説明

半導体発光装置、バックライトおよびカラー画像表示装置

【課題】画像全体の明るさを損なうことなく、画像全体として広色再現性を達成する半導体発光装置を提供する。
【解決手段】 カラー画像表示装置のバックライトが備える光源1は、青色または深青色領域もしくは紫外領域の光を発する固体発光素子と、蛍光体をと組み合わせた半導体発光装置を有する。蛍光体は、緑色蛍光体および赤色蛍光体を含む。緑色蛍光体および赤色蛍光体は、励起光の波長が400nmまたは455nmの場合における、緑色蛍光体および赤色蛍光体の温度が25℃のときの発光ピーク強度に対する100℃のときの発光ピーク強度の変化率が40%以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色純度の高い画像を実現するカラー画像表示装置に好適に用いられる半導体発光装置およびそれを用いたバックライトに関する。さらに本発明は、改良されたバックライトの発光波長に対応して、色純度の高い画像を実現するためのカラー画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示素子は従来のパソコン用モニターの用途のみならず、通常のカラーテレビとしての用途が期待されている。カラー液晶表示素子の色再現範囲は、赤、緑、青の画素から放射される光の色で決まり、それぞれの画素のCIE XYZ表色系における色度点を(xR、yR)、(xG、yG)、(xB、yB)としたとき、x−y色度図上のこれらの三点で囲まれる三角形の面積で表される。即ち、この三角形の面積が大きいほど鮮やかなカラー画像が再現できることになる。この三角形の面積は、通常、アメリカNational Television System Committee (NTSC)により定められた標準方式の3原色、赤(0.67、0.33)、緑(0.21、0.71)、青(0.14,0.08)の三点で形成される三角形を基準として、この三角形の面積に対する比(単位%、以下「NTSC比」と略す。)として表現される。この値は一般のノートパソコンで40〜50%程度、デスクトップパソコン用モニターで50〜60%、現行液晶TVで70%程度である。
【0003】
このようなカラー液晶表示素子を利用したカラー画像表示装置は、液晶を利用した光シャッターと赤、緑、青の画素を有するカラーフィルターと、透過照明用のバックライトとで主に構成され、赤、緑、青の画素から放射される光の色は、バックライトの発光波長とカラーフィルターの分光カーブで決定される。
【0004】
カラー液晶表示素子では、バックライトからの発光分布に対し、カラーフィルターで必要な部分の波長のみを取り出し、赤、緑、青色の画素となる。
【0005】
このカラーフィルターの製造方法としては、染色法、顔料分散法、電着法、印刷法、インクジェット等の方法が提案されている。そして、カラー化のための色材としては当初、染料が用いられたが、液晶表示素子としての信頼性、耐久性の点から現在は顔料が用いられている。従って、現在、カラーフィルターの製造方法としては、生産性と性能の点から顔料分散法が最も広く用いられている。なお、一般に同一の色材を用いた場合、NTSC比と明るさはトレードオフの関係にあり、用途に応じて使い分けられている。即ち、鮮やかなカラー画像を再現するために、カラーフィルターを調節してNTSC比を上げようとすると、画面が暗くなる。逆に明るさを重視しすぎるとNTSC比が低くなるため、鮮やかな画像を再現することができない。
【0006】
一方、バックライトとしては、一般に赤、緑、青の波長領域に発光波長を持つ冷陰極管を光源とし、この冷陰極管からの発光を導光板により白色面光源化したものが用いられていた。近年は、長寿命で、インバーターが不要であり、高輝度、水銀フリーである等の観点から発光ダイオード(LED)が光源に用いられるようになった。
【0007】
ここで、従来のLEDを用いたバックライトでは、青色光を発するLEDを用い、このLEDから発せられた光の一部を黄色蛍光体により黄色光に変換し、青色光と黄色光との混色によって得られた白色光を導光板で面光源としている。
【0008】
しかしながら、上述の光源は、黄色蛍光体を用いているため、赤、緑の色純度の点からは不要な波長の発光が多く、高色再現性(High Gamut)のディスプレイを得るのは困難であった。これに対して、カラーフィルターで不要な波長の光をカットして赤、緑の色純度を上げることは原理的には可能である。しかし、上述の様に、鮮やかなカラー画像を再現するために、カラーフィルターを調節してNTSC比を上げようとすると、バックライトの発光の大部分がカットされ、輝度が著しく低下するという問題があった。特にこの方法では、赤の発光が著しく低下するため、赤味の強い色を再現することは事実上不可能であった。
【0009】
この問題を克服するために、近年、赤色LED、緑色LED、および青色LEDを組み合わせた構成が提案されており(非特許文献1)、この構成により極めて色再現性の高いディスプレイが試作されている。しかしながら、このカラー画像表示装置は、赤、緑、青それぞれ独立したLEDチップを組み合わせるため、
1)実装に手間がかかる、
2)赤、緑、青それぞれのLEDチップが有限の距離をおいて設置されるので、それぞれのLEDチップからの発光を十分に混色させるために導光板の距離を長く取る必要がある、
3)LEDのそれぞれのチップをその整数倍の個数を組み合わせて白色色度を調整するため、ホワイトバランスの調整が連続的にできない、
といった問題があった。
【0010】
また、青色または深青色LEDと蛍光体を組み合わせて構成されるNTSC比60%以上のカラー画像表示装置が特許文献1に開示されている。しかしながら、このカラー画像表示装置は、前述の黄色蛍光体に比べると、広色再現性が達成されたとはいえ、依然として赤、緑の色純度の点からは不要な波長の発光が多く、更なる広色再現性が望まれていた。
【0011】
また、液晶ディスプレイなどのバックライト用光源などに利用可能な、特定の蛍光体を組み合わせた半導体発光装置が、特許文献2、3に開示されている。しかしながら、これらの半導体発光装置は、実際にカラーフィルターと組み合わせて液晶ディスプレイなどのカラー画像表示装置とした場合に、バックライトの発光が不十分であったり、色度のずれが生じたりする場合があった。
【0012】
一方、特許文献4においては、特定の条件を満たすバックライト光源とカラーフィルターとを組み合わせた、高NTSC比を有する画像表示装置が記載されている。しかし、近年の高性能化の要望の元、特許文献4に具体的に開示されている3.5MgO・0.5MgF・GeO:Mn4+系、Y:Eu系及びYVO:Eu3+系の蛍光体を用いた発光装置では発光効率等の点で不十分であり、より高い性能を有するものの出現が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】WO2005/111707国際公開パンフレット
【特許文献2】特開2002−171000号公報
【特許文献3】米国特許6,809,781公報
【特許文献4】WO2004/025359号国際公開パンフレット
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】月刊ディスプレイ 2003年4月号第42頁乃至第46号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、特にカラー画像表示装置用のバックライトとして用いた場合に、画像の明るさを損なうことなく、カラーフィルターとの調整によって画像全体として広色再現性を達成するとともに、赤、緑、青の発光をワンチップで行うことにより実装上の生産性を損なうことなく、しかもホワイトバランスの調整を容易とする半導体発光装置を提供することを目的とする。さらに本発明は、この半導体発光装置を用いたバックライトおよびカラー画像表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、鋭意検討の結果、カラー画像表示装置のバックライトの発光が不十分であったり、色度のずれを生じたりする原因が、蛍光体の特性に起因しており、これを蛍光体の改善によって解消できることを見出した。また、NTSC比と光利用効率とを密接に関連付けてカラー画像表示装置全体の性能とすることを見出した。従来は、前述したようにNTSC比と光利用効率とはトレードオフの関係にあり、カラー画像表示装置の性能を向上させようとする場合、光利用効率を犠牲にしてNTSC比を向上させるか、またはNTSC比を犠牲にして光利用効率を向上させるかのいずれかに主眼が置かれていた。
【0017】
それに対して本発明者らは、特定の発光波長を有する発光素子によって効率よく発光(励起)する、改良された発光波長を有する複数の蛍光体を組み合わせて光発光効率を従来よりも高く設定し得る半導体発光装置を見出した。さらに、その半導体発光装置をバックライトに用いた場合、バックライトの発光波長に最適なカラーフィルターを、そのバックライトと組み合わせることにより、色純度の高い画像表示を実現できる、すなわち、高いNTSC比においても従来よりも光利用効率が高いカラー画像表示装置を実現し得ることを見出した。
【0018】
本発明はこのような知見に基づいてなされたものであり、以下をその要旨とする。
【0019】
[1] 青色または深青色領域もしくは紫外領域の光を発する固体発光素子と、蛍光体とを組み合わせてなる半導体発光装置であって、
前記蛍光体は、515〜550nmの波長領域に1以上の発光ピークを有する緑色蛍光体、および610〜650nmの波長領域に1以上の、半値幅が10nm以下である発光ピークを有し、かつ前記緑色蛍光体の発光波長領域に励起スペクトルを実質的に有さない、付活元素としてMn4+を含む赤色蛍光体を含み、
前記緑色蛍光体および前記赤色蛍光体は、励起光の波長が400nmまたは455nmの場合において、前記緑色蛍光体および前記赤色蛍光体の温度が25℃のときの発光ピーク強度に対する100℃における発光ピーク強度の変化率が、40%以下であることを特徴とする半導体発光装置。
【0020】
[2] 前記緑色蛍光体は、アルミン酸塩系蛍光体、サイアロン蛍光体および酸窒化物系蛍光体からなる群より選択される1以上の化合物を含む上記[1]に記載の半導体発光装置。
【0021】
[3] 前記赤色蛍光体は、励起光の波長が455nmの場合において、温度が25℃のときの発光ピーク強度に対する100℃における発光ピーク強度の変化率が18%以下である上記[1]に記載の半導体発光装置。
【0022】
[4] 前記赤色蛍光体は、610〜650nmの波長領域に、半値幅が10nm以下である主発光ピークを有する上記[1]から[3]のいずれかに記載の半導体発光装置。
【0023】
[5] 前記赤色蛍光体が下記一般式[r1]から[r8]のいずれかで表される化学組成を有する結晶相を含有するものである上記[1]から[4]のいずれかに記載の半導体発光装置。
【0024】
[MIV1−x] ・・・[r1]
[MIII1−x] ・・・[r2]
II[MIV1−x] ・・・[r3]
[MIV1−x] ・・・[r4]
[MIII1−x] ・・・[r5]
Zn[MIII1−x] ・・・[r6]
[MIII2−2x2x] ・・・[r7]
Ba0.65Zr0.352.70:Mn4+ ・・・[r8]
(前記一般式[r1]〜[r8]において、MはLi、Na、K、Rb、Cs、およびNHからなる群より選ばれる1種以上の1価の基を表わし、MIIはアルカリ土類金属元素からなる群より選ばれる1種以上の金属元素を表し、MIIIは周期律表第3族および第13族からなる群より選ばれる1種以上の金属元素を表し、MIVは周期律表第4族および第14族からなる群より選ばれる1種以上の金属元素を表し、Rは、少なくともMnを含有する付活元素を表す。xは、0<x<1で表される範囲の数値である。)
【0025】
[6]上記[1]から[5]のいずれかに記載の半導体発光装置を光源として備えたバックライト。
【0026】
[7] 光シャッターと、該光シャッターに対応する少なくとも赤、緑、青の三色の色要素を有するカラーフィルターと、上記[6]に記載のバックライトとを組み合わせて構成されるカラー画像表示装置であって、
カラー画像表示素子の色再現範囲であるNTSC比Wと光利用効率Yとの関係が下記式で表されることを特徴とするカラー画像表示装置。
Y≧−0.4W+64 (ただし、W≧85)
【0027】
【数1】

ここで、各符号、記号の定義は以下の通りである。
【0028】
【数2】

【0029】
[8] 前記カラーフィルターの緑色画素が臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を含む上記[7]に記載のカラー画像表示装置。
【0030】
[9] 前記カラーフィルターの各画素の膜厚が0.5μm以上3.5μm以下である上記[7]または[8]に記載のカラー画像表示装置。
【0031】
なお、上記各発明において、「カラー画像表示装置」とは、光シャッター、カラーフィルターおよびバックライトの他にそれらの駆動回路および制御回路等も含む、入力信号に従って制御された状態でカラー画像を表示し得る構成全体を意味し、「カラー画像表示素子」とは、「カラー画像表示装置」のうち光シャッターおよびバックライトの駆動を制御する構成を除いた、光シャッターおよびカラーフィルターを通してバックライトから光を発するための構成を意味する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、特定波長の光を発する発光素子と特定の性質を有する蛍光体を組み合わせることで、広色再現性を達成することのできる半導体発光装置を提供することができる。また、本発明のカラー画像表示装置は、本発明の半導体発光装置を光源に用い、NTSC比と光利用効率との関係を適切に規定することで、画像の明るさを損なうことなく、深みのある赤、および緑の再現を実現し、画像全体として広色再現性を達成することができる。しかも、赤、緑、青の発光をワンチップで行うことができるので実装上の生産性を損なうことなく、かつホワイトバランスの調整が容易であるカラー画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】TFT方式のカラー液晶表示装置の構成を示す図である。
【図2】本発明によるカラー画像表示装置のNTSC比と光利用効率との関係を示すグラフである。
【図3】本発明に好適なバックライト装置の一例を示す断面図である。
【図4】本発明に好適なバックライト装置の他の例を示す断面図である。
【図5A】本発明の半導体発光装置の一例の構造を示す断面図である。
【図5B】本発明の半導体発光装置の他の例の構造を示す断面図である。
【図6】実施例1、3、5、7用のカラーフィルターの透過率スペクトルである。
【図7】実施例2、4、6、8〜10、比較例3、4用のカラーフィルターの透過率スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に本発明の半導体発光装置、バックライトおよびカラー画像表示装置の実施の形態を詳細に説明するが、これらは本発明の実施態様の一例であり、これらの内容に限定されるものではない。
【0035】
本発明のカラー画像表示装置は、光シャッターと、この光シャッターに対応する少なくとも赤、緑、青の三色の色要素を有するカラーフィルターと、透過照明用のバックライトとを組み合わせて構成されるものである。その具体的な構成には特に制限はないが、例えば、図1に示すような、液晶を利用した光シャッターを用いたTFT(薄膜トランジスタ)方式のカラー液晶表示装置が挙げられる。
【0036】
図1はサイドライト型バックライト装置及びカラーフィルターを用いたTFT方式のカラー液晶表示装置の一例である。この液晶表示装置においては、固体発光素子と蛍光体とを有する光源1からの出射光は導光板2により面光源化され、光拡散シート3により更に均一度を高めた後、プリズムシートを通過後、偏光板4へ入射する。この入射光はTFT6により画素ごとに偏光方向がコントロールされ、カラーフィルター9に入射する。カラーフィルター9に入射した光は、最後に、偏光板4とは偏光方向が垂直になるように配設された偏光板10を通り観測者に到達する。TFT6およびカラーフィルター9は、それぞれ透明基板であるガラス基板5、8に設けられており、これらガラス基板5、8の間に液晶7が封入されている。ここでTFT6の印加電圧により入射光の偏光方向の変化度合いが変化することにより、偏光板10を通過する光の光量が変化し、カラー画像を表示することが可能となる。
【0037】
また、本発明のカラー画像表示装置は、さらに以下に詳述する構成により、カラー画像表示素子の色再現範囲(NTSC比)Wと下記に示される光利用効率Yとの関係が下記式(a)、好ましくは式(b)、より好ましくは式(c)、最も好ましくは式(d)で表されることが特徴であり、特に、バックライトが備える固体発光素子として深青色領域または紫外領域の光を発する固体発光素子を用いた場合に光利用効率が高くなる傾向にあり好ましい。
Y≧−0.4W+64‥(a) (ただし、W≧85)
Y≧−0.4W+66‥(b) (ただし、W≧85)
Y≧−0.4W+71‥(c) (ただし、W≧85)
Y≧−0.4W+73‥(d) (ただし、W≧85)
【0038】
【数3】

【0039】
ここで、各符号、記号の定義は以下の通りである。
【0040】
【数4】

【0041】
即ち、従来はNTSC比85%まではある程度、光利用効率のコントロールは可能であったが、NTSC比85%を越える設計、即ちNTSC比が85%以上、特に87%以上、とりわけ90%以上のカラー画像表示装置では、従来のカラーフィルターのレジストに用いられる顔料、蛍光体の発光スペクトル、固体発光素子と蛍光体を組み合わせたバックライトスペクトルの性質上、光利用効率を高めることは当業者にとって具体的な構成を容易には想到し得なかった。
【0042】
本発明のカラー画像表示装置において、NTSC比Wと光利用効率Yとの関係は、以下のように設定した。
【0043】
(i)特定の新規なバックライト、およびカラーフィルターの組み合わせにより形成された、NTSC比85%を超えるカラー画像表示装置において、用いられる各蛍光体の発光スペクトル及び固体発光素子(LEDチップ)の発光スペクトルを組み合わせてバックライトの発光スペクトルを作成する。このバックライトの発光スペクトルをもとに、カラー画像表示装置のNTSC比がおよそ85%以上となるような仮想カラーフィルターを計算によりシミュレーションする。
【0044】
(ii)上記(i)においてシミュレーションされた仮想カラーフィルターを有する仮想カラー画像表示装置において、NTSC比がおよそ85%以上となる2点の光利用効率を算出する。本発明においては、緑色蛍光体としてβ−SiAlON、赤色蛍光体としてKTiF:Mnを用いた場合のシミュレーション値として、(NTSC比、光利用効率)=(87.2%、29.5)、および(91.6%、27.7)の2点が算出される。
【0045】
(iii)上記(ii)より、上記2点を通る一次関数
Y=−0.4W+64
が算出され、これにより上記式(a)、すなわち
Y≧−0.4W+64‥(a) (ただし、W≧85)
が得られる。
【0046】
また、好ましいカラー画像表示装置におけるNTSC比Wと光利用効率Yの関係は、緑色蛍光体としてBaSi12:Eu、赤色蛍光体としてKTiF:Mnを用いた場合のシミュレーション値として、(NTSC比、光利用効率)=(87.2%、29.5)、および(91.6%、27.7)の2点を算出し、この2点を通る一次関数
Y=−0.4W+66
から、上記式(b)、すなわち
Y≧−0.4W+66‥(b) (ただし、W≧85)
として得られる。
【0047】
さらに、より好ましいカラー画像表示装置におけるNTSC比Wと光利用効率Yの関係は、固体発光素子として近紫外LEDを使用し、青色蛍光体としてBaMgAl1017:Eu、緑色蛍光体としてBaMgAl1017:Eu,Mn、赤色蛍光体としてKTiF:Mnを用いた場合のシミュレーションを同様に行ない、
上記式(c)、すなわち
Y≧−0.4W+71‥(c) (ただし、W≧85)
が得られる。
【0048】
また、最も好ましいカラー画像表示装置におけるNTSC比Wと光利用効率Yの関係は、固体発光素子として近紫外LEDを使用し、青色蛍光体としてSr(POCl:Eu、緑色蛍光体としてBaMgAl1017:Eu,Mn、赤色蛍光体としてKTiF:Mnを用いた場合のシミュレーションを同様に行ない、
上記式(d)、すなわち
Y≧−0.4W+73‥(d) (ただし、W≧85)
が得られる。
【0049】
式(a)〜式(d)を表した、NTSC比と光利用効率との関係のグラフを図2に示す。
【0050】
本発明において、Y、は、具体的には、バックライトの相対発光分布スペクトルS(λ)を高輝度測定装置により、カラーフィルターの透過率スペクトルT(λ)を分光光度計により測定し、上記式に当てはめることにより算出することができる。
【0051】
また、カラー画像表示装置は、広色再現性を有することが特徴である。即ち、本願発明のカラー画像表示装置は、光シャッターと、該光シャッターに対応する少なくとも赤、緑、青の三色の色要素を有するカラーフィルターと、透過照明用のバックライトとを組み合わせて構成されるカラー画像表示装置において、該バックライト用光源が青色または深青色領域もしくは紫外領域の光を発する固体発光素子と蛍光体を組み合わせた半導体発光装置を有しており、半導体発光装置は430〜470nm、500〜550nm、600〜680nmの波長領域にそれぞれ1つ以上の発光の主成分を有し、カラー画像表示素子の色再現範囲が、通常NTSC比60%以上である。NTSC比は好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは85%以上、また更に好ましくは87%以上、特に好ましくは90%以上である。
【0052】
また、カラー画像表示装置は、色温度が通常4,000〜10,000K、好ましくは4,500〜9,500K、更に好ましくは5,000〜9,000Kである。色温度が低すぎると全体に赤味がかった画像となり。また、色温度が高すぎると輝度の低下を招く。
【0053】
[1]バックライト装置および半導体発光装置
まず、このようなカラー液晶表示装置に用いられるバックライト装置、およびバックライト装置が備える半導体発光装置の構成について説明する。
【0054】
本発明で用いられるバックライト装置は、液晶パネルの背面に配置され、透過型又は半透過型のカラー液晶表示装置の背面光源手段として用いられる面状光源装置を指す。バックライト装置の構成としては、白色発光する光源と、この光源からの光をほぼ均一な面光源に変換する光均一化手段とを具備する。
【0055】
光源の設置方式としては、液晶素子の背面直下に光源を配設する方法(直下方式)や、側面に光源を配設し、アクリル板等の透光性の導光体を用いて光を面状に変換して面光源を得る方法(サイドライト方式)が代表的である。中でも薄型かつ輝度分布の均一性に優れた面光源としては、図3、4に示すようなサイドライト方式が好適であり、現在最も広く実用化されている。
【0056】
図3のバックライト装置は、透光性の平板からなる基板、即ち導光体11の一側端面11aに当該側端面11aに沿うように光源1が配設され、光入射端面である一側端面11aから導光体11の内部に入射させる構成となっている。導光体11の一方の板面11bは光出射面とされ、この光出射面11bの上にはほぼ三角プリズム状のアレー12を形成した調光シート13が、アレー12の頂角を観察者側に向けて配設してある。導光体11における光出射面11bとは反対側の板面11cには光散乱性インキにより多数のドット14aを所定のパターンで印刷形成してなる光取り出し機構14が設けられている。この板面11c側には、この板面11cに近接して反射シート15が配設されている。
【0057】
図4のバックライト装置では、ほぼ三角プリズム状のアレー12を形成した調光シート13が、アレー12の頂角を導光体11の光出射面11b側に向けて配設されており、また、導光体11の光出射面11bに相対する板面11cに設けられる光取り出し機構14'は、各表面が粗面に形成されている粗面パターン14bから構成されている点が図3に示すバックライト装置と異なり、その他は同様の構成とされている。
【0058】
このようなサイドライト方式のバックライト装置であれば、軽量、薄型と言う液晶表示装置の特徴をより有効に引き出すことが可能である。
【0059】
本発明のバックライト装置の光源としては、LED(以下、任意に発光ダイオードと称することもある。)をその構造中に含むことができる。この光源は、一般には、赤、緑、青の波長領域、即ち580〜700nm、500〜550nm、400〜480nmの範囲に発光を持つタイプであればいずれのものでも使用できる。
【0060】
バックライトがこのような条件を満たすために、光源は、青色または深青色領域もしくは紫外領域の光を発する1つまたは複数の固体発光素子と、蛍光体とを組み合わせた半導体発光装置を備えている。この蛍光体は、固体発光素子からの光により直接励起されてもよいし、または固体発光素子の光を受けた異なる蛍光体の発光により励起(間接励起)されてもよい。
【0061】
固体発光素子と蛍光体とを組み合わせた半導体発光装置は、様々な形態で実現されており、その中でも砲弾型と呼ばれる形態および表面実装型と呼ばれる形態が主流である。これらの形態について図5Aおよび図5Bを参照して簡単に説明する。
【0062】
図5Aに示す半導体発光装置は、砲弾型と呼ばれる形態の代表的な例である。図5Aにおいて、半導体発光装置24は、マウントリード25に搭載された固体発光素子27と、固体発光素子27を覆って形成されている蛍光体含有部28とを有する。マウントリード25に隣接してインナーリード26が位置しており、固体発光素子27は導電性ワイヤ29によってインナーリード26に電気的に接続されている。これらの構造は、マウントリード25の一部およびインナーリード26の一部を露出させた状態で、透明なモールド部材20によって覆われている。
【0063】
図5Bに示す半導体発光装置は、表面実装型と呼ばれる形態の代表的な例である。図5Bにおいて、固体発光素子32は、フレーム34の上面に形成された凹部内に実装されている。この凹部には2つの電極36、37が形成されており、一方の電極37は固体発光素子32が直接実装されていることで固体発光素子32と電気的に接続され、もう一方の電極36は導電性ワイヤ35を介して固体発光素子32と電気的に接続されている。さらに、フレーム34の凹部には、固体発光素子32を覆って蛍光体含有部33が形成されている。
【0064】
半導体発光装置は、赤領域(通常600nm以上、好ましくは610nm以上、更に好ましくは620nm以上であり、通常680nm以下、好ましくは670nm以下、さらに好ましくは650nm以下の領域)、緑領域(通常500nm以上、好ましくは510nm以上であり、通常550nm以下、好ましくは542nm以下、より好ましくは540nm以下、さらに好ましくは535nm以下、特に好ましくは530nm以下、とりわけ好ましくは525nm以下、最も好ましくは520nm以下の領域)、青領域(通常430nm以上、好ましくは440nm以上であり、通常470nm以下、好ましくは460nm以下の領域)の各波長領域にそれぞれ1つ以上の発光の主成分を有する様に、調整される。
【0065】
透過型または半透過型の透過モードにおける赤、緑、青の各領域の光量は、バックライトからの発光とカラーフィルターの分光透過率の積で決まる。従って、カラーフィルター用組成物の(c)色材の項で後述する条件を満たすようなバックライトの選択が必要である。
【0066】
固体発光素子の発光波長は蛍光体の吸収波長と重複するものであれば、特に制限されず、幅広い発光波長領域の固体発光素子を使用することができるが、通常200nm以上が望ましい。このうち、青色光を励起光として用いる場合には、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上、更に好ましくは450nm以上、また、通常490nm以下、好ましくは480nm以下、より好ましくは470nm以下、さらに好ましくは460nm以下の発光ピーク波長を有する発光体を使用することが望ましい。一方、深青色光(以下、近紫外光と称する場合がある。)又は紫外光を励起光として用いる場合には、通常300nm以上、好ましくは330nm以上、より好ましくは360nm以上、また、通常420nm以下、好ましくは410nm以下、より好ましくは400nm以下の発光ピーク波長を有する発光体を使用することが望ましい。
【0067】
尚、本発明で用いられる好ましい赤色蛍光体および緑色蛍光体は、通常は青色光で励起されるで、通常は青色光を発する固体発光素子と組み合わせられ、その固体発光素子から発せられる青色光により直接励起されて赤色光および緑色光を発する。あるいは、赤色蛍光体および緑色蛍光体は、近紫外光または紫外光によって励起されることができる。ただし、その場合は蛍光体の種類によっては、その発光ピーク強度が、青色光で励起した場合と比較して小さいことがある。そのため、赤色蛍光体および緑色蛍光体が近紫外光又は紫外光を発する固体発光素子と組み合わせられる場合には、必要に応じて固体発光素子からの光により励起されて青色光を発する青色蛍光体をさらに用い、赤色蛍光体および緑色蛍光体を、青色蛍光体が発する青色光で励起させることが、発光効率を向上させるうえで好ましい。この場合、赤色蛍光体および緑色蛍光体は、固体発光素子からの光を、赤色蛍光体および緑色蛍光体の励起に適した光に波長変換する他の蛍光体からの光により励起されるという点で、固体発光素子からの光によって間接的に励起されるといえる。このように、青色蛍光体を利用して、固体発光素子からの光により赤色蛍光体および緑色蛍光体を間接的に励起させる場合は、当該青色蛍光体の励起帯に合うような波長を有する励起光を選ぶことが好ましい。
【0068】
固体発光素子は、例えば、有機エレクトロルミネッセンス発光素子、無機エレクトロルミネッセンス発光素子、半導体発光素子等が挙げられるが、好ましくは半導体発光素子が用いられ、例えば、シリコンカーバイドやサファイア、窒化ガリウム等の基板にMOCVD法などで結晶成長されたInGaN系、GaAlN系、InGaAlN系、ZnSeS系の半導体発光素子などが好適である。高出力にするには、光源サイズを大型化したり、光源の数を複数にしたりすればよい。また、端面発光型や面発光型のレーザーダイオードであっても良い。青色または深青色LEDは、蛍光体を効率良く励起できる波長を有しているため、光量の大きい光源を得ることができる点で、好適に用いられる。
【0069】
中でも、半導体発光素子としては、GaN系化合物半導体を使用したGaN系LEDやLDが好ましい。なぜなら、GaN系LEDやLDは、この領域の光を発するSiC系LED等に比し、発光出力や外部量子効率が格段に大きく、前記蛍光体と組み合わせることによって、低電力で非常に明るい発光が得られるからである。例えば、20mAの電流負荷に対し、通常GaN系LEDやLDはSiC系の100倍以上の発光ピーク強度を有する。GaN系LEDやLDとしては、AlGaN発光層、GaN発光層又はInGaN発光層を有しているものが好ましい。中でも、発光ピーク強度が非常に高いことから、GaN系LEDとしては、InGaN発光層を有するものが特に好ましく、InGaN層とGaN層との多重量子井戸構造のものがさらに好ましい。
【0070】
なお、上記においてX+Yの値は通常0.8〜1.2の範囲の値である。GaN系LEDにおいて、これら発光層にZnやSiをドープしたものやドーパント無しのものが発光特性を調節する上で好ましいものである。
【0071】
GaN系LEDはこれら発光層、p層、n層、電極、及び基板を基本構成要素としたものであり、発光層をn型とp型のAlGaN層、GaN層、又はInGaN層などでサンドイッチにしたヘテロ構造を有しているものが、発光効率が高くて好ましく、更にヘテロ構造を量子井戸構造にしたものが、発光効率が更に高いため、より好ましい。
【0072】
固体発光素子は、表面実装型の半導体発光素子の場合はフレームに固定される。フレームは、少なくとも固体発光素子光源に通電するための正負の電極を有し、固体発光素子の電極とフレームの電極とが電気的に接続される。これら電極間は、ワイヤーボンディング法、あるいはフリップチップ実装によって電気的に接続することができる。ワイヤーボンディング法によって接続する場合、直径20〜40μmの金線、またはアルミニウム線を用いることができる。
【0073】
フレームに凹状のカップを設け、その底面に固体発光素子を配置すると、出射光に指向性を持たせることができ、光を有効利用できる。また、フレームの凹部内面あるいは全体を銀や白金、アルミニウムなど高反射の金属やそれに準ずる合金でメッキ処理することにより、可視光域全般における反射率を高めることができ、光の利用効率を上げられるのでさらに良い。また、フレームの凹部表面あるいは全体を、白色のガラス繊維やアルミナ粉、チタニア粉などの高反射物質を含んだ射出成型用樹脂で構成しても、同様の効果が得られる。
【0074】
固体発光素子の固定には、エポキシ系、イミド系、アクリル系等の接着剤やAuSn、AgSn等の半田、Au等のバンプなどを用いることができる。
【0075】
固体発光素子が接着剤を通して通電される場合には、接着剤に銀微粒子等の導電性フィラーを含んだもの、例えば銀ペーストやカーボンペースト等を、薄く均一に塗布するのがよい。また、特に放熱性が重要となる大電流タイプの発光ダイオードやレーザーダイオードの固定には半田を用いて固定するのが有効である。また、接着剤を通して通電されない固体発光素子の場合の固定にはどんな接着剤を用いても良いが、放熱性を考えるとやはり銀ペーストや半田が好ましい。
【0076】
複数の固体発光素子をいる場合には、半田の使用は、固体発光素子を繰り返し高温に曝したり、長時間曝したりする必要があり、固体発光素子の寿命を劣化させる場合があり好ましくない。一方、バンプを用いると、半田よりも低温で作業することが可能で、簡便にかつ確実に固体発光素子とフレームとを接続出来る。特にフリップチップ型のLEDを使用する場合には、銀ペーストの接着剤はp型とn型電極をショートさせてしまうことがあるが、バンプの場合はその心配がないため好適である。
【0077】
半導体発光装置が上述の赤領域、緑領域および青領域の各波長領域にそれぞれ1つ以上の発光の主成分を有するためには、緑色帯を発光する蛍光体(緑色蛍光体)、および赤色帯を発光する蛍光体(赤色蛍光体)を含む2種以上の蛍光体を組み合わせることが好ましい。これら各色蛍光体は、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂、等の透明なバインダに混合され、固体発光素子を覆って塗布されるのが好ましい。各色蛍光体の混合の比率は、所望の色度が得られるように適宜変えて良い。また、緑色帯を発光する蛍光体、および赤色帯を発光する蛍光体は、別々に固体発光素子に塗布しても良い。バインダにさらに拡散剤を添加すると、出射光をより均一にすることが出来る。拡散剤としては平均粒径が100nm〜数10μmの大きさで無色の物質がよい。アルミナ、ジルコニア、イットリア等は−60〜120℃の実用温度域で安定であるので、拡散剤としてより好ましく用いることができる。更に屈折率が高ければ拡散剤の効果は高くなるのでより好ましい。また、粒径の大きな蛍光体を用いる場合には蛍光体の沈降により色むらや色ズレを生じやすいため、バインダに沈降防止剤を添加することが好ましい。沈降防止剤としてはヒュームドシリカが一般的である。
【0078】
固体発光素子は、封止材によって封止されることが好ましい。固体発光素子を封止材で封止する場合、蛍光体はこの封止材に含有されていてもよく、この封止材が上記のバインダを兼ねていてもよい。
【0079】
封止材の種類は特に限定されず、通常、固体発光素子を覆ってモールディングすることのできる硬化性材料を用いることができる。硬化性材料とは、流体状の材料であって、何らかの硬化処理を施すことにより硬化する材料のことをいう。ここで、流体状とは、例えば液状又はゲル状のことをいう。硬化性材料は、固体発光素子から発せられた光を蛍光体へ導く役割を担保するものであれば、具体的な種類に制限は無い。また、硬化性材料は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。したがって、硬化性材料としては、無機系材料及び有機系材料並びに両者の混合物のいずれを用いることも可能である。
【0080】
無機系材料としては、例えば、金属アルコキシド、セラミック前駆体ポリマー若しくは金属アルコキシドを含有する溶液をゾル−ゲル法により加水分解重合して成る溶液、またはこれらの組み合わせを固化した無機系材料(例えばシロキサン結合を有する無機系材料)等を挙げることができる。
【0081】
一方、有機系材料としては、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。具体例を挙げると、ポリ(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0082】
これら硬化性材料の中では、特に、発光素子からの発光に対して劣化が少なく、耐熱性にも優れる珪素含有化合物を使用することが好ましい。珪素含有化合物とは分子中に珪素原子を有する化合物をいい、ポリオルガノシロキサン等の有機材料(シリコーン系化合物)、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等の無機材料、及びホウケイ酸塩、ホスホケイ酸塩、アルカリケイ酸塩等のガラス材料を挙げることができる。中でも、透明性、接着性、ハンドリングの容易さ、機械的、熱適応力の緩和特性に優れる等の点から、シリコーン系材料が好ましい。
【0083】
シリコーン系材料とは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば、縮合型、付加型、改良ゾルゲル型、光硬化型等のシリコーン系材料を用いることができる。
【0084】
縮合型シリコーン系材料としては、例えば、特開2007−112973〜112975号公報、特開2007−19459号公報、特開2008−34833号公報等に記載の半導体発光デバイス用部材を用いることができる。縮合型シリコーン系材料は半導体発光デバイスに用いられるパッケージや電極、発光素子などの部材との接着性に優れるため、密着向上成分の添加を最低限とすることが出来、架橋はシロキサン結合主体のため耐熱性・耐光性に優れる利点がある。
【0085】
付加型シリコーン系材料としては、例えば、特開2004−186168号公報、特開2004−221308号公報、特開2005−327777号公報等に記載のポッティング用シリコーン材料、特開2003−183881号公報、特開2006−206919号公報等に記載のポッティング用有機変性シリコーン材料、特開2006−324596号公報に記載の射出成型用シリコーン材料、特開2007−231173号公報に記載のトランスファー成型用シリコーン材料等を好適に用いることができる。付加型シリコーン材料は、硬化速度や硬化物の硬度などの選択の自由度が高い、硬化時に脱離する成分が無く硬化収縮しにくい、深部硬化性に優れるなどの利点がある。
【0086】
また、縮合型の一つである改良ゾルゲル型シリコーン系材料としては、例えば、特開2006−077234号公報、特開2006−291018号公報、特開2007−119569号公報等に記載のシリコーン材料を好適に用いることができる。改良ゾルゲル型のシリコーン材料は高架橋度で耐熱性・耐光性高く耐久性に優れ、ガス透過性低く耐湿性の低い蛍光体の保護機能にも優れる利点がある。
【0087】
光硬化型シリコーン系材料としては、例えば特開2007−131812号公報、特開2007−214543号公報等に記載のシリコーン材料を好適に用いることが出来る。紫外硬化方シリコーン材料は、短時間に硬化するため生産性に優れる、硬化に高い温度をかける必要が無く発光素子の劣化が起こりにくいなどの利点がある。
【0088】
これらのシリコーン系材料は単独で使用してもよいし、混合することにより硬化阻害が起きなければ複数のシリコーン系材料を混合して用いてもよい。
【0089】
硬化性材料には、本発明の効果を著しく損なわない限り、上記の無機系材料及び/又は有機系材料などに、更にその他の成分を混合して用いることも可能である。なお、その他の成分は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
【0090】
硬化性材料には、光学的特性や作業性を向上させるため、また、以下の〔1〕〜〔5〕の何れかの効果を得ることを目的として、更に無機粒子を含有させても良い。なお、無機粒子は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
〔1〕硬化性材料に無機粒子を光散乱剤として含有させることにより、当該硬化性材料で形成された層を散乱層とする。これにより、光源から伝送された光を散乱層において散乱させることができ、導光部材から外部に放射される光の指向角を広げることが可能となる。また、蛍光体と組み合わせて無機粒子を光散乱剤として含有させれば、蛍光体に当たる光量を増加させ、波長変換効率を向上させることが可能となる。
〔2〕硬化性材料に無機粒子を結合剤として含有させることにより、当該硬化性材料で形成された層においてクラックの発生を防止することができる。
〔3〕硬化性材料に無機粒子を粘度調整剤として含有させることにより、当該硬化性材料の粘度を高くすることができる。
〔4〕硬化性材料に無機粒子を含有させることにより、当該硬化性材料で形成された層の収縮を低減することができる。
〔5〕硬化性材料に無機粒子を含有させることにより、当該硬化性材料で形成された層の屈折率を調整して、光取り出し効率を向上させることができる。
【0091】
ただし、硬化性材料に無機粒子を含有させる場合、その無機粒子の種類及び量によって得られる効果が異なる。
【0092】
完成した半導体発光装置は通電により、まず固体発光素子が青色または深青色領域もしくは紫外領域の光を発光する。蛍光体はその一部を吸収し、それぞれ緑色帯あるいは赤色帯に発光する。発光装置から出てくる光としては、固体発光素子のもともとの青色または深青色領域もしくは紫外領域の光と、蛍光体によって波長変換された緑色帯と赤色帯、および必要に応じて青色帯の光が混合され、おおよそ白色のものが得られる。
【0093】
[2]蛍光体
次に、蛍光体について説明する。前述したように、本発明の半導体発光装置は蛍光体を有しているが、半導体発光装置が赤色蛍光体、および緑色蛍光体を有している場合、各色蛍光体は以下に述べる特性を有していることが好ましい。
【0094】
[発光ピーク強度の温度依存性]
本発明に用いられる赤色蛍光体、および緑色蛍光体は、励起光の波長が400nmまたは455nmにおける、各蛍光体の温度が25℃のときの発光ピーク強度に対する100℃のときの発光ピーク強度の変化率が、40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、更に好ましくは22%以下である。中でも赤色蛍光体は、上記の変化率が18%以下であることが好ましく、15%以下であることが特に好ましい。
【0095】
固体発光素子から発せられた光は、蛍光体および蛍光体を保持しているバインダに吸収される。これによってバインダが発熱し、蛍光体を加熱する。また、固体発光素子から発せられた光が蛍光体に吸収されることによって蛍光体自身も発熱する。更には、固体発光素子が通電され発光する際には、固体発光素子内部の電気抵抗により発光素子が発熱し、その温度が上昇することにより、伝熱により蛍光体が加熱される。これらの加熱作用により蛍光体の温度は100℃程度に到達する。蛍光体の発光ピーク強度は温度に依存し、蛍光体が高温になるほど発光ピーク強度は低下する傾向にある。よって、固体発光素子から光が発せられ続けた状態においても全体としての色調が変わらないようにするためには、温度上昇によって各色蛍光体の発光ピーク強度が変化したとしても、そのバランスが大きく崩れないようにすることが重要である。
【0096】
そこで本発明では、赤色蛍光体および緑色蛍光体は、励起光の波長が400nmまたは455nmのときの、25℃での発光ピーク強度に対する100℃での発光ピーク強度の変化率が上記範囲であるように組成等が調製されている。これにより、各色蛍光体の温度上昇によって各色蛍光体の発光ピーク強度が変化しても、その変化が各色蛍光体間で比較的小さくなるので、発光装置から発せられる光の色調は全体として変わらない。
【0097】
ここで、蛍光体の温度依存性は、具体的には、例えば以下のように測定することができる。
【0098】
[温度依存性の測定例]
温度依存性の測定は、発光スペクトル測定装置として、例えば大塚電子製MCPD7000マルチチャンネルスペクトル測定装置、輝度測定装置として、例えば色彩輝度計BM5A、ペルチェ素子による冷却機構とヒーターによる加熱機構を備えたステージ及び光源として150Wキセノンランプを備える装置を用いて、下記手順で行なう。
【0099】
ステージに蛍光体のサンプルを入れたセルを載せ、温度を25℃、及び100℃と変化させ、蛍光体の表面温度を確認し、次いで、光源から回折格子で分光して取り出した波長400nmまたは455nmの光で蛍光体を励起して、輝度値及び発光スペクトルを測定する。測定された発光スペクトルから、発光ピーク強度を求める。ここで、蛍光体の励起光照射側の表面温度の測定値としては、放射温度計と熱電対による温度測定値を利用して補正した値を用いる。
【0100】
上記においてさらに、励起光の波長が400nmまたは455nmのときの、25℃での発光ピーク強度に対する100℃での発光ピーク強度の変化率が、緑色蛍光体および赤色蛍光体のいずれも40%以下であることが、より好ましい。これにより、蛍光体の温度が上昇した場合に、発光装置からの光の色調の変化を抑制しつつも、全体としての発光ピーク強度の低下が抑制される。
【0101】
以下に、本発明で好適に用いられる赤色蛍光体、および緑色蛍光体について詳しく説明する。
【0102】
[2−1]赤色蛍光体
本発明の半導体発光装置において固体発光素子と組み合わせられる赤色蛍光体は、610〜650nmの波長領域に1以上の、半値幅が10nm以下である発光ピークを有し、かつ後述する緑色蛍光体の発光波長領域に励起スペクトルを実質的に有しない、付活元素としてMn4+を含む蛍光体である。また、赤色蛍光体は、610〜650nmの波長領域に、半値幅が10nm以下である主発光ピークを有することが好ましい。さらに、前述のとおり、励起光の波長が400nmまたは455nmのときの、蛍光体の温度が25℃のときの発光ピーク強度に対する100℃における発光ピーク強度の変化率が40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは25%以下、更に好ましくは22%以下、特に好ましくは18%以下である。
【0103】
本発明に用いられる赤色蛍光体は、610〜650nmの波長領域に1以上の、半値幅が10nm以下である発光ピークを有するが、これにより赤色の色純度が増し、高NTSC比を実現することができる。半値幅は好ましくは8nm以下であり、更に好ましくは7nm以下である。
【0104】
また、本発明に用いられる赤色蛍光体は、後述する緑色蛍光体の発光波長領域に励起スペクトルを実質的に有しないことが特徴である。これにより緑色蛍光体の発光が赤色蛍光体の発光に用いられることがないため、緑色蛍光体の発光を効率よく利用することができ、かつ緑色蛍光体の使用量を低減することができる。さらにこれにより、発熱量も低減されるため、蛍光体の温度による発光ピーク強度の変化率も抑えることができる上、前述の硬化性材料によりモールドされたモールド部や周辺の部材の劣化も抑制することができる。
【0105】
なお、ここで「緑色蛍光体の発光波長領域に励起スペクトルを実質的に有しない」とは、組み合わせる緑色蛍光体の種類にもよるが、赤色蛍光体の励起スペクトルの最大励起強度の1/10となる波長が、通常535nm以下、好ましくは530nm以下、より好ましくは520nm以下、更に好ましくは515nm以下となっていることをいう。例えば、緑色蛍光体として、後述する一般式[G1]で表される蛍光体を使用する場合は、520nm以下に励起スペクトルの最大励起強度の1/10となる波長を有する赤色蛍光体を用いるのが好ましい。
【0106】
かかる特性を有する赤色蛍光体として、本発明では付活元素としてMn4+を含む蛍光体を用いる。好ましくは、アルカリ金属元素及びアルカリ土類金属元素及びZnから選ばれる少なくとも1種類の元素、Si、Ti、Zr、Hf、Sn、Al、Ga、及びInから選ばれる少なくとも1種類の元素、並びにハロゲン元素から選ばれる少なくとも1種類を含有する蛍光体が挙げられる。さらに好ましくは、下記の一般式[r1]〜[r8]で示される蛍光体が挙げられる。
【0107】
[MIV1−x] ・・・[r1]
[MIII1−x] ・・・[r2]
II[MIV1−x] ・・・[r3]
[MIV1−x] ・・・[r4]
[MIII1−x] ・・・[r5]
Zn[MIII1−x] ・・・[r6]
[MIII2−2x2x] ・・・[r7]
Ba0.65Zr0.352.70:Mn4+ ・・・[r8]
(前記一般式[r1]〜[r8]において、MはLi、Na、K、Rb、Cs、およびNHからなる群より選ばれる1種以上の1価の基を表わし、MIIはアルカリ土類金属元素からなる群より選ばれる1種以上の金属元素を表し、MIIIは周期律表第3族および第13族からなる群より選ばれる1種以上の金属元素を表し、MIVは周期律表第4族および第14族からなる群より選ばれる1種以上の金属元素を表し、Rは、少なくともMnを含有する付活元素を表す。xは、0<x<1で表される範囲の数値である。)
【0108】
このうち、Mとしては、K及びNaからなる群より選ばれる1種以上の元素を含有することが特に好ましい。また、MIIとしては、少なくともBaを含有することが好ましく、特に好ましくはBaである。MIIIの好ましい具体例としては、Al、Ga、In、Y及びScからなる群より選ばれる1種以上の金属元素が挙げられる。中でも、Al、Ga、Inおよびこれらの組み合わせであることが好ましく、このうち、少なくともAlを含有することが好ましく、特にはAlが好ましい。MIVの好ましい具体例としては、Si、Ge、Sn、Ti及びZrからなる群より選ばれる1種以上の金属元素が挙げられ、中でもSi、Ge、Ti及びZrが好ましく、このうち、少なくともSiを含有することが好ましく、特にはSiが好ましい。xは、好ましくは0.004以上、より好ましくは0.010以上、特に好ましくは0.020以上、上限として好ましくは0.30以下、より好ましくは0.25以下、更に好ましくは0.08以下、特に好ましくは0.06以下である。
【0109】
上記一般式[r1]〜[r8]で表される化合物の好ましい具体例としては、K[AlF]:Mn4+、K[AlF]:Mn4+、K[GaF]:Mn4+、Zn[AlF]:Mn4+、K[In]:Mn4+、K[SiF]:Mn4+、Na[SiF]:Mn4+、K[TiF]:Mn4+、K[ZrF]:Mn4+、Ba[TiF]:Mn4+、K[SnF]:Mn4+、Na[TiF]:Mn4+、Na[ZrF]:Mn4+、KRb[TiF]:Mn4+、K[Si0.5Ge0.5]:Mn4+を挙げることができる。
【0110】
中でも、赤色蛍光体は、K[SiF]:Mn4+、又はK[TiF]:Mn4+を含有することが好ましく、K[SiF]:Mn4+がより好ましい。
【0111】
特に、赤色蛍光体として、下記式[R1]で表される化学組成を有する結晶相を含有し、
とMnとの合計モル数に対するMnの割合が0.1モル%以上40モル%以下であり、かつ、
比表面積が1.3m/g以下であることを特徴とする、蛍光体が好ましい。
【0112】
:R ・・・[R1]
(前記式[R1]中、Mは、K、及びNaからなる群から選ばれる1種以上の元素を含有し、Mは、Siを含有し、Rは、少なくともMnを含有する付活元素を表す。)
【0113】
上記式[R1]において、Mはカリウム(K)及びナトリウム(Na)からなる群より選ばれる元素を含有する。これらの元素のうち何れか一方を単独で含有していてもよく、二種を任意の比率で併有していてもよい。また、上記のほかにその性能に影響を与えない限りにおいて、Li、Rb、Cs等のアルカリ金属元素や、(NH)を一部含有していても良い。Li、Rb、Cs、(NH)の含有量としては通常全M量に対して10モル%以下である。
【0114】
このうちMとしては、少なくともKを含有しているのが好ましく、通常、全M量に対してKが90モル%以上を占め、好ましくは97モル%以上を占める場合であり、より好ましくは98モル%以上を占める場合であり、さらに好ましくは99モル%以上を占める場合であり、Kのみを用いることが特に好ましい。
【0115】
上記式[R1]において、Mは、少なくともSiを含有する。通常、全M量に対してSiが90モル%以上を占め、好ましくは97モル%以上を占める場合であり、より好ましくは98モル%以上を占める場合であり、さらに好ましくは99モル%以上を占める場合であり、Siのみを用いることが特に好ましい。即ち、前記式[R1]で表される化学組成を有する結晶相を含有する蛍光体は、下記式[R2]で表される化学組成を有する結晶相を含有することが特に好ましい。
【0116】
SiF:R …[R2]
(前記式[R2]中、Mは、K、及びNaからなる群から選ばれる1種以上の元素を含有し、Rは、少なくともMnを含有する付活元素を表す。)
【0117】
なお、MとしてSi以外に含まれていても良い付活元素としては、Ti、Zr、Ge、Sn、Al、Ga、B、In、Nb、Ta、W、Re、Mo、Zn、及びMgよりなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0118】
上記式[R1]及び[R2]において、Rは、少なくともMnを含有する付活元素であり、RとしてMn以外に含まれていても良い付活元素としては、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Ru、及びAgよりなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
【0119】
Rは、Mnを通常全R量に対して90モル%以上含むことが好ましく、より好ましくは95モル%以上、特に98モル%以上含むことが好ましく、Mnのみを含むことが特に好ましい。
【0120】
本発明の蛍光体は、SiとMnとの合計モル数に対するMnの割合(本発明において、この割合を以下「Mn濃度」と称す。)が0.1モル%以上40モル%以下であることを特徴とする。このMn濃度が少な過ぎると、蛍光体による励起光の吸収効率が小さくなるので、輝度が低下する傾向にあり、多過ぎると、吸収効率は大きくなるものの、濃度消光により内部量子効率及び輝度が低下する傾向にある。より好ましいMn濃度は、0.4モル以上、更に好ましくは1モル%以上、特に好ましくは2モル%以上、また、30モル%以下、さらに好ましくは25モル%以下、またさらに好ましくは8モル%以下、特に好ましくは6モル%以下である。
【0121】
上記式[R1]又は[R2]で表される蛍光体は、好ましくは、後述の蛍光体の製造方法に記載される方法により製造されるが、当該蛍光体の製造方法において、以下の理由により、蛍光体原料の仕込み組成と得られる蛍光体の組成とに若干のずれが生じる。本発明の蛍光体は、蛍光体製造時の原料の仕込み組成ではなく、得られる蛍光体の組成として、上記の特定の組成を有することを特徴とする。
【0122】
ここで、Mn4+のイオン半径(0.53Å)はSi4+のイオン半径(0.4Å)に比べて大きく、Mn4+は、KSiFに全固溶せず、部分固溶するので、本発明の蛍光体においては仕込み組成に比べて、実質的に付活されるMn4+濃度は制限され、少なくなる。ただし、蛍光体中に含有されるMn4+の濃度が低い場合でも、後述の製造方法によれば、粒子成長が促進されるので十分な吸収効率及び輝度を提供することができる。
【0123】
なお、本発明における蛍光体中に含まれるMn濃度の化学組成分析は例えば、SEM−EDXにより測定することができる。この方法は、走査型電子顕微鏡(SEM)測定において、蛍光体に電子線(例えば、加速電圧20kV)を照射し、蛍光体中に含まれる各元素から放出される特性X線を検出して元素分析を行うものである。測定装置としては、日立製作所社製SEM(S−3400N)と、堀場製作所社製エネルギー分散X線分析装置(EDX)EX−250x−actとを用いて行うことができる。
【0124】
なお、上記蛍光体には、上述の蛍光体を構成する元素以外にAl、Ga、B、In、Nb、Ta、W、Re、Mo、Zn、及びMgよりなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素が、上記蛍光体の性能に悪影響を与えない範囲で含有されていてもよい。
【0125】
上記式[R1]又は[R2]で表される蛍光体は、各構成元素を含有する原料を混合し、公知の方法に準じて製造することができる。具体的には、各試薬をフッ化水素酸に溶解させてから、溶液を加熱して蛍光体を蒸発乾固させて得る方法(J. Electrochem. Soc. Vol. 120,No.7,(1973),942−947、米国特許出願公開第2006/169998号明細書)や、各試薬をHF酸に溶解させてから、貧溶媒を添加することにより、蛍光体を析出させる貧溶媒析出法(米国特許第3576756号参照)などを用いることができる。
【0126】
また、上記式[R1]で表される蛍光体の場合には、上記のような貧溶媒析出法より、下記のような貧溶媒を使用しない方法により製造されるものが好ましい。ここで、貧溶媒を用いない方法とは、「K、Na、Si、Mn、及びFからなる群から選ばれる1種以上の元素を含む溶液の2種以上を混合した後、混合により析出した析出物(蛍光体)を得る方法」が挙げられ、本方法では、混合する溶液に、目的とする蛍光体を構成する元素の全ての元素が含まれていることが好ましい。混合する溶液の組み合わせとしては、具体的には以下の2−1)と以下の2−2)が挙げられる。
【0127】
2−1) 少なくともSiとFとを含有する溶液と、少なくともK(及び/又はNa)とMnとFとを含有する溶液とを混合する方法。
【0128】
2−2) 少なくともSiとMnとFとを含有する溶液と、少なくともK(及び/又はNa)とFとを含有する溶液とを混合する方法。
【0129】
上記「少なくともSiとFとを含有する溶液」としては、SiF源を含有するフッ化水素酸(以下、「HF水溶液」と称する。)が挙げられ、上記「少なくともK(及び/又はNa)とMnとFとを含有する溶液」としてはK(及び/又はNa)源とMn源とを含むHF水溶液が挙げられる。
【0130】
また、上記「少なくともSiとMnとFとを含有する溶液」としては、SiF源とMn源とを含むHF水溶液が挙げられ、上記「少なくともK(及び/又はNa)とFとを含有する溶液」としては、K(及び/又はNa)源を含むHF水溶液が挙げられる。
【0131】
反応後、目的とする蛍光体の結晶が析出するため、この結晶を濾過等により固液分離して回収し、エタノール、水、アセトン等の溶媒で洗浄した後、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、より好ましくは150℃以上、また、通常300℃以下、好ましくは250℃以下、より好ましくは200℃以下で乾燥することが好ましい。乾燥する時間としては、蛍光体に付着した水分を蒸発することができれば、特に制限はないが、例えば、1〜2時間程度乾燥する。
【0132】
本発明に用いられる上記式[R1]又は[R2]で表される蛍光体としては、その比表面積が、通常1.3m/g以下、好ましくは1.1m/g以下、特に好ましくは1.0m/g以下で、通常0.05m/g以上、中でも0.1m/g以上であることが好ましい。蛍光体の比表面積が小さすぎると蛍光体粒子が大きいことから、塗布ムラやディスペンサー等の閉塞を生じる傾向にあり、大きすぎると蛍光体粒子が小さいことから外部との接触面積が大きくなり、耐久性に劣るものとなる。
【0133】
なお、上述の蛍光体の比表面積は、BET1点法により、例えば、(株)大倉理研社製全自動比表面積測定装置(流動法)AMS1000Aを用いて測定される。
【0134】
また、さらに、粒度分布のピーク値が一つであることが好ましい。その粒度分布のピークの幅が狭いことがより好ましく、粒度分布の四分偏差が、0.60以下、好ましくは0.40以下、より好ましくは0.35以下、さらに好ましくは0.30以下、特に好ましくは0.25であり、通常0.18以上、好ましくは0.20以上である。なお、粒度分布の四分偏差は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定した粒度分布曲線を用いて算出することができる。
【0135】
[2−2]緑色蛍光体
本発明の半導体発光装置において固体発光素子と組み合わせられる緑色蛍光体としては、515〜550nm、好ましくは515〜535nmの波長領域に1以上の発光ピーク波長を有する様々な蛍光体を使用することが可能である。そのような色純度の高い画像を実現するための緑色蛍光体としては、酸窒化物蛍光体、サイアロン蛍光体、アルミン酸塩系蛍光体およびオルトケイ酸塩系蛍光体が挙げられ、中でも、ユーロピウムおよび/またはセリウムで付活された酸窒化物蛍光体、ユーロピウムで付活されたサイアロン蛍光体、ユーロピウムで付活されたMn含有アルミン酸塩系蛍光体およびユーロピウムで付活されたオルトケイ酸塩系蛍光体が好ましい。
【0136】
以下、好ましく用いられる緑色蛍光体の具体例について説明する。
[2−2−1]ユーロピウムおよび/またはセリウムで付活された酸窒化物蛍光体
また、緑色蛍光体の他の具体例として、下記一般式[G1]で表される化合物が挙げられる。
M1xBayM2zuvw [G1]
(但し、一般式[G1]中、M1はCr、Mn、Fe、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも1種類の付活元素を示し、M2はSr、Ca、Mg及びZnから選ばれる少なくとも1種類の二価の金属元素を示し、Lは周期律表第4族又は14族に属する金属元素から選ばれる金属元素を示し、x、y、z、u、v及びwは、それぞれ以下の範囲の数値である。
0.00001≦x≦3
0≦y≦2.99999
2.6≦x+y+z≦3
0<u≦11
6<v≦25
0<w≦17)
上記一般式[G1]において、M1は付活元素である。
【0137】
M1としては、Eu以外にCr、Mn、Fe、Ce、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Ho、Er、Tm及びYbからなる群より選ばれる少なくとも1種類の遷移金属元素又は希土類元素が挙げられる。なお、M1としては、これらの元素のうち何れか一種を単独で含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有していてもよい。中でも、Euの他、希土類元素であるCe、Sm、Tm又はYbが好ましい元素として挙げられる。さらにその中でも、上記M1としては、発光量子効率の点で、少なくともEu又はCeを含有するものであることが好ましい。また、その中でも特に、発光ピーク波長の点で、少なくともEuを含有するものがより好ましく、Euのみを用いることが特に好ましい。
【0138】
該付活元素M1は、本発明の蛍光体中において、2価のカチオン及び/又は3価のカチオンとして存在することになる。この際、付活元素M1は、2価のカチオンの存在割合が高い方が好ましい。M1がEuである場合、具体的には、全Eu量に対するEu2+の割合は、通常20モル%以上、好ましくは50モル%以上、より好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上である。
【0139】
なお、本発明の蛍光体に含まれる全Eu中のEu2+の割合は、例えば、X線吸収微細構造(X−ray Absorption Fine Structure)の測定によって調べることができる。すなわち、Eu原子のL3吸収端を測定すると、Eu2+とEu3+が別々の吸収ピークを示すので、その面積から比率を定量できる。また、本発明の蛍光体に含まれる全Eu中のEu2+の割合は、電子スピン共鳴(ESR)の測定によっても知ることができる。
【0140】
また、上記一般式[G1]において、xは0.00001≦x≦3の範囲の数値である。このうちxは、好ましくは0.03以上であり、より好ましくは0.06以上、特に好ましくは0.12以上である。一方、付活元素M1の含有割合が大きすぎると濃度消光が生じる場合もあるため、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.7以下、特に好ましくは0.45以下である。
【0141】
また、本発明の蛍光体は、後述する特定の相結晶構造(以下、「BSON相結晶構造」と称することがある。)を維持しつつ、Baの位置をSr、Ca、Mg及び/又はZnで置換することができる。よって、上記一般式[G1]において、M2は、Sr、Ca、Mg及びZnから選ばれる少なくとも1種の二価の金属元素を表わす。この際、M2は、好ましくはSr、Ca及び/又はZnであり、より好ましくはSr及び/又はCaであり、さらに好ましくはSrである。また、Ba及びM2は、さらにその一部をこれらのイオンで置換してもよいものである。
【0142】
なお、上記一般式[G1]におけるM2としては、これらの元素のうち何れか一種を単独で含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有していてもよい。
【0143】
上記Caイオンによる置換では、Ba及びCaの合計量に対するCaの存在割合が、40モル%以下であることが好ましい。これよりもCa量が増えると発光波長の長波長化、発光ピーク強度の低下を招く場合がある。
【0144】
上記Srイオンによる置換では、Ba及びSrの合計量に対するSrの存在割合が、50モル%以下であることが好ましい。これよりもSr量が増えると発光波長の長波長化、及び、発光ピーク強度の低下を招く場合がある。
【0145】
上記Znイオンによる置換では、Ba及びZnの合計量に対するZnの存在割合が、60モル%以下であることが好ましい。これよりもZn量が増えると発光波長の長波長化、及び、発光ピーク強度の低下を招く場合がある。
【0146】
したがって、上記一般式[G1]において、zの量は、置換する金属元素M2の種類とyの量とに応じて設定すればよい。具体的には、上記一般式[G1]において、上記yとしては、0≦y≦2.9999の範囲の数値である。また、一般式[G1]において、x+y+zは2.6≦x+y+z≦3である。
【0147】
本発明の蛍光体においては、酸素あるいは窒素と共に、BaやM2元素が欠損することがある。このため、上記一般式[G1]においては、x+y+zの値が3未満となることがあり、x+y+zは、通常、2.6≦x+y+z≦3の値を取りうるが、理想的にはx+y+z=3である。
【0148】
また、本発明の蛍光体は、結晶構造の安定性の観点から、Baを含有することが好ましい。したがって、上記一般式[G1]においてyは、0より大きいことが好ましく、より好ましくは0.9以上、特に好ましくは1.2以上であり、また、不活剤元素の含有割合との関係から2.99999より小さいことが好ましく、より好ましくは2.99以下、さらに好ましくは2.98以下、特に好ましくは2.95以下である。
【0149】
上記一般式[G1]において、Lは、Ti、Zr、Hf等の周期律表第4族の金属元素、又は、Si、Ge等の周期律表第14族の金属元素から選ばれる金属元素を表わす。なお、Lは、これらの金属元素のうち何れか一種を単独で含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有していてもよい。このうちLとして好ましくはTi、Zr、Hf、Si又はGeであり、より好ましくはSi又はGeであり、特に好ましくはSiである。ここで、上記Lは、蛍光体の結晶の電荷バランスの点で当該蛍光体の性能に悪影響を与えない限りにおいて、その一部にB、Al、Ga等の3価のカチオンとなりうる金属元素が混入していても良い。その混入量としては、Lに対して、通常10原子%以下、好ましくは5原子%以下である。
【0150】
また、上記一般式[G1]において、uは、通常11以下、好ましくは9以下、より好ましくは7以下であり、また、0より大きく、好ましくは3以上、より好ましくは5以上の数値である。
【0151】
Oイオン及びNイオンの量は、一般式[G1]において数値v及びwで表される。具体的には、上記一般式[G1]において、vは通常6より大きい数値であり、好ましくは7より大きく、より好ましくは8より大きく、さらに好ましくは9より大きく、特に好ましくは11より大きい数値であり、また、通常25以下であり、好ましくは20より小さく、より好ましくは15より小さく、更に好ましくは13より小さい数値である。
【0152】
また、本発明の蛍光体は酸窒化物であるので、Nは必須成分である。このため、上記一般式[G1]において、wは、0より大きい数値である。また、wは通常17以下の数値であり、好ましくは10より小さく、より好ましくは4より小さく、更に好ましくは2.4より小さい数値である。
【0153】
したがって、上記の観点から、上記一般式[G1]においては、u、v及びwが、それぞれ5≦u≦7、9<v<15、0<w<4であることが特に好ましい。これにより、発光ピーク強度を高めることができる。
【0154】
また、本発明の蛍光体は、(M1+Ba+M2)やLといった金属元素に対する酸素原子の割合が窒素原子の割合より多いことが好ましく、酸素原子の量に対する窒素原子の量(N/O)としては、70モル%以下、好ましくは50モル%以下、より好ましくは30モル%以下、さらに好ましくは20モル%未満である。また、下限としては、通常0モル%より大きく、好ましくは5モル%以上、より好ましくは10モル%以上である。
【0155】
本発明の蛍光体の好ましい組成の具体例を以下に挙げるが、本発明の蛍光体の組成は以下の例示に制限されるものではない。
【0156】
なお、下記の例示で、括弧内は、カンマ(,)で区切られた元素のいずれか1以上を含む組成であることを示す。例えば、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)6122:(Eu,Ce,Mn)とは、Ca、SrおよびBaよりなる群から選ばれる1以上の原子、SiおよびGeよりなる群から選ばれる1以上の原子、O、ならびにNからなり、さらにEu、CeおよびMnよりなる群から選ばれる1以上の原子で付活された蛍光体を示す。
【0157】
本発明で用いられる緑色蛍光体の好ましい具体例としては、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)6122:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)694:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)638:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)7128/3:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)81214/3:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)8126:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)28/31222/3:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)29/31226/3:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)6.5132:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)7142:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)8162:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)9182:(Eu,Ce,Mn)、(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)10202:(Eu,Ce,Mn)又は(Ca,Sr,Ba)3(Si,Ge)11222:(Eu,Ce,Mn)が挙げられ、より好ましい具体例としては、Ba3Si6122:Eu、Ba3Si694:Eu、Ba3Si638:Eu、Ba3Si7128/3:Eu、Ba3Si81214/3:Eu、Ba3Si8126:Eu、Ba3Si28/31222/3:Eu、Ba3Si29/31226/3:Eu、Ba3Si6.5132:Eu、Ba3Si7142:Eu、Ba3Si8162:Eu、Ba3Si9182:Eu、Ba3Si10202:Eu、Ba3Si11222:Eu、Ba3Si6122:Eu,Mn、Ba3Si694:Eu,Mn、Ba3Si638:Eu,Mn、Ba3Si7128/3:Eu,Mn、Ba3Si81214/3:Eu,Mn、Ba3Si8126:Eu,Mn、Ba3Si28/31222/3:Eu,Mn、Ba3Si29/31226/3:Eu,Mn、Ba3Si6.5132:Eu,Mn、Ba3Si7142:Eu,Mn、Ba3Si8162:Eu,Mn、Ba3Si9182:Eu,Mn、Ba3Si10202:Eu,Mn、Ba3Si11222:Eu,Mn、Ba3Si6122:Ce、Ba3Si694:Ce、Ba3Si638:Ce、Ba3Si7128/3:Ce、Ba3Si81214/3:Ce、Ba3Si8126:Ce、Ba3Si28/31222/3:Ce、Ba3Si29/31226/3:Ce、Ba3Si6.5132:Ce、Ba3Si7142:Ce、Ba3Si8162:Ce、Ba3Si9182:Ce、Ba3Si10202:Ce、Ba3Si11222:Ce、などが挙げられる。
【0158】
本発明に用いられる前記酸窒化物蛍光体は、特定の結晶構造、即ち以下で定義するBSON相結晶構造を含んでいることが好ましい。
【0159】
[2−2−1−1]BSON相
CuKαのX線源を用いたX線回折測定において回折角(2θ)26.9〜28.2゜の範囲(R0)に回折ピークが観測される結晶相であって、当該回折ピーク(P0)を基準回折ピークとし、P0のブラッグ角(θ0)より導かれる5つの回折ピーク(但し、20.9°〜22.9°の角度範囲にある回折ピークは除く)を低角度側から順にそれぞれP1、P2、P3、P4及びP5とし、これらの回折ピークの回折角の角度範囲を、R1、R2、R3、R4及びR5としたときに、R1、R2、R3、R4及びR5が、それぞれ
R1=R1s〜R1e、
R2=R2s〜R2e、
R3=R3s〜R3e、
R4=R4s〜R4e、
R5=R5s〜R5eの角度範囲を示すものであり、
R1、R2、R3、R4及びR5のすべての範囲に回折ピークが少なくとも1本存在し、且つ、P0、P1、P2、P3、P4及びP5のうち、回折ピーク高さが最も高い回折ピークの高さに対して、P0の強度が回折ピーク高さ比で20%以上の強度を有するものであり、P1、P2、P3、P4又はP5の少なくとも1以上のピーク強度が回折ピーク高さ比で5%以上、好ましくは9%以上である結晶相をいう。
【0160】
ここで、角度範囲R0、R1、R2、R3、R4及びR5のそれぞれの角度範囲内に回折ピークが2本以上存在する場合は、これらのうち最もピーク強度の高いピークを、それぞれP0、P1、P2、P3、P4及びP5とする。
【0161】
また、R1s、R2s、R3s、R4s及びR5sは、それぞれR1、R2、R3、R4及びR5の開始角度、R1e、R2e、R3e、R4e及びR5eは、それぞれR1、R2、R3、R4及びR5の終了角度を示すものであって、以下の角度を示す。
R1s:2×arcsin{sin(θ0)/(1.994×1.015)}
R1e:2×arcsin{sin(θ0)/(1.994×0.985)}
R2s:2×arcsin{sin(θ0)/(1.412×1.015)}
R2e:2×arcsin{sin(θ0)/(1.412×0.985)}
R3s:2×arcsin{sin(θ0)/(1.155×1.015)}
R3e:2×arcsin{sin(θ0)/(1.155×0.985)}
R4s:2×arcsin{sin(θ0)/(0.894×1.015)}
R4e:2×arcsin{sin(θ0)/(0.894×0.985)}
R5s:2×arcsin{sin(θ0)/(0.756×1.015)}
R5e:2×arcsin{sin(θ0)/(0.756×0.985)}
【0162】
なお、本発明で用いる蛍光体はCuKαのX線源を用いたX線回折測定において、二酸化ケイ素の一結晶形態であるクリストバライト、α−窒化珪素、β−窒化珪素等の不純物相を含有しても良い。これら不純物の含有量は、CuKαのX線源を用いたX線回折測定により知ることが出来る。即ち、X線回折測定結果のうちの不純物相の最強ピーク強度が、前記P0、P1、P2、P3、P4及びP5のうちの最強ピーク強度に対して、通常40%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、更に好ましくは10%以下であり、特には、不純物相のピークが観察されずBSON相が単一相として存在することが好ましい。これにより、発光ピーク強度を高めることができる。
【0163】
本発明に用いる前記酸窒化物蛍光体は、国際公開2007/088966号パンフレットに記載の蛍光体を用いることができる。
【0164】
また、緑色蛍光体の他の具体例としては、例えば、例えば、化学式(Sr1-m-nCaBa)Si:Eu(m=0.002〜0.2、n=0.0〜0.25、o=0.0〜0.25、x=1.5〜2.5、y=1.5〜2.5、z=1.5〜2.5)を有する、紫外光から青色の範囲の波長の光によって励起可能なEu2+活性Sr−SiONが挙げられる。
【0165】
上記蛍光体の具体例としては、例えばEP1413618号公報及び特表2005−530917号公報、並びに特開2004−134805号公報等に記載される公知の蛍光体が挙げられる。
【0166】
[2−2−2]ユーロピウムで付活されたサイアロン蛍光体
また、緑色蛍光体の他の具体例としては、例えば、平成17年3月23日独立行政法人物質・材料研究機構により発表された筑波研究学園都市記者会、文部科学記者会、科学記者会資料「白色LED用緑色蛍光体の開発に成功」に記載のユーロピウムで付活されたβ−SiAlON等が挙げられる。
【0167】
[2−2−3]ユーロピウム付活されたMn含有アルミン酸塩系蛍光体
該緑色蛍光体の他の具体例として、下記一般式[G2]で表される化合物が挙げられる。
1−aEu1−bMn1017 [G2]
(一般式[G2]において、a、bは、それぞれ0.05<a≦1、0.6<a/b<5、0.01<b≦0.9を満足する数であり、Rは、Ba、Sr、Caの群から選ばれる少なくとも一種の元素を示し、Mは、Mg及び/又はZnを示し、Aは、Al、Ga、Sc、Bの群から選ばれる少なくとも一種の元素を示す。)
【0168】
このうち、aが0.05以下の場合には波長400nmの光により励起した際の前記結晶相の発光ピーク強度が低くなる傾向にある。aが0.05<a≦1を満足する数の化学組成を有する結晶相は、発光ピーク強度が高いので好ましい。同様の理由で、aは、0.1≦a≦1がより好ましく、0.2≦a≦1が更に好ましく、0.25≦a≦1が特に好ましく、0.3≦a≦1が最も好ましい。
【0169】
また、bに対するaの比a/bが0.6以下の場合には、波長400nmの励起光を十分に吸収できずに、第2の発光体からの発光ピーク強度が小さくなる傾向にある。一方、a/bが5以上の場合には、緑色の発光ピーク強度より青色の発光ピーク強度が強くなり色純度の良い緑色発光が得られにくい。a/bが0.6<a/b<5を満足する化学組成を有する結晶相は、波長450nm近傍の青色の発光ピーク強度に対する波長515nm近傍の緑色の発光ピーク強度の比が高く、緑色純度が高く、演色性の良い発光装置が得られるので好ましい。同様の理由で、a/bの下限は、a/b≧0.8が好ましく、a/b≧1がより好ましい。また上限は、a/b≦4が好ましく、a/b≦3がより好ましい。
【0170】
上記一般式[G2]におけるRで表される元素としては、Ba、Sr、Caの群から選ばれる少なくとも一種の元素であるが、Ba及び/又はSrとなる化学組成を有する結晶相を含有することが高い発光ピーク強度が得られるため好ましい。また、BaをRの50mol%以上とし、かつ、SrをRの10mol%以上とすることが高い発光ピーク強度が得られるのでより好ましい。
【0171】
上記一般式[G2]におけるMで表される元素としては、Mg及び/又はZnであるが、Mgである化学組成を有する結晶相を含有することが高い発光ピーク強度が得られるため好ましい。
【0172】
上記一般式[G2]におけるAで表される元素としては、Al、Ga、Sc、Bの群から選ばれる少なくとも一種の元素であるが、Aの50mol%以上がAlとなる化学組成を有する結晶相を含有していることが、高い発光ピーク強度を得る上で好ましい。さらに、Aの99%以上がAlであることが、発光特性が良好となりより好ましい。
【0173】
これらの中でも、上記組成の蛍光体の結晶相にアルカリ金属を含有し、かつ、Euが置換しうるサイト数に対するアルカリ金属元素の含有率が3%以下である蛍光体が近紫外光で励起した場合でも安定して高い発光ピーク強度及び輝度を有し、かつ、温度特性にも優れているため好ましい。
【0174】
上記アルカリ金属元素としては、Li、Na及びKが好ましく、Na及びKが特に好ましい。
【0175】
また、上記アルカリ金属元素の含有率としては、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.2%以上、更に好ましくは0.3%以上、特に好ましくは0.5%以上であり、好ましくは2.6%以下、より好ましくは2.3%以下、更に好ましくは2%以下、中でも好ましくは1.8%以下、特に好ましくは1.6%以下である。
【0176】
さらに、上記蛍光体としては、アニオン元素としてFを含有しているものが好ましい。F元素の含有率としては、上記組成の蛍光体の結晶相のEuが置換しうるサイト数に対して、0%より大きく、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.05%以上、更に好ましくは0.1%以上であり、通常、10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下である。
【0177】
このような蛍光体は、国際公開2008/123498号パンフレットにも記載されているように、原料混合物の焼成時にフラックスとして1価金属のハロゲン化物を所定濃度で共存させることにより得ることができる。
【0178】
これらの蛍光体は、温度25℃で測定を行なった、励起波長340nmでの発光ピーク強度に対する励起波長400nmでの発光ピーク強度の減少率が29%以下のものであり、好ましくは26%以下、より好ましくは23%以下となる。また、温度25℃で測定を行なった、励起波長382nmでの発光ピーク強度に対する励起波長390nmでの発光ピーク強度の減少率が3.1%以下のものであり、好ましくは2.5%以下、より好ましくは2%以下、更に好ましくは1.5%以下となる。なお、これらの発光ピーク強度の減少率は通常0以上である。
【0179】
上記励起スペクトルは、例えば、励起光源として150Wキセノンランプを、スペクトル測定装置として、マルチチャンネルCCD検出器C7041(浜松フォトニクス社製)を備える蛍光測定装置(日本分光社製)を用いて行なうことができる。
【0180】
[2−2−4]ユーロピウム付活されたオルトケイ酸塩系蛍光体
該緑色蛍光体の他の具体例として、下記一般式[G3]で表される化合物が挙げられる。
(M1(1−x)M2αSiOβ [G3]
(一般式[G3]中、M1は、Ba、Ca、Sr、Zn及びMgからなる群より選ばれる1種以上の元素を表わし、M2は、2価及び3価の原子価を取り得る1種以上の金属元素を表わす。
x、α及びβは各々、0.01<x<0.3、1.5≦α≦2.5、及び、3.5≦β≦4.5
を満たす数を表わす。)
【0181】
中でも、M1は、少なくともBaを含有することが好ましい。この場合、M1全体に対するBaのモル比は、通常0.5以上、中でも0.55以上、更には0.6以上、また、通常1未満、中でも0.97以下、更には0.9以下、特に0.8以下の範囲が好ましい。
【0182】
さらに、M1は、少なくともBa及びSrを含有することが好ましい。ここで、M1全体に対するBa及びSrのモル比をそれぞれ[Ba]及び[Sr]とすると、[Ba]及び[Sr]の合計に対する[Ba]の割合、即ち、[Ba]/([Ba]+[Sr])で表わされる値が、通常0.5より大きく、中でも0.6以上、更には0.65以上、また、通常1以下、中でも0.9以下、更には0.8以下の範囲であることが好ましい。
【0183】
また、[Ba]と[Sr]との相対比、即ち、[Ba]/[Sr]で表わされる値が、通常1より大きく、中でも1.2以上、更には1.5以上、特に1.8以上、また、通常15以下、中でも10以下、更には5以下、特に3.5以下の範囲であることが好ましい。
【0184】
また、前記一般式[G3]において、M1が少なくともSrを含有する場合、Srの一部がCaによって置換されていてもよい。この場合、Caによる置換量は、Srの全量に対するCa置換量のモル比率の値で、通常10%以下、中でも5%以下、更には2%以下の範囲であることが好ましい。
【0185】
また、Siは、Ge等の他の元素によって一部置換されていてもよい。但し、緑色の発光ピーク強度等の面から、Siが他の元素によって置換されている割合は、できるだけ低い方が好ましい。具体的には、Ge等の他の元素をSiの20モル%以下含んでいてもよく、全てがSiからなることがより好ましい。
【0186】
前記一般式[G3]中、M2は、付活元素として挙げられているもので、2価及び3価の原子価を取り得る1種以上の金属元素を表わす。具体例としては、Cr、Mn等の遷移金属元素;Eu、Sm、Tm、Yb等の希土類元素;等が挙げられる。M2としては、これらの元素のうち何れか一種を単独で含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併有していてもよい。中でも、M2としてはSm、Eu、Ybが好ましく、Euが特に好ましい。
【0187】
前記一般式[G3]中、xは、M2のモル数を表わす数であり、具体的には、通常0.01より大きく、好ましくは0.04以上、更に好ましくは0.05以上、特に好ましくは0.06以上、また、通常0.3未満、好ましくは0.2以下、更に好ましくは0.16以下の数を表わす。
【0188】
前記一般式[G3]中、αは2に近いことが好ましく、通常1.5以上、好ましくは1.7以上、更に好ましくは1.8以上、また、通常2.5以下、好ましくは2.2以下、更に好ましくは2.1以下の範囲の数を表わし、特に好ましくは2である。
【0189】
前記一般式[G3]中、βは、通常3.5以上、好ましくは3.8以上、更に好ましくは3.9以上、また、通常4.5以下、好ましくは4.4以下、更に好ましくは4.1以下の範囲の数を表わす。
【0190】
また、特定組成蛍光体は、前記式(一般式[G3]に記載された元素、即ちM1、M2、Si(ケイ素)及びO(酸素)以外に、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、アルミニウム(Al)、スカンジウム(Sc)、リン(P)、窒素(N)、希土類元素、及びハロゲン元素等の1価の元素、2価の元素、3価の元素、−1価の元素及び−3価の元素からなる群から選ばれる元素(これを以下適宜「微量元素」という。)を含有していてもよく、特にアルカリ金属元素又はハロゲン元素を含有しているものが好ましい。
【0191】
上記の微量元素の含有量の合計は、通常1ppm以上、好ましくは3ppm以上、更に好ましくは5ppm以上、また、通常100ppm以下、好ましくは50ppm以下、更に好ましくは30ppm以下である。特定組成蛍光体が複数種の微量元素を含有する場合には、それらの合計量が上記範囲を満たすようにする。
【0192】
上述のような一般式[G3]で表される蛍光体としては、国際公開2007/052405号パンフレットに記載されているものが挙げられるが、中でも、特に原料混合物又はそれを焼成して得られる蛍光体前駆体を焼成し、該焼成の後で強還元性雰囲気下において、フラックスとして蛍光体中のケイ素(Si)に対するモル比で0.05モル以上SrClを単独、もしくは、さらに0.1モル以上のCsClの存在下で焼成する工程を経て得られたものが高い外部量子効率を有するため好ましい。
【0193】
また焼成時には、固体カーボンを共存させる等の強還元雰囲気下で焼成を行ったものが好ましい。
【0194】
このような一般式[G3]で表される蛍光体は、ピーク波長400nmまたは455nmの光で励起した場合の発光ピーク半値幅が75nm以下であり、ピーク波長400nmまたは455nmの光で励起した場合の、下記式で規定される外部量子効率が0.59以上、好ましくは0.60以上、より好ましくは0.63以上、更に好ましくは0.65以上であるという特性を有するものである。
(外部量子効率)=(内部量子効率)×(吸収効率)
【0195】
[2−3]青色蛍光体
本発明の半導体発光装置において必要に応じて固体発光素子と組み合わせられる青色蛍光体としては、420nm〜490nm、好ましくは430nm〜480nmの波長領域に1以上の発光ピーク波長を有する様々な蛍光体を使用することが可能である。そのような色純度の高い画像を実現するための青色蛍光体としては、ハロリン酸塩系蛍光体、アルミン酸塩系蛍光体、メルウィナイト系蛍光体が挙げられ、中でも、ユーロピウムで付活されたハロリン酸塩系蛍光体、ユーロピウムで付活されたアルミン酸塩系蛍光体、ユーロピウムで付活されたメルウィナイト系蛍光体が好ましい。
【0196】
以下、好ましく用いられる青色蛍光体の具体例について説明する。
【0197】
[2−3−1]ユーロピウム付活ハロリン酸塩系蛍光体
青色蛍光体の具体例として、下記一般式[B1]で表わされる化学組成を有することを特徴とする蛍光体が挙げられる。
(Sr10−x−y−zEuMn)(PO(Cl1−a [B1]
(前記一般式[B1]において、
「M」は、Ba、Ca、Mg、及びZnからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わし、
「Q」は、F、Br、及びIからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を表わし、
「x」、「y」、「z」、及び「a」は、各々、
0≦x<10、
0.3≦y≦1.5、
0≦z≦3、
0≦a≦1、
x+y+z≦10、
を満たす数を表わす。)
【0198】
前記一般式[B1]中、「M」は、Ba、Ca、Mg、及びZnからなる群より選ばれる1種以上の元素を表わす。上記「M」としては、これらの元素のうち何れか一種を単独で含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用していてもよい。
【0199】
前記一般式[B1]中、「x」は、Srサイトに対する「M」の置換量を表わす数値である。該数値は、通常0以上、また、通常10未満、好ましくは5以下、さらに好ましくは2以下である。中でも本発明の蛍光体を照明用途に用いるときなど、発光ピークの半値幅が広く、輝度が高い蛍光体を得たい場合は、「x」は、通常0.1以上、好ましくは0.5以上、また、通常10未満である。一方、本発明の蛍光体を画像表示装置のバックライト用途に用いる場合は、発光ピークの半値幅が狭いことが好ましいため、「x」は、好ましくは0.3以下、更に好ましくは0である。
【0200】
前記一般式[B1]中、「y」は、Srサイトに対するEuの置換量を表わす数値である。該数値の下限としては、通常0.3以上、好ましくは0.4以上、特に好ましくは0.5以上である。ここで、Euの置換量が少ないと十分な発光ピーク強度が得られない可能性がある。一方、Euの置換量が多いと発光ピーク強度が高くなる反面、温度特性が低下する可能性があるため、Euの置換量の上限としては、通常1.5以下、さらに好ましくは1.2以下、より好ましくは1未満、特に好ましくは0.9未満である。
【0201】
前記一般式[B1]中、「z」は、Srサイトに対するMnの置換量を表わす数値である。該数値は、通常0以上、また、通常3以下である。特に、青色発光の蛍光体を得たい場合は、「z=0」であることがより好ましい。
【0202】
なお、「x」、「y」、及び「z」の関係は、「x+y+z≦10」であることが好ましいが、「x+y+z<10」であることが更に好ましい。これは、即ち、一般式[B1]で表わされる化学組成に少なくともSrが含まれていた方が好ましいことを意味する。
【0203】
前記一般式[B1]中、「Q」は、F、Br、及びIからなる群より選ばれる1種以上の元素を表わす。上記「Q」としては、これらの元素のうち何れか一種を単独で含有していてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用していてもよい。
【0204】
前記式(B1)中、「a」は、Clサイトに対するQの置換量を表わす数値である。「a」は、通常0以上、また、通常1以下、好ましくは0.1以下である。この範囲を上回ると発光ピーク波長がシフトする可能性がある。特に青色発光の蛍光体を得たい場合は「a=0」であることが好ましい。
【0205】
上述したように、前記一般式[B1]においてSrサイトは、Ba、Ca、Mg、Zn、Mn等の2価の金属元素で置換することができる。またClサイトは、F、Br、I等で置換することが出来る。なお、前記のSrサイトにはアルカリ土類金属が位置することが多いため、当該サイトはアルカリ土類金属サイトと呼ぶこともできる。
【0206】
さらに、少量であれば、前述した元素以外の元素を置換していてもよく、例えば、Srサイトに、NaやLa等の価数の異なる金属元素が置換していてもよい。
【0207】
本発明で用いることのできる青色蛍光体の好ましい組成の具体例を以下に挙げるが、本発明で用いることのできる青色蛍光体の組成は以下の例示に制限されるものではない。
【0208】
青色蛍光体としては、例えば、(Sr9.2Eu0.8)(POCl、(SrEu)(POCl、(Sr8.2CaEu0.8)(POCl、(Sr7.2BaCaEu0.8)(POCl、(SrEu)(POCl1.80.2、(Sr9.1Eu0.8Mn0.1)(POCl、(SrBaCaMgEu)(POCl1.80.2等が挙げられる。
【0209】
また、上記一般式[B1]で表される蛍光体としては、中でも、その外部量子効率が高いものであることが好ましい。具体的には、蛍光体を波長400nmの光で励起した場合における外部量子効率ηは、通常77%以上、好ましくは78%以上、より好ましく79%以上、更に好ましくは80%以上である。
【0210】
また、さらに、上記一般式[B1]で表される蛍光体としては、室温(25℃)における励起スペクトルにおいて、波長400nmにおける励起ピークの強度をIex(400)、波長350nmにおける励起ピークの強度をIex(350)としたときに、Iex(400)/Iex(350)の値が、0.8以上が好ましく、0.85以上が更に好ましく、0.86以上がより好ましく、0.9以上が特に好ましく、1に近くなるほど好ましい。なお、Iex(400)/Iex(350)の値は、励起スペクトルの形状を特徴付ける値であり、該値が1に近いほど、励起帯が平坦であることを表わす。
【0211】
上記一般式[B1]で表される蛍光体の製造方法としては、国際公開2009/005035号パンフレットに記載の製造方法(例えば、後述の実施例における合成例8に代表されるような製造方法)で製造されたものであることが好ましい。
【0212】
[2−3−2]ユーロピウム付活アルミン酸塩系蛍光体
青色蛍光体の他の具体例として、下記一般式[B2]で表される化合物が挙げられる。
【0213】
1−aEuMg1−bMnAl1017 (B2)
(前記一般式[B2]において、a、bは、それぞれ0.2<a≦0.5、0≦b≦0.1を満足する数であり、Rは、少なくともBaを含み、さらにSr、又はCaを含んでいてもよい元素を示す。)
【0214】
上記一般式[B2]において、発光ピーク強度が高くなるので、aは、0.25≦a≦0.5が特に好ましく、0.3≦a≦0.5が最も好ましい。
【0215】
上記一般式[B2]で表される蛍光体の中でも、上記組成の蛍光体の結晶相にアルカリ金属を含有し、かつ、Euが置換しうるサイト数に対するアルカリ金属元素の含有率が3%以下である蛍光体が近紫外光で励起した場合でも安定して高い発光ピーク強度及び輝度を有し、かつ、温度特性にも優れているため好ましい。
【0216】
上記アルカリ金属元素については、上記一般式[G2]で表される緑色蛍光体の場合と同様である。
【0217】
さらに、上記蛍光体としては、アニオン元素としてFを含有しているものが好ましい。F元素の含有率としては、上記一般式[G2]で表される緑色蛍光体の場合と同様である。
【0218】
また、このような蛍光体の製造方法についても上記一般式[G2]で表される緑色蛍光体の場合と同様である。
【0219】
[2−3]各色蛍光体の好ましい組み合わせ
以上、赤色蛍光体、および緑色蛍光体について説明したが、表1に、上述した各色蛍光体の好ましい組み合わせを例示する。
【0220】
【表1】

【0221】
また、表1に示した組み合わせの中でもより好ましい組み合わせを表2に示す。
【0222】
【表2】

【0223】
さらに、特に好ましい組み合わせを表3に示す。
【0224】
【表3】

【0225】
表1〜3に示す各色蛍光体は、青色または深青色領域の光で励起され、それぞれ赤色領域、および緑色領域の中でも狭帯域で発光し、かつ温度変化による発光ピーク強度の変化が少ないという優れた温度特性を有している。
【0226】
よって、青色または深青色領域の光を発する固体発光素子にこれら各色蛍光体を含む2種以上の蛍光体を組み合わせることで、発光効率を従来よりも高く設定しうる、本発明のカラー画像表示装置用のバックライトに用いる光源に適した半導体発光装置とすることができる。
【0227】
また、近紫外ないし紫外領域の光を発する固体発光素子と蛍光体とを組み合わせて用いる場合は、上記表1〜3に記載の蛍光体の組み合わせにさらに(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO(Cl,F):Eu、及び(Sr,Ba)MgSi:Eu、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Euからなる群から選ばれる1種以上の青色蛍光体を組み合わせることが好ましく、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO(Cl,F):Eu、又は(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Euを組み合わせることがより好ましい。この際、緑色蛍光体としては、BaMgAl1017:Eu,Mnを組み合わせることが好ましい。
【0228】
半導体発光装置に封止材を用いる場合は、耐劣化性および耐熱性の観点から、封止材には前述したシリコーン系材料を用いることが好ましく、その中でも、例えばアルキルアルコキシシランの加水分解・重縮合で得られるSi−O−Si結合を架橋点に有する縮合型シリコーン系材料を用いるのがより好ましい。
【0229】
また、上記の半導体発光装置の発光波長に最適なカラーフィルターを組み合わせることにより、色純度の高い画像表示を実現できる。すなわち、狭帯域で発光ピーク強度が高く、温度特性に優れた赤色蛍光体、および緑色蛍光体を組み合わせた上記の半導体発光装置をバックライト用の光源に用いることで、高いNTSC比においても従来よりも光利用効率が高く、駆動により発熱する固体発光素子を用いるため半導体発光装置が高温になっても発光ピーク強度が安定し、かつ、色ずれも少ない、優れたカラー画像表示装置を得ることができる。
【0230】
[3]カラーフィルター
本発明のカラー画像表示装置に用いられるカラーフィルターは特に限定はないが、例えば下記のものを用いることができる。
【0231】
カラーフィルターは、染色法、印刷法、電着法、顔料分散法などにより、ガラス等の透明基板上に赤、緑、青等の微細な画素を形成したものである。これらの画素間からの光の漏れを遮断し、より高品位な画像を得るために、多くの場合、画素間にブラックマトリクスと呼ばれる遮光パターンが設けられる。
【0232】
染色法によるカラーフィルターは、ゼラチンやポリビニルアルコール等に感光剤として重クロム酸塩を混合した感光性樹脂により画像を形成した後、染色して製造される。印刷法によるカラーフィルターは、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、反転印刷法、ソフトリソグラフィー法(imprint Printing)等の方法で、熱硬化又は光硬化インキをガラス等の透明基板に転写して製造される。電着法では、顔料又は染料を含んだ浴に電極を設けたガラス等の透明基板を浸し、電気泳動によりカラーフィルターを形成させる。顔料分散法によるカラーフィルターは感光性樹脂に顔料等の色材を分散又は溶解した組成物をガラス等の透明基板上に塗布して塗膜を形成し、これにフォトマスクを介して放射線照射による露光を行い、未露光部を現像処理により除去してパターンを形成するものである。これらの方法の他にも色材を分散又は溶解したポリイミド系樹脂組成物を塗布しエッチング法により画素画像を形成する方法、色材を含んでなる樹脂組成物を塗布したフィルムを透明基板に張り付けて剥離し画像露光、現像して画素画像を形成する方法、インクジェットプリンターにより画素画像像を形成する方法等によっても製造できる。
【0233】
近年の液晶表示素子用カラーフィルターの製造では、生産性が高くかつ微細加工性に優れる点から、顔料分散法が主流となっているが、本発明に係るカラーフィルターは上記のいずれの製造方法においても適用可能である。
【0234】
ブラックマトリクスの形成方法としては、ガラス等の透明基板上にクロム及び/又は酸化クロムの(単層又は積層)膜をスパッタリング等の方法で全面に形成させた後、カラー画素の部分のみエッチングにより除去する方法、遮光成分を分散又は溶解させた感光性組成物をガラス等の透明基板上に塗布して塗膜を形成し、これにフォトマスクを介して放射線照射による露光を行い、未露光部を現像処理により除去してパターンを形成する方法、などがある。
【0235】
[3−1]カラーフィルターの製造方法
以下、本発明に係るカラーフィルターの製造方法の具体例を示す。本発明に係るカラーフィルターは、ブラックマトリクスが設けられた透明基板上に通常、赤、緑、青の画素画像を形成することにより製造することができる。透明基板への各色画素の形成に際しては、基本的には、バックライトの発光スペクトルの赤領域、青領域および緑領域のピーク波長を最もよく透過するように、顔料、膜厚を最適化する。より詳しくは、白色点、バックライトのスペクトルの色度指標、要求するNTSC比をカラーマッチングシステムで計算し、最適な顔料、膜厚を設定する。
【0236】
透明基板の材質は特に限定されるものではない。材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルやポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルホンの熱可塑性プラスチックシート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂等の熱硬化性プラスチックシート、あるいは各種ガラス板等が挙げられる。この中でも、耐熱性の点からガラス板、耐熱性プラスチックが好ましい。
【0237】
透明基板には、表面の接着性等の物性を改良するために、予めコロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤やウレタンポリマー等の各種ポリマーの薄膜処理等を行っておいても良い。
【0238】
ブラックマトリクスは、金属薄膜又はブラックマトリクス用顔料分散液を利用して、透明基板上に形成される。
【0239】
金属薄膜を利用したブラックマトリクスは、例えば、クロム単層又はクロムと酸化クロムの2層により形成される。この場合、まず、蒸着又はスパッタリング法等により、透明基板上にこれら金属又は金属・金属酸化物の薄膜を形成する。続いてその上に感光性被膜を形成した後、ストライプ、モザイク、トライアングル等の繰り返しパターンを有するフォトマスクを用いて、感光性被膜を露光・現像し、レジスト画像を形成する。その後、該薄膜をエッチング処理しブラックマトリクスを形成する。
【0240】
ブラックマトリクス用顔料分散液を利用する場合は、色材として黒色色材を含有するカラーフィルター用組成物を使用してブラックマトリクスを形成する。例えば、カーボンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラック等の黒色色材単独もしくは複数の使用、又は、無機又は有機の顔料、染料の中から適宜選択される赤、緑、青色等の混合による黒色色材を含有するカラーフィルター用組成物を使用し、下記赤、緑、青色の画素画像を形成する方法と同様にして、ブラックマトリクスを形成する。
【0241】
ブラックマトリクスを設けた透明基板上に、赤、緑、青のうち1色の色材を含有する前述のカラーフィルター用組成物を塗布して乾燥した後、この塗膜の上にフォトマスクを置き、該フォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化あるいは光硬化により画素画像を形成させ、着色層を作製する。この操作を赤、緑、青の3色のカラーフィルター用組成物について各々行い、カラーフィルター画像を形成する。
【0242】
カラーフィルター用組成物の塗布は、スピナー、ワイヤーバー、フローコーター、ダイコーター、ロールコーター、スプレー等の塗布装置により行うことができる。
【0243】
塗布後の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブン等を用いて行えば良い。乾燥温度は、高温なほど透明基板に対する接着性が向上するが、高すぎると光重合開始系が分解し、熱重合を誘発して現像不良を起こしやすいため、通常50〜200℃、好ましくは50〜150℃の範囲である。また乾燥時間は、通常10秒〜10分、好ましくは30秒〜5分間の範囲である。また、これらの熱による乾燥に先立って、減圧による乾燥方法を適用することも可能である。
【0244】
乾燥後の塗膜の膜厚、すなわち各画素の膜厚は、通常0.5〜3.5μm、好ましくは1.0〜3.0μmの範囲である。膜厚が厚すぎると膜厚のばらつきが大きくなりやすく、薄すぎると顔料濃度が高くなり、画素形成が難しくなる。
【0245】
本発明においては、バックライトの光利用効率が特に優れているため、カラーフィルターの薄膜化が実現可能である。カラーフィルターの薄膜化により、製造工程の短時間化、簡略化が図られ、生産性向上、低価格化へつながり、さらに、表示パネルとして動作させたときバックライトの消費電力を節約することも可能になる。また、薄型の画像表示装置を実現することができるため、デバイスそのものに薄型が要求される携帯電話などに特に好適である。
【0246】
なお、用いるカラーフィルター用組成物が、バインダ樹脂とエチレン性化合物とを併用しており、かつバインダ樹脂が、側鎖にエチレン性二重結合とカルボキシル基を有するアクリル系樹脂である場合には、このものは非常に高感度、高解像力であるため、ポリビニルアルコール等の酸素遮断層を設けることなしに露光、現像して画像を形成することが可能であり好ましい。
【0247】
画像露光に適用し得る露光光源は、特に限定されるものではないが、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源やアルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が用いられる。特定の波長のみを使用する場合には光学フィルターを利用することもできる。
【0248】
このような光源で画像露光を行った後、有機溶剤、又は界面活性剤とアルカリ剤を含有する水溶液を用いて現像を行うことにより、基板上に画像を形成することができる。この水溶液には、更に有機溶剤、緩衝剤、染料又は顔料を含有することができる。
【0249】
現像処理方法については特に制限はないが、通常10〜50℃、好ましくは15〜45℃の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法が用いられる。
【0250】
現像に用いるアルカリ剤としては、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム等の無機のアルカリ剤、あるいはトリメチルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラアルキルアンモニウム等の有機アミン類が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0251】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤が使用可能である。
【0252】
有機溶剤は、単独で用いられる場合及び水溶液と併用される場合ともに、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコール等が使用可能である。
【0253】
[3−2]カラーフィルター用組成物
本願発明のカラー画像表示装置に用いられるカラーフィルター用組成物(レジスト)は特に限定はないが、例えば下記のものを用いることができる。
【0254】
以下に、カラーフィルターを製造するための原料につき、近年主流である顔料分散法を例示して説明する。
【0255】
顔料分散法においては上述したように感光性樹脂に顔料等の色材を分散した組成物(以下「カラーフィルター用組成物」と呼ぶ)を用いる。このカラーフィルター用組成物は、一般に、構成成分として(a)バインダ樹脂及び/又は(b)単量体、(c)色材、(d)その他の成分を、溶媒に溶解又は分散してなる、カラーフィルター用の着色組成物である。
【0256】
以下に各構成成分について詳細に説明する。なお、以下において、「(メタ)アクリル」「(メタ)アクリレート」「(メタ)アクリロ」はそれぞれ「アクリル又はメタクリル」「アクリレート又はメタクリレート」「アクリロ又はメタクリロ」を示す。
【0257】
(a)バインダ樹脂
バインダ樹脂を単独で使用する場合は、目的とする画像の形成性や性能、採用したい製造方法等を考慮し、それに適したものを適宜選択する。バインダ樹脂を後述の単量体と併用する場合は、カラーフィルター用組成物の改質、光硬化後の物性改善のためにバインダ樹脂を添加することとなる。従ってこの場合は、相溶性、皮膜形成性、現像性、接着性等の改善目的に応じて、バインダ樹脂を適宜選択することになる。
【0258】
通常用いられるバインダ樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸、(メタ)アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン、マレイミド等の単独もしくは共重合体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリエチレンテレフタレート、アセチルセルロース、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、ポリビニルフェノール又はポリビニルブチラール等が挙げられる。
【0259】
これらのバインダ樹脂の中で、好ましいのは、側鎖又は主鎖にカルボキシル基又はフェノール性水酸基を含有するものである。これらの官能基を有する樹脂を使用すれば、アルカリ溶液での現像が可能となる。中でも好ましいのは、高アルカリ現像性である、カルボキシル基を有する樹脂、例えば、アクリル酸(共)重合体、スチレン/無水マレイン酸樹脂、ノボラックエポキシアクリレートの酸無水物変性樹脂等である。
【0260】
特に好ましいのは、(メタ)アクリル酸又はカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含む(共)重合体(本明細書ではこれらを「アクリル系樹脂」という)である。即ち、このアクリル系樹脂は、現像性、透明性に優れ、かつ、様々なモノマーを選択して種々の共重合体を得ることが可能なため、性能及び製造方法を制御しやすい点において好ましい。
【0261】
アクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸及び/又はコハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、アジピン酸(2−アクリロイロキシエチル)エステル、フタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、ヘキサヒドロフタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、マレイン酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、コハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシプロピル)エステル、アジピン酸(2−(メタ)アクリロイロキシプロピル)エステル、ヘキサヒドロフタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシプロピル)エステル、フタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシプロピル)エステル、マレイン酸(2−(メタ)アクリロイロキシプロピル)エステル、コハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシブチル)エステル、アジピン酸(2−(メタ)アクリロイロキシブチル)エステル、ヘキサヒドロフタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシブチル)エステル、フタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシブチル)エステル、マレイン酸(2−(メタ)アクリロイロキシブチル)エステルなどの、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに(無水)コハク酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸などの酸(無水物)を付加させた化合物を必須成分とし、必要に応じてスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマー;桂皮酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和基含有カルボン酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のエステル;(メタ)アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させたものである化合物;アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド,N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メタクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミド等のアクリルアミド;酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル、ピバリン酸ビニル等の酸ビニル等、各種モノマーを共重合させることにより得られる樹脂が挙げられる。
【0262】
また、塗膜の強度を上げる目的で、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、メトキシフェニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルスルホアミド等のフェニル基を有するモノマーを10〜98モル%、好ましくは20〜80モル%、より好ましくは30〜70モル%と、(メタ)アクリル酸、又は、コハク酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、アジピン酸(2−アクリロイロキシエチル)エステル、フタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、ヘキサヒドロフタル酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステル、マレイン酸(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)エステルなどのカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルよりなる群から選ばれた少なくとも一種の単量体を2〜90モル%、好ましくは20〜80モル%、より好ましくは30〜70モル%の割合で共重合させたアクリル系樹脂も好ましく用いられる。
【0263】
また、これらの樹脂は、側鎖にエチレン性二重結合を有していることが好ましい。側鎖に二重結合を有するバインダ樹脂を用いることにより、得られるカラーフィルター用組成物の光硬化性が高まるため、解像性、密着性を更に向上させることができる。
【0264】
バインダ樹脂にエチレン性二重結合を導入する手段としては、例えば、特公昭50−34443号公報、特公昭50−34444号公報等に記載の方法、即ち樹脂が有するカルボキシル基に、グリシジル基やエポキシシクロヘキシル基と(メタ)アクリロイル基とを併せ持つ化合物を反応させる方法や、樹脂が有する水酸基にアクリル酸クロライド等を反応させる方法が挙げられる。
【0265】
例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸クロライド、(メタ)アクリルクロライド等の化合物を、カルボキシル基や水酸基を有する樹脂に反応させることにより、側鎖にエチレン性二重結合基を有するバインダ樹脂を得ることができる。特に(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートの様な脂環式エポキシ化合物を反応させたものがバインダ樹脂として好ましい。
【0266】
このように、予めカルボン酸基又は水酸基を有する樹脂にエチレン性二重結合を導入する場合は、樹脂のカルボキシル基や水酸基の2〜50モル%、好ましくは5〜40モル%にエチレン性二重結合を有する化合物を結合させることが好ましい。
【0267】
これらのアクリル系樹脂のGPC(ゲルパーミエッションクロマトグラフィー)で測定した重量平均分子量の好ましい範囲は1,000〜100,000である。重量平均分子量が1,000未満であると均一な塗膜を得るのが難しく、また、100,000を超えると現像性が低下する傾向がある。またカルボキシル基の好ましい含有量の範囲は酸価(mgKOH/g)で5〜200である。酸価が5未満であるとアルカリ現像液に不溶となり、また、200を超えると感度が低下することがある。
【0268】
バインダ樹脂の特に好ましい具体例を以下に説明する。
【0269】
(a−1):「エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させ、更に該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂」
このような樹脂としては、例えば特開2005−154708号公報第0090〜0110段落に記載の樹脂を挙げることができる。
【0270】
(a−2):カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可溶性樹脂
カルボキシル基含有直鎖状アルカリ可溶性樹脂としては、カルボキシル基を有していれば特に限定されず、通常、カルボキシル基を含有する重合性単量体を重合して得られる。このような樹脂としては、例えば、特開2005−232432号公報、第0055〜0066段落に記載の樹脂を挙げることができる。
【0271】
(a−3):前記(a−2)樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂
前記(a−2)カルボキシル基含有樹脂の、カルボキシル基部分にエポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂も特に好ましい。
【0272】
エポキシ基含有不飽和化合物としては、分子内にエチレン性不飽和基及びエポキシ基を有するものであれば特に限定されるものではない。
【0273】
例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジル−α−エチルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、N−(3,5−ジメチル−4−グリシジル)ベンジルアクリルアミド、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等の非環式エポキシ基含有不飽和化合物も挙げることができるが、耐熱性や、後述する顔料の分散性の観点から、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物が好ましい。
【0274】
ここで、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物としては、その脂環式エポキシ基として、例えば、2,3−エポキシシクロペンチル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、7,8−エポキシ〔トリシクロ[5.2.1.0]デシ−2−イル〕基等が挙げられる。又、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基に由来するものであるのが好ましい。
【0275】
中でも、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。このような樹脂としては、例えば、特開2005−232432号公報第0055〜0066段落に記載の樹脂を挙げることができる。
【0276】
(a−4):アクリル系樹脂
(a−4)アクリル系樹脂としては、アクリル酸及び/又はアクリル酸エステルを単量体成分とし、これらを重合してなるポリマーをいう。
【0277】
好ましいアクリル系樹脂としては、例えば、特開2006−161035号公報第0067〜0086段落に記載の樹脂を挙げることができる。
【0278】
これらのバインダ樹脂は、カラーフィルター用組成物の全固形分中、通常10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%の範囲で含有される。
【0279】
(b)単量体
単量体としては、重合可能な低分子化合物であれば特に制限はないが、エチレン性二重結合を少なくとも1つ有する付加重合可能な化合物(以下、「エチレン性化合物」と略す)が好ましい。エチレン性化合物とは、カラーフィルター用組成物が活性光線の照射を受けた場合、後述の光重合開始系の作用により付加重合し、硬化するようなエチレン性二重結合を有する化合物である。なお、本発明における単量体は、いわゆる高分子物質に相対する概念を意味し、狭義の単量体以外に二量体、三量体、オリゴマーも含有する概念を意味する。
【0280】
エチレン性化合物としては、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸とモノヒドロキシ化合物とのエステル、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び前述の脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステル、ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物等が挙げられる。
【0281】
不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−アクリロイロキシエチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルマレイン酸、(メタ)アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させたものであるモノマー、あるいはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに(無水)コハク酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸などの酸(無水物)を付加させたモノマーなどが挙げられる。中でも好ましいのは、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸であり、更に好ましいのは、(メタ)アクリル酸である。これらは複数種使用してもよい。
【0282】
脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等のアクリル酸エステルが挙げられる。また、これらアクリレートのアクリル酸部分を、メタクリル酸部分に代えたメタクリル酸エステル、イタコン酸部分に代えたイタコン酸エステル、クロトン酸部分に代えたクロトン酸エステル、又は、マレイン酸部分に代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
【0283】
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等が挙げられる。
【0284】
不飽和カルボン酸と多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物とのエステル化反応により得られるエステルは、必ずしも単一物ではなく、混合物であっても良い。代表例としては、アクリル酸、フタル酸及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
【0285】
ポリイソシアネート化合物と(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物とを反応させたウレタン骨格を有するエチレン性化合物としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等と、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリアクリロイルオキシメチル)プロパン、3−ヒドロキシ(1,1,1−トリメタクリロイルオキシメチル)プロパン等の(メタ)アクリロイル基含有ヒドロキシ化合物との反応物が挙げられる。
【0286】
その他本発明に用いられるエチレン性化合物の例としては、エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等も有用である。
【0287】
これらのエチレン性化合物の配合割合は、カラーフィルター用組成物の全固形分中通常10〜80重量%、好ましくは20〜70重量%である。
【0288】
(c)色材
色材としては、バックライトからの光をできるだけ効率良く利用するため、赤、緑、青のバックライトの発光波長に合わせて、それぞれの画素における当該蛍光体の発光波長での透過率をできるだけ高くし、その他の発光波長での透過率をできるだけ低くするように選ぶ必要がある。
【0289】
本発明では特に従来のLEDバックライトにない高色再現性を特徴としているため、色材の選択には特に注意を要する。即ち、本発明に特徴的な深い赤と緑の発光波長をもつバックライトの特性を充分に活かすよう以下に示す条件を満たす必要がある。
【0290】
[3−2−1]赤色組成物
まず赤画素を構成する赤色組成物(赤色レジスト)について説明する。
【0291】
本発明にかかる赤色組成物に用いられる顔料としては、アゾ系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系等の有機顔料に加えて、種々の無機顔料も利用可能である。
【0292】
具体的に例えば下記に示すピグメントナンバーの顔料を用いることができる。なお、以下に挙げる「C.I.」の用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
【0293】
赤色色材:C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276。
【0294】
また、上記赤色色材に、色の微調整のため、以下の黄色色材を混合してもよい。
【0295】
黄色色材:C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75,81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208など。
【0296】
[3−2−2]緑色組成物
次に緑画素を構成する緑色組成物(緑色レジスト)について説明する。
【0297】
本発明にかかる緑色組成物に用いられる顔料としては、アゾ系、フタロシアニン系等の有機顔料に加えて、種々の無機顔料も利用可能である。
【0298】
具体的に例えば下記に示すピグメントナンバーの顔料を用いることができる。
【0299】
緑色色材:C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55、臭素化亜鉛フタロシアニン顔料。
【0300】
また、上記緑色色材に、色の微調整のため、上述の黄色色材を混合してもよい。
【0301】
緑色画素として、上記の条件を満たす具体例としては、特に、緑色顔料としてピグメントグリーン36、ピグメントグリーン7および/または臭素化亜鉛フタロシアニン顔料、調色用に黄色顔料として、特開2007−25687号公報記載のアゾニッケル錯体黄色顔料(以下、単に「アゾニッケル錯体黄色顔料」と称す。)、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー139のうちいずれか一つ以上を含むことが好ましい。また、臭素化亜鉛フタロシアニン緑色顔料としては、ピグメントグリーン58が好ましい。
【0302】
なお、本発明において、NTSC比85%以上、特に90%以上のカラー画像表示装置を作製する場合は、透過率の観点から、ピグメントグリーン36に代えて、ピグメントグリーン7や臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を用いるのが好ましい。上記臭素化亜鉛フタロシアニンとしては、1分子中に臭素原子を平均13個以上含有する臭素化亜鉛フタロシアニンが高い透過率を示し、カラーフィルターの緑色画素を形成するのに適している点から好ましい。更には、1分子中に臭素原子を13〜16個有し、且つ1分子中に塩素を含まないか又は平均3個以下有する臭素化亜鉛フタロシアニンが好ましく、特に1分子中に臭素原子を平均14〜16個有し、且つ1分子中に塩素原子を含まないか又は平均2個以下有する臭素化亜鉛フタロシアニンが好ましい。表4に、緑色画素を構成する色材の好ましい配合例を示す。
【0303】
【表4】

【0304】
[3−2−3]青色組成物
次に青画素を構成する青色組成物(青色レジスト)について説明する。
【0305】
本発明にかかる青色組成物に用いられる顔料としては例えば下記に示すピグメントナンバーの顔料を用いることができる。
【0306】
青色色材:C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79。
【0307】
バイオレット色材:C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50。
【0308】
[3−2−4]着色組成物の調整
また、赤,緑、青に係らず、色の微調整のため、必要に応じてさらに下記の顔料を使用しても良い。
【0309】
オレンジ色材:C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79。
【0310】
ブラウン色材:C.I.ピグメントブラウン1、6、11、22、23、24、25、27、29、30、31、33、34、35、37、39、40、41、42、43、44、45。
【0311】
勿論、染料等その他の色材を用いることも可能である。
【0312】
染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料等が挙げられる。
【0313】
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトグリーン28、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.リアクティブブラック5、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ディスパースブルー165、C.I.ベーシックブルー41、C.I.ベーシックレッド18、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5、C.I.モルダントブラック7等が挙げられる。
【0314】
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.バットブルー4、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドグリーン25、C.I.リアクティブブルー19、C.I.リアクティブブルー49、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースブルー56、C.I.ディスパースブルー60等が挙げられる。
【0315】
この他、フタロシアニン系染料として、例えば、C.I.パッドブルー5等が、キノンイミン系染料として、例えば、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー9等が、キノリン系染料として、例えば、C.I.ソルベントイエロー33、C.I.アシッドイエロー3、C.I.ディスパースイエロー64等が、ニトロ系染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3、C.I.ディスパースイエロー42等が挙げられる。
【0316】
その他、カラーフィルター用組成物に使用し得る色材としては、無機色材、例えば、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム、カーボンブラック等が用いられる。
【0317】
なお、これらの色材は平均粒径1.0μm以下、好ましくは0.5μm以下、更に好ましくは0.3μm以下に分散処理して使用することが好ましい。
【0318】
これらの色材は、カラーフィルター用組成物の全固形分中、通常5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%の範囲で含有される。
【0319】
(d)その他の成分
カラーフィルター用組成物には、必要に応じ更に光重合開始系、熱重合防止剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤、平滑剤、塗布助剤その他の添加剤を添加することができる。
【0320】
(d−1)光重合開始系
カラーフィルター用組成物が(b)単量体としてエチレン性化合物を含む場合には、光を直接吸収し、あるいは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する光重合開始系が必要である。
【0321】
光重合開始系は、重合開始剤に加速剤等の付加剤を併用する系で構成される。重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号公報および特開昭61−151197号公報に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物や、特開平10−39503号公報記載の2−(2'−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾールなどのヘキサアリールビイミダゾール誘導体、ハロメチル−s−トリアジン誘導体、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤が挙げられる。加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物又は脂肪族多官能メルカプト化合物等が用いられる。光重合開始剤及び付加剤は、それぞれ複数の種類を組み合わせても良い。
【0322】
光重合開始系の配合割合は、本発明の組成物の全固形分中通常0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、更に好ましくは0.7〜10重量%である。この配合割合が著しく低いと感度低下を起こし、反対に著しく高いと未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起させやすい。
【0323】
(d−2)熱重合防止剤
熱重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、カテコール、2,6−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトール等が用いられる。熱重合防止剤の配合量は、組成物の全固形分に対し0〜3重量%の範囲であることが好ましい。
【0324】
(d−3)可塑剤
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等が用いられる。これら可塑剤の配合量は、組成物の全固形分に対し10重量%以下の範囲であることが好ましい。
【0325】
(d−4)増感色素
また、カラーフィルター用組成物中には、必要に応じて、感応感度を高める目的で、画像露光光源の波長に応じた増感色素を配合させることができる。
【0326】
これら増感色素の例としては、特開平4−221958号公報、特開平4−219756号公報に記載のキサンテン色素、特開平3−239703号公報、特開平5−289335号公報に記載の複素環を有するクマリン色素、特開平3−239703号公報、特開平5−289335号公報に記載の3−ケトクマリン化合物、特開平6−19240号公報に記載のピロメテン色素、その他、特開昭47−2528号公報、特開昭54−155292号公報、特公昭45−37377号公報、特開昭48−84183号公報、特開昭52−112681号公報、特開昭58−15503号公報、特開昭60−88005号公報、特開昭59−56403号公報、特開平2−69号公報、特開昭57−168088号公報、特開平5−107761号公報、特開平5−210240号公報、特開平4−288818号公報に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等を挙げることができる。
【0327】
これらの増感色素のうち好ましいのは、アミノ基含有増感色素であり、更に好ましいのは、アミノ基及びフェニル基を同一分子内に有する化合物である。特に、好ましいのは、例えば、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[4,5]ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[6,7]ベンゾオキサゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−チアジアゾール、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジメチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジエチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリミジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリミジン等のp−ジアルキルアミノフェニル基含有化合物等である。このうち最も好ましいのは、4,4'−ジアルキルアミノベンゾフェノンである。
【0328】
増感色素の配合割合はカラーフィルター用組成物の全固形分中通常0〜20重量%、好ましくは0.2〜15重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%である。
【0329】
(d−5)その他の添加剤
またカラーフィルター用組成物には、更に密着向上剤、塗布性向上剤、現像改良剤等を適宜添加することができる。
【0330】
カラーフィルター用組成物は、粘度調整や光重合開始系などの添加剤を溶解させるために、溶媒に溶解させて用いても良い。
【0331】
溶媒は、(a)バインダ樹脂や(b)単量体など、組成物の構成成分に応じて適宜選択すれば良く、例えば、ジイソプロピルエーテル、ミネラルスピリット、n−ペンタン、アミルエーテル、エチルカプリレート、n−ヘキサン、ジエチルエーテル、イソプレン、エチルイソブチルエーテル、ブチルステアレート、n−オクタン、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、ジイソブチレン、アミルアセテート、ブチルアセテート、アプコシンナー、ブチルエーテル、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキセン、メチルノニルケトン、プロピルエーテル、ドデカン、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、アミルホルメート、ジヘキシルエーテル、ジイソプロピルケトン、ソルベッソ#150、(n,sec,t−)酢酸ブチル、ヘキセン、シェルTS28ソルベント、ブチルクロライド、エチルアミルケトン、エチルベンゾエート、アミルクロライド、エチレングリコールジエチルエーテル、エチルオルソホルメート、メトキシメチルペンタノン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルイソブチレート、ベンゾニトリル、エチルプロピオネート、メチルセロソルブアセテート、メチルイソアミルケトン、メチルイソブチルケトン、プロピルアセテート、アミルアセテート、アミルホルメート、ビシクロヘキシル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジペンテン、メトキシメチルペンタノール、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、プロピルプロピオネート、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、カルビトール、シクロヘキサノン、酢酸エチル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、ジグライム、エチレングリコールアセテート、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート等が挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を併用して用いても良い。
【0332】
カラーフィルター用着色組成物中の固形分濃度は、適用する塗布方法に応じて適宜選択する。現在カラーフィルターの製造に広く用いられるスピンコート、スリット&スピンコート、ダイコートにおいては、通常1〜40重量%、好ましくは5〜30重量%の範囲が適当である。
【0333】
また溶媒の組み合わせは顔料の分散安定性、樹脂、モノマー、光重合開始剤等の固形分中の溶解性成分に対する溶解性、塗布時の乾燥性、減圧乾燥工程における乾燥性を考慮して選択される。
【0334】
上記配合成分を用いたカラーフィルター用組成物は、例えば次のようにして製造される。
【0335】
まず、色材を分散処理し、インクの状態に調整する。分散処理は、ペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて行う。分散処理により色材が微粒子化するため、透過光の透過率向上及び塗布特性の向上が達成される。
【0336】
分散処理は、好ましくは、色材と溶剤に、分散機能を有するバインダー樹脂、界面活性剤等の分散剤、分散助剤等を適宜併用した系で行う。特に、高分子分散剤を用いると経時の分散安定性に優れるので好ましい。
【0337】
例えば、サンドグラインダーを用いて分散処理する場合は、0.05から数ミリ径のガラスビーズ又はジルコニアビーズを用いるのが好ましい。分散処理時の温度は通常、0℃〜100℃、好ましくは室温〜80℃の範囲に設定する。なお、分散時間は、インキの組成(色材、溶剤、分散剤)、及びサンドグラインダーの装置仕様等により適正時間が異なるため、適宜調整する。
【0338】
次に、上記分散処理によって得られた着色インキに、バインダー樹脂、単量体及び光重合開始系等を混合し、均一な溶液とする。なお、分散処理及び混合の各工程においては、微細なゴミが混入することが多いため、フィルター等により、得られた溶液を濾過処理することが好ましい。
【0339】
[4]その他の構成
カラー画像表示装置は、半導体発光装置から発せられる紫外〜近紫外光を吸収する吸収剤を含有する吸収部を有していることが好ましい。画像を表示するパネル部分に設けられていてもよいし、バックライトに設けられていてもよい。
【0340】
吸収部をパネル部分に設ける場合、吸収部は、例えば図1において、光拡散シート3と偏光板4との間、偏光板4とガラス基板5との間、ガラス基板8と偏光板10との間、および偏光板10の表面などのいずれか1個所以上に配置することができる。また、バックライトに吸収部を設ける場合、吸収部は、例えば、図3および図4において、光源1と導光体11との間、導光体11と調光シート13との間、調光シート13の表面などのうちいずれか1個所以上に配置することができる。
【0341】
吸収部をパネル部分に設ける場合およびバックライトに設ける場合のいずれにおいても、吸収部は、吸収剤を含有させた樹脂から形成されたシート、あるいは塗膜として設けることもできるし、吸収剤を上記の部材に混入させることによって設けることもできる。
【0342】
以上のように、カラー画像表示装置に吸収部を設けることで、カラー画像表示装置を構成する種々の部材および観察者への、紫外〜近紫外光による影響を抑制することができる。観察者への影響を抑制するという観点では、吸収部を設ける位置については任意であるが、カラー画像表示装置を構成する部材への影響を抑制するという観点では、吸収部は、半導体発光装置からの光の進行方向においてできるだけ半導体発光装置に近い側に設けることが好ましい。特に、紫外〜近紫外光による液晶やカラーフィルターの劣化を抑制するからは、半導体発光装置からの光の進行方向において液晶よりも手前側に吸収部を設けることが好ましい。
【0343】
ここで、吸収部が含有する吸収剤について詳細に説明する。本発明で用いられる吸収剤としては、紫外〜近紫外光を吸収する作用を有していれば特に限定されないが、例えば、o−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系;エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、5−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のシアノアクリレート系;フェニルサルチレート、4−t−ブチルフェニルサルチレート等のサルチル酸系;2−エチル−5’−t−ブチル−2’−エトキシ−N,N’−ジフェニロキサルアミド等のシュウ酸アニリド系;さらに、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム等の無機酸化物系等が例示される。尚、これらの無機酸化物は、ガラスに含有されて紫外線遮蔽ガラスとして用いてもよい。
【0344】
吸収剤は樹脂中に溶解して使用できるため透明性が良好である。また、無機の吸収剤は、平均粒子経100nm以下の分散粒子を用いることにより、透明性に優れた吸収部を得ることができる。また、酸化チタン等の光活性のある化合物は、粒子表面がシリカ等の不活性物質により処理されることが好ましい。これらの吸収剤は、樹脂中への添加量を調整することにより紫外線の遮蔽効果を調整できる。中でも、350nm以下の紫外線を遮蔽する吸収剤としては、ベンゾフェノン系や酸化亜鉛等が挙げられ、単独で、あるいはそれらを2種類以上組み合わせて使用してもよい。これらの吸収剤を用いることにより、波長が350nm以下の光を実質的に遮蔽することができるが、さらに、バインダ樹脂等の有機化合物の劣化を防止し、カラー画像表示装置の耐久性を向上させるためには、波長が400nm以下の近紫外光を遮蔽することが好ましく、上述の吸収剤の中から適宜選択することにより達成される。
【0345】
吸収剤は、通常、適当な樹脂と混合して使用される。使用する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂等が挙げられる。具体的には、例えば、ポリメタアクリル酸メチル等のアクリル樹脂;ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂;フェノキシ樹脂;ブチラール樹脂;ポリビニルアルコール;エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート等のセルロース系樹脂;エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。中でも、透明性、耐熱性、耐光堅牢度の点から、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ポリビニルアルコール等が好ましい。
【実施例】
【0346】
次に、製造例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において「部」は「重量部」を表す。
【0347】
[1]蛍光体の合成
[1−1]合成例1:赤色蛍光体 KTiF:Mn(以下、「KTF」ともいう)
蛍光体の各原料の仕込み合成が、KTi0.95Mn0.05となるように原料化合物として、KTiF(4.743g)、KMnF(0.2596g)を大気圧、室温のもとで、フッ化水素酸(47.3重量%) 40mlに攪拌しながらゆっくり添加して溶解させた。各原料化合物が全部溶解した後、溶液を攪拌しながら、アセトン60mlを240ml/hrの速度で添加して蛍光体を貧溶媒析出させた。得られた蛍光体をそれぞれ純水とアセトンで洗浄し、100℃で1時間乾燥させた。得られた蛍光体のX線回折パターンよりKTiF:Mnが合成されていることが確認できた。
【0348】
[1−2]合成例2:赤色蛍光体 KSiF:Mn(以下、「KSF」ともいう)
蛍光体の各原料の仕込み組成が、KSi0.9Mn0.1となるように原料化合物として、KSiF(1.7783g)とKMnF(0.2217g)を大気圧、室温のもとで、フッ化水素酸(47.3重量%)70mlに攪拌しながらゆっくり添加して溶解させた。各原料化合物が全部溶解した後、溶液を攪拌しながら、アセトン70mlを240ml/hrの速度で添加して蛍光体を貧溶媒析出させた。得られた蛍光体をそれぞれエタノールで洗浄し、130℃で1時間乾燥して蛍光体1.7gを得た。得られた蛍光体のX線回折パターンよりKSiF:Mnが合成されていることが確認できた。
【0349】
[1−3]合成例3:赤色蛍光体 CaAlSiN:Eu(以下、「CASN660」ともいう)
発光ピーク波長が660nmの三菱化学(株)製の赤色蛍光体「BR−101B」(CaAlSiN:Eu)を使用した。
【0350】
[1−4]合成例4:赤色蛍光体 BaTiF:Mn(以下、「BTF」ともいう)
蛍光体の各原料の仕込み合成が、KTi0.95Mn0.05となるように原料化合物として、KTiF(4.743g)、KMnF(0.2569g)を大気圧、室温のもとで、フッ化水素酸(47.3重量%) 50mlに攪拌しながらゆっくり添加して溶解させた。各原料化合物が全部溶解した後、溶液を攪拌しながら、BaCO3(3.8987g)を溶液に添加して蛍光体BaTiF:Mnを析出させた。得られた蛍光体をそれぞれ純水とアセトンで洗浄し、100℃で1時間乾燥させた。得られた蛍光体のX線回折パターンよりBaTiF:Mnが合成されていることが確認できた。
【0351】
[1−5]合成例5:緑色蛍光体 BaSi12:Eu(以下、「BSON」ともいう)
蛍光体の各原料の仕込み組成が、Ba2.7Eu0.3Si6.9123.2となるように原料化合物として、BaCO(267g)、SiO(136g)及びEu(26.5g)を十分に攪拌混合した後、アルミナ乳鉢に充填した。これを温度調節器つき抵抗加熱式電気炉内に置き、大気圧下、5℃/分の昇温速度で1100℃まで加熱し、その温度で5時間保持した後、室温まで放冷した。得られた試料をアルミナ乳鉢上で、100μm以下まで粉砕した。
【0352】
上記で得られた試料(295g)と原料化合物であるSi(45g)を十分に攪拌混合した後、1次焼成として、アルミナ乳鉢に充填し、これを大気圧下、窒素96体積%水素4体積%の混合ガス0.5L/分での流通下で1200℃まで加熱し、その温度で5時間保持したあと室温まで放冷した。得られた焼成粉をアルミナ乳鉢上で100μm以下になるまで粉砕した。
【0353】
上記1次焼成で得られた焼成粉300gとフラックスであるBaF(6g)と、BaHPO(6g)を十分に攪拌混合した後、アルミナ乳鉢に充填し、2次焼成として大気圧下、窒素96体積%水素4体積%の混合ガス0.5L/分での流通下で1350℃まで加熱し、その温度で8時間保持したあと室温まで放冷した。得られた焼成粉をアルミナ乳鉢上で100μm以下になるまで粉砕した。
【0354】
上記2次焼成で得られた試料(70g)と、フラックスであるBaCl(5.6g)と、BaHPO(3.5g)を十分に攪拌混合した後、アルミナ乳鉢に充填し、3次焼成として大気圧下、窒素96体積%水素4体積%の混合ガス0.5L/分での流通下で1200℃まで加熱し、その温度で5時間保持したあと室温まで放冷した。得られた焼成粉をガラスビーズを用いてスラリー化して分散し、100μm以下を篩分けした後、洗浄処理を行い、カルシウム溶液と燐酸塩溶液を用いて、燐酸カルシウム塩による表面コートを行った。
【0355】
得られた蛍光体2gを、直径30mmの石英容器を用いて大気中で700℃まで約40分で昇温し、700℃で10分間保持したのち、石英容器を炉内から取り出して、耐熱煉瓦上で室温まで冷却した。得られた焼成物のX線回折パターンよりBaSi12:Euが合成されていることが確認できた。
【0356】
[1−6]合成例6:緑色蛍光体 Eu付活βサイアロン蛍光体(以下、「β−SiAlON」ともいう)
α型窒化珪素粉末95.5重量%、窒化アルミニウム粉末3.3重量%、酸化アルミニウム粉末0.4重量%、酸化ユーロピウム粉末0.8重量%をメノウ乳鉢中で十分に混合した。この原料粉末を窒化ホウ素製坩堝に充填し、カーボンヒーターを有する加圧窒化炉で0.92MPaの加圧窒素雰囲気中、1950℃で12時間の加熱処理を行った。得られた焼成粉末を解砕後、篩を通し、洗浄処理を行った後に乾燥し、蛍光体粉末を得た。粉末X線回折測定により合成粉末が単一相のEu付活βサイアロン蛍光体であることが分かった。
【0357】
[1−7]合成例7:緑色蛍光体 BaMgAl1017:Eu,Mn(以下、「GBAM」ともいう)
蛍光体原料として炭酸バリウム(BaCO)、酸化ユウロピウム(Eu)、塩基性炭酸マグネシウム(Mg1モルあたりの質量93.17)、炭酸マンガン(MnCO)、α−アルミナ(Al)を、また、焼成助剤としてフッ化アルミニウム(AlF3)を用いた。これらの蛍光体原料を、Ba0.455Sr0.245Eu0.3Mg0.7Mn0.3Al1017で示す化学組成となるような量だけ秤量し、焼成助剤を蛍光体原料の総重量に対して0.8重量%となるように秤量し、これらを乳鉢にて30分間混合し、アルミナ製の坩堝に充填した。焼成時の還元雰囲気をつくるため、アルミナ製坩堝を二重にして、内側の坩堝の周囲の空間にビーズ状グラファイトを設置し、大気中1550℃、2時間焼成した。得られた焼成物を解砕し、緑色蛍光体(GBAM)を得た。得られた緑色蛍光体(GBAM)は、発光ピーク波長が517nm、発光ピーク半値幅が27nmであった。
【0358】
[1−8]合成例8:青色蛍光体 Sr10(POCl:Eu(以下、「SCA」ともいう)
SrCO(関東化学社製)0.2モル、SrHPO(関東化学社製)0.605モル、Eu(信越化学社製 純度99.99%)0.050モル、SrCl(関東化学社製)0.1モルを秤量し、小型V型ブレンダーで乾式混合した。
【0359】
得られた原料混合物をアルミナ製坩堝に充填し、箱型電気炉中にセットした。大気中、大気圧下で、昇温速度5℃/分で1050℃まで昇温し、5時間保持して焼成物を得た(1次焼成)。次いで、坩堝内の内容物を、室温まで冷却した後、坩堝から取り出し、解砕した。
【0360】
得られた焼成物にSrClを0.05モル加え、小型V型ブレンダーで混合した後、アルミナ製坩堝に充填し、1次焼成と同じ電気炉中に坩堝をセットした。水素含有窒素ガス(水素:窒素=4:96(体積比))を毎分2.5リットルで流通させながら、還元雰囲気中、大気圧下、昇温速度5℃/分で950℃まで昇温し、3時間保持した(2次焼成)。次いで、坩堝内の内容部を、室温まで冷却した後、坩堝から取り出し、解砕した。
【0361】
得られた焼成物にSrClを0.05モル加え、小型V型ブレンダーで混合した後、アルミナ製坩堝に充填した。再度、2次焼成と同じ電気炉中に坩堝をセットした。水素含有窒素ガス(水素:窒素=4:96(体積比))を毎分2.5リットルで流通させながら、還元雰囲気中、大気圧下、昇温速度5℃/分で1050℃まで昇温し、3時間保持した。得られた焼成塊を粒径約5mm程度になるまで粗粉砕した後、ボールミルにて6時間処理して、蛍光体スラリーを得た。
【0362】
蛍光体を洗浄するために、蛍光体スラリーを多量の水に攪拌混合させ、蛍光体粒子が沈降するまで静置させた後、上澄み液を捨てる作業を、上澄み液の電気伝導度が3mS/m以下になるまで繰り返した。上澄み液の電気伝導度が3mS/m以下になったことを確認した後、分級を行なうことにより微細粒子及び粗大粒子の蛍光体を除去した。
【0363】
得られた蛍光体スラリーをpH=10のNaPO水溶液中に分散し、小粒子を分級除去した後、リン酸カルシウム処理を施した。脱水後、150℃で、10時間乾燥することにより蛍光体Sr10(POCl:Euを得た。得られた青色蛍光体は、発光ピーク波長が450nm、発光ピーク半値幅が29nmであった。
【0364】
[1−9]蛍光体の温度依存性評価
前記[1−1]〜[1−7]で製造した赤色蛍光体および緑色蛍光体について、波長400nmまたは455nmで励起した場合における輝度及び発光ピーク強度の温度依存性(以下、これらを纏めて「温度特性」という場合がある。)を測定した。
【0365】
温度特性の測定は、発光スペクトル測定装置として大塚電子製MCPD7000マルチチャンネルスペクトル測定装置、輝度測定装置として色彩輝度計BM5A、ペルチェ素子による冷却機構とヒーターによる加熱機構を備えたステージ及び光源として150Wキセノンランプを備える装置を用いて、下記手順で行なった。
【0366】
蛍光体のサンプルを入れたセルをステージに載せ、温度を温度を25℃から150℃へと変化させ、蛍光体の表面温度を確認し、次いで、光源から回折格子で分光して取り出した波長400nmまたは455nmの光で蛍光体を励起して、発光スペクトルを測定した。測定された発光スペクトルから、25℃における発光ピーク強度と100℃における発光ピーク強度を求め、下記式[A]より発光ピーク強度の変化率(%)を求めた。
{1−(100℃における発光ピーク強度)/(25℃における発光ピーク強度)}×100 ・・・[A]
なお、蛍光体の励起光照射側の表面温度の測定値としては、放射温度計と熱電対による温度測定値を利用して補正した値を用いた。合成例1〜7についての温度特性の測定結果を下記表5に示す。また、合成例8で製造した青色蛍光体であるSCAについて、波長400nmの光で励起させたときの温度特性を測定した結果である発光ピーク強度の変化率は14%であった。
【0367】
【表5】

【0368】
[2]バックライトの製造
本発明のバックライトの製造例を示す。
【0369】
[2−1]製造例1:バックライト1(BL-1)の製造
発光装置を以下の手順で作製する。
【0370】
発光ピーク波長が454nmの青色発光ダイオードをフレームのカップ底面にダイボンディングし、次に発光ダイオードとフレームの電極をワイヤーボンディングによって接続する。
【0371】
緑色帯を発光する蛍光体として、BSONを、赤色帯を発光する蛍光体としてKTFを用いる。これらを東レダウ社製シリコーン樹脂「JCR6101UP」に混練しペースト状としたものを、カップ内の発光ダイオードに塗布し、硬化させる。これにより半導体発光装置を得る。
【0372】
次に、導光体としてサイズ289.6×216.8mm、厚みが厚肉部2.0mm、薄肉部0.6mmで、短辺方向に厚みが変化する、楔形状の環状ポリオレフィン系樹脂板(日本ゼオン社製商品名「ゼオノア」)を使用し、厚肉側の長辺部に上記の発光ダイオードからなる半導体発光装置(光源)を配設し、導光体の厚肉側(光入射面)に効率良く線状光源からの出射光源が入射するようにする。
【0373】
導光体の光出射面と対向する面には、線状光源から離れるにしたがって直径が徐々に大きくなる、粗面からなる微細な円形パターンを金型から転写してパターニングする。粗面パターンの直径は光源付近では130μmであり、光源から離れるに従って、漸次増大し最も離れたところでは230μmである。
【0374】
ここで粗面からなる微細な円形パターンの形成に用いる金型は、厚さ50μmのドライフィルムレジストをSUS基板上にラミネートし、フォトリソグラフィーによって該パターンに対応する部分に開口部を形成し、更に該金型をサンドブラスト法によって#600の球形ガラスビーズにて0.3MPaの投射圧力で均一にブラスト加工を施した後に、ドライフィルムレジストを剥離することによって得られる。
【0375】
また、導光体は、その光出射面に、頂角90°、ピッチ50μmの三角プリズムアレーが稜線を導光体の光入射面に対してほぼ垂直となるようにして設けられたものとし、導光体から出射する光束の集光性を高める構造とする。三角プリズムアレーからなる集光素子アレーの形成に用いる金型はMニッケル無電解メッキを施したステンレス基板を単結晶ダイアモンドバイトによって削り出す加工によって得られる。
【0376】
導光体の光出射面と対向する側には光反射シート(東レ社製「ルミラーE60L」)を配設し、光出射面には光拡散シートを配設する。更にこの光拡散シート上には頂角90°、ピッチ50μmからなる三角プリズムアレーが形成されたシート(住友3M社製「BEFIII」)を2枚各プリズムシートそれぞれの稜線が直交するようにして重ねてバックライト1(BL-1)を得る。
【0377】
以上のようにして得られるバックライト1(BL-1)は、455m、529nm、631nmの波長領域にそれぞれ1つずつ発光ピーク波長を有する。
【0378】
[2−2]製造例2:バックライト2(BL-2)の製造
製造例1において、緑色帯を発光する蛍光体として、BSONの代わりにβ−SiAlONを用いた以外は製造例1と同様にしてバックライト2(BL-2)を作製する。バックライト2は、455nm、542nm、631nmの波長領域にそれぞれ1つずつ発光ピーク波長を有する。
【0379】
[2−3]製造例3:バックライト3(BL-3)の製造
製造例1において、赤色帯を発光する蛍光体として、KTFの代わりにBaTiF:Mnを用いた以外は製造例1と同様にしてバックライト3(BL-3)を作製する。なお、BaTiF:MnはUS 2006/0169998 A1に記載の蛍光体であり、その発光スペクトルが同文献に記載されている。同文献からわかるように、バックライト3は、455m、529nm、631nmの波長領域にそれぞれ1つずつ発光ピーク波長を有する。
【0380】
[2−4]製造例4:バックライト4(BL-4)の製造
製造例1において、緑色帯を発光する蛍光体として、BSONの代わりにβ−SiAlONを用いた以外は製造例3と同様にしてバックライト4(BL-4)を作製する。バックライト4は、456nm、542nm、631nmの波長領域にそれぞれ1つずつ発光ピーク波長を有する。
【0381】
[2−5]製造例5:比較例用従来型バックライト5(BL-5)の製造
発光装置を以下の手順で作製する。
【0382】
発光ピーク波長が460nmの青色発光ダイオードをフレームのカップ底面にダイボンディングし、次に、発光ダイオードとフレームの電極をワイヤーボンディングによって接続する。黄色帯を発光する蛍光体として、特開2006−265542号公報の実施例1に記載の方法に準じて、Y2.8Tb0.1Ce0.1Al512を合成し、これを用いる。これらをエポキシ樹脂に混練しペースト状としたものを、カップ内の発光ダイオードに塗布し、硬化させる。以降は製造例1と同様の方法を用いて比較例用従来型バックライト5を得る。
【0383】
上述した製造例1〜5は、青色発光ダイオードと蛍光体とを組み合わせたバックライトの製造例を示した。以下の製造例6〜9では、近紫外光を発する発光ダイオード(以下、「近紫外LED」という)と、青色、緑色および赤色蛍光体とを組み合わせたバックライトの製造例を示す。
【0384】
[2−6]製造例6:バックライト6(BL-6)の製造
ドミナント発光波長390〜400nmで発光する近紫外LEDとして、Cree社製の290μm角チップC395MB290を用い、それをシリコーン樹脂ベースの透明ダイボンドペーストで、3528SMD型PPAパッケージの凹部の底の端子に接着した。近紫外LEDが接着されたパッケージを150℃で2時間加熱し、透明ダイボンドペーストを硬化させた。その後、近紫外LEDとパッケージの電極とを、直径25μmの金線を用いてワイヤーボンディングした。
【0385】
一方、合成例8で得られた青色蛍光体(SCA)0.053gと、合成例6で得られた緑色蛍光体(GBAM)0.088gと、合成例2で得られた赤色蛍光体(KSF)0.304gと、バインダー樹脂として信越化学工業社製シリコーン樹脂(SCR1011)と、日本アエロジル社製アエロジル(RX200)とを表6に記載の配合量で秤量し、シンキー社製攪拌脱泡装置AR−100にて混合し、蛍光体含有組成物を得た。
【0386】
次に、得られた蛍光体含有組成物4μlを、紫外線LEDが接着されたパッケージの凹部にディスペンサーを用いて注液した。その後、70℃で1時間、次いで150℃で5時間加熱して蛍光体含有組成物を硬化させ、半導体発光装置を得た。以降は製造例1と同様にしてバックライト6(BL-6)を得た。
【0387】
[2−7]製造例7:バックライト7(BL-7)の製造
蛍光体含有組成物が含有する蛍光体、シリコーン樹脂および乾式シリカの量を表6のように変更した以外は製造例6と同様にしてバックライト7(BL-7)を得た。
【0388】
[2−8]製造例8:バックライト8(BL-8)の製造
赤色蛍光体として、合成例3で得られた赤色蛍光体(CASN660)を用い、かつ、蛍光体含有組成物が含有する蛍光体、シリコーン樹脂および乾式シリカの量を表6のように変更した以外は製造例6と同様にしてバックライト8(BL-8)を得た。
【0389】
[2−9]製造例9:バックライト9(BL-9)の製造
蛍光体含有組成物が含有する蛍光体、シリコーン樹脂および乾式シリカの量を表6のように変更した以外は製造例8と同様にしてバックライト9(BL-9)を得た。
【0390】
表6に、製造例6〜9で用いた蛍光体の種類、および蛍光体含有組成物を製造する際に用いた材料の調合量を示す。
【0391】
【表6】

【0392】
[3]カラーフィルター用バインダ樹脂の製造
[3−1]製造例10:バインダ樹脂A
ベンジルメタクリレート55重量部、メタクリル酸45重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150重量部を500mlセパラブルフラスコに入れ、フラスコ内を充分窒素で置換する。その後、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル6重量部を添加し、80℃で5時間攪拌し、重合体溶液を得る。合成された重合体の重量平均分子量は8000、酸価は176mgKOH/gとする。
【0393】
[3−2]製造例11:バインダ樹脂B
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145重量部を窒素置換しながら攪拌し、120℃に昇温する。ここにスチレン20重量部、グリシジルメタクリレート57部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成社製FA−513M)82重量部を滴下し、更に120℃で2時間攪拌する。
【0394】
次に反応容器内を空気置換に変え、アクリル酸27重量部、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.7重量部およびハイドロキノン0.12重量部を投入し、120℃で6時間反応を続ける。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)52重量部、トリエチルアミン0.7重量部を加え、120℃で3.5時間反応させる。
【0395】
こうして得られる重合体の重量平均分子量Mwは約8000とする。
【0396】
[4]製造例12:クリアーレジスト溶液の製造
下記に示す各成分を下記の割合で調合し、スターラーにて各成分が完全に溶解するまで攪拌し、レジスト溶液を得る。
【0397】
製造例11で製造したバインダ樹脂B:2.0部、
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:1.0部、
光重合開始系、
2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール:0.06部、
2−メルカプトベンゾチアゾール:0.02部、
4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン:0.04部、
溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート):9.36部、
界面活性剤(大日本インキ化学工業社製「F−475」):0.0003部。
【0398】
[5]カラーフィルターの製造
[5−1]製造例13:赤色画素 実施例1〜10用、比較例1〜4用の作製
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート75部、赤色顔料ピグメントレッド(以下、「P.R.」という)254を16.7部、ビッグケミー社製アクリル系分散剤「DB2000」4.2部、製造例12で製造したバインダ樹脂A5.6部を混合し、攪拌機で3時間攪拌して固形分濃度が25重量%のミルベースを調製する。このミルベースを600部の0.5mmφフジルコニアビーズを用いビーズミル装置にて周速10m/s、滞留時間3時間で分散処理を施しP.R.254の分散インキを得る。
【0399】
また、顔料を特開2007−25687号公報の実施例2の製造例([0066]段落)の記載に準じて合成したアゾニッケル錯体黄色顔料に変更した以外は上記のP.R.254と同様の組成にてミルベースを調製し、同様の分散条件にて滞留時間で2時間分散処理を施しアゾニッケル錯体黄色顔料の分散インキを得る。
【0400】
また、顔料をP.R.177に変更した以外は上記のP.R.254と同様の組成にてミルベースを調製し、同様の分散条件にて滞留時間で3時間分散処理を施しP.R.177の分散インキを得る。
【0401】
以上のようにして得られる分散インキ、及び上記製造例12で得られるレジスト溶液を、下記表7に示す配合比(重量%)で混合攪拌し、最終的な固形分濃度が25重量%になるように溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を加えて赤色カラーフィルター用組成物を得る。
【0402】
このようにして得られるカラーフィルター用組成物を、スピンコーターにて10cm×10cmのガラス基板(旭硝子社製「AN635」)上に塗布し、乾燥させる。この基板全面に露光量100mJ/cmの紫外線を照射し、アルカリ現像液で現像後、230℃で30分間オーブンにてポストベークすることにより、測定用の赤色画素サンプルを作製する。作製後の赤色画素の膜厚は2.5μmとなるようにする。
【0403】
【表7】

【0404】
[5−2]製造例14:緑色画素 実施例1〜10用、比較例1〜4用の作製
顔料をピグメントグリーン(以下、「P.G.」という)36に変更した以外は製造例13のP.R.254と同様の組成にてミルベースを調製し、同様の分散条件にて滞留時間1時間で分散処理を施し、P.G.36の分散インキを得る。
【0405】
また、顔料をアゾニッケル錯体黄色顔料に変更した以外は製造例13と同様の組成にてミルベースを調製し、同様の分散条件にて滞留時間2時間で分散処理を施し、アゾニッケル錯体黄色顔料の分散インキを得る。
【0406】
同様に、顔料を臭素化亜鉛フタロシアニンに変更し、分散剤をビッグケミー社製アクリル系分散剤「LPN6919」に変更した以外は製造例13と同様の組成にてミルベースを調製し、同様の分散条件にて滞留時間3時間で分散処理を施し、臭素化亜鉛フタロシアニンの分散インキを得る。尚、臭素化亜鉛フタロシアニン顔料は下記[5−2−1]に示す方法で合成した。
【0407】
[5−2−1]臭素化亜鉛フタロシアニンの合成例
フタロジニトリル、塩化亜鉛を原料として亜鉛フタロシアニンを製造した。これの1−クロロナフタレン溶液は、600〜700nmに光の吸収を有していた。ハロゲン化は、塩化スルフリル3.1質量部、無水塩化アルミニウム3.7重量部、塩化ナトリウム0.46重量部、亜鉛フタロシアニン1重量部を40℃で混合し、臭素4.4重量部を滴下して行った。80℃で15時間反応し、その後、反応混合物を水に投入し、臭素化亜鉛フタロシアニン粗顔料を析出させた。この水性スラリーをろ過し、80℃の湯洗浄を行い、90℃で乾燥させ、3.0質量部の精製された臭素化亜鉛フタロシアニン粗顔料を得た。
【0408】
この臭素化亜鉛フタロシアニン粗顔料1重量部、粉砕した塩化ナトリウム12重量部、ジエチレングリコール1.8重量部、及びキシレン0.09重量部を双腕型ニーダーに仕込み、100℃で6時間混練した。混練後80℃の水100重量部に取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕した臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を得た。
【0409】
得られた臭素化亜鉛フタロシアニン顔料は、質量分析によるハロゲン含有量分析から平均組成ZnPcBr14l2で(Pc:フタロシアニン)、1分子中に平均14個の臭素を含有するものであった。また透過型電子顕微鏡(日立製作所社製H−9000UHR)で測定した一次粒径の平均値は、0.023μmであった。なお顔料の平均一次粒径は、顔料を各々、クロロホルム中に超音波分散し、コロジオン膜貼り付けメッシュ上に滴下して、乾燥させ、透過型電子顕微鏡(TEM)観察により、顔料の一次粒子像を得、この像から一次粒径を測定し平均粒径を求めた。
【0410】
以上のようにして得られる分散インキ、及び上記製造例12で製造されるレジスト溶液を下記表8に示す配合比(重量%)で混合攪拌し、最終的な固形分濃度が25重量%になるように溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を加えて緑色カラーフィルター用組成物を得る。
【0411】
このように得られるカラーフィルター用組成物を、スピンコーターにて10cm×10cmのガラス基板(旭硝子社製「AN635」)上に塗布し、乾燥させる。この基板全面に露光量100mJ/cmの紫外線を照射し、アルカリ現像液で現像後、230℃で30分間オーブンにてポストベークすることにより、測定用の緑色画素サンプルを作製する。作製後の緑色画素の膜厚は2.5μmとなるようにする。
【0412】
【表8】

【0413】
[5−3]製造例15:青色画素 実施例1〜10用、比較例1〜4用の作製
顔料をP.G.15:6に変更した以外は製造例13のP.R.254と同様の組成にてミルベースを調製し、同様の分散条件にて滞留時間1時間で分散処理を施し、P.G.15:6の分散インキを得る。
【0414】
また、顔料をピグメントバイオレット(以下、「P.V.」という)23に変更した以外は製造例13のP.R.254と同様の組成にてミルベースを調製し、同様の分散条件にて滞留時間2時間で分散処理を施し、P.V.23の分散インキを得る。
【0415】
以上のようにして得られる分散インキ、及び上記製造例12で製造されるレジスト溶液を下記表9に示す配合比(重量%)で混合攪拌し、最終的な固形分濃度が25重量%になるように溶媒(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)を加えて青色カラーフィルター用組成物を得る。
【0416】
このように得られるカラーフィルター用組成物を、スピンコーターにて10cm×10cmのガラス基板(旭硝子社製「AN100」)上に塗布し、乾燥させる。この基板全面に露光量100mJ/cmの紫外線を照射し、アルカリ現像液で現像後、230℃で30分間オーブンにてポストベークすることにより、測定用の青色画素サンプルを作製する。作製後の青色画素の膜厚は2.5μmとなるようにする。
【0417】
【表9】

【0418】
[5−4]カラーフィルター
表7〜9に示した赤色、緑色、青色の画素の同じ名称の画素を組み合わせ、実施例1〜10用および比較例1〜4用のカラーフィルターとする。実施例1、3、5、7用のカラーフィルターについて、赤色画素サンプル、緑色画素サンプル、及び青色画素サンプルの各々の透過率スペクトルを算出した結果を図6に示す。実施例2、4、6、8〜10および比較例3、4用のカラーフィルターについて、赤色画素サンプル、緑色画素サンプル、及び青色画素サンプルの各々の透過率スペクトルを算出した結果を図7に示す。
【0419】
[6]カラー画像表示装置
[6−1]実施例1〜8、比較例1〜2
製造例1〜5に示したバックライト(BL−1〜BL−5)と実施例1〜8用、比較例1〜2用のカラーフィルターとを組み合わせて、実施例1〜8および比較例1〜2のカラー画像表示装置とした。これらのカラー画像表示装置について、色度(x、y、Y)を測定するとともに、色再現性(NTSC比)および明るさ(色温度)についても求めた。ここでY値はバックライトからの発光の利用効率に相当する。その結果を表10に示す。
【0420】
【表10】

【0421】
表10中の白色のY値がカラー画像表示装置全体としてのバックライト光の利用効率を表す。表10の通り、EBU規格(NTSC比72%)を超える、NTSC比85%という高い色再現範囲のカラー画像表示装置を設計した場合に、従来バックライトではY値の著しい低下をもらすのに対し、本発明の技術を用いれば、更に高いY値を達成できる。即ち、低消費電力でより高い輝度を得ることが可能となる。
【0422】
さらに、従来バックライトではカラーフィルターの膜厚が厚くなりすぎ(>10μm)、製版性が得られないため達成し得なかったAdobe−RGB(NTSC比94%)を超えるNTSC比までもが、本発明の技術を用いれば達成できる。前記製造例13〜15で調製した各色のカラーフィルター用組成物の塗膜をそれぞれテストパターンマスクを使用して100mJ/cmで露光、現像したところ、全てのサンプルにおいて良好なパターンが得られることを確認した。また、実際に作製した各色のカラーフィルター用組成物の乾燥後の膜厚は、いずれも2.50μmであった。
【0423】
[6−2]実施例9〜10、比較例3〜4
製造例6〜9に示したバックライト(BL−6〜BL−9)と実施例9〜10用、比較例3〜4用のカラーフィルターとを組み合わせて、実施例9〜10および比較例3〜4のカラー画像表示装置とした。これらのカラー画像表示装置について、色度(x、y、Y)を測定するとともに、色再現性(NTSC比)および明るさ(色温度)についても求めた。ここでY値はバックライトからの発光の利用効率に相当する。その結果を表11に示す。
【0424】
【表11】

【産業上の利用可能性】
【0425】
本発明によれば、LEDバックライトでも画像の明るさを損なうことなく、カラーフィルターとの調整によって画像全体として広色再現性を達成するとともに、赤、緑、青の発光をワンチップで行うことにより実装上の生産性を損なうことなく、しかもホワイトバランスの調整が容易であるカラー画像表示装置を提供することができるため、カラーフィルター用組成物、カラーフィルター、カラー画像表示装置等の分野において、産業上の利用可能性は極めて高い。
【符号の説明】
【0426】
1 光源
2 導光板
3 光拡散シート
4,10 偏光板
5,8 ガラス基板
6 TFT
7 液晶
9 カラーフィルター
11 導光体
12 アレー
13 調光シート
14,14' 光取り出し機構
15 反射シート
20 モールド部材
24 半導体発光装置
25 マウントリード
26 インナーリード
27 固体発光素子
28 蛍光体含有部
29 導電性ワイヤ
32 固体発光素子
33 蛍光体含有部
34 フレーム
35 導電性ワイヤ
36,37 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色または深青色領域もしくは紫外領域の光を発する固体発光素子と、蛍光体とを組み合わせてなる半導体発光装置であって、
前記蛍光体は、515〜550nmの波長領域に1以上の発光ピークを有する緑色蛍光体、および
610〜650nmの波長領域に1以上の、半値幅が10nm以下である発光ピークを有し、かつ前記緑色蛍光体の発光波長領域に励起スペクトルを実質的に有さない、付活元素としてMn4+を含む赤色蛍光体を含み、
前記緑色蛍光体および前記赤色蛍光体は、励起光の波長が400nmまたは455nmの場合において、前記緑色蛍光体および前記赤色蛍光体の温度が25℃のときの発光ピーク強度に対する100℃における発光ピーク強度の変化率が、40%以下であることを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
前記緑色蛍光体は、アルミン酸塩系蛍光体、サイアロン蛍光体および酸窒化物系蛍光体からなる群より選択される1以上の化合物を含む請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記赤色蛍光体は、励起光の波長が455nmの場合において、温度が25℃のときの発光ピーク強度に対する100℃における発光ピーク強度の変化率が18%以下である請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記赤色蛍光体は、610〜650nmの波長領域に、半値幅が10nm以下である主発光ピークを有する請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記赤色蛍光体が下記一般式[r1]から[r8]のいずれかで表される化学組成を有する結晶相を含有するものである請求項1から4のいずれか1項に記載の半導体発光装置。
[MIV1−x] ・・・[r1]
[MIII1−x] ・・・[r2]
II[MIV1−x] ・・・[r3]
[MIV1−x] ・・・[r4]
[MIII1−x] ・・・[r5]
Zn[MIII1−x] ・・・[r6]
[MIII2−2x2x] ・・・[r7]
Ba0.65Zr0.352.70:Mn4+ ・・・[r8]
(前記一般式[r1]〜[r8]において、MはLi、Na、K、Rb、Cs、およびNHからなる群より選ばれる1種以上の1価の基を表わし、MIIはアルカリ土類金属元素からなる群より選ばれる1種以上の金属元素を表し、MIIIは周期律表第3族および第13族からなる群より選ばれる1種以上の金属元素を表し、MIVは周期律表第4族および第14族からなる群より選ばれる1種以上の金属元素を表し、Rは、少なくともMnを含有する付活元素を表す。xは、0<x<1で表される範囲の数値である。)
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の半導体発光装置を光源として備えたバックライト。
【請求項7】
光シャッターと、該光シャッターに対応する少なくとも赤、緑、青の三色の色要素を有するカラーフィルターと、請求項6に記載のバックライトとを組み合わせて構成されるカラー画像表示装置であって、
カラー画像表示素子の色再現範囲であるNTSC比Wと光利用効率Yとの関係が下記式で表されることを特徴とするカラー画像表示装置。
Y≧−0.4W+64 (ただし、W≧85)
【数1】

ここで、各符号、記号の定義は以下の通りである。
【数2】

【請求項8】
前記カラーフィルターの緑色画素が臭素化亜鉛フタロシアニン顔料を含む請求項7に記載のカラー画像表示装置。
【請求項9】
前記カラーフィルターの各画素の膜厚が0.5μm以上3.5μm以下である請求項7または8に記載のカラー画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−212508(P2009−212508A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−26153(P2009−26153)
【出願日】平成21年2月6日(2009.2.6)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】