説明

包装された粒状漂白組成物

本発明は、包装された粒状漂白組成物に関し、組成物が、
a.1重量%〜30重量%の漂白活性化剤と、
b.10重量%〜80重量%の酸素漂白剤と、を含み、
組成物が、ASTM規格E−96−53Tによって測定された場合、0.1g/m/日未満の水蒸気透過率を有する包装システムの中に包装されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装された粒状漂白組成物に関し、更に、漂白活性化剤を含む粒状漂白組成物に由来する悪臭を放つ分解生成物の生成を低減するための包装システムの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の表面、例えば布地、を漂白するための漂白剤含有組成物は、当該技術分野において周知である。一般的に見られる粒状漂白組成物は、主に、次亜塩素酸塩漂白剤、又は過酸素漂白剤などの酸素漂白剤をベースにしている。
【0003】
酸素漂白剤をベースにした粒状漂白組成物は、種々の水和物形態の過ホウ酸ナトリウムなどのいわゆる過酸塩漂白剤、又は過炭酸ナトリウムをベースにしている。このような過酸塩漂白剤は、水性洗浄条件で使用される場合、過酸化水素の供給源である。しかしながら、このような酸素漂白剤組成物は、次亜塩素酸塩漂白組成物よりも効率が悪いと考えられることがある。典型的には、過酸化水素のそのような不十分な漂白性能を克服するために、過酸塩漂白剤は、漂白活性化剤を有して粒状組成物に処方される。
【0004】
しかしながら、漂白活性化剤の使用に付随する主な欠点は、主に保存中にそれらが発生させる悪臭である。組成物自体が不快臭を有するだけでなく、悪臭は、この組成物で処理された表面又は布地上で顕著であり続ける場合がある。実際に、漂白活性化剤は、湿気のある及び/又は温かい雰囲気で保存されるとすぐに分解し、その結果不快臭を生じさせる。
【0005】
配合者は、香料を入れた漂白組成物を考案することによって、この問題を解決しようと取り組んできた。しかしながら、これは、多くの理由から、主にそのような酸化環境で安定している香料成分がほとんどないという事実から、困難であった。更に、漂白活性化剤により生じる悪臭は強力であり、遮蔽するのが困難である。
【0006】
したがって、消費者にとって魅力的である、即ちそのような不快臭を有さない、優れた漂白性能を有する改善された漂白組成物の必要性が存在する。
【0007】
水分レベルが漂白組成物に与える影響の問題は、欧州特許出願EP−A−0 503 221の中で取り組まれている。洗剤組成物を製造する際に水分レベルを比較的良好に制御することは可能であるが、しかし、ほとんど不可避的に水分が獲得される保存中に、その発生を制御することは非常に困難であることが見出された。
【0008】
漂白活性化剤の保存安定性は、特定の包装システムを使用することによって、高水分中だけでなく高温環境においても、極めて良好に制御され得ることが今では判明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願EP−A−0 503 221
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の漂白組成物の利点は、それらが悪臭を発生させないことである。実際に、酸化剤は、その組成物の保存の際に分解しない。したがって、本発明の組成物は、任意の洗濯用途、例えば、洗濯洗剤、洗濯添加剤及び/又は洗濯前処理剤として使用される場合に、優れた漂白性能を提供する。
【0011】
本発明の組成物の別の利点は、酵素による染み及び/又は油染みを含む様々な染みに対して有効な染み除去性能もまた示すことである。
【0012】
本発明の組成物の更なる利点は、本明細書における粒状漂白剤添加物が、天然の布地(例えば、綿及び亜麻布から製造された布地)、合成起源のポリマー繊維から製造されたもの(例えば、ポリアミド−エラスタン)並びに天然繊維と合成繊維の両方から製造されたもののような合成の布地を含む、様々な種類の布地の漂白に適していることである。例えば、本発明の粒状漂白剤添加物は、本明細書では、衣類のラベルや次亜塩素酸塩含有組成物のような市販の漂白組成物のラベルにある警告からも明らかなような合成の布地に漂白剤を使用することに対する固定的な先入観にも関わらず、合成の布地に使用してよい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、包装された粒状漂白組成物に関し、組成物が、
a.1重量%〜30重量%の漂白活性化剤と、
b.10重量%〜80重量%の酸素漂白剤と、を含み、
組成物が、0.1g/m/日未満の水蒸気透過率を有する包装システムの中に包装される。
【0014】
本発明は、更に、組成物から悪臭を放つ分解生成物が生成されるのを低減するための包装システムの使用に関し、組成物が、
a.1重量%〜30重量%の漂白活性化剤と、
b.10重量%〜80重量%の酸素漂白剤と、を含み、
組成物が、0.1g/m/日未満の水蒸気透過率を有する包装システムの中に包装される。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の方法は、漂白組成物由来の悪臭の生成を防止する。漂白組成物は、粒状漂白組成物であり、1重量%〜30重量%の漂白活性化剤を含み、組成物は、10重量%〜80重量%の酸素漂白剤、より好ましくは過酸素供給源、更により好ましくは過酸化水素供給源を含む。このような漂白活性化剤の存在は、改善された漂白性能を提供することに鑑みて重要である。本発明の方法によると、0.1g/m/日未満の水蒸気透過率を有し、その中に組成物が包装される包装システムが更に提供される。
【0016】
包装システム
本発明の包装システムは、任意の形態であることができ、ボトル又は箱などの任意の従来型の包装システムを包含する。
【0017】
本明細書の包装システムは、本発明の組成物の受容器である少なくとも1つのユニットで構成され、そのようなユニットは、典型的には、本発明の組成物を収容し、かつそれ自体が消費者の家で使用/保存されるように設計された、ボトル又は箱などの消費者単位である。
【0018】
誘導される水蒸気透過率を得ることを考慮した上で必要であれば、包装システムの内側又は外側のいずれかは、典型的には金属又はプラスチックラミネートである材料の層でコーティングされて、ユニットに本発明の水蒸気透過率特性を提供することができる。
【0019】
本明細書の包装システムは、上述のように印刷されることができ、及び/又ラッカーなどの材料でコーティングされて、バリア性を確実にすることができる。
【0020】
本明細書の包装システムは、本発明の所要の水蒸気透過率特性をもたらす任意の材料、及び材料の厚さで作製されることができる。
【0021】
好ましい実施形態では、包装システムは、一般に使用されるプラスチック材料で製造される容器である。本発明の包装システムを製造するために使用される典型的なプラスチック材料としては、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリ乳酸(PLA)、低密度又は高密度ポリエチレン(LDPE又はHDPE)及びポリスチレン(PS)が挙げられる。好ましくは、包装システムの材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はそれらのコポリマーから選択される熱可塑性ポリオレフィンであり、より好ましくは、包装システムは、低密度又は高密度ポリエチレン(LDPE又はHDPE)、更により好ましくは高密度ポリエチレン(HDPE)で製造される。2mmの厚さを有するHDPEは、典型的には、約0.6〜約0.1g/m/日の水蒸気透過率を有する。
【0022】
本発明による包装システムは、1重量%〜30重量%の漂白活性化剤と、10重量%〜80重量%の酸素漂白剤と、これらの混合物とを含む粒状漂白組成物を、不快臭を生成することなく収容することができるという利点を有する。
【0023】
本発明の包装システムの重要な特徴は、包装システムが、0.1g/m/日未満の水蒸気透過率を有するということである。この特定の水蒸気透過率であると、そのHO透過性では、HOが組成物、特に漂白活性化剤と相互作用することができず、したがって、悪臭が発生しない。
【0024】
本発明の包装システムは、一般に、組成物を封入及び保護し、かつ抽出、投薬及び使用を容易にするための、ある種の閉鎖機構を有することを必要とする。様々な形態をとるこれら閉鎖装置は、通常、ポリオレフィン、好ましくはポリプロピレンから製造される。これらアイテムはまた、一般に、ポリオレフィン、好ましくはポリプロピレン(PP)、低密度又は高密度ポリエチレン(LDPE又はHDPE)、又はポリエステルテトラフタレート(PET)で製造される。
【0025】
リビングヒンジを有する又は有さない一体型キャップもまた、包装システムの閉鎖の好ましい方法である。リビングヒンジを有するキャップが好ましい。
【0026】
これら閉鎖装置は、ノズル部分と、同一部品の薄い部分によって取り付けられるキャップ部分とを有する。この結合部は、リビングヒンジを形成するのが好ましく、このリビングヒンジは、わずかな力が加わると、キャップをノズルからフリップさせる又は他の位置からキャップをノズルへとフリップさせる。これら閉鎖装置は、1つの部品から構成されるので、製造が低コストであり、シャンプー及び食器洗い洗剤といった片手で使用する必要がある製品で使用するのに特に有利である。好ましくは、本包装システムの閉鎖システムは、ねじシステムを含む。
【0027】
そのような閉鎖システムは、水分に対する保護を強化し、悪臭の発生を防止するのを助けるので好ましい。
【0028】
本発明の組成物を収容する包装システムは、0.1g/m/日未満の範囲内の水蒸気透過率を有する少なくとも1つのユニットを含むことを特徴とする。
【0029】
水蒸気透過率は、ASTM規格E−96−53T、test for measuring Water Vapor transmission of Materials in Sheet formに記載されているような既知の方法によって測定されることができる。あるいは、水蒸気透過率は、TAPPI規格T464m−45、Water Vapor Permeability of Sheet Materials at high temperature and humidityによって測定されてよい。
【0030】
本発明との関係において使用される方法は、Permatran−W TWIN装置を使用したプロコン形式の試験と呼ばれる。
【0031】
手順は次の通りである。
【0032】
装置
−ふたの付いたアルミニウム試験カップ(直径10.2cm(4インチ)及び15.2cm(6インチ))
−テンプレート1(試料切断用)−テンプレート2(ワックス塗布用)
−電気ホットプレート
−温度制御付き実験室の炉(精度+/−1℃)
−湿度制御付き実験室のキャビネット(精度+/−2% R.H.)
−微結晶ワックス(例えば、Mobel Oil Wax 2305又は同等物)
−塩化カルシウム、無水、粒状、8メッシュ
−ペトロラタム
−ワックスを融解するためのサーモスタットの付いた電気容器
−カッティングパッド
−ハサミ又は円形の刃物
−実験室のはかり(即ち、Mettler K−7、MikrowaタイプFW−31−6)精度+/−0.05g。
【0033】
材料の調製
試験試料を試験材料から切り取る。既知のMVTRの材料の均一な保護シートから得た別の試験試料を、対照として使用する(例えば、ビチューメン積層ライナー又はワックス積層ボード)。
【0034】
試験手順
1)ワックスを電気容器の中で90〜110℃に加熱する。炉又はホットプレートで試験カップを約90℃で1/2時間加熱する。試験カップを1つずつ炉から取り出し、カップの高さの2/3まで塩化カルシウムをカップに充填し、ペトロラタムをテンプレート2のはす縁まで慎重に適用する。試験試料と接触するテンプレート2の基部を拭いて水分を取る。試料をカップの中央に置く。テンプレート2を試料の上に置き、カップに対して中心に配置する。融解したワックスを、テンプレート2のはす縁とカップ周縁とによって形成された環状スペースに注ぎ込む。ワックスが固化したら、ゆるやかなねじり運動を用いてテンプレート2を取り外す。試験環境に置く前に、カップアセンブリを0.05グラム単位で計量する。カップを35℃/80% eRHで保存する。
2)カップを湿潤キャビネットの中に2日間放置した後、3回の連続した計量で一定の重量増加(最大偏差0.25グラム)が得られるまで、カップを24時間間隔毎に計量する。カップを湿潤キャビネットから取り出した直後に計量し、キャビネットからはかりまで移動させるときにアルミニウムのふたで覆う。
【0035】
全計量を記録し、カップ毎の毎日の重量増加を計算する。MVTRは、g/m/24時間で記録され、次のように計算される。
a)試料の有効面積:66.6cm(直径10.2cm(4インチ)のカップ)3600×XYg/m/24時間
b)試料の有効面積:133cm(直径15.2cm(6インチ)のカップ)1800×XYg/m/24時間(式中、X=グラム単位の総重量増加、及びY=時間単位。)
(どちらも、毎日の一定重量増加を伴う3つの連続する期間に基づいて計算される。)
【0036】
本システムの実施に応じて、本明細書の包装システムに収容される洗剤組成物の量は、250g(個々の小型消費者単位)から20kg(消費者単位の梱包)まで様々であることができる。
【0037】
粒状漂白剤添加物組成物
本発明の粒状漂白組成物は、いわゆる粒状漂白剤添加物組成物である。これら組成物は、慣用の洗濯洗剤、特に粒状洗濯洗剤と併せて使用して(染みの付いた)布地を処理するのに適している。用語「添加物」又は「洗浄中の(漂白)組成物」は、本発明に包含されるような、布地を処理する、好ましくは漂白する特定の方法において好ましく用いられる組成物に言及される。
【0038】
実際に、添加物組成物は、慣用の洗濯洗剤(好ましくは、粒子状洗濯洗剤)と合わせて洗濯機に添加され、また同じ洗浄サイクルで活性である。それに対して、いわゆる「染み抜き剤」又は「前処理剤」組成物は、布地を洗浄又はすすぎ洗いする前に、大抵は希釈されずに布地に適用されて、有効な時間の間、布地上で作用させておく。更に、いわゆる「浸漬液」又は「リンスに付加した」組成物は、布地を水ですすぎ洗いする前又はその間に、主として希釈した形態で布地に接触される。
【0039】
本明細書の漂白剤添加物組成物は、粒状組成物である。「粒状」とは、本明細書では、粉末、丸剤、顆粒、錠剤等を意味する。粒状組成物は、好ましくは、処理される布地に適用され、適切な溶媒、典型的には水に溶解される。
【0040】
組成物の重量の1〜500倍の水で希釈された場合、本明細書の粒状漂白剤添加物組成物は、25℃で測定したときに、好ましくは少なくとも0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7のpHを有する(与えられた順序で優先度が上がる)。単独で、組成物の重量の1〜500倍の水で希釈された場合、本明細書の粒状漂白剤添加物組成物は、25℃で測定したときに、好ましくは12以下、11.5以下、11以下、10.5以下、10以下、9.5以下、9以下、8.5以下、又は8以下のpHを有する(与えられた順序で優先度が上がる)。
【0041】
本発明の組成物は粒状組成物である。これら組成物は、例えば、乾燥混合、噴霧乾燥、塊状化及び造粒、並びにこれらの組み合わせといった、当該技術分野において周知である様々な方法によって製造されることができる。本明細書の組成物は、慣用の粒状製品と異なる嵩密度で、いわゆる「濃縮された」製品(即ち、600g/Lを上回る嵩密度を有する)に調製されることができる。
【0042】
酸素漂白剤
必須成分として、本発明の組成物は、酸素漂白剤又はその混合物を含む。好ましくは、この酸素漂白剤は、過酸素供給源、より好ましくは過酸化水素供給源である。
【0043】
過酸化水素化合物の付加化合物の例としては、無機過酸化水素塩が挙げられる。無機過水和物塩の例としては、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩及び過ケイ酸塩が挙げられる。無機過水和物塩は、通常、アルカリ金属塩である。過炭酸塩、過ホウ酸塩又はそれらの混合物のアルカリ金属塩は、本明細書に用いるのに好ましい無機過水和物塩である。過炭酸塩の好ましいアルカリ金属塩は、過炭酸ナトリウムである。
【0044】
本発明の好ましい実施形態では、酸素漂白剤は、過酸素供給源、好ましくは過炭酸塩のアルカリ金属塩、より好ましくは過炭酸ナトリウムである。他の好適な酸素漂白剤としては、過硫酸塩、特に過硫酸カリウムK及び過硫酸ナトリウムNaが挙げられる。
【0045】
アルカリ金属過炭酸塩漂白剤は、通常、ナトリウム塩の形態である。過炭酸ナトリウムは、2NaCO3Hに対応する式を有する化合物である。保存安定性を強化するために、過炭酸塩漂白剤を、例えば、アルカリ金属硫酸塩と炭酸塩の更なる混合塩でコーティングすることができる。このようなコーティングは、コーティング方法とともに、過去に英国特許第1466799号に記載されている。混合塩コーティング材料と過炭酸塩との重量比は、1:2000〜1:4、より好ましくは1:99〜1:9、及び最も好ましくは1:49〜1:19の範囲内である。好ましくは、混合塩は、一般式NaSO.n.NaCOを有する硫酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムであり、式中、nは、0.1〜3であり、好ましくはnは、0.3〜1.0であり、最も好ましくはnは、0.2〜0.5である。
【0046】
市販の炭酸塩/硫酸塩でコーティングされた過炭酸塩漂白剤は、製造プロセスの間に組み込まれる低濃度の重金属イオン封鎖剤、例えばEDTA、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホネート(HEDP)又はアミノホスホネートなどを含んでよい。
【0047】
本明細書において上述のように組み込まれる好ましい重金属イオン封鎖剤としては、有機ホスホネート及びアミノアルキレンポリ(アルキレンホスホネート)、例えばアルカリ金属エタン1−ヒドロキシジホスホネート、ニトリロトリメチレンホスホネート、エチレンジアミンテトラメチレンホスホネート、及びジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネートが挙げられる。
【0048】
本発明の組成物は、総組成物の10重量%〜80重量%、好ましくは15重量%〜70重量%、より好ましくは20重量%〜60重量%の酸素漂白剤又はそれらの混合物を含む。
【0049】
好ましくは、本明細書の組成物は、典型的には、15重量%〜70重量%、好ましくは20重量%〜60重量%のアルカリ金属過炭酸塩漂白剤を含有し、アルカリ金属過炭酸塩漂白剤は、250〜900マイクロメートル、好ましくは500〜700マイクロメートルの平均寸法を有する粒子の形態である。
【0050】
漂白活性化剤
典型的には、酸素漂白剤の不十分な漂白性能を克服するために、過酸塩漂白剤は、いわゆる漂白活性化剤を有する粒状組成物に処方される。漂白活性化剤は、過酸化水素と反応してペルオキシ酸又は過酸を形成する種である。
【0051】
したがって、別の必須成分として、本発明の組成物は、酸素漂白剤及びそれらの混合物を含む。
【0052】
好ましい実施形態では、液体漂白組成物で使用される漂白活性化剤は、次の一般式:
【化1】

(式中、Rは、約1〜11個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝のアルキル基であり、LGは、好適な脱離基である)を有する。本明細書で使用するとき、「脱離基」とは、漂白活性化剤に対するペルヒドロキシドアニオンによる求核攻撃、即ち過加水分解反応の結果として、漂白活性化剤から置換される任意の基である。
【0053】
一般に、好適な脱離基は求電子性であり、逆反応の速度がごくわずかであるほど安定している。このことは、ペルヒドロキシドアニオンによる求核攻撃を促進する。脱離基はまた、最適な時間枠、例えば洗浄サイクル内に反応が起こるように、十分に反応性でなければならない。しかしながら、脱離基が反応性でありすぎる場合、漂白活性化剤は安定しにくい。過去において、当業者は、現実的な貯蔵寿命の間の所望の安定性を有する水性液体漂白剤の配合に成功していない。
【0054】
これらの特性は、一般に、脱離基の共役酸のpKaによって平行されるが、この従来法の例外が知られている。本発明の脱離基の共役酸は、好ましくは約4〜約13、より好ましくは約6〜約11、及び最も好ましくは約8〜約11のpKaを有する。
【0055】
好ましくは、脱離基は、次の式:
【化2】

(式中、Yは、SO、COO、SO、PO、PO.(N)X、及びO←N(R)からなる群から選択され、Mは、カチオンであり、Xは、アニオンであり、これらはともに、漂白活性化剤に安定性を提供し、Rは、約1〜約4個の炭素原子を含有するアルキル鎖又はHである)を有する。本発明によると、Mは、アルカリ金属であるのが好ましく、ナトリウムが最も好ましい。好ましくは、Xは、水酸化物、メチルサルフェート又は酢酸アニオンである。
【0056】
他の好適な脱離基は、次の式:
【化3】

(式中、Yは、上記と同じであり、Rは、約1〜約8個の炭素原子を含有するアルキル鎖、H又はRである)を有する。
【0057】
上記のような多くの漂白活性化剤が、本発明の液体漂白組成物で使用するのに適しているが、好ましい漂白活性化剤は、次の式:
【化4】

(式中、Rは、1〜11個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝のアルキル鎖である。より好ましくは、Rは、3〜11個、更により好ましくは8〜11個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝のアルキル鎖である)を有する。
【0058】
最も好ましくは、本発明によると、漂白活性化剤は、次の式:
【化5】

を有し、これは、ナトリウムn−ノニルオキシベンゼンスルホネート(以下「NOBS」とも呼ばれる)とも称される。
【0059】
この漂白活性化剤及び上述のものは、既知の反応スキームで容易に合成されることができ、又は市販のものを購入することができるが、それらのいずれかがより好ましいわけではない。容易に水に溶ける本明細書に記載のもの以外の他の漂白活性化剤を、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の漂白組成物で使用することができることを、当業者なら理解するであろう。
【0060】
典型的には、本発明の組成物は、総組成物の1重量%〜30重量%、好ましくは2重量%〜20重量%、より好ましくは重量3%〜10重量%の漂白活性化剤を含むことができる。
【0061】
洗浄溶液における大抵の漂白機構、特に表面漂白機構は、完全に理解されていない。理論によって制限されるものではないが、しかしながら、漂白活性化剤は、例えば過酸化水素水溶液からのペルヒドロキシドアニオンによる求核攻撃を受けて、過カルボン酸を形成すると考えられている。この反応は、一般に当該技術分野において過加水分解と呼ばれる。
【0062】
洗浄溶液中に存在する第2の種は、ジアシル過酸化物(本明細書では「DAP」とも呼ばれる)である。例えば、スパゲッティーソース又はバーベキューソースに起因する染みのような、特定の染みの漂白を改善するために、いくらかのDAP生成物が存在することは必須である。ペルオキシ酸酸は、布地から黒ずんだ汚れを除去するのに特に有用である。本明細書で使用するとき、「黒ずんだ汚れ」とは、多数の使用及び洗浄サイクルの後に布地に蓄積されて、白い布地を灰色又は黄色がかった色にするようなものである。したがって、本明細書の漂白機構は、くすんだ染みに並びにスパゲッティなどで生じた染みの両方を漂白するために、有効量のペルオキシ酸及びDAPを生成するのが好ましい。
【0063】
更に、本発明の範囲内の漂白活性化剤は、漂白活性化剤が漂白剤を活性化させる必要がない漂白溶液温度(例えば、60℃を超える温度)においてでさえも、過酸素漂白剤をより効果的にすると考えられている。したがって、過酸素漂白剤単独と比べて同程度の表面漂白性能を得るために必要な過酸素漂白剤が、少なくて済む。
【0064】
本明細書において漂白活性化剤の好ましい混合物は、n−ノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS)を、ジアシルペルオキシドを生成する傾向は低いが、主に過酸を生成する第2の漂白活性化剤とともに含む。
【0065】
この第2の漂白活性化剤は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、クエン酸アセチルトリエチル(ATC)、アセチルカプロラクタム、ベンゾイルカプロラクタム等、又はその混合物を含んでよい。実際に、n−ノナノイルオキシベンゼン−スルホネートと、この第2の漂白活性化剤とを含む漂白活性化剤の混合物は、粒子状の汚れの除去性能を更に高めるのに貢献すると同時に、ジアシルペルオキシドに感受性が高い汚れ(例えば、β−カロチン)及び過酸に感受性が高い汚れ(例えば、身体の汚れ)に対して良好な性能を呈することが見出された。
【0066】
任意成分
本明細書において、組成物は、界面活性剤、充填剤、キレート化剤、ラジカルスカベンジャー、酸化防止剤、安定剤、ビルダー、汚れ懸濁ポリマー、ポリマー汚れ放出剤、移染防止剤、溶媒、泡抑制剤、泡促進剤、光沢剤、香料、顔料、染料などのような様々な他の任意成分を更に含むことができる。
【0067】
界面活性剤
本発明の組成物は、任意成分であるが非常に好ましいものとして、界面活性剤又はこれらの混合物を含んでよい。
【0068】
組成物は、総組成物の0.01重量%〜20%、好ましくは0.1重量%〜15重量%、より好ましくは0.5重量%〜8重量%の界面活性剤又はこれらの混合物を含む。
【0069】
本明細書に用いるのに好適な界面活性剤としては、任意の非イオン性、アニオン性、双極性、カチオン性及び/若しくは両性界面活性剤、又はこれらの混合物が挙げられる。本明細書で用いるのに特に好適な界面活性剤は、本明細書で以下に記載の、アルコキシル化非イオン性界面活性剤及び/又はポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤及び/又はアミンオキシドなどの非イオン性界面活性剤、並びに/あるいは双極性イオン性ベタイン界面活性剤のような双極性界面活性剤である。
【0070】
好適なアニオン性界面活性剤としては、アルキルサルフェート界面活性剤が挙げられる。好ましいアルキルサルフェート界面活性剤としては、式ROSOM(式中、Rは、好ましくは、C10〜24ヒドロカルビル、好ましくはC10〜C20アルキル成分を有するアルキル又はヒドロキシアルキル、より好ましくはC12〜C18アルキル又はヒドロキシアルキルであり、Mは、H又はカチオン、例えば、アルカリ金属カチオン(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム)、又はアンモニウム若しくは置換アンモニウム(例えば、メチル−、ジメチル−、及びトリメチルアンモニウムカチオン、並びに4級カチオン、例えばテトラメチル−アンモニウム及びジメチルピペリジニウムカチオン、並びにエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、及びこれらの混合物などのようなアルキルアミンから誘導される4級アンモニウムカチオンなど)である)の水溶性塩又は酸が挙げられる。典型的には、低い洗濯温度(例えば、約50℃以下)では、C1216のアルキル鎖が好ましく、高い洗濯温度(例えば、約50℃超)では、C1618のアルキル鎖が好ましい。
【0071】
好適なアニオン性界面活性剤としては、アルキルアルコキシル化サルフェート界面活性剤が挙げられる。好ましいアルキルアルコキシル化サルフェート界面活性剤は、式RO(A)SOM(式中、Rは、C10〜C24アルキル成分を有する非置換C10〜C24アルキル又はヒドロキシアルキル基、好ましくはC12〜C20アルキル又はヒドロキシアルキル、より好ましくはC12〜C18アルキル又はヒドロキシアルキルであり、Aは、エトキシ又はプロポキシ単位であり、mは、0より大きく、典型的には約0.5〜約6、より好ましくは約0.5〜約3であり、Mは、H又は陽イオンであり、これは例えば、金属陽イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウムなど)、アンモニウム又は置換アンモニウム陽イオンであることができる)の水溶性塩又は酸である。アルキルエトキシル化スルフェート並びにアルキルプロポキシル化スルフェートについて、本明細書において考察される。置換アンモニウムカチオンの具体例としては、メチル−、ジメチル−、トリメチルアンモニウム及びテトラメチルアンモニウム、ジメチルピペリジニウムのような4級アンモニウムカチオン、並びにエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、及びこれらの混合物などのようなアルカノールアミンから誘導されるカチオンなどが挙げられる。
【0072】
本発明による組成物中で使用するのに好ましい界面活性剤は、アルキルサルフェート、アルキルアルコキシル化サルフェート、及びこれらの混合物である。
【0073】
本発明による組成物中で使用するのに好ましいその他の界面活性剤は、アシルサルコシネート界面活性剤である。
【0074】
好適な非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシド基(性質上親水性)と有機疎水性化合物との縮合により製造される化合物が挙げられ、これは、本来は脂肪族又はアルキル芳香族であってよい。いずれかの特定の疎水基と縮合されるポリオキシアルキレン基の長さは、親水性要素及び疎水性要素間の所望の程度のバランスを有する水溶性化合物をもたらすように容易に調整されることができる。
【0075】
本発明で使用するのに好ましいのは、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合体、例えば、約6〜16個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝配置のアルキル基を有するアルキルフェノールと、アルキルフェノール1モル当たり、4〜25モルのエチレンオキシドエチレンオキシドとの縮合生成物などの非イオン性界面活性剤である。
【0076】
好ましい非イオン性界面活性剤は、直鎖又は分岐配置で8〜22個の炭素原子を有する脂肪族アルコールと、アルコール1モル当たり平均で最大25モルのエチレンオキシドとの水溶性縮合産物である。特に好ましいものは、約9〜15個の炭素原子を含有するアルキル基を有するアルコールと、アルコール1モル当たり約2〜10モルのエチレンオキシドとの縮合生成物、及びプロピレングリコールとエチレンオキシドとの縮合生成物である。最も好ましいのは、約12〜15個の炭素原子を含有するアルキル基を有するアルコールと、アルコール1モル当たり平均約3モルのエチレンオキシドとの縮合生成物である。
【0077】
本発明による他の好適な界面活性剤としてはまた、カチオン性、両性、双極性イオン、及び半極性界面活性剤、並びに後述の半極性の非イオン性アミンオキシドといった、本明細書に既に記載されているもの以外の非イオン性界面活性剤も挙げられる。
【0078】
両性界面活性剤もまた、本発明の洗濯洗剤組成物で使用するのに好適である。これら界面活性剤は、2級若しくは3級アミンの脂肪族誘導体、又は脂肪族ラジカルが直鎖又は分枝鎖であることができる複素環式2級及び3級アミンの脂肪族誘導体として大まかに説明することができる。脂肪族置換基のうち1つは、少なくとも約8個の炭素原子、典型的には約8〜約18個の炭素原子を含有し、少なくとも1つが、アニオン性水溶性基、例えばカルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有する。両性界面活性の例に関しては、米国特許第3,929,678号(Laughlinら、1975年12月30日発行)の第19欄、18〜35行目を参照のこと(参照により本明細書に組み込まれる)。
【0079】
双極性界面活性剤もまた、洗濯洗剤組成物で使用するのに好適である。これら界面活性剤は、2級及び3級アミンの誘導体、複素環式2級及び3級アミンの誘導体、又は4級アンモニウム、4級ホスホニウム若しくは3級スルホニウム化合物の誘導体として大まかに説明することができる。双極性界面活性剤の例に関しては、米国特許第3,929,678号(Laughlinら、1975年12月30日発行)の第19欄38行目〜第22欄48行目を参照のこと(参照により本明細書に組み込まれる)。
【0080】
半極性の非イオン性界面活性剤は、約10個〜約18個の炭素原子の1つのアルキル部分と約1個〜約3個の炭素原子を含むアルキル基及びヒドロキシアルキル基からなる群から選択された2つの部分とを含む水溶性のアミンオキシドと、約10個〜約18個の炭素原子の1つのアルキル部分と、約1個〜約3個の炭素原子を含むアルキル基及びヒドロキシアルキル基からなるグループから選択された2つの部分とを含む水溶性のホスホン酸と、を含む非イオン性界面活性剤の特殊なカテゴリである。半極性の非イオン性洗浄用界面活性剤としては、式:R(ORNO(Rを有するアミンオキシド界面活性剤が挙げられる。
【0081】
充填剤
本発明の組成物は、任意成分であるが非常に好ましいものとして、充填剤塩を含んでよい。本明細書の好適な充填剤塩は、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム「STPP」等からなる群から選択される。典型的には、本発明による組成物は、総組成物の75重量%まで、好ましくは70重量%〜10重量%、より好ましくは60重量%〜30重量%の充填剤塩を含んでよい。
【0082】
キレート剤
本発明の組成物は、任意成分としてキレート化剤を含んでよい。典型的には、本発明の組成物は、組成物全体の5重量%まで、好ましくは0.01重量%〜1.5重量%、より好ましくは0.01重量%〜0.5重量%のキレート化剤又はその混合物を含む。
【0083】
本明細書で用いるのに好適なホスホネートキレート剤としては、アルカリ金属エタン1−ヒドロキシジホスホネート(HEDP)、アルキレンポリ(アルキレンホスホネート)、並びにアミノアミノトリ(メチレンホスホン酸)(ATMP)、ニトリロトリメチレンホスホネート(NTP)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホネート、及びジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)を包含するアミノホスホネート化合物を挙げることができる。ホスホネート化合物は、その酸形態であるか又はその酸性官能基の一部若しくは全ての上での異なるカチオンの塩として存在してよい。本明細書で用いるのに好ましいホスホネートキレート剤は、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)及びエタン1−ヒドロキシジホスホネート(HEDP)である。このようなホスホネートキレート化剤は、Monsantoから商品名DEQUEST(登録商標)で市販されている。
【0084】
再付着防止ポリマー
本発明の組成物は、再付着防止ポリマー又はその混合物を任意成分として更に含んでよい。
【0085】
好適な再付着防止ポリマーとしては、高分子ポリカルボキシレート、及び好ましくは1,000ダルトン〜20,000ダルトンの重量平均分子量を有するポリアクリレートポリマーが挙げられる。好適な再付着防止ポリマーには、好ましくはマレイン酸モノマーとアクリル酸モノマーのモル比1:1〜1:10かつ10,000ダルトン〜200,000ダルトンの重量平均分子量を有し、又は好ましくはマレイン酸モノマーとアクリル酸モノマーのモル比0.3:1〜3:1かつ1,000ダルトン〜50,000ダルトンの重量平均分子量を有するマレイン酸とアクリル酸とのコポリマーが挙げられる。好適なポリカルボキシレートは、ソカランCP、PA及びHP(BASF社)(例えば、ソカランCP5、PA40及びHP22)、及び一連のポリマー(Alco)であるアルコスパース(例えば、アルコスパース725、747、408、412及び420)である。
【0086】
更に好適な再付着防止ポリマーとしては、セルロース誘導体、例えばカルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、及びこれらの混合物が挙げられる。好適なカルボキシメチルセルロースの例は、CPKelco(Arhem,Netherlands)から供給されるFinnfix(登録商標)BDAである。好適なメチルヒドロキシメチルセルロースの好適な例は、SE Tylose GmbH(Wiesbaden,Germany)から供給されるTylose(登録商標)MH50 G4である。
【0087】
更に好適な再付着防止ポリマーとしては、当該技術分野において既知であるポリアミンポリマーが挙げられる。本明細書で用いるのに特に好適なポリアミンポリマーはポリアルコキシル化ポリアミンである。
【0088】
典型的には、組成物は、組成物全体の10重量%まで、好ましくは0.1重量%〜5重量%、より好ましくは0.3重量%〜2重量%の汚れ懸濁ポリアミンポリマー又はその混合物を含む。
【0089】
本明細書中の組成物はまた、当業者に既知の他のポリマー汚れ放出剤を含んでもよい。このようなポリマー汚れ放出剤は、ポリエステル及びナイロンのような疎水性繊維の表面を親水性にする親水性セグメントと、疎水性の繊維上に付着して、洗浄及びすすぎ洗いサイクルの完了までそこに付着したままであり、その結果、親水性のセグメントにとってアンカーとして働く疎水性セグメントとの両方を有することを特徴とする。これによって、後の洗浄手順で、汚れ放出剤で処置した後に浮かび上がる染みをより容易に取り除くことができるようになる。
【0090】
汚れ放出剤は、利用される場合、一般に、本明細書の洗剤組成物の0.01重量%〜10.0重量%、典型的には0.1重量%〜5重量%、好ましくは0.2重量%〜3.0重量%を構成する。
【0091】
移染防止剤
本発明の組成物はまた、洗浄工程中に、ある染色された表面から他の染色された表面へと染料が移動するのを防止するのに有効な1種以上の物質を含んでもよい。一般に、このような移染防止剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN−オキシドポリマー、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールとのコポリマー、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、及びこれらの混合物が挙げられる。使用される場合、これら移染防止剤は、典型的には、組成物の0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.01重量%〜5重量%、より好ましくは0.05重量%〜2重量%を構成する。
【0092】
光沢剤
当該技術分野において既知のいかなる光学的光沢剤、蛍光増白剤又は他の光沢剤若しくは増白剤も、布地処理又は洗濯用に組成物を設計する場合、典型的には本明細書の洗剤組成物の約0.05重量%〜約1.2重量%の濃度で本明細書に記載の組成物に組み込むことができる。
【0093】
布地の処理方法
本発明は、布地の処理方法であって、水と、慣用の洗濯洗剤、好ましくは粒状洗濯洗剤と、本発明による粒状漂白剤添加物組成物とを含む水浴を形成する工程と、引き続いて、その布地をこの水浴に接触させる工程と、を含む、布地の処理方法を包含する。
【0094】
本発明による布地の処理方法、好ましくは漂白方法は、有効な増白性能のみならず、有効な染み除去及び染み剥離性能をももたらす。用語「染み剥離」とは、複数の洗浄サイクルにわたって布地の表面を改質し、その結果汚れの付着が低減する組成物の能力を指す。
【0095】
本明細書における布地の処理方法は、水と、慣用の洗濯洗剤と、本明細書に記載の液体漂白剤添加物組成物とを含む水浴を形成する工程と、引き続いて、その布地をこの水浴に接触させる工程と、を含む。
【0096】
本明細書において「慣用の洗濯洗剤」とは、市場で現在入手可能な洗濯洗剤組成物を意味する。好ましくは、この慣用の洗濯洗剤は、少なくとも1種の界面活性剤を含む。この洗濯洗剤組成物は、微粒子(粉末、丸剤、顆粒、錠剤などを含む)として、液体(液体、ゲルなど)として、並びに液体及び/又は微粒子を含む水溶性又は透水性パウチを基にした洗剤形態(例えば、液体錠剤)として配合することができる。好適な粒状洗濯洗剤組成物は、例えば、DASH粉末(登録商標)、ARIEL錠剤(登録商標)、ARIEL粉末(登録商標)及び商標名ARIEL(登録商標)又はTIDE(登録商標)の商標名で販売されているその他の製品である。
【0097】
本明細書中で好ましい実施形態において、慣用の洗濯洗剤は、慣用の粒子状洗濯洗剤、より好ましくは慣用の粉末、丸剤、顆粒又は錠剤の洗濯洗剤である。
【0098】
本発明の好ましい実施形態において、本明細書に記載の慣用の洗濯洗剤及び本明細書中の粒状漂白剤添加物組成物は、本発明による方法で形成される水浴中に溶解又は分散され、好ましくは実質的に溶解又は分散される。「実質的に溶解又は分散される」とは、本明細書では、この慣用の洗濯洗剤及び/又はこの粒状漂白剤添加物組成物の少なくとも50%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、なおより好ましくは少なくとも95%、更により好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%が、本発明による方法で形成される水浴中に溶解又は分散されることを意味する。
【0099】
粒状漂白剤添加物組成物及び慣用の洗剤組成物は、洗濯機のディスペンサー引き出しを洗剤のうち一方若しくは両方で満たすことにより、又は洗濯機のドラムを洗剤のうち一方若しくは両方で直接満たすことにより、洗濯機に供給されてよい。より好ましくは、粒状漂白剤添加物組成物は、好ましくは投与ボール(例えば、Vizirette(登録商標))のような投与装置を用いて、洗濯機のドラムに直接入れられる。更により好ましくは、粒状漂白剤添加物組成物及び慣用の洗剤組成物の両方は、好ましくは投与ボールや投与ネットなどのような好適な投与装置を用いて、洗濯機のドラムに入れられる。粒状漂白剤添加物組成物は、好ましくは慣用の洗剤組成物の前に、より好ましくは慣用の洗剤組成物と同時に、洗濯機の主洗浄サイクルに供給される。
【0100】
本発明による方法の間、本明細書中の粒状漂白剤添加物組成物は、典型的には溶解形態で使用される。「溶解形態」とは、本明細書中では、本発明による粒状漂白剤添加物組成物を、ユーザーが好ましくは水で溶解してよいことを意味する。溶解は、洗濯機内で起こる。このような組成物は、それ自体の重量の500倍まで、好ましくは5〜350倍、及びより好ましくは10〜200倍溶解することができる。
【実施例】
【0101】
以下の実施例は、本発明を更に例示する。組成物は、記載された成分を記載された割合(重量%活性物質、酵素顆粒物の%を指すマンナナーゼ、プロテアーゼ及びセルラーゼの場合を除く)で混合することによって作製される。以下の実施例は、本発明による組成物を例示することを意図しているが、本発明の範囲を限定したり、さもなければ画定したりすることを必ずしも意味しないものである。
【0102】
組成物II〜Vは全て、2.5mmの平均厚さを有する高密度ポリエチレンで作られたカートンに包装される。包装システムは、0.11g/m/日未満の水蒸気透過率を有する。これらの組成物は、優れた漂白性能を示すが、保存の際であっても悪臭を発生しない。
【表1】

−過炭酸ナトリウムは、Solvayから入手可能なS222である。
−TAEDは、テトラアセチルエチレンジアミンであり、Clariant GmbHから入手可能なPeractive(登録商標)である。
−Nobsは、ナトリウムn−ノニルオキシベンゼンスルホネートである。
−ポリアミンポリマーは、ビス((CO)(CO))(CH)−N−C2x−N−(CH)−bis((CO)(CO))であり、式中、n=20〜30、及びx=3〜8である。
−アクリル酸/マレイン酸コポリマーは、70:30の比率及び70000の分子量を有する、BASFから入手可能なアクリル酸/マレイン酸コポリマーである。
−HEDPは、Dow Chemicalから入手可能なヒドロキシエタンジホスホン酸である。
−カルボキシメチルセルロースは、CPKelco(NL)から入手可能なFinnfix(登録商標)GDAである。
−ポリビニルピロリドンは、ISP Corporation(ニュージャージー州、米国)から入手可能なPVP−K15である。
−アニオン性物質(LAS)は、Stepan(米国)から入手可能な平均脂肪族炭素鎖長C11〜C12を有するアルキルベンゼンスルホネートである。
−非イオン性物質(AE7)は、7の平均エトキシル化度を有するHuntsman(ユタ州、米国)から入手可能なC12〜C15アルコールエトキシレートである。
−ラウロイルサルコシン酸ナトリウムは、Chattern Chemicals(テネシー州、米国)から入手可能なHamposyl L95である。
−キシレンスルホン酸ナトリウムは、Stepan(イリノイ州、米国)から入手可能である。
−マンナナーゼ顆粒物は、1グラム当たり4mgの活性酵素を含有するNovozymes(デンマーク)から入手可能なMannawayである。
−プロテアーゼ顆粒物は、1グラム当たり15.8mgの活性酵素を含有するNovozymes(デンマーク)から入手可能なSavinaseである。
−セルラーゼ顆粒物は、1グラム当たり15.6mgの活性酵素を含有するNovozymes(デンマーク)から入手可能なCellucleanである。
−光沢剤は、Ciba Specialty Chemicals(スイス)から入手可能なTinopal(登録商標)CBS−Xである。
−汚れ放出剤は、Rhodia(フランス)から入手可能なRepel−o−tex(登録商標)SF2である。
−炭酸ナトリウムは、Solvayから入手可能である。
【0103】
データ
NOBSの安定性を時間経過に伴って評価した。NOBSは分解するので、より多くの悪臭が発生した。実施例に従った組成物を調製し、様々な水蒸気透過率を有する様々な包装の中に入れた。
【0104】
実施例IIに従って試料を作製し、32℃及び80%相対湿度で8週間保存した。この「加速劣化」試験は、21℃で16ヵ月間試料を保存するのを再現したものである。これは、製品が使用前に潜在的に保存される可能性がある期間である。例えば、製品は、倉庫、流通センター及び消費者の家に保存される可能性がある。したがって、製品は、試験条件下で保存された後も、依然として適切な漂白性能を示さなければならない。
【0105】
消費者に受け入れられる漂白性能(布からの汚れの適切な除去)を確実にするために、最低でも80% NOBS回復が必要である。
【0106】
表1から分かるように、保存試験後に最低でも80% NOBS回復を確実にするためには、0.1g/m/日未満の水蒸気透過率であることが必要である。
【表2】

【0107】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうしたそれぞれの寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装された粒状漂白組成物であって、
a.1重量%〜30重量%の漂白活性化剤と、
b.10重量%〜80重量%の酸素漂白剤と、
を含み、
該組成物が、ASTM規格E−96−53Tによって測定された場合、0.1g/m/日未満の水蒸気透過率を有する包装システムの中に包装されることを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記漂白活性化剤が、次の式:
【化1】

(式中、Rは、1〜11個の炭素原子を含有する直鎖又は分枝のアルキル鎖であり、より好ましくは、Rは、3〜11個、更により好ましくは8〜11の炭素原子を含有する直鎖又は分枝のアルキル鎖である。)
を有する、請求項1に記載の包装された組成物。
【請求項3】
前記漂白活性化剤が、次の式:
【化2】

を有する、請求項1又は2に記載の包装された組成物。
【請求項4】
前記組成物が、前記総組成物の2重量%〜20重量%、好ましくは3重量%〜10重量%の漂白活性化剤を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の包装された組成物。
【請求項5】
前記組成物が、前記総組成物の15重量%〜70重量%、好ましくは20重量%〜60重量%の酸素漂白剤を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の包装された組成物。
【請求項6】
前記酸素漂白剤が、過酸素供給源、好ましくは過炭酸塩のアルカリ金属塩、より好ましくは過炭酸ナトリウムである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の包装された組成物。
【請求項7】
前記包装システムが、熱可塑性材料、好ましくは高密度ポリエチレン(HDPE)で製造される、請求項1に記載の包装された組成物。
【請求項8】
前記包装システムが、ヒンジによってともに結合されるノズル部分とキャップ部分とを含む閉鎖機構を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の包装された組成物。
【請求項9】
前記組成物が、任意の非イオン性、アニオン性、双極性、カチオン性及び/若しくは両性界面活性剤、又はこれらの混合物から選択される界面活性剤系を更に含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の包装された組成物。
【請求項10】
悪臭を放つ分解生成物が組成物から生成されるのを低減するための包装システムの使用であって、
前記組成物が、
a.1重量%〜30重量%の漂白活性化剤と、
b.10重量%〜80重量%の酸素漂白剤と、
を含み、
前記組成物が、ASTM規格E−96−53Tによって測定された場合、0.1g/m/日未満の水蒸気透過率を有する包装システムの中に包装される、包装システムの使用。

【公表番号】特表2012−530811(P2012−530811A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516385(P2012−516385)
【出願日】平成22年6月23日(2010.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/039566
【国際公開番号】WO2011/002640
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】