説明

化粧料組成物

【課題】塗布時のぬるつき感を低減しつつ、時間が経過してもべたつき感が抑制できる化
粧料組成物を提供すること。
【解決手段】(A)トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、(B)トリクロサン、イ
ソプロピルメチルフェノール、銀担持無機粒子、塩化リゾチーム、塩化ベンザルコニウム
、塩化セチルピリジニウム、3,4,4'−トリクロロカルバニリドからなる群から選ば
れる少なくとも1種以上の殺菌剤、(C)酸化防止剤、(D)水を含み、成分(A)の含
有量が、0.01質量%以上5質量%以下である化粧料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚に直接塗布して使用される化粧料において、その使用感は重要な要素の一つである。しかしながら、塗布後、化粧料の経時変化や、皮脂、汗等により、べたつき感が生じるという問題があった。
【0003】
一方、さらさらした感触を得るために、例えば特許文献1には、不飽和脂肪酸を必須の成分とし、殺菌剤、酸化防止剤、水性媒体等を含有した液状デオドラント剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−76997号公報
【特許文献2】特開2009−28071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に代表される従来の化粧料組成物の使用感について本発明者らが鋭意検討を行ったところ、従来の化粧料組成物では、塗布直後のべたつき感が抑制されたとしても、塗布時のぬるつき感は何ら解決されておらず、かえって強く認識される、という新たな課題があることが見出された。また、塗布後時間が経過してもべたつき感を抑制する、という点で、依然として改善の余地があった。
【0006】
本発明は、このような従来知られていなかった新たな知見に基づき完成されたものであり、塗布時のぬるつき感を低減しつつ、時間が経過してもべたつき感が抑制できる化粧料組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンと、特定の殺菌剤と、特定の酸化防止剤とを組み合わせることによって、上記課題を解決できることを見出した。
【0008】
すなわち、本発明によれば、(A)トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、(B)トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、銀担持無機粒子、塩化リゾチーム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、3,4,4'−トリクロロカルバニリドからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の殺菌剤、(C)酸化防止剤、(D)水、を含み、成分(A)の含有量が、0.01質量%以上5質量%以下である化粧料組成物が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、化粧料組成物を肌に塗布する化粧料の使用方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、塗布時のぬるつき感を低減しつつ、時間が経過してもべたつき感が抑制できる化粧料組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係る化粧料組成物の使用容器の一例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る化粧料組成物の使用容器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施形態について説明する。
【0013】
[成分(A)]
(A)トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンは、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールである。
【0014】
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンは、緩衝剤として広く知られ、また、皮脂等による臭いを低減する成分としても知られている(特許文献2)。しかしながら、特許文献2は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含有する製剤が人体に触れても安全である旨の記載はあるが、化粧料としての用途を開示するものではない。また、化粧料の使用感を改善するためにトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを用いることに着目した従来例は存在していなかった。これに対し、本発明の化粧料組成物では、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンと、特定の(B)殺菌剤及び(C)酸化防止剤とを組み合わせることによって、使用感を良好にするものである。
【0015】
成分(A)の含有量は、塗布時のぬるつき感を低減する観点から、全組成物に対し、0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.25質量%以上である。また、塗布後のべたつき感を低減する観点から、全組成物に対し、5質量%以下、より好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下である。
【0016】
[成分(B)]
(B)殺菌剤は、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、銀担持無機粒子、塩化リゾチーム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム(CPC)、3,4,4'−トリクロロカルバニリドからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である。銀担持無機粒子としては銀担持ゼオライト、銀担持カンクリナイト等が挙げられる。この中でも、さらさら感の持続性とぬるつきの少なさの観点から、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール(IPMP)、塩化ベンザルコニウムが好ましい。これらの殺菌剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせてもよい。
【0017】
成分(B)の含有量は、殺菌効果の観点から、全組成物に対し、0.001質量%以上、特に0.01質量%以上が好ましい。また、皮膚刺激性の観点から、全組成物に対し、5質量%以下、特に1質量%以下が好ましい。
【0018】
成分(A):成分(B)の含有量比は、殺菌効果とぬるつきの少なさの観点から、5000:1〜1:500が好ましく、ぬるつきの少なさの観点から500:1〜1:100、さらに40:1〜1:4、さらにまた20:1〜1:4、特に10:1〜1:2が好ましい。
【0019】
[成分(C)]
(C)酸化防止剤は、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT);ブチルヒドロキシアニソール、δトコフェロールなどのビタミンE、及びその誘導体;チオタウリン、メマツヨイグサ抽出液、βカロチン、カテキン化合物、フラボノイド化合物、ポリフェノール化合物などを例示することができる。カテキン化合物は緑茶エキス等として用いることができる。この中でも、使用感を向上させる観点から、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、またはδトコフェロールが好ましい。これらの酸化防止剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせてもよい。
【0020】
成分(C)の含有量は、酸化防止の観点から、全組成物中に0.001質量%以上、特に0.005質量%以上、塗布後のべたつき感の低減の観点から、1質量%以下、特に0.5質量%以下含有することが好ましい。
【0021】
[成分(D)]
(D)水は、本発明の化粧料組成物の化粧料の媒体であり、全組成物中に好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。また、上限として好ましくは99質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。これにより、みずみずしい使用感が得られ、べたつき感が低減できる。
【0022】
本発明の化粧料組成物のpHは、皮膚への刺激性を防止する観点から、5以上10.5以下が好ましい。また、べたつき感を低減する観点から、より好ましくは6以上、さらに好ましくは6.5以上である。一方、塗布時のぬるつき感を抑制する観点から、より好ましくは9以下、さらに好ましくは8.5以下である。
【0023】
[成分(E)]
(E)非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類、ショ糖脂肪酸エステル類、ポリグリセリンアルキルエーテル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシド類等が挙げられる。
このうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、アルキルグリコシド類、ポリオキシアルキレンC8−C20脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、脂肪酸アルカノールアミドが好ましい。
【0024】
より具体的には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類としては、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレンアルキルエーテルが好ましい。
アルキルグリコシド類としては、アルキル基の炭素数8〜14で、糖(グルコース)の縮合度1〜2のものが好ましい。
脂肪酸アルカノールアミドとしては、炭素数8〜18、特に炭素数10〜16のアシル基を有するものが好ましく、またモノアルカノールアミド、ジアルカノールアミドのいずれでもよいが炭素数2〜3のヒドロキシアルキル基を有するものが好ましい。脂肪酸アルカノールアミドの具体例としては、オレイン酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、パーム核油脂肪酸メチルエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド等が挙げられる。
【0025】
これらの非イオン性界面活性剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせてもよい。この中でも、塗布直後のべたつき感低減の観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、より具体的にはポリオキシエチレンラウリルエーテルが好ましい。
【0026】
成分(E)の含有量は、塗布直後のべたつき感低減の観点から、全組成物中に0.05質量%以上、特に0.1質量%以上、塗布3時間後のべたつき感低減の観点から、2質量%以下、特に1質量%以下含有することが好ましい。
【0027】
[成分(F)]
(F)ポリプロピレングリコール類は、保湿剤として皮膚に適度にうるおいを与えることができる。ポリプロピレングリコール類としては、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、プロピレンがそれ以上のポリプロピレングリコール類が挙げられる。ポリプロピレングリコール類の好ましい重合度は2〜12である。
【0028】
成分(F)の含有量は、塗布直後のべたつき感低減の観点から、全組成物中に0.1質量%以上、特に0.5質量%以上、塗布後のべたつきのなさの観点から、5質量%以下、特に3質量%以下含有することが好ましい。
【0029】
[成分(G)]
(G)水溶性高分子を配合することにより、球状粉体、油性物質等を均一に分散しつつ安定的に存在させ、使用性を向上できる。また、適度な化粧料組成物に適度な粘性を与え、手にとった際に垂れ落ちたりせず、肌に伸ばすときになじみやすいなどの利便性を良好にできる。
【0030】
(G)水溶性高分子としては、天然高分子、半合成高分子、合成高分子のいずれでも用いうる。天然高分子の例としては、キサンタンガム、カラギーナン、アルギン酸等が挙げられる。半合成多糖系高分子としては、ヒドロキシセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カチオン化セルロース等の変性多糖類が挙げられる。合成高分子としてはカルボマー(架橋ポリアクリル酸)、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸Na、アクリル酸/メタクリル酸アルキル共重合体等のアクリル系ポリマー;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カチオン化ポリビニルピロリドン等があげられる。このうち、カルボマー、アクリル酸/メタクリル酸アルキル共重合体、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が好ましい。架橋ポリアクリル酸の市販品としては、カーボポール910、カーボポール934、カーボポール940、カーボポール941、カーボポール980、カーボポール981(以上Lubrizol Advanced Materials,Inc.製)等が、アクリル酸/メタクリル酸アルキル共重合体の市販品としては、カーボポール1382、カーボポールETD2020、PEMULEN TR−1、PEMULEN TR−2(以上Lubrizol Advanced Materials,Inc.製)等が、ヒドロキシプロピルセルロースの市販品としては、HPC−M、HPC−H(日本曹達製)等が、カルボキシメチルセルロースナトリウムの市販品としては、CMCダイセル(ダイセル化学工業製)等があげられる。この中でも特に、カルボキシメチルセルロースナトリウムが好ましい。
【0031】
成分(G)の含有量は、塗布直後のべたつき感低減の観点から、全組成物中に0.01質量%以上、特に0.05質量%以上、塗布3時間後のべたつき感低減の観点から、3質量%以下、特に1質量%以下含有することが好ましい。
【0032】
[成分(H)]
(H)球状粉体により、化粧料組成物を皮膚に塗布した際、さらさら感を付与することができる。また、本発明において、球状粉体とは、形状が略球状の粉体をいい、完全な球形であることを必要としない。
【0033】
(H)球状粉体としては、通常、懸濁重合などによって得られる有機合成高分子からなる球状粉体や無機粉体を使うことができる。例えば、ナイロン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、フェノール系樹脂、ポリメチルシルセスキオンサン、オルガノポリシロキサンエラストマー等のシリコーン系樹脂、架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂等の合成ポリマー粉体が挙げられる。無機粉体としては無水ケイ酸等の粉体が挙げられる。
【0034】
より具体的には、ナイロン樹脂として、SP−500(東レ製)等;ポリスチレン系樹脂として、ファインパール(住友化学工業製)、テクポリマーSB(積水化成品工業製)、ファインパウダーSGP(綜研化学製)等;ポリエチレン樹脂として、フロービーズ(住友精化製)等;ポリメタクリル酸メチル系樹脂として、マツモトマイクロスフェアーM(松本油脂製薬製)、テクポリマーMB(積水化成品工業製)、ファインパウダーMP(綜研化学製)等;シリコーン系樹脂として、KMP−590(信越化学工業製)、トスパール130、トスパール145、トスパール2000B(以上、GE東芝シリコーン製)、架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂として、(メタクリル酸ラウリル/メタクリル酸ナトリウム)クロスポリマー等が挙げられる。塗布後、時間が経過してもさらさら感を得る観点から、KMP−590(信越化学工業製)、(メタクリル酸ラウリル/メタクリル酸ナトリウム)クロスポリマーが好ましい。これらを一種又は二種以上を用いることができる。
【0035】
(H)球状粉体は、シリコーン処理、フッ素処理、金属石鹸処理、脂肪酸処理などの疎水化処理を行ったものでもよい。
【0036】
(H)球状粉体の粒径としては、0.5〜30μmの範囲に全粉体の60質量%以上が存在することが、肌感触を高める上で好ましく、粒径1〜10μmの粉体が全粉体の80質量%以上であることが特に好ましい。一方、粒径が0.5μm未満の粉体は肌の感触に対してほとんど効果がないか、又はきしむような不快感を与えるため少ない方が好ましく、また粒径が30μmを超える粉体の混入は少ない方が良い。したがって、これらの粉体の量は全粉体の40質量%未満であることが好ましく、10質量%以下が更に好ましい。また、肌感触の観点からは粒径が200μm以上の粉体を実質的に含まないことが望ましい。
【0037】
成分(H)の含有量は、感触向上の観点から、全組成物中に0.1質量%以上、特に1質量%以上、塗布後に白っぽくならないようにする観点から、40質量%以下、特に20質量%以下含有することが好ましい。
【0038】
本発明の化粧料組成物には、上記必須成分に加え、本発明の効果を害さない範囲で、アルコール、保湿成分、抗炎症剤、美白剤、紫外線吸収剤、制汗剤、pH調整剤、香料等、必要に応じて通常化粧料に配合される他の成分を配合してもよい。
【0039】
アルコール類としては、エチルアルコールや、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、バチルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコールが好ましい例として挙げられ、これらは1種を単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。特に、エタノールは、速乾性や清涼感を高めるために成分(D)水とともに化粧料の媒体として併用することができる。エタノールを併用する場合には、水との兼ね合いでみずみずしい使用感、とべたつき感の低減の点から、水とエタノールの質量比で99:1〜10:90が好ましく、特に95:5〜70:30であることが好ましい。
【0040】
保湿成分としては、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール類、グリセリン、ソルビトール、乳酸、グリシンベタイン、アミノ酸類、N−アミジノ−L−プロリン、セラミド、コレステリルエステルなどが挙げられる。これら保湿成分のうち、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ポリエチレングリコール類、グリセリン等は、化粧料の媒体である成分(D)水とともに、媒体として用いることもできる。
【0041】
抗炎症剤としては、グリチルリチン酸塩、β−グリチルレチン酸、アラントイン、インドメタシン、グアイアズレン、グアイアズレンスルホン酸塩などが挙げられる。
美白剤、UVケア剤としてはビタミンC誘導体(アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウムなど)、アルブチン、コウジ酸、カミツレエキス、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、サリチル酸オクチル、オキシベンゾンなどが挙げられる。
【0042】
制汗剤の例としては、塩化アルミニウム、クロロヒドロキシアルミニウム、乳酸アルミニウム、アラントインアルミニウム誘導体、p−フェノールスルホン酸亜鉛、アルミニウム・ジルコニウム・クロロハイドレックス・グリシン複合体(AZG)などが挙げられる。
【0043】
pH調整剤の例としては、通常化粧料に用いられる酸成分が挙げられる。
かかる酸成分の具体例としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、乳酸、グリコール酸等のヒドロキシ酸類、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸類、マロン酸、コハク酸、アジピン酸等のジカルボン酸類、塩酸、リン酸等の無機酸類等が挙げられる。
【0044】
pH調整剤として、アルカリ金属炭酸塩、水酸化アルカリ金属等、アンモニア等の無機塩基類、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパンジオール等のアルカノールアミン類等の塩基成分も用いうる。ただし、これら塩基成分は塗布時のぬるつきや経時でのべたつきを増す可能性がある。また、本発明の成分(A)のトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンが塩基成分としての機能も併せ持つ。従って、これら塩基成分の含有量は少ないほうが好ましい。
【0045】
本発明の化粧料組成物は、例えば、肌に塗布して用いられる。
【0046】
本発明の化粧料組成物の使用方法としては、化粧料組成物を手に取ってもよく、織物や不織布などに含ませて塗布してもよい。具体的には、ポンプミスト容器やロールオン容器に充填して用いたり、織物や不織布に含浸してシート状化粧料として用いることができる。
【0047】
ポンプミスト容器としては、たとえば図1に示すような汎用的に用いられているミスト噴霧用のポンプ容器を用いることができる。このような容器に充填して使用することにより、組成物を手で塗り広げる必要がなくなり、頭部や全身への塗布が簡便になる。また、噴霧して霧状に肌に適用するため、広範囲に均一に塗布できるので、適用量が多くてもぬるつきやべたつきが感じられず、良好な感触を与える。
【0048】
また、ロールオン容器としては、たとえば、図2に示すような容器の頭部にボールが付いており、汎用的に用いられているロールオン容器を用いることができる。このような容器に充填し、先端のロールを肌にあててころがして塗布される。このように使用することにより、塗布したい部位に集中的、かつ均一に塗布することができ効率的であり好ましい。また本組成物はぬるつき、べたつきが少ないため、集中的に大量に塗布した場合でも感触は良好である。
【0049】
本発明の化粧料組成物は、液体の化粧料をシート基材に含浸させてシート状化粧料としても用いることができる。シート基材としては、天然繊維の不織布及び織布、合成繊維の不織布及び織布、両者を混合した不織布及び織布のいずれをも使用することができる。具体的には、例えばレーヨン、アセテート、アクリル、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリアミド、コットン、キュプラ及びこれらを混綿したものの不織布又は織布、さらに湿式又は乾式パルプシート、熱可塑性樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等)で強化したパルプシートなどが挙げられる。この中でも使用感及び有効成分の肌への移行性に優れる点で、パルプ、レーヨン、リヨセル、コットン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、キュプラを主成分とするシート状基材が好ましい。
【0050】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【実施例】
【0051】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0052】
(架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粉体粉体の合成例1)
ビーカーにラウリルメタクリレート(LMA)82g、メタクリル酸(MAA)3g、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)15g、ラウロイルパーオキサイド2gを仕込み混合攪拌して溶解させた。ここにN−ステアロイル−N−メチルタウリンナトリウム(SMT)を0.75g溶解させたイオン交換水400gを加え、ホモミキサーで粒径が2.2μmになるまで分散させた。
【0053】
4つ口フラスコにこの分散液を注ぎ込み、攪拌しながら窒素置換を30分行った。オイルバスによりフラスコ内部の温度を80℃まで加温し、80℃に達してから5時間重合を行った後、室温まで冷却した。重合した粒子の分散液に1NNaOH3.9gを滴下して中和を行い、樹脂粒子分散液を得た。
該樹脂粒子分散液を凍結乾燥し、水を乾燥させることにより架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂粉体(平均粒径2.2μm)を得た。
【0054】
(実施例1〜24,比較例1〜4)
表1に示す組成の化粧料組成物について、以下の方法により、調製し、評価を行った。
pHは、HORIBA pH METER F−22で測定した。その結果を表1に示す。
【0055】
(調製方法)
表1に示す各成分を、全量が100(質量%)となるよう、常法により均一に混合して調製した。
【0056】
(評価方法)
専門のパネラー10人が各化粧料組成物を皮膚に塗布し、評価基準にしたがって以下の項目について評価した。各項目について、専門パネラー10人の評価基準の平均値をとり、その結果を表1に示す。このときの塗布量は、前腕部に約0.2mLである。
◎ 5以上〜6以下
○ 4以上〜5未満
○△ 3以上〜4未満
△ 2以上〜3未満
× 1以上〜2未満
【0057】
(1) 塗布時のぬるつきのなさ
評価基準
6:全くぬるつかない
5:ほとんどぬるつかない
4:あまりぬるつかない
3:どちらともいえない
2:ややぬるつく
1:ぬるつく
(2) 塗布直後のべたつきのなさ
評価基準
6:全くべたつかない
5:ほとんどべたつかない
4:あまりべたつかない
3:どちらともいえない
2:ややべたつく
1:べたつく
(3) 塗布3時間後のべたつきのなさ
評価基準
6:全くべたつかない
5:ほとんどべたつかない
4:あまりべたつかない
3:どちらともいえない
2:ややべたつく
1:べたつく
(4) 塗布3時間後のさらさら感
評価基準
6:非常にさらさらする
5:さらさらする
4:ややさらさらする
3:どちらともいえない
2:あまりさらさらしない
1:さらさらしない
(5) 塗布3時間後のかさつきのなさ
評価基準
6:全くかさつかない
5:ほとんどかさつかない
4:あまりかさつかない
3:どちらともいえない
2:ややかさつく
1:かさつく
【0058】
【表1】

【0059】
【表2】

【0060】
なお、表中の記載は、それぞれ以下を示す。
・塩化ベンザルコニウム:サニゾールC(花王株式会社製)
・メマツヨイグサ抽出液:ルナホワイトB(一丸ファルコス株式会社製)
・緑茶エキス:フレッシュE(白井松新薬株式会社製)
・POE(9)ラウリルエーテル:エマルゲン109P(花王株式会社製)
・PPG−7:カーポールDL−30(株式会社ADEKA製)
・PPG−3:ニューポールPP−200(三洋化成工業株式会社製)
・カルボキシメチルセルロースナトリウム:CMCダイセル<1350>(ダイセル化学
工業株式会社製)
・架橋(メタ)アクリル酸エステル系樹脂:合成例1で得られたもの
・ポリメチルシルセスキオキサン:KMP590(信越化学工業株式会社製)
・無水ケイ酸:サンスフェアH−121(AGCエスアイテック株式会社製、平均粒径1
2μm)
・ナイロン末:ナイロンSP−500(東レ株式会社製、平均粒径10μm以下)をジメ
チルシロキサンで処理したもの
【0061】
本発明の実施例1〜24は、塗布時のぬるつきのなさ、塗布直後および塗布3時間後のべたつきのなさ、塗布3時間後のさらさら感およびかさつきのなさで良好であった。
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを含まない比較例4は、塗布時のぬるつきのなさと塗布直後のべたつきのなさで特に悪く、塗布3時間後のべたつきのなさとさらさら感で若干劣るものであった。トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンに変えてエタノールアミンを用いた比較例1は塗布時のぬるつきのなさ、塗布3時間後のさらさら感と、経時でのべたつきのなさ(塗布3時間後のべたつきのなさ)が悪かった。殺菌剤を含まない比較例2および酸化防止剤を含まない比較例3では、塗布時のぬるつきのなさの結果が悪く、塗布3時間後のべたつきのなさとさらさら感で若干劣るものであった。
【0062】
(実施例25〜27)
表3に示す各成分を、全量が100(質量%)となるよう、常法により均一に混合してデオドラント剤を調製した。得られたデオドラント剤を、以下の各使用形態で用いた。デオドラント剤のpHは、HORIBA pH METER F−22で測定し、あわせて表3に示す。
[振り出し容器] 吐出径が3mmのものを用いた(竹本容器製:P−27ワンタッチキャップ)。
[ポンプミスト容器] 吐出量が0.3g/1押しの図1に示す容器を用いた(竹本容器製:Z−300スプレー)。
[ロールオン容器] 図2に示す容器(ボール径が18mm)のものを用いた。
【0063】
(評価方法)
専門のパネラー10人が各化粧料組成物を塗布量が1.0mlになるまで身体上半身(胸、わき)の皮膚に塗布し、評価基準にしたがって以下の項目について評価した。各項目について、専門パネラー10人の評価基準の平均値をとり、その結果を表3に示す。
◎ 5以上〜6以下
○ 4以上〜5未満
○△ 3以上〜4未満
△ 2以上〜3未満
× 1以上〜2未満
【0064】
(1) 塗布時のぬるつきのなさ
評価基準
6:全くぬるつかない
5:ほとんどぬるつかない
4:あまりぬるつかない
3:どちらともいえない
2:ややぬるつく
1:ぬるつく
【0065】
(2) 塗布直後のべたつきのなさ
評価基準
6:全くべたつかない
5:ほとんどべたつかない
4:あまりべたつかない
3:どちらともいえない
2:ややべたつく
1:べたつく
【0066】
【表3】

【0067】
なお、表中の記載は、以下を示す。
・POE(60)硬化ヒマシ油:エマノーンCH−60(K)(花王株式会社製)
【0068】
化粧料組成物を肌に塗布する際に、実施例25の振り出し容器を用いた場合と比べ、実施例26のポンプミストや実施例27のロールオン容器を用いた場合の方が、肌に塗布することによって、塗布量が多い場合も塗布時のぬるつきのなさや、塗布直後のべたつきのなさがさらに向上した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、
(B)トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、銀担持無機粒子、塩化リゾチーム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、3,4,4'−トリクロロカルバニリドからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の殺菌剤、
(C)酸化防止剤、
(D)水
を含み、
成分(A)の含有量が、0.01質量%以上5質量%以下である化粧料組成物。
【請求項2】
前記化粧料組成物のpHが、6以上9以下である請求項1記載の化粧料組成物。
【請求項3】
さらに媒体としてエタノールを含むものである請求項1又は2記載の化粧料組成物。
【請求項4】
水とエタノールが、質量比99:1〜10:90である請求項3記載の化粧料組成物。
【請求項5】
成分(C)が、ジブチルヒドロキシトルエン、またはδ−トコフェロールである請求項1乃至4のいずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項6】
成分(A):成分(B)が、5000:1〜1:500である請求項1乃至5いずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項7】
(E)非イオン性界面活性剤、をさらに含有する請求項1乃至6いずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項8】
(F)ポリプロピレングリコール類、をさらに含有する請求項1乃至7いずれか一項に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の化粧料組成物を肌に塗布する化粧料の使用方法。
【請求項10】
前記化粧料組成物をポンプミスト容器に充填して用いる請求項9に記載の化粧料の使用方法。
【請求項11】
前記化粧料組成物をロールオン容器に充填して用いる請求項9に記載の化粧料の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−17324(P2012−17324A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128811(P2011−128811)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】