説明

包装容器

【課題】 商品を自動的に包装することが出来、かつ包装した商品を外部からの衝撃より守ることが出来る包装容器を目的とする。
【解決手段】 台ブロック2の両側にヒンジ3を介して左右側ブロック4、5を夫々一体的に連設し、かつこれ等のブロック2、4、5の内面に夫々商品Aの所定部分を収納し得る凹所6、7、8を設けて構成した包装容器1の構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、比較的衝撃に弱い商品を包装して安全に保管及び輸送し得るプラスチック製の包装容器に係り、特に商品をヒンジを介して一体に構成された台ブロック、左右側ブロックよりなる3個のブロックで完全に囲繞することが出来、かつ簡単に自動包装することが可能な包装容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、衝撃に弱いガラス製品、精密機械、薬品、カメラ、時計等の高価商品(以下単に商品と総称する)を保管或は輸送するためには、商品を紙、エアーキャップ等で包んだ後で、段ボール箱等の容器に収納して、保管或は搬送していた。
【0003】
しかるに、商品をエアーキャップ等で包んだ後に、段ボール箱に収納する場合には、作業性が極めて悪く、かつ機械による自動包装が困難である問題があった。また、最近になっては、後述のように商品をプラスチック容器内に収納して保管或は輸送する手段も実施されるようになって来た。
【0004】
プラスチック製の商品を収納し得る容器としては、例えば、特開平9−240769号公報(特許文献1)、特開平10−35637号公報(特許文献2)、特開2000−321721号公報(特許文献3)、特開2001−163362号公報(特許文献4)、特開2003−246362号公報(特許文献5)に示すような技術が知られている。
【0005】
これ等の特許文献1乃至特許文献5に係る技術は、いずれもプラスチックフィルム或はプラスチックシートを真空成形方法を用いて容器を形成する技術であって、凹所を有するトレイ形状の容器本体と蓋体とをヒンジを介して相互に連結するか或は相互に容器本体と蓋体とを独立して構成した構造の容器である。
【0006】
【特許文献1】特開平9−240769号公報
【特許文献2】特開平10−35637号公報
【特許文献3】特開2000−321721号公報
【特許文献4】特開2001−163362号公報
【特許文献5】特開2003−246362号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述の特許文献1乃至特許文献5に記載された包装容器は、夫々凹所を有する容器本体と蓋体とより構成されているので、これ等の包装容器に商品を収納する場合には、商品を横に倒した状態で収納しなければならず、従ってベルトコンベア等の方式を用いた自動包装方法に於ては、商品を安定した状態で効率良く包装することが困難である問題があった。
【0008】
また、前述の特許文献に記載された技術は、特許文献4の技術を除いて、包装容器内に収納した商品が包装容器の外周壁に隣接する凹所内に収納されているので、保管や輸送時に包装容器に外部から衝撃が発生すると、その衝撃が直接収納した商品に伝達されるので、包装容器内の商品を簡単に損傷させてしまう問題があった。
【0009】
前記特許文献4に於ては、容器本体と蓋体とよりなる包装容器の内部空間に2枚の透明シートを上下に並列して掛け渡し、これ等の透明シートの間に商品を収納することによって商品を衝撃から保護するように構成しているが、このように包装容器の内部空間に2枚の透明シートを掛け渡す作業は困難であると共に、これ等の2枚の透明シートの間に商品を収納する作業も困難である等の多くの問題があった。
【0010】
本発明に係る包装容器は、前述の従来の多くの欠点に鑑み開発された全く新しい技術であって、特に商品の底部を載置して該商品を安定した状態で起立し得る台ブロックの左右にヒンジを介して、商品の左右を夫々覆うことが出来る左右側ブロックを連設して構成したプラスチック製の包装容器の技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る包装容器は、前述の従来の問題点を根本的に改善した発明であって、その第1発明の要旨は、商品を囲繞するプラスチック製の包装容器に於て、商品の底部を載置し得る台ブロックと、該商品の左側或は右側を夫々完全に覆うことが出来る左側ブロック及び右側ブロックの3つのブロックよりなり、かつ該中央ブロックの左右に夫々左側ブロック及び右側ブロックを配すると共に、各ブロックを相互にヒンジを介して一体的に折曲自在に連結して構成したことを特徴とした包装容器である。
【0012】
また、第2発明の要旨は、前記台ブロック及び左右側ブロックの夫々の外周部に衝撃吸収用の外壁を設けると共に、各ブロック内に設けられた商品収納部の外周面と前記外壁との間に所定の隙間を形成したことを特徴とした第1発明の包装容器である。
【0013】
また、第3発明の要旨は、前記各ブロックの商品収納部の高さを前記外壁の高さより小さく形成したことを特徴とした第2発明の包装容器である。さらに、第4発明の要旨は、前記左右側ブロックの一方のブロックの内面外周に突条縁を設け、かつ他方のブロックの内面に該突条縁内周面に嵌入し得る突出面を設けて構成したことを特徴とした第1発明乃至第3発明の包装容器である。
【0014】
また、第5発明の要旨は、前記突条縁内周面と前記突出面の外周面に夫々所定の逆テーパーを設けて構成したことを特徴とした第4発明の包装容器である。さらに、第6発明の要旨は、前記左右側ブロックの商品収納部の内部所定位置に夫々商品の突出部を支持し得る段部を設け、かつ該段部の上面にテーパーを設けて構成したことを特徴とした第1発明乃至第5発明の包装容器である。
【発明の効果】
【0015】
前述の第1発明の包装容器に於ては、全体を3つのブロックで構成し、かつ中央部に台ブロックを配置したので、商品を包装容器内に収納する際に、商品を起立した状態のままでこの台ブロック上に載置することが出来る。かつその後で台ブロックの両側に設けられた左側ブロック及び右側ブロックを起こして両者が合うように閉じることによって、商品を左右両側から安定した状態で梱包することが出来る。従って、コンベアシステム等を用いることによって、商品を起立した状態で自動的に包装することが出来る。
【0016】
前記第2発明の包装容器に於ては、台ブロック及び左右側ブロックの夫々の外周部に衝撃吸収用の外壁を設け、かつ各ブロック内に設けられた商品収納部の外周面と該外壁との間に所定の隙間を形成したので、輸送時等に包装容器に衝撃が加わった場合にも、この衝撃を前記外壁で吸収することが出来、これによって包装容器内に収納された商品を保護することが出来る。
【0017】
前記第3発明の包装容器に於ては、前述の各ブロックに設けられた商品収納部の高さを前記外壁の高さより小さくして、該商品収納部が外壁の外側縁よりも内側に来るようにしたので、該商品収納部の外面が包装容器の周りに配置される物品に直接接触することを避けることが出来る。
【0018】
前記第4発明の包装容器に於ては、左右側ブロックのいずれかのブロックの内面外周に突条縁を起立突設し、かつ他方のブロックの内面に前記突条縁の内周面に嵌入し得る突出面を設けて構成したので、該左右側ブロックの内面を合わせた際に、該突出面を突条縁内に嵌入させて両者を密着させた状態で接合することが出来る。
【0019】
前記第5発明の包装容器に於ては、第4発明の包装容器の突条縁の内周面と突出面の外周面とに夫々所定の逆テーパーを設けたので、これ等の逆テーパーを組合せて噛合わせることによって、突条縁内に嵌入された突出面をロックし、これによって左右側ブロックを安定した状態で完全に閉じることが出来る。
【0020】
前記第6発明に於ては、前記左右側ブロックの商品収納部の所定位置に商品の突出部を支持し得る段部を設けたので、この段部によって収納した商品の突出部を支持して該商品を安定させることが出来る。さらに、前記段部に所定のテーパーを設けたので、左右側ブロックを相互に合わせて閉じる際に、これ等のテーパーの作用によって商品を徐々に上昇させて持ち上げ、商品の底面を台ブロックの載置面より浮き上がらせることが出来る。従って、商品の底部をより安定した状態で保護することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図により、本発明に係る包装容器の一実施例を具体的に説明すると、図1は本発明に係る包装容器を左右に開いた状態の斜視図、図2は図1の包装容器の展開平面図、図3は第2の包装容器の側面図、図4は図3の縦断面説明図、図5は図1の包装容器に商品を載置した状態の斜視図、図6は本発明の包装容器で商品を覆う状態の断面図である。
【0022】
図1乃至図5に於て、1は本発明に係る包装容器であって、プラスチックシートを真空成形することによって構成されている。台ブロック2の左右に夫々ヒンジ3を介して左側ブロック4及び右側ブロック5が一体的に連設されている。前記台ブロック2の上面には商品の底部を載置収納し得る凹部6が設けられ、かつ左右側ブロック4、5の内面には商品の左右を夫々収納し得る凹部7、8が設けられている。
【0023】
従って、図4に示す如く、台ブロック2の上面の凹部6に載置収納された商品Aの底部を除くほぼ全体は、左右側ブロック4、5の凹部7、8の中に完全に挿入されるように構成されている。該凹部7、8の所定位置には、前記商品Aの両側部に突設された突出部A1、A2を下方から支持し得る段部9、10が設けられている。
【0024】
前記台ブロック2及び左右側ブロック4、5の外周部には夫々衝撃吸収用の外壁2a、4a、5aが設けられている。かつ前述のように各ブロック内に設けられた凹部6、7、8よりなる商品収納部の外周面と前記外壁2a、4a、5aとの間には、特に図5によって明らかな如く、巾広の隙間11が設けられている。
【0025】
前記外壁2a、4a、5aの高さは、特に図5に示す如く、凹部6、7、8よりなる商品収納部の外周面の高さよりも大きく形成されている。従って、包装容器1の台ブロック2及び左右側ブロック4、5の裏面側に他の物品等を隣接して配置した際には、外壁2a、4a、5aの先端縁は該物品等に当接されるが、商品収納部の外周面は該物品等に接触しないように構成されている。
【0026】
前記右側ブロック5の内面外周には、特に図1に示す如く、突条縁12が起立突設されている。また、左側ブロック4の内面には、該突条縁12の内周面に嵌入し得る突出面13が設けられている。従って、左右ブロック4、5の内面を夫々つき合わせて閉じた際には、前記突出面13が突条縁12の内周面に嵌入され、これによって左右側ブロック4、5が安定した状態で閉鎖されるように構成されている。
【0027】
前記突条縁12の内周面及び突出面13の外周面には夫々逆テーパー12a及び逆テーパー13aを設けて構成したので、左右側ブロック4、5を合わせて突条縁12の内周面に突出面13の外周面を強く押して嵌入した際には、これ等の逆テーパー12a、13aが相互に噛合されるので、これによって両方の左右側ブロック4、5をロックすることが出来る。
【0028】
前記左右側ブロック4、5の凹部7、8内には、夫々商品Aの両側に突設された突出部A1、A2を下方から支持することが出来る段部9、10が設けられている。
【0029】
また、前記左右側ブロック4、5の凹部7、8に設けた段部9、10の上面には、夫々テーパー9a、10aが設けられている。従って、凹部7、8内に商品Aを収納し、これ等の段部9、10で商品Aの突出部A1、A2を支持した際には、前記テーパー9a、10aの作用で台ブロック2の凹部6内に載置された商品Aを上昇させ、商品Aの底面を該凹部6の底面より浮き上がらせることが出来る。このように、商品Aの底部を台ブロック2より浮き上がらせることによって、この商品Aの底部を衝撃からさらに保護することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る包装容器は、一般の商品の外に、産業機械に使用される部品、高価な医療品等の包装に広く利用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る包装容器を左右に開いた状態の斜視図である。
【図2】図1の包装容器の展開平面図である。
【図3】第2の包装容器の側面図である。
【図4】図3の縦断面説明図である。
【図5】図1の包装容器に商品を載置した状態の斜視図である。
【図6】本発明の包装容器で商品を覆う状態の断面図である。
【符号の説明】
【0032】
A ・・・商品
A1 ・・・突出部
A2 ・・・突出部
1 ・・・包装容器
2 ・・・台ブロック
2a ・・・外壁
3 ・・・ヒンジ
4 ・・・左側ブロック
4a ・・・外壁
5 ・・・右側ブロック
5a ・・・外壁
6 ・・・凹部
7 ・・・凹部
8 ・・・凹部
9 ・・・段部
9a ・・・テーパー
10 ・・・段部
10a ・・・テーパー
11 ・・・隙間
12 ・・・突条縁
12a ・・・逆テーパー
13 ・・・突出面
13a ・・・逆テーパー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品を囲繞するプラスチック製の包装容器に於て、商品の底部を載置し得る台ブロックと、該商品の左側或は右側を夫々完全に覆うことが出来る左側ブロック及び右側ブロックの3つのブロックよりなり、かつ該中央ブロックの左右に夫々左側ブロック及び右側ブロックを配すると共に、各ブロックを相互にヒンジを介して一体的に折曲自在に連結して構成したことを特徴とした包装容器。
【請求項2】
前記台ブロック及び左右側ブロックの夫々の外周部に衝撃吸収用の外壁を設けると共に、各ブロック内に設けられた商品収納部の外周面と前記外壁との間に所定の隙間を形成したことを特徴とした請求項1の包装容器。
【請求項3】
前記各ブロックの商品収納部の高さを前記外壁の高さより小さく形成したことを特徴とした請求項2の包装容器。
【請求項4】
前記左右側ブロックの一方のブロックの内面外周に突条縁を設け、かつ他方のブロックの内面に該突条縁内周面に嵌入し得る突出面を設けて構成したことを特徴とした請求項1乃至請求項3の包装容器。
【請求項5】
前記突条縁内周面と前記突出面の外周面に夫々所定の逆テーパーを設けて構成したことを特徴とした請求項4の包装容器。
【請求項6】
前記左右側ブロックの商品収納部の内部所定位置に夫々商品の突出部を支持し得る段部を設け、かつ該段部の上面にテーパーを設けて構成したことを特徴とした請求項1乃至請求項5の包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−131249(P2006−131249A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−320696(P2004−320696)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(000132149)株式会社スギタ (2)
【出願人】(500048454)ジャパンプラス株式会社 (3)
【Fターム(参考)】