説明

化合物、組成物および方法

本発明は、KSPの活性をモジュレートすることによる、細胞増殖疾患および障害の治療に有用な化合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、有糸分裂キネシンKSPおよびの阻害剤であり、細胞増殖性障害、例えば癌、過形成、再狭窄、心臓肥大、免疫障害、真菌性障害および炎症の治療に有用な化合物に関する。
【0002】
発明の背景
癌の治療に用いられる治療剤に、微小管で作用するタキサンおよびビンカアルカロイドがある。微小管は、有糸分裂スピンドルの一次構造成分である。有糸分裂スピンドルは、細胞分裂から生じる2つの娘細胞の各々に、ゲノムの複製コピーを与えるのに寄与する。これらの薬剤による有糸分裂スピンドルの崩壊により、癌細胞分裂の阻害および癌細胞死の誘発が生じると考えられる。しかしながら、微小管は、神経プロセスにおける細胞内輸送に対する経路を含む、他の型の細胞構造を形成している。これらの薬剤は、有糸分裂スピンドルを特異的に標的化しないので、副作用を有し、その実用性が制限される。
【0003】
癌の治療に用いられる薬剤の特異性の改善は、その薬剤の投与に付随する副作用の減少を実現できるだろうという治療的な有益性から、非常に興味が持たれている。慣用的に、癌の治療における劇的な改善は、新しいメカニズムにより作用する治療剤に関連している。この例としては、タキサンだけでなく、トポイソメラーゼI阻害剤のカンプトセシン群が挙げられる。これらの観点から、有糸分裂キネシンは、新しい抗癌剤として魅力ある標的となっている。
【0004】
有糸分裂キネシンは、有糸分裂スピンドルのアセンブリーおよび機能に必須の酵素であるが、一般的に、例えば神経プロセスにおける、他の微小管構造の一部ではない。有糸分裂キネシンは、すべての有糸分裂のすべてのフェーズの間、不可欠な役割を果たしている。これらの酵素は、ATPの加水分解により放出されたエネルギーを、微小管に沿って、細胞内物質輸送の方向性を操作する機械的な力に変換する、「分子モーター」である。このタスクに十分な触媒ドメインは、約340のアミノ酸の小型の構造である。有糸分裂の間、キネシンは、微小管を、有糸分裂スピンドルである二極性構造にする。キネシンは、スピンドル微小管に沿って、染色体の移動を介在し、ならびに、有糸分裂の特定のフェーズに付随する有糸分裂スピンドルを構造的に変化させる。有糸分裂キネシン機能を実験的に混乱させると、しばしば細胞サイクル阻害および細胞死を生じさせる分裂スピンドル奇形または機能障害が引き起こされる。
【0005】
同定されている有糸分裂キネシンに、KSPがある。KSPは、逆平行ホモダイマーからなる二極性ホモテトラマーを組み立てる、プラスエンド方向性微小管モーターの進化的に保存されたキネシンサブファミリーに属する。有糸分裂の間、KSPは、有糸分裂スピンドルの微小管と結合している。ヒト細胞にKSPに対する抗体をマイクロインジェクションすることにより、前中期のスピンドルポール分離を防止し、単極性スピンドルを上昇させて、有糸分裂の停止を引き起こし、プログラム細胞死を誘発する。KSPおよび他の非ヒト有機体における関連キネシンは、逆平行微小管を束ね、他方に関連してそれらをスライドさせ、かくして、2つのスピンドルポールを分離する。また、KSPは、後期Bスピンドル伸長をおよびスピンドルポールでの微小管の集束を介在しうる。
【0006】
ヒトKSP(HsEg5とも称される)は、(Blangy, et al., Cell, 83:1159-69 (1995);Whitehead, et al., Arthritis Rheum., 39:1635-42 (1996);Galgio et al., J. Cell Biol., 135:339-414 (1996);Blangy, et al., J Biol. Chem., 272:19418-24 (1997);Blangy, et al., Cell Motil Cytoskeleton, 40:174-82 (1998);Whitehead and Rattner, J. Cell Sci., 111:2551-61 (1998);Kaiser, et al., JBC 274:18925-31 (1999);GenBank受入番号: X85137, NM004523およびU37426)に記載されており、KSP遺伝子のフラグメント(TRIP5)は、(Lee, et al., Mol Endocrinol., 9:243-54 (1995);GenBank受入番号L40372)に記載されている。ゼノパスKSPホモログ(Eg5)、ならびに、ショウジョウバエ(Drosophila)KLP61F/KRP130も報告されている。
【0007】
有糸分裂キネシンは、新規抗−有糸分裂化学療法剤の発見および開発に関して興味ある標的である。したがって、KSP、有糸分裂キネシンの阻害に有用な化合物、組成物および方法を提供することが本発明の主題である。
【0008】
発明の概要
上記した主題により、本発明は、細胞増殖の疾患の治療に用いることができる、化合物、組成物および方法を提供する。化合物は、KSP阻害剤、特にヒトKSP阻害剤である。
【0009】
一の態様において、本発明は、細胞増殖疾患の治療方法、KSPの活性を調節することによる障害の治療方法およびKSPキネシンの阻害方法に関する。該方法は、式I:
【化1】

[式中:
R1およびR2の1つは、−NR17S(O)NR10R11であり、他方は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ(置換されていてもよい低級ハロアルコキシを含む)、シアノ、ニトロ、置換されていてもよい低級アルキル(置換されていてもよい低級ハロアルキルを含む)、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、−NR13R14、置換されていてもよいアミノスルホニルおよび置換されていてもよいアミノカルボニルからなる群から選択され;
R10およびR11は、独立して、水素、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ、置換されていてもよい低級アルキル(置換されていてもよい低級ハロアルキルを含む)、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択され;
R17は、水素および低級アルキルから選択され;
mは1または2であり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ(置換されていてもよい低級ハロアルコキシを含む)、シアノ、ニトロ、置換されていてもよい低級アルキル(置換されていてもよい低級ハロアルキルを含む)、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、−NR13R14、置換されていてもよいアミノスルホニルおよび置換されていてもよいアミノカルボニルからなる群から選択され;
Yは、置換されていてもよい低級アルキル(置換されていてもよいハロアルキルを含む)、ハロゲン、トリフルオロメトキシ、−S(O)CF、−CR15R16CFおよび−C(X)CFからなる群から選択され;
Xは、酸素および硫黄からなる群から選択され;
R15およびR16は、それらが結合している炭素と一緒になって、3〜6個の炭素原子を有し、窒素、硫黄および酸素から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含有していてもよい、飽和または不飽和環を形成し、該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ、シアノまたは置換されていてもよい低級アルキル(置換されていてもよい低級ハロアルキルを含む)により置換されていてもよく;
nは、0、1または2であり;
あるいは、YおよびR5またはYおよびR6は、それらが結合している炭素と一緒になって、酸素、窒素および硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を含有していてもよい、5〜7員の飽和または不飽和環を形成し、該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、−NR13R14、置換されていてもよい低級アルキル(置換されていてもよい低級ハロアルキルを含む)または置換されていてもよい低級アルコキシ置換されていてもよく、芳香族であっても、非芳香族であってもよく;
R13およびR14は、独立して、水素、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ、置換されていてもよい低級アルキル(置換されていてもよい低級ハロアルキルを含む)、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択されるか、あるいは、R13およびR14は、それらが結合している窒素と一緒になって、3〜7個の炭素原子を有し、窒素、硫黄および酸素から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含有していてもよい環を形成し、該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、置換されていてもよい低級アルキル(置換されていてもよい低級ハロアルキルを含む)または置換されていてもよい低級アルコキシにより置換されていてもよい]
で示される、単一の立体異性体および立体異性体の混合物を含む化合物またはその医薬上許容される誘導体(塩を含む)または溶媒和物を用いる。
【0010】
一の態様において、本発明は、治療的に有効な量の式Iで示される化合物またはその医薬上許容される誘導体もしくは溶媒和物を投与することによる、細胞増殖疾患およびKSPキネシン活性を調節することにより治療することができる他の障害の治療方法およびKSPの阻害方法に関する。本発明の化合物による治療に対応する疾患のよび障害は、癌、過形成、再狭窄、心臓肥大、免疫障害、真菌性障害および炎症を含む。
【0011】
別の態様において、本発明は、KSPキネシンの阻害に有用な化合物に関する。化合物またはその誘導体もしくは溶媒和物は、式Iで示される構造を有する。また、本発明は、治療的に有効な量の式Iで示される化合物またはその医薬上許容される誘導体もしくは溶媒和物を、少なくとも1種の医薬上許容される賦形剤と混合して含有する、医薬組成物に関する。
【0012】
さらなる態様において、本発明は、KSPキネシンに結合する化合物、例えば本発明の化合物の結合と置き換わるか、あるいは競合する化合物のスクリーニング方法を提供する。該方法は、本発明の標識化化合物、KSPキネシンおよび少なくとも1つの候補剤を組合せ、KSPキネシンへの候補生物活性剤の結合を測定することを含む。
【0013】
さらなる態様において、本発明は、KSPキネシン活性のモジュレーターのスクリーニング法を提供する。該方法は、本発明の化合物、KSPキネシンおよび少なくとも1種の候補剤を組合せ、KSPキネシン活性への候補生物活性剤の影響を測定することを含む。
【0014】
図面の簡単な説明
図1は、本発明の代表的な化合物を示す。
【0015】
発明の詳細な記載
記載
アルキルは、直鎖、分枝鎖または環状炭化水素構造およびその組合せを含む。低級アルキルは、1〜5(特に1〜4、例えば1〜3)個の炭素原子のアルキル基を意味する。低級アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、s−およびt−ブチル等が挙げられる。好ましいアルキル基は、C20またはそれ以下のものである。より好ましいアルキル基は、C13またはそれ以下のものである。シクロアルキルは、アルキルのサブセットであり、3〜13個の炭素原子の環状炭化水素基を含む。シクロアルキル基の例としては、c−プロピル、c−ブチル、c−ペンチル、ノルボルニル、アダマンチル等が挙げられる。本願において、アルキルは、アルカニル、アルケニルおよびアルキニル残基を含み;シクロヘキシルメチル、ビニル、アリル、イソプレニル等を含みうる。アルキレンは、アルキルの他のサブセットであり、アルキルとして同じであるが、2つの結合点を有する基を意味する。アルキレンの例としては、エチレン(−CHCH−)、プロピレン(−CHCHCH−)、ジメチルプロピレン(−CHC(CHCH−)およびシクロヘキシルプロピレン(−CHCHCH(C13)−)が挙げられる。特定の数の炭素原子を有するアルキル基を命名する場合、その炭素数のすべての幾何異性体を含み;かくして、例えば「ブチル」は、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびt−ブチルを含み;「プロピル」は、n−プロピルおよびイソプロピルを含む。
【0016】
アルコキシまたはアルコキシルは、−O−アルキル基、好ましくは、酸素原子を介して親構造に結合している、1〜8個の炭素原子を含む、直鎖、分枝鎖、環状構造およびその組合せを意味する。例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシ等が挙げられる。低級アルコキシは、1〜5、特に1〜4個(例えば1〜3個)の炭素原子を含有する基を意味する。
【0017】
抗有糸分裂剤は、例えば、中期停止を引き起こすことにより、有糸分裂を阻害または防止する薬剤を意味する。いくつかの抗腫瘍剤は、増殖を遮断し、抗有糸分裂剤と見なされる。
【0018】
アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ、O、NまたはSから選択される、0または1〜4個のヘテロ原子を含有する、6員の芳香族または5〜6員のヘテロ芳香環;それぞれ、O、NまたはSから選択される0または1〜4個(またはそれ以上)のヘテロ原子を含有する、二環式9または10員の芳香環またはヘテロ芳香環系;またははそれぞれ、O、NまたはSから選択される、0または1〜4個(またはそれ以上)のヘテロ原子を含有する、12〜14員の芳香環またはヘテロ芳香環系を意味する。芳香族6〜14員のカルボサイクリック環は、例えばフェニル、ナフチル、インダニル、テトラリニルおよびフルオレニルを含み、5〜10員の芳香族ヘテロサイクリック環は、例えばイミダゾリル、ピリジニル、インドリル、チエニル、ベンゾピラノニル、チアゾリル、フラニル、ベンズイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ピリミジニル、ピラジニル、テトラゾリルおよびピラゾリルを含む。
【0019】
アラルキルは、アリール基が、アルキル基を介して親構造に結合した基を意味する。例としては、ベンジル、フェネチル、フェニルビニル、フェニルアリル等が挙げられる。ヘテロアラルキルは、ヘテロアリール基が、アルキル基を介して親構造に結合した基を意味する。例としては、フラニルメチル、ピリジニルメチル、ピリミジニルエチル等を含む。
【0020】
アラルコキシは、アラルキル−O−基を意味する。同様に、ヘテロアラルコキシは、ヘテロアラルキル−O−基を意味し;アリールオキシは、−O−アリール基を意味し;アシルオキシは、−O−アシル基を意味する。
【0021】
アミノカルボニルは、−NRCORまたはNRCO基を意味し;
ここに、Raは、置換されていてもよいC−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C−Cアルキル−またはヘテロアリール−C−Cアルキル−基であるか、あるいは、それが結合している炭素と一緒になって、窒素、硫黄および酸素から選択される1、2または3ヘテロ原子を含有していてもよい、3〜6個の炭素原子を有する環を形成し、該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよいアルコキシ、シアノ、置換されていてもよい低級アルキルまたは置換されていてもよい低級ハロアルキルにより置換されていてもよく;
Rbは、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル−、アリール−、ヘテロアリール−、アリール−C−Cアルキル−またはヘテロアリール−C−Cアルキル−基であり;
ここに、各々、置換されていてもよいRおよびR基は、独立して、非置換であっても、あるいは、C−Cアルキル−、アリール−、ヘテロアリール−、アリール−C−Cアルキル−、ヘテロアリール−C−Cアルキル−、C−Cハロアルキル−、−OC−Cアルキル−、−OC−Cアルキルフェニル、−C−Cアルキル−OH、−OC−Cハロアルキル、ハロゲン、−OH、−NH、−C−Cアルキル−NH、−N(C−Cアルキル)(C−Cアルキル)、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)(C−Cアルキルフェニル)、−NH(C−Cアルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(ヘテロアリールの置換基として)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−CON(C−Cアルキル)(C−Cアルキル)、−CONH(C−Cアルキル)、−CONH、−NHC(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)(フェニル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(フェニル)、−C(O)C−Cアルキル、−C(O)C−Cフェニル、−C(O)C−Cハロアルキル、−OC(O)C−Cアルキル、−SO(C−Cアルキル)、−SO(フェニル)、−SO(C−Cハロアルキル)、−SONH、−SONH(C−Cアルキル)、−SONH(フェニル)、−NHSO(C−Cアルキル)、−NHSO(フェニル)および−NHSO(C−Cハロアルキル)から独立して選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。
【0022】
ハロゲンまたはハロは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。フッ素、塩素および臭素が好ましい。ハロアルキルおよびハロアルコキシは、それぞれ、アルキル基が、同じであっても異なっていてもよい1個またはそれ以上のハロゲンにより置換されたアルキルおよびアルコキシを意味する。ジハロアリール、ジハロアルキル、トリハロアリール等は、複数のハロゲンに置換されている(複数の同じハロゲンである必要はない)アリールおよびアルキルを意味し;かくして、4−クロロ−3−フルオロフェニルは、ジハロアリールの範囲に含まれる。
【0023】
ヘテロシクロアルキルは、5〜7個の原子を有し、環のメンバー原子として1〜3個のヘテロ原子を含有する、飽和または不飽和の単環を意味する。ヘテロシクロアルキル環は芳香族ではない。1個以上のヘテロ原子を含有するヘテロシクロアルキル基は、異なるヘテロ原子を含有していてもよい。ヘテロシクロアルキル基は、上記したような1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。ある種の具体例において、ヘテロシクロアルキルは飽和である。他の具体例において、ヘテロシクロアルキルは、芳香族ではないが不飽和である。ヘテロシクロアルキルは、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チアモルホリニル、アゼピニル、1,3−ジオキソールアニル、1,3−ジオキサニル、1,4−ジオキサニル、1,3−オキサチオールアニル、1,3−オキサチアニル、1,3−ジチアニルを含む。
【0024】
「されていてもよい」は、それに続く記載事項または状況が、生じても、または生じなくてもよいことおよび記載が、該事象または状況が生じる場合および生じない場合を含んでいることを意味することは理解できるだろう。基または部が、「置換されていてもよい」場合、基または部は、非置換であっても、または1個またはそれ以上の記載されている置換基により置換されていてもよく、かかる置換基は、独立して選択されることは理解できるだろう。立体的に非現実的および/または合成的に実行不可能および/または本質的に不安定である置換基の導入または置換パターンを意図しない、1個またはそれ以上の置換基を含有するいずれもの基に関することも当業者により理解できるだろう。
【0025】
溶媒和物は、溶媒および式で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体の相互作用により形成される化合物を意味する。適当な溶媒和物は、医薬上許容される溶媒と形成されるものであり、水和物(すなわち、溶媒が水である)を含む。「式Iで示される化合物またはその医薬上許容される誘導体(例えば、塩)もしくは溶媒和物」なるフレーズは、式Iで示される化合物、その化合物の医薬上許容される誘導体(例えば、塩)、その化合物の溶媒和物およびその化合物の医薬上許容される誘導体(例えば、塩)の溶媒和物を含むことを意図することは理解されるだろう。
【0026】
置換アルコキシは、−O−(置換アルキル)基を意味する。
置換されていてもよいアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリール基(例えば、アルコキシ、アラルキルまたはヘテロアラルキル)を含有するいずれもの基の置換アルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール基を含む、置換−アルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール基は、それぞれ、1個またはそれ以上(例えば、約5まで;一の具体例においては約3まで)の水素原子が、置換基により置換されている、アルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールを意味し、ここに、各々の置換基は:
−Ra、−ORb、−O(C−Cアルキル)O−(アリール置換基として)、−SRb、−NRbRc、−C(=NRc)−NRbRc、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−CORb、−CORb、−CONRbRc、−OCORb、−OCORb、−OCONRbRc、−NRcCORb、−NRcCORb、−NRcCONRbRc、−CORb、−CONRbRc、−NRcCORb、−SORa、−SORa、−SONRbRcおよび−NRcSORaからなる群から独立して選択され;
ここに、Raは、置換されていてもよいC−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C−Cアルキル−またはヘテロアリール−C−Cアルキル−基であるか、あるいは、それが結合している炭素と一緒になって、3〜6個の炭素原子を有し、窒素、硫黄および酸素から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含有していてもよい環を形成し、該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよいアルコキシ、シアノ、置換されていてもよい低級アルキルまたは置換されていてもよい低級ハロアルキルにより置換されていてもよく;
Rbは、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C−Cアルキル−またはヘテロアリール−C−Cアルキル−基であり;
Rcは、水素またはC−Cアルキルであり;
ここに、各々置換されていてもよいRa基およびRb基は、独立して、非置換であるか、または1個またはそれ以上の置換基により置換されており、該置換基は、独立して、C−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C−Cアルキル−、ヘテロアリール−C−Cアルキル−、C−Cハロアルキル、−OC−Cアルキル、−OC−Cアルキルフェニル、−C−Cアルキル−OH、−OC−Cハロアルキル、ハロゲン、−OH、−NH、−C−Cアルキル−NH、−N(C−Cアルキル)(C−Cアルキル)、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)(C−Cアルキルフェニル)、−NH(C−Cアルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(ヘテロアリールに関する置換基として)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−CON(C−Cアルキル)(C−Cアルキル)、−CONH(C−Cアルキル)、−CONH、−NHC(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)(フェニル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(フェニル)、−C(O)C−Cアルキル、−C(O)C−Cフェニル、−C(O)C−Cハロアルキル、−OC(O)C−Cアルキル、−SO(C−Cアルキル)、−SO(フェニル)、−SO(C−Cハロアルキル)、−SONH、−SONH(C−Cアルキル)、−SONH(フェニル)、−NHSO(C−Cアルキル)、−NHSO(フェニル)および−NHSO(C−Cハロアルキル)から選択される。
【0027】
置換ハロアルキルおよびハロアルコキシは、それぞれ、ハロゲン(複数でも可)置換基(複数でも可)に加えて、1個またはそれ以上(例えば、約5まで;一の具体例において約3まで)の水素原子が置換基により置換されている、アルキルおよびアルコキシを意味し、各々の置換基は、独立して:
−Ra、−ORb、−O(C−Cアルキル)O−(アリール置換基として)、−SRb、−C(=NRc)−NRbRc、シアノ、ニトロ、−CORb、−CORb、−CONRbRc、−OCORb、−OCORb、−OCONRbRc、−NRcCORb、−NRcCORb、−NRcCONRbRc、−CORb、−CONRbRc、−NRcCORb、−SORa、−SORa、−SONRbRcおよび−NRcSORaから選択され;
ここに、Raは、置換されていてもよいC−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C−Cアルキル−またはヘテロアリール−C−Cアルキル−基であるか、あるいは、それが結合している炭素と一緒になって、3〜6個の炭素原子を有し、窒素、硫黄および酸素から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含有していてもよい環を形成し、環は、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよいアルコキシ、シアノ、置換されていてもよい低級アルキルまたは置換されていてもよい低級ハロアルキルにより置換されていてもよく;
Rbは、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C−Cアルキル−またはヘテロアリール−C−Cアルキル−基であり;
Rcは、水素またはC−Cアルキルであり;
ここに、各々置換されていてもよいRa基およびRb基は、独立して、非置換であるか、あるいは、C−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C−Cアルキル−、ヘテロアリール−C−Cアルキル−、C−Cハロアルキル、−OC−Cアルキル、−OC−Cアルキルフェニル、−C−Cアルキル−OH、−OC−Cハロアルキル、ハロゲン、−OH、−NH、−C−Cアルキル−NH、−N(C−Cアルキル)(C−Cアルキル)、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)(C−Cアルキルフェニル)、−NH(C−Cアルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(ヘテロアリールに対する置換基として)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−CON(C−Cアルキル)(C−Cアルキル)、−CONH(C−Cアルキル)、−CONH、−NHC(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)(フェニル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(フェニル)、−C(O)C−Cアルキル、−C(O)C−Cフェニル、−C(O)C−Cハロアルキル、−OC(O)C−Cアルキル、−SO(C−Cアルキル)、−SO(フェニル)、−SO(C−Cハロアルキル)、−SONH、−SONH(C−Cアルキル)、−SONH(フェニル)、−NHSO(C−Cアルキル)、−NHSO(フェニル)および−NHSO(C−Cハロアルキル)から独立して選択される、1個またはそれ以上の置換基により置換されている。
【0028】
アミノスルホニルは、−NRSOまたはNRSO基を意味し;
ここに、Raは、置換されていてもよいC−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリール−C−Cアルキル−またはヘテロアリール−C−Cアルキル−基であるか、あるいはそれが結合している炭素と一緒になって、3〜6個の炭素原子を有し、窒素、硫黄および酸素から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含有していてもよい環を形成し、該環が、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよいアルコキシ、シアノ、置換されていてもよい低級アルキルまたは置換されていてもよい低級ハロアルキルにより置換されていてもよく;
Rbは、Hまたは置換されていてもよいC−Cアルキル−、アリール−、ヘテロアリール−、アリール−C−Cアルキル−またはヘテロアリール−C−Cアルキル−基であり;
ここに、各々置換されていてもよいRおよびR基は、独立して、非置換であるか、または、C−Cアルキル−、アリール−、ヘテロアリール−、アリール−C−Cアルキル−、ヘテロアリール−C−Cアルキル−、C−Cハロアルキル−、−OC−Cアルキル−、−OC−Cアルキルフェニル、−C−Cアルキル−OH、−OC−Cハロアルキル、ハロゲン、−OH、−NH、−C−Cアルキル−NH、−N(C−Cアルキル)(C−Cアルキル)、−NH(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)(C−Cアルキルフェニル)、−NH(C−Cアルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、オキソ(ヘテロアリールに関する置換基として)、−COH、−C(O)OC−Cアルキル、−CON(C−Cアルキル)(C−Cアルキル)、−CONH(C−Cアルキル)、−CONH、−NHC(O)(C−Cアルキル)、−NHC(O)(フェニル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(C−Cアルキル)、−N(C−Cアルキル)C(O)(フェニル)、−C(O)C−Cアルキル、−C(O)C−Cフェニル、−C(O)C−Cハロアルキル、−OC(O)C−Cアルキル、−SO(C−Cアルキル)、−SO(フェニル)、−SO(C−Cハロアルキル)、−SONH、−SONH(C−Cアルキル)、−SONH(フェニル)、−NHSO(C−Cアルキル)、−NHSO(フェニル)および−NHSO(C−Cハロアルキル)からなる群から独立して選択される、1個またはそれ以上の置換基により置換されている。
【0029】
式Iで示される医薬上許容される誘導体は、式Iで示される化合物の、医薬上許容される塩、エステルまたはエステルの塩を含み、これらは、患者に投与された場合、式Iで示される化合物または活性代謝物またはその残基を(直接的または間接的に)提供することができる。簡単にするために、本明細書のある種の例において、式Iで示される化合物の塩と言及する。また、式Iで示される他の医薬上許容される誘導体、例えばエステルは、本明細書に明確に記載したように、塩に関して特に開示されたように、本発明における使用に適していることは明らかだろう。
【0030】
医薬上許容される酸付加塩は、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等および有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸等と形成される、遊離塩基の生物学的有効性を保持し、生物学的にまたは別に不適切でない塩を意味する。
【0031】
医薬上許容される塩基付加塩は、無機塩基、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マグネシウム、アルミニウム塩等から誘導されるものを含む。特定の具体例において、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムまたはマグネシウム塩が用いられる。医薬上許容される有機非毒性塩基の塩は、一級、二級および三級アミン、天然に生じる置換アミンを含む置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミンおよびエタノールアミンの塩を含む。
【0032】
本明細書に記載の化合物は、1個またはそれ以上の不斉中心を含有することができ、かくして、絶対立体化学に関して、(R)−または(s)−として定義されうる、エナンチオマー、ジアステレオマーおよび他の立体異性体形態も含む。本発明は、ラセミ混合物、光学的に純粋な形態および中間体混合物を含む、すべての可能性ある異性体を含む。光学活性(R)−および(s)−異性体は、キラル合成またはキラル試薬を用いて調製することができるか、あるいは、慣用的に技法を用いて分割することができる。本明細書に記載の化合物が、オレフィン二重結合を含有するか、あるいは幾何学的な不斉中心を有する場合、特記しない限り、化合物は、両方のEおよびZ幾何異性体を含むことを意図する。同様に、すべての互変異性体形態もまた含まれる。
【0033】
望ましい場合、R−およびS−異性体は、当業者に公知の方法、例えば結晶化により分離することができる、ジアステレオ異性体塩または複合体を形成することにより;例えば、結晶化、ガス−液体または液体クロマトグラフィーにより分離することができるジアステレオ異性体誘導体を形成することにより;エナンチオマー−特異的試薬で一のエナンチオマーを選択的に反応させ(例えば酵素酸化または還元)、ついで、修飾および非修飾エナンチオマーを分離することにより;あるいは、キラル環境下、例えばキラル支持体、例えばキラルリガンドが結合したシリカまたはキラル溶媒の存在下での、ガス−液体または液体クロマトグラフィーにより、分割することができる。上記した分離方法の1つにより、所望のエナンチオマーを他の化学物質に変換する場合、所望のエナンチオマー形態を遊離させるためにさらなる工程が必要となることは明らかだろう。別法として、特定のエナンチオマーを、光学活性試薬、基質、触媒または溶媒を用いる不斉合成により、あるいは、一のエナンチオマーを他のエナンチオマーに、不斉変換により変換することにより合成することができる。
【0034】
本発明の化合物
本発明は、有糸分裂キネシンのモジュレーター、特に阻害剤である一群の新規化合物に関する。有糸分裂キネシンを阻害またはモジュレートし、他のキネシン(例えば、トランスポートキネシン)を阻害またはモジュレートしないことにより、細胞増殖の特異的な阻害が達成される。かくして、本発明は、有糸分裂キネシン機能の摂動が、有糸分裂スピンドルの奇形または機能不全を引き起こし、しばしば、細胞サイクル停止または細胞死を生じさせるという知見に基づく。ヒトKSPキネシンの阻害方法は、本発明の阻害剤を、KSPのフラグメントおよび変異体を含む、KSPキネシン、特にヒトKSPキネシンと接触させることを含む。阻害は、KSPキネシンのATP加水分解活性および/または有糸分裂スピンドル形成活性の阻害であり、有糸分裂スピンドルを崩壊させる。減数分裂スピンドルもまた崩壊させることができる。
【0035】
本発明の主題は、細胞増殖に付随する障害を治療するための、有糸分裂キネシン、特にKSPの阻害剤およびモジュレーターを開発することである。慣用的には、癌、細胞増殖性障害の一の型の治療における劇的な改善は、新規医薬により作用する治療剤の同定に付随する。この例としては、微小管形成での作用が明らかなタキサン群の薬剤だけでなく、カンプトテシン群のトポイソメラーゼI阻害剤が挙げられる。本明細書に記載の化合物、組成物および方法は、選択性において異なり、好ましくは、癌、過形成、再狭窄、心臓肥大、免疫障害、真菌性障害および炎症を含む、細胞増殖性疾患の治療に用いられる。
【0036】
したがって、本発明は、式I:
【化2】

[式中:
R1およびR2の1つは、−NR17S(O)R10R11であり、他方は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ(置換されていてもよい低級ハロアルコキシを含む)、シアノ、ニトロ、置換されていてもよい低級アルキル(置換されていてもよい低級ハロアルキルを含む)、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、−NR13R14、置換されていてもよいアミノスルホニルおよび置換されていてもよいアミノカルボニルからなる群から選択され;
R10およびR11は、独立して、水素、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ、置換されていてもよい低級アルキル(置換されていてもよい低級ハロアルキルを含む)、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択され;
R17は、水素および低級アルキルから選択され;
mは1または2であり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ(置換されていてもよい低級ハロアルコキシを含む)、シアノ、ニトロ、置換されていてもよい低級アルキル(置換されていてもよい低級ハロアルキルを含む)、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、−NR13R14、置換されていてもよいアミノスルホニルおよび置換されていてもよいアミノカルボニルからなる群から選択され;
Yは、置換されていてもよい低級アルキル(置換されていてもよいハロアルキルを含む)、ハロゲン、トリフルオロメトキシ、−S(O)CF、−CR15R16CFおよび−C(X)CFからなる群から選択され;
Xは、酸素および硫黄からなる群から選択され;
R15およびR16は、それらが結合している炭素と一緒になって、3〜6個の炭素原子を有し、窒素、硫黄および酸素から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含有していてもよい、飽和または不飽和環を形成し、該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ、シアノまたは置換されていてもよい低級アルキル(置換されていてもよい低級ハロアルキルを含む)により置換されていてもよく;
nは、0、1または2であり;
あるいは、YおよびR5またはYおよびR6は、それらが結合している炭素と一緒になって、酸素、窒素および硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を含有していてもよい、5〜7員の飽和または不飽和環を形成し、該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、−NR13R14、置換されていてもよい低級アルキル(置換されていてもよい低級ハロアルキルを含む)または置換されていてもよい低級アルコキシ置換されていてもよく、芳香族であっても、非芳香族であってもよく;
R13およびR14は、独立して、水素、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ、置換されていてもよい低級アルキル(置換されていてもよい低級ハロアルキルを含む)、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択されるか、あるいは、R13およびR14は、それらが結合している窒素と一緒になって、3〜7個の炭素原子を有し、窒素、硫黄および酸素から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含有していてもよい環を形成し、該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、置換されていてもよい低級アルキル(置換されていてもよい低級ハロアルキルを含む)または置換されていてもよい低級アルコキシにより置換されていてもよい]
により示される化合物またはその医薬上許容される誘導体もしくは溶媒和物を使用する方法に関する。
【0037】
式(I)で示される化合物は、式(I)で示される単一の立体異性体および立体異性体の混合物を含む。
【0038】
用語
式(I)で示される化合物は、下記のように命名および番号付けすることができる(例えば、ISIS/Draw version 6.02の ACD/Name add-in を用いる)。
例えば、化合物
【化3】

すなわち、R1が−NHSONHであり、R2がフルオロであり、R3が水素であり、R4がシアノであり、R5〜R9が水素であり、Yがトリフルオロメチルである、式Iで示される化合物は、N−[2’−シアノ−3−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミドと命名することができ;
【化4】

すなわち、R1が−NHSONHであり、R2〜R4およびR6〜R9が水素であり、R5およびYが、それらが結合している炭素と一緒になって、2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ジオキシンである、式Iで示される化合物は、N−[4−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)フェニル]スルファミドと命名することができる。
【0039】
式Iで示される化合物の一の具体例において、R1は、−NR17S(O)R10R11であり、R2は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ(例えば、置換されていてもよい低級ハロアルコキシ)、シアノ、ニトロ、置換されていてもよい低級アルキル(例えば、置換されていてもよい低級ハロアルキル)、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、−NR13R14、置換されていてもよいアミノスルホニルおよび置換されていてもよいアミノカルボニルからなる群から選択される。特別な具体例において、R1は−NHS(O)R10R11である。
【0040】
他の具体例において、R2は−NR17S(O)R10R11であり、R1は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ(例えば、置換されていてもよい低級ハロアルコキシ)、シアノ、ニトロ、置換されていてもよい低級アルキル(例えば、置換されていてもよい低級ハロアルキル)、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、−NR13R14、置換されていてもよいアミノスルホニルおよび置換されていてもよいアミノカルボニルからなる群から選択される。特別な具体例において、R2は−NHS(O)R10R11である。
【0041】
式Iで示される化合物の一の具体例において、mは2である。
式Iで示される化合物の他の具体例において、R17は水素である。
式Iで示される化合物の他の具体例において、R10およびR11は、独立して、水素、ヒドロキシおよび置換されていてもよい低級アルキルから、あるいは、水素、ヒドロキシおよび低級アルキルから選択される。さらに特別な具体例において、R10およびR11は、独立して、水素および低級アルキル(例えば、C1−3アルキル)、例えば、水素およびメチルから選択される。より特別には、R10およびR11は水素である。
【0042】
一の具体例において、R1が−NR17S(O)NR10R11であり、R2は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ、シアノ、ニトロ、置換されていてもよい低級アルキルおよび−NR13R14から、特に水素、ハロゲン、ヒドロキシ、低級アルコキシ、低級アルキルおよび−NR13R14からなる群から選択される。かかる特別な具体例において、R2は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、メチル、シアノおよび−NHから、より特別には水素、ハロゲンおよび−NHから、さらにより特別には、水素、フルオロおよび−NHから、最も特別には水素およびフルオロから選択される。
【0043】
一の具体例において、R3、R4、R7およびR8は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ、シアノ、ニトロ、置換されていてもよい低級アルキルおよび−NR13R14から、特に水素、ハロゲン、低級アルコキシ、シアノ、低級アルキルおよび−NR13R14からなる群から選択される。特別な具体例において、R3、R4、R7およびR8は、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、メトキシ、メチルおよび−NHから、より特別には水素およびハロゲンから、さらにより特別には水素およびフルオロからなる群から選択される。特別な具体例において、R3、R4、R7およびR8は、各々水素である。
【0044】
一の具体例において、R9は、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ、シアノ、ニトロ、置換されていてもよい低級アルキルおよび−NR13R14から、特に水素、ハロゲン、低級アルキルおよび−NR13R14からなる群から選択される。特別な具体例において、Rは、水素、ハロゲン、メチルおよび−NHから、より特別には水素およびハロゲンから、さらにより特別には水素およびフルオロから選択される。特別な具体例において、R9は水素である。
【0045】
式Iで示される化合物の一の具体例において、Yはハロゲンである。特別な具体例において、Yは、フルオロ、クロロおよびブロモから、特別には、クロロおよびブロモから、より特別にはブロモから選択される。
【0046】
他の具体例において、Yはトリフルオロメトキシである。
他の具体例において、YはS(O)CFであり、特にS(O)CFまたはS(O)CFであり、より特別にはS(O)CFである。
【0047】
他の具体例において、Yは置換されていてもよい低級アルキルである。特別な具体例において、Yは、ブチル(例えば、イソブチル、t−ブチル)およびプロピル(例えば、イソプロピル)から、より特別にはイソプロピルおよびt−ブチルから選択される。さらに特別な具体例において、Yは、置換されていてもよい低級ハロアルキル、特にトリフルオロメチルである。さらに特別な具体例において、Yは、−CR15R16CF、例えば3−トリフルオロメチル−ジアジリン−3−イルである。
【0048】
式Iで示される化合物の他の具体例において、YおよびR5またはYおよびR6は、それらが結合している炭素と一緒になって、酸素、窒素および硫黄(特に、酸素または硫黄、より特別には酸素)から選択される1〜2個の(特に2個)のヘテロ原子を含有する、芳香族であっても、非芳香族であってもよい、置換されていてもよい5または6員の飽和または不飽和環を形成する。特別な具体例において、環は、1個またはそれ以上のハロゲン、低級アルキルおよび/または低級ハロアルキル基、特にフルオロ、メチルおよび/またはトリフルオロメチルにより置換されている。
【0049】
特別な具体例において、YおよびR5またはYおよびR6は、それらが結合している炭素と一緒になって、置換されていてもよいジオキソールまたはジオキシンを形成する。特別な具体例において、YおよびR5またはYおよびR6は、それらが結合している炭素と一緒になって、2,2−ジフルオロ−1,3−ジオキソールまたは2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ジオキシンを形成する。
【0050】
式(I)で示される化合物の一の具体例において、R5およびR6は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ、シアノ、ニトロ、置換されていてもよい低級アルキルおよび−NR13R14から、特に水素、ハロゲン、ニトロ、置換されていてもよい低級アルキルおよび−NR13R14からなる群から選択される。特別な具体例において、R5およびR6は、独立して、水素、ハロゲン、メチル、ニトロ、トリフルオロメチルおよび−NHから、より特別には水素、ハロゲンおよびトリフルオロメチルから、より特別には水素およびフルオロから選択される。
【0051】
本発明の特別な例として以下のものが挙げられる:
N−[4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[3−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N,N−ジメチル−N’−[4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニリル]スルファミド
N−[3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[4−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)フェニル]スルファミド
N−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)フェニル]スルファミド
N−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−フルオロフェニル]スルファミド
N−[3−シアノ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[2’−シアノ−3−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[3−(メトキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[3−アミノ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[4−[(アミノスルホニル)アミノ]−4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニリル]アセトアミド
N−[4−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)フェニル]スルファミド
N−[2−シアノ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−{4’−[(トリフルオロメチル)スルフィニル]−4−ビフェニリル}スルファミド
N−{4’−[(トリフルオロメチル)スルホニル]−4−ビフェニリル}スルファミド
N−[3,3’−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[3’−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[3’−アミノ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[4−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)フェニル]スルファミド
N−[3−ヒドロキシ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[3−フルオロ−3’−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[3’−アミノ−3−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−メチル−N−[4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[3−エチル−3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[2−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[3−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[2−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[2,5−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[2,6−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[2−クロロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[3−クロロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[2−(メチルオキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[3’−フルオロ−2−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[2,3’−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[2,3’,5−トリフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[2,3’,6−トリフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[2−クロロ−3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[3−クロロ−3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[3,3’,5−トリフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[3’−フルオロ−2−(メチルオキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[3,5−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[3’−フルオロ−3−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−メチル−N’−[4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[2−(ヒドロキシメチル)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[3−(ヒドロキシメチル)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[3’−フルオロ−3−(ヒドロキシメチル)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[3−(メチルアミノ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[4−(2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)フェニル]スルファミド
N−[3−ブロモ−5−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド
N−[3−アミノ−5−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミドおよび
N−[3−[(1−メチルエチル)アミノ]−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド。
【0052】
本発明の化合物は、一般方法に示すように、当該分野でよく知られた方法を用いて以下に記載するように調製することができる。図に示すスキームの出発物質は、例えばAldrich Chemical Company, Milwaukee, WIから市販されているか、あるいは、通常用いられる合成方法を用いて当業者により容易に調製することができる。
【0053】
本発明の化合物が酸である場合、望ましい塩は、遊離酸を無機または有機塩基、例えばアミン(一級、二級または三級);アルカリ金属またはアルカリ土類金属ヒドロキシド等で処理することを含む、当該分野で公知の適当な方法により調製することができる。適当な塩の代表的な例としては、アミノ酸、例えばグリシンおよびアルギニン;アンモニア;一級、二級または三級アミン;例えば、エチレンジアミンおよび環状アミン、例えばシクロヘキシルアミン、ピペリジン、モルホリンおよびピペラジンから誘導される有機塩;ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マグネシウム、鉄、銅、亜鉛、アルミニウムおよびリチウムから誘導される無機塩が挙げられる。
【0054】
本発明の化合物が塩基である場合、所望の塩は、遊離塩基を、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等、または有機酸、例えば酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸、例えばグルクロン酸またはガラクツロン酸、アルファ−ヒドロキシ酸、例えばクエン酸または酒石酸、アミノ酸、例えばアスパラギン酸またはグルタミン酸、芳香族酸、例えば安息香酸または桂皮酸、スルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等で処理することを含む、当該分野で公知の適当な方法により調製することができる。
【0055】
一旦形成した本発明の化合物は、種々の適用において用いられる。当業者には明らかなように、有糸分裂は、様々な方法で変更することができる;すなわち、1つは、有糸分裂経路の生物の活性の増加または減少により、有糸分裂に影響を与えることができる。別の言い方をすれば、有糸分裂は、ある成分を阻害または活性化することによって平衡を乱すことにより、影響を受ける(例えば、崩壊する)。同様の方法が、減数分裂を変化させるのに用いることができる。
【0056】
好ましい具体例において、本発明の化合物は、有糸分裂スピンドル形成をモジュレートするために、かくして、有糸分裂において長期の細胞サイクル停止を生じさせるのに用いられる。「モジュレート」なる用語は、本明細書において、スピンドル形成の増加および変更を含む、有糸分裂スピンドル形成を変更させることを意味する。「有糸分裂スピンドル形成」なる用語は、本明細書において、有糸分裂キネシンによる微小管の二極性構造への組織化を意味する。「有糸分裂スピンドル機能不全」なる用語は、本明細書において、有糸分裂停止および単極スピンドル形成を意味する。
【0057】
本発明の化合物は、有糸分裂キネシン、KSPに結合および/またはその活性をモジュレートするのに有用である。好ましい具体例において、他の有機体からのKSPキネシンも用いることができるが、KSPはヒトKSPである。この内容において、モジュレートは、有糸分裂スピンドルポールの奇形、すなわち広がりを生じさせるか、あるいは、有糸分裂スピンドルの形態学的な摂動を生じさせる、スピンドルポール分離の増加または減少を意味する。また、これらの目的に対するKSPの定義内には、KSPの変異体および/またはフラグメントも含まれる。米国特許第6,414,121号および第6,437,115号(出典明示により本明細書に組み入れる)を参照。加えて、他の有糸分裂キネシンを、本発明に用いることができる。しかしながら、本発明の化合物は、KSPに対して特異性を有することが示されている。
【0058】
活性のアッセイに関して、一般的には、KSPまたは本発明の化合物のいずれかを、単離試料受入エリアを有する、不溶性支持体に非拡散的に結合させる(例えば、マイクロタイタープレート、アレイなど)。不溶性支持体は、化合物が結合されうる組成物から形成することができ、溶性物質から容易に単離され、すべてのスクリーニング法に適合する。かかる支持体の表面は、いずれもの都合のよい形状の、固体であっても、あるいは、多孔性であってもよい。適当な不溶性支持体の例としては、マイクロタイタープレート、アレイ、膜およびビーズが挙げられる。典型的には、これらはガラス、プラスチック(例えば、ポリスチレン)、ポリサッカライド、ナイロン、ニトロセルロース、テフロンTM等により作られる。マイクロタイタープレートおよびアレイが、少量も試薬および試料を用いて多くのアッセイを同時に行うことができるので、特に便利である。本発明の試薬および全体の方法に適合し、化合物の活性を維持し、非拡散性である限りは、化合物の結合の特定の方法は重要ではない。結合の好ましい方法は、抗体(リガンド結合部位または蛋白質が支持体に結合する場合、活性配列を立体的に遮断しない)、「スティッキー(sticky)」またはイオン支持体への直接結合、化学的架橋、蛋白の合成または表面上薬剤の使用を含む。蛋白質または薬剤の結合の後、過剰の非結合物質を洗浄により除去される。ついで、試料受入エリアを、ウシ血清アルブミン(BSA)、カゼインまたは他の無害の蛋白質または他の部と一緒にインキュベートすることにより遮断することができる。
【0059】
本発明の抗−有糸分裂剤は、有糸分裂キネシン、特にKSPの活性を、それ自体でモジュレートするのに使用することができる。この具体例において、本発明の抗有糸分裂剤は、KSPと組合せ、KSP活性を停止させる。キネシン活性は、当該分野で知られており、個またはそれ以上のキネシン活性を含む。キネシン活性は、ATP加水分解;微小管結合;滑走および重合/脱重合(微小管活動への影響);スピンドルの他の蛋白質への結合;細胞サイクル制御に関する蛋白質への結合;基質として他の酵素への供給;例えばキナーゼまたはプロテアーゼ;および特定のキネシン細胞活性、例えばスピンドルポール分離への影響能を含む。
【0060】
運動性アッセイを行う方法は、当業者によく知られている(例えば、Hall, et al. (1996), Biophys. J., 71: 3467-3476, Turner et al., 1996, AnaL Biochem. 242 (1):20-5; Gittes et al., 1996, Biophys. J. 70(l): 418-29; Shirakawa et al., 1995, J. Exp. BioL 198: 1809-15; Winkelmann et al., 1995, Biophys. J. 68: 2444-53; Winkelmann et al., 1995, Biophys. J. 68: 72Sを参照)。
【0061】
また、ATPase加水分解活性を測定する当該分野で知られた方法を用いることができる。好ましくは、溶液に基づくアッセイが用いられる。米国特許出願第09/314,464号(1999年5月18日出願)(米国特許第6,410,254号)(出典明示により本明細書に組み入れる)は、かかるアッセイを記載している。別法として、慣用的な方法が用いられる。例えば、キネシンからのP放出を定量することができる。一の好ましい具体例において、ATPase加水分解活性アッセイは、0.3MのPCA(過塩素酸)およびマラカイトグリーン(8.27mMのモリブデン酸IIナトリウム、0.33mMのマラカイトグリーンオキサレートおよび0.8mMのTriton X−100)を利用する。アッセイを行うために、10μLの反応物を、90μLの冷0.3MのPCA中でクエンチする。データを放出された無機リン酸(mM)に変換することができるので、リン酸塩標準を用いる。すべての反応および標準を、PCA中でクエンチして、100μLのマラカイトグリーン試薬を、例えばマイクロタイタープレートの関連するウェルに加える。混合物を10〜15分成長させ、プレートを、650nmの吸光度で読み取る。リン酸標準を用いなかった場合、読み取る吸光度は、mMPに変換して、時間に対してプロットすることができる。加えて、当該分野で知られたATPaseアッセイは、ルシフェラーゼアッセイを含む。
【0062】
また、キネシンモータードメインのATPase活性は、モジュレート試薬の影響をモニターするために用いることができる。一の具体例において、キネシンのATPaseアッセイは、微小管の非存在下で行う。他の具体例において、ATPaseアッセイは、微小管の存在下で行う。
【0063】
異なる型のモジュレート試薬を、上記アッセイにおいて検出することができる。一の具体例において、モジュレート試薬の影響は、微小管およびATPの濃度に依存する。他の具体例において、試薬のキネシンATPaseへの影響は、ATP、微小管または両方の濃度を増加させることにより減少しうる(すなわち、影響を、ATP、微小管または両方の濃度を減少させることにより増加することができる)。さらに別の具体例において、モジュレート試薬の影響は、ATP、微小管または両方の濃度を増加させることにより増加する。
【0064】
ついで、KSPインビトロの生化学的活性をモジュレートする薬剤を、インビボでスクリーニングする。かかる薬剤のインビボでの方法は、細胞サイクル分布、細胞生存度あるいは有糸分裂スピンドルの存在、形態、活性、分布または量のアッセイを含む。細胞集団の細胞サイクル分布のモニタリング方法、例えばフローサイトメトリー法は、細胞生存度を測定する方法も同様に、当業者によく知られている。例えば、米国特許出願「Methods of Screening for Modulators of Cell Proliferation and Methods of Diagnosing Cell Proliferation States」(1999年10月22日出願)シリアル番号09/428,156(米国特許第6,617,115号)(出典明示により本明細書に組み入れる)を参照。
【0065】
上記したアッセイに加えて、スピンドル形成および奇形をモニターする顕微鏡法が、当業者によく知られている(例えば、Whitehead and Rattner (1998), J. Cell Sci. 111:2551-61; Galgio et al, (1996) J. Cell biol., 135:399-414を参照)。
【0066】
本発明の化合物は、KSPキネシンを阻害する。阻害の一の尺度は、KSPの活性が、対照と比較して50%減少する化合物の濃度として定義される、IC50である。好ましい化合物は、約1mM未満のIC50を有し、好ましい具体例において、約100μM未満のIC50を有し、さらに好ましい具体例において、約10μM未満のIC50を有し、特に好ましい具体例において、約1μM未満のIC50を有し、特に好ましい具体例において、約100nM未満、より好ましくは約10nM未満のIC50を有する。IC50の測定は、ATPaseアッセイを用いて行う。
【0067】
阻害の他の尺度はKである。1μM未満のIC50を有する化合物に関して、KまたはKは、本明細書に記載した化合物とKSPとの相互作用に関する、解離速度定数として定義される。好ましい化合物は、約100μM未満のKを有し、好ましい具体例において、約10μM未満のKを有し、特に好ましい具体例において、約1μM未満のKを有し、特に好ましい具体例において、約100nM未満のKを有する。化合物のKは、3つの過程に基づいてIC50から測定することができる。第1に、ただ1つの化合物分子が酵素に結合し、共同性がない。第2に、活性酵素および試験化合物の濃度は公知である(すなわち、調製において有意な量の不純物および不活性形態が存在しない)。第3に、酵素−阻害剤複合体の酵素的速度は0である。速度(すなわち、化合物濃度)データを、等式:
【数1】

[式中、Vは、測定した速度であり、Vmaxは遊離酵素の速度であり、Iは阻害剤濃度であり、Eは酵素濃度であり、Kは、酵素−阻害剤複合体の解離定数である]
にフィッティングした。
【0068】
阻害の他の尺度は、GI50であり、これは細胞成長の速度を50%減少させる化合物の濃度として定義される。好ましい化合物は、約1mM未満のGI50を有する。具体例の好ましさのレベルは、GI50の関数であり:20μM未満のGI50を有するものがより好ましく;約10μM未満のGI50を有するものがより好ましく;約1μM未満のGI50を有するものがより好ましく;約100nM未満のGI50を有するものがさらにより好ましい。GI50の測定は、細胞増殖アッセイを用いて行われる。
【0069】
本発明の化合物、組成物および方法は、細胞増殖性疾患の治療に用いられる。本明細書で提供される化合物、組成物および方法により治療することができる疾患は、限定するものではないが、癌(さらに、下記する)、自己免疫疾患、真菌性障害、関節炎、組織拒絶反応、炎症性腸疾患、限定するものではないが、手術、血管形成術などを含む医療処置後に誘発される増殖を含む。いくつかの場合、細胞は、高または低増殖状態(異常状態)になく、治療が必要でないことは明らかだろう。かくして、一の具体例において、本発明のは、一の障害または病態を患っているか、患う可能性のある細胞または個体への適用を含む。
【0070】
本明細書で提供される化合物、組成物および方法は、固形腫瘍、例えば皮膚癌、乳癌、脳腫瘍、子宮頸癌、精巣癌等を含む癌の治療に有用であると特に考えられる。さらに特別には、本発明での化合物、組成物および方法により治療することができる癌は、限定するものではないが、心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫および奇形腫;肺:気管支癌(扁平上皮細胞癌、未分化小細胞、未分化大型細胞、腺癌)、歯槽(細気管支)癌腫、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨性過誤腫、中皮腫;胃腸:食道(扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(導管腺癌、インスリノーマ、グルカゴン産生腫瘍、ガストリン産生腫瘍、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カルポシ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫);尿生殖路:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍(腎芽細胞腫)、リンパ腫、白血病)、膀胱および尿道(扁平上皮細胞癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、睾丸(精上皮腫、奇形腫、胎生期癌、奇形癌、絨毛癌、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝臓癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;骨:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網細胞肉腫)、多発性骨髄腫、悪性巨細胞腫脊索腫、骨軟骨腫(骨軟骨腫)、良性軟骨種、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫および巨細胞腫;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽細胞腫、グリオーマ、上衣細胞腫、胚細胞腫(松果体腫)、多形性膠芽腫、乏突起膠グリオーマ、神経鞘腫、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、グリオーマ、肉腫);婦人科:子宮(子宮内膜癌)、頸部(子宮頸癌、腫瘍前子宮頸部形成異常)、卵巣(卵巣癌(漿液性嚢胞腺癌、粘液嚢胞腺癌、非分類癌)、顆粒膜莢膜細胞腫瘍、セルトリ−ライディッヒ細胞腫瘍、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰(扁平上皮細胞癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、メラノーマ)、膣(明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫);血液学的:血液(脊髄白血病(急性および慢性)、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫(悪性リンパ腫);皮膚:悪性メラノーマ、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カルポシ肉腫、モル形成異常母斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維腫、ケロイド、乾癬;および副腎腫:神経芽細胞腫を含む。かくして、「癌細胞」なる用語は、本明細書で用いられる場合、上記と同定される症状のいずれか1つを患っている細胞を含む。
【0071】
したがって、本発明の化合物は、細胞への投与を含む。「投与」なる用語は、本明細書で用いられる場合、治療的に有効な量の本発明の抗有糸分裂剤を、細胞培養物または患者に投与することを意味する。「治療的に有効な投与量」は、本明細書で用いられる場合、投与された場合に効果を生じる量を意味する。正確な投与量は、治療の目的に依存し、公知の方法を用いて当業者により決定されるだろう。当該分野で公知であるように、局所デリバリーに対して全身デリバリーの調節は、年齢、体重、全体的な健康、性別、食事、投与回数、薬剤相互作用および症状の重度を必要とし、当業者により通常行われる方法で決定されるだろう。「細胞」なる用語は、本明細書で用いられる場合、有糸分裂または減数分裂を変化させることができる細胞を意味する。
【0072】
本明細書の目的に関する「患者」なる用語は、ヒトおよび他の動物の両方、特に哺乳胴部および他の有機体を含む。かくして、方法は、ヒトの治療におよび獣医学的に適用されうる。好ましい具体例において、患者は哺乳動物であり、最も好ましい具体例において、患者はヒトである。
【0073】
所望の医薬活性を有する抗有糸分裂剤は、本明細書に記載のように、患者に、医薬上許容される担体中において投与される。導入方法に応じて、化合物は、下記するような種々の方法で処方されうる。処方中の治療的に活性な化合物の濃度は、約0.1〜99.9wt.%で変化しうる。式Iで示される化合物およびその医薬上許容される誘導体および溶媒和物は、単独または他の治療、すなわち、放射療法と組み合わせて、あるいは、他の治療剤、例えば微小管形成に作用することが明らかなタキサン群の薬剤またはトポイソメラーゼI阻害剤のカンプトテシン群と一緒に、投与することができる。このように用いられる場合、他の治療剤は、本発明の活性剤の、前、同時(別個の剤形として、あるいは、組合せ剤形として)または後に投与することができる。
好ましい具体例において、医薬組成物は、水溶性形態、例えば医薬上許容される塩であり、これは、酸塩基付加塩の両方を含む。
【0074】
医薬組成物は、種々の形態、例えば顆粒、錠剤、ピル、坐剤、カプセル、懸濁液、溶媒、ローション等で調製することができる。経口および局所使用に適した、医薬グレードの有機または無機担体および/または希釈剤を、治療的に活性な化合物を含有する組成物の作成に用いることができる。当該分野で知られている希釈剤は、水性媒体、植物性および動物性油および脂質を含む。安定化剤、湿潤剤および乳化剤、浸透圧を変化させるための塩または適切なpH値を確保するための緩衝液および皮膚浸透増強剤もまた、補助剤として用いることができる。また、医薬組成物は、1個またはそれ以上の:担体蛋白質、例えば血清アルブミン;緩衝液;フィルター、例えば微結晶セルロース、ラクトース、コーンおよび他のでんぷん;結合剤;甘味剤および他のフレーバー剤;着色剤;およびポリエチレングリコールを含みうる。添加剤は、当該分野でよく知られており、種々の処方において用いられるものである。
【0075】
医薬処方は、式Iで示される化合物またはその医薬上許容される誘導体もしくは溶媒和物および1個またはそれ以上医薬上許容される賦形剤を含む。当該分野で公知のように、医薬賦形剤は、種々の剤形(例えば:経口形態、例えば錠剤、カプセルおよび液体;局所形態、例えば皮膚、眼および耳の形態;坐剤;注入可能物質;呼吸器官形態等)における、薬剤または医薬のデリバリーを可能または増強する機能を有する第2の成分である。医薬賦形剤は、活性成分の医薬効果に実質的に寄与する、不活性または不活発な成分、共力剤または化学物質を含む。例えば、医薬賦形剤は、流量特性、製品の一様性、安定性、味または見かけを改善する機能、使用の利便性のため取り扱いおよび剤形の投与を容易にる機能、生物学的活性を制御するための機能を有しうる。医薬賦形剤は、通常、不活性または不活発であると記載されているが、医薬賦形剤の特性およびそれを含む剤形の特性間に関係することは当該分野では明らかである。
【0076】
担体または希釈剤として用いるのに適した医薬賦形剤は、当該分野でよく知られており、種々の処方において用いることができる。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, A. R. Gennaro, Editor, Mack Publishing Company (1990); Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th Edition, A. R. Gennaro, Editor, Lippincott Williams & Wilkins (2000); Handbook of Pharmaceutical Excipients, 3rd Edition, A. H. Kibbe, Editor, American Pharmaceutical Association, and Pharmaceutical Press (2000);およびHandbook of Pharmaceutical Additives, compiled by Michael and Irene Ash, Gower (1995)を参照。処方の治療活性剤の濃度は、処方の性質に応じて、広範囲に、約0.1〜99.9wt.%の範囲で変化することができる。
【0077】
経口固体剤形、例えば錠剤は、典型的には、満足な製造および圧縮特性を与える、あるいは付加的な望ましい物理特性を錠剤に与える、1個またはそれ以上の医薬賦形剤を含むだろう。かかる医薬賦形剤は、希釈剤、結合剤、流動促進剤、滑沢剤、崩壊剤、着色剤、フレーバー、甘味剤、ポリマー、ワックスまたは他の溶解性調節物質から選択されうる。
【0078】
非経口投与用の剤形は、一般的には、液体、特に静脈内輸液、すなわち、循環システムおよび消化により容易に運ばれる滅単純な化学物質、例えば糖、アミノ酸または電解質の菌溶液を含むだろう。かかる液体は、典型的には、注射用水USPと調製される。静脈内(IV)用に通常用いられる液体は、Remington, The Science and Practice of Pharmacy [上掲した]に開示されており:
・アルコール、例えば、5%アルコール(例えば、デキストロースおよび水(「D/W」)、または通常の生理食塩水(「NSS」)中D/W中(5%デキストロースおよび水(「D5/W」)またはNSS中D5/W中を含む));
・合成アミノ酸、例えばAminosyn、FreAmine、Travasol、例えば、それぞれ、3.5または7;8.5;3.5、5.5または8.5%;
・塩化アンモニウム例えば2.14%;
・デキストラン40、NSS中、例えば10%、またはD5/W中、例えば10%;
・デキストラン70、NSS中、例えば6%、またはD5/W中、例えば6%;
・デキストロース(グルコース、D5/W)例えば2.5〜50%;
・デキストロースおよび塩化ナトリウム、例えば5〜20%デキストロースおよび0.22〜0.9%NaCl;
・乳酸化リンガー溶液(ハルトマン)、例えばNaCl0.6%、KCl0.03%、CaCl0.02%;
・乳酸塩0.3%;
・マンニトール、例えば5%、所望によりデキストロース、例えば10%またはNaCl、例えば15または20%と組み合わせてもよい;
・電解質の様々な組合せを有する多電解質溶液、デキストロース、フルクトース、転化糖リンガー溶液、例えばNaCl 0.86%、KCl 0.03%、CaCl 0.033%;
・炭酸水素ナトリウム、例えば5%;
・塩化ナトリウム、例えば0.45、0.9、3または5%;
・乳酸ナトリウム、例えば、1/6M;および
・注射用滅菌水、
を含む。
【0079】
かかるIV液体のpHは、当該分野で知られているように、変更することができ、典型的には、3.5〜8であるだろう。
【0080】
本発明の抗有糸分裂剤の投与は、限定するものではないが、経口、皮下、静脈内、鼻腔内、経皮、腹腔内、筋肉内、肺内、膣内、直腸または眼内を含む、上記した種々の方法で行うことができる。いくつかの例において、例えば創傷および炎症の治療において、抗有糸分裂剤は、溶液またはスプレーとして直接適用することができる。
【0081】
KSPキネシンに結合する化合物のスクリーニング法において本発明の化合物を用いるために、KSPを支持体に結合させ、本発明の化合物(抗有糸分裂剤である)を、アッセイに加える。別法として、本発明の化合物を支持体に結合させ、KSPを加える。見出された新規結合剤の化合物の群は、特定の抗体、化学ライブラリのスクリーンにて同定された非天然結合剤、ペプチドアナログ等を含む。特に興味があるものとしては、ヒト細胞に対して低毒性を有する候補剤に関するスクリーニングアッセイである。標識化インビトロ蛋白質−蛋白質結合アッセイ、電気泳動移動シフトアッセイ、蛋白質結合に関するイムノアッセイ、機能的アッセイ(リン酸化アッセイなど)などを含む、種々のアッセイを、この目的に用いることができる。
【0082】
抗有糸分裂剤のKSPへの結合の測定は、いくつかの方法にて行うことができる。好ましい具体例において、抗有糸分裂剤(本発明の化合物)を、例えば蛍光または放射性基で標識化し、結合を直接測定する。例えば、これは、KSPのすべてまたは一部を固体支持体に結合させ、標識化抗有糸分裂剤(例えば、少なくとも1つの分子が検出可能な同位体により置換されている本発明の化合物)を加え、過剰の薬剤で洗浄し、固体支持体上に存在する標識の量を測定することにより行うことができる。当該分野で知られている、種々のブロッキングおよび洗浄工程を用いることができる。
【0083】
本明細書における「標識化」なる用語は、化合物を、検出可能なシグナルを与える標識、例えば、放射性同位体、蛍光タグ、酵素、抗体、粒子、例えば磁気粒子、化学発光タグまたは特定の結合分子等により、直接または間接的に標識化することを意味する。特定の結合分子は、ペア、例えばビオチンおよびストレプトアビジン、ジゴキシンおよび抗ジゴキシン等を含む。特定の結合メンバーに関して、相補的なメンバーは、通常、上記したような公知の方法に従って検出が可能な分子で標識化されるだろう。標識は、直接または間接的に検出可能なシグナルを提供する。
【0084】
いくつかの具体例において、成分の1つだけが標識化される。例えば、キネシン蛋白質を、チロシン位で、125Iを用いて、または蛍光ブローブで標識化することができる。別法として、一以上の成分を、異なる標識;蛋白質に関しては125Iを、抗有糸分裂剤に関しては蛍光プローブを用いて標識化することができる。
【0085】
また、本発明の化合物は、競合剤として、さらなる薬剤候補に関するスクリーンに用いることができる。「候補生物活性剤」または「薬剤候補」または文法的等価物は、本明細書で用いる場合、生物活性に関して試験される、分子、例えば蛋白質、オリゴペプチド、小有機分子、ポリサッカライド、ポリヌクレオチド等を記載する。これらは、細胞増殖表現型または核酸配列および蛋白質配列を含む細胞増殖配列の発現を、直接または間接的に変更することができる。他の場合において、細胞増殖蛋白質結合および/または活性の変性をスクリーンする。この種のスクリーンは、微小管の存在下または非存在下のいずれかで行うことができる。蛋白質結合または活性をスクリーンする場合、好ましい具体例は、特定の蛋白質、例えばポリマー構造、例えば微小管およびエネルギー源、例えばATPに結合することがすでに知られている分子を除く。本明細書のアッセイの好ましい具体例は、その内因性ネガティブ状態で細胞増殖蛋白質に結合しない、「外因性」薬剤として称される候補剤を含む。他の好ましい具体例において、外因性薬剤は、さらに、KSPに対する抗体を除く。
【0086】
候補剤は、多数の化学群、典型的には有機分子であるが、好ましくは、100より大きく、約2,500ダルトン未満の分子量を有する有機小分子を包含する。候補剤は、蛋白質との構造的相互作用、特に水素結合および親油性結合に必要とされる官能基を含み、典型的には、少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシル、エーテルまたはカルボキシル基、好ましくは少なくとも2つの化学官能基を含む。候補剤は、しばしば、1個またはそれ以上の上記官能基の代わりにより置換された、環状炭素またはヘテロサイクリック構造および/または芳香族またはポリ芳香族構造を含む。また、候補剤は、ペプチド、サッカライド、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、誘導体、構造アナログまたはその組合せを含む生体分子に見出される。特にペプチドが好ましい。
【0087】
候補剤は、合成ライブラリまたは天然化合物を含む種々の源から得られた。例えば、多くの手段が、ランダム化オリゴヌクレオチドを含む、種々の有機化合物および生体分子のランダムおよび直接合成に用いることができる。別法として、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形態である天然化合物のライブラリも利用することができ、容易に生産される。加えて、天然または合成ライブラリおよび化合物は、慣用的な化学、物理および生化学的手法により修飾される。公知の薬剤を、直接またはランダム化学修飾、例えばアシル化、アルキル化、エステル化、アミド化に付して、構造的アナログを得ることができる。
【0088】
競合スクリーニングアッセイは、KSPおよび第1の試料の候補剤と組み合わせることにより行うことができる。第2の試料は、抗有糸分裂剤、KSPおよび候補剤を含む。これを、微小管の存在下または非存在下のいずれかで行うことができる。候補剤の結合を、両方の試料に関して測定し、2つの試料間の変化または修飾により、KSPに結合することができ、その活性を修飾する可能性のある薬剤の存在が示される。すなわち、候補剤の結合が第1の試料と相対的に第2の試料において異なる場合、候補剤は、KSPに結合することができる。
【0089】
好ましい具体例において、候補剤の結合は、競合結合アッセイを用いることにより測定することができる。この具体例において、競合剤は、KSPに結合することが知られている結合基、例えば抗体、ペプチド、結合パートナー、リガンド等である。ある種の条件下で、結合基により候補剤が置き換わることにより、候補剤および結合基の間での競合的な結合が存在する。
【0090】
一の具体例において、候補剤は標識化される。存在する場合、候補剤または競合剤あるいはその両方を、最初に結合するのに十分な時間KSPに加える。インキュベーションを、最適な活性を促進する温度、典型的には4〜40℃で行うことができる。
【0091】
インキュベーション期間は、最適な活性に関して選択されるが、高速処理能スクリーニングを促進するのに最適化されうる。典型的には、0.1〜1時間で十分だろう。過剰な試薬は、一般的には除去され、洗浄される。ついで、第2の成分を加え、標識化成分の存在下または非存在下で、結合を検出する。
【0092】
好ましい具体例において、競合剤を最初に加え、ついで、候補剤を加える。競合剤の置換は、候補剤がKSPに結合することを示し、かくして、結合してKSPの活性を修飾することができることを示す。この具体例において、成分は標識化される。かくして、例えば、競合剤が標識化される場合、洗浄液に標識が存在することが、薬剤による置換を示す、別法として、候補剤が標識化される場合、支持体上の標識の存在が、置換を示す。
【0093】
別の具体例において、候補剤を、インキュベートし、洗浄して、最初に加え、ついで、競合剤を加える。競合剤により結合が存在しないことが、候補剤が、より高アフィニティーでKSPに結合することを示す。かくして、候補剤が標識化される場合、競合剤結合の欠損部とカップリングする支持体上の標識の存在が、候補剤がKSPに結合することができることを示しうる。
【0094】
KSPの結合部位を同定することは価値がある。これは、種々の方法により行うことができる。一の具体例において、いったんKSPを抗有糸分裂剤と結合しているか同定し、KSPをフラグメント化するか、修飾し、アッセイを繰り返して結合に必要な成分を同定する。
【0095】
修飾は、上記したように、候補剤とKSPを結合させ、KSPの生物学的活性の変化を測定する工程を含む、KSPの活性を修飾することができる候補剤のスクリーニングにより試験される。かくして、この具体例において、候補剤は、KSPに結合し(これは必ずしも必要でない)、上記したようにその生物学的または生化学的活性を変更する。方法は、一般的に上記したような、細胞サイクル崩壊、細胞生存度の変化または有糸分裂スピンドルの存在、形態、活性、分布または量に関する、インビトロスクリーニング方法およびインビボスクリーニングを含む。
【0096】
別法として、ディファレンシャルスクリーニング法を、ネガティブKSPに結合するが、修飾KSPには結合できない候補薬剤を同定するのに用いることができる。
【0097】
ポジティブコントロールおよびネガティブコントロールをアッセイにおいて用いることができる。好ましくは、すべてのコントロールおよび試験試料を、少なくとも3重に行って、統計的に有意なデータを得る。すべての試料のインキュベーションを、薬剤が蛋白質に結合するのに十分な時間行う。インキュベーションに続いて、すべての試料を非特異的結合物質なしに洗浄し、結合量、一般的には標識化薬剤を測定する。例えば、放射性標識を用いた場合、試料は、シンチレーションカウンターにて計数して、結合した化合物の量を測定することができる。
【0098】
種々の他の薬剤が、スクリーニングアッセイに含まれうる。これらは、塩、天然蛋白質、例えばアルブミン、洗剤などのような物質を含み、これらは、最適な蛋白質−蛋白質結合を促進し、および/または非特異的結合またはバックグラウンド相互作用を減少させるために用いられる。また、アッセイの効率を改善する物質、例えば、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレアーゼ阻害剤、抗菌剤等も用いることができる。成分の混合物を、必要な結合が得られる順番で加えることができる。
【0099】
本明細書に示された、限定するものではないが、特許および特許出願を含むすべての刊行物は、出典明示により本明細書に組み入れる。
本発明は、上記した特定かつ好ましい群の組合せを含むことは理解されるだろう。
【0100】
以下の実施例は、上記した奔発明を用いる方法をより完全に記載し、本発明の種々の態様を実行するのに最もよい形態を記載する。これらの実施例は、本発明の範囲を何ら限定するものではなく、本発明を説明するものであることと理解する。
【0101】
一般方法
本発明の化合物は、スキーム1〜4および下記実施例1〜12に記載の一般的な方法に従って調製することができる。
以下の略号および用語は、全体にわたって指定された意味を有する:Acはアセチルを意味し、BNBは4−ブロモメチル−3−ニトロ安息香酸を意味し、Bocはt−ブチルオキシカルボニルを意味し、brはブロードを意味し、Buはブチルを意味し、c−はシクロを意味し、CBZはカルボベンゾキシを意味し、ベンジルオキシカルボニルを意味し、dはダブレットを意味し、DBUはジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エンを意味し、DCMはジクロロメタンを意味し、塩化メチレンを意味し、CHCl2、を意味し、DCEはジクロロエチレンを意味し、DEADはジエチルアゾジカルボキシレートを意味し、DICはジイソプロピルカルボジイミドを意味し、DIEAはN,N−ジイソプロピルエチルアミンを意味し、DMAPは4−N,N−ジメチルアミノピリジンを意味し、DMFはN,N−ジメチルホルムアミドを意味し、DMSOはジメチルスルホキシドを意味し、DVBは1,4−ジビニルベンゼンを意味し、EEDQは2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリンを意味し、ESMSはエレクトロスプレー質量スペクトルを意味し、Etはエチルを意味し、Fmocは9−フルオレニルメトキシカルボニルを意味し、GCはガスクロマトグラフィーを意味し、HATUはO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム、ヘキサフルオロホスフェートを意味し、HMDSはヘキサメチルジシラザンを意味し、HOAcはを意味し、酢酸、HOBtはヒドロキシベンゾトリアゾールを意味し、HPLCは高速液体クロマトグラフィーを意味し、mはマルチプレットを意味し、Meはメチルを意味し、Msはメタンスルホニルを意味し、MHzはメガヘルツを意味し、MTBEはメチルt−ブチルエーテルを意味し、NMOはN−メチルモルホリンオキシドを意味し、NMRは核磁気共鳴を意味し、PEGはポリエチレングリコールを意味し、Phはフェニルを意味し、PhOHはフェノールを意味し、PfPはペンタフルオロフェノールを意味し、PPTSはピリジニウムp−トルエンスルホナートを意味し、Pyはピリジンを意味し、PyBroPはブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを意味し、rtまたはRTは室温を意味し、sat’dは飽和を意味し、sはシングレットを意味し、s−は第二級を意味し、tはトリプレットを意味し、t−はターシャリーを意味し、TBDMSはt−ブチルジメチルシリルを意味し、TESはトリエチルシリルを意味し、TFAはトリフルオロ酢酸を意味し、THFはテトラヒドロフランを意味し、TMOFはオルトギ酸トリメチルを意味し、TMSはトリメチルシリルを意味し、トシルはp−トルエンスルホニルを意味し、Trtはトリフェニルメチルを意味する。
【0102】
式(I)で示される化合物は、適当なハロゲン化アリールおよび適当なアリール有機金属薬剤間の、標準的な条件下でのクロスカップリング反応により容易に調製することができる(スキーム1)。例えばXがヨウ素、臭素または塩素である場合の適当なハロゲン化アリールおよび例えばMが(機能化)ボロン、マグネシウムまたはスズである場合の適当なアリール有機金属薬剤のカップリングは、文献に詳細に記載されている。一例として、ハロゲン化アリールおよびアリールボロン酸/エステルは、市販されているか、文献で報告されているか、あるいは当業者により文献の方法に従って調製することができる。
【0103】
【化5】

【0104】
ハロゲン化アリール(例えば、機能化ブロモアニリン)を、機能化アリールボロン酸で、パラジウム触媒(典型的には、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))を用いて、塩基(例えば、炭酸カリウム溶液)および溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下、高温(例えば、100℃)でスズキカップリングに付して、機能化ビアリールアニリンを得た(スキーム2)。また、この反応は、カップリングパートナーを交換した場合、すなわち、アニリン基がボロン酸であり、アリールボロン酸がハロゲン化アリールである場合も行うことができる。
【0105】
【化6】

【0106】
ついで、ビアリールアニリンを、機能化スルファモイルクロライドを用いる、標準的な条件下でスルファモイル化に付すことができる。例えば、機能化ビアリールアニリンを、スルファモイルクロライド[Lee, C.-H.; Kohn, H. J. Org. Chem. 1990, 55, 6098-6104; Cohen, E.; Klarberg, B. J. Am. Chem. Soc. 1962, 84, 1994-2002を参照]で、適当な塩基(例えば、ピリジン)および所望により溶媒(例えば、アセトニトリル)の存在下、室温または高温にてスルファモイル化することにより、機能化ビアリールスルファミドを得た。(スキーム3)。
【0107】
【化7】

【0108】
別法として、機能化ビアリールアニリンは、市販されているスルファミドを用いて、スルファモイル化に付すことができる。例えば、機能化ビアリールアニリンを、過剰のスルファミドと一緒に、適当な溶媒(例えば、1,4−ジオキサン、THFまたはピリジン)中、高温(例えば、還流温度)で加熱するか、あるいは、マイクロ波を照射して、機能化ビアリールスルファミドを得る(スキーム4)。
【0109】
【化8】

【0110】
化合物の合成
調製1
4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
2Mの炭酸カリウム水溶液(50mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(50mL)中の4−ブロモアニリン(29mmol)、4−トリフルオロメチルフェニルボロン酸(35mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(1.4mmol)の溶液を、100℃で17時間加熱した。反応混合物を冷却し、半飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(400mL)に注ぎ、ジエチルエーテル(3×400mL)で抽出しした。合した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(10〜30%の酢酸エチル/ヘキサン)により残渣を精製して、標題生成物を白色粉末として得た(70%)。ESMS[M+H]:238.2
【0111】
調製2
[3−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]アミン:
調製1に記載の方法に従って、4−ブロモ−2−フルオロアニリンを用いて標題化合物を調製した。 ESMS[M+H]:256.2
【0112】
調製3
[4−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)フェニル]アミン:
調製1に記載の方法に従って、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリンおよび6−ブロモ−2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して、標題化合物を調製した。ESMS[M+H]:300.2
【0113】
調製4
4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニルアミン:
調製1に記載の方法に従って、3−ブロモアニリンを用いて標題化合物を調製した。ESMS[M+H]:238.2
【0114】
調製5
3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製1に記載の方法に従って、4−ブロモ−2−フルオロ−1−(トリフルオロメチル)ベンゼンおよび4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリンを用いて標題化合物を調製した。ESMS[M+H]:256.2
【0115】
調製6
4’−[(トリフルオロメチル)チオ]−4−ビフェニルアミン:
調製1に記載の方法に従って、4−ブロモフェニルトリフルオロメチルスルフィドおよび4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリンを用いて標題化合物を調製した。ESMS[M+H]:270.2
【0116】
調製7
4’−[(トリフルオロメチル)スルホニル]−4−ビフェニルアミン:
調製1に記載の方法に従って、4−クロロフェニルトリフルオロメチルスルホンおよび4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリンを用いて標題化合物を調製した。ESMS[M+H]:302.2
【0117】
調製8
4−アミノ−4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニルカルボニトリル:
調製1に記載の方法に従って、2−アミノ−5−ブロモベンゾニトリルを用いて標題化合物を調製した。ESMS[M+H]:263.2
【0118】
調製9
3−(メトキシ)−4−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル:
調製1に記載の方法に従って、5−クロロ−2−ニトロアニソールを用いて標題化合物を調製した。ESMS[M+H]:298.2
【0119】
調製10
[3−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]アミン
調製1に記載の方法に従って、4−ブロモ−2−ニトロアニリンを用いて標題化合物を調製した。ESMS[M+H]:283.2
【0120】
調製11
N−メチル−4−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニルアミン:
調製1に記載の方法に従って、5−クロロ−N−メチル−2−ニトロアニリンを用いて標題化合物を調製した。ESMS[M+H]:297.2
【0121】
調製12
3−フルオロ−4−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル:
調製1に記載の方法に従って、1,4−ジオキサン中の4−クロロ−2−フルオロニトロベンゼンを用いて標題化合物を調製した。ESMS[M+H]:286.0
【0122】
調製13
2−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製1に記載の方法に従って、4−ブロモ−3−メチルアニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0123】
調製14
3−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製1に記載の方法に従って、4−ブロモ−2−メチルアニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0124】
調製15
2−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製1に記載の方法に従って、4−ブロモ−3−フルオロアニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0125】
調製16
2,5−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製1に記載の方法に従って、4−ブロモ−2,5−ジフルオロアニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0126】
調製17
2,6−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製1に記載の方法に従って、4−ブロモ−3,5−ジフルオロアニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0127】
調製18
2−クロロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製1に記載の方法に従って、4−ブロモ−3−クロロアニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0128】
調製19
3−クロロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製1に記載の方法に従って、4−ブロモ−2−クロロアニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0129】
調製20
2−(メチルオキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製1に記載の方法に従って、4−ブロモ−3−(メチルオキシ)アニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0130】
調製21
2−(ヒドロキシメチル)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製1に記載の方法に従って、4−ブロモ−3−(ヒドロキシメチル)アニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0131】
調製22
3−(ヒドロキシメチル)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製1に記載の方法に従って、4−ブロモ−2−(ヒドロキシメチル)アニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0132】
調製23
3−ブロモ−5−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製1に記載の方法に従って、2,4−ジブロモ−6−フルオロアニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0133】
調製24
3,5−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製1に記載の方法に従って、4−ブロモ−2,6−ジフルオロアニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0134】
調製25
3’−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製1に記載の方法に従って、4−アミノフェニルボロン酸および4−ブロモ−2−ニトロ−1−(トリフルオロメチル)ベンゼンを用いて標題化合物を調製した。ESMS[M+H]:283.2
【0135】
調製26
N−(1−メチルエチル)−4−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニルアミン:
ジメチルスルホキシド(5.0mL)中の3−フルオロ−4−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル(0.70mmol)、イソプロピルアミン(1.40mmol)および炭酸カリウム(1.40mmol)の溶液を、Personal Chemistry Emrys Optimizerマイクロ波で、150℃で5分間照射した。酢酸エチル(10mL)を加え、混合物を水(3×10mL)で洗浄した。有機層を減圧下で濃縮して、標題化合物を固体として得た。ESMS[M+H]:325.2
【0136】
調製27
[4−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)フェニル]アミン:
N,N−ジメチルホルムアミド(6mL)中の5−ブロモ−2,2,3,3−テトラフルオロ−1,4−ベンゾジオキサン(0.340g、1.20mmol)、[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]アミン(0.289g、1.32mmol)、炭酸セシウム(0.676g、2.08mmol)およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)・ジクロロメタン付加化合物(0.015g、0.02mmol)の溶液を、Personal Chemistry Emrys Optimizerマイクロ波で110℃で10分間照射した。反応混合物をジエチルエーテルで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を、蒸発させて、0.275gの粗生成物を得た。ESMS[M+H]:300.0
【0137】
調製28
N−[3−(メチルオキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]アミン:
酢酸(10mL)中の3−(メチルオキシ)−4−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル(1.96mmol)の溶液に、亜鉛粉末(13.7mmol)を加えた。反応混合物を、室温にて2時間撹拌し、ついで、セライトにより濾過し、酢酸(5mL)およびエタノール(5mL)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチル(15mL)中に溶解し、飽和炭酸ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、標題化合物を灰白色固体として得た。ESMS[M+H]:268.0
【0138】
調製29
[4−アミノ−4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニリル]メチルアミン:
調製28に記載の方法に従って、N−メチル−4−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニルアミンを用いて標題化合物を調製した。ESMS[M+H]:267.0
【0139】
調製30
[4−アミノ−4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニリル](1−メチルエチル)アミン:
調製28に記載の方法に従って、N−(1−メチルエチル)−4−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニルアミンを用いて標題化合物を調製した。ESMS[M+H]:295.0
【0140】
調製31
4−アミノ−4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニルオール:
1−メチル−2−ピロリジノン(0.34mL)中の[3−(メチルオキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]アミン(0.68mmol)の溶液に、炭酸カリウム(0.034mmol)およびチオフェノール(0.68mmol)を加えた。反応混合物を、Personal Chemistry Emrys Optimizerマイクロ波で、220℃で15分間照射した。反応混合物を酢酸エチル(10mL)で希釈し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(Isco−Combiflash、20〜65%の酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、標題化合物を褐色固体として得た(82%)。ESMS[M+H]:254.2
【0141】
調製32
2−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン:
ジオキサン(200mL)中の4−ブロモ−2−フルオロ−1−(トリフルオロメチル)ベンゼン(20.57mmol)、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’−オクタメチル−2,2’−ビ−1,3,2−ジオキサボロラン(22.62mmol)、酢酸カリウム(61.70mmol)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(0.822mmol)の溶液を、100℃で4.5時間加熱した。反応混合物を冷却し、酢酸エチル(500mL)中に溶解し、水(3×200mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、粗標題生成物を得た。
【0142】
調製33
3’−フルオロ−2−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
2Mの炭酸カリウム水溶液(1mL)およびN,N−ジメチルホルムアミド(1mL)中の4−ブロモ−3−メチルアニリン(0.34mmol)、2−[3−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)フェニル]−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(0.52mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.017mmol)の溶液を、100℃で17時間加熱した。反応混合物を冷却し、半飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(2mL)に注ぎ、ジエチルエーテル(3×5mL)で抽出した。合した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、粗標題生成物を得た。
【0143】
調製34
2,3’−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製33に記載の方法に従って、4−ブロモ−3−フルオロアニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0144】
調製35
2,3’,5−トリフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製33に記載の方法に従って、4−ブロモ−2,5−ジフルオロアニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0145】
調製36
2,3’,6−トリフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製33に記載の方法に従って、4−ブロモ−3,5−ジフルオロアニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0146】
調製37
2−クロロ−3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製33に記載の方法に従って、4−ブロモ−3−クロロアニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0147】
調製38
3−クロロ−3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製33に記載の方法に従って、4−ブロモ−2−クロロアニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0148】
調製39
3,3’,5−トリフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製33に記載の方法に従って、4−ブロモ−2,6−ジフルオロアニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0149】
調製40
3’−フルオロ−2−(メチルオキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製33に記載の方法に従って、4−ブロモ−3−(メチルオキシ)アニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0150】
調製41
3’−フルオロ−3−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製33に記載の方法に従って、4−ブロモ−2−メチルアニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0151】
調製42
3−エチル−3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製33に記載の方法に従って、4−ブロモ−2−エチルアニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0152】
調製43
3’−フルオロ−3−(ヒドロキシメチル)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
調製33に記載の方法に従って、4−ブロモ−2−(ヒドロキシメチル)アニリンを用いて標題化合物を調製した。
【0153】
調製44
3,3’−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
N,N−ジメチルホルムアミド(80mL)中の2−フルオロ−4−ヨウドアニリン(3.50g、14.8mMol)、ビス(ピナコラート)ジボラン(4.88g、19.2mMol)および酢酸カリウム(4.35g、44.3mMol)の溶液に、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)・ジクロロメタン付加生成物(0.33g、0.45mMol)を加えた。反応混合物を80℃で4時間撹拌し、この時点で、4−ブロモ−2−フルオロ−1−(トリフルオロメチル)ベンゼン(3.6g、14.8mMol)、炭酸カリウム(10.2g、73.8mMol)、水(20mL)およびさらにジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)・ジクロロメタン付加生成物(0.33g、0.45mMol)を加えた。反応混合物を、100℃で18時間加熱し、ついで、室温に冷却した。反応混合物を、減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチル中に溶解し、濾過して、油溶性物質を除去し、ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(20%の酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、ヘキサンでトリチュレートし、濾過し、減圧下で濃縮して、標題化合物(2.30g、57%)を白色固体として得た。ESMS[M+H]:274.2
【0154】
調製45
3−フルオロ−3’−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
1−メチル−2−ピロリジノン(25mL)中の1,4−ジブロモ−2−ニトロベンゼン(5.0g、17.8mMol)の溶液に、ヨウ化銅(I)(0.85g、4.5mMol)およびメチル2−(フルオロスルホニル)ジフルオロアセテート(4.6mL、36.1mMol)を加えた。反応混合物を80℃で24時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を水で希釈し、有機物を酢酸エチルで抽出し、濾過して、不純物を除去し、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(5%の酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、中間体4−ブロモ−2−ニトロ−1−(トリフルオロメチル)ベンゼン(4.10g、85%)を黄色油として得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ8.06(d,1H,J=1.5Hz),7.87−7.92(m,1H),7.73(d,1H,J=8.3Hz)
調製44に記載の方法に従って、4−ブロモ−2−ニトロ−1−(トリフルオロメチル)ベンゼンを用いて、標題化合物を黄色固体として得た(63%)。ESMS[M+H]:301.2
【0155】
調製46
3−フルオロ−5−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン:
濃硫酸(2.0mL)中の3−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン(1.17mmol)の氷冷溶液に、90%の硝酸(1.41mmol)を加えた。反応混合物を、室温に加温し、2時間撹拌した。ついで、反応混合物を、氷水(60mL)に注ぎ、得られた有機固体を濾過し、減圧下で乾燥して、粗氷体化合物を得た。
【0156】
調製47
4−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)アニリン:
N,N−ジメチルホルムアミド(8.0mL)および水(2.0mL)中の5−ブロモ−2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール(2.65mmol)、4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン(3.97mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.08mmol)および炭酸セシウム(7.94mmol)の溶液を、100℃で18時間加熱した。反応混合物を冷却し、ブライン(60mL)に注ぎ、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合した有機層を硫酸マグネシウムおよび脱色チャコールで乾燥し、セライトにより濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をGilson逆相HPLCにより精製し、回収したフラクションを中和して、標題生成物を白色固体として得た(50%)。ESMS[M+H]:250.2
【0157】
調製48
4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)アニリン:
N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)および水(3mL)中の3,4−(メチレンジオキシ)フェニルボロン酸(5.14mmol)、4−ヨウドアニリン(3.42mmol)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)・ジクロロメタン付加生成物(0.10mmol)および炭酸セシウム(17.1mmol)の溶液を、100℃で20時間加熱した。反応混合物を冷却し、ブライン(50mL)に注ぎ、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合した有機層を硫酸マグネシウムおよび脱色チャコールで乾燥し、セライトにより濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をGilson逆相HPLCにより精製し、回収したフラクションを中和して、標題生成物を灰白色固体として得た(60%)。ESMS[M+H]:214.1
【0158】
調製49
4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−フルオロアニリン:
調製48に記載の方法に従って、2−フルオロ−4−ヨウドアニリンを用いて、標題化合物を調製した。ESMS[M+H]:232.2
【0159】
調製50
4’−アミノ−3’−フルオロ−4−(トリフルオロメチル)−2−ビフェニルカルボニトリル:
N,N−ジメチルホルムアミド(8mL)および水(2mL)中の4−BOC−アミノ−3−フルオロフェニルボロン酸(2.76mmol)、2−クロロ−5−(トリフルオロメチル)ベンゾニトリル(1.84mmol)、ジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)・ジクロロメタン付加生成物(0.06mmol)および炭酸セシウム(9.2mmol)の溶液を、100℃で20時間加熱した。反応混合物を冷却し、ブライン(50mL)に注ぎ、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合した有機層を硫酸マグネシウムおよび脱色チャコールで乾燥し、セライトにより濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をGilson逆相HPLCにより精製して、中間体を淡橙色固体として得た。この固体を、ジクロロメタン(10mL)およびトリフルオロ酢酸(4mL)の溶液で処理し、2時間撹拌した。減圧下で濃縮し、続いて、中和して、標題生成物を淡黄褐色固体として得た(36%)。ESMS[M+H]:281.4
【0160】
調製51
4’−[(トリフルオロメチル)スルフィニル]−4−ビフェニルアミン
乾燥ジクロロメタン(40mL)中の4’−[(トリフルオロメチル)チオ]−4−ビフェニルアミン(3.71mmol)の撹拌溶液に、窒素雰囲気下、0℃で、m−クロロペルオキシ安息香酸(4.82mmol)を滴下した。反応混合物を0℃で6時間、ついで、室温にて1時間撹拌した。粗溶液を濾過し、蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィー(20〜30%の酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、標題生成物を橙色固体として得た(85%)。ESMS[M+H]:286.2
【0161】
調製52
4−アミノ−4’−(トリフルオロメチル)−2−ビフェニルカルボキサミド:
酢酸(20mL)中の2−クロロ−5−ニトロベンズアミド(2.73mmol)の溶液に、亜鉛粉末(27.3mmol)を加えた。反応混合物を、室温で2時間撹拌し、ついで、セライトにより濾過し、酢酸(10mL)およびエタノール(10mL)により洗浄した。濾液を、減圧下で濃縮し、残渣を酢酸エチル(30mL)中に溶解し、飽和炭酸ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、5−アミノ−2−クロロベンズアミドを固体として得た。
1,4−ジオキサン(5.4mL)中の5−アミノ−2−クロロベンズアミド(1.79mmol)、4−トリフルオロメチルフェニルボロン酸(2.68mmol)、パラジウム(II)アセテート(8.95umol)、カリウムホスフェート(3.58mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(0.013mmol)の溶液を、100℃で18時間加熱した。反応混合物を冷却し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5mL)で希釈し、酢酸エチル(3×5mL)で抽出した。合した有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(10〜90%の酢酸エチル/ヘキサン)により残渣を精製して、標題生成物を白色粉末として得た(55%)。ESMS[M+H]:281.0
【0162】
実施例1
実施例1a N−[4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
アセトニトリル(1.0mL)中のクロロスルホニルイソシアネート(0.47mmol)の溶液に、水(0.47mmol)を加えた。反応混合物を、0℃で1分間撹拌し、ついで、室温にゆっくりと加温した。3時間後、反応混合物を、0℃に冷却し、この時点で、4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン(0.43mmol)、ピリジン(0.86mmol)およびアセトニトリル(1.0mL)の溶液を滴下した。反応混合物を0℃で1分間撹拌し、ついで、室温にゆっくりと加温した。15時間後、反応混合物を水(60mL)およびブライン(10mL)で希釈し、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。合した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ついで、減圧下で濃縮した。シリカゲルクロマトグラフィー(Isco Combi−Flash、20〜50%の酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、標題化合物を白色固体として得た(57%)。ESMS[M+H]:317.2
【0163】
実施例1b N−[3−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、[3−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]アミンを用いて標題化合物を得た。ESMS[M+H]:355.0
実施例1c N−[4−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)フェニル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、[4−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)フェニル]アミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:379.2
実施例1d N−[4−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)フェニル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、4−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)アニリンを用いて標題化合物を得た。ESMS[M+H]:329.3
【0164】
実施例1e N−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)フェニル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)アニリンを用いて標題化合物を得た。ESMS[M+H]:293.2
実施例1f N−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−フルオロフェニル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−フルオロアニリンを用いて標題化合物を得た。ESMS[M+H]:311.4
実施例1g N−[2’−シアノ−3−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、4’−アミノ−4−(トリフルオロメチル)−2−ビフェニルカルボニトリルを用いて標題化合物を得た。ESMS[M+H]:360.2
【0165】
実施例1h N−[4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニリル]スルファミド
実施例1aに記載の方法に従って、4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニルアミンを用いて標題化合物を得た。ESMS[M+H]:317.2
実施例1i N−[3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用いて標題化合物を得た。ESMS[M+H]:355.2
実施例1j N−{4’−[(トリフルオロメチル)スルホニル]−4−ビフェニリル}スルファミド
実施例1aに記載の方法に従って、4’−[(トリフルオロメチル)スルホニル]−4−ビフェニルアミンを用いて標題化合物を得た。ESMS[M+H]:381.2
【0166】
実施例1k N−{4’−[(トリフルオロメチル)スルフィニル]−4−ビフェニリル}スルファミド
実施例1aに記載の方法に従って、4’−[(トリフルオロメチル)スルフィニル]−4−ビフェニルアミンを用いて標題化合物を得た。ESMS[M+H]:365.4
実施例1l N−[3−シアノ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、4−アミノ−4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニルカルボニトリルを用いて標題化合物を得た。ESMS[M+H]:342.0[M+Na]:364.2
実施例1m N−[2−シアノ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、4−アミノ−4’−(トリフルオロメチル)−2−ビフェニルカルボキサミドを用いて標題化合物を得た。ESMS[M+H]:342.0
【0167】
実施例1n N−[4−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)フェニル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、[4−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)フェニル]アミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:379.2
実施例1o N−[3−[(1−メチルエチル)アミノ]−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、[4−アミノ−4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニリル](1−メチルエチル)アミンを用いて標題化合物を得た。ESMS[M+H]:374.0
実施例1p N−[2−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、2−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:331.2
【0168】
実施例1q N−[3−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、3−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:331.2
実施例1r N−[2−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、2−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。おESMS[M+H]:335.4
実施例1s N−[2,5−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、2,5−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:353.2
【0169】
実施例1t N−[2,6−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、2,6−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:353.2
実施例1u N−[2−クロロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、2−クロロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:351.2
実施例1v N−[3−クロロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、3−クロロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:351.4
【0170】
実施例1w N−[2−(メチルオキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、2−(メチルオキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:347.2
実施例1x N−[2−(ヒドロキシメチル)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、2−(ヒドロキシメチル)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:347.2
実施例1y N−[3−(ヒドロキシメチル)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、3−(ヒドロキシメチル)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:347.2
【0171】
実施例1z N−[3−ブロモ−5−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、3−ブロモ−5−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:414.4
実施例1aa N−[3’−フルオロ−2−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、3’−フルオロ−2−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:349.2
実施例1bb N−[2,3’−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、2,3’−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:353.2
【0172】
実施例1cc N−[2,3’,5−トリフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、2,3’,5−トリフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:371.2
実施例1dd N−[2,3’,6−トリフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、2,3’,6−トリフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:371.2
実施例1ee N−[2−クロロ−3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、2−クロロ−3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:369.2
【0173】
実施例1ff N−[3−クロロ−3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、3−クロロ−3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:369.2
実施例1gg N−[3,3’,5−トリフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、3,3’,5−トリフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:371.2
実施例1hh N−[3’−フルオロ−2−(メチルオキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、3’−フルオロ−2−(メチルオキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:365.2
【0174】
実施例1ii N−[3’−フルオロ−3−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、3’−フルオロ−3−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:349.2
実施例1jj N−[3−エチル−3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、3−エチル−3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:363.2
【0175】
実施例1kk N−[3,5−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、3,5−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:353.2
実施例1ll N−[3’−フルオロ−3−(ヒドロキシメチル)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、3’−フルオロ−3−(ヒドロキシメチル)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用い、Gilson逆相HPLCにより精製して標題化合物を得た。ESMS[M+H]:365.4
実施例1mm N−[3,3’−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、3,3’−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用いて標題化合物を得た。ESMS[M+H]:353.2
【0176】
実施例1nn N−[3’−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、3’−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用いて標題化合物を得た。ESMS[M+H]:362.2
実施例1oo N−[3−フルオロ−3’−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、3−フルオロ−3’−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用いて標題化合物を灰白色固体として得た(60%)。ESMS[M+H]:380.0
【0177】
調製53
N−[3−フルオロ−5−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、3−フルオロ−5−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンを用いて標題生成物を白色固体として得た(57%)。ESMS[M+H]:380.2
【0178】
実施例2
N,N−ジメチル−N’−[4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
ジクロロメタン(2.0mL)中の4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン(0.42mmol)の溶液に、連続して、トリエチルアミン(1.26mmol)およびジメチルアミンスルファモイルクロライド(0.63mmol)を加えた。反応混合物を室温にて18時間撹拌し、ついで、減圧下で濃縮した。Gilson逆相HPLCにより精製して、標題生成物を白色固体として得た(35%)。ESMS[M+H]:345.2
【0179】
実施例3
N−[3−(メトキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
酢酸(10mL)中の3−(メトキシ)−4−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル(1.96mmol)の溶液に、亜鉛粉末(13.7mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、ついで、セライトにより濾過し、酢酸(5mL)およびエタノール(5mL)で洗浄した。濾液を減圧下で濃縮して、残渣を酢酸エチル(15mL)中に溶解し、飽和炭酸ナトリウム水溶液(10mL)で洗浄した。有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、[3−(メトキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]アミンを灰白色固体として得た。実施例6に記載の方法に従って、[3−(メトキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]アミンを用いて、標題生成物を得た。ESMS[M−SONH:267.2;H NMR(DMSO−d):δ8.20(s,1H),7.92(d,2H,J=8.2Hz),7.80(d,2H,J=8.2Hz),7.50(d,1H,J=8.3Hz),7.35(s,1H),7.31(d,1H,J=8.3Hz),7.18(s,2H),3.92(s,3H)
【0180】
調製54
N−[3−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例1aに記載の方法に従って、[3−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]アミンを用いて標題化合物を得た。ESMS[M+H]:362.0
【0181】
実施例4
N−[3−アミノ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
エタノール(10mL)中のN−[3−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド(0.73mmol)の溶液を、Parrshaker中で、50psiのHで、酸化プラチナ(IV)(0.01mmol)を用いて還元した。15分後、反応混合物をセライトにより濾過し、減圧下で濃縮した。Gilson逆相HPLCにより精製して、標題生成物を白色固体として得た(81%)。ESMS[M+H]:332.2
【0182】
実施例5
N−[4−[(アミノスルホニル)アミノ]−4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニリル]アセトアミド:
ジクロロメタン(1.0mL)中のN−[3−アミノ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド(0.28mmol)の溶液に、連続して、トリエチルアミン(0.31mmol)およびアセチルクロライド(0.31mmol)を加えた。反応混合物を室温にて4時間撹拌した。反応混合物を0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液(1mL)でクエンチし、酢酸エチル(2×5mL)で抽出した。合した有機層を、水(5mL)およびブライン(5mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。Gilson逆相HPLCにより精製して、標題化合物を白色固体として得た(5%)。ESMS[M+H]:374.0
【0183】
実施例6
N−[3−ヒドロキシ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
ピリジン(2.0mL)中の4−アミノ−4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニルオール(0.395mmol)の溶液に、スルファミド(0.435mmol)を加えた。反応混合物を、2時間加熱還流した。ついで、反応混合物を室温に冷却し、減圧下で濃縮した。残渣をGilson逆相HPLCにより精製して、標題化合物を淡褐色固体として得た(22%)。ESMS[M+H]:333.2
【0184】
実施例7
N−[3−(メチルアミノ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
1,4−ジオキサン(1.0mL)中の[4−アミノ−4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニリル]メチルアミン(0.38mmol)およびスルファミド(1.9mmol)の溶液を、Personal Chemistry Emrys Optimizerマイクロ波で、150℃で10分間照射した。反応混合物を減圧下で濃縮した。残渣をGilson逆相HPLCにより精製して、標題化合物を桃色固体として得た(5%)。ESMS[M+H]:346.2
【0185】
実施例8
N−メチル−N−[4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
N,N−ジメチルホルムアミド(2.0mL)中のN−[4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド(0.36mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(0.38mmol)を加えた。反応混合物を室温にて10分間撹拌し、ヨウ化メチル(0.47mmol)で処理した。18時間後、反応混合物を水(10mL)およびブライン(10mL)で希釈し、酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ついで、減圧下で濃縮した。残渣を、Gilson逆相HPLCにより精製して、標題化合物を白色固体として得た(57%)。ESMS[M+H]:331.2
【0186】
実施例9
N−メチル−N’−[4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
ジクロロメタン(2.0mL)中のオキサリルクロライド(0.59mmol)の溶液に、メチルスルファミン酸(0.55mmol)を加えた。反応混合物を室温にて10分間撹拌し、0℃に冷却し、ついで、ジクロロメタン(2mL)中の4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン(0.42mmol)およびピリジン(0.84mmol)を滴下した。室温にて18時間撹拌した後、反応混合物を水(10mL)およびブライン(10mL)で希釈し、有機物を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。合した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ついで、減圧下で濃縮した。残渣をGilson逆相HPLCにより精製して、標題化合物を白色固体として得た(57%)。ESMS[M+H]:331.2
【0187】
実施例10
N−[4−(2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)フェニル]スルファミド:
アセトニトリル(2.6mL)および2Mの炭酸ナトリウム水溶液(2.62mL)中の3,4−O−イソプロピリジンブロモベンゼン(J. FluorineChem. 1990, 48, 189-205)(2.62mmol)、[4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル]アミン(3.14mmol)およびジクロロ[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)・ジクロロメタン付加生成物(0.26mmol)の溶液を、Personal Chemistry Emrys Optimizerマイクロ波で、150℃で8分間照射した。反応混合物をセライトにより濾過し、減圧下で濃縮して、Gilson逆相HPLCにより精製して、中間体4−(2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)アニリン(194mg)を得た。ESMS[M+H]:242.0. 約半部の4−(2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)アニリンを、ジオキサン(1mL)中に溶解し、スルファミド(3.3mmol)で処理した。反応混合物を、Personal Chemistry Emrys Optimizerマイクロ波で150℃で10分間照射した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をGilson逆相HPLCにより精製した。水から生成物を沈殿させ、ヘキサン洗浄液で濾過し、標題化合物(36mg)を得た。ESMS[M+H]:321.2
【0188】
実施例11
実施例11a N−[3’−アミノ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
酢酸(10mL)中のN−[3’−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド(0.28g、0.78mMol)の撹拌溶液に、亜鉛粉末(0.36g、5.4mMol)を加えた。懸濁液を室温にて18時間撹拌し、ついで、セライトのパッドで濾過し、酢酸で洗浄し、濾液を減圧下で蒸発させて乾燥した。残渣を酢酸エチル中に溶解し、続いて、1Nの炭酸ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(40〜60%の酢酸エチル/ジクロロメタン)により精製して、ヘキサンでトリチュレートし、減圧下で乾燥して、標題化合物を白色固体として得た(219mg、85%)。ESMS[M+H]:301.2
【0189】
実施例11b N−[3’−アミノ−3−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
実施例11aに記載の方法に従って、N−[3−フルオロ−3’−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミドを用いて標題化合物を白色固体として得た(83%)。ESMS[M+H]:350.0
【0190】
実施例12
N−[3−アミノ−5−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド:
メタノール中のN−[3−フルオロ−5−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド(0.30mmol)および10%の炭素担持パラジウム(10%w/w)の溶液を、大気圧で室温で2時間水素化した。ついで、反応混合物をセライトのパッドで濾過し、減圧下で濃縮した。残渣をGilson逆相HPLCにより精製して、標題生成物を橙色固体として得た(85%)。ESMS[M+H]:350.2
【0191】
実施例13
本発明のKSP阻害剤の適用後の単極性スピンドル形成
ヒト腫瘍細胞Skov−3(卵巣)を、ウェルあたり4,000個の細胞の密度で、96ウェルプレートに置き、24時間付着させ、種々の濃度の本発明の試験化合物で24時間処理した。細胞を、4%のホルムアルデヒドで固定し、抗チュブリン抗体(続いて、経口標識化抗体を用いて確認した)およびHoechst染料(DNAを染色する)で染色した。
【0192】
この群の化合物は、外観検査により、結果は様々であったが、有糸分裂の前中期において細胞サイクル停止を引き起こすことが見出された。細胞サイクル停止が明らかである場合、DNAを濃縮し、スピンドル形成を開始したが、停止細胞は均一に単極性スピンドルを示し、このことは、スピンドルポール体分離の阻害があったことを示している。また、抗−KSP抗体のマイクロインジェクションは、単極性スピンドルを示す停止細胞で有糸分裂停止を引き起こす。KSP活性を阻害した化合物のほとんどは、生化学的に、細胞サイクル停止を示したが、いくつかに関して、細胞サイクル停止が検出されなかった。
【0193】
実施例14
本発明のKSP阻害剤で処理した腫瘍細胞株における細胞増殖の阻害
細胞を、96ウェルプレートのウェルあたり1000〜2500個の細胞の密度で96ウェルプレートに置き、24時間付着/成長させた。ついで、これらを、種々の濃度の本発明の化合物で48時間処理した。化合物を添加した時点を、Tと見なす。3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル)−2H−テトラゾリウム(MTS)試薬を用いるテトラゾリウムに基づくアッセイ(米国特許第5,185,450号)(Promega 製品カタログ#G3580,CeIlTiter 96(登録商標)AQueous One Solution Cell Proliferation Assayを参照)を用いて、Tでの生存細胞数を測定し、化合物曝露の48時間後に残った細胞数を測定した。48時間後に残った細胞数を、薬剤添加時の生存細胞数と比較し、成長阻害の計算に用いた。
【0194】
ビヒクルのみ(0.25%のDMSO)で処理した対照の48時間後の細胞成長を、100%成長とみなし、化合物を加えたウェルの細胞の成長と比較した。この群の化合物は、結果は様々であるが、ヒト卵巣腫瘍細胞株(SKOV−3)において細胞増殖を阻害することが見出された。KSP活性を阻害したほとんどの化合物は、生化学的に細胞増殖を阻害しなかったが、いくつかの化合物は、阻害が相対的に低レベルであるか、まったく検出されなかった。
【0195】
GI50を、処理したウェルにおける細胞成長のパーセントに対して、μMでの化合物濃度をプロットすることにより計算した。化合物に関して計算したGI50は、成長が対照と比較して50%阻害された時点の推定濃度であり、すなわち:
100x[(処理48−T)/(対照48−T)]=50
の濃度である。
【0196】
すべての濃度の化合物を、繰り返して試験し、対照は、12ウェルの平均とした。非常に小さな96ウェルプレートレイアウトおよびGI50計算スキームを、米国国立癌研究所により用いた(Monks, et al., J. NatI. Cancer Inst. 83:757-766 (1991)を参照)。しかしながら、国立癌研究所による細胞数の同定方法はMTSを使用せず、別の方法を用いた。
【0197】
この群の化合物は、GI50値は変化するが、細胞増殖を阻害することが見出された。試験した化合物のGI50値は、約140nM〜試験した最大濃度以上の範囲であった。KSP活性を阻害した化合物のほとんどが、生化学的に細胞増殖を阻害したが、いくつかの化合物において、試験した最大濃度(一般的には約20μM)で、細胞成長が50%未満に阻害されたことを意味する。多くの化合物は、10μM未満のGI50値を有し、いくつかの化合物は1μM未満のGI50を有する。癌の治療のために病院で無事に用いられている抗−増殖性化合物(癌化学療法剤)は、非常に大きなGI50を有する。例えば、A549細胞において、パクリタキセルGI50は4nMであり、ドキソルビシンは63nMであり、5−フルオロウラシルは1μMであり、ヒドロキシウレアは500μMである(国立癌研究所により提供されたデータ,Developmental Therapeutic Program, http://dtp.nci.nih.gov/)。したがって、実質的にすべての濃度で細胞増殖を阻害する化合物は有用でありうる。しかしながら、好ましくは、化合物は、1mM未満のGI50値を有するだろう。より好ましくは、化合物は、20μM未満のGI50値を有するだろう。さらにより好ましくは、化合物は、10μM未満のGI50値を有するだろう。また、1μM未満のGI50値を有する化合物を含む、GI50値のさらなる減少が望まれうる。本発明のいくつかの化合物は、細胞増殖を200nM以下のGI50値で阻害した。
【0198】
実施例15
IC50の計算:
KSP活性に対する化合物のIC50の測定は、ATPaseアッセイを用いる。以下の溶液を用いる:溶液1は、2mMのホスホエノールピルビン酸カリウム塩(Sigma P−7127)、0.03〜1mMのATP(Sigma A−3377)、1mMのDTT(Sigma D−9779)、10μMのパクリタキセル(Sigma T−7402)、250ppmの消泡剤289(Sigma A−8436)、25mMのPipes/KOH(pH6.8)(Sigma P6757)、2mMのMgCl(VWRJT 4003−01)および1mMのEGTA(Sigma E3889)からなる。溶液2は、0.6mMのNADH(Sigma N8129)、0.2mg/mLのBSA(Sigma A7906)、ピルビン酸キナーゼ7U/mL、L−乳酸脱水素酵素10U/mL(Sigma P0294)、50〜100nMのKSPモータードメイン、200μg/mLの微小管、1mMのDTT(Sigma D9779)、10μMのパクリタキセル(Sigma T−7402)、250ppm消泡剤289(Sigma A−8436)、25mMのPipes/KOH(pH6.8)(Sigma P6757)、2mMのMgCl(VWRJT 4003−01)および1mMのEGTA(Sigma E3889)からなる。化合物の連続希釈(8〜12回の2倍希釈)を、96−ウェルマイクロタイタープレート(Corning Costar 3695)にて、溶液1を用いて行う。連続希釈にしたがって、各々のウェルは、50μlの溶液1を有する。反応を、50μlの溶液2を各ウェルに加えることにより開始する。この操作は、多重チャンネルピペッターを用いて手動で、あるいは、自動液体操作デバイスを用いて行うことができる。ついで、マイクロタイタープレートを、マイクロプレート吸光度リーダーに置き、340nmでの多重吸光度の読み取りを、動的モードで各ウェルに対して行う。ついで、ATPase速度に比例する、観察された変化速度を、化合物濃度の関数としてプロットする。標準IC50検出に関して、取得したデータを、非直線フィッティングプログラム(例えば、Grafit4)を用いる、4つのパラメータの下記等式:
【数2】

によりフィッティングする。
【0199】
図/表1の化合物は、0.015mMのATP濃度を用いて、27μMまたはそれ未満のKSPIC50を示した。
【0200】
また、式Iの化合物の調製に有用なある種の中間体化合物も、上記のような抗−有糸分裂活性を有する(例えば、IC50により示される)。また、かかる中間体化合物、その医薬組成物における使用および上記した方法は、本発明の一部を形成する。抗−有糸分裂活性を有する中間体化合物の例としては、4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン、[3−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]アミン、[3−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]アミン、4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニルアミン、[4−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)フェニル]アミン、3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン、4’−[(トリフルオロメチル)チオ]−4−ビフェニルアミン、4’−[(トリフルオロメチル)スルホニル]−4−ビフェニルアミン、4−アミノ−4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニルカルボニトリル、4−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)アニリン、4’−(トリフルオロメチル)−3,4−ビフェニルジアミン、3−クロロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン、3,5−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン、3−(メチルオキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミン、4−アミノ−4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニルオール、4−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)アニリン、3−ブロモ−5−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニルアミンおよび[4−アミノ−4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニリル]メチルアミンが挙げられる。
【0201】
本願(詳細な記載および請求項を含む)は、いずれの後願に対して優先権の基礎として用いることができる。この請求項またはかかる後願は、本明細書に記載のいずれもの特徴または特徴の組合せに関連する。これらは、生成物、組成物、方法または使用クレームの形態であってもよく、いずれもの実施例の手段として含まれ、請求の範囲に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0202】
(本文に記載なし)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中:
R1およびR2の1つは、−NR17S(O)NR10R11であり、他方は水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ、シアノ、ニトロ、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、−NR13R14、置換されていてもよいアミノスルホニルおよび置換されていてもよいアミノカルボニルからなる群から選択され;
R10およびR11は、独立して、水素、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアラルキル、置換されていてもよいヘテロアラルキル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択され;
R17は、水素および低級アルキルから選択され;
mは、1または2であり;
R3、R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ、シアノ、ニトロ、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、−NR13R14、置換されていてもよいアミノスルホニルおよび置換されていてもよいアミノカルボニルからなる群から選択され;
Yは、置換されていてもよい低級アルキル、ハロゲン、トリフルオロメトキシ、−S(O)CF、−CR15R16CFおよび−C(X)CFからなる群から選択され;
R15およびR16は、それらが結合している炭素と一緒になって、3〜6個の炭素原子を有し、窒素、硫黄および酸素から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含有していてもよい、飽和または不飽和環を形成し、該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ、シアノまたは置換されていてもよい低級アルキルにより置換されていてもよく;
Xは、酸素および硫黄からなる群から選択され;
nは、0、1または2であるか;
あるいは、YおよびR5またはYおよびR6は、それらが結合している炭素と一緒になって、酸素、窒素および硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を含有していてもよい、5〜7員の飽和または不飽和環を形成し、該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、−NR13R14、置換されていてもよい低級アルキルまたは置換されていてもよい低級アルコキシにより置換されていてもよく、芳香族であっても、非芳香族であってもよく;
R13およびR14は、独立して、水素、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ、置換されていてもよい低級アルキル、置換されていてもよいアリールおよび置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択されるか、あるいはR13およびR14は、それらが結合している窒素と一緒になって、窒素、硫黄および酸素から選択される1、2または3個のヘテロ原子を含有していてもよい、3〜7個の炭素原子を有する環を形成し、該環は、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、置換されていてもよい低級アルキルまたは置換されていてもよい低級アルコキシにより置換されていてもよい]
により示される構造を有する化合物またはその医薬上許容される誘導体もしくは溶媒和物。
【請求項2】
R1が−NR17S(O)NR10R11である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R2が、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ、シアノ、ニトロ、置換されていてもよい低級アルキルおよび−NR13R14からなる群から選択される、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
R2が、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、メチル、シアノおよび−NHから選択される、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
R2が水素またはフルオロである、請求項4記載の化合物。
【請求項6】
R17が水素である、前記請求項いずれか1項記載の化合物。
【請求項7】
R10およびR11が、独立して、水素、ヒドロキシおよび置換されていてもよい低級アルキルから選択される、前記請求項いずれか1項記載の化合物。
【請求項8】
R10およびR11が、独立して、水素およびメチルから選択される、請求項7記載の化合物。
【請求項9】
R10およびR11が水素である、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
R3、R4、R7およびR8が、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ、シアノ、ニトロ、置換されていてもよい低級アルキルおよび−NR13R14からなる群から選択される、前記請求項いずれか1項記載の化合物。
【請求項11】
R3、R4、R7およびR8が、独立して、水素、ハロゲン、シアノ、メトキシ、メチルおよび−NHから選択される、請求項10記載の化合物。
【請求項12】
R3、R4、R7およびR8が、独立して、水素およびフルオロから選択される、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
R3、R4、R7およびR8が水素である、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
R9が、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ、シアノ、ニトロ、置換されていてもよい低級アルキルおよび−NR13R14からなる群から選択される、前記請求項いずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
R9が水素、ハロゲン、メチルおよび−NHからなる群から選択される、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
R9が水素またはフルオロである、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
R9が、水素である、請求項16記載の化合物。
【請求項18】
Yが、ハロゲン、トリフルオロメトキシ、S(O)CF、置換されていてもよい低級アルキルまたは−CR15R16CFである、前記請求項いずれか1項記載の化合物。
【請求項19】
Yが、フルオロ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメトキシ、S(O)CF、S(O)CF、イソブチル、t−ブチル、イソプロピルまたはトリフルオロメチルである、請求項18記載の化合物。
【請求項20】
Yが、トリフルオロメチル、S(O)CF、イソプロピルまたはt−ブチルである、請求項19記載の化合物。
【請求項21】
R5およびR6が、独立して、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、置換されていてもよい低級アルコキシ、シアノ、ニトロ、置換されていてもよい低級アルキルおよび−NR13R14からなる群から選択される、前記請求項いずれか1項記載の化合物。
【請求項22】
R5およびR6が、独立して、水素、ハロゲン、メチル、ニトロ、トリフルオロメチルおよび−NHから選択される、請求項21記載の化合物。
【請求項23】
R5およびR6が、独立して、水素およびフルオロから選択される、請求項22記載の化合物。
【請求項24】
YおよびR5またはYおよびR6が、それらが結合している炭素と一緒になって、酸素、窒素および硫黄から選択される1〜2個のヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい5または6員の飽和または不飽和環を形成し、該環が芳香族であっても、非芳香族であってもよい、請求項1〜17いずれか1項記載の化合物。
【請求項25】
5または6員環が、酸素および硫黄から選択される1〜2個の原子を含有し、1個またはそれ以上のハロゲン、低級アルキルおよび/または低級ハロアルキル基により置換されている、請求項24記載の化合物。
【請求項26】
環が、1個またはそれ以上のフルオロ、メチルおよび/またはトリフルオロメチル基により置換されている、請求項25記載の化合物。
【請求項27】
N−[4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N,N−ジメチル−N’−[4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[4−(2,2−ジフルオロ−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)フェニル]スルファミド、
N−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)フェニル]スルファミド、
N−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)−2−フルオロフェニル]スルファミド、
N−[3−シアノ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[2’−シアノ−3−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3−(メトキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3−アミノ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[4−[(アミノスルホニル)アミノ]−4’−(トリフルオロメチル)−3−ビフェニリル]アセトアミド、
N−[4−(2,2,4,4−テトラフルオロ−4H−1,3−ベンゾジオキシン−6−イル)フェニル]スルファミド、
N−[2−シアノ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−{4’−[(トリフルオロメチル)スルフィニル]−4−ビフェニリル}スルファミド、
N−{4’−[(トリフルオロメチル)スルホニル]−4−ビフェニリル}スルファミド、
N−[3,3’−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3’−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3’−アミノ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[4−(2,2,3,3−テトラフルオロ−2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−6−イル)フェニル]スルファミド、
N−[3−ヒドロキシ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3−フルオロ−3’−ニトロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3’−アミノ−3−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−メチル−N−[4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3−エチル−3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[2−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[2−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[2,5−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[2,6−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[2−クロロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3−クロロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[2−(メチルオキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3’−フルオロ−2−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[2,3’−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[2,3’,5−トリフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[2,3’,6−トリフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[2−クロロ−3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3−クロロ−3’−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3,3’,5−トリフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3’−フルオロ−2−(メチルオキシ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3,5−ジフルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3’−フルオロ−3−メチル−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−メチル−N’−[4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[2−(ヒドロキシメチル)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3−(ヒドロキシメチル)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3’−フルオロ−3−(ヒドロキシメチル)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3−(メチルアミノ)−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[4−(2,2−ジメチル−1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)フェニル]スルファミド、
N−[3−ブロモ−5−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
N−[3−アミノ−5−フルオロ−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド,および
N−[3−[(1−メチルエチル)アミノ]−4’−(トリフルオロメチル)−4−ビフェニリル]スルファミド、
から選択される化合物。
【請求項28】
医薬上許容される賦形剤および請求項1〜27いずれか1項に記載の化合物またはその誘導体もしくは溶媒和物を含む、組成物。
【請求項29】
KSPキネシン活性の調整方法またはKSPの阻害方法であって、該キネシンを有効量の請求項1〜28いずれか1項に記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体もしくは溶媒和物あるいは組成物と接触させることを含む方法。
【請求項30】
細胞増殖の疾患の治療方法であって、該治療を必要とする対象に、請求項1〜28いずれか1項に記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体もしくは溶媒和物あるいは組成物を投与することを含む方法。
【請求項31】
疾患が、癌、過形成、再狭窄、心臓肥大、免疫障害、真菌性障害および炎症からなる群から選択される、請求項30記載の方法。

【公表番号】特表2007−514772(P2007−514772A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−545569(P2006−545569)
【出願日】平成16年12月17日(2004.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2004/042890
【国際公開番号】WO2005/062847
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(591002957)スミスクライン・ビーチャム・コーポレイション (341)
【氏名又は名称原語表記】SMITHKLINE BEECHAM CORPORATION
【Fターム(参考)】