説明

化粧料の使用方法

【課題】即効性に優れ、シワの改善やリフトアップ効果、さらには透明感向上効果や育毛効果などを顕著に確認することができる、化粧料の使用方法を提供すること。
【解決手段】化粧料を50〜190MPaで15分間以上、好ましくは、10〜50℃に加熱しながら、加圧処理し、加圧処理後の化粧料を、加圧処理後から8時間以内に、皮膚または毛髪に塗布する。皮膚または毛髪では、活性状態の化粧料が浸透することによって、肌のハリの改善効果、シワの改善効果、リフトアップ効果、肌の透明感向上効果、肌の保湿効果、美白効果(肌色の改善効果)、育毛効果(毛髪の太さの改善効果)、髪のつやの改善効果、毛穴の改善効果、肌のキメの改善効果、ニキビの改善効果、および抗炎症効果が即効で現れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料の使用方法、詳しくは、化粧料の塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧水、クリーム、乳液などのスキンケア化粧料は、人体の皮膚(肌)などに直接塗布する化粧料であり、スキンケア化粧料の塗布後には、必要によりメークアップ化粧料が塗布される。
このような化粧料として、化粧料半製品または化粧料完成製品を一定時間超高圧(3,000kgf/cm以上)処理することにより、『皮膚に対して伸びのある化粧料』・『しっとりとして,滑らかでコクのある使用感があり、かつべとつきが少なく,肌へのなじみのよい化粧料』・『しっとりさ・保湿効果の持続,化粧持ち等,化粧料の各種効能の持続性』等々、化粧料のもつ基本的・本質的な機能・特性を促進・向上させることが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2969365公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載される化粧料は、化粧料のもつ基本的・本質的な機能・特性を促進・向上させることができるものの、シワの改善、リフトアップ効果、さらには、透明感向上効果や育毛効果などについて、即効性が不十分であり、それらの効果を顕著に確認しにくいという不具合がある。
本発明の目的は、即効性に優れ、肌のハリの改善効果、シワの改善効果、リフトアップ効果、肌の透明感向上効果、肌の保湿効果、美白効果(肌色の改善効果)、育毛効果(毛髪の太さの改善効果)、髪のつやの改善効果、毛穴の改善効果、肌のキメの改善効果、ニキビの改善効果、および抗炎症効果を顕著に確認することができる、化粧料の使用方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明の化粧料の使用方法は、化粧料を50〜190MPaで15分間以上加圧処理し、加圧処理後の化粧料を、加圧処理後から8時間以内に、皮膚または毛髪に塗布することを特徴としている。
また、本発明の化粧料の使用方法では、前記加圧処理では、化粧料を10〜50℃に加熱することが好適である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の化粧料の使用方法では、まず、化粧料を、50〜190MPaで15分間以上加圧処理する。すると、加圧処理された化粧料は、肌のハリの改善効果、シワの改善効果、リフトアップ効果、肌の透明感向上効果、肌の保湿効果、美白効果、育毛効果、髪のつやの改善効果、毛穴の改善効果、肌のキメの改善効果、ニキビ改善効果、および抗炎症効果を付与できる活性状態となる。
【0006】
本発明の化粧料の使用方法では、次いで、その加圧処理後から8時間以内に、化粧料を皮膚または毛髪に塗布する。すると、塗布された化粧料は、活性状態が保持されている間に、皮膚または毛髪に浸透する。そのため、皮膚または毛髪は、活性状態の化粧料が浸透することによって、シワの改善、リフトアップ効果、透明感向上効果、美白効果、育毛効果、抗炎症効果、ニキビ改善効果などの、上記した各種の効果が即効で現れるため、それらの効果を顕著に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の化粧料の使用方法では、まず、化粧料を50〜190MPaで15分間以上加圧処理する。
本発明において、化粧料は、製造途中の化粧料半製品は含まれず、製造後の化粧料完成製品のみが含まれる。つまり、本発明の化粧料は、製造途中での加圧処理の有無には関係がなく、製造後の化粧料完成製品の加圧処理を目的としている。
【0008】
このような化粧料としては、例えば、人体(顔、体を含む。)の皮膚に直接塗布して、皮膚に伸び、滑らかさ、しっとり感などを付与するためのスキンケア化粧料などが含まれる。
スキンケア化粧料としては、例えば、洗顔フォーム、化粧水、クリーム、乳液、ジェル、マッサージ料、美容液(エッセンス)、ローション、パック、日焼け止め料、シェービングローションなどが含まれる。また、本発明の化粧料には、例えば、トニック、シャンプー、リンス、ヘアクリームなどの毛髪に塗布する毛髪化粧料、例えば、抜け毛予防・発毛促進を目的として、主として頭皮に塗布する、育毛剤、養毛剤などの育毛・養毛化粧料、例えば、ヘアカラー、ヘアマニキュアなどの染毛料、例えば、リキッドファンデーション、クリームファンデーションなどの粉体を含有する化粧料、なども含まれる。
【0009】
また、本発明の化粧料は、特に制限されないが、例えば、液状、クリーム状、ゼリー状、乳液状、ゾル状およびゲル状など、種々の剤型から適宜選択することができる。また、本発明の化粧料は、粉状、スラリー状、エマルション状(ミセル状も含む)、ディスパーション状など、平均粒子径の測定が可能な形態である場合には、加圧処理前の平均粒子径は、メジアン径として、例えば、0.1〜10μm、さらには、1〜5μmであることが好適である。メジアン径は、例えば、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置により測定することができる。また、本発明の化粧料は、加圧処理前の粘度(26℃)が、例えば、0.1〜50Pa・s(26℃)、さらには、0.5〜30Pa・s(26℃)であることが好適である。粘度は、26℃においてB型粘度計(ブルックフィールド粘度計)により測定することができる。
【0010】
また、本発明の化粧料は、例えば、シロキクラゲ多糖体、カルボキシビニルポリマー、寒天、コラーゲンなどの弾性力を付与できる高分子化合物を含有していることが好適である。このような高分子化合物を含有していれば、シワの改善やリフトアップ効果をより一層向上させることができる。なお、このような高分子化合物の配合割合は、化粧料の総量に対して、例えば、0.001〜1重量%である。
【0011】
化粧料を加圧処理するには、特に制限されず、剤型や処理量などに応じて、例えば、直圧式プレス法や等方圧式プレス法など、公知のプレス法を用いることができる。好ましくは、等方圧式プレス法(CIP)、より好ましくは、静水圧プレス法を用いることができる。静水圧プレス法などのCIP法によって加圧処理する場合には、例えば、まず、化粧料を可撓性バッグ(ヒートシールバッグなど)に封入し、次いで、化粧料が封入された可撓性バッグを、公知の等方圧式プレス機の圧媒槽(例えば、静水圧プレス機の水槽)に投入して、その後、プレスする。
【0012】
加圧処理では、化粧料を、50〜190MPa、好ましくは、70〜150MPa、さらに好ましくは、85〜125MPaで、15分間以上、好ましくは、20分間以上、通常、60分間以下、例えば、15〜60分間、好ましくは、20〜60分間、さらに好ましくは、25〜50分間加圧し、その後、常圧に戻す。圧力が上記下限値に満たない場合や時間が上記下限値より短い場合には、化粧料の平均粒子径が大き過ぎるなどの理由から、皮膚や毛髪に対する本発明の十分な効果を得ることが困難となる。一方、圧力が上記上限値を越える場合には、化粧料の平均粒子径(平均粒子径を測定可能な場合、以下同様)が小さくなり過ぎるなどの理由から、皮膚や毛髪に対する本発明の即効的な効果を得ることが困難となる。また、時間が60分間以上経過しても、効果に変化が認められないため、時間の上限値は、経済的観点より、60分間が好適である。
【0013】
また、加圧処理では、化粧料を、好ましくは、10〜50℃、さらに好ましくは、30〜50℃、特に好ましくは、30〜40℃に加熱する。加圧処理において、化粧料を上記温度範囲において加熱すれば、後述する本発明の優れた効果の即効性を向上させることができる。なお、化粧料を上記上限値を超える温度で加熱すると、化粧料の状態変化を生じて、使用に不適となる場合がある。
【0014】
なお、加熱は、例えば、公知のプレス機(上記した静水圧プレス機など)に、ジャケットやヒータなどの加熱器を装備して、化粧料の温度が、上記温度範囲となるように、加熱器での加熱温度を設定する。
上記のような加圧処理によって、本発明の化粧料は、シワの改善、リフトアップ効果、透明感向上効果、美白効果、育毛効果、抗炎症効果、ニキビ改善効果などの、上記した各種の効果を付与できる活性状態となる。活性状態は、加圧処理によって変化した水分子のクラスターや成分粒子が、加圧処理前の状態に復元しようとする自己復元力を発現し得る状態である。
【0015】
つまり、加圧処理後の化粧料は、平均粒子径や粘度が、加圧処理前の化粧料に対して減少しており、例えば、本発明の化粧料が、平均粒子径の測定が可能な形態である場合には、加圧処理前の平均粒子径(メジアン径)に対して、例えば、1〜80%小さく、好ましくは、10〜50%小さくなっている状態であって、より具体的には、メジアン径として、例えば、0.01〜10μm、さらには、0.05〜5μmとなっている状態である。また、加圧処理後における化粧料の粘度(26℃)が、例えば、5〜50%低く、好ましくは、10〜30%低くなっている状態であって、より具体的には、例えば、0.5〜5Pa・s(26℃)、さらには、1〜3Pa・s(26℃)となっている状態である。
【0016】
このような状態にあると、本発明の化粧料は、皮膚や毛髪に塗布した直後から、自己復元力により、加圧処理前の平均粒子径(メジアン径)または粘度に徐々に復元(またはそれ以上に状態が変化)して、皮膚や毛髪に対してハリ(張り、弾力性)を与え、これによって、シワの改善、リフトアップ効果、透明感向上効果、美白効果、育毛効果、抗炎症効果、ニキビ改善効果などの、上記した各種の効果を付与することができる。
【0017】
次いで、本発明の化粧料の使用方法では、加圧処理後の化粧料を、加圧処理後から8時間以内、好ましくは、3時間以内、さらに好ましくは、1時間以内に、皮膚または毛髪に塗布する。
上記時間以内に塗布しない場合には、本発明の化粧料の活性状態が消失してしまい、換言すると、本発明の化粧料が、皮膚または毛髪に塗布する以前に、加圧処理前の状態(またはそれ以上に活性状態が消失する状態)に復元してしまい、本発明の優れた効果を得ることが困難となる。
【0018】
化粧料を塗布する皮膚は、特に限定されず、人体の皮膚のどの部位でもよい。
本発明の化粧料を皮膚に塗布するには、加圧処理後の化粧料を、その化粧料を通常塗布する方法にて皮膚に塗布すればよく、例えば、加圧処理後の化粧料を皮膚に直接塗り込む。塗布量は、特に限定されず、顔面1人分であれば、例えば、顔面の大きさにも拠るが0.1〜2g程度である。
【0019】
化粧料を塗布する毛髪は、特に限定されないが、主として頭髪であり、本発明の化粧料を毛髪に塗布するには、加圧処理後の化粧料を、その化粧料を通常塗布する方法にて毛髪に塗布すればよく、例えば、加圧処理後の化粧料を毛髪に直接塗り込む。
このようにして、加圧処理後から上記時間以内に化粧料が皮膚または毛髪に塗布されると、化粧料は、上記した活性化状態を維持しつつ、皮膚または毛髪に浸透して、皮膚または毛髪の内部において加圧処理前の状態に復元(またはそれ以上に状態が変化)しようとする。例えば、活性化状態にある乳液は、平均粒子径や粘度が徐々に増加する状態にある。すると、皮膚または毛髪は、その化粧料の自己復元力によって膨張し、ハリが付与され、その結果、シワが伸びるなどのシワの改善効果、皮膚のハリが改善される(皮膚が上がる)効果、例えばリフトアップ効果や、保湿性向上により皮膚の透明感がアップする透明感向上効果、毛髪につやを付与するとともに育毛を促進する育毛効果、シェービング後などの肌荒れ(赤み、痒みなど)のトラブルから肌を保護する抗炎症効果などが発現される。
【0020】
このような効果は、化粧料が皮膚または毛髪に塗布されてから、即効で発現され、その後、化粧料が上記した活性状態にある一定期間維持された後、化粧料の活性状態が消失すると、上記効果も消失する。より具体的には、上記効果は、化粧料が皮膚または毛髪に塗布された直後から、例えば、3時間以内に発現され、その効果が持続される期間は、例えば、最長2週間程度である。
【実施例】
【0021】
以下、処方例、評価試験例などを示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらの記載に何ら限定されるものではない。
処方例1(乳液の調製)
【0022】
【表1】

【0023】
上記の配合処方において、セチルアルコール、サラシミツロウ、水添ラノリン、スクワラン、ホホバ油およびポリオキシエチレン(以下、POEとする。)(10)モノオレイン酸エステル、グリセロールモノステアリン酸エステル、パラベン、酢酸トコフェロールを加え加熱溶解し、70℃に調整した(以下、これを混合物aとする)。一方、精製水にグリセリン、1,3−ブチレングリコール、カルボキシビニルポリマー(1重量%水溶液)を加え加熱溶解し、70℃に調整した(以下、これを混合物bとする)。次いで、混合物aに混合物bを加えて乳化し、ホモミキサーにて乳化粒子を均一にした(以下、混合物Aとする)。さらに、予め精製水の一部で溶解した水酸化カリウムを混合物Aに加え、均一に撹拌し、冷却途中にε−アミノカプロン酸を加え、乳液を得た。
【0024】
評価試験例1(乳液の加圧処理および評価:圧力変化)
(加圧処理)
処方例1の乳液2gを、小容量ヒートシールバッグ(ユニパックA−4、株式会社生産日本社製)に入れ、脱気した後、ヒートシール装置(業務用卓上バキュームシーラー SQ−202、シャープ株式会社製)を用いて封止した。封止された小容量ヒートシールバッグを、後述する各評価試験例の測定回数分まとめて大容量ヒートシールバッグ(ユニパックF−4、株式会社生産日本社製)に入れ、ヒートシール装置(同上)を用いて、大容量ヒートシールバッグを封止し、これをサンプルとした。
【0025】
こうして、処方例1の乳液からなる各サンプルを、処理圧力が100MPa以下の場合は、静水圧プレス機(水槽容量:8L、設計圧力:最高100MPa、設計温度:最高75℃、本体材質:SUS630)の水槽に投入し、処理圧力が100MPaを上回る場合は、冷間等方圧加圧法(CIP)によるプレス機(圧媒槽容量:10L、設計圧力:0〜500MPa、設計温度:0〜100℃)の圧媒槽に投入した。さらに、各サンプルを、乳液の温度が32℃となるように設定し、40MPa、50MPa、90MPa、130MPa、150MPaおよび200MPaの各圧力で、30分間加圧処理した。
【0026】
次いで、加圧処理の終了から15分経過後に、各パネラーの顔面に乳液を塗布し、下記の官能評価に供した。その結果を表2に示す。
(官能試験)
30歳代〜60歳代の健常者6名(男性4名、女性2名)をパネラーとし、各パネラーの顔面を市販の洗顔フォームで洗浄し、タオルで水分を拭き取った。次いで、加圧処理後の各サンプル0.1gと、加圧処理前の各サンプル0.1gとを、顔に左右半分ずつ塗布した。サンプルの塗布後から翌朝にかけて、後述する評価項目に関し、自己評価にて官能評価をした。
【0027】
評価試験例1と、後述する評価試験例2および3とにおいては、皮膚のハリの改善度と、皮膚のシワの改善度との官能評価をした。また、官能評価では、評価項目ごとに、各パネラーの評価を「最良」(評点:+3)、「良」(評点:+2)、「やや良」(評点:+1)、「変化なし」(評点:±0)、「やや悪」(評点:−1)、「悪い」(評点:−2)および「最悪」(評点:−3)の7つのレベルに分類した。表2には、評価のレベル毎に、その評価を下したパネラーの人数を示した。また、評価のレベルと、その評価をしたパネラーの人数とを勘案して、評価項目についての効果の有無を総合的に判断した。この効果の有無の判断手法は、下記の評価試験例2および3でも同様とした。
【0028】
【表2】

【0029】
評価試験例2(乳液の加圧処理および評価:時間変化)
処方例1の乳液からなる各サンプルを、乳液の温度が32℃となるように設定し、90MPaの圧力で、10分、15分、30分、60分および24時間の各時間加圧処理した。加圧処理の終了から15分経過後に、各パネラーの顔面にサンプルを塗布し、評価試験例1と同様の官能評価に供した。その結果を表3に示す。
【0030】
【表3】

【0031】
評価試験例3(乳液の加圧処理および評価:温度変化)
処方例1の乳液からなる各サンプルを、乳液の温度が25℃、28℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃および55℃となるようにそれぞれ設定し、90MPaの圧力で30分間加圧処理した。加圧処理の終了から15分経過後に、各パネラーの顔面にサンプルを塗布し、評価試験例1と同様の官能評価に供した。その結果を表4に示す。
【0032】
【表4】

【0033】
評価試験例4(乳液の加圧処理および評価:外観評価)
処方例1の乳液からなる各サンプルを、乳液の温度が32℃となるように設定し、90MPaの圧力で30分間加圧処理した。加圧処理の終了から15分経過後に、1人のパネラーの顔面にサンプルを塗布し、塗布前と、塗布から1時間、3時間および5時間の各時間経過後とにおいて、それぞれパネラーの目じり付近を写真撮影した。その結果を、図1に示す。
【0034】
また、目じり付近の写真撮影と同時に、使用前(塗布前)と、使用1時間後(塗布から1時間経過後)と、使用24時間後(塗布から24時間経過後)とに、それぞれ三次元曲面形状測定した。
三次元曲面形状測定には、3次元形状計測装置「TRiDY−F」(JFEテクノリサーチ株式会社製)を使用し、パネラーの顎および額を固定具により固定後、測定ボタンをクリックして、測定を開始した。その測定結果を図2に示す。
【0035】
図2において、使用前および使用後の拡大図では、使用1時間後の等高線が、使用前の等高線よりも密であり、これにより、使用1時間後にはリフトアップ効果が発現されていることがわかった。
評価試験例5(乳液の加圧処理および評価:平均粒子径、粘度)
処方例1の乳液からなる各サンプルを、乳液の温度が32℃となるように設定し、90MPaの圧力で30分間加圧処理した。加圧処理前と、加圧処理の終了から15分、1時間、2時間、3時間および24時間の各時間経過後に、乳液の平均粒子径と粘度とを測定した。粘度測定時の乳液の温度は26℃であった。その結果を表5に示す。
【0036】
平均粒子径の測定には、乳液を蒸留水により0.5重量%に希釈して調製されたサンプルを使用した。また、平均粒子径の測定は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920型」(株式会社堀場製作所製)により行い、そのサンプル測定部に、レーザ光およびタングステン光の透過率が共に70〜95%となるように投入し、透過度が安定した後、測定を開始した。測定結果は、メジアン径とした。
【0037】
【表5】

【0038】
処方例2(洗顔フォームの調製)
【0039】
【表6】

【0040】
上記の配合処方において、ステアリン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、スクワランおよびソルビトール70重量%水溶液、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、POE(20)グリセロールモノステアリン酸エステルを加熱溶解し、80℃に保った。予め水酸化カリウムを精製水に溶解しておき、上記溶解した成分の混合物を撹拌しながら、これに加えて中和した。中和反応終了後に、EDTAおよび香料を添加し、撹拌しながら冷却し、洗顔フォームを得た。
【0041】
評価試験例6(洗顔フォームの加圧処理および評価)
処方例1の乳液2gに代えて、処方例2の洗顔フォーム2gを使用したこと以外は、評価試験例1の加圧処理と同様にして、サンプルを得た。
こうして、処方例2の洗顔フォームからなる各サンプルを、洗顔フォームの温度が32℃となるように設定し、90MPaの圧力で30分間加圧処理した。次いで、加圧処理の終了から15分経過後に、各パネラーの顔面に洗顔フォームを塗布し、評価試験例1と同様の官能評価に供した。
【0042】
官能評価の結果、皮膚のハリの改善度および皮膚のシワの改善度ともに全員が最良の評価であった。
処方例3(化粧水の調製)
【0043】
【表7】

【0044】
上記の配合処方において、精製水に1,3−ブチレングリコール、グリセリン、アロエエキスを加え、溶解した(以下、混合物cとする)。一方、エタノールにスクワラン、POE(20)ソルビタンモノラウリン酸エステル、POE(15)ラウリルアルコールエーテルおよび酢酸トコフェロール、パラベン、香料を加え、溶解した(以下、混合物dとする)。次いで、混合物cに混合物dを加え、可溶化して、化粧水を得た。
【0045】
評価試験例7(化粧水の加圧処理および評価)
処方例1の乳液2gに代えて、処方例3の化粧水2gを使用したこと以外は、評価試験例1の加圧処理と同様にして、サンプルを得た。
こうして、処方例3の化粧水からなる各サンプルを、化粧水の温度が32℃となるように設定し、90MPaの圧力で30分間加圧処理した。次いで、加圧処理の終了から15分経過後に、各パネラーの顔面に化粧水を塗布し、評価試験例1と同様の官能評価に供した。
【0046】
官能評価の結果、皮膚のハリの改善度および皮膚のシワの改善度ともに全員が最良の評価であった。
処方例4(クリームの調製)
【0047】
【表8】

【0048】
上記の配合処方において、ステアリルアルコール、ステアリン酸、水添ラノリン、スクワラン、オクタン酸セチルおよびPOE(25)セチルアルコールエーテル、モノステアリン酸エステル、パラベン、酢酸トコフェロールを加え加熱溶解し、70℃に調整した(以下、混合物eとする)。一方、精製水にジグリセリン、1,3−ブチレングリコールを加え加熱溶解し、70℃に調整した(以下、混合物fとする)。次いで、混合物eに混合物fを加えて乳化し、ホモミキサーにて乳化粒子を均一にし、冷却途中にコラーゲン(0.1重量%水溶液)を加えて、クリームを得た。
【0049】
評価試験例8(クリームの加圧処理および評価)
処方例1の乳液2gに代えて、処方例4のクリーム2gを使用したこと以外は、評価試験例1の加圧処理と同様にして、サンプルを得た。
こうして、処方例4のクリームからなる各サンプルを、クリームの温度が32℃となるように設定し、90MPaの圧力で30分間加圧処理した。次いで、加圧処理の終了から15分経過後に、各パネラーの顔面に塗布し、評価試験例1と同様の官能評価に供した。
【0050】
官能評価の結果、皮膚のハリの改善度および皮膚のシワの改善度ともに全員が最良の評価であった。
処方例5(ジェルの調製)
【0051】
【表9】

【0052】
上記の配合処方において、精製水にカルボキシビニルポリマーを加え均一に溶解した(以下、混合物gとする)。次いで、混合物gにジプロピレングリコール、PEG 1500、POE(15)オレイルアルコールエーテル、パラベン、酢酸トコフェロールを加え、均一にした(以下、混合物hとする)。さらに、予め精製水で溶解した水酸化カリウムを混合物hに加え均一に撹拌中和した(以下、混合物iとする)。そして、混合物iに予め精製水で均一に溶解したヒアルロン酸を加え均一にし、ジェルを得た。
【0053】
評価試験例9(ジェルの加圧処理および評価)
処方例1の乳液2gに代えて、処方例5のジェル2gを使用したこと以外は、評価試験例1の加圧処理と同様にして、サンプルを得た。
こうして、処方例5のジェルからなる各サンプルを、ジェルの温度が32℃となるように設定して、90MPaの圧力で、30分間加圧処理した。加圧処理の終了から15分経過後に、各パネラーの顔面に塗布し、評価試験例1と同様の官能評価に供した。
【0054】
官能評価の結果、皮膚のハリの改善度および皮膚のシワの改善度ともに全員が最良の評価であった。
処方例6(美容液Aの調製)
【0055】
【表10】

【0056】
上記の配合処方において、精製水にソルビトール、1,3−ブチレングリコール、PEG 1500、ヒアルロン酸およびクインスシードを加え均一に溶解した(以下、混合物jとする)。一方、エタノールにPOE オレイルアルコールエーテル、オリーブオイル、酢酸トコフェロール、パラベンを加え、均一に溶解した(以下、混合物kとする)。次いで、混合物jに混合物kを加え、均一に混合し、美容液Aを得た。
【0057】
評価試験例10(美容液Aの加圧処理および評価)
処方例1の乳液2gに代えて、処方例6の美容液A2gを使用したこと以外は、評価試験例1の加圧処理と同様にして、サンプルを得た。
こうして、処方例6の美容液Aからなる各サンプルを、美容液Aの温度が32℃となるように設定し、90MPaの圧力で30分間加圧処理した。加圧処理の終了から15分経過後に、各パネラーの顔面に塗布し、評価試験例1と同様の官能評価に供した。
【0058】
官能評価の結果、皮膚のハリの改善度および皮膚のシワの改善度ともに全員が最良の評価であった。
処方例7(ヘアクリームの調製)
【0059】
【表11】

【0060】
上記の配合処方において、流動パラフィン、ワセリン、サラシミツロウ、オリーブオイル、酢酸トコフェロール、パラベンを加熱溶解し、70℃に調整した(以下、混合物lとする)。精製水にカルボキシビニルポリマー、グリセリンを加え加熱溶解し、70℃に調整した(以下、混合物mとする)。次いで、混合物lに混合物mを加え乳化して、ホモミキサーにて乳化粒子を均一にした(以下、混合物nとする)。さらに、混合物nに予め精製水で溶解した水酸化カリウムを加え、均一に撹拌しながら冷却した(以下、混合物oとする)。そして、混合物oを撹拌しながら冷却し、50℃で香料を加えて、ヘアクリームを得た。
【0061】
評価試験例11(ヘアクリームの加圧処理および評価)
処方例1の乳液2gに代えて、処方例7のヘアクリーム2gを使用したこと以外は、評価試験例1の加圧処理と同様にして、サンプルを得た。
こうして、処方例7のヘアクリームからなるサンプルを、ヘアクリームの温度が32℃となるように設定し、90MPaの圧力で30分間加圧処理した。加圧処理の終了から15経過分後に、各パネラーの毛髪に塗布し、官能評価に供したところ、毛髪のつやおよび伸びの改善が全員に見られた。
【0062】
処方例8(育毛剤の調製)
【0063】
【表12】

【0064】
上記の配合処方において、エタノールに、グリセリン、センブリエキス、ビタミンB6、酢酸トコフェロール、POE(20)ソルビタンモノラウリン酸エステル、香料を加えて溶解し、さらに、精製水を加え、溶解し、育毛剤を得た。
評価試験例12(育毛剤の加圧処理および評価)
処方例1の乳液2gに代えて、処方例8の育毛剤2gを使用したこと以外は、評価試験例1の加圧処理と同様にして、サンプルを得た。
【0065】
こうして、処方例8の育毛剤からなるサンプルを、育毛剤の温度が32℃となるように設定し、90MPaの圧力で30分間加圧処理した。加圧処理の終了から15分経過後に、各パネラーの頭皮に塗布し、官能評価に供したところ、毛髪のつやおよび育毛促進効果の改善が全員に見られた。
処方例9(美容液Bの調製)
【0066】
【表13】

【0067】
上記の配合処方において、成分番号1〜14を混合し、加熱により溶解して、80℃に調整した。一方、成分番号15に成分番号16〜23を加え、加熱により溶解して、これを80℃に調整しつつ、成分番号1〜14の混合物を加えて乳化させた後、ホモミキサーで攪拌しながら、乳化粒子を均一にした。次いで、乳濁液を50℃まで冷却し、成分番号24を混合し、40℃まで攪拌、冷却することにより、美容液Bを調製した。
【0068】
評価試験例13(美容液Bの加圧処理および評価)
(加圧処理)
処方例1の乳液2gに代えて、処方例9の美容液B2gを使用したこと以外は、評価試験例1の加圧処理と同様にして、サンプルを得た。
こうして、処方例9の美容液Bからなる各サンプルを、下記(i)〜(iii)の条件で加圧処理した。
(i)処理時間を30分、処理温度を32℃にそれぞれ固定し、処理圧力を40、50、90、150、190および200MPaの各圧力に設定した。
(ii)処理圧力を90MPa、処理温度を32℃にそれぞれ固定し、処理時間を10分、15分、30分、60分および24時間の各時間に設定した。
(iii)処理圧力を90MPa、処理時間を30分にそれぞれ固定し、処理温度を25、28、30、35、40、45、50および55℃の各温度に設定した。
【0069】
次いで、上記(i)〜(iii)の条件で加圧処理されたサンプルについて、以下に示す、(1)リフトアップ効果、(2)毛髪の太さの改善度、(3)毛髪のつやの改善度、(4)毛穴の改善度、(5)肌のキメの改善度、および(6)肌の透明感の改善度についての官能評価をした。
(1)リフトアップ効果
40歳代〜50歳代の女性5名をパネラーとし、各パネラーの顔面を市販の洗顔フォームで洗浄し、タオルで水分を拭き取った。次に、各パネラーの左右いずれか一方側の顔面に、所定の加圧処理が施された処方例9の美容液B0.2gを塗布し、かつ、他方側の顔面には何も塗布せずに、翌日まで放置した。翌日、各パネラーの顔面の肌の状態を観察し、リフトアップ効果の官能評価をした。
【0070】
リフトアップ効果は、評価試験例4と同様にして、各パネラーの目じり付近を写真撮影し、前述の三次元曲面形状測定によって評価した。すなわち、目じり付近の等高線が、美容液の塗布前に比べて密になっているか否かと、その変化がどの程度であるかを観察し、「改善」(+2)、「やや改善」(+1)、「変化なし」(±0)、「やや悪化」(−1)および「悪化」(−2)の5段階(カッコ内は、評点)で評価した。さらに、5名のパネラーの評点を合計し、リフトアップ効果を総合的に評価した。総合評価の基準は、評点の合計が、満点(10点)に対して10%未満である場合に「効果なし」、10%以上40%未満である場合に「やや効果あり」、40%以上80%未満である場合に「効果あり」、80%以上である場合に「極めて有効」とした。評価結果を表14〜16に示す。
【0071】
【表14】

【0072】
【表15】

【0073】
【表16】

【0074】
リフトアップ効果は、表14より、加圧処理の処理圧力が50〜190MPaであるときに極めて有効であり、上記範囲を外れると、リフトアップ効果の程度がやや低くなることがわかった。また、リフトアップ効果は、表15および表16より、加圧処理の処理時間が30分以上であるときに極めて有効であること、および、処理温度が28〜50℃であるときに極めて有効であることがわかった。
【0075】
(2)毛髪太さの改善度
毛髪として、人毛黒髪(株式会社ビューラックス、250g、30cm)をブリーチ処理したもの(以下、損傷毛という。)をスライドガラスに固定した。次いで、損傷毛の表面状態と太さとを、光学顕微鏡(BX60、オリンパス株式会社製)で撮影し、計測した。次に、スライドガラス上の毛髪に対し、所定の加圧処理が施された処方例9の美容液Bを塗布し、24時間放置した。放置後、スライドガラス上の毛髪の表面状態と太さとを、塗布前と同様にして光学顕微鏡(BX60)で撮影、計測し、美容液塗布前の計測結果と比較した。損傷毛の直径(mm)の測定結果と、美容液塗布前の計測結果との差(mm)とを、表17〜19に示す。
【0076】
【表17】

【0077】
【表18】

【0078】
【表19】

【0079】
毛髪太さの改善効果については、表17より、加圧処理の処理圧力が50〜190MPaであるときに有効であり、上記範囲を外れると、毛髪太さの改善効果の程度がやや低くなることがわかった。また、毛髪太さの改善効果は、表18および表19より、処理時間が15分以上であるときに有効(効果あり)であること、および、処理温度が30〜50℃であるときに極めて有効であることがわかった。
【0080】
また、光学顕微鏡による損傷毛の撮影画像を、図3(a)〜図3(c)に示す。図3(a)〜図3(c)に示す画像は、いずれも同じ倍率である。損傷毛の直径は、美容液が未塗布の状態(図3(a))で、0.080mmであり、加圧処理が施されていない美容液を塗布した場合(図3(b))に、0.085mmであり、加圧処理(処理圧力90MPa、処理温度32℃、処理時間30分)が施された美容液を塗布した場合(図3(c))に、0.095mmであった。
【0081】
(3)毛髪のつやの改善度
毛髪として、正常毛(株式会社ビューラックス、人毛黒髪、20g、15cm)を束ねたものと、損傷毛(上記正常毛をブリーチ処理したもの)とを束ねたものとを使用し、それぞれの束を水洗後、軽く水気を拭き取った。次いで、それぞれの毛髪の束に対し、所定の加圧処理が施された処方例9の美容液Bを塗布し、24時間放置した。放置後、毛髪の束を再度水洗し、十分に水分を拭き取ってから、ドライヤーで乾燥した。乾燥後、毛髪の束のつやの程度について官能評価をした。
【0082】
つやの改善度の評価は、美容液を塗布していない正常毛におけるつやを基準として、5名の専門レフリーの目視判断により行った。また、目視判断の結果、つやの改善が「非常に多い」(+3)、「多い」(+2)、「やや多い」(+1)、「変化なし」(±0)、「やや少ない」(−1)、「少ない」(−2)、および「非常に少ない」(−3)の7段階(カッコ内は、評点)で評価した。さらに、5名のレフリーの評点を合計し、毛髪のつやの改善効果を総合的に評価した。総合評価の基準は、評点の合計が、満点(15点)に対して10%未満である場合に「効果なし」、10%以上40%未満である場合に「やや効果あり」、40%以上80%未満である場合に「効果あり」、80%以上である場合に「極めて有効」とした。評価結果を表20〜22に示す。
【0083】
【表20】

【0084】
【表21】

【0085】
【表22】

【0086】
毛髪のつやの改善効果については、表20より、加圧処理の処理圧力が50〜190MPaであるときに有効であり、上記範囲を外れると、毛髪のつやの改善効果の程度がやや低くなることがわかった。また、毛髪のつやの改善効果は、表21および表22より、処理時間が15分以上であるときに有効であること、および、処理温度が30〜50℃であるときに有効であることがわかった。
【0087】
(4)毛穴の改善度
40歳代〜60歳代の女性5名をパネラーとし、各パネラーの顔面を市販の洗顔フォームで洗浄し、タオルで水分を拭き取った。次に、各パネラーの顔面の毛穴の状態を、マイクロスコープ(Charm Lite Stand III、株式会社モリテックス)で撮影した。撮影後、各パネラーの顔面に、所定の加圧処理が施された処方例9の美容液Bを塗布し、翌日まで放置した。翌日、各パネラーの顔面の毛穴の状態を、上記マイクロスコープで再度撮影し、美容液塗布前の写真と比較して、毛穴の改善度の官能評価をした。
【0088】
毛穴の状態の比較は、5名の専門レフリーが行い、毛穴の状態が「改善した」(+2)、「やや改善した」(+1)、「変わらない」(±0)、「やや悪化した」(−1)および「悪化した」(−2)の5段階(カッコ内は、評点)で評価した。さらに、パネラーごとの評価について、5名のパネラーの評点を合計し、各パネラーが獲得した評点を合計することにより、毛穴の改善効果を総合的に評価した。例えば、1人のパネラーに対し、5名のレフリー全員が「改善した」と評価した場合に、そのパネラーの評点は、(+2)×5=10点となる。パネラーは全5名であることから、全パネラーの評点の合計は、50点満点である。
【0089】
また、総合評価の基準は、5名のパネラーの評点の合計が、満点(50点)に対して10%未満である場合に「効果なし」、10%以上40%未満である場合に「やや効果あり」、40%以上80%未満である場合に「効果あり」、80%以上である場合に「極めて有効」とした。その結果を表23〜25に示す。
【0090】
【表23】

【0091】
【表24】

【0092】
【表25】

【0093】
毛穴の改善効果については、表23より、加圧処理の処理圧力が50〜190MPaであるときに有効であり、上記範囲を外れると、毛穴の改善効果の程度がやや低くなることがわかった。また、毛穴の改善効果は、表24および表25より、処理時間が15分以上であるときに有効であること、および、処理温度が30〜50℃であるときに極めて有効であることがわかった。
【0094】
(5)肌のキメの改善度
肌のキメの改善度についての官能評価は、毛穴の改善度の官能評価によって撮影された、美容液塗布前後の写真を用いて行った。
肌のキメの状態の比較は、5名の専門レフリーが行い、肌のキメの状態が「改善した」(+2)、「やや改善した」(+1)、「変わらない」(±0)、「やや悪化した」(−1)および「悪化した」(−2)の5段階(カッコ内は、評点)で評価した。また、パネラーごとの評価について、5名のパネラーの評点を合計し、さらに、各パネラーが獲得した評点を合計することにより、肌のキメの改善効果を総合的に評価した。総合評価の基準は、5名のパネラーの評点の合計が、満点(50点)に対して10%未満である場合に「効果なし」、10%以上40%未満である場合に「やや効果あり」、40%以上80%未満である場合に「効果あり」、80%以上である場合に「極めて有効」とした。その結果を表26〜28に示す。
【0095】
【表26】

【0096】
【表27】

【0097】
【表28】

【0098】
肌のキメの改善効果については、表26より、加圧処理の処理圧力が50〜190MPaであるときに極めて有効であり、上記範囲を外れると、肌のキメの改善効果の程度がやや低くなることがわかった。また、肌のキメの改善効果は、表27および表28より、処理時間が15分以上であるときに有効であること、および、処理温度が30〜50℃であるときに極めて有効であることがわかった。
【0099】
(6)肌の透明感の改善度
30歳代〜60歳代の女性5名をパネラーとし、各パネラーの顔面を市販の洗顔フォームで洗浄し、タオルで水分を拭き取った。次に、各パネラーの右側の顔面のうち、シミが気にならない部分において、そのL値を分光測色計(CD100、横河M&C株式会社製)で測定した。測定後、右側の顔面に、所定の加圧処理が施された処方例9の美容液B0.2gを均等に塗布した。美容液の塗布から6時間後、塗布前と同じ場所のL値を上記分光測色計で測定し、塗布から6時間経過後のL値から、塗布前のL値を差し引いた値を求めた。
【0100】
その結果、処方例9の美容液Bを用いることで、加圧処理を施していない場合も、加圧処理の条件が評価試験例13の(i)〜(iii)に示すいずれの条件である場合もともに、肌の透明感の改善度についてある程度の効果が得られたが、なかでも、処理圧力が50〜190MPaである場合と、処理時間が15分以上である場合と、処理温度が30℃以上50℃以下である場合には、肌の透明感の改善度が極めて良好であった。
【0101】
処方例10(美白用乳液の調製)
【0102】
【表29】

【0103】
上記の配合処方において、成分番号1〜5を混合し、加熱により溶解して、80℃に調整した。一方、成分番号6〜12を混合し、加熱により溶解して、80℃に調整しつつ、これに成分番号1〜5の混合物を加えて乳化させた後、攪拌しながら50℃まで冷却した。その後、混合物を50℃に調整しつつ、成分番号13を混合し、40℃まで攪拌、冷却することにより、美白用乳液を調製した。
【0104】
評価試験例14(美白用乳液の加圧処理および評価)
(加圧処理)
処方例1の乳液2gに代えて、処方例10の美白用乳液2gを使用したこと以外は、評価試験例1の加圧処理と同様にして、サンプルを得た。
こうして、処方例10の美白用乳液からなる各サンプルを、下記の(i)〜(iii)の条件で加圧処理した。
(i)処理時間を30分、処理温度を32℃にそれぞれ固定し、処理圧力を40、50、90、150、190および200MPaの各圧力に設定した。
(ii)処理圧力を90MPa、処理温度を32℃にそれぞれ固定し、処理時間を10分、15分、30分、60分および24時間の各時間に設定した。
(iii)処理圧力を90MPa、処理時間を30分にそれぞれ固定し、処理温度を9、10、20、30、40、45、50および55℃の各温度に設定した。
【0105】
次いで、上記(i)〜(iii)の条件で加圧処理されたサンプルについて、美白効果の官能評価をした。
(美白効果の評価)
20歳代〜50歳代の女性20名をパネラーとし、各パネラーに1週間にわたって美白用乳液を使用してもらった上で、使用開始前と、1週間経過後との美白効果(肌色の改善度)を観察し、美白効果についての官能評価をした。
【0106】
評価は、肌色の改善度について、「非常に改善した」(+3)、「改善した」(+2)、「やや改善した」(+1)、「変化なし」(±0)、「やや悪化した」(−1)、「悪化した」(−2)、および「非常に悪化した」(−3)の7段階(カッコ内は、評点)で評価した。さらに、20名のパネラーの自己採点による評点を合計し、肌色の改善効果を総合的に評価した。総合評価の基準は、評点の合計が、満点(60点)に対して10%未満である場合に「効果なし」、10%以上40%未満である場合に「やや効果あり」、40%以上80%未満である場合に「効果あり」、80%以上である場合に「極めて有効」とした。その結果を表30〜32に示す。
【0107】
【表30】

【0108】
【表31】

【0109】
【表32】

【0110】
美白効果(肌色の改善度)は、表30より、加圧処理の処理圧力が50MPa以上であるときに有効であり、190MPaを上回ると、美白効果の程度がやや低くなることがわかった。また、美白効果(肌色の改善度)は、表31および表32より、処理時間が15分以上であるときに有効であること、および、処理温度が10〜50℃であるときに有効であることがわかった。
【0111】
処方例11(美容液Cの調製)
【0112】
【表33】

【0113】
上記の配合処方において、成分番号1〜6を混合し、加熱により溶融して、80℃に調整した。一方、成分番号7、8、10および11を混合し、加熱により溶融して、80℃に調整しつつ、これに成分番号1〜6の混合物を加えて乳化させた後、攪拌しながら50℃まで冷却した。その後、混合物を50℃に調整しつつ、成分番号9を混合し、40℃まで攪拌、冷却することにより、美容液Cを調製した。
【0114】
評価試験例15(美容液Cの加圧処理および評価)
(加圧処理)
処方例1の乳液2gに代えて、処方例11の美容液C2gを使用したこと以外は、評価試験例1の加圧処理と同様にして、サンプルを得た。
こうして、処方例11の美容液Cからなる各サンプルを、下記の(i)〜(iii)の条件で加圧処理した。
(i)処理時間を30分、処理温度を32℃にそれぞれ固定し、処理圧力を40、50、90、150、190および200MPaの各圧力に設定した。
(ii)処理圧力を90MPa、処理温度を32℃にそれぞれ固定し、処理時間を10分、15分、30分、60分および24時間の各時間に設定した。
(iii)処理圧力を90MPa、処理時間を30分にそれぞれ固定し、処理温度を9、10、20、30、40、45、50および55℃の各温度に設定した。
【0115】
次いで、上記(i)〜(iii)の条件で加圧処理されたサンプルについて、ニキビの改善度の官能評価をした。
(ニキビの改善度の評価)
顔にニキビが吹き出ている20歳代〜30歳代の女性15名をパネラーとし、各パネラーに1週間にわたって美容液Cを使用してもらい、その上で、使用開始前と、1週間経過後との顔面の状態を観察し、ニキビの改善度の官能評価をした。美容液Cは、加圧処理を施したものを左側の顔面に塗布し、加圧処理を施していないものを右側の顔面に塗布してもらい、官能評価時には、左右の顔面を観察、対比した。
【0116】
ニキビの改善度の評価基準は、ニキビが消失した場合を「顕著に有効」(+3)、開始時と比較してニキビが顕著に減った場合を「有効」(+2)、開始時と比較してニキビが減った場合を「やや有効」(+1)、開始時と比較して変化がない場合を「変化なし」(±0)とした。また、開始時と比較してニキビがやや増えた場合を「やや悪化」(−1)、開始時と比較してニキビが増えた場合を「悪化」(−2)、開始時と比較してニキビが顕著に増えた場合を「顕著に悪化」(−3)として、7段階(カッコ内は、評点)で評価した。また、15名のパネラーの自己採点による評点を合計し、ニキビの改善効果を総合的に評価した。総合評価の基準は、評点の合計が、満点(45点)に対して10%未満である場合に「効果なし」、10%以上40%未満である場合に「やや効果あり」、40%以上80%未満である場合に「効果あり」、80%以上である場合に「極めて有効」とした。その結果を表34〜36に示す。
【0117】
【表34】

【0118】
【表35】

【0119】
【表36】

【0120】
ニキビの改善効果については、表34より、加圧処理の処理圧力が50〜190MPaであるときに有効であり、上記範囲を外れると、ニキビの改善効果の程度がやや低くなることがわかった。また、ニキビの改善効果は、表35および表36より、処理時間が15分以上であるときに有効であること、および、処理温度が20〜50℃であるときに極めて有効であることがわかった。
【0121】
処方例12(抗炎症用乳液の調製)
【0122】
【表37】

【0123】
上記の配合処方において、成分番号1〜5を混合し、加熱により溶解して、80℃に調整した。一方、成分番号6〜12を混合し、加熱により溶解して、80℃に調整しつつ、これに成分番号1〜5の混合物を加えて乳化させた後、攪拌しながら50℃まで冷却した。その後、混合物50℃に調整しつつ、成分番号13を混合し、40℃まで攪拌、冷却することにより、抗炎症用乳液を得た。
【0124】
評価試験例16(抗炎症用乳液の加圧処理および評価)
(加圧処理)
処方例1の乳液2gに代えて、処方例12の抗炎症用乳液2gを使用したこと以外は、評価試験例1の加圧処理と同様にして、サンプルを得た。
こうして、処方例12の抗炎症用乳液からなる各サンプルを、下記の(i)〜(iii)の条件で加圧処理した。
(i)処理時間を30分、処理温度を32℃にそれぞれ固定し、処理圧力を40、50、90、150、190および200MPaの各圧力に設定した。
(ii)処理圧力を90MPa、処理温度を32℃にそれぞれ固定し、処理時間を10分、15分、30分、60分および24時間の各時間に設定した。
(iii)処理圧力を90MPa、処理時間を30分にそれぞれ固定し、処理温度を9、10、20、30、40、45、50および55℃の各温度に設定した。
【0125】
次いで、上記(i)〜(iii)の条件で加圧処理されたサンプルについて、抗炎症効果の官能評価をした。
(抗炎症効果の評価)
毎日剃刀でヒゲをそっている敏感肌の男性10名をパネラーとし、各パネラーに、剃刀による髭剃り後に抗炎症用乳液を使用してもらい、その上で、髭剃り後30分経過時における顔面の状態(赤み、痒み)を観察し、抗炎症効果(炎症状態の改善度)の官能評価をした。抗炎症用乳液は、加圧処理を施したものを左側の顔面に塗布し、加圧処理を施していないものを右側の顔面に塗布してもらい、官能評価時には、左右の顔面を観察、対比した。
【0126】
評価は、抗炎症効果について、「顕著に効果あり」(+3)、「効果あり」(+2)、「やや効果あり」(+1)、「変化なし」(±0)、および「悪化」(−1)の5段階(カッコ内は、評点)で評価した。また、10名のパネラーの自己採点による評点を合計し、炎症状態の改善効果を総合的に評価した。総合評価の基準は、評点の合計が、満点(60点)に対して10%未満である場合に「効果なし」、10%以上40%未満である場合に「やや効果あり」、40%以上80%未満である場合に「効果あり」、80%以上である場合に「極めて有効」とした。
その結果を表38〜40に示す。
【0127】
【表38】

【0128】
【表39】

【0129】
【表40】

【0130】
抗炎症効果については、表38より、加圧処理の処理圧力が50〜190MPaであるときに有効であることがわかった。また、表39および表40より、処理時間が15分以上であるときに有効であること、および、処理温度が20〜50℃であるときに極めて有効であることがわかった。
評価試験例17(加圧処理後の粒子径経時変化の評価)
(加圧処理)
処方例1の乳液2gに代えて、処方例9の美容液B2gを使用したこと以外は、評価試験例1の加圧処理と同様にして、サンプルを得た。
【0131】
次いで、処方例9の美容液Bからなる各サンプルを、美容液Bの温度が32℃となるように設定し、90MPaの圧力で30分間加圧処理した。
(粒子径の経時変化の観察)
上記美容液Bについて、加圧処理前と、加圧処理の終了から15分、1時間、2時間、3時間、4時間、8時間および24時間の各時間経過後に、その平均粒子径を測定した。平均粒子径の測定方法は、評価試験例5に同様にした。その測定結果を、表41および表42に示す。
【0132】
(官能評価)
加圧処理の終了から15分経過後に、処方例9の美容液Bからなるサンプルを各パネラーの顔面に塗布し、評価試験例1の官能評価に準じて、シワの改善効果およびリフトアップ効果の官能評価をした。その結果を表41に併せて示す。
【0133】
【表41】

【0134】
【表42】

【0135】
表41中、「AA」は、極めて有効、「A」は効果あり、「A−」はやや効果あり、「B」は、効果なしを示す。
表41および表42に示したように、処理圧力が90MPaである場合には、加圧により美容液Bの粒子径を著しく低下させ、かつ、その粒子径を経時的に復元させることができた。処理圧力が150MPaである場合も、加圧により美容液Bの粒子径を低下させ、かつ、その粒子径を経時的に復元させることができた。また、いずれの場合も、加圧処理の終了から8時間を経過することで、美容液Bの粒子径が加圧処理の終了直後(15分経過後)に比べて大きくなり、かつ、ほとんど変化しない状態となっている。それゆえ、この結果より、加圧処理された化粧料は、加圧処理後から8時間以内に、皮膚または毛髪に塗布して使用することが好ましいことがわかった。
【0136】
一方、処理圧力が200、300および500MPaである場合には、加圧処理後の経時的な粒径の復元が観察されなかった。それゆえ、この結果より、加圧処理時の加圧の程度が大きすぎると、粒子径の経時的な復元効果が得られなくなることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】評価試験例4において撮影した目じり付近の画像処理図である。
【図2】評価試験例4において測定した顔面の三次元曲面形状を示す画像処理図である。
【図3】(a)〜(c)は、いずれも毛髪太さの改善度の官能評価において撮影した損傷毛の光学顕微鏡写真の画像処理図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化粧料を50〜190MPaで15分間以上加圧処理し、加圧処理後の化粧料を、加圧処理後から8時間以内に、皮膚または毛髪に塗布することを特徴とする、化粧料の使用方法。
【請求項2】
前記加圧処理では、化粧料を10〜50℃に加熱することを特徴とする、請求項1に記載の化粧料の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−156345(P2008−156345A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306356(P2007−306356)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(591230619)株式会社ナリス化粧品 (200)
【Fターム(参考)】