説明

化学的に架橋したポリウレタンフィルムを製造するためのホットメルト法

【課題】 溶剤なしで、連続的に化学的架橋されそしてそれ故に溶融性でないポリマーフィルムを、接着テープにおいて層として使用するための、それの製造方法の提供。
【解決手段】 この方法は、A)複数種のポリオールと1種類以上のポリイソシアネートとを含む混合物を化学的に反応させてヒドロキシル官能化された溶融可能な反応生成物(以下、ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーと称する)とし、その際にポリオールの少なくとも1種類又はポリイソシアネートの少なくとも1種類が三官能性以上の官能性分子を含有しており、イソシアネート基の総数とヒドロキシル基の総数との比が1.0より小さく;B)ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマー並びに1種類以上のポリイソシアネートを連続運転混合装置中に導入し、該混合装置中においてヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーを溶融状態でポリイソシアネートと化学的に反応させ;C)該混合装置から出る溶融物を走行するウエブ状材料の上に又は走行する2つのウエブ状材料同志の間に塗布し、その際に方法段階B)で開始された反応が進行する
の各方法段階を包含する、化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接着テープ又は粘着製品において層として特に有利に使用するために化学的に架橋したポリウレタンフィルムを連続的に製造するホットメルト法に関する。
【背景技術】
【0002】
接着テープは化学的に架橋したときに、高い剪断負荷又は貼り付けた状態で作用する他の恒久的負荷、例えば剥離又は切符剪断負荷に、特に高温の場合に、長期間にわたって耐えることができる。化学的架橋は、全ての層が恒久的負荷によって影響されるので、接着テープの全ての層に起こさなければならない。
【0003】
ポリマーフィルム中での、特に接着テープ中の層として使用されるそれの中での化学的架橋を達成するために、多岐にわたる技術が知られている。大部分の技術は溶剤をベースとした架橋性被覆剤系又は室温で溶剤を添加することなくとも液状、シロップ状又はペースト状である反応系から出発している。室温で液状、シロップ状又はペースト状の溶剤不含反応系の場合にはポリマーが一般に被覆過程の間に初めて形成され、他方、溶剤をベースとした系の場合にはポリマーは一般に被覆前に既に未架橋状態で溶液中に存在している。
【0004】
溶剤中に溶解したポリマーを被覆しそして次に溶剤を蒸発することによって得られるポリマーフィルムは、例えば被覆直前に、溶剤に溶解したポリマーに化学的架橋剤を混入することによって架橋され得る。室温では被覆行程の要求により系は一般に十分に長期間安定している。乾燥室で高温で溶剤を蒸発する間に架橋反応が開始され、結果としてポリマーフィルムが化学的に架橋される。
【0005】
しかしながら溶剤をベースとした技術は原則として、厚い層を製造するのに適しておらず、経済的に許容可能な速度で被覆するべき場合に特に適していないという欠点を有している。既に約100〜150μmの層圧ですら、気泡形成が蒸発性溶剤による気泡形成が認められそしてそれ故に著しい品質低下をもたらし、結果として接着テープにおいて層として使用することにもはや適していない。比較的薄い層を製造する場合にも、溶剤を蒸発する必要性によって被覆速度は著しく制限される。更に、溶剤をベースとした被覆法は溶剤回収又は溶剤燃焼を必要とすることに製造コストが著しく影響される。
【0006】
溶剤を添加することなく室温で液状、シロップ状又はペースト状である反応系も同様に色々な方法で容易に架橋することができる。一般に知られた二成分系ポリウレタン、エポキシド又はシリコーンの多くは、液状で、溶剤不含の架橋性反応系の代表的な例である。シロップ状成分をベースとする接着テープ或いは接着テープ層は例えばヨーロッパ特許第0,259,094 B1号明細書又は同第0,305,161 B1号明細書に記載されている。これらの明細書では、ポリマー合成及び架橋は光重合によって達成されている。液状又はペースト状反応系は接着テープ層の製造との関係で例えばヨーロッパ特許第0,894,841 B1号明細書又は同第1,095,993 B1号明細書に記載されている。
【0007】
説明された技術の溶剤不含反応系では薄い層も厚い層も製造することができる。このことは溶剤をベースとする系に比較しての大きな長所である。さらに、説明された系では粘弾性が色々な方法で変更及び調整することができ、結果としてしばしば特定の要求プロフィールに正確に注文製造された接着テープ層を開発することを可能としている。
【0008】
しかしながら室温で液状、シロップ状又はペースト状の物質は、この状態では卷くことができないか又は少なくとも一定の層厚で卷くことができないという欠点を有している。一定の層圧では固体のポリマーフィルムだけが卷くことができる。室温で液状である溶剤不含の反応系を固化することは、化学反応を進展させること、要するに進めることに関連している。反応の進展には、待たなければならない若干の時間が必要とされる。フィルムの固化をそれぞれの問題の化学反応の十分に高い反応率の結果として行ったときに初めて、補助シートの上に塗布されたフィルムを巻き取ることが可能である。従ってこのような系は被覆速度において著しく制限されている。
【0009】
系のポリマーの合成及び系の架橋を例えば外から紫外線又は電子線照射によって開示される該系は一般に追加的な欠点を有している。その欠点とは、照射をポリマー合成に関連する全ての分子にフィルムの全厚みにわたって均一に達成する場合しか十分に均一な性質を持ったポリマーが合成できないということである。これは特に、厚い層圧又は充填剤が充填された系の場合には該当せず、かゝるフィルムは不均一に架橋したポリマー骨格を有する。
【0010】
原則として厚みを制限することなく早い被覆速度を達成できるためには、ホットメルト被覆法、特に押し出し成形法が実証されている。このような一つの方法においては、室温で固体で溶融可能なポリマー(ホットメルト)が高温の下で溶融状態でフィルムに成形され、そして一般に補助フィルムの上に被覆される。冷却しそしてそれ故に固化した後にただちに巻き取ることができる。巻き取り性は化学反応の進行に関連していない。接着テープの分野においては中でも、ドイツ特許出願公開第10003318 A1号明細書又は同第10252088 A1号明細書に記載されたスチレン−ブロックコポリマーを含む感圧接着剤でこの様に被覆されている。
【0011】
熱可塑性ポリウレタンもホットメルト法で加工することができる。ドイツ特許出願公開第2059570 A号明細書は例えば熱可塑性で非多孔質ポリウレタンのための連続的に進行する製造法を開示している。
【0012】
少なくとも中間段階で製造されるOH−末端基含有の線状プレポリマーから熱可塑的に加工できるポリウレタンを製造することは例えばドイツ特許出願公開第102005039933号明細書に記載されている。ドイツ特許出願第2248382 C2号明細書にも、OH−末端基含有のプレポリマーから多段階で熱可塑性ポリウレタンを製造することが記載されている。ヨーロッパ特許第0135111 B1号明細書には分岐しているが熱可塑性的に加工できそしてそれ故に未架橋のポリウレタンを多段階法で製造することが記載されている。
【0013】
熱可塑性又は熱可塑的加工性のポリマーをベースとするホットメルト被覆法は確かに達成可能な高い被覆速度並びに厚い層の製造可能性に長所があるが、架橋していないか又は少なくとも十分には架橋していないポリマーフィルムをもたらし、結果としてこのフィルムは高度の負荷耐久性を特に高温において要求される接着テープ層として適していない。
【0014】
エラストマーに架橋性をもたらすトリオールを併用してポリウレタンエラストマーを押出加工することは例えばドイツ特許出願公開第1964834 A号明細書及びドイツ特許第2302564 C3号明細書から公知である。しかしながらこれらの明細書においては液状の原料を反応させることが説明されており、このようなエラストマーは巻き取りの前に反応の進行に依存する固化を待たなければならないという欠点がある。
【0015】
架橋したポリマーフィルムをもたらすホットメルト被覆法が例えばドイツ特許出願公開第102004044086 A1号明細書から公知である。そこには押出成形機中で溶融状態にて、熱架橋剤が添加されるアクリレートホットメルト接着剤をベースとする接着テープの製造方法が開示されている。
【0016】
そこに記載された方法の欠点は、アクリレートホットメルト接着剤を最初に溶剤中で重合しなければならないこと及びこの溶剤を次いで濃厚化押出成形機中で除去しなければならないことを必要としていることである。別の欠点はポリアクリレートの分子量が比較的に高いことである(300,000〜1,500,000g/molの重量平均分子量M)。高い分子量は高い加工温度を必要としそしてそれ故に加工コストが高くそして更に押出加工の際に長手方向及び横手方向でのポリマー特性が不均一であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の課題は、溶剤なしで、連続的に化学的架橋されそしてそれ故に溶融性でないポリマーフィルムを、接着テープにおいて層として使用するために製造する方法を提供し、その際に、該フィルムを補助支持体に塗布した後に、被覆操作の間に行われる反応経過の進行のために予めに待つ必要ない該方法を提供することである。
【0018】
特に以下の基準を満足するべきである:ポリマーフィルムの化学的ベースは、粘弾性を調整するための広範な変更範囲を提供し、それによって変わり易く、かつ、変化する要求プロフィールに合わせて注文通りの接着テープ層を開発することを可能とするように選択されるべきである。この方法では支持体層及び感圧接着剤層、並びに官能層、例えばプライマー層の製造を可能とするべきである。この方法は、従来技術の欠点を有していないか又は少なくとも同じ程度しか有していない。有利には、中間製品の製造を含めた方法全体が溶剤を用いずに行えるべきであり、それによって溶剤の使用を排除する如何なる努力も必要ない。さらに、架橋した、溶融できないポリマーフィルムは長手方向及び横手方向でも同じ性質を有しているべきである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この課題は、請求項1に記載するような方法によって解決される。従属形式の請求項の対象はこの方法の有利な実施形態である。
【0020】
従って本発明は、以下の各方法段階を含む化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法に関する:
A)複数種のポリオールと1種類以上のポリイソシアネートとを含む混合物を化学的に反応させてヒドロキシル官能化された溶融可能な反応生成物(以下、ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーと称する)とし、その際にポリオールの少なくとも1種類又はポリイソシアネートの少なくとも1種類が三官能性以上の官能性分子を含有しており、イソシアネート基の総数と水酸基の総数との比が1.0より小さく;
B)ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマー並びに1種類以上のポリイソシアネートを連続運転混合装置中に導入し、該混合装置中においてヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーを溶融状態でポリイソシアネートと化学的に反応させ;
C)混合装置から出る溶融物を走行するウエブ状材料の上に又は走行する2つのウエブ状材料同志の間に塗布し、その際に方法段階B)で開始された反応が進行する。
【0021】
方法段階A)は準備段階である。この段階に液状又は固体ポリオール、ポリイソシアネート及び別のポリウレタン原料を反応させてヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーとする。特にこのポリウレタン−ホットメルトプレポリマーはヒドロキシル官能化された、分岐したポリウレタン−ホットメルトプレポリマーである。
【0022】
溶融可能で熱可塑的に加工できる性質を持つポリマー又はプレポリマーは当業者の専門用語で通例であるようにホットメルトと称される。
【0023】
この明細書において、ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーとは、複数種のポリオールと1種類以上のポリイソシアネートとを含む混合物を化学的に反応させることによって得られる反応生成物を意味する。この生成物はこの反応が完結した後には、室温において公知の混合装置中で溶剤、希釈剤又は粘度を低下する他の添加物を添加せずに加工することができない程に硬く、かつ、形状安定性がある。公知の混合装置にはニーダー、内部ミキサー、押出機、遊星ローラー式押出機、遊星ミキサー又はディソルバーがある。この明細書において溶融可能反応生成物の加工性は加熱状態で初めて可能であり、その熱は外部からの加熱によって供給されるか又は剪断によって生じさせることができる。この明細書において溶融可能反応生成物のための代表的な加工温度は70〜160℃であり、少なくとも40℃である。この明細書において室温とは20℃〜25℃の温度範囲、理想的には23℃を意味する。
【0024】
この明細書における溶融可能反応生成物は反応が完結した後に、プレート/プレート配置においての正弦波周期剪断応力の下での振動実験において流動計にて23℃の温度及び10rad/秒の振動数で測定した少なくとも8000Pas、好ましくは少なくとも10000Pasの複素粘度を有する。70℃及び10rad/秒の振動数では複素粘度は少なくとも300Pas、好ましくは少なくとも500Pasである。
【0025】
ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーは既に分岐場所を有している。分岐場所は三官能性以上のあらゆる官能性分子に由来しており、それらはヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーの化学構造に関与している。分岐の程度は生じるプレポリマーの長さとの相互作用で、ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーの溶融性が保証されるように、要するに架橋した構造が生じないように調整される。プレポリマー中の架橋場所の割合が以下に計算式で簡略的に特定されるレベルを超えないときに初めて、ゲル化が生じる。すなわち、架橋した構造が生じる。
【0026】
架橋した熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーの分子構造に関与する原料のイソシアネート基の総数と水酸基の総数との比(以下、NCO/OH−比と簡略して示す)は、水酸基官能性を達成するために1.0より小さくなければならない。架橋した構造を排除するために、いわゆるゲル化点が過剰にあってはならない。理論的ゲル化点はP.J.Floryのゲル化点式を用いて算出される。ジオール及びトリオールと不足量のジイソシアネートとのポリウレタン生成反応におけるNCO/OH−ゲル化比を概算するための、Floryの式から導き出される式は以下の通りである:
【0027】
【数1】

【0028】
NCO/OH−ゲル化比が達成されるか又はそれを越えた場合には、架橋構造が形成され、要するに、ゲル化に入る。実地においては、多くの市販のジオール及びトリオールは殆ど規定されていない多量の単官能性分子も含有しているので、上記内容は当て嵌まらない。従ってこの式は、実際のゲル化点のNCO/OH−比に達するほぼ指標だけを提供している。
【0029】
この式中のジオールOHはプレポリマー形成反応に関係する二官能性ポリオールを出所とする水酸基の総数である。トリオールOHは三官能性ポリオールに結合する、プレポリマー形成反応に関係する水酸基の総数である。例えば専ら三官能性ポリオールがイソシアネートと反応してヒドロキシル官能化プレポリマーをもたらす場合、臨界NCO/OH−比は0.5にある。このNCO/OH−比がこれを超えると、架橋した構造が形成され、要するにゲル化が生じ、これが溶融不可能なプレポリマーをもたらす。
【0030】
室温においてヒドロキシル官能化ポリウレタンプレポリマーが固体であることを達成するためには、結晶融点又はガラス転位温度又は場合によってはこれら両者が室温より上にあることを保証する必要がある。これはヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーをもたらす結合反応に関与するポリオール及びポリイソシアネートの選択及び組合せについて種々の方法で実現できる。例えば結晶質の、室温で固体のポリオールを使用することもできるし又はポリイソシアネートとの反応の後にプレポリマー構造の内部に多量の硬質セグメントをもたらす短鎖のポリオールを多量に使用することもできる。
【0031】
ホットメルト特性は、ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーの分子構造に関与する分子の数値割合が1000より少ないか又は1000である相対的分子量で、該数値割合を少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%であるように決めることによって有利に達成できる。数値割合は常に物質量割合に相当する。
【0032】
接着テープ又は粘着性製品における層として架橋したポリウレタンフィルムを使用する目的で、できるだけ長いプレポリマー鎖が形成される場合に、変わり易く、かつ、変化する要求像に合わせて注文通りの接着テープ層を提供することを可能とする特別に有利な粘弾性が達成できることが判った。これは、イソシアネート基の総数と分岐した熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーの分子合成に関与する出発原料の分子構造の水酸基の総量との比を0.90より大きくそして0.98より小さく調整することによって達成される。得られるプレポリマーの重量平均分子量は約50,000〜150,000g/molである。これは、一方においては、得られるフィルムの長手方向及び横手方向における実地での使用に妨害になる色々な性質を生じることなく、ホットメルトとして問題の無い塗装を可能とし、そしてもう一方においては接着テープ用途にとって有利な粘弾性の調整を可能とする範囲である。
【0033】
さらに、分岐した、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーの生成に関与するポリオールの70重量%より多い重量割合がポリエーテルポリオール、特にポリプロピレングリコールである場合に、特に有利な粘弾性が 達成される。
【0034】
接着テープ又は粘着製品における層として分岐したポリウレタンフィルムを使用することの関係での分岐したポリウレタンフィルムの有利な分岐度は、分岐した、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーの分子合成に関係する三官能性以上の分子の数値的割合が少なくとも0.5%、特に少なくとも2.0%である場合に達成される。
【0035】
一般にポリウレタン−プレポリマーは従来技術の製法で製造され、例えば"合成樹脂ハンドブック、ポリウレタン(Kunststoff-Handbuch, Polyurethane)、編集者:Guenter Oertel、 第3版、第 88-103頁、(1993)"に説明されている。
【0036】
方法段階Aで、分岐した、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーを製造するための原料はあらゆる公知のポリオール、例えばポリエーテルポリオール、特にポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカルボナートポリオール、ポリテトラメチレングリコールエーテル(ポリテトラヒドロフラン)、水素化及び非水素化ヒドロキシル官能化ポリブタジエン誘導体、水素化及び非水素化ヒドロキシル官能化ポリイソプレン、ヒドロキシ官能化ポリイソブチレン、ヒドロキシル官能化ポリオレフィン、水素化及び非水素化ヒドロキシル官能化炭化水素である。特に有利なポリオールはポリプロピレングリコールである。
【0037】
ポリプロピレングリコールとしては、プロピレンオキサイドをベースとしそしてジオールの場合には二官能性原料をベースとしそしてトリオールの場合には三官能性原料をベースとする市販のあらゆるポリエーテルを使用することができる。これらには、慣用の、すなわち一般に塩基性触媒、例えば水酸化カリウムを用いて製造されるポリプロピレングリコール並びにDMC(二重金属シアニド)触媒を用いて製造される特に純粋のポリプロピレングリコールもあり、それらの製法は例えば米国特許第5,712,216号明細書、同第5,693,584号明細書、国際特許出願第99/56874号明細書、同第99/51661号明細書、同第99/59719号明細書、同第99/64152号明細書、米国特許第5,952,261号明細書、国際特許出願第99/64493号明細書及び同第99/51657号明細書に記載されている。DMC触媒作用により製造されるポリプロピレングリコールの特徴付けについては、“公称”の或いは理論官能性はジオールの場合に正確に2、トリオールの場合には正確に3をほぼ実際に達成される。通例の通りに製造されたポリプロピレングリコールの場合には、“真の”官能性は常に理論値より幾分か小さく、しかも比較的大きな分子量のポリプロピレングリコールの場合に特にそうである。これの原因はプロピレンオキサイドをアリルアルコールに二次転位反応することにある。さらに、イソシアネートに対して向上した反応性を得るために多くの市販のポリプロピレングリコールの場合と同様に、エチレンオキサイドを共重合した形で含有するあらゆるポリプロピレングリコール−ジオール或いは−トリオールも使用できる。
【0038】
ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーの構造には他のイソシアネート反応性物質、例えばポリエーテルアミンも含まれていてもよい。
【0039】
他の原料には鎖延長剤、例えば1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン−ジヒドロキシエチルエーテル、エタノールアミン、N−フェニルジエタノールアミン又はm−フェニレンジアミンがある。鎖延長剤にはイソシアネートに対して反応性の低分子量二官能性化合物がある。同様に架橋剤も使用できる。架橋剤は、2より多きい官能性を有する、イソシアネートに対して反応性の低分子量化合物である。架橋剤の例にはグリセリン、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及び/又は1,2,4−ブタントリオールがある。
【0040】
イソシアネートに対して反応性の単官能性物質、例えばモノオールも同様に使用することができる。これらは連鎖停止剤として役立ちそしてそれ故に鎖長を制御するために使用することができる。
【0041】
方法段階A)においては後で架橋されるフィルムの様にホットメルトプレポリマーの性質を意図的に調整するようポリイソシアネートを選択する。これには例えばイソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート又はm−テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、上記イソシアネートの混合物又はそれらから化学的に誘導されるイソシアネート、例えば二量体化、三量体化又は重合されたタイプ、例えば尿素基、ウレトジオン基又はイソシアヌレート基を含有するものがある。二量体化タイプの例にはBayer社のHDI-Uretdion Desmodur N 3400(R)がある。三量体化タイプの例には同様にBayer社のHDI-Isocyanurat Desmodur N 3300(R)がある。特に有利なポリイソシアネートには脂肪族及び脂環式タイプがある。イソホロンジイソシアネートが特に有利である。
【0042】
ポリオールとポリイソシアネート或いはポリイソシアネート類との反応を促進するためには、当業者に公知のあらゆる触媒、幾つか挙げると、例えば第三アミン類、有機ビスマス−又は有機錫化合物を使用することができる。触媒の濃度は使用されるポリイソシアネート及びポリオール並びに混合装置中の意図する滞留時間及び混合装置中の温度に適合される。それは製造すべき化学的に架橋したポリウレタンフィルムの0.01重量%〜0.5重量%の範囲内であるのが有利である。
【0043】
可能な一つの実施形態においては、方法段階A)からのポリウレタン−ホットメルトプレポリマーは他の処方成分、例えば充填剤、樹脂、特に粘着性化炭化水素樹脂、老化防止剤(酸化防止剤)、光安定剤、紫外線吸収剤、流動助剤、並びに他の助剤及び添加物を含有していてもよい。
【0044】
充填剤としては補強性の例えばカーボンブラック並びに非補強性の例えばチョーク又は硫酸バリウムが使用できる。さらに、タルク、マイカ、ヒュームドシリカ、珪酸塩、酸化亜鉛、微小中実ガラスビーズ、微小中空ガラスビーズ及び/又はあらゆる種類の微小合成樹脂ビールがある。上記の物質の混合物も使用することができる。
【0045】
酸化防止剤の使用も有利であるが、必ずしも使用する必要はない。適する酸化防止剤には例えば立体障害フェノール、ハイドロキノン誘導体、アミン、有機硫黄化合物又は有機燐化合物がある。
【0046】
光防止剤及び紫外線吸収剤も場合によっては同様に使用することができる。使用される光防止剤としては例えばGaechter 及びMullerの“合成樹脂添加物のポケットブック(Taschenbuch der Kunststoff-Additive)”、Kirk-Othmer (第三版) 23巻、615〜627頁;“ Encycl. Polym. Sci. Technol.”、第14巻、第125〜148頁及びUllmann (第4版)、第8巻、第21頁; 第15巻、第529及び 676頁に開示されている。
【0047】
流動助剤の例にはヒュームドシリカ、層状珪酸塩(ベントナイト)、高分子量ポリアミド粉末又はひまし油誘導体粉末がある。
【0048】
可塑剤を追加的に使用することも可能であるが、それの移動傾向が強いことを考慮してむしろ避けるべきである。
【0049】
分岐した、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能性ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーの製造は、バッチ法で、例えば加熱可能なニーダー、遊星ミキサー又はディソルバーで又は連続的に、例えば押出機中で又は二成分混合式−及び二成分配量供給式装置で行うことができる。分岐した、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーの製造は複数の部分的段階でも行うことができ、混合方法を組合せることも可能である。気泡無しに達成するためには混合は減圧下に行うのが有利である。
【0050】
方法段階B)においては方法段階A)において製造された熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーを、溶融状態で1種類以上の少なくとも二官能性のポリイソシアネートと混合装置中で連続的に混合し、従って連続的に化学反応させる。“連続的”とは、混合の間に、混合すべき物質が常に、かつ、一様な速度で混合装置に供給されていること、すなわち、それら物質が前記混合装置中に導入されており、そして架橋したポリマーをもたらす徐々の化学反応を進めている混合物が該混合装置から、別の時点で常に、かつ、一様な速度で離れることを意味する。従って混合装置においては混合の間に定常的な一様な流動プロセス又は搬送プロセスが生じている。導入から離れるまでの混合装置中での化学反応混合物としての物質の滞留時間は一般に2秒〜5分である。
【0051】
ポリイソシアネートの官能性及び連続的に進行する化学反応によって生じるポリマーの分子構造のイソシアネート基の総数とヒドロキシル基の総数との比は、完全に反応した後にフィルムが化学的に架橋されてそしてそれ故にもはや溶融できないように調整される。一般にNCO/HO−比は1.0〜1.1の範囲で選択する。1.0より大きいNCO/OH−比(要するに、NCO過剰)は公知の通り、偏在する湿気と反応してポリマー鎖構造或いは架橋をもたらす。1.0より小さいNCO/OH−比は特に、三官能性以上のポリイソシアネートを使用する場合に選択することができる。適するポリイソシアネートは少なくとも二官能性のあらゆるポリイソシアネートである。適するポリイソシアネートには例えば、方法段階A)の説明において挙げたあらゆるポリイソシアネートがある。
【0052】
方法段階A)において製造された、溶融されており、熱可塑的に加工できるヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーと1種類以上の少なくとも二官能性のポリイソシアネートとの連続混合は、連続的に運転される混合装置、好ましくは押出機、特に二軸スクリュー式及び遊星ロール式押出機において、又は加熱可能な二成分混合式−及び二成分配量供給式装置において行う。連続又は不連続で運転される混合装置よりなるカスケード配置も同様に適している。混合装置は本発明によれば、混合装置における短い滞留時間の場合に良好な混合を保証するように設計する。方法段階A)において製造された、溶融され、熱可塑的に加工できるヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマー及び少なくとも二官能性のポリイソシアネートの添加は押出機中に同じ場所で又は異なる場所で行ってもよいが、好ましくは圧力の掛かっていない領域で行うのが有利である。
【0053】
少なくとも二官能性のポリイソシアネートが熱可塑的に加工できるヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーに微細な状態で、例えばエアロゾル又は微細小滴として添加されている場合が有利である。
【0054】
二成分混合式−及び二成分配量供給式装置中において、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーを加熱しそして溶融した状態で成分Aとして加温状態で搬送し、他方、少なくとも二官能性のポリイソシアネートは成分Bとして搬送される。連続混合は動的混合ヘッド中で又は特に有利にはスタテックミキサー又は動的ミキサイーとスタテックミキサーとの組合せで行う。
【0055】
場合によっては方法段階B)において、方法段階A)において製造された、熱可塑的に加工できるヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーを溶融状態で1種類以上の二官能性ポリイソシアネートと連続的に混合する間に、他の処方成分、例えば充填剤、樹脂、特に粘着性付与性炭化水素樹脂、老化防止剤(酸化防止剤)、光安定剤、紫外線吸収剤、流動助剤、並びに他の助剤及び添加物を添加してもよい。
【0056】
熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーを溶融状態で1種類以上の少なくとも二官能性のポリイソシアネートと連続的に十分に混合する間及び後で、化学反応が連続的に継続されて架橋したポリウレタンをもたらす。反応速度は触媒なしでも又は適当な触媒を用いての穏やかな触媒作用で十分にゆっくりと行い、結果として熱可塑的な加工がなお長い間可能である。一般に数分の程度であるこの時間の間に、温かい又は熱い化学反応性混合物からフィルムとする連続的成形を方法段階C)に従って行わなければならない。この成形の後でフィルムは室温に冷却され、それによって該フィルムは化学的架橋反応の進行に無関係に直ちに固化される。架橋反応は完結するまで室温でも進行する。この化学的架橋反応は室温で一般に1〜2週間後に完結する。完全に反応した後に生じたポリマーはもはや溶融できない程に架橋している。
【0057】
溶融状態での連続的に進行する化学反応段階の間の方法段階B)の連続混合行程に続いて方法段階C)に従う、室温に冷却するときにただちに固化し巻き取り可能なフィルムとする、温かい又は熱い状態で化学反応する混合物の連続成形は、ローラー塗装又は押出ダイスによって有利に行えるが、他の塗工法又は、例えばコンマ棒(comma bar)によっても行うことができる。形成されたフィルムは、走行するウエブ状支持体の上に連続的に塗工され、次いで巻き取られる。走行するウエブ状支持体は例えば非接着性に加工されたフィルム又は非接着性に加工された紙でもよい。これは感圧接着剤又は機能性層で前処理された材料でも又は支持体でも又は上述のウエブ材料の任意の組合せも適している。
【0058】
本発明の方法がホットメルト被覆法において化学的に架橋されているが、未だ感圧接着剤用途に適する程度に流動性のポリマーを比較的に低い被覆温度で製造することを可能としたことは当業者にとって驚くべきことであり、かつ、予期できなかったことである。感圧接着剤用途に適する程度に流動性であるとは、ポリマーを機械的に成形する、例えば長く引き延ばすのに必要である応力が、変形を長時間にわたって維持するときに低下しそして限定された値に徐々に変化することを意味する。
【0059】
プレポリマーは特に既に分岐を有しておりそして更に比較的に高分子量を有しているので(さもなければ、室温で固体ではない)、当業者は更に、溶融状態の(要するに室温より上の温度で)プレポリマーにポリイソシアネートを配量供給した後、ただちにゲル化が生じ、要するにただちに架橋構造が形成され、更なる十分な混合及び続いての被覆及びフィルムへの成形が不可能になる。これらが現れることは、当業者にとって予期できなかったことである。
【0060】
ホットメルト被覆の結果としてフィルムの巻き取りは反応の進行又は溶剤の蒸発速度に関連しておらず、フィルムの冷却の速さだけに関連しているので、非常に早い被覆速度を達成することもできる。これは経済的な長所でもある。更に加熱トンネル区域を加熱するための費用並びに溶剤の燃焼又は溶剤の回収のための費用が省かれる。本発明の方法ではプレポリマーも溶剤を使用せずに製造できるので、溶剤を燃やしたり又は回収したりする費用が生じない。
【0061】
本発明の方法の溶剤不含であることによって原則として任意の厚さのポリマーフィルムを、蒸発する溶剤による気泡形成をもたらすことなしに製造することが可能である。
【0062】
分岐した、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーに、化学的架橋をもたらすポリイソシアネートを、混合物をフィルムに成形する直前に連続的に混入するので、反応性基をブロックする必要がない。従って、後での用途において妨害になるブロッキング剤は如何なる時点でも放出されない。
【0063】
架橋は外部から放射線、例えば紫外線又は電子線によって開始されないので、製造されたフィルムが非常に厚く形成された場合又はフィルムが比較的に多量の充填剤を含有する場合でも十分に均一な性質を持つポリマー構造が達成される。 充填剤は方法段階A)でも方法段階B)でも例えば50%以上の多量に混入することができる。
【0064】
熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーが一般に他の熱可塑的に加工可能なポリマーに比較して小さい重量平均分子量を有していることによって、比較的に低い温度で、溶融可能であり、かつ、熱可塑的に加工できる。溶融物をフィルムに成形する間及び後に一般に長手方向及び横手方向においても接着性に関しての違いがフィルムに存在しない。
【0065】
ホットメルトプレポリマーの分岐によって、同時に流動体部分を有する架橋したポリマー構造を生成することを可能としたことは、驚くべきことでありそして当業者に予期できなかったことである。この様なポリマー構造は接着テープの分野において比較的に高い接着力を高い剪断強度と同時に達成するために必要である様な粘弾性をもたらす。ある程度の粘性流動は公知のとおり、接着すべき基体への接着力を増加するために常に必要とされている。更にある程度の弾性回復力(凝集)も、剪断応力に、特に熱い状態において耐えることができるために、同様に必要である。有利な感圧接着剤特性は、感圧接着剤層が適当な粘弾性に設計されている場合に達成できるだけでなく、接着テープの他の層、例えば支持体又はプライマー層が適用されている場合にも達成できる。これに対して、分岐したホットメルトプレポリマーは架橋後に、言うに値する流動性部分のない特別な弾性を持つポリマー構造も非常に高い流動性の部分及び非常に僅かな弾性部分を有するポリマー構造ももたらす。感圧接着剤用途に適する程度が、この様に不十分にされる。多過ぎる弾性を持つポリマーは基体上で非常に僅かな程度しか流動せず、低い凝集力しか発揮しない。分岐していないホットメルトプレポリマーがほんの僅かしか又は全く架橋しない場合には、僅か過ぎる弾性しかもたらされず、結果として凝集力が非常に少ない。
【0066】
本発明の方法に従って製造された分岐したホットメルトプレポリマーは二官能性イソシアネートだけを用いても有利に架橋することもできる。
【0067】
本発明の方法の別の有利な長所は、フィルムが架橋段階の間に接着テープの他の層に化学的に反応して結合することにある。これは、方法段階C)における混合物の成形の間に及びその後の僅かな時間の間、連続的に進行する反応の間に未だ反応性のNCO基がフィルム表面に存在していることを可能とする。
【0068】
以下の実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。
【0069】
説明した方法に従って製造した試験体を簡単に特徴付けるために以下の試験方法を使用した:
ゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC):
方法段階A)からの分岐した、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーを特徴付けるために、数平均分子量及び重量平均分子量の測定をゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)により行った。測定はマインツ(Mainz)のPolymer Standards Service社で行った。
【0070】
キャリブレーションはポリ(メチルメタクリレート)を用いて一般に行われる。測定は分析法AM 1005に従って行った。溶離剤としては0.1容量%のトリフルオロ酢酸を含むテトラヒドロフランを使用する。予備カラムとしてPSS−SDVタイプのカラム(10μm、ID8.0mm×50mm)を使用siそしてカラムPSS−SDVとして10μmの線状のもの(ID 8.0mm×300mm)を使用して実施する。ポンプ搬送はTSP P100を用いた。流速は0.5mL/分である。試料濃度は約1.5g/Lである。注入システムは、TSP AS 3000が適する。注入容積は100μLである。測定は23℃で行った。検出基としてはShodex RI71が適している。評価はPSS−WinGPCユニティーバージョン7.20プログラムを用いて行った。
【0071】
複素粘度(η*)を測定するための動的機械分析(DMA):
分岐した、熱可塑的に加工可能な、方法段階A)からのヒドロキシル官能性ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーを特徴付けるために、更に複素粘度を動的機械的分析(DMA)によって測定を行った。
【0072】
この測定はプレート/プレート配置においての正弦波周期剪断応力の下での振動実験においてRheometric Scientific 社の剪断応力制御されたレオメーターDSR 200 N を用いて行った。複素粘度は10rad/sの振動数で温度掃引(temperature sweep)で測定した。複素粘度(η*)は次のように規定される:η*=G*/ω (ただし、G*は複素剪断モジュール、ω=角振動数)。
【0073】
他の規定は次の通りである:
【0074】
【数2】

【0075】
G" =粘性(損失モジュール)、 G' = 弾性率 (保存モジュール)
G'' = t/g・sin(d) (t = 剪断応力、g = 歪み、d = 位相角 =剪断応力ベクトルと歪みベクトルとの間の位相角)。
G' = t/g・cos(d) (t = 剪断応力、g = 歪み、d = 位相角= 剪断応力ベクトルと歪みベクトルとの間の位相角)。
ω = 2p・f (f = 振動数).
測定された試料の厚さは常に1mmである。試料の直径はそれぞれ25mmである。
【0076】
予備応力は3Nの負荷を掛けて行った。試験体の応力は全ての測定において2500Paであった。
【0077】
引張り試験での引張特性の測定:
方法段階C)から得られる化学的に架橋したポリウレタンフィルムは室温で2週間の期間保存した後に、長手方向(成形方向)及び横手方向(フィルム面の成形方向に対して90°の角度の方向)でそれの伸張特性を試験した。
【0078】
測定はDIN EN ISO 527−1〜3に従ってサイズ5Aの標準試験体を用いて300mm/分の試験速度で行った。測定は抗張力及び関連する伸び率について行った。抗張力は試験材料を延伸したときに測定される最大の力であり、試験体の初期切断面積で除して、N/mmの単位で示される。抗張力の場合の伸び率は、元の測定長さに対する、測定時の最大の力の下での試験体の長さの変化であり、%の単位で示される。
【0079】
応力緩和の測定:
方法段階C)から得られる化学的に架橋したポリウレタンフィルムは、室温で2週間の保存期間の後に長手方向(成形方向)及び横手方向(フィルム面での成形方向に対して90°の角度の方向)においてそれらの応力緩和を測定した。応力緩和の実験は、サイズ5Aの標準試験体を用いるDIN EN ISO 527−1〜3による引張り試験におけるのと同様に行った。100mm/分の試験速度の場合には試験材料は長手方向で、試験体ストリップの元の長さを基準として長手方向で50%延伸された。関係した応力は50%の伸び率が達成された瞬間に測定した。応力は試験体の元の切断面積を基準とする測定長さ内での引張り力として規定する。50%の伸び率は更に維持されている。5分の時間の後に応力を再度測定した。応力の百分率的低下が応力緩和である。
応力緩和=100×(初期応力−最終応力)/初期応力
【0080】
接着力:
接着力はPSTC−1に従って測定した。この方法に従って、測定すべき接着ストリップを被接着基体(鋼鉄)に貼り付け、2kgの重量で2度押し付けそして次に規定の条件のもとで引張り試験基によって引っ張る。引張り角度は90°であり、引張り速度は300mm/分である。引っ張るのに必要な力は接着力であり、これはN/cmの単位で表される。測定した接着ストリップは25μmの厚さのポリエステルフィルムで裏側を補強されている。
【0081】
剪断試験:
剪断試験は試験処方PSTC−107に従って行った。この方法に従って、測定すべき接着ストリップを被接着基体(鋼鉄)に貼り付け、2kgの重量で4度押し付けそして次に一定の剪断負荷を掛ける。保持時間を測定する(分)。
【0082】
接着面積はそれぞれ13×20mmである。この接着面の剪断負荷は1kgである。測定は室温(23℃)及び70℃で行った。測定した接着ストリップ25μmの厚さのポリエステルフィルムで裏側を補強されている。
【0083】
分岐され、熱可塑的に加工可能な方法段階A)のヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーを、Molteni 社のディソルバー攪拌機を備えた加熱及び減圧可能な通例の混合容器中で製造した。それぞれ2時間の混合行程の間に混合物の温度は約70℃〜100℃に調整されそして成分を脱気するために減圧に付す。
【0084】
分岐され、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーを溶融状態での連続混合によって1種類以上の少なくとも二官能性のポリイソシアネートとの連続的化学反応を、加熱可能なスタティクミキササー及び最大約2L/分の配量供給量を有する歯車配量供給ポンプを備えた二成分混合装置及び二成分配量共有装置において実験の一部を行いそして他の一部をLeistritz社(ドイツ国、 Bez LSM 30/34)の二軸スクリュー式押出機で行った。この装置は外から電気的に約70℃〜90℃に加熱されそして沢山のファンによって空冷されそしてプレポリマーとポリイソシアネートとの良好で十分な混合が押出機中で短い滞留時間で保証されるように設計されている。この目的のために二軸スクリュー式押出機の混合用スクリューは、搬送要素及び混合要素が交互に配置されている。その都度のポリイソシアネートの添加は二軸スクリュー式押出機の無加圧搬送領域において配量供給補助手段の使用下に適当な配量供給設備で行う。
【0085】
化学的に反応する約80℃の熱さの方法段階B)の混合物を二軸スクリュー式押出機から出した後に(出口:直径5mmの環状ノズル)、方法段階C)に従うフィルムへの成形を、両面をシリコーン加工された走行する2枚の厚さ50μmのポリエステルフィルム相互の間に後続の二本ロール塗工装置によって直接的に行った。この実験の一部では、両面をシリコーン加工された走行する厚さ50μmのポリエステルフィルムにNational Starch社のポリアクリレート接着剤Durotac 280-1753を50μmの厚さで予めに塗布した。化学反応性の約80℃の熱い混合物は、この実験の場合、従ってポリアクリレート感圧接着剤の間でそれと直接的に接触して被覆されている。送り速度は1m/分〜20m/分の間で変化する。フィルムを冷却固化した後に、相応する両面シリコーン加工ポリエステルフィルムの1枚をただちに剥離する。従って巻き取ることが可能なフィルムがもたらされる。
【0086】
シリコーン加工されたポリエステルフィルムの上に感圧接着剤予備被覆物の存在しない巻いたフィルムの一部を、室温で2週間後に再び巻き解きそしてシリコーン加工されたポリエステルフィルムの上に50μmの厚さで塗工され存在する National Starch社のポリアクリレート接着剤Durotac 280-1753に対して積層する。積層は如何なる前処理なしに行った。ポリアクリレート感圧接着剤を用いるこの実験は接着テープで支持体層として機能層として使用する試験に役立つ。
【0087】
表1に化学的に架橋したポリウレタンフィルムを製造するために使用した基本材料を掲載するが、商品名及び製造元を掲載した。記載した原料は全て市場で入手できる。
【0088】
【表1】

【0089】
[実施例]
【実施例1】
【0090】
化学的に架橋したポリウレタンフィルムを製造するために以下の様な方法を使用した。
方法段階A)
分岐した、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能性化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーを、均一混合しそしてそれ故に記載した量比での以下の原料を反応させることによって製造する:
【0091】
【表2】

【0092】
最初にMPジオール及びVestanat のIPDI以外の記載された全ての原料を70℃の温度及び100mbarの圧力で1.5時間混合する。次いでMPジオールを15分間にわたって混入しそして次にVestanat のIPDIを同様に15分の間に混入する。発生する反応熱によって混合物が100℃に加熱され、その後に混合物の一部を保存容器中に垂れ流す。他の部分は方法段階B)において直接的にさらに加工する。
【0093】
NCO/OH−比は0.91である。理論ゲル化点は0.89に達する。理論ゲル化点を超えたにも係わらず、反応によって生じる分岐した、ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーは溶融可能でありそしてそれ故に熱可塑的に加工できる。その理由は、試用したポリオールの幾らかが単官能性成分も含有していることによる。
【0094】
分岐した、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーの分子構造に関与する分子の4.46%が三官能性であり(理想化して検討)及びそれ故に分岐した構造を形成することが可能である。
【0095】
分岐した、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーの分子構造に関与する分子の93.32%は1000以下の相対的分子量を有している(理想化して検討)。
【0096】
生じるプレポリマーは室温で固体である。複素粘度ηは室温(23℃)で22000Pasでありそして70℃で5500Pasである。
【0097】
重量平均分子量Mは125,000g/molであり、数平均分子量Wは17800g/molである。
【0098】
方法段階B):
方法段階A)からの、分岐した、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーを80℃に予備加熱された二軸スクリュー式押出機に連続的に供給する。ポリイソシアネートを同時に及び同じ位置で二軸スクリュー式押出機に細かい液滴の状態で連続的に配量供給する。配量供給されるポリイソシアネートとしては実験の一部でVestanat のIPDIを使用し、他の部分でDesmodur N3300を使用した。両方の実験において1.05のNCO/OH−比に調整し、従って混合比は以下の通りとなる:
100重量部のプレポリマー:2.99重量部のVestanat のIPDI
100重量部のプレポリマー:5.18重量部のDesmodur N3300。
【0099】
両方の実験において連続的に混合しそして搬送した。押出機から押し出される物質の出口までの時間は約2分であった。
【0100】
方法段階C):
押出物質は2本ロール式アプリケータに直接的に供給し、そこで走行する2枚の両面シリコーン加工済みポリエステルフィルムの間に塗布し、従って一枚のフィルムに加工される。フィルムの厚さは1.0mmである。このフィルムを室温に冷却後に、2枚の両面シリコーン加工済みポリエステルフィルムの一枚を除去した後に該フィルムを巻き取る。補足実験において、両面シリコーン加工済みで、National Starch社のポリアクリレート感圧接着剤のDurotac 280-1753(厚さ:50μm)で予め被覆された走行する2枚のポリエステルフィルムの間に塗布する。
【0101】
ここでもフィルムの厚さは1.0mmであり、このフィルムを同様に室温に冷却した後に、2枚の両面シリコーン加工済みポリエステルフィルムの一枚を除去した後に巻き取る。
【0102】
巻き取られたフィルムを室温で2週間保存し、次いで試験した:
試験結果を以下の表3に総括掲載する:
【0103】
【表3】


【0104】
比較のために、25μmの厚さのポリエステルフィルムに塗布した感圧接着剤Durotac280-1753の接着力は5.9N/cmであった。
【実施例2】
【0105】
化学的に架橋したポリウレタンフィルムを製造するために本発明の方法を以下のように使用した:
方法段階A)
分岐した、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能性化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーは、今回、追加的に連鎖停止剤を含有しており、均一混合されそしてそれ故に以下の原料を記載した量比で反応させることによって製造する:
【0106】
【表4】

【0107】
最初にMPジオール及びVestanat のIPDI以外の記載された全ての原料を70℃の温度及び100mbarの圧力で1.5時間混合する。次いでMPジオールを15分間にわたって混入しそして次にVestanat のIPDIを同様に15分の間に混入する。発生する反応熱によって混合物が100℃に加熱され、その後に混合物の一部を保存容器中に垂れ流す。他の部分は方法段階B)において直接的にさらに加工する。
【0108】
NCO/OH−比は0.92である。理論ゲル化点は0.89より若干大きいと評価される。反応によって生じる分岐した、ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーは溶融可能でありそしてそれ故に熱可塑的に加工できる。
【0109】
分岐した、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーの分子構造に関与する分子の4.27%が三官能性であり(理想化して検討)及びそれ故に分岐した構造を形成することが可能である。
【0110】
分岐した、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーの分子構造に関与する分子の93.59%は1000以下の相対的分子量を有している(理想化して検討)。
【0111】
生じるプレポリマーは室温で固体である。複素粘度ηは室温(23℃)で20000Pasでありそして70℃で4800Pasである。
【0112】
重量平均分子量Mは115,000g/molであり、数平均分子量Wは16400g/molである。
【0113】
方法段階B):
方法段階A)からの、分岐した、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーを80℃に予備加熱された二軸スクリュー式押出機に連続的に供給する。ポリイソシアネートを同時に及び同じ位置で二軸スクリュー式押出機に細かい液滴の状態で連続的に配量供給する。配量供給されるポリイソシアネートとしては実験の一部でVestanat のIPDIを使用し、他の部分でDesmodur N3300を使用した。
【0114】
両方の実験において1.05のNCO/OH−比に調整し、従って混合比は以下の通りとなる:
100重量部のプレポリマー:2.88重量部のVestanat のIPDI或いは
100重量部のプレポリマー:4.99重量部のDesmodur N3300。
【0115】
両方の実験において連続的に混合しそして搬送した。押出機から押し出される物質の出口までの時間は約2分であった。
【0116】
方法段階C):
押出物質は2本ロール式アプリケータに直接的に供給し、そこで走行する2枚の両面シリコーン加工済みポリエステルフィルムの間に塗布し、従って一枚のフィルムに加工される。フィルムの厚さは1.0mmである。このフィルムを室温に冷却後に、2枚の両面シリコーン加工済みポリエステルフィルムの一枚を除去した後に該フィルムを巻き取る。補足実験において、両面シリコーン加工済みで、National Starch社のポリアクリレート感圧接着剤のDurotac 280-1753(厚さ:50μm)で予め被覆された走行する2枚のポリエステルフィルムの間に塗布する。
【0117】
ここでもフィルムの厚さは1.0mmであり、このフィルムを同様に室温に冷却した後に、2枚の両面シリコーン加工済みポリエステルフィルムの一枚を除去した後に巻き取る。
【0118】
巻き取られたフィルムを室温で2週間保存し、次いで試験した:
試験結果を以下の表5に総括掲載する:
【0119】
【表5】


【0120】
比較のために、25μmの厚さのポリエステルフィルムに塗布した感圧接着剤Durotac280-1753の接着力は5.9N/cmであった。
[比較例1]
化学的に架橋したポリウレタンフィルムを製造するために方法を以下のように使用した:
方法段階A)
分岐していない、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能性化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーを、均一混合しそしてそれ故に以下の原料を記載した量比で反応させることによって製造する:
【0121】
【表6】

【0122】
最初にMPジオール及びVestanat のIPDI以外の記載された全ての原料を70℃の温度及び100mbarの圧力で1.5時間混合する。次いでMPジオールを15分間にわたって混入しそして次にVestanat のIPDIを同様に15分の間に混入する。発生する反応熱によって混合物が100℃に加熱され、その後に混合物の一部を保存容器中に垂れ流す。他の部分は方法段階B)において直接的にさらに加工する。
【0123】
NCO/OH−比は0.91である。理論ゲル化点は1.0と算出された。反応によって生じる分岐していない、ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーは室温で固体でありそして溶融可能でありそしてそれ故に熱可塑的に加工できる。
【0124】
分岐してない、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーの分子構造には三官能性分子は関与していない(慣用する分子の0.0%が三官能性である)。従って分岐した構造は生じ得ない。
【0125】
分岐していない、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーの分子構造に関与する分子の92.20%は1000以下の相対的分子量を有している(理想化して検討)。
【0126】
生じるプレポリマーは室温で固体である。複素粘度ηは室温(23℃)で16000Pasでありそして70℃で500Pasである。
【0127】
重量平均分子量Mは75,000g/molであり、数平均分子量Wは14800g/molである。
【0128】
方法段階B):
方法段階A)からの、分岐していない、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーを80℃に予備加熱された二軸スクリュー式押出機に連続的に供給する。ポリイソシアネートを同時に及び同じ位置で二軸スクリュー式押出機に細かい液滴の状態で連続的に配量供給する。配量供給されるポリイソシアネートとしては実験の一部でVestanat のIPDIを使用し、他の部分でDesmodur N3300を使用した。
【0129】
両方の実験において1.05のNCO/OH−比に調整し、従って混合比は以下の通りとなる:
100重量部のプレポリマー:4.20重量部のVestanat のIPDI或いは
100重量部のプレポリマー:7.28重量部のDesmodur N3300。
【0130】
両方の実験において連続的に混合しそして搬送した。押出機から押し出される物質の出口までの時間は約2分であった。
【0131】
方法段階C):
押出物質は2本ロール式アプリケータに直接的に供給し、そこで走行する2枚の両面シリコーン加工済みポリエステルフィルムの間に塗布し、従って一枚のフィルムに加工される。フィルムの厚さは1.0mmである。このフィルムを室温に冷却後に、2枚の両面シリコーン加工済みポリエステルフィルムの一枚を除去した後に該フィルムを巻き取る。補足実験において、両面シリコーン加工済みで、National Starch社のポリアクリレート感圧接着剤のDurotac 280-1753(厚さ:50μm)で予め被覆された走行する2枚のポリエステルフィルムの間に塗布する。
【0132】
ここでもフィルムの厚さは1.0mmであり、このフィルムを同様に室温に冷却した後に、2枚の両面シリコーン加工済みポリエステルフィルムの一枚を除去した後に巻き取る。
【0133】
巻き取られたフィルムを室温で2週間保存し、次いで試験した:
試験結果を以下の表7に総括掲載する:
【0134】
【表7】


【0135】
比較のために、25μmの厚さのポリエステルフィルムに塗布した感圧接着剤Durotac280-1753の接着力は5.9N/cmであった。
【0136】
分岐していない、熱可塑的に加工可能なヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーを用いた場合には、ポリウレタンフィルムの凝集力が、方法段階B)において三官能性ポリイソシアネートを用いて架橋した場合でも非常に小さい。結果は剪断試験において、特に70℃での試験において、非常に僅かな保持時間であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の方法段階
A)複数種のポリオールと1種類以上のポリイソシアネートとを含む混合物を化学的に反応させてヒドロキシル官能化された溶融可能な反応生成物(以下、ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーと称する)とし、その際にポリオールの少なくとも1種類又はポリイソシアネートの少なくとも1種類が三官能性以上の官能性分子を含有しており、イソシアネート基の総数とヒドロキシル基の総数との比が1.0より小さく;
B)ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマー並びに1種類以上のポリイソシアネートを連続運転混合装置中に導入し、該混合装置中においてヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーを溶融状態でポリイソシアネートと化学的に反応させ;
C)該混合装置から出る溶融物を走行するウエブ状材料の上に又は走行する2つのウエブ状材料同志の間に塗布し、その際に方法段階B)で開始された反応が進行する
を包含する化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項2】
方法段階A)からのヒドロキシル官能化された溶融可能な反応生成物が分岐されている、請求項1に従う化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項3】
イソシアネート基の総数とヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーへの化学反応に関与するポリイソシアネート及びポリオールのヒドロキシル基の総量との比が0.90より大きくそして0.98より小さい、請求項1又は2に記載の化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項4】
ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーへの化学反応に関与する三官能性以上の分子の数値的割合が少なくとも0.5%、特に少なくとも2.0%である、請求項1〜3のいずれか一つに記載の化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項5】
ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーへの化学反応に関与する1000より少ないか又は1000である相対的分子量の分子の数値割合が少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%である、請求項1〜4のいずれか一つに記載の化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項6】
ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーへの化学反応に関与するポリオールがポリオール成分を基準として70重量%より多い重量割合までがポリエーテルポリオール、特にポリプロピレングリコールである、請求項1〜5のいずれか一つに記載の化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項7】
ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーへの化学反応にポリオールの他に、別のイソシアネート反応性物質、特にアミン官能化物質も関与する、請求項1〜6のいずれか一つに記載の化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項8】
ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーへの化学反応に関与するポリイソシアネートの少なくとも1種類が2官能性以上の官能性を有する、請求項1〜7のいずれか一つに記載の化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項9】
ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーへの化学反応に関与するポリイソシアネートがポリイソシアネート成分を基準として70重量%より多い重量割合まで脂肪族又は脂環式タイプである、請求項1〜8のいずれか一つに記載の化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項10】
ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーへの化学反応に関与するポリイソシアネートがポリイソシアネート成分を基準として70重量%より多い重量割合までイソホロンジイソシアネートを含有する、請求項1〜9のいずれか一つに記載の化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項11】
ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーへの化学反応を触媒の添加下で行う、請求項1〜10のいずれか一つに記載の化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項12】
ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーへの化学反応をビスマス及び炭素を含有する触媒、特にビスマスカルボキシレート又はビスマスカルボキシレート誘導体の添加下に行う、請求項1〜11のいずれか一つに記載の化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項13】
ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーが充填剤、樹脂、補助及び添加物を含有する、請求項1〜12のいずれか一つに記載の化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項14】
ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーが連続運転混合装置中での溶融状態でのポリイソシアネートとの化学反応の間におけるイソシアネート基の総数とヒドロキシル基の総数との比が0.90より大きくそして1.2より小さい、請求項1〜13のいずれか一つに記載の化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項15】
溶融状態のヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーと1種類以上のポリイソシアネートとの化学反応を連続的に押出機中で行う、請求項1〜14のいずれか一つに記載の化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項16】
溶融状態のヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーと1種類以上のポリイソシアネートとの化学反応を連続的に二成分混合式−及び二成分配量供給式装置中で行う、請求項1〜14のいずれか一つに記載の化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項17】
ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーの複素粘度が10rad/秒及び23℃で測定して8000Pasより大きく、特に20,000Pasより大きい、請求項1〜16のいずれか一つに記載の化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項18】
ヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーの複素粘度が10rad/秒及び70℃で測定して300Pasより大きく、特に1000Pasより大きい、請求項1〜17のいずれか一つに記載の化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項19】
架橋したポリウレタンフィルムが20μm〜3000μmの厚さを有している、請求項1〜18のいずれか一つに記載の化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項20】
製造を溶剤を用いずに行う、請求項1〜19のいずれか一つに記載の化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項21】
方法段階A)に従うヒドロキシル官能化ポリウレタン−ホットメルトプレポリマーへの化学反応を連続的に行う、請求項1〜20のいずれか一つに記載の化学的に架橋したポリウレタンフィルムの製造方法。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか一つに記載の方法に従って得られる化学的に架橋したポリウレタンフィルムの、接着テープ又は粘着性製品の支持体層としての用途。
【請求項23】
請求項1〜21のいずれか一つに記載の方法に従って得られる化学的に架橋したポリウレタンフィルムの、接着テープ又は粘着性製品の感圧接着剤層としての用途。
【請求項24】
請求項1〜21のいずれか一つに記載の方法に従って得られる化学的に架橋したポリウレタンフィルムの、接着テープ又は粘着性製品の官能層としての用途。

【公開番号】特開2009−275224(P2009−275224A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−115713(P2009−115713)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【出願人】(509120403)テーザ・ソシエタス・ヨーロピア (118)
【Fターム(参考)】