説明

包装用袋及びその製造方法

【課題】 サイドシール部の強度を強くして、相互の剥離が発生しにくい包装用袋及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 プラスチックフィルムからなる袋素材1を二つ折りして前壁1a、後壁1bを形成し、その頂部2を内側にV字状に谷折りして折返し部10を形成するとともに、この折返し部10を前記前壁1a、後壁1bに重ねてその両側縁部をサイドシールしてなる包装用袋において、折返し部10の両側縁部に切欠部3を形成し、サイドシール時に前記前壁1a及び後壁1bどうしが前記切欠部3を通して直接シールされるようにした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、被包装物が紙おむつのように圧縮状態で収納される包装用袋及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】紙おむつを収納するための包装用袋の従来例として、図6に示すサイドシール製袋機で製造されたものが知られている。このような包装用袋30は、上方が上面部33が閉鎖されており、その周囲を上方に折り返してまち部32を形成し、袋幅に対応して袋体の両側縁部をシールしてサイドシール部31を形成している。
【0003】この包装用袋30には、紙おむつ等々の被包装物が複数個圧縮状態に収納されており、圧縮状態の被包装物による反発の復元力がサイドシール部31に引張り力Pとして作用し、サイドシール部31の剥離を招く原因となっている。特に、まち部32両側縁の上部サイドシール部31aはフィルムが4枚重ねになっており、この部分のシール強度が最も弱くなる。
【0004】通常、この種の包装用袋は表面に商品名や図柄等々の印刷が行われており、鮮明な印刷条件が得られるように、予めコロナ放電処理等々の処理が施されることが多い。この処理がフィルムのシール性に悪影響を与え、フィルムの表面側どうしのシール部分の強度が低下する原因となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記問題を解決する手段として、特開平9-142483号公報記載の技術が提案されている。この技術は、まち部と前後壁との熱融着部内方端部と、被包装物の収納状態の下でまち部両半部が一平面となる領域の両隅部とを頂点とする三角形状部の外方において、まち部両半部の端部と各々が対応する前後壁の内面に熱融着されてなることを特徴とするものである。
【0006】しかし、上記技術を採用した包装用袋では、被包装物の収納状態の下で三角形状部の外方において熱溶着された部分に応力を受けすぎて側縁部に引きつりを生じ、包装用袋の外観が好ましいものでなくなるという問題があった。
【0007】この問題を解決する手段として、特開2000-168799号公報記載の技術が提案されている。この技術は、サイドシール部におけるシール幅をまち部よりも下側において大きくするとともに、サイドシール部の内側縁上部サイドシール部の内側縁よりも内方に位置するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】しかし、上記技術を採用した包装用袋では、下部サイドシール部におけるシール幅が広く取られているため、被包装物を収納する部分の内容積が減少し、被包装物をより多く圧縮して収納しなければならない。そのため、被包装物の反発力が大きくなり、従ってサイドシール部への引張り力も大きくなる。この引張り力が大きくなると、上部サイドシール部への影響も大きくなり、上部サイドシール部が剥離しやすくなる問題があった。
【0009】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、サイドシール部の強度を強くして、相互の剥離が発生しにくい包装用袋及びその製造方法を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、実施例において使用する符号を付して説明すると、プラスチックフィルムからなる袋素材1を二つ折りして前壁1a、後壁1bを形成し、その頂部2を内側にV字状に谷折りして折返し部10を形成するとともに、この折返し部10を前記前壁1a、後壁1bに重ねてその両側縁部をサイドシールしてなる包装用袋において、前記折返し部10の両側縁部に切欠部3を形成し、サイドシール時に前記前壁1a及び後壁1bどうしが前記切欠部3を通して直接シールされるようにしたところに特徴を有する。
【0011】請求項2の包装用袋の製造方法は、下記の工程を備えたところに特徴を有する。プラスチックフィルムからなる袋素材1を二つ折りする工程。二つ折りされた袋素材1に対して袋幅Wに応じた間隔で頂部2から所定の距離X内側に入った位置に円形又は長孔状の切欠部3を形成する工程。二つ折りされた袋素材1の頂部2を内側にV字状に谷折りして折返し部10を形成する工程。切欠部3を挟んでその両側をサイドシールする工程。切欠部3を通りサイドシール部を分割する工程。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明の第1の実施例を図1〜図4に基づいて説明する。先ず図3において、プラスチックフィルムからなる袋素材1は、最初の工程において2枚重ねに折り返えされて前壁1a及び後壁1bが形成される。
【0013】つぎの工程で、2枚重ねに折り返してなる袋素材1の頂部即ち折り返し縁2から所定距離Xだけ離れた位置に、円形または長穴形状の切欠き部3を袋幅Wに対応する間隔で穿孔装置Aにより穿孔する。
【0014】袋素材1の移送方向Qにおける切欠き部3の間隔は、袋幅Wでカットされるときのカット位置が、この切欠き部3の中央を通るようにする。切欠き部3の半幅Mは、サイドシール幅Nよりも若干狭くするか、または同寸法とする。
【0015】次に、ガセット装置Bの回転自在に支承された薄い円盤Cを折り返し縁2側から差込むとともに、両側をガイドプレートDでガイドしながら内側にV字状に谷折りすることにより折返し部10を形成する。この折返し部10の深さPは、切欠き部3までの距離Xとするか、または切欠き部3までの距離Xよりも若干大きくする。
【0016】次に、谷折りされた折返し部10の上部において前壁側のまち部4aと袋素材1の前壁1a、後壁側のまち部4bと後壁1bとをそれぞれシール装置Eの上下一対のヒータFによって移送方向Qに平行に直線的にシールする。このシール部5a、5bは前後壁1a、1bとまち部4a、4bが分離しないように設けるものである。
【0017】まち部4a、4bの各内面側に、テープハンドル取り付け装置Gによりテープハンドル6を取り付ける。
【0018】次に、製袋機本体Hで袋幅Wに対応して袋素材1の側縁となる位置に切欠部3を挟んでその両側をサイドシールすると同時に、そのシール幅の中央で切欠部3の中央を通るようにカットを行う。
【0019】この製袋機本体HはヒータJ、Kとその中央にカット刃Lを備えており、ヒータJ、Kによってシールされると、折返し部10は前後壁1a、1bとの間に挟まれて4枚重ねの上部サイドシール部7aとなり、折返し部10の底縁10aよりも下側においては前後壁1a、1bどうしがシールされた2枚重ねの下部サイドシール部7bとなる。
【0020】サイドシール部が中央で切断されると、包装袋20が完成する。そして、前壁1a及び前後壁1bの間隔を拡げると、折返し部10が展開されて上面部11となる。
【0021】被包装物の反発力は上部サイドシール部7aと下部サイドシール部7bとの境界付近で大きく作用するが、4枚重ねとなる上部サイドシール部7aにおいて、予め切欠き部3が形成されているので、その切欠き部3を通して前後壁1a、1bが直接シールされる。
【0022】従来の包装用袋では、印刷性向上のために袋素材1の表面に施されたコロナ放電処理がシール強度を低下させていたが、上部サイドシール部7aの一部に前後壁1a、1bが直接溶着した部分が形成されているので、強度の低下は少なくなっている。
【0023】上記包装用袋に別工程において、例えば紙おむつ等々の被包装物を圧縮して複数個収納し、底部をシールして封緘する。
【0024】尚、上記実施例では切欠き部3を上部サイドシール部の各側縁に1ヶ所づつ設けたが、図5に示すように、切欠き部3を2ヶ所以上に間欠的に設けてもよい。2ヶ所以上に設ければ上部サイドシール部7aの強度はより大きくなる。
【0025】
【発明の効果】本発明は、プラスチックフィルムからなる袋素材を二つ折りして前壁、後壁を形成し、その頂部を内側にV字状に谷折りして折返し部を形成するとともに、この折返し部を前記前壁、後壁に重ねてその両側縁部をサイドシールしてなる包装用袋において、前記折返し部の両側縁部に切欠部を形成し、サイドシール時に前記前壁及び後壁どうしが前記切欠部を通して直接シールされるようにしたので、4枚重ねの上部シール部7aの一部に切欠き部3を通して前後壁1a、1bが直接シールされ、その直接シール部の効果で強度を大きくすることができ、剥離に耐え得る強度に優れた包装用袋を提供することができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の包装用袋の斜視図である。
【図2】 上部サイドシール部の拡大した斜視図である。
【図3】 製造工程を示す平面図である。
【図4】 図3においてIV−IV線に沿って見た袋素材の断面図である。
【図5】 他の実施例の包装用袋の上部サイドシール部の斜視図である。
【図6】 従来の包装用袋の斜視図である。
【符号の説明】
1 袋素材
1a 袋体の前壁
1b 袋体の後壁
2 折り返し縁(頂部)
3 切欠き部
4a 前壁の上部まち部
4b 後壁の上部まち部
7a 上部サイドシール部
7b 下部サイドシール部
10 折り返し
11 上面部
20 包装袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】 プラスチックフィルムからなる袋素材を二つ折りして前壁、後壁を形成し、その頂部を内側にV字状に谷折りして折返し部を形成するとともに、この折返し部を前記前壁、後壁に重ねてその両側縁部をサイドシールしてなる包装用袋において、前記折返し部の両側縁部に切欠部を形成し、サイドシール時に前記前壁及び後壁どうしが前記切欠部を通して直接シールされるようにしたことを特徴とする包装用袋。
【請求項2】 下記の工程を備えたことを特徴とする包装用袋の製造方法。プラスチックフィルムからなる袋素材を二つ折りする工程。二つ折りされた袋素材に対して袋幅に応じた間隔で頂部から所定の距離内側に入った位置に円形又は長孔状の切欠部を形成する工程。二つ折りされた袋素材の頂部を内側にV字状に谷折りして折返し部を形成する工程。切欠部を挟んでその両側をサイドシールする工程。切欠部を通りサイドシール部を分割する工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2002−225880(P2002−225880A)
【公開日】平成14年8月14日(2002.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−25251(P2001−25251)
【出願日】平成13年2月1日(2001.2.1)
【出願人】(592234034)株式会社藤田機械 (7)
【Fターム(参考)】