説明

医薬組成物

【課題】SKチャネル遮断作用を有する化合物を有効成分とする医薬の提供。
【解決手段】一般式[I]:


[式中、Rは水素、ハロゲン等、Rは式:


で示される基、D、D及びDはN又はCH、Rはアルコキシ置換アリール等、Rは水素又はアルキル、Qは低級アルキレン]で示される化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた小コンダクタンス型Ca2+依存性カリウム(SK)チャネル遮断作用を有する新規含窒素縮合二環式化合物又はその薬理的に許容し得る塩を有効成分としてなる医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
Ca2+依存性カリウムチャネルは、少なくとも3つのタイプ:大(BK)、中(IK)および小(SK)に分類されている。これらのカリウムチャネルは細胞内Ca2+濃度の上昇によって活性化される。BKおよびIKチャネルは、細胞内Ca2+の他に膜電位の変化にも感応性を示すが、SKチャネルは有意な膜電位感応性を持たないことを特徴とする。また、SKチャネルはその低い単一チャネルコンダクタンス(6−20pS)とアパミンに対する高い感応性によって特徴付けられている。
【0003】
SKチャネルは、神経や筋などの興奮性細胞だけでなく、肝や血球などの多種多様な細胞に存在し、化学伝達物質の遊離、筋収縮、分泌などの細胞機能に関与する。
【0004】
SKチャネルに対する選択的遮断剤としては、アパミンがよく知られており、その薬理作用としては、消化管の運動輸送機能の亢進(非特許文献1及び2)や、学習記憶障害の改善(非特許文献3及び4)および強制水泳試験における無動時間の短縮(非特許文献5)が報告されている。また、筋緊張性ジストロフィーの患者では、骨格筋におけるアパミンの特異的結合部位の存在およびアパミンの投与による症状軽減が報告されている(非特許文献6及び7)。さらに、SKチャネルのサブタイプの一つであるSK3を強制発現させたマウスでは、低酸素分圧下において呼吸機能障害を発現することが報告されている(非特許文献8)。
【0005】
SKチャネル遮断作用を示す化合物として、特許文献1には1,1'−(α,α’−パラ−キシレン)−3,3'−(α,α’−メタ−キシレン)−ビス(ベンズイミダゾリウム)等のビス(ベンズイミダゾール)誘導体が、特許文献2には7,18−ジアザ−3,4(1,4)−ジベンゼナ−1,6(1,4)−ジキノリナシクロオクタデカファン・3トリフルオロ酢酸水和物等のシクロファン誘導体が、特許文献3には1,4−ビス−(2−メチル−キノリン−4−イル)−[1,4]−ジアゼパン等の環が架橋されたビスキノリン誘導体が開示されている。また、特許文献4には、SKチャネル遮断作用を示す化合物として、スピロシクロヘキサン−1,1'(2'H)−イソキノリン骨格を有する化合物が開示されている。特許文献5には、SKチャネル遮断作用を示す化合物として、2−[4−(5−アミノ−1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−ピリジン−3−イル]−ベンズイミダゾール−5−イルアミン等の如きビスベンズイミダゾール化合物が開示されている。
【0006】
【特許文献1】国際公開特許WO00/01676号
【特許文献2】国際公開特許WO97/48705号
【特許文献3】米国特許US5866562号
【特許文献4】国際公開特許WO02/79189号
【特許文献5】国際公開特許WO03/094861号
【非特許文献1】S. A. Waterman and M. Costa, J. Physiology 477, 459-468, 1994
【非特許文献2】N. Spencer et al., J. Physiology 517, 889-898, 1999
【非特許文献3】S. Ikonen et al., Eur. J. Pharmacol. 347, 13-21, 1998
【非特許文献4】C. Ghelardini et al., Br. J. Pharmacol. 123, 1079-1084, 1998
【非特許文献5】N. Galeotti et al., Br. J. Pharmacol. 126, 1653-1659, 1999
【非特許文献6】J.F. Renaud et al., Nature 319, 678-680, 1986
【非特許文献7】M.I. Behrens et al., Muscle & Nerve 17, 1264-1270, 1994
【非特許文献8】C. T. Bond et al., Science 289, 1942-1946, 2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、優れたSKチャネル遮断作用を有する新規含窒素縮合二環式化合物を有効成分とする医薬を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一般式[I]:
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、低級アルキル基、ヘテロアリール基、シアノ基又はアミノ基(該アミノ基は低級アルキル基で置換されていてもよい)、Rは式:
【0011】
【化2】

【0012】
で示される基、R11及びR12は、同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロ低級アルキル基、低級アルカノイル基、低級アルケノイル基、低級アルコキシ低級アルキル基、シクロ低級アルキルカルボニル基、アミノ低級アルキル基(該基のアミノ基部分は低級アルキル基で置換されていてもよい)、低級アルコキシカルボニル基又は含窒素複素環式基置換低級アルキル基を表すか、或いは両者が互いに末端で結合して隣接する窒素原子と共に含窒素複素環式基(該複素環式基は低級アルキル基で置換されていてもよい)を形成、XはN又はCH、mは0又は1の整数、Aは式:
【0013】
【化3】

【0014】
で示される基、X及びXは一方がN又はCHで、他方がNであり、Alkは低級アルキレン基、nは0又は1の整数、D、D及びDはN又はCH、Rは低級アルコキシ基で置換されていてもよいアリール基又は低級アルキル基及び低級アルコキシ基から選ばれる基で置換されていてもよいへテロアリール基、Rは水素原子又は低級アルキル基、Qは低級アルキレン基を表す(但し、D、D及びDがいずれもNであり、且つAが式:
【0015】
【化4】

【0016】
で示される基であるときは、R及びRが同時に水素原子となることはない)。]
で示される縮合二環式化合物又はその薬理的に許容し得る塩を有効成分としてなる医薬組成物に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の有効成分である化合物[I]又はその薬理的に許容し得る塩は、SKチャネル遮断薬として知られているアパミンとの競合結合試験において、アパミンに対する優位な拮抗作用を示すことから、SKチャネル遮断薬として有用である。従って、本発明の医薬組成物は、SKチャネルに関連する疾患の予防・治療、例えば、便秘症や過敏性腸症候群、術後イレウス、逆流性食道炎などの消化管運動機能不全、学習記憶障害、感情障害、アルツハイマー型痴呆症、うつ病、パーキンソン病などの中枢性疾患、筋緊張性ジストロフィー、および睡眠時無呼吸症の予防・治療への適用が考えられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の有効成分である化合物[I]の例としては、上記一般式[I]において、
(1)Rが式(a)で示される基、R11及びR12は、一方が水素原子又はアミノ低級アルキル基(該基のアミノ基部分は低級アルキル基で置換されていてもよい)であって、他方が低級アルキル基、低級アルカノイル基、シクロ低級アルキルカルボニル基又は低級アルケノイル基である化合物、或いは、
(2)Rが式(b)で示される基、R11及びR12は、一方が水素原子、低級アルキル基、アミノ低級アルキル基(該基のアミノ基部分は低級アルキル基で置換されていてもよい)又は含窒素複素環式基置換低級アルキル基であり、他方が低級アルキル基、シクロ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、低級アルコキシ低級アルキル基、低級アルカノイル基又はシクロ低級アルキルカルボニル基であるか、或いは両者が互いに結合して隣接する窒素原子と共に含窒素複素環式基(該複素環式基は低級アルキル基で置換されていてもよい)を形成している化合物
等があげられる。
【0019】
上記化合物[I]において、R11又はR12における含窒素複素環式基としては、5〜8員の飽和もしくは不飽和含窒素複素単環式基(該複素環式基は、窒素原子以外の異項原子として酸素原子を含有していてもよい)があげられ、このような複素環式基としては、例えば、例えば、ピロリジニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホニル基、アゼピニル基、アゼオシニル基等があげられる。
【0020】
また、Rにおけるアリール基としては、例えばフェニル基等があげられ、ヘテロアリール基としては、例えば硫黄原子、酸素原子及び窒素原子から選ばれる1乃至3個の異項原子を含有する5〜6員ヘテロアリール基があげられる。このようなヘテロアリール基の具体例としては、チエニル基、ピリジル基、チアゾリル基等があげられる。
【0021】
上記化合物[I]のうち、好ましい化合物としては、例えば、Rがエトキシフェニル基等の如き低級アルコキシフェニル基、n−プロピルピリジル基等の如き低級アルキルピリジル基、エトキシピリジル基等の如き低級アルコキシピリジル基、n−プロピルチアゾリル基等の如き低級アルキルチアゾリル基である化合物があげられる。
【0022】
上記化合物[I]のうち、より好ましい化合物としては、Qがメチレン基である化合物あげられる。
【0023】
上記化合物[I]のうち、とりわけ好ましい化合物としては、例えば、
(1)一般式[I−A]:
【0024】
【化5】

【0025】
[式中、R01は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、チエニル基、アミノ基(該アミノ基は低級アルキル基で置換されていてもよい)又はシアノ基、R11A及びR12Aは、一方が水素原子又はアミノ低級アルキル基(該基のアミノ基部分は低級アルキル基で置換されていてもよい)であり、他方が低級アルキル基、低級アルカノイル基、低級アルケノイル基又はシクロ低級アルキルカルボニル基、R21は低級アルコキシフェニル基、低級アルキルピリジル基、低級アルコキシピリジル基又は低級アルキルチアゾリル基、R31は水素原子又は低級アルキル基、Aは式:
【0026】
【化6】

【0027】
で示される基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する(但し、Aが式:
【0028】
【化7】

【0029】
で示される基である場合、R01及びR31が同時に水素原子となることはない)。]
で示される化合物;
(2)一般式[I−B]:
【0030】
【化8】

【0031】
[式中、R02は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、チエニル基、アミノ基(該アミノ基は低級アルキル基で置換されていてもよい)又はシアノ基、R11B及びR12Bは、一方が低級アルキル基であって、他方が低級アルコキシ低級アルキル基であるか、或いは両者が互いに末端で結合して隣接する窒素原子と共に5〜8員の飽和もしくは不飽和含窒素複素単環式基(該複素環式基は、低級アルキル基で置換されていてもよく、窒素原子以外の異項原子として酸素原子を含有していてもよい)を形成し、R22は低級アルコキシフェニル基、低級アルコキシピリジル基又は低級アルキルチアゾリル基、R32は水素原子又は低級アルキル基、Aは式:
【0032】
【化9】

【0033】
で示される基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する(但し、D、D及びDがいずれもNであり、且つAが式:
【0034】
【化10】

【0035】
で示される基である場合、R02及びR32が同時に水素原子となることはない)。]
で示される化合物;又は
(3)一般式[I−C]:
【0036】
【化11】

【0037】
[式中、R03は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、チエニル基、シアノ基又はアミノ基(該アミノ基は低級アルキル基で置換されていてもよい)、R11C及びR12Cは、一方が水素原子、低級アルキル基、アミノ低級アルキル基(該基のアミノ基部分は低級アルキル基で置換されていてもよい)又は含窒素複素環式基置換低級アルキル基であり、他方が低級アルキル基、シクロ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、低級アルコキシ低級アルキル基、低級アルカノイル基又はシクロ低級アルキルカルボニル基であるか、或いは両者が互いに末端で結合して隣接する窒素原子と共に5〜8員の飽和もしくは不飽和含窒素複素単環式基(該複素環式基は、低級アルキル基で置換されていてもよく、窒素原子以外の異項原子として酸素原子を含有していてもよい)を形成し、R23は低級アルコキシフェニル基、低級アルキルピリジル基、低級アルコキシピリジル基又は低級アルキルチアゾリル基、R33は水素原子又は低級アルキル基、Aは式:
【0038】
【化12】

【0039】
で示される基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する(但し、Aが式:
【0040】
【化13】

【0041】
で示される基である場合、R03及びR33が同時に水素原子となることはない)。]
で示される化合物又はその薬理的に許容し得る塩があげられる。
【0042】
一般式[I−C]で示される化合物において、さらに好ましい化合物としては、R11C及びR12Cの一方が低級アルキル基、他方が低級アルキル基、低級アルコキシ低級アルキル基またはヒドロキシ低級アルキル基である化合物があげられる。
【0043】
上記のとりわけ好ましい化合物[I](化合物[I−A]、化合物[I−B]又は化合物[I−C])の具体例としては、例えば、
7−(3−エトキシベンジル)−4−[4−[[トランス−4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]シクロヘキシル]カルボニル]ピペラジン−1−イル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;
1−(3−エトキシベンジル)−4−[4−[[トランス−4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]シクロヘキシル]カルボニル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン;
6−クロロ−4−[4−[(トランス−4−ピペリジン−1−イルシクロヘキシル)カルボニル]ピペラジン−1−イル]−1−[(2−プロピル−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
1−(3−エトキシベンジル)−4−[1−[(トランス−4−ピペリジン−1−イルシクロヘキシル)カルボニル]ピペリジン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
6−エトキシ−1−[(6−エトキシピリジン−2−イル)メチル]−4−[4−[(トランス−4−ピペリジン−1−イルシクロヘキシル)カルボニル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
1−(3−エトキシベンジル)−4−[4−[[トランス−4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]シクロヘキシル]カルボニル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン;
6−クロロ−1−[(2−プロピル−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]−4−[4−[[トランス−4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]シクロヘキシル]カルボニル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
6−エトキシ−1−[(6−エトキシピリジン−2−イル)メチル]−4−[4−[[トランス−4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]シクロヘキシル]カルボニル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
1−(3−エトキシベンジル)−4−[4−[[4−[[N−エチル−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]ピペリジン−1−イル]カルボニル]ピペリジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
1−[(6−プロピルピリジン−2−イル)メチル]−4−[4−[[4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]ピペリジン−1−イル]カルボニル]ピペリジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
1−[(6−プロピルピリジン−2−イル)メチル]−4−[4−[[4−[[N−エチル−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]ピペリジン−1−イル]カルボニル]ピペリジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
1−[(6−エトキシピリジン−2−イル)メチル]−4−[4−[[4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]ピペリジン−1−イル]カルボニル]ピペリジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
1−[(6−エトキシピリジン−2−イル)メチル]−4−[4−[[4−[[N,N−(ジイソプロピル)アミノ]メチル]ピペリジン−1−イル]カルボニル]ピペリジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
1−[(6−エトキシピリジン−2−イル)メチル]−4−[4−[[4−[[N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]ピペリジン−1−イル]カルボニル]ピペリジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
1−[(6−エトキシピリジン−2−イル)メチル]−4−[4−[[4−[[N−(2−ヒドロキシエチル)−N−イソプロピルアミノ]メチル]ピペリジン−1−イル]カルボニル]ピペリジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
1−[(2−プロピル−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]−4−[4−[[4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]ピペリジン−1−イル]カルボニル]ピペリジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
又はその薬理的的に許容し得る塩があげられる。
【0044】
本発明の有効成分である化合物[I]は、Rにおける置換基上に不斉炭素原子を有する場合、当該不斉炭素原子に基づく複数の立体異性体(ジアステレオマー異性体、光学異性体)として存在しうるが、本発明はこれらのうちのいずれか1個の立体異性体又はその混合物のいずれをも含むものである。
【0045】
本発明の有効成分である化合物[I]又はその薬理的に許容し得る塩は、SKチャネル遮断薬として知られているアパミンとの競合結合試験において、アパミンに対する有意な拮抗作用を示すことから、SKチャネル遮断薬として有用である。従って、本発明の医薬組成物は、SKチャネルに関連する疾患の予防・治療、例えば、便秘症や過敏性腸症候群、術後イレウス、逆流性食道炎などの消化管運動機能不全、学習記憶障害、感情障害、アルツハイマー型痴呆症、うつ病、パーキンソン病などの中枢性疾患、筋緊張性ジストロフィー、および睡眠時無呼吸症の予防・治療への適用が考えられる。
【0046】
また、化合物[I]は低毒性であり、医薬として安全性が高いという特長をも有する。
【0047】
本発明の有効成分である化合物[I]は、遊離の形でも、それらの薬理的に許容し得る塩の形でも医薬用途に使用することができる。薬理的に許容しうる塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩又は臭化水素酸塩の如き無機酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トシル酸塩又はマレイン酸塩の如き有機酸塩等が挙げられる。また、カルボキシル基等の置換基を有する場合には塩基との塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩又はカルシウム塩の如きアルカリ土類金属塩)が挙げられる。
【0048】
本発明の有効成分である化合物[I]もしくはその塩、又は合成中間体[II]もしくはその塩は、その分子内塩や付加物、それらの溶媒和物あるいは水和物等をいずれも含むものである。
【0049】
本発明の有効成分である化合物[I]又はその薬理的に許容しうる塩は経口的にも非経口的にも投与することができ、また、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、散剤、注射剤、吸入剤等の慣用の医薬製剤として用いることができる。
【0050】
本発明の有効成分である化合物[I]又はその薬理的に許容し得る塩の投与量は、投与方法、患者の年令、体重、状態によっても異なるが、注射剤とすれば、通常、1日当り約0.0001〜1mg/kg、とりわけ約0.001〜0.1mg/kg程度、経口剤とすれば、通常、1日当り約0.001〜100mg/kg、とりわけ約0.01〜10mg/kg程度とするのが好ましい。
【0051】
本発明によれば、一般式[I]で示される化合物は、下記の方法により製することができるが、これらに限定されるものではない。
【0052】
(A法)
化合物[I]のうち、一般式[I−a]:
【0053】
【化14】

【0054】
[式中、基−C(=O)−Aは式:
【0055】
【化15】

【0056】
で示される基、X21はN又はCH、他の記号は前記と同一意味を有する。]
で示される化合物は、下記一般式[IIa]:
【0057】
【化16】

【0058】
[式中、記号は前記と同一意味を有する。]
で示される化合物又はその塩と、一般式[IIIa]:
−COOR [IIIa]
[式中、Rは水素原子、低級アルキル基又はベンジル基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。]
で示されるカルボン酸化合物とを反応させることにより製することができる。
【0059】
が水素原子である場合、本反応は、溶媒中、縮合剤の存在下、活性化剤及び塩基の存在下もしくは非存在下で実施することができる。溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであればよく、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1−メチルピロリジノン、1,2−ジメトキシエタン等があげられる。縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド・塩酸塩(WSC・HCl)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、ジエチルシアノホスホネート(DEPC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIPCI)、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、カルボニルジトリアゾール、N−シクロヘキシルカルボジイミド−N’−プロピルオキシメチルポリスチレン(PS−Carbodiimide)、N−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン(EEDQ)、ヘキサフルオロリン酸2−(7−アザベンゾトリアゾル−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム(HATU)、ヘキサフルオロリン酸2−(1H−ベンゾトリアゾル−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム(HBTU)、ヘキサフルオロリン酸ブロモトリスピロリジノホスホニウム(PyBroP)、テトラフルオロホウ酸2−(1H−ベンゾトリアゾル−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム(TBTU)、ヘキサクロロアンチモン酸クロロ−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム(ACTU)等があげられる。活性化剤としては、例えば、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt)、ヒドロキシフタルイミド(HOPht)、ペンタフルオロフェノール(Pfp−OH)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール−6−スルホンアミドメチルポリスチレン(PS−HOBt)等があげられる。塩基としては、例えば、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン(DBU)、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸水素ナトリウム等があげられる。
【0060】
上記本反応において、化合物[IIa]の使用量は、化合物[IIIa]に対して0.3〜10当量、好ましくは0.5〜2当量とすることができる。縮合剤の使用量は、化合物[IIa]又は[IIIa]に対して1〜10当量、好ましくは1.5〜4当量とすることができる。塩基の使用量は、化合物[IIa]又は[IIIa]に対して1〜10当量、好ましくは2〜4当量とすることができる。活性化剤の使用量は、化合物[IIa]又は[IIIa]に対して1〜10当量、好ましくは1.5〜4当量とすることができる。本反応は、−20〜80℃、好ましくは0〜30℃で実施することができる。
【0061】
なお、一般式[IIIa]において、Rが水素原子である場合、当該化合物を対応する酸ハライド又は混合酸無水物等の反応性誘導体に変換した後、該反応性誘導体を上記塩基の存在下、溶媒中又は無溶媒で化合物[IIa]と反応させることにより化合物[I−a]を製することもできる。
【0062】
また、一般式[IIIa]において、Rが低級アルキル基又はベンジル基である場合、本反応は、該エステル化合物[IIIa]を常法の加水分解、塩酸、ギ酸もしくはトリフルオロ酢酸等による酸分解、又は還元反応により対応するカルボン酸化合物に変換した後、当該カルボン酸化合物と化合物[IIa]とを上記と同様に処理することにより実施することもできる。
【0063】
更に、一般式[IIIa]において、Rが低級アルキル基又はベンジル基である場合、本反応は、塩基の存在下、溶媒中又は無溶媒で、化合物[IIa]と化合物[IIIa]とを直接反応させることにより実施することができる。溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであればよく、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1−メチルピロリジノン、メタノール、エタノール、イソプロパノ−ル等があげられる。塩基としては、例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−ウンデセン(DBU)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)等があげられる。
【0064】
上記本反応において、化合物[IIIa]の使用量は、化合物[IIa]に対して0.3〜10当量、好ましくは0.5〜2当量とすることができる。塩基の使用量は、化合物[IIa]又は[IIIa]に対して1〜10当量、好ましくは1〜4当量とすることができる。本反応は、25〜150℃、好ましくは60〜120℃で実施することができる。
(B法)
化合物[I]のうち、一般式[I−b]:
【0065】
【化17】

【0066】
[式中、記号は前記と同一意味を有する。]
で示される化合物は、一般式[IIb]:
【0067】
【化18】

【0068】
[式中、記号は前記と同一意味を有する。]
で示される化合物、その反応性誘導体又はその塩と、一般式[IIIb]:
【0069】
【化19】

【0070】
[式中、記号は前記と同一意味を有する。]
で示されるピペリジン化合物又はその塩とを反応させることにより製することができる。
【0071】
化合物[IIb]又はその塩と化合物[IIIb]とから化合物[I−b]を製する場合、本反応は、溶媒中、縮合剤の存在下、活性化剤及び塩基の存在下もしくは非存在下で実施することができる。溶媒、縮合剤、活性化剤及び塩基としては、上記A法で例示したものを適宜選択して使用することができる。化合物[IIb]の塩としては、例えば、塩酸塩などがあげられる。
【0072】
一般式[IIb]の反応性誘導体(例えば、対応する酸ハライド等)を用いる場合、本反応は、溶媒中、塩基の存在下で実施することができる。溶媒及び塩基としては、上記A法で例示したものを適宜選択して使用することができる。
【0073】
上記各反応において、化合物[IIIb]の使用量は、化合物[IIb](又はその反応性誘導体)に対して0.8〜3当量とすればよく、好ましくは1〜1.5当量である。塩基の使用量は、化合物[IIb]又は[IIIb]に対して1〜4当量とすればよく、好ましくは2〜3当量である。
【0074】
上記本反応は、−20〜150℃、好ましくは0〜60℃で実施することができる。
(C法)
化合物[I−a]は、一般式[IIc]:
【0075】
【化20】

【0076】
[式中、記号は前記と同一意味を表す。]
で示される化合物と一般式[IIIc]:
−Q−X [IIIc]
[式中、Xは反応性残基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。]
で示される化合物とを反応させることによっても製することができる。
【0077】
化合物[IIc]と化合物[IIIc]との反応は、適当な溶媒中、脱水剤もしくは塩基の存在下で反応させることにより製することができる。溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであればよく、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチルピロリジノン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、トルエン、ベンゼン等があげられる。Xが水酸基の場合、脱水剤としては、例えば、アゾジカルボン酸ジ低級アルキル(アゾジカルボン酸ジイソプロピル等)および3置換ホスフィン(トリフェニルホスフィン等)またはホスホランの組み合わせ等があげられる。また、Xが脱離基(例えば、ハロゲン基、低級アルキルスルホニルオキシ基もしくはアリールスルホニルオキシ基等)の場合、塩基としては、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属、水素化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属、アルカリ金属低級アルコキシド、もしくはリチウムジイソプロピルアミド(LDA)等があげられる。
【0078】
化合物[IIIc]の使用量は、化合物[IIc]に対して1〜5当量とすればよく、好ましくは1〜2当量である。脱水剤の使用量は、化合物[IIc]又は[IIIc]に対して1〜5当量とすればよく、好ましくは1〜2当量である。塩基の使用量は化合物[IIc]又は[IIIc]に対して1〜10当量、好ましくは1〜2当量である。
【0079】
本反応は、−20〜100℃、好ましくは0〜30℃で実施することができる。
(D法)
化合物[I]のうち、一般式[I−d]:
【0080】
【化21】

【0081】
[式中、R11d及びR12dは、同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロ低級アルキル基、低級アルコキシ低級アルキル基、アミノ低級アルキル基(該基のアミノ基部分は低級アルキル基で置換されていてもよい)、低級アルコキシカルボニル基又は含窒素複素環式基置換低級アルキル基を表すか、或いは両者が互いに末端で結合して隣接する窒素原子と共に含窒素複素環式基(該複素環式基は低級アルキル基で置換されていてもよい)を形成していてもよく、他の記号は前記と同一意味を表す。]
で示される化合物は、一般式[IId]:
【0082】
【化22】

【0083】
[式中、Rはオキソ基を表し、他の記号は前記と同一意味を表す。]
で示される化合物と一般式[IIId]:
(R11d)(R12d)NH [IIId]
[式中、記号は前記と同一意味を有する。]
で示されるアミン化合物とを反応させることにより製することもできる。
【0084】
本反応は、適当な溶媒中、還元剤の存在下に行うか、または接触水素還元の条件下に行ってもよい。
【0085】
還元剤を用いる場合、溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであればよく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、2−メトキシエタノール、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチルピロリジノン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、トルエン、ベンゼン、酢酸、硫酸、塩酸、トリフルオロ酢酸等があげられる。還元剤としては、たとえば、マクロポーラストリエチルアンモニウムメチルポリスチレンシアノボロヒドリド、(MP−Cyanoborohydride)、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等があげられる。化合物[IIId]の使用量は、化合物[IId]に対して1〜10当量とすればよく、好ましくは1〜2当量である。還元剤の使用量は、化合物[IId]又は[IIId]に対して1〜10当量とすればよく、好ましくは1〜4当量である。本反応は、−20〜100℃、好ましくは0〜40℃で実施することができる。
【0086】
接触水素還元の場合、溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであればよく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、2−メトキシエタノール、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチルピロリジノン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、トルエン、ベンゼン、酢酸、硫酸、塩酸等があげられる。触媒としては、パラジウム炭素、パラジウムブラック、酸化白金等があげられる。化合物[IIId]の使用量は、化合物[IId]に対して1〜10当量とすればよく、好ましくは1〜2当量である。触媒の使用量は、化合物[IId]又は[IIId]に対して0.01〜1当量とすればよく、好ましくは0.05−0.2当量である。本反応は、−20〜100℃、好ましくは0〜40℃で実施することができる。
【0087】
本発明の有効成分である化合物[I]は、上述の如くして得られる化合物[I]のR上の置換基を、さらに目的とする他の置換基へ変換することによっても製造することができる。このような置換基の変換方法は、目的とする置換基の種類に応じて適宜選択すればよいが、例えば(a法)〜(e法)の如く実施することができる。
【0088】
(a法)
上の置換基として低級アルコキシ基を含む基を有する化合物[I]は、例えば、(1)R上の置換基として水酸基を含む基を有する対応化合物と、対応する置換基を有するハロゲン化低級アルキルとを、塩基(例えば、水素化ナトリウム、炭酸カリウム)の存在下反応させるか、或いは(2)R上の置換基として水酸基を含む基を有する対応化合物と、対応する低級アルカノールとを、適当な溶媒中、脱水剤(トリフェニルホスフィンおよびアゾジカルボン酸ジイソプロピル等)の存在下で反応させることによって製することができる。
【0089】
(b法)
上の置換基として低級アルキルアミノ基を含む基を有する化合物[I]は、R上の置換基として1級もしくは2級アミノ基を含む基を有する対応化合物と、対応する低級アルキルハライドとを適当な溶媒中、塩基の存在下反応させることにより得ることができる。
【0090】
(c法)
上の置換基として低級アルカノイルアミノ基などのアシルアミノ基を含む基を有する化合物[I]、即ち一般式[I−D]:
【0091】
【化23】

【0092】
[式中、R1Aは式:
【0093】
【化24】

【0094】
で示される式基、Rは水素原子又はジ低級アルキルアミノ低級アルキル基、Rは低級アルキル基、シクロ低級アルキル基又は低級アルケニル基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。]
で示される化合物は、R上の置換基として1級もしくは2級アミノ基を含む基を有する対応化合物[I]、即ち一般式[I−E]:
【0095】
【化25】

【0096】
[式中、R1Bは、式:
【0097】
【化26】

【0098】
で示される基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。]
で示される化合物と、一般式[IV]:
−COOH [IV]
[式中、号は前記と同一意味を有する。]
で示されるカルボン酸化合物又はその反応性誘導体(例えば、酸クロリドの如き酸ハライド等)とを前記A法と同様に反応させることにより得ることができる。
(d法)
上の置換基としてジ置換アミノ基を含む基を有する化合物[I]、即ち一般式[I−F]:
【0099】
【化27】

【0100】
[式中、R1Cは式:
【0101】
【化28】

【0102】
で示される式基、Rは低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロ低級アルキル基、低級アルカノイル基、低級アルケノイル基、低級アルコキシ低級アルキル基、シクロ低級アルキルカルボニル基、アミノ低級アルキル基(該基のアミノ基部分は低級アルキル基で置換されていてもよい)、低級アルコキシカルボニル基又は含窒素複素環式基置換低級アルキル基、R−CH−は低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、低級アルコキシ低級アルキル基、アミノ低級アルキル基(該基のアミノ基部分は低級アルキル基で置換されていてもよい)又は含窒素複素環式基置換低級アルキル基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。]
で示される化合物は、R上の置換基として2級アミノ基を含む基を有する対応化合物[I]、即ち一般式[I−G]:
【0103】
【化29】

【0104】
[式中、R1Dは、式:
【0105】
【化30】

【0106】
で示される基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。]
で示される化合物と、一般式[V]:
−CHO [V]
[式中、号は前記と同一意味を有する。]
で示されるアルデヒド化合物又はその水和物とを前記C法と同様に反応させることにより得ることができる。
【0107】
(e法)
上の置換基として下式:
【0108】
【化31】

【0109】
(式中、qは4〜7の整数を表す)
で示される含窒素複素単環式基を含む基を有する化合物[I]は、R上の置換基としてアミノ基を含む基を有する対応化合物と、一般式[VI]:
−(CH−X [VI]
(式中、X及びXはハロゲン原子、他の記号は前記と同一意味を表す。)
で示される化合物とを適当な溶媒中、塩基の存在下で反応させることにより製することができる。
【0110】
上記A〜Dおよびa〜e法を実施するにあたり、原料化合物ないし各中間体がアミノ基などの官能基を有する場合、合成化学の常法により該官能基に適切な保護基を導入し、必要に応じてそれらの保護基を適宜除去することができる。
【0111】
本発明の有効成分である化合物[I]の合成中間体[IIa]、[IIb]、[IIc]及び[IId]はそれぞれ、例えば、下記反応スキームに従って製することができる。
【0112】
【化32】

【0113】
[式中、Gは水素原子又はアミノ基の保護基、Zカルボキシル基の保護基、Xは水酸基もしくは脱離基、Xはハロゲン原子、メチルチオ基、メトキシ基またはメチルスルフィニル基、Xは水素原子又は反応性残基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。]
化合物[VII]と化合物[VIII]より化合物[IX]を得る反応は、溶媒又は無溶媒で、活性化剤の存在下又は非存在下、添加剤の存在下又は非存在下で実施することができる。溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであればよく、例えば、キシレン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル等があげられる。活性化剤としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、N,O−ビストリメチルシリルアセトアミド、クロロトリメチルシラン等があげられる。添加剤としては、例えば、硫酸アンモニウム、トリエチルアミン塩酸塩、ピリジン塩酸塩等があげられる。化合物[VII]に対する化合物[VIII]の使用量は、1〜10当量、好ましくは1〜4当量とすることができ、活性化剤の使用量は、化合物[VII]に対して1〜20当量、好ましくは、2〜4当量とすることができ、添加剤の使用量は、化合物[VII]に対して0.01〜10当量、好ましくは、0.05〜0.5当量とすることができる。本反応は、0℃〜200℃、好ましくは80℃〜150℃で実施することができる。
【0114】
化合物[VII]をハロゲン化剤で処理して化合物[VII−A]を得る反応は、溶媒中又は無溶媒で、塩基の存在下または非存在下で実施することができる。溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであればよく、例えば、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等があげられる。ハロゲン化剤としては、例えば、オキシ塩化リン、5塩化リン、ポリリン酸、チオニルクロリド、スルフリルクロリド等があげられ、塩基としては、例えば、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等があげられる。
【0115】
ハロゲン化剤の使用量は、化合物[VII]に対して1〜50当量、好ましくは1〜20当量とすることができ、また塩基の使用量は、化合物[VII]に対して1〜10当量、好ましくは1〜2当量とすることができる。本反応は、−20℃〜150℃、好ましくは25℃〜125℃で実施することができる。
【0116】
化合物[VII−A]の基Xがハロゲン原子である場合、必要に応じて該基をメチルチオ基、メトキシ基またはメチルスルフィニル基に変換することができ、適宜、所望の基Xを有する化合物[VII−A]を選択して次の反応に用いることができる。基Xのハロゲン原子を、メチルチオ基もしくはメトキシ基に変換する反応は、メタンチオール、メタノール、金属メチルチオラートまたは金属メトキシド存在下、溶媒中または無溶媒で、塩基の存在下または非存在下で実施することができる。金属メチルチオラートおよび金属メトキシド中の金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム等のアルカリ金属があげられ、溶媒としてはテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド等があげられる。塩基としては、リチウムジイソプロピルアミド、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、tert−ブトキシカリウム、tert−ブトキシナトリウム、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン等があげられる。
【0117】
メタンチオール、メタノール、金属メチルチオラート、金属メトキシド等の試薬の使用量は、基Xがハロゲン原子である化合物[VII−A]に対して1〜100当量、好ましくは1〜20当量とすることができる。塩基の使用量は、同化合物[VII−A]に対して1〜10当量、好ましくは1〜4当量とすることができる。本反応は、−20℃〜100℃、好ましくは−20℃〜30℃で実施することができる。
【0118】
基Xがメチルスルフィニル基である化合物[VII−A]は、基Xがメチルチオ基である化合物[VII−A]を酸化剤と反応させることにより得られる。該反応は、溶媒中または無溶媒で実施することができる。溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであればよく、例えば、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール等があげられる。酸化剤としては、例えば、m−クロロ過安息香酸、過ヨウ素酸ナトリウム等があげられる。
【0119】
酸化剤の使用量は、基Xがメチルチオ基である化合物[VII−A]に対して1〜5当量、好ましくは1−1.5当量とすることができる。本反応は、−20℃〜80℃、好ましくは0℃〜25℃で実施することができる。
【0120】
化合物[VII−A]と化合物[VIII]より化合物[IX]を得る反応は、溶媒中又は無溶媒で、塩基の存在下又は非存在下、および添加剤の存在下又は非存在下で実施することができる。溶媒としては、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド、1−メチル−2−ピロリドン、アセトニトリル、tert−ブタノール等があげられる。及び塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、tert−ブトキシカリウム、tert−ブトキシナトリウム、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン、リチウムジイソプロピルアミド等があげられる。添加剤としては、活性化亜鉛末、パラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)、[1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン]パラジウム(II)ジクロライド、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)、トリフェニルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、トリ(2−フリル)ホスフィン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン等があげられ、これら2種以上の試薬を組合わせて用いてもよい。化合物[VIII]の使用量は、化合物[VII−A]に対して0.5〜10当量、好ましくは、1〜4当量とすることができ、塩基の使用量は、化合物[VII−A]に対して1〜10当量、好ましくは1〜4当量とすることができる。添加剤の使用量は、化合物[VII−A]に対して0.1−10当量、好ましくは0.1−3当量とすることができる。本反応は、−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜120℃で実施することができる。尚、化合物[VII]とハロゲン化剤との反応並びに化合物[VII−A]と化合物[VIII]との反応は、化合物[VII−A]を単離することなく、同一反応容器内で連続的に実施することもできる。
【0121】
化合物[IX]と化合物[X]より化合物[XI]を得る反応は、適当な溶媒中、脱水剤もしくは塩基の存在下で反応させることにより製することができる。溶媒としては、反応に影響を及ぼさないものであればよく、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチルピロリジノン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、トルエン等があげられる。Xが水酸基の場合、脱水剤としては、例えば、アゾジカルボン酸ジ低級アルキル(アゾジカルボン酸ジイソプロピル等)および3置換ホスフィン(トリフェニルホスフィン等)またはホスホランの組み合わせ等があげられる。また、Xが脱離基(例えば、ハロゲン基、低級アルキルスルホニルオキシ基もしくはアリールスルホニルオキシ基等)である場合、塩基としては、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属、水素化アルカリ金属、炭酸アルカリ金属、アルカリ金属低級アルコキシド、もしくはリチウムジイソプロピルアミド(LDA)等があげられる。
【0122】
化合物[X]の使用量は、化合物[IX]に対して1〜5当量とすればよく、好ましくは1〜2当量である。脱水剤の使用量は、化合物[IX]又は[X]に対して1〜5当量とすればよく、好ましくは1〜2当量である。塩基の使用量は化合物[IX]又は[X]に対して1〜10当量、好ましくは1〜2当量である。
【0123】
本反応は、−20〜100℃、好ましくは0〜30℃で実施することができる。
【0124】
化合物[VII−A]と化合物[XIII]から化合物[XIV]を得る反応、化合物[XII]と化合物[XIII]から化合物[XV]を得る反応、化合物[XII]と化合物[VIII]から化合物[XI]を得る反応は、化合物[VII−A]と化合物[VIII]から化合物[IX]を得る反応と同様に実施することができる。
【0125】
化合物[VII−A]と化合物[X]から化合物[XII]を得る反応、化合物[XIV]と化合物[X]から化合物[XV]を得る反応は、化合物[IX]と化合物[X]から化合物[XI]を得る反応と同様に実施することができる。
【0126】
化合物[XI]におけるアミノ基の保護基Gの除去は、慣用の方法に従い実施することができ、アミノ基の保護基Gとしては、例えば、ベンジル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等の如き低級アルコキシカルボニル基等があげられる。
【0127】
化合物[XV]におけるカルボキシル基の保護基Zの除去は、慣用の方法に従い実施することができ、カルボキシル基の保護基Zとしては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基等の如き低級アルコキシ基等があげられる。
【0128】
化合物[IX](Gが水素原子)と化合物[IIIa]から化合物[IIc]を得る反応は、基Gが水素原子である化合物[IX]及び化合物[IIIa]を前記A法と同様に処理することにより実施できる。
【0129】
化合物[IIb]と化合物[XVI]から化合物[IId]を得る反応は、前記A法と同様に実施することができる。
【0130】
本発明における原料化合物[IIIa]、[IIIb]、[IIIc]又は[IIId]は、それ自体公知化合物であるか、或いは公知化合物から合成化学の常法を用いて製することができる。例えば、化合物[IIIa]は、一般式[XVII]:
【0131】
【化33】

【0132】
[式中、記号は前記と同一意味を有する。]
で示される化合物、又は一般式[XVIII]:

【0133】
[式中、Rはカルボキシル基、ホルミル基、又はオキソ基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。]
で示される化合物を一般式[XIX]:
(R11)(R12)NH [XIX]
[式中、記号は前記と同一意味を有する。]
の存在下にアミド化および還元反応、または還元的アミノ化反応に付すか、或いは一般式[XX]:

【0134】
[式中、Xはハロゲン原子を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。]
で示される化合物と化合物[XIX]とを反応させることにより製することができる。
【0135】
また、化合物[IIIb]は、例えば、一般式[XXI]:

【0136】
[式中、Rはカルボキシル基、ホルミル基又はオキソ基を表し、他の記号は前記と同一意味を有する。]
で示される化合物を化合物[XIX]の存在下にアミド化および還元反応、または還元的アミノ化反応に付すことにより製することができる。
【0137】
上記のようにして得られる化合物[IIIa]等は、当該化合物におけるR上の置換基(R11及び/又はR12)を、更に、目的とする他の置換基へ変換することによっても製造することができる。このような置換基の変換方法は、目的とする置換基の種類に応じて適宜選択すればよく、例えば、N−アルキル化反応、N−アシル化反応、O−アルキル化反応等を適用することができる。
【0138】
上述の[A法]〜[D法]および[a]〜[e]法等の如くして得られる化合物[I]は、所望により、薬理的に許容しうる塩に変換することもできる。薬理的に許容しうる塩への変換は、当業者に公知の方法に従って行なえばよい。
【0139】
なお、本発明において、低級アルキルとしては、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルがあげられ、低級アルコキシとしては、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルコキシが挙げられる。低級アルキレンとしては、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンがあげられる。低級アルカノイルとしては、炭素数2〜7、好ましくは炭素数2〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルカノイルが挙げられる。シクロ低級アルキルとしては、炭素数3〜8、好ましくは炭素数3〜6のシクロアルキルが挙げられる。低級アルケニルとしては、炭素数2〜8、好ましくは炭素数2〜4のアルケニルが挙げられる。低級アルケノイルとしては、炭素数3〜8、好ましくは炭素数3〜6の直鎖又は分岐鎖アルケノイルがあげられる。さらに、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子が挙げられる。
【0140】
上記例示の各方法で合成される化合物[I]の具体例(製造例)を下記に示すが、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0141】
製造例1
(1)トランス−4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]シクロへキサンカルボン酸メチル(後記参考例1で得られる化合物)43mgのエタノール1.0mL溶液に、2規定水酸化ナトリウム水溶液100μLを加え、60℃で3時間撹拌する。反応液に5規定塩酸50μLを加えた後、濃縮することにより、粗生成トランス−4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]シクロへキサンカルボン酸を得る。該化合物にクロロホルム1.0mL、6−クロロ−1−(3−エトキシベンジル)−4−ピペラジン−1−イル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン・2塩酸塩(後記参考例7で得られる化合物)38mg、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール21mg、トリエチルアミン85μL、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド38mgを加え、室温で終夜撹拌する。反応液をクロロホルム2.0mLで希釈した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液3.0mLを加え、撹拌する。有機層を分離・濃縮し、得られる粗生成物を高速液体クロマトグラフィー(10mM炭酸アンモニウム/メタノール=80:20〜5:95)で精製することにより、6−クロロ−1−(3−エトキシベンジル)−4−[4−[[トランス−4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]シクロへキシル]カルボニル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(51mg、収率81%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;626/628[M+H]
(2)上記(2)で得られる化合物51mgを水200μLにけん濁し、2規定塩酸41μLを加えた後、凍結乾燥することにより、6−クロロ−1−(3−エトキシベンジル)−4−[4−[[トランス−4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]シクロへキシル]カルボニル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(47mg、収率71%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;626/628[M+H]
【0142】
製造例2
(1)トランス−4−(ピペリジン−1−イル)シクロヘキサンカルボン酸・塩酸塩(後記参考例2で得られる化合物)30mgにクロロホルム1.0mL、6−クロロ−1−(3−エトキシベンジル)−4−ピペラジン−1−イル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン・2塩酸塩38mg、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール21mg、トリエチルアミン85μL、1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド塩酸塩38mgを順次加え、室温で終夜撹拌する。反応液をクロロホルム2.0mLで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液3.0mLを加えて撹拌する。有機層を分離・濃縮し、得られる粗生成物を高速液体クロマトグラフィー(10mM炭酸アンモニウム/メタノール=80:20〜5:95)で精製することにより、6−クロロ−1−(3−エトキシベンジル)−4−[4−[[トランス−4−(ピペリジン−1−イル)シクロへキシル]カルボニル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(40mg、収率71%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;566/568[M+H]
(2)前記(1)で得られる化合物40mgを製造例1(2)と同様に処理することにより、6−クロロ−1−(3−エトキシベンジル)−4−[4−[[トランス−4−(ピペリジン−1−イル)シクロへキシル]カルボニル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(40mg、収率67%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;566/568[M+H]
【0143】
製造例3
(1)4−[[N−エチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]メチル]安息香酸メチル(後記参考例3で得られる化合物、36mg)と6−クロロ−1−[(2−プロピル−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]−4−ピペラジン−1−イル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン・2塩酸塩(後記参考例11で得られる化合物)38mgとを製造例1と同様に処理することにより、6−クロロ−1−[(2−プロピル−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]−4−[4−[4−[[N−エチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]メチル]ベンゾイル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(粗生成物)を得る。
(2)前記(1)で得られる化合物の塩化メチレン1.0mLけん濁液にトリフルオロ酢酸1.0mLを加え、室温で1時間撹拌する。溶媒を留去し、得られる粗生成物を高速液体クロマトグラフィー(10mM炭酸アンモニウム/メタノール=80:20〜5:95)で精製することにより、6−クロロ−1−[(2−プロピル−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]−4−[4−[4−(エチルアミノメチル)ベンゾイル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(29mg、収率54%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;539/541[M+H]
(3)上記(2)で得られる化合物29mgを製造例1(2)と同様に処理することにより、6−クロロ−1−[(2−プロピル−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]−4−[4−[4−(エチルアミノメチル)ベンゾイル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(29mg、収率55%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;539/541[M+H]
【0144】
製造例4
(1)4−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]安息香酸エチル(後記参考例4で得られる化合物、30mg)を前記実施1と同様に処理することにより、6−クロロ−1−(3−エトキシベンジル)−4−[4−[4−[2−(ジメチルアミノ)エチルアミノ]ベンゾイル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(粗生成物)を得る。
(2)前記(1)で得られる化合物、及びピリジン32mgのクロロホルム溶液にアセチルクロリド16mgを加え、室温で終夜時間撹拌する。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた後、クロロホルムで抽出する。抽出液を濃縮し、得られる粗生成物を高速液体クロマトグラフィー(10mM炭酸アンモニウム/メタノール=80:20〜5:95)で精製することにより、6−クロロ−1−(3−エトキシベンジル)−4−[4−[4−[N−アセチル−N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]ベンゾイル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(35mg、収率58%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;605/607[M+H]
(3)前記(2)で得られる化合物(35mg)を製造例1(2)と同様に処理することにより、6−クロロ−1−(3−エトキシベンジル)−4−[4−[4−[N−アセチル−N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]ベンゾイル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(35mg、収率55%)をアモルファス粉末として得る。
MS(APCI)m/z;605/607[M+H]
【0145】
製造例5
参考例8で得られる対応原料化合物を製造例2と同様に処理することにより、1−(3−エトキシベンジル)−3−メチル−4−[4−[[トランス−4−(ピペリジン−1−イル)シクロへキシル]カルボニル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(46mg、収率78%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;546[M+H]
【0146】
製造例6
(1)4−(4−カルボキシピぺリジン−1−イル)−1−(3−エトキシベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン塩酸塩(参考例9(3)で得られる化合物)50mgにクロロホルム1mL、4−ピペリジノピペリジン26mg、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール24mg、トリエチルアミン17μLおよび1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド塩酸塩35mgを順次加え、室温で17時間攪拌する。反応液をクロロホルム5mLで希釈後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液10mLを加えて攪拌する。有機層を分離して硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮する。得られる残渣を高速液体クロマトグラフィー(10mM炭酸アンモニウム/メタノール=80:20〜5:95)で精製することにより、1−(3−エトキシベンジル)−4−[4−[(4−ピペリジノピぺリジン−1−イル)カルボニル]ピペリジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(44mg、69%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;532[M+H]
(2)上記(1)で得られる化合物をエタノールに溶解し、2規定塩酸41μLを加えた後、溶媒を減圧留去する。得られる残渣を水1mLに溶解後、凍結乾燥することにより、1−(3−エトキシベンジル)−4−[4−[(4−ピペリジノピぺリジン−1−イル)カルボニル]ピペリジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン2塩酸塩(48mg、66%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;532[M+H]
【0147】
製造例7
参考例11で得られる化合物34mgを製造例2と同様に処理することにより、1−(3−エトキシベンジル)−4−[1−[[トランス−4−(ピペリジン−1−イル)シクロへキシル]カルボニル]ピペリジン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(17mg、収率50%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;531[M+H]
【0148】
製造例8
(1)参考例9で得られる化合物4−(4−カルボキシピペリジンー1−イル)−1−(3−エトキシベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン1.37gと4−ピペリドン・1塩酸塩・1水和物755mgを製造例6(1)と同様に処理することにより1−(3−エトキシベンジル)−4−[4―[(4−オキソピペリジン−1−イル)カルボニル]ピペリジン−1−イル]―1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(1.52g、定量的)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;463[M+H]
(2)上記(1)で得られる化合物46mg、N,N−ジメチルエチレンジアミン18mg、およびMP−シアノボロヒドリド86mgのテトラヒドロフラン1mLの混合物に酢酸15μLを加え、室温で終夜攪拌する。MP−イソシアネート100mgを加え室温で終夜攪拌する。反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮する。得られる粗生成物を高速液体クロマトグラフィー(10mM炭酸アンモニウム/メタノール=80:20〜5:95)で精製することにより4−[4−[[4−[(2−ジメチルアミノエチル)アミノ]ピペリジン−1−イル]カルボニル]ピペリジン−1−イル]―1−(3−エトキシベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジンをアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;535[M+H]
(3)上記(2)で得られる化合物のジクロロメタン0.5mLの溶液に、氷冷下でアセチルクロリド14μLのジクロロメタン0.5mL溶液及びピリジン20μLを加え、室温で終夜攪拌する。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液3mLを加え、30分間激しく攪拌する。有機層を分取し、水層をクロロホルム2mLで抽出する。抽出液を減圧濃縮し、得られる残渣を高速液体クロマトグラフィー(10mM炭酸アンモニウム/メタノール=80:20〜5:95)で精製することにより、4−[4−[[4−[N−アセチル−N−(2−ジメチルアミノエチル)アミノ]ピペリジン−1−イル]カルボニル]ピペリジン−1−イル]−1−(3−エトキシベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(12mg、2工程収率21%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;577[M+H]
(4)前記(3)で得られる化合物(12mg)を製造例1(2)と同様に処理することにより4−[4−[[4−[N−アセチル−N−(2−ジメチルアミノエチル)アミノ]ピペリジン−1−イル]カルボニル]ピペリジン−1−イル]―1−(3−エトキシベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン・塩酸塩(13mg、収率;定量的)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;577[M+H]
【0149】
製造例9〜114
対応原料化合物を前記製造例1〜8のいずれかと同様に処理することにより、下記第1表〜第22表記載の化合物を得る。
【0150】
【表1】

【0151】
【表2】

【0152】
【表3】

【0153】
【表4】

【0154】
【表5】

【0155】
【表6】

【0156】
【表7】

【0157】
【表8】

【0158】
【表9】

【0159】
【表10】

【0160】
【表11】

【0161】
【表12】

【0162】
【表13】

【0163】
【表14】

【0164】
【表15】

【0165】
【表16】

【0166】
【表17】

【0167】
【表18】

【0168】
【表19】

【0169】
【表20】

【0170】
【表21】

【0171】
【表22】

【0172】
製造例115
参考例13(2)で得られる化合物54mgのN,N−ジメチルホルムアミド1.0ml溶液に、0℃下で60%油性水素化ナトリウム15mgを加えて0.5時間撹拌後、参考例12(1)で得られる化合物42mgのテトラヒドロフラン1.0ml溶液を滴下し、室温で終夜撹拌する。反応液に水を加えてクロロホルムで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去する。得られる粗生成物を高速液体クロマトグラフィー(10mM炭酸アンモニウム/メタノール=80:20〜5:95)で精製後、塩酸で処理することにより、1−(3−エトキシベンジル)−4−[4−[[4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]シクロヘキシル]カルボニル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン塩酸塩(10mg、収率15%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;591[M+H]
製造例116
対応原料化合物を製造例A2およびA8(2)と同様に処理することにより、1−(3−エトキシベンジル)−6−メトキシ−4−[4−[4−[N−アセチル−N−(2−ジメチルアミノエチル)アミノ]ベンゾイル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン塩酸塩(37mg、収率:59%)をアモルファス粉末として得る。
MS(APCI)m/z:601[M+H]+
参考例1
(1)−30℃冷却下、メタノール1500mLに塩化チオニル254mLを約1時間かけて滴下し、室温にて0.5時間撹拌する。該混合物にトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸500.0gを加え、室温にて17時間撹拌する。反応液を減圧濃縮し、残渣をクロロホルムで希釈後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄する。有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮する。得られる残渣をヘキサンで結晶化した後、結晶をろ取して乾燥することにより、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジメチル545.0gを得る。
MS(APCI)m/z:201[M+H]
(2)上記(1)で得られるトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ジメチル150.0gのテトラヒドロフラン1500mL溶液に氷冷下28%ナトリウムメトキシド−メタノール溶液149gと水13.2gの混合溶液を滴下後、室温で3.5時間撹拌する。反応液にヘキサン1500mLを注ぎ、析出物をろ取する。該析出物を氷冷下濃塩酸50mL、水450mLおよびクロロホルム1000mLの混合溶液に加え、室温で20分間撹拌する。有機層を分離し、水層を再度クロロホルムで抽出する。合した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮する。得られる残渣をヘキサンで結晶化し、析出晶をろ取して乾燥することにより、トランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸モノメチル106.0gを得る。
MS(ESI)m/z:185[M−H]
(3)トランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸モノメチル14.3gのテトラヒドロフラン78mL溶液にアルゴン雰囲気下−50℃で1.0Mボラン・テトラヒドロフラン錯体テトラヒドロフラン溶液100mLを1時間かけて滴下する。該混合物を−10℃で1時間撹拌する。氷冷下、反応液に水160mLと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液160mLを加え、酢酸エチル160mLで4回抽出する。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮する。得られる残渣をシリカゲルカラムフラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20:1)で精製することにより、トランス−4−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンカルボン酸メチル(13.25g、収率100%)を油状物として得る。
MS(APCI)m/z;173[M+H]
(4)アルゴン雰囲気下、塩化オキザリル4.48mLの塩化メチレン50mL溶液に、−60℃でジメチルスルホキシド4.55gの塩化メチレン5mL溶液を滴下し、同温で15分間撹拌する。該溶液に、前記(3)で得られる化合物5.9gの塩化メチレン30mL溶液を30分かけて滴下し、同温で1時間撹拌する。−60℃で反応液にトリエチルアミン16.7mLを滴下し、同温で30分撹拌後、更に0℃で1時間撹拌する。反応液をクロロホルムで希釈し、水、5%クエン酸水溶液、水、飽和食塩水で順次洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮することにより、トランス−4−ホルミルシクロヘキサンカルボン酸メチル(5.32g、収率91%)を油状物として得る。
(5)前記(4)で得られる化合物1.81g、2−(ジメチルアミノ)エチルアミン2.80gの塩化メチレン20mL混合液に、氷冷下、水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム3.38g、酢酸1.28gを順次加え、室温で4日間撹拌する。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和後、クロロホルムで2回抽出する。抽出液を減圧濃縮し、得られる組成生物をシリカゲルカラムフラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール/アンモニア水=9:1:0.1)で精製することにより、トランス−4−[(2−ジメチルアミノエチルアミノ)メチル]シクロヘキサンカルボン酸メチル(455mg、収率15%)を油状物として得る。
MS(APCI)m/z:286[M+H]
【0173】
参考例2
(1)トランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸モノメチル(前記参考例A1(2)で得られる化合物)100.0gをtert−ブタノール1000mLに溶解し、ジフェニルリン酸アジド155gおよびトリエチルアミン78.6mLを加え、約60℃で1時間撹拌後、さらに17時間加熱環流する。放冷後、反応液に氷水を注ぎ、酢酸エチルで抽出する。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮する。得られる残渣のメタノール250mL溶液に水750mLを加え後、氷冷下0.5時間撹拌する。析出物をろ取し、水−メタノール(3:1)1000mLおよびヘキサンにて順次洗浄後、乾燥することにより、トランス−4−(tertert−ブトキシカルボニルアミノ)シクロヘキサンカルボン酸メチル117.0gを得る。
MS(APCI)m/z:275[M+NH
(2)前記(1)で得られる化合物234.0gのジオキサン500mL溶液に4規定塩酸ジオキサン溶液500mLを加え、室温で19時間撹拌する。反応液を減圧濃縮し、得られる残渣をジエチルエーテルにけん濁後、析出物をろ取することにより、トランス−4−アミノシクロヘキサンカルボン酸メチル塩酸塩121.9gを得る。
MS(APCI)m/z:158[M+H]
(3)前記(2)で得られる化合物10g、1,5−ジヨードペンタン9.2mL及び炭酸ナトリウム16.4gのテトラヒドロフラン300mL/N,N−ジメチルアセトアミド60mLけん濁液を70℃で20時間撹拌する。反応液を減圧濃縮し、残渣を酢酸エチル−水に溶解後、有機層を分離する。該有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮する。得られる残渣をNHシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/へキサン=1:5)にて精製することにより、トランス−4−(1−ピペリジル)シクロヘキサンカルボン酸メチル10.17gを得る。
MS(APCI)m/z:226[M+H]
(4)前記(3)で得られる化合物10.17gのジオキサン130mL溶液に、2規定塩酸70mLを加え、メタノールを留去しながら105℃で5時間撹拌する。反応液を減圧濃縮し、得られる残渣をジエチルエーテルにけん濁し、析出物をろ取することにより、トランス−4−(1−ピペリジル)シクロヘキサンカルボン酸・塩酸塩(11.78g、収率:定量的)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z:212[M+H]
参考例3
(1)4−(アミノメチル)安息香酸メチル5.08gを塩化メチレン30mLに溶解し、氷冷下、二炭酸ジ−tert−ブチル6.4gを加えた後、該混合物を室温で24時間撹拌する。反応液を塩化メチレン20mLで希釈後、水40mLを加えて撹拌する。有機層を分離後、減圧濃縮することにより、4−[N−(tert−ブトキシカルボニル)アミノメチル]安息香酸メチル(粗生成物)を得る。
(2)上記(1)で得られる化合物1.5gのテトラヒドロフラン15mL溶液に、氷冷下、60%油性水素化ナトリウム407mgを加え、室温で30分間撹拌する。反応液に氷冷下ヨウ化エチル2.26mLを滴下し、60℃で1時間撹拌する。反応液を室温まで冷却後、酢酸エチル10mLで希釈し、水20mLを加えて撹拌する。有機層を分離して濃縮し、得られる粗生成物をNHシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶媒;ヘキサン/酢酸エチル=20:1)で精製することにより、4−[[N−エチル−N−(tert−ブトキシカルボニル)]アミノメチル]安息香酸メチル(929mg、収率:56%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;294[M+H]
参考例4
アルゴン雰囲気下、4−フルオロ安息香酸エチル20g、N,N−ジメチルエチレンジアミン20g、炭酸カリウム32.9gのジメチルスルホキシド200mL混合液を80℃で3日間撹拌する。反応液を室温まで冷却し、酢酸エチルおよび水を加えて撹拌する。該混合液を酢酸エチルで2回抽出した後、有機層を10%塩酸で抽出する。該水層を酢酸エチルで洗浄後、10%水酸化ナトリウムで中和し、酢酸エチルで3回抽出する。抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られる粗生成物をNHシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=8:1〜4:1)で精製することにより、4−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]安息香酸エチル(12.45g、収率:44%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;237[M+H]
参考例5
(1)4−カルボキシル−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン2.0gの塩化メチレン26mL溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン3.0mL、ヘキサフルオロリン酸ブロモトリスピロリジノホスホニウム(PyBroP)6.1g及び(2−メトキシエチル)(tert−ブチル)アミン1.6gを順次加え、該混合物を室温で4日間撹拌する。反応液をクロロホルムで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて撹拌後、有機層を分離する。再度、水層をクロロホルムで抽出し、合した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、濃縮する。得られる残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=10:0〜70:30)にて精製し、4−[tert−ブチル(2−メトキシエチル)カルバモイル]−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン(887mg、収率:30%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;343[M+H]
(2)前記(1)で得られる化合物1.2gのテトラヒドロフラン11mL溶液に1Mボラン−テトラヒドロフラン錯体テトラヒドロフラン溶液6.7mLを加え、7時間加熱還流する。反応液に室温下10%塩酸を加え、65℃で40分間撹拌後、減圧濃縮する。残渣をクロロホルムと水で処理した後、撹拌下、炭酸カリウムを加え(pH10以上)、クロロホルムで2回抽出する。合したクロロホルム層を硫酸ナトリウムで乾燥後、ろ過し濃縮する。得られる残渣にn−ヘキサン/酢酸エチル=8:1を加えて撹拌し、析出物を濾去後、濾液を減圧濃縮することにより、4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]ピペリジン(573mg、収率:70%)を黄色油状物として得る。
MS(APCI)m/z;229[M+H]
参考例6
(1)4−ホルミル−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン1.0g、2−ジメチルアミノエチルアミン766μLのクロロホルム12mL溶液に、氷冷下水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム2.0g及び酢酸537μLを順次加え、室温で1日間撹拌する。反応液をクロロホルムで希釈し、撹拌下飽和炭酸水素ナトリウム水溶液と粉末炭酸カリウムを加える(pH10)。該混液をクロロホルムで2回抽出し、抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮することにより、4−[[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]メチル]−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン(3g)を無色油状物(粗生成物)として得る。
(2)前記(1)で得られる化合物を塩化メチレン10mLに溶解し、N−(メチルポリスチレン)−4−(メチルアミノ)ピリジン(PS−DMAP、1.57mmol/g)6g、塩化アセチル1.7mLを加え、室温で18時間振とうする。PS−DMAP及び不溶物を濾去後、濾液を減圧濃縮することにより、4−[[N−アセチル−N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]メチル]−1−(tert−ブトキシカルボニル)ピペリジン(1.3g)を無色固体(粗生成物)として得る。
(3)上記(2)で得られる化合物1.3gのジオキサン5.8mL溶液に4規定塩酸−ジオキサン溶液5.8mLを加え、室温で20時間撹拌する。反応液を乾燥エーテルで希釈して目的物を油状物として不溶化する。上澄みを除き、残渣を乾燥エーテルで洗浄後、減圧乾燥する。残渣を水に溶解後、凍結乾燥することにより、4−[[N−アセチル−N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]メチル]ピペリジン2塩酸塩(918mg、収率:65%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;228[M+H]
参考例7
(1)オキシ塩化リン250mLに10℃以下でN,N−ジメチルホルムアミド39.3mLを滴下し、次いでバルビツール酸50gを20分かけて加える。該混合物を室温で1時間攪拌後、更に90℃で一晩攪拌する。反応液から過剰のオキシ塩化リンを減圧留去し、得られる残渣を攪拌下で水に徐々に注ぎ込む。該混合液をクロロホルムで抽出し、抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮する。析出物をイソプロピルエーテル中で粉末化し、析出物をろ取することにより、5−ホルミル−2,4,6−トリクロロ−ピリミジン(57.5g、収率:70%)を黄色結晶として得る。
MS(APCI)m/z;検出されず
(2)前記(1)で得られる化合物40gのメタノール950mL溶液に−10℃でヒドラジン1水和物9.45mLのメタノール240mL溶液を徐々に滴下する。次いで、−10℃でトリエチルアミン26.8mLのメタノール240mL溶液を滴下後、同温で2時間攪拌する。溶媒を減圧留去後、残渣を熱イソプロピルアルコールに懸濁し、不溶物を濾去する。合した濾液を減圧濃縮することにより4,6−ジクロロ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(23.94g、収率:67%)を黄色アモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;検出されず。
(3)前記(2)で得られる化合物500mgのN,N−ジメチルホルムアミド10mL溶液に0℃で、N−tert−ブトキシカルボニルピペラジン591mg及びトリエチルアミン0.73mLを徐々に加え、同温で10分間撹拌する。反応液に水を加えて酢酸エチルで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮する。得られる粗生成物をジイソプロピルエーテル中で粉砕し、析出物をろ取することにより、6−クロロ−4−[4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(826mg、収率:92%)を黄色粉末として得る。
MS(APCI)m/z;339/341[M+H]
(4)前記(3)で得られる化合物820mg、3−エトキシベンジルアルコール550mgおよびトリフェニルホスフィン1.26gのテトラヒドロフラン10mL溶液に氷冷下でアゾジカルボン酸ジイソプロピル1.0mLを加え、室温で終夜攪拌する。反応液を濃縮し、得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1:1)で精製することにより、6−クロロ−1−(3−エトキシベンジル)−4−[4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(1.5g)を淡黄色油状物として得る。
MS(APCI)m/z;473/475[M+H]
(5)前記(4)で得られる化合物1.54gのジオキサン10mL溶液に4規定塩酸−ジオキサン溶液6.0mLを加え、室温で終夜撹拌する。反応液をエチルエーテルで希釈し、析出物をろ取することにより、6−クロロ−1−(3−エトキシベンジル)−4−(ピペラジン−1−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン2塩酸塩(556mg、2段階収率:52%)を黄色粉末として得る。
MS(APCI)m/z;373/375[M+H]
参考例8
(1)4−(4−tert−ブトキシカルボニルピペラジン−1−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン10gのN,N−ジメチルホルムアミド100mL溶液にN−ブロモスクシンイミド7gを加え、100℃で3時間40分攪拌する。反応液を冷却後、減圧濃縮し、得られる残渣をクロロホルム150mLに溶解する。該溶液にヘキサン100mLを加え、析出物をろ去する。ろ液を減圧濃縮し、残渣をクロロホルム20mLに溶解後、ヘキサンを加え、析出晶をろ取し乾燥することにより、3−ブロモ−4−(4−tert−ブトキシカルボニルピペラジン−1−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(11.22g、収率:89%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;383/385[M+H]
(2)上記(1)で得られる化合物5g、トリフェニルホスフィン4.45gおよび3−エトキシベンジルアルコール2.4mLのテトラヒドロフラン40mL溶液に、氷冷下アザジカルボン酸ジイソプロピル3.35mLを滴下し、室温で3日間攪拌する。反応液をクロロホルムで希釈後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を分取する。合した有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮する。得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:3 → クロロホルム:メタノール=20:1)で精製することにより、3−ブロモ−1−(3−エトキシベンジル)−4−(ピペラジン−1−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(5.2g、収率:77%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;517/519[M+H]
(3)上記(2)で得られる化合物400mgのジオキサン溶液にトリメチルボロキシン108μL、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム127mgおよび燐酸カリウム492mgを加え、マイクロウェーブ反応装置を用いて120℃で1時間加熱する。反応液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:3)で精製することにより、4−(4−tert−ブトキシカルボニル)−1−(3−エトキシベンジル)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(281mg、収率:80%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;453[M+H]
(4)上記(3)で得られる化合物381mgのジオキサン5mL溶液に4規定塩酸ジオキサン溶液1.9mLを加え、室温で終夜攪拌する。ジエチルエーテルを加えて30分間攪拌後、析出物をろ取し、乾燥することにより1−(3−エトキシベンジル)−3−メチル−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン・2塩酸塩(320mg、収率:89%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;353[M+H]
参考例9
(1)アロプリノール(4−ヒドロキシ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン)25g及びジメチルアニリン75mLのオキシ塩化リン350mL懸濁液を1時間30分加熱攪拌する。反応液を室温まで冷却後、減圧濃縮し、残渣を氷水に加える。酢酸エチルで抽出(3回、計2.2L)し、抽出液を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮することにより、4−クロロ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン19gの粗結晶を得る。該化合物19gのN,N−ジメチルホルムアミド200mL溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン36.6mL及びイソニペコチン酸エチル22mLを加え、室温で一晩攪拌する。反応液を減圧濃縮後、得られる残渣に飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加え、酢酸エチルで2回抽出する。抽出液を飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮する。得られる残渣をシリカゲルカラムフラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=50:1)で精製することにより、4−(4−エトキシカルボニルピペリジン−1−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(11.1g、収率:22%)を淡黄色粉末として得る。
MS(APCI)m/z;276[M+H]
(2)上記(1)で得られる4−(4−エトキシカルボニルピペリジン−1−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン2.0g、3−エトキシベンジルアルコール1.66g及びトリフェニルホスフィン2.86gのテトラヒドロフラン20mL溶液に氷冷下アゾジカルボン酸ジイソプロピル2.15mLを加え、室温で1時間攪拌する。反応液に酢酸エチルを加え、10%塩酸で抽出する。抽出液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和後、クロロホルムで抽出する。抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=3:1〜1:1)で精製することにより1−(3−エトキシベンジル)−4−(4−エトキシカルボニルピペリジン−1−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(1.8g、収率:61%)を淡黄色油状物として得る。
MS(APCI)m/z;410[M+H]
(3)上記(2)で得られる化合物1.0gのジオキサン10mL溶液に2規定塩酸を加え、3時間加熱攪拌する。反応液を室温まで冷却後、反応液を減圧濃縮する。得られる残渣をエチルエーテル中で粉砕し、析出物をろ取することにより4−(4−カルボキシピぺリジン−1−イル)−1−(3−エトキシベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(867mg、収率:85%)を無色粉末として得る。
MS(APCI)m/z;382[M+H]
参考例10
(1)アロプリノール20g及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン41mLのオキシ塩化リン245mL懸濁液を3時間加熱還流する。反応液を室温まで冷却後、減圧濃縮する。残渣を酢酸エチルで希釈し、冷水を加えた後、酢酸エチルで抽出(3回、計2.5L)する。抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮することにより、4−クロロ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン21.3gの粗結晶を得る。
(2)上記(1)で得られる化合物5gのトルエン45mL/N,N−ジメチルホルムアミド15mLの縣濁液に氷冷下ナトリウムチオメトキシド2.7gを加え、25℃以下で一晩撹拌する。反応液をトルエンで希釈後、析出物を濾取し、乾燥することにより、4−メチルチオ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(5.25g、収率:97.8%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;167[M+H]
(3)上記(2)で得られる化合物2g、3−エトキシベンジルアルコール2.2mL及びトリフェニルホスフィン4.1gのテトラヒドロフラン30mL溶液に氷冷下アゾジカルボン酸ジイソプロピル3.1mLを加え、室温で一晩攪拌する。反応液を減圧濃縮し、得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=97:3〜95:5)で精製することにより1−(3−エトキシベンジル)−4−メチルチオ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(1.2g、収率:35%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;301[M+H]
(4)上記(3)で得られる化合物250mgのテトラヒドロフラン4.2mL溶液にメタクロロ過安息香酸215mgを加え、室温で2時間攪拌する。次いで、4−アミノ酪酸メチルエステル塩酸塩384mg及びトリエチルアミン384μLを加え、室温で17時間攪拌する。反応液をクロロホルムで希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機層を分離する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム〜クロロホルム/メタノール=9:1)で精製することにより、1−(3−エトキシベンジル)−4−[N−(3−エトキシカルボニルプロピル)−アミノ]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(264mg、収率:86%)を無色アモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;370[M+H]
(5)上記(4)で得られる化合物263mgにメタノール2.1mL及び4規定水酸化ナトリウム水溶液0.5mLを加え、室温で一晩攪拌する。反応液に2規定塩酸1.1mLを加え、室温で3時間攪拌する。反応液をろ過し、ろ液を濃縮後、残渣をメタノール/エチルエーテル中で粉末化し、析出物をろ取することにより、1−(3−エトキシベンジル)−4−[N−(3−カルボキシプロピル)−アミノ]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(215mg、収率:77%)を無色アモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;354[M−H]
参考例11
(1)4,6−ジクロロ−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン1.0gを参考例9−(2)と同様に処理することにより、4,6−ジクロロ−1−(3−エトキシベンジル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(982mg、収率:57%)を無色アモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;323/325[M+H]
(2)亜鉛末227mgのN,N−ジメチルアセトアミド3mL懸濁液にヨウ素50mgを加え、10分間攪拌する。該懸濁液に4−ヨードピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチル722mgのN,N−ジメチルアセトアミド3mL溶液を滴下し、80℃で4時間20分攪拌する。反応液を冷却後、室温でテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)100mg、上記(1)で得られる化合物500mgのN,N−ジメチルアセトアミド3mL溶液及び0.5M塩化亜鉛−テトラヒドロフラン溶液9.3mLを加え、90℃で15時間攪拌する。反応液を冷却後、セライトろ過し、ろ液に水を加えて酢酸エチルで抽出する。抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5:1)で精製することにより、6−クロロ−1−(3−エトキシベンジル)−4−(1−tert−ブトキシカルボニル−4−ピペリジル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(594mg、収率:81%)を黄色油状物として得る。
MS(APCI)m/z;472/474[M+H]
(3)上記(2)で得られる化合物594mgのジオキサン3.1mL溶液に4規定塩酸―ジオキサン溶液3.1mLを加え、エチルエーテルで希釈後、析出物をろ取することにより、6−クロロ−1−(3−エトキシベンジル)−4−(4−ピペリジル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン塩酸塩(404mg、収率:99%)を黄色粉末として得る。
MS(APCI)m/z;372/374[M+H]
(4)上記(3)で得られる化合物150mgのメタノール4mL溶液にパラジウム炭素30mgを加え、常圧水素雰囲気下、室温で24時間攪拌する。反応混合物をろ過し、ろ液を減圧濃縮し、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出する。抽出液を硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、得られる残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール/28%アンモニア水=10:1:0.1)で精製することにより、1−(3−エトキシベンジル)−4−(4−ピペリジル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(22mg、収率:18%)を無色油状物として得る。
MS(APCI)m/z;338[M+H]
参考例12
(1)3−エトキシベンジルアルコール3.0gの塩化メチレン30mL溶液に0℃でメタンスルホン酸クロリド1.8mL及びトリエチルアミン4.2mLを加え、同温で0.5時間撹拌する。反応液に水を加え、クロロホルムで抽出する。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮することにより、メタンスルホン酸3−エトキシベンジル(4.5g、収率:99%)を黄色油状物として得る。
MS(APCI)m/z;248[M+NH
(2)前記(1)で得られる化合物1.5gのN,N−ジメチルスルホキシド15mL溶液に6−クロロ−7−デアザプリン1.0g及び炭酸カリウム1.0gを加え、室温で18時間撹拌する。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出し、抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮する。得られる粗生成物をシリカゲルカラムフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10:1)で精製することにより、4−クロロ−1−(3−エトキシベンジル)−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1.39g、収率:74%)を無色油状物として得る。
MS(APCI)m/z;288/290[M+H]
(3)ピペラジン2.4gの水1.0mL及びN,N−ジメチルホルムアミド4.0mL溶液に前記(2)で得られる化合物0.83gを加え、室温で3時間撹拌する。反応液に水を加えて酢酸エチルで抽出し、抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮する。得られる粗生成物をシリカゲルカラムフラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20:1)で精製後、塩酸で処理することにより、4−(1−ピペラジニル)−1−(3−エトキシベンジル)−1H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン2塩酸塩(1.08g)を無色粉末として得る。
MS(APCI)m/z;338[M+H]
参考例13
(1)4−クロロ−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン200mg及びピペラジン5gの混合物を150℃で1時間撹拌する。反応液をシリカゲルカラムフラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=5:1)で精製することにより、4−(1−ピペラジニル)−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン(180mg、収率:68%)を無色結晶として得る。
MS(APCI)m/z;204[M+H]
(2)前記(1)で得られる化合物(35mg)を製造例1と同様に処理することにより、4−[4−[[4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]シクロヘキシル]カルボニル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン(54mg、収率:69%)を黄色粉末として得る。
MS(APCI)m/z;457[M+H]
参考例14
(1)4−ニトロ−3−ピリジンカルバルデヒド 1−オキシド6.4gのエタノール200ml溶液にヒドラジン水和物5.6mLを滴下後、3時間加熱還流する。反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムフラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=10:1)で精製することにより、1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン 5−オキシド(2.4g、収率:47%)を黄色結晶として得る。
MS(APCI)m/z;136[M+H]
(2)前記(1)で得られる化合物1.4gにオキシ塩化リン30mLを加えて3時間加熱還流する。反応液を濃縮後、残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出する。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮することにより、4−クロロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン(6−クロロ−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジンとの混合物)を得る(0.81g、収率:51%)。
MS(APCI)m/z;154/156[M+H]
(3)前記(2)で得られる化合物0.72gのN−メチルピロリドン5.0mL溶液にN−tert−ブトキシカルボニルピペラジン1.7gを加えて140℃で2時間撹拌する。反応液を冷却後、水を加えて酢酸エチルで抽出する。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮し、得られる残渣をNH−シリカゲルカラムフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1:1)で精製することにより、4−[4−(tert−ブトキシカルボニル)ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン(0.64g)を無色結晶として得る。
MS(APCI)m/z;304[M+H]
(4)前記(3)で得られる化合物0.74gを製造例115と同様に処理することにより、1−(3−エトキシベンジル)−4−(1−ピペラジニル)−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン(0.52g、収率:52%)を無色結晶として得る。
【0174】
参考例15
対応原料化合物を前記製造例8(1)と同様に処理することにより、下記第23表記載の化合物を得る。
【0175】
【表23】

【0176】
参考例16〜29
対応原料化合物を前記参考例1〜6記載のいずれかの方法と同様に処理することにより、下記第24〜25表記載の化合物を得る。
【0177】
【表24】

【0178】
【表25】

【0179】
参考例30
参考例7(5)で得られる化合物(6−クロロ−1−(3−エトキシベンジル)−4−(ピぺラジン−1−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン2塩酸塩)200mgのメタノール5.0mLけん濁液に、ナトリウムメチラート(28%メタノール溶液)0.5mLを加えて終夜加熱還流する。反応液を濃縮し、得られる残渣をシリカゲルカラムフラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20:1)で精製後、塩酸で処理することにより、1−(3−エトキシベンジル)−6−メトキシ−4−(ピぺラジン−1−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン塩酸塩(124mg、15%)をアモルファス固体として得る。
MS(APCI)m/z;591[M+H]
【0180】
参考例31
参考例7(5)で得られる化合物200mgのジオキサン2.0mL懸濁液に、トリメチルボロキシン68mg、[1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)35mg、および炭酸セシウム730mgを加えて100℃で終夜撹拌する。反応液を酢酸エチルで希釈し、不溶物をろ去する。ろ液を濃縮し、得られる残渣をシリカゲルカラムフラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20:1)で精製後、塩酸で処理することにより、1−(3−エトキシベンジル)−6−メチル−4−(ピぺラジン−1−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン塩酸塩(73mg、42%)を無色固体として得る。
MS(APCI)m/z;353[M+H]
【0181】
参考例32
参考例7(5)で得られる化合物200mgのジメトキシエタン2.0mL懸濁液に2−チエニルホウ酸115mg、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)31mgおよび2M炭酸ナトリウム水溶液2.2mLを順次加えて、90℃で20時間撹拌する。反応液を酢酸エチルで抽出し、抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去する。得られる粗生成物をシリカゲルカラムフラッシュクロマトグラフィーで精製することにより、1−(3−エトキシベンジル)−4−(ピぺラジン−1−イル)−6−(2−チエニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(149mg、67%)を褐色粉末として得る。
MS(APCI)m/z;421[M+H]
【0182】
参考例33
(1)参考例7(4)で得られる化合物(6−クロロ−1−(3−エトキシベンジル)−4−(4−tert−ブトキシカルボニルピぺラジン−1−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン)100mgのN,N−ジメチルアセトアミド1.0mL溶液に青酸カリウム28mgおよびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)6mgを加え、150℃で24時間撹拌する。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出する。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去する。得られる粗生成物をシリカゲルカラムフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1:1)で精製することにより、6−シアノ−1−(3−エトキシベンジル)−4−(4−tert−ブトキシカルボニルピぺラジン−1−イル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(42mg、45%)を黄色粉末として得る。
MS(APCI)m/z;464[M+H]
(2)前記(1)で得られる化合物158mgの塩化メチレン0.1mL溶液にトリフルオロ酢酸0.05mLを加え、室温で1時間撹拌する。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出する。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去する。得られる粗生成物をシリカゲルカラムフラッシュクロマトグラフィーで精製することにより、6−シアノ−1−(3−エトキシベンジル)−4−(1−ピぺラジニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(100mg、81%)を黄色粉末として得る。
MS(APCI)m/z;364[M+H]
【0183】
参考例34
参考例7(4)で得られる化合物500mgに2.0Mジメチルアミン−メタノール溶液8.0mLを加え、100℃で終夜撹拌する。反応液を濃縮し、水を加えて酢酸エチルで抽出する。抽出液を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去する。得られる粗生成物を塩酸で処理することにより、6−(ジメチルアミノ)−1−(3−エトキシベンジル)−4−(1−ピぺラジニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン2塩酸塩(458mg、95%)を無色結晶として得る。
MS(APCI)m/z;382[M+H]
【0184】
参考例35〜36
対応原料化合物を前記参考例のいずれかと同様に処理することにより、下記第26表記載の化合物を得る。
【0185】
【表26】

【0186】
参考例37
対応原料化合物を参考例7(4)と同様に処理することにより、1−[(6−ブロモピリジン−2−イル)メチル]−6−クロロ−4−(1−ピぺラジニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン2塩酸塩を得る。該化合物200mgのエタノール2.0mLけん濁液にナトリウムエチラート(20%エタノール溶液)1.5mLを加え、終夜加熱還流する。反応液を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムフラッシュクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=20:1)で精製することにより、1−[(6−エトキシピリジン−2−イル)メチル]−6−エトキシ−4−(1−ピぺラジニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン(118mg、73%)を褐色油状物として得る。
MS(APCI)m/z;384[M+H]
【0187】
参考例38〜43
対応原料化合物を前記参考例のいずれかと同様に処理することにより、下記第27〜29表記載の化合物を得る。
【0188】
【表27】

【0189】
【表28】

【0190】
【表29】

【0191】
実験例1(125I−アパミン結合阻害作用)
(1)検体溶液の調製
検体を緩衝液(3)(5mMトリス−HCl、5.4mM塩化カリウム、0.1%牛血清アルブミン(BSA);pH7.4)に溶解した。尚、難溶性検体はジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解後、緩衝液(3)にて希釈した。
(2)実験手順
以下の本実験は、ヒューゲス(Huges)らの方法(ライフ・サイエンシーズ〔Life Sciences〕第31巻、437−443頁、1982年)並びにカテラール(Catterall)ら(ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー〔Journal of Biological Chemistry〕第254巻、11379−11387頁、1979年)の方法に準拠して実施した。
【0192】
A.膜標本の調製
Hartley系雄性モルモット(4週齢以上)から結腸を摘出し、粘膜を除去した。該結腸を緩衝液(1)(40mMトリス−HCl、8%スクロース;pH7.4)中でホモジナイズ後、遠心分離(16000×g、20分)し、その上清を更に遠心分離(130000×g、60分)した。得られた沈殿を緩衝液(1)中に懸濁し、33%、40%スクロース上に層積後、遠心分離(160000×g、90分)した。8/33%層を分取し、緩衝液(2)(5mMトリス−HCl;pH7.4)中に懸濁後、更に遠心分離(160000×g、60分)した。得られた沈殿の蛋白濃度が500μg/mLとなるように緩衝液(3)(5mMトリス−HCl、5.4mM塩化カリウム、0.1%BSA;pH7.4)に懸濁し、液体窒素中で凍結保存した。
【0193】
B.結合実験
緩衝液(3)中に膜標本(10μg/mL或いは20μg/mL)、125I−アパミン(10pM)及び検体を添加し、4℃、60分間インキュベートした。セルハーベスターでろ過後、濾紙上の125Iをγ−カウンターで測定し、125I−アパミンの特異的結合に対する検体の阻害率(IC50値)を算出した。尚、100nMアパミン存在下における125I−アパミンの結合量を非特異的結合とした。
【0194】
C.結果
各検体のIC50値は下記第30表に示した通りである。
【0195】
【表30】

【0196】
実験例1より、本発明の有効成分である化合物[I]はSKチャネル遮断作用を有することが示された。
【産業上の利用可能性】
【0197】
本発明の有効成分である化合物[I]又はその薬理的に許容し得る塩は、優れたSKチャネル遮断作用を有するものであり、SKチャネルに関連する疾患(便秘症や過敏性腸症候群、術後イレウス、逆流性食道炎などの消化管運動機能不全、学習記憶障害、感情障害、アルツハイマー型痴呆症、うつ病、パーキンソン病などの中枢性疾患、筋緊張性ジストロフィー、および睡眠時無呼吸症)の予防・治療に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式[I]:
【化1】

[式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、低級アルコキシ基、低級アルキル基、ヘテロアリール基、シアノ基、又は低級アルキル基で置換されていてもよいアミノ基、Rは式:
【化2】

で示される基、R11及びR12は同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、シクロ低級アルキル基、低級アルカノイル基、低級アルケノイル基、低級アルコキシ低級アルキル基、シクロ低級アルキルカルボニル基、アミノ低級アルキル基(該基のアミノ基部分は低級アルキル基で置換されていてもよい)、低級アルコキシカルボニル基又は含窒素複素環式基置換低級アルキル基を表すか、或いは両者が互いに末端で結合して隣接する窒素原子と共に含窒素複素環式基(該複素環式基は低級アルキル基で置換されていてもよい)を形成、XはN又はCH、mは0又は1の整数、Aは式:
【化3】

で示される基、X及びXは一方がN又はCHで、他方がNであり、Alkは低級アルキレン基、nは0又は1の整数、D、D及びDはN又はCH、Rは低級アルコキシ基で置換されていてもよいアリール基又は低級アルキル基及び低級アルコキシ基から選ばれる基で置換されていてもよいへテロアリール基、Rは水素原子又は低級アルキル基、Qは低級アルキレン基を表す(但し、D、D及びDがいずれもNであり、且つAが式:
【化4】

で示される基であるときは、R及びRが同時に水素原子となることはない)。]
で示される化合物又はその薬理的に許容し得る塩を有効成分としてなる医薬組成物。
【請求項2】
が式(a)で示される基、R11及びR12は、一方が水素原子又はアミノ低級アルキル基(該基のアミノ基部分は低級アルキル基で置換されていてもよい)であって、他方が低級アルキル基、低級アルカノイル基、シクロ低級アルキルカルボニル基又は低級アルケノイル基である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
が式(b)で示される基、R11及びR12は、一方が水素原子、低級アルキル基、アミノ低級アルキル基(該基のアミノ基部分は低級アルキル基で置換されていてもよい)又は含窒素複素環式基置換低級アルキル基であり、他方が低級アルキル基、シクロ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、低級アルコキシ低級アルキル基、低級アルカノイル基又はシクロ低級アルキルカルボニル基であるか、或いは両者が互いに結合して隣接する窒素原子と共に含窒素複素環式基(該複素環式基は低級アルキル基で置換されていてもよい)を形成する請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
11又はR12における含窒素複素環式基が5〜8員の飽和もしくは不飽和含窒素複素単環式基(該複素環式基は、窒素原子以外の異項原子として酸素原子を含有していてもよい)である請求項3記載の医薬組成物。
【請求項5】
が低級アルコキシフェニル基、低級アルキルピリジル基、低級アルコキシピリジル基又は低級アルキルチアゾリル基である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項6】
Qがメチレン基である請求項5記載の医薬組成物。
【請求項7】
一般式[I−A]:
【化5】

[式中、R01は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、チエニル基、シアノ基又はアミノ基(該アミノ基は低級アルキル基で置換されていてもよい)、R11A及びR12Aは、一方が水素原子又はアミノ低級アルキル基(該基のアミノ基部分は低級アルキル基で置換されていてもよい)であり、他方が低級アルキル基、低級アルカノイル基、低級アルケノイル基又はシクロ低級アルキルカルボニル基、R21は低級アルコキシフェニル基、低級アルキルピリジル基、低級アルコキシピリジル基又は低級アルキルチアゾリル基、R31は水素原子又は低級アルキル基、mは0又は1の整数、Aは式:
【化6】

で示される基、Alkは低級アルキレン基、X及びXは一方がN又はCHであり、他方がNを表す(但し、Aが式:
【化7】

で示される基である場合、R01及びR31が同時に水素原子となることはない)。]
で示される化合物又はその薬理的に許容し得る塩を有効成分としてなる医薬組成物。
【請求項8】
一般式[I−B]:
【化8】

[式中、R02は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、チエニル基、シアノ基又はアミノ基(該アミノ基は低級アルキル基で置換されていてもよい)、R11B及びR12Bは、一方が低級アルキル基であって、他方が低級アルコキシ低級アルキル基であるか、或いは両者が互いに末端で結合して隣接する窒素原子と共に5〜8員の飽和もしくは不飽和含窒素複素単環式基(該複素環式基は、低級アルキル基で置換されていてもよく、窒素原子以外の異項原子として酸素原子を含有していてもよい)を形成し、R22は低級アルコキシフェニル基、低級アルコキシピリジル基又は低級アルキルチアゾリル基、R32は水素原子又は低級アルキル基、mは0又は1の整数、Aは式:
【化9】

で示される基、Alkは低級アルキレン基、X及びXは一方がN又はCHであり、他方がNであり、D、D及びDはN又はCHを表す(但し、D、D及びDがいずれもNであり、且つAが式:
【化10】

で示される基である場合、R02及びR32が同時に水素原子となることはない)。]
で示される化合物又はその薬理的に許容し得る塩を有効成分としてなる医薬組成物。
【請求項9】
一般式[I−C]:
【化11】

[式中、R03は水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、チエニル基、シアノ基又はアミノ基(該アミノ基は低級アルキル基で置換されていてもよい)、R11C及びR12Cは、一方が水素原子、低級アルキル基、アミノ低級アルキル基(該基のアミノ基部分は低級アルキル基で置換されていてもよい)又は含窒素複素環式基置換低級アルキル基であり、他方が低級アルキル基、シクロ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルキル基、低級アルコキシ低級アルキル基、低級アルカノイル基又はシクロ低級アルキルカルボニル基であるか、或いは両者が互いに末端で結合して隣接する窒素原子と共に5〜8員の飽和もしくは不飽和含窒素複素単環式基(該複素環式基は、低級アルキル基で置換されていてもよく、窒素原子以外の異項原子として酸素原子を含有していてもよい)を形成し、R23は低級アルコキシフェニル基、低級アルキルピリジル基、低級アルコキシピリジル基又は低級アルキルチアゾリル基、R33は水素原子又は低級アルキル基、mは0又は1の整数、Aは式:
【化12】

で示される基、Alkは低級アルキレン基、X及びXは一方がN又はCHで、他方がNであり、nは0又は1の整数を表す(但し、Aが式:
【化13】

で示される基である場合、R03及びR33が同時に水素原子となることはない)。]
で示される化合物又はその薬理的に許容し得る塩を有効成分としてなる医薬組成物。
【請求項10】
7−(3−エトキシベンジル)−4−[4−[[トランス−4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]シクロヘキシル]カルボニル]ピペラジン−1−イル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン;
1−(3−エトキシベンジル)−4−[4−[[トランス−4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]シクロヘキシル]カルボニル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−b]ピリジン;
6−クロロ−4−[4−[(トランス−4−ピペリジン−1−イルシクロヘキシル)カルボニル]ピペラジン−1−イル]−1−[(2−プロピル−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
1−(3−エトキシベンジル)−4−[1−[(トランス−4−ピペリジン−1−イルシクロヘキシル)カルボニル]ピペリジン−4−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
6−エトキシ−1−[(6−エトキシピリジン−2−イル)メチル]−4−[4−[(トランス−4−ピペリジン−1−イルシクロヘキシル)カルボニル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
1−(3−エトキシベンジル)−4−[4−[[トランス−4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]シクロヘキシル]カルボニル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン;
6−クロロ−1−[(2−プロピル−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]−4−[4−[[トランス−4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]シクロヘキシル]カルボニル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
6−エトキシ−1−[(6−エトキシピリジン−2−イル)メチル]−4−[4−[[トランス−4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]シクロヘキシル]カルボニル]ピペラジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
1−(3−エトキシベンジル)−4−[4−[[4−[[N−エチル−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]ピペリジン−1−イル]カルボニル]ピペリジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
1−[(6−プロピルピリジン−2−イル)メチル]−4−[4−[[4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]ピペリジン−1−イル]カルボニル]ピペリジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
1−[(6−プロピルピリジン−2−イル)メチル]−4−[4−[[4−[[N−エチル−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]ピペリジン−1−イル]カルボニル]ピペリジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
1−[(6−エトキシピリジン−2−イル)メチル]−4−[4−[[4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]ピペリジン−1−イル]カルボニル]ピペリジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
1−[(6−エトキシピリジン−2−イル)メチル]−4−[4−[[4−[[N,N−(ジイソプロピル)アミノ]メチル]ピペリジン−1−イル]カルボニル]ピペリジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
1−[(6−エトキシピリジン−2−イル)メチル]−4−[4−[[4−[[N−(2−ヒドロキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]ピペリジン−1−イル]カルボニル]ピペリジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
1−[(6−エトキシピリジン−2−イル)メチル]−4−[4−[[4−[[N−(2−ヒドロキシエチル)−N−イソプロピルアミノ]メチル]ピペリジン−1−イル]カルボニル]ピペリジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
1−[(2−プロピル−1,3−チアゾール−4−イル)メチル]−4−[4−[[4−[[N−(2−メトキシエチル)−N−(tert−ブチル)アミノ]メチル]ピペリジン−1−イル]カルボニル]ピペリジン−1−イル]−1H−ピラゾロ[3,4−d]ピリミジン;
又はその薬理的的に許容し得る塩を有効成分としてなる医薬組成物。
【請求項11】
SKチャネル遮断薬である請求項1〜10記載のいずれか一に記載の医薬組成物。
【請求項12】
消化管機能不全、中枢性疾患、緊張性筋ジストロフィー、睡眠時無呼吸症候群または膀胱機能不全の予防・治療剤である請求項1〜10記載のいずれか一に記載の医薬組成物。
【請求項13】
消化管機能不全が、便秘症または過敏性腸症候群であり、中枢性疾患が、学習記憶障害、感情障害またはアルツハイマー型痴呆症であり、膀胱機能不全が排尿障害である請求項12記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2007−217408(P2007−217408A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−8618(P2007−8618)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(000002956)田辺製薬株式会社 (225)
【Fターム(参考)】