説明

化粧料

【課題】泡質が優れる化粧料を提供する。
【解決手段】(A)両性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤、及び(B)下記一般式(1)で表わされる単量体単位70〜95モル%と、下記一般式(2)で表わされる単量体単位5〜30モル%とを、構成単位として含むアクリル酸系ポリマーを含有し、(A)/(B)で表される質量比が0.1〜50.0であることを特徴とする化粧料。


(式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は水素原子又は−CH2OH基、Aは酸素原子又は−NH−、R3は水素原子又はメチル基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム又はアミンを示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡質が優れる化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料においては、シャンプーや洗顔料、ボディソープ等のすすぎ流すタイプの化粧料では、頭髪や肌に塗布し泡立てた時にキメが細かく、保形性があり、消泡しにくい豊かな泡質が望まれ、一方、ヘアフォーム剤のようなすすぎ流さないタイプの化粧料では、容器より吐出した時にキメ細かく、保形性があり、頭髪等になじませる時に速やかに消泡する等の各製品タイプに適した良好な泡質が求められている。
【0003】
さらに、毛髪化粧料においては、染毛処理した毛髪が洗髪によって褪色するため、褪色を抑えて染毛後の髪色が持続する毛髪化粧料が求められている。これに対して、特殊な界面活性剤を使用した毛髪化粧料(特許文献1:特開平7−233033号公報、特許文献2:特開2002−275038号公報参照)が提案されている。しかしながら、褪色防止効果が不十分であったり、泡質が低下したりするという問題があった。以上のことから、褪色防止効果に優れ、泡質が良好な毛髪化粧料が望まれていた。
【0004】
また、皮膚化粧料においては、洗浄後の肌では角質層の成分溶出によって冬季等の乾燥した環境下で、肘や腕、脛等が白くカサカサした状態(白化)になることがある。以上のことから、このような皮膚の白化を防ぎ、泡質が良好な皮膚化粧料が望まれていた。
【0005】
【特許文献1】特開平7−233033号公報
【特許文献2】特開2002−275038号公報
【特許文献3】特開2007−161986号公報
【特許文献4】特開平7−315463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、泡質が優れる化粧料を提供することを目的とする。さらに、毛髪化粧料の場合は毛髪の褪色防止効果に優れ、皮膚化粧料の場合は皮膚の白化防止効果に優れるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(A)両性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤と、特定の(B)アクリル酸系ポリマーとを併用し、(A)/(B)で表される質量比を0.1〜50.0にすることにより、泡質が向上し、さらに、毛髪化粧料の場合は毛髪の褪色防止効果に優れ、皮膚化粧料の場合は皮膚の白化防止効果に優れることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】
従って、本発明は
[1].(A)両性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤、及び(B)下記一般式(1)で表わされる単量体単位70〜95モル%と、下記一般式(2)で表わされる単量体単位5〜30モル%とを、構成単位として含むアクリル酸系ポリマーを含有し、(A)/(B)で表される質量比が0.1〜50.0であることを特徴とする化粧料、
【化1】

(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は水素原子又は−CH2OH基を示し、Aは酸素原子又は−NH−を示す。)
【化2】

(式中、R3は水素原子又はメチル基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム又はアミンを示す。)
[2].(A)成分が、カルボキシベタイン型両性界面活性剤、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤及びN−アシルアミノ酸型アニオン性界面活性剤から選ばれる界面活性剤である[1]記載の化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、化粧料の泡質を向上させ、さらに、毛髪の褪色防止効果に優れる毛髪化粧料、皮膚の白化防止効果に優れる皮膚化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の化粧料は、(A)両性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤、及び(B)一般式(1)で表わされる単量体単位70〜95モル%と、一般式(2)で表わされる単量体単位5〜30モル%とを、構成単位として含むアクリル酸系ポリマーを含有し、(A)/(B)で表される質量比が0.1〜50.0である化粧料である。
【0011】
(A)両性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤
両性界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のカルボキシベタイン型両性界面活性剤、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型、ラウリルアミノプロピオン酸等のアミノカルボン酸型、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩等のイミダゾリニウムベタイン型、レシチン等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0012】
アニオン性界面活性剤としては、アルキル(好適には炭素数10〜16)硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル(好適には炭素数10〜16)エーテル硫酸塩等の硫酸エステル型アニオン性界面活性剤、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシル−N−メチルタウリン塩、スルホコハク酸アルキル塩等のスルホン酸型、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩(N−ラウロイル−N−メチル−βアラニン塩等)、N−アシルグルタミン酸塩(N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸塩等)等のN−アシル(好適には炭素数10〜18)アミノ酸型アニオン性界面活性剤、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等のリン酸エステル型等が挙げられる。
【0013】
これらの界面活性剤の塩に使用される対イオンとしては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、アミノメチルプロパノール塩等のアミン塩が挙げられる。
【0014】
(A)成分としては、カルボキシベタイン型両性界面活性剤、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤及びN−アシルアミノ酸型アニオン性界面活性剤から選ばれる界面活性剤が好ましい。
【0015】
(A)成分の配合量は特に限定されるものではないが、化粧料中、通常0.01質量%以上であり、0.1〜50質量%が好ましく、0.2〜25質量%がより好ましい。配合量が0.01質量%未満の場合は、目的の効果が得られないおそれがある。なお、すすぎ流すタイプの毛髪化粧料の場合は、5〜20質量%がさらに好ましく、すすぎ流さないタイプの毛髪化粧料の場合は0.2〜1質量%がさらに好ましく、皮膚化粧料の場合は、0.2〜10質量%がさらに好ましい。
【0016】
(B)アクリル酸系ポリマー
一般式(1)で表わされる単量体単位70〜95モル%と、一般式(2)で表わされる単量体単位5〜30モル%とを、構成単位として含む共重合体からなるアクリル酸系ポリマーであり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【化3】

(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は水素原子又は−CH2OH基を示し、Aは酸素原子又は−NH−を示す。)
【化4】

(式中、R3は水素原子又はメチル基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム又はアミンを示す。)
【0017】
アルカリ金属原子としては、ナトリウム原子、カリウム原子、アミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられ、なお、Mがアルカリ金属原子、アンモニウム又はアミンの場合、−COOMは塩を形成する。
【0018】
一般式(1)で表わされる単量体単位に相当する単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。一般式(2)で表わされる単量体単位に相当する単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩が挙げられる。
【0019】
一般式(1)で表わされる単量体単位の割合は、アクリル酸系ポリマー中(全単量体単位100モル%中)70〜95モル%であり、75〜85モル%が好ましく、一般式(2)で表わされる単量体単位の割合は、アクリル酸系ポリマー中(全単量体単位100モル%中)5〜30モル%であり、10〜20モル%が好ましい。一般式(1)で表わされる単量体単位の割合が70モル%未満、一般式(2)で表わされる単量体単位の割合が30モル%を超えると、目的の効果が得られず、一般式(1)で表わされる単量体単位の割合が95モル%を超え、一般式(2)で表わされる単量体単位の割合が5モル%未満だと、泡質改善効果が得られない。
【0020】
また、本発明のアクリル酸系ポリマー中には、本発明の効果を損なわない限り、上記一般式(1)又は(2)で表される単量体単位以外の単量体単位を含むことができる。他の単量体単位としては、例えば、ノニオン性単量体、両性単量体、半極性単量体、カチオン性単量体、ポリシロキサン基含有単量体に相当する単量体単位が挙げられる。但し、これらの単量体には、上記(1)又は(2)で表される単量体単位に相当する単量体は含まないものとする。一般式(1)又は(2)で表される単量体単位以外の単量体単位の割合は、アクリル酸系ポリマー中0〜15モル%が好ましい。本発明のアクリル酸系ポリマーは、ランダム共重合体でもブロック共重合体でもよく、本発明のアクリル酸系ポリマーとしては、一般式(1)及び(2)で表される単量体単位を構成単位とする共重合体からなるアクリル酸系ポリマーが好ましい。
【0021】
ノニオン性単量体としては、例えば、炭素数1〜22のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステルや、炭素数1〜22のアルキルアミンと(メタ)アクリル酸とのアミド、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール等と(メタ)アクリル酸とのモノエステル、さらにはこのモノエステルの水酸基がメタノールやエタノール等でエーテル化されたエステル、(メタ)アクロイルモルホリン等が挙げられ、両性単量体としては例えば、ベタイン基含有(メタ)アクリルエステル、ベタイン基含有(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、半極性単量体としては、例えば、アミンオキシド基含有(メタ)アクリルエステル、アミンオキシド基含有(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、カチオン性単量体としては、例えば、4級アンモニウム基含有(メタ)アクリルエステル、4級アンモニウム基含有(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0022】
ポリシロキサン基含有単量体は、ポリシロキサン構造を有し、アクリル酸系ポリマーに共有結合で連結できる構造を有する化合物である。このような構成単位は、化粧料組成物中で通常併用されるシリコーン油との親和性が高く、アクリル酸系ポリマー中の他の構成単位とシリコーン油とを結びつける働きをし、肌や毛髪、特にダメージ毛等に対してシリコーン油の吸着力を高める働きがあると考えられる。
【0023】
なお、アクリル酸系ポリマー中の各単量体単位の割合は、カルボニル基、アミド結合、ポリシロキサン構造や各種官能基等のIR吸収や、ポリジメチルシロキサンのメチル基やアミド結合部位及びそれらに隣接するメチル基、メチレン基等の1H−NMR、あるいはそれらの13C−NMR等により測定することができる。
【0024】
アクリル酸系ポリマーの重量平均分子量は、通常3,000〜1,000,000である。3,000未満ではコンディショニング効果が弱くなるおそれがあり、1,000,000を超えると接着感が生じるおそれがある。重量平均分子量の下限は10,000以上が好ましく、乾燥後のなめらかさをより高める点から、重量平均分子量の上限は400,000以下が好ましく、200,000以下がより好ましく、100,000がさらに好ましく、50,000以下が特に好ましい。
【0025】
アクリル酸系ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定することができ、具体的には、装置:東ソー株式会社製、SC8010,SD8022,RI8020,CO8011,PS8010、カラム:和光純薬工業株式会社 Wakopak(Wakobeads G−50)、展開溶媒:水/メタノール/酢酸/酢酸ナトリウム=6/4/0.3/0.41)を用いて、ポリエチレングリコールを標準物質として求めることができる。
【0026】
アクリル酸系ポリマーの分子量の調整は、例えば、ポリマーの重合度を制御することによって行うことができる。また多官能アクリレート等の架橋剤の添加量を増減することによっても分子量及び粘度が制御できる。但し、架橋剤は少しでも添加しすぎると分子量及び粘度が急激に増大してしまう等、工業的に製造する上では制御が困難な面がある。このため架橋剤は含まないことが好ましい。
【0027】
本発明のアクリル酸系ポリマーは、特開2007−161986号公報に記載された方法に準拠して得ることができる。例えば、それぞれの構成単位を与える単量体又はその前駆体を混合し、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の方法により共重合させた後、必要に応じてポリシロキサン構造の付加、縮合反応等を行うことにより製造することができる。また、一般式(2)で表わされるアニオン性単量体の対イオンは、重合する前に中和反応により一部又は全部を水素イオン以外のものに代えて重合に供することもでき、あるいは重合やその他の反応の後に中和反応により一部又は全部を水素イオン以外のものに代えることもできる。これらはその合成のし易さにより適宜選択して行うことができる。なお、各単量体は全単量体の合計量(100モル%)に対して、各単量体が特定モル割合になるように配合する。本発明の共重合体における各単量体からなる構成単位の割合は、共重合する際の各単量体の配合量と同様である。
【0028】
重合反応は親水性溶媒中で行うのが好ましい。親水性溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール等のアルコール系溶媒、水等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。なかでもアルコール系溶媒を用いることが好ましい。
【0029】
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネイト)等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等の過酸化物、過硫酸塩、又はそのレドックス系等、特に限定することなく用いることができる。重合開始剤は全単量体に対して、0.01〜5質量%の範囲で用いることが好ましい。
【0030】
重合反応は、例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、好ましくは30〜120℃、より好ましくは40〜100℃で、通常1〜30時間行うことができる。重合終了後は、生成した共重合体を、溶媒留去、貧溶媒の添加等適宜の手段で反応液から単離するとよい。この共重合体はそのまま、又はさらに精製して、例えば化粧料の製造に用いることができる。精製は再沈澱、溶媒洗浄、膜分離等、適宜の手段を必要に応じて組み合わせて行うことができる。
【0031】
(B)成分の配合量は特に限定されるものではないが、化粧料中、通常0.01質量%以上であり、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜5質量%がより好ましい。配合量が0.01質量%未満の場合は、目的の効果が得られないおそれがある。
【0032】
本発明において、(A)/(B)で表される(A)成分と(B)成分の質量比は、目的の効果を得るためには0.1〜50.0の範囲にあることが必要であり、0.1〜35.0が好ましい。(A)/(B)が0.1未満では、好ましい泡質が得られず、50.0を超えると泡質向上効果が十分に得られなくなると共に、毛髪の褪色防止効果や肌の白化抑制効果が得られなくなる。なお、洗い流すタイプの毛髪化粧料の場合は1.0〜35.0がより好ましく、洗い流さないタイプの毛髪化粧料の場合は0.1〜1.0がより好ましく、皮膚化粧料の場合は5.0〜35.0がより好ましい。
【0033】
本発明の化粧料には、上記成分に加えて、目的に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、半極性界面活性剤、(B)成分以外の高分子化合物、多価アルコール、高級アルコール、シリコーン類、低級アルコール、長鎖脂肪酸、エステル油、増粘剤、香料、紫外線吸収剤、微粒子粉末、植物抽出物、タンパク質及びその誘導体、アミノ酸、防腐剤、着色剤、pH調整剤、酸化防止剤、キレート剤、精製水等を配合することができる。
【0034】
本発明の化粧料に香料を配合する場合、使用される香料は、特開2003−95895号公報に記載した香料、香料組成物に準じ、香料組成物を配合する場合、化粧料中に香料組成物が0.00001〜50質量%となるように配合すると好適であり、より好ましくは0.0001〜30質量%配合される。
【0035】
化粧料としては、毛髪又は皮膚化粧料が挙げられ、洗い流すタイプの毛髪化粧料としては、シャンプー、リンスインシャンプー、プレシャンプー剤等の毛髪洗浄剤、洗い流すタイプのトリートメント、リンス、コンディショナー等が挙げられ、洗い流さないタイプの毛髪化粧料としては、洗い流さないトリートメント、スタイリング剤等が挙げられる。このような化粧料としては、フォーマー容器に充填され、泡状に吐出させて用いられるフォーム剤とすることができる。フォーマー容器としては、ノンガス型の泡吐出容器、噴射剤と耐圧容器を使用したエアゾール容器が挙げられるが、ノンガス型の泡吐出容器が好ましい。ノンガス型の泡吐出容器としては、化粧料を空気と混合して発泡状態で吐出できるものであれば特に限定されず、例えば、ボトル胴部を手で圧搾することによって泡を吐出できるスクイズフォーマー容器、ノズル部を押し下げることによって泡を吐出できるポンプフォーマー容器等が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。皮膚化粧料としては、ボディソープ、洗顔料等が挙げられる。
【0036】
本発明の化粧料は、常法に基づき調製することができ、例えば、上記(A)成分、(B)成分、任意成分及び水(残部)を混合して得ることができる。得られた化粧料は、適宜容器に充填することができる。
【0037】
本発明の毛髪化粧料のpHは3〜7が好ましく、皮膚化粧料のpHは4〜11が好ましい。好ましいpH調整剤としては、水酸化ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム等の無機酸塩、グリコール酸、クエン酸等の有機酸が挙げられる。本発明において、pHの測定は、東亜電波工業製HM−25R型pHメーターを用いて、25℃で行う。
【0038】
本発明の化粧料は、特に毛髪化粧料においては、染毛処理した毛髪の褪色防止効果を有するため、染毛処理した毛髪用として好適である。
【実施例】
【0039】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示し、表中の各成分の量は特記がない場合は、純分換算した量である。
【0040】
[ポリマー(1)の調製例]
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素ガス導入管及び撹拌装置を備えた反応器にエタノール100質量部を仕込み、滴下ロートに2−ヒドロキシエチルアクリルアミド96.8質量部、アクリル酸3.2質量部、及びエタノール80質量部からなる単量体混合液を仕込み、反応器を窒素置換したのち80℃まで加熱した。反応器に、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネイト)(V−601;和光純薬工業(株)製)1質量部を投入後、単量体混合液を2時間かけて滴下した。滴下終了後から6時間反応させたのち冷却し、ポリマー(1)を得た。
【0041】
[ポリマー(2)〜(7)の調製例]
表1に記載の構成単位となるように単量体及びその配合量を調整する以外は、ポリマー(1)の調製法と同様にしてポリマー(2)〜(7)を調製した。重量平均分子量は、装置:東ソー株式会社製、SC8010,SD8022,RI8020,CO8011,PS8010、カラム:和光純薬工業株式会社 Wakopak(Wakobeads G−50)、展開溶媒:水/メタノール/酢酸/酢酸ナトリウム=6/4/0.3/0.41)を用いて、ポリエチレングリコールを標準物質として求めた。
【0042】
【表1】

HEAA:2−ヒドロキシエチルアクリルアミド
GLM:2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリレート
AA:アクリル酸
MA:メタクリル酸
【0043】
[実施例1〜15、比較例1〜9]
表2〜4に示す組成に従い、常法に準じて毛髪洗浄剤を調製した。各毛髪洗浄剤について下記評価を行った。結果を表2〜4に併記する。なお、pH調整は東亜電波工業製HM−25R型pHメーターを用いて25℃で行った。
【0044】
<褪色防止効果>
長さ10cm、質量1gの黒色毛束を10倍質量の組成1で示したモデルブリーチ溶液中に室温で30分間浸漬した。その後、温水で十分に洗浄し、乾燥した。さらに、市販染毛剤(ビューティラボヘアカラー(スタイリッシュブラウン);ホーユー(株)製)を毛束質量と同量塗布し、ラップに包んで室温で30分間処理した。次いで、毛束質量の1/10質量の10%POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウムを塗布し、1分間櫛通しした後、温水で1分間すすぎ流し、乾燥したものを評価用毛束とした。この毛束の色調を日本電色工業社製色差計SE2000にて測定し、初期値とした。
評価用毛束を水で濡らし、これに試料毛髪洗浄剤0.1gを塗布し、1分間くし通しして毛束全体に手早くなじませた。その後、温水で1分間すすぎ流し、乾燥した。この処理を30回繰り返した後、毛束の色調を再度色差計にて測定し、初期値との色差(ΔE*)を求めた。なお、この値と目視による印象とは次のような関係である。
ΔE*が0以上1.6未満:色の変化がほとんどない
ΔE*が1.6以上2.5未満:色の変化がわずかにある
ΔE*が2.5以上:色の変化がある
(組成1)モデルブリーチ溶液
過酸化水素 6%
アンモニア 2%
水酸化ナトリウム pH10.5に調整
精製水 残部
合計 100%
【0045】
<泡質評価>
試料毛髪洗浄剤を精製水で10質量倍に希釈し(洗髪時の希釈倍率に相当)、この液について非エアゾールフォーマーポンプ(特開平7−315463号公報記載の図1の泡放出用ポンプ容器)を用いて泡立て、その泡を手に取り、その泡の「キメ」と「泡のかたさ」について、以下評価基準に基づき官能評価した。結果を評価者5名の評価の平均値で示す。
[評価基準]
5点:良好な泡質
4点:やや良好な泡質
3点:やや不良な泡質
2点:不良な泡質
1点:泡にならない
【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】
【表4】

【0049】
[実施例16〜26]
表5,6に示す組成に従い、下記調製方法でシャンプー組成物を調製した。各シャンプー組成物について、褪色防止効果は実施例1と同様に実施し、泡質評価は下記評価にて実施した。結果を表5,6に併記する。
表5:各成分を撹拌混合し、最後にグリコール酸又はクエン酸を用いてpH調整を行い、シャンプー組成物を調製した。
表6:(a)成分を80℃に加温しよく撹拌した状態で、同じく80℃に加温した精製水を撹拌しながら徐々に添加した。このときの精製水の添加量は組成物全量の25%に当たる量とした。この混合溶液を撹拌しながら50℃まで冷却した。別に、残りの成分を混合しておき、両方の液を撹拌しながら混合し、シャンプー組成物を調製した。
【0050】
<泡質評価>
シャンプー組成物を用いて(量は毛髪量に合わせて適宜選定する)、通常の洗髪を行い、泡の「キメ」と「泡のかたさ」について、以下評価基準に基づき官能評価した。結果を評価者5名の評価の平均値で示す。
[評価基準]
5点:良好な泡質
4点:やや良好な泡質
3点:やや不良な泡質
2点:不良な泡質
1点:泡にならない
【0051】
【表5】

【0052】
【表6】

【0053】
[実施例27〜29、比較例10〜12]
表7に示す組成に従って、常法に準じてトリートメントフォーム剤を調製し、非エアゾールフォーマーポンプ(特開平7−315463号公報記載の図1の泡放出用ポンプ容器)に充填した。各トリートメントフォーム剤について、下記評価を行った。結果を表7に併記する。
【0054】
<褪色防止効果>
評価用毛束の調製及び初期値の測定は、実施例1と同様に行った。評価用毛束に試料トリートメントフォーム剤0.5gを塗布し、1分間くし通しして毛束全体に手早くなじませ、その後ドライヤーで乾燥した。乾燥から2時間後に毛束を温水で濡らし、10%POE(2)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム0.1gを塗布し、1分間くし通しした後、温水で1分間すすぎ流し、乾燥した。この試料トリートメントフォーム剤塗布→乾燥→洗浄処理を30回繰り返した後、毛束の色調を再度色差計にて測定し、初期値との色差(ΔE*)を求めた。なお、この値と目視による印象とは次のような関係である。
ΔE*が0以上1.6未満:色の変化がほとんどない
ΔE*が1.6以上2.5未満:色の変化がわずかにある
ΔE*が2.5以上:色の変化がある
<泡質評価>
非エアゾールフォーマーポンプから、トリートメントフォーム剤3gを泡状に吐出させ、泡の「キメ」と「泡のかたさ」について、以下評価基準に基づき官能評価した。結果を評価者5名の評価の平均値で示す。
[評価基準]
5点:良好な泡質
4点:やや良好な泡質
3点:やや不良な泡質
2点:不良な泡質
1点:泡にならない
【0055】
【表7】

【0056】
[実施例30、比較例13]
表8に示す組成に従って、常法に準じて皮膚洗浄剤を調製した。得られた皮膚洗浄剤を特開平7−315463号公報記載の非エアゾールフォーマーポンプ容器に充填した。各皮膚洗浄剤について、下記評価を実施した。結果を表8に併記する。
【0057】
<肌の白化抑制効果>
非エアゾールフォーマーポンプから、皮膚洗浄剤6gを泡状に吐出させ、手首付近から肘の上部まで洗浄した。タオルで押さえるように水分を拭取った後、室温23℃、相対湿度40%の環境下で安静にし、1時間後の肘及び前腕部の肌の白化状態を下記の基準で評価した。なお、評価は冬季に腕が白くなりやすい評価者5名にて行い、結果を評価者5名の評価の平均値で示す。
[評価基準]
5点:全く白化がみられない
4点:ほとんど白化がみられない
3点:わずかに白化がみられる
2点:かなり白化がみられる
1点:激しい白化がみられる
【0058】
<泡質評価>
泡質評価は実施例27と同様に行なった。
【0059】
【表8】

【0060】
上記例で使用した原料を下記に示す。
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)両性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤、及び(B)下記一般式(1)で表わされる単量体単位70〜95モル%と、下記一般式(2)で表わされる単量体単位5〜30モル%とを、構成単位として含むアクリル酸系ポリマーを含有し、(A)/(B)で表される質量比が0.1〜50.0であることを特徴とする化粧料。
【化1】

(式中、R1は水素原子又はメチル基を示し、R2は水素原子又は−CH2OH基を示し、Aは酸素原子又は−NH−を示す。)
【化2】

(式中、R3は水素原子又はメチル基を示し、Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム又はアミンを示す。)
【請求項2】
(A)成分が、カルボキシベタイン型両性界面活性剤、硫酸エステル型アニオン性界面活性剤及びN−アシルアミノ酸型アニオン性界面活性剤から選ばれる界面活性剤である請求項1記載の化粧料。

【公開番号】特開2009−249330(P2009−249330A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98266(P2008−98266)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】