説明

医療用生体情報表示装置

【課題】生体器官測定装置及び生体器官撮像装置で得られた両データを一元管理し、各々に共通した識別情報に基づいて関係づけることによって、治療効率を改善させる。
【解決手段】生体器官測定装置及び生体器官撮像装置で得られた両データを各々に共通した個別識別情報と共に記録する。両データを再生表示する際には、記録されたデータの中から指定時刻及び指定個別識別情報に対応するデータのみを抽出し、並行して画面表示をする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体器官撮像装置を含む医療用生体情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医学の分野では、患者の治療や診断の際には、まず、検査対象となる器官の生体情報を非侵襲的に調べるために、生体の体表面に装着したセンサー等によって、生体パラメータ信号を検知する生体信号測定装置が用いられている。
【0003】
例えば、心臓疾患診断の際には心筋の異常等を捉えるために、患者の体表面に装着した複数の電極によって、心筋が拡張、収縮する際に生ずる電圧変化を心電図信号として測定する心電図測定装置が用いられている。
【0004】
生体器官検査で異常が見つかると、検査対象となる器官の異常箇所を特定するために、器官を撮像する撮像装置も使用される。例えば、先に述べた心臓疾患診断の際には、心筋の異常運動及び異常部位を調べるために、体内に挿入した内視鏡によって、心筋の映像を捉える内視鏡撮像装置が用いられている。
【0005】
生体信号測装置と撮像装置はそれぞれ個別の装置であり、お互いに連携されてない故に、各装置で取得された各データは別々の治療用データとして管理されていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらのデータは、医師が患者に対して診断を下したり治療を行う際に参照する非常に重要な情報源となる。しかしながら、従来においては、生体器官測定データと生体器官撮像データは個別に管理記録されている故に、治療の際には、個別にデータを検索しなければならないという治療効率上の問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に対して、生体器官測定データと撮像データの両データを一元管理し、各々に共通した患者識別情報に基づいて関係づけることによって、治療効率を大幅に改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の医療用生体情報表示装置は、披検査生体の器官の時間経過に伴う形状変化に伴って生ずる生体パラメータ信号を得る生体パラメータ信号検知手段と、前記器官の形状変化を撮像して得られる器官形状変化映像信号を生成する撮像手段と、前記生体パラメータ信号と前記器官形状変化映像信号に基づいた表示をなす表示手段と、を含む生体情報表示装置であって、前記生体パラメータ信号を検知時刻の変化に伴って変化する画面を表す生体パラメータ画面データに変換する第1変換手段と、前記器官形状変化映像信号を撮像時刻時の変化に伴って変化する画面を表す時刻対応撮像データに変換する第2変換手段と、前記生体パラメータ画面データ及び前記時刻対応撮像データを披検査体の個別識別番号と共に記憶部に書き込む書込手段と、指定時刻及び指定個別識別番号を含む再生表示指令に応じて、前記書込手段から前記生体パラメータ画面データ及び前記時刻対応撮像データのうちの前記指定時刻に対応する部分のみを抽出する抽出手段と、前記抽出手段によって抽出された部分のみのデータを各々対応する画面を表示する表示手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検知時刻の変化に伴って変化する生体パラメータ信号に関わる生体パラメータ画面データと、撮像時刻時の変化に伴って変化する器官形状変化映像信号に関わる時刻対応撮像データを、披検査体の個別識別情報と共に記憶部に書き込み、表示する際、再生表示指令に応じて指定時刻に対応する部分のみを抽出するので、同一時刻に取得された生体パラメータ信号と器官形状変化信号を並行して表示することをができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。図1は本発明の第1実施例としての医療用生体情報表示装置の構成を示す構成図である。図2は図1の医療用生体情報表示装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【0011】
図1に示すように、本発明による生体情報表示装置は、例えば患者などの被検査生体の器官が生ずる生体パラメータ信号H(t)を生成する生体パラメータ信号生成部1を含む。器官映像信号生成部2は被検査生体の器官を撮像して得られる器官映像信号I(t)を生成する。生体パラメータ画面データ生成部3は生体パラメータ信号H(t)を検知時刻の変化に伴って変化する画面を表す生体パラメータ画面データh(x、y、t)に変換する。器官映像信号データ生成部4は器官映像信号I(t)を撮像時刻時の変化に伴って変化する画面を表す器官映像データi(x、y、t)に変換する。書込部5は生体パラメータ画面データh(x、y、t)及び器官映像データi(x、y、t)をメモリ部6に書き込む。生体パラメータ画面データ抽出部7及び器官映像データ抽出部8は再生表示指令部9によってなされた指定時刻を含む再生表示指令に応じて、前記書込手段5から前記生体パラメータ画面データh(x、y、t)及び前記器官映像データi(x、y、t)のうちの前記指定時刻に対応する部分のみを抽出する。生体パラメータ画面データ表示再生部10及び器官映像データ表示再生部11は生体パラメータ画面データ抽出部7と器官映像データ抽出部8によって抽出された部分のみのデータに対応する画面を表示再生する。
【0012】
生体パラメータ信号生成部1には、生体から生体情報を検知するために、生体器官が生ずる電圧、圧力、変位当の物理量、例えば電気信号として検知するセンサーが備えられており、器官が生ずる生体パラメータ信号H(t)を得る。例えば、心筋の収縮及び拡張に伴って生ずる電位を検知する心電計測定器の場合、心筋が生ずる電位がH(t)に対応し、心電図計測器によって生体パラメータ信号生成部1を構成する。その他、外部刺激によって脳細胞が発する電位を検知する脳波計、血管の圧力変化に伴って生ずる変位を検知する血圧計などのセンサーを用いることができる。
【0013】
ここで、生体パラメータ信号生成部1は必ずしも1つ生体パラメータ信号H(t)を生成するとは限らない。つまり、生体パラメータ信号生成部1に備えられたセンサーの数n(nは2以上の整数)に応じて、複数の生体パラメータ信号Hn(t)を生成することができる。
【0014】
さらに、生体パラメータ信号生成部1は必ずしも1つから構成されるとは限らない。つまり、センサーの種類の数m(mは2以上の整数)に応じて、生体パラメータ信号生成部を増設することもできる。各生体パラメータ信号生成部はセンサーの種類に応じて、生体パラメータ信号Hm(t)を生成する。
【0015】
生体パラメータ画面データ生成部3は、所定の変換レートで、生体パラメータ信号生成部1によって生成された生体パラメータ信号H(t)を、時刻の変化に伴って変化する画面を表す生体パラメータ画面データh(x、y、t)に変換する。ここで、(x、y)は、表示画面の位置座標である。また、生体パラメータ画面データを生体パラメータ画面データ生成部3は複数の生体パラメータ信号を同時処理するようにも出来る。
【0016】
本発明における器官映像信号生成部2は、被検査生体の器官の形状変化を撮像して得られる器官映像信号I(t)を生成する。器官映像信号生成部2は、例えば、汎用のビデオカメラから高速ビデオカメラ、生体内部を撮像できる内視鏡等である。
【0017】
器官映像データ生成部は、所定のサンプリングレートで、器官映像信号生成部2によって撮像された器官映像信号I(t)を、撮像時刻時の変化に伴って変化する画面を表す器官映像データi(x、y、t)に変換する。ここで、(x、y)は表示画面の位置座標である。
【0018】
書込部5は、日付及び時刻並びに被検査生体の個別情報等と関連づけて、生体パラメータ画面データh(x、y、t)及び器官映像データi(x、y、t)を並行してメモリ部6に記憶する。また、検査時においては、書込部5は、生体パラメータ画面データh(x、y、t)及び器官映像データi(x、y、t)を測定中に確認できるように表示再生できる表示再生機器を備えてもよい。
【0019】
再生表示指令部9は、指定個別識別情報及び指定時刻を含む再生表示指令を、生体パラメータ画面データ抽出部7及び器官映像データ抽出部8に命令する。
【0020】
生体パラメータ画面データ抽出部7及び器官映像データ抽出部8は、メモリ部6に記憶された生体パラメータ画面データh(x、y、t)と器官映像データi(x、y、t)のうち、再生表示指令部9の命令によって指定された部分のみを抽出する。抽出された生体パラメータ画面データh(x、y、t)と器官映像データi(x、y、t)を生体パラメータ画面データ表示再生部10と器官映像データ表示再生部11にそれぞれ表示する。ここで、生体パラメータ画面データ表示再生部10が抽出された生体パラメータ画面データh(x、y、t)と器官映像データi(x、y、t)の両方を同一スクリーン上に区分けして表示してもよい。
【0021】
上記したように、本発明の第1実施例においては、生体パラメータ画面データh(x、y、t)と器官映像データi(x、y、t)とは互いに共通する個別識別情報で対応づけられてメモリ部6に書き込まれ、表示再生する際には、メモリ部6に書き込まれたデータのうち、再生表示指令部9によって指定された部分のみを、抽出部が抽出するので、同一時刻に取得された生体パラメータ画面データh(x、y、t)と器官映像データi(x、y、t)を並行して表示することができる。
【0022】
図2を用いて、医療用生体情報表示装置の動作の一例を説明する。
【0023】
まず、生体パラメータ画面データ表示再生部10に被検査生体の識別情報である被検査生体の個別認証番号、検査を行った日時が入力される(ステップS1)。
【0024】
ステップS1で入力された被検査生体個別認証情報に基づく生体パラメータ画面データh(x、y、t)が抽出される(ステップS2)。
【0025】
生体パラメータ画面データh(x、y、t)を表示再生する(ステップS3)。
【0026】
生体パラメータ画面データh(x、y、t)の中から着目したい特定部分h(x、y、t1)を指定する(ステップS4)。ここで、時刻t1は、時刻t1を含む時間帯に対応することとしてもよい。
【0027】
ステップ1で入力された患者識別情報に加えて、ステップS4において指定された時刻t1を器官映像データ抽出部8に出力する(ステップS5)。
【0028】
器官映像データ抽出部8にて再生表示指令に基づいた器官映像データi(x、y、t)が検索される(ステップS6)。
【0029】
器官映像データ抽出部8にて時刻t1で得られた器官映像データi(x、y、t1)が抽出される(ステップS7)。ここで、時刻t1は、時刻t1を含む時間帯に対応することとしてもよい。
【0030】
器官映像データ表示再生部11にて器官映像データi(x、y、t1)が表示される(ステップS8)。ここで、ステップS7において、時刻t1を含む時間帯に対応した器官映像データが抽出されたことに伴い、表示される器官映像データi(x、y、t1)も、時刻t1を含む時間帯に対応した動画表示をしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の1実施例としての医療用生体情報表示装置の構成を示す構成図
【図2】図1の医療用生体情報表示装置の操作の流れの一例を説明するフローチャート
【符号の説明】
【0032】
1 生体パラメータ信号生成部
2 器官映像信号生成部
3 生体パラメータ画面データ生成部
4 器官映像データ生成部
5 書込部
6 メモリ部
7 生体パラメータ画面データ抽出部
8 器官映像データ抽出部
9 再生表示指令部
10 生体パラメータ画面データ表示再生部
11 器官映像データ表示再生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
披検査生体の器官の時間経過に伴う形状変化に伴って生ずる生体パラメータ信号を得る生体パラメータ信号検知手段と、前記器官の形状変化を撮像して得られる器官形状変化映像信号を生成する撮像手段と、前記生体パラメータ信号と前記器官形状変化映像信号に基づいた表示をなす表示手段と、を含む生体情報表示装置であって、
前記生体パラメータ信号を検知時刻の変化に伴って変化する画面を表す生体パラメータ画面データに変換する第1変換手段と、
前記器官形状変化映像信号を撮像時刻時の変化に伴って変化する画面を表す時刻対応撮像データに変換する第2変換手段と、
前記生体パラメータ画面データ及び前記時刻対応撮像データを披検査体の個別識別番号と共に記憶部に書き込む書込手段と、
指定時刻及び指定個別識別番号を含む再生表示指令に応じて、前記書込手段から前記生体パラメータ画面データ及び前記時刻対応撮像データのうちの前記指定時刻に対応する部分のみを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段によって抽出された部分のみのデータを各々対応する画面を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする生体情報表示装置。
【請求項2】
前記表示手段は前記抽出手段によって抽出された前記生体パラメータ画面データ及び前記時刻対応撮像データの各々に対応する2つの画面を同一スクリーン内に表示をすることを特徴とする請求項1に記載の生体情報表示装置。
【請求項3】
前記指定時刻は前記指定時刻を含む時間帯に対応することを特徴とする請求項1に記載の生体情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−86401(P2008−86401A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−268120(P2006−268120)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】