説明

医用情報処理装置

【課題】医用画像の指定操作を容易にする。
【解決手段】検像装置は、一連のシリーズに属し、当該シリーズ内で画像番号が付与された医用画像のうち、先頭及び末尾の画像番号から順にそれぞれ所定枚数の医用画像を抽出し、この先頭から順に抽出した医用画像と、末尾から順に抽出した医用画像とを並べて表示部上に表示させる(ステップS14)。前記表示された医用画像の中から、操作部を介して読影に供する医用画像の範囲の始点及び終点に該当する医用画像が指定操作されると(ステップS17)、指定された始点及び終点の医用画像に、前記範囲の始点又は終点であることを示す情報を付帯させる(ステップS18)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野では、CR(Computed Radiography)装置やCT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置等の各種画像生成装置(モダリティともいう)とPACS(Picture Archiving and Communication System)等をネットワーク接続したシステムが用いられている。このシステムでは、画像生成装置により撮影し、デジタル化した医用画像のデータを、PACSで管理し、診察等の利用に供している。
【0003】
従来、画像生成装置で生成された医用画像をPACSへ転送する前に、撮影技師等が医用画像を閲覧し、指示通りに撮影されているかどうかを確認したり、読影に適した画像濃度等に画像処理の操作をおこなったりする検像操作が可能なシステムが開発されている。
検像操作のために医用画像を表示する際には、検像者が閲覧しやすいように、医用画像を予め画像属性(例えば、種別)毎に医用画像を分類して表示する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−292654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
CT装置等では、胸部から腹部にかけて等、一定範囲について撮影を行い、その範囲内で断層の医用画像を生成することから、1度の撮影で100枚〜数千枚等の多数の医用画像が得られることが多い。一般に、医師が診察に必要として指定した範囲の医用画像を確実に得るため、指定範囲よりさらに範囲を広げて撮影を行うことが多い。そのため、得られた医用画像の中には医師が必要としない医用画像もあり、読影に必要な範囲を検像操作によって決定することも行われている。
【0005】
上記検像操作を行う際、従来は図10に示す表示方法で医用画像の表示を行っていた。図10に示す表示画面では、同じ撮影によって生成された一連の医用画像をシリーズに属するものとし、そのシリーズ毎に医用画像を分類してそのサムネイル画像を表示している。サムネイル画像は、医用画像に付与された画像番号順(画像番号は医用画像の生成順に付与される)に先頭から並べて表示されている。
この表示方法によれば、シリーズ単位で医用画像を把握することができるが、CT装置で生成された医用画像のように、1シリーズに属する医用画像数が多い場合、当該シリーズの表示領域に収まりきらない。そのため、表示領域に表示可能な枚数分だけ表示させ、表示できなかった残りの医用画像をスクロール表示等によって表示させる(これをタイル表示という)。若しくは、医用画像上に他の医用画像を順次重ねて表示させるスタック表示を行い、前面に表示する医用画像をスクロール操作で切り替えることとなる。
【0006】
読影に必要な範囲を決定するにあたっては、その範囲の始点及び終点に該当する医用画像、つまり画像番号の順番が大きく離れた医用画像をそれぞれ指定操作することになるが、上記表示方法では先頭から順にスクロール操作して表示する医用画像を切り替えていくので、現在表示中の医用画像がシリーズ内でどれぐらいの位置(順番)になるのか、全体的な把握が難しい。また、始点及び終点は医用画像の画像番号の先頭又は末尾からほぼ同じ間隔のところに決定する場合もあるが、上記の表示方法では始点と終点の指定が分離した操作となるため、終点の指定操作の際には始点を医用画像の先頭からどれぐらいの間隔のところで決定したのか、分からなくなるといった問題もあった。
【0007】
本発明の課題は、医用画像の指定操作を容易にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、医用情報処理装置において、
画像を表示するための表示手段と、
一連のシリーズに属し、当該シリーズ内で画像番号が付与された医用画像のうち、先頭及び末尾の画像番号から順にそれぞれ所定枚数の医用画像を抽出し、この先頭から順に抽出した医用画像と、末尾から順に抽出した医用画像とを並べて前記表示手段上に表示させる表示制御手段と、
前記表示された医用画像の中から、読影に供する医用画像の範囲の始点及び終点に該当する医用画像を指定操作するための操作手段と、
前記操作手段を介して指定された始点及び終点の医用画像に、前記範囲の始点又は終点であることを示す情報を付帯させる付帯制御手段と、
を備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医用情報処理装置において、
前記表示制御手段は、前記操作手段を介して前記先頭及び末尾から抽出した医用画像の表示領域の拡大操作がなされると、その拡大範囲に応じて先頭又は末尾から抽出する医用画像数を増加させ、増加分の医用画像を前記表示された先頭又は末尾から抽出した医用画像に追加して表示させる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の医用情報処理装置において、
前記表示制御手段は、前記先頭及び末尾から抽出する医用画像の数を、先頭及び末尾何れも同じ数とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、画像番号の先頭又は末尾から抽出された医用画像を並べて表示するので、シリーズに属する医用画像の中から読影に必要な範囲を決定する際、画像番号の先頭と末尾からの医用画像を同時に閲覧することができ、当該範囲の始点及び終点の指定操作が容易となる。また、医用画像全体において読影に必要な範囲が占める位置が把握しやすく、範囲の決定がしやすいものとなる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、拡大操作によって画像番号の先頭及び末尾からの医用画像の表示数を増加させることができる。最初に表示した所定枚数の医用画像の中に、読影に必要な範囲が含まれなかった場合には、表示領域の拡大操作という簡便な操作によりさらに閲覧する医用画像数を拡大することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、先頭及び末尾から抽出する医用画像の数を均等とするので、シリーズに属する医用画像全体に対しての先頭又は末尾からの位置付けが把握しやすくなる。これにより読影に必要な範囲の決定が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
まず、構成を説明する。
図1に、医用画像システム100のシステム構成を示す。
医用画像システム100は、図1に示すようにRIS1、画像生成装置2、検像装置3、PACS4、制御装置5を備えて構成されている。各装置1〜5はネットワークNを介して接続されている。
【0015】
RIS1は、放射線科内の情報を管理する放射線科情報システムであり、オーダ情報を生成して管理する。オーダ情報は、医師のオーダ情報の登録操作に応じて生成され、撮影すべき患者の患者情報、検査内容に関する検査情報等から構成されている。患者情報には、例えば患者の氏名、患者ID(個々の患者に付与されたID)、性別等の情報が含まれる。検査情報には、例えば検査ID(検査を個々に識別するめたに付与されるID)、撮影に用いるモダリティ(CR装置、CT装置等の名称)、撮影方法(単純撮影、拡大撮影等)、撮影部位(胸部、腹部等)、撮影方向(正面、斜位等)、撮影体位(立位、臥位等)等の情報が含まれる。
【0016】
RIS1は、必要な撮影単位でオーダ情報を生成する。例えば、同じCR装置によって胸部正面と胸部側面と、撮影方向が異なる場合でもそれぞれ撮影を行うので2つのオーダ情報を生成する。一方、CT装置によって腹部のある範囲について断層画像を撮影する際には、複数枚の医用画像が生成されるが、撮影単位としては1撮影であるので、1つのオーダ情報のみを生成する。
このように生成したオーダ情報に、RIS1はオーダID(個々のオーダ情報に付与されるID)を付して管理する。そして、これらオーダ情報を制御装置5に送信する。
【0017】
画像生成装置2は、患者を撮影し、医用画像のデータを生成する画像生成装置である。本実施形態では、CT装置、CR装置、MRI装置の種類の各画像生成装置2a〜2cを備えることとするが、内視鏡撮影装置、超音波撮影装置等、他の種類のモダリティを適用することも可能である。
【0018】
画像生成装置2は、制御装置5から配信されるオーダ情報に従って、患者を撮影する。そして、生成した医用画像のデータに、オーダ情報に含まれる検査ID、患者ID等の患者情報、検査情報を付帯させて医用画像を特定可能とした後、制御装置5に送信する。情報の付帯は、医用画像のヘッダ領域に情報を書き込むこと等によりすることができる。なお、画像生成装置2は撮影の実施や医用画像の生成に関する情報を医用画像とともに制御装置5に送信する。
【0019】
検像装置3は、本実施形態に係る医用情報処理装置であり、医用画像について検像操作を行うためのものである。
検像操作とは、医用画像がオーダ情報に従って生成されているかどうかの確認操作、医用画像の画質操作、オーダ情報の修正操作等をいう。
【0020】
検像装置3は、図2に示すように、制御部31、操作部32、表示部33、通信部34、記憶部35、画像メモリ36等を備えて構成されている。
【0021】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)等から構成されている。制御部31は、記憶部35から制御プログラムを読み出し、当該制御プログラムとの協働により各種演算を行い、各部32〜36の動作を集中制御する。
【0022】
操作部32は、キーボード、マウス等を備え、これらの操作に応じた操作信号を生成して制御部31に出力する。
表示部33は、LCD(Liquid Crystal Display)等を備え、制御部31の表示制御に従って、各種操作画面や医用画像等の表示を行う。
【0023】
通信部34は、ネットワークインターフェイスカード等の通信用インターフェイスを備え、制御部31の通信制御に従って、ネットワークN上の外部装置と通信を行う。
記憶部35は、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体から構成されている。
記憶部35には、制御部31が実行する制御プログラム等の各種プログラムの他、プログラムの実行に必要なデータ等が記憶されている。
【0024】
画像メモリ36は、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体から構成されている。
画像メモリ36には、画像生成装置2において生成された医用画像のデータが記憶されている。医用画像は、検像操作がまだ行われていない検像待ちのものと、検像操作が行われた検像済みのものに分けて記憶されている。
【0025】
PACS4は、検像装置3において検像操作が行われた医用画像のデータを保存する画像サーバの他、医師が当該保存された医用画像を読影するための端末装置等を含んで構成されている。端末装置から読影の要求情報を受信すると、画像サーバが保存している医用画像を端末装置に配信する。端末装置が配信された医用画像を表示することにより、医師が読影を行うことが可能となる。
【0026】
制御装置5は、オーダ情報の流れや医用画像の撮影等を統括的に制御するものである。
制御装置5は、RIS1から配信されたオーダ情報を、そのオーダ情報によって指定されている画像生成装置2に配信するとともに、検像装置3に送信する。一方、画像生成装置2から医用画像のデータを受信すると、当該医用画像に対応するオーダ情報に含まれる患者情報及び検査情報に加えて、シリーズ情報、画像詳細情報等を生成して付帯させる。
【0027】
図3に、付帯情報の一例を示す。
図3に示すように、付帯情報には患者情報T1、検査情報T2、シリーズ情報T3、画像詳細情報T4が含まれる。ここで、シリーズ情報T3とは互いに関連する医用画像を一連のシリーズに属するものとして取り扱う場合に、その医用画像が属するシリーズに関する情報をいう。例えば、CT装置では胸部から腹部にかけて等、ある範囲にわたる断層を撮影するため、1回の撮影で100枚〜数千枚単位の複数の医用画像(断層画像)を生成することとなる。このような場合、同一撮影で得られた各断層画像を1つのシリーズに属するものとして取り扱う。制御装置5は、そのシリーズにおける検査部位等の情報をシリーズ情報T3として生成する。そして、各シリーズに対してシリーズ番号を付し、同一シリーズに属する全ての医用画像に同一のシリーズ情報T3を付帯させる。なお、シリーズ情報T3の生成に必要な情報は画像生成装置2から取得する。
【0028】
画像詳細情報T4は、医用画像に関する情報である。例えば、図3に示すように医用画像を生成した際の割当ビット、画像の生成時刻等の情報である。制御装置5は、画像生成装置2からこれらの情報を取得して画像詳細情報T4を生成する。また、制御装置5はオーダ情報単位又はシリーズ単位で医用画像に画像番号を付す。画像番号は、医用画像の生成順を示す番号である。例えば、CR装置で胸部正面を2枚撮影するオーダ情報であった場合、生成された2枚の医用画像について画像番号はそれぞれ生成順に「1」、「2」と付す。また、胸部正面を1枚、胸部側面を1枚撮影する2つのオーダ情報があった場合には、それぞれ画像番号は「1」となる。一方、シリーズに属する医用画像についてはそのシリーズ内で生成した順に画像番号を付す。
履歴情報T5は、検像装置3によって付帯されるものであるので、詳細は後述する。
【0029】
なお、画像番号及びシリーズ番号は、後に医用画像を表示する際に医用画像の表示順を決定する要素となる。すなわち、検像装置3やPACS4の端末装置等において医用画像を表示する際には、シリーズ番号順、画像番号順に医用画像を表示することとなる。
【0030】
各情報T1〜T5には、それぞれの情報に固有の患者情報LID、検査情報LID、シリーズ情報LID、画像詳細情報LID、履歴情報LIDが付されている。検査情報T2に患者情報LIDを含め、同様にシリーズ情報T3に検査情報LID、画像詳細情報T4に患者情報LID、検査情報LID、シリーズ情報LID、履歴情報T5にシリーズ情報LID、画像詳細情報LIDを含めることで、各情報T1〜T5を対応付けている。
【0031】
次に、動作について説明する。
医用画像システム100の全体的な処理の流れについて説明する。
医用画像システム100では、大きく分けて(1)オーダ情報の生成、(2)オーダ情報に基づく撮影、医用画像の生成、(3)医用画像について検像処理、(4)PACS4へ転送、の工程を経る。
【0032】
(1)オーダ情報の生成
RIS1は、オーダ情報の登録操作に応じてオーダ情報を生成する。RIS1は生成したオーダ情報にオーダIDを付して制御装置5に送信する。
(2)オーダ情報に基づく撮影、医用画像の生成
制御装置5は、オーダ情報を参照し、指定されている画像生成装置2へオーダ情報を配信する。また、同じオーダ情報を検像装置3へ送信する。
画像生成装置2は、撮影技師にオーダ情報の内容を示すため、オーダ情報に基づいて患者氏名、撮影部位等を表示部上に表示する。そして、撮影指示操作に応じて撮影を行う。その後、医用画像のデータを生成し、制御装置5に送信する。制御装置5は、医用画像にオーダ情報に含まれる患者情報や検査情報、シリーズ情報、画像詳細情報を付帯させて検像装置3へ転送する。
【0033】
(3)医用画像についての検像処理
検像装置3は、検像者の検像操作に応じて様々な検像処理を施す。検像処理については後述する。
(4)PACS4への転送
検像装置3は、検像処理が終了した医用画像のデータを順次PACS4へ転送する。PACS4では当該医用画像を保存する。そして、読影医が使用する端末装置からの要求に応じて医用画像を配信し、医師の読影、診察に供する。
【0034】
次に、上記検像装置3における検像処理について、図4を参照して説明する。
図4は、検像処理の流れを説明するフローチャートである。
まず、制御部31は画像メモリ36に記憶されている医用画像を読み出す。そして、制御装置5から送信されたオーダ情報のうち、読み出した医用画像と対応するオーダ情報と、当該医用画像の付帯情報との整合性をチェックする処理を行う(ステップS1)。これは、医用画像がオーダ情報に従って生成されたものであるか否かを確認するために行う処理である。具体的にはオーダ情報、付帯情報に含まれる患者情報、検査情報をそれぞれ照合し、一致すれば整合性があるとし、不一致であれば整合性がないと判断する。制御部31は、このチェックの結果を表示部33上に表示させる。例えば、オーダ情報の一覧において、整合性がないとされたものに色を付す等する。
【0035】
次に、画像濃度の調整処理を実行する(ステップS2)。
医用画像は撮影部位等に応じて読影しやすい画像濃度がある。制御部31は、医用画像の付帯情報を参照して撮影部位を判断した後、その撮影部位に応じて予め作成された階調変換テーブル(ルックアップテーブル)を用いて医用画像の階調変換を行う。或いは、検像者の濃度やコントラストの調整操作に応じて医用画像の濃度調整を行う。
【0036】
次に、医用画像の並び順の変更処理を行う(ステップS3)。
これは医用画像の表示順の変更操作に応じて、医用画像の並び順を決定する元となる画像番号、シリーズ番号等を変更する処理である。制御部31は、変更前後の画像番号、シリーズ番号の情報等を変更の履歴を示す履歴情報T5(図3参照)として生成し、医用画像に付帯させる。
【0037】
並び順を変更すると、検像範囲の設定処理を行う(ステップS4)。
検像範囲とは、医師の読影に供する医用画像の範囲をいう。例えば、図5に示すようにCT装置において撮影を行う場合、撮影は読影に必要な部位の医用画像を確実に確保するため指定された部位部分にマージン部分を加えて行われる。そのため、撮影範囲(図5の矢印で示す範囲)から得られる全ての医用画像が読影に必要とされるわけではない。よって、効率的な読影のため、読影に必要な範囲の医用画像を抽出する操作が必要となる。検像範囲の設定処理では、検像者による検像範囲の始点及び終点となる医用画像の指定操作に応じて、制御部31が一連の医用画像の中から指定された医用画像を検像範囲の始点及び終点として決定する。そして、当該医用画像に検像範囲の始点又は終点である旨を示すフラグ情報を付帯させる(図3の画像詳細情報T4参照)。なお、処理の詳細については後述する。
【0038】
また、オーダ情報又は医用画像の付帯情報等の情報の修正処理を実行する(ステップS5)。情報の修正処理は、ステップS2においてオーダ情報との整合性がとれていない医用画像については、そのオーダ情報又は付帯情報を書き換える処理である。書き換えは、検像者の修正操作(例えば、患者の修正後の氏名の入力操作等)に応じて制御部31が行う。
以上の全ての検像処理を終了すると、制御部31は通信部34を介して、検像済みの医用画像のデータをPACS4に送信させる配信処理を実行する(ステップS6)。
【0039】
次に、ステップ4の検像範囲の設定処理について、図6を参照して説明する。
図6に示すように、制御部31は検像対象の医用画像を画像メモリ36から読み出す(ステップS11)。なお、検像対象の医用画像は、図7に示す検像待ちリスト画面d1において検像対象として選択されたものを読み出す。検像待ちリスト画面d1は、検像処理がなされていない医用画像のオーダ情報一覧を示すものである。検像待ちリストd1には、図7に示すように、オーダ情報の一覧を表示するリスト領域d11、リスト領域d11において選択されたオーダ情報に対応する医用画像のサムネイル画像を表示するサムネイル領域d12、リスト領域d11に表示されたオーダ情報の中から所望のオーダ情報を検索するための探索領域d13が設けられている。
【0040】
リスト領域d11では、図7に示すように制御装置3から受信されたオーダ情報のうち、検像処理がされていない医用画像のオーダ情報を表示させる。制御部31はオーダ情報に基づいてその内容、例えばオーダ情報の受信日時、検査ID、患者ID、患者氏名、モダリティ、撮影方法、撮影部位、撮影方向等の情報を表示させる。
なお、上述した整合性のチェック処理の処理結果をここで表示することとしてもよい。例えば、整合性がとれていないと判断されたオーダ情報についてはリスト領域d11において当該オーダ情報に赤色を付す等する。このように整合性がとれている他のオーダ情報と識別可能に表示することにより、検像者は容易に整合性がとれていないと判断されたオーダ情報を判別することができる。
【0041】
サムネイル領域d12では、制御部31は医用画像に付帯されている画像番号の順にサムネイル画像gを並べて表示させる。画像番号は画像生成装置2において生成された順に発行されているので、サムネイル画像gの並び順は医用画像の生成順と一致することとなる。サムネイル画像gは、検像者による医用画像の確認及び医用画像の並び順の変更操作に使用される。
また、制御部31は、サムネイル画像gの表示方法として、シリーズ単位毎に表示するか否かを切り替える表示切替メニューk1をサムネイル領域d12に設ける。
【0042】
検索領域d13では、制御部31は所望のオーダ情報の検査ID、患者ID等を検索キーワードとして入力するための入力領域を設ける。検索時には、制御部31はこの入力領域に入力された情報と一致する付帯情報を有するオーダ情報を検索する。検索されたオーダ情報は、リスト領域d11において青色を付す等する。
【0043】
ここでは、検像待ちリスト画面d1において、シリーズの医用画像が撮影されたオーダ情報が選択され、当該シリーズに属する医用画像を読み出したこととする。
次いで、制御部31は読み出した医用画像の数が閾値xを超えているか否かを判別する(ステップS12)。閾値xは、医用画像を並べて表示する際に一度に表示可能な医用画像数である。閾値xを超えていない場合(ステップS12;N)、制御部31は読み出した医用画像を画像表示画面上に並べて表示させる(ステップS13)。なお、制御部31は医用画像のサムネイル画像を生成し、当該サムネイル画像により医用画像の表示を行う。表示後、本処理を終了する。
【0044】
一方、閾値xを超える場合(ステップS12;Y)、制御部31は読み出したシリーズに属する医用画像のうち、その画像番号の先頭及び末尾から画像番号順にそれぞれx枚ずつ医用画像を抽出する。制御部31は、先頭から順に抽出した医用画像と、末尾から順に抽出した医用画像とを、画像表示画面上に並べて表示させる(ステップS14)。医用画像をサムネイル画像により表示させる点は、上記と同様である。
【0045】
図8に、画像表示画面の例を示す。
図8に示すように、制御部31は画像表示画面d2にシリーズ毎の表示領域d21〜d23を設け、この表示領域d21〜d23にそのシリーズに属する医用画像のサムネイル画像を表示させる。なお、表示領域d21〜d23において一行に並べて表示可能なサムネイル画像の最大数は予め定められており、その最大数がxで示される。すなわち、上記ステップS14では、表示領域d21〜d23において最大表示できる数xだけ、先頭及び末尾から医用画像を抽出することとなる。
【0046】
画像表示画面d2ではx=14の例を示している。
閾値x以下の枚数の医用画像を表示する場合、表示領域d21、d23に示すように、1シリーズ分の医用画像全てのサムネイル画像を表示領域d21又はd23に並べて表示する。
【0047】
一方、表示領域d22は、閾値xを超える枚数の医用画像を表示した例である。
閾値xを超える場合、シリーズの先頭、つまり画像番号1の医用画像から昇順に画像番号xの医用画像までを抽出する。また、シリーズの末尾、つまり画像番号nの医用画像から降順に画像番号(n−x)の医用画像までを抽出する。そして、表示領域d22を上下2行に分け、上段に先頭からx枚抽出した医用画像のサムネイル画像を、下段に末尾からx枚抽出した医用画像のサムネイル画像を並べて表示させる。
【0048】
この表示により、検像者は検像範囲の始点、終点となる医用画像を指定するにあたり、シリーズに属する医用画像の先頭及び末尾の部分を同時に閲覧することができる。そして、表示された先頭部分から検像範囲の始点となるべき医用画像を、表示された末尾部分から検像範囲の終点となるべき医用画像を指定操作する。
【0049】
なお、先頭及び末尾からx枚のところに検像範囲となる医用画像が含まれない場合、表示する医用画像数を増加させることが可能である。このとき、検像者は、表示領域d22の拡大操作を行えばよい。拡大操作は、マウス操作により表示領域d22の端部をドラッグ操作し、所望の拡大範囲となる位置でドロップ操作する。或いは、マウスホイールにより拡大操作可能としてもよい。
【0050】
操作部32を介して拡大操作がなされると(ステップS15;Y)、制御部31は表示領域d22に医用画像を追加表示させる。1行に表示できるサムネイル画像の最大数xに対し、拡大操作により表示可能となった行数をyとすると、制御部31は、シリーズに属する医用画像の先頭及び末尾からそれぞれxy/2枚の医用画像を抽出する。そして、表示領域d22を指定された位置まで拡大させ、当該表示領域d22に先頭から抽出したxy/2枚の医用画像と、末尾から抽出したxy/2枚の医用画像とを上下に並べて表示させる(ステップS16)。これにより、拡大された領域分だけ医用画像が追加表示されることとなる。
【0051】
図9に、追加表示した例を示す。
図9は、拡大した表示領域d22に、x=14、y=10として先頭及び末尾から抽出した医用画像を表示する例である。先頭及び末尾から抽出した医用画像は、それぞれ14枚のサムネイル画像×5行分で表示されることとなる。すなわち、拡大操作により先頭及び末尾から均等に医用画像の追加表示がなされることとなる。
【0052】
ここで、検像者により検像範囲の始点、終点となる医用画像が、サムネイル画像によって選択操作されると(ステップS17;Y)、制御部31は検像範囲の始点又は終点であることを示すフラグ情報を生成して、それぞれ選択された医用画像に付帯させる(ステップS18)。その後、本処理を終了する。
【0053】
以上のように、本実施形態によれば、シリーズに属する複数の医用画像を表示するにあたり、閾値xを超える場合には医用画像の画像番号の先頭又は末尾から所定枚数xずつ抽出し、当該先頭から抽出したx枚の医用画像と、末尾から抽出したx枚の医用画像とを、同じ表示領域に上下に並べて表示させる。検像範囲を設定する際、画像番号の先頭と末尾から順に医用画像を閲覧して検像範囲の始点及び終点を決定するので、上記表示により検像者は医用画像の先頭部分と末尾部分を同時に閲覧することができ、検像範囲の始点及び終点の指定が容易となる。これにより、検像操作が効率的となる。
【0054】
また、表示領域の拡大操作に応じて当該表示領域を拡大するとともに、抽出する医用画像の数を増加させる。すなわち、拡大領域yに応じて医用画像の画像番号の先頭又は末尾からxy枚ずつ医用画像を抽出し、当該先頭から抽出したxy枚の医用画像と、末尾から抽出したxy枚の医用画像とを同じ表示領域に上下に並べて表示させる。これにより、拡大範囲に応じて表示する医用画像数を(xy−x)枚だけ増加させて追加表示させることができる。
【0055】
検像者は、最初に表示されたx枚の中に検像範囲の始点又は終点となるべき医用画像が無かった場合には、表示領域の拡大操作という簡便な操作により、閲覧する医用画像をx枚からさらにxy枚に拡大することができる。医用画像の先頭又は終点から均等な数で抽出されて表示されるので、先頭又は末尾からの画像番号順が把握しやすく、シリーズに属する医用画像の全体を占める割合を考慮しながら検像範囲を設定することが可能となる。
【0056】
また、先頭及び末尾からは同じ数だけ医用画像を抽出して表示するので、検像者は検像範囲の始点及び終点を指定するにあたり、現在表示されている医用画像がシリーズの全医用画像のうち先頭又は末尾からどのあたりの位置になるのかを把握することができる。これにより、検像範囲の決定が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】医用画像システムのシステム構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る検像装置の機能的構成を示す図である。
【図3】医用画像の付帯情報の例を示す図である。
【図4】検像装置における検像処理の流れを説明する図である。
【図5】撮影範囲と読影に供する検像範囲とを示す図である。
【図6】検像装置における検像範囲の設定処理の流れを説明する図である。
【図7】検像待ちリスト画面の一例を示す図である。
【図8】シリーズに属する医用画像の先頭及び末尾から所定枚数ずつ抽出した医用画像を並べて表示した例を示す図である。
【図9】表示領域の拡大操作によって追加表示された医用画像の表示例を示す図である。
【図10】従来のシリーズに属する医用画像の表示例である。
【符号の説明】
【0058】
100 医用画像システム
1 RIS
2 画像生成装置
3 検像装置
31 制御部
32 操作部
33 表示部
34 通信部
35 記憶部
36 画像メモリ
4 PACS
5 制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示するための表示手段と、
一連のシリーズに属し、当該シリーズ内で画像番号が付与された医用画像のうち、先頭及び末尾の画像番号から順にそれぞれ所定枚数の医用画像を抽出し、この先頭から順に抽出した医用画像と、末尾から順に抽出した医用画像とを並べて前記表示手段上に表示させる表示制御手段と、
前記表示された医用画像の中から、読影に供する医用画像の範囲の始点及び終点に該当する医用画像を指定操作するための操作手段と、
前記操作手段を介して指定された始点及び終点の医用画像に、前記範囲の始点又は終点であることを示す情報を付帯させる付帯制御手段と、
を備える医用情報処理装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記操作手段を介して前記先頭及び末尾から抽出した医用画像の表示領域の拡大操作がなされると、その拡大範囲に応じて先頭又は末尾から抽出する医用画像数を増加させ、増加分の医用画像を前記表示された先頭又は末尾から抽出した医用画像に追加して表示させる請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記先頭及び末尾から抽出する医用画像の数を、先頭及び末尾何れも同じ数とする請求項1又は2に記載の医用情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−245742(P2008−245742A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−88228(P2007−88228)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】