説明

包装

本発明は、ポリマーベース構成材と、該ベース構成材表面をコートし裏張りするバリア構成材を含む包装材であって、前記バリア構成材は、気体、蒸気および液体が前記ベース構成材を通過する移行を抑制する包装材を提供する。前記バリア構成材は、極性を有して水溶性の少なくとも2種類の異なるポリマー種を含むポリマー層を含む。前記の異なるポリマー種は、異なる化学組成を有し、ポリマー間複合体化によって物理的に結合して相互浸透する物理的網目構造を形成する点で相補的である。本発明は、前記ベース構成材の少なくとも1つの表面を前記バリア構成材でコートし、前記の相補的ポリマー種をポリマー間複合体化によって物理的に相互作用させ、相互浸透する物理的網目構造を形成することを含む包装材を製造する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージまたは容器内外への気体、蒸気または液体の移行が望ましくない状況下でのパッケージまたは容器中の商品または物質の包装に関する。さらに特に、本発明は、前記の商品の包装へのパッケージまたは容器としての使用に適した包装材に、また、前記包装材の製造法に関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、
ポリマーベース構成材;および
該ベース構成材の表面をコートし、裏張りするバリア構成材:
を含む包装材であって、
該バリア構成材は、気体、蒸気及び液体が該ベース構成材を通過して移行することを抑制し、
前記バリア構成材は、前記ベース構成材表面をコートし裏張りするポリマー層を含み、前記ポリマー層は、極性を有して水溶性である少なくとも2種類の異なるポリマー種を含み、該異なるポリマー種は、異なる化学組成を有し、しかも、それらがポリマー間複合体化によって一緒に物理的に結合して相互浸透する物理的網目構造を形成し、該物理的網目構造が前記バリア構成材を提供するという点で、該異なるポリマー種は相補的であることを特徴とする包装材を提供する。
【0003】
本発明が関係する包装において、典型的には、前記包装材を使用してその内部に商品または物質を保持または含有するパッケージまたは容器を形成し、前記パッケージまたは容器は、内部に該パッケージまたは容器の周囲の外部環境から内部の商品または物質を分離する壁を有し、抑制が該パッケージまたは容器の壁からの気体、蒸気および液体の移行に対するもの、例えば、該パッケージまたは容器の内容物のフレーバーまたは芳香を保ち、できる限り長く周囲の影響を受けないように保つためのものであることが分かる。
【0004】
従って、前記包装材は、パッケージまたは容器状であることができ;該パッケージまたは容器は、カプセル、ブリスターパッケージ、におい袋(サシェット)、封筒、ジェリー缶(ジェリカン)、ボトル、およびジャーから成る群から選択できる。前記包装材は、前記バリア構成材でコートおよび裏張りされた内面を有することができる。それに代えて、または、追加的に、前記包装材は、前記バリア構成材でコート、裏張りした外面を有することができる。
【0005】
特に、前記極性ポリマー種は、それぞれ、親水性であることができ;前記バリア構成材は、原則として2種類以上の上記ポリマー種を用いることができるが、通常、2種類の前記ポリマー種を含む。極性ポリマーが異なるポリマー種であることの必要性は、化学組成が相違しなければならない、即ち、単なる分子量または他の物理的性状以上のものが相違することを意味する。
【0006】
前記バリア構成材の相補的ポリマー種が相互作用し、ポリマー間複合体を形成するという点は、それらが、架橋によっても結合できる可能性を除外するものではない。しかし、そうではあるが、前記バリア構成材の極性種間の一次相互作用は、静電気引力、水素結合、疎水性相互作用、ファンデルワールス力、クーロン引力、双極子相互作用またはそれらの組み合わせによるものとなる。
【0007】
さらに、前記バリア構成材は、通常、前記の疎水性相互作用、クーロン引力、ファンデルワールス力、水素結合、双極子相互作用またはそれらの組み合わせによって静電気的に、あるいは、前記ベース構成材へのグラフティングによって前記ベース構成材に接着し、それとの共有結合を形成するが、これらのメカニズムは、共に、必ずしも同時に存在する必要がない。結果として、前記バリア構成材が、静電気的結合によって物理的に接着できるということになる。それに代わるものとして、または、追加的に、前記バリア構成材は、共有結合によって化学的に前記ベース構成材に接着できる。
【0008】
グラフティングを用いる場合、前記バリア構成材の1個以上のポリマー種が共有結合によって前記ベース構成材の表面に結合し、前記バリア構成材によって提供される表面層は、任意に、前記ベース構成材に半ば移行または表面浸透する。
【0009】
前記バリア構成材が磨耗または摩滅すると予想される場合、および/または、前記バリア構成材が水溶性であり、例えば、コーティング剤を形成し、パッケージまたは容器の外面の裏張りをする際、もしくは、コーティング剤を形成し、水性液体を保持することを目的にパッケージまたは容器の内面を裏張りする際に湿気に曝されると予想される場合、本発明は、前記ベース構成材から離れた、バリア層の反対側で、該バリア層への保護コーティング剤の提供を意図している。言い換えれば、各バリア構成材がベース構成材から離れて表面を有し、バリア構成材の反対側でバリア層上にベース構成材からの保護コーティング剤を有することができる。該保護コーティング剤は、熱硬化性ポリマー、紫外線硬化性ポリマーおよび熱可塑性ポリマーから成る群から選択する材料であることができる。さらに特に、該保護コーティング剤の材料は、ベース構成材のポリマー材料、ポリウレタン、ウレタンアクリレート、ポリビニリジンクロライド、ポリアクリレート、ポリエポキシド、ポリジメチルシロキサンおよびそれらのいずれかの2種類以上のコポリマーから成る群から選択できる。
【0010】
本発明のパッケージまたは容器に関して、パッケージまたは容器は、典型的な用途として、固体または、特に、周囲の環境にそれらの成分が流れ出す可能性がある液体、または周囲の環境から望ましくない成分を、該パッケージまたは容器の壁部からの前記成分の移行によって受け、それによって、例えば、内容物のフレーバーや香りに有害な影響を与える可能性のある液体を含有する。
【0011】
包装対象の商品または物質がヒトの消費目的、例えば食品、飲料、医薬品である場合、前記バリア構成材は、通常、パッケージまたは容器への周囲の環境からの酸素や二酸化炭素などの気体の移行を抑制または妨害することを意図する。これらの気体は、パッケージまたは容器の内容物への望ましくないまたは有害な作用をきたし、該内容物を腐らせる可能性がある。当然、それに代わるものとして、前記バリア構成材も、同様に前記内容物を無価値にするおそれのある周囲への望ましくない成分喪失に耐えることができる。ジェリカンがガソリン、ジーゼルまたはケロセンなどの炭化水素燃料、あるいは、テレペンチン、ペイントリムーバまたはシンナーなどの高反応性液体を含有することを意図する場合のような、なおも他の状況では、パッケージまたは容器から周囲の環境への内容物成分の望ましくないパッケージまたは容器の壁を通過する移行に耐える点が重要である。
【0012】
ポリマーベース構成材は、包装対象の商品または物質との接触およびその封鎖に適したいずれかのポリマー材料であることができる。例えば、本発明の重要な用途であると予想されるビールなどの炭酸ドリンクまたは飲料のボトリングでは、コーティング剤を、パッケージまたは容器の外面に裏張りできる。従って、この場合、前記包装材料は、炭酸ドリンクまたは飲料のボトリングで使用するためのボトル状であることができ、ボトルの外面上に位置するバリア構成材は単一であり、前記ベース構成材は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリメチルペンテン、ポリビニルクロライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンおよびそれらのうちのいずれか2種類以上のコポリマーから成る群から選択するポリマープラスチック材料を含み、同材は、原則として、ボトル以外のパッケージまたは容器のベース構成材に有用である。
【0013】
前記バリア構成材の相補的ポリマー種(相補的種類)は、順に、ポリビニルアルコール、ポリビニルアミン、ポリビニルイミン、酢酸ポリビニル、ポリグリコール、ポリアクリル酸、ポリアルキルアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアルキルアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリラクタイド、ポリ無水物、ポリアミド、セルロース、ペクチン、タンパク、ガム、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロースおよびそれらのいずれか2種類以上のコポリマーから成る群から選択することができる。従って、有用な相補的種類は、植物、動物または微生物由来の天然ポリマーおよび化学修飾された上記天然ポリマーを含む。有用な種類は、特に相互作用してポリビニルアルコール/ポリビニルアミンポリマー間複合体を形成する場合、ポリビニルアルコールおよびポリビニルアミンであり、特に有用なポリマー間複合体は、ポリメチルビニルエーテル/マレイン酸コポリマーと相互作用する酢酸ポリビニルであると判明している。従って、前記バリア構成材の相補的種類は、ポリビニルアルコールおよびポリメチルビニルエーテル/マレイン酸コポリマーから選択できる。前記バリア構成材の相補的種類は、それぞれ、4,000〜100,000g/molの範囲の分子量を有し、その分子の大部分は、この範囲に入る分子量を有し、分子量は、好ましくは28,000〜76,000g/molである。例えば、ポリビニルアルコールおよびポリビニルアミンなどの2種類が存在する場合、混合物のポリマー種間の質量比は、1,000:1〜1:1,000、好ましくは1,000:5〜5:1,000、さらに好ましくは95:5〜60:40の範囲であることができる。
【0014】
前記ベース構成材の表面は、前記バリア構成材でコートし、裏張りする場合、オキシフロリネーション、火炎(フレーム)処理、プラズマ処理、コロナ放電処理およびそれらのいずれか2種類以上の組み合わせから成る群から選択する技術に供することによって活性化することができる。
【0015】
さらに、本発明は、
ポリマーベース構成材;および
該ベース構成材の表面をコートし、裏張りするバリア構成材:
を含む包装材を製造する方法であって、
前記バリア構成材は、気体、蒸気および液体が該ベース構成材を通過して移行することを抑制し、
前記方法が、極性かつ水溶性で、かつ、化学組成の異なる少なくとも2種類の相補的ポリマー種を含むポリマー層状のバリア構成材によって前記ベース構成材の少なくとも一表面をコートする工程を含み、前記ベース構成材を裏張りする前記層および前記コーティング工程が、ポリマー間複合体化によって前記の相補的ポリマー種を物理的に一緒に相互作用させ、相互浸透する物理的網目構造を形成し、前記バリア構成材を提供するコーティング工程を含む、製造法を提供する。
【0016】
本方法は、前記ベース構成材をパッケージまたは容器に成形する工程を含むことができる。従って、前記コーティング工程は、前記ベース構成材をパッケージまたは容器に成形する工程の後に行うことができる。前記コーティング工程は、パッケージまたは容器の内面上で行うことができる。それに代わって、あるいは、追加的に、コーティング工程を容器の外面上で行うことができる。
【0017】
前記コーティング工程は、静電気結合による前記バリア構成材の前記ベース構成材への物理的接着を含むことができる。それに代わって、あるいは、追加的に、前記コーティング工程は、共有結合による前記バリア構成材の前記ベース構成材への化学的接着を含むことができる。
【0018】
本方法は、各バリア構成材で前記ベース構成材をコートした後、該ベース構成材から離れた、各バリア構成材の反対側に該ベース構成材からの保護コーティングを提供する工程を含むことができる。本方法は、熱硬化ポリマー、紫外線硬化型ポリマーおよび熱可塑性ポリマーから成る群から保護コーティングの材料を選択する工程を含むことができる。さらに特に、本方法は、前記ベース構成材のポリマー材料、ポリウレタン、ウレタンアクリレート、ポリビニリジンクロライド、ポリアクリレート、ポリエポキシド、ポリジメチル、シロキサンおよびそれらのいずれか2種類以上のコポリマーから成る群の材料から保護コーティングの材料を選択する工程を含むことができる。従って、前記バリア構成材は、例えば、積層板を形成する向かい合わせの3層として、前記ベース構成材と前記バリア構成材の間でサンドイッチ状態にする。特に、ポリウレタンは、保護コーティング剤として使用でき;該保護コーティングの材料(保護コーティング剤)の塗布は、スプレー、浸漬、フローコーティング(流し塗)、パウダーコーティング(粉体被覆)、押出被覆または蒸着によることができる。
【0019】
本方法は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリメチルペンテン、ポリビニルクロライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンおよびそれらのいずれか2種類以上のコポリマーから成る群の材料からベース構成材を選択する工程を含むことができる。
【0020】
本方法は、ポリビニルアルコール、ポリビニルアミン、ポリビニルイミン、酢酸ポリビニル、ポリグリコール、ポリアクリル酸、ポリアルキルアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアルキルアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリラクタイド、ポリ無水物、ポリアミド、セルロース、ペクチン、タンパク、ガム、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロースおよびそれらのいずれか2種類以上のコポリマーから成る群から前記バリア構成材の相補的種類のそれぞれを選択する工程を含むことができる。特に、本方法は、ポリビニルアルコールおよびポリメチルビニルエーテル/マレイン酸コポリマーから成る群から前記バリア構成材の相補的種類のそれぞれを選択する工程を含むことができる。本方法は、4,000〜100,000g/molの範囲の分子量を有し、その分子の大部分がこの範囲に入る分子量を有する前記バリア構成材の相補的種類のそれぞれを選択する工程を含み、分子量範囲は、28,000〜76,000g/molであることができる。
【0021】
本方法は、前記ベース構成材を前記バリア構成材でコートする前に、前記ベース構成材表面を活性化する工程を含むことができる。前記ベース構成材表面の活性化工程は、荒削りまたは研磨、紫外線照射処理、ガンマ線照射処理、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理およびそれらの2種類以上の組み合わせから選択する活性化技術に前記表面を供することによる前記表面の物理的活性化を含むことができる。それに代わるものとして、あるいは、追加的に、前記ベース構成材表面の活性化工程は、エッチング、オゾン処理、フッ素処理、塩素処理、酸化処理、およびそれらの2種類以上の組み合わせから選択する活性化技術に前記表面を供することによる前記表面の化学的活性化を含む。特に、該活性化工程は、過硫酸カリウム、アゾイソブチルニトライト、過マンガン酸カリウムから選択する強酸化剤による酸化工程、フッ素化工程、オキシフロリネーション工程、および前記工程のいずれか2種類以上の組み合わせから選択できる。
【0022】
さらに具体的には、活性化は、0.001%程度の容量のフッ素、好ましくは>1%、さらに好ましくは>5%を含有するフッ素含有混合気体に前記ベース構成材表面を曝露することによって実施でき、該フッ素は、任意に窒素などの不活性希釈用気体、あるいは、塩素、二酸化イオウ、特に酸素などの反応性気体と、圧力0.01〜500kPa、好ましくは10〜300kPa、さらに好ましくは20〜50kPa、温度0〜100℃以上、便利であるのは周囲温度以上で、前記ベース構成材のポリマー材の軟化点または融点を下回る温度で混和する。温度上昇は反応速度の増加を招くので、該温度は、通常、周囲温度以上とする。好ましくは、活性化は、20℃で、少なくとも45mN/m、さらに好ましくは少なくとも50mN/mの活性化表面の表面張力を提供する。例えば、活性化は、米国特許5,900,321号に記述されているタイプのオキシフロリネーションであることができる。
【0023】
前記ベース構成材表面の前記バリア構成材によるコーティングは、溶媒中の相補的ポリマー種の該バリア構成材溶液である混合物を形成し、該溶液を前記ベース構成材にコートし、コーティング部分から前記溶媒を除去し、該コーティング部分を乾燥させることによることができる。
【0024】
本発明のパッケージまたは容器は、前記ベース構成材を前記バリア構成材でコートした後、パッケージまたは容器を包装品として成形することで製造できるが、通常、上記のとおりに、該包装品を前記ベース構成材ポリマーから成形し、その後、前記ベース構成材による該包装品の、任意に内面、外面または内外面でのコーティングを行うのがよい。前記バリア構成材が水溶性である場合、かつ、パッケージまたは容器が水性内容物などの内容物を保持することを意図する場合、該水性内容物が前記バリア構成材と相互作用または有害作用を起こす可能性がある場合、コーティングを外面に制限するのがよい。
【0025】
上記のとおり、前記バリア構成材による前記ベース構成材のコーティングが、相補的ポリマー種のバリア構成材混合物の溶液状態、例えば水溶液で混合物を形成することによる場合、該溶液によるベース構成材のコーティングは、スプレーコーティングによることができる。
【0026】
本出願人が実施した試験で、本発明は、パッケージまたは容器の壁を通過する特に気体、の望ましくない移行に対する耐性に実質的に有用であることを実証した。これに関連して、ここで、以下の無制約の、説明に役立つ実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0027】
容積500ml、壁の厚さ0.4〜0.5mm、直径60mm、高さ225mmのポリエチレンテレフタレート(PET)ボトルと、容積500ml、壁の厚さ0.45〜0.50mmのポリプロピレン(PP)ボトルを使用した。該ボトルを25℃の密封反応器中、大気圧下に静置し、絶対圧力25kPaに達するまで該反応器から空気を排気し、絶対圧力30kPaに達するまで、容積換算で20%F2および80%N2を含む混合気体を該反応器に注入することによって、前記ボトルをオキシフロリネートした。これらの反応器条件をポリエチレンテレフタレートボトルで20秒間、ポリプロピレンボトルで20秒間維持し、その後、該反応器を排気し、大気圧で空気洗浄してから、該反応器を空け、ボトルを取り出した。
【0028】
Nordsonエアスプレー器を使って該ボトルの外面をそれぞれ下述の表1および2に示す組成物でスプレーコートした。ホーンエア圧を30psiに、噴霧エアを40psiに、トリガーエアを60psiに、液圧を30psiに設定した。2種類のコーティング剤を塗布した。第一のコーティング剤については、ボトルを300rpmで回転軸上で回転させ、2秒間スプレーした。次に、回転方向を逆転させ、300rpmでさらに2秒間該ボトルにスプレーした。
【0029】
該ボトルを120分間風乾した後、55℃のオーブン中でさらに2時間乾燥した。
【0030】
次に、下述の表3に示す組成物を使って、アクリル酸ウレタンオーバーコート溶液に該ボトルを浸漬被覆(ディップコート)し、55℃のオーブン中で2時間乾燥した。該ボトルを取り出し、Mocon Oxtran酸素透過性測定器を使って、酸素透過率を測定した。
【0031】

【0032】

【0033】
表1および2の組成物に関して、2種類の極性ポリマー種、ポリビニルアルコールおよびメチルビニルエーテル/マレイン酸コポリマーが、相互浸透する物理的網目構造を含むポリマー間複合体を形成することが判明した。
【0034】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマーベース構成材;および
該ベース構成材の表面をコートし、裏張りするバリア構成材:
を含む包装材であって、
該バリア構成材は、気体、蒸気及び液体が該ベース構成材を通過して移行することを抑制し、
前記バリア構成材は、前記ベース構成材表面をコートし裏張りするポリマー層を含み、前記ポリマー層は、極性を有して水溶性である少なくとも2種類の異なるポリマー種を含み、該異なるポリマー種は、異なる化学組成を有し、しかも、それらがポリマー間複合体化によって一緒に物理的に結合して相互浸透する物理的網目構造を形成し、該物理的網目構造が前記バリア構成材を提供するという点で、該異なるポリマー種は相補的であることを特徴とする包装材。
【請求項2】
前記包装材がパッケージまたは容器状であることを特徴とする請求項1に記載の包装材。
【請求項3】
前記パッケージまたは容器をカプセル、ブリスターパッケージ、におい袋、封筒、ジェリー缶、ボトルおよびジャーから成る群から選択することを特徴とする請求項2に記載の包装材。
【請求項4】
前記包装材が前記バリア構成材でコートされ裏張りされた内面を有することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の包装材。
【請求項5】
前記包装材が前記バリア構成材でコートされ裏張りされた外面を有することを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の包装材。
【請求項6】
前記バリア構成材が静電気結合によって物理的に前記ベース構成材に接着していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の包装材。
【請求項7】
前記バリア構成材が共有結合によって化学的に前記ベース構成材に接着していることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の包装材。
【請求項8】
各バリア構成材が、前記ベース構成材から離れた表面を有し、前記ベース構成材とは反対側のバリア構成材の前記表面上に保護コーティングを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の包装材。
【請求項9】
前記保護コーティングの材料が、熱硬化性ポリマー、紫外線硬化性ポリマーおよび熱可塑性ポリマーから成る群から選択する材料であることを特徴とする請求項8に記載の包装材。
【請求項10】
前記保護コーティングの材料を、ベース構成材のポリマー材料、ポリウレタン、ウレタンアクリレート、ポリビニリジンクロライド、ポリアクリレート、ポリエポキシド、ポリジメチルシロキサンおよびそれらのいずれかの2種類以上のコポリマーから成る群から選択することを特徴とする請求項9に記載の包装材。
【請求項11】
前記包装材料が、炭酸ドリンクまたは飲料のボトリングで使用するためのボトル状であり、ボトルの外面上に位置するバリア構成材が単一であり、前記ベース構成材が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリメチルペンテン、ポリビニルクロライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンおよびそれらのうちのいずれか2種類以上のコポリマーから成る群から選択するポリマープラスチック材料であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の包装材。
【請求項12】
前記バリア構成材の相補的ポリマー種を、ポリビニルアルコール、ポリビニルアミン、ポリビニルイミン、酢酸ポリビニル、ポリグリコール、ポリアクリル酸、ポリアルキルアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアルキルアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリラクタイド、ポリ無水物、ポリアミド、セルロース、ペクチン、タンパク、ガム、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロースおよびそれらのいずれか2種類以上のコポリマーから成る群から選択することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の包装材。
【請求項13】
前記バリア構成材の相補的ポリマー種を、ポリビニルアルコールおよびポリメチルビニルエーテル/マレイン酸コポリマーから選択することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の包装材。
【請求項14】
前記バリア構成材の相補的ポリマー種が、それぞれ、4,000〜100,000g/molの範囲の分子量を有し、その分子の大部分がこの範囲に入る分子量を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の包装材。
【請求項15】
前記分子量範囲が28,000〜76,000g/molであることを特徴とする請求項14に記載の包装材。
【請求項16】
前記バリア構成材でコートし裏張りした前記ベース構成材の表面を、オキシフロリネーション、火炎処理、プラズマ処理、およびそれらのいずれか2種類以上の組み合わせから成る群から選択する技術によって活性化することを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の包装材。
【請求項17】
ポリマーベース構成材;および
該ベース構成材の表面をコートし、裏張りするバリア構成材:
を含む包装材を製造する方法であって、
前記バリア構成材は、気体、蒸気および液体が該ベース構成材を通過して移行することを抑制し、
前記方法が、極性かつ水溶性で、かつ、化学組成の異なる少なくとも2種類の相補的ポリマー種を含むポリマー層状のバリア構成材によって前記ベース構成材の少なくとも一表面をコートする工程を含み、前記ベース構成材を裏張りする前記層および前記コーティング工程が、ポリマー間複合体化によって前記の相補的ポリマー種を物理的に一緒に相互作用させ、相互浸透する物理的網目構造を形成し、前記バリア構成材を提供するコーティング工程を含む、製造法。
【請求項18】
前記方法が、前記ベース構成材をパッケージまたは容器へ成形する工程を含むことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記コーティング工程を、前記ベース構成材のパッケージまたは容器への成形工程後に行うことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記コーティング工程を前記パッケージまたは容器の内面上で行うことを特徴とする請求項18または請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記コーティング工程を前記容器の外面上で行うことを特徴とする請求項18〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記コーティング工程が、前記バリア構成材を前記ベース構成材へ静電気結合により物理的に接着することを含むことを特徴とする、請求項17〜21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記コーティング工程が、前記バリア構成材を前記ベース構成材へ共有結合により化学的に接着することを含むことを特徴とする、請求項17〜22のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
前記方法が、各バリア構成材で前記ベース構成材をコートした後、前記ベース構成材から離れた、各バリア構成材の反対側に前記ベース構成材からの保護コーティングを提供する工程を含むことを特徴とする請求項17〜23のいずれかに記載の方法。
【請求項25】
前記方法が熱硬化性ポリマー、紫外線硬化性ポリマーおよび熱可塑性ポリマーから成る群から保護コーティングの材料を選択する工程を含むことを特徴とする請求項17〜24のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
前記方法が、ベース構成材のポリマー材料、ポリウレタン、ウレタンアクリレート、ポリビニリジンクロライド、ポリアクリレート、ポリエポキシド、ポリジメチルシロキサンおよびそれらのいずれかの2種類以上のコポリマーから成る群から、前記保護コーティングの材料を選択する工程を含むことを特徴とする請求項17〜25のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記方法が、前記ベース構成材を、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアクリロニトリル、ポリメチルペンテン、ポリビニルクロライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンおよびそれらのうちのいずれか2種類以上のコポリマーから成る群から選択する工程を含むことを特徴とする請求項17〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記方法が、前記バリア構成材の各相補的ポリマー種を、ポリビニルアルコール、ポリビニルアミン、ポリビニルイミン、酢酸ポリビニル、ポリグリコール、ポリアクリル酸、ポリアルキルアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアルキルアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリラクタイド、ポリ無水物、ポリアミド、セルロース、ペクチン、タンパク、ガム、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロースおよびそれらのいずれか2種類以上のコポリマーから成る群から選択する工程を含むことを特徴とする請求項17〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記方法が、前記バリア構成材の各相補的ポリマー種を、ポリビニルアルコールおよびポリメチルビニルエーテル/マレイン酸コポリマーから成る群から選択する工程を含むことを特徴とする請求項17〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
前記方法が、4,000〜100,000g/molの範囲の分子量を有し、その分子の大部分がこの範囲に入る分子量を有する前記バリア構成材の相補的ポリマー種を、それぞれ、選択する工程を含むことを特徴とする請求項28または請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記分子量範囲が28,000〜76,000g/molであることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記方法が、前記ベース構成材を前記バリア構成材でコートする前に、前記ベース構成材表面を活性化する工程を含むことを特徴とする請求項17〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記ベース構成材表面の活性化工程が、荒削りまたは研磨、紫外線照射処理、ガンマ線照射処理、火炎処理、プラズマ処理およびそれらの2種類以上の組み合わせから選択する活性化技術に前記表面を供することにより前記表面を物理的に活性化することを含むことを特徴とする請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ベース構成材表面の活性化工程が、エッチング、オゾン処理、フッ素処理、塩素処理、酸化処理、およびそれらの2種類以上の組み合わせから選択する活性化技術に前記表面を供することにより前記表面を化学的に活性化することを含むことを特徴とする請求項32または請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記活性化工程を、過硫酸カリウム、アゾイソブチルニトライト、過マンガン酸カリウムから選択する強酸化剤による酸化工程、フッ素化工程、オキシフロリネーション工程、および前記工程のいずれか2種類以上の組み合わせから選択することを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記ベース構成材表面の前記バリア構成材によるコーティングが、溶媒中の前記バリア構成材の相補的ポリマー種の溶液である混合物を形成し、前記溶液で前記ベース構成材をコートし、コーティングから前記溶媒を除去して前記コーティングを乾燥させることによることを特徴とする請求項17〜32のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2006−522695(P2006−522695A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506438(P2006−506438)
【出願日】平成16年4月5日(2004.4.5)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001035
【国際公開番号】WO2004/089624
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(505377142)
【Fターム(参考)】