説明

包装装置における包装材供給装置

【課題】 連続送りされる包装材を間欠送りで送り出す貯留部に貯留可能とするとともに、高速包装をさせた場合でも包装材の張力を一定にし、包装を正確に行うことを含めて調整可能な包装装置における包装材供給装置を提供する。
【解決手段】 包装材供給装置1は、ウェブ状包装材料Fwで製品Aを包装する包装装置に適用される。ウェブ状包装材は、連続送り手段40によって連続的に送られる。一方、包装装置30に配設されている間欠送り手段36は、ウェブ状包装材Fwを包装装置30の包装動作に合わせて間欠的に走行させる。連続送り手段40の下流側で且つ包装装置30に至る途中に配置されている貯留手段2は、両送り手段36,40による送り量の差を吸収可能である。貯留手段2の出口側に配設されている吸引手段7は、ウェブ状包装材Fwに吸い込み面10を当て、ウェブ状包装材Fwに走行抵抗を与えて張力を付与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、縦型製袋充填包装装置等の包装装置に適用可能であり、特に高速包装に対応し得る包装材供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装材から袋を成形しながらその内部に製品を充填し包装する包装装置の一型式として、縦型製袋充填包装装置が良く知られている。縦型製袋充填包装装置は、ウェブ状包装フィルムからフォーマと称される成形器によって筒状包装フィルムを成形し、充填筒の外周面を走行する筒状包装フィルムから包装袋を形成しつつ当該充填筒内に製品を投入し、筒状包装フィルムを横方向にシール等を施すことによって、製品が投入された包装袋の上部を封鎖すると共に次の包装袋の底部を封鎖して、製品入りの袋包装体を連続的に製造する装置であり、個々に包装された飴やキャンディ、チョコレート、クッキーのような小粒の食品に代表されるような、バラの小物品の連続包装に特に適している。
【0003】
縦型製袋充填包装装置においては、連続包装を可能とするため、ロールに巻き取られたウェブ状包装材が適宜の繰り出し装置で繰り出されて、紙送り装置によってフォーマに供給される。ロールから繰り出されたウェブ状包装材には、左右の縦ガイド溝内にロールの回転軸を嵌合させて上下方向に移動自在なウェイトロールが掛けられている。ウェブ状包装材は、ウェイトロールの自重によって押し下げられており、その押し下げ量にてウェブ状包装材の供給のゆれを吸収するとともに、ウェブ状包装材が緩まないように張力が確保されている。また、ばねの力が作用するテンションレバーを上下揺動自在に設けるとともに、テンションレバーに軸支した回転自在な複数のテンションローラをウェブ状包装材に掛けることによって、テンションレバーやテンションローラの重量、及びばねの力で張力を与えることも行われている。ウェブ状包装材の間欠供給に伴うテンションレバーの揺動を検出器で検知して繰り出し装置の作動を制御することにより、ウェブの引出し力を軽減しながらウェブを常時緊張させることを図っている。
【0004】
ウェブの引出し速度に対応した速度でテンションレバーが揺動するため、特にウェブが高速で間欠引出しされると、テンションレバーの揺動時に該テンションレバー及びテンションローラの重量により慣性が働いて必要角度以上に揺動し、これに伴い引出されたウェブに対して追従遅れが発生する。また、ウェブがその引出しに共に従動する複数のテンションレバー及びガイドローラを介して架け渡されるため、特にウェブが高速で間欠引出しされると、これら多数の従動ローラの回転慣性によりウェブが必要以上に引出されて戻るという現象が発生する。これらの結果、ウェブに全く張力のかからないタイミングが存在してウェブが弛み易くなり、ウェブが引出し方向と直交する幅方向へズレを生じる、或いはウェブにレジマークを一定間隔毎に付して該レジマークに基づき位置決めしてウェブの模様合せをする場合には位置決め精度が低下するという問題がある。
【0005】
繰り出し部の引出し方向下流側に、一端面が開口して他端面に吸引口が開設される吸気室を配設し、この吸気室の開口部からウェブをU字状に嵌入させ、該吸気室の引出し方向と直交する方向へ対向する一対の側面に、引出し方向下流側へ向かうのに従って漸次吸気室の内部へ突出する傾斜部を夫々形成し、これら傾斜部の下流側の内幅寸法をウェブの幅寸法と略同一に形成すると共に、この開口部から吸引口へ亙る側面に上記U字状ウェブの嵌入位置を検出して繰り出し部の作動を制御する検出器を設けたウェブ供給装置が提案されている(特許文献1)。吸引口から吸気しその負圧でウェブを吸気室の内方へU字状に吸込むことにより、ウェブに張力を与えると共に、間欠引出しによりウェブロールから引出されるウェブの幅方向へのズレを直して幅方向へ位置決めし、このU字状ウェブの嵌入深さが浅くなったことを検出器で検出することにより、繰り出し部を作動開始させてウェブが繰り出され、U字状ウェブの嵌入深さを一定に保持することを図っている。テンションレバーやテンションローラを用いないので、それらに起因した問題の解消を図っている。更に、ウェブを多数の従動ローラにより極端に曲げる部分がないので、ウェブの材質にこしがあって硬い場合にもウェブ全体に均一な張力を与えることも図っている。
【特許文献1】特許第2903496号公報(第4欄第10行〜第4欄第33行、図1、図2)
【0006】
包装装置本体に包装材を間欠的に繰り出す繰り出し手段の上流側に設けられ、繰出し手段に包装材を供給する包装材供給装置において、包装材を供給源から繰り出す予備繰り出しローラと、この予備繰り出しローラを回転駆動する予備繰り出しモータと、予備繰り出しローラにより繰り出された包装材を貯留する吸引室のような貯留手段と、この貯留手段に貯留された包装材の量を段階的に検出するセンサ手段と、このセンサ手段で段階的に検出した包装材の貯留量に基づき予備繰り出しモータによる予備繰り出しの速度を変速制御する制御手段とを備えた包装材供給装置が提案されている(特許文献2)。貯留手段に貯留された包装材の量をセンサ手段により段階的に検出することにより、適正な包装材の貯留量に対する過不足を段階的に認識することを可能にしている。その過不足に応じて制御手段が予備繰り出しモータによる予備繰り出しの速度を変速制御することにより、予備繰り出しローラの連続駆動を実現することを図っている。
【特許文献2】特開2000−53292号公報(段落[0019]〜[0023]、図1)
【0007】
従来のウェブ状包装材の間欠作動する包装装置への供給においては、ウェブ状包装材の送りが包装装置の動作に合わせて間欠動作にならざるを得ない。間欠動作の状態において包装装置の作動が高速化してくると、ウェイトローラを備える場合にはその上下動が激しくなる。ウェイトローラの上下動と包装材の間欠送りとが同期すると、一種の共振現象が生じ、ウェイトローラのバタツキが激しくなり、ウェブ状包装材の送りがスムーズにいかず、包装装置の運転を中止せざるを得なくなる。包装装置の運転中止を回避するには、包装装置の運転速度を制限せざるを得ず、結果的に、包装速度がウェブ状包装材の送り上の限界から制約され、包装装置の能力を十分引き出せないという問題がある。また、ウェブ状包装材を成形するフォーマを持つ製袋充填包装装置においては、ウェブ状包装材の間欠送りの停止時にその慣性によって僅かな進みが生じること及び張力が無くなることによって、ウェブ状包装材が弛んでフォーマから浮き上がるという現象が生じる(図4において、想像線で示すウェブ状包装材Fw’を参照)。この状態で間欠送りが再開される時に、弛んでいたウェブ状包装材が急に引っ張られてフォーマのエッジに強く当たり、包装材に傷跡が生じることがある。この現象は、アルミ蒸着フィルムやアルミベースの包装材では特に生じやすい。この傷の発生を無くす解決策は、現在のところ提案されていない。
【0008】
一方、吸気室や吸引室を備える包装材供給装置では、吸気室や吸引室内において、U字状に嵌入された包装材を吸引しているだけであるので、包装材が下部にあるときと上部にあるときでは、包装材が吸気室や吸引室の内壁に沿って走行するときの抵抗の大きさが異なり、フィルム(包装材)に作用する張力は変化せざるを得ない。同様に、包装速度の高速化に対しても十分対応することができず、張力の周期的な変化やバタツキが生じることがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、包装装置において、連続送りされる包装材が間欠作動する包装装置に供給されるときに、連続送りと間欠送りとの差を吸収可能としつつ、包装材に対する走行抵抗の変動を無くして所定の張力を得ることを可能にする点で解決すべき課題がある。
【0010】
この発明の目的は、ウェブ状包装材料で製品を包装する包装装置に適用される包装材供給装置であって、連続送りされる包装材を間欠送りで送り出す貯留部に貯留可能とするとともに、高速包装をさせた場合でも包装材の張力を一定にし、包装を正確に行うことを含めて調整可能な供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、この発明による包装装置における包装材供給装置は、ウェブ状包装材を連続的に送る連続送り手段、包装装置に配設されており前記ウェブ状包装材を前記包装装置の包装動作に合わせて間欠的に走行させる間欠送り手段、及び前記連続送り手段の下流側で且つ前記包装装置に至る途中に配置され前記両送り手段による送り量の差を吸収可能な貯留手段を備え、前記貯留手段の出口側には前記ウェブ状包装材に吸い込み面が当てられていて前記ウェブ状包装材に走行抵抗を与える吸引手段が配設されていることから成っている。
【0012】
この包装装置における包装材供給装置によれば、連続送り手段によってウェブ状包装材が連続的に送られる一方で、包装装置に配設されている間欠送り手段がウェブ状包装材を包装装置の包装動作に合わせて間欠的に走行させる。したがって、連続送り手段の下流側で且つ包装装置に至る途中に配置されている貯留手段が、両送り手段によるウェブ状包装材の送り量の差を吸収している。貯留手段の出口側にはウェブ状包装材に吸い込み面を当てた吸引手段が配設されているので、包装装置に向かって走行するウェブ状包装材には、吸引手段が設けられている領域を通過するときに圧力差に応じて走行抵抗が与えられる。結果的に、ウェブ状包装材には、ウェイトロールやテンションロールを設けることなくても、適度の張力が付与される。吸い込み面の面積や吸い込み圧力などの条件は、包装条件が定まれば維持されるので、貯留手段に貯留されるウェブ状包装材の量の変動に依存することなく、走行抵抗は一定に維持され、ウェブ状包装材に作用する張力も一定に保つことができる。
【0013】
この包装装置における包装材供給装置において、前記貯留手段は、互いに対向配置された2枚のガイド板を備えており、前記連続送り手段で連続して送られた前記ウェブ状包装材を、前記ガイド板間において、反転部の前後でそれぞれ前記各ガイド板に沿った走行部を持つ貯留部を形成する構造とすることができる。貯留手段は互いに対向配置された2枚のガイド板で構成されるので、非常に簡単に構造でありながら、ウェブ状包装材の走行を規制することができる。
【0014】
この包装装置における包装材供給装置において、前記ガイド板間には、前記両走行部間で且つ前記反転部に向かってエアーを吹き付けるエアー吹き付け具を配置することができる。エアー吹き付け具から反転部に向かってエアーを吹き付けることによって、ウェブ状包装材には張りが与えられ、不要な、或いは皺や走行不良の原因となる弛みやずれが生じるのを防止することができる。
【0015】
エアー吹き付け具を備える包装装置における包装材供給装置において、エアー吹き付け具は、ウェブ状包装材に帯電した静電気を取り除く徐電機能を備えていることが好ましい。ウェブ状包装材は静電気が帯電しやすいという性質があり、帯電したウェブ状包装材は包装材同士或いは他の機器に付着して、トラブルの原因に成りやすい。そこで、徐電機能を備えることによって、ウェブ状包装材から静電気を取り除くことで、ウェブ状包装材を安定して供給することができる。
【0016】
上記のエアー吹き付け具を備える包装装置における包装材供給装置において、前記ガイド板は、前記ウェブ状包装材を上方から出入りさせると共に前記反転部を下側に置いた縦に配置されており、前記エアー吹き付け具は前記ガイド板の上端間に配置されてエアーを下方に向けて吹き出す配置とすることができる。ウェブ状包装材は、単位量当たり軽量とはいえ、重力の影響を受けるので、ガイド板間に垂れ下げる形態となるように、ガイド板を配置することが好ましい。また、エアー吹き付け具の吹き出し方向も、垂れ下がったウェブ状包装材の底側に位置する反転部に向かって吹き付けるのが自然な配置となり、ウェブ状包装材を安定して貯留させることができる。
【0017】
2枚のガイド板を備えた貯留手段を持つ包装材供給装置において、前記ガイド板には、前記ウェブ状包装材の前記反転部の位置を検出するセンサを配置し、前記センサが検出した前記反転部の位置に応じて前記連続送り手段による前記ウェブ状包装材の送り速度を制御することが好ましい。ガイド板に設けたセンサによってウェブ状包装材の反転部の位置を検出することによって、貯留手段に蓄えられるウェブ状包装材の長さが算出される。その算出長さに基づいて連続送り手段によるウェブ状包装材の送り速度を制御することで、貯留手段に蓄えられるウェブ状包装材の長さを、目標の長さに制御することができる。
【0018】
この包装装置における包装材供給装置において、前記吸引手段を、前記吸い込み面側を前記ウェブ状包装材に向けたファンとすることができる。ファンが回転するときにエアーを吸い込む吸い込み面をウェブ状包装材に当てることにより、ウェブ状包装材には、吸い込み面側に負圧が、またその反対側には外気の圧力が作用し、走行時に走行抵抗を生じさせる原因となる圧力差が生じる。一方、前記吸引手段を、吸引源に接続され且つ前記吸い込み面側を前記ウェブ状包装材に向けたダクトとすることもできる。吸い込みポンプのような吸引源からのダクトを貯留手段に導くことにより、ファンの場合と同様に、ダクトの吸い込み面が当たるウェブ状包装材にはその反対側に作用する外気の圧力との間に圧力差が生じる。走行抵抗によって、包装装置に向かうウェブ状包装材には張力が与えられる。吸い込み面での圧力は、ウェブ状包装材の素材や厚さ等の特性に応じて適宜設定される。
【0019】
この包装装置における包装材供給装置において、前記連続送り手段は、駆動手段によって駆動され且つ前記ウェブ状包装材の集積部から前記ウェブ状包装材を繰り出す繰出しローラとすることができる。ウェブ状包装材の集積部は、ウェブ状包装材を巻き取ったロールとすることができ、ロールからウェブ状包装材を巻き戻して供給する手段としては、回転する周面に巻き付けて繰り出すローラが、構造簡単で、且つ速度を制御しやすい。
【0020】
この包装装置における包装材供給装置において、前記包装装置は、前記ウェブ状包装材を筒状包装材に曲成するフォーマと、前記筒状包装材を外側に走行させるとともに内部に製品が投入される充填筒と、前記製品が充填された前記筒状包装材を封鎖して前記製品が充填された袋包装を製造する縦型製袋充填包装装置であり、前記間欠送り手段は前記筒状包装材に作用して間欠的に送る手段とすることができる。間欠送り手段は、充填筒の外側に配置されていて、充填筒との間に筒状包装材を挟んだ状態で走行させる無端ベルトやローラ、或いは横シーラのような筒状包装材を横方向に挟んで引き下ろす横閉鎖手段とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明による包装装置における包装材供給装置は、上記のようにウェブ状包装材料で製品を包装する包装装置に適用される包装材供給装置であって、連続送り手段によってウェブ状包装材が連続的に送られる一方で、包装装置に配設されている間欠送り手段がウェブ状包装材を包装装置の包装動作に合わせて間欠的に走行させる。連続送り手段の下流側で且つ包装装置に至る途中に配置されている貯留手段が、両送り手段によるウェブ状包装材の送り量の差を吸収している。貯留手段の出口側にはウェブ状包装材に吸い込み面を当てた吸引手段が配設されているので、ウェブ状包装材には、吸引手段が設けられている領域を通過するときに走行抵抗が与えられる。したがって、ウェイトローラやテンションローラを設けることなくても、包装装置に送られるウェブ状包装材料のバタツキを解消するとともに、供給途上のウェブ状包装材に適度の一定の張力を付与し、安定したウェブ状包装材の供給を行うことができる。その結果、正確で綺麗であり不良品の発生率の極めて低い包装体を製造することができる。更に、製袋充填包装装置に適用される場合に、本発明による包装材供給装置おいては、間欠送りの停止時にウェブ状包装材が弛まずフォーマ上で浮き上がることもなく、一定の張力が付与される。また、送り再開時にもウェブ状包装材はバタキが無く且つ強く引っ張られることも無い。したがって、弛んだウェブ状包装材がフォーマのエッジに強く押し当てられることに起因して傷が付く、更にはその傷が残るということもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による包装装置における包装材供給装置の実施例を説明する。図1はこの発明による包装装置における包装材供給装置の一実施例を示す概略図、図2は図1に示す包装材供給装置の正面図である。図1は、包装装置として縦型製袋充填包装装置に適用した場合の包装材供給装置を示す図である。
【0023】
図1及び図2に示す包装材供給装置1は、例えばホッパから製品Aが投入される充填筒31を備えた縦型製袋充填包装装置30に付設されている。縦型製袋充填包装装置30は、それ自体周知の包装装置でよく、断面筒形の充填筒31の外に、充填筒31の上部に装着されて平坦なウェブ状包装フィルムFwを筒状包装フィルムFtに曲成するフォーマ32、筒状包装フィルムFtの互いに合わされた側縁部をシールする縦シール手段33、更に図示しないが、筒状包装フィルムFtから先行して形成され且つ充填筒31に投入された製品Aを収容した包装袋体Pの上部において筒状包装フィルムFtに横ヒートシールを施して、包装袋体Pの上部を封鎖すると共に後続の包装袋Bとなる底部を形成する横シール手段34を備えている。
【0024】
縦シール手段33は、例えば、エアシリンダのような作動機構によって互いに接近離間する一対の縦ヒートシールバーから構成することができる。また、横シール手段34は、例えば、カムリンク機構等の作動機構によって互いに接近離間する一対の横ヒートシールバーから構成することができる。一方の横ヒートシールバーの中間位置には、袋包装体を筒状包装フィルムFtから切断するためのカッタ35を出入り可能に設けることができる。充填筒31の外側両側には、充填筒31との間に筒状包装フィルムFtを挟んで走行させる間欠送り手段36が配設されている(一方側のみ図示)。間欠送り手段36は、サーボモータのような駆動源37と、駆動源37によって駆動されるプーリ38,38及びプーリ38,38に巻き掛けられた送りベルト39とから構成されている。縦シール手段33及び横シール手段34が間欠動作であるので、駆動源37は、この間欠動作に合わせて送りベルト39を間欠的に駆動するので、筒状包装フィルムFt及びその上流の一部のウェブ状包装材Fwは、間欠送りとなる。
【0025】
一方、ウェブ状包装材Fwは、ウェブ状包装材Fwを巻き取っているロール40から、連続送り手段41によって連続的に繰り出される。連続送り手段41は、ウェブ状包装材Fwが巻き掛けられる送りローラ42と、ウェブ状包装材Fwを送りローラ42に押さえる押さえローラ43とから構成されている。送りローラ42は、専用のサーボモータで駆動される。送りローラ42の回転駆動によって、ウェブ状包装材Fwがその回転量に応じて連続して繰り出される。
【0026】
連続送り手段41によって連続的に繰り出されたウェブ状包装材Fwは、後述するように、後続の貯留手段2において貯留されるとともに張力付与が行われる。貯留手段2は、連続送り手段41と間欠送り手段36とによる送り量の差を吸収可能である。貯留手段2を経て張力付与がされたウェブ状包装材Fwは、更に適宜の位置に配置されたガイドローラ25,26によって案内されつつ、上記した縦型製袋充填包装装置30に送られる。ウェブ状包装材Fwは、縦型製袋充填包装装置30に備わり且つ紙送り手段としての間欠送り手段36の引っ張り力によってフォーマ32に向かって安定して送られる。
【0027】
貯留手段2は、縦に概して平行に且つ互いに対向配置された2枚のガイド板3,4を備えている。2枚のガイド板3,4は、透明板又は金属板等、ウェブ状包装材Fwの幅以上の板幅を有する適宜の板材から形成されている。しかしながら、後述するように、センサやミラー、或いは吸引手段との配置の観点で、適宜、孔や切り込み等を形成することができる。ガイド板3,4の上下左右はいずれも開放されており、開放上部5はウェブ状包装材Fwの出入り部となっており、底部は従来の吸引室とは異なり開放下部6と成っている。連続的に繰り出されたウェブ状包装材Fwは、2枚のガイド板3,4の内側において、板面に沿って走行する走行部Fw1,Fw2と、走行部Fw1,Fw2を繋ぐ反転部Fw3とから成る貯留部を形成している。送りローラ42から送り出されたウェブ状包装材Fwは、走行部Fw1において貯留手段2の内部を入口側のガイド板3に沿って降下し、その後、ガイド板3の下端付近で反転部Fw3において反転し、走行部Fw2において出口側のガイド板4に沿って上昇する。このように、貯留手段2は、基本的に2枚のガイド板3,4から成り、非常に簡単な構造を有していながら、ウェブ状包装材Fwの貯留形態を走行部Fw1,Fw2と反転部Fw3とに規制している。
【0028】
ガイド板4の開放上部5はウェブ状包装材Fwの出口側となっているが、その近傍にファンモータ8と、ファンモータ8で駆動されるファン9とから成る吸引手段7が配置されている。吸引手段7は、ウェブ状包装材Fwに吸い込み面10が当てられていて、ファン9が回転するときにエアーを吸い込むので、ウェブ状包装材Fwの吸い込み面10は負圧になっている。ガイド板4の吸い込み面10に対応する部分は、窓又はメッシュ板の構造となっており、エアーを吸引可能となっている。一方、吸い込み面10とは反対側であるウェブ状包装材Fwの貯留手段2の内部側には通常の外気圧力が作用している。この圧力差は、ウェブ状包装材Fwの走行時に走行抵抗を生じさせる原因となるので、ウェブ状包装材Fwには、吸い込み面10を通過する領域において、走行抵抗を与えることができる。この走行抵抗に基づいて、ウェイトローラやテンションローラを設けることなく、間欠送り手段36で引かれるウェブ状包装材Fwには、張力が作用する。走行抵抗は圧力差が一定であれば同じ程度に保たれるので、貯留手段2に貯留される量の変動に関わらず、張力も一定に維持される。ファンモータ8の回転量は可変であるので、ウェブ状包装材Fwの特性(材質、厚さ等)に応じて回転量を変更して、走行抵抗、即ち、張力を可変とすることができる。
【0029】
貯留手段2には、徐電バー形式のエアー吹き付け具15が設けられている。エアー吹き付け具15は、貯留手段2の開放上部5に、ウェブ状包装材Fwの幅方向に延びる管の形式で設けられており、下側に並んで開口した複数の吹き出し口から反転部Fw3に向かって下方にエアーを吹き付ける。エアー吹き付け具15から吹き出されたエアーは、ウェブ状包装材Fwの主として反転部Fw3に作用して、ウェブ状包装材Fwを下方向に吹き孕ませる働きをする。一方、ウェブ状包装材は静電気が帯電しやすいという性質があり、帯電したウェブ状包装材は包装材同士或いは他の機器に付着して、トラブルの原因に成りやすい。エアー吹き付け具15は、徐電バー形式であるので、ウェブ状包装材Fwに帯電する静電気を除いて、ウェブ状包装材Fwのまとわりつきを防止する。したがって、送り量の差に起因してウェブ状包装材Fwに現れようとする弛みやずれは、エアーの作用によって吸収され、大きな弛みやずれに発達することを防止することができる。
【0030】
吸引手段7は、吸引源に接続され且つ吸い込み面10側をウェブ状包装材Fwに向けたダクトとすることもできる。図3は、このダクト18を用いた一例が示されている。吸い込みポンプのような吸引源からのダクト18を貯留手段2に導くことにより、ファンの場合と同様に、ダクト18の吸い込み面19が当たるウェブ状包装材Fwにはその反対側に作用する外気の圧力との間に圧力差が生じる。走行抵抗によって、縦型製袋充填包装装置30に向かうウェブ状包装材Fwには張力が与えられる。この場合、吸引源は、エアー吹き付け具15へのエアーの供給源として利用することができる。
【0031】
ガイド板4には、その幅方向中央位置に、ウェブ状包装材Fwの反転部Fw3の位置を検出する複数のセンサ20を縦に並んで配置することができる。センサ20に対応して、ガイド板4には、光通路用の孔やスリットを形成する、或いは該当部分を透明化することができる。この例では、センサは光学式であり、反対側のガイド板3には、センサ20に対向した位置に光反射用のミラー21が並べて配置されている。センサ20とミラー21との光路中にウェブ状包装材Fwが存在していなければセンサ20は自己の発した光を検知可能であるが、光路中にウェブ状包装材Fwが存在していると、センサ20は自己の発した光がウェブ状包装材Fwで遮られて検知できない。センサ20が自己の光を検出しない下限位置がウェブ状包装材Fwの反転部Fw3に相当するので、上下変動する可能性がある反転部Fw3の位置を逐次検出することができる。反転部Fw3の位置を検出することによって、貯留手段2に蓄えられるウェブ状包装材Fwの長さが算出される。この算出長さに基づいて、連続送り手段41によるウェブ状包装材Fwの送り速度を図示しない制御装置によって制御することができる。このウェブ状包装材Fwの送り速度制御で、貯留手段2に蓄えられるウェブ状包装材Fwの長さを、目標の長さに制御することができる。反転部Fw3の位置が上昇すると送りローラ42の回転速度を速くし、反転部Fw3の位置が下降すると送りローラ42の回転速度を遅くして、貯留手段2に送られるウェブ状包装材の貯留量が、常に、一定になるように制御されている。
【0032】
図4は、図1に示す包装材供給装置の間欠送りの停止時におけるフォーマの回りにおけるウェブ状包装材の送り状態を示す概略図であり、(a)は縦型製袋充填包装装置の要部の側面図、(b)はウェブ状包装材に生じる傷の状況を示す図である。図4に想像線で示すように、包装材供給装置が適用されるウェブ状包装材を成形するフォーマ32を持つ製袋充填包装装置においては、従来、ウェブ状包装材Fwの間欠送りの停止時に、その慣性によって僅かな進みが生じること及び張力が無くなることによって、ウェブ状包装材Fwが弛んでフォーマ32から浮き上がる(Fw’で示す)という現象が生じている。この状態で送りの再開が行われると、図4(b)に示すように、ウェブ状包装材Fwには、フォーマ32のエッジが押し当てられた傷跡44(想像線で示す)が付き、傷跡44は容易に消えず、残ってしまう。これに対して、本発明では、吸引手段7による走行抵抗が存在するので、間欠送りの停止時にウェブ状包装材Fwが弛まずフォーマ32上で浮き上がることもなく、一定の張力が付与される。また、送り再開時にもウェブ状包装材Fwはバタキが無く且つ強く引っ張られることも無く、スムーズに送りが再開される。したがって、弛んだウェブ状包装材Fwがフォーマのエッジに強く押し当てられることに起因して傷が残るということもない。
【0033】
以上、本発明による包装材供給装置を縦型製袋充填包装装置のウェブ状包装材の供給に適用した例を説明したが、本発明はこれに限らず、他の包装装置、横型の製袋充填包装装置や上包み包装装置にも適用可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明による包装装置における包装材供給装置の一実施例を示す概略図である。
【図2】図1に示す包装材供給装置の貯留手段の正面図である。
【図3】図1に示す包装材供給装置の別例を示す部分図である。
【図4】図1に示す包装材供給装置の間欠送りの停止時におけるフォーマの回りにおけるウェブ状包装材の送り状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0035】
1 包装材供給装置 2 貯留手段
3,4 ガイド板
5 開放上部 6 開放下部
7 吸引手段 8 ファンモータ
9 ファン 10 吸い込み面
15 エアー吹き付け具
18 ダクト 19 吸い込み面
20 センサ 21 ミラー
25,26 ガイドローラ
30 縦型製袋充填包装装置 31 充填筒
32 フォーマ 33 縦シール手段
34 横シール手段 35 カッタ
36 間欠送り手段 37 駆動源
38 プーリ 39 送りベルト
40 ロール
41 連続送り手段 42 送りローラ
43 押さえローラ 44 傷跡
A 製品 P 包装袋体
Fw ウェブ状包装フィルム
Ft 筒状包装フィルム
Fw1,Fw2 走行部 Fw3 反転部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ状包装材を連続的に送る連続送り手段、包装装置に配設されており前記ウェブ状包装材を前記包装装置の包装動作に合わせて間欠的に走行させる間欠送り手段、及び前記連続送り手段の下流側で且つ前記包装装置に至る途中に配置され前記両送り手段による送り量の差を吸収可能な貯留手段を備え、前記貯留手段の出口側には前記ウェブ状包装材に吸い込み面が当てられていて前記ウェブ状包装材に走行抵抗を与える吸引手段が配設されていることから成る包装装置における包装材供給装置。
【請求項2】
前記貯留手段は、互いに対向配置された2枚のガイド板を備えており、前記連続送り手段で連続して送られた前記ウェブ状包装材を、前記ガイド板間において、反転部の前後でそれぞれ前記各ガイド板に沿った走行部を持つ弛み走行路を形成していることから成る請求項1に記載の包装装置における包装材供給装置。
【請求項3】
前記ガイド板間には、前記両走行部間で且つ前記反転部に向かってエアーを吹き付けるエアー吹き付け具が配置されていることから成る請求項2に記載の包装装置における包装材供給装置。
【請求項4】
前記エアー吹き付け具は、前記ウェブ状包装材に帯電した静電気を取り除く徐電機能を備えることから成る請求項3に記載の包装装置における包装材供給装置。
【請求項5】
前記ガイド板は、前記ウェブ状包装材を上方から出入りさせると共に前記反転部を下側に置いた縦に配置されており、前記エアー吹き付け具は前記ガイド板の上端間に配置されてエアーを下方に向けて吹き出すことから成る請求項3又は4に記載の包装装置における包装材供給装置。
【請求項6】
前記ガイド板には、前記ウェブ状包装材の前記反転部の位置を検出するセンサが配置されており、前記センサが検出した前記反転部の位置に応じて前記連続送り手段による前記ウェブ状包装材の送り速度を制御することから成る請求項2に記載の包装装置における包装材供給装置。
【請求項7】
前記吸引手段は、前記吸い込み面側を前記ウェブ状包装材に向けたファンであることから成る請求項1に記載の包装装置における包装材供給装置。
【請求項8】
前記吸引手段は、吸引源に接続され且つ前記吸い込み面側を前記ウェブ状包装材に向けたダクトであることから成る請求項1に記載の包装装置における包装材供給装置。
【請求項9】
前記連続送り手段は、駆動手段によって駆動され且つ前記ウェブ状包装材の集積部から前記ウェブ状包装材を繰り出す繰出しローラであることから成る請求項1に記載の包装装置における包装材供給装置。
【請求項10】
前記包装装置は、前記ウェブ状包装材を筒状包装材に曲成するフォーマと、前記筒状包装材を外側に走行させるとともに内部に製品が投入される充填筒と、前記製品が充填された前記筒状包装材を封鎖して前記製品が充填された袋包装を製造する縦型製袋充填包装装置であり、前記間欠送り手段は前記筒状包装材に作用して間欠的に送ることから成る請求項1〜8のいずれか1項に記載の包装装置における包装材供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−89053(P2006−89053A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−274254(P2004−274254)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000148162)株式会社川島製作所 (90)
【Fターム(参考)】