半導体素子搭載用部材、半導体素子搭載基板、及び半導体装置
【課題】熱伝導性及び接続信頼性に優れ、さらに、より薄型化が可能な半導体装置、特にLED半導体素子搭載の半導体装置を提供する。
【解決手段】キャリア基材11上に、導電性金属層パターン14及び絶縁部15を有する半導体素子搭載用部材10であって、該金属層パターンは、部分的に露出部を有するように、少なくともその周縁部が絶縁部に覆われ、該部材の金属層パターン側からの平面視において、該金属層パターンの最外周部が、該金属層パターンとキャリア基材が接する部分より、該絶縁部側にせり出している断面形状を有し、該金属層パターンがめっきで形成された銅から構成されるものであることを特徴とする半導体素子搭載用部材である。
【解決手段】キャリア基材11上に、導電性金属層パターン14及び絶縁部15を有する半導体素子搭載用部材10であって、該金属層パターンは、部分的に露出部を有するように、少なくともその周縁部が絶縁部に覆われ、該部材の金属層パターン側からの平面視において、該金属層パターンの最外周部が、該金属層パターンとキャリア基材が接する部分より、該絶縁部側にせり出している断面形状を有し、該金属層パターンがめっきで形成された銅から構成されるものであることを特徴とする半導体素子搭載用部材である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子搭載用部材、半導体素子搭載基板、及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体パッケージの小型化を図るため、電気鋳造(電鋳)の製造工程を利用した半導体装置の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特許文献1には、支持基板上に、互いに離間する2つの導電部材を複数形成する工程、該導電部材の間に遮光性樹脂からなる基体を設ける工程、導電部材上に光半導体素子を載置させる工程、光半導体素子を透光性樹脂からなる封止部材で被覆する工程、及び支持基板を除去後、光半導体装置を個片化する工程を有する光半導体装置の製造方法について開示されている。
また、特許文献2では、図1C及び図1Dを用いて、発光装置の製造方法について詳細に開示されている。特許文献1及び2によれば、薄型で耐熱性に優れた発光装置を歩留まり良く製造することができるとされている。
【0003】
しかしながら、上記のような方法で作製された半導体装置では、以下のような問題点がある。
(1)遮光性樹脂からなる基体の形成方法として、トランスファモールド法が挙げられているが(特許文献2、段落0031)、通常、金型との離型性を付与させるため離型剤が含有されており導電部材となる金属との密着性が弱い。しかも、導電部材の下面から導電部材の最上層の鍍金までの距離が短いため、半導体装置の耐吸湿性が低下し半導体装置の絶縁信頼性が劣る。特に、導電部材の最上層にAg鍍金を施した場合、Ag鍍金が変色し易く光量の劣化、及び色目の変化が大きい。
(2)遮光性樹脂からなる基体と導電部材となる金属との密着性が弱いため、導電部材の半導体装置からの脱落を防ぐため、導電部材の側面に突起部を設けている(特許文献1、段落〔0032〕、〔0036〕、〔0061〕)。そのため、導電部材の下面から突起部までの鍍金厚を厚くし、かつ突起部を大きくして、導電部材の下面から導電部材の最上層の鍍金までの距離を長くする必要があり、半導体装置の薄型化及び微細化に限界があった。また、導電部材側面に突起部があるため、基体形成時に基体形成用の樹脂材料が充填し難い。
(3)導電部材の表面が鍍金の自由析出面であるため表面の平滑性に劣り、導電性ワイヤの接続作業性が低い。また導電部材表面の平滑性が劣るため金型の封止性が悪く、基体形成時に基体を構成する樹脂材料が導電部材の上面に染み出す。
(4)支持基板上の金属層と導電部材の密着性が弱いため、基体形成時に樹脂材料が金属層と導電部材の間に入り込む。
(5)導電部材表面全面に接続用鍍金を施す必要があるため、接続用鍍金に変色し易いAg鍍金を施した場合、色目の変化が大きい。
(6)外部接続する導電部材の下面が半導体装置から突出しないため、半導体装置の実装後の外部接続部分が剪断力に対して弱く外部接続の信頼性には限界があった。
(7)導電部材最表面全面に高価な接続用鍍金を施す必要があるためコスト高となる。また、導電部材パターンの形成がフォトリソ法であり、製品毎にパターンを形成する必要があるため、多大な費用がかかる。さらに、ロールツーロールの対応が困難であり、生産性に劣る。
【0004】
また、特許文献3及び4には、上記問題点の(6)の改善の一手法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−239105号公報
【特許文献2】特開2011−35040号公報
【特許文献3】特開2010−10275号公報
【特許文献4】特開2010−10276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、熱伝導性及び信頼性に優れ、かつ薄型化が可能な半導体素子搭載用部材、半導体素子搭載基板、及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、以下に示す特定の構成を採用することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)キャリア基材上に、導電性金属層パターン及び絶縁部を有する半導体素子搭載用部材であって、該金属層パターンは、部分的に露出部を有するように、少なくともその周縁部が絶縁部に覆われ、該部材の金属層パターン側からの平面視において、該金属層パターンの最外周部が、該金属層パターンとキャリア基材が接する部分より、該絶縁部側にせり出している断面形状を有し、該金属層パターンがめっきで形成された銅から構成されるものであることを特徴とする半導体素子搭載用部材、
(2)前記露出部の面が略平坦である上記(1)に記載の半導体素子搭載用部材、
(3)前記導電性金属層パターンが、前記キャリア基材側と反対側の面に、最外周よりも内側に略平坦な面を有する台座状の凸部を有する上記(1)又は(2)に記載の半導体素子搭載用部材、
(4)前記絶縁部が熱硬化性及び/又は活性エネルギー線硬化性のソルダーレジストからなる上記(1)〜(3)のいずれかに記載の半導体素子搭載用部材、
(5)前記キャリア基材が剥離性基材及び粘着剤層からなり、導電性金属層パターン及び絶縁部が粘着剤層を介して剥離性基材に貼着される上記(1)〜(4)のいずれかに記載の半導体素子搭載用部材、
(6)前記導電性金属層パターンは、前記キャリア基材を剥離した際に、剥離面側に突出するように配される上記(5)に記載の半導体素子搭載用部材、
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の半導体素子搭載用部材上に、導電性金属層パターンの露出部を覆わないようにリフレクターを備える半導体素子搭載基板、
(8)前記リフレクターが側壁を構成し、前記半導体素子搭載用部材の導電性金属層パターン及び絶縁部からなる面が底面を構成し、該底面内に露出部を備える2以上の導電性金属層パターンを有し、該側壁と底面により凹部を構成する上記(7)に記載の半導体素子搭載基板、
(9)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の半導体素子搭載用部材、半導体素子及び封止部材を有する半導体装置であって、該半導体素子搭載用部材が外表面を形成し、該半導体素子は該半導体素子搭載用部材に載置され、該封止部材が半導体素子を封止する半導体装置、
(10)前記半導体素子がLED半導体素子である上記(9)に記載の半導体装置、
(11)前記半導体素子搭載用部材上に、導電性金属層パターンの露出部を覆わないようにリフレクターを備える上記(9)又は(10)に記載の半導体装置、
(12)前記リフレクターが側壁を構成し、前記半導体素子搭載用部材の導電性金属層パターン及び絶縁部からなる面が底面を構成し、該底面内に露出部を備える2以上の導電性金属層パターンを有し、該側壁と底面により構成される凹部内に前記封止材が充填されて封止部材を形成してなる上記(11)に記載の半導体装置、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、
(1)導電性金属層パターンと絶縁部との密着が強いため、半導体装置の耐吸湿性が向上する。そのため、半導体装置の信頼性の向上が図れ、また、導電性金属層パターンの最上層にAgめっきを施した場合、Agめっきが吸湿による変色をし難く、光量の劣化が低減でき、かつAgめっきの変色を抑制し、色目の変化を低減できる。
(2)上記導電性金属層パターンと絶縁部との強固な密着性に加えて、導電性金属層パターンの周縁部が絶縁部に覆われているため、導電性金属層パターンの半導体装置からの脱落防止性に優れる。したがって、導電性金属層パターンのめっき厚を薄くすることができ、半導体装置の更なる薄型化、導電性金属層パターンの更なる微細線化が可能となる。
(3)導電性金属層パターンが銅で構成されているため、熱伝導性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】めっき用導電性基材の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A'断面の端面図である。
【図3】図1のB−B’ 断面の端面図である。
【図4】めっき用導電性基材の製造過程を示す図である。
【図5】半導体素子搭載用部材の製造過程を示す図である。
【図6】半導体素子搭載用部材、半導体素子搭載基板及び半導体装置の製造過程を示す図である。
【図7】個片化された半導体装置の製造過程を示す図である。
【図8】半導体装置を実装する工程を示す図である。
【図9】めっき用導電性基材の他の一例を示す平面図である。
【図10】めっき用導電性基材の他の一例を示す平面図である。
【図11】めっき用導電性基材の他の一例を示す平面図である。
【図12】めっき用導電性基材の他の一例を示す平面図である。
【図13】めっき用導電性基材の他の一例を示す平面図である。
【図14】本発明の半導体装置を示す図である。
【図15】本発明の半導体装置を示す図である。
【図16】本発明の半導体装置を示す図である。
【図17】従来の半導体素子搭載用部材の製造過程を示す図である。
【図18】従来の半導体素子搭載基板及び半導体装置の製造過程を示す図である。
【図19】従来の個片化された半導体装置の製造工程を示す図である。
【図20】従来の半導体装置を実装する工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(半導体素子搭載用部材)
本発明の半導体素子搭載用部材について、以下、図を用いて詳細に説明する。
本発明の半導体素子搭載用部材は、図6(k)及び図6(k’)に示される構成を有する。すなわち、本発明の半導体素子搭載用部材10は、キャリア基材37上に、導電性金属層パターン13、14及び絶縁部15を有するものであって、該金属層パターン13及び14は、部分的に露出部を有するように、少なくともその周縁部17が絶縁部15に覆われる。本発明の半導体素子搭載用部材10の金属層パターン13及び14側からの平面視(図6(l’)に斜視図を示す)において、該金属層パターンの最外周部が、該金属層パターンとキャリア基材が接する部分より、該絶縁部側にせり出している断面形状を有し、該金属層パターンがめっきで形成された銅から構成されるものである。金属層パターンの周縁部が絶縁部に覆われるため、該導電性金属層パターンの露出部は、該導電性金属層パターンの最外周より内側に形成されることになる。絶縁部15は硬化性樹脂からなることが好ましく、部分的に導電性金属層パターンの一部を露出させるように絶縁部が形成される。ここで、本発明の半導体素子搭載用部材は該金属層パターンがめっきで形成された銅から構成されるものであることを特徴としている。
図6(k’)は、図6(k)における周縁部17を拡大した図である。図6(k’)に示す態様では、導電性金属層パターン13及び14の周縁部17が絶縁部15により覆われている。
このように、導電性金属層パターンの周縁部を導電性金属層パターンとの密着が強い硬化性樹脂で覆うことによって、半導体装置の耐吸湿性が向上し、半導体装置の絶縁信頼性の向上が図れる。また、導電性金属層パターンの半導体装置からの脱落防止性に優れるため、導電性金属層パターンのめっき厚を薄くすることができ、半導体装置の更なる薄型化、導電性金属層パターンの更なる微細線化が可能となる。
本発明にかかる半導体素子搭載用部材は、露出部が略平坦であることが好ましい。該部分が略平坦であることによって、半導体素子の搭載や導電性ワイヤなどを用いた電気的接続が容易となる。
また、本発明にかかる半導体素子搭載用部材は、導電性金属層パターンの前記剥離性基材側とは反対側の面に最外周よりも内面に略平坦な面を有する台座状の凸部を有することが好ましい。
なお、図6(k)及び図6(k’)に示す態様では、キャリア基材37は、剥離性基材11及び粘着剤層12からなるが、剥離性基材11自体に粘着性がある場合などは、粘着剤層12は必ずしも必要ない。したがって、本発明において、キャリア基材37とは、粘着剤層12を有さない場合は、剥離基材11そのものを意味し、粘着剤層12を有する場合には、剥離基材11上に粘着剤層12を有するものをいう。
【0012】
(剥離性基材)
剥離性基材11はその上に形成される導電性金属層パターン及び絶縁部を構成する硬化性樹脂などに対して、半導体装置作製過程において十分な密着性を有しつつ、剥離する際に剥離しやすいものであることが要求される。特に、後に記載する、リフレクター部材の設置工程及びリフレクター部材の硬化工程で、通常150℃、30分程度の熱履歴を受け、また、封止樹脂の硬化工程では、通常150℃以上の高温で少なくとも10分以上の熱履歴を受けるが、このような熱履歴を受けた後でも剥離性基材を剥離する必要がある。そのためには、剥離性基材はその上に形成される導電性金属層パターン及び絶縁部を構成する硬化性樹脂などに対する密着強度が適切である必要がある。
本発明においては、剥離性基材(必要に応じて設けられる粘着剤層を含む)の接着性は、導電性金属層パターンの剥離性基材に対する密着強度が、25℃における90度ピール強度で、0.05〜5kN/mであることが好ましく、0.1〜3kN/mであることがさらに好ましい。
なお、ここで、25℃における90度ピール強度の測定は、JIS Z 0237の90度引き剥がし法に準拠するものであり、具体的には、25℃において、毎分270〜330mm、好ましくは毎分300mmの速さで剥離性基材を引き剥がす際の90度ピール強度を測定するものとし、例えば、90度剥離試験機(テスタ産業製)を使用することができる。
【0013】
本発明における剥離性基材の材料としては、上述のような剥離性を有するものであれば特に限定されず、例えば、ガラス、プラスチック等からなる板、プラスチックフィルム、プラスチックシート、金属シートが挙げられる。
ガラスとしては、ソーダガラス、無アルカリガラス、強化ガラス等のガラスを使用することができる。
【0014】
また、プラスチックとしては、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂、酢酸セルロース樹脂、フッ素樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリウレタン樹脂、フタル酸ジアリル樹脂などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0015】
また、金属シートに用いられる金属としては、銅、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、鉄、チタン等の金属並びにこれらの合金(42アロイ等)が挙げられる。これらのうち、ステンレス鋼(SUS)が好ましく、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系等、種々のステンレスを好適に用いることができる。さらに、導電性金属層パターンを構成する材料が銅である場合、オーステナイト系のステンレスであるSUS304が、線膨張係数が銅とほぼ同等であるため、特に好ましい(SUS304の線膨張係数:17.3×10-6/K)。線膨張係数が同等であると、熱履歴を受けても歪みが発生し難いからである。
【0016】
剥離性基材の厚さについては特に制限はないが10μm〜1mmが好ましい。該厚さが10μm以上であると、半導体素子搭載用部材をロールツーロール方式で製造する場合、搬送工程における取扱い性の点で有利である。一方、1mm以下であると基材にカールが発生しにくく、ロール品の場合に巻き癖がつきにくい。以上の観点から、剥離性基材の厚さは、20μm〜0.5mmがさらに好ましい。また、枚葉形態での搬送が必要となる場合には、剥離性基材にはある程度以上の剛性が要求されるので、基材の厚さは50μm以上であることがより好ましい。
【0017】
剥離性基材は導電性金属層パターンを貼り付けた後の反りを低減するために、封止工程での熱履歴を受けた前後の収縮量の変化率が1%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがさらに好ましい。また、20〜200℃における線膨張係数が3.0×10-5/K以下のものであることが好ましく、2.5×10-5/K以下のものであることがより好ましく、2.0×10-5/K以下のものであることがさらに好ましく、導電性金属層パターンを構成する導電性金属の線膨張係数に等しいかほぼ等しいことが特に好ましい。線膨張係数の観点からは、剥離性基材の材料として、上記金属材料を選択することが、剥離性基材と導電性金属層パターンとの線膨張係数を近づけやすく、本発明に係る半導体素子搭載接続用配線基材の反りを低減できる点で有利である。
また、剥離性基材は、半導体素子搭載用部材又は半導体装置の製造に際して、該基材の反りを緩和するために該基材にスリット、溝、波形状の加工を施してもよい。
【0018】
(粘着剤層)
前記剥離性基材は、適度な密着性と剥離性を有していることが必要であるが、換言すれば適度な接着性を有していることが必要である。そのためには、剥離性基材を構成する材料自体が必要な接着性を有していてもよいが、剥離性基材11上に適切な粘着剤層12を積層して適度な粘着性を付与してもよい。このように剥離性基材が粘着剤層を有する場合には、後述する剥離性基材の剥離工程で、剥離性基材とともに粘着剤層も剥離される。したがって、剥離性基材は粘着剤に対して密着性が十分高いことが好ましい。密着性が低いと、後述する半導体装置の製造過程で、剥離性基材を剥離しようとしたときに、粘着剤層を残したまま、剥離性基材だけが剥離するためである。
【0019】
粘着剤層に用いる材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線の照射で硬化する樹脂(以下「活性エネルギー線硬化性樹脂」と称する)等を使用することができる。前記活性エネルギー線硬化性樹脂は熱による硬化も併用することができる。前記熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂の重量平均分子量は、500以上のものを使用することが好ましい。分子量が500以上であると、十分な樹脂の凝集力が確保され、金属との接着性が十分得られるからである。以下、粘着剤層に用いる材料を粘着剤と記載する場合がある。
【0020】
粘着剤層に用いる熱可塑性樹脂としては、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリ−1,2−ブタジエン、ポリイソブテン、ポリブテン、ポリ−2−ヘプチル−1,3−ブタジエン、ポリ−2−t−ブチル−1,3−ブタジエン、ポリ−1,3−ブタジエン等の(ジ)エン類;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルヘキシルエーテル、ポリビニルブチルエーテル等のポリエーテル類;ポリビニルアセテート、ポリビニルプロピオネート等のポリエステル類;ポリウレタン;エチルセルロース;ポリ塩化ビニル;ポリ(メタ)アクリロニトリル;ポリスルホン;ポリスルフィド;フェノキシ樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリイソプロピル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリ−t−ブチル(メタ)アクリレート、ポリ−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ポリ−3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリオキシカルボニルテトラ(メタ)アクリレート、ポリドデシル(メタ)アクリレート、ポリテトラデシル(メタ)アクリレート、ポリ−n−プロピル(メタ)アクリレート、ポリ−3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリ−2−ニトロ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート、ポリ−1,1−ジエチルプロピル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸エステルが使用可能である。これらのポリマーを構成するモノマーは、必要に応じて、2種以上共重合させて得られるコポリマーとして用いてもよいし、以上のポリマー又はコポリマーを2種類以上ブレンドして使用することも可能である。
【0021】
粘着剤層に用いる熱硬化性樹脂としては、天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ハロゲン化ブチル、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソブテン、カルボキシゴム、ネオプレン、ポリブタジエン等の樹脂と架橋剤を組み合わせて用いられるものがある。架橋剤としては、硫黄、アニリンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、リグリン樹脂、キシレンホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ホルマリン樹脂、金属酸化物、金属塩化物、オキシム、アルキルフェノール樹脂等を用いることができる。なおこれらには、架橋反応速度を増加する目的で、汎用の加硫促進剤等の添加剤を使用することもできる。
【0022】
熱硬化性樹脂で、硬化剤を利用するものとしては、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、不飽和炭化水素基等の官能基を有する樹脂が挙げられる。硬化剤としては、エポキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、チオール基等の官能基を有する硬化剤、あるいは金属塩化物、イソシアネート、酸無水物、金属酸化物、過酸化物等の硬化剤が挙げられる。
なお、硬化反応速度を増加する目的で、汎用の触媒等の添加剤を使用することもできる。
具体的には、硬化性アクリル樹脂組成物、不飽和ポリエステル樹脂組成物、ジアリルフタレート樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、ポリウレタン樹脂組成物等が例示される。
【0023】
粘着剤層に用いる活性エネルギー線硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等をベースポリマーとし、各々にラジカル重合性あるいはカチオン重合性官能基を付与させた材料が例示できる。ラジカル重合性官能基として、アクリル基(アクリロイル基)、メタクリル基(メタクリロイル基)、ビニル基、アリル基などの炭素−炭素二重結合があり、これらのうち、反応性の良好なアクリル基(アクリロイル基)が好適に用いられる。また、カチオン重合性官能基としては、エポキシ基(グリシジルエーテル基、グリシジルアミン基)が代表的であり、高反応性の脂環式エポキシ基が好適に用いられる。具体的な材料としては、アクリルウレタン、エポキシ(メタ)アクリレート、エポキシ変性ポリブタジエン、エポキシ変性ポリエステル、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、アクリル変性ポリエステル等が挙げられる。
活性エネルギー線としては、紫外線、電子線等が利用される。活性エネルギー線が紫外線の場合、紫外線硬化時に添加される光増感剤あるいは光開始剤としては、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイン系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩、ハロニウム塩などの公知の材料を使用することができる。また、前記の材料の他に汎用の熱可塑性樹脂をブレンドしてもよい。
【0024】
さらに、活性エネルギー線硬化性樹脂で熱硬化を併用し得るものを用いることができ、アクリル酸又はメタクリル酸の付加物が好ましいものとして例示できる。
アクリル酸又はメタクリル酸の付加物としては、エポキシアクリレート(n=1.48〜1.60)、ウレタンアクリレート(n=1.5〜1.6)、ポリエーテルアクリレート(n=1.48〜1.49)、ポリエステルアクリレート(n=1.48〜1.54)などを用いることができる。なお、ここで、nは付加モル数を示す。
上記アクリル酸又はメタクリル酸の付加物としては、接着性の点から、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートが優れており、エポキシアクリレートとしては、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、アリルアルコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル等の(メタ)アクリル酸付加物が挙げられる。また、エポキシアクリレートのように分子内に水酸基を有するポリマーは接着性向上に有効である。これらの共重合樹脂は必要に応じて、2種以上併用することができる。
【0025】
なお、粘着剤には、必要に応じて、架橋剤、硬化剤、希釈剤、可塑剤、酸化防止剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤や粘着付与剤などの添加剤を配合してもよい。
【0026】
剥離性基材への粘着剤層の形成方法としては、粘着剤を剥離性基材に塗工するのが製造上容易であり、好ましい。粘着剤の塗工方法としては、特に制限はないが、ダイコート、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、バーコート、コンマコート等を例示することができる。
【0027】
粘着剤層の厚さは、0.5〜100μmが好ましい。0.5μm以上であると、半導体装置作製過程において十分な密着性を得ることができる。一方、100μm以下であると、密着性が高くなりすぎることがなく、特に熱履歴後の剥離に問題が生じない。以上の観点から、粘着剤層の厚さは、3〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがさらに好ましい。
【0028】
また、前記粘着剤層(硬化性樹脂を使用している場合、硬化後の粘着剤層)の20〜200℃における線膨張係数は、3.0×10-5/K以下であることが好ましく、2.5×10-5/K以下であることがより好ましく、2.0×10-5/K以下であることがさらに好ましい。また、導電性金属層パターンを構成する金属の線膨張係数に等しいかほぼ等しいことが特に好ましい。
【0029】
(導電性金属層パターン)
キャリア基材37上に設けられる導電性金属層パターン13及び14を構成する材料としては、導電性を有するものであれば使用できるが、本発明では銅を用いる。銅を用いることで、熱伝導性を大きくすることができ、半導体素子の発する熱に対する放熱性を向上させることができる。また、銅は価格や入手の容易さの点からも有利である。なお、導電性金属層パターンは、半導体装置又はその製造工程に適用するように、適宜設計されるものである。
【0030】
導電性金属層パターンの厚さは、特に制限はないが、3〜150μmの範囲であることが好ましい。3μm以上であると、半導体装置における絶縁部に対する導電性金属層パターンの十分な密着強度が得られ、150μm以下であると、金属層パターンを短時間で形成することができ、材料コストの点からも有利である。以上の観点から、導電性金属層パターンの厚さは、5〜100μmがさらに好ましく、10〜50μmが特に好ましい。
なお、導電性金属層パターンの形成方法としては、転写法を用いることが好ましい。転写法については、後に詳述する。
【0031】
導電性金属層パターンは、図6(k)及び(k’)に示されるように、本発明の半導体素子搭載用部材の金属層パターン側からの平面視において、該金属層パターンの最外周部が、該金属層パターンとキャリア基材が接する部分より、該絶縁部側にせり出している断面形状を有する。換言すれば、その断面形状がキャリア基材37とは反対側の方向に向けて広がる逆テーパ形状であることを意味する。
また、導電性金属層パターン13及び14は、キャリア基材37と反対側の面に、最外周よりも内側に略平坦な面を有する台座状の凸部19を有することが好ましい。このような形状をとることで、導電性金属層パターンと絶縁部の密着性が向上し、剥離性基材を剥離する際に導電性金属層パターンの脱落をさらに抑制することができる。
また、導電性金属層パターンは、粘着剤層を有する態様では、粘着剤層に一部埋設されていることが好ましい。その埋設量は、厚さ方向で、0.5μm以上が好ましい。0.5μm以上であれば、後に絶縁部を形成するための硬化性樹脂等を塗布する際、硬化性樹脂等が導電性金属層パターンの下へ染み出すことを防止できる。以上の観点から、導電性金属層パターンの埋設量は1μm以上がより好ましく、3μm以上が特に好ましい。また、その埋設量の上限は、導電性金属層パターンの厚さより1μm小さい厚さが好ましく、金属層パターンの厚さの1/2がより好ましく、金属層パターンの厚さの1/3が特に好ましい。
また、導電性金属層パターンは、キャリア基材を剥離した際に、剥離面側に突出することが好ましい。このような態様をとることにより、良好な熱伝導性を得ることができる。
【0032】
(絶縁部)
本発明の半導体素子搭載用部材10は、上述の導電性金属層パターン13及び14の少なくとも周縁部17を覆う絶縁部15を有し、該絶縁部15は熱硬化性及び/又は活性エネルギー線硬化性樹脂からなることが好ましく、図6(k)及び図6(k’)に示すように、導電性金属層パターンの周縁部17が該絶縁部15に覆われていることが特徴である。
特に、絶縁部15は、導電性金属層パターン13及び14の側面部だけではなく、少なくともその一部が、導電性金属層パターン(以下「金属層」と称することがある)の上部に周りこみ、周縁部17を覆うものである。
【0033】
上述のように、導電性金属層パターン13及び14は、部分的に露出部を有する。該露出部の大きさや配置については、その目的に応じて適宜決定すればよく、例えば、半導体素子を搭載する導電性金属層パターン上では、半導体素子が搭載可能な大きさであることが必要であり、ワイヤボンディングを行う導電性金属層パターン上では、導電性ワイヤが接続可能な大きさであればよい。これらを満足する範囲で、周縁部17を覆う絶縁部の面積が大きい程、すなわち、導電性金属層パターン上における絶縁部の開口部をできるだけ小さくすることが、上述の導電性金属層パターンの脱落を抑制し得る観点から好ましい。
絶縁部は、硬化性樹脂で形成されることが好ましく、例えば、導電性金属層パターン上に液状樹脂を塗布し、加熱及び/又は活性エネルギー線で硬化させることができるため、導電性金属層パターンとの密着が強い。
上記絶縁部としては、種々の硬化性樹脂を用いることができるが、中でも熱硬化性及び/又は活性エネルギー線硬化性のソルダーレジストを用いることが特に好ましい。ソルダーレジストは、金属層に半導体素子を載置する際に用いられる銀ペーストのブリードアウトを抑制することができる。また、後に記載するリフレクターを装着する際にも、ソルダーレジストの存在により、リフレクターと金属層の接着性の悪さを解消することができる。このことにより、半導体素子搭載用基板としての信頼性が向上する。
また、絶縁部として、酸化チタンを含有する熱硬化性及び/又は活性エネルギー線硬化性樹脂を用いる態様も好ましい態様である。酸化チタンを含有させることで、絶縁部を白色化し、発光素子の能力をより一層引き出すことができる。白色のソルダーレジストを用いる場合には、該レジストの可視光の反射率が60%以上であることが好ましい。
【0034】
(金属めっき層)
本発明の半導体素子搭載用部材を製造するに際し、導電性金属層パターン上には、導電性金属層パターンとは異なる金属種の金属めっき層16を有することが好ましい。このような金属めっき層を有することにより、半導体素子との接着性を向上させることができ、またワイヤボンディングが容易に行えるため、作業性の面で有利である。
金属めっき層を構成する材料としては、接着性、電気伝導性の観点から、ニッケルと金の組み合わせが好適に用いられる。また、金の代わりに、銀又はパラジウムを用いることもできる。
【0035】
(半導体体素子搭載基板)
本発明の半導体体素子搭載基板は、上述の半導体体素子搭載用部材上に、導電性金属層パターンの露出部を覆わないように、リフレクターを備えてなる。当該半導体素子搭載基板20は、上述の半導体素子搭載用部材10を用いて製造されるものであって、剥離性基材、粘着剤層、導電性金属層パターン、絶縁部、及び金属めっき層の詳細については、上述の通りである。
【0036】
(リフレクター)
本発明の半導体素子搭載基板20は、半導体素子の機能を有効に発揮させるため、図6(l)に示すように、半導体素子搭載用部材上にリフレクター18を備える。リフレクターは、半導体素子としてLED半導体素子を用いる場合に、LED半導体素子から出る光を反射させることにより、光の拡散を防いで高い光量を得るものである。
リフレクター18は、該導電性金属層パターン13及び14の周縁部17において、前述の導電性金属層パターンの露出部を覆わないように設けることが肝要である。なお、図6(l)に示される態様においては、導電性金属層パターン13及び14上に金属めっき層16が設けられているので、該金属層めっき16が露出部を示している。
このように、導電性金属層パターンの露出部を維持することにより、半導体素子を搭載する導電性金属層パターンにおいては、半導体素子を載置する領域が確保され、またワイヤボンディングを行う導電性金属層パターンにおいては、ワイヤボンディング部の領域が確保される。
【0037】
リフレクターを構成する材料としては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が好ましく、熱硬化性樹脂としては、白色顔料、セラミック粉末等を含むエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等、耐熱性に優れる樹脂であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン樹脂等が挙げられる。これらのうち、熱硬化性樹脂が好ましく、白色顔料、セラミック粉末等を含む、耐熱性に優れる熱硬化性樹脂であることが特に好ましい。
リフレクターの製造方法としては、熱硬化性樹脂を用いる場合には、トランスファモールド法が好ましく、熱可塑性樹脂を用いる場合には、射出成形法などが用いられる。また、リフレクターを形成した後、さらにその表面を金属蒸着や金属めっきしてもよい。
【0038】
リフレクターの形状としては特に制限はないが、後述する封止材による封止に際しダムになるような形状と態様で設置されることが好ましい。その形状としては、開口部に向かって広がる様に断面が台形状であることが好ましく、場合により、また、設置される場所によっては、四角形または長方形であってもよい。
また、本発明の半導体素子搭載用基板においては、図6(l)に示すように、リフレクター18は、絶縁部15の上に形成され、導電性金属層パターンと直接接触しない。
また、リフレクターが側壁を構成し、前記半導体素子搭載用部材の導電性金属層パターン及び絶縁部からなる面が底面を構成し、該底面内に露出部を備える2以上の導電性金属層パターンを有し、該側壁と該底面とで凹部を構成することが好ましい。凹部は、俵型であることが好ましく、楕円形、四角形または長方形であってもよい。
なお、リフレクターは搭載する半導体素子として、LEDのような発光素子を搭載する場合には、光の反射という点から、設けることが好ましいが、LED以外の半導体素子を搭載して、例えば、QFN(Quad Flat No-Lead)、BGA(Ball Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、CSP(Chip Size Package)等の半導体パッケージの基板として用いる場合には、リフレクターの代わりにダム部等を設ける構造又はリフレクターを設けない構造とすることができる。
【0039】
本発明の半導体素子搭載基板20は、キャリア基材37が剥離された後、導電性金属層パターンは、厚さ方向に一部が剥離面側に突出していることが好ましい。この突出量としては、厚さ方向に0.5μm以上突出していることが好ましい。突出量が0.5μm以上あると、実装時にはんだの密着性が良好となる。以上の観点から、突出量は1μm以上がより好ましく、3μm以上が特に好ましい。一方、該突出量の上限は、金属層の厚さより1μm小さい厚さであることが好ましい。
また、実装をより容易にするために、外装めっき24及び24’を設けることが好ましい(図7(o))。外装めっきによって、導電性金属層パターンが保護されるからである。外装めっきとしては、錫めっきあるいは金めっきが通常行われ、これらのめっきとしては電解めっきまたは無電解めっきの何れでも適用可能である。なお、外装めっきは、次に説明するダイシングの後に行うこともできる。
【0040】
(半導体装置)
本発明の半導体装置40は、図6(m)に示すように、半導体素子搭載用部材、半導体素子21及び封止部材23を有し、該半導体素子搭載用部材が外表面を形成し、該半導体素子21は該半導体素子搭載用部材に載置され、該封止部材23が半導体素子21を封止するものである。なお、半導体素子21は、後に詳述するように、通常ダイボンド材(図示せず)を介して半導体素子搭載用部材に接合される。
半導体素子搭載用部材については、キャリア基材37上に導電性金属層パターン13、14及び絶縁部15を有し、該金属層パターンは、部分的に露出部を有するように、少なくともその周縁部17が絶縁部15に覆われ、該半導体素子搭載用部材の金属層パターン側からの平面視において、該金属層パターンの最外周部が、該金属層パターンとキャリア基材が接する部分より、該絶縁部側にせり出している断面形状を有する。
なお、図6(m)に示す態様では、半導体素子搭載用部材上にリフレクター18を備え、半導体素子21に導電性ワイヤ22を配したものを示している。
また、キャリア基材37は、剥離性基材11及び粘着剤層12からなり、粘着剤層12を介して、導電性金属層パターン13、14、及び絶縁部15を有しており、導電性金属層パターン上にそれぞれ金属めっき層16を有する。前記絶縁部15は熱硬化性及び/又は活性エネルギー線硬化性のソルダーレジストからなり、導電性金属層パターンの周縁部17の少なくとも一部が硬化性樹脂からなる絶縁部に覆われていることが好ましい。
【0041】
前記半導体装置40は、図6(m)に示すように、封止するに際し、封止材を注入すべき領域がリフレクター18で囲まれていることが好ましいが、リフレクターに代えてダム部(例えば、封止材、レジスト材料、成型品で形成)を設け封止材を注入すべき領域を囲むようにしてもよい。
封止部材23を構成する封止材としては、透明樹脂が好ましく、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂等で透明なものが用いられ、これら樹脂を併用してもよく、また、ガラス、シリカ、酸化チタン等の充填剤、カップリング剤、硬化促進剤、酸化防止剤などを含んでもよい。
【0042】
本発明の半導体装置40は、図7(p)、(q)、及び図14〜16にも示すように、本発明の半導体素子搭載用部材10、半導体素子21及び封止部材23を有し、該半導体素子搭載用部材10が外表面を形成し、該半導体素子21は該半導体素子搭載用部材10に載置され、該封止部材23が半導体素子を封止するものである。
ここで、半導体素子21としては、種々のものを用いることができるが、本発明では、LED半導体素子が好適に用いられる。また、半導体素子と導電性金属層パターンとの電気的接続方法としては、金線などからなる導電性ワイヤ22を用いて接続する方法の他に、フリップチップによる方法などがある。
上記半導体素子21と導電性金属層パターン13は、通常、ダイボンド材25を介して接合される。ダイボンド材25として導電性の接合剤を用い、導通するように接合することができる。このような接合剤としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、液晶樹脂等を使用した銀ペースト;Niペースト又はカーボンペースト等の導電性接着剤:金プリフォーム等の共晶ボンディングシート;はんだなどがある。一方、半導体素子21と導電性金属層パターン13を、エポキシ接着剤等の接着剤により接合し、他方の導電性金属層パターンとの導通をワイヤボンディングにより行うこともできる。
また、半導体素子21は、図6(m)の図面において、紙面に垂直方向と平行方向に、適当な間隔で、並べて搭載される。この半導体21のピッチ間隔は、100〜5000μmが好ましく、300〜5000μmがより好ましい。
なお、図7(p)及び(q)に示される半導体装置は、リフレクター18を有する場合であり、図14はリフレクターを有さない場合を示す。また、図15はリフレクターを有さず、かつ半導体素子21が複数の他の導電性金属層パターンに接続している態様であり、図16は、導電性ワイヤを用いずに他の導電性金属層パターンに接続している態様を示す。
上記半導体装置は、図7に示すように、キャリア基材を剥離し、必要に応じて外層めっき24及び24'を設けた後、ダイシングして切り分けるか、ダイシングした後、外層めっき24及び24'を設けて使用される。このダイシングは、紙面と垂直及び平行な方向で、ダイシングの単位となる境にあるリフレクター及びその下に金属層が有ればそれをも分割するように行われる。
このようにして、得られた半導体装置40は、半導体装置搭載用配線板50(マザーボード、多層配線板を包含する)に搭載され、最終用途(又はさらなる川下製品)に供される(図8)。
【0043】
(半導体素子搭載用部材の製造方法)
本発明の半導体素子搭載用部材の製造方法は、転写法による工程を有し、具体的には以下のような工程を有する。
(a)導電性基材にレジストパターンを形成する工程
(b)該レジストパターンを含む導電性基材全面に絶縁層を設ける工程
(c)レジスト及び該レジスト上の絶縁層を除去し、マスクパターンが形成されためっき用導電性基材を得る工程
(d)前記絶縁層の除去された部分にめっき法により金属層パターンを形成し、当該金属層パターンを有する導電性基材を得る工程
(e)該金属層パターンを有する導電性基材の金属層パターン側に、剥離性基材及び粘着剤層からなるキャリア基材の粘着剤層側を押し当てて押圧し、その後めっき用導電性基材を剥離することにより、前記金属層パターンをキャリア基材に転写する工程
(f)前記金属層パターン上にソルダーレジストの開口部を設け、金属層パターンの縁部の少なくとも一部が該ソルダーレジストに覆われるようにパターニングされたソルダーレジスト層を、キャリア基材の金属層パターン側に形成する工程
(g)該露出した金属層パターン上に該金属層パターンと異なる金属種をめっきする工程
(h)前工程で金属種をめっきした金属層パターンのいずれかに半導体素子を載置する工程
(i)該半導体素子と金属種をめっきした他の金属層パターンとを電気的に接続する工程
(j)封止材により、半導体素子、金属層パターン、前工程で電気的に接続した部分、及びソルダーレジストを一体化する工程
(k)キャリア基材を剥離し、金属層パターンの露出面にめっきを施し、ダイシングして個片化する工程、又は(k')キャリア基材を剥離し、ダイシングして個片化した後、金属層パターンの露出面にめっきを施す工程
ここで、転写法による工程とは、めっき用導電性基材を得る工程(c工程)、これにめっき法により金属層パターンを形成する工程(d工程)、該金属層を剥離性基材及び必要に応じて設けられる粘着剤層を有する基材(キャリア基材37)に転写する工程(e工程)を主に指す。
転写法を用いることで、導電性金属層パターンが、図6(k)及び(k’)に示すように、該導電性金属層パターンの最外周部が該導電性金属層パターンとキャリア基材が接する部分より該絶縁部側にせり出している断面形状を有しかつ該導電性金属層パターンの露出部が該導電性金属層パターンの最外周より内側に形成され、即ち逆テーパ状となり、絶縁部から脱落しにくくなるという効果がある。また、導電性金属層パターンの剥離性基材のない側の表面を略平坦化することができるため、半導体素子の載置やワイヤボンディングが容易になるとともに高い接続信頼性が得られる。
なお、導電性金属層パターンは連結金属層によって1つにつながっているが、ダイシング工程を経ることによって、該金属層パターンが切り分けられ、1つの半導体装置内に、少なくとも2以上の導電性金属層パターンを有するように配されている。
【0044】
次に、めっき用導電性基材について、図4(d)を用いて説明する。
めっき用導電性基材30は、導電性基材31の表面に絶縁層33が形成されており、その絶縁層とともに、めっきを形成するために開口された凹部32(めっき形成部)が形成されている。この凹部の底面には導電性材料が露出していることが必要であり、また開口方向に向かって幅広な形状を有することが好ましい。
【0045】
上記導電性基材31に用いられる導電性材料としては、その露出表面に電解めっきで金属を析出させるために十分な導電性を有するものであれば特に制限はなく、金属であることが特に好ましい。また、その導電性基材は、表面に電解めっきにより形成された金属層を、転写用基材に転写させることができるように、その上に形成された金属層との密着力が低く、容易に剥離できるものであることが好ましい。このような導電性基材の材料としてはステンレス鋼、クロムめっきされた鋳鉄、クロムめっきされた鋼、チタン、チタンをライニングした材料、ニッケルなどが好ましく、これに加えて、さらにこれらの導電性基材の表面に導電性を有する無機材料をコーティングしたものが特に好ましい。
【0046】
導電性基材31の形状としては、シート状、プレート状、ロール状、フープ状等がある。ロール状の場合は、シート状、プレート状のものを回転体(ロール)に取り付けたものであってもよい。フープ状の場合は、フープの内側の2箇所から数箇所にロールを設置し、そのロールにフープ状の導電性基材を通すような形態等が考えられる。ロール状、フープ状ともに金属箔を連続的に生産することが可能であるため、シート状、プレート状に比較すると、生産効率が高く、好ましい。
ドラム電極を用いて電解めっきにより形成されたパターンを連続的に剥離しながら、導体層パターン付き基材を巻物として得る場合においては、ドラム電極を回転させつつ、金属を電解めっきにより連続的に析出させ、また、析出した金属を連続的に剥離することができるので、生産効率を飛躍的に向上させることができる。
【0047】
絶縁層33の厚さは、凹部の深さに対応する。凹部の深さは、析出するめっきの厚さとも関係するため、目的に応じて適宜決定されるが、絶縁層の厚さは、通常、0.1〜100μmの範囲であることが好ましい。絶縁層の厚さが、0.1μm以上であると、絶縁層にピンホールが発生し難い。一方、100μm以下であると絶縁層の形成時間の短縮及びコストの低減の点で有利である。以上の観点から、絶縁層の厚さは、0.5〜10μmの範囲であることがさらに好ましく、1〜7μmであることが特に好ましい。
【0048】
当該絶縁層33は、ダイヤモンドに類似したカーボン薄膜、いわゆるダイヤモンドライクカーボン(DLC)薄膜のうち、絶縁性を有するものにて形成することができる。DLC薄膜は、耐久性、耐薬品性に優れているため、特に好ましい。
また、絶縁層をAl2O3、SiO2等の無機化合物のような無機材料で形成することもできる。
【0049】
凹部又は絶縁層の形状は、目的に応じて適宜決定されるが、導電性金属層パターンに対応したものとされる。
【0050】
本発明のめっき用導電性基材の一例を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明のめっき用導電性基材の一例を示す一部斜視図である。図2は、図1のA−A’で切った場合の端面図(A−A’断面の端面図)を示し、図3は図1のB−B’ (B−B’断面の端面図)で切った場合の端面図を示す。図3の(a)は凹部の側面が平坦であるが、(b)は凹部の側面にゆるやかな凹凸がある場合を示す。
めっき用導電性基材30は、導電性基材31の上に絶縁層33が積層されており、絶縁層33に凹部32が形成されている。この凹部32の底部は、導電性基材31が露出しているか、又は導電性基材に導通している導体層であってもよい。
この例においては、絶縁層33及び凹部32からなるパターンが、図1のB−B’の方向に繰り返されているが、その繰り返し数は適宜決定される。また、図1のA−A’の方向には、絶縁層33又は凹部32が所定の長さになるように延びている。凹部32の形状については特に制限はなく、その目的に応じて適宜決定される。例えば、溝状(平面形状が線状、矩形状その他の形状)であってもよいし、平面形状が正方形等の矩形、円形、その他の形状である穴状であってもよい。
導電性基材31と絶縁層33の間には、絶縁層33の接着性の改善等を目的として、導電性又は絶縁性の中間層(図示せず)が積層されていてもよい。または、凹部32の側面は、開口方向に向かって全体として広がっていることが好ましい。凹部の幅(図3(a)における開口部でd、底面でd′)などの大きさや凹部の間隔は、目的に応じて決定される。d>d'としためっき用導電性基材であれば、析出した金属層をめっき用導電性基材からの剥離がより容易になる。
【0051】
また、凹部32の一側面がその対面と共に、底面に対して垂直となっている部分が高さ方向で1μm以上続く部分がないようにすることが好ましい。このようなめっき用導電性基材であれば、それを用いてめっきを行った後、析出した金属層をめっき用導電性基材から剥離するに際し、金属層と絶縁層との間の摩擦又は抵抗を小さくすることができ、その剥離がより容易になる。
【0052】
凹部の側面は、必ずしも平面ではない。この場合には、図3(b)に示すように、前記の勾配αは、凹部の高さh(本図面では、絶縁層の厚さとなる)と凹部の側面の幅s(水平方向で凹部の側面の幅方向)を求め、下記式によってαを決定する。
【0053】
[数1]
tanα=h/s
【0054】
αは、角度で30度以上90度未満が好ましく、30度以上80度以下がより好ましく、30度以上60度以下が特に好ましい。この角度が小さいと作製が困難となる傾向があり、大きいと凹部にめっきにより形成し得た金属層(金属層パターン)を剥離する際、又は、キャリア基材に転写する際の抵抗が大きくなる傾向がある。
【0055】
また、本発明のめっき用導電性基材における開口部32の深さは、絶縁層の厚さで調整され、0.1〜100μmであることが好ましく、0.1〜20μmであることがより好ましく、0.5〜10μmであることがさらに好ましく、1〜7μmであることが特に好ましい。
【0056】
本発明におけるめっき用導電性基材の好ましい製造方法としては、導電性基材の表面に、導電性基材を露出させている凹部によって特定の導電性金属層パターンが描かれるように絶縁層を形成する工程を含む。絶縁層の形成方法としては、フォトレジストを用いる方法やレーザー光を用いてパターニングする方法などがある。
【0057】
本発明におけるめっき用導電性基材30の製造方法の一例を、図4を用いて説明する。
導電性基材31の上に感光性レジスト層(感光性樹脂層)34が形成されている(図4(a))。この積層物の感光性レジスト層(感光性樹脂層)34に対し、フォトリソグラフ法を適用して感光性レジスト層34をパターン化する(図4(b))。パターン化は、パターンが形成されたフォトマスクを感光性レジスト層34の上に載置し、露光した後、現像して感光性レジスト層34の不要部を除去して突起部39を残すことにより行われる。突起部39の形状とそれからなる凸状パターンは、導電性基材31上の凹部32とそのパターンに対応するよう考慮される。
【0058】
次に、絶縁層が付着している凸状パターンを除去する工程について説明する。絶縁層33が付いている状態(図4(c))で、突起部39からなる凸状パターンを除去する(図4(d))。
絶縁層の付着しているレジストの除去には、市販のレジスト剥離液や無機、有機アルカリ、有機溶剤などを用いることができる。また、パターンを形成するのに使用したレジストに対応する専用の剥離液があれば、それを用いることもできる。さらには、超音波を用いて除去する方法もある。
剥離の方法としては、例えば薬液に浸漬することでレジストを膨潤、破壊あるいは溶解させた後これを除去することが可能である。液をレジストに十分含浸させるために超音波、加熱、撹拌等の手法を併用しても良い。また、剥離を促進するためにシャワー、噴流等で液をあてることもできるし、柔らかい布や綿棒などでこすることもできる。
また、絶縁層の耐熱が十分高い場合には高温で焼成してレジストを炭化させて除去することもできるし、レーザーを照射して焼き飛ばす、といった方法も利用できる。
剥離液としては、例えば、3%NaOH溶液を用い、剥離法としてシャワーや浸漬が適用できる。
【0059】
本発明における銅のめっき法としては、公知の方法を採用することができる。具体的には、電解めっき法、無電解めっき法、その他のめっき法を適用することができる。なお、めっき法により析出させる金属銅は、銅単独の場合ばかりではなく、銅を主成分として含むものであれば、差し支えない。
【0060】
電解銅めっきでは、めっき用の電解浴には硫酸銅浴、ほうふっ化銅浴、ピロリン酸銅浴、または、シアン化銅浴などを用いることができる。このときに、めっき浴中に有機物等による応力緩和剤(光沢剤としての効果も有する)を添加すれば、より電着応力のばらつきを低下させることができることが知られている。また、合金めっきの場合は、金−銅、金−銀、金−コバルトの2元合金や、金−銅−銀の3元合金が用いられる。電解めっき法としては、例えば、「現場技術者のための実用めっき」(日本プレーティング協会編、1986年槇書店発行)第87〜504頁を参照することができる。
【0061】
また、工業的に利用されている無電解めっきのプロセスでは、還元剤をめっき液に添加し、その酸化反応によって生ずる電子を金属の析出反応に利用するのであり、めっき液は、金属塩、錯化剤、還元剤、pH調整剤、pH緩衝材、安定剤等から成り立っている。無電解銅めっきの場合は、金属塩として硫酸銅、還元剤としてホルマリン、錯化剤としてロッセル塩やエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が好んで用いられる。また、pHは主として水酸化ナトリウムによって調整されるが、水酸化カリウムや水酸化リチウムなども使用でき、緩衝剤としては、炭酸塩やリン酸塩が用いられ、安定化剤としては、1価の銅と優先的に錯形成するシアン化物、チオ尿素、ビピリジル、O−フェナントロリン、ネオクプロイン等が用いられる。無電解めっき法については前記「現場技術者のための実用めっき」(日本プレーティング協会編、1986年槇書店発行)の第505〜545頁を参照することができる。
さらに、還元剤の還元作用を得るためには、金属表面の触媒活性化が必要になることがある。素地が鉄、鋼、ニッケルなどの金属の場合には、それらの金属が触媒活性を持つため、無電解めっき液に浸漬するだけで析出するが、銅、銀あるいはそれらの合金、ステンレスが素地となる場合には、触媒活性化を付与するために、塩化パラジウムの塩酸酸性溶液中に被めっき物を浸漬し、イオン置換によって、表面にパラジウムを析出させる方法が用いられる。
【0062】
このように、導電性金属層パターンを銅により構成することにより、半導体装置における、ヒートパスを短くできるという効果を奏することができる。
【0063】
前記した導電性基材のめっき形成部にめっきにより形成される金属銅層の厚さ(めっき厚さ)は、目的に応じて適宜決定される。めっき厚さは、導体層にピンホールが形成される可能性を小さくするためには、3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがさらに好ましく、十分な体積抵抗率を示すためには、10μm以上の厚さであることが特に好ましい。また、めっき厚さが大きすぎると、形成された金属銅層は幅方向にも広がるため、めっき厚さも目的に応じて、適宜調整される。
【0064】
めっきの程度は、析出する金属銅層が凹部からはみ出るように行う。これにより、転写用基材(剥離性基材)内に断面形状で最大幅の部分を埋没させないように、めっき用導電性基材上の金属銅層を転写用基材(剥離性基材)に転写することができる。凹部からはみ出ている分の金属銅の厚さは、5〜50μmであることが好ましい(図5(f’))。
【0065】
図5は、半導体素子搭載用部材の製造例を示す断面図である。
前記しためっき工程により、導電性基材31の上に絶縁層33を有するめっき用導電性基材30のめっき形成部(凹部32)内にめっきを施し、金属層パターン36を形成する(図5(e))。
金属層パターン36は、めっき用形成部(凹部32)にめっきにより金属層を形成するが、該めっきは、そのめっき用形成部(凹部32)からあふれるようにめっきされ、図5(f’)に示すように、絶縁層33に覆い被さるように析出する。これは、めっきはほぼ等方的に生長するため、導電性基材の露出部分から始まっためっきの析出は、それが進むと凹部からあふれて絶縁層に覆い被さるように析出するためである。
【0066】
次に、別個に剥離性基材11に粘着剤層12が積層されたキャリア基材37(転写用基材)を準備し、金属層パターン36が形成されためっき用導電性基材30に、キャリア基材37を粘着剤層12に向けて圧着する準備を行う(図5(f))。
次いで、金属層パターン36が形成されためっき用導電性基材30に、キャリア基材37を、粘着剤層12を向けて圧着する(図5(g))。このとき、断面形状が剥離性基材11とは反対側の方向に向けて広がる逆テーパ形状を有する金属層パターン36の逆テーパ形状部分の全てを粘着剤層12に埋没させないことが好ましい。場合により、粘着剤層12が絶縁層33に接触してもよい。
次いで、キャリア基材37を引きはがすと金属層パターン36は、その粘着剤層12に接着してめっき用導電性基材30のめっき用形成部から剥離されて、キャリア基材に転写され、その結果、導体層パターン付き基材ともいえる半導体素子搭載用部材10が得られる(図5(h))。ここで、導電性金属層パターン13及び14は、剥離性基材11と反対側の面に、最外周よりも内側に略平坦な面を有する台座状の凸部19を有することになる。
【0067】
上記キャリア基材37に用いられる粘着剤層12は、従来公知のものでもよいが、光/熱併用硬化性樹脂により構成される場合は、金属層パターン36をキャリア基材に転写して得られる半導体素子搭載用部材に、剥離性基材側から活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線の照射された部分の粘着剤層を硬化させる方法を用いることが好ましい。該導電性金属層パターンと剥離性基材の間の該粘着剤は未硬化又は部分硬化の状態で粘着性を有するものであり、その後の絶縁部形成時に硬化性樹脂が導電性金属層パターンと剥離性基材の間に所望しない侵入を起こすのを防ぐのに有効である。転写後は、加熱により粘着材層を十分硬化させることで、粘着性を低減させ、又は粘着性を消失させることにより、剥離性基材の剥離工程等の作業性を良くすることができる。
【0068】
次に、本発明の半導体素子搭載用部材10は、図6(i)に示されるように、めっき銅によって形成される導電性金属層パターン13及び14の表面に、ソルダーレジストなどの硬化性樹脂を適用して、フォト法、スクリーン印刷法等を用いるパターニングにより、導電性金属層パターン13及び14の少なくとも一部を露出させる(図6(j))。
次に、図6(k)に示すように、半導体素子搭載用部材10は、めっき銅により形成される導電性金属層パターン13及び14の表面に、順次ニッケルめっき及び金めっきが施されて金属めっき層16が形成され、後で行われるワイヤボンディングがされやすいように準備することが好ましい。なお、金めっきはパラジウムめっき、銀めっきでもよい。
【0069】
次に、図6(l)に示すように、必要に応じてリフレクター18を設置して本発明の半導体素子搭載基板20が製造される。リフレクターに用いる材料及び形状等については、前述の通りである。ここで、ソルダーレジストとリフレクターとの密着性を向上させるため、リフレクターをモールドする前にソルダーレジスト表面にプラズマ処理を施すことが好ましい。プラズマ処理により、ソルダーレジスト表面の極性基が増え活性度が上がり、リフレクターとの密着性が向上する。
なお、リフレクターが無い場合は、プラズマ処理をワイヤボンディングの前に施し、ワイヤボンディング後そのまま封止材をモールドすることもできる。
【0070】
(半導体装置の製造方法)
半導体装置40は、図6(l)で得た半導体素子搭載基板20の導電性金属層パターンの露出部にめっきを施した部分(ダイパッド部)にLED半導体素子などの半導体素子21を搭載する(図6(m))。ダイパッド部は、リフレクター部材に囲まれる領域に設けられる。
さらに、この半導体素子21と隣接する導電性金属層パターン14上のワイヤボンディング部の所定位置が、導電性ワイヤ22によりワイヤボンディングされる(図6(m))。
本発明の半導体装置40は、図7に示すように、通常、キャリア基材37を剥離し(図7(n))、外装めっき24及び24’を設け(図7(o))、ダイシングにより個片化して使用される(図7(q))。また、半導体素子搭載基板から、キャリア基材37を剥離し、ダイシングした後に、外層めっき24及び24'を設けてもよく、その順序は問わない。
【0071】
前記のようにして得られた半導体装置40は、図8に示すように、はんだ付けにより半導体装置搭載用配線板50に搭載して半導体装置搭載配線板60を作製する工程を示す断面図である。
図8(r)は、マザーボード51に半導体装置40を搭載する直前の状態を示す。半導体装置搭載用配線板はその一部を示すが、ボード本体(表面の配線層を除く部分)に導体配線52及び52’が施工されており、その上にはんだ53及び53’が載置されている。半導体装置40の突出している金属層部分がそれぞれはんだペースト53及び53’によりはんだ付けされる。その結果は、図8(s)のようになり、半導体装置40の金属層部分に接続したはんだ53及び53’が金属層部分の突出部を覆うように付着する。このためはんだ付けして得られた半導体装置搭載配線板において、配線板の面方向の剪断力に対して半導体装置40は配線板50上に堅固に結合されている。
なお、半導体装置と半導体装置搭載用配線板との接続は、はんだペーストの変わりに電気はんだめっきを施し、はんだリフローする方法でも良い。
【0072】
次に、図9〜13を用いて、剥離性基材に転写された導電性金属層パターンの形状について説明する。図9〜13は、導電性金属層パターン側から見た平面図である。
図9〜13において、斜線部は導電性金属層パターンを示し、点線部で囲まれた領域は、1つの半導体装置となる領域(半導体装置領域)を示している。半導体装置領域内における導電性金属層パターンをできるだけ大きくすることにより、導電性金属層パターンの外周部の長さを半導体装置内で増大させ、絶縁部との接触面積を増やすことにより導電性金属層パターンの半導体装置からの脱落防止を改善する。また、半導体装置領域の導電性金属層パターンは、同一半導体装置領域内の導電性金属層パターンとは連結されておらず、隣接する半導体装置領域内の導電性金属層パターンとは半導体装置領域内における導電性金属層パターンの幅の異なる金属層(連結金属層)で連結されている。連結金属層によって、以下の効果が期待できる。
(1)めっき用導電性基材上にめっきによって形成した導電性金属層パターンを連結金属層が形成されている方向に沿って剥離性基材に転写する場合は、導電性金属層パターンの転写漏れの不具合を防ぐことができる。
(2)連結金属層によってつながっているために、電気めっきを効率的に行うことができる。
図11の太い連結金属層は、点線部で囲まれた半導体装置領域で個片化した場合に半導体装置の端面に前記太い連結金属層の端面が露出するので、この露出部を利用して半導体装置搭載用配線板との接続時にはんだの濡れ状態を良好に確認することができる。
ここで、連結金属層の必要最小限幅は100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、60μm以下がさらに好ましい。
【0073】
また、本発明では用いられるめっき用導電性基材として、回転体(ロール)を用いることができるが、さらに、この詳細を説明する。回転体(ロール)は金属製が好ましい。さらに、回転体としてはドラム式電解析出法に用いるドラム電極などを用いることが好ましい。ドラム電極の表面を形成する物質としては上述のようにステンレス鋼、クロムめっきされた鋳鉄、クロムめっきされた鋼、チタン、チタンをライニングした材料などのめっき付着性が比較的低い材料を用いることが好ましい。導電性基材として回転体を用いることにより連続的に作製して巻物として導体層パターン付き基材を得ることが可能となるため、この場合、生産性が飛躍的に大きくなる。
回転体を用いて、電界解めっきにより形成されたパターンを連続的に剥離しながら、導体層パターン付き基材を巻物として得る工程及び導電性基材としてドラム電極を用いた場合に、ドラム電極を回転させつつ、金属を電界解めっきにより連続的に析出させ、また、析出した金属を連続的に剥離する装置は、国際公開WO2008/081904に記載される方法及び装置を利用することができる。
【実施例】
【0074】
実施例1
(凸状レジストパターンの形成)
レジストフィルム(フォテックRY3315、15μm厚、日立化成工業(株)製)を150mm角のステンレス板(SUS316L、#400研磨仕上げ、厚さ500μm、日新製鋼(株)製)の片面に貼り合わせた。貼り合わせの条件は、ロール温度105℃、圧力0.5MPa、ラインスピード1m/minで行った。
次いで、所定のパターン仕様のネガフィルムを、ステンレス板に貼り合わせたレジストフィルムの上に載置し、紫外線照射装置を用いて、600mmHg以下の真空下において、紫外線を250mJ/cm2照射した。さらに、1質量%炭酸ナトリウム水溶液で現像することで、パターン状のレジスト膜(厚さ10μm)を得た(図4(b)参照)。
【0075】
(絶縁層の形成)
PBII/D装置(TypeIII、(株)栗田製作所製)によりDLC膜を形成した。チャンバー内にレジスト膜が付いたままのステンレス基板を入れ、チャンバー内を真空状態にした後、アルゴンガスで基板表面のクリーニングを行った。次いで、チャンバー内にヘキサメチルジシロキサンを導入し、膜厚0.1μmとなるように下地層を成膜した。
次いで、トルエン、メタン、アセチレンガスを導入し、膜厚が5〜6μmとなるように、下地層の上にDLC層を形成した(図4(c)参照)。
【0076】
(めっき用導電性基材の形成)
絶縁層が付着したステンレス基板を水酸化ナトリウム水溶液(10%、50℃)に浸漬し、時々揺動を加えながら8時間放置した。レジスト膜とそれに形成されたDLC膜が剥離した。一部剥がれにくい部分があった場合は、布で軽くこすることにより全面剥離することができた(図4(d)参照)。
凹部の形状は、開口方向に向かって幅広になっており、その凹部側面の傾斜角は、前記境界面の角度と同じであった。凹部の深さは5〜6μmであった。
【0077】
(銅めっき)
前記で得られためっき用導電性基材のパターンが形成されていない面(裏面)にめっきが付かないように粘着フィルム(ヒタレックスK−3940B、日立化成工業(株)製)を貼り付けた。この粘着フィルムを貼り付けためっき用導電性基材を陰極として、含燐銅を陽極として電解銅めっき用の電解浴(硫酸銅(5水塩)250g/L、硫酸70g/L、キューブライトAR(荏原ユージライト(株)製、添加剤)4ml/Lの水溶液、30℃)中に浸し、電流密度を10A/dm2として、めっき用導電性基材の凹部に析出した金属層の厚さがほぼ35μmになるまでめっきした。めっき用導電性基材の凹部の中とそれからあふれるようにめっきが形成された(図5(e)参照)。
【0078】
(粘着剤層用組成物の調製)
温度計、冷却管、窒素導入管を備えた500cm3の三つ口フラスコに、以下に記載する配合組成物1を投入し、穏やかに撹拌しながら、60℃に加熱して重合を開始させ、窒素でバブリングさせながら、60℃で8時間、還流中で攪拌を行い、側鎖にヒドロキシル基を有するアクリル樹脂を得た。その後、カレンズ MOI(2−イソシアナトエチルメタクリレート;昭和電工(株)製)5質量部を添加し、穏やかに撹拌しながら50℃で反応させ、側鎖に光重合性官能基を有する反応性ポリマー1の溶液を得た。
(配合組成物1)
2−エチルヘキシルメタクリレート 70質量部
ブチルアクリレート 15質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 10質量部
アクリル酸 5質量部
アゾビスイソブチロニトリル 0.1質量部
トルエン 60質量部
酢酸エチル 60質量部
【0079】
得られた反応性ポリマー1は、側鎖にメタクリロイル基を有しており、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は800,000であった。
反応性ポリマーの溶液1の100質量部(固形分)に光重合開始剤として2−メチル−1[4−メチルチオ]フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名イルガキュア907、チバガイギー(株)製)を1質量部、イソシアネート系架橋剤(商品名コロネートL−38ET、日本ポリウレタン(株)製)を3質量部、トルエンを50質量部添加し、粘着剤層用組成物を得た。
【0080】
(転写用基材の作製)
得られた粘着剤層用組成物を、厚さ50μm、120mm角の基材材料であるSUS304の表面に、乾燥後の膜厚が15μmになるように塗布して、基材材料上に紫外線硬化性を有する粘着剤層を形成して、転写用基材(キャリア基材)を作製した。乾燥条件は80℃で10分間とした。
【0081】
(導電性金属層パターンの転写)
前記転写用基材を、粘着剤層の面を、前記めっき用導電性基材の銅めっきを施した面に、ロールラミネータを用いて貼り合わせた。ラミネート条件は、ロール温度30℃、圧力0.3MPa、ラインスピード0.5m/分とした。次いで、めっき用導電性基材に貼り合わせた転写用基材(図5(g)参照)を剥離したところ、前記めっき用導電性基材上の銅からなる導電性金属層パターンが粘着剤層に転写された構造体を作製した(図5(h)の上の図参照)。次いで、得られた構造体の導電性金属層パターンが存在する面に12μm厚のPETフィルムE−5100(東洋紡(株)製)をロール温度30℃、圧力0.3MPa、ラインスピード0.5m/minで貼り合わせた。さらに、導電性金属層パターンが存在する面から1J/cm2の照射量で紫外線照射した。
銅が転写された基材を一部分切り取り、その断面を走査型電子顕微鏡写真(倍率2000倍)にとって観察した。導電性金属層パターンは、接着剤中に厚さ方向にほぼ5μm埋没していた。
【0082】
(絶縁部の作製)
まず、前記構造体の金属層パターンが存在する面全面に感光性液状ソルダーレジスト(太陽インキ(株)製、商品名:PSR−4000LEW3)をスクリーン印刷で塗布し、温度80℃、25分間の仮硬化後の厚さを30μmとした(図6(i)参照)。
次に、マスクを装着して露光し、未露光部を現像して除去し、開口部を設けた(図6(j)参照)。LED半導体素子が搭載される導電性金属層パターンの開口寸法は、300×300μmのLED半導体素子寸法に対し500×500μmとし、ワイヤボンディング接続する導電性金属層パターンの開口寸法を300×300μmとした。
その後、温度150℃、60分間の条件で本乾燥した。
【0083】
(半導体装置の製造)
導電性金属層パターンの開口部の銅表面に、ニッケルめっき5μm及び金めっき(純度99.99%)0.3μmを順次それぞれ電気めっきにより施した(図6(k)参照)。
次いで、ソルダーレジストとリフレクター及び封止材との密着性を向上させるため、ソルダーレジスト表面にプラズマ処理(設備メーカ:(株)モリエンジニアリング、製品名:PLASMA ASHER PB−1000S)を施した。プラズマ処理条件は、使用ガス:Ar、真空度:100Pa、出力:400W、時間:5分とした。
次に、所定の位置にトランスファモールド法により白色無機顔料を含むエポキシ樹脂(日立化成工業(株)製、商品名:WM7005T)を成形し、リフレクター部材をソルダーレジスト上に設置した(図6(l)参照)。樹脂の硬化は、150℃で2時間行った。
次いで、LED半導体素子を金属層パターンの所定位置に銀ペースト(京セラケミカル(株)商品名:CT220HS)により接合し、150℃1時間で硬化させた後、ワイヤボンディングにより接続した。この後、透明液状封止材(信越化学工業(株)商品名;信越シリコーンASP−1020B)を充填し、150℃で30分の硬化を行なって透明液状封止材を硬化させた(図6(m)参照)。
なお、ワイヤボンディングは、ワイヤボンディング装置4524AD〔キューリック・アンド・ソファ社(Kulicke & Soffa, Ltd.)〕で、キャピラリ型式40472−0010−320〔キューリック・アンド・ソファ社(Kulicke & Soffa, Ltd.)〕を用いて行い、ワイヤは、型式GMHタイプ25μm(田中貴金属工業(株)製)を用いた。また、接続条件は、超音波出力を0.2W、超音波出力時間を45ms、温度を130℃とした、
【0084】
しかる後、キャリア基材を剥離した(図7(n)参照)。このとき、剥離性基材に粘着剤が付着しており、粘着剤が開口部のめっき部分やソルダーレジストに残留することなく容易に剥離することができた。
【0085】
キャリア基材を剥離後はダイシング装置により所定のサイズ(3mm×2mm×300μm)に切断して、個片化した半導体装置40を得た。この半導体装置は、その導電性金属層パターン(銅めっき)の下面が半導体装置から突出している箇所に無電解めっきにより3μm厚の錫めっきを施した(図7(o)、(p)参照)。
【0086】
このようにして得られたLED半導体装置40は、
(1)導電性金属層パターンと絶縁部との密着が強いため、半導体装置の耐吸湿性が向上する。そのため、半導体装置の絶縁信頼性の向上が図れ、また、導電性金属層パターンの最上層にAgめっきを施した場合、Agめっきが変色し難く光量の劣化が低減でき、かつAgめっきの変色を抑制し、色目の変化を低減できる。
(2)上記導電性金属層パターンと絶縁部との強固な密着性に加えて、導電性金属層パターンの周縁部の少なくとも一部が硬化性樹脂等からなる絶縁部に覆われているため、導電性金属層パターンの半導体装置からの脱落防止性に優れる。したがって、導電性金属層パターンのめっき厚を薄くすることができ、半導体装置の更なる薄型化、導電性金属層パターンの更なる微細線化が可能となる。
(3)導電性金属層パターンの表面が平坦であり、導電性ワイヤの接続作業性が向上できる。
(4)導電性金属層パターンの表面が平坦であり、かつ、ソルダーレジストなどの硬化性樹脂が塗布されているため金型の封止性が高く、基材形成時に基材が導電性金属層パターンの上面に染み出すことがない。
(5)導電性金属層パターンにソルダーレジスト等の硬化性樹脂を塗布してあるため、基材形成時に基材が導電性金属層パターンの下面に回り込むことがない。
(6)導電性金属層パターンにソルダーレジスト等の硬化性樹脂を塗布することにより、導電性金属層パターン表面の必要な部分に接続用めっきを施せば良いため、接続用めっきに変色し易いAgめっきを施した場合でも色目の変化が小さい。
(7)導電性金属層パターン最表面の必要な部分に限定して接続用めっきを施せば良いため、費用の低減が図れる。
(8)外部接続する導電性金属層パターンの下面が半導体装置から突出しているため、半導体装置の実装後の外部接続部分が剪断力に対して強くなり外部接続の信頼性が向上する。
(9)製品毎に導電性金属層パターンを形成する必要がないため、費用の低減が図れる。さらに、ロールツーロールにより製造することができ、生産性に優れる。
(10)導電性金属層パターンが銅で構成されているため、熱伝導性に優れたものとなる。
【0087】
(半導体装置搭載配線板の作製)
前記で得られた半導体装置を配線板に搭載して、半導体装置搭載配線板を作製した。
前記半導体装置の突出している導電性金属層パターンに錫めっきを施した部分を配線板の20μmの電気はんだめっき層を有する配線上にはんだ付けされるようにして配線板に半導体装置を搭載した。
【0088】
比較例1
比較例について、図17〜20を用いて説明する。
支持基材101として厚さ0.15mmで実施例1と同サイズのSUS430を用意した。この支持基材の上面に、めっきにより0.1μm厚のPd膜102を形成した。Pd膜を設けた後、Pdと支持基材との密着性を向上させるため400℃で加熱した。
次いで、このPd膜の表面に、感光性フィルム103(フォテックRY3237、37μm厚、日立化成工業(株)製)をラミネートした後(図17(a)参照)、その上部に実施例1と同一のマスクを配置させて、実施例1と同様な方法で紫外線を照射して露光した。その後、実施例1と同様な方法でエッチング剤にて処理することで、パターン状の絶縁層104を設けた(図17(b)参照)。
【0089】
次に、厚さ0.1μmの金をめっきし(金めっき105)、更にその上に実施例1と同様な方法で厚さ65μmとなるように銅をめっきにより形成した(銅めっき106)。このとき、銅めっきはレジストの膜厚よりも厚くなるため、側面に幅約15μmの突起部が成された。さらに、最上層に実施例1と同様に厚さ5μmのニッケルと0.3μmの金を順次めっきした後、実施例1と同様な方法で保護膜を洗浄して除去した。このとき、導電性金属層パターン側面の突起部は幅約20μmとなった。
次いで、実施例1と同様な方法でトランスファモールド法により図18(e)に示すように、リフレクター108を形成した。実施例1と同様、図18(f)に示すように、金属層上に、発光素子109を接合し、導電性ワイヤ110を用いて発光素子の電極と他の金属層とを接続した。
次いで、図18(f)に示すように、リフレクターに囲まれて形成される凹部に実施例1と同様に透光性樹脂からなる封止部材を封止材のポッティングによって形成し、発光素子や導電性ワイヤを封止部材で被覆した。
次いで、封止材が硬化した後に、図19(g)に示すように、支持基板を剥離した。最後に、実施例1と同様に、リフレクター部でダイシングして個片化し(図19(h)(i))、図20(k)に示すような発光装置搭載配線板を得た。
【0090】
このようにして得られた半導体装置には、以下のような問題点が確認された。
(1)遮光性樹脂からなる(リフレクターの)基材は、金型との離型性を付与させるため離型剤が含有されており導電性金属層パターンとなる金属との密着性が弱い。しかも、導電性金属層パターンの下面から導電性金属層パターンの最上層のめっきまでの距離が短いため、半導体装置の耐吸湿性が低下し、半導体装置の絶縁信頼性が劣る。特に、導電性金属層パターンの最上層にAgめっきを施した場合、吸湿によりAgめっきが変色し易く光量の劣化、及び色目の変化が大きい。
(2)遮光性樹脂からなる基材と導電性金属層パターンとなる金属との密着性が弱いため、導電性金属層パターンの半導体装置からの脱落を防ぐため、導電性金属層パターンの側面に突起部を設けている。そのため、導電性金属層パターンの下面から突起部までのめっき厚を厚くする必要があり半導体装置の薄型化及び微細化に限界があった。また、導電性金属層パターン側面に突起部があるため、基材形成時に基材形成用の樹脂材料が充填し難い。
(3)導電性金属層パターンの表面がめっきの自由析出面であるため表面の平滑性に劣り、導電性ワイヤの接続作業性が低い。また導電性金属層パターン表面の平滑性が劣るため金型の封止性が悪く、基材形成時に基材を構成する樹脂材料が導電性金属層パターンの上面に染み出す。
(4)支持基板上の金属層と導電性金属層パターンの密着性が弱いため、基材形成時に基材が導電性金属層パターンの下面に回り込む。
(5)導電性金属層パターン表面全面に接続用めっきを施す必要があるため、接続用めっきに吸湿により変色し易いAgめっきを施した場合、色目の変化が大きい。
(6)外部接続する導電性金属層パターンの下面が半導体装置から突出しないため、半導体装置の実装後の外部接続部分が剪断力に対して弱く、外部接続の信頼性には限界があった。
(7)導電性金属層パターン最表面全面に高価な接続用めっきを施す必要があるためコスト高となる。また、導電性金属層パターンの形成がフォトリソ法であるため製品毎にパターンを形成する必要があるため、多大な費用がかかる。さらに、ロールツーロールの対応が困難であり、生産性に劣る。
(8)支持基材の上面に、めっきにより形成したPd膜中のPdの一部が、支持基材の剥離時に基材側に残ることで、支持基材の剥離後の工程、例えばめっき工程で所望しないところにめっきが析出したり、また、吸湿により絶縁性が低下したりするなど不具合発生の原因となる。
【符号の説明】
【0091】
10:半導体素子搭載用部材
11:剥離性基材
12:粘着剤層
13:導電性金属層パターン
14:導電性金属層パターン
15: 絶縁部
16:金属めっき層
17:周縁部
18、108:リフレクター
19:台座状の凸部
20:半導体素子搭載基板
21、109:半導体素子
22、110:導電性ワイヤ
23、112:封止部材
24、24’:外装めっき
25:ダイボンド材
30:めっき用導電性基材
31:導電性基材
32:凹部(開口部、めっき形成部)
33:絶縁層
34:感光性レジスト層
36:金属層パターン
37:キャリア基材
39:突起部
40:半導体装置
50:半導体装置搭載用配線板
51:マザーボード
52、52’:導体配線
53、53’:はんだ
60:半導体装置搭載配線板
101:支持基材
102:Pd膜
103:感光性フィルム
104:絶縁層
105:金めっき
106:銅めっき
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子搭載用部材、半導体素子搭載基板、及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体パッケージの小型化を図るため、電気鋳造(電鋳)の製造工程を利用した半導体装置の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特許文献1には、支持基板上に、互いに離間する2つの導電部材を複数形成する工程、該導電部材の間に遮光性樹脂からなる基体を設ける工程、導電部材上に光半導体素子を載置させる工程、光半導体素子を透光性樹脂からなる封止部材で被覆する工程、及び支持基板を除去後、光半導体装置を個片化する工程を有する光半導体装置の製造方法について開示されている。
また、特許文献2では、図1C及び図1Dを用いて、発光装置の製造方法について詳細に開示されている。特許文献1及び2によれば、薄型で耐熱性に優れた発光装置を歩留まり良く製造することができるとされている。
【0003】
しかしながら、上記のような方法で作製された半導体装置では、以下のような問題点がある。
(1)遮光性樹脂からなる基体の形成方法として、トランスファモールド法が挙げられているが(特許文献2、段落0031)、通常、金型との離型性を付与させるため離型剤が含有されており導電部材となる金属との密着性が弱い。しかも、導電部材の下面から導電部材の最上層の鍍金までの距離が短いため、半導体装置の耐吸湿性が低下し半導体装置の絶縁信頼性が劣る。特に、導電部材の最上層にAg鍍金を施した場合、Ag鍍金が変色し易く光量の劣化、及び色目の変化が大きい。
(2)遮光性樹脂からなる基体と導電部材となる金属との密着性が弱いため、導電部材の半導体装置からの脱落を防ぐため、導電部材の側面に突起部を設けている(特許文献1、段落〔0032〕、〔0036〕、〔0061〕)。そのため、導電部材の下面から突起部までの鍍金厚を厚くし、かつ突起部を大きくして、導電部材の下面から導電部材の最上層の鍍金までの距離を長くする必要があり、半導体装置の薄型化及び微細化に限界があった。また、導電部材側面に突起部があるため、基体形成時に基体形成用の樹脂材料が充填し難い。
(3)導電部材の表面が鍍金の自由析出面であるため表面の平滑性に劣り、導電性ワイヤの接続作業性が低い。また導電部材表面の平滑性が劣るため金型の封止性が悪く、基体形成時に基体を構成する樹脂材料が導電部材の上面に染み出す。
(4)支持基板上の金属層と導電部材の密着性が弱いため、基体形成時に樹脂材料が金属層と導電部材の間に入り込む。
(5)導電部材表面全面に接続用鍍金を施す必要があるため、接続用鍍金に変色し易いAg鍍金を施した場合、色目の変化が大きい。
(6)外部接続する導電部材の下面が半導体装置から突出しないため、半導体装置の実装後の外部接続部分が剪断力に対して弱く外部接続の信頼性には限界があった。
(7)導電部材最表面全面に高価な接続用鍍金を施す必要があるためコスト高となる。また、導電部材パターンの形成がフォトリソ法であり、製品毎にパターンを形成する必要があるため、多大な費用がかかる。さらに、ロールツーロールの対応が困難であり、生産性に劣る。
【0004】
また、特許文献3及び4には、上記問題点の(6)の改善の一手法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−239105号公報
【特許文献2】特開2011−35040号公報
【特許文献3】特開2010−10275号公報
【特許文献4】特開2010−10276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、熱伝導性及び信頼性に優れ、かつ薄型化が可能な半導体素子搭載用部材、半導体素子搭載基板、及び半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、以下に示す特定の構成を採用することにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1)キャリア基材上に、導電性金属層パターン及び絶縁部を有する半導体素子搭載用部材であって、該金属層パターンは、部分的に露出部を有するように、少なくともその周縁部が絶縁部に覆われ、該部材の金属層パターン側からの平面視において、該金属層パターンの最外周部が、該金属層パターンとキャリア基材が接する部分より、該絶縁部側にせり出している断面形状を有し、該金属層パターンがめっきで形成された銅から構成されるものであることを特徴とする半導体素子搭載用部材、
(2)前記露出部の面が略平坦である上記(1)に記載の半導体素子搭載用部材、
(3)前記導電性金属層パターンが、前記キャリア基材側と反対側の面に、最外周よりも内側に略平坦な面を有する台座状の凸部を有する上記(1)又は(2)に記載の半導体素子搭載用部材、
(4)前記絶縁部が熱硬化性及び/又は活性エネルギー線硬化性のソルダーレジストからなる上記(1)〜(3)のいずれかに記載の半導体素子搭載用部材、
(5)前記キャリア基材が剥離性基材及び粘着剤層からなり、導電性金属層パターン及び絶縁部が粘着剤層を介して剥離性基材に貼着される上記(1)〜(4)のいずれかに記載の半導体素子搭載用部材、
(6)前記導電性金属層パターンは、前記キャリア基材を剥離した際に、剥離面側に突出するように配される上記(5)に記載の半導体素子搭載用部材、
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の半導体素子搭載用部材上に、導電性金属層パターンの露出部を覆わないようにリフレクターを備える半導体素子搭載基板、
(8)前記リフレクターが側壁を構成し、前記半導体素子搭載用部材の導電性金属層パターン及び絶縁部からなる面が底面を構成し、該底面内に露出部を備える2以上の導電性金属層パターンを有し、該側壁と底面により凹部を構成する上記(7)に記載の半導体素子搭載基板、
(9)上記(1)〜(6)のいずれかに記載の半導体素子搭載用部材、半導体素子及び封止部材を有する半導体装置であって、該半導体素子搭載用部材が外表面を形成し、該半導体素子は該半導体素子搭載用部材に載置され、該封止部材が半導体素子を封止する半導体装置、
(10)前記半導体素子がLED半導体素子である上記(9)に記載の半導体装置、
(11)前記半導体素子搭載用部材上に、導電性金属層パターンの露出部を覆わないようにリフレクターを備える上記(9)又は(10)に記載の半導体装置、
(12)前記リフレクターが側壁を構成し、前記半導体素子搭載用部材の導電性金属層パターン及び絶縁部からなる面が底面を構成し、該底面内に露出部を備える2以上の導電性金属層パターンを有し、該側壁と底面により構成される凹部内に前記封止材が充填されて封止部材を形成してなる上記(11)に記載の半導体装置、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、
(1)導電性金属層パターンと絶縁部との密着が強いため、半導体装置の耐吸湿性が向上する。そのため、半導体装置の信頼性の向上が図れ、また、導電性金属層パターンの最上層にAgめっきを施した場合、Agめっきが吸湿による変色をし難く、光量の劣化が低減でき、かつAgめっきの変色を抑制し、色目の変化を低減できる。
(2)上記導電性金属層パターンと絶縁部との強固な密着性に加えて、導電性金属層パターンの周縁部が絶縁部に覆われているため、導電性金属層パターンの半導体装置からの脱落防止性に優れる。したがって、導電性金属層パターンのめっき厚を薄くすることができ、半導体装置の更なる薄型化、導電性金属層パターンの更なる微細線化が可能となる。
(3)導電性金属層パターンが銅で構成されているため、熱伝導性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】めっき用導電性基材の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のA−A'断面の端面図である。
【図3】図1のB−B’ 断面の端面図である。
【図4】めっき用導電性基材の製造過程を示す図である。
【図5】半導体素子搭載用部材の製造過程を示す図である。
【図6】半導体素子搭載用部材、半導体素子搭載基板及び半導体装置の製造過程を示す図である。
【図7】個片化された半導体装置の製造過程を示す図である。
【図8】半導体装置を実装する工程を示す図である。
【図9】めっき用導電性基材の他の一例を示す平面図である。
【図10】めっき用導電性基材の他の一例を示す平面図である。
【図11】めっき用導電性基材の他の一例を示す平面図である。
【図12】めっき用導電性基材の他の一例を示す平面図である。
【図13】めっき用導電性基材の他の一例を示す平面図である。
【図14】本発明の半導体装置を示す図である。
【図15】本発明の半導体装置を示す図である。
【図16】本発明の半導体装置を示す図である。
【図17】従来の半導体素子搭載用部材の製造過程を示す図である。
【図18】従来の半導体素子搭載基板及び半導体装置の製造過程を示す図である。
【図19】従来の個片化された半導体装置の製造工程を示す図である。
【図20】従来の半導体装置を実装する工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(半導体素子搭載用部材)
本発明の半導体素子搭載用部材について、以下、図を用いて詳細に説明する。
本発明の半導体素子搭載用部材は、図6(k)及び図6(k’)に示される構成を有する。すなわち、本発明の半導体素子搭載用部材10は、キャリア基材37上に、導電性金属層パターン13、14及び絶縁部15を有するものであって、該金属層パターン13及び14は、部分的に露出部を有するように、少なくともその周縁部17が絶縁部15に覆われる。本発明の半導体素子搭載用部材10の金属層パターン13及び14側からの平面視(図6(l’)に斜視図を示す)において、該金属層パターンの最外周部が、該金属層パターンとキャリア基材が接する部分より、該絶縁部側にせり出している断面形状を有し、該金属層パターンがめっきで形成された銅から構成されるものである。金属層パターンの周縁部が絶縁部に覆われるため、該導電性金属層パターンの露出部は、該導電性金属層パターンの最外周より内側に形成されることになる。絶縁部15は硬化性樹脂からなることが好ましく、部分的に導電性金属層パターンの一部を露出させるように絶縁部が形成される。ここで、本発明の半導体素子搭載用部材は該金属層パターンがめっきで形成された銅から構成されるものであることを特徴としている。
図6(k’)は、図6(k)における周縁部17を拡大した図である。図6(k’)に示す態様では、導電性金属層パターン13及び14の周縁部17が絶縁部15により覆われている。
このように、導電性金属層パターンの周縁部を導電性金属層パターンとの密着が強い硬化性樹脂で覆うことによって、半導体装置の耐吸湿性が向上し、半導体装置の絶縁信頼性の向上が図れる。また、導電性金属層パターンの半導体装置からの脱落防止性に優れるため、導電性金属層パターンのめっき厚を薄くすることができ、半導体装置の更なる薄型化、導電性金属層パターンの更なる微細線化が可能となる。
本発明にかかる半導体素子搭載用部材は、露出部が略平坦であることが好ましい。該部分が略平坦であることによって、半導体素子の搭載や導電性ワイヤなどを用いた電気的接続が容易となる。
また、本発明にかかる半導体素子搭載用部材は、導電性金属層パターンの前記剥離性基材側とは反対側の面に最外周よりも内面に略平坦な面を有する台座状の凸部を有することが好ましい。
なお、図6(k)及び図6(k’)に示す態様では、キャリア基材37は、剥離性基材11及び粘着剤層12からなるが、剥離性基材11自体に粘着性がある場合などは、粘着剤層12は必ずしも必要ない。したがって、本発明において、キャリア基材37とは、粘着剤層12を有さない場合は、剥離基材11そのものを意味し、粘着剤層12を有する場合には、剥離基材11上に粘着剤層12を有するものをいう。
【0012】
(剥離性基材)
剥離性基材11はその上に形成される導電性金属層パターン及び絶縁部を構成する硬化性樹脂などに対して、半導体装置作製過程において十分な密着性を有しつつ、剥離する際に剥離しやすいものであることが要求される。特に、後に記載する、リフレクター部材の設置工程及びリフレクター部材の硬化工程で、通常150℃、30分程度の熱履歴を受け、また、封止樹脂の硬化工程では、通常150℃以上の高温で少なくとも10分以上の熱履歴を受けるが、このような熱履歴を受けた後でも剥離性基材を剥離する必要がある。そのためには、剥離性基材はその上に形成される導電性金属層パターン及び絶縁部を構成する硬化性樹脂などに対する密着強度が適切である必要がある。
本発明においては、剥離性基材(必要に応じて設けられる粘着剤層を含む)の接着性は、導電性金属層パターンの剥離性基材に対する密着強度が、25℃における90度ピール強度で、0.05〜5kN/mであることが好ましく、0.1〜3kN/mであることがさらに好ましい。
なお、ここで、25℃における90度ピール強度の測定は、JIS Z 0237の90度引き剥がし法に準拠するものであり、具体的には、25℃において、毎分270〜330mm、好ましくは毎分300mmの速さで剥離性基材を引き剥がす際の90度ピール強度を測定するものとし、例えば、90度剥離試験機(テスタ産業製)を使用することができる。
【0013】
本発明における剥離性基材の材料としては、上述のような剥離性を有するものであれば特に限定されず、例えば、ガラス、プラスチック等からなる板、プラスチックフィルム、プラスチックシート、金属シートが挙げられる。
ガラスとしては、ソーダガラス、無アルカリガラス、強化ガラス等のガラスを使用することができる。
【0014】
また、プラスチックとしては、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂、酢酸セルロース樹脂、フッ素樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリウレタン樹脂、フタル酸ジアリル樹脂などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0015】
また、金属シートに用いられる金属としては、銅、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、鉄、チタン等の金属並びにこれらの合金(42アロイ等)が挙げられる。これらのうち、ステンレス鋼(SUS)が好ましく、オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系等、種々のステンレスを好適に用いることができる。さらに、導電性金属層パターンを構成する材料が銅である場合、オーステナイト系のステンレスであるSUS304が、線膨張係数が銅とほぼ同等であるため、特に好ましい(SUS304の線膨張係数:17.3×10-6/K)。線膨張係数が同等であると、熱履歴を受けても歪みが発生し難いからである。
【0016】
剥離性基材の厚さについては特に制限はないが10μm〜1mmが好ましい。該厚さが10μm以上であると、半導体素子搭載用部材をロールツーロール方式で製造する場合、搬送工程における取扱い性の点で有利である。一方、1mm以下であると基材にカールが発生しにくく、ロール品の場合に巻き癖がつきにくい。以上の観点から、剥離性基材の厚さは、20μm〜0.5mmがさらに好ましい。また、枚葉形態での搬送が必要となる場合には、剥離性基材にはある程度以上の剛性が要求されるので、基材の厚さは50μm以上であることがより好ましい。
【0017】
剥離性基材は導電性金属層パターンを貼り付けた後の反りを低減するために、封止工程での熱履歴を受けた前後の収縮量の変化率が1%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがさらに好ましい。また、20〜200℃における線膨張係数が3.0×10-5/K以下のものであることが好ましく、2.5×10-5/K以下のものであることがより好ましく、2.0×10-5/K以下のものであることがさらに好ましく、導電性金属層パターンを構成する導電性金属の線膨張係数に等しいかほぼ等しいことが特に好ましい。線膨張係数の観点からは、剥離性基材の材料として、上記金属材料を選択することが、剥離性基材と導電性金属層パターンとの線膨張係数を近づけやすく、本発明に係る半導体素子搭載接続用配線基材の反りを低減できる点で有利である。
また、剥離性基材は、半導体素子搭載用部材又は半導体装置の製造に際して、該基材の反りを緩和するために該基材にスリット、溝、波形状の加工を施してもよい。
【0018】
(粘着剤層)
前記剥離性基材は、適度な密着性と剥離性を有していることが必要であるが、換言すれば適度な接着性を有していることが必要である。そのためには、剥離性基材を構成する材料自体が必要な接着性を有していてもよいが、剥離性基材11上に適切な粘着剤層12を積層して適度な粘着性を付与してもよい。このように剥離性基材が粘着剤層を有する場合には、後述する剥離性基材の剥離工程で、剥離性基材とともに粘着剤層も剥離される。したがって、剥離性基材は粘着剤に対して密着性が十分高いことが好ましい。密着性が低いと、後述する半導体装置の製造過程で、剥離性基材を剥離しようとしたときに、粘着剤層を残したまま、剥離性基材だけが剥離するためである。
【0019】
粘着剤層に用いる材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線の照射で硬化する樹脂(以下「活性エネルギー線硬化性樹脂」と称する)等を使用することができる。前記活性エネルギー線硬化性樹脂は熱による硬化も併用することができる。前記熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、活性エネルギー線硬化性樹脂の重量平均分子量は、500以上のものを使用することが好ましい。分子量が500以上であると、十分な樹脂の凝集力が確保され、金属との接着性が十分得られるからである。以下、粘着剤層に用いる材料を粘着剤と記載する場合がある。
【0020】
粘着剤層に用いる熱可塑性樹脂としては、天然ゴム、ポリイソプレン、ポリ−1,2−ブタジエン、ポリイソブテン、ポリブテン、ポリ−2−ヘプチル−1,3−ブタジエン、ポリ−2−t−ブチル−1,3−ブタジエン、ポリ−1,3−ブタジエン等の(ジ)エン類;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルヘキシルエーテル、ポリビニルブチルエーテル等のポリエーテル類;ポリビニルアセテート、ポリビニルプロピオネート等のポリエステル類;ポリウレタン;エチルセルロース;ポリ塩化ビニル;ポリ(メタ)アクリロニトリル;ポリスルホン;ポリスルフィド;フェノキシ樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリイソプロピル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリ−t−ブチル(メタ)アクリレート、ポリ−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ポリ−3−エトキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリオキシカルボニルテトラ(メタ)アクリレート、ポリドデシル(メタ)アクリレート、ポリテトラデシル(メタ)アクリレート、ポリ−n−プロピル(メタ)アクリレート、ポリ−3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリ−2−ニトロ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート、ポリ−1,1−ジエチルプロピル(メタ)アクリレート等のポリ(メタ)アクリル酸エステルが使用可能である。これらのポリマーを構成するモノマーは、必要に応じて、2種以上共重合させて得られるコポリマーとして用いてもよいし、以上のポリマー又はコポリマーを2種類以上ブレンドして使用することも可能である。
【0021】
粘着剤層に用いる熱硬化性樹脂としては、天然ゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、ハロゲン化ブチル、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソブテン、カルボキシゴム、ネオプレン、ポリブタジエン等の樹脂と架橋剤を組み合わせて用いられるものがある。架橋剤としては、硫黄、アニリンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノールホルムアルデヒド樹脂、リグリン樹脂、キシレンホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ホルマリン樹脂、金属酸化物、金属塩化物、オキシム、アルキルフェノール樹脂等を用いることができる。なおこれらには、架橋反応速度を増加する目的で、汎用の加硫促進剤等の添加剤を使用することもできる。
【0022】
熱硬化性樹脂で、硬化剤を利用するものとしては、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、不飽和炭化水素基等の官能基を有する樹脂が挙げられる。硬化剤としては、エポキシ基、水酸基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基、チオール基等の官能基を有する硬化剤、あるいは金属塩化物、イソシアネート、酸無水物、金属酸化物、過酸化物等の硬化剤が挙げられる。
なお、硬化反応速度を増加する目的で、汎用の触媒等の添加剤を使用することもできる。
具体的には、硬化性アクリル樹脂組成物、不飽和ポリエステル樹脂組成物、ジアリルフタレート樹脂組成物、エポキシ樹脂組成物、ポリウレタン樹脂組成物等が例示される。
【0023】
粘着剤層に用いる活性エネルギー線硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等をベースポリマーとし、各々にラジカル重合性あるいはカチオン重合性官能基を付与させた材料が例示できる。ラジカル重合性官能基として、アクリル基(アクリロイル基)、メタクリル基(メタクリロイル基)、ビニル基、アリル基などの炭素−炭素二重結合があり、これらのうち、反応性の良好なアクリル基(アクリロイル基)が好適に用いられる。また、カチオン重合性官能基としては、エポキシ基(グリシジルエーテル基、グリシジルアミン基)が代表的であり、高反応性の脂環式エポキシ基が好適に用いられる。具体的な材料としては、アクリルウレタン、エポキシ(メタ)アクリレート、エポキシ変性ポリブタジエン、エポキシ変性ポリエステル、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、アクリル変性ポリエステル等が挙げられる。
活性エネルギー線としては、紫外線、電子線等が利用される。活性エネルギー線が紫外線の場合、紫外線硬化時に添加される光増感剤あるいは光開始剤としては、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイン系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩、ハロニウム塩などの公知の材料を使用することができる。また、前記の材料の他に汎用の熱可塑性樹脂をブレンドしてもよい。
【0024】
さらに、活性エネルギー線硬化性樹脂で熱硬化を併用し得るものを用いることができ、アクリル酸又はメタクリル酸の付加物が好ましいものとして例示できる。
アクリル酸又はメタクリル酸の付加物としては、エポキシアクリレート(n=1.48〜1.60)、ウレタンアクリレート(n=1.5〜1.6)、ポリエーテルアクリレート(n=1.48〜1.49)、ポリエステルアクリレート(n=1.48〜1.54)などを用いることができる。なお、ここで、nは付加モル数を示す。
上記アクリル酸又はメタクリル酸の付加物としては、接着性の点から、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレートが優れており、エポキシアクリレートとしては、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、アリルアルコールジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル等の(メタ)アクリル酸付加物が挙げられる。また、エポキシアクリレートのように分子内に水酸基を有するポリマーは接着性向上に有効である。これらの共重合樹脂は必要に応じて、2種以上併用することができる。
【0025】
なお、粘着剤には、必要に応じて、架橋剤、硬化剤、希釈剤、可塑剤、酸化防止剤、充填剤、着色剤、紫外線吸収剤や粘着付与剤などの添加剤を配合してもよい。
【0026】
剥離性基材への粘着剤層の形成方法としては、粘着剤を剥離性基材に塗工するのが製造上容易であり、好ましい。粘着剤の塗工方法としては、特に制限はないが、ダイコート、ロールコート、リバースロールコート、グラビアコート、バーコート、コンマコート等を例示することができる。
【0027】
粘着剤層の厚さは、0.5〜100μmが好ましい。0.5μm以上であると、半導体装置作製過程において十分な密着性を得ることができる。一方、100μm以下であると、密着性が高くなりすぎることがなく、特に熱履歴後の剥離に問題が生じない。以上の観点から、粘着剤層の厚さは、3〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがさらに好ましい。
【0028】
また、前記粘着剤層(硬化性樹脂を使用している場合、硬化後の粘着剤層)の20〜200℃における線膨張係数は、3.0×10-5/K以下であることが好ましく、2.5×10-5/K以下であることがより好ましく、2.0×10-5/K以下であることがさらに好ましい。また、導電性金属層パターンを構成する金属の線膨張係数に等しいかほぼ等しいことが特に好ましい。
【0029】
(導電性金属層パターン)
キャリア基材37上に設けられる導電性金属層パターン13及び14を構成する材料としては、導電性を有するものであれば使用できるが、本発明では銅を用いる。銅を用いることで、熱伝導性を大きくすることができ、半導体素子の発する熱に対する放熱性を向上させることができる。また、銅は価格や入手の容易さの点からも有利である。なお、導電性金属層パターンは、半導体装置又はその製造工程に適用するように、適宜設計されるものである。
【0030】
導電性金属層パターンの厚さは、特に制限はないが、3〜150μmの範囲であることが好ましい。3μm以上であると、半導体装置における絶縁部に対する導電性金属層パターンの十分な密着強度が得られ、150μm以下であると、金属層パターンを短時間で形成することができ、材料コストの点からも有利である。以上の観点から、導電性金属層パターンの厚さは、5〜100μmがさらに好ましく、10〜50μmが特に好ましい。
なお、導電性金属層パターンの形成方法としては、転写法を用いることが好ましい。転写法については、後に詳述する。
【0031】
導電性金属層パターンは、図6(k)及び(k’)に示されるように、本発明の半導体素子搭載用部材の金属層パターン側からの平面視において、該金属層パターンの最外周部が、該金属層パターンとキャリア基材が接する部分より、該絶縁部側にせり出している断面形状を有する。換言すれば、その断面形状がキャリア基材37とは反対側の方向に向けて広がる逆テーパ形状であることを意味する。
また、導電性金属層パターン13及び14は、キャリア基材37と反対側の面に、最外周よりも内側に略平坦な面を有する台座状の凸部19を有することが好ましい。このような形状をとることで、導電性金属層パターンと絶縁部の密着性が向上し、剥離性基材を剥離する際に導電性金属層パターンの脱落をさらに抑制することができる。
また、導電性金属層パターンは、粘着剤層を有する態様では、粘着剤層に一部埋設されていることが好ましい。その埋設量は、厚さ方向で、0.5μm以上が好ましい。0.5μm以上であれば、後に絶縁部を形成するための硬化性樹脂等を塗布する際、硬化性樹脂等が導電性金属層パターンの下へ染み出すことを防止できる。以上の観点から、導電性金属層パターンの埋設量は1μm以上がより好ましく、3μm以上が特に好ましい。また、その埋設量の上限は、導電性金属層パターンの厚さより1μm小さい厚さが好ましく、金属層パターンの厚さの1/2がより好ましく、金属層パターンの厚さの1/3が特に好ましい。
また、導電性金属層パターンは、キャリア基材を剥離した際に、剥離面側に突出することが好ましい。このような態様をとることにより、良好な熱伝導性を得ることができる。
【0032】
(絶縁部)
本発明の半導体素子搭載用部材10は、上述の導電性金属層パターン13及び14の少なくとも周縁部17を覆う絶縁部15を有し、該絶縁部15は熱硬化性及び/又は活性エネルギー線硬化性樹脂からなることが好ましく、図6(k)及び図6(k’)に示すように、導電性金属層パターンの周縁部17が該絶縁部15に覆われていることが特徴である。
特に、絶縁部15は、導電性金属層パターン13及び14の側面部だけではなく、少なくともその一部が、導電性金属層パターン(以下「金属層」と称することがある)の上部に周りこみ、周縁部17を覆うものである。
【0033】
上述のように、導電性金属層パターン13及び14は、部分的に露出部を有する。該露出部の大きさや配置については、その目的に応じて適宜決定すればよく、例えば、半導体素子を搭載する導電性金属層パターン上では、半導体素子が搭載可能な大きさであることが必要であり、ワイヤボンディングを行う導電性金属層パターン上では、導電性ワイヤが接続可能な大きさであればよい。これらを満足する範囲で、周縁部17を覆う絶縁部の面積が大きい程、すなわち、導電性金属層パターン上における絶縁部の開口部をできるだけ小さくすることが、上述の導電性金属層パターンの脱落を抑制し得る観点から好ましい。
絶縁部は、硬化性樹脂で形成されることが好ましく、例えば、導電性金属層パターン上に液状樹脂を塗布し、加熱及び/又は活性エネルギー線で硬化させることができるため、導電性金属層パターンとの密着が強い。
上記絶縁部としては、種々の硬化性樹脂を用いることができるが、中でも熱硬化性及び/又は活性エネルギー線硬化性のソルダーレジストを用いることが特に好ましい。ソルダーレジストは、金属層に半導体素子を載置する際に用いられる銀ペーストのブリードアウトを抑制することができる。また、後に記載するリフレクターを装着する際にも、ソルダーレジストの存在により、リフレクターと金属層の接着性の悪さを解消することができる。このことにより、半導体素子搭載用基板としての信頼性が向上する。
また、絶縁部として、酸化チタンを含有する熱硬化性及び/又は活性エネルギー線硬化性樹脂を用いる態様も好ましい態様である。酸化チタンを含有させることで、絶縁部を白色化し、発光素子の能力をより一層引き出すことができる。白色のソルダーレジストを用いる場合には、該レジストの可視光の反射率が60%以上であることが好ましい。
【0034】
(金属めっき層)
本発明の半導体素子搭載用部材を製造するに際し、導電性金属層パターン上には、導電性金属層パターンとは異なる金属種の金属めっき層16を有することが好ましい。このような金属めっき層を有することにより、半導体素子との接着性を向上させることができ、またワイヤボンディングが容易に行えるため、作業性の面で有利である。
金属めっき層を構成する材料としては、接着性、電気伝導性の観点から、ニッケルと金の組み合わせが好適に用いられる。また、金の代わりに、銀又はパラジウムを用いることもできる。
【0035】
(半導体体素子搭載基板)
本発明の半導体体素子搭載基板は、上述の半導体体素子搭載用部材上に、導電性金属層パターンの露出部を覆わないように、リフレクターを備えてなる。当該半導体素子搭載基板20は、上述の半導体素子搭載用部材10を用いて製造されるものであって、剥離性基材、粘着剤層、導電性金属層パターン、絶縁部、及び金属めっき層の詳細については、上述の通りである。
【0036】
(リフレクター)
本発明の半導体素子搭載基板20は、半導体素子の機能を有効に発揮させるため、図6(l)に示すように、半導体素子搭載用部材上にリフレクター18を備える。リフレクターは、半導体素子としてLED半導体素子を用いる場合に、LED半導体素子から出る光を反射させることにより、光の拡散を防いで高い光量を得るものである。
リフレクター18は、該導電性金属層パターン13及び14の周縁部17において、前述の導電性金属層パターンの露出部を覆わないように設けることが肝要である。なお、図6(l)に示される態様においては、導電性金属層パターン13及び14上に金属めっき層16が設けられているので、該金属層めっき16が露出部を示している。
このように、導電性金属層パターンの露出部を維持することにより、半導体素子を搭載する導電性金属層パターンにおいては、半導体素子を載置する領域が確保され、またワイヤボンディングを行う導電性金属層パターンにおいては、ワイヤボンディング部の領域が確保される。
【0037】
リフレクターを構成する材料としては、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂が好ましく、熱硬化性樹脂としては、白色顔料、セラミック粉末等を含むエポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等、耐熱性に優れる樹脂であることが好ましい。また、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン樹脂等が挙げられる。これらのうち、熱硬化性樹脂が好ましく、白色顔料、セラミック粉末等を含む、耐熱性に優れる熱硬化性樹脂であることが特に好ましい。
リフレクターの製造方法としては、熱硬化性樹脂を用いる場合には、トランスファモールド法が好ましく、熱可塑性樹脂を用いる場合には、射出成形法などが用いられる。また、リフレクターを形成した後、さらにその表面を金属蒸着や金属めっきしてもよい。
【0038】
リフレクターの形状としては特に制限はないが、後述する封止材による封止に際しダムになるような形状と態様で設置されることが好ましい。その形状としては、開口部に向かって広がる様に断面が台形状であることが好ましく、場合により、また、設置される場所によっては、四角形または長方形であってもよい。
また、本発明の半導体素子搭載用基板においては、図6(l)に示すように、リフレクター18は、絶縁部15の上に形成され、導電性金属層パターンと直接接触しない。
また、リフレクターが側壁を構成し、前記半導体素子搭載用部材の導電性金属層パターン及び絶縁部からなる面が底面を構成し、該底面内に露出部を備える2以上の導電性金属層パターンを有し、該側壁と該底面とで凹部を構成することが好ましい。凹部は、俵型であることが好ましく、楕円形、四角形または長方形であってもよい。
なお、リフレクターは搭載する半導体素子として、LEDのような発光素子を搭載する場合には、光の反射という点から、設けることが好ましいが、LED以外の半導体素子を搭載して、例えば、QFN(Quad Flat No-Lead)、BGA(Ball Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、CSP(Chip Size Package)等の半導体パッケージの基板として用いる場合には、リフレクターの代わりにダム部等を設ける構造又はリフレクターを設けない構造とすることができる。
【0039】
本発明の半導体素子搭載基板20は、キャリア基材37が剥離された後、導電性金属層パターンは、厚さ方向に一部が剥離面側に突出していることが好ましい。この突出量としては、厚さ方向に0.5μm以上突出していることが好ましい。突出量が0.5μm以上あると、実装時にはんだの密着性が良好となる。以上の観点から、突出量は1μm以上がより好ましく、3μm以上が特に好ましい。一方、該突出量の上限は、金属層の厚さより1μm小さい厚さであることが好ましい。
また、実装をより容易にするために、外装めっき24及び24’を設けることが好ましい(図7(o))。外装めっきによって、導電性金属層パターンが保護されるからである。外装めっきとしては、錫めっきあるいは金めっきが通常行われ、これらのめっきとしては電解めっきまたは無電解めっきの何れでも適用可能である。なお、外装めっきは、次に説明するダイシングの後に行うこともできる。
【0040】
(半導体装置)
本発明の半導体装置40は、図6(m)に示すように、半導体素子搭載用部材、半導体素子21及び封止部材23を有し、該半導体素子搭載用部材が外表面を形成し、該半導体素子21は該半導体素子搭載用部材に載置され、該封止部材23が半導体素子21を封止するものである。なお、半導体素子21は、後に詳述するように、通常ダイボンド材(図示せず)を介して半導体素子搭載用部材に接合される。
半導体素子搭載用部材については、キャリア基材37上に導電性金属層パターン13、14及び絶縁部15を有し、該金属層パターンは、部分的に露出部を有するように、少なくともその周縁部17が絶縁部15に覆われ、該半導体素子搭載用部材の金属層パターン側からの平面視において、該金属層パターンの最外周部が、該金属層パターンとキャリア基材が接する部分より、該絶縁部側にせり出している断面形状を有する。
なお、図6(m)に示す態様では、半導体素子搭載用部材上にリフレクター18を備え、半導体素子21に導電性ワイヤ22を配したものを示している。
また、キャリア基材37は、剥離性基材11及び粘着剤層12からなり、粘着剤層12を介して、導電性金属層パターン13、14、及び絶縁部15を有しており、導電性金属層パターン上にそれぞれ金属めっき層16を有する。前記絶縁部15は熱硬化性及び/又は活性エネルギー線硬化性のソルダーレジストからなり、導電性金属層パターンの周縁部17の少なくとも一部が硬化性樹脂からなる絶縁部に覆われていることが好ましい。
【0041】
前記半導体装置40は、図6(m)に示すように、封止するに際し、封止材を注入すべき領域がリフレクター18で囲まれていることが好ましいが、リフレクターに代えてダム部(例えば、封止材、レジスト材料、成型品で形成)を設け封止材を注入すべき領域を囲むようにしてもよい。
封止部材23を構成する封止材としては、透明樹脂が好ましく、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂等で透明なものが用いられ、これら樹脂を併用してもよく、また、ガラス、シリカ、酸化チタン等の充填剤、カップリング剤、硬化促進剤、酸化防止剤などを含んでもよい。
【0042】
本発明の半導体装置40は、図7(p)、(q)、及び図14〜16にも示すように、本発明の半導体素子搭載用部材10、半導体素子21及び封止部材23を有し、該半導体素子搭載用部材10が外表面を形成し、該半導体素子21は該半導体素子搭載用部材10に載置され、該封止部材23が半導体素子を封止するものである。
ここで、半導体素子21としては、種々のものを用いることができるが、本発明では、LED半導体素子が好適に用いられる。また、半導体素子と導電性金属層パターンとの電気的接続方法としては、金線などからなる導電性ワイヤ22を用いて接続する方法の他に、フリップチップによる方法などがある。
上記半導体素子21と導電性金属層パターン13は、通常、ダイボンド材25を介して接合される。ダイボンド材25として導電性の接合剤を用い、導通するように接合することができる。このような接合剤としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、液晶樹脂等を使用した銀ペースト;Niペースト又はカーボンペースト等の導電性接着剤:金プリフォーム等の共晶ボンディングシート;はんだなどがある。一方、半導体素子21と導電性金属層パターン13を、エポキシ接着剤等の接着剤により接合し、他方の導電性金属層パターンとの導通をワイヤボンディングにより行うこともできる。
また、半導体素子21は、図6(m)の図面において、紙面に垂直方向と平行方向に、適当な間隔で、並べて搭載される。この半導体21のピッチ間隔は、100〜5000μmが好ましく、300〜5000μmがより好ましい。
なお、図7(p)及び(q)に示される半導体装置は、リフレクター18を有する場合であり、図14はリフレクターを有さない場合を示す。また、図15はリフレクターを有さず、かつ半導体素子21が複数の他の導電性金属層パターンに接続している態様であり、図16は、導電性ワイヤを用いずに他の導電性金属層パターンに接続している態様を示す。
上記半導体装置は、図7に示すように、キャリア基材を剥離し、必要に応じて外層めっき24及び24'を設けた後、ダイシングして切り分けるか、ダイシングした後、外層めっき24及び24'を設けて使用される。このダイシングは、紙面と垂直及び平行な方向で、ダイシングの単位となる境にあるリフレクター及びその下に金属層が有ればそれをも分割するように行われる。
このようにして、得られた半導体装置40は、半導体装置搭載用配線板50(マザーボード、多層配線板を包含する)に搭載され、最終用途(又はさらなる川下製品)に供される(図8)。
【0043】
(半導体素子搭載用部材の製造方法)
本発明の半導体素子搭載用部材の製造方法は、転写法による工程を有し、具体的には以下のような工程を有する。
(a)導電性基材にレジストパターンを形成する工程
(b)該レジストパターンを含む導電性基材全面に絶縁層を設ける工程
(c)レジスト及び該レジスト上の絶縁層を除去し、マスクパターンが形成されためっき用導電性基材を得る工程
(d)前記絶縁層の除去された部分にめっき法により金属層パターンを形成し、当該金属層パターンを有する導電性基材を得る工程
(e)該金属層パターンを有する導電性基材の金属層パターン側に、剥離性基材及び粘着剤層からなるキャリア基材の粘着剤層側を押し当てて押圧し、その後めっき用導電性基材を剥離することにより、前記金属層パターンをキャリア基材に転写する工程
(f)前記金属層パターン上にソルダーレジストの開口部を設け、金属層パターンの縁部の少なくとも一部が該ソルダーレジストに覆われるようにパターニングされたソルダーレジスト層を、キャリア基材の金属層パターン側に形成する工程
(g)該露出した金属層パターン上に該金属層パターンと異なる金属種をめっきする工程
(h)前工程で金属種をめっきした金属層パターンのいずれかに半導体素子を載置する工程
(i)該半導体素子と金属種をめっきした他の金属層パターンとを電気的に接続する工程
(j)封止材により、半導体素子、金属層パターン、前工程で電気的に接続した部分、及びソルダーレジストを一体化する工程
(k)キャリア基材を剥離し、金属層パターンの露出面にめっきを施し、ダイシングして個片化する工程、又は(k')キャリア基材を剥離し、ダイシングして個片化した後、金属層パターンの露出面にめっきを施す工程
ここで、転写法による工程とは、めっき用導電性基材を得る工程(c工程)、これにめっき法により金属層パターンを形成する工程(d工程)、該金属層を剥離性基材及び必要に応じて設けられる粘着剤層を有する基材(キャリア基材37)に転写する工程(e工程)を主に指す。
転写法を用いることで、導電性金属層パターンが、図6(k)及び(k’)に示すように、該導電性金属層パターンの最外周部が該導電性金属層パターンとキャリア基材が接する部分より該絶縁部側にせり出している断面形状を有しかつ該導電性金属層パターンの露出部が該導電性金属層パターンの最外周より内側に形成され、即ち逆テーパ状となり、絶縁部から脱落しにくくなるという効果がある。また、導電性金属層パターンの剥離性基材のない側の表面を略平坦化することができるため、半導体素子の載置やワイヤボンディングが容易になるとともに高い接続信頼性が得られる。
なお、導電性金属層パターンは連結金属層によって1つにつながっているが、ダイシング工程を経ることによって、該金属層パターンが切り分けられ、1つの半導体装置内に、少なくとも2以上の導電性金属層パターンを有するように配されている。
【0044】
次に、めっき用導電性基材について、図4(d)を用いて説明する。
めっき用導電性基材30は、導電性基材31の表面に絶縁層33が形成されており、その絶縁層とともに、めっきを形成するために開口された凹部32(めっき形成部)が形成されている。この凹部の底面には導電性材料が露出していることが必要であり、また開口方向に向かって幅広な形状を有することが好ましい。
【0045】
上記導電性基材31に用いられる導電性材料としては、その露出表面に電解めっきで金属を析出させるために十分な導電性を有するものであれば特に制限はなく、金属であることが特に好ましい。また、その導電性基材は、表面に電解めっきにより形成された金属層を、転写用基材に転写させることができるように、その上に形成された金属層との密着力が低く、容易に剥離できるものであることが好ましい。このような導電性基材の材料としてはステンレス鋼、クロムめっきされた鋳鉄、クロムめっきされた鋼、チタン、チタンをライニングした材料、ニッケルなどが好ましく、これに加えて、さらにこれらの導電性基材の表面に導電性を有する無機材料をコーティングしたものが特に好ましい。
【0046】
導電性基材31の形状としては、シート状、プレート状、ロール状、フープ状等がある。ロール状の場合は、シート状、プレート状のものを回転体(ロール)に取り付けたものであってもよい。フープ状の場合は、フープの内側の2箇所から数箇所にロールを設置し、そのロールにフープ状の導電性基材を通すような形態等が考えられる。ロール状、フープ状ともに金属箔を連続的に生産することが可能であるため、シート状、プレート状に比較すると、生産効率が高く、好ましい。
ドラム電極を用いて電解めっきにより形成されたパターンを連続的に剥離しながら、導体層パターン付き基材を巻物として得る場合においては、ドラム電極を回転させつつ、金属を電解めっきにより連続的に析出させ、また、析出した金属を連続的に剥離することができるので、生産効率を飛躍的に向上させることができる。
【0047】
絶縁層33の厚さは、凹部の深さに対応する。凹部の深さは、析出するめっきの厚さとも関係するため、目的に応じて適宜決定されるが、絶縁層の厚さは、通常、0.1〜100μmの範囲であることが好ましい。絶縁層の厚さが、0.1μm以上であると、絶縁層にピンホールが発生し難い。一方、100μm以下であると絶縁層の形成時間の短縮及びコストの低減の点で有利である。以上の観点から、絶縁層の厚さは、0.5〜10μmの範囲であることがさらに好ましく、1〜7μmであることが特に好ましい。
【0048】
当該絶縁層33は、ダイヤモンドに類似したカーボン薄膜、いわゆるダイヤモンドライクカーボン(DLC)薄膜のうち、絶縁性を有するものにて形成することができる。DLC薄膜は、耐久性、耐薬品性に優れているため、特に好ましい。
また、絶縁層をAl2O3、SiO2等の無機化合物のような無機材料で形成することもできる。
【0049】
凹部又は絶縁層の形状は、目的に応じて適宜決定されるが、導電性金属層パターンに対応したものとされる。
【0050】
本発明のめっき用導電性基材の一例を、図面を用いて説明する。
図1は、本発明のめっき用導電性基材の一例を示す一部斜視図である。図2は、図1のA−A’で切った場合の端面図(A−A’断面の端面図)を示し、図3は図1のB−B’ (B−B’断面の端面図)で切った場合の端面図を示す。図3の(a)は凹部の側面が平坦であるが、(b)は凹部の側面にゆるやかな凹凸がある場合を示す。
めっき用導電性基材30は、導電性基材31の上に絶縁層33が積層されており、絶縁層33に凹部32が形成されている。この凹部32の底部は、導電性基材31が露出しているか、又は導電性基材に導通している導体層であってもよい。
この例においては、絶縁層33及び凹部32からなるパターンが、図1のB−B’の方向に繰り返されているが、その繰り返し数は適宜決定される。また、図1のA−A’の方向には、絶縁層33又は凹部32が所定の長さになるように延びている。凹部32の形状については特に制限はなく、その目的に応じて適宜決定される。例えば、溝状(平面形状が線状、矩形状その他の形状)であってもよいし、平面形状が正方形等の矩形、円形、その他の形状である穴状であってもよい。
導電性基材31と絶縁層33の間には、絶縁層33の接着性の改善等を目的として、導電性又は絶縁性の中間層(図示せず)が積層されていてもよい。または、凹部32の側面は、開口方向に向かって全体として広がっていることが好ましい。凹部の幅(図3(a)における開口部でd、底面でd′)などの大きさや凹部の間隔は、目的に応じて決定される。d>d'としためっき用導電性基材であれば、析出した金属層をめっき用導電性基材からの剥離がより容易になる。
【0051】
また、凹部32の一側面がその対面と共に、底面に対して垂直となっている部分が高さ方向で1μm以上続く部分がないようにすることが好ましい。このようなめっき用導電性基材であれば、それを用いてめっきを行った後、析出した金属層をめっき用導電性基材から剥離するに際し、金属層と絶縁層との間の摩擦又は抵抗を小さくすることができ、その剥離がより容易になる。
【0052】
凹部の側面は、必ずしも平面ではない。この場合には、図3(b)に示すように、前記の勾配αは、凹部の高さh(本図面では、絶縁層の厚さとなる)と凹部の側面の幅s(水平方向で凹部の側面の幅方向)を求め、下記式によってαを決定する。
【0053】
[数1]
tanα=h/s
【0054】
αは、角度で30度以上90度未満が好ましく、30度以上80度以下がより好ましく、30度以上60度以下が特に好ましい。この角度が小さいと作製が困難となる傾向があり、大きいと凹部にめっきにより形成し得た金属層(金属層パターン)を剥離する際、又は、キャリア基材に転写する際の抵抗が大きくなる傾向がある。
【0055】
また、本発明のめっき用導電性基材における開口部32の深さは、絶縁層の厚さで調整され、0.1〜100μmであることが好ましく、0.1〜20μmであることがより好ましく、0.5〜10μmであることがさらに好ましく、1〜7μmであることが特に好ましい。
【0056】
本発明におけるめっき用導電性基材の好ましい製造方法としては、導電性基材の表面に、導電性基材を露出させている凹部によって特定の導電性金属層パターンが描かれるように絶縁層を形成する工程を含む。絶縁層の形成方法としては、フォトレジストを用いる方法やレーザー光を用いてパターニングする方法などがある。
【0057】
本発明におけるめっき用導電性基材30の製造方法の一例を、図4を用いて説明する。
導電性基材31の上に感光性レジスト層(感光性樹脂層)34が形成されている(図4(a))。この積層物の感光性レジスト層(感光性樹脂層)34に対し、フォトリソグラフ法を適用して感光性レジスト層34をパターン化する(図4(b))。パターン化は、パターンが形成されたフォトマスクを感光性レジスト層34の上に載置し、露光した後、現像して感光性レジスト層34の不要部を除去して突起部39を残すことにより行われる。突起部39の形状とそれからなる凸状パターンは、導電性基材31上の凹部32とそのパターンに対応するよう考慮される。
【0058】
次に、絶縁層が付着している凸状パターンを除去する工程について説明する。絶縁層33が付いている状態(図4(c))で、突起部39からなる凸状パターンを除去する(図4(d))。
絶縁層の付着しているレジストの除去には、市販のレジスト剥離液や無機、有機アルカリ、有機溶剤などを用いることができる。また、パターンを形成するのに使用したレジストに対応する専用の剥離液があれば、それを用いることもできる。さらには、超音波を用いて除去する方法もある。
剥離の方法としては、例えば薬液に浸漬することでレジストを膨潤、破壊あるいは溶解させた後これを除去することが可能である。液をレジストに十分含浸させるために超音波、加熱、撹拌等の手法を併用しても良い。また、剥離を促進するためにシャワー、噴流等で液をあてることもできるし、柔らかい布や綿棒などでこすることもできる。
また、絶縁層の耐熱が十分高い場合には高温で焼成してレジストを炭化させて除去することもできるし、レーザーを照射して焼き飛ばす、といった方法も利用できる。
剥離液としては、例えば、3%NaOH溶液を用い、剥離法としてシャワーや浸漬が適用できる。
【0059】
本発明における銅のめっき法としては、公知の方法を採用することができる。具体的には、電解めっき法、無電解めっき法、その他のめっき法を適用することができる。なお、めっき法により析出させる金属銅は、銅単独の場合ばかりではなく、銅を主成分として含むものであれば、差し支えない。
【0060】
電解銅めっきでは、めっき用の電解浴には硫酸銅浴、ほうふっ化銅浴、ピロリン酸銅浴、または、シアン化銅浴などを用いることができる。このときに、めっき浴中に有機物等による応力緩和剤(光沢剤としての効果も有する)を添加すれば、より電着応力のばらつきを低下させることができることが知られている。また、合金めっきの場合は、金−銅、金−銀、金−コバルトの2元合金や、金−銅−銀の3元合金が用いられる。電解めっき法としては、例えば、「現場技術者のための実用めっき」(日本プレーティング協会編、1986年槇書店発行)第87〜504頁を参照することができる。
【0061】
また、工業的に利用されている無電解めっきのプロセスでは、還元剤をめっき液に添加し、その酸化反応によって生ずる電子を金属の析出反応に利用するのであり、めっき液は、金属塩、錯化剤、還元剤、pH調整剤、pH緩衝材、安定剤等から成り立っている。無電解銅めっきの場合は、金属塩として硫酸銅、還元剤としてホルマリン、錯化剤としてロッセル塩やエチレンジアミン四酢酸(EDTA)が好んで用いられる。また、pHは主として水酸化ナトリウムによって調整されるが、水酸化カリウムや水酸化リチウムなども使用でき、緩衝剤としては、炭酸塩やリン酸塩が用いられ、安定化剤としては、1価の銅と優先的に錯形成するシアン化物、チオ尿素、ビピリジル、O−フェナントロリン、ネオクプロイン等が用いられる。無電解めっき法については前記「現場技術者のための実用めっき」(日本プレーティング協会編、1986年槇書店発行)の第505〜545頁を参照することができる。
さらに、還元剤の還元作用を得るためには、金属表面の触媒活性化が必要になることがある。素地が鉄、鋼、ニッケルなどの金属の場合には、それらの金属が触媒活性を持つため、無電解めっき液に浸漬するだけで析出するが、銅、銀あるいはそれらの合金、ステンレスが素地となる場合には、触媒活性化を付与するために、塩化パラジウムの塩酸酸性溶液中に被めっき物を浸漬し、イオン置換によって、表面にパラジウムを析出させる方法が用いられる。
【0062】
このように、導電性金属層パターンを銅により構成することにより、半導体装置における、ヒートパスを短くできるという効果を奏することができる。
【0063】
前記した導電性基材のめっき形成部にめっきにより形成される金属銅層の厚さ(めっき厚さ)は、目的に応じて適宜決定される。めっき厚さは、導体層にピンホールが形成される可能性を小さくするためには、3μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがさらに好ましく、十分な体積抵抗率を示すためには、10μm以上の厚さであることが特に好ましい。また、めっき厚さが大きすぎると、形成された金属銅層は幅方向にも広がるため、めっき厚さも目的に応じて、適宜調整される。
【0064】
めっきの程度は、析出する金属銅層が凹部からはみ出るように行う。これにより、転写用基材(剥離性基材)内に断面形状で最大幅の部分を埋没させないように、めっき用導電性基材上の金属銅層を転写用基材(剥離性基材)に転写することができる。凹部からはみ出ている分の金属銅の厚さは、5〜50μmであることが好ましい(図5(f’))。
【0065】
図5は、半導体素子搭載用部材の製造例を示す断面図である。
前記しためっき工程により、導電性基材31の上に絶縁層33を有するめっき用導電性基材30のめっき形成部(凹部32)内にめっきを施し、金属層パターン36を形成する(図5(e))。
金属層パターン36は、めっき用形成部(凹部32)にめっきにより金属層を形成するが、該めっきは、そのめっき用形成部(凹部32)からあふれるようにめっきされ、図5(f’)に示すように、絶縁層33に覆い被さるように析出する。これは、めっきはほぼ等方的に生長するため、導電性基材の露出部分から始まっためっきの析出は、それが進むと凹部からあふれて絶縁層に覆い被さるように析出するためである。
【0066】
次に、別個に剥離性基材11に粘着剤層12が積層されたキャリア基材37(転写用基材)を準備し、金属層パターン36が形成されためっき用導電性基材30に、キャリア基材37を粘着剤層12に向けて圧着する準備を行う(図5(f))。
次いで、金属層パターン36が形成されためっき用導電性基材30に、キャリア基材37を、粘着剤層12を向けて圧着する(図5(g))。このとき、断面形状が剥離性基材11とは反対側の方向に向けて広がる逆テーパ形状を有する金属層パターン36の逆テーパ形状部分の全てを粘着剤層12に埋没させないことが好ましい。場合により、粘着剤層12が絶縁層33に接触してもよい。
次いで、キャリア基材37を引きはがすと金属層パターン36は、その粘着剤層12に接着してめっき用導電性基材30のめっき用形成部から剥離されて、キャリア基材に転写され、その結果、導体層パターン付き基材ともいえる半導体素子搭載用部材10が得られる(図5(h))。ここで、導電性金属層パターン13及び14は、剥離性基材11と反対側の面に、最外周よりも内側に略平坦な面を有する台座状の凸部19を有することになる。
【0067】
上記キャリア基材37に用いられる粘着剤層12は、従来公知のものでもよいが、光/熱併用硬化性樹脂により構成される場合は、金属層パターン36をキャリア基材に転写して得られる半導体素子搭載用部材に、剥離性基材側から活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線の照射された部分の粘着剤層を硬化させる方法を用いることが好ましい。該導電性金属層パターンと剥離性基材の間の該粘着剤は未硬化又は部分硬化の状態で粘着性を有するものであり、その後の絶縁部形成時に硬化性樹脂が導電性金属層パターンと剥離性基材の間に所望しない侵入を起こすのを防ぐのに有効である。転写後は、加熱により粘着材層を十分硬化させることで、粘着性を低減させ、又は粘着性を消失させることにより、剥離性基材の剥離工程等の作業性を良くすることができる。
【0068】
次に、本発明の半導体素子搭載用部材10は、図6(i)に示されるように、めっき銅によって形成される導電性金属層パターン13及び14の表面に、ソルダーレジストなどの硬化性樹脂を適用して、フォト法、スクリーン印刷法等を用いるパターニングにより、導電性金属層パターン13及び14の少なくとも一部を露出させる(図6(j))。
次に、図6(k)に示すように、半導体素子搭載用部材10は、めっき銅により形成される導電性金属層パターン13及び14の表面に、順次ニッケルめっき及び金めっきが施されて金属めっき層16が形成され、後で行われるワイヤボンディングがされやすいように準備することが好ましい。なお、金めっきはパラジウムめっき、銀めっきでもよい。
【0069】
次に、図6(l)に示すように、必要に応じてリフレクター18を設置して本発明の半導体素子搭載基板20が製造される。リフレクターに用いる材料及び形状等については、前述の通りである。ここで、ソルダーレジストとリフレクターとの密着性を向上させるため、リフレクターをモールドする前にソルダーレジスト表面にプラズマ処理を施すことが好ましい。プラズマ処理により、ソルダーレジスト表面の極性基が増え活性度が上がり、リフレクターとの密着性が向上する。
なお、リフレクターが無い場合は、プラズマ処理をワイヤボンディングの前に施し、ワイヤボンディング後そのまま封止材をモールドすることもできる。
【0070】
(半導体装置の製造方法)
半導体装置40は、図6(l)で得た半導体素子搭載基板20の導電性金属層パターンの露出部にめっきを施した部分(ダイパッド部)にLED半導体素子などの半導体素子21を搭載する(図6(m))。ダイパッド部は、リフレクター部材に囲まれる領域に設けられる。
さらに、この半導体素子21と隣接する導電性金属層パターン14上のワイヤボンディング部の所定位置が、導電性ワイヤ22によりワイヤボンディングされる(図6(m))。
本発明の半導体装置40は、図7に示すように、通常、キャリア基材37を剥離し(図7(n))、外装めっき24及び24’を設け(図7(o))、ダイシングにより個片化して使用される(図7(q))。また、半導体素子搭載基板から、キャリア基材37を剥離し、ダイシングした後に、外層めっき24及び24'を設けてもよく、その順序は問わない。
【0071】
前記のようにして得られた半導体装置40は、図8に示すように、はんだ付けにより半導体装置搭載用配線板50に搭載して半導体装置搭載配線板60を作製する工程を示す断面図である。
図8(r)は、マザーボード51に半導体装置40を搭載する直前の状態を示す。半導体装置搭載用配線板はその一部を示すが、ボード本体(表面の配線層を除く部分)に導体配線52及び52’が施工されており、その上にはんだ53及び53’が載置されている。半導体装置40の突出している金属層部分がそれぞれはんだペースト53及び53’によりはんだ付けされる。その結果は、図8(s)のようになり、半導体装置40の金属層部分に接続したはんだ53及び53’が金属層部分の突出部を覆うように付着する。このためはんだ付けして得られた半導体装置搭載配線板において、配線板の面方向の剪断力に対して半導体装置40は配線板50上に堅固に結合されている。
なお、半導体装置と半導体装置搭載用配線板との接続は、はんだペーストの変わりに電気はんだめっきを施し、はんだリフローする方法でも良い。
【0072】
次に、図9〜13を用いて、剥離性基材に転写された導電性金属層パターンの形状について説明する。図9〜13は、導電性金属層パターン側から見た平面図である。
図9〜13において、斜線部は導電性金属層パターンを示し、点線部で囲まれた領域は、1つの半導体装置となる領域(半導体装置領域)を示している。半導体装置領域内における導電性金属層パターンをできるだけ大きくすることにより、導電性金属層パターンの外周部の長さを半導体装置内で増大させ、絶縁部との接触面積を増やすことにより導電性金属層パターンの半導体装置からの脱落防止を改善する。また、半導体装置領域の導電性金属層パターンは、同一半導体装置領域内の導電性金属層パターンとは連結されておらず、隣接する半導体装置領域内の導電性金属層パターンとは半導体装置領域内における導電性金属層パターンの幅の異なる金属層(連結金属層)で連結されている。連結金属層によって、以下の効果が期待できる。
(1)めっき用導電性基材上にめっきによって形成した導電性金属層パターンを連結金属層が形成されている方向に沿って剥離性基材に転写する場合は、導電性金属層パターンの転写漏れの不具合を防ぐことができる。
(2)連結金属層によってつながっているために、電気めっきを効率的に行うことができる。
図11の太い連結金属層は、点線部で囲まれた半導体装置領域で個片化した場合に半導体装置の端面に前記太い連結金属層の端面が露出するので、この露出部を利用して半導体装置搭載用配線板との接続時にはんだの濡れ状態を良好に確認することができる。
ここで、連結金属層の必要最小限幅は100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、60μm以下がさらに好ましい。
【0073】
また、本発明では用いられるめっき用導電性基材として、回転体(ロール)を用いることができるが、さらに、この詳細を説明する。回転体(ロール)は金属製が好ましい。さらに、回転体としてはドラム式電解析出法に用いるドラム電極などを用いることが好ましい。ドラム電極の表面を形成する物質としては上述のようにステンレス鋼、クロムめっきされた鋳鉄、クロムめっきされた鋼、チタン、チタンをライニングした材料などのめっき付着性が比較的低い材料を用いることが好ましい。導電性基材として回転体を用いることにより連続的に作製して巻物として導体層パターン付き基材を得ることが可能となるため、この場合、生産性が飛躍的に大きくなる。
回転体を用いて、電界解めっきにより形成されたパターンを連続的に剥離しながら、導体層パターン付き基材を巻物として得る工程及び導電性基材としてドラム電極を用いた場合に、ドラム電極を回転させつつ、金属を電界解めっきにより連続的に析出させ、また、析出した金属を連続的に剥離する装置は、国際公開WO2008/081904に記載される方法及び装置を利用することができる。
【実施例】
【0074】
実施例1
(凸状レジストパターンの形成)
レジストフィルム(フォテックRY3315、15μm厚、日立化成工業(株)製)を150mm角のステンレス板(SUS316L、#400研磨仕上げ、厚さ500μm、日新製鋼(株)製)の片面に貼り合わせた。貼り合わせの条件は、ロール温度105℃、圧力0.5MPa、ラインスピード1m/minで行った。
次いで、所定のパターン仕様のネガフィルムを、ステンレス板に貼り合わせたレジストフィルムの上に載置し、紫外線照射装置を用いて、600mmHg以下の真空下において、紫外線を250mJ/cm2照射した。さらに、1質量%炭酸ナトリウム水溶液で現像することで、パターン状のレジスト膜(厚さ10μm)を得た(図4(b)参照)。
【0075】
(絶縁層の形成)
PBII/D装置(TypeIII、(株)栗田製作所製)によりDLC膜を形成した。チャンバー内にレジスト膜が付いたままのステンレス基板を入れ、チャンバー内を真空状態にした後、アルゴンガスで基板表面のクリーニングを行った。次いで、チャンバー内にヘキサメチルジシロキサンを導入し、膜厚0.1μmとなるように下地層を成膜した。
次いで、トルエン、メタン、アセチレンガスを導入し、膜厚が5〜6μmとなるように、下地層の上にDLC層を形成した(図4(c)参照)。
【0076】
(めっき用導電性基材の形成)
絶縁層が付着したステンレス基板を水酸化ナトリウム水溶液(10%、50℃)に浸漬し、時々揺動を加えながら8時間放置した。レジスト膜とそれに形成されたDLC膜が剥離した。一部剥がれにくい部分があった場合は、布で軽くこすることにより全面剥離することができた(図4(d)参照)。
凹部の形状は、開口方向に向かって幅広になっており、その凹部側面の傾斜角は、前記境界面の角度と同じであった。凹部の深さは5〜6μmであった。
【0077】
(銅めっき)
前記で得られためっき用導電性基材のパターンが形成されていない面(裏面)にめっきが付かないように粘着フィルム(ヒタレックスK−3940B、日立化成工業(株)製)を貼り付けた。この粘着フィルムを貼り付けためっき用導電性基材を陰極として、含燐銅を陽極として電解銅めっき用の電解浴(硫酸銅(5水塩)250g/L、硫酸70g/L、キューブライトAR(荏原ユージライト(株)製、添加剤)4ml/Lの水溶液、30℃)中に浸し、電流密度を10A/dm2として、めっき用導電性基材の凹部に析出した金属層の厚さがほぼ35μmになるまでめっきした。めっき用導電性基材の凹部の中とそれからあふれるようにめっきが形成された(図5(e)参照)。
【0078】
(粘着剤層用組成物の調製)
温度計、冷却管、窒素導入管を備えた500cm3の三つ口フラスコに、以下に記載する配合組成物1を投入し、穏やかに撹拌しながら、60℃に加熱して重合を開始させ、窒素でバブリングさせながら、60℃で8時間、還流中で攪拌を行い、側鎖にヒドロキシル基を有するアクリル樹脂を得た。その後、カレンズ MOI(2−イソシアナトエチルメタクリレート;昭和電工(株)製)5質量部を添加し、穏やかに撹拌しながら50℃で反応させ、側鎖に光重合性官能基を有する反応性ポリマー1の溶液を得た。
(配合組成物1)
2−エチルヘキシルメタクリレート 70質量部
ブチルアクリレート 15質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 10質量部
アクリル酸 5質量部
アゾビスイソブチロニトリル 0.1質量部
トルエン 60質量部
酢酸エチル 60質量部
【0079】
得られた反応性ポリマー1は、側鎖にメタクリロイル基を有しており、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は800,000であった。
反応性ポリマーの溶液1の100質量部(固形分)に光重合開始剤として2−メチル−1[4−メチルチオ]フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名イルガキュア907、チバガイギー(株)製)を1質量部、イソシアネート系架橋剤(商品名コロネートL−38ET、日本ポリウレタン(株)製)を3質量部、トルエンを50質量部添加し、粘着剤層用組成物を得た。
【0080】
(転写用基材の作製)
得られた粘着剤層用組成物を、厚さ50μm、120mm角の基材材料であるSUS304の表面に、乾燥後の膜厚が15μmになるように塗布して、基材材料上に紫外線硬化性を有する粘着剤層を形成して、転写用基材(キャリア基材)を作製した。乾燥条件は80℃で10分間とした。
【0081】
(導電性金属層パターンの転写)
前記転写用基材を、粘着剤層の面を、前記めっき用導電性基材の銅めっきを施した面に、ロールラミネータを用いて貼り合わせた。ラミネート条件は、ロール温度30℃、圧力0.3MPa、ラインスピード0.5m/分とした。次いで、めっき用導電性基材に貼り合わせた転写用基材(図5(g)参照)を剥離したところ、前記めっき用導電性基材上の銅からなる導電性金属層パターンが粘着剤層に転写された構造体を作製した(図5(h)の上の図参照)。次いで、得られた構造体の導電性金属層パターンが存在する面に12μm厚のPETフィルムE−5100(東洋紡(株)製)をロール温度30℃、圧力0.3MPa、ラインスピード0.5m/minで貼り合わせた。さらに、導電性金属層パターンが存在する面から1J/cm2の照射量で紫外線照射した。
銅が転写された基材を一部分切り取り、その断面を走査型電子顕微鏡写真(倍率2000倍)にとって観察した。導電性金属層パターンは、接着剤中に厚さ方向にほぼ5μm埋没していた。
【0082】
(絶縁部の作製)
まず、前記構造体の金属層パターンが存在する面全面に感光性液状ソルダーレジスト(太陽インキ(株)製、商品名:PSR−4000LEW3)をスクリーン印刷で塗布し、温度80℃、25分間の仮硬化後の厚さを30μmとした(図6(i)参照)。
次に、マスクを装着して露光し、未露光部を現像して除去し、開口部を設けた(図6(j)参照)。LED半導体素子が搭載される導電性金属層パターンの開口寸法は、300×300μmのLED半導体素子寸法に対し500×500μmとし、ワイヤボンディング接続する導電性金属層パターンの開口寸法を300×300μmとした。
その後、温度150℃、60分間の条件で本乾燥した。
【0083】
(半導体装置の製造)
導電性金属層パターンの開口部の銅表面に、ニッケルめっき5μm及び金めっき(純度99.99%)0.3μmを順次それぞれ電気めっきにより施した(図6(k)参照)。
次いで、ソルダーレジストとリフレクター及び封止材との密着性を向上させるため、ソルダーレジスト表面にプラズマ処理(設備メーカ:(株)モリエンジニアリング、製品名:PLASMA ASHER PB−1000S)を施した。プラズマ処理条件は、使用ガス:Ar、真空度:100Pa、出力:400W、時間:5分とした。
次に、所定の位置にトランスファモールド法により白色無機顔料を含むエポキシ樹脂(日立化成工業(株)製、商品名:WM7005T)を成形し、リフレクター部材をソルダーレジスト上に設置した(図6(l)参照)。樹脂の硬化は、150℃で2時間行った。
次いで、LED半導体素子を金属層パターンの所定位置に銀ペースト(京セラケミカル(株)商品名:CT220HS)により接合し、150℃1時間で硬化させた後、ワイヤボンディングにより接続した。この後、透明液状封止材(信越化学工業(株)商品名;信越シリコーンASP−1020B)を充填し、150℃で30分の硬化を行なって透明液状封止材を硬化させた(図6(m)参照)。
なお、ワイヤボンディングは、ワイヤボンディング装置4524AD〔キューリック・アンド・ソファ社(Kulicke & Soffa, Ltd.)〕で、キャピラリ型式40472−0010−320〔キューリック・アンド・ソファ社(Kulicke & Soffa, Ltd.)〕を用いて行い、ワイヤは、型式GMHタイプ25μm(田中貴金属工業(株)製)を用いた。また、接続条件は、超音波出力を0.2W、超音波出力時間を45ms、温度を130℃とした、
【0084】
しかる後、キャリア基材を剥離した(図7(n)参照)。このとき、剥離性基材に粘着剤が付着しており、粘着剤が開口部のめっき部分やソルダーレジストに残留することなく容易に剥離することができた。
【0085】
キャリア基材を剥離後はダイシング装置により所定のサイズ(3mm×2mm×300μm)に切断して、個片化した半導体装置40を得た。この半導体装置は、その導電性金属層パターン(銅めっき)の下面が半導体装置から突出している箇所に無電解めっきにより3μm厚の錫めっきを施した(図7(o)、(p)参照)。
【0086】
このようにして得られたLED半導体装置40は、
(1)導電性金属層パターンと絶縁部との密着が強いため、半導体装置の耐吸湿性が向上する。そのため、半導体装置の絶縁信頼性の向上が図れ、また、導電性金属層パターンの最上層にAgめっきを施した場合、Agめっきが変色し難く光量の劣化が低減でき、かつAgめっきの変色を抑制し、色目の変化を低減できる。
(2)上記導電性金属層パターンと絶縁部との強固な密着性に加えて、導電性金属層パターンの周縁部の少なくとも一部が硬化性樹脂等からなる絶縁部に覆われているため、導電性金属層パターンの半導体装置からの脱落防止性に優れる。したがって、導電性金属層パターンのめっき厚を薄くすることができ、半導体装置の更なる薄型化、導電性金属層パターンの更なる微細線化が可能となる。
(3)導電性金属層パターンの表面が平坦であり、導電性ワイヤの接続作業性が向上できる。
(4)導電性金属層パターンの表面が平坦であり、かつ、ソルダーレジストなどの硬化性樹脂が塗布されているため金型の封止性が高く、基材形成時に基材が導電性金属層パターンの上面に染み出すことがない。
(5)導電性金属層パターンにソルダーレジスト等の硬化性樹脂を塗布してあるため、基材形成時に基材が導電性金属層パターンの下面に回り込むことがない。
(6)導電性金属層パターンにソルダーレジスト等の硬化性樹脂を塗布することにより、導電性金属層パターン表面の必要な部分に接続用めっきを施せば良いため、接続用めっきに変色し易いAgめっきを施した場合でも色目の変化が小さい。
(7)導電性金属層パターン最表面の必要な部分に限定して接続用めっきを施せば良いため、費用の低減が図れる。
(8)外部接続する導電性金属層パターンの下面が半導体装置から突出しているため、半導体装置の実装後の外部接続部分が剪断力に対して強くなり外部接続の信頼性が向上する。
(9)製品毎に導電性金属層パターンを形成する必要がないため、費用の低減が図れる。さらに、ロールツーロールにより製造することができ、生産性に優れる。
(10)導電性金属層パターンが銅で構成されているため、熱伝導性に優れたものとなる。
【0087】
(半導体装置搭載配線板の作製)
前記で得られた半導体装置を配線板に搭載して、半導体装置搭載配線板を作製した。
前記半導体装置の突出している導電性金属層パターンに錫めっきを施した部分を配線板の20μmの電気はんだめっき層を有する配線上にはんだ付けされるようにして配線板に半導体装置を搭載した。
【0088】
比較例1
比較例について、図17〜20を用いて説明する。
支持基材101として厚さ0.15mmで実施例1と同サイズのSUS430を用意した。この支持基材の上面に、めっきにより0.1μm厚のPd膜102を形成した。Pd膜を設けた後、Pdと支持基材との密着性を向上させるため400℃で加熱した。
次いで、このPd膜の表面に、感光性フィルム103(フォテックRY3237、37μm厚、日立化成工業(株)製)をラミネートした後(図17(a)参照)、その上部に実施例1と同一のマスクを配置させて、実施例1と同様な方法で紫外線を照射して露光した。その後、実施例1と同様な方法でエッチング剤にて処理することで、パターン状の絶縁層104を設けた(図17(b)参照)。
【0089】
次に、厚さ0.1μmの金をめっきし(金めっき105)、更にその上に実施例1と同様な方法で厚さ65μmとなるように銅をめっきにより形成した(銅めっき106)。このとき、銅めっきはレジストの膜厚よりも厚くなるため、側面に幅約15μmの突起部が成された。さらに、最上層に実施例1と同様に厚さ5μmのニッケルと0.3μmの金を順次めっきした後、実施例1と同様な方法で保護膜を洗浄して除去した。このとき、導電性金属層パターン側面の突起部は幅約20μmとなった。
次いで、実施例1と同様な方法でトランスファモールド法により図18(e)に示すように、リフレクター108を形成した。実施例1と同様、図18(f)に示すように、金属層上に、発光素子109を接合し、導電性ワイヤ110を用いて発光素子の電極と他の金属層とを接続した。
次いで、図18(f)に示すように、リフレクターに囲まれて形成される凹部に実施例1と同様に透光性樹脂からなる封止部材を封止材のポッティングによって形成し、発光素子や導電性ワイヤを封止部材で被覆した。
次いで、封止材が硬化した後に、図19(g)に示すように、支持基板を剥離した。最後に、実施例1と同様に、リフレクター部でダイシングして個片化し(図19(h)(i))、図20(k)に示すような発光装置搭載配線板を得た。
【0090】
このようにして得られた半導体装置には、以下のような問題点が確認された。
(1)遮光性樹脂からなる(リフレクターの)基材は、金型との離型性を付与させるため離型剤が含有されており導電性金属層パターンとなる金属との密着性が弱い。しかも、導電性金属層パターンの下面から導電性金属層パターンの最上層のめっきまでの距離が短いため、半導体装置の耐吸湿性が低下し、半導体装置の絶縁信頼性が劣る。特に、導電性金属層パターンの最上層にAgめっきを施した場合、吸湿によりAgめっきが変色し易く光量の劣化、及び色目の変化が大きい。
(2)遮光性樹脂からなる基材と導電性金属層パターンとなる金属との密着性が弱いため、導電性金属層パターンの半導体装置からの脱落を防ぐため、導電性金属層パターンの側面に突起部を設けている。そのため、導電性金属層パターンの下面から突起部までのめっき厚を厚くする必要があり半導体装置の薄型化及び微細化に限界があった。また、導電性金属層パターン側面に突起部があるため、基材形成時に基材形成用の樹脂材料が充填し難い。
(3)導電性金属層パターンの表面がめっきの自由析出面であるため表面の平滑性に劣り、導電性ワイヤの接続作業性が低い。また導電性金属層パターン表面の平滑性が劣るため金型の封止性が悪く、基材形成時に基材を構成する樹脂材料が導電性金属層パターンの上面に染み出す。
(4)支持基板上の金属層と導電性金属層パターンの密着性が弱いため、基材形成時に基材が導電性金属層パターンの下面に回り込む。
(5)導電性金属層パターン表面全面に接続用めっきを施す必要があるため、接続用めっきに吸湿により変色し易いAgめっきを施した場合、色目の変化が大きい。
(6)外部接続する導電性金属層パターンの下面が半導体装置から突出しないため、半導体装置の実装後の外部接続部分が剪断力に対して弱く、外部接続の信頼性には限界があった。
(7)導電性金属層パターン最表面全面に高価な接続用めっきを施す必要があるためコスト高となる。また、導電性金属層パターンの形成がフォトリソ法であるため製品毎にパターンを形成する必要があるため、多大な費用がかかる。さらに、ロールツーロールの対応が困難であり、生産性に劣る。
(8)支持基材の上面に、めっきにより形成したPd膜中のPdの一部が、支持基材の剥離時に基材側に残ることで、支持基材の剥離後の工程、例えばめっき工程で所望しないところにめっきが析出したり、また、吸湿により絶縁性が低下したりするなど不具合発生の原因となる。
【符号の説明】
【0091】
10:半導体素子搭載用部材
11:剥離性基材
12:粘着剤層
13:導電性金属層パターン
14:導電性金属層パターン
15: 絶縁部
16:金属めっき層
17:周縁部
18、108:リフレクター
19:台座状の凸部
20:半導体素子搭載基板
21、109:半導体素子
22、110:導電性ワイヤ
23、112:封止部材
24、24’:外装めっき
25:ダイボンド材
30:めっき用導電性基材
31:導電性基材
32:凹部(開口部、めっき形成部)
33:絶縁層
34:感光性レジスト層
36:金属層パターン
37:キャリア基材
39:突起部
40:半導体装置
50:半導体装置搭載用配線板
51:マザーボード
52、52’:導体配線
53、53’:はんだ
60:半導体装置搭載配線板
101:支持基材
102:Pd膜
103:感光性フィルム
104:絶縁層
105:金めっき
106:銅めっき
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア基材上に、導電性金属層パターン及び絶縁部を有する半導体素子搭載用部材であって、該金属層パターンは、部分的に露出部を有するように、少なくともその周縁部が絶縁部に覆われ、該部材の金属層パターン側からの平面視において、該金属層パターンの最外周部が、該金属層パターンとキャリア基材が接する部分より、該絶縁部側にせり出している断面形状を有し、該金属層パターンがめっきで形成された銅から構成されるものであることを特徴とする半導体素子搭載用部材。
【請求項2】
前記露出部の面が略平坦である請求項1に記載の半導体素子搭載用部材。
【請求項3】
前記導電性金属層パターンが、前記キャリア基材側と反対側の面に、最外周よりも内側に略平坦な面を有する台座状の凸部を有する請求項1又は2に記載の半導体素子搭載用部材。
【請求項4】
前記絶縁部が熱硬化性及び/又は活性エネルギー線硬化性のソルダーレジストからなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体素子搭載用部材。
【請求項5】
前記キャリア基材が剥離性基材及び粘着剤層からなり、導電性金属層パターン及び絶縁部が粘着剤層を介して剥離性基材に貼着される請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体素子搭載用部材。
【請求項6】
前記導電性金属層パターンは、前記キャリア基材を剥離した際に、剥離面側に突出するように配される請求項5に記載の半導体素子搭載用部材。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体素子搭載用部材上に、導電性金属層パターンの露出部を覆わないようにリフレクターを備える半導体素子搭載基板。
【請求項8】
前記リフレクターが側壁を構成し、前記半導体素子搭載用部材の導電性金属層パターン及び絶縁部からなる面が底面を構成し、該底面内に露出部を備える2以上の導電性金属層パターンを有し、該側壁と底面により凹部を構成する請求項7に記載の半導体素子搭載基板。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体素子搭載用部材、半導体素子及び封止部材を有する半導体装置であって、該半導体素子搭載用部材が外表面を形成し、該半導体素子は該半導体素子搭載用部材に載置され、該封止部材が半導体素子を封止する半導体装置。
【請求項10】
前記半導体素子がLED半導体素子である請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体素子搭載用部材上に、導電性金属層パターンの露出部を覆わないようにリフレクターを備える請求項9又は10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記リフレクターが側壁を構成し、前記半導体素子搭載用部材の導電性金属層パターン及び絶縁部からなる面が底面を構成し、該底面内に露出部を備える2以上の導電性金属層パターンを有し、該側壁と底面により構成される凹部内に前記封止材が充填されて封止部材を形成してなる請求項11に記載の半導体装置。
【請求項1】
キャリア基材上に、導電性金属層パターン及び絶縁部を有する半導体素子搭載用部材であって、該金属層パターンは、部分的に露出部を有するように、少なくともその周縁部が絶縁部に覆われ、該部材の金属層パターン側からの平面視において、該金属層パターンの最外周部が、該金属層パターンとキャリア基材が接する部分より、該絶縁部側にせり出している断面形状を有し、該金属層パターンがめっきで形成された銅から構成されるものであることを特徴とする半導体素子搭載用部材。
【請求項2】
前記露出部の面が略平坦である請求項1に記載の半導体素子搭載用部材。
【請求項3】
前記導電性金属層パターンが、前記キャリア基材側と反対側の面に、最外周よりも内側に略平坦な面を有する台座状の凸部を有する請求項1又は2に記載の半導体素子搭載用部材。
【請求項4】
前記絶縁部が熱硬化性及び/又は活性エネルギー線硬化性のソルダーレジストからなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体素子搭載用部材。
【請求項5】
前記キャリア基材が剥離性基材及び粘着剤層からなり、導電性金属層パターン及び絶縁部が粘着剤層を介して剥離性基材に貼着される請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体素子搭載用部材。
【請求項6】
前記導電性金属層パターンは、前記キャリア基材を剥離した際に、剥離面側に突出するように配される請求項5に記載の半導体素子搭載用部材。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体素子搭載用部材上に、導電性金属層パターンの露出部を覆わないようにリフレクターを備える半導体素子搭載基板。
【請求項8】
前記リフレクターが側壁を構成し、前記半導体素子搭載用部材の導電性金属層パターン及び絶縁部からなる面が底面を構成し、該底面内に露出部を備える2以上の導電性金属層パターンを有し、該側壁と底面により凹部を構成する請求項7に記載の半導体素子搭載基板。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体素子搭載用部材、半導体素子及び封止部材を有する半導体装置であって、該半導体素子搭載用部材が外表面を形成し、該半導体素子は該半導体素子搭載用部材に載置され、該封止部材が半導体素子を封止する半導体装置。
【請求項10】
前記半導体素子がLED半導体素子である請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記半導体素子搭載用部材上に、導電性金属層パターンの露出部を覆わないようにリフレクターを備える請求項9又は10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記リフレクターが側壁を構成し、前記半導体素子搭載用部材の導電性金属層パターン及び絶縁部からなる面が底面を構成し、該底面内に露出部を備える2以上の導電性金属層パターンを有し、該側壁と底面により構成される凹部内に前記封止材が充填されて封止部材を形成してなる請求項11に記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−16761(P2013−16761A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150496(P2011−150496)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
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