半導体発光装置及びそれを用いたLEDランプ
【課題】グローブの中心付近に発光部を据えつけたときに広い配光特性が得られ、且つ構造が簡単で製造が容易なLED装置及びこのLED装置を用いたLEDランプを提供する。
【解決手段】柱状の回路基板13の先端にLEDダイ12を実装する。LEDダイ12から出射する光を遮る部分が少ないため広い配光が得られ、さらに発光部である回路基板13の先端をグローブ21の中心付記に配置すれば、広い配光をもったLEDランプ30が得られる。LED装置10を構成する主要部品がLEDダイ12と回路基板13だけなので構造も簡単である。また回路基板13の先端が平坦なのでLEDダイ12に対しワイヤボンディングやフリップチップ実装など良く知られた実装方法が適用できる。
【解決手段】柱状の回路基板13の先端にLEDダイ12を実装する。LEDダイ12から出射する光を遮る部分が少ないため広い配光が得られ、さらに発光部である回路基板13の先端をグローブ21の中心付記に配置すれば、広い配光をもったLEDランプ30が得られる。LED装置10を構成する主要部品がLEDダイ12と回路基板13だけなので構造も簡単である。また回路基板13の先端が平坦なのでLEDダイ12に対しワイヤボンディングやフリップチップ実装など良く知られた実装方法が適用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを光源とする半導体発光装置及びそれを用いたLEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費電力の多い白熱電球の代替として、消費電力が少なく、白熱電球と形状が類似した電球型LEDランプが普及してきている。しかしながら、電球型LEDランプに内蔵される半導体発光装置(以後特に断らないかぎりLED装置と呼ぶ)は出射光の指向性が強いため口金側が暗くなってしまうことがあった。なお本明細書では、ウェハーから切り出された状態の半導体発光素子をLEDダイと呼び、LEDダイを回路基板やリードフレームに実装し蛍光樹脂などでパッケージ化した半導体発光素子を半導体発光装置(LED装置)と呼んで区別する。
【0003】
電球型LEDランプの配光方向を広げる手法として、グローブ内において多数のLED装置を立体的に配置するもの(例えば特許文献1)、グローブ内に反射体又はプリズムなど光学部材を配置するもの(例えば特許文献2)、グローブの中心付近に発光部を配置しながら遮光する要素を減らしたもの(例えば特許文献3、特許文献4)、などがある。
【0004】
特許文献1の図1にはカバー2(グローブ)内でかご型均等配置したFPC(フレキシブル基板)に多数のLEDチップ6(LED装置)を備えたLED電球が示されている。このLED電球は光源を球状にし、さまざまな方向にLEDチップ6の直接光を放射することにより全方向への光照射を可能にしている。
【0005】
特許文献2の図1には、グローブ5の内側に複数のLEDランプ2(LED装置)と略漏斗状の光制御部材3を備えた標識灯A(LEDランプ)が示されている。光制御部材3は外表面31が反射体となっており、基体1の周辺部に配置されたLEDランプ2からの光をほぼ直角に曲げる。また光制御部材3は、中央部が中空になっており、基体1の中心部に配置されたLEDランプ2からの光をそのまま直進させる。以上のようにして標識灯Aは所望の角度範囲内に光を放射している。なお標識灯Aは道路における使用を想定しているため、口金方向までは配光させていない。
【0006】
特許文献3の図1には、金属フレーム1の一部に隆起部1Aを設け、この隆起部1A上にLEDチップ3(LEDダイ)を搭載した超広配光型LEDランプが示されている。この超広配光型LEDランプは、透光性のプラスチックカバー6の中心付近にLEDチップ6を配置し、広い配光特性を得ている。なおこの超広配光型LEDランプは、LEDチップ3(LEDダイ)が直視できるためLED装置とも呼べるが、いずれにしろ小型であるため口金はない。
【0007】
特許文献4の図2には、透光性殻体65(グローブ)の中央部に3個の発光素子チップ20(LEDダイ)を備えた発光モジュール64(LEDランプ)が示されている。発光素子チップ20はリード部31,33と銀ペーストにより接続している。このリード部31,33は端子モールド部161に固定している。また発光素子チップ20及びリード部31,33の周囲は液状モールド媒体30で覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−59305号公報 (図1)
【特許文献2】特開2000−45237号公報 (図1)
【特許文献3】特開2008−98544号公報 (図1)
【特許文献4】特許4735794号公報 (図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の図1に示したLEDランプのように、グローブ内において多数のLEDを立体的に配置するLEDランプは、実装部の構造が複雑になり、このため製造工数も多くなる。特許文献1のLEDランプでは平面状のFPCに半導体発光素子を実装してから立体化する工程をとり、製造工程を幾分改善しているが、やはり多数の半導体発光素子を実装することや平面状のFPCを立体的に曲げることなど構造上の複雑さや製造上の負荷が大きい。
【0010】
特許文献2の図1に示したようなLEDランプのように、グローブ内に光学部材を配置するLEDランプも、光学部材の分だけ部品点数が増加し構造も複雑化する。さらに組み立て工数も増える。
【0011】
特許文献1,2のようなLEDランプは 多数のLED装置をグローブ内に配置していることが構造を複雑化し製造しにくくする一因であった。最近ではLEDダイが大型化し、さらに電流許容値も大きくなってきたので、単一のLEDダイでも明るい光源が得られるようになっている。このようななかで特許文献3の図1に示したようなLEDランプのように、発光部として一個のLEDダイをグローブの中心付近に配置すれば構造が簡単になり製造負荷が減る。しかしながら特許文献3に示したLEDランプは、リードフレームを変形してグローブの中心付近にLEDダイを配置しており、小型LEDランプ向けの構造となっている。このため、このまま大型化したとするとプレス機や射出成型装置が大型化し簡単に製造できなくなる。
【0012】
特許文献4に示されたLEDランプのようにグローブの中心にLEDダイを配置し、固定用の部材が光の出射を妨げないようにすれば広い配光分布が得られる。しかしながら特許文献4に示されたLEDランプでは端子モールド部161に固定されたリード部31,33にLEDチップ20を実装している。つまり大型で複雑且つ異型の部品へLEDダイを実装することなり、構造の複雑化を招き製造上の負荷も大きくなる。
【0013】
そこで本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、グローブの中心付近に発光部を据えつけたときに広い配光特性が得られ、且つ構造が簡単で製造が容易な半導体発光装置及びその半導体発光装置を用いたLEDランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため本発明の半導体発光装置は、回路基板と、該回路基板に実装されたLEDダイとを備える半導体発光装置において、
前記回路基板が柱状又は切頭錐体で、その先端に前記LEDダイを搭載し、側面に配線を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の半導体発光装置は、柱状又は切頭錐体の回路基板の先端にLEDダイを実装したものなので、LEDダイから出射する光を遮る部分が少ないため広い配光が得られる。さらに発光部である回路基板の先端をグローブの中心付近に配置すれば、広い配光をもったLEDランプが得られる。半導体発光装置を構成する主要部品がLEDダイと回路基板だけであるため構造も簡単である。また回路基板の先端が平坦なのでLEDダイに対しワイヤボンディングやフリップチップ実装など良く知られた実装方法が適用でき、さらに回路基板が柱状又は切頭錐体であるため先端部の実装面積が大きくならないので実装機が大
型化しない。
【0016】
前記LEDダイが前記回路基板にフリップチップ実装されていることが好ましい。
【0017】
前記LEDダイが前記回路基板の側面の一部とともに蛍光体で被覆されていても良い。
【0018】
前記回路基板が、金属、窒化アルミ、又はヒートパイプからなることが好ましい。
【0019】
上記課題を解決するため本発明のLEDランプは、回路基板と、該回路基板に実装されたLEDダイと、該LEDダイを被覆する被覆材を備える半導体発光装置を用いたLEDランプにおいて、
前記回路基板が柱状又は切頭錐体で、該回路基板の先端に前記LEDダイを搭載し、側面に配線を有し、
前記LEDランプのケース部と連結する基体に前記回路基板の他端を固定し、前記LEDダイをグローブの略中央に配置することを特徴とする。
【0020】
本発明のLEDランプは、柱状又は切頭錐体の回路基板の先端にLEDダイを実装した半導体発光装置をLEDランプのケース部に連結した基体に固定し、発光部であるLEDダイがグローブの中心付近に配置されるようにしている。回路基板が柱状又は切頭錐体であるためLEDダイから口金方向に出射する光を遮る部材が少なく、さらにLEDダイがグローブの中心付近にあるため広い配光分布を持つ。またLED装置の固定に際し、回路基板が柱状又は切頭錐体であるため、固定部の構造が簡単なもので済み且つ組み立ても容易になる。また回路基板にLEDダイを実装する工程及び条件が、基体に抵抗等の電子部品を実装する場合に必要となる工程及び条件と著しく異なるため、製造の途中段階までLED装置と基体とを別々に組み立てておき、最終段階で両者を結合させられるので製造が容易になる。
【0021】
前記回路基板の他端を前記基体の固定部に差し込み、前記半導体発光装置の固定及び電気的接続を行っても良い。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明の半導体発光装置及びこの半導体発光装置を用いたLEDランプは、広い配光特性を備えながら構造が簡単で製造が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係るLED装置の斜視図。
【図2】図1のLED装置の外形図。
【図3】図1のLED装置の断面図。
【図4】図1のLED装置を使ったLEDランプを一部縦断面で示す正面図。
【図5】図4で示すLEDランプ内のLED装置固定部の断面図。
【図6】本発明の第2実施形態に係わるLED装置の斜視図。
【図7】図6のLED装置の外形図。
【図8】図6で示すLEDダイの回路図。
【図9】図6のLED装置を使ったLEDランプを一部縦断面で示す正面図。
【図10】図9で示すLEDランプ内のLED装置固定部の断面図。
【図11】図1のLED装置について参考例として示す製造方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図1〜10を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は
省略する。また説明のため部材の縮尺は適宜変更している。さらに特許請求の範囲に記載した発明特定事項との関係をカッコ内に記載している。
(第1実施形態)
【0025】
添付図1〜5により本発明の第1実施形態におけるLED装置及びこのLED装置を用いた電球型LEDランプを説明する。まず図1により本実施形態におけるLED装置10の概要を説明する。図1はLED装置10の斜視図である。LED装置10は、被覆材11、LEDダイ12及び回路基板13からなる。回路基板13は四角柱であり、先端にLEDダイ12が実装され、さらに先端部にLEDダイ12を取り囲むように球状の被覆材11が固着している。また回路基板13は側面に配線14を有する。配線14は回路基板13の上面にも存在し、LEDダイ12の下面に潜り込んでいる。
【0026】
LEDダイ12は青色発光し、被覆材11に含まれる蛍光体がこの青色発光の一部を黄色光に波長変換する。残りの青色発光と前述の黄色光によりLED装置10は白色光源となる。なお図1において、被覆材11は黄色く見えるが、被覆材11の内部構造を分かりやすくするため透明化して描いている。回路基板13の側面にある配線14は、図示していない配線15(図2参照)とともにLEDダイ12に給電する。またLED装置10を白色発光させるためには、青色光により黄色発光する蛍光体を用いることに限られず、青色光により緑色に発光する蛍光体と赤色に発光する蛍光体とを混合した蛍光体を用いても良い。LEDダイ12として近紫外線を発光するものを用いても良く、この場合、近紫外線により励起され青色発光する蛍光体を被覆材11に追加する。
【0027】
図2によりLED装置10の外形をさらに詳しく説明する。図2は図1のLED装置10の外形図であり、(a)が平面図、(b)が正面図である。(a)において円は被覆材11の外形である。また、正方形の回路基板13の上面とその内側にあるLEDダイ12の上面が見える。回路基板13の上面には配線14,15があり、配線14,15は回路基板13の上面の辺からLEDダイ12の下面に達するように延びている。
【0028】
(b)において円で示した被覆材11の中心部付近(図では中心よりよりやや低い位置)にLEDダイ12がある。被覆材11は、LEDダイ12を含む回路基板13上面とともに、回路基板13の側面の一部も覆っている。また回路基板13の側面には上下方向に延びる配線14がある。なお、青色発光部が点光源であり被覆材11の中心にあれば、青色光が被覆材11を通る距離が方位角に依存しなくなるので、青色光が被覆材を通過する距離に依存する発光色のむらがなくなる。実際には光源であるLEDダイ12が平面的にも厚み方向にも広がっているのでLEDダイ12は被覆材11の中心からずらしておく。
【0029】
次に図3によりLEDダイ12の実装状況を説明する。図3は図2のAA線に沿って描いたLED装置10の断面図である。回路基板13の左右の側面と上面には配線14,15があり、配線14,15は回路基板13の上面で対向している。ここでLEDダイ12が配線14,15にフリップチップ実装されている。
【0030】
LEDダイ12は突起電極12a,12b上に半導体層12c、サファイア基板12dが積層した構造になっている。突起電極12a,12bはそれぞれアノードとカソードであり、金または銅をコアとするバンプである。半導体層12cは厚さが6μm程度のGaN層で発光層を含んでいる。サファイア基板12dは、厚さが200μm程度で透明絶縁基板である。多くのLEDパッケージ(LED装置)ではサファイア基板を80〜120μmまで薄くし、パッケージの薄型化や発光特性の改善を図っているが、本実施形態の場合、サファイア基板の側方から出射する発光量も充分に確保するためサファイア基板12dを厚めに設定している。
【0031】
フリップチップ実装は実装面積が小さく発光効率や放熱効率が良いという特徴がある。つまりフリップチップ実装は、接続用のワイヤが不必要であるため実装面積が小さくて済む。またワイヤやワイヤボンディグ部のように影になる部分がないため発光効率も良い。さらに発光層と隣接するp型半導体層が突起電極を介して直接的に回路基板と接続するため熱伝導効率が良い。
【0032】
配線14は20μm程度の銅箔にニッケル・金メッキを施したものである。蒸着やスパッタ法で配線14を形成した場合は厚さが数μm程度になる。被覆材11はシリコーンにYAG等の蛍光体を混練し熱硬化させたものである。回路基板13は熱伝導性が重要な特性となるので、基材としてAlN等のセラミック、表面を絶縁処理した金属、ヒートパイプなどから選ぶ。
【0033】
ヒートパイプとは、密閉容器内に少量の液体(作動液)を真空封入し、内壁に毛細管構造(ウィック)を備えたものである。ヒートパイプの一部が加熱されると、加熱部で作動液が蒸発(蒸発潜熱の吸収)し、低温部に蒸気が移動する。そして蒸気が低温部で凝縮(蒸発潜熱の放出)すると、この凝縮した液が毛細管現象で加熱部に環流する。この一連の相変化が連続的に生じ熱が素早く移動する。
【0034】
次に図4によりLED装置10を電球型LEDランプ20に適用した場合を説明する。図4はLED装置10を使ったLEDランプ20の全体構成を一部縦断面で示す正面図である。LEDランプ20の外観は、グローブ21、ケース22、口金23からなる。ケース22の上部ではグローブ21と共に基体24が固定されている。基体24には抵抗等の電子部品25が実装されているとともに、LED装置10の回路基板13が挿し込まれている。LED装置10の発光部であるLEDダイ12及び被覆材11はグローブ21の中心付近にある。
【0035】
光線L1はLEDダイ12から直接的に外部に出射しようとする光線、或いは被覆材11中の蛍光体から外部に出射しようとしている光線である。一方光線L2は、LEDダイ12から出射した青色光が蛍光体により波長変換された光線のうちグローブ21の下方に向かって出射する光線である。このため光線L2が向う方向の配光成分は黄色くなる。このように口金23方向が黄色くなるのが好ましくない場合は、LEDダイ12として近紫外線を発光する発光ダイオードを採用すれば良い。このとき例えば被覆材11には青色発光、緑色発光及び赤色発光する3種類の蛍光体が混在するので、光線L2の方向も白色化する。
【0036】
次に図5によりLED装置10の固定方法を説明する。図5はLEDランプ20に内蔵された基体24の固定部26の断面図である。LED装置10は、基体24に取り付けられた固定部26に挿し込まれ、バネ27で押さえられている。バネ27は配線14,15(図1、図2参照)と接触し給電も行う。
(第2実施形態)
【0037】
第1実施形態におけるLED装置10の回路基板13は四角柱であった。しかしながら広い配光分布を得るためには、回路基板の下方向に向う光を遮る部材が少なければ良い。すなわち回路基板の形状は四角柱に限られず、切頭錐体であっても良い。そこで図6〜10により本発明の第2実施形態として回路基板が切頭円錐であるLED装置30及びLED装置30を用いたLEDランプ40について説明する。同時にLED装置30及びLEDランプ40は、回路基板の形状以外の事項についても本発明の変形例が含まれている。
【0038】
まず図6により本実施形態におけるLED装置30の外観を説明する。図6はLED装置30の斜視図である。回路基板33は切頭円錐で、先端部にLEDダイ32が実装され
ている。LEDダイ32を含む回路基板33の先端部は被覆材31で被覆されている。被覆材31は、図1等に示したLED装置10の被覆材11と異なり、回路基板33の上面のみを被覆し、回路基板33の側面には被覆部がない。回路基板33には4本の配線34,35,36,37がある。回路基板33の先端部において、配線34〜37の端部とLEDダイ32との間に隙間がある。LEDダイ32はワイヤにより各配線34〜37と電気的に接続しているが、本図ではワイヤを描いていない。同様に被覆材31も蛍光体を含有しているため透明体ではないが、図では被覆材31内の構造を説明するため透明にしている。
【0039】
次に図7によりLED装置30の外形をさらに詳しく説明する。図7は図6のLED装置30の外形図であり、(a)が平面図、(b)が正面図である。(a)において外側の円は回路基板33の底面、内側の円は回路基板33の上面(先端部)を示している。LEDダイ32は回路基板33の上面の中央部に配置している。回路基板33には側面から上面にかけて4本の配線34〜37があり、配線34,35,36,37とLEDダイ32はワイヤ34a,35a,36a,37aで接続している。(b)に示すように回路基板33は台形に見える。被覆材31は略半球になって、LEDダイ32とともにワイヤ34a〜37aを封止している。
【0040】
次に図8によりLEDダイ32の回路を説明する。図8は図6等で示すLEDダイ32の回路図である。LEDダイ32は直列接続する複数の発光ダイオード38を備えている。端子34bは発光ダイオード列のアノードであり、端子37bは発光ダイオード列のカソードである。端子35b及び端子36bは中間端子である。各端子34b〜37bはワイヤ34a〜37aにより配線34〜37と接続する(図7参照)。
【0041】
多数の発光ダイオード38を直列接続すれば閾値電圧が高くなり、高電圧に耐えられるようになる。これで商用電源から直接的に点灯できるようになる。例えば商用電源の実効値が100Vで発光ダイオード38の順方向電圧が3Vのとき直列段数を40程度にする。とくにLEDダイ32のように中間の端子35b、36bを持っている場合、駆動電圧に応じて発光ダイオード38の直列段数を切り換えることが可能となり、明るさの向上とともにチラツキを軽減できる。
【0042】
次に図9によりLED装置30を電球型LEDランプに適用した場合を説明する。図9はLED装置30を使ったLEDランプ40の全体構成を一部縦断面で示す正面図である。LEDランプ40の外観は、図4のLEDランプ20と同様にグローブ21、ケース22、口金23からなる。ケース22の上部ではグローブ21と共に基体44が固定され、基体44には抵抗等の電子部品45が実装されているとともに、LED装置30が基体44上に固定されている。LED装置30の発光部であるLEDダイ32及び被覆材31はグローブ21の中心付近にある。
【0043】
光線L3はLEDダイ32から直接的に外部に出射しようとする光線、或いは被覆材31中の蛍光体から外部に出射しようとしている光線である。一方光線L4は、LEDダイ32から出射した青色光が蛍光体により波長変換された光線のうちグローブ21の下方に向かって出射する光線である。図4のLEDランプ20は光線L2が基体24に遮られるくらいまで配光するのに対し、図9のLEDランプ40の配光分布は下限が図中光線L4で示される方向程度に制限されている。方位角による発光色のムラを改善するためには図4における説明と同様に近紫外線を発光するLEDダイ32と、青色、緑色及び赤色発光する蛍光体を採用すれば良い。
【0044】
図10によりLED装置30の固定方法を説明する。図10はLEDランプ40に内蔵された基体44の固定部46周りの断面図である。LED装置30は基体44に搭載され
半田47で固定される。半田47は配線34〜37(図6、図7参照)と基体44上の配線電極(図示せず)とを導電接続している。またLED装置30と基体44を接着してもと良い。
(参考例)
【0045】
第1及び第2実施形態のLED装置10,30は、柱状又は切頭錐体の回路基板13,33の準備、回路基板13,33への配線14,15,34〜37の形成、LEDダイ12,32の実装、被覆材11,31のモールド、を経て完成させることができる。しかしながら第1実施形態におけるLED装置10のように回路基板13が四角柱である場合は集合工法が適用でき製造が簡単化する。
【0046】
そこで図11によりLED装置10に集合工法を適用した製造方法を説明する。図11は参考例として示すLED装置10の製造方法の説明図である。図11において(a)は集合基板51の平面図、(b)は集合基板51の正面図である。(a)に示すように集合基板51の上面51aにはLEDダイ12(図2,3参照)を実装するための電極(配線14,15)が一定のピッチで形成されている。また(b)で示すように集合基板51の正面には、完成時に回路基板13の側面に形成された配線要素になる配線14が一定のピッチで形成されている。なお図示していないが集合基板51の裏面には配線15が同様に形成されている。
【0047】
集合基板51の正面及び裏面の配線14,15は、銅箔を貼り付けてからエッチング等でパターン形成しても良いし、印刷や蒸着などで形成しても良い。またコファイアで集合基板と一体化して配線14,15を形成しても良い。集合基板51の上面51aは、LEDダイ12を実装するため平面精度を高くしておかなければならないので、研磨してから電極(配線14,15)をホトリソグラフィ法並びに蒸着法・スパッタ法等の組合せで形成するのが良い。このとき断線を防ぐため辺部を面取りしておくのが好ましい。
【0048】
配線14,15を形成したら、集合基板51の上面51aにLEDダイ12を実装する。その後、集合基板51を切断用の線52に沿って切断し、回路基板13に個片化する。この回路基板13に被覆材11をモールドすればLED装置10が完成する。なおLED装置10は一つの側面に一本の配線14(又は15)を形成していたが、一つの側面に複数の配線を形成しも良い。この場合にも集合工法が適用できる。
【符号の説明】
【0049】
10,30…LED装置(半導体発光装置)、
11,31…被覆材、
12,32…LEDダイ、
13,33…回路基板、
14,15,34,35,36,37…配線、
34a,35a,36a,37a…ワイヤ、
34b,35b,36b,37b…端子、
21…グローブ、
22…ケース、
23…口金、
24,44…基体、
25,45…電子部品、
26,46…固定部、
27…バネ、
38…発光ダイオード、
47…半田、
51…集合基板、
51a…集合基板の上面、
52…切断用の線、
L1,L2,L3,L4…光線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードを光源とする半導体発光装置及びそれを用いたLEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費電力の多い白熱電球の代替として、消費電力が少なく、白熱電球と形状が類似した電球型LEDランプが普及してきている。しかしながら、電球型LEDランプに内蔵される半導体発光装置(以後特に断らないかぎりLED装置と呼ぶ)は出射光の指向性が強いため口金側が暗くなってしまうことがあった。なお本明細書では、ウェハーから切り出された状態の半導体発光素子をLEDダイと呼び、LEDダイを回路基板やリードフレームに実装し蛍光樹脂などでパッケージ化した半導体発光素子を半導体発光装置(LED装置)と呼んで区別する。
【0003】
電球型LEDランプの配光方向を広げる手法として、グローブ内において多数のLED装置を立体的に配置するもの(例えば特許文献1)、グローブ内に反射体又はプリズムなど光学部材を配置するもの(例えば特許文献2)、グローブの中心付近に発光部を配置しながら遮光する要素を減らしたもの(例えば特許文献3、特許文献4)、などがある。
【0004】
特許文献1の図1にはカバー2(グローブ)内でかご型均等配置したFPC(フレキシブル基板)に多数のLEDチップ6(LED装置)を備えたLED電球が示されている。このLED電球は光源を球状にし、さまざまな方向にLEDチップ6の直接光を放射することにより全方向への光照射を可能にしている。
【0005】
特許文献2の図1には、グローブ5の内側に複数のLEDランプ2(LED装置)と略漏斗状の光制御部材3を備えた標識灯A(LEDランプ)が示されている。光制御部材3は外表面31が反射体となっており、基体1の周辺部に配置されたLEDランプ2からの光をほぼ直角に曲げる。また光制御部材3は、中央部が中空になっており、基体1の中心部に配置されたLEDランプ2からの光をそのまま直進させる。以上のようにして標識灯Aは所望の角度範囲内に光を放射している。なお標識灯Aは道路における使用を想定しているため、口金方向までは配光させていない。
【0006】
特許文献3の図1には、金属フレーム1の一部に隆起部1Aを設け、この隆起部1A上にLEDチップ3(LEDダイ)を搭載した超広配光型LEDランプが示されている。この超広配光型LEDランプは、透光性のプラスチックカバー6の中心付近にLEDチップ6を配置し、広い配光特性を得ている。なおこの超広配光型LEDランプは、LEDチップ3(LEDダイ)が直視できるためLED装置とも呼べるが、いずれにしろ小型であるため口金はない。
【0007】
特許文献4の図2には、透光性殻体65(グローブ)の中央部に3個の発光素子チップ20(LEDダイ)を備えた発光モジュール64(LEDランプ)が示されている。発光素子チップ20はリード部31,33と銀ペーストにより接続している。このリード部31,33は端子モールド部161に固定している。また発光素子チップ20及びリード部31,33の周囲は液状モールド媒体30で覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−59305号公報 (図1)
【特許文献2】特開2000−45237号公報 (図1)
【特許文献3】特開2008−98544号公報 (図1)
【特許文献4】特許4735794号公報 (図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の図1に示したLEDランプのように、グローブ内において多数のLEDを立体的に配置するLEDランプは、実装部の構造が複雑になり、このため製造工数も多くなる。特許文献1のLEDランプでは平面状のFPCに半導体発光素子を実装してから立体化する工程をとり、製造工程を幾分改善しているが、やはり多数の半導体発光素子を実装することや平面状のFPCを立体的に曲げることなど構造上の複雑さや製造上の負荷が大きい。
【0010】
特許文献2の図1に示したようなLEDランプのように、グローブ内に光学部材を配置するLEDランプも、光学部材の分だけ部品点数が増加し構造も複雑化する。さらに組み立て工数も増える。
【0011】
特許文献1,2のようなLEDランプは 多数のLED装置をグローブ内に配置していることが構造を複雑化し製造しにくくする一因であった。最近ではLEDダイが大型化し、さらに電流許容値も大きくなってきたので、単一のLEDダイでも明るい光源が得られるようになっている。このようななかで特許文献3の図1に示したようなLEDランプのように、発光部として一個のLEDダイをグローブの中心付近に配置すれば構造が簡単になり製造負荷が減る。しかしながら特許文献3に示したLEDランプは、リードフレームを変形してグローブの中心付近にLEDダイを配置しており、小型LEDランプ向けの構造となっている。このため、このまま大型化したとするとプレス機や射出成型装置が大型化し簡単に製造できなくなる。
【0012】
特許文献4に示されたLEDランプのようにグローブの中心にLEDダイを配置し、固定用の部材が光の出射を妨げないようにすれば広い配光分布が得られる。しかしながら特許文献4に示されたLEDランプでは端子モールド部161に固定されたリード部31,33にLEDチップ20を実装している。つまり大型で複雑且つ異型の部品へLEDダイを実装することなり、構造の複雑化を招き製造上の負荷も大きくなる。
【0013】
そこで本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、グローブの中心付近に発光部を据えつけたときに広い配光特性が得られ、且つ構造が簡単で製造が容易な半導体発光装置及びその半導体発光装置を用いたLEDランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため本発明の半導体発光装置は、回路基板と、該回路基板に実装されたLEDダイとを備える半導体発光装置において、
前記回路基板が柱状又は切頭錐体で、その先端に前記LEDダイを搭載し、側面に配線を有することを特徴とする。
【0015】
本発明の半導体発光装置は、柱状又は切頭錐体の回路基板の先端にLEDダイを実装したものなので、LEDダイから出射する光を遮る部分が少ないため広い配光が得られる。さらに発光部である回路基板の先端をグローブの中心付近に配置すれば、広い配光をもったLEDランプが得られる。半導体発光装置を構成する主要部品がLEDダイと回路基板だけであるため構造も簡単である。また回路基板の先端が平坦なのでLEDダイに対しワイヤボンディングやフリップチップ実装など良く知られた実装方法が適用でき、さらに回路基板が柱状又は切頭錐体であるため先端部の実装面積が大きくならないので実装機が大
型化しない。
【0016】
前記LEDダイが前記回路基板にフリップチップ実装されていることが好ましい。
【0017】
前記LEDダイが前記回路基板の側面の一部とともに蛍光体で被覆されていても良い。
【0018】
前記回路基板が、金属、窒化アルミ、又はヒートパイプからなることが好ましい。
【0019】
上記課題を解決するため本発明のLEDランプは、回路基板と、該回路基板に実装されたLEDダイと、該LEDダイを被覆する被覆材を備える半導体発光装置を用いたLEDランプにおいて、
前記回路基板が柱状又は切頭錐体で、該回路基板の先端に前記LEDダイを搭載し、側面に配線を有し、
前記LEDランプのケース部と連結する基体に前記回路基板の他端を固定し、前記LEDダイをグローブの略中央に配置することを特徴とする。
【0020】
本発明のLEDランプは、柱状又は切頭錐体の回路基板の先端にLEDダイを実装した半導体発光装置をLEDランプのケース部に連結した基体に固定し、発光部であるLEDダイがグローブの中心付近に配置されるようにしている。回路基板が柱状又は切頭錐体であるためLEDダイから口金方向に出射する光を遮る部材が少なく、さらにLEDダイがグローブの中心付近にあるため広い配光分布を持つ。またLED装置の固定に際し、回路基板が柱状又は切頭錐体であるため、固定部の構造が簡単なもので済み且つ組み立ても容易になる。また回路基板にLEDダイを実装する工程及び条件が、基体に抵抗等の電子部品を実装する場合に必要となる工程及び条件と著しく異なるため、製造の途中段階までLED装置と基体とを別々に組み立てておき、最終段階で両者を結合させられるので製造が容易になる。
【0021】
前記回路基板の他端を前記基体の固定部に差し込み、前記半導体発光装置の固定及び電気的接続を行っても良い。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明の半導体発光装置及びこの半導体発光装置を用いたLEDランプは、広い配光特性を備えながら構造が簡単で製造が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係るLED装置の斜視図。
【図2】図1のLED装置の外形図。
【図3】図1のLED装置の断面図。
【図4】図1のLED装置を使ったLEDランプを一部縦断面で示す正面図。
【図5】図4で示すLEDランプ内のLED装置固定部の断面図。
【図6】本発明の第2実施形態に係わるLED装置の斜視図。
【図7】図6のLED装置の外形図。
【図8】図6で示すLEDダイの回路図。
【図9】図6のLED装置を使ったLEDランプを一部縦断面で示す正面図。
【図10】図9で示すLEDランプ内のLED装置固定部の断面図。
【図11】図1のLED装置について参考例として示す製造方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図1〜10を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は
省略する。また説明のため部材の縮尺は適宜変更している。さらに特許請求の範囲に記載した発明特定事項との関係をカッコ内に記載している。
(第1実施形態)
【0025】
添付図1〜5により本発明の第1実施形態におけるLED装置及びこのLED装置を用いた電球型LEDランプを説明する。まず図1により本実施形態におけるLED装置10の概要を説明する。図1はLED装置10の斜視図である。LED装置10は、被覆材11、LEDダイ12及び回路基板13からなる。回路基板13は四角柱であり、先端にLEDダイ12が実装され、さらに先端部にLEDダイ12を取り囲むように球状の被覆材11が固着している。また回路基板13は側面に配線14を有する。配線14は回路基板13の上面にも存在し、LEDダイ12の下面に潜り込んでいる。
【0026】
LEDダイ12は青色発光し、被覆材11に含まれる蛍光体がこの青色発光の一部を黄色光に波長変換する。残りの青色発光と前述の黄色光によりLED装置10は白色光源となる。なお図1において、被覆材11は黄色く見えるが、被覆材11の内部構造を分かりやすくするため透明化して描いている。回路基板13の側面にある配線14は、図示していない配線15(図2参照)とともにLEDダイ12に給電する。またLED装置10を白色発光させるためには、青色光により黄色発光する蛍光体を用いることに限られず、青色光により緑色に発光する蛍光体と赤色に発光する蛍光体とを混合した蛍光体を用いても良い。LEDダイ12として近紫外線を発光するものを用いても良く、この場合、近紫外線により励起され青色発光する蛍光体を被覆材11に追加する。
【0027】
図2によりLED装置10の外形をさらに詳しく説明する。図2は図1のLED装置10の外形図であり、(a)が平面図、(b)が正面図である。(a)において円は被覆材11の外形である。また、正方形の回路基板13の上面とその内側にあるLEDダイ12の上面が見える。回路基板13の上面には配線14,15があり、配線14,15は回路基板13の上面の辺からLEDダイ12の下面に達するように延びている。
【0028】
(b)において円で示した被覆材11の中心部付近(図では中心よりよりやや低い位置)にLEDダイ12がある。被覆材11は、LEDダイ12を含む回路基板13上面とともに、回路基板13の側面の一部も覆っている。また回路基板13の側面には上下方向に延びる配線14がある。なお、青色発光部が点光源であり被覆材11の中心にあれば、青色光が被覆材11を通る距離が方位角に依存しなくなるので、青色光が被覆材を通過する距離に依存する発光色のむらがなくなる。実際には光源であるLEDダイ12が平面的にも厚み方向にも広がっているのでLEDダイ12は被覆材11の中心からずらしておく。
【0029】
次に図3によりLEDダイ12の実装状況を説明する。図3は図2のAA線に沿って描いたLED装置10の断面図である。回路基板13の左右の側面と上面には配線14,15があり、配線14,15は回路基板13の上面で対向している。ここでLEDダイ12が配線14,15にフリップチップ実装されている。
【0030】
LEDダイ12は突起電極12a,12b上に半導体層12c、サファイア基板12dが積層した構造になっている。突起電極12a,12bはそれぞれアノードとカソードであり、金または銅をコアとするバンプである。半導体層12cは厚さが6μm程度のGaN層で発光層を含んでいる。サファイア基板12dは、厚さが200μm程度で透明絶縁基板である。多くのLEDパッケージ(LED装置)ではサファイア基板を80〜120μmまで薄くし、パッケージの薄型化や発光特性の改善を図っているが、本実施形態の場合、サファイア基板の側方から出射する発光量も充分に確保するためサファイア基板12dを厚めに設定している。
【0031】
フリップチップ実装は実装面積が小さく発光効率や放熱効率が良いという特徴がある。つまりフリップチップ実装は、接続用のワイヤが不必要であるため実装面積が小さくて済む。またワイヤやワイヤボンディグ部のように影になる部分がないため発光効率も良い。さらに発光層と隣接するp型半導体層が突起電極を介して直接的に回路基板と接続するため熱伝導効率が良い。
【0032】
配線14は20μm程度の銅箔にニッケル・金メッキを施したものである。蒸着やスパッタ法で配線14を形成した場合は厚さが数μm程度になる。被覆材11はシリコーンにYAG等の蛍光体を混練し熱硬化させたものである。回路基板13は熱伝導性が重要な特性となるので、基材としてAlN等のセラミック、表面を絶縁処理した金属、ヒートパイプなどから選ぶ。
【0033】
ヒートパイプとは、密閉容器内に少量の液体(作動液)を真空封入し、内壁に毛細管構造(ウィック)を備えたものである。ヒートパイプの一部が加熱されると、加熱部で作動液が蒸発(蒸発潜熱の吸収)し、低温部に蒸気が移動する。そして蒸気が低温部で凝縮(蒸発潜熱の放出)すると、この凝縮した液が毛細管現象で加熱部に環流する。この一連の相変化が連続的に生じ熱が素早く移動する。
【0034】
次に図4によりLED装置10を電球型LEDランプ20に適用した場合を説明する。図4はLED装置10を使ったLEDランプ20の全体構成を一部縦断面で示す正面図である。LEDランプ20の外観は、グローブ21、ケース22、口金23からなる。ケース22の上部ではグローブ21と共に基体24が固定されている。基体24には抵抗等の電子部品25が実装されているとともに、LED装置10の回路基板13が挿し込まれている。LED装置10の発光部であるLEDダイ12及び被覆材11はグローブ21の中心付近にある。
【0035】
光線L1はLEDダイ12から直接的に外部に出射しようとする光線、或いは被覆材11中の蛍光体から外部に出射しようとしている光線である。一方光線L2は、LEDダイ12から出射した青色光が蛍光体により波長変換された光線のうちグローブ21の下方に向かって出射する光線である。このため光線L2が向う方向の配光成分は黄色くなる。このように口金23方向が黄色くなるのが好ましくない場合は、LEDダイ12として近紫外線を発光する発光ダイオードを採用すれば良い。このとき例えば被覆材11には青色発光、緑色発光及び赤色発光する3種類の蛍光体が混在するので、光線L2の方向も白色化する。
【0036】
次に図5によりLED装置10の固定方法を説明する。図5はLEDランプ20に内蔵された基体24の固定部26の断面図である。LED装置10は、基体24に取り付けられた固定部26に挿し込まれ、バネ27で押さえられている。バネ27は配線14,15(図1、図2参照)と接触し給電も行う。
(第2実施形態)
【0037】
第1実施形態におけるLED装置10の回路基板13は四角柱であった。しかしながら広い配光分布を得るためには、回路基板の下方向に向う光を遮る部材が少なければ良い。すなわち回路基板の形状は四角柱に限られず、切頭錐体であっても良い。そこで図6〜10により本発明の第2実施形態として回路基板が切頭円錐であるLED装置30及びLED装置30を用いたLEDランプ40について説明する。同時にLED装置30及びLEDランプ40は、回路基板の形状以外の事項についても本発明の変形例が含まれている。
【0038】
まず図6により本実施形態におけるLED装置30の外観を説明する。図6はLED装置30の斜視図である。回路基板33は切頭円錐で、先端部にLEDダイ32が実装され
ている。LEDダイ32を含む回路基板33の先端部は被覆材31で被覆されている。被覆材31は、図1等に示したLED装置10の被覆材11と異なり、回路基板33の上面のみを被覆し、回路基板33の側面には被覆部がない。回路基板33には4本の配線34,35,36,37がある。回路基板33の先端部において、配線34〜37の端部とLEDダイ32との間に隙間がある。LEDダイ32はワイヤにより各配線34〜37と電気的に接続しているが、本図ではワイヤを描いていない。同様に被覆材31も蛍光体を含有しているため透明体ではないが、図では被覆材31内の構造を説明するため透明にしている。
【0039】
次に図7によりLED装置30の外形をさらに詳しく説明する。図7は図6のLED装置30の外形図であり、(a)が平面図、(b)が正面図である。(a)において外側の円は回路基板33の底面、内側の円は回路基板33の上面(先端部)を示している。LEDダイ32は回路基板33の上面の中央部に配置している。回路基板33には側面から上面にかけて4本の配線34〜37があり、配線34,35,36,37とLEDダイ32はワイヤ34a,35a,36a,37aで接続している。(b)に示すように回路基板33は台形に見える。被覆材31は略半球になって、LEDダイ32とともにワイヤ34a〜37aを封止している。
【0040】
次に図8によりLEDダイ32の回路を説明する。図8は図6等で示すLEDダイ32の回路図である。LEDダイ32は直列接続する複数の発光ダイオード38を備えている。端子34bは発光ダイオード列のアノードであり、端子37bは発光ダイオード列のカソードである。端子35b及び端子36bは中間端子である。各端子34b〜37bはワイヤ34a〜37aにより配線34〜37と接続する(図7参照)。
【0041】
多数の発光ダイオード38を直列接続すれば閾値電圧が高くなり、高電圧に耐えられるようになる。これで商用電源から直接的に点灯できるようになる。例えば商用電源の実効値が100Vで発光ダイオード38の順方向電圧が3Vのとき直列段数を40程度にする。とくにLEDダイ32のように中間の端子35b、36bを持っている場合、駆動電圧に応じて発光ダイオード38の直列段数を切り換えることが可能となり、明るさの向上とともにチラツキを軽減できる。
【0042】
次に図9によりLED装置30を電球型LEDランプに適用した場合を説明する。図9はLED装置30を使ったLEDランプ40の全体構成を一部縦断面で示す正面図である。LEDランプ40の外観は、図4のLEDランプ20と同様にグローブ21、ケース22、口金23からなる。ケース22の上部ではグローブ21と共に基体44が固定され、基体44には抵抗等の電子部品45が実装されているとともに、LED装置30が基体44上に固定されている。LED装置30の発光部であるLEDダイ32及び被覆材31はグローブ21の中心付近にある。
【0043】
光線L3はLEDダイ32から直接的に外部に出射しようとする光線、或いは被覆材31中の蛍光体から外部に出射しようとしている光線である。一方光線L4は、LEDダイ32から出射した青色光が蛍光体により波長変換された光線のうちグローブ21の下方に向かって出射する光線である。図4のLEDランプ20は光線L2が基体24に遮られるくらいまで配光するのに対し、図9のLEDランプ40の配光分布は下限が図中光線L4で示される方向程度に制限されている。方位角による発光色のムラを改善するためには図4における説明と同様に近紫外線を発光するLEDダイ32と、青色、緑色及び赤色発光する蛍光体を採用すれば良い。
【0044】
図10によりLED装置30の固定方法を説明する。図10はLEDランプ40に内蔵された基体44の固定部46周りの断面図である。LED装置30は基体44に搭載され
半田47で固定される。半田47は配線34〜37(図6、図7参照)と基体44上の配線電極(図示せず)とを導電接続している。またLED装置30と基体44を接着してもと良い。
(参考例)
【0045】
第1及び第2実施形態のLED装置10,30は、柱状又は切頭錐体の回路基板13,33の準備、回路基板13,33への配線14,15,34〜37の形成、LEDダイ12,32の実装、被覆材11,31のモールド、を経て完成させることができる。しかしながら第1実施形態におけるLED装置10のように回路基板13が四角柱である場合は集合工法が適用でき製造が簡単化する。
【0046】
そこで図11によりLED装置10に集合工法を適用した製造方法を説明する。図11は参考例として示すLED装置10の製造方法の説明図である。図11において(a)は集合基板51の平面図、(b)は集合基板51の正面図である。(a)に示すように集合基板51の上面51aにはLEDダイ12(図2,3参照)を実装するための電極(配線14,15)が一定のピッチで形成されている。また(b)で示すように集合基板51の正面には、完成時に回路基板13の側面に形成された配線要素になる配線14が一定のピッチで形成されている。なお図示していないが集合基板51の裏面には配線15が同様に形成されている。
【0047】
集合基板51の正面及び裏面の配線14,15は、銅箔を貼り付けてからエッチング等でパターン形成しても良いし、印刷や蒸着などで形成しても良い。またコファイアで集合基板と一体化して配線14,15を形成しても良い。集合基板51の上面51aは、LEDダイ12を実装するため平面精度を高くしておかなければならないので、研磨してから電極(配線14,15)をホトリソグラフィ法並びに蒸着法・スパッタ法等の組合せで形成するのが良い。このとき断線を防ぐため辺部を面取りしておくのが好ましい。
【0048】
配線14,15を形成したら、集合基板51の上面51aにLEDダイ12を実装する。その後、集合基板51を切断用の線52に沿って切断し、回路基板13に個片化する。この回路基板13に被覆材11をモールドすればLED装置10が完成する。なおLED装置10は一つの側面に一本の配線14(又は15)を形成していたが、一つの側面に複数の配線を形成しも良い。この場合にも集合工法が適用できる。
【符号の説明】
【0049】
10,30…LED装置(半導体発光装置)、
11,31…被覆材、
12,32…LEDダイ、
13,33…回路基板、
14,15,34,35,36,37…配線、
34a,35a,36a,37a…ワイヤ、
34b,35b,36b,37b…端子、
21…グローブ、
22…ケース、
23…口金、
24,44…基体、
25,45…電子部品、
26,46…固定部、
27…バネ、
38…発光ダイオード、
47…半田、
51…集合基板、
51a…集合基板の上面、
52…切断用の線、
L1,L2,L3,L4…光線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、該回路基板に実装されたLEDダイとを備える半導体発光装置において、
前記回路基板が柱状又は切頭錐体で、その先端に前記LEDダイを搭載し、側面に配線を有することを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
前記LEDダイが前記回路基板にフリップチップ実装されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記LEDダイが前記回路基板の側面の一部とともに蛍光体で被覆されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記回路基板が、金属、窒化アルミ、又はヒートパイプからなることこを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
回路基板と、該回路基板に実装されたLEDダイと、該LEDダイを被覆する被覆材を備える半導体発光装置を用いたLEDランプにおいて、
前記回路基板が柱状又は切頭錐体で、該回路基板の先端に前記LEDダイを搭載し、側面に配線を有し、
前記LEDランプのケース部と連結する基体に前記回路基板の他端を固定し、前記LEDダイをグローブの略中央に配置することを特徴とするLEDランプ。
【請求項6】
前記回路基板の他端を前記基体の固定部に差し込み、前記半導体発光装置の固定及び電気的接続を行うことを特徴とする請求項5に記載のLEDランプ。
【請求項1】
回路基板と、該回路基板に実装されたLEDダイとを備える半導体発光装置において、
前記回路基板が柱状又は切頭錐体で、その先端に前記LEDダイを搭載し、側面に配線を有することを特徴とする半導体発光装置。
【請求項2】
前記LEDダイが前記回路基板にフリップチップ実装されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記LEDダイが前記回路基板の側面の一部とともに蛍光体で被覆されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記回路基板が、金属、窒化アルミ、又はヒートパイプからなることこを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
回路基板と、該回路基板に実装されたLEDダイと、該LEDダイを被覆する被覆材を備える半導体発光装置を用いたLEDランプにおいて、
前記回路基板が柱状又は切頭錐体で、該回路基板の先端に前記LEDダイを搭載し、側面に配線を有し、
前記LEDランプのケース部と連結する基体に前記回路基板の他端を固定し、前記LEDダイをグローブの略中央に配置することを特徴とするLEDランプ。
【請求項6】
前記回路基板の他端を前記基体の固定部に差し込み、前記半導体発光装置の固定及び電気的接続を行うことを特徴とする請求項5に記載のLEDランプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−45824(P2013−45824A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181313(P2011−181313)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(000131430)シチズン電子株式会社 (798)
【Fターム(参考)】
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