説明

半導体発光素子

【課題】安定的にシングルモード発振を得ることができる半導体発光素子を提供する。
【解決手段】半導体発光素子1では、光が通過する光通過面に、光軸を囲むように光屈曲部10と光強度低減部11とが設けられている。これにより、光軸の周辺に発生する高次モード光L2を光屈曲部10において外側に屈曲させることができるので、光軸に沿った高次モード光L2の出射を抑制することができる。また、光屈曲部10の反射によって結晶内を外側に進む光は、光強度低減部11において干渉されることで強度が低減される。そのため、高次モード光L2が戻り光となって活性層6へ再入射することを防止することができる。従って、高次モード光L2を抑制することができると共に、レーザ光のノイズ発生を低減することができるので、安定的にシングルモード発振を得ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば垂直共振器型面発光レーザ等の半導体発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体レーザ素子や発光ダイオード等の半導体発光素子は、光通信システムをはじめとする様々な分野において広く利用されている。このような半導体発光素子の一例として、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が知られている。VCSELは、活性層を挟むように半導体ミラー層が設けられることにより、半導体基板に対して垂直方向に共振器が構成された発光素子である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2005/071808号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような面発光レーザには、高出力のシングルモードレーザ光の出射が求められている。そのため、面発光レーザにおいては、高次モード光の出射を抑制する必要がある。そこで、上記特許文献1記載の面発光レーザでは、光出射面に光軸を囲むように光散乱体(フレネルレンズ)を設けることで、光軸に対して外側に高次モード光を散乱させている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載の面発光レーザにあっては、光散乱体で反射された高次モード光が戻り光となって活性層に再入射し、ノイズが発生するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、安定的にシングルモード発振を得ることができる半導体発光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る半導体発光素子は、所定の方向に光を共振させ、所定の方向に延びる光軸に沿って光を出射させる半導体発光素子であって、電流の供給によって光を発する活性層と、活性層で発せられた光を共振させるために、所定の方向において活性層の一方の側に形成された第1のミラー層と、活性層で発せられた光を共振させるために、所定の方向において活性層の他方の側に形成された第2のミラー層とを備え、光軸に沿って出射させられる光が通過する所定の光通過面には、光軸を囲むように配置され、光軸に沿って通過する光を光軸に対して外側に屈曲させる光屈曲部と、光軸に対して光屈曲部の外側に配置され、光屈曲部で屈曲させられた光の強度を干渉によって低減させる光強度低減部とが設けられていることを特徴とする。
【0008】
この半導体発光素子では、光が通過する光通過面に、光軸を囲むように光屈曲部と光強度低減部とが設けられている。これにより、光軸の周辺に発生する高次モード光を光屈曲部において外側に屈曲させることができるので、光軸に沿った高次モード光の出射を抑制することができる。また、光屈曲部での反射によって外側に進む光は、光強度低減部において干渉されることで強度が低減される。そのため、高次モード光が戻り光となって活性層へ再入射することを防止することができる。従って、高次モード光を抑制することができると共に、レーザ光のノイズ発生を低減することができるので、安定的にシングルモード発振を得ることが可能となる。
【0009】
更に、光屈曲部は、光軸に沿って通過する光を光軸に対して外側に反射及び屈折させる反射・屈折面を有する溝であり、光強度低減部は、光軸に直交する方向における幅がmλ/(2n)となる溝である(n:溝内の光の屈折率、λ:光の波長、m:自然数)ことが好ましい。このように、光屈曲部及び光強度低減部を溝とすることで、簡易な構成で確実に高次モード光の出射を抑制することができると共に、レーザ光のノイズ発生を低減することができる。
【0010】
また、光屈曲部及び光強度低減部は、光軸を中心として円環状に形成されていることが好ましい。この構成によれば、光軸の全周を囲うように光屈曲部及び光強度低減部が設けられるので、より確実に高次モード光の出射を抑制することができると共に、レーザ光のノイズ発生を低減することができる。
【0011】
また、光軸に対して光強度低減部の外側には、光強度低減部における光の反射率を増強させる光反射率増強部が設けられていることが好ましい。この構成によれば、光強度低減部における光の反射率を増強させることができるので、より効果的に光屈曲部側から入射する光の強度を干渉によって低減することができる。
【0012】
また、光屈曲部及び光強度低減部は、光軸と直交する方向において互い違いに複数並設されていることが好ましい。この構成によれば、高次モード光を光軸と直交する方向において広範囲に亘って屈曲及び干渉させることができるので、より効果的に高次モード光の出射を抑制すると共に、レーザ光のノイズ発生を低減することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、安定的にシングルモード発振を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体発光素子の平面図である。
【図2】図1の半導体発光素子のII−II線に沿っての断面図である。
【図3】図2の半導体発光素子の要部拡大断面図である。
【図4】従来の半導体発光素子の断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る半導体発光素子の平面図である。
【図6】図5の半導体発光素子のVI−VI線に沿っての断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る半導体発光素子の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る半導体発光素子の実施形態について、図を参照しながら説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る半導体発光素子の平面図である。また、図2は、図1の半導体発光素子のII−II線に沿っての断面図である。図1及び図2に示すように、半導体発光素子1は、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)であり、ベース部2と、メサ部3とから構成されている。図1に示すように、メサ部3は、水平断面が円形の円柱状に形成されている。
【0017】
図2に示すように、半導体発光素子1は、半導体基板4と、下部DBR(Distributed Bragg Reflector)層5と、活性層6と、上部DBR層7とを有している。このうち、ベース部2は、半導体基板4と、下部DBR層5とを含んで構成されている。また、メサ部3は、下部DBR層5の上側一部と、活性層6と、上部DBR層7とを含んで構成されている。なお、ベース部2とメサ部3との区分については、図2に示した構成に限られるものではなく、例えば下部DBR層5全体がベース部2に含まれる構成であってもよい。
【0018】
半導体基板4は、例えばn型を有するGaAs基板である。この半導体基板4上に形成された下部DBR層5は、n型を有して形成された第1のミラー層である。具体的には、下部DBR層5は、組成が異なる化合物半導体層を交互に積層して構成された半導体多層ミラー層であり、例えばAl組成比が異なるAlGaAs層が交互に積層された半導体多層構造を用いることができる。
【0019】
活性層6は、下部DBR層5上に形成され、電流が供給されることによって所定の発光スペクトルで発光する発光層である。この活性層6としては、例えばAlGaInP/GaInPの半導体積層構造で構成された多重量子井戸(MQW:Multiple Quantum Well)活性層が用いられる。
【0020】
上部DBR層7は、活性層6上に形成され、p型を有する第2のミラー層である。上部DBR層7には、下部DBR層5と同様に、例えばAl組成比が異なるAlGaAs層が交互に積層された半導体多層構造を用いることができる。そして、活性層6を挟んで設けられた上部DBR層7と下部DBR層5とによって、半導体発光素子1における垂直共振器が構成されている。この構成により、半導体発光素子1は、活性層6から放出され、垂直共振器で半導体基板4に対して垂直方向に共振された光が、上部DBR層7側の素子上面から外部へと垂直方向に延びる光軸に沿って出射される上面発光型の構成となっている。
【0021】
上部DBR層7の下部で且つ活性層6上には、上部DBR層7を囲うように電流狭窄部8がリング状に形成されている。この電流狭窄部8は、活性層6に対する電流を狭窄する部分であり、AlGaAs等のAlを含む化合物半導体から形成される。なお、電流狭窄部8は、活性層6と上部DBR層7との間に、電流狭窄層として形成されてもよい。この場合、例えば電流狭窄層は、AlGaAsが酸化されることによって高抵抗化されたリング状の酸化領域と、この酸化領域の内周側に形成される電流狭窄領域とから構成される。
【0022】
なお、図示しないが、活性層6と下部DBR層5との間には、n型のクラッド層やノンドープ層が設けられている。また、活性層6と上部DBR層7との間には、p型のクラッド層が設けられている。これらの各層は、個々の発光素子の構造において、必要に応じて設けられる。
【0023】
また、上部DBR層7上には、p型のGaAsのコンタクト層9が形成されている。コンタクト層9は、光軸に沿って出射させられる光が通過する部分である。このコンタクト層9には、光屈曲部10と、光強度低減部11とが設けられている。
【0024】
光屈曲部10は、高次モード光を光軸に対して外側に屈曲させる部分である。この光屈曲部10は、コンタクト層9において光軸を囲うようにリング状に配置されており(図1参照)、断面三角形状に形成された溝である。具体的には、光屈曲部10は、図3に示すように、光軸方向に平行な面10aと、光軸に対して外側に略45°傾斜したテーパ面10bとを有している。このテーパ面10bは、光を光軸に対して外側に反射及び屈折させる面である。
【0025】
光強度低減部11は、光屈曲部10から入射した光の強度を干渉によって低減させる部分である。この光強度低減部11は、図1に示すように、コンタクト層9において光屈曲部10の外側に光屈曲部10と同心円上となるようにリング状に配置されている。光強度低減部11は、図3に示すように、断面凹状に形成された溝であり、光軸に直交する方向における開口部11aの幅寸法がDとなっている。この開口部11aの幅寸法Dは、mλ/(2n)となっている。nは、光強度低減部11の溝内における光の屈折率であり、例えば1となっている。また、λ(単位nm)は、光の波長であり、mは自然数(m=1、2、…)である。光強度低減部11では、光屈曲部10側から入射した入射波Wiが反射面11bによって反射されて反射波Wfとなる。
【0026】
コンタクト層9、光屈曲部10及び光強度低減部11上には、パッシベーション膜12が設けられている。パッシベーション膜12は、コンタクト層9、光屈曲部10及び光強度低減部11の表面を保護する膜であり、例えばシリコン窒化物等といった絶縁材料から成る。
【0027】
また、メサ部3の側面及びベース部2の上面にかけて、絶縁膜13が形成されている。さらに、絶縁膜13の上面及び側面に、絶縁層としてポリイミド層14がリング状に形成されている。
【0028】
コンタクト層9の外周部には、コンタクト層9と電気的に接続されたp側電極(コンタクト電極)であるアノード電極15がリング状に設けられている。図1に示すように、アノード電極15には、更にアノードパッド部(ポンディング電極部)16が接続されている。このアノードパッド部16は、例えばメサエッチによって取り除かれたメサ部3の周りを半導体や樹脂で埋め戻し、その上に電極部を形成する構成を用いることができる。
【0029】
また、ベース部2の半導体基板4の下部には、この半導体基板4と電気的に接続されたn側電極であるカソード電極17が全面に設けられている。これらの素子下面側のカソード電極17と、上面側のアノード電極15との間に電圧が印加されて電流が流れると、活性層6は、その電流が供給されることによって発光する。また、この発光に含まれる光成分のうち、下部DBR層5及び上部DBR層7による垂直共振器での共振波長に対応する光成分は、垂直共振器によって発振し、レーザ光としてコンタクト層9を介して半導体発光素子1の上面から外部へと出射される。
【0030】
次に、半導体発光素子1における光屈曲部10及び光強度低減部11の作用・効果について、図2及び図3を参照しながら説明する。
【0031】
図2に示すように、活性層6から発光されて垂直共振器によって共振されたレーザ光は、コンタクト層9の中央部分から基本モード光L1として外部へと出射される。このとき、図3に示すように、半導体発光素子1では、基本モード光L1と同時に、この基本モード光L1の周辺部に高次モード光L2が発生する。この高次モード光L2は、上部DBR層7から出射されると、光屈曲部10に入射し、光屈曲部10において光軸に対して外側に屈曲されて出射される。従って、高次モード光L2は、基本モード光L1を囲うように複数出射される。
【0032】
ここで、図3に示すように、高次モード光L2における高次モード定在波Wの一部は、光屈曲部10において光強度低減部11側に屈曲してコンタクト層9内を光強度低減部11側に進み、光強度低減部11に入射波Wiとして入射する。そこで、光強度低減部11では、入射波Wiを反射面11bによって反射し、その位相が入射波Wiに対してπだけずれた反射波Wfとする。この反射された反射波wfが開口部11a内を伝播して、開口部11aの反射面11bと反対側の入射面11cにおいて、開口部11aと反対側で入射波Wiの入射面11cで反射した波と反射波Wfの入射面11cを透過した波が干渉して打ち消し合い、活性層6方向に戻る光が低減される。
【0033】
図4は、従来の半導体発光素子の断面図である。同図に示すように、従来の半導体発光素子30には、光軸を囲うように屈曲部31,32が連続して2つ配置されている。このような構成を有する半導体発光素子30では、垂直発振器から発振された高次モード光L2が屈曲部31で屈曲された際、横方向に進行した光が隣接する屈曲部32の界面で反射される。この場合、その光が活性層6方向に向かうことで、ノイズが発生し、安定的に横シングルモード発振を得ることが困難であった。
【0034】
これに対し、本実施形態に係る半導体発光素子1では、光軸に対して外側に光を屈曲させる光屈曲部10の外側に、光強度低減部11が設けられている。この光強度低減部11では、光屈曲部10によって外側に屈曲されて光強度低減部11に入射した入射波Wiが反射面11bで反射されることでπだけ位相がずれて光強度低減部11内を伝播して反射面11bと反対側の入射面11cを透過した後その入射波Wiの入射面11cで反射した波と相殺的に干渉する反射波Wfとなる。従って、光屈曲部10側からコンタクト層9を介して光強度低減部11側に進む光と、この方向に進み光強度低減部11によって反射された光とが干渉によって打ち消し合う。このように、高次モード光L2を外側に屈曲させることで高次モード光L2の出射を抑制すると共に、活性層6に再入射する戻り光を低減することでレーザ光のノイズ発生を低減することができるので、SMSR(Side Mode Suppression Ratio)の高い高品質な横シングルモード発振を得ることができる。従って、安定的にシングルモード発振を得ることが可能となる。
【0035】
また、光屈曲部10は、光軸に沿って通過する光を光軸に対して外側に反射及び屈折させるテーパ面10bを有する溝であり、光強度低減部11は、光軸に直交する方向における幅寸法Dがmλ/(2n)となる断面凹状の溝である。このように、光屈曲部10及び光強度低減部11を溝とすることで、簡易な構成で確実に高次モード光L2を抑制することができ、且つレーザ光のノイズ発生を低減することができる。
【0036】
[第2実施形態]
続いて、本発明の第2実施形態に係る半導体発光素子について詳細に説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係る半導体発光素子の平面図であり、図6は、図5の半導体発光素子のVI−VI線に沿っての断面図である。図5及び図6に示すように、第2実施形態に係る半導体素子1Aは、屈曲部20,21及び光強度低減部22,23が複数並設されている点で、第1実施形態と異なっている。
【0037】
半導体発光素子1Aでは、屈曲部20,21と光強度低減部22,23とが光軸に直交する方向に交互に配置されている。具体的には、コンタクト層9には、中心部分から屈曲部20、光強度低減部22、屈曲部21、光強度低減部23がこの順で互い違いに配置されている。なお、屈曲部20,21及び光強度低減部22,23は、第1実施形態で説明した光屈曲部10及び光強度低減部11と同様の構成を有している。
【0038】
第2実施形態に係る半導体発光素子1Aにおいても、第1実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。すなわち、半導体発光素子1Aでは、屈曲部20,21側からコンタクト層9を介して光強度低減部22,23側に進む光と、この方向に進み光強度低減部22,23によって反射された光とが干渉によって打ち消し合う。このように、光軸に直交する方向に光屈曲部20,21と光強度低減部22,23とを互い違いに複数並設することで、高次モード光L2を外側に屈曲させることで高次モード光L2を抑制する共に、活性層6に再入射する戻り光を低減することでレーザ光のノイズ発生を低減することができるので、SMSR(Side Mode Suppression Ratio)の高い高品質な横シングルモード発振を得ることができる。従って、安定的にシングルモード発振を得ることが可能となる。
【0039】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態に加えて、図7に示すように、半導体発光素子1Bにおいて、光強度低減部11の外側に更にコンタクトメタル24が設けられる構成であってもよい。コンタクトメタル24は、例えばTi/Pt/Auから成るメタルミラーである。このコンタクトメタル24は、光の反射率を増強させる部分であり、光強度低減部11の反射面11bに隣接して設けられる。これにより、光強度低減部11の反射面11bにおける入射波Wiの反射率が増強される。従って、より効果的に光屈曲部10側から入射する光の入射波Wiを打ち消す反射波Wfとすることができる。
【0040】
また、上述の実施形態では、光屈曲部10,20,21の外側にそれぞれ光強度低減部11,22,23が配置される構成となっているが、2つの屈曲部が光軸に直交する方向に連続して配置され、その外側に光強度低減部が配置される構成であってもよい。
【0041】
また、上述の実施形態では、光屈曲部10,20,21及び光強度低減部11,22,23が最外部(最上部)に設けられているが、光屈曲部10及び光強度低減部11は必ずしも最外部となるように設けられる必要はなく、これらの上に更に半導体層が形成されてもよい。
【0042】
また、上述の実施形態では、光屈曲部10,20,21及び光強度低減部11,22,23がリング状となっているが、光軸を囲うように配置される構成であればよく、例えば光軸を囲うように所定の間隔をあけて複数配置される構成であってもよい。
【0043】
また、半導体発光素子1,1A,1Bの半導体基板11及び各半導体層5〜7を構成する半導体材料、及びその組み合わせは、上記した構成に限定されず、様々な構成を用いてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1,1A,1B,30…半導体発光素子、5…下部DBR層(第1のミラー層)、6…活性層、7…上部DBR層(第2のミラー層)、10,20,21…光屈曲部、11,22,23…光強度低減部、24…コンタクトメタル(光反射率増強部)、D…幅寸法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に光を共振させ、前記所定の方向に延びる光軸に沿って該光を出射させる半導体発光素子であって、
電流の供給によって光を発する活性層と、
前記活性層で発せられた光を共振させるために、前記所定の方向において前記活性層の一方の側に形成された第1のミラー層と、
前記活性層で発せられた光を共振させるために、前記所定の方向において前記活性層の他方の側に形成された第2のミラー層とを備え、
前記光軸に沿って出射させられる光が通過する所定の光通過面には、
前記光軸を囲むように配置され、前記光軸に沿って通過する光を前記光軸に対して外側に屈曲させる光屈曲部と、
前記光軸に対して前記光屈曲部の外側に配置され、前記光屈曲部で屈曲させられた光の強度を干渉によって低減させる光強度低減部とが設けられていることを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
前記光屈曲部は、前記光軸に沿って通過する光を前記光軸に対して外側に反射及び屈折させる反射・屈折面を有する溝であり、
前記光強度低減部は、前記光軸に直交する方向における幅がmλ/(2n)となる溝である(n:溝内の光の屈折率、λ:光の波長、m:自然数)ことを特徴とする請求項1記載の半導体発光素子。
【請求項3】
前記光屈曲部及び前記光強度低減部は、前記光軸を中心として円環状に形成されていることを特徴とする請求項2記載の半導体発光素子。
【請求項4】
前記光軸に対して前記光強度低減部の外側には、前記光強度低減部における光の反射率を増強させる光反射率増強部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の半導体発光素子。
【請求項5】
前記光屈曲部及び前記光強度低減部は、前記光軸と直交する方向において互い違いに複数並設されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の半導体発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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