説明

包装装置

【課題】包装時に噛み込み不良が発生したときに、不良品の袋のストリップバッグへの混入を防止することができる包装装置を提供する。
【解決手段】フィルムFを挟み付けたときの両シールジョー21,21間の間隔dを検出するための第1及び第2近接センサ32,33と第1及び第2検知部材35,36とを備える。包装部のコントロールユニットは、第1及び第2近接センサ32,33による検出信号に基づいて噛み込みの有無を判定し、噛み込みが有ると判定したときに、貼付部のコントロールユニットは、シールジョー21,21によりシールされた箇所の下流側及び上流側の袋に対する貼付部の把持機構による把持動作と貼付機構による貼付動作とテープ供給機構によるテープ供給動作とを停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被包装物を袋状に包装したのち所定個数の袋をテープに貼り付けて、吊り下げ形態で陳列されるストリップバッグを製造する包装装置に関し、物品包装の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、スナック菓子等の被包装物をプラスチックフィルム等で包装した袋がテープに所定個数貼り付けられて、テープの一端部から吊り下げ状態で陳列されるストリップバッグと呼ばれる商品がある。
【0003】
このようなストリップバッグを製造する装置としては、例えば特許文献1に開示のものがある。この装置は、フィルムを縦横にシールする縦シール機構及び横シール機構を有する包装部で、計量機から供給された被包装物を袋状に包装したのち、受取位置で前記包装部から袋を受け取る把持機構、該把持機構に把持された袋を貼付位置へ移送する移送機構、該移送機構で移送された袋をテープに貼り付ける貼付機構、及び貼付位置へテープを供給するテープ供給機構を有する貼付部で、所定個数の袋を所定間隔でテープに貼り付けるように構成されている。なお、この特許文献1に開示の装置では、移送機構の移送動作は、横シール機構のシール動作に連動して行なわれるように構成されている。
【0004】
ところで、包装部で不良品の袋が発生し、それが貼付部でテープに貼り付けられると、製造されたストリップバッグ全体が不良となって、多数の袋が無駄になるという問題がある。その場合、この問題に対処するため、例えば製造されたストリップバッグを検査することにより異常な袋を見つけ出して取り除き、代わりに良品の袋をテープに貼り付けることが考えられるが、このような作業は人手がかかって面倒である。
【0005】
そこで、前記特許文献1に記載の装置では、計量機からの計量不良信号を受けたときには、該当する不良品の袋についてはテープに貼り付けず排除されるように、貼付部の動作が制御される構成となっている。これにより、ストリップバッグに不良品の袋が混入することがなくなり、前述した問題が解消されるようになる。
【0006】
【特許文献1】特開2004−90949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記特許文献1に記載の装置は、計量不良信号に基づいて貼付部の動作を制御することにより、不良品の袋がストリップバッグに混入するのを防止するものであるため、前記計量不良信号を利用することができる不良発生には対応可能であるが、例えば包装時に横シール機構により両側から挟み付けられるフィルムへの異物の噛み込み不良には対応不可である。したがって、噛み込みのためにピンホール発生のおそれがある袋が、ストリップバッグに混入する可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は、包装時に噛み込み不良が発生したときに、不良品の袋のストリップバッグへの混入を防止することができる包装装置の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
【0010】
まず、請求項1に記載の発明は、被包装物をフィルムで袋状に包装する包装部と、該包装部で製造された所定個数の袋をテープに貼り付ける貼付部とを有する包装装置であって、前記包装部は、フィルムを一対のシールジョーで挟み付けて横方向にシールする横シール手段と、フィルムを挟み付けたときの両シールジョー間の間隔を検出する検出手段とを有していると共に、前記貼付部は、前記横シール手段から袋を受け取る把持手段と、該把持手段により把持された袋を受取位置から貼付位置へ移送する移送手段と、前記貼付位置へテープを間欠供給するテープ供給手段と、前記貼付位置で前記移送手段により移送された袋をテープに貼り付ける貼付手段とを有しており、かつ、前記検出手段により検出された前記間隔に基づいて、噛み込みの有無を判定する判定手段と、該判定手段により噛み込みが有ると判定されたときに、前記シールジョーによりシールされた箇所の下流側及び上流側の袋に対する前記把持手段による把持動作と前記移送手段による移送動作と前記貼付手段による貼付動作とのうちの少なくとも一つの動作を停止させると共に、テープ供給手段によるテープ供給動作を停止させる制御手段とが備えられていることを特徴とする。
【0011】
次に、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の包装装置において、前記制御手段は、前記横シール手段から噛み込みが有ると判定された袋を受け取るとき、前記把持手段による把持動作を停止させ、かつ、当該袋を排出する排出手段が備えられていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1または請求項2に記載の包装装置において、前記制御手段は、噛み込みが有ると判定された袋に対する前記動作を停止したのち、前記判定手段が前記包装部で製造された袋に対して噛み込みが無いと判定したときには、停止された前記動作を解除させることを特徴とする。
【0013】
そして、請求項4に記載の発明は、前記請求項1から請求項3のいずれかに記載の包装装置において、前記検出手段は、前記シールジョーの両端部の間隔を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
まず、請求項1に記載の発明によれば、検出手段により両シールジョー間の間隔が予め設定された所定値以上に広い場合には、判定手段は、噛み込みが有ると判定することができる。そして、制御手段は、噛み込みが有ると判定されたときには、シールジョーによりシールされた箇所の下流側及び上流側の袋に対する把持手段による把持動作と移送手段による移送動作と貼付手段による貼付動作とのうちの少なくとも一つの動作を停止させるように制御するので、例えば、把持手段による把持動作が停止された場合には、袋は把持手段によって受け取られないから、また、移送手段による移送動作が停止された場合には、袋は把持手段によって受け取られても受取位置で把持された状態のまま留まるから、そして、貼付手段による貼付動作が停止された場合には、袋が移送手段によって貼付位置へ移送されてもテープに貼り付けられないから、いずれの場合にも、不良品の袋のストリップバッグへの混入を防止することができる。
【0015】
しかも、テープ供給手段によるテープ供給動作が停止されるので、テープに余計な隙間が空くことはなく、品質の維持されたストリップバッグが製造される。
【0016】
次に、請求項2に記載の発明によれば、把持手段は、横シール手段から噛み込みが有ると判定された袋を受け取らないので、例えば縦ピロー式の包装部では、横シール後、横シール手段から解放された袋は、落下したのち排出手段により排出されて、不良品の袋は確実に系外に回収される。
【0017】
また、請求項3に記載の発明によれば、包装部における袋の製造が噛み込み不良の無い正常に復帰すると、貼付部において停止された動作が自動的に解除されるので、生産効率が維持される。
【0018】
ところで、シールジョーが横方向に長い場合、シールジョー間の一方の端部近傍で噛み込みが発生すると、噛み込んだ異物の介在によって両シールジョーが水平面内で互いに傾斜する結果、前記一方の端部ではシールジョー間の間隔が広くなって噛み込みが有ると判定されるものの、他方の端部ではシールジョー間の間隔が狭くなって噛み込みが無いように判定される可能性がある。
【0019】
その場合に、請求項4に記載の発明によれば、検出手段は、シールジョーの両端部の間隔を検出するので、判定手段が、いずれかの端部における間隔に基づいて噛み込みが有ると判定すれば、制御手段が、前述した動作を停止させることにより、噛み込み不良を見逃すことがなくなり、ストリップバッグへの不良品の袋の混入を一層確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0021】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る包装装置1は、スナック菓子等の被包装物をフィルムFで包装して袋Xを製造する包装部2と、所定個数の袋X…XをテープTに貼り付ける貼付部3と、テープTに貼り付けられた状態で袋X…Xを次工程に搬出する搬出コンベア4と、不良品の袋Xを強制排出する回収箱5aを備えた排出コンベア5とを有している。
【0022】
まず、包装部2は、周知の縦ピロー式のもので、本体1aに、フィルムロールF′を保持するフィルムロール保持機構11と、上部が漏斗形状とされると共に下部が円筒形状とされて、直上方から被包装物が投入されるチューブ12と、該チューブ12に取り付けられて、フィルムロールF′から繰り出されたシート状のフィルムFの左右両縁部を重ね合わせて筒状とするセーラ部材13と、前記チューブ12の正面視で左右両側に配置されて、フィルムFを該チューブ12の左右両側面に押し付けながら下方に搬送する一対のプルダウンベルト機構(一方のみ図示)14,14と、前記チューブ12の前面に取り付けられて、前記重ね合わせ部を縦方向にシールして筒状に成形する縦シール機構15と、被包装物が収容された筒状フィルムFを横方向にシールすると共に横シール部の中央で横方向に切断する横シール機構16とが組み付けられており、被包装物が充填された袋Xを連続的に製造することができるようになっている。
【0023】
図2〜図4に示すように、横シール機構16は、筒状フィルムFを前後両側から挟み付けて加熱しつつ圧接することによりシールする、一対の横方向に長いシールジョー21,21を有しており、該シールジョー21,21は、図示しない回転機構により側面視で一点鎖線で示す略D字状の軌跡(図4参照)を描いて旋回し、フィルムFを挟んで対接離反する。
【0024】
図2及び図3に示すように、シールジョー21,21は、シール時に挟み付けたフィルムFを加熱するためのヒータ22…22を備えており、また、一方のシールジョー21には、エアシリンダ23の駆動によって他方のシールジョー21方向に進出して横シール部を上下に切断するカッタ24が内蔵されている。そして、シールジョー21,21の対接面は、シール時に互いに噛合可能に凹凸形状とされている。
【0025】
各シールジョー21は、左右一対の取付ブロック25,25を介して一対の支持ブロック26,26に固定されている。一対の支持ブロック26,26は、下部が左右に延びる連結板27で固定されていると共に、左右に延びる結合軸28を回転自在に支持している。結合軸28の両端部に、シールジョー21を前記軌跡を描くように旋回させるための旋回アーム29,29が連結されている。
【0026】
一方の旋回アーム29,29側の支持ブロック26,26に、図示しない駆動源からの動力を伝達するギヤ機構30,30が備えられており、一対のシールジョー21,21は、結合軸28,28を中心に回動して、互いに対向する姿勢に保持される。
【0027】
そして、一方のシールジョー21を両端部で支持する支持ブロック26,26の上面に、ブラケット31,31を介して磁気式の第1及び第2近接センサ32,33が、対向する他方のシールジョー21を両端部で支持する支持ブロック26,26の上面に、固定部材34,34を介して第1及び第2検知部材35,36が、それぞれ設置されている。すなわち、第1及び第2近接センサ32,33と第1及び第2検知部材35,36とは、シールジョー21,21を支持する支持ブロック26…26に取り付けられているから、これらシールジョー21,21と一体に移動し、第1及び第2近接センサ32,33で対向する第1及び第2検知部材35,36を検知することで、各箇所における両シールジョー21,21間の間隔dが、正常に対接したときのものか異物の噛み込みが発生したときのものかを検出することができる。
【0028】
次に、図1及び図4に示すように、貼付部3は、受取位置P1で包装部2の横シール機構16から製造された袋Xを受け取る把持機構41と、該把持機構41により把持された袋Xを斜め下方の貼付位置P2へ移送する移送機構42と、本体1aの後部でテープロールT′を保持するテープロール保持機構43(図1参照)と、テープロールT′から繰り出されたテープTを貼付位置P2へ間欠供給するテープ供給機構44と、貼付位置P2で前記移送機構42により移送された袋XをテープTに貼り付ける貼付機構45と、貼付位置P2でテープTに吊り下げ用のパンチ穴やミシン目を形成するための切断機構46とを備えている。
【0029】
図4及び図5に示すように、把持機構41は、テープTの供給経路を挟んで両側かつ筒状フィルムFつまり製造される袋Xの横方向両側に備えられており、それぞれ、本体部51と、該本体部51に回動自在に支持された一対のチャック部材52,52とを有しており、また、該チャック部材52,52の先端部を開閉させる図示しないエアシリンダを内蔵している。そして、一対の把持機構41,41により、横シール機構16でシールされた袋Xは、受取位置P1で上部を両側から把持される。
【0030】
移送機構42は、同じくテープTの供給経路を挟んで両側かつ製造される袋Xの横方向両側に備えられており、それぞれ、一対の固定部材61,61により上下両端部が固定されて、傾斜して上方に延びる一対のレール62,62と、該レール62,62に沿って移動可能なスライド部材63と、一方の端部が一対の連結ロッド64,64を介して該スライド部材63に固定されると共に他方の端部が前記把持機構41の本体部51に固定されて、傾斜して上方に延びるサポート部材65と、一方の端部が前記スライド部材63の下端部に回動自在に連結されたリンク部材66と、一方の端部が該リンク部材66の他方の端部に連結された回転部材67と、該回転部材67の他方の端部が固着された回転軸68とを有している。
【0031】
両移送機構42,42における回転軸68,68の一方の端部に、プーリ68a,68aが組み付けられている。本体1aに支持された一対の側壁板1b,1b間に、連結軸69が回転自在に支持されており、該連結軸69の側壁板1b,1bから外方へ突出する両端部に、プーリ69a,69aが組み付けられている。そして、両側において対応する回転軸68側のプーリ68aと連結軸69側のプーリ69aとの間に、タイミングベルト70が巻き掛けられている。
【0032】
一方の回転軸68の前記プーリ68aの内側に、別なるプーリ68bが組み付けられている。前記横シール機構16のシールジョー21を旋回させるための図示しないモータにより回転する軸16aに、プーリ16bが組み付けられている。そして、該プーリ16bと前記回転軸68側のプーリ68bとの間に、タイミングベルト71が巻き掛けられている。これにより、前記モータの動力は、タイミングベルト70,70,71を介して一対の回転軸68,68に伝達されて回転部材67,67が回転する結果、リンク部材66,66を介して一対のスライド部材63,63は、シールジョー21の動作に機械的に連動して受取位置P1と貼付位置P2との間を往復移動することになる。
【0033】
テープ供給機構44は、テープロール保持機構43に保持されたテープロールT′から繰り出されたテープTを貼付位置P2へ間欠供給するためのものである。本体1aに支持された支持板1cにサーボモータ81が取り付けられており、該モータ81の出力軸に組み付けられたプーリ81aと、テープTを前方へ供給するためのローラ82,82と同軸に組み付けられたプーリ82a,82aとに、タイミングベルト83が巻き掛けられている。これにより、サーボモータ81の動力は、タイミングベルト83を介して2つのプーリ82a,82aひいては供給ローラ82,82に伝達されて、テープTが前方へ送り出される。
【0034】
貼付機構45は、テープ供給機構44により供給されたテープTに、移送機構42により受取位置P1から貼付位置P2へ移送された袋Xを貼り付けるもので、前記支持板1cに組み付けられて、テープTと袋Xの横シール部とを加熱するヒータブロック91と、テープTと袋Xの横シール部とを該ヒータブロック91に押圧するクランプ部材92とを有している。クランプ部材92は、前記支持板1cに支軸92aを中心に揺動自在に支持されており、その揺動端部に、一方の側壁板1bに揺動自在に支持されたエアシリンダ93の出力ロッド先端が連結されている。これにより、エアシリンダ93の出力ロッドが後退してクランプ部材92が二点鎖線で示す状態から実線で示す状態に揺動したとき(図4参照)、揺動端部がヒータブロック91との間に、上側に位置する袋Xの横シール部と下側に位置するテープTとを挟み付けて押圧して、両者を溶着する。
【0035】
図4に示すように、テープTの供給経路におけるヒータブロック91の上流側かつテープ供給機構44の下流側に、切断機構46が配設されている。この切断機構46は、前記支持板1cに組み付けられており、エアシリンダ94と、該エアシリンダ94の上下方向に進退する出力ロッド先端部に取り付けられた上流側のパンチ95と下流側のカッタ96とを有している。パンチ95は、テープTに商品であるストリップバッグを吊り下げるためのパンチ穴を形成し、カッタ96は、テープTに切断するためのミシン目を形成する。
【0036】
次に、この包装装置1の制御システムについて説明すると、図6に示すように、包装部2を制御するコントロールユニット2Aと、該コントロールユニット2Aに接続されると共に貼付部3を制御するコントロールユニット3Aとが備えられている。
【0037】
包装部2のコントロールユニット2Aは、プルダウンベルト機構14及び縦シール機構15に制御信号を出力すると共に、横シール機構16の旋回用モータ16Mとヒータ22と切断用エアシリンダ23とに制御信号を出力する。また、コントロールユニット2Aは、第1及び第2近接センサ32,33からの検出信号を入力すると共に、この検出信号に基づいて、つまりフィルムFを挟み付けて対接したときの一対のシールジョー21,21間の間隔dが、予め設定された所定値より大きいか小さいかに基づいて、噛み込みの有無を判定する。そして、コントロールユニット2Aは、噛み込みが無いと判定したときには、貼付部3のコントロールユニット3Aへ、後述する所定の動作を実行させる把持トリガ信号を出力し、噛み込みが有ると判定したときには、前記把持トリガ信号を出力しない。
【0038】
貼付部3のコントロールユニット3Aは、把持機構41のチャック部材52,52の先端部を開閉駆動する把持用エアシリンダ41C、テープ供給機構44の供給用サーボモータ81、貼付機構45のヒータブロック91及び貼付用エアシリンダ93、切断機構46の切断用エアシリンダ94、及び不良品の袋Xを強制排出する排出コンベア5に、制御信号を出力する。そして、コントロールユニット3Aは、包装部2のコントロールユニット2Aから前記把持トリガ信号を入力したときには、把持機構41による把持動作と、貼付機構45による貼付動作と、テープ供給機構44によるテープ供給動作と、切断機構46による切断動作とを実行させ、前記把持トリガ信号を入力しなかったときには、前述した各動作を停止させる。
【0039】
次に、この包装装置1の作用について説明する。
【0040】
図1に示したように、包装部2において、フィルムロール保持機構11から繰り出されたフィルムFは、縦シール機構15により縦方向にシールされたのち、横シール機構16により横方向にシール及び切断されて、被包装物が充填された袋Xが製造される。
【0041】
図4に二点鎖線で示したように、横シール機構16から解放される前に、袋Xは上部の横方向両側を、貼付部3の把持機構41,41に備えられたチャック部材52…52により把持される。横シール機構16から袋Xが解放されると、袋Xはチャック部材52…52により把持された状態で、移送機構42,42により受取位置P1から貼付位置P2へ斜め下方に移送される。
【0042】
一方、テープロール保持機構43に保持されたテープロールT′から繰り出されたテープTは、テープ供給機構44により間欠供給されて、貼付機構45のヒータブロッ91に至っている。そして、移送機構42,42により貼付位置P2へ移送された袋Xの上側の横シール部が前記ヒータブロック91上のテープTにあてがわれると、貼付機構45のクランプ部材92が支軸92aを中心として二点鎖線で示す状態から実線で示すように揺動して、前記横シール部はテープTに押圧される。その結果、横シール部はテープTに溶着され、もって袋XはテープTに貼り付けられる。
【0043】
また、所定個数の袋X…XがテープTに貼り付けられると、ヒータブロック91とクランプ部材92との間にテープTが挟持されている間に、切断機構46のパンチ95とカッタ96とが上動し、テープTに吊り下げ用のパンチ穴と切断用のミシン目とが形成される。
【0044】
そして、袋X…Xは、テープTに貼り付けられた状態で貼付部3から搬出コンベア4に載置され、次工程に搬送される。なお、ミシン目でテープTを切断することにより、小売店等で吊り下げ形態で陳列される、所定個数の袋X…XがテープTに貼り付けられてなるストリップバッグが得られる。
【0045】
ここで、包装部2の横シール機構16における噛み込みが有る場合と無い場合とについて、貼付部3の動作の違いについて詳しく説明する。
【0046】
まず、図7に示すように、横シール機構16の一対のシールジョー21,21がフィルムFを挟んで対接したときに、両シールジョー21,21間の間隔d1が予め設定された所定値以下であると、第1及び第2検知部材35,36に対向する第1及び第2近接センサ32,33からの検出信号に基づいて、包装部2のコントロールユニット2Aは、噛み込みが無いと判定する。この場合には、横シールして製造された袋Xは良品である。
【0047】
一方、図8に示すように、横シール機構16の一対のシールジョー21,21がフィルムFを挟んで対接したときに、符号Aで示す箇所で両シールジョー21,21間に異物Zが噛み込まれた結果、両シールジョー21,21間の間隔d2が予め設定された所定値以上であると、第1及び第2検知部材35,36に対向する第1及び第2近接センサ32,33からの検出信号に基づいて、包装部2のコントロールユニット2Aは、噛み込みが有ると判定する。この場合には、前記箇所Aの下流側の製造された袋Xと上流側のフィルムFが次回に横シールされてなる袋Xとが不良品となる。
【0048】
すなわち、図9に示すように、後述する符号Bで示す第1及び第2近接センサ32,33からの噛込発生信号が無いと、包装部2のコントロールユニット2Aは、時間t1で切断信号を出力して、カッタ24に横シール部を上下に切断させると共に、時間t2で貼付部3のコントロールユニット3Aに把持トリガ信号を出力する。この把持トリガ信号を入力した貼付部3のコントロールユニット3Aは、時間t3で把持機構41に把持信号を出力するので、エアシリンダ41Cが駆動してチャック部材52…52により横シール機構16から製造された良品の袋Xが受け取られる。把持機構41が組み付けられた移送機構42は、横シール機構16に連動して動作するため、把持された状態の袋Xは受取位置P1から貼付位置P2へ移送される。なお、動作を明快に説明するため、袋Xに適宜固有の符号を付すことにする。
【0049】
次いで、コントロールユニット3Aは、時間t4で貼付機構45に貼付信号を出力するので、エアシリンダ93が駆動してクランプ部材92により前記袋Xが横シール部を介してテープTに貼り付けられる。また、所定個数の袋X…XがテープTに貼り付けられると、コントロールユニット3Aは、時間t5で切断機構46に切断信号を出力するので、エアシリンダ94が駆動してパンチ95とカッタ96とによりテープTにパンチ穴とミシン目とが形成される。そして、コントロールユニット3Aは、時間t6でテープ供給機構44にテープ供給信号を出力するので、サーボモータ81が時間t7まで駆動してテープTは所定長さだけ前方に供給される。すなわち、時間t3から時間t7までの期間Tが、貼付部3における動作の1サイクルである。
【0050】
次いで、時間t7で符号Bで示す噛込発生信号が有ると、カッタ24を動作させる切断信号を出力しなく、また、貼付部3のコントロールユニット3Aに把持トリガ信号を出力しない。この把持トリガ信号を入力しない貼付部3のコントロールユニット3Aは、前述した把持信号、貼付信号、切断信号、及びテープ供給信号を出力しない。したがって、この場合には、横シール機構16の動作に連動して移送機構42は動作するものの、把持機構41、貼付機構45、切断機構46、及びテープ供給機構44は動作を停止させられるので、製造された不良品のうちの噛込箇所Aより下流側の袋Xは上流側の部分から切断されない状態に留まり、テープTに貼り付けられることはない。なお、貼付機構45の動作が停止されるため、クランプ部材92が、袋Xがあてがわれていない状態のテープTをヒータブロック91に押圧することはなく、もってテープTの余計な損傷が回避される。
【0051】
次いで、時間t8で噛込発生信号が無いと、包装部2のコントロールユニット2Aは、切断信号を出力する一方、貼付部3のコントロールユニット3Aに把持トリガ信号を出力しない。したがって、前回横シールにより製造された不良品の袋X,Xが噛込箇所Aを挟んだ二連状態で得られることになり、その場合に、貼付部3における把持機構41、貼付機構45、切断機構46、及びテープ供給機構44は動作を停止させられるので、前記袋X,Xは前記二連状態で不良品排出コンベア5に載置されて、回収箱5aに回収される。なお、不良品の袋X,Xを二連状態で得るため、不良品と良品との区別が外観上容易となる。
【0052】
次いで、時間t9で噛込発生信号が無いと、包装部2のコントロールユニット2Aは、切断信号を出力すると共に、貼付部3のコントロールユニット3Aに把持トリガ信号を出力する。この場合、まだ所定の個数の袋X…XがテープTに貼り付けられていないから、貼付部3では、切断機構46による切断動作を除く前記期間Tの1サイクルの動作が実行されて、製造された良品の袋Xは、テープTに貼り付けられる。なお、時間t7から時間t9までの期間に、期間Tの動作サイクルが2回停止される。
【0053】
以上のように構成したことにより、まず、第1及び第2近接センサ32,33により両シールジョー21,21間の間隔dが予め設定された所定値以上に広い場合には、包装部2のコントロールユニット2Aは、噛み込みが有ると判定することができる。そして、コントロールユニット2Aは、噛み込みが有ると判定されたときには、貼付部3のコントロールユニット3Aに把持トリガ信号を出力せず、コントロールユニット3Aは、シールジョー21,21によりシールされた箇所Aの下流側及び上流側の袋X,Xに対する把持機構41による把持動作と貼付機構45による貼付動作とを停止させるように制御するので、袋X,Xは把持機構41によって受け取られないから、また、袋X,Xは貼付機構45によってテープTに貼り付けられないから、不良品の袋X,Xのストリップバッグへの混入を防止することができる。
【0054】
しかも、テープ供給機構44によるテープ供給動作が停止されるので、テープTに余計な隙間が空くことはなく、品質の維持されたストリップバッグが製造される。
【0055】
また、把持機構41は、横シール機構16から噛み込みが有ると判定された袋X,Xを受け取らないので、縦ピロー式の包装部2では、横シール後、横シール機構16から解放された袋X,Xは、落下したのち不良品排出コンベア5により排出されて、不良品の袋X,Xは確実に系外に回収される。
【0056】
また、包装部2における袋Xの製造が噛み込み不良の無い正常に復帰すると、貼付部3において停止された動作が自動的に解除されるので、生産効率が維持される。
【0057】
ところで、図10に示すように、フィルムFを挟み付けるシールジョー21,21が横方向に長い場合、例えばシールジョー21,21間の左側の端部近傍で噛み込みが発生すると、噛み込んだ異物Zの介在によって両シールジョー21,21が水平面内で互いに傾斜する結果、左側の端部では、シールジョー21,21間の間隔d2が広くなって、第1検知部材35に対向する第1近接センサ32からの検出信号によって噛み込みが有ると判定されるものの、右側の端部では、シールジョー21,21間の間隔d1が狭くなって、第2検知部材36に対向する第2近接センサ33からの検出信号によって噛み込みが無いように判定される可能性がある。
【0058】
その場合に、本実施の形態によれば、第1及び第2近接センサ32,33は、シールジョー21,21の両端部の間隔d1,d2を検出するので、包装部2のコントロールユニット2Aが、いずれかの端部における間隔d1,d2に基づいて噛み込みが有ると判定すれば、コントロールユニット2Aが、貼付部3のコントロールユニット3Aに把持トリガ信号を出力しないため、噛み込み不良を見逃すことがなくなり、ストリップバッグへの不良品の袋X,Xの混入を一層確実に防止することができる。
【0059】
なお、本発明は、具体的に詳述した前記実施の形態に限定されることはなく、本発明の趣旨に沿うものであればよい。例えば、近接センサ32,33に限らず、一対のシールジョー21,21間の間隔dを検出することができる適宜の検出手段が適用可能である。
【0060】
また、前記実施の形態では、噛み込みが有る場合、把持機構41による把持動作と貼付機構45による貼付動作とを停止させたが、いずれか一方の動作を停止させるだけでもよい。さらに、把持機構41により不良品の袋X,Xを把持している場合、移送機構42による移送中に、前記袋X,Xを解放してもよい。
【0061】
また、移送機構42による移送動作を横シール機構16に連動しないように構成し、噛み込みが有る場合、移送機構42による移送動作を停止させてもよい。その場合には、不良品の袋X,Xは把持機構41によって受け取られても受取位置P1で把持された状態のまま留まるから、不良品の袋X,Xのストリップバッグへの混入を防止することができる。
【0062】
そして、前記実施の形態では、噛み込みが有る場合、不良品の袋X,Xを二連状態にしていたが、カッタ24を進出させて切断することによって分離された2つの袋X,Xとし、これら両袋X,Xに対する把持動作と移送動作と貼付動作とのうちのいずれか一つの動作を停止させるように制御してもよい。この場合には、包装部2のコントロールユニット2Aによるカッタ24の動作停止の制御が不要となるので、制御面での簡素化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上説明したように、本発明によれば、包装時に噛み込み不良が発生したときに、不良品の袋のストリップバッグへの混入を防止することができる包装装置が提供される。すなわち、本発明は、被包装物を袋状に包装したのち所定個数の袋をテープに貼り付けて、吊り下げ形態で陳列されるストリップバッグを製造する包装装置に関し、物品包装の技術分野に広く好適である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態に係る包装装置の側面図である。
【図2】包装部の横シール機構の平面図である。
【図3】図2のII−II線による要部拡大断面図である。
【図4】貼付部の側面図である。
【図5】同じく正面図である。
【図6】制御システムを示すブロック図である。
【図7】横シール時に噛み込みが無い状態を示す要部側面図である。
【図8】同じく噛み込みが有る状態を示す要部側面図である。
【図9】貼付部の動作例を説明するためのタイムチャートである。
【図10】両端部に近接センサを設置した効果を説明するための要部平面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 包装装置
2 包装部
2A 包装部のコントロールユニット(判定手段)
3 貼付部
3A 包装部のコントロールユニット(制御手段)
5 不良品排出コンベア(排出手段)
16 横シール機構(横シール手段)
21 シールジョー
32,33 第1及び第2近接センサ(検出手段)
41 把持機構(把持手段)
42 移送機構(移送手段)
44 テープ供給機構(テープ供給手段)
45 貼付機構(貼付手段)
d 間隔
F フィルム
P1 受取位置
P2 貼付位置
T テープ
X 袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物をフィルムで袋状に包装する包装部と、該包装部で製造された所定個数の袋をテープに貼り付ける貼付部とを有する包装装置であって、
前記包装部は、フィルムを一対のシールジョーで挟み付けて横方向にシールする横シール手段と、
フィルムを挟み付けたときの両シールジョー間の間隔を検出する検出手段とを有していると共に、
前記貼付部は、前記横シール手段から袋を受け取る把持手段と、
該把持手段により把持された袋を受取位置から貼付位置へ移送する移送手段と、
前記貼付位置へテープを間欠供給するテープ供給手段と、
前記貼付位置で前記移送手段により移送された袋をテープに貼り付ける貼付手段とを有しており、かつ、
前記検出手段により検出された前記間隔に基づいて、噛み込みの有無を判定する判定手段と、
該判定手段により噛み込みが有ると判定されたときに、前記シールジョーによりシールされた箇所の下流側及び上流側の袋に対する前記把持手段による把持動作と前記移送手段による移送動作と前記貼付手段による貼付動作とのうちの少なくとも一つの動作を停止させると共に、テープ供給手段によるテープ供給動作を停止させる制御手段とが備えられていることを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記請求項1に記載の包装装置において、
前記制御手段は、前記横シール手段から噛み込みが有ると判定された袋を受け取るとき、前記把持手段による把持動作を停止させ、かつ、
当該袋を排出する排出手段が備えられていることを特徴とする包装装置。
【請求項3】
前記請求項1または請求項2に記載の包装装置において、
前記制御手段は、噛み込みが有ると判定された袋に対する前記動作を停止したのち、前記判定手段が前記包装部で製造された袋に対して噛み込みが無いと判定したときには、停止された前記動作を解除させることを特徴とする包装装置。
【請求項4】
前記請求項1から請求項3のいずれかに記載の包装装置において、
前記検出手段は、前記シールジョーの両端部の間隔を検出することを特徴とする包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−191197(P2007−191197A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−12072(P2006−12072)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】