説明

半導体パッケージおよび半導体パッケージの製造方法ならびに光学モジュール

【課題】低コストかつ簡易なプロセスで、プリント基板とのEMCを良好に保持することが可能な半導体パッケージおよびその製造方法、ならびに光学モジュールを提供する。
【解決手段】カメラモジュール1は、ウェハレベルパッケージ10にレンズユニット20が搭載されてなり、ウェハレベルパッケージ10は、支持基板14の表面側に、ガラス基板11により封止された受光素子15および電極パッド13を有する。支持基板14の裏面側には半田ボール17が形成されており、この半田ボール17と上記電極パッド13が、支持基板14を貫通して設けられた貫通ビア14aおよび再配線層16によって電気的に接続されている。カメラモジュール1の側面全体が、電磁遮光シールド膜30bで塗装されていることにより、実装されるプリント基板との間での電磁干渉の発生が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にWCSP(ウェハレベルチップサイズパッケージ)等の半導体パッケージおよびこれを用いたWLCM(ウェハレベルカメラモジュール)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の集積化技術の向上に伴い、電子機器の小型・軽量化、低電圧動作・低消費電力化、高周波動作化が急速に進んでおり、BGA(ボールグリッドアレイ)、LGA(ランドグリッドアレイ) 、CSP(チップサイズパッケージ)などのエリアアレイ型パッケージの需要が拡大している。最近では、貫通電極を利用したWCSPなどの先端技術も普及し初めている。
【0003】
WCSPは、封止樹脂や外部端子の形成処理工程がダイシング前のウェハの段階で行われる半導体パッケージである。このようなWCSPでは、チップをマザーボード等のプリント基板に実装する際に、チップ上のパッドとプリント基板上のパッドとを半田ボールを介して接合可能となり、ボンディングワイヤやインターポーザとの接続が不要となる。このWCSPは、例えば受光素子やMEMS(Micro Electro Mechanical Systems;マイクロマシン)素子等の電子部品パッケージとして好適に用いられる。
【0004】
ところが、このWCSPのような半導体パッケージでは、プリント基板との間でEMC(Electromagnetic Compatibility:電磁両立(電磁不干渉))を確保する必要があり、これまでにも様々な対策がなされている。例えば、特許文献1のように、貫通電極を利用した半導体パッケージにおいて、その外周に、板金等からなる電磁シールドを配設する手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−158853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のような手法では、例えばチップサイズに応じて板金を加工して囲いを作り、この囲いの中にチップを位置合わせして嵌め込む、あるいは、加工した板金をチップ外周に貼り合わせるといった工程が必要となる。このため、プロセス工程数やコストが増加してしまうという問題がある。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、低コストかつ簡易なプロセスで、プリント基板とのEMCを良好に保持することが可能な半導体パッケージおよびその製造方法、ならびに光学モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の半導体パッケージは、支持基板と、支持基板の第1主面に形成された機能素子および第1の接合部と、機能素子および第1の接合部を挟んで支持基板に対向配置された封止基板と、支持基板の第2主面側に設けられた第2の接合部と、支持基板を貫通して設けられ、第1および第2の接合部を電気的に接続させる貫通電極とを備え、支持基板の各主面と直交する側面全体が第1の電磁シールド膜で塗装されたものである。
【0009】
本発明の半導体パッケージの製造方法は、機能素子および第1の接合部を第1主面に有する支持基板に封止基板を貼り合わせる工程と、支持基板の第1の接合部に対応する領域に貫通電極を形成する工程と、支持基板の第2主面側に、貫通電極に電気的に接続される第2の接合部を形成する工程と第1の基板の各主面と直交する側面全体に、導電材料を塗布することにより第1の電磁シールド膜を形成する工程とを含むものである。
【0010】
本発明の光学モジュールは、支持基板と、支持基板の第1主面に形成された受光素子および第1の接合部と、受光素子および第1の接合部を挟んで支持基板に対向配置された封止基板と、支持基板の第2主面側に設けられた第2の接合部と、支持基板を貫通して設けられ、第1および第2の接合部とを電気的に接続させる貫通電極と、封止基板上に設けられたレンズユニットとを備え、支持基板の各主面と直交する側面全体が第1の電磁シールド膜で塗装されている。
【0011】
本発明の半導体パッケージおよび半導体パッケージの製造方法ならびに光学モジュールでは、支持基板の2つの主面にそれぞれ形成された第1および第2の接合部が貫通電極を介して電気的に接続され、支持基板の第1主面側から第2主面側へ外部接続端子が引き出される。このような半導体パッケージ(光学モジュール)における側面全体に、導電材料を塗布することにより第1の電磁シールド膜を形成する。この第1の電磁シールド膜により、例えば実装されるプリント基板等との間での電磁干渉の発生が抑制される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の半導体パッケージおよび半導体パッケージの製造方法ならびに光学モジュールによれば、支持基板の各主面に形成された第1および第2の接合部を貫通電極を介して電気的に接続し、半導体パッケージ(光学モジュール)の側面全体に導電材料を塗布することにより第1の電磁シールド膜を形成する。このように、第1の電磁シールド膜を塗布形成することにより、板金等を加工して電磁シールドを形成する場合に比べ、工程数が少なくコストを削減できる。よって、低コストかつ簡易なプロセスで、プリント基板とのEMCを良好に保持可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係るWLCMの概略構成を表す断面図である。
【図2】図1に示したWLCMにおけるシリコン基板の表面および裏面の概略構成を表す平面図である。
【図3】図1に示したWLCMの製造方法を工程順に示す断面図である。
【図4】図3に続く工程を示す断面図である。
【図5】図4に続く工程を示す断面図である。
【図6】図5に続く工程を示す断面図である。
【図7】図6(D)に示した工程後のシリコン基板の裏面の構成を表す平面図である。
【図8】図6に続く工程を示す断面図である。
【図9】図8に続く工程を示す断面図である。
【図10】図9に続く工程を示す断面図である。
【図11】図10に続く工程を示す断面図である。
【図12】図11に示した工程により形成されるWCSPの断面図である。
【図13】図11に続く工程を示す断面図である。
【図14】図13に続く工程を説明するための模式図である。
【図15】変形例1に係る配線層形成工程を工程順に示す平面図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。尚、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態(側面および裏面に電磁遮光シールド膜を形成したカメラモジュールの例)
2.変形例(配線層形成工程の他の例)
【0015】
<実施の形態>
[カメラモジュール1の全体構成]
図1は本発明の一実施の形態に係るカメラモジュール1(光学モジュール)の断面構成を表すものである。カメラモジュール1は、例えばイメージセンサ装置等の光学機器に使用され、ウェハレベルパッケージ10(半導体パッケージ)上にレンズユニット20が搭載されたものである。このカメラモジュール1は、下面側(ウェハレベルパッケージ10の側)をマザーボード等のプリント基板へ実装し、上面側(レンズユニット20の側)から光を入射させて受光を行うようになっている。
【0016】
ウェハレベルパッケージ10は、支持基板14とガラス基板11(封止基板)との間に、例えば受光素子15を封止してなるWCSP(ウェハレベルチップサイズパッケージ)である。支持基板14とガラス基板11とは、それらの周縁部において接着層12を介して貼り合わせられ、これらの支持基板14、ガラス基板11および接着層12によって囲まれる領域が、受光素子15を気密封止するためのキャビティ12aとなっている。
【0017】
支持基板14は、受光素子15等を支持する基板であり、例えばシリコン基板140a上にSiO2層140bが形成されてなる。この支持基板14では、その表面(第1主面)および裏面(第2主面)が、以下のような構造を有している。
【0018】
(支持基板14の表面側の構造)
支持基板14の表面(第1主面)には、上記キャビティ12aに対向して受光素子15が設けられ、接着層12に対向して電極パッド13(第1の接合部)が複数配設されている。図2(A)は支持基板14の表面の平面構成の一例を表したものであるが、例えばこのように、方形状の支持基板14の表面の中央付近に受光素子15が設けられ、その周囲に(支持基板14の周縁に沿って)、複数の電極パッド13が配設されている。尚、受光素子15と電極パッド13との間の領域には、図示しない周辺回路が形成されている。
【0019】
電極パッド13は、受光素子15やその周辺回路へ配線(図示せず)によって接続されており、受光素子15やその周辺回路に電気信号を入力したり、あるいはそれらから出力された電気信号を取り出すための外部接続用のパッドである。この電極パッド13は、例えばアルミニウム(Al)等より構成されている。
【0020】
受光素子15は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子であり、受光面には、図示しないカラーフィルタが設けられている。この受光素子15では、電極パッド13を通じて入力された電気信号に応じて、露光および受光信号の読み出しが行われ、読み出された受光信号が電極パッド13を通じて外部へ出力されるようになっている。
【0021】
(支持基板14の裏面側(プリント基板接合側)の構造)
このような支持基板14の裏面(第2主面)側には、複数の半田ボール17(第2の接合部)が配設されている。また、この半田ボール17に対応して開口を有する封止樹脂層18および電磁遮光シールド膜30a(第2の電磁シールド膜)が形成されている。図2(B)は支持基板14の裏面の平面構成の一例を表したものであるが、例えばこのように、方形状の裏面には、所定のピッチPで複数の半田ボール17が規則的に配列して設けられている。この半田ボール17の配列は、実装されるプリント基板(図示せず)側の接合パッドの位置に応じて適宜設定されている。これにより、電極パッド13の配列が半田ボール17のそれに変換され、マザーボード等のプリント基板へ直接実装することが可能となる。尚、ここでは、半田ボール17が裏面中央付近には形成されていない配列となっているが、勿論中央付近にも半田ボール17が配設されていてもよいし、裏面周縁領域にのみ配設されていてもよい。
【0022】
半田ボール17は、プリント基板へ実装するための外部接続端子として機能するものであり、例えばSn−Ag−Cu等の無鉛高融点はんだ等よりなる。この半田ボール17は、支持基板14の裏面側において、電磁遮光シールド30aよりも突出して形成されており、後述の再配線層16を介して電極パッド13と電気的に接続されている。
【0023】
封止樹脂層18は、例えばエポキシ系、ポリイミド系、シリコン系、アクリル系の樹脂等よりなり、再配線層16を保護するためのものである。この封止樹脂層18における開口の径は、電磁遮光シールド30aよりも大きくなっている。
【0024】
電磁遮光シールド膜30aは、例えば導電性(例えば抵抗値が104Ω以下)および遮光性を有する材料、例えばカーボンブラックにより構成されている。この電磁遮光シールド30aにおける開口の径は、再配線層16における後述の半田用ランド16cの径よりも小さく設定されており、厚みは半田ボール17の高さを超えない程度に適宜設定されている。尚、ここでは、電磁遮光シールド膜30aが導電性だけでなく遮光性を有しているが、少なくとも導電性を有していれば電磁シールドとしての機能を発揮させることができる。
【0025】
この支持基板14には、電極パッド13に対応する位置に貫通ビア14a(第1の貫通孔)が設けられている。貫通ビア14aは、支持基板14の表面から裏面までを貫通しており、これによって電極パッド13の一部が裏面側に露出している。この貫通ビア14aの内部には、再配線層16(配線層)が、その露出した電極パッド13の表面を覆って形成されており、かつ貫通ビア14aの内部から支持基板14表面における半田ボール17の形成領域まで延設されている(引き出されている)。この貫通ビア14aおよび再配線層16が、本発明における貫通電極の一具体例に相当する。尚、支持基板14の裏面と再配線層16との間には、後述の絶縁膜141やシード層142(図1には図示せず)が形成されている。
【0026】
再配線層16は、例えば銅(Cu),アルミニウム,タングステン(W),チタン(Ti),金(Au),ニッケル(Ni),銀(Ag),モリブデン(Mo),TiW等の金属材料からなる。この再配線層16は、詳細は後述するが、貫通ビア14aの内部を覆うパッド接続部16aと、半田ボール17の形成領域となる半田用ランド16cと、これらのパッド接続部16aおよび半田用ランド16cを繋ぐ引き出し配線部16bよりなる。
【0027】
このような構造を有するウェハレベルパッケージ10のガラス基板11上には、更に接着層21を介してレンズユニット20が貼り合わせられている。このレンズユニット20の上面には所定のパターンで遮光膜20aが形成されている。
【0028】
レンズユニット20は、一般的な固定焦点レンズまたは可変焦点レンズからなり、入射光線を受光素子15へ集光させる機能を有するものである。遮光膜20aは、所望の方向からの光線のみをレンズユニット20および受光素子15へ選択的に入射させるものであり、例えばクロム等により構成されている。
【0029】
上記のようなカメラモジュール1の側面(支持基板14の表面および裏面に直交する側面)全体には、電磁遮光シールド膜30b(第1の電磁シールド膜)が塗装されている。電磁遮光シールド膜30bは、上記電磁遮光シールド膜30aと同様、例えば導電性および遮光性を有する材料、例えばカーボンブラックにより構成され、厚みは例えば5μm〜30μmである。この電磁遮光シールド膜30bは、後述するように上記材料を側面に直接塗布することにより形成されたものである。電磁遮光シールド膜30a,30b同士は、支持基板14の裏面側において、繋がって(電気的に接続されて)いることが望ましい。
【0030】
[カメラモジュール1の製造方法]
上記のようなカメラモジュール1は、例えば次のようにして製造することができる。図3〜図14は、カメラモジュール1の製造工程を説明するための図である。
【0031】
(1.ウェハ貼り合わせ工程)
まず、表面に受光素子15および電極パッド13と図示しない周辺回路がチップ毎に形成された支持基板14(ウェハ)と、ガラス基板11とを用意する。続いて、図3(A),(B)に示したように、これらの支持基板14とガラス基板11とを接着層12を介して貼り合わせる。この際、接着層12を、支持基板14表面の受光素子15の形成領域を除く領域(ダイシングラインDLに沿った領域)に形成することにより、受光素子15をキャビティ12a内に封止する。
【0032】
続いて、図3(C)に示したように、支持基板14の裏面(シリコン基板140a)を削り、シリコン基板140aを薄くする。尚、図3(B),(C)では、簡便化のため、ウェハの一部の断面構成のみを示している。
【0033】
次いで、上記のようにしてガラス基板11で封止した支持基板14において、貫通ビア形成、絶縁膜・シード層形成、再配線層形成、封止樹脂層形成および半田ボール形成のための各工程をこの順に、ウェハレベル(ダイシングにより切り出す前の段階)で行う。尚、これらの工程を説明するための断面図(図4〜10)では、図3(C)における領域Sに該当する部分のみを抜粋して示している。また、支持基板14の裏面側を図面上向き、表面側を図面下向きにして図示してある。
【0034】
(2.貫通ビア形成工程)
まず、図4(A)に示したように、支持基板14の裏面にフォトレジスト膜110を形成した後、このフォトレジスト膜110の電極パッド13に対向する位置に開口をパターニング形成する。続いて、図4(B)に示したように、例えばRIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)により、支持基板14のうちシリコン基板140aの電極パッド13に対向する領域のみを選択的に除去する。この後、図4(C)に示したように、フォトレジスト膜110を支持基板14の裏面から剥離する。これにより、支持基板14の裏面側に、SiO2層140bが露出する。
【0035】
続いて、図4(D)に示したように、この露出したSiO2層140bを、電極パッド13の表面まで、例えばRIEによりエッチングする。これにより、電極パッド13に対向する位置に、支持基板14をその裏面から表面まで貫通する貫通ビア14aが形成される(電極パッド13が支持基板14の裏面側に露出する)。
【0036】
(3.絶縁膜,シード層形成工程)
次いで、図5(A)に示したように、貫通ビア14aを形成した支持基板14の裏面の全面にわたって、例えばSiO2等よりなる絶縁膜141を、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition:化学気相成長)法により形成する。この後、図5(B)に示したように、例えばフォトリソグラフィ法により、絶縁膜141の貫通ビア14aの底部を選択的に除去し、電極パッド13の表面を露出させる。
【0037】
続いて、図5(C)に示したように、絶縁膜141上および露出した電極パッド13上を覆うように、例えば銅等よりなるシード層142を例えばスパッタ法により形成する。
【0038】
(4.再配線層形成工程)
次いで、電極パッド13上から、貫通ビア14aを通じて支持基板14の裏面側の所定の領域(半田ボール17の形成領域)まで、連続的に(引き延ばして)再配線層16を形成する。具体的には、まず、図6(A)に示したように、形成したシード層142上にフォトレジスト膜111を成膜して、パターニングを行い、再配線層16の形成領域(パッド接続部16a,引き出し配線部16b,半田用ランド16c:図6には図示せず)に対応して開口を形成する。この後、図6(B)に示したように、シード層142上のフォトレジスト膜111の開口部分に、例えば電気めっき等により上述した材料よりなる再配線層16を形成する。
【0039】
続いて、図6(C)に示したように、フォトレジスト膜111を剥離した後、図6(D)に示したように、支持基板14の裏面側に露出したシード層142を例えばウェット洗浄により除去する。このようにして支持基板14の裏面側に再配線層16を形成する。
【0040】
ここで、図7(A)に、再配線層16を形成した支持基板14の裏面側の構成を模式的に示す。尚、簡便化のため、隣接する4つのチップに対応する領域についてのみを示している。また、図7(B)には、再配線層16を拡大したものを示す。このように、再配線層形成工程では、詳細には、貫通ビア14a(電極パッド13)に対向する位置にパッド接続部16a、半田ボール17に対向する位置に半田用ランド16cを形成すると共に、これらのパッド接続部16aおよび半田用ランド16cを繋ぐ引き出し配線部16bを形成する。半田用ランド16cは、プリント基板側の接合パッドの配列等に応じて設定される位置に形成する。引き出し配線部16bにより、電極パッド13と異なる配列で半田ボール17を形成可能となる。これにより、支持基板14の表面側の電極パッドから裏面側の半田ボール17へ外部接続用の端子が変換され、半田ボール17を用いたプリント基板への直接的な実装が可能となる。
【0041】
また、このような再配線層16は、電極パッド13および半田ボール17の個数に応じて複数形成されるが、これら複数の再配線層16の一部を、隣接するチップ間で繋げて形成する。例えば、各チップの角部において、再配線層16が繋がっている部分(シールド接続部16d)を形成する。これにより、後述のダイシング工程において各チップを切り出した際に、このシールド接続部16dをチップ側面に露出させることができ、後の工程において側面に形成される電磁遮光シールド膜30bとの電気的な接続をとることができる。
【0042】
(5.封止樹脂層形成工程)
次いで、図8(A),(B)に示したように、支持基板14の裏面の全域にわたって封止樹脂層18を塗布形成した後、例えばフォトリソグラフィにより、再配線層16の半田用ランド16cに対向した領域に開口18aを形成する。開口18aにおける径D2は、例えば後述の電磁遮光シールド膜30aにおける開口a1よりも小さく設定する。
【0043】
(6.電磁遮光シールド膜30a(下面)の形成工程)
続いて、図9(A),(B)に示したように、封止樹脂層18上の全面にわたって、上述した材料よりなる電磁遮光シールド膜30aを成膜した後、フォトリソグラフィ法により、半田用ランド16cおよび封止樹脂層18の開口18aに対応する領域に開口31aを形成する。この際、半田ボール17が接触しないように、開口31aの径D3は、封止樹脂層18における開口18aの径D2よりも数十μm程度大きく設定するとよい。但し、開口31aの径D3は、再配線層16における半田用ランド16cの径D1よりも小さく設定することが望ましい。開口31a1の径D3が半田用ランド16cの径D1よりも大きいと、半田ボール17の周辺領域においてプリント基板側へ光漏れが生じてしまうためである。
【0044】
(7.半田ボール形成工程)
次いで、再配線層16の半田用ランド16cのうち封止樹脂層18の開口18aおよび電磁遮光シールド膜30aの開口30a1により露出した領域に、半田ボール17を形成する。
【0045】
(8.ダイシング工程)
そして、ウェハレベルにて半田ボールを支持基板14に形成した後、図11に示したように、ダイシングにより、ダイシングラインDLに沿って各チップを切り出す。これにより、切り出された各チップの側面に、上記再配線層形成工程において隣接するチップ間で繋げて形成したシールド接続部16dが各チップ側面に露出する。具体的には、各チップの角部分Aにおいて、シールド接続部16dが露出する。このようにして、ウェハレベルパッケージ10を形成する(図12)。
【0046】
(9.レンズユニット接合工程)
この後、図13に示したように、チップ(ウェハレベルパッケージ10)毎に、ガラス基板11上にレンズユニット20を接着層21を介して貼り合わせる。以下、便宜上、このウェハレベルパッケージ10上にレンズユニット20を貼り合わせたものを接合体という。
【0047】
(10.電磁遮光シールド膜30b(側面)の形成工程)
最後に、上記のような接合体の側面全体に、上述した材料(例えばカーボンブラック)よりなる電磁遮光シールド膜30bを、例えば塗布装置を用いた吹きつけ(塗布)により形成する。この際、例えば図14(A)に示したように、互いに直交する4方向に沿って吹きつけ用のノズル130が設けられた塗布装置内に接合体を配置する。この後、図14(B)に示したように、ノズル130から、接合体の側面(4面)全体に向けて、カーボンブラック130aを吹き付ける。尚、図14(A),(B)では、左図が接合体の上面、右図が接合体の側面からそれぞれみたものを表している。これにより、接合体の側面全体がカーボンブラック130aよりなる電磁遮光シールド膜30bで塗装され、ここでは、側面に露出したシールド接続部16dが電磁遮光シールド膜30bに覆われ、これらが互いに電気的に接続される。以上により、図1に示したカメラモジュール1が完成する。
【0048】
(プリント基板への実装)
上記のようにして作製されたカメラモジュール1を実装する際には、ウェハレベルパッケージ10側を下にして、半田ボール17とプリント基板上の接合パッドとを位置合わせして接合させる。そして、電磁遮光シールド膜30a,30bを、例えばプリント基板のグランド端子と接続させることにより、電磁遮光シールド膜30a,30bをグランド電位に保持することができる。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態では、支持基板14の表面側に形成された電極パッド13と裏面側に形成された半田ボール17が貫通ビア14aおよび再配線層16を介して電気的に接続され、支持基板14の表面側から裏面側へ外部接続端子が引き出される(外部接続端子が電極パッド13から半田ボール17へ変換される)。このようなカメラモジュール1(ウェハレベルパッケージ10)における側面全体に、電磁遮光シールド膜30bを塗布形成する。この電磁遮光シールド膜30bにより、例えば実装されるプリント基板やセット内の他部品等との間での電磁干渉の発生が抑制される。即ち、板金等を加工して電磁シールドを形成する場合に比べ、工程数を少なくすると共にコストを削減できる。よって、低コストかつ簡易なプロセスで、プリント基板とのEMCを良好に保持可能となる。
【0050】
また、電磁遮光シールド膜30bが導電性だけでなく遮光性を有することにより、モジュール側面からの光線の混入を防止することができる。通常、カメラモジュール1の側面は、支持基板14、ガラス基板11、レンズユニット20および接着層21等、透明材料で構成されることが多いため、側面部分に形成される電磁遮光シールド膜30bが遮光性を有することが望ましい。また、塗布形成が可能であり、導電性および遮光性を有する材料としては、カーボンブラックが好適である。
【0051】
更に、支持基板14の裏面側に、電磁遮光シールド膜30aが設けられていることにより、プリント基板との間の電磁干渉がより効果的に抑制される。具体的には、支持基板14の裏面側では、再配線層16として、パッド接続部16aと半田用ランド16cとを繋ぐ引き出し配線部16bが形成されるが、この引き出し配線部16bと、プリント基板上の配線との間で電気的なクロストークが発生し、特に高速信号伝送の差動伝送が正しく送られないことがある。また、ウェハレベルパッケージ10では、チップサイズ内の限られた領域内に半田ボールを配置しなければならず、再配線層16における引き出し配線部16bの配線ルートが制約される。このため、クロストーク抑制のためには、プリント基板側において配線位置を調整する必要があるが、小型化維持のための多層化(特に多ピン化)が進んだ場合にコストアップを招く虞がある。そこで、本実施の形態のように、支持基板14の裏面側にも電磁遮光シールド30aが設けられていることにより、上記のようなクロストークの発生を抑制することが可能となる。
【0052】
また、このような電磁遮光シールド膜30aが、導電性に加え遮光性を有していることにより、支持基板14を透過してプリント基板側へ光線が漏れることを防止することができる。
【0053】
<変形例>
図15(A)〜(D)は、再配線層16と電磁遮光シールド膜30bとの導通をとるための他の手法について工程順に表したものである。上記実施の形態では、再配線層16と電磁遮光シールド膜30bとの導通をとるために、再配線層形成工程において、シールド接続部16dとして、再配線層16のうちの一部を隣接するチップ間で繋げて形成し、ダイシングによって側面に露出させるようにした。本変形例では、再配線層16と電磁遮光シールド膜30bとの導通をとるために、貫通ビア形成工程において、各チップにおける支持基板14の角部分にも貫通ビアを形成し、再配線層形成工程において、その貫通ビアの内部にまで一部の再配線層を連続して形成する。
【0054】
具体的には、まず、図15(A)に示したように、支持基板14の裏面に貫通ビア14b(第2の貫通孔)を、上記貫通ビア形成工程において貫通ビア14aと同時に形成する。但し、貫通ビア14bは、角部において隣接する4つのチップの中央(ダイシングラインの交差点)に配置されるようにする。続いて、再配線層形成工程において、例えば各チップの角部分に図15(B)に示したように、貫通ビア14bの内部にまで一部の再配線層16を連続して形成する(シールド接続部16d1)。この後、上記実施の形態と同様にして、封止樹脂層の形成および電磁遮光シールド膜30aの形成を行った後、図15(C)に示したように、ダイシングラインDLに沿ってダイシングを行う。これにより、図15(D)に示したように、各チップの四隅においてシールド接続部16d1が露出する。この後、カメラモジュール側面に電磁遮光シールド膜30bを塗布形成することにより、シールド接続部16d1が電磁遮光シールド膜30bに電気的に接続される。
【0055】
本変形例のように、貫通ビア14bを利用して再配線層16と電磁遮光シールド膜30bとの導通をとるようにしてもよい。
【0056】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明について説明したが、本発明は上記実施の形態等に限定されるものではなく、本発明の半導体パッケージ1および光学モジュールの構成やその製造方法に関する手順などは、上記実施の形態等と同様の効果を得ることが可能な限りにおいて自由に変形可能である。
【0057】
例えば、上記実施の形態等では、本発明の第1および第2の電磁シールド膜として、導電性および遮光性を有する電磁遮光シールド膜30a,30bを例に挙げたが、少なくとも導電性を有していれば、本発明の効果を得ることができる。また、電磁遮光シールド膜30a,30bのうち、少なくともカメラモジュール1の側面側に電磁遮光シールド膜30aを有していればよく、カメラモジュール1の下面側(支持基板14の裏面側)の電磁遮光シールド膜30aは必ずしも形成されていなくともよい。
【0058】
また、上記実施の形態等では、カメラモジュール1の製造方法として、ウェハ状態の封止体から切り出した各チップ(ウェハレベルパッケージ10)に、レンズユニットを貼り合わせた後、その側面全体に電磁遮光シールド膜30bを形成したが、レンズユニットを設けない場合には、例えば次のように電磁遮光シールド膜を形成すればよい。即ち、各チップの切り出しを行った後、その側面全体に電磁遮光シールド膜を形成すればよい。
【0059】
また、上記実施の形態等では、本発明の機能素子として受光素子を例に挙げて説明したが、機能素子としては、この受光素子に限定されず、MEMS素子等であってもよい。MEMS素子の半導体パッケージをプリント基板へ実装する場合にも、本発明の電磁シールド膜を用いることで、プリント基板との間の電磁干渉の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0060】
1…カメラモジュール、10…ウェハレベルパッケージ、11…ガラス基板、12,21…接着層、13…電極パッド、14…支持基板、14a,14b…貫通ビア、15…受光素子、16…再配線層、16a…パッド接続部、16b…引き出し配線部、16c…半田用ランド、16d…シールド接続部、17…半田ボール、18…封止樹脂層、20…レンズユニット、20a…遮光膜、30a,30b…電磁遮光シールド膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と、
前記支持基板の第1主面に形成された機能素子および第1の接合部と、
前記機能素子および前記第1の接合部を挟んで前記支持基板に対向配置された封止基板と、
前記支持基板の第2主面側に設けられた第2の接合部と、
前記支持基板を貫通して設けられ、前記第1および第2の接合部を電気的に接続させる貫通電極とを備え、
前記支持基板の各主面と直交する側面全体が第1の電磁シールド膜で塗装されている
半導体パッケージ。
【請求項2】
前記第1の電磁シールド膜は遮光性を有する
請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項3】
前記第1の電磁シールド膜はカーボンブラックよりなる
請求項2に記載の半導体パッケージ。
【請求項4】
前記貫通電極は、
前記支持基板の前記第1の接合部に対向して設けられた貫通孔と、
前記貫通孔において前記第1の接合部に接続されると共に、前記貫通孔の内部から前記第2主面上の前記第2の接合部の形成領域まで延設された配線層とを有する
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の半導体パッケージ。
【請求項5】
前記配線層の一部が前記側面に露出し、前記第1の電磁シールド膜と接続されている
請求項4に記載の半導体パッケージ。
【請求項6】
前記支持基板の第2主面側に、前記第2の接合部に対応して開口を有する第2の電磁シールド膜が設けられている
請求項4に記載の半導体パッケージ。
【請求項7】
前記第2の電磁シールド膜は遮光性を有する
請求項6に記載の半導体パッケージ。
【請求項8】
前記機能素子は受光素子である
請求項1に記載の半導体パッケージ。
【請求項9】
機能素子および第1の接合部を第1主面に有する支持基板に封止基板を貼り合わせる工程と、
前記支持基板の前記第1の接合部に対応する領域に貫通電極を形成する工程と、
前記支持基板の第2主面側に、前記貫通電極に電気的に接続される第2の接合部を形成する工程と、
前記第1の基板の各主面と直交する側面全体に、導電材料を塗布することにより第1の電磁シールド膜を形成する工程と
を含む半導体パッケージの製造方法。
【請求項10】
前記第1の電磁シールド膜を形成する工程において、前記導電材料として遮光性を有する材料を用いる
請求項9に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項11】
前記導電材料としてカーボンブラックを用いる
請求項10に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項12】
前記貫通電極を形成する工程では、
前記支持基板の前記第1の接合部に対向して第1の貫通孔を形成した後、
配線層を、前記第1の貫通孔において前記第1の接合部に接触させると共に、前記貫通孔の内部から前記第2主面上の前記第2の接合部の形成領域まで連続的に形成する
請求項9ないし請求項11のいずれか1項に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項13】
前記支持基板の第2主面側に、前記第2の接合部に対応して開口を有する第2の電磁シールド膜を形成する
請求項12に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項14】
前記第2の電磁シールド膜として遮光性を有する材料を用いる
請求項13に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項15】
前記支持基板は、各々が前記機能素子を含む複数のチップからなるウェハであり、
前記貫通電極を形成する工程および前記第2の接合部を形成する工程をウェハレベルで行い、
前記第2の接合部を形成した後、ダイシング工程を経て前記第1のシールド膜を形成する
請求項9に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項16】
前記貫通電極を形成する工程において、前記配線層の一部を隣接するチップ間において繋げて形成することにより、ダイシング後のチップの側面に前記配線層の一部を露出させる
請求項15に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項17】
前記貫通電極を形成する工程において、
前記支持基板のダイシングラインに対応する領域に第2の貫通孔を形成した後、
前記配線層の一部を、前記第1の貫通孔から前記第2の貫通孔の内部まで連続的に形成する
請求項16に記載の半導体パッケージの製造方法。
【請求項18】
支持基板と、
前記支持基板の第1主面に形成された受光素子および第1の接合部と、
前記受光素子および前記第1の接合部を挟んで前記支持基板に対向配置された封止基板と、
前記支持基板の第2主面側に設けられた第2の接合部と、
前記支持基板を貫通して設けられ、前記第1および第2の接合部とを電気的に接続させる貫通電極と、
前記封止基板上に設けられたレンズユニットとを備え、
前記支持基板の各主面と直交する側面全体が第1の電磁シールド膜で塗装されている
光学モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−59832(P2012−59832A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200067(P2010−200067)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】