説明

化粧料

【課題】水溶液、サスペンション、O/W型エマルション、W/O型エマルション等の様々な形態を持つ化粧料において、その種類にかかわらず安定的に抗菌性能を発揮し、更に安全性に優れた抗菌剤を含有した化粧料を提供すること。
【解決手段】水、油溶性成分及び下記の式(1)で表わされるヘキシルグリセリルエーテルを含有することを特徴とする化粧料。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体に対して安全性が高く、更に化粧料の種類にかかわらず安定的に抗菌性能を発揮する抗菌剤を含有する化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料や洗浄剤等には、防腐等の目的で抗菌剤を使用することが多い。これらの抗菌剤として最も使用されているのはパラベン類であるが、パラベン類は皮膚刺激性が高く安全性が低いために使用濃度範囲が制限されるという欠点を有し、そのため化粧料においては、パラベン類の使用濃度が1%以下に制限されている。また最近は、パラベン類に対してアレルギー反応を起こす人が増加しており、パラベン類を配合しない化粧料の需要が増加している。
【0003】
そこで、アルカンジオール類やアルキルグリセリルエーテル類等のジオール化合物や、これらのジオール化合物にアルキレンオキシドを付加した化合物を抗菌剤として使用することが知られている(例えば、特許文献1〜3を参照)。これらの化合物は、抗菌剤として良好な性能を持ちながら、パラベン類と比較して人体に対する安全性が高いという特徴があり、化粧料においてはパラベン類の代わりに防腐剤として使用されることが増加している。
【0004】
しかしながら上記のジオール化合物類は、化粧料の種類によって、抗菌剤としての性能が不十分になる場合があった。具体的には、乳液やクリーム等の水と油溶性成分を含んだ化粧料において、抗菌剤としての性能が経時で低下するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−170878号公報
【特許文献2】特開2007−016018号公報
【特許文献3】特開2007−161651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明が解決しようとする課題は、水溶液、サスペンション、O/W型エマルション、W/O型エマルション等の様々な形態を持つ化粧料において、その種類にかかわらず安定的に抗菌性能を発揮し、更に安全性に優れた抗菌剤を含有した化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者等は鋭意検討し、本発明に至った。即ち、本発明は、水、油溶性成分及び下記の式(1)で表わされるヘキシルグリセリルエーテルを含有することを特徴とする化粧料である。
【0008】
【化1】

【発明の効果】
【0009】
本発明の効果は、水溶液、サスペンション、O/W型エマルション、W/O型エマルション等の様々な形態を持つ化粧料において、その種類にかかわらず安定的に抗菌性能を発揮し、更に安全性に優れた抗菌剤を含有した化粧料を提供したことにある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に使用できる化粧料用抗菌剤は、下記の式(1)で表わされる、モノへキシルグリセリルエーテルである。
【0011】
【化2】

【0012】
式(1)で表わされる化合物を製造する方法としては、公知のいずれの方法を用いてもよく、例えば、ヘキサノールとグリセリンを脱水縮合反応させる方法、ヘキシルクロライドやヘキシルブロマイドとグリセリンを脱塩酸反応させる方法、ヘキサノールと1−クロロ−2,3−プロパンジオールを脱塩酸反応させる方法、ヘキサノールとエピクロルヒドリンを反応させた後、得られたヘキシルグリシジルエーテルを加水解する方法、ヘキサノールとグリシドールを反応させる方法、ヘキサノールとアリルクロライドを脱塩酸反応させた後、過酸化水素等で酸化させ、得られたヘキシルグリシジルエーテルを加水解する方法等が挙げられる。また、グリセリンを使用する反応においては、グリセリンを低級脂肪酸で部分的にエステル化したものを使用して上記の反応を行い、反応終了後にケン化して脂肪酸を除去する方法や、グリセリンの部分ケタール化物を使用して上記の反応を行い、反応終了後にケタールをはずす方法を行えば、純度の高いものが得られる。これらの中でも、安価で、工業的に製造しやすいことから、ヘキサノールとエピクロルヒドリンを反応させた後、得られたヘキシルグリシジルエーテルを加水解する方法で製造するのが好ましい。
【0013】
上記のような方法で製造されたヘキシルグリセリルエーテルは、いずれの方法で製造したものにも不純物や副生成物が含まれる場合がある。不純物や副生成物の中には、例えば、ヘキサノールやグリセリン等の原料の残りや、ヘキシルポリグリセリルエーテル等の重合物、不快な臭いの原因となる微量成分等が挙げられる。これらの不純物や副生成物は除去することが好ましく、例えば、蒸留、再結晶、減圧による除去、吸着処理、水や有機溶剤との共沸等の方法で除去することができる。
【0014】
これらの不純物や副生成物の中でも、不快な臭いの原因となる微量成分の除去が最も難しい。化粧料に配合する場合、ヘキシルグリセリルエーテルに不快な臭いがあっても、香料等で臭いをマスキングすることにより問題なく使用することもできるが、近年は無香料の化粧料も多く、不快な臭いの原因となる微量成分を除去することが好ましい。
【0015】
不快な臭いの原因となる微量成分を除去する方法としては、例えば、蒸留、再結晶、減圧による除去、吸着処理、水や有機溶剤との共沸等の方法が挙げられるが、これらの微量成分は除去することが難しいため、これらの方法を繰り返して行うか、複数の方法を組み合わせて行うことが好ましい。
【0016】
本発明に使用できるヘキシルグリセリルエーテルの化粧料に対する配合量は、化粧料全体に対して0.001〜10質量%になるように添加することが好ましく、0.005〜8質量%がより好ましく、0.01〜5質量%が更に好ましい。配合量が10質量%を超えると、配合量に見合った効果が得られない場合や沈殿や分離等の問題が生じる場合があり、配合量が0.001質量%より少ないと、抗菌剤としての効果が得られない場合がある。
【0017】
ここで、本発明に使用している抗菌剤に関して更に詳しく説明する。本発明に使用している抗菌剤であるヘキシルグリセリルエーテルに近似した化合物としては、例えば、炭素数の違うその他のアルキルグリセリルエーテル、アルキルグリセリルエステル、アルカンジオール化合物及びこれらの化合物にアルキレンオキシドを付加した化合物等があり、これらのジオール化合物類にも抗菌剤としての効果があることが知られている。しかし、こうしたジオール類の抗菌剤は、均一透明な水溶液状の化粧料であればその抗菌性を十分に発揮することができるが、乳液やクリーム等の油溶性成分を含んだ化粧料では、抗菌性を十分に発揮することができないことがわかってきた。特にそうした化粧料を長期保存すると抗菌性の低下が顕著に表れる。その原因は不明であるが、推定するに、抗菌剤として添加したアルカンジオール等のジオール化合物が油溶性成分へ溶解しやすいため、油溶性成分中に取り込まれてしまい、一般的に水の中で繁殖する菌に接触することが少なくなるためではないかと考えられる。
【0018】
上記のような現象はパラベン等の抗菌剤には見られず、ジオール化合物特有の現象であるため、油溶性成分を含んだ化粧料の抗菌性を保つために、化粧料の形態によってはジオール類の抗菌剤を使用できない場合がある。この問題を解決するためには、抗菌剤の抗菌性を保ちながら、抗菌剤の水への溶解度を上げるか、油への溶解度を下げる方法が考えられる。しかしながら、水への溶解性を上げるために分子内の炭化水素基を小さくすると抗菌性は低下し、また、オキシエチレン基や硫酸基といった親水基をジオール類に付与すると抗菌性が低下してしまうため、油溶性成分を含有する化粧料に適応できる抗菌剤を得ることは困難であった。こうした中、式(1)で表わされる化合物は、抗菌剤として実際の製品への使用に耐えうる抗菌性を持ち、油溶性成分を含有する化粧料に使用しても、その抗菌性が低下しないことが確認された。
【0019】
本発明の化粧料は、ヘキシルグリセリルエーテルを含有した化粧料である。使用できる化粧料としては公知の化粧料であればいずれでもよい。なお本願の化粧料には、シャンプーやリンス等のトイレタリー製品も含まれる。こうした化粧料としては、例えば、化粧水、化粧液、乳液、クリーム、洗顔フォーム、クレンジングミルク、クレンジングローション、養毛剤、ヘアリキッド、セットローション、ヘアブリーチ、カラーリンス、パーマネントウェーブ液、口紅、パック、ファンデーション、オーデコロン、シャンプー、リンス、トリートメント、サンスクリーン、防臭剤、香水、クレンジングオイル及び化粧オイル等が挙げられる。
【0020】
上記に挙げた化粧料には、一部の化粧水のようにほとんど水で構成されたものや、化粧オイルのようにほぼ油溶性成分で構成されたもの、乳液やクリームのように水と油溶性成分とから構成されたものがある。本発明の抗菌剤は化粧料の種類を選ばず、ほとんど水で構成された化粧料であっても、ほとんど油溶性成分で構成された化粧料であっても使用できるが、水と油溶性成分の両方を含有した化粧料であれば他のジオール類の抗菌剤と比較して良好な抗菌性が得られる。更に、水が0.5質量%以上で油溶性成分が0.5質量%以上の化粧料であれば、本発明の抗菌剤は他のジオール類の抗菌剤と比較してより良好な抗菌性が得られ、水が1質量%以上で油溶性成分が1質量%以上であれば他のジオール類の抗菌剤と比較して更に良好な抗菌性が得られ、水が5質量%以上で油溶性成分が5質量%以上であれば他のジオール類の抗菌剤と比較して更に良好な抗菌性が得られ、化粧料がW/O又はO/Wのエマルションの形態を持つものは、他のジオール類の抗菌剤と比較して最も良好な抗菌性が得られる。
なお、本発明の化粧料における水および油溶性成分の濃度の上限は、通常、それぞれ99質量%であり、好ましくはそれぞれ95質量%である。
【0021】
上記に記載された油溶性成分とは、水への溶解度が5g/100ml未満、好ましくは1g/100ml未満、より好ましくは0.5g/100ml未満の成分である。水への溶解度が小さい成分が配合された化粧料ほど、本発明に使用できるヘキシルグリセリルエーテルの抗菌剤としての効果が顕著に表れる。こうした油溶性成分の中でも好ましい成分としては、例えば、炭素数8以上の高級アルコール、炭素数10以上の脂肪酸、炭素数8以上の脂肪酸エステル、炭素数10以上の炭化水素、天然油脂、合成油脂、天然ロウ、動粘度1mm/s以上のシリコーン化合物、炭素数3以上のオキシアルキレン基1種または2種以上からなる重量平均分子量1000以上のポリアルキレングリコール系化合物、HLB10以下のノニオン界面活性剤が挙げられる。
【0022】
炭素数8以上の高級アルコールとしては、例えば、オクチルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、イソセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、テトラデシルオクタデカノール、ドデシルヘキサデカノール、ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。
【0023】
炭素数10以上の脂肪酸としては、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等が挙げられる。
【0024】
炭素数8以上の脂肪酸エステルとしては、例えば、カプリン酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、エチルへキサン酸セチル、イソノナン酸オクチル、ジメチルオクタン酸へキシルデシル、フタル酸ジエチル、イソフタル酸ジエチル、アジピン酸ジイソステアリル、セバシン酸ジイソプロピル、ジステアリン酸グリコール、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、オキシステアリン酸オクチル等が挙げられる。
【0025】
炭素数10以上の炭化水素としては、例えば、イソドデカン、イソヘキサデカン、流動パラフィン、ワセリン、スクワラン、スクワレン、マイクロクリスタリンワックス、ミネラルオイル、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン、ポリデセン等が挙げられる。
【0026】
天然油脂としては、例えば、アーモンド油、アボカド油、シア脂、ヒマワリ種子油、マカデミアナッツ油、ラノリン、還元ラノリン、ミンク油、カカオ脂、ヤシ油、パーム油、パーム核油、水添ヤシ油、水添パーム油、水添パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油、大豆油、牛脂等が挙げられる。
【0027】
合成油脂としては、例えば、トリカプリン酸グリセリル、トリカプリル酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、トリヒドロキシステアリン酸グリセリルや、これらの合成油脂や上記の天然油脂をエステル交換反応によって脂肪酸組成を変えたエステル交換油脂等が挙げられる。
天然ロウとしては、例えば、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、ミツロウ等が挙げられる。
【0028】
動粘度1mm/s以上のシリコーン化合物としては、シリコーン(ジメチルポリシロキサン)、アルキル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン等が挙げられる。なお、通常、ポリエーテル変性シリコーンはHLB10以下であり、好ましくはHLB5以下である。
【0029】
炭素数3以上のオキシアルキレン基1種または2種以上からなる重量平均分子量1000以上のポリアルキレングリコール系化合物としては、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリスチレングリコール、ポリプロピレングリコールアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールアルキルエステル、ポリプロピレングリコールとポリブチレングリコールのブロックまたはランダム共重合体等が挙げられる。
【0030】
HLB10以下のノニオン界面活性剤としては、グリセリンモノステアリン酸エステル、エチレングリコールモノステアリン酸エステル、ソルビタンモノオレイン酸エステル、ソルビタンモノステアリン酸エステル、エチレングリコールモノラウリルエーテル、ジエチレングリコールモノオレイルエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックまたはランダム共重合体等が挙げられる。なお、好ましいノニオン面活性剤としてはHLB5以下のものである。
【0031】
本発明の化粧料は、上記の油溶性成分に該当せず、化粧料に使用できる成分、例えば、界面活性剤、増粘剤、粉体(顔料、色素、樹脂)、その他の抗菌剤、香料、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶媒、酸化防止剤、キレート剤、パール化剤、中和剤、pH調整剤、酵素等の成分を化粧料の種類によって適宜配合することができる。
【0032】
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、HLBが10より大きいノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられ、アニオン界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、硫化オレフィン塩、高級アルキルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、硫酸化脂肪酸塩、スルホン化脂肪酸塩、リン酸エステル塩、脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、グリセライド硫酸エステル塩、脂肪酸エステルのスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、脂肪酸アルカノールアミド又はそのアルキレンオキサイド付加物の硫酸エステル塩、スルホコハク酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルベンゾイミダゾールスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンスルホコハク酸塩、N−アシル−N−メチルタウリンの塩、N−アシルグルタミン酸又はその塩、アシルオキシエタンスルホン酸塩、アルコキシエタンスルホン酸塩、N−アシル−β−アラニン又はその塩、N−アシル−N−カルボキシエチルタウリン又はその塩、N−アシル−N−カルボキシメチルグリシン又はその塩、アシル乳酸塩、N−アシルサルコシン塩、及びアルキル又はアルケニルアミノカルボキシメチル硫酸塩等の1種または2種以上の混合物を挙げることができる。
【0033】
HLBが10より大きいノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの付加形態は、ランダム状、ブロック状の何れでもよい。)、ポリエチレングリコールプロピレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0034】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキル(アルケニル)トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル(アルケニル)ジメチルアンモニウム塩、アルキル(アルケニル)四級アンモニウム塩、エーテル基或いはエステル基或いはアミド基を含有するモノ或いはジアルキル(アルケニル)四級アンモニウム塩、アルキル(アルケニル)ピリジニウム塩、アルキル(アルケニル)ジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキル(アルケニル)イソキノリニウム塩、ジアルキル(アルケニル)モルホニウム塩、ポリオキシエチレンアルキル(アルケニル)アミン、アルキル(アルケニル)アミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体、アミルアルコール脂肪酸誘導体、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン、スルホベタイン、ホスホベタイン、アミドアミノ酸、イミダゾリニウムベタイン系界面活性剤等が挙げられる。
【0035】
これらの界面活性剤の使用量は、添加する化粧料の種類によって異なるが、化粧料全量に対して0.1〜30質量%になるように添加するのが好ましく、0.5〜20質量%がより好ましい。
【0036】
増粘剤としては、例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、セルロース又はその誘導体、ケラチン及びコラーゲン又はそれらの誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グアーガム、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、β−グルカン、ジェランガム、デキストラン等が挙げられる。これらの増粘剤の使用量は、添加する化粧料の種類によって異なるが、化粧料全量に対して0.01〜10質量%になるように添加するのが好ましく、0.1〜8質量%がより好ましい。
【0037】
粉体としては、例えば、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号Alレーキ、黄色203号Baレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、シリコーンパウダー、セルロースパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の高分子、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン等の体質顔料、雲母、チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等)に特に制限はない。
【0038】
これらの粉体の使用量は、添加する化粧料の種類によって異なるが、化粧料全量に対して0.01〜10質量%になるように添加するのが好ましく、0.1〜5質量%がより好ましい。
【0039】
保湿剤としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水解卵殻膜等の生体高分子、アミノ酸、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ等が挙げられる。これらの保湿剤の使用量は、添加する化粧料の種類によって異なるが、化粧料全量に対して0.1〜30質量%になるように添加するのが好ましく、0.5〜20質量%がより好ましい。
【0040】
溶媒としては、例えば、精製水、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【実施例】
【0041】
以下本発明を実施例により、具体的に説明する。尚、以下の実施例等において%は特に記載が無い限り質量基準である。
【0042】
<試験に使用した化合物>
A化合物(本発明品)
(A−1)3−n−ヘキシロキシ−1,2−プロパンジオール
B化合物(比較成分)
(B−1)3−n−ブトキシ−1,2−プロパンジオール
(B−2)3−(2−エチルヘキシロキシ)−1,2−プロパンジオール
(B−3)3−n−オクトキシ−1,2−プロパンジオール
(B−4)3−n−デシロキシ−1,2−プロパンジオール
(B−5)1,2−オクタンジオール
(B−6)1,2−デカンジオール
【0043】
<試験方法>
下記の配合量に従い、抗菌剤を配合した各種化粧料(クリーム、乳液、化粧水)を以下の配合に従って作成し、これら配合直後の化粧料と、該化粧料を25℃の暗所で一定期間保存したものを試験に使用した。試験方法としては、「第十四改正日本薬局方第二部 参考情報15.保存効力試験法」に準じ、配合直後及び保存後の化粧料に菌1〜菌3の菌種を1×10/mlになるように混合し、これら菌種を混合した化粧料を25℃の暗所に保存し、径時でこれらの化粧料内の菌数を測定した。菌数の測定方法は、対象となる化粧料を滅菌された水で希釈し、該希釈液1mlを滅菌シャーレに移した後、45℃に保った普通寒天培地を該シャーレに入れて軽くかき混ぜ、24時間後にシャーレ内に発生したコロニー数を該希釈液の菌数とする。該化粧料の菌数は、希釈率に応じて希釈液の菌数から求めた。(例えば、10000倍に希釈した希釈液の菌数が250であれば、化粧料の菌数は250×10/mlとなる。)
【0044】
なお、使用した菌の種類及び評価は以下の通りである。
菌1:Bacillus subtilis IFO3134(枯草菌)
菌2:Escherichia coli ATCC14948(大腸菌)
菌3:Staphylococcus aureus IFO13276(黄色ブドウ球菌)
評価
◎:菌数が0〜10/ml
○:菌数が10〜10/ml
△:菌数が10〜10/ml
×:菌数が10以上/ml
【0045】
(実施例1)
<クリーム> 配合量(質量%)
スクワラン 15.00
トリカプリル酸グリセリル 8.00
ステアリン酸グリセリル 5.00
グリセリン 3.00
ステアリン酸PEG−4 1.50
セタノール 1.00
メチルポリシロキサン 0.50
グルコース 0.50
レシチン 0.50
グリシン 0.20
セリン 0.20
トレオニン 0.17
グルタミン酸 0.16
アラニン 0.10
ヒアルロン酸Na 0.10
アルギニン 0.08
リシンHCl 0.07
プロリン 0.02
抗菌剤(A成分又はB成分) 0.50
水 残部
【0046】
【表1】

【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【0049】
実施例2
<乳液> 配合量(質量%)
ステアリン酸 3.50
セタノール 0.50
ラノリン 0.50
流動パラフィン 3.00
スクワラン 2.00
トリエタノールアミン 0.80
ジプロピレングリコール 3.00
ソルビトール 2.00
カルボキシビニルポリマー1%液 8.00
ヤシジエタノールアミド 1.00
ヒアルロン酸ナトリウム 0.20
アミノ酸類 0.50
ジブチルヒドロキシトルエン 0.01
トコフェノール 0.03
抗菌剤(A成分又はB成分) 0.50
精製水 残部
【0050】
【表4】

【0051】
【表5】

【0052】
【表6】

【0053】
(実施例3)
<化粧水> 配合量(質量%)
グリセリン 5.00
トリメチルグリシン 1.00
ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 1.00
スクワラン 0.50
ツバキ油 0.50
アジピン酸 0.40
ペクチン 0.20
水酸化カリウム 0.10
抗菌剤(A成分又はB成分) 0.50
精製水 残部
【0054】
【表7】

【0055】
【表8】

【0056】
【表9】

【0057】
以上の結果より、水と油溶性成分を含んだいずれの化粧料においても、本発明の化粧料に使用できる抗菌剤(ヘキシルグリセリルエーテル)を含んだものは、化粧料を長期保存した後であっても製造直後と変わらない抗菌性を示した。一方、その他の抗菌剤は、化粧料の製造直後には本発明の化粧料と同等以上の抗菌性能を示すものもあるが、化粧料の長期保存によって抗菌性能はいずれも低下してしまうことが確認された。
【0058】
参考試験1
上記の試験方法に従い、化合物A−1、B−3およびB−5のみを含む水溶液を用いて、その水溶液における試験化合物の抗菌性を評価した。
【0059】
【表10】

【0060】
【表11】

【0061】
【表12】

【0062】
参考試験2
上記の試験方法に従い、化合物A−1、B−3およびB−5を、下記の成分を含む化粧水組成物に配合して、その組成物における各試験化合物の抗菌性を評価した。
<化粧水(油溶性成分なし)>
ジプロピレングリコール 8.00
クエン酸ナトリウム 0.10
クエン酸 0.01
抗菌剤(A成分又はB成分) 0.50
水 残部
【0063】
【表13】

【0064】
【表14】

【0065】
【表15】

【0066】
上記の参考試験1および2の結果から、水のみ、もしくは油溶性成分を含まない化粧水において、本発明品や比較成分のいずれでも長期に亘り、安定した抗菌性を示した。この結果から、本願発明のヘキシルグリセリルエーテルは油溶性成分と併用されたときに優れた抗菌性効果を示すことがわかる。
【0067】
(安全性試験)
株式会社ジャパンティッシュエンジニアリング社製のヒト3次元培養表皮モデル(LabCyte EPI−MODEL)を使用して、in vitro皮膚刺激性試験を行った。試験方法は下記の順に行い、最終的に染色された3次元培養表皮モデルの570nmにおける吸光度を測定して生細胞率を算出した。生細胞率が高いほど、人体の皮膚に対する刺激性が少ないと判断できる。
【0068】
<試験方法>
(1)ヒト3次元培養表皮モデルを、アッセイ培地を分注した24ウェルマイクロプレートにセットする。
(2)COインキュベーターでインキュベーションする(10%CO、37℃、5時間)。
(3)0.5質量%水溶液に調整した試験液を100μl添加する。
(4)COインキュベーターでインキュベーションする(10%CO、37℃、24時間)。
(5)ヒト3次元培養表皮モデルに付着している試料をリン酸緩衝液で洗浄する。
(6)アッセイ培地を除去した後、MTT培地を分注する。
(7)COインキュベーターでインキュベーションする(10%CO、37℃、3時間)。
(8)染色されたヒト3次元培養表皮モデルをイソプロパノールで抽出する。
(9)570nmの吸光度を測定し、下記の式から生細胞率を計算する。
【0069】
生細胞率(%)=(評価物質の吸光度−ブランクの吸光度)/(陰性対照の吸光度−ブランクの吸光度)×100
【0070】
【表16】

【0071】
抗菌剤として効果のあるB−2、B−5は生細胞率が低く、刺激性が高いと推定される。また、生細胞率の高いB−1は、抗菌剤としての効果が低く、抗菌剤としての使用はできない。一方A−1は、抗菌剤としての効果が高く、更に高い生細胞率をもつことから、人体に対する刺激性も低いと推定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、油溶性成分及び下記式(1)で表わされるヘキシルグリセリルエーテルを含有することを特徴とする化粧料。
【化1】

【請求項2】
ヘキシルグリセリルエーテルの含有量が化粧料全量に対して0.001〜10質量%であることを特徴とする請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
水を0.5〜99質量%、及び油溶性成分を0.5〜99質量%含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】
化粧料の形態がエマルションであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧料。

【公開番号】特開2011−57647(P2011−57647A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211554(P2009−211554)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000000387)株式会社ADEKA (987)
【Fターム(参考)】