説明

医薬組成物

【課題】本発明は、抗炎症作用が増強され、かつ抗インフルエンザウイルス作用を有する医薬組成物を提供する。
【解決手段】本発明において、トラネキサム酸またはその塩、クレマスチンまたはその塩、ブロムヘキシンまたはその塩、およびイブプロフェンに、さらにジヒドロコデインまたはその塩、メチルエフェドリンまたはその塩、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩を併用することにより、優れた抗炎症作用および抗インフルエンザウイルス作用を示すことを見出した。本発明により、上記成分を含有する炎症の予防および/または治療用組成物、インフルエンザウイルス感染症の予防および/または治療用組成物、かぜ薬として有用な医薬組成物を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗炎症作用が増強され、かつ抗インフルエンザウイルス作用を有する医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
トラネキサム酸またはその塩、特にトラネキサム酸は、抗プラスミン作用、抗アレルギー作用、抗炎症作用等が知られている(非特許文献1参照)。さらに、トラネキサム酸の抗インフルエンザウイルス作用も知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、クレマスチンまたはその塩、特にフマル酸クレマスチンは、抗ヒスタミン作用、鎮静作用、抗コリン作用、抗セロトニン作用、抗アドレナリン作用等の他、トラネキサム酸と併用すると、トラネキサム酸の抗炎症作用を増強することが知られている(特許文献2参照)。
【0004】
また、ブロムヘキシンまたはその塩、特に塩酸ブロムヘキシンは、気道粘膜および粘膜下気管腺の分泌活性化作用、酸性糖たん白の線維網の溶解低分子化作用等の他、トラネキサム酸の抗炎症作用を増強することが知られている(特許文献3参照)。本発明者らは既に、トラネキサム酸またはその塩と、クレマスチンもしくはその塩、および/またはブロムヘキシンもしくはその塩を含有する医薬組成物は、優れた抗炎症作用を示すことを見出し、さらにイブプロフェンを加えた医薬組成物は、優れた抗炎症作用を示すことを見出した(特許文献4参照)。
【0005】
一方、ジヒドロコデインまたはその塩、特にリン酸ジヒドロコデインは、鎮痛作用、精神機能抑制作用、催眠作用、呼吸器抑制作用、鎮咳作用および腸管蠕動運動抑制による止瀉作用等が知られている(非特許文献2参照)。しかしながら、このものが抗炎症作用を有することは知られていない。また、他の抗炎症作用を有する薬剤の作用を増強させることも知られていない。
【0006】
また、メチルエフェドリンまたはその塩、特に塩酸メチルエフェドリンは、中枢性の鎮咳作用、気管支拡張作用等が知られている(非特許文献3参照)。しかしながら、このものが抗炎症作用を有することは知られていない。また、他の抗炎症作用を有する薬剤の作用を増強させることも知られていない。
【0007】
また、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩、特に硝酸チアミンは、消耗性疾患、甲状腺機能亢進症、脚気等に効果があることは知られている(非特許文献4参照)。しかしながら、このものが抗炎症作用を有することは知られていない。また、他の抗炎症作用を有する薬剤の作用を増強させることも知られていない。
【0008】
また、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩、特にリボフラビンは、リボフラビン欠乏症、消耗性疾患等に効果があることは知られている(非特許文献5参照)。しかしながら、このものが抗炎症作用を有することは知られていない。また、他の抗炎症作用を有する薬剤の作用を増強させることも知られていない。
【0009】
また、トラネキサム酸またはその塩、クレマスチンまたはその塩、ブロムヘキシンまたはその塩、イブプロフェン、さらにジヒドロコデインまたはその塩、メチルエフェドリンまたはその塩、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩を含有する医薬組成物を記載した特許出願がある(特許文献4の製剤例3−2参照)。しかし、それが抗インフルエンザウイルス作用を有することの記載はなく、示唆もなされていない。
【0010】
【特許文献1】国際公開第04/032915号パンフレット
【特許文献2】特開2004−339211号公報
【特許文献3】特開2004−331660号公報
【特許文献4】特願2005−283709号
【非特許文献1】財団法人日本医薬情報センター編 JAPIC 医療用 医薬品集 2006 株式会社じほう 1491頁
【非特許文献2】第14改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 C−3193〜C−3194頁
【非特許文献3】第14改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 C−731頁
【非特許文献4】第14改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 C−1283頁
【非特許文献5】第14改正日本薬局方解説書 株式会社廣川書店 C−3034頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、これまでに知られている抗炎症用医薬組成物よりも更に効果が優れ、かつ、これまで知られているトラネキサム酸単剤での抗インフルエンザウイルス作用よりも更に効果の優れる医薬組成物を提供するものであり、ひいては、真の総合感冒薬として有用な医薬組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意研究の結果、トラネキサム酸またはその塩、クレマスチンまたはその塩、ブロムヘキシンまたはその塩、およびイブプロフェンに加えて、さらにジヒドロコデインまたはその塩、メチルエフェドリンまたはその塩、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩を併用することにより、優れた抗炎症作用および抗インフルエンザウイルス作用を示すことを見出し、本発明を完成させた。
【0013】
すなわち、本発明は、以下の発明に関する。
(1)トラネキサム酸またはその塩、クレマスチンまたはその塩、ブロムヘキシンまたはその塩、イブプロフェン、ジヒドロコデインまたはその塩、メチルエフェドリンまたはその塩、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩を含有する、抗炎症および/または抗インフルエンザウイルスのための医薬組成物。
(2)トラネキサム酸またはその塩、およびクレマスチンまたはその塩の配合比が、10000:1〜2:1である上記(1)に記載の医薬組成物。
(3)トラネキサム酸またはその塩、およびブロムヘキシンまたはその塩の配合比が、1500:1〜10:1である上記(1)または(2)に記載の医薬組成物。
(4)トラネキサム酸またはその塩、およびイブプロフェンの配合比が、100:1〜1:200である上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(5)トラネキサム酸またはその塩、およびジヒドロコデインまたはその塩の配合比が、3000:1〜1:5である上記(1)〜(4)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(6)トラネキサム酸またはその塩、およびメチルエフェドリンまたはその塩の配合比が、300:1〜1:15である上記(1)〜(5)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(7)トラネキサム酸またはその塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩の配合比が、30000:1〜1:50である上記(1)〜(6)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(8)トラネキサム酸またはその塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩の配合比が、30000:1〜1:10である上記(1)〜(7)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(9)1日当たりの投与量として、トラネキサム酸またはその塩がトラネキサム酸として10〜3000mg、クレマスチンまたはその塩がクレマスチンとして0.4〜5mg、ブロムヘキシンまたはその塩がブロムヘキシンとして2〜24mg、イブプロフェンとして30〜2000mg、ジヒドロコデインまたはその塩がジヒドロコデインとして1〜50mg、メチルエフェドリンまたはその塩がメチルエフェドリンとして10〜150mg、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩がビタミンBまたはその誘導体として0.1〜100mg、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩がビタミンBまたはその誘導体として0.1〜1000mg含有する上記(1)〜(8)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(10)トラネキサム酸またはその塩が、トラネキサム酸である上記(1)〜(9)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(11)クレマスチンまたはその塩が、フマル酸クレマスチンである上記(1)〜(10)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(12)ブロムヘキシンまたはその塩が、塩酸ブロムヘキシンである上記(1)〜(11)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(13)ジヒドロコデインまたはその塩が、リン酸ジヒドロコデインである上記(1)〜(12)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(14)メチルエフェドリンまたはその塩が、塩酸メチルエフェドリンである上記(1)〜(13)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(15)ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩が、硝酸チアミンである上記(1)〜(14)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(16)ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩が、リボフラビンである上記(1)〜(15)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(17)炎症の予防および/または治療用である上記(1)〜(16)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(18)インフルエンザウイルス感染症の予防および/または治療用であるである上記(1)〜(16)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(19)かぜ薬である上記(1)〜(16)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(20)製剤が、経口投与製剤である上記(1)〜(19)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(21)製剤が、固形製剤である上記(1)〜(20)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(22)剤形が、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、液剤、トローチ剤またはゼリー剤である上記(1)〜(20)のいずれか1に記載の医薬組成物。
(23)ジヒドロコデインまたはその塩、メチルエフェドリンまたはその塩、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩を含有する抗炎症作用増強組成物。
【発明の効果】
【0014】
後記実施例から明らかなように、トラネキサム酸またはその塩、クレマスチンまたはその塩、ブロムヘキシンまたはその塩、およびイブプロフェンに加えて、さらにジヒドロコデインまたはその塩、メチルエフェドリンまたはその塩、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩を併用することにより、トラネキサム酸またはその塩、クレマスチンまたはその塩、ブロムヘキシンまたはその塩、およびイブプロフェンを含有する医薬組成物の抗炎症作用をさらに増強することを示した。すなわち、ジヒドロコデインまたはその塩、メチルエフェドリンまたはその塩、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩を含有する医薬組成物は、トラネキサム酸またはその塩、クレマスチンまたはその塩、ブロムヘキシンまたはその塩およびイブプロフェンを含有する医薬組成物の抗炎症作用を増強する、抗炎症作用増強組成物であり、トラネキサム酸またはその塩、クレマスチンまたはその塩、ブロムヘキシンまたはその塩、イブプロフェン、ジヒドロコデインまたはその塩、メチルエフェドリンまたはその塩、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩を含有する医薬組成物は、優れた抗炎症作用を有することを示した。
【0015】
また、トラネキサム酸またはその塩、クレマスチンまたはその塩、ブロムヘキシンまたはその塩、イブプロフェン、ジヒドロコデインまたはその塩、メチルエフェドリンまたはその塩、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩を含有する医薬組成物は、優れた抗インフルエンザウイルス作用も示した。
【0016】
したがって、トラネキサム酸またはその塩、クレマスチンまたはその塩、ブロムヘキシンまたはその塩、イブプロフェン、ジヒドロコデインまたはその塩、メチルエフェドリンまたはその塩、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩を含有する医薬組成物は、炎症の予防および/または治療用医薬組成物、インフルエンザウイルス感染症の予防および/または治療用医薬組成物、かぜ薬等として有用なものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明にかかるトラネキサム酸またはその塩は、公知の化合物であり、その入手方法としては、市販品を用いてもよく、また公知の方法に基づき製造することも可能である。トラネキサム酸の塩としては、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の鉱酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等を挙げることができる。本発明において、トラネキサム酸またはその塩としては、トラネキサム酸が好ましい。
【0018】
本発明にかかるクレマスチンまたはその塩は、公知の化合物であり、その入手方法としては、市販品を用いてもよく、また公知の方法に基づき製造することも可能である。クレマスチンの塩としては、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の鉱酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩等を挙げることができる。本発明において、クレマスチンまたはその塩としては、フマル酸クレマスチンが好ましい。
【0019】
本発明にかかるブロムヘキシンまたはその塩は、公知の化合物であり、その入手方法としては、市販品を用いてもよく、また公知の方法に基づき製造することも可能である。ブロムヘキシンの塩としては、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の鉱酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩等を挙げることができる。本発明において、ブロムヘキシンまたはその塩としては、塩酸ブロムヘキシンが好ましい。
【0020】
本発明にかかるイブプロフェンは、公知の化合物であり、その入手方法としては、市販品を用いてもよく、また公知の方法に基づき製造することも可能である。
【0021】
本発明にかかるジヒドロコデインまたはその塩は、公知の化合物であり、その入手方法としては、市販品を用いてもよく、また公知の方法に基づき製造することも可能である。ジヒドロコデインの塩としては、リン酸塩、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の鉱酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩等を挙げることができる。本発明において、ジヒドロコデインまたはその塩としては、リン酸ジヒドロコデインが好ましい。
本発明にかかるメチルエフェドリンまたはその塩は、公知の化合物であり、その入手方法としては、市販品を用いてもよく、また公知の方法に基づき製造することも可能である。メチルエフェドリンの塩としては、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩等の鉱酸塩、メタンスルホン酸塩等の有機酸塩等を挙げることができる。本発明において、メチルエフェドリンまたはその塩としては、塩酸メチルエフェドリンが好ましい。
【0022】
本発明にかかるビタミンBまたはその誘導体としては、例えばチアミン、ビスチアミン、ビスイブチアミン、ビスベンチアミン、チアミンジスルフィド、オクトチアミン、フルスルチアミン、ベンフォチアミン等を挙げることができる。また、それらの塩としては、硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩等の鉱酸塩を挙げることができる。これらは公知の化合物であり、その入手方法としては、市販品を用いてもよく、また公知の方法に基づき製造することも可能である。本発明において、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩としては、硝酸チアミンが好ましい。
【0023】
本発明にかかるビタミンBまたはその誘導体としては、例えばリボフラビン、フラビンアデニンジヌクレオチド等を挙げることができる。また、それらの塩としては、リン酸等の鉱酸塩、酪酸等の有機酸塩、ナトリウム塩等の金属塩等を挙げることができる。これらは公知の化合物であり、その入手方法としては、市販品を用いてもよく、また公知の方法に基づき製造することも可能である。本発明において、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩としては、リボフラビンが好ましい。
【0024】
本発明の医薬組成物には、トラネキサム酸またはその塩、クレマスチンまたはその塩、ブロムヘキシンまたはその塩、イブプロフェン、ジヒドロコデインまたはその塩、メチルエフェドリンまたはその塩、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩以外に、さらに以下に示す医薬成分を配合してもよい。配合可能な成分としては、アスピリン、アスピリンアルミニウム、サザピリン、エテンザミド、サリチルアミド、アセトアミノフェン、イソプロピルアンチピリン等の解熱鎮痛薬、カフェイン、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェイン等の中枢神経興奮薬、ブロムワレリル尿素、アリルイソプロピルアセチル尿素等の鎮静剤、マレイン酸クロルフェニラミン、ジフェンヒドラミン、サリチル酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸カルビノキサン、メキタジン、酒石酸アリメマジン、塩酸ジフェニルピラリン、塩酸トリプロリジン等の抗ヒスタミン薬、塩化リゾチーム、ブロメライン、セラペプターゼ、セミアルカリプロティナーゼ、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、グリチルレチン酸、アズレンスルホン酸ナトリウム等の抗炎症薬、リン酸コデイン、塩酸ノスカピン、ノスカピン、臭化水素酸デキストロメトルファン、デキストロメトルファンフェノールフタリン塩、リン酸ジメモルファン、ヒベンズ酸チペピジン、クエン酸チペピジン、塩酸エプラジノン、塩酸メトキシフェナミン、塩酸トリメトキノール、塩酸フェニルプロパノールアミン等の鎮咳薬、塩酸L−エチルシステイン、グアヤコールスルホン酸カリウム、クレゾール酸カリウム、グアイフェネシン、カルボシステイン、塩酸アンブロキソール等の去痰薬、テオフィリン、アミノフィリン、ジプロフィリン等の気管支拡張薬、ベラドンナ(総)アルカロイド、ベラドンナエキス、ヨウ化イソプロパミド、臭化水素酸スコポラミン、ロートエキス、臭化ブチルスコポラミン、臭化メチルベナクチジウム、臭化チメピジウム、ピレンゼピン等の抗アセチルコリン剤、セチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、ポピドンヨード、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、チモール、ヨウ素・ヨウ化カリウム、フェノール、塩酸クロルヘキシジン、クレオソート、塩化ベンゼトニウム等の殺菌消毒剤、塩酸ジブカイン、アミノ安息香酸エチル、リドカイン、塩酸リドカイン、オキセサゼイン等の局所麻酔剤、ビタミンA、肝油、ビタミンB、ビタミンB12、ビタミンC、アスコルビン酸カルシウム、ビタミンD、ビタミンE、コハク酸トコフェロールカルシウム等のビタミン剤、パントテン酸、パンテノール、パントテン酸ナトリウム、パントテン酸カルシウム、パンテチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、グルクロン酸、グルクロノラクトン、アミノエチルスルホン酸、ビオチン、γ−オリザノール等の代謝性成分、地竜、ケイヒ、ゴオウ、ショウキョウ、キキョウ、マオウ、カンゾウ、キョウニン、ハンゲ、シャゼンソウ、セネガ、サイコ、ブクリョウ、シンイ等の生薬およびこれら生薬の抽出物(エキス、チンキ等)等を挙げることができるが、上記のもののみに限定されるべきものではない。これらの医薬成分は、単一成分を配合してもよく、2つ以上のものを組み合わせて配合してもよい。
本発明の医薬組成物は、経口または非経口的に投与することができる。非経口的に投与する製剤としては、注射剤、硬膏剤、酒精剤、エキス剤、坐剤、懸濁剤、チンキ剤、軟膏剤、パップ剤、点鼻剤、吸入剤、リニメント剤、ローション剤、エアゾール剤等の剤形を挙げることができる。また、経口的に投与する製剤としては、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、液剤、トローチ剤、ゼリー剤等の剤形を挙げることができる。また、本発明の医薬組成物をうがい薬、のどスプレーや洗口液等に配合してもよい。本発明においては、経口投与製剤が好ましい。中でも、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、トローチ剤、ゼリー剤等の剤形の固形製剤が好ましい。
【0025】
製剤化は、公知の製剤技術により行うことができ、製剤中には適当な製剤添加物を加えることができる。製剤添加物は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜加えればよい。製剤添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、結合剤、甘味剤、嬌味剤、滑沢剤等を挙げることができる。
【0026】
賦形剤としては、例えば、結晶セルロース、粉末セルロース、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、二酸化ケイ素、沈降炭酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、酸化マグネシウム、乳酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、合成ケイ酸アルミニウム、ショ糖脂肪酸エステル、硬化油、乳糖、白糖、D−マンニトール、エリスリトール、トレハロース、ブドウ糖、果糖等を挙げることができる。
【0027】
崩壊剤としては、例えば、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドン、アルギン酸、部分アルファー化デンプン、ベントナイト等を挙げることができる。
【0028】
結合剤としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポビドン、マクロゴール、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ゼラチン、デキストリン、ペクチン、ポリアクリル酸ナトリウム、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー、プルラン等を挙げることができる。
【0029】
甘味剤としては、例えば、アスパルテーム、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、サッカリン等が挙げられる。
【0030】
嬌味剤としては、例えば、メントール、ハッカ水、ハッカ油、アスコルビン酸、クエン酸、ケイヒ油、チョウジ油、乳酸、ハチミツ、ボルネオール、ローズ油等が挙げられる。
【0031】
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、硬化油等を挙げることができる。これら製剤添加物は、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
本発明の医薬組成物における各成分の配合比は適宜決めればよいが、例えば、トラネキサム酸またはその塩、およびクレマスチンまたはその塩の配合比は、10000:1〜2:1が好ましく、1500:1〜200:1がさらに好ましい。
また、トラネキサム酸またはその塩、およびブロムヘキシンまたはその塩の配合比は、1500:1〜10:1が好ましく、100:1〜20:1がさらに好ましい。
また、トラネキサム酸またはその塩、およびイブプロフェンの配合比は、100:1〜1:200が好ましく、5:2〜2:3がさらに好ましい。
また、トラネキサム酸またはその塩、およびメチルエフェドリンまたはその塩の配合比は、300:1〜1:15が好ましく、30:1〜6:1がさらに好ましい。
【0033】
また、トラネキサム酸またはその塩、およびジヒドロコデインまたはその塩の配合比は、3000:1〜1:5が好ましく、75:1〜40:3がさらに好ましい。
【0034】
また、トラネキサム酸またはその塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩の配合比は30000:1〜1:50が好ましく、750:1〜8:1がさらに好ましい。
【0035】
また、トラネキサム酸またはその塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩の配合比は、30000:1〜1:10が好ましく、375:1〜40:3がさらに好ましい。
【0036】
本発明の医薬組成物の患者への投与量は、患者の性別、年齢、症状、投与方法、投与回数、投与時期等により適宜検討を行い、適当な投与量を決めればよい。例えば、経口投与の場合、トラネキサム酸またはその塩については、トラネキサム酸として1日当たり10〜3000mg投与することが好ましく、400〜750mg投与することがさらに好ましく、750mg投与することが特に好ましい。クレマスチンまたはその塩については、クレマスチンとして1日当たり0.4〜5mg投与することが好ましく、0.5〜2mg投与することがさらに好ましく、1mg(例えば、塩がフマル酸塩の場合、フマル酸クレマスチンを1.34mg)投与することが特に好ましい。ブロムヘキシンまたはその塩については、ブロムヘキシンとして1日当たり2〜24mg投与することが好ましく、4〜12mg投与することがさらに好ましく、ブロムヘキシンの塩が塩酸塩の場合、塩酸ブロムヘキシンとして12mg投与することが特に好ましい。イブプロフェンについては、1日当たり30〜2000mg投与することが好ましく、300〜600mg投与することがさらに好ましく、450mg投与することが特に好ましい。ジヒドロコデインまたはその塩については、ジヒドロコデインとして1日あたり1〜50mg投与することが好ましく、10〜30mg投与することがさらに好ましく、ジヒドロコデインの塩がリン酸塩の場合、リン酸ジヒドロコデインとして24mg投与することが特に好ましい。メチルエフェドリンまたはその塩については、メチルエフェドリンとして1日あたり10〜150mg投与することが好ましく、25〜75mg投与することがさらに好ましく、メチルエフェドリンの塩が塩酸塩の場合、塩酸メチルエフェドリンとして60mg投与することが特に好ましい。ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩については、ビタミンBまたはその誘導体として1日あたり0.1〜100mg投与することが好ましく、1〜50mg投与することがさらに好ましく、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩が硝酸チアミンの場合、硝酸チアミンとして25mg投与することが特に好ましい。ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩については、ビタミンBまたはその誘導体として1日あたり0.1〜1000mg投与することが好ましく、2〜30mg投与することがさらに好ましく、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩がリボフラビンの場合、リボフラビンとして12mg投与することが特に好ましい。
【0037】
すなわち、トラネキサム酸またはその塩、クレマスチンまたはその塩、ブロムヘキシンまたはその塩、イブプロフェン、ジヒドロコデインまたはその塩、メチルエフェドリンまたはその塩、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩を含有する本発明の医薬組成物において、その配合量は、1日当たりトラネキサム酸またはその塩をトラネキサム酸として10〜3000mg、クレマスチンまたはその塩をクレマスチンとして0.4〜5mg、ブロムヘキシンまたはその塩をブロムヘキシンとして2〜24mg、イブプロフェンを30〜2000mg、ジヒドロコデインまたはその塩をジヒドロコデインとして1〜50mg、メチルエフェドリンまたはその塩をメチルエフェドリンとして10〜150mg、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩をビタミンBまたはその誘導体として0.1〜100mg、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩をビタミンBまたはその誘導体として0.1〜1000mg投与(服用)することになるように配合したものが好ましく、1日当たりトラネキサム酸またはその塩をトラネキサム酸として400〜750mg、クレマスチンまたはその塩をクレマスチンとして0.5〜2mg、ブロムヘキシンまたはその塩をブロムヘキシンとして4〜12mg、イブプロフェンを300〜600mg、ジヒドロコデインまたはその塩をジヒドロコデインとして10〜30mg、メチルエフェドリンまたはその塩をメチルエフェドリンとして25〜75mg、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩をビタミンBまたはその誘導体として1〜50mg、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩をビタミンBまたはその誘導体として2〜30mg投与(服用)することになるように配合したものがさらに好ましく、1日当たりトラネキサム酸として750mg、クレマスチンとして1mg(例えば、塩がフマル酸塩の場合、フマル酸クレマスチンを1.34mg)、ブロムヘキシンの塩が塩酸塩の場合、塩酸ブロムヘキシンとして12mg、イブプロフェンを450mg、ジヒドロコデインの塩がリン酸塩の場合、リン酸ジヒドロコデインとして24mg、メチルエフェドリンの塩が塩酸塩の場合、塩酸メチルエフェドリンとして60mg、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩が硝酸チアミンの場合、硝酸チアミンとして25mg、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩がリボフラビンの場合、リボフラビンとして12mg投与(服用)することになるように配合したものが特に好ましい。
【0038】
本発明の医薬組成物は、本発明に係る複数の成分を含む単一の製剤として製し、これを投与(服用)してもよいし、また本発明に係る各成分を分けて別の製剤とし、それら製剤を同時または順次投与(服用)可能としたキット製剤としてもよい。
【0039】
本発明の医薬組成物は、炎症の予防および/または治療用、インフルエンザウイルス感染症の予防および/または治療用、ならびに/もしくはかぜ薬として用いられるのが好ましい。かぜ薬の効能・効果としては、かぜの諸症状(鼻水、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛み、せき、たん、悪寒、発熱、頭痛、関節の痛み、筋肉の痛み等)の緩和等を挙げることができる。
【0040】
以下に、実施例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらにのみ限定されるべきものではない。
【実施例】
【0041】
1.抗炎症試験(ブラジキニン−プラスミン浮腫法)
1−1.試験方法
6週齢の雄性Crj:Wistarラット(日本チャールズ・リバー株式会社)6匹を1群に分け検討した。以下に示した検体1、2および3を投与した。なお、検体1投与群については、トラネキサム酸を必要量秤量し、0.5w/v%メチルセルロース溶液にて溶解または懸濁させたものを経口投与した。検体2投与群については、トラネキサム酸、フマル酸クレマスチン、塩酸ブロムヘキシン、およびイブプロフェンを必要量秤量し、上述の0.5w/v%メチルセルロース溶液にて溶解または懸濁させたものを経口投与した。さらに検体3投与群については、トラネキサム酸、フマル酸クレマスチン、塩酸ブロムヘキシン、イブプロフェン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸メチルエフェドリン、硝酸チアミン、およびリボフラビンを必要量秤量し、上述の0.5w/v%メチルセルロース溶液にて溶解または懸濁させたものを経口投与した。
検体1:トラネキサム酸(500mg/kg)
検体2:トラネキサム酸(500mg/kg)+フマル酸クレマスチン(0.89mg/kg)+塩酸ブロムヘキシン(8mg/kg)+イブプロフェン(300mg/kg)
検体3:トラネキサム酸(500mg/kg)+フマル酸クレマスチン(0.89mg/kg)+塩酸ブロムヘキシン(8mg/kg)+イブプロフェン(300mg/kg)+リン酸ジヒドロコデイン(16mg/kg)+塩酸メチルエフェドリン(40mg/kg)+硝酸チアミン(16.7mg/kg)+リボフラビン(8mg/kg)
経口投与後30分に、右側後肢足蹠皮下にブラジキニン1mgおよびプラスミン0.5Uを生理食塩水20mlに溶解した溶液を0.1ml/匹で投与し、起炎した。起炎前、起炎後15、30、45および60分に、右側後肢足蹠の容積をマウス・ラット後肢足蹠浮腫容積測定装置(TK−101 CMP、有限会社ユニコム)で測定した。各測定時間における浮腫率(起炎前の足蹠容積に対する各測定時間の足蹠容積の割合)を次式にて算出し、さらに、浮腫率曲線下面積(AUC)を算出した。浮腫率(%)={(各測定時間の足蹠容積(ml)−起炎前の足蹠容積(ml))/起炎前の足蹠容積(ml)}×100
【0042】
1−2.試験結果
結果を表1に示した。

【表1】

p<0.05、p<0.01 検体1投与群に対して有意差あり
ns 有意差なし
【0043】
結果(表1)から明らかなように、トラネキサム酸を投与した群(検体1)と比較して、トラネキサム酸、フマル酸クレマスチン、塩酸ブロムヘキシン、およびイブプロフェンを併用した群(検体2)は、抗炎症作用を起炎後30分より有意に発現し、より優れた抗炎症作用を示したが、トラネキサム酸、フマル酸クレマスチン、塩酸ブロムヘキシン、およびイブプロフェンに加えて、さらにリン酸ジヒドロコデイン、塩酸メチルエフェドリン、硝酸チアミン、およびリボフラビンを併用した群(検体3、本発明の医薬組成物)は、その抗炎症作用を起炎後15分で有意に発現した。すなわち、検体3の抗炎症作用は、検体2で示された抗炎症作用よりも早期に効果を示し、さらに優れた抗炎症作用を示した。
【0044】
したがって、トラネキサム酸、フマル酸クレマスチン、塩酸ブロムヘキシン、イブプロフェン、リン酸ジヒドロコデイン、塩酸メチルエフェドリン、硝酸チアミン、およびリボフラビンを含有する本発明にかかる医薬組成物は、優れた抗炎症作用を示すものであることがわかった。
【0045】
2.抗インフルエンザウイルス試験
2−1.試験方法
インフルエンザウイルスA/PR/8/34を0.1%ウシ血清アルブミン(BSA)を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈し、ウイルス希釈液を調製した。BALB/cマウスを麻酔し、ウイルス希釈液20μLを経鼻接種させ、ウイルスに感染させた。
マウスは、1群6匹で4群に分け、以下の検体1〜4をそれぞれ投与した。
【0046】
ウイルス接種1時間前、ウイルス接種後は前回投与後6時間以降、ウイルス接種の翌日以降は1日2回、計5日間に以下の検体を、各々経口ゾンデを用いて強制的にマウスの胃内に投与した。
検体1(対照群):水
検体2(低濃度群):トラネキサム酸50mg/kg+イブプロフェン30mg/kg+塩酸ブロムヘキシン0.8mg/kg+フマル酸クレマスチン0.1mg/kg+塩酸メチルエフェドリン4mg/kg+リン酸ジヒドロコデイン1.6mg/kg+硝酸チアミン1.65mg/kg+リボフラビン0.8mg/kg
検体3(高濃度群):トラネキサム酸100mg/kg+イブプロフェン60mg/kg+塩酸ブロムヘキシン16mg/kg+フマル酸クレマスチン0.2mg/kg+塩酸メチルエフェドリン8mg/kg+リン酸ジヒドロコデイン3.2mg/kg+硝酸チアミン3.3mg/kg+リボフラビン1.6mg/kg
検体4(陽性対照群):リン酸オセルタミビル(商品名:タミフル)1mg/kg
ウイルス接種後14日間、マウスの生存率を観察し、対照群、低濃度群、高濃度群および陽性対照群を比較し、本発明の医薬組成物の抗インフルエンザウイルス作用を評価した。
【0047】
2−2.試験結果
水(検体1)を投与した対照群のマウスはウイルス接種後7日目から死亡し始め、その日のうちに83%のマウスが死亡した。接種後8日目には全てのマウスが死亡した。低濃度の本発明の医薬組成物(検体2)を投与した低濃度群のマウスは、接種後7日目から死亡し始めた。接種後7日目は50%のマウスが生存し、接種後8日目には33%のマウスが生存したが、接種後9日目には全てのマウスが死亡した。高濃度の本発明の医薬組成物(検体3)を投与した高濃度群のマウスは、接種7日目から死亡し始めたが、接種後10日目まで33%のマウスが生存した。検体4を投与した陽性対照群は、接種後8日目から死亡し始めた。接種後8日目は50%のマウスが生存したが接種後10日目までには、全てのマウスが死亡した。結果を表2に示す。

【表2】

【0048】
表2の結果から、本発明の医薬組成物(検体2および3)は、インフルエンザウイルスに感染したマウスに対して延命効果があり、優れた抗インフルエンザウイルス作用があることがわかった。
【0049】
3.製剤例
3−1.顆粒剤
以下の組成(1日量として3包)で、常法により顆粒剤を製造した。
トラネキサム酸 750mg
フマル酸クレマスチン 1.34mg(クレマスチンとして1mg)
塩酸ブロムヘキシン 12mg
イブプロフェン 450mg
リン酸ジヒドロコデイン 24mg
塩酸メチルエフェドリン 60mg
硝酸チアミン 25mg
リボフラビン 12mg
エリスリトール 50mg
トレハロース 590.2mg
結晶セルロース 適量
プルラン 184mg
クロスカルメロースナトリウム 40mg
オイドラギット 10mg
アスパルテーム 82mg
【0050】
3−2.錠剤
以下の組成(1日量)で、常法により錠剤を製造した。
トラネキサム酸 750mg
フマル酸クレマスチン 1.34mg(クレマスチンとして1mg)
塩酸ブロムヘキシン 12mg
イブプロフェン 450mg
塩酸メチルエフェドリン 60mg
リン酸ジヒドロコデイン 24mg
硝酸チアミン 25mg
リボフラビン 12mg
乳糖 適量
結晶セルロース 適量
マクロゴール 30mg
クロスカルメロースナトリウム 80mg
ポリビニールアルコール 1mg
軽質無水ケイ酸 24mg
ショ糖脂肪酸エステル 20mg
硬化油 10mg
ステアリン酸マグネシウム 微量
【産業上の利用可能性】
【0051】
前記実施例から明らかなように、トラネキサム酸またはその塩、クレマスチンまたはその塩、ブロムヘキシンまたはその塩、イブプロフェン、ジヒドロコデインまたはその塩、メチルエフェドリンまたはその塩、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩を含有する医薬組成物は優れた抗炎症作用および抗インフルエンザウイルス作用を示した。
【0052】
したがって、トラネキサム酸またはその塩、クレマスチンまたはその塩、ブロムヘキシンまたはその塩、イブプロフェン、ジヒドロコデインまたはその塩、メチルエフェドリンまたはその塩、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩を含有する医薬組成物は、優れた効果を示し、また、炎症の予防および/または治療用組成物、インフルエンザウイルス感染症の予防および/または治療用組成物、かぜ薬等として有用なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラネキサム酸またはその塩、クレマスチンまたはその塩、ブロムヘキシンまたはその塩、イブプロフェン、ジヒドロコデインまたはその塩、メチルエフェドリンまたはその塩、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩を含有する、抗炎症および/または抗インフルエンザウイルスのための医薬組成物。
【請求項2】
トラネキサム酸またはその塩、およびクレマスチンまたはその塩の配合比が、10000:1〜2:1である請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
トラネキサム酸またはその塩、およびブロムヘキシンまたはその塩の配合比が、1500:1〜10:1である請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
トラネキサム酸またはその塩、およびイブプロフェンの配合比が、100:1〜1:200である請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
トラネキサム酸またはその塩、およびジヒドロコデインまたはその塩の配合比が、3000:1〜1:5である請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
トラネキサム酸またはその塩、およびメチルエフェドリンまたはその塩の配合比が、300:1〜1:15である請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
トラネキサム酸またはその塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩の配合比が、30000:1〜1:50である請求項1〜6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
トラネキサム酸またはその塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩の配合比が、30000:1〜1:10である請求項1〜7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
1日当たりの投与量として、トラネキサム酸またはその塩がトラネキサム酸として10〜3000mg、クレマスチンまたはその塩がクレマスチンとして0.4〜5mg、ブロムヘキシンまたはその塩がブロムヘキシンとして2〜24mg、イブプロフェンとして30〜2000mg、ジヒドロコデインまたはその塩がジヒドロコデインとして1〜50mg、メチルエフェドリンまたはその塩がメチルエフェドリンとして10〜150mg、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩がビタミンBまたはその誘導体として0.1〜100mg、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩がビタミンBまたはその誘導体として0.1〜1000mg含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
トラネキサム酸またはその塩が、トラネキサム酸である請求項1〜9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
クレマスチンまたはその塩が、フマル酸クレマスチンである請求項1〜10のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
ブロムヘキシンまたはその塩が、塩酸ブロムヘキシンである請求項1〜11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
ジヒドロコデインまたはその塩が、リン酸ジヒドロコデインである請求項1〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
メチルエフェドリンまたはその塩が、塩酸メチルエフェドリンである請求項1〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩が、硝酸チアミンである請求項1〜14のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項16】
ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩が、リボフラビンである請求項1〜15のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
炎症の予防および/または治療用である請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
インフルエンザウイルス感染症の予防および/または治療用である請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
かぜ薬である請求項1〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
製剤が、経口投与製剤である請求項1〜19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
製剤が、固形製剤である請求項1〜20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
剤形が、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、液剤、トローチ剤またはゼリー剤である請求項1〜20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
ジヒドロコデインまたはその塩、メチルエフェドリンまたはその塩、ビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩、およびビタミンBもしくはその誘導体またはそれらの塩を含有する抗炎症作用増強組成物。

【公開番号】特開2007−291067(P2007−291067A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−61431(P2007−61431)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(306014736)第一三共ヘルスケア株式会社 (176)
【Fターム(参考)】