説明

包装袋およびそれの製造方法ならびに、該包装袋に対する被包装物の充填包装方法

【課題】袋内被包装物の意図しない滴下を十分に防止し、液体注出ノズル外表面への袋内被包装物の付着のおそれを取り除くことで、液体注出ノズルを口に含んだ場合の、口触りの不快感を除去するとともに、注出ノズル外表面上での菌類の繁殖を防止して、衛生性および安全性を一層高める。
【解決手段】包装用フィルムの内表面をヒートシールして、中間シール部で、被包装物の注入を許容する充填部と、引裂き除去される蓋部とに区分してなる包装袋であって、 基端辺を除く周辺部分で相互に融着させてなる液体注出ノズルの基端部を、前記中間シール部に、最外層のシーラント層で融着接合させて、前記ノズルを蓋部の内側に突出させるとともに、ノズルの内部を前記充填部に連通させ、前記蓋部および液体注出ノズルの、蓋部内への突出先端部分にそれぞれ引裂き手段を設け、液体注出ノズルの引裂き手段を、蓋部の引裂き手段よりも前記充填部から離隔させて位置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋およびそれの製造方法ならびに、該包装袋に対する被包装物の充填包装方法に関するものであり、とくには、ゼリー等をも含む液状の飲料、その他の被包装物の注出手段として機能させ得ることはもちろん、飲み口としても機能させることができる液体注出ノズルの、外部の塵埃等による汚損を防止するとともに、袋内被包装物の飲用に際する、飲み口のソフトな口触りを実現でき、しかも、蓋部を引裂き除去して、液体注出ノズルを露出させるに当っての、袋内被包装物の意図しない滴下等のおそれを十分に取り除くとともに、液体注出ノズルを口に含んで、袋内被包装物を飲用等する場合の、注出ノズルの外表面等への袋内被包装物の付着に起因する口触りの不快感を除去し、併せて、注出ノズルの外表面上での菌類の繁殖のおそれを取り除いて、よりすぐれた衛生性および安全性を十分に担保できる技術を提案するものである。
【背景技術】
【0002】
袋の開封後、飲み口用部材に直接口を付けて袋内被包装物を飲用しても、袋の外面の汚染による影響がなく、飲み口のソフトな口触りの下で、衛生的かつ安全にその被包装物を飲用することができる袋としては、特許文献1〜3に開示されたものがある。
【0003】
特許文献1で開示された袋は、少なくとも一方の壁面フィルムの上部の内側に、左右両側の上部に切り欠き部を設けた帯状の飲み口用フィルムを熱接着により接合すると共に、該袋の開封手段(例えば、ノッチ及びハーフカット線)を該飲み口用フィルムの両側の上部の切り欠き部を横切るように設けて構成してなるものであり、特許文献2に記載された袋は、三方シール、四方シール形式又は自立袋形式で形成される袋の、前後の壁面フィルムの上部をそれぞれ第1の折り返し部で外側下方に折り返し、適宜の長さの折り返し面を設けた後、再度第2の折り返し部
で外側上方に折り返して壁面フィルムの上端が、第1の折り返し部 よりも高くなる位置まで延設し、袋上部の内側に内壁を形成すると共に、該袋の開封手段(ノッチ及び弱め線)を第1の折り返し部よりも下の位置に設けて構成してなるものである。
【0004】
そして、特許文献3で記載された袋は、前後の壁面フィルムの周囲の端縁部を袋状にヒートシールしてなる袋において、該袋のいずれかの端縁部のヒートシール部の内側に、円筒状の飲み口用部材を熱接着して取り付けると共に、袋の開封手段、例えばノッチとハーフカット線などを、飲み口用部材を横切るように設けて、袋を開封した時、飲み口用部材の先端側が袋の外側に露出するようにして飲み口用部材付き袋を構成する、とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−337894号公報
【特許文献2】特開2002−293337号公報
【特許文献3】特開2003−2341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、これらの特許文献1〜3のそれぞれに記載された袋はいずれも、袋内被包装物が底部シール部と上部シール部との間を自由に移動することができ、たとえば、袋の倒伏下では、飲み口用部材が袋内被包装物中に完全に浸漬等された状態となるので、袋を開封手段の形成個所で引裂いて飲み口用部材を露出させるに当って、引裂き部分および/または飲み口用部材に付着した袋内被包装物の不測の滴下が生じることがある他、飲み口用部材を口に含んで袋内被包装物を飲用等するに際し、飲み口用部材に付着したその被包装物が、口触りの不快感をもたらすことがあり、しかも、飲み口用部材が、袋内被包装物の付着状態で湿潤雰囲気に置かれる環境下では、飲み口用部材の表裏面もしくは内外表面での菌類の繁殖が否めないので、飲み口用部材を口に含む場合の衛生性等を十分に担保できないという問題もあった。
【0007】
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、それの目的とするところは、液体注出ノズルを液状、粉状、粒状等の袋内被包装物の注出のために機能させ得ることはもちろん、従来技術の利点はそのままに、包装袋の蓋部の引裂き開封に当っての、袋内被包装物の意図しない滴下を十分に防止し、または、液体注出ノズルの外表面への袋内被包装物の付着のみそれを取り除くことで、液体注出ノズルを口に含んだ場合の、口触りの不快感を完全に除去するとともに、注出ノズル外表面上での菌類の繁殖を防止して、液体注出ノズルを口に含む用途に対しても衛生性および安全性をより一層高めることができる、包装袋およびそれの製造方法ならびに、該包装袋に対する被包装物の充填包装方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の包装袋は、軟質の、多くは積層構造になる包装用フィルムの内表面をヒートシールして、中間シール部で、内部を、被包装物の注入を許容する充填部と、密閉構造とされて引裂き除去される蓋部とに区分してなる包装袋であって、表裏のそれぞれの側の、一枚もしくは二枚の積層フィルムの、対向内表面のシーラント層を、基端辺を除く周辺部分で相互に融着させてなる液体注出ノズルの基端部を、前記中間シール部のシール面間に、最外層のシーラント層で融着接合させて、その注出ノズルを蓋部の内側に突出させて設けるとともに、ノズルの内部を前記充填部に連通させ、前記蓋部および、液体注出ノズルの、蓋部内への突出先端部分のそれぞれに引裂き手段、たとえば、引裂きノッチおよび/または、ミシン目状の間欠的な孔もしくは溝、連続溝等からなる引裂き手段を設け、液体注出ノズルの引裂き手段を、蓋部の引裂き手段よりも前記充填部から離隔させて位置させたものである。
【0009】
かかる包装袋において好ましくは、液体注出ノズルを、蓋部内へのそれの突出先端部を引裂き手段の形成個所で引裂き除去して形成されるノズル先端開口からの被包装物の注出の後、ノズル内表面が、その被包装物の、毛管現象等による薄膜の介在下で密着する、たとえば、特開2005−15029号公報および、特開2005−59958号公報等に開示されているようなセルフシール逆止機能を有するノズルとし、また好ましくは、液体注出ノズルを構成する、表裏のそれぞれの側の積層フィルムの、対向内表面側のシーラント層の融点を、液体注出ノズルの最外層のシーラント層より高融点とする。
【0010】
また、この発明の包装袋の製造方法は、上述したいずれかの包装袋を製造する当って、引裂き誘導疵で縁取りされた液体注出ノズルの複数を予め整列させて形成した、巻回態様のノズルフィルムを、連続走行される包装用フィルムに対して繰出し走行させて、各個の液体注出ノズルの基端部を、その注出ノズルの一方の外表面のシーラント層で、包装用フィルムの内表面のシーラント層にヒートシールして、液体注出ノズルを包装用フィルムに接合させるとともに、ノズルフィルムの不要部分を引裂き誘導疵に沿って液体注出ノズルから切り離し除去し、次いで、一枚もしくは二枚の包装用フィルムの内表面の、液体注出ノズルの接合位置と対応する中間シール部部分および、包装用フィルムの、一個所もしくは二個所の側部遊端部分のそれぞれに、前記充填部および蓋部の区画に寄与する縦シールを施し、しかる後、包装用フィルムの走行方向で、液体注出ノズルの接合部より前方側および後方側のそれぞれの所定個所に、前記蓋部を密閉形成するそれぞれの横シールを施すとともに、前記充填部のいずれか一方側を密閉する横シールを施すにあり、この包装袋では、充填部の他方側が、被包装物の充填のための開口部となる。
【0011】
そしてまた、先に述べたいずれかの包装袋に対する、この発明の、被包装物の充填包装方法は、引裂き誘導疵で縁取りされた液体注出ノズルの複数を予め整列させて形成した、巻回態様のノズルフィルムを、連続的に繰出し走行される包装用フィルムに対して繰出し走行させて、各個の液体注出ノズルの基端部を、その注出ノズルの一方の外表面のシーラント層で、包装用フィルムの内表面のシーラント層にヒートシールして、液体注出ノズルを包装用フィルムに接合させるとともに、ノズルフィルムの不要部分を引裂き誘導疵に沿って液体注出ノズルから切り離し除去し、次いで、一枚もしくは二枚の包装用フィルムの内表面の、液体注出ノズルの接合位置と対応する前記中間シール部部分および、包装用フィルムの側部遊端部分のそれぞれに、前記充填部および蓋部の区画に寄与する縦シールを施しながら、包装用フィルムの走行方向の、液体注出ノズルの接合部より前方側に予め形成された、包装用フィルムの全幅にわたる前方側の横シール部と、液体注出ノズルの接合位置より後方側に、包装フィルムの全幅にわたって形成される後方側の横シール部との間で、包装用フィルムの内表面間に被包装物を連続的に供給して、液中充填等による、抜気下での夾雑物シールにより、前記後方側の横シール部を形成するにあり、ここでは、被包装物は充填部内に封入され、蓋部は、液体注出ノズルとともに、外気に対して完全に密封される。
【発明の効果】
【0012】
この発明の包装袋では、軟質の積層フィルムからなる液体注出ノズルは、その先端部を、シーラント層の融着接合によって閉止された状態で蓋部内に密封されるので、液体注出ノズルの外表面が袋外の塵埃、菌類等によって汚損されるおそれを十分に取り除くことができ、また、軟質積層フィルムからなる液体注出ノズルは、その先端部を、引裂き手段を介して引裂き除去して口に含んだ場合に、ソフトな口触りをもたらすことができるので、袋内被包装物を、十分衛生的に、かつ安全に飲用することができる。
【0013】
しかも、この包装袋では、中間シール部に融着接合されて、内部が充填部に連通する液体注出ノズルの先端部がシーラント層の融着接合によって閉止されていることから、被包装物を充填包装した包装袋が倒伏等されることがあっても、袋内被包装物が蓋部内へ流入することはなく、従って、蓋部内面および注出ノズル外表面に袋内被包装物が付着することがないので、蓋部を引裂き手段位置で引裂き除去して包装物を開封するに際し、包装袋の保管姿勢等のいかんにかかわらず、袋内被包装物の意図しない滴下を確実に防止することができる他、液体注出ノズルの先端部を引裂き手段位置で引裂き除去してノズル開口を形成し、そして、その液体注出ノズルを飲み口として機能させるに当っての、口触りの不快感を完全に除去することができる。
【0014】
またここでは、袋内被包装物が蓋部内へ流入することがないので、包装袋の保管条件等のいかにかかわらず、蓋部内表面および、注出ノズル外表面上での菌類の繁殖を十分に防止して、液体注出ノズルの外表面を常に衛生的に維持することができる。
しかも、ここにおける液体注出ノズルは、ノズル開口の形成下では、文字通り、袋内包装物の所要に応じた注出のためのノズルとしても機能させることができる。
【0015】
このような包装袋において、液体注出ノズルを、蓋部内へのそれの突出先端部を引裂き手段の形成個所で引裂き除去して形成されるノズル開口からの被包装物の注出の後、ノズル内表面が、その被包装物の、毛管現象等による薄膜の介在下で密着する、特開2005−15029号公報、特開2005−59958号公報等に開示されているようなセルフシール逆止機能を有するノズルとしたときには、該ノズルを注出ノズルとして機能させるに当り、包装用フィルムからなる包装袋本体を軟質材料とした条件下で、液状の袋内被包装物を、該液体注出ノズルから、包装袋本体の圧潰変形等に基づき、外気を吸引することなく所要に応じて注出することができるので、包装袋内への外気の流入に起因する、袋内被包装物の酸化、汚損等のおそれを十分に取り除くことができる。
【0016】
この一方で、袋内被包装物の注出の停止に当っては、包装袋を起立姿勢に復帰させると直ちに、液体注出ノズルの内表面が、袋内被包装物の薄膜の介在下で密着して外気の進入を確実に遮断するので、袋内被包装物の鮮度、品質等を、長期間にわたって当初のままに維持することができる。
【0017】
またここで、液体注出ノズルを構成する、表裏のそれぞれの側の積層フィルムの、対向内表面側のシーラント層の融点を、液体注出ノズルの最外層のシーラント層より高融点としたときは、液体注出ノズルの基端部を、包装用フィルムの中間シール部と対応する個所に後述するようにしてヒートシール接合させる場合の、液体注出ノズルの内表面どうしの意図しない融着接合を、液体注出ノズルの内側への離型紙その他の、融着防止材料の予め挿入配置等を必要とすることなく十分に防止することができる。
【0018】
そしてこの発明の、包装袋の製造方法は、ミシン目孔、条溝等の弱め線からなる引裂き誘導疵で予め縁取りされた液体注出ノズルの多数を整列させて形成した、たとえば特開2008−55739号公報に開示されているようなノズルフィルムを、一定速度で連続走行される軟質の包装用フィルム、多くは所要の積層構造になる包装用フィルムに対し、たとえば速度コントロールの下で繰出し走行させて、各個の液体注出ノズルの基端部を、包装用フィルムとの等速走行下で、その注出ノズルの一方の外表面の、相対的に低融点のシーラント層で、包装用フィルムの内表面の、たとえば、そのシーラント層と同種の材料からなるシーラント層にヒートシールして、液体注出ノズルを包装用フィルムに接合させるとともに、その注出ノズルの不要部分を引裂き誘導疵に沿って液体注出ノズルから切り離し除去し、次いで、一枚もしくは二枚の包装用フィルムの内表面の、液体注出ノズルの接合位置と対応して位置する前記中間シール部部分および、包装用フィルムの、一個所もしくは二個所の側部遊端部分のそれぞれに、前記充填部および蓋部の区画に寄与する縦シールを施し、しかる後、包装用フィルムの走行方向で、液体注出ノズルの接合部より前方側および後方側のそれぞれの所定個所に、前記蓋部を密閉形成するそれぞれの横シールを施すとともに、前記充填部のいずれか一方側を密閉する横シールを施して、充填部の他方側を被包装物の充填開口とする包装袋を製造するにあり、この方法によれば、前記包装袋を簡易・迅速に、かつ所期した通りに製造することができ、製造された包装袋に先に述べた機能を所期した通りに発揮させることができる。
【0019】
そしてこの発明の、被包装物の充填包装方法では、たとえば自動充填包装機を用いて、とくに、一枚もしくは二枚の包装用フィルムの内表面の、液体注出ノズルの接合位置と対応して位置する前記中間シール部部分および、一枚もしくは二枚の包装用フィルムの、一個所もしくは二個所の側部遊端部分のそれぞれに、前記充填部および蓋部の区画に寄与する縦シールを施しながら、包装用フィルムの走行方向の、液体注出ノズルの接合部より前方側に予め形成された、包装用フィルムの全幅にわたる前方側の横シールと、液体注出ノズルの接合位置より後方側に、包装用フィルムの全幅にわたって形成される後方側の横シー部との間で、半折になる一枚の、または二枚の包装用フィルムの内表面間に被包装物を連続的に供給して、抜気下での夾雑物シールにより、前記後方側の横シール部を形成することで、注出または飲用に供する被包装物を充填包装した包装袋をこれも、簡易、迅速に、かつ所期した通りに製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の包装袋の実施形態を、被包装物の充填包装状態で示す平面図である。
【図2】液体注出ノズルのフィルム積層構造を示す、図1のII−II線に沿う横断面図である。
【図3】この発明の他の実施態様を示す図1と同様の平面図である。
【図4】包装用フィルムへの液体注出ノズルの接合工程を例示する斜視図である。
【図5】この発明に係る包装袋の製造工程例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
液体被包装物の一例としてのゼリーを充填包装した状態を示す図1の充填包装袋1は、軟質の積層フィルムからなる一枚の包装用フィルム2を半折した姿勢で、内表面のシーラント層の相互を、図に斜線を施して示すように、遊端部分のヒートシールからなる縦シール部3と、包装用フィルム2の全幅にわたって延びる上下の各ヒートシール部からなる横シール部4、5とで、全体的に三方シールすることによって構成してなり、このような包装袋1の内部を、これも図に斜線を施して示すように、中間シール部6によって、被包装物が充填包装された充填部7と、後に述べる引裂き手段8、図ではミシン目状の整列孔からなる引裂き手段8の形成位置で引裂き除去される、密閉空間になる蓋部9とに区分してなるものである。
なおこのような充填包装袋は、二枚の包装用フィルムの内表面のシーラント層を四方シールすることによって構成することができる他、図では左端部に位置する袋底が、折込み構造になるガセット袋とすることもできる。
【0022】
このような包装袋1に対し、ここでは、一枚の半折積層フィルムもしくは二枚の積層フィルムの対向内表面のシーラント層を、基端辺を除く周辺部分で、ヒートシールによって相互に融着させてなる液体注出ノズル10の基端部10aを、中間シール部6のシール面間に、最外層のシーラント層で融着接合させて、液体注出ノズル10を蓋部9の内側への突出姿勢で配設するとともに、該注出ノズル10の内部を充填部7の内側に連通させる。
図2は、中間シール部6にこのように融着接合される液体注出ノズル10のフィルム積層構造を例示する、図1のII−II線に沿う横断面図であり、該注出ノズル10は、表裏のそれぞれの側に位置する、半折構造になる一枚の、もしくは二枚の積層フィルム12、13の、対向内表面のシーラント層14、15の相互を、基端辺を除く周辺部分で相互に融着接合させることにより構成してなり、このようにして構成される各液体注出ノズル10はその基端部10aを、中間シール部6の対向シール面間に、最外層のシーラント層16,17で融着接合させることで、蓋部9の内側へ突出する姿勢で中間シール部6に融着接合される。
【0023】
なお、図2に示すところでは、表裏のそれぞれの側の積層フィルム12、13は、ともに一層の、たとえば延伸フィルムからなるベースフィルム層18、19に、内外各一層の、通常は無延伸のシーラント層14、15および16、17を積層した構造としているも、所要の物性に応じて、ベースフィルム層18、19に適宜の蒸着層その他を設けることもでき、また、ベースフィルム層18、19と、少なくとも一層のシーラント層14、15および16、17との間に中間層を設けることもできる。
また、この図に示すところでは、対向内表面のシーラント層14、15の融点を、液体注出ノズル10の最外層のシーラント層16、17より高融点とすることが好ましく、これによれば、液体注出ノズル10の基端部外表面のシーラント層16、17を、前記中間シール部6の対向シール面にヒートシールするに当り、注出ノズル内表面のシーラント層間に離型材その他の融着防止部材を介在させるまでもなく、注出ノズル10の基端部を、ノズル内表面どうしの意図しない融着接合のおそれなしに、中間シール部6に所期した通りに確実に融着させることができる。
【0024】
再び図1に示すところにおいて、蓋部9および、液体注出ノズル10の蓋部9内への突出先端部分のそれぞれに、引裂き手段8、20を設け、液体注出ノズル10の引裂き手段20を、蓋部9の引裂き手段8よりも充填部7から離隔させて位置させる。
このことによれば、蓋部9および注出ノズル10のそれぞれを、引裂き手段8、20の位置で引裂き除去した場合に、液体注出ノズル10に形成されたノズル開口10bを前方側へ突出させて位置させることができるので、そのノズル開口10bを飲み口および注出口のいずれとしても確実に機能させることができる。
【0025】
なお図1に示すところでは、蓋部9の引裂き手段8をミシン目状に穿設した孔のみにて形成することとしているも、ミシン目状の穿孔と、−状もしくはV字状のノッチとによってその引裂き手段8を形成することもでき、また、ミシン目状の穿孔に代えて、ベースフィルム層等に、レーザー加工その他によって形成した点状もしくは連続状の溝によって引裂き手段8を形成することもできる。
また、図示の蓋部引裂き手段8は、蓋部9の引裂き除去を、液体注出ノズル10の存在に影響を受けることなく円滑に進行させるべく、液体注出ノズル10との重なり域でノズル10の先端側へ凸となる三角山形状に形成しているも、その山形状は曲線状の凸形状とすることもでき、また、山形状を省いた直線状とすることもできる。
【0026】
そして図1に示すところでは、液体注出ノズル10の引裂き手段20を、ノズル10の両側部に設けたV字状のノッチで形成することとしているも、ノッチの形状は−状とすることもでき、また、ベースフィルム層18、19等に設けた点状もしくは連続状の溝によって、もしくは、このような溝といずれかのノッチとの組合わせによって引裂き手段20を形成することもできる。
【0027】
このように構成してなる包装袋1では、液体注出ノズル10の、基端辺を除く周辺部分がヒートシールによって完全に融着接合されており、しかも、液体注出ノズル10の内部は、中間シール部6を隔てて充填部7の内側に連通されているも、その中間シール部6は、充填部7と蓋部9とを液密かつ気密に区画しているので、充填包装袋1を倒伏等させても、充填部7内の袋内被包装物が蓋部9内へ流入等することがない。
これがため、充填部7内の袋内被包装物の流動に起因して、その袋内被包装物が蓋部9の内面、注出ノズル10の外表面等に付着するおそれは全くない。
【0028】
従って、蓋部9を、図1(b)に示すように引裂き手段8位置で引き裂いて除去するに当っても、蓋部9内へ入り込んだ袋内被包装物の意図しない滴下等で生じることはなく、また、液体注出ノズル10の先端部分を、図1(c)に示すように、引裂き手段20位置で引き裂き除去して、その注出ノズル10を口に含んで、袋内被包装物を飲むに際し、ノズル外表面への付着物によって、口触りの悪い不快感を受けることもない。
しかも、蓋部内および、注出ノズル外表面上での菌類の繁殖のうれいもない。
【0029】
ところで、蓋部9を引き裂き除去するとともに、ノズル先端部分をもまた引き裂き除去して、図1(c)に示すようになノズル開口10bを形成した状態の下では、袋内被包装物を、充填包装袋1の傾動等に基いて、そのノズル開口10bを経て注出することもできる。
【0030】
図3は他の実施形態を示す図であり、これは図1に示す充填包装袋1の液体注出ノズル10を、特開2005−59958号公報に開示されているようなセルフシール逆止機能を有する液体注出ノズルとしたものである。
【0031】
図3に示すこの充填包装袋1は蓋部9を引裂き手段8から引裂き除去するとともに、液体注出ノズル10の先端部分を引裂き手段20から引き裂き除去して、図1(c)に示すようなノズル開口10bを形成した状態の下で、注出ノズル10を、袋内被包装物の飲用に供し得る他、袋内被包装物をノズル開口10bから注出するための用途に供することもでき、この後者の場合は、充填部7を手指で押圧すること、または、包装袋1を、ノズル開口10bが下方に向く姿勢とすること等で、充填部7内の液状被包装物を、その充填部7の潰れ変形、収縮変形等の変形に基き、外気を吸引することなく注出することができ、このような注出の停止は、充填部7に対する押圧力を解除すること、包装袋1を起立姿勢に復帰させること等によって行うことができる。
そしてこの注出の停止に際しては、液体注出ノズル10の表裏の内表面が、液状被包装物の薄膜の介在下で直ちに密着してセルフシール逆止機能を発揮するので、包装袋1の充填部7内への外気の進入、ひいては、その外気による袋内被包装物の酸化、袋内被包装物の塵埃、菌類等による汚損のおそれを十分に取り除くことができる。
【0032】
そして、この発明の包装袋の製造方法は、被包装物が充填包装されていない包装袋を製造する方法に関するものであり、はじめは、引裂き誘導疵で縁取りされた、図4にしめすような液体注出ノズル10の複数を予め整列させて形成した巻回態様のノズルフィルム31を、一定速度で連続走行される、たとえば、積層構造になる軟質の包装用フィルム2に対して、速度コントロールの下で繰出し走行させて、各個の液体注出ノズル10の基端部を、包装用フィルム2との等速走行下で、包装用フィルム2の所定位置に、その注出ノズル10の一方の外表面の、相対的に低融点のシーラント層により、たとえば一枚の包装用フィルム2の、幅方向の中間部分の内表面の、好ましくはそのシーラント層と同種の材料からなるシーラント層に対してヒートシールして、液体注出ノズル10を包装用フィルム2に融着接合させるとともに、その注出ノズル10の不要部分32を、引裂き誘導疵に沿って液体注出ノズル10から切り離し除去し、次いで、一枚もしくは二枚の包装用フィルム、図では一枚の包装用フィルム2の半折状態で、包装用フィルム2の内表面の、液体注出ノズル10の接合位置と対応して位置する前記シール部部分および、半折された包装用フィルム2の側部遊端部分のそれぞれに縦ヒートシールを施して、図1(a)に示す、充填部7および蓋部9の区画に寄与する中間シール部6および縦シール部3を形成する。
【0033】
ここで中間シール部6では、包装用フィルム2の対向内表面のそれぞれのシーラント層が相互に融着接合されるとともに、その対向内表面のそれぞれのシーラント層が、液体注出ノズルの外表面の、相対的に低融点のそれぞれのシーラント層に融着接合されるので、充填部7と蓋部9とは、液体注出ノズル10の介在下で、この中間シール部6によって確実に遮断されることになる。
また、縦シール部3では、半折された包装用フィルム2のそれぞれの側部遊端部分の相互が、対向シーラント層のヒートシールによって密閉されるので、蓋部9内への外気の侵入は、この縦シール部3および後述する横シール部の作用下で確実に阻止されることになる。
【0034】
図5は、一枚の連続した長尺包装用フィルム2を半折して、上述したような中間シール部6および縦シール部3を形成した状態を例示する平面図であり、その後は、図に白抜き矢印で示す、包装用フィルム2の走行方向で、液体注出ノズル10の接合部より前方側および後方側のそれぞれの個所に、蓋部9を密閉形成するための、それぞれの横ヒートシールを施して、図5に仮想線で示すようなそれぞれの横シール部4a、5aを形成し、これらの横シール部4a、5aと縦シール部3との協働下で、蓋部9を外気から遮断する。
なお、図に示すところでは、説明を解かり易くするために、液体注出ノズル10の接合部より前方側の横シール部4aと、後方側の横シール部5aとを区別して形成することとしているが、それぞれの横シール部4a、5aの両者を広幅の一本の横シール部として形成することもでき、この場合は、長尺包装用フィルム2に連続的に形成された複数の包装袋を、一本の横シール部の中間位置で一袋ずつの包装袋に切断分離することで、前方側および後方側のそれぞれの横シール部4a、5aが顕在化されることになる。
【0035】
そしてさらには、それぞれの横シール部4a、5aのいずれか一方の形成と相俟って、前記充填部7のいずれか一方側を密閉する、図では横シール部4aに連続する横シール部4bをも形成する。
これにより、ここでは横シール部4a、4bが一体となって、図1、3に示す横シール部4を形成することになる。
このことによれば、たとえば、長尺の包装用フィルム2に連続的に形成した複数の包装袋を一袋ずつに切断分離した場合に、充填部7の他方側を、被包装物の充填のための開口部として機能させることができ、その開口部から被包装物を充填して、前述したような充填包装袋1とすることで、液体注出ノズル10を先に述べた通りに機能させることができる。
【0036】
ところで、この発明に係る、包装袋に対する被包装物の充填包装方法は、連続走行される長尺の包装用フィルム2に対し、図4に関連して述べたように、液体注出ノズル10の片面を融着接合させた後、その包装用フィルム2を半折した状態で、または、その包装用フィルム2、および、内表面のシーラント層をその包装用フィルム2の内表面に対向させた他の包装用フィルムとの二枚を、たとえば自動充填包装機に通して、包装用フィルムに、図5に例示するような、縦ヒートシールになる中間シール部6および縦シール部3、二枚の包装用フィルムに対しては、たとえば、それらに加えて、図5の左側部に位置して充填部7の区画に寄与する他の縦シール部を、長尺の包装用フィルムの全長にわたって連続的に形成しながら、包装用フィルムの走行方向の、液体注出ノズル10の接合部より前方側に予め形成された包装用フィルムの全幅にわたる前方側の横シール部、たとえば横シール部4と、液体注出ノズル10の接合位置より後方側に、包装用フィルムの全幅にわたって形成される後方側の横シール部、たとえば横シール部5との間で、包装用フィルムの内表面間に被包装物を連続的に供給して、液中充填等による、抜気下での夾雑物シールにより、後方側の横シール部5を形成するにあり、ここでは、被包装物は充填部7内に封入され、蓋部9は、液体注出ノズル10とともに、外気に対して完全に密封されることになる。
なおこの場合も、長尺の包装用フィルムによって連続的に製造される、被包装物を充填してなる連続包装袋は、一袋ずつに切断分離することで、図1、3に示すような各個の充填包装袋1とされる。
【0037】
このようにして形成される各個の充填包装袋1は、一枚の包装用フィルム2を半折して構成したときは、多くは、図1および3に示すように、上下のそれぞれの横シール部4、5と、縦シール部3とで区画形成される三方シール袋となり、二枚の包装用フィルムにて構成したときは、多くは、図1および3に示す充填包装袋1の左端部に底部縦シールを施してなる四方シール袋となる。
【0038】
なお、図示しないが、包装袋の底部相当部分を別個のフィルムの融着接合によって形成するときは、包装袋を自立タイプのガセット袋等とすることもできる。
【符号の説明】
【0039】
1 充填包装袋
2 包装用フィルム
3 縦シール部
4、4a、4b、5、5a 横シール部
6 中間シール部
7 充填部
8、20 引裂き手段
9 蓋部
10 液体注出ノズル
10a ノズル基端部
10b ノズル開口
12、13 積層フィルム
14、15、16、17 シーラント層
18、19 ベースフィルム層
31 ノズルフィルム
32 不要部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装用フィルムの内表面をヒートシールして、中間シール部で、内部を、被包装物の注入を許容する充填部と、引裂き除去される蓋部とに区分してなる包装袋であって、
表裏のそれぞれの側の積層フィルムの、対向内表面のシーラント層を、基端辺を除く周辺部分で相互に融着させてなる液体注出ノズルの基端部を、前記中間シール部のシール面に、最外層のシーラント層で融着接合させて、前記ノズルを蓋部の内側に突出させて設けるとともに、ノズルの内部を前記充填部に連通させ、前記蓋部および液体注出ノズルの、蓋部内への突出先端部分のそれぞれに引裂き手段を設け、液体注出ノズルの引裂き手段を、蓋部の引裂き手段よりも前記充填部から離隔させて位置させてなる包装袋。
【請求項2】
液体注出ノズルを、蓋部内への突出先端部を引裂き除去して形成したノズル先端開口からの被包装物の注出の後、ノズル内表面が、その被包装物の薄膜の介在下で密着する、セルフシール逆止機能を有するノズルとしてなる請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
液体注出ノズルを構成する、表裏のそれぞれの側の積層フィルムの、対向内表面側のシーラント層の融点を、液体注出ノズルの最外層のシーラント層より高融点としてなる請求項1もしくは2に記載の包装袋。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載された包装袋の製造方法であって、
引裂き誘導疵で縁取りされた液体注出ノズルの複数を予め整列させて形成したノズルフィルムを、連続走行される包装用フィルムに対して繰出し走行させて、各個の液体注出ノズルの基端部を、その注出ノズルの一方の外表面のシーラント層で、包装用フィルムの内表面のシーラント層にヒートシールして、液体注出ノズルを包装用フィルムに接合させるとともに、ノズルフィルムの不要部分を引裂き誘導疵に沿って液体注出ノズルから切り離し除去し、次いで、一枚もしくは二枚の包装用フィルムの内表面の、液体注出ノズルの接合位置と対応して位置する前記中間シール部部分および、包装用フィルムの側部遊端部分のそれぞれに、前記充填部および蓋部の区画に寄与する縦シールを施し、しかる後、包装用フィルムの走行方向で、液体注出ノズルの接合部より前方側および後方側のそれぞれの所定個所に、前記蓋部を密閉形成するそれぞれの横シールを施すとともに、前記充填部のいずれか一方側を密閉する横シールを施す包装袋の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれかに記載された包装袋に対する被包装物の充填包装方法であって、
引裂き誘導疵で縁取りされた液体注出ノズルの複数を予め整列させて形成したノズルフィルムを、連続走行される包装用フィルムに対して繰出し走行させて、各個の液体注出ノズルの基端部を、その注出ノズルの一方の外表面のシーラント層で、包装用フィルムの内表面のシーラント層にヒートシールして、液体注出ノズルを包装用フィルムに接合させるとともに、ノズルフィルムの不要部分を引裂き誘導疵に沿って液体注出ノズルから切り離し除去し、次いで、一枚もしくは二枚の包装用フィルムの内表面の、液体注出ノズルの接合位置と対応して位置する前記中間シール部部分および、包装用フィルムの側部遊端部分のそれぞれに、前記充填部および蓋部の区画に寄与する縦シールを施しながら、包装用フィルムの走行方向の、液体注出ノズルの接合部より前方側に予め形成された、包装用フィルムの全幅にわたる前方側の横シール部と、液体注出ノズルの接合位置より後方側に、包装フィルムの全幅にわたって形成される後方側の横シール部との間で、包装用フィルムの内表面間に被包装物を連続的に供給して、抜気下での夾雑物シールにより、前記後方側の横シール部を形成する、包装袋に対する被包装物の充填包装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−81983(P2012−81983A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−229497(P2010−229497)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【出願人】(000206233)大成ラミック株式会社 (56)
【出願人】(307028493)株式会社悠心 (31)
【Fターム(参考)】