半導体素子内蔵基板及び半導体素子内蔵基板の製造方法
【課題】分布定数回路を含んで構成された半導体素子への誘電体の影響を抑制し、かつ半導体素子に掛かる荷重から半導体素子を保護できる半導体素子内蔵基板及び半導体素子内蔵基板の製造方法を得る。
【解決手段】半導体素子内蔵基板10は、誘電体層14に第1金属層16Aが積層された基板18Aと、分布定数回路を含んで構成され、かつ基板18Aに対向する面の周辺領域に複数のボンディングパッド20Aが形成され、ボンディングパッド20Aに対応した導電性を有する半田バンプ22Aによって、第1金属層16Aに電気的に接続される半導体素子12と、半導体素子12の上記周辺領域よりも内側で、かつ上記分布定数回路が形成されている内側領域に対応して配置され、半導体素子12と基板18Aとの間に介在されて半導体素子12を支持する半田バンプ22Bと、基板18A及び半導体素子12に張り合わされる基板18Bと、を備える。
【解決手段】半導体素子内蔵基板10は、誘電体層14に第1金属層16Aが積層された基板18Aと、分布定数回路を含んで構成され、かつ基板18Aに対向する面の周辺領域に複数のボンディングパッド20Aが形成され、ボンディングパッド20Aに対応した導電性を有する半田バンプ22Aによって、第1金属層16Aに電気的に接続される半導体素子12と、半導体素子12の上記周辺領域よりも内側で、かつ上記分布定数回路が形成されている内側領域に対応して配置され、半導体素子12と基板18Aとの間に介在されて半導体素子12を支持する半田バンプ22Bと、基板18A及び半導体素子12に張り合わされる基板18Bと、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を基板内に内蔵した半導体素子内蔵基板、及び半導体素子内蔵基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置を小型化、高密度化するために、半導体素子を基板内に内蔵する場合がある。
【0003】
この場合、誘電体層の両面に銅板が張り合わされて形成された両面銅張積層板を基板として、半導体素子を実装した後に、半導体素子と両面銅張積層板との間にアンダーフィル材を充填する。そして、両面銅張積層板及び半導体素子上に接着剤を塗布し、片面銅張積層板を張り付ける。
【0004】
なお、アンダーフィル材は、半導体素子の実装位置を固定すると共に、片面銅張積層板の張り合わせにより生じる半導体素子に掛かる荷重から半導体素子を保護する。
【0005】
このような半導体素子内蔵基板の製造方法が特許文献1〜4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−10885号公報
【特許文献2】特開2006−245104号公報
【特許文献3】特開2005−39094号公報
【特許文献4】特開2003−142832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、半導体素子内蔵基板では、半導体素子の周囲が誘電体層やアンダーフィル材といった誘電体で覆われるため、半導体素子の動作が誘電体の誘電率や誘電正接の影響を受ける場合があり、半導体素子の動作周波数が高いと誘電体による影響を受けやすい。
【0008】
具体的には、半導体素子の表面に形成された回路パターンの信号線路は、半導体素子上で特性インピーダンスが所定の値(例えば、50Ω)となるように設計されているが、半導体素子を覆う誘電体の影響により特性インピーダンスが変化する場合がある。また、半導体素子を覆う誘電体の誘電率が高くなるほど、より多くの寄生容量が発生し、半導体素子の高周波動作を阻害する場合がある。
【0009】
特に、分布定数回路を含んで構成され、高周波帯域(ミリ波帯域)で動作するMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuits)のような半導体素子が内蔵された半導体素子内蔵基板は、誘電体であるアンダーフィル材が半導体素子と基板との間に充填されることによって、半導体素子がアンダーフィル材の影響を受け、動作周波数のシフトや利得低下等の高周波電気特性の悪化が生じる。
【0010】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、分布定数回路を含んで構成された半導体素子への誘電体の影響を抑制し、かつ製造時に半導体素子に掛かる荷重から半導体素子を保護できる半導体素子内蔵基板及び半導体素子内蔵基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1の半導体素子内蔵基板は、誘電体層に配線層が積層された第1の基板と、分布定数回路を含んで構成され、かつ前記第1の基板に対向する面の周辺領域に複数のボンディングパッドが形成され、当該複数のボンディングパッドに対応した導電性を有する導電性部材によって、前記配線層に電気的に接続される半導体素子と、前記半導体素子の前記周辺領域よりも内側の領域に配置され、前記半導体素子と前記第1の基板との間に介在されて前記半導体素子を支持する支持部材と、前記第1の基板及び前記半導体素子に張り合わされる第2の基板と、を備えている。
【0012】
請求項1に記載の半導体素子内蔵基板によれば、分布定数回路を含んで構成された半導体素子の上記周辺領域に形成された複数のボンディングパッドが導電性を有する導電性部材によって基板の配線層に電気的に接続されると共に、上記内側の領域と第1の基板との間に支持部材が介在されるので、製造時に半導体素子に掛かる荷重が分散支持される。このため、誘電体であるアンダーフィル材を用いることなく、荷重から半導体素子を保護でき、分布定数回路を含んで構成された半導体素子への誘電体の影響を抑制できる。
【0013】
なお、本発明は、請求項2に記載の半導体素子内蔵基板のように、前記半導体素子は、前記内側の領域に信号線路が形成され、前記支持部材は、前記信号線路が形成されている領域以外に配置されてもよい。
【0014】
これにより、半導体素子の信号線路と基板を構成する誘電体層の間に空気層が形成されるので、半導体素子の動作に対する誘電体の影響をより効果的に抑制できる。
【0015】
なお、本発明は、請求項3に記載の半導体素子内蔵基板のように、前記第1の基板は、前記半導体素子の前記周辺領域に対向する領域、及び前記内側の領域に対向する領域に前記配線層が積層され、前記半導体素子は、前記内側の領域に複数のボンディングパッドが形成され、前記支持部材は、導電性であると共に、前記内側の領域に形成されている複数のボンディングパッドに対応して複数形成され、前記内側の領域に対向する前記第1の基板の領域に積層された前記配線層と前記内側の領域に形成されている複数のボンディングパッドとを電気的に接続する接続部材としてもよい。
【0016】
これにより、第2の基板を張り合わせるときに生じる半導体素子に掛かる荷重が、上記内側の領域に形成されたボンディングパッド及び支持部材によって分散され、当該荷重から半導体素子が保護されると共に、半導体素子と誘電体層との間に空気層が生るため、半導体素子の動作に対する誘電体の影響をより効果的に抑制することができる。
【0017】
また、本発明は、請求項4に記載の半導体素子内蔵基板のように、前記半導体素子は、前記接続部材によって前記配線層に接続される複数のボンディングパッドが前記内側の領域にランダムに形成されてもよい。
【0018】
これにより、半導体素子内蔵基板に定在波が生じることを防ぐことができる。
【0019】
また、本発明は、請求項5に記載の半導体素子内蔵基板のように、前記支持部材を、誘電体を含むシート状部材としてもよい。
【0020】
これにより、第2の基板を張り合わせるときに生じる半導体素子に掛かる荷重が、シート状部材によって分散され、当該荷重から半導体素子が保護されると共に、半導体素子を支持するための誘電体の選択の幅を広げることができる。
【0021】
また、本発明は、請求項6に記載の半導体素子内蔵基板のように、前記半導体素子は、動作周波数が異なる複数の回路を有し、又は、動作周波数が異なる回路を有する複数の前記半導体素子を備え、前記シート状部材は、前記半導体素子の前記回路の動作周波数に対応して、誘電率及び誘電正接の少なくとも一方が異なる複数の誘電体を含んで構成されてもよい。
【0022】
これにより、動作周波数の異なる複数の回路が組み合わされて半導体素子が構成されていても、各回路毎に適した誘電体を半導体素子と第1の基板との間に配置できる。
【0023】
また、本発明は、請求項7に記載の半導体素子内蔵基板のように、前記半導体素子は、動作周波数が異なる複数の回路を有し、又は、動作周波数が異なる回路を有する複数の前記半導体素子を備え、前記シート状部材は、相対的に動作周波数の高い前記回路の位置に対応して配置され、相対的に動作周波数の低い前記回路の位置に対応してアンダーフィル材が充填されてもよい。
【0024】
これにより、半導体素子への誘電体の影響を抑制すると共に、半導体素子の基板への固定を強固にすることができる。
【0025】
さらに、上記目的を達成するために、請求項8に記載の半導体素子内蔵基板の製造方法は、分布定数回路を含んで構成された半導体素子に対して、誘電体層に配線層が積層された第1の基板に対向する面の周辺領域に、複数のボンディングパッドを形成する工程と、前記複数のボンディングパッドに対応した導電性を有する導電性部材によって、前記第1の基板の前記配線層に電気的に接続すると共に、前記半導体素子の前記周辺領域よりも内側の領域に前記支持部材を前記第1の基板との間に介在させて、前記半導体素子を前記第1の基板に実装する工程と、第2の基板を前記第1の基板及び前記半導体素子に張り合わせる工程と、を有している。
【0026】
これにより、分布定数回路を含んで構成された半導体素子への誘電体の影響を抑制し、かつ製造時に半導体素子に掛かる荷重から半導体素子を保護できる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明した如く、本発明によれば、分布定数回路を含んで構成された半導体素子への誘電体の影響を抑制し、かつ製造時に半導体素子に掛かる荷重から半導体素子を保護できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板を示す図である。
【図2】第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板を製造する工程において、基板に半導体素子をフリップチップ実装する工程が終了した状態を示す図である。
【図3】第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板を製造する工程において、半導体素子をフリップチップ実装した後に、接着剤を塗布する工程が終了した状態を示す図である。
【図4】第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板を製造する工程において、接着剤を塗布した後に、基板を張り合わせる工程が終了した状態を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板を示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板を製造する工程において、基板にシート状部材を配置する工程が終了した状態を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板を製造する工程において、基板に半導体素子をフリップチップ実装する工程が終了した状態を示す図である。
【図8】第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板を製造する工程において、半導体素子をフリップチップ実装した後に、接着剤を塗布する工程が終了した状態を示す図である。
【図9】第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板を製造する工程において、接着剤を塗布した後に、基板を張り合わせる工程が終了した状態を示す図である。
【図10】第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板において、シート状部材の配置が異なる形態を示す図である。
【図11】半導体素子と基板との間にアンダーフィル材が充填された半導体素子内蔵基板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0030】
(第1の実施の形態)
図1は、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10を示す縦断面図であり、当該半導体素子内蔵基板10の製造方法を、図2〜4を用いて説明する。
【0031】
なお、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10では、半導体素子12として、高周波帯域(ミリ波帯域)で動作させるために、分布定数回路を含んで構成され、かつCPW(Coplanar Waveguide)を用いて回路パターンが設計された半導体素子を用いる。
【0032】
図2(A)は、誘電体層14の両面に第1金属層16A及び第2金属層16Bが張り合わされた基板18Aに、分布定数回路が形成された面を基板18Aの第1金属層16Aに対向させて半導体素子12を実装(フリップチップ実装)する工程が終了した状態の平面図である。一方、図2(B)は、図2(A)のA−A線断面図である。
【0033】
なお、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10では、誘電体層14及び後述する誘電体層15として、テフロン(登録商標)を用いるが、これに限らず、他の誘電体材料又はセラミック材料等を用いてもよい。
【0034】
また、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10では、基板18Aとして、第1金属層16A及び第2金属層16Bを銅板とした両面銅張積層板を用いるが、これに限らず、第1金属層16A及び第2金属層16Bを銅板以外の他の金属板としてもよいし、誘電体層14に第2金属層16Bを張り合わせない基板(片面銅張積層板)等、誘電体層14に第1金属層16Aが積層された基板であれば、他の基板としてもよい。
【0035】
本第1の実施の形態に係る半導体素子12は、基板18Aに対向する面の周辺領域(図2(A)において、一点鎖線L1の内側、かつ二点鎖線L2の外側の領域)に複数のボンディングパッド20Aが形成されると共に、当該周辺領域の二点鎖線L2よりも内側の領域(以下、「内側領域」という。)に複数のボンディングパッド20Bが形成される。
【0036】
なお、半導体素子12に対しては、フリップチップ実装を行う工程の前に、ボンディングパッド20A,20Bを形成する工程が予め実行される。
【0037】
一方、基板18Aの第1金属層16Aは、信号層、並びに半導体素子12の周辺領域及び半導体素子12の内側領域のグランドに対応したグランド層等を含む配線層として積層される。
【0038】
そして、半導体素子12は、ボンディングパッド20Aと第1金属層16Aとが導電性部材としての半田バンプ22Aによって接続され、ボンディングパッド20Bと第1金属層16Aとが支持部材(接続部材)としての半田バンプ22Bによって接続される。
【0039】
このように、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10では、半導体素子12のボンディングパッド20Bと基板18Aの第1金属層16Aとが、半導体素子12と基板18Aとの間に介在する半田バンプ22Bによって電気的に接続される。
【0040】
なお、本第1の実施の形態に係る半導体素子12は内側領域に信号線路及びバイアス回路が形成されており、ボンディングパッド20Bは、半導体素子12の内側領域において信号線路、及びバイアス回路が形成されている領域以外のグランドとなっている領域に形成される。すなわち、半田バンプ22Bは、半導体素子12のグランドと配線層として形成されている第1金属層16Aのグランド層とを接続させる。
【0041】
また、本第1の実施の形態に係る半田バンプ22Bは、半導体素子12と第1金属層16Aとが半田バンプ22Aによって接続される前に内側領域に配置される。なお、半田バンプ22A,22Bは、半導体素子12に形成されることによって配置されてもよいし、基板18Aに形成されることによって配置されてもよい。
【0042】
また、半田バンプ22Bによって第1金属層16Aに接続されるボンディングパッド20Bは、内側領域に等間隔に形成してもよいが、図2(A)に示すように内側領域にランダムに形成することが望ましい。高周波帯域で動作する半導体素子12では、ボンディングパッド20Bを等間隔で形成することによって、定在波が生じ、当該定在波が、半導体素子12の動作に影響を与える可能性があるためである。
【0043】
さらに、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10では、支持部材として半田バンプ22Bを用いたが、これに限らず、金、銀等の他の金属で形成されたバンプ等、導電性のものであれば他の支持部材を用いてもよい。
【0044】
次の工程では、基板18Aに半導体素子12をフリップチップ実装した後に、アンダーフィル材を基板18Aと半導体素子12との間に充填することなく、基板18A及び半導体素子12上に接着剤24を塗布する。図3(A)は、接着剤24を塗布する工程が終了した状態の平面図であり、図3(B)は、図3(A)のA−A線断面図である。
【0045】
次の工程では、接着剤24が塗布された状態の基板18A及び半導体素子12に基板18Bを張り合わせる。図4(A)は、基板18Bを張り合わせる工程が終了し、半導体素子内蔵基板10が完成した状態の面図であり、図4(B)は、図4(A)のA−A線断面図(図1と同図)である。
【0046】
基板18Bは、誘電体層15に第3金属層16Cが積層され、誘電体層15の半導体素子12に対向する側に半導体素子12及び半田バンプ22A,22Bの厚みに応じた穴が設けられ、当該穴に半導体素子12が位置するように、接着剤24によって張り合わされる。
【0047】
そして、半導体素子12と基板18Aとが複数のボンディングパッド20A,20B及び半田バンプ22A,22Bによって接続されているため、基板18A,18Bが張り合わされるとき、すなわち半導体素子内蔵基板10の製造時、に生じる半導体素子12に掛かる荷重は、半田バンプ22A,22Bによって分散され、当該荷重から半導体素子12が保護される。
【0048】
一方、例えば、図11に示すように、アンダーフィル材44によって半導体素子12が固定されている半導体素子内蔵基板100では、半導体素子12の信号線路及びバイアス回路が形成されている内側領域と基板18Aとの間がアンダーフィル材44で満たされているため、半導体素子12がアンダーフィル材44を構成する誘電体の影響を受ける可能性がある。これに対して、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10では、半田バンプ22Bを半導体素子12と基板18Aとの間に介在させることで、半導体素子12の内側領域の信号線路及びバイアス回路が形成されている領域に、半導体素子12と誘電体層14との間で数十μm程度の空気層が生じさせ、半導体素子12の動作に対する誘電体層14の影響を抑制することができる。
【0049】
さらに、半導体素子12は、ボンディングパッド20A及び半田バンプ22Aと共に、ボンディングパッド20B及び半田バンプ22Bを介して巨大なグランドパターンを含む基板18Aの第1金属層16A(配線層)に接続されているため、半導体素子12で発生した熱を第1金属層16Aに伝導することができる。これによって、半導体素子12と基板18Aとの間にアンダーフィル材を充填する場合に比較して、半導体素子12の放熱効率が高くなり、半導体素子12の動作の信頼性を高めることができる。
【0050】
以上詳細に説明したように、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10によれば、誘電体層14に第1金属層16Aが積層された基板18Aと、分布定数回路を含んで構成され、かつ基板18Aに対向する面の周辺領域に複数のボンディングパッド20Aが形成され、当該複数のボンディングパッド20Aに対応した導電性を有する半田バンプ22Aによって、第1金属層16Aに電気的に接続される半導体素子12と、半導体素子12の上記周辺領域よりも内側の領域に配置され、半導体素子12と基板18Aとの間に介在されて半導体素子12を支持する半田バンプ22Bと、基板18A及び半導体素子12に張り合わされる基板18Bと、を備えている。
【0051】
これにより、分布定数回路を含んで構成された半導体素子12への誘電体の影響を抑制し、かつ半導体素子内蔵基板10の製造時に半導体素子12に掛かる荷重から半導体素子12を保護することができる。
【0052】
また、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10によれば、半導体素子12は、上記内側の領域に信号線路が形成され、半田バンプ22Bは、信号線路が形成されている領域以外に配置される。これにより、半導体素子12の信号線路と基板18Aを構成する誘電体層14との間に空気層が形成されるので、半導体素子12の動作に対する誘電体層14の影響をより効果的に抑制できる。
【0053】
また、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10によれば、基板18Aは、半導体素子12の周辺領域に対向する領域、及び上記内側の領域に対向する領域に配線層である第1金属層16Aが積層され、半導体素子12は、上記内側の領域に複数のボンディングパッド20Bが形成され、半田バンプ22Bは、上記内側の領域に形成されている複数のボンディングパッドに対応して複数形成され、上記内側の領域に対向する基板18Aの領域に積層された第1金属層16Aと上記内側の領域に形成されている複数のボンディングパッド20Bとを電気的に接続する。
【0054】
これにより、基板18Bを張り合わせるときに生じる半導体素子12に掛かる荷重が、上記内側の領域に形成されているボンディングパッド20B及び半田バンプ22Bによって分散され、当該荷重から半導体素子12が保護されると共に、半導体素子12と誘電体層14との間に空気層が生るため、半導体素子12の動作に対する誘電体層14の影響をより効果的に抑制することができる。
【0055】
また、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10によれば、半導体素子12は、半田バンプ22Bによって第1金属層16Aに接続される複数のボンディングパッド20Bが上記内側の領域にランダムに形成されているので、半導体素子内蔵基板10に定在波が生じることを防ぐことができる。
【0056】
(第2の実施の形態)
本第2の実施の形態では、半導体素子12の内側領域に配置され、半導体素子12と基板18Aとの間に介在されて半導体素子12を支持する支持部材を、誘電体を含むシート状部材とする形態について説明する。
【0057】
図5は、本第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板50を示す縦断面図であり、当該半導体素子内蔵基板50の製造方法を、図6〜9を用いて説明する。なお、第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10と同様の構成には、同じ符号を付して説明を省略する。
【0058】
図6(A)は、基板18Aに、シート状部材30を配置する工程が終了した状態の平面図であり、図6(B)は、図6(A)のA−A線断面図である。
【0059】
本第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板50では、半田バンプ22Aの厚みと第1金属層16Aの厚みとの和と同程度の厚みを有するシート状部材30が半導体素子12の内側領域に配置される。また、シート状部材30として、FR4(Flame Retardant Type 4)と同程度の特性(誘電率が4程度、誘電正接が0.02程度)を有するアンダーフィル材よりも誘電率及び誘電正接の値が小さい、例えば、誘電率が2、誘電正接が0.0015であるグラフポリマやボラジン系化合物等で形成されているものを用いる。さらに、シート状部材30を基板18Aに配置する場合に、接着剤によってシート状部材30を基板18Aに接着させてもよい。
【0060】
なお、本第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板50では、図6(A),(B)に示すように半田バンプ22Aが第1金属層16Aに予め形成されているが、これに限らず、半田バンプ22Aが第1金属層16Aに形成されずに、半田バンプ22Aが半導体素子12のボンディングパッド20Aに予め形成されてもよい。
【0061】
次の工程では、シート状部材30が半導体素子12と基板18Aとの間に介在された状態で、半導体素子12が基板18Aに実装される。図7(A)は、半導体素子12が実装された基板18Aの平面図であり、図7(B)は、図7(A)のA−A線断面図である。
【0062】
なお、半導体素子12を基板18Aに実装する場合に、シート状部材30と半導体素子12とを接着剤で接着してもよい。
【0063】
次の工程では、半導体素子12が実装された基板18Aに接着剤24が塗布される。図8(A)は、接着剤24が塗布された基板18Aの平面図であり、図8(B)は、図8(A)のA−A線断面図である。
【0064】
次の工程では、接着剤24が塗布された状態の基板18Aに基板18Bを張り合わせる。図9(A)は、基板18Bを張り合わせる工程が終了し、半導体素子内蔵基板50が完成した状態の平面図であり、図9(B)は、図9(A)のA−A線断面図(図5と同図)である。
【0065】
以上の工程により製造された半導体素子内蔵基板50は、半導体素子12と基板18Aと間にシート状部材30が介在しているため、基板18A,18Bが張り合わされるとき、すなわち半導体素子内蔵基板50の製造時に生じる半導体素子12に掛かる荷重は、シート状部材30によって分散され、当該荷重から半導体素子12が保護される。また、図11に示す半導体素子内蔵基板100で用いられているアンダーフィル材44に比較して、誘電率及び誘電正接の値が小さい誘電体をシート状部材30として用いるため、半導体素子12の動作に対する誘電体層の影響を抑制することができる。
【0066】
以上詳細に説明したように、本第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板によれば、支持部材を、誘電体を含むシート状部材30としているので、基板18Bを張り合わせるときに生じる半導体素子12に掛かる荷重が、シート状部材30によって分散され、当該荷重から半導体素子12が保護されると共に、半導体素子12を支持するための誘電体の選択の幅を広げることができる。
【0067】
なお、本第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板では、シート状部材30を異なる複数の材料で形成してもよい。
【0068】
図10(A)に示す半導体素子内蔵基板60のように、半導体素子12が、動作周波数の異なる回路40A,40Bで構成されている場合に、回路40A,40Bの動作周波数に応じて、誘電率及び誘電正接の少なくとも一方が異なる複数の誘電体42A,42Bをシート状部材30として形成する。
【0069】
例えば、回路40Aが分布定数回路であり、回路40Bが集中定数回路である場合には、シート状部材30を形成する誘電体42Aとして、例えば、誘電率が2、誘電正接が0.0015であるグラフポリマやボラジン系化合物等で形成されたものを用い、誘電体42Bとして、アンダーフィル材と同程度の特性を有する誘電体を用いる。
【0070】
なお、半導体素子内蔵基板50が、動作周波数が異なる回路を有する複数の半導体素子12を備えている場合には、各々の半導体素子12の回路の動作周波数に対応して、誘電率及び誘電正接の少なくとも一方が異なる複数の誘電体をシート状部材30として形成してもよい。
【0071】
これにより、動作周波数の異なる複数の回路40A、40Bが組み合わされて半導体素子12が構成されていても、各回路毎に適した誘電体を半導体素子12と基板18Aとの間に配置できる。
【0072】
また、半導体素子12が、動作周波数の異なる複数の回路で構成されている場合に、シート状部材30が、相対的に動作周波数の高い回路の位置に対応して配置され、相対的に動作周波数の低い回路の位置に対応してアンダーフィル材が充填されてもよい。
【0073】
例えば、図10(B)に示す半導体素子内蔵基板70のように、回路40Aは分布定数回路で構成され、回路40Bが集中定数回路で構成されている場合に、回路40Aの位置に対応してシート状部材30を配置し、回路40Bの位置に対応してアンダーフィル材44を充填する。
【0074】
また、半導体素子内蔵基板50が、動作周波数が異なる回路を有する複数の半導体素子12を備えている場合には、シート状部材30が、相対的に動作周波数の高い回路の位置に対応して配置され、相対的に動作周波数の低い回路の位置に対応してアンダーフィル材44が充填されてもよい。
【0075】
これにより、分布定数回路を含んで構成された半導体素子12への誘電体の影響を抑制すると共に、半導体素子12の基板への固定を強固にすることができる。
【0076】
また、図10(C)に示す半導体素子内蔵基板80のように、半導体素子12の内側領域にシート状部材30を配置すると共に、シート状部材30の周囲にアンダーフィル材44を充填してもよい。
【0077】
さらに、シート状部材30として、半導体素子12の信号線路に対応した領域をくり抜き、当該信号線路と誘電体層14との間に空気層を生じさせる構造とさせてもよいし、メッシュ構造にすることでシート状部材30内に空気を含む構造とさせてもよい。
【0078】
以上、本発明を上記各実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記各実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0079】
また、上記各実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における組み合わせにより種々の発明を抽出できる。上記各実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除又は置換されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0080】
例えば、上記各実施の形態では、半導体素子として、CPWを用いて回路パターンが設計された半導体素子を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、半導体素子として、マイクロストリップラインを用いた半導体素子を用いた形態としてもよい。
【0081】
この形態の場合、第1の実施の形態においては、半導体素子の内側領域においてマイクロストリップラインを除いた領域にグランドを形成し、形成したグランドに対応してボンディングパッドを形成する。そして、半導体素子の内側領域に対向する基板の領域にボンディングパッドに対応させてグランド配線を形成し、半導体素子に形成されたボンディングパッドと基板に形成されたグランド配線とをバンプで電気的に接続する。
【0082】
また、CPW又はマイクロストリップラインを用いて構成された半導体素子に限らず、半導体レーザ素子、スイッチング素子、抵抗、インダクタ、及びキャパシタ等、その動作が誘電体の影響を受ける可能性がある素子を用いた形態としてもよい。
【0083】
その他、上記各実施の形態で説明した半導体素子内蔵基板の構成(図1〜図10参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりすることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0084】
10 半導体素子内蔵基板
12 半導体素子
14 誘電体層
16A 第1金属層(配線層)
18A 基板(第1の基板)
18B 基板(第2の基板)
20A,20B ボンディングパッド
22A 半田バンプ(導電性部材)
22B 半田バンプ(支持部材、接続部材)
30 シート状部材(支持部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子を基板内に内蔵した半導体素子内蔵基板、及び半導体素子内蔵基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置を小型化、高密度化するために、半導体素子を基板内に内蔵する場合がある。
【0003】
この場合、誘電体層の両面に銅板が張り合わされて形成された両面銅張積層板を基板として、半導体素子を実装した後に、半導体素子と両面銅張積層板との間にアンダーフィル材を充填する。そして、両面銅張積層板及び半導体素子上に接着剤を塗布し、片面銅張積層板を張り付ける。
【0004】
なお、アンダーフィル材は、半導体素子の実装位置を固定すると共に、片面銅張積層板の張り合わせにより生じる半導体素子に掛かる荷重から半導体素子を保護する。
【0005】
このような半導体素子内蔵基板の製造方法が特許文献1〜4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−10885号公報
【特許文献2】特開2006−245104号公報
【特許文献3】特開2005−39094号公報
【特許文献4】特開2003−142832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、半導体素子内蔵基板では、半導体素子の周囲が誘電体層やアンダーフィル材といった誘電体で覆われるため、半導体素子の動作が誘電体の誘電率や誘電正接の影響を受ける場合があり、半導体素子の動作周波数が高いと誘電体による影響を受けやすい。
【0008】
具体的には、半導体素子の表面に形成された回路パターンの信号線路は、半導体素子上で特性インピーダンスが所定の値(例えば、50Ω)となるように設計されているが、半導体素子を覆う誘電体の影響により特性インピーダンスが変化する場合がある。また、半導体素子を覆う誘電体の誘電率が高くなるほど、より多くの寄生容量が発生し、半導体素子の高周波動作を阻害する場合がある。
【0009】
特に、分布定数回路を含んで構成され、高周波帯域(ミリ波帯域)で動作するMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuits)のような半導体素子が内蔵された半導体素子内蔵基板は、誘電体であるアンダーフィル材が半導体素子と基板との間に充填されることによって、半導体素子がアンダーフィル材の影響を受け、動作周波数のシフトや利得低下等の高周波電気特性の悪化が生じる。
【0010】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、分布定数回路を含んで構成された半導体素子への誘電体の影響を抑制し、かつ製造時に半導体素子に掛かる荷重から半導体素子を保護できる半導体素子内蔵基板及び半導体素子内蔵基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1の半導体素子内蔵基板は、誘電体層に配線層が積層された第1の基板と、分布定数回路を含んで構成され、かつ前記第1の基板に対向する面の周辺領域に複数のボンディングパッドが形成され、当該複数のボンディングパッドに対応した導電性を有する導電性部材によって、前記配線層に電気的に接続される半導体素子と、前記半導体素子の前記周辺領域よりも内側の領域に配置され、前記半導体素子と前記第1の基板との間に介在されて前記半導体素子を支持する支持部材と、前記第1の基板及び前記半導体素子に張り合わされる第2の基板と、を備えている。
【0012】
請求項1に記載の半導体素子内蔵基板によれば、分布定数回路を含んで構成された半導体素子の上記周辺領域に形成された複数のボンディングパッドが導電性を有する導電性部材によって基板の配線層に電気的に接続されると共に、上記内側の領域と第1の基板との間に支持部材が介在されるので、製造時に半導体素子に掛かる荷重が分散支持される。このため、誘電体であるアンダーフィル材を用いることなく、荷重から半導体素子を保護でき、分布定数回路を含んで構成された半導体素子への誘電体の影響を抑制できる。
【0013】
なお、本発明は、請求項2に記載の半導体素子内蔵基板のように、前記半導体素子は、前記内側の領域に信号線路が形成され、前記支持部材は、前記信号線路が形成されている領域以外に配置されてもよい。
【0014】
これにより、半導体素子の信号線路と基板を構成する誘電体層の間に空気層が形成されるので、半導体素子の動作に対する誘電体の影響をより効果的に抑制できる。
【0015】
なお、本発明は、請求項3に記載の半導体素子内蔵基板のように、前記第1の基板は、前記半導体素子の前記周辺領域に対向する領域、及び前記内側の領域に対向する領域に前記配線層が積層され、前記半導体素子は、前記内側の領域に複数のボンディングパッドが形成され、前記支持部材は、導電性であると共に、前記内側の領域に形成されている複数のボンディングパッドに対応して複数形成され、前記内側の領域に対向する前記第1の基板の領域に積層された前記配線層と前記内側の領域に形成されている複数のボンディングパッドとを電気的に接続する接続部材としてもよい。
【0016】
これにより、第2の基板を張り合わせるときに生じる半導体素子に掛かる荷重が、上記内側の領域に形成されたボンディングパッド及び支持部材によって分散され、当該荷重から半導体素子が保護されると共に、半導体素子と誘電体層との間に空気層が生るため、半導体素子の動作に対する誘電体の影響をより効果的に抑制することができる。
【0017】
また、本発明は、請求項4に記載の半導体素子内蔵基板のように、前記半導体素子は、前記接続部材によって前記配線層に接続される複数のボンディングパッドが前記内側の領域にランダムに形成されてもよい。
【0018】
これにより、半導体素子内蔵基板に定在波が生じることを防ぐことができる。
【0019】
また、本発明は、請求項5に記載の半導体素子内蔵基板のように、前記支持部材を、誘電体を含むシート状部材としてもよい。
【0020】
これにより、第2の基板を張り合わせるときに生じる半導体素子に掛かる荷重が、シート状部材によって分散され、当該荷重から半導体素子が保護されると共に、半導体素子を支持するための誘電体の選択の幅を広げることができる。
【0021】
また、本発明は、請求項6に記載の半導体素子内蔵基板のように、前記半導体素子は、動作周波数が異なる複数の回路を有し、又は、動作周波数が異なる回路を有する複数の前記半導体素子を備え、前記シート状部材は、前記半導体素子の前記回路の動作周波数に対応して、誘電率及び誘電正接の少なくとも一方が異なる複数の誘電体を含んで構成されてもよい。
【0022】
これにより、動作周波数の異なる複数の回路が組み合わされて半導体素子が構成されていても、各回路毎に適した誘電体を半導体素子と第1の基板との間に配置できる。
【0023】
また、本発明は、請求項7に記載の半導体素子内蔵基板のように、前記半導体素子は、動作周波数が異なる複数の回路を有し、又は、動作周波数が異なる回路を有する複数の前記半導体素子を備え、前記シート状部材は、相対的に動作周波数の高い前記回路の位置に対応して配置され、相対的に動作周波数の低い前記回路の位置に対応してアンダーフィル材が充填されてもよい。
【0024】
これにより、半導体素子への誘電体の影響を抑制すると共に、半導体素子の基板への固定を強固にすることができる。
【0025】
さらに、上記目的を達成するために、請求項8に記載の半導体素子内蔵基板の製造方法は、分布定数回路を含んで構成された半導体素子に対して、誘電体層に配線層が積層された第1の基板に対向する面の周辺領域に、複数のボンディングパッドを形成する工程と、前記複数のボンディングパッドに対応した導電性を有する導電性部材によって、前記第1の基板の前記配線層に電気的に接続すると共に、前記半導体素子の前記周辺領域よりも内側の領域に前記支持部材を前記第1の基板との間に介在させて、前記半導体素子を前記第1の基板に実装する工程と、第2の基板を前記第1の基板及び前記半導体素子に張り合わせる工程と、を有している。
【0026】
これにより、分布定数回路を含んで構成された半導体素子への誘電体の影響を抑制し、かつ製造時に半導体素子に掛かる荷重から半導体素子を保護できる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明した如く、本発明によれば、分布定数回路を含んで構成された半導体素子への誘電体の影響を抑制し、かつ製造時に半導体素子に掛かる荷重から半導体素子を保護できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板を示す図である。
【図2】第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板を製造する工程において、基板に半導体素子をフリップチップ実装する工程が終了した状態を示す図である。
【図3】第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板を製造する工程において、半導体素子をフリップチップ実装した後に、接着剤を塗布する工程が終了した状態を示す図である。
【図4】第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板を製造する工程において、接着剤を塗布した後に、基板を張り合わせる工程が終了した状態を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板を示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板を製造する工程において、基板にシート状部材を配置する工程が終了した状態を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板を製造する工程において、基板に半導体素子をフリップチップ実装する工程が終了した状態を示す図である。
【図8】第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板を製造する工程において、半導体素子をフリップチップ実装した後に、接着剤を塗布する工程が終了した状態を示す図である。
【図9】第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板を製造する工程において、接着剤を塗布した後に、基板を張り合わせる工程が終了した状態を示す図である。
【図10】第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板において、シート状部材の配置が異なる形態を示す図である。
【図11】半導体素子と基板との間にアンダーフィル材が充填された半導体素子内蔵基板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0030】
(第1の実施の形態)
図1は、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10を示す縦断面図であり、当該半導体素子内蔵基板10の製造方法を、図2〜4を用いて説明する。
【0031】
なお、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10では、半導体素子12として、高周波帯域(ミリ波帯域)で動作させるために、分布定数回路を含んで構成され、かつCPW(Coplanar Waveguide)を用いて回路パターンが設計された半導体素子を用いる。
【0032】
図2(A)は、誘電体層14の両面に第1金属層16A及び第2金属層16Bが張り合わされた基板18Aに、分布定数回路が形成された面を基板18Aの第1金属層16Aに対向させて半導体素子12を実装(フリップチップ実装)する工程が終了した状態の平面図である。一方、図2(B)は、図2(A)のA−A線断面図である。
【0033】
なお、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10では、誘電体層14及び後述する誘電体層15として、テフロン(登録商標)を用いるが、これに限らず、他の誘電体材料又はセラミック材料等を用いてもよい。
【0034】
また、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10では、基板18Aとして、第1金属層16A及び第2金属層16Bを銅板とした両面銅張積層板を用いるが、これに限らず、第1金属層16A及び第2金属層16Bを銅板以外の他の金属板としてもよいし、誘電体層14に第2金属層16Bを張り合わせない基板(片面銅張積層板)等、誘電体層14に第1金属層16Aが積層された基板であれば、他の基板としてもよい。
【0035】
本第1の実施の形態に係る半導体素子12は、基板18Aに対向する面の周辺領域(図2(A)において、一点鎖線L1の内側、かつ二点鎖線L2の外側の領域)に複数のボンディングパッド20Aが形成されると共に、当該周辺領域の二点鎖線L2よりも内側の領域(以下、「内側領域」という。)に複数のボンディングパッド20Bが形成される。
【0036】
なお、半導体素子12に対しては、フリップチップ実装を行う工程の前に、ボンディングパッド20A,20Bを形成する工程が予め実行される。
【0037】
一方、基板18Aの第1金属層16Aは、信号層、並びに半導体素子12の周辺領域及び半導体素子12の内側領域のグランドに対応したグランド層等を含む配線層として積層される。
【0038】
そして、半導体素子12は、ボンディングパッド20Aと第1金属層16Aとが導電性部材としての半田バンプ22Aによって接続され、ボンディングパッド20Bと第1金属層16Aとが支持部材(接続部材)としての半田バンプ22Bによって接続される。
【0039】
このように、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10では、半導体素子12のボンディングパッド20Bと基板18Aの第1金属層16Aとが、半導体素子12と基板18Aとの間に介在する半田バンプ22Bによって電気的に接続される。
【0040】
なお、本第1の実施の形態に係る半導体素子12は内側領域に信号線路及びバイアス回路が形成されており、ボンディングパッド20Bは、半導体素子12の内側領域において信号線路、及びバイアス回路が形成されている領域以外のグランドとなっている領域に形成される。すなわち、半田バンプ22Bは、半導体素子12のグランドと配線層として形成されている第1金属層16Aのグランド層とを接続させる。
【0041】
また、本第1の実施の形態に係る半田バンプ22Bは、半導体素子12と第1金属層16Aとが半田バンプ22Aによって接続される前に内側領域に配置される。なお、半田バンプ22A,22Bは、半導体素子12に形成されることによって配置されてもよいし、基板18Aに形成されることによって配置されてもよい。
【0042】
また、半田バンプ22Bによって第1金属層16Aに接続されるボンディングパッド20Bは、内側領域に等間隔に形成してもよいが、図2(A)に示すように内側領域にランダムに形成することが望ましい。高周波帯域で動作する半導体素子12では、ボンディングパッド20Bを等間隔で形成することによって、定在波が生じ、当該定在波が、半導体素子12の動作に影響を与える可能性があるためである。
【0043】
さらに、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10では、支持部材として半田バンプ22Bを用いたが、これに限らず、金、銀等の他の金属で形成されたバンプ等、導電性のものであれば他の支持部材を用いてもよい。
【0044】
次の工程では、基板18Aに半導体素子12をフリップチップ実装した後に、アンダーフィル材を基板18Aと半導体素子12との間に充填することなく、基板18A及び半導体素子12上に接着剤24を塗布する。図3(A)は、接着剤24を塗布する工程が終了した状態の平面図であり、図3(B)は、図3(A)のA−A線断面図である。
【0045】
次の工程では、接着剤24が塗布された状態の基板18A及び半導体素子12に基板18Bを張り合わせる。図4(A)は、基板18Bを張り合わせる工程が終了し、半導体素子内蔵基板10が完成した状態の面図であり、図4(B)は、図4(A)のA−A線断面図(図1と同図)である。
【0046】
基板18Bは、誘電体層15に第3金属層16Cが積層され、誘電体層15の半導体素子12に対向する側に半導体素子12及び半田バンプ22A,22Bの厚みに応じた穴が設けられ、当該穴に半導体素子12が位置するように、接着剤24によって張り合わされる。
【0047】
そして、半導体素子12と基板18Aとが複数のボンディングパッド20A,20B及び半田バンプ22A,22Bによって接続されているため、基板18A,18Bが張り合わされるとき、すなわち半導体素子内蔵基板10の製造時、に生じる半導体素子12に掛かる荷重は、半田バンプ22A,22Bによって分散され、当該荷重から半導体素子12が保護される。
【0048】
一方、例えば、図11に示すように、アンダーフィル材44によって半導体素子12が固定されている半導体素子内蔵基板100では、半導体素子12の信号線路及びバイアス回路が形成されている内側領域と基板18Aとの間がアンダーフィル材44で満たされているため、半導体素子12がアンダーフィル材44を構成する誘電体の影響を受ける可能性がある。これに対して、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10では、半田バンプ22Bを半導体素子12と基板18Aとの間に介在させることで、半導体素子12の内側領域の信号線路及びバイアス回路が形成されている領域に、半導体素子12と誘電体層14との間で数十μm程度の空気層が生じさせ、半導体素子12の動作に対する誘電体層14の影響を抑制することができる。
【0049】
さらに、半導体素子12は、ボンディングパッド20A及び半田バンプ22Aと共に、ボンディングパッド20B及び半田バンプ22Bを介して巨大なグランドパターンを含む基板18Aの第1金属層16A(配線層)に接続されているため、半導体素子12で発生した熱を第1金属層16Aに伝導することができる。これによって、半導体素子12と基板18Aとの間にアンダーフィル材を充填する場合に比較して、半導体素子12の放熱効率が高くなり、半導体素子12の動作の信頼性を高めることができる。
【0050】
以上詳細に説明したように、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10によれば、誘電体層14に第1金属層16Aが積層された基板18Aと、分布定数回路を含んで構成され、かつ基板18Aに対向する面の周辺領域に複数のボンディングパッド20Aが形成され、当該複数のボンディングパッド20Aに対応した導電性を有する半田バンプ22Aによって、第1金属層16Aに電気的に接続される半導体素子12と、半導体素子12の上記周辺領域よりも内側の領域に配置され、半導体素子12と基板18Aとの間に介在されて半導体素子12を支持する半田バンプ22Bと、基板18A及び半導体素子12に張り合わされる基板18Bと、を備えている。
【0051】
これにより、分布定数回路を含んで構成された半導体素子12への誘電体の影響を抑制し、かつ半導体素子内蔵基板10の製造時に半導体素子12に掛かる荷重から半導体素子12を保護することができる。
【0052】
また、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10によれば、半導体素子12は、上記内側の領域に信号線路が形成され、半田バンプ22Bは、信号線路が形成されている領域以外に配置される。これにより、半導体素子12の信号線路と基板18Aを構成する誘電体層14との間に空気層が形成されるので、半導体素子12の動作に対する誘電体層14の影響をより効果的に抑制できる。
【0053】
また、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10によれば、基板18Aは、半導体素子12の周辺領域に対向する領域、及び上記内側の領域に対向する領域に配線層である第1金属層16Aが積層され、半導体素子12は、上記内側の領域に複数のボンディングパッド20Bが形成され、半田バンプ22Bは、上記内側の領域に形成されている複数のボンディングパッドに対応して複数形成され、上記内側の領域に対向する基板18Aの領域に積層された第1金属層16Aと上記内側の領域に形成されている複数のボンディングパッド20Bとを電気的に接続する。
【0054】
これにより、基板18Bを張り合わせるときに生じる半導体素子12に掛かる荷重が、上記内側の領域に形成されているボンディングパッド20B及び半田バンプ22Bによって分散され、当該荷重から半導体素子12が保護されると共に、半導体素子12と誘電体層14との間に空気層が生るため、半導体素子12の動作に対する誘電体層14の影響をより効果的に抑制することができる。
【0055】
また、本第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10によれば、半導体素子12は、半田バンプ22Bによって第1金属層16Aに接続される複数のボンディングパッド20Bが上記内側の領域にランダムに形成されているので、半導体素子内蔵基板10に定在波が生じることを防ぐことができる。
【0056】
(第2の実施の形態)
本第2の実施の形態では、半導体素子12の内側領域に配置され、半導体素子12と基板18Aとの間に介在されて半導体素子12を支持する支持部材を、誘電体を含むシート状部材とする形態について説明する。
【0057】
図5は、本第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板50を示す縦断面図であり、当該半導体素子内蔵基板50の製造方法を、図6〜9を用いて説明する。なお、第1の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板10と同様の構成には、同じ符号を付して説明を省略する。
【0058】
図6(A)は、基板18Aに、シート状部材30を配置する工程が終了した状態の平面図であり、図6(B)は、図6(A)のA−A線断面図である。
【0059】
本第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板50では、半田バンプ22Aの厚みと第1金属層16Aの厚みとの和と同程度の厚みを有するシート状部材30が半導体素子12の内側領域に配置される。また、シート状部材30として、FR4(Flame Retardant Type 4)と同程度の特性(誘電率が4程度、誘電正接が0.02程度)を有するアンダーフィル材よりも誘電率及び誘電正接の値が小さい、例えば、誘電率が2、誘電正接が0.0015であるグラフポリマやボラジン系化合物等で形成されているものを用いる。さらに、シート状部材30を基板18Aに配置する場合に、接着剤によってシート状部材30を基板18Aに接着させてもよい。
【0060】
なお、本第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板50では、図6(A),(B)に示すように半田バンプ22Aが第1金属層16Aに予め形成されているが、これに限らず、半田バンプ22Aが第1金属層16Aに形成されずに、半田バンプ22Aが半導体素子12のボンディングパッド20Aに予め形成されてもよい。
【0061】
次の工程では、シート状部材30が半導体素子12と基板18Aとの間に介在された状態で、半導体素子12が基板18Aに実装される。図7(A)は、半導体素子12が実装された基板18Aの平面図であり、図7(B)は、図7(A)のA−A線断面図である。
【0062】
なお、半導体素子12を基板18Aに実装する場合に、シート状部材30と半導体素子12とを接着剤で接着してもよい。
【0063】
次の工程では、半導体素子12が実装された基板18Aに接着剤24が塗布される。図8(A)は、接着剤24が塗布された基板18Aの平面図であり、図8(B)は、図8(A)のA−A線断面図である。
【0064】
次の工程では、接着剤24が塗布された状態の基板18Aに基板18Bを張り合わせる。図9(A)は、基板18Bを張り合わせる工程が終了し、半導体素子内蔵基板50が完成した状態の平面図であり、図9(B)は、図9(A)のA−A線断面図(図5と同図)である。
【0065】
以上の工程により製造された半導体素子内蔵基板50は、半導体素子12と基板18Aと間にシート状部材30が介在しているため、基板18A,18Bが張り合わされるとき、すなわち半導体素子内蔵基板50の製造時に生じる半導体素子12に掛かる荷重は、シート状部材30によって分散され、当該荷重から半導体素子12が保護される。また、図11に示す半導体素子内蔵基板100で用いられているアンダーフィル材44に比較して、誘電率及び誘電正接の値が小さい誘電体をシート状部材30として用いるため、半導体素子12の動作に対する誘電体層の影響を抑制することができる。
【0066】
以上詳細に説明したように、本第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板によれば、支持部材を、誘電体を含むシート状部材30としているので、基板18Bを張り合わせるときに生じる半導体素子12に掛かる荷重が、シート状部材30によって分散され、当該荷重から半導体素子12が保護されると共に、半導体素子12を支持するための誘電体の選択の幅を広げることができる。
【0067】
なお、本第2の実施の形態に係る半導体素子内蔵基板では、シート状部材30を異なる複数の材料で形成してもよい。
【0068】
図10(A)に示す半導体素子内蔵基板60のように、半導体素子12が、動作周波数の異なる回路40A,40Bで構成されている場合に、回路40A,40Bの動作周波数に応じて、誘電率及び誘電正接の少なくとも一方が異なる複数の誘電体42A,42Bをシート状部材30として形成する。
【0069】
例えば、回路40Aが分布定数回路であり、回路40Bが集中定数回路である場合には、シート状部材30を形成する誘電体42Aとして、例えば、誘電率が2、誘電正接が0.0015であるグラフポリマやボラジン系化合物等で形成されたものを用い、誘電体42Bとして、アンダーフィル材と同程度の特性を有する誘電体を用いる。
【0070】
なお、半導体素子内蔵基板50が、動作周波数が異なる回路を有する複数の半導体素子12を備えている場合には、各々の半導体素子12の回路の動作周波数に対応して、誘電率及び誘電正接の少なくとも一方が異なる複数の誘電体をシート状部材30として形成してもよい。
【0071】
これにより、動作周波数の異なる複数の回路40A、40Bが組み合わされて半導体素子12が構成されていても、各回路毎に適した誘電体を半導体素子12と基板18Aとの間に配置できる。
【0072】
また、半導体素子12が、動作周波数の異なる複数の回路で構成されている場合に、シート状部材30が、相対的に動作周波数の高い回路の位置に対応して配置され、相対的に動作周波数の低い回路の位置に対応してアンダーフィル材が充填されてもよい。
【0073】
例えば、図10(B)に示す半導体素子内蔵基板70のように、回路40Aは分布定数回路で構成され、回路40Bが集中定数回路で構成されている場合に、回路40Aの位置に対応してシート状部材30を配置し、回路40Bの位置に対応してアンダーフィル材44を充填する。
【0074】
また、半導体素子内蔵基板50が、動作周波数が異なる回路を有する複数の半導体素子12を備えている場合には、シート状部材30が、相対的に動作周波数の高い回路の位置に対応して配置され、相対的に動作周波数の低い回路の位置に対応してアンダーフィル材44が充填されてもよい。
【0075】
これにより、分布定数回路を含んで構成された半導体素子12への誘電体の影響を抑制すると共に、半導体素子12の基板への固定を強固にすることができる。
【0076】
また、図10(C)に示す半導体素子内蔵基板80のように、半導体素子12の内側領域にシート状部材30を配置すると共に、シート状部材30の周囲にアンダーフィル材44を充填してもよい。
【0077】
さらに、シート状部材30として、半導体素子12の信号線路に対応した領域をくり抜き、当該信号線路と誘電体層14との間に空気層を生じさせる構造とさせてもよいし、メッシュ構造にすることでシート状部材30内に空気を含む構造とさせてもよい。
【0078】
以上、本発明を上記各実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記各実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記各実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0079】
また、上記各実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における組み合わせにより種々の発明を抽出できる。上記各実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除又は置換されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0080】
例えば、上記各実施の形態では、半導体素子として、CPWを用いて回路パターンが設計された半導体素子を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、半導体素子として、マイクロストリップラインを用いた半導体素子を用いた形態としてもよい。
【0081】
この形態の場合、第1の実施の形態においては、半導体素子の内側領域においてマイクロストリップラインを除いた領域にグランドを形成し、形成したグランドに対応してボンディングパッドを形成する。そして、半導体素子の内側領域に対向する基板の領域にボンディングパッドに対応させてグランド配線を形成し、半導体素子に形成されたボンディングパッドと基板に形成されたグランド配線とをバンプで電気的に接続する。
【0082】
また、CPW又はマイクロストリップラインを用いて構成された半導体素子に限らず、半導体レーザ素子、スイッチング素子、抵抗、インダクタ、及びキャパシタ等、その動作が誘電体の影響を受ける可能性がある素子を用いた形態としてもよい。
【0083】
その他、上記各実施の形態で説明した半導体素子内蔵基板の構成(図1〜図10参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要な部分を削除したり、新たな部分を追加したりすることができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0084】
10 半導体素子内蔵基板
12 半導体素子
14 誘電体層
16A 第1金属層(配線層)
18A 基板(第1の基板)
18B 基板(第2の基板)
20A,20B ボンディングパッド
22A 半田バンプ(導電性部材)
22B 半田バンプ(支持部材、接続部材)
30 シート状部材(支持部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層に配線層が積層された第1の基板と、
分布定数回路を含んで構成され、かつ前記第1の基板に対向する面の周辺領域に複数のボンディングパッドが形成され、当該複数のボンディングパッドに対応した導電性を有する導電性部材によって、前記配線層に電気的に接続される半導体素子と、
前記半導体素子の前記周辺領域よりも内側の領域に配置され、前記半導体素子と前記第1の基板との間に介在されて前記半導体素子を支持する支持部材と、
前記第1の基板及び前記半導体素子に張り合わされる第2の基板と、
を備えた半導体素子内蔵基板。
【請求項2】
前記半導体素子は、前記内側の領域に信号線路が形成され、
前記支持部材は、前記信号線路が形成されている領域以外に配置される請求項1記載の半導体素子内蔵基板。
【請求項3】
前記第1の基板は、前記半導体素子の前記周辺領域に対向する領域、及び前記内側の領域に対向する領域に前記配線層が積層され、
前記半導体素子は、前記内側の領域に複数のボンディングパッドが形成され、
前記支持部材は、導電性であると共に、前記内側の領域に形成されている複数のボンディングパッドに対応して複数形成され、前記内側の領域に対向する前記第1の基板の領域に積層された前記配線層と前記内側の領域に形成されている複数のボンディングパッドとを電気的に接続する接続部材である請求項2に記載の半導体素子内蔵基板。
【請求項4】
前記半導体素子は、前記接続部材によって前記配線層に接続される複数のボンディングパッドが前記内側の領域にランダムに形成されている請求項3に記載の半導体素子内蔵基板。
【請求項5】
前記支持部材は、誘電体を含むシート状部材である請求項1に記載の半導体素子内蔵基板。
【請求項6】
前記半導体素子は、動作周波数が異なる複数の回路を有し、又は、動作周波数が異なる回路を有する複数の前記半導体素子を備え、
前記シート状部材は、前記半導体素子の前記回路の動作周波数に対応して、誘電率及び誘電正接の少なくとも一方が異なる複数の誘電体を含んで構成される請求項5記載の半導体素子内蔵基板。
【請求項7】
前記半導体素子は、動作周波数が異なる複数の回路を有し、又は、動作周波数が異なる回路を有する複数の前記半導体素子を備え、
前記シート状部材は、相対的に動作周波数の高い前記回路の位置に対応して配置され、
相対的に動作周波数の低い前記回路の位置に対応してアンダーフィル材が充填される請求項5又は請求項6記載の半導体素子内蔵基板。
【請求項8】
分布定数回路を含んで構成された半導体素子に対して、誘電体層に配線層が積層された第1の基板に対向する面の周辺領域に、複数のボンディングパッドを形成する工程と、
前記複数のボンディングパッドに対応した導電性を有する導電性部材によって、前記第1の基板の前記配線層に電気的に接続すると共に、前記半導体素子の前記周辺領域よりも内側の領域に前記支持部材を前記第1の基板との間に介在させて、前記半導体素子を前記第1の基板に実装する工程と、
第2の基板を前記第1の基板及び前記半導体素子に張り合わせる工程と、
を有する半導体素子内蔵基板の製造方法。
【請求項1】
誘電体層に配線層が積層された第1の基板と、
分布定数回路を含んで構成され、かつ前記第1の基板に対向する面の周辺領域に複数のボンディングパッドが形成され、当該複数のボンディングパッドに対応した導電性を有する導電性部材によって、前記配線層に電気的に接続される半導体素子と、
前記半導体素子の前記周辺領域よりも内側の領域に配置され、前記半導体素子と前記第1の基板との間に介在されて前記半導体素子を支持する支持部材と、
前記第1の基板及び前記半導体素子に張り合わされる第2の基板と、
を備えた半導体素子内蔵基板。
【請求項2】
前記半導体素子は、前記内側の領域に信号線路が形成され、
前記支持部材は、前記信号線路が形成されている領域以外に配置される請求項1記載の半導体素子内蔵基板。
【請求項3】
前記第1の基板は、前記半導体素子の前記周辺領域に対向する領域、及び前記内側の領域に対向する領域に前記配線層が積層され、
前記半導体素子は、前記内側の領域に複数のボンディングパッドが形成され、
前記支持部材は、導電性であると共に、前記内側の領域に形成されている複数のボンディングパッドに対応して複数形成され、前記内側の領域に対向する前記第1の基板の領域に積層された前記配線層と前記内側の領域に形成されている複数のボンディングパッドとを電気的に接続する接続部材である請求項2に記載の半導体素子内蔵基板。
【請求項4】
前記半導体素子は、前記接続部材によって前記配線層に接続される複数のボンディングパッドが前記内側の領域にランダムに形成されている請求項3に記載の半導体素子内蔵基板。
【請求項5】
前記支持部材は、誘電体を含むシート状部材である請求項1に記載の半導体素子内蔵基板。
【請求項6】
前記半導体素子は、動作周波数が異なる複数の回路を有し、又は、動作周波数が異なる回路を有する複数の前記半導体素子を備え、
前記シート状部材は、前記半導体素子の前記回路の動作周波数に対応して、誘電率及び誘電正接の少なくとも一方が異なる複数の誘電体を含んで構成される請求項5記載の半導体素子内蔵基板。
【請求項7】
前記半導体素子は、動作周波数が異なる複数の回路を有し、又は、動作周波数が異なる回路を有する複数の前記半導体素子を備え、
前記シート状部材は、相対的に動作周波数の高い前記回路の位置に対応して配置され、
相対的に動作周波数の低い前記回路の位置に対応してアンダーフィル材が充填される請求項5又は請求項6記載の半導体素子内蔵基板。
【請求項8】
分布定数回路を含んで構成された半導体素子に対して、誘電体層に配線層が積層された第1の基板に対向する面の周辺領域に、複数のボンディングパッドを形成する工程と、
前記複数のボンディングパッドに対応した導電性を有する導電性部材によって、前記第1の基板の前記配線層に電気的に接続すると共に、前記半導体素子の前記周辺領域よりも内側の領域に前記支持部材を前記第1の基板との間に介在させて、前記半導体素子を前記第1の基板に実装する工程と、
第2の基板を前記第1の基板及び前記半導体素子に張り合わせる工程と、
を有する半導体素子内蔵基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−77132(P2011−77132A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224672(P2009−224672)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】
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