説明

医用情報隠蔽装置

【課題】 医用情報を取得する者に合わせて、的確に必要な医用情報のみを表示させ、かつ的確に不必要な医用情報を隠蔽することで、医用情報の漏洩防止と医療精度向上の両立を図る技術を提供する。
【解決手段】 各種医用情報を取得する医用情報取得手段と、前記医用情報を取得する操作者の情報を取得する操作者情報取得手段と、取得された操作者の情報に基づいて隠蔽する医用情報を特定する隠蔽医用情報特定手段と、特定された医用情報の隠蔽処理を行う隠蔽手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医用情報の隠蔽を行う技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院内のシステム化が進み、院内で様々なシステムが稼働する様になってきた。例えば、画像管理システム(PACS)、放射線情報システム(RIS)、病院情報システム(HIS)等の医用情報を管理するシステムがネットワークに接続され、ネットワーク上のクライアント端末を用いてこれらシステムと通信を行う。クライアント端末は、システムとの通信によって医用情報を受信し、モニタに表示する。
【0003】
病院内のシステムによって送受信される医用情報には、氏名、年齢、住所、病状等のプライバシーに関する情報が多く、漏洩防止に努める必要がある。
【0004】
医用情報の漏洩防止技術としては、専門的な診断を依頼する依頼医が操作する一方の端末からネットワークを介して診断医が操作する他方の端末へ医用情報を含む診断依頼票を送信する場合、依頼医が操作する端末で診断依頼票に表示する医用情報の範囲を設定又は変更して、診断医に不必要な医用情報については隠蔽するものがある(例えば、特許文献1参照)。この技術は、診断依頼票で開示する医用情報と隠蔽する医用情報とが予め一律に設定されており、設定変更が手動により可能となっている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−323496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
医用情報の隠蔽は厳重に行わなくてはならないが、一方で必要以上の情報を隠蔽してしまうと、正確な診断ができず医療行為に支障が生じるおそれがある。必要な医用情報の範囲は、医用情報を閲覧しようとする者に応じて異なる。例えば、看護師にとって患者とのコミュニケーションを図る上で患者氏名を知る必要があるが、読影を依頼された院外の医師にとって患者氏名は不必要な情報である。
【0007】
特許文献1のように、一律に隠蔽する医用情報が設定されている場合、医用情報を閲覧しようとする者の目的によっては必要とする医用情報が得られず、又他の目的によっては必要以上の医用情報が漏洩してしまう。特許文献1では、マニュアルで公開範囲を変更することができる。しかし、画像管理システム(PACS)、放射線情報システム(RIS)、病院情報システム(HIS)等のシステム管理者が、医用情報取得要求の都度このような操作を行うことは非効率的である。
【0008】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、医用情報を取得する者に合わせて、必要な医用情報のみを表示させ、かつ不必要な医用情報を隠蔽することで、医用情報の漏洩防止と医療精度向上の両立を図る技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための、請求項1記載の発明は、医用情報を取得する医用情報取得手段と、操作者の情報を取得する操作者情報取得手段と、取得された操作者の情報に基づいて隠蔽する医用情報の種別を特定する隠蔽医用情報特定手段と、特定された医用情報の種別に対応する医用情報の隠蔽処理を行う隠蔽手段と、を備えること、を特徴とする。
【0010】
取得した医用情報を表示画面に表示させる表示制御手段を更に備え、前記隠蔽処理は、特定された医用情報の種別に対応する医用情報の表示を隠蔽表示に変更するようにしてもよい(請求項2記載の発明に相当)。
【0011】
取得した医用情報を出力させる出力制御手段を更に備え、前記隠蔽処理は、特定された医用情報の種別に対応する医用情報を隠蔽情報に変更し、前記出力制御手段は、特定された医用情報の種別に対応する医用情報に代えて前記隠蔽情報を出力させるようにしてもよい(請求項3記載の発明に相当)。
【0012】
前記隠蔽医用情報特定手段は、操作者の情報に対応して各種医用情報の隠蔽設定情報を予め記憶する隠蔽設定テーブルを含み、取得した操作者の情報に基づき前記隠蔽設定テーブルを参照して、隠蔽設定された医用情報の種別を特定するようにしてもよい(請求項4記載の発明に相当)。
【0013】
各種表示画面毎に異なる種類の医用情報を表示させる表示制御手段を更に備え、前記隠蔽医用情報特定手段は、各種表示画面と操作者の情報の組み合わせに対応して各種医用情報の隠蔽設定情報を記憶する隠蔽設定テーブルを含み、表示される表示画面の種別及び取得した操作者の情報に基づき前記隠蔽設定テーブルを参照して、隠蔽設定された医用情報の種別を特定するようにしてもよい(請求項5記載の発明に相当)。
【0014】
前記隠蔽手段は、前記隠蔽処理を指示する入力があった場合に前記隠蔽処理を行うようにしてもよい(請求項6記載の発明に相当)。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、医用情報を取得する医用情報取得手段と、操作者の情報を取得する操作者情報取得手段と、取得された操作者の情報に基づいて隠蔽する医用情報の種別を特定する隠蔽医用情報特定手段と、特定された医用情報の種別に対応する医用情報の隠蔽処理を行う隠蔽手段と、を備えるようにした。これにより、操作者が必要とする医用情報以外を隠蔽でき、柔軟性に富んだ情報漏洩防止を図ることができ、医用情報の漏洩防止と医療精度向上の両立を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、クライアント端末の構成を示すブロック図である。クライアント端末1は、ワークステーション装置2に、モニタ3とキーボードやマウス等の入力装置4とプリンタ5を接続して構成される。ワークステーション装置2は、処理部21、主記憶部22、外部記憶部23、送受信部24で構成されるコンピュータであり、図示しないPACS若しくはRIS又はHIS等の医用情報を保管するシステムが接続されたネットワークNに接続している。
【0017】
処理部21は、CPUであり、プログラムに従った演算を行い、各周辺部を制御する。主記憶部22は、例えば半導体メモリ等のRAMであり、処理部21の作業領域として、プログラム、若しくは処理部21の演算による演算結果、又はデータが展開される。送受信部24は、例えばLANやモデム等のネットワークアダプタであり、ネットワークNに接続する医用情報を保管するシステムから医用情報を受信する。
【0018】
外部記憶部23は、ワークステーション装置2を要部としたクライアント端末1を医用情報閲覧及び医用情報隠蔽を行う装置として動作させるプログラム(以下、「本プログラム」という)及びクライアント端末1のオペレーティングシステムプログラム(OS)を記憶している。外部記憶部23に医用情報が格納される場合もある。
【0019】
クライアント端末1は、処理部21が外部記憶部23のOS及び本プログラムに従った処理を行うことで、医用情報を表示する機能、隠蔽する医用情報を特定する機能、医用情報を隠蔽する機能を有する。
【0020】
図2は、クライアント端末1の機能ブロック図である。クライアント端末1は、医用情報を表示する機能として、医用情報取得部11と表示制御部12とを備え、隠蔽する医用情報を特定する機能として、操作者情報取得部13と隠蔽医用情報特定部14を備え、医用情報を隠蔽する機能として、表示隠蔽部16と出力隠蔽部17とを備え、さらにプリンタ5やネットワークNに接続された他のデバイスに医用情報の転送等の出力を行わせる出力制御部18を備える。また、隠蔽医用情報特定部14は、テーブル記憶部15を備える。
【0021】
医用情報取得部11は、PACS、RIS、HIS、又は外部記憶部23から医用情報を取得する。この医用情報取得部11は、PACS、RIS、HIS、クライアント端末1の及びのIPアドレスやホスト名、及びAEタイトルといった通信に必要な情報を保持し、PACS、RIS、HISが備える医用情報のデータベースを参照して、これらシステム又は外部記憶部23に記憶されている医用情報を取得する。取得した医用情報は、主記憶部22上に展開しておく。
【0022】
医用情報は、例えば患者ID、患者氏名、性別といった患者を特定する情報、担当医、生年月日、年齢、住所、電話番号、患者に関する病状や治療法のコメント等のより詳しい患者情報、プランID、プラン名、原発部位、病理組織、治療部位、治療体位、放射線照射計画等のプラン情報、ポートID、ポート名、各種放射線照射設定等のポート情報等である。
【0023】
表示制御部11は、医用情報を表示する各種表示画面を作成して医用情報をモニタ3に表示させる。表示画面の作成フォームは、プログラムの一部として外部記憶部23に記憶されており、表示する医用情報を格納するための各種変数定義と、各変数に格納される医用情報種別定義と、変数に格納されたデータの表示位置定義がされている。表示制御部11は、各種変数に対応して主記憶部22上に記憶領域を確保し、入力装置4を用いて選択された表示画面の作成フォームを読み出し、フォームに従って各種変数への医用情報等のデータを格納し、変数の内容を定義位置に表示する表示画面の作成を行い、モニタ3に出力する。
【0024】
表示画面の種類には、患者情報表示画面、患者情報登録画面、患者情報編集画面、患者情報削除画面、プラン情報表示画面、プラン情報登録画面、プラン情報編集画面、ポート情報表示画面、ポート情報登録画面、ポート情報編集画面、個人照射記録画面、日付毎に治療した患者を一覧表示する日報一覧表示画面、放射線を照射する装置の放射線使用量集計を表示する日報集計表示画面があり、患者ID、患者氏名、性別といった患者を特定する情報を共通にしてそれぞれの画面に対応した各種医用情報を表示する。
【0025】
操作者情報取得部13は、操作者の情報を取得する。操作者の情報には、入力装置4を用いて入力された操作者IDが挙げられる。本プログラム起動時には、まずログイン入力が促される。操作者情報取得部13は、操作者IDを格納する記憶領域を主記憶部22上に確保し、操作者がログイン入力の催促に従って入力装置4を用いた操作者ID入力を行うと、入力された操作者IDを当該記憶領域に格納して取得する。
【0026】
隠蔽医用情報特定部14は、操作者に応じて隠蔽すべき医用情報の種別を特定する。特定の際は、テーブル記憶部15に記憶された隠蔽する医用情報の種別を特定するためのテーブルを参照する。また、当該テーブルを参照して、表示される表示画面の種別に応じて隠蔽すべき医用情報を特定する。
【0027】
図3は、テーブル記憶部15に記憶された隠蔽する医用情報の種別を特定するためのテーブルである隠蔽設定テーブルD1の一例を示す。隠蔽設定テーブルD1は、表示画面の種別を示す画面ナンバーN1と医用情報の種別を示す医用情報ナンバーN2と操作者の情報を示す操作者情報ナンバーN3と隠蔽設定情報Iとを対にして記憶している。換言すると、表示画面の種別と操作者の情報の組み合わせに対応して各種医用情報の隠蔽設定情報Iを記憶している。隠蔽設定情報Iは、対になって記憶されている医用情報の種別が隠蔽設定であるか非隠蔽設定であるかを示す。図3では隠蔽設定情報Iは、「0」若しくは「1」で表される。「1」は、隠蔽設定されていることを示し、「0」は、非隠蔽設定であることを示す。
【0028】
隠蔽医用情報特定部14は、入力された操作者ID等の操作者の情報と選択された表示画面の種別に対応する各ナンバーN1及びN3を検索キーとして、隠蔽設定テーブルD1を検索し、各種医用情報についての隠蔽設定情報Iを取得し、隠蔽設定情報Iが医用情報の隠蔽を設定することを示す情報である場合には、その隠蔽設定情報Iと対になった医用情報の種別を隠蔽設定されている医用情報の種別として抽出する。
【0029】
各ナンバーN1乃至N3は、隠蔽設定テーブルD1の他にテーブル記憶部15に記憶されている各種ナンバーを定義するテーブルより取得する。テーブル記憶部15には、画面ナンバーN1を定義するテーブル、医用情報種別ナンバーN2を定義するテーブル、操作者情報ナンバーN3を定義するテーブルが記憶されている。
【0030】
図4は、画面ナンバーN1を定義する画面ナンバーテーブルD2の一例を示す図である。図5は、医用情報ナンバーN2を定義する医用情報ナンバーテーブルD3の一例を示す図である。図6は、操作者情報ナンバーN3を定義する操作者情報ナンバーテーブルD4の一例を示す図である。図4に示すように、画面ナンバーテーブルD2では、各種の表示画面の項目K1と画面ナンバーN1が対にして記憶されており、図5に示すように、医用情報ナンバーテーブルD3では、各種医用情報の項目K2と医用情報ナンバーN2が対にして記憶されており、図6に示すように、操作者情報ナンバーテーブルD4では、各操作者の情報の項目K3と操作者情報ナンバーN3が対にして記憶されている。
【0031】
隠蔽医用情報特定部14は、表示される表示画面を画面ナンバーテーブルD2の項目K1から検索して対になっている画面ナンバーN1を取得し、表示される医用情報を医用情報ナンバーテーブルD3の項目K2から検索して対になっている医用情報ナンバーN2を取得し、操作者の情報を操作者情報ナンバーテーブルD4の項目K3から検索して対になっている操作者情報ナンバーN3を取得する。
【0032】
表示隠蔽部16は、特定された隠蔽する医用情報の種別に対応する医用情報の表示を隠蔽表示に変更する。表示隠蔽部16は、隠蔽する医用情報の種別が特定された場合、表示画面の作成フォームに定義されている各種変数のうち、特定された隠蔽する医用情報の種別に対応する医用情報を格納するための変数に、当該医用情報とは異なる所定の文字列や記号やその組み合わせを格納する。所定の文字列や記号やその組み合わせは、所定数連続する*(アスタリスク)や、乱数発生によって生成した意味のない数字の列や、患者氏及び名の頭文字のアルファベットである。
【0033】
出力隠蔽部17は、医用情報をプリンタ5や他のデバイスに出力する場合に、特定された隠蔽する医用情報の種別に対応する医用情報を隠蔽情報に変更する。出力隠蔽部17は、主記憶部22上に展開された医用情報のうち、特定された隠蔽する医用情報の種別に対応する医用情報を当該医用情報とは異なる所定の文字列や記号やその組み合わせの隠蔽情報に書き換えて再展開する。
【0034】
主記憶部22上に展開された医用情報は、医用情報をプリンタ5や他のデバイスに出力する場合、送受信部24を含み構成される出力制御部18によりプリンタ5や他のデバイスに出力される。
【0035】
このクライアント端末1の動作を図7に基づき説明する。図7は、クライアント端末1の処理を示すフローチャート図である。クライアント端末1は、まずログオン画面をモニタ3に表示し(S01)、操作者IDの記憶領域を主記憶部22上に確保するとともに操作者IDが入力されるのを待機する。操作者IDが入力されると(S02)、入力された操作者IDを確保した記憶領域に格納して取得する(S03)。
【0036】
次に外部記憶部23に記憶されるメイン画面のフォームからメイン画面を生成し、モニタ3に表示する(S04)。操作者が入力装置4を用いた表示画面の選択を行うと(S05)、選択された表示画面の作成フォームを外部記憶部23から読み出して、当該作成フォームに定義された変数の記憶領域を主記憶部22上に確保すると共に、選択された表示画面を生成し、モニタ3に表示する(S06)。
【0037】
操作者が入力装置4を用いて医用情報の取得操作を行うと(S07)、主記憶部22上に医用情報を格納する記憶領域を確保し、外部記憶部23に記憶された医用情報又はネットワークNに接続しているPACS、RIS、HISから医用情報を記憶領域に格納して取得する(S08)。
【0038】
医用情報を取得すると、外部記憶部23から画面ナンバーテーブルD2、医用情報ナンバーテーブルD3、操作者情報ナンバーテーブルD4を読み出し(S09)、各テーブルD2乃至D4から、表示している表示画面と対になった画面ナンバーN1、記憶領域に格納されている医用情報の種別と対になった医用情報ナンバーN2、記憶領域に格納されている操作者IDと対になった操作者情報ナンバーN3を取得する(S09)。さらに外部記憶部23から隠蔽設定テーブルD1を読み出し(S10)、取得した画面ナンバーN1、操作者情報ナンバーN3を検索キーとして、表示すべき医用情報の隠蔽設定情報Iを順次取得する(S11)。
【0039】
取得した隠蔽設定情報Iが非隠蔽設定であれば(S12,No)、非隠蔽設定の隠蔽設定情報Iと対になった医用情報ナンバーN2で示される医用情報の種別に対応する医用情報を記憶領域から読み出し、表示画面フォームに記述された当該医用情報を格納する変数に当該医用情報を格納し、変数の内容をモニタ3上の表示画面に表示して非隠蔽設定の医用情報をそのまま表示する(S13)。
【0040】
取得した隠蔽設定情報Iが隠蔽設定であれば(S12,Yes)、隠蔽設定の隠蔽設定情報Iと対になった医用情報ナンバーN2で示される医用情報の種別に対応する医用情報を格納する変数に所定の文字列若しくは記号又はその組み合わせを格納し、変数の内容をモニタ3上の表示画面に表示して隠蔽設定の医用情報の表示を隠蔽表示する(S14)。
【0041】
表示しようとする全ての医用情報について表示又は隠蔽表示を終了すると(S15,Yes)、一連の処理が終了する。
【0042】
さらに操作者が入力装置4を用いて医用情報の出力操作を行うと(S16)、隠蔽設定情報Iが隠蔽設定である医用情報の種別に対応する医用情報の格納領域のデータを隠蔽情報に書き換え(S17)、医用情報の記憶領域に記憶されたデータをプリンタ5や他のデバイスに出力する(S18)。
【0043】
図8及び図9は、表示画面の表示例であり、図8は病院内の医師が操作者である患者情報表示画面、図9はクライアント端末1のSEが操作者である患者情報表示画面である。患者情報表示画面Pは、メイン表示画面M内に表示される。メイン表示画面Mには、取得可能な医用情報を示し取得する医用情報の選択操作を行うインデックスLも表示される。患者情報表示画面P近傍には、患者情報表示タブT1、プラン情報表示タブT2、ポート情報表示タブT3が配置される。患者情報表示タブT1の選択により患者情報表示画面Pが表示され、プラン情報表示タブT2やポート情報表示タブT3の選択により、患者情報表示画面Pに代えて図示しないプラン情報表示画面やポート情報表示画面が表示される。また、メイン表示画面Mには、登録ボタンB1、変更ボタンB2、削除ボタンB3が配され、押下操作によりタブT1乃至T3に対応する情報の登録、変更、削除の画面が表示される。
【0044】
図3に示す隠蔽設定テーブルD1の例によると、画面ナンバーN1が患者情報表示画面「0001」及び操作者情報ナンバーN3が病院内の医師「001」である行項目においては、全ての隠蔽設定情報Iが非隠蔽設定を示す「0」である。従って病院内の医師が医用情報を取得し患者情報表示画面Pを表示させた場合、図8のように、患者アイディーF01、患者氏名F02、カナ氏名F03、ステータスF04、性別F05、生年月日F06、担当医師F07、依頼科F08、病棟F09、郵便番号F10、住所F11、電話番号F12の医用情報全てが表示される。
【0045】
一方、図3に示す隠蔽設定テーブルD1の例によると、画面ナンバーN1が患者情報表示画面「0001」及び操作者情報ナンバーN3が病院外の医師「011」である行項目において、行項目「101」「102」「109」「110」「111」の隠蔽設定情報Iが隠蔽設定を示す「1」である。従って、病院外の医師が医用情報を取得し患者情報表示画面Pを表示させた場合、図9に示すように、患者アイディーF01、ステータスF04、性別F05、生年月日F06、担当医師F07、依頼科F08、病棟F09の医用情報がそのまま表示され、患者氏名F02、カナ氏名F03、郵便番号F10、住所F11、電話番号F12が隠蔽表示される。
【0046】
尚、クライアント端末1では、操作者の情報として、医用情報を取得する者の所属を取得してもよい。操作者IDと対になった操作者所属情報を記憶するテーブルを予め保持し、また隠蔽設定テーブルD1に操作者所属情報を隠蔽設定情報Iと対にして記憶する。ログイン入力によって取得した操作者IDを検索キーとして、操作者所属情報を記憶するテーブルから操作者IDと対になった操作者所属情報を取得し、隠蔽設定テーブルD1を参照する。医用情報を閲覧しようとする者の所属によって隠蔽すべき医用情報が異なる場合が多いためである。所属は、例えば病院内の医師、病院内の技師、病院外の医師、病院外の技師、クライアント端末1のサービスマン、クライアント端末1のSE等が挙げられる。
【0047】
操作者の情報を特定することに代えて、医用情報を受信しようとするクライアント端末1を特定するようにしてもよい。この場合、隠蔽設定テーブルD1には、クライアント端末1の情報を隠蔽設定情報Iと対にして記憶する。クライアント端末1が設置されている環境に応じて、当該クライアント端末1を操作する操作者が決まっている場合が多いからである。例えば、医局に設置されているクライアント端末1であれば、院内の医師が操作する場合が多い。
【0048】
隠蔽設定情報には、隠蔽する方法の情報を含めるようにしてもよい。隠蔽する方法としては、意味のない文字列等によって医用情報を隠蔽する方法、患者氏名をイニシャル表示する方法等である。例えば、隠蔽設定テーブルに記憶されている隠蔽設定情報に例えば隠蔽設定を示す「1」や非隠蔽設定を示す「0」の他、例えばイニシャル表示を示す「2」を記憶させることで隠蔽設定の内容の情報を含める。
【0049】
また、入力装置4を用いた隠蔽処理指示操作を受け付け、この操作をトリガとして隠蔽表示に替えるようにしてもよい。隠蔽処理指示操作の受け付けまでは医用情報をそのまま表示する。隠蔽表示後は、隠蔽解除操作をトリガとして隠蔽を解除する。すなわち表示画面の作成フォームに定義された変数に医用情報を格納し直す。クライアント端末1の周りには同じ所属の者がいることが多く、同じ所属の者に必要以上の医用情報が目視されることを防止するものである。
【0050】
図10は、表示画面の一例を示す図である。図10に示すように、表示画面に、隠蔽処理を要求するためのボタンB4を配置する。ボタンB4が押下されると、この押下をトリガとして隠蔽処理が行われる。隠蔽表示の間は、ボタンB4が図示しない隠蔽を解除するためのボタンとなり、当該ボタンが押下されたことをトリガとして隠蔽解除を行う。
【0051】
このように、医用情報隠蔽装置たるクライアント端末1は、各種医用情報を取得し、また医用情報を取得する操作者の情報を取得し、取得した操作者の情報に基づいて隠蔽する医用情報を特定し、特定した医用情報の隠蔽処理を行うようにした。これにより、操作者が必要とする医用情報以外を隠蔽でき、柔軟性に富んだ情報漏洩防止を図ることができ、医用情報の漏洩防止と医療精度向上の両立を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施形態に係るクライアント端末の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係るクライアント端末の機能を示す機能ブロック図である。
【図3】隠蔽設定テーブルを示す図である。
【図4】画面ナンバーテーブルを示す図である。
【図5】医用情報ナンバーテーブルを示す図である。
【図6】操作者情報ナンバーテーブルを示す図である。
【図7】本実施形態に係るクライアント端末の動作を示すフローチャート図である。
【図8】本実施形態に係るクライアント端末が表示する表示画面の一例を示す図である。
【図9】本実施形態に係るクライアント端末が表示する表示画面の他の例を示す図である。
【図10】本実施形態に係るクライアント端末が表示する表示画面の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 クライアント端末
11 医用情報取得部
12 表示制御部
13 操作者情報取得部
14 隠蔽医用情報特定部
15 テーブル記憶部
D1 隠蔽設定テーブル
N1 画面ナンバー
N2 医用情報ナンバー
N3 操作者情報ナンバー
I 隠蔽設定情報
16 表示隠蔽部
17 出力隠蔽部
18 出力制御部
2 ワークステーション装置
21 処理部
22 主記憶部
23 外部記憶部
24 送受信部
3 モニタ
4 入力装置
5 プリンタ
N ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用情報を取得する医用情報取得手段と、
操作者の情報を取得する操作者情報取得手段と、
取得された操作者の情報に基づいて隠蔽する医用情報の種別を特定する隠蔽医用情報特定手段と、
特定された医用情報の種別に対応する医用情報の隠蔽処理を行う隠蔽手段と、
を備えること、
を特徴とする医用情報隠蔽装置。
【請求項2】
取得した医用情報を表示画面に表示させる表示制御手段を更に備え、
前記隠蔽処理は、特定された医用情報の種別に対応する医用情報の表示を隠蔽表示に変更すること、
を特徴とする請求項1記載の医用情報隠蔽装置。
【請求項3】
取得した医用情報を出力させる出力制御手段を更に備え、
前記隠蔽処理は、特定された医用情報の種別に対応する医用情報を隠蔽情報に変更し、
前記出力制御手段は、特定された医用情報の種別に対応する医用情報に代えて前記隠蔽情報を出力させること、
を特徴とする請求項1記載の医用情報隠蔽装置。
【請求項4】
前記隠蔽医用情報特定手段は、
操作者の情報に対応して各種医用情報の隠蔽設定情報を予め記憶する隠蔽設定テーブルを含み、取得した操作者の情報に基づき前記隠蔽設定テーブルを参照して、隠蔽設定された医用情報の種別を特定すること、
を特徴とする請求項1記載の医用情報隠蔽装置。
【請求項5】
各種表示画面毎に異なる種類の医用情報を表示させる表示制御手段を更に備え、
前記隠蔽医用情報特定手段は、
各種表示画面と操作者の情報の組み合わせに対応して各種医用情報の隠蔽設定情報を記憶する隠蔽設定テーブルを含み、表示される表示画面の種別及び取得した操作者の情報に基づき前記隠蔽設定テーブルを参照して、隠蔽設定された医用情報の種別を特定すること、
を特徴とする請求項1記載の医用情報隠蔽装置。
【請求項6】
前記隠蔽手段は、前記隠蔽処理を指示する入力があった場合に前記隠蔽処理を行うこと、
を特徴とする請求項2記載の医用情報隠蔽装置。
【請求項7】
前記隠蔽手段は、前記隠蔽処理を指示する入力があった場合に前記隠蔽処理を行い、隠蔽表示の解除を指示する入力があった場合に前記隠蔽表示を前記特定された医用情報に変更すること、
を特徴とする請求項2記載の医用情報隠蔽装置。
【請求項8】
前記隠蔽表示は、前記特定された医用情報の表示とは異なる文字列若しくは記号列又はその組み合わせの表示であること、
を特徴とする請求項2記載の医用情報隠蔽装置。
【請求項9】
前記隠蔽情報は、前記特定された医用情報とは異なる文字列若しくは記号又はその組み合わせであること、
を特徴とする請求項3記載の医用情報隠蔽装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−314404(P2006−314404A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−137748(P2005−137748)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】