説明

包装用折畳みケースの自動反転積層送込み装置

【課題】厚さが不揃いで各種サイズのダンボール製折畳みケースを結束機に供給する際、人手による反転積み重ね作業をなくし、コンベア上において所定枚数を自動的に反転して高速に排出させて結束効率を向上させる。
【解決手段】
ケース受入れ側から排出側まで水平に配設された下段ベルト12の中間域H上方に先端部にフック状引掛け部32を形成した複数の並行板ばね30を有する反転装置が前後及び上下動可能に設けられると共に中間域Hの前後に第1、第2の上段ベルト14、36が設けられて挟み送り型コンベア装置が形成され、第1上段ベルト14は下段ベルト12に対して上下及び前後に進退可能に設けられ、第2上段ベルト36は下段ベルトに対して上下に移動可能に設けられる。ベルト上の移送ケースは、中間域Hにおいて所定枚数ごとに進行方向に表裏反転される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、折り畳まれたフラップ付の包装用ケースなど対向辺部の厚さが異なる平板体を自動的に表裏反転して積層して結束機に送給する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フラップ付ダンボールケースは、農産品その他のバラ物などの物品を収容し梱包するのに便利であり、多方面で使用されており、特に底板が予め折込まれていてケースの展開時に自動的に底部が形成される「ワンタッチケース(ボトムロック)」(以下単にケースと略称する)が広く使用されている。
【0003】
ケースの素材であるダンボールは一枚毎の厚さが不揃いであるため平板の積み重ね体でも結束時の厚さが異なってしまう。(特許文献1参照)
まして上記のようなケースでは、折畳み状態でフラップ部と容器部の厚さが異なるためケース積層体の梱包時及び物品包装現場までの輸送中や保管中に荷崩れを起こし易い。
これを防ぐには、図2のようにケースを反転して積層してケース集積体の見かけ上の厚さを均等にする必要があり、従来は紐掛け結束機の作業台上で人手によってケースを所定枚数単位で反転させて積み重ねて結束機の受箱内に一旦収容してから結束していたので極めて非能率な作業であった。
更に、ケースのサイズは、横幅250〜1100mm、奥行150〜900mm、厚さ4〜40mmのように様々であるから一層面倒な作業であった。
【0004】
【特許文献1】特開2004−1816
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、折畳みケースを搬送ベルト上で所定枚数毎に進行方向に表裏を高速で自動反転させることによって人手によるケースの反転積層作業をなくして結束機に積層ケースを連続して送給してケースの結束梱包を高速化し、輸送時の安定性を確保して物品包装現場に多量の結束ケースを安定供給できる装置を提供するものであり、更に各種サイズのケースに簡単に適応できる装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明装置は、機枠のケース受入れ側から排出側まで水平に配設された下段ベルト上面のケース移送路中間域に先端部に引掛け部を形成した複数の並行板ばねを有する反転装置が前記機枠に対して前後に移動し且つ昇降可能に設けられると共に前記下段ベルトの前後に第1、第2の上段ベルトが設けられて挟み送り型コンベア装置が形成され、前記第1上段ベルトは下段ベルトに対して昇降すると共に前後に伸縮可能に設けられ、前記第2上段ベルトは下段ベルト後部において昇降移動可能に設けられる。中間域において移送中のケースを所定枚数ごとにケース進行方向に表裏反転させる反転装置が設けられて結束機に連設する送込み装置の受台上に積層することを特徴とするものである。
折畳みケースの厚さに対応して第1、第2の各上段ベルトを昇降させ、ケースの大きさに応じて第1上段ベルトと反転装置が移動調節される。
下段ベルトは1基でもよいが、前記反転装置の手前で2分割して第1、第2の下段ベルトを構成し、例えば第2ベルトを第1ベルトより高速で運転することによりケース反転をより確実にし且つ高速にできる。本発明において、上段、下段の各移送ベルトは、全て定間隔並行分割ベルトである。
【0007】
反転装置は、昇降シリンダを内蔵して前後に移動可能に設けられると共にシリンダロッド間の支持軸にフック付並行板ばねを所定間隔で軸支して構成されている。なお、板ばね形状は、直線状でも弧状でもよい。並行板ばねの間隔は、ケースのサイズに応じて手動又はスクリューネジなどの移動手段によって調節することは勿論である。
反転装置のばね板は、支持軸に対して揺動してケースを反転させるが、ケース枚数カウンタセンサ出力信号によって所定枚数ごとに昇降動作を繰り返す。また、下段ベルト下面に高弾性ゴム板などのクッション材を設けて板ばね先端のフック状引掛け部の下面部を接触させるように固定することによって、ケースが反転ばね板に衝突した時の衝撃を緩和できると共に復帰時の振動や反発を防ぐことが出来、安定な運転を可能にする。
【0008】
コンベア装置の排出側機枠には、結束機の受箱上方に達する延長ビームが設けられ、ビームの下方に昇降するケース案内兼中央押え板と前記ビーム先端左右に一対の揺動ストッパゲートが枢着される。また、受箱内には排出ケースを積層して昇降する受台と常時受台後方に待機して台上のケースを結束機内に送出す突出し装置を備えている。
この他、装置の運転を円滑にするためのケース検知センサ及びタイマが設けられること勿論である。
【発明の効果】
【0009】
本発明装置によれば、ケース成形機から送給される折畳みケースをコンベア上において所定枚数ごとに自動反転すると同時に結束枚数が自動的に計数され、更に反転積層作業の高速化によってケース結束機の待ち時間が短縮してコストを一層低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、下段ベルトと2分割した装置について説明する。
図1において1はワンタッチケース、2は容器部、3はフラップ、4は底部である。このようなケースを方向を揃えて積層すると厚さが異なるため荷崩れを起こすので図2のように方向を違えて積層して結束する。5は供給時の前縁、6は後縁である。
7は供給コンベアであって、図示しないワンタッチケース成形機からのケースを受けて本発明装置に引き渡す。8はガイド、9はケース分離を確実にする逆転ローラである。
10は反転排出装置であってフレーム11に水平に配設された下段ベルト12が受入れベルト12Aと排出ベルト12Bとに2分割され、夫々個別のモータM1,M2によって駆動され、M2はM1と同速かより速く回転するように制御される。
13は第1上段ベルト14を支持している第1コンベアユニットであって、可動ローラ15、16が一体的に連結されて図示しないフレームに沿って前後に移動する。移動操作は手動・自動任意であり、ローラ15の位置をケースサイズに合わせて設定する。17は駆動プーリである。
【0011】
20は、下段ベルト12の中間域Hに設けられた反転装置であって、21は、ビーム11Aの内側に並行配設した案内ロッド、22は、ロッド21に挿通支持された一対の移動ボックスであって、ストローク約100mmのエアシリンダを内蔵し、伝動用無端チェーン23に連結している。24は駆動ハンドルである。
26は、エアシリンダロッド25の下端に取付けた軸受であり、連結取付軸27を固定している。
取付軸27には、ブラケット28が軸着され、該ブラケットに板ばね支持軸29が軸支されて板ばね30と復帰補助用の軸巻きコイルバネを備えた回動金具31が軸装されている。32はケース引掛け部、33は下面部、34はクッション板である。
【0012】
35は、排出側の第2上段ベルト36を備えた第2コンベアユニットであって昇降可能に設けられている。第2上段ベルト36は、第2下段ベルト12Bと同速で走行し、中間域側に反転ケースの受入れ案内部37が形成されている。
【0013】
積層ケース送込み装置40の構成は、以下のようである。
41は、メインフレーム11の後部に連設された延長フレームであって結束機受箱42の上方に延びるビーム11Bに帯状の中央押え板43を昇降させるシリンダ44が垂設され、先端側の下方突出部の両側に一対のL形ストッパゲート45が揺動自在に枢着されている。
46はガイドロッド、47は中間連接板、48は受台であって、昇降装置49を備えている。50は左右一対の突出し装置であって常時は受台の後方に位置し、ケース送出し時に受台の両側を通って前進する。
押え板43、シリンダ44及びストッパーゲート45はビーム11Bに沿って移動できるが、これらの移動手段としてはチェーンなど任意である。
51は、受箱を構成する左右の可動側板であるが、詳細説明は省略する。
【0014】
(作用説明)
ボトムロック(ケース成形機)からの折畳みケースは、供給コンベア上において一部重なり状態で搬送されてくるが、逆転ローラ9によって下層のケースから装置10に供給される。
下段ベルト先端側に設けたセンサS1がケースの後縁6の通過を検知すると導入ゲート7Aが上昇してケース移送路を塞ぎ、センサS2がケース後縁6を検知するとゲート7Aが下降して次のケースが導入される。センサS2は、同時に通過ケースをカウントする。
ケース前縁5が板ばねのフック状引掛け部32に衝突して板ばね30を回動させる。この際、板ばね下面部33がゴム製クッション板34との摩擦によって衝撃が吸収される。(図6(A))
板ばね30はケースの移送に伴って同図(B)のように回動し、下段ベルト上の中間域において(C)の状態を経て表裏反転される。反転時においてばね板下面がケースの他面を押さえるように働き、更に同図(D)のように原位置に復帰する。この時、クッション材34が下面部33の衝撃を緩和する。
センサS2が設定枚数(例えば5)をカウントすると昇降装置が作動して反転装置即ち、板ばねを図6(A)鎖線の如く上昇退避させて移送ケースをそのまま通過させる。
排出端側のセンサS3が結束枚数をカウントしたとき、導入ゲート7Aを図示しないタイマー設定時間だけ上昇させる。この設定時間は、受箱内の積層ケースを結束機内に送込む時間(約1秒)である。ケースの最大質量は2Kg、ベルト移送速度は最大150m/秒である。
【0015】
排出ケースの受入れ状態において受台は上昇位置にあり、L形ストッパゲート45の後端45Aが中間板47によってによって突上げられてゲート本体が垂直になってストッパとして作用する(図3、図8)と共に押え板43の先端がコンベア後端に近設されているのでケースガイド板として働き、ケースを台上の所定位置に円滑に受入れて積層する。
受台48上に結束枚数のケースが積層される(センサS3の出力がある)とシリンダ44と49が下降して積層ケースを結束機の装入口に対応位置させる。(図7、図9)
L形ゲート45は中間板47による押上げから解放されて図7の状態になる。
その直後、受台の後方に控えていた突出し装置50が図10のように前進して積層ケースを結束機に送込む。ゲート45の下端が突出し時のケース体上面を押える案内として作用する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】ワンタッチケースの折畳み状態の斜視図
【図2】反転積層ケース体の結束前の模型的断面図
【図3】本発明装置の全体を示す側面図
【図4】同平面図
【図5】反転装置の要部側面図
【図6】ケースの反転過程を示す説明図
【図7】積層ケース送込み装置の側面図
【図8】受入れ待機時の要部状態図
【図9】受台下降時の状態図
【図10】積層ケース送出し時の状態図
【符号の説明】
【0017】
1 ワンタッチケース
5 ケース前縁
6 ケース後縁
7 供給コンベア
9 逆転ローラ
10 反転操出装置
11 フレーム
12 下段ベルト
14 第1上段ベルト
15、16 可動ローラ
20 反転装置
21 案内ロッド
22 移動ボックス
23 チェーン
26 軸受
27 取付軸
28 ブラケット
29 支持軸
30 板ばね
31 コイルバネ付回動金具
32 フック状引掛け部
33 下面部
34 クッション板
36 第2上段ベルト
40 積層体送込み装置
41 延長フレーム
42 受箱
43 帯状中央押え板
44 昇降シリンダ
45 L形ストッパーゲ−ト
47 中間連接板
48 受台
49 シリンダ
50 突出し装置
51 可動側板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機枠のケース受入れ側から排出側まで水平に配設された下段ベルトと下段ベルトの受入れ側にベルト方向に進退し且つ昇降可能に設けられた第1上段ベルトと前記下段ベルトの排出側に昇降可能に設けられた第2上段ベルトによって並行分割ベルトによる挟み送り型ケースコンベア装置が構成されると共に、前記第1、第2の上段ベルトの中間域にベルト方向に沿って前後に移動でき且つ移送ケースの所定枚数ごとに昇降作動する反転装置を備え、前記反転装置は先端部にフック状引掛け部が形成されると共に基部を支持軸に回動自在に枢着された複数の並行板ばねを具備してなるケース自動反転移送装置。
【請求項2】
並行分割下段ベルトの下方に板ばね先端下面を受けるクッション板が固設されてなる請求項1記載のケース自動反転移送装置。
【請求項3】
下段ベルトが第1、第2の下段ベルトで構成され、第2段ベルトの速度を可変する請求項1又は2記載のケース自動反転移送装置。
【請求項4】
コンベア装置の排出側機枠に結束機受箱上方に達する延長ビームが設けられ、前記ビームの下方に昇降するケース案内兼帯状押え板と前記ビーム先端左右に枢着された一対の揺動ストッパゲートが設けられ、前記受箱内には排出ケースを積層して昇降する受台とケース突出し装置が設けられてなる請求項1乃至3記載のいずれかのケース自動反転送込み装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−27739(P2006−27739A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204036(P2004−204036)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(502096923)有限会社テクノシステム (1)
【Fターム(参考)】