説明

医薬組成物に関連する改良

以下の工程
a)以下のもの:
i)非水溶性サルタン
ii)水溶性担体
iii)サルタンおよび担体それぞれに対する溶媒
を含む混合物を提供する工程、ならびに
b)混合物を噴霧乾燥して、前記またはそれぞれの溶媒を除去し、担体中に実質的に無溶媒であるサルタンのナノ分散物を取得する工程
を含む、非水溶性サルタンを含む組成物を製造する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬組成物に関連する改良に関する。詳細には、いわゆる「サルタン(sartan)」を含有する医薬活性組成物およびそれらの前駆体に関する。
【背景技術】
【0002】
アンジオテンシンIIは、アンジオテンシン変換酵素(ACE)によりアンジオテンシンIから形成される。アンジオテンシンIIは、レニン‐アンジオテンシン系の成分である。アンジオテンシンIIレセプターアンタゴニストは、アンジオテンシンIIの作用をブロックする。本発明は、疎水性アンジオテンシンIIレセプターアンタゴニスト(サルタン)全般に適用できると考えられるが、特に、ヴァルサルタン(Valsartan)に関しても記載する。
【0003】
ヴァルサルタンおよび他のアンジオテンシンIIレセプターアンタゴニスト(カンデサルタン(Candesartan)、エプロサルタン(Eprosartan)、イブレサルタン(Ibresartan)、ロサルタン(Losartan)、オルメサルタン(Olmesartan )、及びテルメサルタン(Telmesartan)を含む)は、第一に高血圧の治療に使用され、患者がACEインヒビター治療に非寛容性である場合特に効果的である。それらは、キニン(kinin)の分解を阻害せず、それゆえ継続する乾いた咳、および/またはACEインヒビター治療を制限する他の副作用に関わる頻度が少ない。より最近、それらは、ACEインヒビター治療に非寛容性である患者の心臓疾患の治療に使用されている(特にカンデサルタン、イブレサルタン、及びロサルタン)。多くのサルタンが、溶解性が低く、特に水に溶解しない。このことにより、これらのサルタンの使用が妨げられている。
【0004】
出願人らの同時係属国際特許出願PCT/GB03/03226は、水溶性ポリマー材料の3次元オープンセル格子を含む固体多孔性ビーズの形成を記載している。これらは、一般的に「鋳型」材料であって、水および非水分散相の両方を、水性相中に溶解されたポリマーを有する高分散相エマルジョン(HIPE)から除去することによって形成される。このビーズは、HIPEエマルジョンを液体窒素等の低温の流体中に滴下し、次に形成された粒子を凍結乾燥した後、水性相および分散相の大半を除去することによって、形成される。この結果、ポリマーが「骨格」構造の形態で後に残る。このビーズは、迅速に水に溶解し、ビーズのポリマー骨格を溶解した時に、凍結および乾燥前のエマルジョンの分散相中に分散していた非水溶性成分を水にも分散することができるという注目すべき特性を有する。
【0005】
国際公開第2005/011636号は、ポリマー中に薬剤の「固体非晶質分散物」を形成するための非エマルジョン系噴霧乾燥法を開示している。この方法では、ポリマーおよび低溶解度薬物を溶媒に溶解し、噴霧乾燥を施して、この薬物が、結晶形態ではなくほとんどが非晶質形態で存在している分散物を形成する。
【0006】
出願人らの同時係属国際特許出願GB0501835およびGB0613925(2006年7月13日出願)は、水中でナノ分散物を形成すると見込まれる材料を調製し得る方法、好ましくは噴霧乾燥法を記載している。これらの出願の前者では、非水溶性材料をエマルジョンの溶媒相に溶解させている。後者では、非水溶性材料を混合溶媒系に溶解させ、水溶性構造化剤と同じ相に共存させている。どちらの場合も、噴霧乾燥等の方法によって、この液体を周囲温度を超えて(摂氏20度を超えて)乾燥し、その中に非水溶性材料を分散させる構造化剤の粒子を担体として生成する。これらの粒子を水に入れると溶解し、通常300nm未満の粒子となって非水溶性材料のナノ分散物を形成する。このサイズ尺度は、ウィルス粒子と同程度であり、非水溶性材料は、あたかも溶解しているように挙動する。
【0007】
国際公開第2006/074218号(Elan Pharma International Ltd.)は、カンデサルタン(特にカンデサルタンシロキシチル(candisartan cilexitil))のナノ粒状形態を開示している。粒径は2000nmから下は50nmと開示されている。これらのナノ粒子の製造方法は、すりつぶし(grinding)、粉砕(milling)、均一化(homogenisation)、沈殿形成(precipitation)、および表面ガス法を含む。
【0008】
本出願では、「周囲温度」という用語は、摂氏20度を意味し、全ての百分率は、別段の指定がなければ重量百分率である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】同時係属国際特許出願PCT/GB03/03226
【特許文献2】国際公開第2005/011636号
【特許文献3】同時係属国際特許出願GB0501835
【特許文献4】同時係属国際特許出願GB0613925
【特許文献5】国際公開第2006/074218号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
出願人らは、水溶性ナノ分散形態のサルタンを生成するために、エマルジョン系の方法および単相の方法の両方を使用することができると、今や判定した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本発明は、以下の工程
a)以下を含む混合物を提供する工程
i)非水溶性サルタン
ii)水溶性担体
iii)サルタンおよび担体それぞれに対する溶媒、ならびに
b)混合物を噴霧乾燥して、前記またはそれぞれの溶媒を除去し、担体中に実質的に無溶媒であるサルタンのナノ分散物を取得する工程
を含む、非水溶性サルタンを含む組成物を製造する方法を提供する。
【0012】
本発明の分散生成物に適する好ましい粒径測定法には、動的光散乱計測器(Nano S、Malvern Instruments UK製造)を用いる。具体的には、Malvern Instruments Nano Sは、赤色(633nm) 4mWのヘリウム-ネオンレーザーを使用し、材料の懸濁液を入れた標準光学特性のUVキュベットを照射する。本出願中で言及する粒径は、標準プロトコルを使用したこの装置で得られた値である。固体生成物中の粒径は、水中への固体の溶解により取得される粒径の測定、および粒径の測定より推論される粒径である。
【0013】
非水溶性サルタンのピーク直径は、800nm未満であることが好ましい。非水溶性サルタンのピーク直径が500nm未満であることが、より好ましい。本発明の特に好ましい実施形態では、非水溶性サルタンのピーク直径は200nm未満、100nm未満であることが最も好ましい。
【0014】
本発明の方法により取得できる有利な組成物は、担体中に分散した40 nmから150 nmの平均粒径であるサルタン粒子を含む、非水溶性サルタンおよび水溶性担体を含む。
【発明の効果】
【0015】
最終的ナノ分散物の粒径を減少させると、これ以外では非水溶性である材料の利便を向上させる際に、重要な利点があると考えられる。このことは、生体利用率の向上を模索する場合、または材料が局部的に高濃度になるのを避けるべき類似の応用では特に有利であると考えられている。その上、小さな粒径のナノ分散物は、より大きな粒径のものより安定性が高いと考えられている。
【0016】
本発明の文脈において、サルタンに適用される「非水溶性」とは、その水への溶解度が10 g/L未満であることを意味する。好ましくは、非水溶性サルタンは、周辺温度(20セ氏温度)で5 g/L未満、好ましくは1 g/L未満、特に好ましくは150 mg/L未満、さらにより好ましくは100 mg/L未満の溶解度を有する。この溶解度の値により、本発明で非水溶性により意味されるものの中で、意図される理解がもたらされる。例えば、ヴァルサルタンは0.18 g/Lの溶解度を有し、イルベサルタンは0.1 mg/L未満の溶解度を有する。
【0017】
好ましい非水溶性サルタンは、ヴァルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルメサルタン、及びそれらの非水溶性誘導体を含む。
【0018】
好ましい担体材料は、水溶性無機材料、界面活性剤、ポリマー、糖、およびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0019】
本発明のさらなる態様は、非水溶性サルタンおよび水溶性担体を含むサルタン組成物を調製する方法を提供し、その方法は次の工程:
a)以下のもの:
i)サルタンの非水混和性溶媒における、同じサルタンの溶液、および
ii)担体の水性溶液
を含むエマルジョンを形成する工程と、
b)溶液を乾燥して、水および非水混和性溶媒を除去し、担体中に実質的に無溶媒であるサルタンのナノ分散物を取得する工程
とを含む。
【0020】
便宜上、この種の方法を、本明細書では「エマルジョン」法と称する。
【0021】
本発明のさらなる態様は、非水溶性サルタンおよび水溶性担体を含むサルタン組成物を調製する方法を提供し、その方法は次の工程:
a)以下のもの:
i)少なくとも1種の非水溶媒、
ii)任意選択で水、
iii)(i)および(ii)の混合液に可溶な水溶性担体材料、ならびに
iv)(i)および(ii)の混合液に可溶である非水溶性サルタン
を含む単相混合物を提供する工程と、
b)溶液を乾燥して、水および水混和性溶媒を除去し、担体中に実質的に無溶媒であるサルタンのナノ分散物を取得する工程
とを含む。
【0022】
便宜上、この種の方法を、本明細書では「単相」法と称する。
【0023】
本発明に関して、実質的に無溶媒とは、生成物の遊離溶媒の含有量が15重量%未満であって、10重量%未満であるのが好ましく、5重量%未満であるのがより好ましく、2重量%未満であるのが最も好ましい。
【0024】
本発明に関して、担体材料およびサルタンの両方が、乾燥工程に先立ってそれぞれの溶媒中で本質的に完全に溶解していることが不可欠である。スラリーの乾燥を教示することは本明細書の範囲外である。それ故に誤解を避けるために、エマルジョンまたは混合物の実際の固体含有量は、存在する可溶性材料が、90重量%を超え、好ましくは95%を超え、より好ましくは98%を超えて乾燥工程前の溶液中にあるような場合である。
【0025】
上述の方法に関して、好ましいサルタンおよび好ましい担体材料は、上記の通りであり、下記にさらに詳述する通りである。同様に、材料の好ましい物理的特性は、上記の通りである。
【0026】
サルタンおよび担体材料の両方が、少なくとも1種の非水溶媒(および任意選択による水)を含む1相中に溶解している「単相」法が好ましい。この方法は、ナノ分散サルタンにより小さな粒径を得る際により効果的であると考えられている。一斉乾燥は、水および他の溶媒の両方を除去するのが好ましく、周囲温度を超えた噴霧乾燥によって実現されるのがより好ましい。
【0027】
本発明における方法の態様により取得しうる生成物は、高血圧疾患の治療または予防のための医薬を調製する際の使用に適する。
【0028】
本発明のさらなる態様は、本発明に従って組成物を調製する工程を含む、高血圧疾患の治療に用いる医薬の調製の方法を提供する。
【0029】
発明の詳細な説明
本発明の様々な好ましい特徴および実施形態を、以下に、さらに詳細に記載する。
【0030】
サルタン:
上述のように、好ましい非水溶性抗寄生虫薬は、ヴァルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルメサルタン、ならびにそれらの誘導体及び混合物より選択される非水溶性抗マラリア薬である。これらは、本発明による組成物中に単独の薬剤活性成分として存在することができ、あるいはいわゆる「併用療法」をもたらす他の薬剤と一緒に存在することができる。
【0031】
説明的な例として、イルベサルタンもまた、付加的な抗高血圧効果を達成するために、低投与量のチアジド系利尿薬、通常ヒドロクロロチアジドと組み合わせて配合することができる。イルベサルタン/ヒドロクロロチアジド併用調製物は、CoAprovel、Karvezide、Avalideおよびvapro HCTを含むイルベサルタン調製物の類似した商品名で市販されている。
【0032】
水分散性生成物形態:
本発明は、これ以外では非水溶性である材料の水分散性形態を得る方法を提供する。この形態は、水溶性担体材料および非水溶性サルタンの両方を溶解している、完全には水性ではない中間体のエマルジョンまたは溶液を形成することによって調製する。溶媒が除去されると、不溶性サルタンは水溶性担体材料中に分散したまま残される。適当な担体材料を、さらに詳細に以下に記載する。
【0033】
乾燥工程後に得られる材料の構造は、よく理解されていない。非水溶性材料の個々の巨視的物体がこの乾燥生成物中には存在しないので、生じた乾燥材料は、カプセル化されていないと考えられている。乾燥工程の後ではエマルジョンの「油」相を含む揮発性溶媒は、ほとんどまたは全く残っていないので、乾燥材料も「乾燥エマルジョン」ではない。水をこの乾燥生成物に加えても、「乾燥エマルジョン」という語のようなエマルジョンは再形成されない。また、本発明では、利点を失うことなく存在する成分の比率を変えることができるから、この組成物は、いわゆる固溶体ではないと考えられてもいる。X線およびDSCを用いた研究からも、本発明の組成物は、固溶体ではなく、ナノ尺度の相分離した混合物を含んでいる。
【0034】
乾燥工程後のこの組成物が、(サルタン:担体として)重量比で1:500〜1:1のサルタンおよび担体を含むのが好ましいであろうが、1:100〜1:1が好ましい。約10〜30重量%の非水溶性サルタンおよび90〜70%の担体という典型的な含量が、噴霧乾燥法で得ることができる。
【0035】
本発明の方法により、サルタン材料の粒径は100 nm未満に減少させることができ、およそ15 nmまで減少させてよい。好ましい粒径は、40 nm〜15 nmの範囲である。
【0036】
「エマルジョン」調製法:
本発明による好ましい一方法では、非水溶性サルタン用の溶媒は水と混和しない。従って、水との混合に際してはエマルジョンを形成することができる。
【0037】
非水相が約10%〜約95%v/vのエマルジョンを含むのが好ましく、約20%〜約68%v/vがより好ましい。
【0038】
このエマルジョンを、例えば、磁気撹拌子、ホモジナイザー、または回転機械式撹拌器を使用して、当業者には周知の条件下で調製するのが一般的である。エマルジョンは、乾燥前に広範囲の相分離を起こさない限り、特に高度に安定している必要はない。
【0039】
高剪断混合装置を使用する均質化は、水性相を連続相とするエマルジョンを作るための特に好ましい方法である。この粗大エマルジョンを回避してエマルジョン分散相の液滴サイズを減少させると、乾燥生成物中の「搭載(payload)」材料の分散が向上する。
【0040】
本発明による好ましい方法では、水性相連続相エマルジョンを、分散相液滴の平均サイズが(Malvernピーク強度を使用して)500 nmと5000 nmとの間になるように調製する。「Ultra-Turrux」T25型実験用ホモジナイザー(または同等物)は、10,000 rpm超で1分間を超えて作動させると適当なエマルジョンをもたらすことを見出した。
【0041】
エマルジョンの液滴サイズと「搭載」材料の粒径との間には方向性関係があるが、これらのサイズは、本発明の材料を水性溶液中に分散した後で検出できる。出願人らは、前駆エマルジョン用の均質化の速さを増加させると、再溶解後の最終的粒径を減少させ得ると判定した。
【0042】
均質化の速度を13,500 rpmから21,500 rpmに増加すると、再溶解した粒径をほぼ半分に減少させ得ると考えられる。均質化の時間も、再溶解した粒径を制御することに関して役割を果たしていると考えられている。均質化の時間が増加する場合もやはり粒径が減少し、同時に粒径の分布もより広範囲になる。
【0043】
超音波処理も、エマルジョン系のために液滴サイズを減少させる、特に好ましい方法である。出願人らは、Hert Systems超音波発生装置(Sonicator)XL型をレベル10で2分間作動させるのが適当であることを見出した。
【0044】
溶媒および/または担体に対するサルタンの相対濃度を減少させる成分の比率により、より小さい粒径が得られると考えられている。
【0045】
「単相」調製法:
本発明による別法では、担体とサルタンの両方が、非水溶媒中または水とそのような溶媒との混合物中に可溶である。本明細書中のここおよび他所で、非水溶媒は非水溶媒(複数)の混合物であってよい。
【0046】
この場合、乾燥工程の供給原料は、水溶性担体と非水溶性サルタンの両方が溶解した単相材料である可能性がある。担体とサルタンの両方が同じ相に溶解している限り、この供給原料がエマルジョンであることも可能である。
【0047】
「単相法」は、エマルジョン法より小さな粒径のより良好なナノ分散物をもたらすと、通常は考えられている。
【0048】
溶媒および/または担体に対するサルタンの相対濃度を減少させた成分比率は、より小さな粒径をもたらすと考えられている。
【0049】
乾燥:
噴霧乾燥は、当業者には周知である。本発明の場合、乾燥させるエマルジョン中に揮発性非水溶媒が存在するため、ある程度の注意を払わねばならない。可燃性溶媒が使用されている時は、爆発の危険性を低減するために、例えば窒素のような不活性ガスを、いわゆる密閉噴霧乾燥系において乾燥媒体として用いることができる。溶媒は、回収し、再使用することができる。
【0050】
「Buchi」B-290型実験用噴霧乾燥装置が適当であることを、出願人らは見出した。
【0051】
乾燥温度は、100℃以上、好ましくは120℃を超え、最も好ましくは140℃を超えることが好ましい。乾燥温度を上昇させると再溶解したナノ分散材料においてより小さな粒子をもたらすことが見出された。
【0052】
担体材料:
担体材料は、水溶性で、構造化水性相ならびに単分散分子種の真のイオン溶液の形成を含む。担体材料は、無機材料、界面活性剤、ポリマーを含むのが好ましく、またはこれらの2種以上の混合物でもよい。
【0053】
糖等の他の非ポリマー性、有機性、水溶性材料も担体として使用することができると想定される。しかし、本明細書に具体的に記述された担体材料が好ましい。
【0054】
適当な担体材料(「水溶性担体材料」と称される)には、好ましい水溶性ポリマー、好ましい水溶性界面活性剤、および好ましい水溶性無機材料が含まれる。
【0055】
好ましいポリマー担体材料:
適当な水溶性ポリマー担体材料の例には、以下のものが挙げられる:
(a)天然ポリマー(例えば、グアーガム、アルギン酸エステル、ローカストビーンガム等の天然素材のガム、またはデキストラン等の多糖;
(b)例えば、キサンタンガム、キシログルカン、酢酸セルロース、メチルセルロース、メチルエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルブチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、およびそれらの塩(例えば、SCMCナトリウム塩)、またはカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、およびその塩(例えば、ナトリウム塩)等のセルロース誘導体;
(c)以下のホモポリマー、または以下から選択される2種以上のモノマーから調製されるコポリマー:ビニルアルコール、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸エステル、アミノアルキルアクリル酸エステル、アミノアルキルメタクリル酸エステル、ヒドロキシエチルアクリル酸エステル、ヒドロキシエチルメチルアクリル酸エステル、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、ビニルアミン、ビニルピリジン、エチレングリコールおよび他のアルキレングリコール、エチレンオキサイドおよび他のアルキレンオキサイド、エチレンイミン、スチレンスルホン酸エステル、エチレングリコールアクリル酸エステルおよびエチレングリコールメタクリル酸エステル;
(d)例えば、β-シクロデキストリン等のシクロデキストリン;
(e)これらの混合物。
【0056】
ポリマー材料がコポリマーである場合には、統計コポリマー(従来、ランダムコポリマーとしても知られている)、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、または多分岐コポリマーでもよい。上掲以外のコモノマーも、もしその存在が、生じるポリマー材料の水溶性または水分散性を損なわないならば、上掲のものに追加して含めてもよい。
【0057】
適当で好ましいホモポリマーの例には、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド(ポリ-N-イソプロピルアクリルアミド等の)、ポリメタクリルアミド;ポリアクリルアミン、ポリメチルアクリルアミン(ポリジメチルアミノエチルメタクリル酸エステルおよびポリ-N-モルホリノエチルメタクリル酸エステル等の)、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸エステル、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジン、ポリ-2-エチルオキサゾリンポリエチレンイミン、およびそのエトキシ化誘導体が含まれる。
【0058】
ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ(2-エチル-2-オキサザリン)、ポリビニルアルコール(PVA)、ヒドロキシプロピルセルロース、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)およびアルギネートが、好ましいポリマー担体材料である。
【0059】
好ましい界面活性剤担体材料:
担体材料が界面活性剤である場合、この界面活性剤は、非イオン性、アニオン性、カチオン性、両性または双性イオン性でもよい。
【0060】
適当な非イオン界面活性剤の例には、エトキシ化トリグリセリド、脂肪アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪酸エトキシレート、脂肪アミドエトキシレート、脂肪アミンエトキシレート、アルカン酸ソルビタン、エチル化アルカン酸ソルビタン、アルキルエトキシレート、Pluronics(商標)、アルキルポリグルコシド、ステアロールエトキシレート(stearol ethoxylates)、アルキルポリグリコシドが含まれる。
【0061】
適当なアニオン界面活性剤の例には、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、サルコシン酸塩、アルキルスルホン酸塩、石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルカルボン酸塩、アルキルリン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、第2級n-アルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、イセチオン酸スルホン酸塩が含まれる。
【0062】
適当なカチオン界面活性剤の例には、脂肪アミン塩、脂肪ジアミン塩、第4級アンモニウム化合物、ホスホニウム界面活性剤、スルホニウム界面活性剤、スルホキソニウム界面活性剤が含まれる。
【0063】
適当な双性イオン界面活性剤には、アミノ酸のN-アルキル誘導体(例えば、グリシン、ベタイン、アミノプロピオン酸)、イミダゾリン界面活性剤、アミンオキシド、アミドベタインが含まれる。
【0064】
界面活性剤の混合物を使用することができる。このような混合物中では、担体材料が全体として固体である限り、個々の成分は液体であってもよい。
【0065】
アルコキシル化非イオン性物質(特に、Pluronic(商標)材料)、フェノールエトキシレート(特に、TRITON(商標)材料)、アルキルスルフォネート(特に、SDS)、エステル界面活性剤(好ましくは、Span(商標)およびTween(商標)型のソルビタンエステル)、およびカチオン性物質(特に、臭化セチルトリメチルアンモニウム-CTAB)は、界面活性剤担体材料として特に好ましい。
【0066】
好ましい無機担体材料:
担体材料は、界面活性剤でもなくポリマーでもない水溶性無機材料であってもよい。上に記載のポリマー担体材料および/または界面活性剤担体材料との混合では特に、単純な有機塩が適当であることが見出された。適当な塩には、炭酸塩、重炭酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、および酢酸塩、特にナトリウム、カリウム、およびマグネシウムの可溶性塩が含まれる。好ましい材料には、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、および硫酸ナトリウムが含まれる。これらの材料は、安価で生理的に許容可能であるという利点を有している。これらはまた、比較的不活性であると共に、家庭用品および医薬品に見出される多くの材料と適合する。
【0067】
混合担体材料には利点がある。好ましい混合物には、界面活性剤およびポリマーの組合せが含まれ、少なくとも以下の1種を含む:
a)ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、およびアルギン酸エステル、ならびに以下の少なくとも1種;
b) アルコキシル化非イオン性物質(特にPEG/PPG Pluronic(商標)材料)、フェノールエトキシレート(特に、TRITON(商標)材料)、アルキルスルホン酸塩(特に、SDS)、エステル界面活性剤(好ましくは、Span(商標)およびTween(商標)型のソルビタンエステル)、およびカチオン性物質(特に、臭化セチルトリメチルアンモニウム-CTAB)。
【0068】
担体材料は、界面活性剤でもポリマーでもなく、無機担体材料でもない水溶性低分子有機材料であってもよい。上に記載のポリマー材料および/または界面活性剤担体材料との混合では、特に単純な有機糖が適当であることが見出された。適当な低分子有機材料には、マニトール、ポリデキストロース、キシリトール、およびイヌリン等が含まれる。
【0069】
非水溶媒:
本発明の組成物は、揮発性の第二の非水溶媒を含む。この溶媒は、乾燥前の予混合物中の他の溶媒と混和してもよく、またはそうした溶媒と共にエマルジョンを形成してもよい。
【0070】
本発明の一代替形態では、サルタンおよび担体の存在下で水と単相を形成することができる単一の非水溶媒を用いる。これらの実施形態のための好ましい溶媒は、極性、プロトン性、または非プロトン性溶媒である。一般に、好ましい溶媒は、1を超える双極子モーメント、および4.5を超える比誘電率を有する。
【0071】
特に好ましい溶媒は、ハロホルム(好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム)、低級(C1〜C10)アルコール(好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール)、有機酸(好ましくは、蟻酸、酢酸)、アミド(好ましくは、ホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド)、ニトリル(好ましくは、アセトニトリル)、エステル(好ましくは、酢酸エチル)、アルデヒドおよびケトン(好ましくは、メチルエチルケトン、アセトン)、ならびにヘテロ原子結合を含み、適度に大きい双極子を有する他の水混和性種(好ましくは、テトラヒドロフラン、ジアルキルスルホキシド)からなる群から選択される。
【0072】
ハロホルム類、低級アルコール類、ケトン類およびジアルキルスルフォキシド類が、最も好ましい溶媒である。
【0073】
本発明の別の代替形態では、非水溶媒が水と混和性ではなく、エマルジョンを形成する。
【0074】
このエマルジョンの非水相を、揮発性有機溶媒の次の群からの1個または複数個から選択するのが好ましい;
アルカン、好ましくはヘプタン、n-ヘキサン、イソオクタン、ドデカン、デカン;
環状炭化水素、好ましくはトルエン、キシレン、シクロヘキサン;
ハロゲン化アルカン、好ましくはジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロメタン(クロロホルム)、フルオロトリクロロメタン、およびテトラクロロエタン;
エステル、好ましくは酢酸エチル;
ケトン、好ましくは2-ブタノン;
エーテル、好ましくはジエチルエーテル;
揮発性環状シリコーン、好ましくは4〜6個のシリコンユニットを含有する直鎖状または環状メチコン。適当な例には、DC245およびDC345が含まれ、両者ともDow Corning Inc より入手可能である。
【0075】
好ましい溶媒には、ジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトン、およびジメチルスルホキシドが含まれる。
【0076】
好ましい非水溶媒は、混和性であろうとなかろうと、実用条件下で特殊な装置を使用することなく、乾燥、特に噴霧乾燥を促進するように、摂氏150°未満の沸点を有し、より好ましくは摂氏100°未満の沸点を有する。それらは、不燃性であるか、または本発明の方法で使用する温度を超える引火点を有することが好ましい。
【0077】
形成されるどのエマルジョンでも約10%〜約95%v/vの非水溶媒が含まれるのが好ましく、より好ましくは約20%〜約80%である。単相法では、溶媒の含量は、20〜100%v/vが好ましい。
【0078】
特に好ましい溶媒は、アルコール、特にエタノール、およびハロゲン化溶媒であり、塩素含有溶媒がより好ましく、(ジまたはトリクロロメタン)から選択される溶媒が最も好ましい。
【0079】
任意選択の共界面活性剤:
水性溶媒の外に、乾燥工程の前に、任意選択の共界面活性剤を組成物中に用いることができる。比較的少量の揮発性共界面活性剤を添加すると、生成する材料の粒径が減少することを出願人らは見出した。このことは、粒子体積に有意の影響を及ぼし得る。例えば、297nmから252nmへの減少は、約40%の粒径減少に相当する。従って、少量の共界面活性剤を添加することは、最終的な製品処方を変更することなく、本発明による材料の粒径を減少するための簡単で安価な方法を提供する。好ましい共界面活性剤は、<220℃の沸点を有する短鎖アルコールまたはアミンである。
【0080】
好ましい共界面活性剤は、短鎖アルコールまたは220℃未満の沸点を有するアミンである。
【0081】
好ましい共界面活性剤は、直鎖アルコールである。好ましい共界面活性剤は、第1級アルコールおよびアミンである。特に好ましい共界面活性剤は、3〜6個の炭素のアルコールからなる群から選択される。適当なアルコール共界面活性剤には、n-プロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、ヘキシルアミン、およびそれらの混合物が含まれる。共界面活性剤は、溶媒より少量(体積)で存在するのが好ましく、溶媒と共界面活性剤との体積比は、100:40〜100:2の範囲に収まるのが好ましく、100:30〜100:5がより好ましい。
【0082】
好ましい噴霧乾燥用供給原料:
噴霧乾燥用の典型的な供給原料は、以下を含む:
a)界面活性剤、
b)少なくとも1種の低級アルコール、
c)供給原料中に0.1%を超えて溶解する、少なくとも1種の非水溶性サルタン、
d)ポリマー、および
e)任意選択の水。
【0083】
好ましい噴霧乾燥用供給原料は、以下を含む:
a)ジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトン、およびそれらの混合物から選択される、少なくとも1種の非水溶媒、
b)PEGコポリマー非イオン界面活性剤(特にPEG/PPG Pluronic(商標)材料)、アルキルスルホン酸塩(特に、SDS)、エステル界面活性剤(好ましくは、Span(商標)およびTween(商標)型のソルビタンエステル)、およびカチオン界面活性剤(特に、臭化セチルトリメチルアンモニウム-CTAB)と、それらの混合物から選択される界面活性剤、
c)0.1%を超える、少なくとも1種の非水溶性殺サルタン、
d)ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アルギネートならびにそれらの混合物から選択されるポリマー、ならびに
e)任意選択の水。
【0084】
本発明で使用する乾燥用供給原料は、エマルジョンまたは溶液のどちらかで、固形物を全く含有しないことが好ましく、未溶解のサルタンを全く含有しないことが特に好ましい。
【0085】
組成物中のサルタンの含量は、乾燥組成物中の添加量が40重量%未満、より好ましくは30重量%未満になるようなものであることが、特に好ましい。このような組成物は、上述のように小さな粒径および高い有効性という利点を有している。
【0086】
水分散形態:
水溶性担体材料を水と混合する場合、担体は溶解し、非水溶性サルタンは、多くの点で可溶性材料のように挙動するのに十分に微細な形態になって、水によって分散される。乾燥生成物中の非水溶性材料の粒径は、水に溶解した際、本明細書に記載されているMalvern法によって測定した場合、非水溶性材料が1ミクロン未満の粒径を有する程度であることが好ましい。水中に固体形態を分散した際、サルタンの粒径は有意に減少しないと考えられる。
【0087】
本発明を適用することによって、相当量の「非水溶性」材料を、真の溶液と概ね同等な状態にすることができる。乾燥生成物を水中で溶解する場合、0.1%超、好ましくは0.5%超、より好ましくは1%超の「非水溶性」材料を含む、光学的に清澄で透明な「溶液」を実現することも可能である。半透明および不透明な「溶液」については、より高い含量のナノ分散材料を許容することができる。
【0088】
溶液形態は、「そのまま」またはさらなる希釈後に患者に投与するために適した形態であると想定される。あるいは、本発明における態様の溶液形態を、他の活性材料と組み合わせて、併用療法における使用に適する医薬を生じてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0089】
(実施例)
本発明をさらに理解し、実践できるように、非限定的実施例に関してさらに以下に記載する。
【0090】
(実施例1-20)
噴霧乾燥のための前混合物は、以下の表1のような組成である。20 mlエタノールおよび10 ml水中に溶解した固体を有するBUCHI Mini B-290噴霧乾燥機を使用して配合物を噴霧乾燥した。全ての場合において、10%(約3.6 ml/分)の固定ポンプ速度で噴霧乾燥後、白色乾燥粉末を産する、清澄な溶液を取得した。
【0091】
【表1】

【0092】
(別途記述しない限り)各試料に対して、約10 mgの粉末を10 ml蒸留水に室温(21.5 ℃)で再分散し、粒径測定のための1 mg/mlのナノ分散物を得た。
【0093】
次の実施例において使用される本発明の分散生成物に適する粒径測定法は、動的光散乱装置(Nano S, Malvern Instruments UK製造)を用いる。具体的には、Malvern Instruments Nano Sは、赤色(633nm) 4mWヘリウム-ネオンレーザーを使用し、材料の懸濁液を入れた標準光学特性のUVキュベットを照射する。
【0094】
(実施例21)
実施例14の配合物を、大容量化して、溶解研究を実行するための材料をより多く生成した。
【0095】
一投与量のヴァルサルタン(80 mgのヴァルサルタンに同等の800 mgの生成物)を、1000 mlの脱イオン水に添加し、36℃でインキュベートし、50 rpmで一定の速度で撹拌した。溶解混合物のアリコートを、さまざまな時間で取り除き、1000 nmシリンジフィルターで濾過した。等量の濾過水性混合物とエタノールを混合し、溶解薬物および賦形剤の単相溶液を形成した。
【0096】
50/50エタノール/水混合物中のヴァルサルタンに対するUV吸収最大値は、以前は204 nmで測定されていた。しかし、UVスペクトルのこの領域は、pHの微小な変動に非常に影響を受けやすく、読み取り値の大きな誤差につながる。そうなので、ヴァルサルタンの主要吸収スペクトルの肩に相当する257 nmの波長を使用して、活性濃度に対するUV検定グラフを作り上げた。
【0097】
溶解試験より回収されたアリコートをその後、この波長で調べ、活性濃度を算出した。迅速な最初の溶解度が、粉末を溶解槽に加えた際に観察され、その後速度は減少し、総溶解度に相当する点で最終的にプラトーに達する。取得された分散物は、分光学的に透明で安定であった。
【0098】
(実施例22-27)
賦形剤、活性負荷物、および方法条件の範囲に基づいて配合物を製造した。賦形剤は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC、分子量80 kD、Aldrich)、ポリビニルピロリドン(PVP、k30、Aldrich)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC、分子量10 k、6 cps、Aldrich)、ポリエチレングリコール(PEG、分子量6000、Fluka)、Tween 80(Aldrich)、およびpluronic F127(Aldrich)より選択された。
【0099】
活性負荷物は10重量%から30重量%で変動し、噴霧乾燥温度は、140℃から190℃で変動した。
【0100】
表2は、配合物および噴霧温度を列記する。
【0101】
【表2】

【0102】
これらの配合物のさらなる詳細は、以下に列記される:
【0103】
(実施例22)
0.10 gのイルベサルタン、0.20 gのPVP k30、0.50 gのHPC、および0.20 gのHPMCを全て、その後25 mlのアセトンを加えることにより、25 mlの無水エタノール中に分散させた。懸濁物をマグネットバーで約30分強力に撹拌し、20 mlの蒸留水を添加した。清澄な溶液が得られた。
【0104】
その後溶液を、BUCHI Mini B-290噴霧乾燥機において140℃、液体供給速度2.5 ml/分で噴霧乾燥した。白色の遊離流体粉末が得られた。
【0105】
10 mg粉末を10 ml蒸留水中に分散させ、粒径86 nmの清澄な結晶ナノ分散物が得られた。
【0106】
(実施例23)
0.10 gのイルベサルタン、0.20 gのPVP k30、0.20 gのHPC、および0.50 gのHPMCを全て、その後25 mlのアセトンを加えることにより、25 mlの無水エタノール中に分散させた。懸濁物をマグネットバーで約30分強力に撹拌し、20 mlの蒸留水を添加した。清澄な溶液が得られた。
【0107】
その後溶液を、BUCHI Mini B-290噴霧乾燥機において140℃、液体供給速度2.5 ml/分で噴霧乾燥した。白色の遊離流体粉末が得られた。
【0108】
10 mg粉末を10 ml蒸留水中に分散させ、粒径227 nmの清澄な結晶ナノ分散物が得られた。
【0109】
(実施例24)
0.10 gのイルベサルタン、0.20 gのPVP k30、0.20 gのHPC、0.20 gのHPMC、および0.30 gのPEG6000を全て、その後25 mlのアセトンを加えることにより、25 mlの無水エタノール中に分散させた。懸濁物をマグネットバーで約30分強力に撹拌し、20 mlの蒸留水を添加した。清澄な溶液が得られた。
【0110】
その後溶液を、BUCHI Mini B-290噴霧乾燥機において140℃、液体供給速度2.5 ml/分で噴霧乾燥した。白色の遊離流体粉末が得られた。
【0111】
10 mg粉末を10 ml蒸留水中に分散させ、粒径155 nmの清澄な結晶ナノ分散物が得られた。
【0112】
(実施例25)
0.10 gのイルベサルタン、0.20 gのPVP k30、0.50 gのHPC、および0.20 gのHPMCを全て、その後25 mlのアセトンを加えることにより、25 mlの無水エタノール中に分散させた。懸濁物をマグネットバーで約30分強力に撹拌し、20 mlの蒸留水を添加した。清澄な溶液が得られた。
【0113】
その後溶液を、BUCHI Mini B-290噴霧乾燥機において190℃、液体供給速度2.5 ml/分で噴霧乾燥した。白色の遊離流体粉末が得られた。
【0114】
10 mg粉末を10 ml蒸留水中に分散させ、粒径81 nmの清澄な結晶ナノ分散物が得られた。
【0115】
(実施例26)
0.10 gのイルベサルタン、0.20 gのPVP k30、0.20 gのHPC、0.20 gのHPMC、および0.30 gのPEG6000を全て、その後25 mlのアセトンを加えることにより、25 mlの無水エタノール中に分散させた。懸濁物をマグネットバーで約30分強力に撹拌し、20 mlの蒸留水を添加した。清澄な溶液が得られた。
【0116】
その後溶液を、BUCHI Mini B-290噴霧乾燥機において190℃、液体供給速度2.5 ml/分で噴霧乾燥した。白色の遊離流体粉末が得られた。
【0117】
10 mg粉末を10 ml蒸留水中に分散させ、粒径165 nmの清澄な結晶ナノ分散物が得られた。
【0118】
(実施例22)
0.30 gのイルベサルタン、0.20 gのPVP k30、0.30 gのHPC、および0.20 gのHPMCを全て、その後25 mlのアセトンを加えることにより、25 mlの無水エタノール中に分散させた。懸濁物をマグネットバーで約30分強力に撹拌し、20 mlの蒸留水を添加した。清澄な溶液が得られた。
【0119】
その後溶液を、BUCHI Mini B-290噴霧乾燥機において190℃、液体供給速度2.5 ml/分で噴霧乾燥した。白色の遊離流体粉末が得られた。
【0120】
10 mg粉末を10 ml蒸留水中に分散させ、粒径779 nmの半透明ナノ分散物が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程
a)以下のもの:
i)非水溶性サルタン
ii)水溶性担体
iii)サルタンおよび担体それぞれに対する溶媒
を含む混合物を提供する工程、ならびに
b)混合物を噴霧乾燥して、前記またはそれぞれの溶媒を除去し、担体中に実質的に無溶媒であるサルタンのナノ分散物を取得する工程
を含む、非水溶性サルタンを含む組成物を製造する方法。
【請求項2】
以下の工程
a)以下のもの:
i)抗寄生虫剤の非水混和性溶媒における、同じ抗寄生虫剤の溶液、および
ii)担体の水性溶液
を含むエマルジョンを提供する工程と、
b)エマルジョンを噴霧乾燥して、水および非水混和性溶媒を除去し、担体中に実質的に無溶媒であるサルタンのナノ分散物を取得する工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
以下の工程
a)以下のもの:
i)少なくとも1種の非水溶媒、
ii)任意選択で水、
iii)(i)および(ii)の混合液に可溶な水溶性担体材料、ならびに
iv)(i)および(ii)の混合液に可溶である非水溶性サルタン
を含む単相混合物を提供する工程と、
b)溶液を噴霧乾燥して、水および水混和性溶媒を除去し、担体中に実質的に無溶媒であるサルタンのナノ分散物を取得する工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
噴霧乾燥方法が、120℃以上で実行される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
担体材料がポリマーおよび/または界面活性剤を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
担体材料が、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリ(2-エチル-2-オキサザリン)、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびアルギネートのうち少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
担体材料が、アルコキシル化非イオン性界面活性剤、エーテルサルフェート界面活性剤、カチオン性界面活性剤、またはエステル界面活性剤のうち少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
非水溶媒が、ジクロロメタン、クロロホルム、エタノール、アセトンおよびジメチルスルホキシドのうち少なくとも1つを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の方法により組成物を調製する工程を含む、高血圧疾患の治療または予防において使用するのための医薬を調製する方法。
【請求項10】
非水溶性サルタン、および担体中に分散させた平均粒径40 nm〜15 nmのサルタン粒子を含む水溶性担体を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法により取得できる組成物。

【公表番号】特表2009−542764(P2009−542764A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518835(P2009−518835)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/056564
【国際公開番号】WO2008/006716
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】