説明

半導体パッケージ

【課題】従来よりも放熱部材の放熱効果を向上させる
【解決手段】半導体パッケージ10は、半導体素子12が配置される、絶縁体からなるベース部材14と、ベース部材14に形成されるとともに半導体素子12の正電極及び負電極にそれぞれ接続される導体配線16A、16Bと、ベース部材14に形成され、半導体素子12の絶縁面に接するとともに正電極側の導体配線16Aと負電極側の導体配線16Bの一方に接続される、ベース部材14より高熱伝導性の部材からなる放熱部材18と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
LED等の半導体素子を収容する半導体パッケージが従来から知られている。この半導体パッケージは半導体素子が配置されるベース部材を備えており、このベース部材は半導体素子から発生する熱に耐えられるようにセラミック等の耐熱性材料から構成されている。さらに半導体パッケージには半導体素子の正電極及び負電極と接続し、ベース部材外に引き出される導体配線も設けられている。
【0003】
また、ベース部材内には半導体素子から発生した熱を外部に逃すための放熱部材が形成されている。例えば特許文献1−3においては図7に示すように、半導体素子110が配置されるベース部材112の配置面114から当該配置面114に対向する底面116まで貫通する放熱ビア118がベース部材112の内部に形成されている。放熱ビア118はベース部材112よりも熱伝導率の高い銀等の材料から構成されており、半導体素子110から発生した熱は放熱ビア118を通じて半導体パッケージ100の外に放出される。
【0004】
また、特許文献4においては図8に示すように、ベース部材112よりも熱伝導率の高い材料から構成された放熱プレート120がベース部材112に埋設されている。熱伝導率の高い材料をベース部材112に埋設することで、半導体パッケージ100外への放熱が促進される。また、特許文献5においては、導体配線122に接続された外部接続用の導電パッドをベース部材112の底面116に面状に形成し、この導電パッドに放熱効果を持たせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−525679号公報
【特許文献2】特開2010−34487号公報
【特許文献3】特開2010−87181号公報
【特許文献4】特開2009−224751号公報
【特許文献5】特開2007−242908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1−4における放熱ビア及び放熱プレートなどの放熱部材は導体配線間の短絡を防止するため、導体配線とは非接触の状態に維持されている。具体的には導体配線と放熱部材とは絶縁体であるベース部材によって電気的に離間されている。このように従来の半導体パッケージにおいては放熱部材の配置は導体配線による制約を受け、その結果放熱部材の放熱効果が制限される。例えば図7に示した例ではベース部材の側面に形成された導体配線との接触を避けるために放熱部材はベース部材の底面側に延伸せざるを得ない。その結果、熱の主な伝達方向はベース部材の厚さ方向(垂直方向)に限られてしまう。また、図8に示した例では放熱プレートが絶縁体で囲まれているから放熱プレート内に熱がこもってしまう。そこで本発明は、従来よりも放熱部材の放熱効果を向上させることの可能な半導体パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は半導体素子を収容する半導体パッケージに関する。当該半導体パッケージは、半導体素子が配置される、絶縁体からなるベース部材と、ベース部材に形成されるとともに半導体素子の正電極及び負電極にそれぞれ接続される導体配線と、を備えている。さらに、ベース部材に形成され、半導体素子の絶縁面に接するとともに正電極側の導体配線と負電極側の導体配線の一方に接続される、ベース部材より高熱伝導性の部材からなる放熱部材を備えている。
【0008】
また、上記発明において、放熱部材は、半導体素子の絶縁面が配置されるベース部材の配置面から配置面に対向する底面まで貫通する放熱ビアと、放熱ビアが貫通する方向とは垂直に延伸するとともに正電極側の導体配線と負電極側の導体配線の一方及び放熱ビアに接続する放熱プレートとを備えることが好適である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来よりも放熱部材の放熱効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係る半導体パッケージを例示する図である。
【図2】本実施形態に係る半導体パッケージの断面図である。
【図3】本実施形態に係る半導体パッケージの製造工程を説明する図である。
【図4】他の実施形態に係る半導体パッケージを例示する図である。
【図5】他の実施形態に係る半導体パッケージを例示する図である。
【図6】他の実施形態に係る半導体パッケージを例示する図である。
【図7】従来の半導体パッケージを例示する図である。
【図8】従来の半導体パッケージを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態に係る半導体パッケージを図1に示す。半導体パッケージ10は、半導体素子12が配置されるベース部材14と、ベース部材14に形成された導体配線16A、16B及び放熱部材18(図2参照)を含んで構成されている。なお、図1においてはベース部材14の厚さ方向をZ軸とし、平面方向について互いに直交する方向にX軸及びY軸を取る。
【0012】
半導体パッケージ10は耐熱性の基板から構成され、例えばLTCC(低温同時焼成積層セラミックス、Low Temperature Co-fired Ceramics)基板や、HTCC(高温同時焼成積層セラミックス、High Temperature Co-fired Ceramics)基板や、AlN基板から構成される。
【0013】
また、半導体素子12は、例えばLED等の発光素子から構成される。半導体素子12は略平板形状をしており、絶縁体の基板上に素子が形成されている。したがって半導体素子12は素子が形成された素子形成面と、素子形成面に対向する裏面(基板の裏面)を備えている。半導体素子12に電力を供給して発光させる際に熱が発生する。例えば半導体素子12に供給された電気的エネルギーの20%〜30%が光に変換され、80%〜70%が熱となる。
【0014】
半導体素子12はベース部材14に配置される。ベース部材14は図1のZ−Y断面において凹形状をしており、窪み部分に半導体素子12が配置される。また、半導体素子12が配置される配置面20に対向して底面22(図2参照)が形成され、底面22から上面24を繋ぐようにして側面26が形成されている。ベース部材14は絶縁体であって、例えばLTCC基板の基材であるガラスとセラミックの混合材料や、HTCC基板の基材であるアルミナセラミックや、AlN基板の基材である窒化アルミニウム等から構成される。
【0015】
また、ベース部材14の窪み部分は封止部材27によって封止されている。封止部材27に封止されることによって半導体素子12が保護される。封止部材27は透光性を有する材料から構成され、例えばポリオレフィン系樹脂やアクリル樹脂等から構成される。
【0016】
また、ベース部材14の配置面20には導体配線16A、16Bと後述する放熱パッド30が形成されている。導体配線16A、16Bは第一の放熱パッド30と所定間隔離間して形成されている。導体配線16A、16Bはボンディングワイヤ32を介してそれぞれ半導体素子12の正電極と負電極とに接続される。以下、正電極側の導体配線を16Aで表わし、負電極側の導体配線を16Bで表わす。
【0017】
図2に半導体パッケージ10のZ−Y断面を示す。導体配線16A、16Bはベース部材14の配置面20からベース部材14の内部を貫通してベース部材14の側面26に到る。さらに導体配線16A、16Bは側面26から底面22まで延伸する。底面22まで延伸した導体配線16A、16Bの端部とプリント基板等の外部基板の接続端子とがはんだ等で接続される。半導体パッケージ10がLTCC基板から構成されるときは、導体配線16A、16Bは銀、銅、金等の熱伝導性の高い導体材料から構成される。また、半導体パッケージ10がHTCC基板やAlN基板から構成されるときは、導体配線16A、16Bはタングステン、モリブデン等の高融点の導体材料から構成される。
【0018】
また、ベース部材14の配置面20には半導体素子12の裏面を受ける第一の放熱パッド30が形成されている。第一の放熱パッド30は平板形状であって、例えば基板の裏面全面を支持し得るように、半導体素子12の基板よりも面積が大きくなるように形成されている。
【0019】
さらにベース部材14の内部には、第一の放熱パッド30に接続して放熱ビア34が形成されている。放熱ビア34は配置面20からZ方向(ベース部材14の厚さ方向)に延伸して端部がベース部材14の底面22に露出する。なお、図2においては放熱ビア34が複数本設けられているが、少なくとも1本設けられていれば良い。また、放熱ビア34の端部に接続して第二の放熱パッド36が形成されている。第二の放熱パッド36はベース部材14の底面22に沿った平面形状に形成されている。また、底面22に延びた導体配線16A、16Bの少なくとも一方と第二の放熱パッド36とが非接触状態となるように、導体配線16Aと導体配線16Bの少なくとも一方と第二の放熱パッド36とは互いに離間されている。
【0020】
また、ベース部材14の内部には放熱プレート38が形成されている。放熱プレート38は半導体パッケージ10の平面方向(X−Y平面方向)に広がる平板形状をしており、放熱ビア34の延伸方向とは略垂直に広がっている。また、放熱プレート38は放熱ビア34と接続するとともに、正極側の導体配線16A又は導体配線16Bの一方とも接続している。図2においては負極側の導体配線16Bに放熱プレート38が接続されている。導体配線16Aと導体配線16Bの一方に接続されることにより、放熱プレート38の熱が導体配線16Aまたは導体配線16Bに伝達される。
【0021】
第一の放熱パッド30、第二の放熱パッド36、放熱ビア34、放熱プレート38などの放熱部材18は、ベース部材14よりも熱伝導性の高い部材から形成される。なお、半導体パッケージ10の製造にあたり製造工程を簡略化する観点から、放熱部材を導体配線16A、16Bと同材料にすることが好適である。なお、第一の放熱パッド30、第二の放熱パッド36を省略し、放熱ビア34、放熱プレート38から放熱部材18を構成するようにしてもよい。
【0022】
次に、本実施形態に係る半導体パッケージ10の製造方法について説明する。図3に示すように、半導体パッケージはベース部材14の材料からなるグリーンシート40A〜40Dと呼ばれるシート状部材を複数層積層させることで形成される。なお、図3においては4層からなるグリーンシートを例示したが、この形態に限られず、半導体パッケージ10の構造等によって層数が定められる。
【0023】
各グリーンシート40A〜40Dは半導体パッケージ10の設計上のサイズ(例えば15.24センチメートル(6インチ)角)に基づいて切り取られるとともに、各階層の形状に応じて整形されている。例えば上層の2層のグリーンシート40A、40Bは半導体パッケージ10の窪み部分に対応するように中央が円形状にくり抜かれている。また、図示を省略するが、放熱ビア34が形成される箇所はグリーンシートに孔が開けられ、印刷蒸着やスパッタ等によってこの孔に放熱部材が埋められる。さらにグリーンシート40C、40Dには導体配線16A、16B、第一の放熱パッド30、第二の放熱パッド36、放熱プレート38のパターンが印刷蒸着、スパッタ等によって形成される。これらのグリーンシート40A〜40Dは積層されて加熱圧着され、さらに焼成されることで半導体パッケージ10が形成される。
【0024】
さらに焼成工程の後、図1に示すように半導体素子12をベース部材14の配置面20に配置して半導体素子12の正電極及び負電極と導体配線16A、16Bとをボンディングワイヤ32で接続する。さらに半導体素子12やボンディングワイヤ32が配置された半導体パッケージ10の窪み部分を封止部材27で埋めて加熱し、封止部材27を硬化させる。これにより半導体素子12が半導体パッケージ10に封止固定される。
【0025】
次に、本実施形態に係る半導体パッケージ10の放熱効果について説明する。図2に示されているように、導体配線16A、16Bを通じて半導体素子12に電力が供給され、これに伴って半導体素子12が発熱する。この熱は半導体素子12の基板裏面から第一の放熱パッド30に伝達される。さらに第一の放熱パッド30から放熱ビア34に熱が伝達し、放熱ビア34から放熱プレート38及び第二の放熱パッド36に熱が伝達される。さらに放熱プレート38から導体配線16Bに熱が伝達され、導体配線16Bから外気に熱が放出される。また第二の放熱パッド36からも外気に熱が放出される。このように、本実施形態に係る半導体パッケージにおいては、ベース部材14の厚さ方向(Z軸方向)に加えて平面方向(X軸及びY軸方向)にも熱が拡散する。ここで、放熱プレート38が導体配線16Aまたは16Bの一方に接続されていることから、両者を絶縁体で離間した場合と比較して熱の伝達が速やかに行われる。なお、放熱プレート38は導体配線16Aまたは16Bの一方に接続されているものの、他の放熱部材18(第一の放熱パッド30、第二の放熱パッド36、放熱ビア34)は導体配線16Aにも導体配線16Bにも接続されていないから、導体配線16Aと導体配線16Bとが短絡するおそれはない。
【0026】
また、図2に示す形態においては放熱プレート38以外の放熱部材は導体配線16A、16Bと非接触となるように形成されていたが、この形態に限らない。要するに正電極側の導体配線16Aと負電極側の導体配線16Bとの短絡を防止できればよいから、放熱プレート38が接続された側の導体配線に他の放熱部材を接続させてもよい。図4には負電極側の導体配線16Bに放熱プレート38の他に第二の放熱パッド36を接続した半導体パッケージ10が示されている。放熱プレート38に加えて第二の放熱パッド36を導体配線16Bに接続することで、放熱効果がさらに向上する。
【0027】
また、図5に示すように、放熱プレート38と導体配線16Bとを接続する第二の放熱ビア42をベース部材14内に形成してもよい。また、図6に示すように、放熱プレート38をベース部材14内に複数枚形成していずれも導体配線16Aと16Bの一方に接続するようにしてもよい。これらの形態によっても放熱効果の更なる向上が図られる。
【符号の説明】
【0028】
10 半導体パッケージ、12 半導体素子、14 ベース部材、16A,16B 導体配線、18 放熱部材、20 ベース部材配置面、22 ベース部材底面、24 ベース部材上面、26 ベース部材側面、27 封止部材、30 第一の放熱パッド、32 ボンディングワイヤ、34 放熱ビア、36 第二の放熱パッド、38 放熱プレート、40A-40D グリーンシート、42 第二の放熱ビア、100 半導体パッケージ、110 半導体素子、112 ベース部材、114 配置面、116 底面、118 放熱ビア、120 放熱プレート、122 導体配線。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子を収容する半導体パッケージであって、
前記半導体素子が配置される、絶縁体からなるベース部材と、
前記ベース部材に形成されるとともに前記半導体素子の正電極及び負電極にそれぞれ接続される導体配線と、
前記ベース部材に形成され、前記半導体素子の絶縁面に接するとともに前記正電極側の導体配線と前記負電極側の導体配線の一方に接続される、前記ベース部材より高熱伝導性の部材からなる放熱部材と、
を備えることを特徴とする、半導体パッケージ。
【請求項2】
請求項1記載の半導体パッケージであって、
前記放熱部材は、前記半導体素子の絶縁面が配置される前記ベース部材の配置面から前記配置面に対向する底面まで貫通する放熱ビアと、前記放熱ビアが貫通する方向とは垂直に延伸するとともに前記正電極側の導体配線と前記負電極側の導体配線の一方及び前記放熱ビアに接続する放熱プレートとを備えることを特徴とする、半導体パッケージ。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−160528(P2012−160528A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−18144(P2011−18144)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000226242)日機装株式会社 (383)
【Fターム(参考)】