、ノズルから高圧噴出された溶液をセラミックボールに衝突させ、衝突時に瞬間的に発生する高圧を利用してもよい。
【0030】
前述の加圧処理の際、ホスト分子及びゲスト分子は適当な溶媒に溶解又は分散し、溶液の状態で加圧される。溶媒としてはホスト分子及びゲスト分子の種類に応じて適宜最適なものを選択すればよく、例えばホスト分子としてシクロデキストリンを用いる場合は水を用いることが好ましい。
【0031】
加圧処理の方法としては、前述した噴流の衝突を利用する方法の他、静水圧プレスする方法等も挙げられる。
【0032】
ホスト分子にゲスト分子を包接させる際、静水圧プレスによる加圧処理を利用する場合には、加圧圧力は700MPa以上とすることが好ましい。静水圧プレスの場合は700MPa以上とすることで、本発明の効果を確実に得ることができる。静水圧プレスに用いる装置は、静水圧を印加できるものであれば特に限定されないが、例えばスギノマシン社製の超高圧処理装置等を用いることができる。
【0033】
静水圧プレスは例えばホスト分子とゲスト分子とを混合した粉体に対して行ってもよいが、ホスト分子及びゲスト分子を含む溶液に対して行うことが好ましい。溶液の形態で加圧処理することで、徐放性制御や包接反応促進効果等をより効果的に得ることができる。
【0034】
静水圧プレスによる加圧処理は、原料であるホスト分子又はゲスト分子の少なくとも一方が水に対して難溶性の物質である場合、効果が大きい。水溶液中で包接化反応を進める場合、水に対して難溶性の物質は水への溶解速度が極端に遅いため、包接に長時間を必要とするという問題がある。これに対し、以上のようにホスト分子及びゲスト分子を含む水溶液を静水圧プレスすることによって、一方が水に対して難溶性の物質であっても短時間で包接化合物を形成することが可能となる。
【0035】
以上のように、ホスト分子にゲスト分子を包接させる際、100MPa以上の高圧で加圧処理することで、長期にわたってホスト分子の空隙にゲスト分子を保持することが可能となる。すなわち、包接化合物の安定性や徐放性を向上させることができる。特に、ホスト分子とゲスト分子とでサイズが適合していない場合にはこれらの解離が直ちに生じ、流通過程等で包接化合物の機能が消失するおそれがあったが、本発明によれば、このような不都合を解消することができる。安定性や徐放性が向上する理由は必ずしも明確ではないが、以下のように推測される。互いにサイズの適合したホスト分子とゲスト分子とが近接すると、ホスト分子の空隙にゲスト分子が入り込む包接反応と包接化合物からゲスト分子が放出される解離反応との平衡反応が生じる。このため、ホスト分子とゲスト分子との混合物を100MPa以上の高圧で処理すると、混合物中に存在する包接化合物の構造が変化して包接様式が変化し、ホスト分子の空隙にゲスト分子が深く包接されるからと推測される。また、前記のような高圧で加圧処理することで、ホスト分子とゲスト分子とが接触する確率を高め、包接反応を促進することができる。
【実施例】
【0036】
以下、本発明の実施例について説明する。
<実験1>
本実験では、γ−シクロデキストリン(γ−cyclodextrin(γ−CD)、n=8)(ホスト分子)にビタミンE(ゲスト分子)を包接させた包接化合物に対して静水圧プレスを行った。本実験では、粉体の包接化合物を用いた。なお、以下では、γ−CDとビタミンEとからなる包接化合物を、ビタミンE/γ−CD包接化合物と記載する。CDの構造を下記式(1)に示す。静水圧プレス装置としては、スギノマシン社製、商品名servo pressure800を用いた。NMR装置は、日本電子社製、JNM−LA500を用いた。
【0037】
【化1】

【0038】
先ず、市販のビタミンE/γ−CD包接化合物(粉体)を用意し、40℃で10分間、静水圧プレス装置を用いて静水圧プレスした。圧力は15MPa、30MPa、50MPa、70MPa、100MPa、300MPa、500MPa又は700MPaとした。また、圧力処理をしていない状態のビタミンE/γ−CD包接化合物を未処理試料とした。
【0039】
加圧後、これら試料のH−NMR測定を行った。溶媒ピークを内部基準とした。溶媒にはDMSO−d6(δ=2.5ppm)を使用した。各試料のNMRスペクトルを測定し、ビタミンEに帰属されるピークの化学シフトの変化を整理した。ビタミンEのみ含む試料、及び未処理試料についても、同様にH−NMR測定を行い、化学シフトの変化を整理した。結果を図2に示す。
【0040】
図2より、ビタミンEのみと未処理試料とで化学シフトの値を比較するとこれらはほとんど同じであった。これに対し、未処理試料と加圧試料とを比較すると、化学シフトの値に変化が認められる。特に、100MPa以上と100MPa未満とを比較すると、2.2ppmより低磁場側のピーク群は高磁場シフトし、2.5ppmより高磁場側のピーク群は低磁場シフトしていた。これら化学シフトの変化は、100MPa以上の高圧処理によって包接化合物の構造が変化したことを示している。
【0041】
<実験2>
本実験では、ビタミンE/γ−CD包接化合物を含む水溶液をノズルから高圧噴射し、噴流を対面衝突させることにより、加圧処理を行った。加圧処理装置としては、スギノマシン社製、アルティマイザーシステム(5.5kW)を用いた。加圧処理装置は、ノズル径がφ0.1mmであり、循環冷却機構付き対向衝突チャンバーを備えている。NMR装置は、日本電子社製、JNM−LA500を用いた。
【0042】
先ず、ビタミンE/γ−CD包接化合物を添加して分散状態にした溶液を、アルティマイザーシステムを用いたウォータージェット方式により加圧処理した。循環回数は3パスとした。具体的には、原料水溶液を噴出圧力200MPaにてノズルから噴出させ、ウォータージェットとしたものを対面衝突させた。衝突後の水溶液は回収し、システム内を循環させて再度ノズルより噴出させた。
【0043】
処理後に得られた溶液を凍結乾燥し、粉体を回収した。得られた粉体について、下記の手順に従って徐放性試験(加速試験)及び抽出処理を行った。先ず、ガラス製サンプル管瓶に試料とアセトニトリルを共に入れた。次に、30℃に設定した振とう機に設置し、振とうした。所定の時間毎にサンプル管瓶を取り出し、アセトニトリルを濾過し、液体クロマトグラフィーによりビタミンEを定量した。未処理のビタミンE/γ−CD包接化合物についても、同様に試験を行い、ビタミンEを定量した。振とう処理時間とビタミンE/γ−CD包接化合物の残存率との関係を、図3に示す。
【0044】
図3より、200MPa以上の高圧で加圧処理後のビタミンE/γ−CD包接化合物においては、未処理のビタミンE/γ−CD包接化合物に比較してビタミンEの放出が遅れていた。このことから、加圧処理によって徐放性を制御可能であることがわかった。また、前記結果は、ビタミンE/γ−CD包接化合物がアセトニトリル中で解離し難くなり、安定性が高められたことも示している。有機溶媒中における包接化合物の安定性が高められることにより、包接化合物の化学修飾等が容易になり、使用範囲を拡大することが可能となる。
【0045】
<実験3>
本実験では、γ−CDにゲスト分子としてメントールを包接させた包接化合物に対して静水圧プレスを行った。本実験では、粉体の包接化合物を用いた。なお、以下では、γ−CDとメントールとからなる包接化合物を、メントール/γ−CD包接化合物と記載する。静水圧プレス装置及びNMR装置は、実験1と同じものを用いた。
【0046】
先ず、市販のメントール/γ−CD包接化合物(粉体)を用意し、30℃、40℃又は50℃で10分間、静水圧プレス装置を用いて静水圧プレスした。圧力は100MPa、300MPa、500MPa又は700MPaとした。また、圧力処理をしていない状態のメントール/γ−CD包接化合物を未処理試料とした。
【0047】
加圧後、これら試料のH−NMR測定を行った。溶媒ピークを内部基準とした。溶媒にはDMSO−d6(δ=2.5ppm)を使用した。各試料のNMRスペクトルを測定し、メントールに帰属されるピークの化学シフトの変化を整理した。メントールのみ含む試料、及び未処理試料についても、同様にH−NMR測定を行い、化学シフトの変化を整理した。結果を図4に示す。
【0048】
図4より、未処理試料と加圧試料とを比較すると、化学シフトの値にわずかではあるが変化が認められた。この化学シフトの変化は、実験1のビタミンEの場合と同様、100MPa以上の高圧処理によって包接化合物の構造が変化したことを示している。
【0049】
<実験4>
本実験では、メントール/γ−CD包接化合物を含む水溶液をノズルから高圧噴射し、噴流を対面衝突させることにより、加圧処理を行った。加圧処理装置及びNMR装置は、実験2と同じものを用いた。
【0050】
先ず、メントール/γ−CD包接化合物を添加して分散状態にした溶液を、アルティマイザーシステムを用いたウォータージェット方式により、加圧処理した。循環回数は3パスとした。具体的には、原料水溶液を噴出圧力150MPaにてノズルから噴出させ、ウォータージェットとしたものを対面衝突させた。衝突後の水溶液は回収し、システム内を循環させて再度ノズルより噴出させた。
【0051】
処理後に得られた溶液を凍結乾燥し、粉体を回収した。次に、得られた粉体について、下記の手順に従って徐放性試験(加速試験)を行った。先ず、ガラス製サンプル管瓶に試料を入れた。次に、50℃/RH94−96%に設定した恒温恒湿槽内に静置した(湿熱処理)。所定の時間毎にサンプル管瓶を取り出し、エタノールを加えて、超音波照射した。次に、ガスクロマトグラフィーにより、メントールを定量した。未処理のメントール/γ−CD包接化合物についても、同様に試験を行い、メントールを定量した。静置時間とメントール/γ−CD包接化合物の残存率との関係を、図5に示す。
【0052】
図5より、150MPa以上の高圧で加圧処理後のメントール/γ−CD包接化合物においては、未処理のメントール/γ−CD包接化合物に比較して、メントールの放出が遅れていた。このことから、加圧処理によって徐放性を制御可能であることがわかった。
【0053】
<実験5>
本実験では、ホスト分子にゲスト分子を包接させる際に加圧処理した。具体的には、ホスト分子とゲスト分子とを含む水溶液を静水圧プレス処理したときの、これらの包接反応に及ぼす効果について検討した。ホスト分子としてγ−CDを、ゲスト分子として下記化2に示す1−アニリノナフタレン−8−スルホン酸(ANS)を用いた。ANSは疎水環境に存在すると蛍光の発光極大波長が短波長側にシフトし、蛍光発光量子収率が増加する発光プローブである。
【0054】
【化2】

【0055】
先ず、ホスト分子として、γ−CDを用いて飽和水溶液(1.77×10−1モル/L)を調製し、これにANSを5.0×10−3モル/L添加し、原料水溶液(pH7.0)を得た。得られた原料水溶液を高圧処理用のナイロン袋に封入し、スギノマシン社製の超高圧処理装置(TYPE HPV80C20−S−1)を用いて静水圧プレスを行った。静水圧プレスは、室温で10分間行った。印加圧力は、100MPa、300MPa、及び700MPaについて検討した。
【0056】
加圧処理後に得られた溶液について、蛍光発光スペクトルを測定した。結果を図6に示す。比較として、前記原料水溶液を大気圧下で同じ時間保持した後の溶液の蛍光スペクトルを示す。
【0057】
図6より、700MPa以上で静水圧プレスしたときの蛍光スペクトルは、大気圧下で保存しただけの原料水溶液と比較して明らかな発光強度の増加が認められた。すなわち、γ−CDとANSとの包接化合物が形成されたことが確認された。特に、短波長側に見られる発光ピークの相対強度が増加していた。このスペクトル変化は、ANSがγ−シクロデキストリンの疎水性空隙内部に深く包接されていることを示していると推測される。
【0058】
<実験6>
本実験では、ホスト分子にゲスト分子を包接させる際に加圧処理した。具体的には、ホスト分子とゲスト分子とを含む水溶液をノズルから高圧噴射し、噴流を対面衝突させることにより瞬間的に生じる高圧を利用したときの、包接反応に及ぼす効果について検討した。ホスト分子としてはγ−CDを、ゲスト分子としてはANSを用いた。
【0059】
先ず、前述の実験5と同様にして、γ−CD及びANSを含む原料水溶液を調製した。次に、図1に示すようなチャンバを備えた装置、すなわちスギノマシン社製のアルティマイザーシステムHJP−25003を用いて加圧処理を行った。具体的には、原料水溶液を噴出圧力150MPaにてノズルから噴出させ、ウォータージェットとしたものを対面衝突させた。衝突後の水溶液は回収し、システム内を循環させて再度ノズルより噴出させた。処理時間は10分とした。この間に、水溶液は3〜5回衝突経路を通過したと推測される。
【0060】
加圧処理後に得られた水溶液について、蛍光発光スペクトルを測定した。加圧処理の際、経路内の洗浄に使用した緩衝液が残存するためにANS濃度が低下する。そのため、蛍光強度は350nmの吸光度で規格化した。結果を図7に示す。比較として、前記原料水溶液を大気圧下で同じ時間保持した後の溶液の蛍光スペクトルを示す。
【0061】
図7より、噴出圧力を150MPa以上としたときの蛍光スペクトルは、大気圧下で保存しただけの原料水溶液と比較して明らかな発光強度の増加が認められた。すなわち、γ−CDとANSとの包接化合物が形成されたことが確認された。特に、短波長側に見られる発光ピークの相対強度が増加していた。静水圧プレスの場合と同様に、このスペクトル変化は、ANSがγ−シクロデキストリンの疎水性空隙内部に深く包接されていることを示していると推測される。
【0062】
なお、γ−CDに代えて、α−CD、β−CDについても同様の検討を行った。その結果、γ−CDと同様に、150MPa以上としたときにスペクトル変化が見られ、包接化合物が形成されたことが確認された。ただし、α−CD及びβ−CDをホスト分子に用いた場合、γ−CDより蛍光強度の増加は小さかった。また、γ−CDをホスト分子に使用した場合にはより短波長側に新しいピークが出現したが、α−CD及びβ−CDをホスト分子とした場合には出現しなかった。
【0063】
<実験7>
本実験では、ホスト分子とゲスト分子とを粉体の状態で静水圧プレス処理したときの、これらの包接反応に及ぼす効果について検討した。
先ず、γ−シクロデキストリン粉末及びANS粉末をモル比で1:1の割合で配合し、混合した後、得られた粉末を高圧処理用のナイロン袋に封入し、スギノマシン社製の超高圧処理装置(TYPE HPV80C20−S−1)を用いて静水圧プレスを行った。静水圧プレス時の条件は、前述の実験1における混合水溶液に対する静水圧プレスの条件と同様とした。
【0064】
加圧処理後に得られた粉末について蛍光発光スペクトルを測定した。結果を図8に示す。比較として、前記粉末を大気圧下で同じ時間保持した後の溶液の蛍光スペクトルを示す。粉体状態で静水圧プレスする場合も包接反応は若干進行したが、前述の実験5のように溶液状態で静水圧プレスする場合に比較して、高圧印加による効果は小さいものであった。
【0065】
<実験8>
次に、ホスト分子にゲスト分子を包接させる際に加圧処理して得られた包接化合物の徐放性について調べた。具体的には、先ず、実験6と同様に、原料水溶液をノズルから高圧噴射し、噴流を対面衝突させることにより瞬間的に生じる高圧を利用して原料水溶液を加圧処理した。噴出圧力は150MPaとした。加圧処理後、得られた水溶液を大気圧下で保存し、蛍光極大波長の経時変化を調べた。結果を図9に示す。比較として、原料水溶液の未処理試料を大気圧で保存したときの蛍光極大波長の経時変化も併せて示す。
【0066】
図9より、ANSプローブからの発光が時間経過とともに未処理試料と同等程度にまで長波長側にシフトした。これは、シクロデキストリンに過剰包接されたANSが徐放されたことを示している。また、前記加圧処理の際メカノケミカル反応によって新たな発光種が生成したわけではないことを示しており、前記加圧処理は包接化合物の形成に悪影響を及ぼさないことが確認された。さらに、前記加圧処理を行うことで、600時間以上の長時間にわたってANSをシクロデキストリンに包接させることができ、優れた徐放性が実現されることが確認された。
【0067】
<実験9>
本実験では、ホスト分子としてメチル化したβ−シクロデキストリン(メチル化β−シクロデキストリン)を用いるとともに、ゲスト分子としてメントールを用い、超高圧印加した包接化合物におけるゲスト分子の放出挙動について検討した。すなわち、メチル化β−シクロデキストリンとメントールを用いて包接化合物を調製し、動圧処理を行った後、QCM測定によってゲスト分子の放出プロファイルを測定し、超高圧印加によるゲスト分子の徐放遅延効果を確認した。
【0068】
実験に際して用いた試薬は、置換度が1.6〜1.9/グルコースで平均分子量が1310(g/mol)のメチル化β−シクロデキストリン(シクロケム社製)、分子量156.27のメントール(和光純薬社製、一級)、分子量86.18のn−ヘキサン(和光純薬社製、特級)(洗浄用)である。β−シクロデキストリンの水100mLへの溶解度は、1.85g(25℃)であるが、ここで用いたメチル化β−シクロデキストリンの水100mLへの溶解度は150g以上(25℃)であり、大幅に水溶性が向上している。また、実験装置としては、撹拌用のホモジナイザー(IKA社製、T10ベーシック)、動圧処理用のアルティマイザー(スギノマシン社製、5.5kWラボ機)、核磁気共鳴分析装置(日本電子社製、JNM−AL300)、及びQCM(水晶発振子マイクロバランス)測定用のQCM測定装置(Stanford Research Systems社製、QCM200)を用いた。
【0069】
先ず、メチル化β−シクロデキストリンとメントールの包接化合物(以下、Mβ−CD/メントール包接化合物と称する。)を調製した。調製に際しては、メチル化β−シクロデキストリン(Mβ−CD)5.0g、メントール2.7g(モル比Mβ−CD:メントール=1:4)を秤取し、水14mLとともに容量50mLのサンプル管瓶に入れ、これを3個用意した。ホモジナイザー(30000rpm)でそれぞれ20分間撹拌し、室温で15時間静置した。その後、室温で20時間減圧乾燥を行った。ヘキサン50mLで試料を洗浄し、3時間減圧乾燥した後、溶媒にDMSO−dを用い、H−NMR測定を行った。
【0070】
得られたMβ−CD/メントール包接化合物に対する動圧処理は、アルティマイザーシステムを用いたウォータージェット方式により、以下のようにして行った。Mβ−CD/メントール包接化合物の5×10−3mol/L水溶液を調製し、小空間衝突チャンバーを用い、100MPa、150MPa及び200MPaの圧力(循環回数は全て3回)で動圧処理を行った。圧力未印加試料を未処理試料とした。動圧処理を行った試料及び未処理試料をメタノール溶媒(−60℃)で凍結した後、真空ポンプを用いて凍結乾燥し、粉体を得た。得られた粉体(試料及び未処理試料)について、溶媒にDMSO−dを用い、H−NMR測定を行った。
【0071】
また、前記試料及び未処理試料に対する徐放試験は、次のように行った。動圧処理したMβ−CD/メントール包接化合物試料及び未処理試料をそれぞれ乳鉢で良く粉砕し、粉砕した試料30mgをアセトン1.0g中に溶解させた。そして、各溶液について、温度23℃、相対湿度75%の条件でQCM測定を行った。測定に際しては、先ず、試料を滴下していない水晶振動子で2分間測定を行い、これをブランクとした。次いで、ピペットマンを用いて試料分散液を20μL採取し、QCMの水晶振動子上に滴下した。その後、アセトンを完全に蒸発させるため、真空ポンプで30分間乾燥した。ブランク測定と同様の条件で、周波数変化をQCM測定装置で測定し、重量減少量を追跡した。
【0072】
図10に調製したMβ−CD/メントール包接化合物のH−NMRスペクトルを示す。また、表1にH−NMRスペクトル中の代表的なピークに対する積分値を示す。
【0073】
【表1】

【0074】
表1より、各試料におけるメントールの重量分率は、未処理試料で約10%、100MPa動圧印加試料が約9%、150MPa動圧印加試料が約8%、200MPa動圧印加試料が約7%であった。
【0075】
また、図11に動圧処理したMβ−CD/メントール包接化合物及び未処理試料の質量変化を示す。表2は、各徐放曲線について、aexp(−bx)+cという式でフィッティングした時の解析結果を示すものである。ここで、a+cが初期重量、cは残存重量(Mβ−CD量に相当)、bが徐放速度を表す定数である。さらに、図12に、重量変化を初期重量(a+c)で規格化した徐放曲線を示す。
【0076】
【表2】

【0077】
表2より、徐放速度は、未処理>100MPa動圧処理>200MPa動圧処理>150MPa動圧処理の順となり、特に150MPaで動圧処理した試料の徐放速度は未処理試料と比較して約10−1にまで減少した。なお、図12において、150MPaで動圧処理した試料の重量変化が他の試料と比較して小さくなっているが、これは凍結乾燥までの過程においてメントールが放出されてしまったことが影響しているものと考える。また、全ての試料において、NMR測定から算出されたメントールの重量分率と比べて重量変化が約2倍と大きくなっているが、この原因としては、Mβ−CDの置換度を1.9(1310g/mol)として計算したことが影響しているものと思われる。実際のMβ−CDの分子量は不明であり、このため実際の重量変化は前記仮定でNMRスペクトルより算出した重量変化よりも大きくなるものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の加圧処理で用いる装置の一例を示す模式図である。
【図2】実験1の結果を示す図であり、各サンプルについて、ビタミンE/γ−CD包接化合物のH−NMRスペクトルピーク位置を比較した図である。
【図3】実験2の徐放性試験結果を示す図であり、振とう処理時間とビタミンE/γ−CD包接化合物の残存率との関係を示す特性図である。
【図4】実験3の結果を示す図であり、各サンプルについて、メントール/γ−CD包接化合物のH−NMRスペクトルピーク位置を比較した図である。
【図5】実験4の徐放性試験結果を示す図であり、静置時間とメントール/γ−CD包接化合物の残存率との関係を示す特性図である。
【図6】γ−シクロデキストリン及びANSを含む原料水溶液を静水圧プレスした後の蛍光スペクトルである。
【図7】γ−シクロデキストリン及びANSを含む原料水溶液の噴流を対面衝突させることにより加圧処理した後の蛍光スペクトルである。
【図8】γ−シクロデキストリン及びANSを粉体混合し、静水圧プレスした後の蛍光スペクトルである。
【図9】γ−シクロデキストリン及びANSを含む原料水溶液の噴流を対面衝突させることにより加圧処理し、得られた水溶液を大気圧で保存したときの蛍光極大波長の経時変化を示す図である。
【図10】Mβ−CD/メントール包接化合物のH−NMRスペクトルである。
【図11】動圧処理したMβ−CD/メントール包接化合物及び未処理試料の質量変化を示す特性図である。
【図12】重量変化を初期重量(a+c)で規格化した徐放曲線を示す特性図である。
【符号の説明】
【0079】
1 ノズル、2 チャンバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト分子とゲスト分子との共存下、100MPa以上で加圧処理する工程を有することを特徴とする包接化合物の製造方法。
【請求項2】
ホスト分子にゲスト分子を包接させて得られた包接化合物に対し、100MPa以上で加圧処理することを特徴とする請求項1記載の包接化合物の製造方法。
【請求項3】
ホスト分子及びゲスト分子を含む溶液の噴流を互いに又は硬質部材に衝突させることにより前記加圧処理を行うことを特徴とする請求項2記載の包接化合物の製造方法。
【請求項4】
静水圧プレスにより前記加圧処理を行うことを特徴とする請求項2記載の包接化合物の製造方法。
【請求項5】
ホスト分子にゲスト分子を包接させる際、100MPa以上で加圧処理することを特徴とする請求項1記載の包接化合物の製造方法。
【請求項6】
ホスト分子及びゲスト分子を含む溶液の噴流を互いに又は硬質部材に衝突させることにより前記加圧処理を行うことを特徴とする請求項5記載の包接化合物の製造方法。
【請求項7】
前記溶液の噴出圧力を150MPa以上とすることを特徴とする請求項6記載の包接化合物の製造方法。
【請求項8】
静水圧プレスにより前記加圧処理を行うことを特徴とする請求項5記載の包接化合物の製造方法。
【請求項9】
前記加圧処理を700MPa以上で行うことを特徴とする請求項8記載の包接化合物の製造方法。
【請求項10】
前記ホスト分子としてシクロデキストリン又はその誘導体を用いることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の包接化合物の製造方法。
【請求項11】
前記シクロデキストリンの誘導体が、シクロデキストリン上の水酸基の水素を置換基で置換した誘導体であることを特徴とする請求項10記載の包接化合物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−169379(P2008−169379A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318856(P2007−318856)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年11月17日 社団法人高分子学会北陸支部主催の「第56回北陸支部研究発表会」において文書をもって発表。 [刊行物等]平成19年 9月 4日 社団法人高分子学会主催の「第56回高分子討論会」において文書をもって発表。
【出願人】(503360115)独立行政法人科学技術振興機構 (1,734)
【出願人】(591040236)石川県 (70)
【出願人】(504145320)国立大学法人福井大学 (287)
【Fターム(参考)】