説明

包装装置

【課題】 箱形製品の外形形状に合わせて包装フィルムを折り込み熱シールする包装装置を提供する。
【解決手段】 箱形製品100の両側面から延出する耳部203を、この両側面の端部に相当する製品角部から内側に折り込んでフラップ204を形成し、角折りされたフラップ204を上下方向から折込みフラップ重合部205を形成する。フラップ重合部205は第1のサイドヒータ20により仮止めされる。次いで、フラップ重合部205を含む箱形製品100の両側面から、当該両側面の端部に相当する製品角部にかけて、第2のサイドヒータ30により面状に熱シールする。これにより、箱形製品100の外形に合わせて包装フィルム200を型付けすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装フィルムによって箱形製品を上包みする包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ケースに収納されたCD、DVD等の記録メディアをはじめとする種々の箱形製品においては、熱収縮性を有する包装フィルムにより被覆した包装形態をもって出荷されるものが多い。包装フィルムによって箱形製品を包装する装置としては、一般に上包み包装装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この種のフィルム包装は、箱形製品の外周に包装フィルムを胴巻きするとともに、包装フィルムのはみ出し部分を箱形製品の形状に合わせて折り込み、さらに包装フィルムの重合部分を熱シールすることにより実現される。
【0003】
しかしながら、近年、製品形態が多様化してきており、それに伴い包装装置で包装される箱形製品も多種多様なものが出現してきている。例えば、DVDパッケージでは、図9に示すように、角部を円弧状に湾曲したものがある。
従来の上包み包装装置は、角部が湾曲していない四角形状の箱形製品を対象としていたので、上述した角部湾曲形状の箱形製品を包装した場合、角部で包装フィルムにシワがよったり、箱形製品に対し包装フィルムの密着不良などが生じ、包装品質が低下してしまう不都合が生じていた。
【0004】
さて、本出願人は、先に特許文献2に開示されたシール装置を提案している。同文献のシール装置は、箱形製品を熱シールするヒータブロックの上下に突出部が設けてあり、フィルムが重合するシール面だけでなく、シール面の上下の外周縁までを熱収縮させる構成となっている。特に、箱形製品の上下外周縁が湾曲して形成されている場合は、同文献の図5(b)に示されるように、突出部の内面を湾曲して形成することで、湾曲面に対応した熱シールを実現することが可能である。
【0005】
しかしながら、フラップ折りと称する包装フィルムの折り込み部分に箱形製品の湾曲した角部が存在する場合、単に湾曲した角部に対応するヒータブロックを用いて角部を熱シールするだけでは、折り込み部分にシワがよったり不規則に折れ曲がった状態で熱シールされるおそれがあるため、包装品質の低下を回避するのに充分な構成とはいえない。
【特許文献1】特開昭54−044686公報
【特許文献2】特開2004−196342公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたもので、包装フィルムの折り込み状態を維持して、箱形製品の外形形状に合わせた熱シールを行い、高品質の包装が実現できる包装装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、搬送される箱形製品に対し、熱収縮性を有する包装フィルムを胴巻きするとともに、両側面から延出するフラップを上下方向から折り込んで熱シールする構成を備えた包装装置において、
箱形製品の両側面から延出する耳部を、当該両側面の端部に相当する製品角部から内側に折り込んでフラップを形成するフラップ形成手段と、
角折りされたフラップを上下方向から折り込むとともに、当該折り込み部分を重ね合わせてフラップ重合部を形成するフラップ重合手段と、
フラップ重合部を熱シールしてその重ね合わせ状態を仮止めする第1のサイドヒータと、
フラップ重合部を含む箱形製品の両側面から、当該両側面の端部に相当する製品角部にかけて面状に熱シールし、当該箱形製品の外形に合わせて包装フィルムを型付けする第2のサイドヒータと、を備えたことを特徴とする。
【0008】
かかる構成の包装装置によれば、フラップ重合部を第1のサイドヒータによって仮止めし、この状態で第2のサイドヒータによって、フラップ重合部を含む箱形製品の両側面部分から角部にかけての領域を面状に熱シールするので、フラップ重合部にシワがよったり、フラップ重合部が不規則に折れ曲がることなく、箱形製品の外形に合わせて型付けされた適正な熱シールを実現することができる。
【0009】
また、両側面の端部に相当する少なくとも一つの製品角部が湾曲した形状である箱形製品に対して、第2のサイドヒータは、当該製品角部の湾曲形状に合わせたシール面を有するヒータブロックを含む構成としてもよい。
これにより、当該製品角部の湾曲形状に合わせて包装フィルムを密着することができ、品質の高い包装を実現することができる。
【0010】
フラップ形成手段は、
包装フィルムが胴巻きされた箱形製品が差し込まれるポケットと、
箱形製品の両側面から延出する耳部を、当該両側面の端部に相当する製品角部から内側に折り込む角折りガイドと、
ポケットに差し込まれた箱形製品の角部が当接するストッパとを含み、
ストッパが、製品角部の湾曲形状に合わせた当接面を有することができる。
これにより、箱形製品の角部がストッパに当接したとき、包装フィルムが製品角部に合わせて湾曲形状に型付けされるので、第1、第2のサイドヒータによる熱シールを、製品角部の形状に合わせいっそう適正に行うことが可能となる。
【0011】
さらに、角折りガイドは、差し込まれてきた箱形製品の両側面から延出する耳部を製品角部から内側に折り込む際に、当該耳部の折り込み部分に接触して当該折り込み部分を折り込み方向へ引っ張る摩擦面を有する構成とすることもできる。
このように、包装フィルムを摩擦面によって折り込み方向へ引っ張ることで、製品角部に合わせてシワの少ない折り込みを実現することができる。
【0012】
さらに、ポケットが回転するターレットに装着されており、当該ターレットの半回転によってポケットに差し込まれた箱形製品が前後反転して排出される包装装置において、
角折りガイドは、ポケットの内側部に設けられ、当該ポケットに差し込まれた箱形製品の両側面から延出する耳部を、当該両側面の一端部に相当する製品角部から内側に折り込む第1の角折りガイドと、
ターレットから排出された箱形製品の両側面から延出する耳部を、当該両側面の他端部に相当する製品角部から内側に折り込む第2の角折りガイドと、を備えた構成とすることもできる。
これら第1、第2の角折りガイドによって、箱形製品の両側面から延出する耳部を、当該両側面の各端部に相当する各製品角部からそれぞれ内側に折り込むことができ、これにより箱形製品の上下縁部から延出するフラップが形成される。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、包装フィルムの折り込み状態を維持して、箱形製品の外形形状に合わせた熱シールを行い、高品質の包装が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図8は、本実施形態に係わる包装装置を説明するための図であり、図1は、包装装置の全体的な包装工程を示した概略図である。
本実施形態の包装装置は、図9に示すように、角部が大きく円弧面状に湾曲したDVDパッケージを箱形製品100として、この箱形製品100を包装フィルムによって包み込む機能を備えている。
なお、以下の説明では、箱形製品100の上面と下面間にある各側面について、便宜上、後述するターレット10のポケット11に先に入る側面を第1側面101とし、また当該第1側面101の反対側の側面を第2側面102とし、さらに第1側面101及び第2側面102の双方に隣接する各側面を第3側面103と称して説明していく。
【0015】
図1に示すように、本実施形態の包装装置は、箱形製品100を搬送しながら熱収縮性を有する包装フィルム200を上包みして包装品を成形する装置である。まず、この包装装置全体の包装工程について簡単に説明する。
包装装置は、箱形製品100の搬送経路の上流に図示しない供給装置が設けられている。箱形製品100は、第1側面101を前側にして搬送経路に供給され、ベルトコンベヤなどによる搬送手段によって、包装フィルム200の繰出し位置Aまで搬送される。
【0016】
一方、包装フィルム200は、フィルムリール201から供給され、箱形製品100を包装する所定の長さ毎に切断されて、繰出し位置Aに繰り出される。なお、包装フィルム200には、包装品の開封を補助するための開封テープ202があらかじめ融着される。
【0017】
箱形製品100は、包装フィルム200の繰出し位置Aにて、包装フィルム200を胴巻きされながら、ターレット10へ差し込まれる。その後、ターレット10の180°回転によって上面と下面が反転され、箱形製品100の第2側面102が搬送方向の前方になる。この間に、包装フィルム200は、胴巻き重合部分が熱シールされて筒状に形成される。箱形製品100の第3側面103からは、図10(c)に示すように包装フィルム200が延出している。この延出部を耳部203と称する。
【0018】
後で詳述するが、ターレット10の内部には、フラップ形成手段が設けてある。そして、ターレット10に差し込まれた箱形製品100は、フラップ形成手段によって耳部203が角部に沿って内側に折り込まれる。ここで、耳部203が折り込まれる角部は、箱形製品100における第1側面101の両端に相当する湾曲した角部である。
【0019】
180°回転したターレット10から送り出された箱形製品100は、次に、搬送経路上に設けたフラップ形成手段により、第2側面102の両端に相当する角部に沿って、耳部203が内側へ折り込まれる。
このようにして両辺が折り込まれた耳部203は、箱形製品100における第3側面103の上下縁部から延出する折り込み部となる。この折り込み部をフラップ204(204a,204b)と称する(図10(d)参照)。
【0020】
その後、フラップ重合手段によって、フラップ204が上下方向から折り込まれ、それにより、フラップ204が重なり合ったフラップ重合部205が第3側面103に形成される。
【0021】
さらに、フラップ204が形成された箱形製品100は、第1のサイドヒータ20によってフラップ重合部205が熱シールされて、その重ね合わせ状態で仮止めされる。そして、第2のサイドヒータ30によって、フラップ重合部205がある箱形製品100の第3側面103から、これら第3側面103の両端に相当する製品角部にかけて、面状に熱シールされる。これにより、箱形製品100の外形に合わせて包装フィルム200が型付けされる。以上のような包装工程を経て箱形製品100の上包み包装が形成される。
【0022】
次に、本実施形態に係る包装装置の各部構成とその動作について説明する。
図2は、本実施形態に係る包装装置のターレットを示す側面図であり、図3は、同じくターレットのポケットを拡大して示す展開図である。
図2に示すように、包装装置のターレット10は、箱形製品100を保持する複数のポケット11を備え(本実施形態では計6個)、包装フィルム200の繰出し位置Aのすぐ下流に設けられている。
【0023】
また、ターレット10は、駆動源(図示せず)によって間欠回転する回転部12が中央位置にあり、この回転部12に各ポケット11が等間隔に装着される。本実施形態のポケット11は、箱形製品100の厚さに係合する隙間を有して延在した上下対の板材13であり、箱形製品100の上面と下面を挟み込んで保持する構成である。また、回転部12には、2枚のサイド板14が両側に取り付けられ、さらに両サイド板14にはポケット11の装着位置に対応した切欠部14aが放射状に設けられている。
【0024】
図3に示すように、ターレット10のポケット11内には、フラップ形成手段として、包装フィルム200の耳部203を折り込む第1の角折りガイド15が備えられている。この第1の角折りガイド15は、両サイド板14の切欠部14aに取り付けられて、ポケット11の内側に一対で延在した構成であり、二つのガイド間の幅は箱形製品100の横幅に合わせてある。また、第1の角折りガイド15の回転部12側の基端には、箱形製品100の角部が当接するストッパ16が設けられている。このストッパ16は、箱形製品100角部の湾曲形状に合わせた当接面16aを有している。さらに、第1の角折りガイド15は、回転部12側に近づく中途位置から箱形製品の厚み方向の幅が徐々に広がる構成である。この箱形製品の厚み方向に幅が広がる側面は摩擦部(摩擦面)15aを形成している。箱形製品100の差し込み時に包装フィルム200の耳部203と摩擦部15aが接触することにより、包装フィルム200の耳部203の折り曲げに対し、摩擦部15aから差し込み反対方向に引っ張る摩擦力が生じる。
【0025】
図4は、本実施形態に係る包装装置のポケットに箱形製品が差し込まれる動作を模式的に示した斜視図であり、(a)はポケット挿入開始時、(b)は完全にポケット挿入された状態である。
図4(a)に示すように、箱形製品100は、包装フィルム200の繰出し位置Aで搬送手段によって一個毎に押し出され、ターレット10のポケット11に包装フィルム200とともに差し込まれる。箱形製品100がポケット11に差し込まれた際には、板材13によって第1側面101側から上面及び下面の全面を覆いながら包装フィルム200が折り込まれ、箱形製品100に対して包装フィルム200の胴巻きが可能な状態になる。
【0026】
また、箱形製品100の第3側面103には、ポケット11の第1の角折りガイド15が位置している。箱形製品100は、包装フィルム200による上面と下面の胴巻きとともに、両側面から延出する耳部203が製品角部(第1側面101)側から内側に折り込まれることになる。さらに、箱形製品100を差し込んでいくと、第1の角折りガイド15の途中位置から内側に折り込まれた耳部203が摩擦部15aに当接することになる。この摩擦部15aによって、包装フィルム200の折り込まれた耳部203が摩擦抵抗で差し込み反対方向に引っ張られることになる。このため、箱形製品100は、包装フィルム200の耳部203にシワを作ることなく差し込まれ、且つ箱形製品100の湾曲した角部に合わせたフィルムの折り込みが成形される。
【0027】
箱形製品100がポケット11内に完全に押し込まれた状態では、図4(b)に示すように、箱形製品100の角部がポケット11のストッパ16に当接する。すなわち、ストッパ16の湾曲した当接面16aに箱形製品100の湾曲した角部が係合して、包裝フィルム200を挟み込むことになる。これにより、包装フィルム200は角部の折り目が湾曲形状にしっかり型付けされる。そのため、箱形製品100がポケット11から送り出される際に、包装フィルム200を角部から離間させようとする力が働いても、包装フィルム200は角部湾曲形状を維持することができる。
【0028】
以上のようにして、ポケット11に保持された箱形製品100は、図2に示すように、ターレット10によって半回転して排出位置Bまで搬送される。また、ターレット10の回転中には、包装フィルム200の胴巻き部分が折り重ねられ熱シールされる。箱形製品100は、ターレット10の排出位置Bにおいて、第2側面102が前方になった状態でプッシャ(図示せず)に載せられ次の包装工程に搬送される。
【0029】
ターレット10のすぐ下流位置には第2の角折りガイド17が設けられており、押し出された箱形製品100は、第2側面102側の耳部203が搬送とともに折り込まれていく(図3(b)参照)。また、この第2の角折りガイド17には、第1の角折りガイド15と同様に摩擦部17aが備えられている。包装フィルム200は、この摩擦部17aによって折り込まれた耳部203が摩擦抵抗で搬送反対方向に引っ張られて、箱形製品100の角部形状に合わせてシワを作ることなく折り込まれることができ、これにより箱形製品100は上下にフラップ204が形成される。
【0030】
また、第2の角折りガイド17の下流には、斜め下方向に傾斜したフラップ下折り部18(フラップ重合手段)が形成してある。箱形製品100は搬送とともに、このフラップ下折り部18にしたがって上側のフラップ204aが側面に折り込まれる。さらに、箱形製品100が搬送されると、図示しないフラップ重合手段によって、下側のフラップ204bが側面に折り込まれ、上下のフラップが重なり合ったフラップ重合部205が形成される。以上の包装工程で折り込まれた包装フィルム200は、図10(b)に示すように、箱形製品100の角部に沿って湾曲して折り込まれることになる。
【0031】
図5は、本実施形態に係る包装装置の第1、第2のサイドヒータの構成を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。また、図6は、第1、第2のサイドヒータの動作を模式的に示した斜視図、図7は第1のサイドヒータの動作を示した側面図、図8は第2のサイドヒータの動作を示した側面図である。
図5に示すように、第1、第2のサイドヒータ20、30は往復移動する基台21を共通して備えている。この基台21は、箱形製品の搬送に対応した動力伝達装置22が設けられており、箱形製品100の間欠移動にともなって間欠的に往復摺動する構成である。また、この基台21には第1、第2のスライド部材23、31がそれぞれ並べて設けられており、第1のサイドヒータ20は第1のスライド部材23に、第2のサイドヒータ30は第2のスライド部材31にそれぞれ搭載されている。
【0032】
第1のサイドヒータ20は、第1のスライド部材23の上部にホルダ28を介して第1のヒータブロック24を有しており、内部にヒータ24aが組み込まれている。図6(a)に示すように、第1のヒータブロック24は箱形製品100の第3側面103に対し、両サイドから挟み込むように摺動し、熱量をもった当接面25が当接する。
【0033】
この第1のサイドヒータ20は、第1のスライド部材23が基台21の往復摺動と同一方向に摺動する構成である。また、固定部26が搬送台に固定されるとともに、この固定部26とホルダ28との間にはばね27が備えられており、第1のヒータブロック24は、箱形製品100方向に付勢され、基台21から直立した延在部21aに取り付けられた調節ねじ29によって規制されている。さらに、ヒータブロック24の移動量は、この調節ねじ29によって調節される。
【0034】
第1のサイドヒータ20の動作を具体的に説明すると、図7に示すように、箱形製品100が第1のサイドヒータ20の対向位置に搬送されてきた後、基台21が箱形製品100に向かって摺動する。このとき、基台21の上部にある第1のスライド部材23と第1のヒータブロック24は基台21とともに摺動し、第1のヒータブロック24の当接面25が箱形製品100のフラップ重合部205に当接することになる。当接後、基台21はさらに箱形製品100方向に移動するが、第1のヒータブロック24と基台21の間には第1のスライド部材23があるので、第1のヒータブロック24はばね27に付勢された状態でフラップ重合部と当接した位置に留まる。第1のサイドヒータ20は、フラップ重合部205を仮止めさせる適度な押圧力で第1のヒータブロック24を当接させることが可能である。これにより、箱形製品100の下側から折上げたフラップ204bが当接部分Cにて溶融され、折り重なったフラップ重合部205が仮止めされる(図6(b)参照)。
【0035】
第1のサイドヒータ20が後退する場合は、まず基台21が後退する。このとき、ばね27がホルダ28及び第1のヒータブロック24を押圧しており、箱形製品100へのシール圧は変化しない。さらに基台21が後退すると、調節ねじ29がホルダ28に接触してホルダ28を押し初めて、ばね27が圧縮するとともに第1のヒータブロック24が後退する。本実施形態の第1のヒータブロック24は調節ねじ29によって移動量を小さくすることで、第1のヒータブロック24が後退してもフラップ204が大きく開かないようにしている。これにより、包装フィルム200の熱シールがより綺麗にでき、また角部にシワを発生させることがない。
【0036】
第2のサイドヒータ30は、第1のサイドヒータ20と同様に第2のスライド部材31の上部にホルダ36を介して第2のヒータブロック32が備えられている。図6(c)に示すように、第2のヒータブロック32は、箱形製品100の第3側面103に係合した形状で形成された凹部33aが当接面33に刻設されている。また、第2のヒータブロック32は内部にヒータ32aが組み込まれており、凹部33a全体に一定の熱量を与える構造である。
【0037】
第2のヒータブロック32は両サイドから摺動し、箱形製品100の第3側面103の一部が凹部33aに挿入される。また、第2のサイドヒータ30は、第2のスライド部材31が基台21の往復摺動と同一方向に摺動する構成である。さらに、延在部34が基台21に取り付けられるとともに、この延在部34とホルダ36との間には、ばね35が備えられており、第2のヒータブロック32は箱形製品100方向に付勢され、延在部34に取り付けられた調節ねじ37によって規制されている。第2のヒータブロック32の移動量は、この調節ねじ37によって調節される。
【0038】
第2のサイドヒータ30は、図8に示すように、第1のサイドヒータ20で仮止めされた箱形製品100が搬送されてきた後、対向位置において基台21が箱形製品100に向かって摺動する。このとき、基台21の上部にある第2のスライド部材31と第2のヒータブロック32は基台21とともに摺動し、第2のヒータブロック32の凹部33aに箱形製品100の第3側面103が挿入され、第3側面103が凹部33aの底面に当接する。当接後、基台21はさらに箱形製品100方向に移動するが、第2ヒータブロック32と基台21の間にはスライド部材31があるので、第2のヒータブロック32は凹部33aの底面が第3側面103に当接した位置に留まる。ばね35は第2のヒータブロック32が箱形製品100と当接してから伸び始め、第2のヒータブロック32を箱形製品100方向に付勢させる力が強くなる。これにより、仮止めされてある箱形製品100の第3側面103は、凹部33aに当接する当接部分Dが熱シールされ、箱形製品100の外形にそって包装フィルム200が一体的に型付けされる(図6(d)参照)。
【0039】
第2のサイドヒータ30が後退する場合は、まず基台21が後退する。このとき、箱形製品100を押圧していたばね35の撓みが小さくなり、箱形製品100へのシール圧が減少する。さらに基台21が後退すると、調節ねじ37がホルダ36に接触してホルダ36を押し初めて、第2のヒータブロック32が後退する。本実施形態の第2のヒータブロック32は調節ねじ37によって移動量を大きくすることで、第2のヒータブロック32の凹部33aへの箱形製品100の挿入が可能となる。
【0040】
以上のように、包装装置の各サイドヒータ20、30は各スライド部材23、31の移動量がそれぞれ独自に調整可能であり、それぞれの目的に応じた当接状態をつくりだせる。しかも、各サイドヒータ20、30の駆動動力は、一つの動力伝達装置22だけで済むため、構造が複雑にならない。その結果、箱形製品100は、角部の湾曲形状に沿って包装フィルム200が熱シールされ、美観の優れた包装品が成形される。なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形例や応用例が可能である。例えば、ポケット11のストッパ16に、一定の熱量を持たせ、ポケット11に差し込まれた包装フィルム200を箱形製品100の角部に合わせて型付けさせる構成としてもよい。
【0041】
また、包装される箱形製品100は、4つの角部が全て湾曲形状ではなく、例えば、図11(a)、(b)に示すように、2つの角部のみが湾曲形状でも、その外形に合わせて包装することができる。さらに、包装される箱形製品100は、角部が湾曲形状ではなく、例えば、11(c)に示すように、多角的な形状でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本実施形態に係る包装装置の全体的な包装工程を示した概略図である。
【図2】本実施形態に係る包装装置のターレットを示す側面図である。
【図3】本実施形態に係るターレットのポケットを拡大して示す展開図である。
【図4】本実施形態に係る包装装置のポケットに箱形製品が差し込まれる動作を模式的に示した斜視図であり、(a)はポケット挿入開始時、(b)は完全にポケット挿入された状態である。
【図5】本実施形態に係る包装装置の第1、第2のサイドヒータの構成を示す図であり、(a)は上面図、(b)は側面図である。
【図6】本実施形態に係る第1、第2のサイドヒータの動作を模式的に示した斜視図である。
【図7】本実施形態に係る第1のサイドヒータの動作を示した側面図である。
【図8】本実施形態に係る第2のサイドヒータの動作を示した側面図である。
【図9】本発明に係る箱形製品の構成を示す図であり、(a)は側面図、(b)は上面図、(c)は斜視図である。
【図10】図9の箱形製品の包装状態を示す斜視図であり、(a)は従来の装置で包装された包装品、(b)は理想的な包装品、(c)は胴巻き包装時、(d)はフラップ形成時である。
【図11】本発明に係る箱形製品の変形例を示した上面図である。
【符号の説明】
【0043】
10:ターレット、11:ポケット、12:回転部、13:板材、14:サイド板、15:第1の角折りガイド、15a:摩擦部、16:ストッパ、16a:当接面、17:第2の角折りガイド、18:フラップ下折り部、
20:第1のサイドヒータ、21:基台、21a:延在部、22:動力伝達装置、23:第1のスライド部材、24:第1のヒータブロック、25:当接面、26:固定部、27:ばね、28:ホルダ、29:調節ねじ、
30:第2のサイドヒータ、31:第2のスライド部材、32:第2のヒータブロック、33:当接面、33a:凹部、34:延在部、35:ばね、36:ホルダ、37:調節ねじ、
100:箱形製品、101:第1側面、102:第2側面、103:第3側面、
200:包装フィルム、201:フィルムリール、202:開封テープ、203:耳部、204:フラップ、205:フラップ重合部、
A:繰出し位置、B:排出位置、C:当接部分、D:当接部分


【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される箱形製品に対し、熱収縮性を有する包装フィルムを胴巻きするとともに、両側面から延出するフラップを上下方向から折り込んで熱シールする構成を備えた包装装置において、
前記箱形製品の両側面から延出する耳部を、当該両側面の端部に相当する製品角部から内側に折り込んでフラップを形成するフラップ形成手段と、
前記角折りされたフラップを上下方向から折込むとともに、当該折込み部分を重ね合わせてフラップ重合部を形成するフラップ重合手段と、
前記フラップ重合部を熱シールしてその重ね合わせ状態を仮止めする第1のサイドヒータと、
前記フラップ重合部を含む前記箱形製品の両側面から、当該両側面の端部に相当する製品角部にかけて面状に熱シールし、当該箱形製品の外形に合わせて包装フィルムを型付けする第2のサイドヒータと、を備えたことを特徴とする包装装置。
【請求項2】
前記箱形製品は、前記両側面の端部に相当する少なくとも一つの製品角部が湾曲形状に形成されており、
前記第2のサイドヒータは、前記製品角部の湾曲形状に合わせたシール面を有するヒータブロックを含むことを特徴とする請求項1の包装装置。
【請求項3】
前記フラップ形成手段は、
前記包装フィルムが胴巻きされた箱形製品が差し込まれるポケットと、
箱形製品の両側面から延出する耳部を、当該両側面の端部に相当する製品角部から内側に折り込む角折りガイドと、
前記ポケットに差し込まれた箱形製品の角部が当接するストッパとを含み、
前記ストッパが、前記製品角部の湾曲形状に合わせた当接面を有することを特徴とする請求項2の包装装置。
【請求項4】
前記角折りガイドは、差し込まれてきた前記箱形製品の両側面から延出する耳部を製品角部から内側に折り込む際に、当該耳部の折り込み部分に接触して当該折り込み部分を折り込み方向へ引っ張る摩擦面を有することを特徴とする請求項3の包装装置。
【請求項5】
前記ポケットが回転するターレットに装着されており、当該ターレットの半回転によって前記ポケットに差し込まれた箱形製品が前後反転して排出される請求項3または4の包装装置において、
前記角折りガイドは、前記ポケットの内側部に設けられ、当該ポケットに差し込まれた箱形製品の両側面から延出する耳部を、当該両側面の一端部に相当する製品角部から内側に折り込む第1の角折りガイドと、
前記ターレットから排出された箱形製品の両側面から延出する耳部を、当該両側面の他端部に相当する製品角部から内側に折り込む第2の角折りガイドと、を備えたことを特徴とする包装装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−7180(P2008−7180A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−181197(P2006−181197)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】