説明

医療用具のための放射線撮影用有機コントラスト剤

【課題】ポリマー材料と相溶性であり、かつ、コントラスト強度を改善する放射線撮影用コントラスト剤を提供する。
【解決手段】本発明は、脂肪族主鎖または脂環式主鎖と複数個のハロゲン置換芳香族基とを含有する放射線撮影用有機コントラスト剤を開示する。該放射線撮影用コントラスト剤中の該ハロゲン置換芳香族基の各々は、少なくとも3個のハロゲン原子で置換されており、かつ、該脂肪族主鎖または該脂環式主鎖に共有結合されている。本発明は更に、該放射線撮影用コントラスト剤と少なくとも1種のポリマーとを含有する放射線不透過性ポリマー材料を開示する。該放射線撮影用コントラスト剤は、前記の少なくとも1種のポリマーと物理的に混合されているか、または、前記の少なくとも1種のポリマーの中に物理的に埋め込まれているかもしくは分散されている。放射線不透過性ポリマー材料は、医療用具の一つの表面の少なくとも一部分に施用することができる。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、医療用具の放射線画像化においてコントラスト強度(contrasting intensity)を改善する有機コントラスト剤(organic contrasting agent)、ならびに有機コントラスト剤および少なくとも一種のポリマーを含むポリマー材料に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
大抵の医療用具は、使用されている間、生体組織に連結されるので、医療用具は生体適合性であることが重要である。したがって、医療用具は、生体適合材料で作られることが好ましい。更に具体的には、医療用具のための理想的な材料は、少なくとも次の必要条件:(1)適合性であること、即ち、有害なストレスを引き起こすことなく、生体構造(biological structure)に適合すること、(2)強靭であること、即ち、製造および植え込みが行われる間、取扱いに耐えること、ならびに、(3)体組織および体液に対して化学的に不活性であること、を満たすことが望ましい。しかし、医療用具を構築するために使用された従来の材料(例えば、ステンレス鋼および他の合金)は、物理的に硬質であるだけでなく、生体組織に連結されている時、炎症反応または他の副作用を引き起こす。
【0003】
これらの問題を克服するために、生分解性ポリマーと非生分解性ポリマーとの両方を包含する合成ポリマー材料を使用して医療用具が広く作られてきた。一般的な生分解性ポリマーには、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(poly(lactide-co-glycolide))(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリホスホエステル(polyphosphoesters)(PPE)、ポリオルトエステル(polyorthoesters)、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリ(エステルアミド)(poly(esteramide))(PEA)、ならびに、それらの共重合体および混合物が包含される。非生分解性ポリマーもまた、非吸収性ポリマーとして知られている。一般的な非吸収性ポリマー材料は、シリコーンエラストマー、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、ダクロン(Dacron)(登録商標)、テフロン(Teflon)(登録商標)、および、それらの誘導体を包含するが、それらに限定されない。しかし、これらのポリマー材料は、放射線不透過性ではない。結果として、これらのポリマーから作られた医療用具は、放射線画像化の手段によって視覚化することができない。体の中で使用されているか、または、体内部に植え込まれた医療用具の放射線画像を見ることができることは、非常に重要である。なぜなら、放射線画像化は、手術の間、医師に医療用具を監視しかつ調節する能力を提供するからである。幾つかの医療植え込み用途のために、X線による可視性は必須である。
【0004】
医療インプラントのために使用されるポリマー材料の望ましい放射線不透過度を達成するため、一つの従来の方法は、該ポリマー材料中の添加剤または充填剤として放射線撮影用無機コントラスト剤(例えば、硫酸バリウム、二酸化ジルコニウムまたはハロゲン化ビスマス(bismuth halides))を利用し、放射線不透過性ポリマーマトリックスを形成している。しかし、これらの無機剤は、ポリマー材料と十分には混合せず、放射線不透過性ポリマーマトリックス中で相分離を引き起こすことがあるか、または、凝集塊さえ引き起こすことがある。所要の放射線不透過度を得るために、通常、高濃度(約10重量%、および、しばしば20〜30重量%)のこれら放射線撮影用無機コントラスト剤が使用されるので、相分離の問題は更に深刻化する。ポリマー相と無機相との間の不相溶性(incompatibility)は、ポリマーマトリックスの物理学的および機械的特性(例えば、潤滑性および強靭性)を低下させる。放射線撮影用無機コントラスト剤を使用した場合のもう一つの不都合な点は、これらの無機剤が放射線不透過性ポリマーマトリックスから浸出することである。このことによって、該ポリマー材料の機械強度は低下して不都合となる。
【0005】
放射線不透過度をポリマー材料の中に取り入れるための代わりのアプローチは、放射線撮影用コントラスト効果を生じさせることのできる、臭素原子またはヨウ素原子が共有結合したポリマーを合成することである(米国特許第6,426,145号明細書を参照されたい)。従来技術の一つの放射線不透過性組成物は、共有結合によってポリマーに結合した非浸出性放射線不透過性部分であってハロゲン置換芳香族基を含有する該不透過性部分を有するポリマーを含有する(米国特許第6,599,448号明細書を参照されたい)。従来技術は更に、少なくとも一つの臭素原子またはヨウ素原子で置換されたジフェノールベースのモノマー単位を含有する放射線不透過性ポリマー材料を開示している(米国特許第6,852,308号明細書を参照されたい)。しかし、従来技術のこれら放射線不透過性ポリマーを製造するためには、放射線撮影用コントラスト性モノマー単位を合成する必要がある。このことによって、技術的複雑さおよび製造コストが増大することがある。
【0006】
したがって、ポリマー材料と相溶性であり、かつ、コントラスト強度を改善する放射線撮影用コントラスト剤の必要性が存在する。
【0007】
〔発明の概要〕
したがって、本発明は、放射線撮影用コントラスト剤において、2〜12個の炭素原子の脂肪族主鎖または脂環式主鎖と、少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基とを含有し、しかも、前記の少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基の各々が、少なくとも3個のハロゲン原子で置換されており、かつ、連結基によって前記の脂肪族主鎖または脂環式主鎖に共有結合されており、しかも、前記連結基が、酸素、イオウ、−NH−、−O(CO)−、−(CO)O−、−NH(CO)−、−(CO)NH−、−O(SO2)−、−(SO2)O−、−O(SO)−、−(SO)O−、−NH(SO2)−、−(SO2)NH−、−NH(SO)−、−(SO)NH−、および、トリアゾールから成る群から選ばれている、放射線撮影用コントラスト剤を提供する。本発明の放射線撮影用コントラスト剤は、好ましくは、少なくとも3個のハロゲン置換芳香族基を含有している。
【0008】
本発明は更に、放射線不透過性ポリマー材料において、放射線撮影用有機コントラスト剤と少なくとも1種のポリマーとを含有し、しかも、前記放射線撮影用有機コントラスト剤が、前記の少なくとも1種のポリマーと物理的に混合されているか、または、前記の少なくとも1種のポリマーの中に物理的に埋め込まれているかもしくは分散されており、かつ、該放射線撮影用有機コントラスト剤が、2〜12個の炭素原子の脂肪族主鎖または脂環式主鎖と、少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基とを含有しており、しかも、前記の少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基の各々が、少なくとも3個のハロゲン原子で置換されており、かつ、連結基によって前記の脂肪族主鎖または脂環式主鎖に共有結合されており、しかも、該連結基が、酸素、イオウ、−NH−、−O(CO)−、−(CO)O−、−NH(CO)−、−(CO)NH−、−O(SO2)−、−(SO2)O−、−O(SO)−、−(SO)O−、−NH(SO2)−、−(SO2)NH−、−NH(SO)−、−(SO)NH−、および、トリアゾールから成る群から選ばれている、放射線不透過性ポリマー材料を提供する。前記の少なくとも1種のポリマーは、少なくとも1種の生分解性ポリマー、少なくとも1種の非生分解性ポリマー、または、それらの混合物である。
【0009】
もう一つの態様において、本発明は、医療用具において、該医療用具の少なくとも一部分が放射線不透過性であり、該医療用具の、放射線不透過性である前記の少なくとも一部分が、放射線撮影用コントラスト剤と少なくとも1種のポリマーとを含有する放射線不透過性ポリマー材料を含有しており、しかも、該放射線撮影用コントラスト剤が、2〜12個の炭素原子の脂肪族主鎖または脂環式主鎖と、少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基とを含有しており、しかも、前記の少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基の各々が、少なくとも3個のハロゲン原子で置換されており、かつ、連結基によって前記の脂肪族主鎖または脂環式主鎖に共有結合されており、しかも、該連結基が、酸素、イオウ、−NH−、−O(CO)−、−(CO)O−、−NH(CO)−、−(CO)NH−、−O(SO2)−、−(SO2)O−、−O(SO)−、−(SO)O−、−NH(SO2)−、−(SO2)NH−、−NH(SO)−、−(SO)NH−、および、トリアゾールから成る群から選ばれている、医療用具を提供する。医療用具は好ましくは、植え込み可能な医療用具である。医療用具は更に好ましくは、心臓血管用または末梢用薬物溶出性ステントである。
【0010】
〔発明の詳細な記述〕
本発明は、2〜12個の炭素原子の脂肪族主鎖または脂環式主鎖と、少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基とを有する放射線撮影用コントラスト剤を提供する。本明細書で使用される「脂肪族主鎖(aliphatic backbone)」は、開鎖で連結された炭素原子から成る有機部分を意味し、また、「脂環式主鎖(alicyclic backbone)」は、芳香族化合物でない1個以上の環を形成している炭素原子から成る有機部分を意味する。本発明の放射線撮影用コントラスト剤の中の少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基の各々は、少なくとも3個のハロゲン原子で置換されており、かつ、連結基(linkage group)によって脂肪族主鎖または脂環式主鎖に共有結合されている。該連結基は、酸素、イオウ、−NH−、−O(CO)−、−(CO)O−、−NH(CO)−、−(CO)NH−、−O(SO2)−、−(SO2)O−、−O(SO)−、−(SO)O−、−NH(SO2)−、−(SO2)NH−、−NH(SO)−、−(SO)NH−、または、トリアゾールから選ばれる。本明細書で使用される「(CO)」は、カルボニル部分を意味し;「(SO)」は、スルフィニル部分を意味し;また、「(SO2)」は、スルホニル部分を意味する。連結基は、脂肪族主鎖または脂環式主鎖を少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基に、共有結合によって連結する。「−連結−(-linkage-)」として表現される連結基は、次のような連結:(脂肪族主鎖または脂環式主鎖)−連結−(少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基の一方)、を意味する。例えば、「−(CO)O−」は、次のような連結:(脂肪族主鎖または脂環式主鎖)−(CO)O−(少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基の一方)、を意味する。本発明の連結基は、−NH(CO)−、−O(CO)−、または、トリアゾールであるのが好ましい。本明細書で使用される用語「トリアゾール(triazole)」は、1,2,3−トリアゾールと1,2,4−トリアゾールとの両方を包含する。連結基がトリアゾールである場合、脂肪族主鎖または脂環式主鎖と、少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基とは、2個の炭素原子の一方と、1,2,4−トリアゾールの場合の4位置の窒素原子、または、1,2,3−トリアゾールの場合の3位置の窒素原子とによって連結される。
【0011】
本発明に適した脂肪族主鎖は、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、および、それらの類似体(analogs)または異性体を包含するが、それらに限定されない。本発明に適した脂環式主鎖は、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクタン(cyclooxtanene)、および、それらの類似体(analogs)または異性体を包含するが、それらに限定されない。脂肪族主鎖または脂環式主鎖は、4〜8個の炭素原子を有する脂肪族部分または脂環式部分であるのが好ましい。
【0012】
本発明の放射線撮影用コントラスト剤は、少なくとも3個のハロゲン置換芳香族基を含有することが、好ましい。「ハロゲン置換芳香族基(halogen-substituted aromatic group)」は、少なくとも1個のハロゲン置換基を有する芳香族基を意味する。「芳香族基(aromatic group)」は、複数の共役二重結合を有する環式有機化合物を意味する。本発明のハロゲン置換芳香族基は、ハロゲン置換の炭素環式化合物、複素環式化合物または多環式化合物である場合がある。本発明に適したハロゲン置換芳香族基は、ハロゲン置換のベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、ピリジン、フラン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インドール、キノリンおよびイソキノリンを包含するが、それらに限定されない。本発明に係るハロゲン置換芳香族基は、ハロゲン置換ベンゼンであるのが好ましい。本発明に係るハロゲン置換芳香族基の各々は、少なくとも3個のハロゲン原子で置換されている。それらの少なくとも3個のハロゲン原子は、臭素、ヨウ素、または、それらの組合せであるのが好ましい。本発明に係るハロゲン置換芳香族基は、少なくとも3個のヨウ素原子で置換されていることが更に好ましい。本発明の一つの好ましい具体例において、ハロゲン置換芳香族基は、2,3,5−トリヨードベンゼンである。
【0013】
本発明の放射線撮影用コントラスト剤は、多価アルコールまたはポリアミンを含有する有機化合物と、ハロゲン置換芳香族化合物との間の諸反応によって調製することができる。本発明に適した、多価アルコールまたはポリアミンを含有する有機化合物は、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ペンタエリトリトール、トレセローズ(trethelose)、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、プトレッシン(putrescine)、スペルミジン、スペルミン、および、それらの類似体を包含するが、それらに限定されない。本発明の放射線撮影用コントラスト剤はまた、当業者に知られている他の方法によって調製することもできる。
【0014】
本発明の一つの具体例において、放射線撮影用有機コントラスト剤は、次の構造:
【化1】

を有する。
【0015】
本発明のもう一つの具体例において、放射線撮影用有機コントラスト剤は、次の構造:
【化2】

を有する。
【0016】
式(II)の、本発明の放射線撮影用コントラスト剤は、スキーム1に示されるように、塩化チオニル(即ち、SOCl2)の存在下、ペンタエリトリトールと2,3,5−トリヨード安息香酸との間の反応によって合成する。
【0017】
【化3】

【0018】
本発明の放射線撮影用コントラスト剤は、水に僅かに可溶性であり、一般の有機溶媒には実質的に可溶性である。「実質的に可溶性である」は、約10mg/mL以上の溶解度を有することを意味する。「僅かに可溶性である」は、約1mg/mL以下の溶解度を有することを意味する。とりわけ、本発明の放射線撮影用コントラスト剤は、放射線撮影用無機コントラスト剤と異なり、様々なポリマーを溶解するのに使用される有機溶媒[例えば、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルホルムアミド(dimethylformide)(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、1,4−ジオキサン、および、塩素化溶媒(例えば、ジクロロメタン)]に容易に溶解するかまたは分散する。このように、本発明の放射線撮影用コントラスト剤は、医療用具を構築するのに使用される様々なポリマーと混和可能である。本発明の放射線撮影用コントラスト剤は、水に僅かしか溶解しないため、該コントラスト剤は、本発明の放射線撮影用コントラスト剤と1種以上のポリマーとを物理的に混合することによって生じるポリマーマトリックスを膨張させない。本発明の放射線撮影用コントラスト剤は、ポリマーマトリックスの機械強度および/または分解プロフィル(degradation profile)が悪影響を受けないような非常に遅いプロセスで該ポリマーマトリックスから浸出するに過ぎない。更に、本発明の放射線撮影用コントラスト剤が1種以上のポリマーと混合されるとき、本発明の放射線撮影用コントラスト剤は、結果として得られたポリマーマトリックスにおいて、いかなる凝集塊をも形成せず、また、いかなる相分離をも引き起こさない。したがって、本発明の放射線撮影用コントラスト剤と1種以上のポリマーとから成るポリマーマトリックスは、該1種以上のポリマーの平滑さと潤滑性とを保持する。更に、本発明の放射線撮影用コントラスト剤と1種以上のポリマーとから成るポリマーマトリックスは、該1種以上のポリマーの機械強度を保持するか、または、改善された機械強度を示す。加えて、本発明の放射線撮影用コントラスト剤は、小さい単一の有機化合物の中に複数のハロゲン原子を含有しており、その結果として、非常に高いコントラスト強度を生じる。このように、ポリマーマトリックスの中の本発明の放射線撮影用コントラスト剤は、比較的少量で、十分な画質を提供することが可能であり、その結果として、該ポリマーマトリックスは、治療薬または他の官能分子を担持するためのより大きい容量(capacity)を有する。
【0019】
本発明は更に、放射線撮影用コントラスト剤と少なくとも1種のポリマーとを含有する放射線不透過性ポリマー材料を提供する。本発明の放射線不透過性ポリマー材料の中の放射線撮影用コントラスト剤は、少なくとも1種のポリマーと物理的に混合されるか、または、該少なくとも1種のポリマーの中に物理的に埋め込まれる、もしくは分散される。放射線撮影用コントラスト剤は、2〜12個の炭素原子の脂肪族主鎖または脂環式主鎖と、少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基であって、該少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基の各々が少なくとも3個のハロゲン原子で置換されており、かつ、該少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基の各々が連結基によって脂肪族主鎖または脂環式主鎖に共有結合されており、かつ、該連結基が、酸素、イオウ、−NH−、−O(CO)−、−(CO)O−、−NH(CO)−、−(CO)NH−、−O(SO2)−、−(SO2)O−、−O(SO)−、−(SO)O−、−NH(SO2)−、−(SO2)NH−、−NH(SO)−、−(SO)NH−、および、トリアゾールから成る群から選ばれている、前記の少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基と、を含有している。本発明の放射線撮影用コントラスト剤は、少なくとも3個のハロゲン置換芳香族基を含有するのが好ましい。
【0020】
本発明に係る少なくとも1種のポリマーは、本発明の放射線撮影用コントラスト剤と相溶性のポリマーであればいかなるものでもよい。少なくとも1種のポリマーは好ましくは、少なくとも1種の生分解性ポリマー、少なくとも1種の非生分解性ポリマー、または、それらの混合物である場合がある。「生分解性ポリマー(biodegradable polymer)」は、天然の生物学的な過程(biological processes)によって(例えば、細菌、植物もしくは動物の作用によって)劣化または分解され得るポリマーを意味する。生分解性ポリマーは、生体吸収性ポリマーまたは生体溶解性ポリマーとしても知られている。本発明のために適した生分解性ポリマーは、ポリグリコリド、ポリラクチド、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)[poly(lactide-co-glycolide)]、ポリジオキサノン、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチラート、ポリ(トリメチレンカルボナート)、ポリホスホエステル(PPE)、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリ(エステルアミド)、ならびに、それらの共重合体および混合物を包含するが、それらに限定されない。本発明のために適した非生分解性ポリマーは、シリコーンエラストマー、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)[poly(ethylene-co-vinyl acetate)]、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ならびに、それらの共重合体および混合物を包含するが、それらに限定されない。
【0021】
本発明の放射線撮影用コントラスト剤を、当業者に知られているいずれかの方法で、少なくとも1種のポリマーと物理的に混合するか、または、該少なくとも1種のポリマーの中に物理的に埋め込むこと、もしくは分散することができる。本発明の一つの具体例において、本発明の放射線撮影用コントラスト剤は有機溶媒に溶解させ、次いで、結果として得られた溶液は、該有機溶媒に入っている少なくとも1種のポリマーの溶液と混合する。本発明のもう一つの具体例において、本発明の放射線撮影用コントラスト剤は、有機溶媒に入っている少なくとも1種のポリマーの溶液に直接溶解させる。
【0022】
[本発明の放射線撮影用コントラスト剤]対[少なくとも1種のポリマー]の重量比は、本発明の放射線撮影用コントラスト剤の構造と、ポリマー材料の所望の放射線不透過度とによって変わる。[本発明の放射線撮影用コントラスト剤]対[少なくとも1種のポリマー]の重量比は典型的には、約20:100未満である。[本発明の放射線撮影用コントラスト剤]対[少なくとも1種のポリマー]の重量比は、約10:100未満であることが好ましい。
【0023】
本発明の放射線不透過性ポリマー材料は、所望の生体適合性および物理学的および機械的特性(例えば、強度特性、疲労特性、平滑性)を有するだけでなく、放射線画像化において視覚化するための放射線不透過度(radio-opacity)をも有する。放射線不透過性ポリマー材料の機械強度および/または分解時間は、前記の少なくとも1種のポリマーの分子量または組成を調節することによって変えることができる。本発明に係る生分解性ポリマーの、放射線撮影におけるコントラスト強度は、前記の本発明の放射線撮影用コントラスト剤と少なくとも1種のポリマーとの比を変えることによって調節することができる。本発明の放射線撮影用コントラスト剤は、有機溶媒に可溶性であり、かつ、医療用具を構築するのに使用されるバルク(bulk)ポリマー材料と混和可能である。したがって、本発明の放射線不透過性ポリマー材料は、医療用具に適しており、とりわけ、生体組織に連結される医療用具(例えば、植え込み可能な医療用具)に適している。
【0024】
本発明は、もう一つの態様において、医療用具を提供する。該医療用具の少なくとも一部分は放射線不透過性であり、該医療用具の、放射線不透過性である前記の少なくとも一部分は、放射線撮影用コントラスト剤と少なくとも1種のポリマーとを含有する放射線不透過性ポリマー材料を含有しており、しかも、該放射線撮影用コントラスト剤が、前記の少なくとも1種のポリマーと物理的に混合されているか、または、前記の少なくとも1種のポリマーの中に物理的に埋め込まれているかもしくは分散されており、かつ、該放射線撮影用コントラスト剤が、2〜12個の炭素原子の脂肪族主鎖または脂環式主鎖と、少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基とを含有しており、しかも、前記の少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基の各々が、少なくとも3個のハロゲン原子で置換されており、かつ、連結基によって前記の脂肪族主鎖または脂環式主鎖に共有結合されており、しかも、該連結基が、酸素、イオウ、−NH−、−O(CO)−、−(CO)O−、−NH(CO)−、−(CO)NH−、−O(SO2)−、−(SO2)O−、−O(SO)−、−(SO)O−、−NH(SO2)−、−(SO2)NH−、−NH(SO)−、−(SO)NH−、および、トリアゾールから成る群から選ばれている。
【0025】
本発明において、医療用具の放射線不透過性部分は、該医療用具の一つの表面の少なくとも一部分、該医療用具の部品、または、該医療用具の部品の一部分であってもよい。医療用具の放射線不透過性部分は、意図された用途と該医療用具の製造方法とによって決まるが、いかなる形状または寸法であってもよい。医療用具の全表面が本発明の放射線不透過性の生分解性ポリマー材料で被覆されるか、または、医療用具全体が本発明の放射線不透過性の生分解性ポリマー材料で造られる場合、該医療用具全体は、放射線不透過性となる。本発明の医療用具は、植え込み可能な医療用具であることが好ましい。植え込み可能な医療用具は、心臓血管用または末梢用薬物溶出性ステントであることが更に好ましい。本発明に適した医療用具の例は、創傷縫合デバイス(例えば、縫合糸、ステープル、メッシュ);整形外科用固定デバイス(例えば、骨折固定用インプラントおよび骨増強用インプラント);腸用デバイス(例えば、吻合リングおよび血管結紮用クリップ);心臓血管用デバイス(例えば、人工血管、および、心臓血管用または末梢用薬物溶出性ステント);歯科用インプラント;神経成長導管(nerve growth conduits);ガイドワイヤー、カテーテル、ならびに、他の植え込み可能な医療用具を包含するが、それらに限定されない。本発明の放射線不透過性の生分解性ポリマー材料は、注型(cast)、噴霧(spray)、スピン(spin)、浸漬(dipping)、または、当業者に知られている他の方法を使用して、コーティングとして、医療用具の一つの表面の少なくとも一部分に施用することができる。医療用具またはそれの部品は、溶液流延法(solvent casting)、射出成形、圧縮成形、押出し、または、当業者に知られている他の方法を使用して、本発明の放射線不透過性の生分解性ポリマー材料で構築され、ポリマー製医療用具を構築することができる。
【0026】
本発明を更に例示するために、次の非限定的実施例を提供する。その実施例は、説明目的のためにのみ提供されるため、そこに具体化される本発明は、それに限定されるべきでない。
【0027】
実施例:式(I)の放射線撮影用コントラスト剤の合成
式(I)の、本発明の放射線撮影用コントラスト剤は、スキーム2に示される合成ルートによって調製した。
【0028】
【化4】

【0029】
THF(300mL)に入れた化合物(III)(40g,0.08モル)と塩化チオニル(20g,0.017モル)との混合物を加熱して、40分間還流した。次いで、その溶媒は、ロータベイパー(rotavapor)によって除去した。結果として得られた乾燥固体を、ヘキサン中で再結晶化させた。このプロセスによって、化合物(IV)20gが収率49%で得られた。
【0030】
THF(400mL)とトリエチルアミン(16mL)(即ち、TEA)に入れた化合物(V)(4.06g,0.028モル)の溶液に、THF(150mL)に入れた化合物(IV)(51.8g,0.1モル)の溶液を、0〜5℃で10〜15分間で徐々に添加した。次いで、結果として得られた反応混合物は、室温で2時間の間撹拌した。次いで、該反応混合物は、水1000mLに添加した。その固形分は、濾過によって回収し、飽和炭酸ナトリウム(3回×100mL)、水(3回×100mL)および温メタノール(3回×100mL,45〜50℃)で洗浄した。化合物(IV)(43g)が、96%の収率および95%以上の純度で得られた(H1NMRによって決定)。H1NMR(DMSO−d6):8.39(s,3H);8.26(s,3H);7.56(s,3H);3.36(br,6H);2.69(br,6H)。MS(+):1592;MS(−):1590。
【0031】
本発明を、それの好ましい諸具体例に関連して具体的に示し、記述してきたが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、上述の変形、ならびに、形態および細部における他の変形を行うことができることは、当業者によって理解されるであろう。したがって、本発明は、記述され例示されてきたそのままの形態および細部に限定されるのではなく、特許請求の範囲の中に含まれるということが、意図されている。
【0032】
〔実施の態様〕
(1)放射線撮影用コントラスト剤において、
2〜12個の炭素原子の脂肪族主鎖または脂環式主鎖と、
少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基と、
を含有し、
前記少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基の各々が、少なくとも3個のハロゲン原子で置換されており、かつ、連結基によって前記脂肪族主鎖または脂環式主鎖に共有結合されており、
前記連結基が、酸素、イオウ、−NH−、−O(CO)−、−(CO)O−、−NH(CO)−、−(CO)NH−、−O(SO2)−、−(SO2)O−、−O(SO)−、−(SO)O−、−NH(SO2)−、−(SO2)NH−、−NH(SO)−、−(SO)NH−、および、トリアゾール、から成る群から選ばれている、
放射線撮影用コントラスト剤。
(2)実施態様1に記載の放射線撮影用コントラスト剤において、
少なくとも3個のハロゲン置換芳香族基、
を含有している、放射線撮影用コントラスト剤。
(3)実施態様2に記載の放射線撮影用コントラスト剤において、
前記連結基は、−NH(CO)−、−O(CO)−、または、トリアゾールである、放射線撮影用コントラスト剤。
(4)実施態様3に記載の放射線撮影用コントラスト剤において、
前記少なくとも3個のハロゲン原子は、臭素、ヨウ素、または、それらの組合せである、放射線撮影用コントラスト剤。
(5)実施態様1に記載の放射線撮影用コントラスト剤において、
下記の構造を有している、放射線撮影用コントラスト剤。
【化5】

(6)実施態様1に記載の放射線撮影用コントラスト剤において、
下記の構造を有している、放射線撮影用コントラスト剤。
【化6】

(7)放射線不透過性ポリマー材料において、
放射線撮影用コントラスト剤と、
少なくとも1種のポリマーと、
を含有し、
前記放射線撮影用コントラスト剤が、2〜12個の炭素原子の脂肪族主鎖または脂環式主鎖、および、少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基、を含有しており、
前記少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基の各々が、少なくとも3個のハロゲン原子で置換されており、かつ、連結基によって前記脂肪族主鎖または前記脂環式主鎖に共有結合されており、
前記連結基が、酸素、イオウ、−NH−、−O(CO)−、−(CO)O−、−NH(CO)−、−(CO)NH−、−O(SO2)−、−(SO2)O−、−O(SO)−、−(SO)O−、−NH(SO2)−、−(SO2)NH−、−NH(SO)−、−(SO)NH−、および、トリアゾール、から成る群から選ばれている、
放射線不透過性ポリマー材料。
(8)実施態様7に記載の放射線不透過性ポリマー材料において、
前記放射線撮影用コントラスト剤が、少なくとも3個のハロゲン置換芳香族基を含有している、放射線不透過性ポリマー材料。
(9)実施態様8に記載の放射線不透過性ポリマー材料において、
前記連結基は、−NH(CO)−、または−O(CO)−、またはトリアゾールである、放射線不透過性ポリマー材料。
(10)実施態様9に記載の放射線不透過性ポリマー材料において、
前記少なくとも3個のハロゲン原子は、臭素、ヨウ素、または、それらの組合せである、放射線不透過性ポリマー材料。
(11)実施態様7に記載の放射線不透過性ポリマー材料において、
前記少なくとも1種のポリマーが、少なくとも1種の生分解性ポリマー、少なくとも1種の非生分解性ポリマー、または、それらの混合物である、放射線不透過性ポリマー材料。
(12)実施態様11に記載の放射線不透過性ポリマー材料において、
前記少なくとも1種の生分解性ポリマーは、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(poly(lactide-co-glycolide))(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリホスホエステル(polyphosphoesters)(PPE)、ポリオルトエステル(polyorthoesters)、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリ(エステルアミド)(poly(esteramide))(PEA)、ならびに、それらの共重合体および混合物、から成る群から選ばれている、放射線不透過性ポリマー材料。
(13)実施態様11に記載の放射線不透過性ポリマー材料において、
前記少なくとも1種の非生分解性ポリマーは、シリコーンエラストマー、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)(poly(ethylene-co-vinyl acetate))、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ならびに、それらの共重合体および混合物、から成る群から選ばれている、放射線不透過性ポリマー材料。
(14)医療用具において、
前記医療用具の少なくとも一部分が放射線不透過性であり、前記医療用具の、放射線不透過性である前記少なくとも一部分が、放射線撮影用コントラスト剤、および、少なくとも1種のポリマー、を含有する放射線不透過性ポリマー材料を含有しており、
前記放射線撮影用コントラスト剤が、2〜12個の炭素原子の脂肪族主鎖または脂環式主鎖と、少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基とを含有しており、
前記少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基の各々が、少なくとも3個のハロゲン原子で置換されており、かつ、連結基によって前記の脂肪族主鎖または脂環式主鎖に共有結合されており、
前記連結基が、酸素、イオウ、−NH−、−O(CO)−、−(CO)O−、−NH(CO)−、−(CO)NH−、−O(SO2)−、−(SO2)O−、−O(SO)−、−(SO)O−、−NH(SO2)−、−(SO2)NH−、−NH(SO)−、−(SO)NH−、および、トリアゾール、から成る群から選ばれている、
医療用具。
(15)実施態様14に記載の医療用具において、
前記放射線撮影用コントラスト剤は、少なくとも3個のハロゲン置換芳香族基を含有している、医療用具。
(16)実施態様14に記載の医療用具において、
前記少なくとも1種の生分解性ポリマーは、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリホスホエステル(PPE)、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリ(エステルアミド)(PEA)、ならびに、それらの共重合体および混合物、から成る群から選ばれている、医療用具。
(17)実施態様14に記載の医療用具において、
前記少なくとも1種の非生分解性ポリマーは、シリコーンエラストマー、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ならびに、それらの共重合体および混合物、から成る群から選ばれている、医療用具。
(18)実施態様14に記載の医療用具において、
前記医療用具の放射線不透過性である前記部分は、前記医療用具の一つの表面の少なくとも一部分、前記医療用具の部品、または、前記医療用具の部品の一部分である、医療用具。
(19)実施態様14に記載の医療用具において、
前記医療用具は、植え込み可能である、医療用具。
(20)実施態様14に記載の医療用具において、
心臓血管用または末梢用の薬物溶出性ステントである、医療用具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線撮影用コントラスト剤において、
2〜12個の炭素原子の脂肪族主鎖または脂環式主鎖と、
少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基と、
を含有し、
前記少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基の各々が、少なくとも3個のハロゲン原子で置換されており、かつ、連結基によって前記脂肪族主鎖または脂環式主鎖に共有結合されており、
前記連結基が、酸素、イオウ、−NH−、−O(CO)−、−(CO)O−、−NH(CO)−、−(CO)NH−、−O(SO2)−、−(SO2)O−、−O(SO)−、−(SO)O−、−NH(SO2)−、−(SO2)NH−、−NH(SO)−、−(SO)NH−、および、トリアゾール、から成る群から選ばれている、
放射線撮影用コントラスト剤。
【請求項2】
請求項1に記載の放射線撮影用コントラスト剤において、
少なくとも3個のハロゲン置換芳香族基、
を含有している、放射線撮影用コントラスト剤。
【請求項3】
請求項2に記載の放射線撮影用コントラスト剤において、
前記連結基は、−NH(CO)−、−O(CO)−、または、トリアゾールである、放射線撮影用コントラスト剤。
【請求項4】
請求項3に記載の放射線撮影用コントラスト剤において、
前記少なくとも3個のハロゲン原子は、臭素、ヨウ素、または、それらの組合せである、放射線撮影用コントラスト剤。
【請求項5】
請求項1に記載の放射線撮影用コントラスト剤において、
下記の構造を有している、放射線撮影用コントラスト剤。
【化1】

【請求項6】
請求項1に記載の放射線撮影用コントラスト剤において、
下記の構造を有している、放射線撮影用コントラスト剤。
【化2】

【請求項7】
放射線不透過性ポリマー材料において、
放射線撮影用コントラスト剤と、
少なくとも1種のポリマーと、
を含有し、
前記放射線撮影用コントラスト剤が、2〜12個の炭素原子の脂肪族主鎖または脂環式主鎖、および、少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基、を含有しており、
前記少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基の各々が、少なくとも3個のハロゲン原子で置換されており、かつ、連結基によって前記脂肪族主鎖または前記脂環式主鎖に共有結合されており、
前記連結基が、酸素、イオウ、−NH−、−O(CO)−、−(CO)O−、−NH(CO)−、−(CO)NH−、−O(SO2)−、−(SO2)O−、−O(SO)−、−(SO)O−、−NH(SO2)−、−(SO2)NH−、−NH(SO)−、−(SO)NH−、および、トリアゾール、から成る群から選ばれている、
放射線不透過性ポリマー材料。
【請求項8】
請求項7に記載の放射線不透過性ポリマー材料において、
前記放射線撮影用コントラスト剤が、少なくとも3個のハロゲン置換芳香族基を含有している、放射線不透過性ポリマー材料。
【請求項9】
請求項8に記載の放射線不透過性ポリマー材料において、
前記連結基は、−NH(CO)−、または−O(CO)−、またはトリアゾールである、放射線不透過性ポリマー材料。
【請求項10】
請求項9に記載の放射線不透過性ポリマー材料において、
前記少なくとも3個のハロゲン原子は、臭素、ヨウ素、または、それらの組合せである、放射線不透過性ポリマー材料。
【請求項11】
請求項7に記載の放射線不透過性ポリマー材料において、
前記少なくとも1種のポリマーが、少なくとも1種の生分解性ポリマー、少なくとも1種の非生分解性ポリマー、または、それらの混合物である、放射線不透過性ポリマー材料。
【請求項12】
請求項11に記載の放射線不透過性ポリマー材料において、
前記少なくとも1種の生分解性ポリマーは、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(poly(lactide-co-glycolide))(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリホスホエステル(polyphosphoesters)(PPE)、ポリオルトエステル(polyorthoesters)、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリ(エステルアミド)(poly(esteramide))(PEA)、ならびに、それらの共重合体および混合物、から成る群から選ばれている、放射線不透過性ポリマー材料。
【請求項13】
請求項11に記載の放射線不透過性ポリマー材料において、
前記少なくとも1種の非生分解性ポリマーは、シリコーンエラストマー、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)(poly(ethylene-co-vinyl acetate))、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ならびに、それらの共重合体および混合物、から成る群から選ばれている、放射線不透過性ポリマー材料。
【請求項14】
医療用具において、
前記医療用具の少なくとも一部分が放射線不透過性であり、前記医療用具の放射線不透過性である前記少なくとも一部分が、放射線撮影用コントラスト剤、および、少なくとも1種のポリマー、を含有する放射線不透過性ポリマー材料を含有しており、
前記放射線撮影用コントラスト剤が、2〜12個の炭素原子の脂肪族主鎖または脂環式主鎖と、少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基とを含有しており、
前記少なくとも2個のハロゲン置換芳香族基の各々が、少なくとも3個のハロゲン原子で置換されており、かつ、連結基によって前記の脂肪族主鎖または脂環式主鎖に共有結合されており、
前記連結基が、酸素、イオウ、−NH−、−O(CO)−、−(CO)O−、−NH(CO)−、−(CO)NH−、−O(SO2)−、−(SO2)O−、−O(SO)−、−(SO)O−、−NH(SO2)−、−(SO2)NH−、−NH(SO)−、−(SO)NH−、および、トリアゾール、から成る群から選ばれている、
医療用具。
【請求項15】
請求項14に記載の医療用具において、
前記放射線撮影用コントラスト剤は、少なくとも3個のハロゲン置換芳香族基を含有している、医療用具。
【請求項16】
請求項14に記載の医療用具において、
前記少なくとも1種の生分解性ポリマーは、ポリラクチド(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリホスホエステル(PPE)、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリホスファゼン、ポリ(エステルアミド)(PEA)、ならびに、それらの共重合体および混合物、から成る群から選ばれている、医療用具。
【請求項17】
請求項14に記載の医療用具において、
前記少なくとも1種の非生分解性ポリマーは、シリコーンエラストマー、ポリ(エチレン−コ−酢酸ビニル)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ならびに、それらの共重合体および混合物、から成る群から選ばれている、医療用具。
【請求項18】
請求項14に記載の医療用具において、
前記医療用具の放射線不透過性である前記部分は、前記医療用具の一つの表面の少なくとも一部分、前記医療用具の部品、または、前記医療用具の部品の一部分である、医療用具。
【請求項19】
請求項14に記載の医療用具において、
前記医療用具は、植え込み可能である、医療用具。
【請求項20】
請求項14に記載の医療用具において、
心臓血管用または末梢用の薬物溶出性ステントである、医療用具。

【公開番号】特開2007−153895(P2007−153895A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−329761(P2006−329761)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(597041828)コーディス・コーポレイション (206)
【氏名又は名称原語表記】Cordis Corporation
【Fターム(参考)】