説明

医用画像装置およびその制御プログラム

【課題】複数の医用画像を一連の画像として再生させる場合において、煩雑な操作を行なうことなく画像の再生を中断させることができる医用画像装置及びその制御プログラムを提供する。
【解決手段】医用画像としてハードディスクドライブ6に記憶された前記複数のBモード画像に関するデータを組み合わせることにより、表示部8に再生される複数フレーム分のBモード画像に関するデータからなる組み合わせデータを作成する組み合わせBモードデータ作成部と、前記組み合わせデータに一又は複数の再生中断フレームを設定することにより、前記組み合わせデータを、前記再生中断フレームで区切られた複数の区切データに分ける再生中断フレーム設定部と有する編集部7を備え、制御部9は、前記組み合わせデータの再生の際に、前記再生中断フレームにおいて再生を中断することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体に関する医用画像を撮影する医用画像装置及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医用画像装置としては、例えば超音波診断装置、X線CT(Comuputed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置などが知られている。このうち、例えば超音波診断装置において、超音波プローブによって超音波の走査を行ない、同一の被検体に対して複数回にわたって撮影を行なう場合がある。具体的には、被検体のある部位について前記超音波プローブの角度を変えて静止画の撮影を複数回行なったり、ある被検体についての一連の検査において、複数回にわたって複数の部位を撮影(静止画又は動画)したりする場合がある。
【0003】
このように複数回の撮影で得られた超音波画像に関するデータは、それぞれが一つのファイルとして順次記憶される。従って、記憶されたデータに基づく超音波画像を表示させる際には、表示させたい超音波画像を操作者が選択し、各超音波画像を一つずつ表示させる必要があった。このため、複数のファイルを連続して再生させたい場合であっても、再生させたいファイルを一つずつ選択してその都度再生していくという煩雑な操作が必要になり、作業効率が低下していた。
【0004】
そこで、煩雑な操作を軽減して作業効率を向上させるため、複数の超音波画像に関するデータを組み合わせることにより、複数フレーム分の超音波画像に関するデータからなる組み合わせデータを作成する超音波診断装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−14779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、例えば治療前と治療後の超音波画像を比較するために、治療前の超音波画像として、上記特許文献1のように複数フレーム分の超音波画像に関するデータからなる組み合わせデータを再生して超音波画像を表示するとともに、その超音波画像と並べて治療後の超音波画像をリアルタイムで表示させたい場合がある。この場合、前記組み合わせデータが一気に再生されてしまうと、リアルタイムの超音波画像を得るための前記超音波プローブの操作が追いつかず、比較ができないおそれがある。従って、前記組み合わせデータの再生の際に、所定のタイミングで再生を中断したい場合がある。この場合、操作者が操作部において再生を中断する操作を行なうことにすると、超音波プローブによる走査を行ないながらの操作になるために非常に煩雑である。また、再生を中断するタイミングを見定めるのは容易ではなく、止めるタイミングが過ぎてしまった場合には巻き戻して再度タイミングを図る必要があるなど、非常に煩雑である。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、複数の医用画像を一連の画像として再生させる場合において、煩雑な操作を行なうことなく画像の再生を中断させることができる医用画像装置及びその制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、前記課題を解決するためになされたもので、第1の観点の発明は、医用画像を表示する表示部と、複数回の撮影によって複数の医用画像に関するデータが記憶された記憶部と、該記憶部に記憶された前記複数の医用画像に関するデータを組み合わせることにより、前記表示部に表示される複数フレーム分の医用画像に関するデータからなる組み合わせデータを作成する組み合わせデータ作成部と、前記組み合わせデータを再生して前記表示部に前記医用画像を表示させる再生制御部と、前記組み合わせデータに一又は複数の再生中断フレームを設定することにより、前記組み合わせデータを、前記再生中断フレームで区切られた複数の区切データに分ける再生中断フレーム設定部と、を備え、前記再生制御部は、前記組み合わせデータの再生の際に、前記再生中断フレームにおいて再生を中断することを特徴とする医用画像装置である。
【0009】
第2の観点の発明は、第1の観点の発明において、操作者が、前記組み合わせデータにおける前記複数の医用画像に関するデータの再生順を指定するための再生順指定部を備えることを特徴とする医用画像装置である。
【0010】
第3の観点の発明は、第1又は2の観点の発明において、前記記憶部に記憶された複数の医用画像に関するデータの中から、操作者が前記組み合わせデータとして用いるデータを選択するための選択部を備えることを特徴とする医用画像装置である。
【0011】
第4の観点の発明は、第1〜3のいずれか一の観点の発明において、前記再生制御部は、前記再生中断フレームにおいて再生を中断して、該再生中断フレームにおいて再生を一時停止の状態にすることを特徴とする医用画像装置である。
【0012】
第5の観点の発明は、第1〜3の何れか一の観点の発明において、前記再生制御部は、前記再生中断フレームにおいて再生を中断して、再生を中断した再生中断フレームを含む複数フレーム分の区切データを繰り返し再生させることを特徴とする医用画像装置である。
【0013】
第6の観点の発明は、第1〜5のいずれか一の観点の発明において、前記再生中断フレームにおける再生の中断後に、前記組み合わせデータにおける前記再生中断フレームの次のフレームから再生を再開する指示を操作者が入力するための再開指示部を備えることを特徴とする医用画像装置である。
【0014】
第7の観点の発明は、第1〜6のいずれか一の観点の発明において、前記複数の医用画像に関するデータは、静止画又は動画のデータであることを特徴とする医用画像装置である。
【0015】
第8の観点の発明は、第1〜7のいずれか一の観点の発明において、前記医用画像は、超音波画像、X線CT画像又はMRI画像のいずれかであることを特徴とする医用画像装置である。
【0016】
第9の観点の発明は、コンピュータに、複数回の撮影によって記憶部に記憶された複数の医用画像に関するデータを組み合わせることにより、表示部に表示される複数フレーム分の医用画像に関するデータからなる組み合わせデータを作成する組み合わせデータ作成機能と、前記組み合わせデータを再生して前記表示部に前記医用画像を表示させる再生制御機能と、前記組み合わせデータに一又は複数の再生中断フレームを設定することにより、前記組み合わせデータを、前記再生中断フレームで区切られた複数の区切データに分ける再生中断フレーム設定機能と、を実行させ、前記再生制御機能にあっては、前記組み合わせデータの再生の際に、前記再生中断フレームにおいて再生を中断することを特徴とする医用画像装置の制御プログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、前記表示部に再生される複数フレーム分の医用画像に関するデータからなる組み合わせデータに、前記再生中断フレーム設定部によって再生中断フレームを設定し、この再生中断フレームで再生が中断されるので、複数の医用画像を一連の画像として再生させる場合において、煩雑な操作を行なうことなく画像の再生を中断させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る医用画像装置の一実施形態である超音波診断装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示す超音波診断装置の編集部の構成を示すブロック図である。
【図3】表示部のグラフィックディスプレイに表示された治療前Bモード画像と治療後Bモード画像を示す図である。
【図4】図1に示す超音波診断装置における作用の実施の形態の一例を示すフローチャートである。
【図5】表示部のグラフィックディスプレイに表示されたリアルタイムの治療前Bモード画像を示す図である。
【図6】図4に示す組み合わせBモードデータの作成の処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】表示部のグラフィックディスプレイに表示されたサムネイル画像を示す図である。
【図8】組み合わせBモードデータの作成の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態では本発明に係る医用画像装置の一例として超音波診断装置を例にして説明する。
【0020】
図1に示す超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信部3、エコー処理部4、メモリ5、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive)6、編集部7、表示部8を備え、さらに制御部9及び操作部10を備える。
【0021】
前記超音波プローブ2は、生体組織に対して超音波を送信し、そのエコーを受信する。前記送受信部3は、前記超音波プローブ2を所定のスキャンパラメータで駆動させてスキャン面を走査させ、また前記超音波プローブ2で得られたエコー信号について、整相加算処理等の信号処理を行なう。
【0022】
前記エコー処理部4は、前記送受信部3から出力された音線毎のエコー信号に対し、対数圧縮処理、包絡線検波処理等のBモード処理を行い、Bモードデータを作成する。
【0023】
前記メモリ5は、バッファメモリであり、前記エコー処理部4から出力されたBモードデータが記憶される。そして、前記メモリ5に記憶されたBモードデータのうち、後述するように前記操作部10において指示されたフレームのBモードデータが、前記ハードディスクドライブ6に記憶される。前記ハードディスクドライブ6に記憶されるBモードデータは、静止画又は動画のデータである。前記ハードディスクドライブ6は、本発明における記憶部の実施の形態の一例である。前記Bモードデータは、本発明における医用画像に関するデータの実施の形態の一例である
【0024】
ちなみに、前記メモリ5に、所定量のBモードデータが記憶されると、新たなBモードデータを古いデータから順に上書きして記憶するようになっている。また、前記メモリ5及び前記ハードディスクドライブ6に記憶されるBモードデータは、後述するDSCによって画像データに変換される前のローデータ(Raw Data)である。
【0025】
前記表示部8は、例えばグラフィックディスプレイ(graphic display)8a(図3、図5、図7参照)と、図示しないDSC(Digital Scan Converter)とを有している。前記表示部8においては、前記メモリ5から出力されたBモードデータが、前記DSCによって前記グラフィックディスプレイ8aに表示する画像データに変換され、この画像データに基づくBモード画像が前記グラフィックディスプレイ8aに表示されるようになっている。前記表示部8は、本発明における表示部の実施の形態の一例であり、また前記Bモード画像は本発明における医用画像の実施の形態の一例である。
【0026】
前記編集部7は、図2に示すように組み合わせBモードデータ作成部71と再生中断フレーム設定部72とを有している。前記組み合わせBモードデータ作成部71は、前記ハードディスクドライブ6に記憶されたBモードデータを複数組み合わせることにより、一連の画像として前記表示部8に再生される組み合わせBモードデータを作成する(組み合わせBモードデータ作成機能)。また、前記再生中断フレーム設定部72は、前記組み合わせBモードデータに一または複数の再生中断フレームを設定する(再生中断フレーム設定機能)。詳細は後述する。前記組み合わせBモードデータ作成部71及び前記再生中断フレーム設定部72は、それぞれ本発明における組み合わせデータ作成部及び再生中断フレーム設定部の実施の形態の一例であり、前記組み合わせBモードデータ作成機能及び前記再生中断フレーム設定機能は、それぞれ本発明における組み合わせデータ作成機能及び再生中断フレーム設定機能の実施の形態の一例である。また、前記組み合わせBモードデータは、本発明における組み合わせデータの実施の形態の一例である。
【0027】
前記制御部9は、CPU(Central Processing Unit)で構成され、前記ハードディスクドライブ6に記憶された制御プログラムを読み出し、前記組み合わせデータ作成機能及び再生中断フレーム設定機能など、前記超音波診断装置1の各部における機能を実行させる。また、前記制御部9によって実行される機能として、前記組み合わせBモードデータを再生する再生制御機能があり、この再生制御機能は、本発明における再生制御部の実施の形態の一例である。
【0028】
前記操作部10は、操作者が指示や情報を入力するためのキーボード及びポインティングデバイス(図示省略)などを含んで構成されている。この操作部10においては、例えば操作者が前記組み合わせデータにおける前記複数のBモードデータの再生順を指定したり、前記ハードディスクドライブ6に記憶された複数のBモードデータの中から、操作者が前記組み合わせBモードデータとして用いるデータを選択したりする操作を行なうようになっている。また、前記操作部10においては、前記再生中断フレームにおける再生の中断後に、前記組み合わせBモードデータにおける前記再生中断フレームの次のフレームから再生を再開する指示を入力するようになっている。前記操作部10は、本発明における再生順指定部、選択部及び再開指示部の実施の形態の一例である。
【0029】
さて、本例の超音波診断装置1の作用について説明する。本例では、ある被検体PについてBモードの超音波撮影を複数箇所行ない、各撮影箇所について図3に示すように治療前Bモード画像Xと治療後Bモード画像Yとを表示して比較する際の作用を説明する。
【0030】
図4に示すフローにおいて、先ずステップS1では、治療前のBモード画像Xの撮影を行なう。具体的には、前記超音波プローブ2を被検体Pにおいて撮影したい箇所に当接して超音波の走査を行ない、図5に示すように前記表示部8のグラフィックディスプレイ8aにBモード画像Xをリアルタイムで表示させる。そして、操作者は、前記ハードディスクドライブ6に記憶させたい画像が表示された時点で、前記操作部10におけるボタン(図示省略)を押すなどして、記憶の指示を入力する(記憶操作)。操作者は、静止画又は動画のいずれかを選択して記憶させることができる。記憶させたい画像が静止画である場合、前記操作部10において一フレーム分の画像の記憶の指示を入力する。また、記憶させたい画像が動画である場合、前記操作部10において複数フレーム分の画像の記憶の指示を入力する。ちなみに、超音波プローブ2による走査を行なってBモード画像をリアルタイムで表示させ、前記ハードディスクドライブ6に記憶させる一連の動作を撮影と云うことにする。
【0031】
操作者は、前記超音波プローブ2の角度や位置などを変えることによって走査面を変えながら、前記記憶操作を複数回行なう(すなわち、Bモード画像の撮影を複数回行なう)。これにより、前記ハードディスクドライブ6に複数のBモードデータが記憶される。本例では、前記ハードディスクドライブ6に、BモードデータA,B,C,D,E,F,G,Hが記憶されるものとする。BモードデータA〜Hは、それぞれが一つのファイルとして記憶される。
【0032】
次に、ステップS2では、前記ハードディスクドライブ6に記憶されたBモードデータA〜Hの編集を行ない、組み合わせBモードデータMDを作成する。具体的に図6のフローに基づいて説明すると、先ずステップS21では、操作者は前記操作部10の操作を行なって、図7に示すように、被検体Pについて前記ハードディスクドライブ6に記憶されたBモードデータA〜Hのサムネイル画像AS,BS,CS,DS,ES,FS,GS,HSを前記グラフィックディスプレイ8aに表示させる。このとき、前記ハードディスクドライブ6に記憶されたBモードデータA〜Hは、前記メモリ5に書き込まれる。
【0033】
次に、ステップS22では、前記操作者は前記操作部10のポインティングデバイス(図示省略)を用いて、前記サムネイル画像AS〜HSの中から、組み合わせBモードデータMDとして用いたい画像を指定する。これにより、組み合わせBモードデータMDとして用いるBモードデータが選択される。本例では、BモードデータA,B,C,F,Hが選択されたものとする。
【0034】
ちなみに、図8に示すように、前記BモードデータA,Cは静止画のデータであり、前記BモードデータB,F,Hは動画のデータである。すなわち、前記BモードデータAは、一フレーム分のデータA1からなり、前記BモードデータCは、一フレーム分のデータC1からなる。また、前記BモードデータBは、三フレーム分のデータB1,B2,B3からなり、前記BモードデータFは、五フレーム分のデータF1,F2,F3,F4,F5からなり、前記BモードデータHは、四フレーム分のデータH1,H2,H3,H4からなる。
【0035】
次に、ステップS23では、前記BモードデータA,B,C,F,Hの再生順を前記操作部10において入力する。本例では、前記BモードデータA,B,F,H,Cの順に再生させるものとする。そして、ステップS23において再生順の入力が終了すると、ステップS24において、前記組み合わせBモードデータ作成部71は、図8に示すように、BモードデータA,B,F,H,Cの順に再生が行なわれるように、BモードデータA,B,C,F,Hを組み合わせ、組み合わせBモードデータMDを作成する。
【0036】
なお、BモードデータMDはローデータの状態であり、再生時には前記DSCで画像データに変換され表示される。
【0037】
前記組み合わせBモードデータMDにおいては、後述するように、図8において左からデータA1,B1,B2,B3,F1,・・・,C1の順に再生が行なわれるようになっている。
【0038】
次に、ステップS25では、前記組み合わせBモードデータMDにおいて再生中断フレームの設定を行ない、前記組み合わせBモードデータMDを複数の区切データに分ける。具体的には、前記再生中断フレーム設定部72が前記BモードデータA,B,C,F,Hにおける最終フレームのデータ(静止画のデータについてはそのデータ)、すなわちデータA1、データB3、データC1、データF5、データH4、データC1を再生中断フレームとする。これにより、前記組み合わせBモードデータMDは、データA1についての区切データmd1、データB1〜B3までの区切データmd2、データF1〜F5についての区切データmd3、データH1〜H4についての区切データmd4、データC1についての区切データmd5に分けられる。
【0039】
以上のようにして前記再生中断フレームが設定されたBモードデータMDは前記メモリ5に記憶されるとともに、前記ハードディスクドライブ6に記憶されてもよい。
【0040】
なお、前記再生中断フレームの設定は、操作者が操作部10を用いて手動で行ってもよい。具体的には、前記グラフィックディスプレイ8aに前記組み合わせBモードデータMDを再生させながら、この組み合わせBモードデータMDにおいて再生を中断させたい箇所を前記操作部10において入力する。これにより、前記再生中断フレーム設定部72は、前記操作部10における中断箇所の入力に対応するフレームのデータを再生中断フレームとする。
【0041】
ステップS2において前記組み合わせBモードデータMDが作成されると、ステップS3へ移行する。このステップS3では、図3に示すように、前記グラフィックディスプレイ8aに、治療前Bモード画像Xと治療後Bモード画像Yとを並べて表示する。具体的には、治療後の被検体Pにおいて前記超音波プローブ2による走査を行なって、治療後Bモード画像Yをリアルタイムで表示させながら、前記制御部9が前記組み合わせBモードデータMDを再生させて治療前Bモード画像Xを表示させる。
【0042】
前記制御部9は、前記組み合わせBモードデータMDを再生させる際に、前記再生中断フレームにおいて再生を中断する。そして、操作者は、再生を再開させる場合には、前記操作部10において再生を再開させる指示を入力する。これにより、前記制御部9は、再生を中断した再生中断フレームの次のフレームから再生を再開する。
【0043】
ここで、再生の中断について説明すると、前記制御部9は、前記再生中断フレームにおいて再生を中断して、前記再生中断フレームにおいて再生を一時停止の状態、すなわち前記治療前Bモード画像Xとして、前記再生中断フレームの静止画を表示させたままの状態にしてもよい。また、前記制御部9は、前記再生中断フレームにおいて再生を中断した時に、再生を中断した再生中断フレームを含む区切データが複数フレームのデータからなる場合は、その区切データを繰り返し再生させてもよい。
【0044】
再生を一時停止の状態にする場合、具体的には先ずデータA1の画像が表示されて一時停止の状態になる。そして、前記操作部10において再生を再開する指示が入力されると、データB1,B2,B3の順で動画が再生され、データB3の画像で一時停止の状態になる。以下、データF1からC1まで同様にして再生の再開と一時停止とを繰り返し、画像を再生する。そして、データC1の画像まで表示されると、再びデータA1に戻る。
【0045】
一方で、前記区切データを繰り返し再生する場合、具体的には先ずデータA1の画像が表示されて一時停止の状態になる。そして、前記操作部10において再生を再開する指示が入力されると、前記区切データmd2の画像、すなわちデータB1,B2,B3の順で画像が繰り返し再生される。次に前記操作部10において再生を再開する指示を入力すると、前記区切データmd3の画像、すなわちデータF1,F2,F3,F4,F5の順で画像が繰り返し再生される。以下、データH1からデータC1まで同様にして再生を行なう。そして、データC1の画像まで表示されると、再びデータA1に戻る。
【0046】
操作者は、以上のようにして表示される治療前Bモード画像Xに合わせて、この治療前Bモード画像Xと同じ走査面のBモード画像が表示されるように、前記超音波プローブ2の走査を行なって治療後Bモード画像Yを表示させる。
【0047】
以上説明した本例の超音波診断装置1によれば、治療前Bモード画像Xを、リアルタイムの治療後Bモード画像Yと比較する場合において、治療前Bモード画像Xとして表示される組み合わせBモードデータMDの再生を、煩雑な操作を行なうことなく前記再生中断フレームにおいて中断させることができる。これにより、特に操作者が不慣れな場合であっても、表示されている治療前Bモード画像Xと同じ画像がリアルタイムの治療後Bモード画像Yとして得られるように前記超音波プローブ2を所定の位置に合わせる操作が従来よりも容易になる。従って、検査手順を把握する教育用に用いる場合においても非常に有用である。
【0048】
以上、本発明を前記実施形態によって説明したが、本発明はその主旨を変更しない範囲で種々変更実施可能なことはもちろんである。例えば、一旦作成された前記組み合わせBモードデータMDに、新たにBモードデータを追加できるようになっていてもよい。この場合には、前記グラフィック部8aにおいて新たに追加するBモード画像データを前記再生部10を用いて選択するとともに、その再生順を前記操作部10において入力する。また、前記再生中断フレームを追加して設定できるようになっていてもよい。さらに、前記組み合わせBモードデータMDを構成するBモードデータのうち、いずれかを削除できるようにしてもよい。
【0049】
また、前記ハードディスクドライブ6には、前記DSCによってローデータから変換された後の画像データを記憶するようになっていてもよく、この画像データを組み合わせて前記組み合わせBモードデータを作成してもよい。
【0050】
さらに、前記実施形態では、本発明における医用画像に関するデータの一例としてBモードデータを挙げて説明したが、これに限られるものではなく、例えばBモードとカラードプラモードとを重畳した超音波画像やMモード画像など、他の超音波画像に関するデータであってもよい。また、医用画像は超音波画像に限られるものではなく、例えばX線CT画像やMRI画像などであってもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 超音波診断装置
6 ハードディスクドライブ(記憶部)
8 表示部
9 制御部(表示制御部)
10 操作部(再生順指定部、選択部、再開指示部)
71 組み合わせBモードデータ作成部(組み合わせデータ作成部)
72 再生中断フレーム設定部
MD 組み合わせBモードデータ(組み合わせデータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を表示する表示部と、
複数回の撮影によって複数の医用画像に関するデータが記憶された記憶部と、
該記憶部に記憶された前記複数の医用画像に関するデータを組み合わせることにより、前記表示部に表示される複数フレーム分の医用画像に関するデータからなる組み合わせデータを作成する組み合わせデータ作成部と、
前記組み合わせデータを再生して前記表示部に前記医用画像を表示させる再生制御部と、
前記組み合わせデータに一又は複数の再生中断フレームを設定することにより、前記組み合わせデータを、前記再生中断フレームで区切られた複数の区切データに分ける再生中断フレーム設定部と、を備え、
前記再生制御部は、前記組み合わせデータの再生の際に、前記再生中断フレームにおいて再生を中断する
ことを特徴とする医用画像装置。
【請求項2】
操作者が、前記組み合わせデータにおける前記複数の医用画像に関するデータの再生順を指定するための再生順指定部を備えることを特徴とする請求項1に記載の医用画像装置。
【請求項3】
前記記憶部に記憶された複数の医用画像に関するデータの中から、操作者が前記組み合わせデータとして用いるデータを選択するための選択部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の医用画像装置。
【請求項4】
前記再生制御部は、前記再生中断フレームにおいて再生を中断して、該再生中断フレームにおいて再生を一時停止の状態にすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の医用画像装置。
【請求項5】
前記再生制御部は、前記再生中断フレームにおいて再生を中断して、再生を中断した再生中断フレームを含む複数フレーム分の区切データを繰り返し再生させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の医用画像装置。
【請求項6】
前記再生中断フレームにおける再生の中断後に、前記組み合わせデータにおける前記再生中断フレームの次のフレームから再生を再開する指示を操作者が入力するための再開指示部を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の医用画像装置。
【請求項7】
前記複数の医用画像に関するデータは、静止画又は動画のデータであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の医用画像装置。
【請求項8】
前記医用画像は、超音波画像、X線CT画像又はMRI画像のいずれかであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の医用画像装置。
【請求項9】
コンピュータに、
複数回の撮影によって記憶部に記憶された複数の医用画像に関するデータを組み合わせることにより、表示部に表示される複数フレーム分の医用画像に関するデータからなる組み合わせデータを作成する組み合わせデータ作成機能と、
前記組み合わせデータを再生して前記表示部に前記医用画像を表示する再生制御機能と、
前記組み合わせデータに一又は複数の再生中断フレームを設定することにより、前記組み合わせデータを、前記再生中断フレームで区切られた複数の区切データに分ける再生中断フレーム設定機能と、を実行させ、
前記再生制御機能にあっては、前記組み合わせデータの再生の際に、前記再生中断フレームにおいて再生を中断する
ことを特徴とする医用画像装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−252884(P2010−252884A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103604(P2009−103604)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(300019238)ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー (1,125)
【Fターム(参考)】