説明

包装材

【課題】面取りが形成されていない物品が被包装物であっても、胴膨れや座屈を緩和して収容できる包装材を得ること。
【解決手段】略矩形状の底面形成部1と、底面形成部1のから折り曲げ可能に突出した側壁形成部3と、側壁形成部3から折り曲げ可能に突出した天面形成部6とを有するシート状の包装材であって、側壁形成部3は、底面形成部1との境界に断続的に設けられた切り込み11aと、天面形成部6との境界に断続的に設けられた切り込み13aとを有し、切り込み11a及び切り込み13aが交互に配置された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被包装物である物品で圧縮荷重を支える方式の包装材では、箱体の側面と天面との間、側面と底面との間の稜部に面取り構造を形成することで胴膨れや座屈の発生を防止していた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−306497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、箱体に面取り構造が形成された箱状の包装材に物品を収納するには、被包装物である物品自体は、箱体と同様に面取りされた形状であるか、面取り構造と干渉しない形状でなければならなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、面取りが形成されていない物品が被包装物であっても、胴膨れや座屈を緩和して収容できる包装材を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、略矩形状の底面形成部と、該底面形成部の各辺から折り曲げ可能に突出した側壁形成部と、該各側壁形成部から折り曲げ可能に突出した天面形成部とを有するシート状の包装材であって、側壁形成部の少なくとも一つは、底面形成部との境界となる第1の辺に断続的に設けられた第1のスリットと、天面形成部との境界となる第2の辺に断続的に設けられた第2のスリットとを有し、第1のスリット及び第2のスリットが交互に配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、包装材を構成する板材に潰れが生じた際にできる余剰空間の影響で胴膨れや座屈が発生することを緩和できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本発明にかかる包装材の実施の形態の展開図である。
【図2】図2は、側壁形成部及び天面形成部の部分拡大図である。
【図3】図3は、組立後の包装材の斜視図である。
【図4】図4は、組立後の包装材の側面図である。
【図5】図5は、組立後の包装材の短面の斜視図である。
【図6】図6は、隙間によって荷重を吸収して胴膨れや座屈を緩和する際の包装材の短面の変形状態を示す図である。
【図7】図7は、隙間が交互に配置された包装材の側面図である。
【図8】図8は、隙間が鉛直方向に揃うように配置された包装材の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明にかかる包装材の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
実施の形態.
図1は、本発明にかかる包装材の実施の形態の展開図である。この包装材は、1枚のシート状の部材(例えば段ボールシート)から組立可能である。なお、図1中の二点鎖線は、組立の際に谷折りすることを示している。また、図中の一点鎖線は組立の際に山折りすることを示している。包装材は組み立てることにより、太陽電池モジュールを二枚包装可能である。被包装物としての太陽電池モジュールが載置される底面形成部1の各辺からは側壁形成部3及び側壁形成部4が突出している。側壁形成部3の先には天面形成部6が突出している。また、側壁形成部4の先には天面形成部7が突出している。すなわち、包装材は、略矩形状の底面形成部1と、底面形成部1の各辺から折り曲げ可能に突出した側壁形成部3、4と、各側壁形成部3,4から折り曲げ可能に突出した天面端形成部6,7とを有する「たとう型」である。
【0011】
また、側壁形成部3の両脇には底面形成部1から仕切板2が突出している。側壁形成部4からは天面形成部7が突出する方向と直交する方向にフラップ5が突出している。また、天面形成部7からはフラップ5と略平行にフラップ8が突出している。
【0012】
側壁形成部4の突出量は、側壁形成部3の突出量よりも若干小さくなっている。
【0013】
側壁形成部4と底面形成部1との境界部には、穴1aと凹溝形成部14とが設けられている。凹溝形成部14は、底面形成部1の面内から立ち上がるように、若干底面形成部1側に食い込んで形成されている。
【0014】
図2は、側壁形成部3及び天面形成部6の部分拡大図である。図1と同様に、二点鎖線は組立の際に谷折りすることを示している。側壁形成部3と底面形成部1との境界となる辺(第1の辺)、及び側壁形成部3と天面形成部6との境界となる辺(第2の辺)には、切り込み11a、13aが形成されている。切り込み11aは、底面形成部1が側壁形成部3に突き出る(側壁形成部3側に食み出る)ように略コの字状になっている。また、切り込み13aは、天面形成部6が側壁形成部3に突き出る(側壁形成部3側に食み出る)ように略コの字状になっている。切り込み11aと切り込み13aとは、側壁形成部3を挟んで対称とならないように配置されている。すなわち、側壁形成部3と底面形成部1との境界となる辺において切り込み11aが設けられていない部分と、側壁形成部3と天面形成部6との境界となる辺において切り込み13aが設けられていない部分とが、重ならないように配置されている。なお、ここでは切り込み11a、13aが側壁形成部3側へ突出する略コの字状である構成を例として示したが、切り込み11a、13aは側壁形成部3側へ凸の曲線状であっても良い。
【0015】
包装材の組立手順について説明する。まず、底面形成部1の中央に一枚目の太陽電池モジュールを載置する。その後、仕切板2を折り曲げる。この際、谷折り線2a、2bに沿って折り曲げ、突起2cを底面形成部1と側壁形成部4との境界に形成されている穴1aに差し込む。仕切板2を折り曲げたら、二枚目の太陽電池モジュールを一枚目の太陽電池モジュールの上に重ねて載置する。次に、側壁形成部3、側壁形成部4及びフラップ5をそれぞれ折り曲げて、側壁を形成する。この際、側壁形成部3と底面形成部1との境界がなす稜部9に切り込み11aによって切り起こし構造が形成され。隙間(スリット)11bが形成される。また、凹溝形成部14が側壁形成部4と略平行となるように折り曲げる。さらに、天面形成部6及び天面形成部7を折り曲げて天面を形成し、太陽電池モジュールを包み込む。この際、側壁形成部3と天面形成部6との境界がなす稜部10に切り込み13aによって切り起こし構造が形成され。隙間(スリット)13bが形成される。そして、フラップ8を折り曲げて封緘する。図3は、組立後の包装材の斜視図である。
【0016】
組立後の包装材において凹溝形成部14が設けられている箇所は、側壁形成部4よりも内側に窪んだ状態となる。したがって、この窪みに結束用のバンドが嵌るようにして包装材を梱包することで、バンドのずれを防止できる。
【0017】
なお、上記実施の形態では、切り込み11a、13aを設けることによって組立時に稜部9、10に隙間11b、13bが形成される構造を例としたが、切り込みの代わりに抜き穴を設けて稜部に隙間を形成することもできる。ただし、切り込みを設けて稜部に隙間を形成するようにすれば廃材の発生を抑えることができる。
【0018】
図4は、組立後の包装材の側面図であり、短面を示している。図5は、組立後の包装材の短面の斜視図である。切り起こし構造によってできた隙間11bが稜部9に、隙間13bが稜部10にそれぞれ配置されている。
【0019】
図6は、隙間11b、13bによって荷重を吸収して胴膨れや座屈を緩和する際の包装材の短面の変形状態を示す図である。図6(a)は、正面から見た包装材の短面の一部分を示し、図6(b)は、図5におけるA−A断面を示す。切り込み11a、13aが形成されることで、稜部9、10として残る部分(付根部分12)の長さ(ピッチ)が短くなって強度が低くなり、付根部分12が局所的に潰れやすくなる。よって、図6に示すように、隙間11b、13bが形成された部分や付根部分12が局所的に変形することにより、胴膨れや座屈が緩和される。また、これにより、側壁形成部3の中央付近では胴膨れや座屈が発生しにくくなる。したがって、不定形に変形が生じる胴膨れや座屈が緩和され、美観や安定性が維持される。すなわち、面取り構造とすることなく、胴膨れや座屈を緩和できる。
【0020】
図7は、隙間11b、13bが交互に(千鳥状に)配置された(側壁形成部3の突出方向(鉛直方向)に関して非対称に配置された)包装材の側面図である。図7に示すように、隙間11bの端部と隙間13bの端部とが鉛直方向に重なっていても良い。したがって、隙間11bと隙間13bとを交互に配置することにより、稜部9で隙間11bとならずに残る部分と稜部10で隙間13bとならずに残る部分とが、鉛直方向に重ならないようになる。これにより、側壁形成部3がなす側壁に作用する力を隙間11b、13bの少なくともどちらかで吸収できる。
【0021】
図8は、隙間11b、13bが鉛直方向に揃うように配置された(側壁形成部3の突出方向(鉛直方向)に関して対称に配置された)包装材の側面図である。隙間11bと隙間13bとが鉛直方向に揃っていると、稜部9で隙間11bとならずに残る部分と稜部10で隙間13bとならずに残る部分とが重なる箇所が生じる。隙間11bが形成されない部分と隙間13bが形成されない部分とが鉛直方向に重なると、荷重が吸収されないため、鉛直方向の中央部分が凸となるように変形して胴膨れや座屈が生じる懸念がある。したがって、稜部9の隙間11bが形成されない部分と稜部10の隙間13bが形成されない部分とが鉛直方向(側壁形成部3が底面形成部1から突出する方向と直交する方向)に重ならないようにする必要がある。
【0022】
このように、本実施の形態に係る包装材は、側壁形成部3が形成した側壁は、被包装物である太陽電池モジュールと接触又は近接させることができる。したがって、包装材の小型化・減量化を実現できる。
【0023】
なお、ここでは短面の側壁形成部がなす稜部のみに隙間を有する包装材を例として説明したが、包装材は長面の側壁形成部がなす稜部のみに隙間を有していても良いし、短面及び長面の側壁形成部がなす稜部のそれぞれに隙間を有していても良い。また、側壁形成部のいずれか一つがなす稜部のみに隙間を有していても良い。すなわち、被包装物の形状に応じて、任意の側壁形成部がなす稜部に隙間を設けることができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上のように、本発明にかかる包装材は、被包装物が側壁や天面に接する形状であっても胴膨れ、座屈を緩和できる点で有用であり、特に、太陽電池モジュールのような板状の物体を包装するのに適している。
【符号の説明】
【0025】
1 底面形成部
2 仕切板
2a、2b 谷折り線
3、4 側壁形成部
5、8 フラップ
6、7 天面形成部
11a、13a 切り込み
11b、13b 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形状の底面形成部と、該底面形成部の各辺から折り曲げ可能に突出した側壁形成部と、該各側壁形成部から折り曲げ可能に突出した天面形成部とを有するシート状の包装材であって、
前記側壁形成部の少なくとも一つは、前記底面形成部との境界となる第1の辺に断続的に設けられた第1のスリットと、前記天面形成部との境界となる第2の辺に断続的に設けられた第2のスリットとを有し、
前記第1のスリット及び前記第2のスリットが交互に配置されたことを特徴とする包装材。
【請求項2】
前記第1のスリットは、略コの字状の切り込みを前記第1の辺に設けることによって形成され、
前記第2のスリットは、略コの字状の切り込みを前記第2の辺に設けることによって形成されたことを特徴とする請求項1記載の包装材。
【請求項3】
前記第1の辺の前記第1のスリットが設けられていない部分と、前記第2の辺の前記第2のスリットが設けられていない部分とが、重ならないように前記第1及び第2のスリットが配置されたことを特徴とする請求項1又は2記載の包装材。
【請求項4】
被包装物が太陽電池モジュールであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の包装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−71879(P2012−71879A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219639(P2010−219639)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】